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JP2019090064A - アルミニウム系多孔質部材及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム系多孔質部材及びその製造方法 Download PDF

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JP2019090064A JP2017217446A JP2017217446A JP2019090064A JP 2019090064 A JP2019090064 A JP 2019090064A JP 2017217446 A JP2017217446 A JP 2017217446A JP 2017217446 A JP2017217446 A JP 2017217446A JP 2019090064 A JP2019090064 A JP 2019090064A
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Nao Oshiyama
奈穂 押山
圭太 曽根
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圭太 曽根
田中 俊明
Toshiaki Tanaka
俊明 田中
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Abstract

【課題】アルミニウム系多孔質体のろう付け接合が簡便なアルミニウム系多孔質部材を提供する。【解決手段】アルミニウム系多孔質部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されるアルミニウム系多孔質体と、アルミニウム系多孔質体と同じ組成を有し、アルミニウム系多孔質体の外周に沿って一体形成される層状体とを有する。多孔質樹脂と、多孔質樹脂に接する樹脂シートと、多孔質樹脂及び樹脂シートの表面に付着するアルミニウム系粉末とを有する前駆体を加熱する工程において、多孔質樹脂及び樹脂シートを熱分解し、アルミニウム系粉末を溶融してアルミニウム系多孔質体の骨格及び層状体を生成し、生成するアルミニウム系多孔質体の骨格及び層状体を冷却する冷却工程によって、層状体とアルミニウム多孔質体の骨格とが一体形成される。【選択図】図1

Description

本発明は、三次元網目状構造を有するアルミニウム系多孔質体を主体とし、適用部材へ接合するための作業及び取り扱いが容易であるアルミニウム系多孔質部材及びその製造方法に関する。
従来、アルミニウム製熱交換器は、車両に搭載されてエバポレータやコンデンサ等として用いられている。熱交換器においては、流体と熱交換器との間の熱伝導を促進するために、流体が流れる流路にアルミニウム製のフィン等が設置されている。このようなアルミニウム製の部材をアルミニウム製熱交換器に接合する際には、ろう付け接合が利用され、液状又はペースト状のろう付け用組成物が用いられる。
フィン等の熱伝導を促進する部材は、その構造によって熱伝導効率が変化するので、接触面積を増加させて熱伝導効率を高めるために、フィンの構造を様々に微細化させる改良が行われている。
一方、三次元網目状構造を有する金属多孔質体の製造方法が近年提案され、金属多孔質体の提供が可能となっている。下記特許文献1,2,4においては、金属粉末を分散させたスラリーを樹脂多孔質体に付着させ、加熱により樹脂を分解させて消失させることによって金属多孔質体を得ることが記載される。又、下記特許文献5においては、基体となる三次元網目構造体の骨格表面に粘着剤を付着させた後に、粉体を被着させて熱処理することによって、金属又はセラミックスからなる三次元網目構造体が得られることが記載される。一方、下記特許文献6では、鉄の多孔体の製造方法が記載され、この文献の技術によれば、表面酸化した鉄粉を結合剤と混連して多孔質高分子樹脂の骨格に塗着し、これを加熱して、高分子樹脂の消失及び鉄粉の焼結還元を行うことによって鉄の多孔体が得られる。又、電気メッキによって金属を発泡樹脂骨格表面に電析することを利用した金属多孔体の製造方法も提案されている(下記特許文献3,7)。
このような状況において、熱伝導を促進するフィンにおける構造変更によって熱伝導効率を向上させる試みにも限界が見られ、フィンの代わりとなる異なる形態の部材が求められている。この点に関して、金属製多孔質体は、熱伝導率が高く、表面積が大きいので、金属製多孔質体が熱交換用材料として好ましいと考えられている(下記特許文献7)。
このようなことから、近年、本発明者等も、フィン等の代わりに熱伝導を促進するために使用する部材として有望であると考えてアルミニウム系多孔質体を開発し、熱交換器用多孔質部材としての検討を行っている(下記特許文献8)。
特開平05−339605号公報 特開平08−020831号公報 特開昭57−174484号公報 特公昭61−053417号公報 特開平06―235033号公報 特公平06−089376号公報 特開2011−236477号公報 特開2016−142420号公報
しかし、従来のアルミニウム系部材のろう付け技術には、ろう付け用組成物の保存安定性及び安全性等の課題が多く、基本的に、ろう付け作業が繁雑になる傾向がある。しかも、熱交換器のような製品において、ろう付けを行う部分には、熱交換用流路を形成するチューブ材、放熱を行うフィン材の接合部などがあり、このような部分の接合では、過度の加熱に起因するろう材浸食(エロージョン)によって、穴あきなどの不具合が非常に発生し易い。エロージョンは、近年軽量化が進むアルミニウム系部材の接合において深刻な技術課題となっている現象であり、ろう材成分(ケイ素)の拡散による浸食、及び、流動ろう材による浸食が含まれる。
又、近年開発されたアルミニウム多孔質体についても、構造が微細であるため、汎用のプレートフィン材に比べてろう付けの技術的難易度が高い。更に、取り扱いにおいて破損防止等の配慮も必要であり、ろう付け接合時の取り扱いが難しい。このようなことから、アルミニウム多孔質体を、従来のフィンに代えて熱交換器等における熱伝導を促進するための部材として利用するには、接合が容易になるような改善が必要である。
本発明は、上述の問題を解消し、アルミニウム製熱交換器等を含む各種アルミニウム製品へのろう付け接合が容易なアルミニウム系多孔質部材及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、ろう付け用組成物を構成する各材料及びその材料形態について様々に検討した結果、ろう付け作業が簡便なアルミニウム系の層状体をアルミニウム系多孔質体に添設する構成に至った。
本発明の一態様によれば、アルミニウム系多孔質部材は、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されるアルミニウム系多孔質体と、前記アルミニウム系多孔質体と同じ組成を有し、前記アルミニウム系多孔質体の外周に沿って一体形成される層状体とを有することを要旨とする。
前記層状体は、平坦であり、平均厚さが10μm以上且つ1mm以下であると好ましい。又、前記アルミニウム系多孔質体の形状は、直方体形であると汎用性の点で有利であり、前記アルミニウム系多孔質体は、気孔率が90%以上且つ98%以下であり、前記層状体は、気孔率が5%以上且つ90%未満である。前記アルミニウム系多孔質体の気孔率が92〜98%であると、前記層状体において熱交換器と接合するためのアルミニウム系多孔質部材として有用である。
又、本発明の一態様によれば、アルミニウム系多孔質部材の製造方法は、多孔質樹脂と、前記多孔質樹脂に接する樹脂シートと、前記多孔質樹脂及び前記樹脂シートの表面に付着するアルミニウム系粉末とを有する前駆体を加熱することによって、前記多孔質樹脂及び前記樹脂シートを熱分解し、前記アルミニウム系粉末を溶融してアルミニウム系多孔質体の骨格及び層状体を生成する加熱工程と、前記加熱工程によって生成するアルミニウム系多孔質体の骨格及び層状体を冷却して、層状体とアルミニウム多孔質体の骨格とを一体形成する冷却工程とを有することを要旨とする。
上記アルミニウム系多孔質部材の製造方法は、更に、前記前駆体を準備する準備工程を有し、前記準備工程は、前記アルミニウム系粉末が分散媒に分散するアルミニウム系粉末分散液を調製する調製工程と、前記多孔質樹脂を前記樹脂シートに接着する接着工程と、前記接着工程で接着された前記多孔質樹脂及び前記樹脂シートの表面に前記アルミニウム系粉末分散液を塗布する塗布工程と、前記アルミニウム系粉末分散液が塗布された前記多孔質樹脂及び前記樹脂シートを乾燥して分散媒を除去することによって前記前駆体を得る乾燥工程とを有する形態によって良好に実施可能である。或いは、前記準備工程は、前記アルミニウム系粉末が分散媒に分散するアルミニウム系粉末分散液を調製する調製工程と、前記多孔質樹脂の表面に前記アルミニウム系粉末分散液を塗布する第1塗布工程と、前記樹脂シートの表面に前記アルミニウム系粉末分散液を塗布する第2塗布工程と、前記アルミニウム系粉末分散液が塗布された前記多孔質樹脂を、前記アルミニウム系粉末分散液が塗布された前記樹脂シートに載せて前記多孔質樹脂及び前記樹脂シートを乾燥して分散媒を除去することによって前記前駆体を得る乾燥工程とを有する形態によって良好に実施可能である。また、前記準備工程は、前記アルミニウム系粉末が分散媒に分散するアルミニウム系粉末分散液を調製する調製工程と、前記多孔質樹脂が前記アルミニウム系粉末分散液を余剰に含むように、前記多孔質樹脂の表面に前記アルミニウム系粉末分散液を塗布する塗布工程と、前記アルミニウム系粉末分散液が塗布された前記多孔質樹脂を前記樹脂シートに載せて、余剰のアルミニウム系粉末分散液が前記樹脂シートの上に堆積した状態で、前記多孔質樹脂及び前記樹脂シートを乾燥して分散媒を除去することによって前記前駆体を得る乾燥工程とを有する形態によって実施しても良い。
前記アルミニウム系粉末分散液は、25℃における粘度が20〜1000mPa・s以下(回転数:50rpm)であると良い。前記アルミニウム系粉末は、アルミニウム粉末又はアルミニウム合金粉末であり、平均粒径が1μm以上且つ50μm以下であると好適である。
本発明によれば、層状体をアルミニウム系多孔質体と一体化したアルミニウム系多孔質部材が提供され、アルミニウム系多孔質体の取り扱いが容易になり、取り扱い時の破損も低減されるので、アルミニウム系多孔質体を簡便な作業で接合することができる。熱交換器を構成する板材、管材などにアルミニウム系多孔質体を接合する際に、簡便にろう付け接合を行うことが可能である。
本発明に係るアルミニウム系多孔質部材の一実施形態を示す模式図。
ペースト状のろう付け用組成物は、任意の箇所にろう材を配置して接合を形成できる有用な接合材である。しかし、熱交換器の製造においては、扁平管とフィン材とを何段にも多層状に組み込むような工程があり、ろう付け材を塗布する工程の繰り返しによる負担、手間暇が量産上の問題となる。また、塗膜の厚みの制御も非常に難しい。
本発明者等は、既に提案しているアルミニウム系多孔質体に関して、熱交換器への適用等の様々な用途について検討している(前記特許文献8参照)。しかし、アルミニウム系多孔質体のろう付けは、汎用のプレートフィン材に比べてさらに技術難易度が高い。その原因の一つは、アルミニウム系多孔質体が、直径100μm程度の微細な骨格で形成される網状構造であるために、基本的に、ろう材のケイ素の浸食による変化を生じ易く、骨格の溶融変形や消失を生じ易いことにある。つまり、構造的にろう付け時の接合不良を生じ易い。又、破損し易い微細構造であるため、取扱い中の欠損も接合不良を増加させる。特に、多孔質体を形成する骨格自体が中空である場合、軽量化の点においては有利であっても、珪素の浸食がより強くなり、取り扱いにおいても強度に配慮する必要がある。
このようなことから、熱交換器等の伝熱面や熱源にフィン材の代わりにアルミニウム系多孔質体を接合するには、アルミニウム又はアルミニウム合金製の箔又はシートのような層状体がアルミニウム系多孔質体に添設された構造を有するアルミニウム系多孔質部材が有用である。多孔質体を構成する三次元網目状骨格の先端は、実質的に点状であるため、骨格末端でのろう付け接合は確度が低く、この点は、被接合面にろう付け用組成物を塗布した場合でも、骨格末端に塗布した場合でも同様である。これに対し、アルミニウム系多孔質体に層状体が添設されたアルミニウム系多孔質部材の場合は、層状体を被接合面に接合すればよいので、面と面との接合であり、接合の確度が高くなる。又、ろう付け用組成物やフラックスの塗布作業は、層状体への容易な作業になる。更に、層状体の表面においてろう付け接合が進行するので、アルミニウム系多孔質体の骨格末端のエロージョンによる溶融欠損を抑制することができる。又、簡素な構造であるので、熱交換器等に組み込んだ状態においても、アルミニウム系多孔質体を単独で組み込んだ場合と実質的な差はなく、熱伝導率の低下や、流体の流通抵抗の増加も生じない。加えて、取り扱いの際に、アルミニウム系多孔質体を構成する骨格の破損も生じ難くなる。以下に、アルミニウム系多孔質部材について詳細に説明する。尚、記載中の用語「アルミニウム系」は、「アルミニウム及びアルミニウム合金」に属する範囲の金属を意味するものとする。
層状体は、箔状又はシート状の平面状の要素であり、熱交換器等の被接合面に接合される部材である。層状体は、別体として用意された平板材を、アルミニウム系多孔質体の骨格に接着剤を用いて接合することによって形成することも可能であるが、アルミニウム系多孔質体の骨格を形成する製造過程において層状体を同時に形成することが可能である。それにより、層状体がアルミニウム系多孔質体の外周に沿って一体形成されたアルミニウム系多孔質部材が得られる。
アルミニウム系多孔質部材の一実施形態として、図1のような、アルミニウム系多孔質体Pの一面(下面)に層状体Mが一体化されたものが挙げられ、扁平な直方体形のアルミニウム系多孔質体Pに基づいて構成されるアルミニウム多孔質部材は、汎用性の点で有利である。このアルミニウム系多孔質部材1の層状体Mにろう付け用組成物を塗布して被接合体に密接させ、隙間の無い状態を維持してろう付け温度に加熱すると、被接合体との間に接合が形成される。従って、例えば、熱交換器の要部を構成する扁平管内にこの部材を配置してろう付け接合することによって、アルミニウム系多孔質体は層状体を介して接合され、この接合を通じて良好な熱伝達が可能である。
アルミニウム系多孔質体に一体化される層状体の厚さは、必要に応じて適宜設定することができる。但し、層状体が過度に薄いと、取り扱い時に破損や変形を生じ易くなり、厚すぎると、設計上の障害等になり得るので、これらを考慮して、ろう付け接合後にアルミニウム系多孔質体が良好に機能するように、2mm程度以下、好ましくは10μm程度以上1mm程度以下、より好ましくは10μm程度以上300μm程度以下の平均厚さに設定すると良い。
層状体は、アルミニウム系多孔質体の原料であるアルミニウム系粉末を利用して形成され、アルミニウム系多孔質体と実質的に同じ組成を有する。つまり、層状体は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製である。アルミニウム製の層状体は、熱伝導率が高い点で好ましい。アルミニウム合金については、熱伝導率が良好な範囲の組成を適宜選択するとよい。
アルミニウム製の層状体に対して、一般的にアルミニウムの接合に使用されるろう付け用組成物を層状体に塗布し、被接合面にアルミニウム系多孔質部材を組み付けて加熱することにより、ろう付け接合が形成される。ろう付け用組成物は、ろう材粉末及びフラックスを含有するペースト状又は流動性の組成物である。
上述のような層状体は、アルミニウム系多孔質体の製造過程において、アルミニウム系多孔質体と一体形成することができ、この際に、層状体を一体形成するための前駆層状体が用いられる。つまり、アルミニウム系多孔質体の完成と共に、前駆層状体から生成する層状体が一体形成されて、アルミニウム系多孔質部材が得られる。一体形成された層状体は、アルミニウム系多孔質体の骨格と連続し、アルミニウム系多孔質体は層状体によって支持されるので、得られるアルミニウム系多孔質部材は、取り扱いが容易になり、搬送中にアルミニウム系多孔質体を構成する骨格が破損するのを低減することができ、骨格の欠損や粉落ちが少なくなる。
以下に、アルミニウム系多孔質部材の製造方法について詳細に説明する。アルミニウム系多孔質部材は、以下に記載する製造方法に従って、熱伝導促進用として優れた好ましい性状のものを得ることができる。
(製造するアルミニウム系多孔質体)
アルミニウム系多孔質体は、アルミニウム又はアルミニウム合金製の三次元網目状構造の骨格によって、三次元に連通する気孔(連通孔)が形成された多孔質体である。用途に応じて任意のアルミニウム系多孔質体を選択して、層状体との一体化及び被接合面へのろう付け接合が実施される。従って、アルミニウム系多孔質体の気孔率についても特に制限されず、必要に応じて適切な気孔率及び細孔径の多孔質体を製造すればよく、概して、気孔率が80〜98%程度、細孔径が30〜4000μm程度のアルミニウム多孔質体を製造すると有用である。熱交換器のフィン材として用いる場合、流体との接触効率及び通気抵抗等の観点から、90〜98%程度の気孔率(多孔質体単位容積当たりの気孔(空隙)の体積の割合)を有する多孔質体が好ましく、更に好ましくは、気孔率が95〜97%程度の多孔質体を使用すると良い。又、骨格の太さが50〜500μm程度であると好ましい。尚、気孔率は、アルミニウム系多孔質体の密度と、アルミニウム(又はアルミニウム合金)の密度(真密度、アルミニウム:2.7g/cm3)とから計算によって求めることができ、多孔質体の密度は、多孔質体の体積及び質量の測定によって得られる。
(アルミニウム系多孔質体の製造)
上述のようなアルミニウム系多孔質体は、アルミニウム系粉末(アルミニウム粉末又はアルミニウム合金粉末)を用いて製造することができる。具体的には、連通孔を有する多孔質樹脂(発泡樹脂)の表面にアルミニウム系粉末を付着させて、加熱により多孔質樹脂を分解焼失させる。加熱時に、アルミニウム系粉末を除く殆どの成分が熱分解して消失し、微量の炭素、ケイ素分のみが残る。アルミニウム(又はアルミニウム合金)の融点以上で加熱することによって、アルミニウム系粉末の粒子内部は溶融するが、粒子表層部に存在する酸化被膜や微量成分などは、粉末粒子によって形成される三次元構造を維持する。溶融したアルミニウム(又はアルミニウム合金)が膨張して酸化被膜を破断し、粒子表層部上を濡れ拡がって反応する。この結果、アルミニウム系粉末粒子同士が融着して連続し、アルミニウム(又はアルミニウム合金)多孔質体の骨格が生成する。これを冷却することによって、アルミニウム(又はアルミニウム合金)は三次元構造を維持した状態で固化し、アルミニウム系多孔質体が形成される。これは、酸化被膜を形成するアルミニウム及びアルミニウム合金の粉末による特有な方法であり、例えば銅粉末を用いては達成できない。このようなアルミニウム系多孔質体の製造過程において、表面にアルミニウム系粉末が付着した多孔質樹脂と層状体とが接触した状態で加熱工程が進行することによって、層状体とアルミニウム系多孔質体との一体形成が達成される。つまり、加熱によってアルミニウム系粉末の融着が進行する間に、粉末と層状体との融着も進行する。このような加熱工程を実施するには、表面にアルミニウム系粉末が付着した多孔質樹脂と、層状体を形成するための前駆層状体とが接触した前駆体を準備することが有用である。
アルミニウム系粉末を多孔質樹脂の表面に付着させる手法には、電気メッキ法や、乾式法、湿式法などが挙げられ、何れの方法であってもアルミニウム系粉末を付着させた多孔質樹脂や樹脂シートを得られるが、簡便さや制御の容易さにおいては湿式法が好ましい。湿式法では、アルミニウム系粉末を分散媒中に分散したスラリー状の分散液を調製し、この分散液中に多孔質樹脂を浸漬する等によって分散液を多孔質樹脂に含浸した後に多孔質樹脂を取り出して、余剰の分散液を多孔質樹脂から除去して乾燥する。これにより、アルミニウム系粉末が表面に付着した多孔質樹脂を簡便に得ることができる。
湿式法においては、多孔質樹脂に付着させるアルミニウム系粉末の量を、用いるアルミニウム系粉末分散液の粘度の調整によって調節することができるという利点がある。更に、分散媒の流動に伴ってアルミニウム系粉末が容易に濡れ広がるので、多孔質樹脂表面に粉末粒子を十分に付着させる点においても湿式法は優れている。
又、湿式法においては、アルミニウム系粉末分散液を用いて前駆層状体を容易に調製することができる。例えば、非透過性のシート上でアルミニウム系粉末分散液を乾燥することによって、アルミニウム系粉末を層状に結着することができる。この手法を利用すれば、表面にアルミニウム系粉末が付着した多孔質樹脂と前駆層状体とが接触した前駆体を簡単に準備できる。つまり、多孔質樹脂と、多孔質樹脂に接する樹脂シートと、多孔質樹脂及び樹脂シートの表面に付着するアルミニウム系粉末とを有する前駆体を提供可能であり、樹脂シート表面に層状に付着するアルミニウム系粉末が前駆層状体である。この前駆体を加熱して多孔質樹脂及び樹脂シートを熱分解し、アルミニウム系粉末が溶融することにより、アルミニウム系多孔質体の骨格及び層状体が生成し、これらは連続する。生成するアルミニウム系多孔質体の骨格及び層状体は、冷却工程において固化するので、層状体とアルミニウム多孔質体の骨格とが一体形成される。樹脂シートは、非透過性で熱分解性の良いものであればよく、このようにして簡便に前駆体を準備することができる。
湿式法によってアルミニウム系粉末の付着を行うことを前提として上述の前駆体を準備する場合、準備工程として、具体的に、以下のような形態を挙げることができる。
第1の形態としては、アルミニウム系粉末が分散媒に分散するアルミニウム系粉末分散液を調製する調製工程、多孔質樹脂を樹脂シートに接着する接着工程、接着された多孔質樹脂及び樹脂シートの表面にアルミニウム系粉末分散液を塗布する塗布工程、及び、アルミニウム系粉末分散液が塗布された多孔質樹脂及び樹脂シートを乾燥して分散媒を除去する乾燥工程を順次行い、これによって前駆体が得られる。アルミニウム系粉末分散液を多孔質樹脂及び樹脂シートの表面に塗布する工程は、アルミニウム系粉末分散液中に多孔質樹脂及び樹脂シートを浸漬した後に取り出すことによって達成される。アルミニウム系粉末分散液の塗布量は、浸漬後の多孔質樹脂を適宜圧搾することによって調整できる。
第2の形態としては、アルミニウム系粉末が分散媒に分散するアルミニウム系粉末分散液を調製する調製工程、多孔質樹脂の表面にアルミニウム系粉末分散液を塗布する第1塗布工程、樹脂シートの表面にアルミニウム系粉末分散液を塗布する第2塗布工程、及び、アルミニウム系粉末分散液が塗布された多孔質樹脂を、アルミニウム系粉末分散液が塗布された樹脂シート上に載せて多孔質樹脂及び樹脂シートを乾燥して分散媒を除去する乾燥工程を行い、これによって前駆体が得られる。多孔質樹脂及び樹脂シートの各々に対して個別に塗布工程が行われるので、塗布量の調整が容易であり、特に、樹脂シート上に形成される前駆層状体の厚さを的確に調節できる。
第3の形態としては、アルミニウム系粉末が分散媒に分散するアルミニウム系粉末分散液を調製する調製工程、多孔質樹脂がアルミニウム系粉末分散液を余剰に含むように、多孔質樹脂の表面にアルミニウム系粉末分散液を塗布する塗布工程、及び、アルミニウム系粉末分散液が塗布された多孔質樹脂を樹脂シート上に載せて、余剰のアルミニウム系粉末分散液が樹脂シート上に堆積した状態で、多孔質樹脂及び樹脂シートを乾燥して分散媒を除去する乾燥工程を行い、これによって前駆体が得られる。アルミニウム系粉末分散液中に浸漬した後の多孔質樹脂の圧搾程度によって、アルミニウム系粉末分散液の塗布量、及び、樹脂中に含まれる余剰量を調整することができるので、この条件を設定すれば、非常に簡便な作業によって前駆体が得られる。
(アルミニウム系多孔質部材の製造方法)
上述のような前駆体の準備を通じてアルミニウム系多孔質部材を製造する製造方法の詳細について、以下に記載する。
湿式法によるアルミニウム系粉末の付着では、アルミニウム系粉末を分散媒中に分散したスラリー状の分散液を調製して用いる。分散媒として、アルコール類等の揮発性溶媒や水を好適に使用でき、分散媒に結着剤を溶解することによって、アルミニウム系粉末粒子の付着性を高めることができる。又、分散剤を分散媒に配合することによって、アルミニウム系粉末粒子の沈降を抑制して粒子の分散状態を安定化することができる。湿式法においては、アルミニウム系粉末分散液の粘度を調整することによって、多孔質樹脂表面に付着するアルミニウム系粉末の量を調節することができる。この点に関しては、後述する。
(使用するアルミニウム系粉末)
アルミニウム系粉末は、アルミニウム系多孔質体の骨格及び層状体を形成する粉末であるので、その組成は、アルミニウム系多孔質体に求められる熱伝導率、比重、強度(硬度、脆性、展延性)等を考慮して、純アルミニウム及びアルミニウム合金から選択される。具体的には、純度が99.5質量%以上の純アルミニウム粉末の他、アルミニウムの機械的強度や耐食性を向上させる成分や焼結温度を低温に低下させる成分を予め合金化したアルミニウム合金粉末を用いることができる。このような合金化成分としては、例えば、銅、マンガン、亜鉛、ケイ素、カルシウム、マグネシウムなどが例示できる。但し、焼結やろう付けを阻害する因子であるマグネシウムの含有量は、0.5質量%以下に設定することが望ましい。銅、マンガン、マグネシウム、ケイ素などの合金化成分を配合して予め合金化したアルミニウム合金は、得られるアルミニウム系多孔質体の強度を向上させるのに有用である一方で、熱伝導率はアルミニウムよりも低下する。従って、所望の物性が得られるように合金化成分の含有量を調節するとよい。このような観点から、アルミニウム以外の元素の総含有量は、10質量%以下とすることが好ましく、5%以下とすることがより好ましい。上記含有量に設定することで、優れた伝熱性能および機械的強度を維持できる。アルミニウム系粉末は、市販の製品から適宜選択して使用して良い。
アルミニウム系粉末は、粒子が大きいと、多孔質樹脂表面に密に付着することが難しくなると共に、粉末粒子自体の質量増加によって多孔質樹脂表面から脱落し易くなって付着量が減少する。このため、微細なアルミニウム系粉末を使用することが好ましく、平均粒径が50μm程度以下である粉末が好適である。更に、粒径が100μmを超える粒子を含まないことが好ましく、100μmを超える粒子を除去することで、多孔質樹脂表面からの脱落を良好に防止することができる。但し、アルミニウムは活性な金属であるので、過度に微細な粉末は取り扱いが難しい。この点を考慮すると、平均粒径が1μm程度以上且つ50μm程度以下であるアルミニウム系粉末が好適である。好ましくは、アルミニウム系粉末の平均粒径が1.0〜20μmであると良く、約6μm程度であると最良である。尚、ここで用いている平均粒径は、メジアン径(D50)、つまり、累積分布が50体積%となる粒径であり、日本工業規格(JIS)の8825に規定されるレーザー解析法によって測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式マイクロトラック粒度分布計等を用いて測定される粒度分布のメジアン径(D50)として求めることができる。
(連通孔を有する多孔質樹脂(発泡樹脂))
多孔質樹脂(以下、単に「発泡樹脂」又は「基体」ということがある。)は、アルミニウム系多孔質体の骨格を成形する型の役割をする基体であるので、三次元状に連結する骨格を有し、その骨格によって三次元状に連通する気孔(連通孔)が形成される三次元網目状構造の多孔質樹脂が用いられる。このような多孔質樹脂を基に、樹脂表面にアルミニウム粉末またはアルミニウム合金粉末を付着させて、アルミニウム系多孔質体の骨格形状に対応した粉末層が形成される。多孔質樹脂は、加熱によって分解焼失させるので、熱分解残渣が実質的に残らないような熱分解性の組成を有する樹脂が好適に使用される。具体例としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、シリコーン、ポリエステル等の樹脂の発泡体や、これらの樹脂から生成される繊維構造体(織布、不織布)等を用いることができる。市販の多孔質樹脂としては、例えば、(株)ブリジストン製のポリウレタンフォーム(商品名:エバーライトSF)等が挙げられる。このような多孔質樹脂は、熱分解後には、ほとんどの成分が分解消失して微量の炭素(及びケイ素酸化物、シリコーン樹脂の場合)が残るのみである。
(アルミニウム系多孔質体及び多孔質樹脂(発泡樹脂)の気孔率)
前述のように、アルミニウム系多孔質体の気孔率は、基本的に、用途に対応した適正な値であればよく、ろう付けに関連して気孔率の適正な範囲又は領域は限定されない。熱伝導促進を目的として熱交換器に搭載する用途においては、92〜98%程度の気孔率(多孔質体単位容積当たりの気孔(空隙)の体積の割合)を有するアルミニウム系多孔質体が好ましい。これに基づくと、アルミニウム系多孔質体を形成するための基体である多孔質樹脂も、アルミニウム系多孔質体に対応した形状を有するものが使用され、92〜99%程度の気孔率(多孔質体単位容積当たりの気孔(空隙)の体積の割合)を有する多孔質樹脂が好ましい。多孔質樹脂の気孔率も、多孔質樹脂の体積及び質量の測定から得られる発泡樹脂の密度と、発泡する前の樹脂の密度とから、計算によって求めることができる。尚、多孔質樹脂表面へアルミニウム系粉末を付着させる際に、多孔質樹脂の細孔径が小さいと、目詰まりを生じ易くなる。発泡樹脂においては、起泡数が増加するにつれて気泡の成長が抑制される傾向があるので、目詰まりを生じることなく気泡内面にアルミニウム系粉末を良好に付着させることが可能な多孔質樹脂は、連通孔の密度を示すセル数(ppi、pore per inch:気孔数/インチ)に基づいて選択することができる。この点において、セル数が8〜40ppiであると、熱伝導促進用のアルミニウム系多孔質体を調製する上で好適である。セル数が40ppiの多孔質樹脂における平均セル中心径は0.64mm、8ppiにおける平均セル中心径は3.18mmである。特に、セル数が13〜20ppi(平均セル中心径:1.27〜1.95mm)の多孔質樹脂が好ましく、このような多孔質樹脂を用いて調製されるアルミニウム系多孔質体は、気孔内の流体流れが滑らかで、熱伝導も良好である。
尚、本願において、アルミニウム多孔質体の気孔率(%)は、多孔質体の寸法測定(縦の長さ、横幅及び厚み)及び重量測定による測定値に基づいて計算されるアルミニウム多孔質体の密度から算出され、アルミニウムの密度として2.7g/cmを採用している。又、ウレタンフォームの気孔率も同様の測定に基づいて算出され、その際のウレタンの密度として1.3g/cmを採用している。
(樹脂シート)
樹脂シートは、前駆層状体を形成するアルミニウム系粉末を支持するためのもので、加熱によって分解焼失させるので、非酸化性雰囲気中で熱分解残渣が実質的に残らないような熱分解性の組成を有する樹脂で形成される非透過性のシートが好適に使用される。樹脂シートを構成する樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリスチレン、シリコーン、ポリエステル、PVA等の樹脂が挙げられる。多孔質樹脂を構成する樹脂や、アルミニウム系粉末分散液に配合される結着剤を構成する樹脂によって調製される樹脂シートであると好ましい。樹脂シートの厚さに特に制限はないが、アルミニウム系粉末を付着させた多孔質樹脂を載せて移動可能な強度を有する厚さがあれば良く、加熱時に残渣が残り難いように過度な厚さを避けることが好ましい。概して、0.1〜数mm程度の厚さが好適である。前述の前駆体を準備する工程の第1形態では、一側に接着剤層を有する樹脂シートを使用すると、多孔質樹脂と樹脂シートを接着する工程が簡便に行える。接着剤は、樹脂同士を接着可能であれば良く、熱分解性の良いものが使用される。
(アルミニウム系粉末分散液)
前述のように、アルミニウム系粉末分散液は、結着剤を含む分散媒にアルミニウム系粉末を分散させたスラリー状の液体である。分散媒としては、水又はアルコール類等の揮発性を有する液体が使用可能である。分散媒としてアルコール類を使用する場合、揮発した溶媒が周囲に放出される点を考慮して、環境への流出を防止可能な装置や施設環境を整える必要がある。この点において、水を分散媒として使用するのが有利である。
アルミニウム系粉末の水性分散液を調製するに当たり、アルミニウム系粉末を多孔質樹脂表面に付着させるための結着剤が配合される。結着剤としては、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル樹脂、水溶性セルロース等の水溶性高分子が使用可能である。数%程度の濃度で結着剤を含む水性分散媒にアルミニウム系粉末を添加混合してスラリー状の分散液を調製する。必要に応じて分散剤を配合することによって、アルミニウム系粉末粒子の沈降を抑制して粒子の分散状態を安定化することができるので、安定性が高い分散液が得られる。さらに、界面活性剤は、水との接触によってアルミニウム系粉末表面の酸化腐食が進行するのを抑制するのに有効であり、粉末粒子表面に吸着して層を形成し、化学安定性を高めて腐食を抑制すると共に、アルミニウム系粉末の分散性及び分散液の粘度安定性を高める。また、アルミニウム系多孔質体の骨格を形成する加熱の際に粉末の焼結促進に寄与する成分や、撹拌時に生じる泡を抑制する消泡剤等を添加しても良い。
アルミニウム系粉末の粒子は、表面に酸化被膜を有する。液相線温度以上に加熱した場合、内部のアルミニウム(又はアルミニウム合金)が溶融(液相化)し、熱膨張して次第に酸化被膜を破裂させる。被膜を破って濡れ広がった溶融アルミニウム(又はアルミニウム合金)によって粉末粒子同士が結合する。しかし、加熱温度が液相線温度未満である場合、酸化被膜が維持されると、拡散接合は進行し得ず、粉末粒子同士は結合しない。アルミニウム系粉末粒子を結合させる上で、酸化皮膜に対する溶融アルミニウムの濡れ性を向上させるような成分や酸化被膜の形成を抑制可能な成分は有用である。この点に関して、アルミニウム系粉末の粒子表面と反応する官能基を有する界面活性剤は有用であり、分散液に配合すると好ましい。陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などの界面活性剤が有用であり、具体的には、シラン系界面活性剤、リン酸エステル系界面活性剤、カルボン酸エステル系界面活性剤、カテコール系界面活性剤、アミン系界面活性剤、チオール系界面活性剤、アルキン系界面活性剤、アルケン系界面活性剤などが挙げられる。特に、リン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール酸、エポキシ化合物又はアクリル化合物とリン酸とがエステル化したリン酸エステルは、高温での反応性の点において好ましく、炭素数が10〜18程度の脂肪族リン酸モノエステルがより好ましい。リン酸エステルは、アルミニウム系粉末の表面を保護して酸化を抑制する作用がある。界面活性剤の添加量は、結着剤を含む分散媒100質量部に対して0.1〜10.0質量部となるように設定すると、アルミニウム系粉末粒子の腐食防止の点で好ましく、より好ましくは0.5〜5.0質量部とするとよい。
脂肪族リン酸モノエステルとしては、例えば、イソプロピルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、ヘキシルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ノニルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ドデシルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、テトラデシルアシッドホスフェート、ヘキサデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート、プロピルフェニルアシッドホスフェート、ブチルフェニルアシッドホスフェート及びブトキシエトキシエチルアシッドホスフェート等の化合物が挙げられる。このような化合物のいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。又、これらの重合体を含んでも良い。
アルミニウム系粉末の酸化被膜は、分散液を酸性に調整すると、エッチング効果によって薄くすることができる。リン酸、フッ化物等を使用して酸性化すると、エッチング効果が高いが、酸化被膜のエッチングによって水素が発生する場合があり、これが気泡として粉末粒子に存在すると、アルミニウム系粉末が多孔質樹脂表面に付着するのを阻害する。このような点を考慮して、pHに留意してアルミニウム系粉末の分散液を調製し、必要に応じて、アルミニウムの腐食抑制剤を使用すると良い。
(粘度の調整による付着量の調節)
多孔質樹脂に付着させるアルミニウム系粉末の量は、用いるアルミニウム系粉末分散液の粘度の調整によって調節することができる。つまり、分散液の粘度が高いと、多孔質樹脂表面に付着するアルミニウム系粉末の量が増加し、粘度が低いと、付着するアルミニウム系粉末の量は低下する。付着量が過剰であると、後続の加熱時に型くずれが生じ易いので、多孔質樹脂表面に付着するアルミニウム系粉末の厚さが500μm程度以下であるような付着量に調整すれば、型くずれが抑制されて、好適な太さの骨格を有するアルミニウム系多孔質体が得られる。アルミニウム系多孔質体の骨格が細いと強度が不足し、骨格の太さとしては50〜500μm程度であるのが好ましいので、多孔質樹脂への粉末の付着量としては、100〜1000μm程度の厚さが好適である。この観点から、分散液の粘度は、25℃において20Pa・s程度以上且つ1000Pa・s程度以下(50rpmでの値)であることか好ましく、より好ましくは50〜300Pa・s程度である。尚、粘度測定は、粘度計を用いて測定することができ、例えば、東機産業株式会社製の粘度計(商品名:TVB10形)を用いて、粘性トルクによる2枚のスリット円盤のねじれ角を検出し、この値を粘度に換算することができる。
上述のように調製したスラリー状のアルミニウム系粉末分散液を多孔質樹脂に含浸させ、全体に分散液が浸透した多孔質樹脂から余剰のスラリーを取り除いて乾燥することによって、アルミニウム系粉末が表面に付着した多孔質樹脂が得られる。分散液に浸漬した多孔質樹脂を、必要に応じて、上下逆転させる、又は、軽く圧縮すると、全体への浸透が促進される。又、分散液から引き上げた多孔質樹脂の細孔中に残留する余分な分散液は、絞りロール等を用いた圧搾によって排出できる。絞りロールのロール間隔によって調整される圧搾程度によって、多孔質樹脂表面に付着するアルミニウム系粉末の量を調整することが可能であり、一定の圧搾工程を実施することで、付着量のバラツキを抑制することも可能である。樹脂シートを接着した多孔質樹脂についても同様である。尚、樹脂シート上に前駆層状体を生成するためにアルミニウム系粉末分散液を塗布するには、スラリー状の液体に適用される従来の塗布方法を利用すれば良く、例えば、刷毛、ヘラ、ロールコーター等を用いて好適に分散液を塗布することができる。従って、目的とする塗布が可能である限り、分散液の粘度については特に制限する必要がなく、異なる粘度の分散液を用いても良いが、同一の分散液を使用すれば、作業が簡便であり効率的である。
アルミニウム系粉末分散液を塗布した多孔質樹脂及び樹脂シートの乾燥は、加熱を伴っても非加熱であってもよい。加熱乾燥を行う場合は、多孔質樹脂が変形しない温度で乾燥することが好ましい。乾燥の後に、多孔質樹脂及び樹脂シートの熱分解のための加熱を施すので、乾燥と熱分解とを連続して行うように加熱温度を設定しても良い。但し、気化した分散媒が加熱装置に不具合を生じる場合は、気化物を速やかに排出可能な加熱装置を使用する。乾燥によって、多孔質樹脂表面に、アルミニウム系多孔質体の骨格の元となる粉末結着体が形成され、樹脂シート上には粉末結着体からなる前駆層状体が形成され、これにより前駆体が提供される。
前述した前駆体を準備する工程の第2の形態では、乾燥工程は、アルミニウム系粉末分散液が塗布された多孔質樹脂を、アルミニウム系粉末分散液が塗布された樹脂シート上に載せた状態で行う。これは、乾燥と熱分解とを連続して行えるように構成された形態であり、前述の第1〜第3の形態の何れにおいても、乾燥と熱分解とを連続して行うことが可能である。又、アルミニウム系粉末分散液が塗布された多孔質樹脂とアルミニウム系粉末分散液が塗布された樹脂シートとが接触した状態で乾燥を行うと、アルミニウム系多孔質体骨格の元となる粉末結着体と前駆層状体とが接合されて一体化するので、加熱後に得られるアルミニウム系多孔質体骨格と層状体との連続性が高い。しかし、分散液が塗布された多孔質樹脂及び樹脂シートを個別に乾燥した後に、樹脂シート上の前駆層状体に多孔質樹脂を載せて加熱工程に投入するように第2の形態を変更しても良い。或いは、分散液を塗布した多孔質樹脂及び樹脂シートの一方を予め乾燥し、他方を乾燥する前に多孔質樹脂を樹脂シート上に載せて加熱工程に投入しても良い。
(多孔質樹脂の熱分解、アルミニウム系多孔質体の骨格形成及び層状体の一体化)
上述のようにして用意される前駆体、つまり、アルミニウム系粉末が表面に付着した多孔質樹脂及び樹脂シートは、加熱が施され(加熱工程)、多孔質樹脂及び樹脂シートを熱分解によって焼失させ、粉末の融着を進行させる。アルミニウム系多孔質体の元となる粉末結着体と前駆層状体が互いに接触又は一体化した状態で加熱されるので、生成されるアルミニウム系多孔質体と層状体とが良好に金属結合によって接合される。従って、アルミニウム系多孔質体と層状体とが一体形成される。
多孔質樹脂は、概して400〜550℃程度において焼失可能であり、樹脂シート、及び、粘着剤や結着剤のような有機成分も、この加熱によって同様に焼失可能である。使用した多孔質樹脂の組成によって、焼失させる加熱温度を適宜設定すれば良く、ポリウレタンフォームの場合は450〜550℃程度が好適である。多孔質樹脂の熱分解温度は、アルミニウムの溶融温度よりかなり低いので、多孔質樹脂が分解焼失する加熱温度では、アルミニウム系粉末の粒子は互いに結合しておらず、強度のある骨格は形成されていない。従って、加熱工程においては、アルミニウム系多孔質体の骨格に強度を付与するために加熱温度を更に上昇させて粉末粒子を溶融し、融着によって粉末粒子同士を結合させる。多孔質樹脂を熱分解させるための温度を特に設定せずに、アルミニウム系粉末を融着させる温度まで温度を上昇させても、その間に多孔質樹脂の熱分解を進行させることは可能である。
アルミニウムの融点(660.4℃)又はアルミニウム合金の液相線温度以上での加熱によって、アルミニウム系粉末粒子は互いに融着(つまり、溶融一体化)する。従って、この後に冷却してアルミニウム系溶融物を固化する(冷却工程)ことによって、粒子同士は強固に結合し、融着による結合形成は完成する。粒子同士の結合と共に、アルミニウム系多孔質体の骨格と層状体との結合も固定される。高融点の酸化被膜(アルミナ)は、溶融アルミニウム又はアルミニウム合金に包まれ、結合した粒子が形成する骨格及び層状体の内部で芯として機能する。加熱温度は、融点又は液相線温度より100℃以上超えないことが好ましい。
尚、アルミニウム系粉末の酸化を防止するために、加熱は、全て非酸化性雰囲気中で行うのが適切である。具体的には、窒素ガスやアルゴンガスなどのような不活性ガス雰囲気中、水素ガス又は水素混合ガスなどの還元性ガス雰囲気中、或いは、10-3Pa程度以下の減圧(真空)下の何れかにおいて行うとよい。酸化被膜の欠損を利用してアルミニウム系粉末粒子の焼結を進行させるには、酸化を防止することが重要である。
アルミニウム系多孔質体と層状体との一体化は、加熱によるアルミニウム系粉末粒子の溶融時に起こるので、厳密には、多孔質樹脂の熱分解を行う間については前駆層状体と多孔質樹脂とが接触状態にある必要はない。しかし、多孔質樹脂や結着剤が焼失した後のアルミニウム系粉末粒子による成形体は、粒子間の付着力が不十分で破損し易いので、多孔質樹脂及び樹脂シートの熱分解及び粉末の溶融一体化を続けて行うように前駆体を加熱することが、現実的な方法である。
アルミニウム合金において、液相線温度未満であって固相線温度以上である温度領域は、温度に応じて液相が形成されるので、酸化被膜による阻害がなければ、原子拡散による焼結や液相を通じた結合が進行可能である。つまり、600℃程度以上且つ660.4℃未満の温度範囲、特に、液相線温度との差が20℃以下となる範囲は、酸化被膜に欠損があるアルミニウム合金粉末粒子同士の結合が可能な温度となる。アルミニウム合金粉末の加熱温度を液相線温度に近づけると、生じる液相量は多くなるので、酸化被膜が薄く破裂し易ければ、液相線温度以上での加熱の場合と同様に、融着によって粒子同士及び粒子と層状体が結合し得る。真空での加熱は、焼結を進行し易くする上で有効であり、10−3Pa以上の真空度の適用は好ましい。アルミニウム系粉末表面に結合する界面活性剤は、表面の酸化進行を抑制する。
アルミニウム系粉末粒子が一体化して、多孔質体の骨格及び平坦な層状体が生成され、同時に、骨格と層状体とが接続されるので、これを冷却して溶融物を固化する(冷却工程)。つまり、融点(又は液相線温度)よりも低い温度、一般的には室温(1〜30℃程度)まで冷却する。これにより、加熱中に熱膨張したアルミニウム(又はアルミニウム合金)は、冷却により収縮し、多孔質樹脂の三次元網目構造に沿った形状を維持したまま骨格形状が固定化される。そして、平坦な層状体とアルミニウム系多孔質体とが一体形成され、アルミニウム系多孔質体の外周に沿って層状体が一体形成されたアルミニウム系多孔質部材が得られる。層状体は、金属結合によってアルミニウム系多孔質体の骨格と連続する。骨格の内部には、多孔質樹脂に起因する空隙が存在し得る。金属組織構造の形成は冷却速度による影響を受けるので、材料強度等の物性を考慮して、冷却速度を適宜設定するとよい。
このようにして、アルミニウム系多孔質体と層状体とが一体形成されたアルミニウム系多孔質部材が製造される。アルミニウム系多孔質体の気孔率は、90%以上且つ98%以下程度であり、層状体は、気孔率が5%以上且つ90%未満程度となる。アルミニウム系多孔質体の骨格は、多孔質樹脂の熱分解により生じる空隙を含み得る。アルミニウム系多孔質体の骨格及び層状体は、同一のアルミニウム系粉末の結着体から生成されるので、原料であるアルミニウム系粉末と同様の組成を有する。
層状体は、有機バインダーなどを介した接着ではなく、アルミニウム系多孔質体との一体形成によって設けられるので、ろう付け接合の際に接合を阻害する成分(炭素、炭化物、酸化物などの加熱残渣を生じる成分)が少ないという点で好ましい。又、層状体の表面は、被接合面と密接させることが容易な平滑な面である。製造後のアルミニウム系多孔質部材について、形状又は寸法を変更する場合、その切断加工は、一般的に材料の切断に利用される技術から適宜選択して適用すれば良い。例えば、放電加工、レーザー加工、ワイヤーソー、丸刃などの切断手段を利用して、所望の形状、寸法に加工可能である。加工の精密さにおいては放電加工が優れている。
(アルミニウム系多孔質部材を用いたろう付け接合)
層状体が一体化されたアルミニウム系多孔質部材は、板材や管材等の被接合面と層状体との間にろう付け用組成物を存在させて相互に密接するように組み付けられた状態でろう付け温度に加熱することによって、被接合面に接合される。ろう付け温度は、ろう材の組成における液相線温度以上、好ましくは液相線温度との差が10℃程度以内の温度に設定すると良い。ろう付け温度での加熱時間は、必要最小限にすることが望ましく、具体的には、0.5分〜10分程度が好ましい。ろう付け温度での加熱が終了後、速やかに冷却を行って、過剰な加熱によるエロージョンを防止することにより、被接合面に好適にろう付け接合されたアルミニウム系多孔質部材が得られる。
アルミニウム系多孔質部材の構成は、多孔質体の保護及び取り扱いの容易さの点で有利であるので、接合用として使用しない用途においても利用可能である。上記の有利性は、層状体の代わりに、アルミニウムと接合可能な他の金属製シート又は非金属製シートを使用しても得られる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
三次元網目状構造を有する発泡樹脂(多孔質樹脂)製の基体として、縦25mm、横70mm、厚さ20mmのポリウレタンフォーム(商品名:エバーライトSF、(株)ブリジストン社製)を用意した。この発泡樹脂の気孔率(全体の体積に対する連通孔の体積の割合)は95%であり、連通孔の大きさは円相当径で3000μmであった。更に、縦25mm、横70mm、厚さ0.5mm程度のポリウレタン製樹脂シートを用意し、この表面に樹脂用の接着剤を塗布して、上述の発泡樹脂の一面(縦25mm×横70mmの面)を接触させて接着剤を硬化さることにより、発泡樹脂に樹脂シートを接着した。
次いで、アルミニウム粉末分散液(スラリー)を調製するために、結着材としてポリビニルアルコール(PVA、商品名:ゴーセノールGH−23、日本合成化学社製)をイオン交換水に溶解して、濃度1質量%のPVA水溶液を調製した。この水溶液と、粒径が10μm以下であるアルミニウム粉末(商品名:25E、エカ・グラニュラー社製)とを3:5の質量比で混合して、アルミニウム粉末分散液を調合した。
調製したアルミニウム粉末分散液中に、樹脂シートを接着した発泡樹脂を浸漬した後に取り出して、一対の絞りロールを備えた装置を用いて発泡樹脂を絞り、余分なアルミニウム粉末分散液を除去した。この際、発泡樹脂の体積1Lに対するアルミニウム粉末の付着量が55.0〜60.0g/Lの範囲になるように、絞り度合いによって分散液の塗布量を調整した。アルミニウム粉末が付着した発泡樹脂を、80℃にて120分乾燥して、アルミニウム多孔質部材の前駆体を得た。
乾燥後の前駆体を、樹脂シートが下側に位置するように加熱皿に載せて炉内に配置し、圧力が10-3Paの減圧雰囲気(真空雰囲気)中で、加熱温度を665℃(使用したアルミニウム粉末の融点:660.4℃)まで 上昇させて、665℃で210分間加熱した。この後、真空雰囲気を保って冷却し、温度が300℃以下に低下したら窒素ガスを流し込み、更に室温まで冷却した。加熱皿を炉から取り出して確認したところ、多孔質樹脂及び樹脂シートは焼失し、アルミニウム多孔質体の骨格が形成されると共に、樹脂シート上に付着していたアルミニウム粉末から平坦な層状体が形成され、層状体とアルミニウム多孔質体の骨格は、連続する一体物であった。このようにして得られたアルミニウム多孔質部材における層状体の厚さは、約0.5mmで、下面(アルミニウム多孔質体が無い面)は表面が滑らかであった。アルミニウム多孔質体及び層状体の気孔率を測定したところ、アルミニウム多孔質体の気孔率は98%、層状体の気孔率は30%であった。
<実施例2>
実施例1と同様の発泡樹脂、樹脂シート及びアルミニウム粉末分散液を使用して、以下の作業を行った。
アルミニウム粉末分散液中に、発泡樹脂を浸漬した後に取り出して、実施例1と同様に、絞りロールを備えた装置を用いて発泡樹脂を絞り、余分なアルミニウム粉末分散液を除去した。更に、ロールコーターを用いて、樹脂シートの一面にアルミニウム粉末分散液を均一に塗布し、この上にアルミニウム粉末が付着した発泡樹脂を載せて、80℃にて120分乾燥して、アルミニウム多孔質部材の前駆体を得た。
乾燥後の前駆体を加熱皿に載せて炉内に配置し、実施例1と同じ条件で加熱及び冷却を行った。冷却後に炉から過熱皿を取り出して確認したところ、実施例1と同様に、多孔質樹脂及び樹脂シートは焼失し、アルミニウム多孔質体の骨格が形成されると共に、樹脂シート上に付着していたアルミニウム粉末から平坦な層状体が形成されていた。層状体とアルミニウム多孔質体の骨格は、連続する一体物であった。このようにして得られたアルミニウム多孔質部材における層状体の厚さは、約0.5mmで、下面(アルミニウム多孔質体が無い面)は表面が滑らかであった。アルミニウム多孔質体及び層状体の気孔率を測定したところ、アルミニウム多孔質体の気孔率は98%、層状体の気孔率は10%であった。
<実施例3>
実施例1と同様の発泡樹脂、樹脂シート及びアルミニウム粉末分散液を使用して、以下の作業を行った。
アルミニウム粉末分散液中に、発泡樹脂を浸漬した後に取り出して、絞りロールを備えた装置を用いて発泡樹脂を絞った。この際、余分なアルミニウム粉末分散液を発泡樹脂中に残すように、絞り度合いを実施例1より緩く設定した。アルミニウム粉末が付着した発泡樹脂を樹脂シートの上に載せたところ、発泡樹脂中に含まれていたアルミニウム粉末分散液が樹脂シート状に堆積して、樹脂シートの表面を覆った。この状態を維持して、80℃にて120分乾燥し、アルミニウム多孔質部材の前駆体を得た。
乾燥後の前駆体を加熱皿に載せて炉内に配置し、実施例1と同じ条件で加熱及び冷却を行った。冷却後に炉から過熱皿を取り出して確認したところ、実施例1と同様に、多孔質樹脂及び樹脂シートは焼失し、アルミニウム多孔質体の骨格が形成されると共に、樹脂シート上に堆積していたアルミニウム粉末から平坦な層状体が形成されていた。層状体とアルミニウム多孔質体の骨格は、連続する一体物であった。アルミニウム多孔質体及び層状体の気孔率を測定したところ、アルミニウム多孔質体の気孔率は98%、層状体の気孔率は25%であった。
<ろう付け>
厚さが0.8mmのアルミニウム板(JIS−A1050)を用意し、これを30mm×100mmの寸法に切断して、以下のろう付けにおいて被接合材として使用した。
実施例1〜3の各々で得られたアルミニウム多孔質部材の層状体に、アプリケータを用いて、東洋アルミニウム株式会社製のアルミニウムペーストろう材(トーヤルハイパーブレイズ(登録商標)、製品名:AF524F)を100μmの厚さに塗布し、大気中で80℃にて10分間程度乾燥した。このようにして表面にろう材を塗布した層状体を、被接合材として用意したアルミニウム板に密に接触させて、間に隙間が生じないようにした。これをろう付け炉に投入し、窒素雰囲気中(酸素濃度:50ppm以下)にて加熱した。この時、炉内の温度は、室温から590℃まで10℃/minで上昇し、その後、590℃にて5分間温度を保持した。この後、速やかに炉内を冷却し、室温に戻った炉内からアルミニウム多孔質部材及び被接合材を回収した。この結果、何れの実施例についても、被接合材がろう付けされたアルミニウム多孔質部材が得られた。アルミニウム多孔質部材と被接合材であるアルミニウム板との接合は、何れの実施例においても強固な状態であった。
簡便な作業によってアルミニウム系多孔質体の良好なろう付け接合を行うことが可能であり、煩雑な組み付け及びろう付け作業を簡素化できるので、熱交換器の放熱フィン等の構成要素として組み込まれるアルミニウム系多孔質体として有用である。熱伝導性を活かした用途に適用されるアルミニウム系多孔質体を、接合及び取り扱いが容易な製品として提供できるので、市場において極めて有用である。
1 アルミニウム系多孔質部材
P アルミニウム系多孔質体
M 層状体

Claims (10)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されるアルミニウム系多孔質体と、
    前記アルミニウム系多孔質体と同じ組成を有し、前記アルミニウム系多孔質体の外周に沿って一体形成される層状体と
    を有するアルミニウム系多孔質部材。
  2. 前記層状体は、平坦であり、平均厚さが10μm以上且つ1mm以下である請求項1に記載のアルミニウム系多孔質部材。
  3. 前記アルミニウム系多孔質体の形状は、直方体形である請求項1又は2に記載のアルミニウム系多孔質部材。
  4. 前記アルミニウム系多孔質体は、気孔率が90%以上且つ98%以下であり、前記層状体は、気孔率が5%以上且つ90%未満である請求項1〜3の何れか一項に記載のアルミニウム系多孔質部材。
  5. 前記アルミニウム系多孔質体の気孔率は92〜98%である、前記層状体において熱交換器と接合するための請求項1〜4の何れか一項に記載のアルミニウム系多孔質部材。
  6. 多孔質樹脂と、前記多孔質樹脂に接する樹脂シートと、前記多孔質樹脂及び前記樹脂シートの表面に付着するアルミニウム系粉末とを有する前駆体を加熱することによって、前記多孔質樹脂及び前記樹脂シートを熱分解し、前記アルミニウム系粉末を溶融してアルミニウム系多孔質体の骨格及び層状体を生成する加熱工程と、
    前記加熱工程によって生成するアルミニウム系多孔質体の骨格及び層状体を冷却して、層状体とアルミニウム多孔質体の骨格とを一体形成する冷却工程と
    を有するアルミニウム系多孔質部材の製造方法。
  7. 更に、前記前駆体を準備する準備工程を有し、前記準備工程は、
    前記アルミニウム系粉末が分散媒に分散するアルミニウム系粉末分散液を調製する調製工程と、
    前記多孔質樹脂を前記樹脂シートに接着する接着工程と、
    前記接着工程で接着された前記多孔質樹脂及び前記樹脂シートの表面に前記アルミニウム系粉末分散液を塗布する塗布工程と、
    前記アルミニウム系粉末分散液が塗布された前記多孔質樹脂及び前記樹脂シートを乾燥して分散媒を除去することによって前記前駆体を得る乾燥工程と
    を有する請求項6に記載のアルミニウム系多孔質部材の製造方法。
  8. 更に、前記前駆体を準備する準備工程を有し、前記準備工程は、
    前記アルミニウム系粉末が分散媒に分散するアルミニウム系粉末分散液を調製する調製工程と、
    前記多孔質樹脂の表面に前記アルミニウム系粉末分散液を塗布する第1塗布工程と、
    前記樹脂シートの表面に前記アルミニウム系粉末分散液を塗布する第2塗布工程と、
    前記アルミニウム系粉末分散液が塗布された前記多孔質樹脂を、前記アルミニウム系粉末分散液が塗布された前記樹脂シートに載せて前記多孔質樹脂及び前記樹脂シートを乾燥して分散媒を除去することによって前記前駆体を得る乾燥工程と
    を有する請求項6に記載のアルミニウム系多孔質部材の製造方法。
  9. 更に、前記前駆体を準備する準備工程を有し、前記準備工程は、
    前記アルミニウム系粉末が分散媒に分散するアルミニウム系粉末分散液を調製する調製工程と、
    前記多孔質樹脂が前記アルミニウム系粉末分散液を余剰に含むように、前記多孔質樹脂の表面に前記アルミニウム系粉末分散液を塗布する塗布工程と、
    前記アルミニウム系粉末分散液が塗布された前記多孔質樹脂を前記樹脂シートに載せて、余剰のアルミニウム系粉末分散液が前記樹脂シートの上に堆積した状態で、前記多孔質樹脂及び前記樹脂シートを乾燥して分散媒を除去することによって前記前駆体を得る乾燥工程と
    を有する請求項6に記載のアルミニウム系多孔質部材の製造方法。
  10. 前記アルミニウム系粉末は、アルミニウム粉末又はアルミニウム合金粉末であり、平均粒径が1μm以上且つ50μm以下である請求項6〜9の何れか一項に記載のアルミニウム系多孔質部材の製造方法。
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