JP2018177115A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】制動性を向上しながら、タイヤ重量および転がり抵抗を充分に低く維持することを可能にした空気入りタイヤを提供する。【解決手段】車両に対する装着方向が指定された空気入りタイヤにおいて、車両内側のサイドウォール部2のゴム厚さT1と車両外側のサイドウォール部2のゴム厚さT2とを異ならせて、これらゴム厚さT1およびT2がT1>T2の関係を満たすようにし、カーカス層4とインナーライナー層9との層間であって前記一対のビード部の各先端部分を除く領域の全域に亘って部分タイゴム層40を限定的に配置する。【選択図】図1
Description
本発明は、車両に対する装着方向が指定された空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、制動性を向上しながら、タイヤ重量および転がり抵抗を充分に低く維持することを可能にした空気入りタイヤに関する。
近年、車両に対する装着方向が指定された空気入りタイヤにおいて、車両に装着した際に車両に対して内側となる車両内側と車両に対して外側になる車両外側とでタイヤの構造を異ならせて所望のタイヤ性能を高めることが行われている(例えば、特許文献1を参照)。例えば、一般的なネガティブキャンバーに設定された車両において、上記のように車両内側と車両外側とで構造を非対称に構成する場合、車両内側のサイドウォール部の剛性が高いほど制動性を向上することができるため、車両内側のサイドウォール部のゴム厚さを大きくすることで、制動性の向上を図ることができる。
しかしながら、ゴム厚さが大きくなるほどゴム量が増加して、タイヤ重量や転がり抵抗に悪影響が出るため、上述のようにサイドウォール部のゴム厚さを大きくして制動性の向上を図ることには限度があり、必ずしも充分な効果が得られないという問題があった。そのため、車両内側のサイドウォール部のゴム厚さを大きくして制動性の向上を図るにあたって、タイヤ重量および転がり抵抗を維持するための更なる改善が求められている。
本発明の目的は、制動性を向上しながら、タイヤ重量および転がり抵抗を低減することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、該一対のビード部間に装架されたカーカス層と、前記トレッド部における該カーカス層の外周側に配置されたベルト層と、前記カーカス層に沿ってタイヤ内面に配置されたインナーライナー層とを有し、車両に対する装着方向が指定された空気入りタイヤにおいて、車両に装着した際に車両に対して内側となる側を車両内側とし、車両に装着した際に車両に対して外側となる側を車両外側としたとき、車両内側のサイドウォール部のタイヤ最大幅位置におけるゴム厚さT1と車両外側のサイドウォール部のタイヤ最大幅位置におけるゴム厚さT2とが異なり、これらゴム厚さT1およびT2がT1>T2の関係を満たし、前記カーカス層と前記インナーライナー層との層間であって前記一対のビード部の各先端部分を除く領域の全域に亘って部分タイゴム層が限定的に配置されたことを特徴とする。
本発明の空気入りタイヤでは、車両内側のサイドウォール部のゴム厚さT1が車両外側のサイドウォール部のゴム厚さT2よりも大きくなっているので車両内側のサイドウォール部の剛性を高めることができる。車両内側のサイドウォール部は特に一般的なネガティブキャンバーに設定された車両において制動性に寄与するので、このように車両内側のサイドウォール部の剛性を高めることで制動性を向上することができる。このとき、ゴム厚さT1が大きい分ゴム量が増大するため、タイヤ重量や転がり抵抗への影響が懸念されるが、タイゴム層としてカーカス層とインナーライナー層との層間の全幅を覆うフルタイゴム層ではなく部分タイゴム層を採用してタイヤ重量を軽減し、転がり抵抗を低減しているので、ゴム厚さT1が大きくゴム量が増大してもタイヤ重量や転がり抵抗を良好に維持することができる。尚、本発明において、「サイドウォール部の最大幅位置におけるゴム厚さ」とは、サイドウォール部の最大幅位置においてカーカス層のタイヤ幅方向外側に位置するゴムの厚さである。
本発明においては、ゴム厚さT1がゴム厚さT2の130%〜170%であることが好ましい。このようにゴム厚さT2に対するゴム厚さT1の比率を設定することで、タイヤ重量や転がり抵抗を悪化させることなく、車両内側のサイドウォール部の剛性を充分かつ適度に高めることができ、制動性の向上とタイヤ重量および転がり抵抗の低減とをバランスよく両立するには有利になる。
本発明においては、車両内側のサイドウォール部のゴム硬度H1と車両外側のサイドウォール部のゴム硬度H2とが異なり、これらゴム硬度H1およびH2がH1>H2の関係を満たし、ゴム硬度H1がゴム硬度H2の105%〜120%であることが好ましい。このように車両内側のサイドウォール部のゴム硬度を大きくすることで、車両内側のサイドウォール部の剛性の更なる向上を図ることができ、制動性を高めるには有利になる。このとき、ゴム硬度H2に対するゴム硬度H1の比率を適度な範囲に設定しているので、タイヤ重量や転がり抵抗についても良好に維持することができ、制動性の向上とタイヤ重量および転がり抵抗の低減とをバランスよく両立するには有利になる。尚、本発明における「サイドウォール部のゴム硬度」とは、サイドウォール部を構成するゴム組成物の硬度であって、JIS K6253に準拠しデュロメータのタイプAにより温度20℃で測定された硬さ(所謂、JIS‐A硬度)である。
本発明においては、サイドウォール部を構成するゴムの硬度が40〜70であることが好ましい。このようにサイドウォール部のゴム硬度を適度な範囲に設定することで、転がり抵抗に悪影響を及ぼさずに部分タイゴム層による剛性向上の効果を充分に得ることができる。
本発明においては、ベルト層のタイヤ幅方向最外側端部から前記インナーライナー層に向けて引いた垂線Pに対する前記部分タイゴム層の前記ビード部側への突出量L1が、前記垂線Pとタイヤ内表面との交点Aからビードトウの先端点Bまでのタイヤ内面に沿ったペリフェリ長さL2の0.25倍〜0.90倍であることが好ましい。このように部分タイゴム層のタイヤ赤道側の端部の位置を設定することで、カーカス層とインナーライナー層との層間の全幅を覆わない部分タイゴム層であってもタイゴム層としての機能(カーカスコードの喰い込み防止)を確実かつ高度に発揮することができ、タイヤ重量および転がり抵抗を低減するには有利になる。尚、本発明における「突出量」とは、タイヤ子午線断面において、各タイヤ構成要素(部分タイゴム層)の延長方向に沿って測定される所謂ペリフェリ長さである。
本発明においては、前記部分タイゴム層の車両内側の端部における突出量L1INと車両外側の端部における突出量L1OUT とが異なり、これら突出量L1INおよびL1OUT がL1IN>L1OUT の関係を満たし、突出量L1INが突出量L1OUT の120%以上であり、これら突出量L1INおよびL1OUT の差が5mm〜30mmであることが好ましい。このように車両外側の突出量L1INを大きくすることで、部分タイゴム層によっても車両内側のサイドウォール部の剛性を高めることができ、制動性を高めるには有利になる。このとき、突出量L1IN,L1OUT の差を適度な範囲に設定しているので、タイヤ重量および転がり抵抗についても良好に維持することができ、制動性の向上とタイヤ重量および転がり抵抗の低減とをバランスよく両立するには有利になる。
本発明においては、サイドウォール部のタイヤ最大幅位置におけるゴム厚さが1.0mm〜5.0mmであり、部分タイゴム層の厚さが0.1mm〜1.3mmであることが好ましい。このようにサイドウォール部や部分タイゴム層のゴム厚さを適度な範囲に設定することで、タイヤ重量や転がり抵抗に悪影響を及ぼさずにサイドウォール部や部分タイゴム層による剛性向上の効果を充分に得ることができる。尚、本発明において「部分タイゴム層のゴム厚さ」とは、子午線断面において、部分タイゴム層の断面積を部分タイゴム層のペリフェリ長さで除して得た平均厚さである。
本発明においては、部分タイゴム層を構成するゴムの硬度が50〜90であることが好ましい。このように部分タイゴム層の硬度を適度な範囲に設定することで、タイヤ重量や転がり抵抗に悪影響を及ぼさずに部分タイゴム層による剛性向上の効果を充分に得ることができる。尚、本発明における「部分タイゴム層のゴム硬度」とは、部分タイゴム層を構成するゴム組成物の硬度であって、JIS K6253に準拠しデュロメータのタイプAにより温度20℃で測定された硬さ(所謂、JIS‐A硬度)である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。尚、図1において、CLはタイヤ赤道を示す。この空気入りタイヤは、車両に対する装着方向が指定されている。具体的には、図のIN側が車両に装着する際に車両に対して内側にするように指定された側(以下、車両内側という)であり、図のOUT側が車両に装着する際に車両に対して外側にするように指定された側(以下、車両外側という)である。
左右一対のビード部3間にはカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りに車両内側から外側に折り返されている。また、ビードコア5の外周上にはビードフィラー6が配置され、このビードフィラー6がカーカス層4の本体部と折り返し部とにより包み込まれている。
トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(図1の例では2層)のベルト層7が埋設されている。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。更に、ベルト層7の外周側にはベルト補強層8(図1の例ではベルト層7の両端部をそれぞれ覆う一対のベルト補強層8)が設けられている。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に配向する有機繊維コードを含む。ベルト補強層8において、有機繊維コードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°〜5°に設定されている。タイヤ内面にはインナーライナー層9が設けられている。このインナーライナー層9は空気透過防止性能を有するブチルゴムを主体とするゴム組成物で構成され、タイヤ内に充填された空気がタイヤ外に透過することを防いでいる。
トレッド部1におけるカーカス層4の外周側にはトレッドゴム層10が配され、サイドウォール部2におけるカーカス層4の外周側(タイヤ幅方向外側)にはサイドゴム層20が配され、ビード部3におけるカーカス層4の外周側(タイヤ幅方向外側)にはリムクッションゴム層30が配されている。トレッドゴム層10は、物性の異なる2種類のゴム層(キャップトレッドゴム層、アンダートレッドゴム層)をタイヤ径方向に積層した構造であってもよい。
インナーライナー層9とカーカス層4との間には部分タイゴム層40(車両内側の部分タイゴム層11、車両外側の部分タイゴム層12)が配置されている。インナーライナー層9とカーカス層4との間に配置されるタイゴム層とは、タイヤ製造時に未加硫の空気入りタイヤをインフレートする際にカーカスコードがインナーライナー層9に喰い込むことを防止するための層であり、製造後のタイヤにおいては空気透過防止性や乾燥路面における制動性や操縦安定性に寄与するものであり、従来はカーカス層4とインナーライナー層9との層間の全域を覆うように設けられるもの(フルタイゴム層)であったが、本発明の部分タイゴム層40はビード部3の先端を除く領域に限定的に設けられる。
上記のような基本構造において、本発明では、車両内側のサイドウォール部2(サイドゴム層20)のタイヤ最大幅位置におけるゴム厚さT1と車両外側のサイドウォール部2(サイドゴム層20)のタイヤ最大幅位置におけるゴム厚さT2とが異なっており、これらゴム厚さT1およびT2がT1>T2の関係を満たすように構成されている。
このように、車両内側のサイドウォール部2のゴム厚さT1が車両外側のサイドウォール部2のゴム厚さT2よりも大きくなっているので車両内側のサイドウォール部2の剛性を高めることができる。その結果、特に一般的なネガティブキャンバーに設定された車両において制動性を向上することができる。このとき、ゴム厚さT1が大きい分ゴム量が増大するため、タイヤ重量や転がり抵抗への影響が懸念されるが、タイゴム層としてカーカス層とインナーライナー層との層間の全幅を覆うフルタイゴム層ではなく部分タイゴム層を採用してタイヤ重量を軽減し、転がり抵抗を低減しているので、ゴム厚さT1が大きくゴム量が増大してもタイヤ重量や転がり抵抗を良好に維持することができる。
このとき、ゴム厚さT1,T2が一致していたり、大小関係が逆転してT1<T2の関係になっていると、車両内側のサイドウォール部2の剛性を高めることができず、制動性を向上する効果が得られない。
ゴム厚さT1,T2をT1>T2の関係に設定するにあたって、ゴム厚さT1をゴム厚さT2の好ましくは130%〜170%、より好ましくは140%〜160%に設定するとよい。このようにゴム厚さT2に対するゴム厚さT1の比率を設定することで、タイヤ重量や転がり抵抗を悪化させることなく、車両内側のサイドウォール部2の剛性を充分かつ適度に高めることができ、制動性の向上とタイヤ重量および転がり抵抗の低減とをバランスよく両立するには有利になる。このとき、ゴム厚さT1がゴム厚さT2の130%よりも小さいと車両内側のサイドウォール部2の剛性を充分に向上することができず、制動性を高める効果が限定的になる。ゴム厚さT1がゴム厚さT2の170%よりも大きいと、ゴム量が増大するため、タイヤ重量や転がり抵抗に悪影響が出て、これら性能を充分に維持することが難しくなる。
ゴム厚さT1,T2は上述の大小関係や比率を満たしていれば特に限定されないが、タイヤとしての一般的な性能を充分に発揮するために、共に1.0mm〜5.0mmに設定することが好ましい。特に、ゴム厚さT1を2.8mm〜3.5mm、ゴム厚さT2を1.5mm〜2.3mmに設定するとよい。このとき、ゴム厚さT1,T2が共に1.0mmよりも小さいと、サイドウォール部2が薄くなるためタイヤ本来の性能に悪影響が出る恐れがある。また、特にゴム厚さT1が小さいことで車両内側のサイドウォール部2の剛性を充分に向上することができず、制動性を高める効果が限定的になる。ゴム厚さT1,T2が5.0mmよりも大きいと、ゴム量が増大するため、タイヤ重量や転がり抵抗に悪影響が出て、これら性能を充分に維持することが難しくなる。
車両内側のサイドゴム層21と車両外側のサイドゴム層22とは上記のように厚さ(ゴム厚さT1,T2)が異なっているが、更に、硬度が異なっていてもよい。特に、車両内側のサイドゴム層21のゴム硬度H1と車両外側のサイドゴム層22のゴム硬度H2とが異なり、これらゴム硬度H1およびH2がH1>H2の関係を満たすことが好ましい。このように車両内側のサイドゴム層21のゴム硬度H1を大きくすることで、車両内側のサイドウォール部2の剛性の更なる向上を図ることができ、制動性を高めるには有利になる。このとき、ゴム硬度H1はゴム硬度H2の好ましくは105%〜120%、より好ましくは110%〜115%であるとよい。このようにゴム硬度H2に対するゴム硬度H1の比率を適度な範囲に設定することで、タイヤ重量および転がり抵抗についても良好に維持することができ、制動性の向上とタイヤ重量および転がり抵抗の低減とをバランスよく両立するには有利になる。このとき、ゴム硬度H1がゴム硬度H2の105%よりも小さいと、車両内側のサイドウォール部2の剛性を充分に向上することができず、制動性を高める効果が限定的になる。ゴム硬度H1がゴム硬度H2の120%よりも大きいと、転がり抵抗に悪影響が出て、これら性能を充分に維持することが難しくなる。
ゴム硬度H1,H2は、少なくともタイヤ本来の性能に悪影響が出ないように、共に好ましくは40〜70、より好ましくは45〜60の範囲に設定するとよい。このようにサイドゴム層21,22の硬度を設定することで、サイドゴム層21,22のゴム厚さT1,T2を異ならせていても、各サイドウォール部2の剛性を充分に確保することができる。このとき、ゴム硬度H1,H2が共に40よりも小さいと、サイドウォール部2の剛性が不充分になりタイヤ本来の性能に悪影響が出る恐れがある。また、特にゴム硬度H1が小さいことで車両内側のサイドウォール部2の剛性を充分に向上することができず、制動性を高める効果が限定的になる。ゴム硬度H1,H2が共に70よりも大きいと、転がり抵抗に悪影響が出て、これら性能を充分に維持することが難しくなる。
部分タイゴム層40は、車両内側および車両外側のサイドウォール部2にそれぞれ端部を有するが、タイヤ製造時におけるカーカスコードのインナーライナー層9への喰い込みを確実に防止するために、各端部がベルト層のタイヤ幅方向最外側端部からビード部側に充分に突出していることが好ましい。具体的には、ベルト層7のタイヤ幅方向最外側端部からインナーライナー層9に向けて引いた垂線Pに対する部分タイゴム層40のビード部3側への突出量L1を、垂線Pとタイヤ内表面との交点Aからビードトウの先端点Bまでのタイヤ内面に沿ったペリフェリ長さL2の好ましくは0.25倍〜0.90倍、より好ましくは0.30倍〜0.70倍にするとよい。このように部分タイゴム層40の端部の位置を設定することで、カーカス層4とインナーライナー層9との層間の全幅を覆わない部分タイゴム層40であってもタイゴム層としての機能(カーカスコードの喰い込み防止)を確実かつ良好に発揮することができ、タイヤ重量および転がり抵抗を低減するには有利になる。このとき、突出量L1がペリフェリ長さL2の0.25倍よりも小さいと、部分タイゴム層40が覆う領域が狭くなるため、カーカスコードの喰い込み防止の効果が充分に得られなくなる。突出量L1がペリフェリ長さL2の0.90倍よりも大きいと、部分タイゴム層40の使用量が増大し、実質的にフルタイゴム層と同等になるため、タイヤ重量や転がり抵抗に悪影響が出て、これら性能を充分に維持することが難しくなる。
部分タイゴム層40の突出量L1は、上記範囲を満たすだけでなく、15mm以上であることが好ましい。本発明者は、部分タイゴム層40を採用する場合における部分タイゴム層40の配置について鋭意研究した結果、従来のフルタイゴム層を有する空気入りタイヤと同等の空気透過防止性と操縦安定性とを得るには、部分タイゴム層40が少なくともベルト層7のタイヤ幅方向最外側端部の近傍の特定の領域(垂線Pの位置と垂線Pからビード部3側に部分タイゴム層40に沿って15mmの位置との間の領域)を覆っていることが好ましいことを知見しており、突出量L1を上記のように15mm以上とすることで、この領域を部分タイゴム層40によって確実に覆うことが可能になり、空気透過防止性と操縦安定性を高度に維持するには有利になる。このとき、突出量L1が15mm未満であると、前述の領域を覆うことができず、空気透過防止性および操縦安定性を良好に維持することが難しくなる。
部分タイゴム層40はタイヤ赤道CLに対して線対称な構造を有していてもよいが、車両内側と車両外側とで部分タイゴム層40の端部位置が異なっていてもよい。特に、部分タイゴム層の車両内側の端部における突出量L1INと車両外側の端部における突出量L1OUT とが異なり、これら突出量L1INおよびL1OUT がL1IN>L1OUT の関係を満たしていることが好ましい。このように車両内側における突出量L1INを大きくすることで、部分タイゴム層40によっても車両内側のサイドウォール部2の剛性を高めることができ、制動性を高めるには有利になる。このとき、突出量L1INが突出量L1OUT の好ましくは120%以上であり、突出量L1INと突出量L1OUT との差が好ましくは5mm〜30mm、より好ましくは15mm〜25mmであるとよい。このように突出量L1IN,L1OUT の差を適度な範囲に設定することで、タイヤ重量および転がり抵抗についても良好に維持することができ、制動性の向上とタイヤ重量および転がり抵抗の低減とをバランスよく両立するには有利になる。このとき、突出量L1INが突出量L1OUT の120%未満であると、車両内側のサイドウォール部2の剛性を充分に向上することができず、制動性を高める効果が限定的になる。突出量L1IN,L1OUT の差が5mmよりも小さいと、車両内側のサイドウォール部2の剛性を充分に向上することができず、制動性を高める効果が限定的になる。突出量L1IN,L1OUT の差が30mmよりも大きいと、部分タイゴム層40の使用量が増大するため、タイヤ重量や転がり抵抗に悪影響が出て、これら性能を充分に維持することが難しくなる。
部分タイゴム層40の厚さtは、少なくともタイゴム層としての機能(カーカスコードの喰い込み防止)を充分に発揮するために、好ましくは0.1mm〜1.3mm、より好ましくは0.1mm〜1.1mmにするとよい。このように部分タイゴム層40の厚さを設定することで、タイヤ重量や転がり抵抗に悪影響を及ぼさずに部分タイゴム層40による剛性向上の効果を充分に得ることができる。このとき、部分タイゴム層40の厚さが0.1mmよりも小さいと、部分タイゴム層40による補強効果が充分に得られなくなる。部分タイゴム層40の厚さが1.3mmよりも大きいと、部分タイゴム層40の使用量が増大するため、タイヤ重量や転がり抵抗に悪影響が出て、これら性能を充分に維持することが難しくなる。
部分タイゴム層40の硬度は、少なくともタイゴム層としての機能(カーカスコードの喰い込み防止)を充分に発揮するために、好ましくは50〜90、より好ましくは70〜80にするとよい。このように部分タイゴム層40の硬度を設定することで、タイヤ重量や転がり抵抗に悪影響を及ぼさずに部分タイゴム層40による剛性向上の効果を充分に得ることができる。このとき、部分タイゴム層40の硬度が50よりも小さいと、部分タイゴム層40による補強効果が充分に得られなくなる。部分タイゴム層40の硬度が90よりも大きいと、タイヤ重量や転がり抵抗に悪影響が出て、これら性能を充分に維持することが難しくなる。
部分タイゴム層40は、上述の位置に配置されるだけでなく、その端部位置が以下のように設定されることが好ましい。即ち、部分タイゴム層40の端部がリムクッションゴム層30のタイヤ径方向外側端部よりもタイヤ径方向外側に位置し、且つ、部分タイゴム層40の端部とリムクッションゴム層30のタイヤ径方向外側端部とのタイヤ径方向の離間距離がタイヤ断面高さSHの0.50倍以上であることが好ましい。更に、部分タイゴム層40の端部がビードフィラー6のタイヤ径方向外側端部よりもタイヤ径方向外側に位置し、且つ、部分タイゴム層40の端部とビードフィラー6のタイヤ径方向外側端部とのタイヤ径方向の離間距離がタイヤ断面高さSHの0.40倍以上であることが好ましい。これにより、部分タイゴム層40と他のタイヤ構成部材(リムクッションゴム層30、ビードフィラー6)との位置関係が最適化され、剛性部材である他のタイヤ構成部材(リムクッションゴム層30、ビードフィラー6)と適度に離間させることができるため、特に操縦安定性を維持するには有利になる。更に、部分タイゴム層40の端部がタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向外側に位置し、且つ、部分タイゴム層40の端部とタイヤ最大幅位置とのタイヤ径方向の離間距離がタイヤ断面高さSHの0.05倍以上であることが好ましい。このように、部分タイゴム層40がタイヤ最大幅位置と重ならないようにすることで、タイヤ重量の軽減効果をより向上することができる。
タイヤサイズが195/65R15であり、図1に示す基本構造を有し、車両内側のサイドウォール部(サイドゴム層)のゴム厚さT1と車両外側のサイドウォール部(サイドゴム層)のゴム厚さT2との大小関係(ゴム厚さT1,T2の大小関係)、ゴム厚さT1、ゴム厚さT2、ゴム厚さT2に対するゴム厚さT1の比率T1/T2×100%、車両内側のサイドウォール部(サイドゴム層)のゴム硬度H1と車両外側のサイドウォール部(サイドゴム層)のゴム硬度H2との大小関係(ゴム硬度H1,H2の大小関係)、車両内側のサイドウォール部(サイドゴム層)のゴム硬度H1、車両外側のサイドウォール部(サイドゴム層)のゴム硬度H2、ゴム硬度H2に対するゴム硬度H1の比率H1/H2×100%、タイゴム層の構造、ペリフェリ長さL2に対する車両内側の突出量L1IN/L2、ペリフェリ長さL2に対する車両外側の突出量L1OUT /L2、突出量の差L1IN−L1OUT 、部分タイゴム層のゴム厚さt、部分タイゴム層のゴム硬度をそれぞれ表1〜3のように設定した従来例1、比較例1〜2、実施例1〜33の36種類の空気入りタイヤを作製した。
尚、表1〜3の「タイゴム層の構造」の欄について、タイゴム層がフルタイゴム層である場合は「フル」、部分タイゴム層である場合は「部分」と記載した。
これら36種類の空気入りタイヤについて、下記の評価方法により、タイヤ重量、転がり抵抗、制動性を評価し、その結果を表1〜3に併せて示した。
タイヤ重量
各試験タイヤの重量を測定した。評価結果は、従来例1の測定値の逆数を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどタイヤ重量が小さいことを意味する。尚、指数値が「95」以上であれば、従来レベルを維持して充分に小さいタイヤ重量を維持したことを意味する。
各試験タイヤの重量を測定した。評価結果は、従来例1の測定値の逆数を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどタイヤ重量が小さいことを意味する。尚、指数値が「95」以上であれば、従来レベルを維持して充分に小さいタイヤ重量を維持したことを意味する。
転がり抵抗
各試験タイヤを、リムサイズ15×6Jのホイールに組み付け、ISO28580に準拠して、ドラム径1707.6mmのドラム試験機を用い、空気圧210kPa、荷重4.82kN、速度80km/hの条件で転がり抵抗を測定した。評価結果は、従来例1の測定値の逆数を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど転がり抵抗が低いことを意味する。尚、指数値が「95」以上であれば、従来レベルを維持して充分に低い転がり抵抗を維持したことを意味する。
各試験タイヤを、リムサイズ15×6Jのホイールに組み付け、ISO28580に準拠して、ドラム径1707.6mmのドラム試験機を用い、空気圧210kPa、荷重4.82kN、速度80km/hの条件で転がり抵抗を測定した。評価結果は、従来例1の測定値の逆数を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど転がり抵抗が低いことを意味する。尚、指数値が「95」以上であれば、従来レベルを維持して充分に低い転がり抵抗を維持したことを意味する。
制動性
各試験タイヤをリムサイズ15×6Jのホイールに組み付けて、空気圧を210kPaとして排気量1.5Lの試験車両に装着し、乾燥路面からなるテストコースにて、テストドライバーが速度100km/hから停止するまでの距離(停止距離)を5回測定し、その平均(平均停止距離)を求めた。評価結果は、従来例1の平均停止距離の逆数を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど平均停止距離が短く制動性に優れることを意味する。
各試験タイヤをリムサイズ15×6Jのホイールに組み付けて、空気圧を210kPaとして排気量1.5Lの試験車両に装着し、乾燥路面からなるテストコースにて、テストドライバーが速度100km/hから停止するまでの距離(停止距離)を5回測定し、その平均(平均停止距離)を求めた。評価結果は、従来例1の平均停止距離の逆数を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど平均停止距離が短く制動性に優れることを意味する。
表1〜3から明らかなように、実施例1〜33はいずれも、従来例1に対して、タイヤ重量および転がり抵抗を維持・低減しながら、制動性を向上した。
一方、比較例1は、車両内側のサイドウォール部が厚いため制動性を向上することはできるが、タイゴム層としてフルタイゴム層が用いられているため、タイヤ重量および転がり抵抗を充分に維持することができなかった。比較例2は、車両外側のサイドウォール部が厚いため、車両内側のサイドウォール部の剛性を高めることができず、制動性を向上することができなかった。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
9 インナーライナー層
10 トレッドゴム層
20 サイドゴム層
30 リムクッションゴム層
40 部分タイゴム層
CL タイヤ赤道
IN 車両内側
OUT 車両外側
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
9 インナーライナー層
10 トレッドゴム層
20 サイドゴム層
30 リムクッションゴム層
40 部分タイゴム層
CL タイヤ赤道
IN 車両内側
OUT 車両外側
Claims (8)
- タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、該一対のビード部間に装架されたカーカス層と、前記トレッド部における該カーカス層の外周側に配置されたベルト層と、前記カーカス層に沿ってタイヤ内面に配置されたインナーライナー層とを有し、車両に対する装着方向が指定された空気入りタイヤにおいて、
車両に装着した際に車両に対して内側となる側を車両内側とし、車両に装着した際に車両に対して外側となる側を車両外側としたとき、車両内側のサイドウォール部のタイヤ最大幅位置におけるゴム厚さT1と車両外側のサイドウォール部のタイヤ最大幅位置におけるゴム厚さT2とが異なり、これらゴム厚さT1およびT2がT1>T2の関係を満たし、前記カーカス層と前記インナーライナー層との層間であって前記一対のビード部の各先端部分を除く領域の全域に亘って部分タイゴム層が限定的に配置されたことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記ゴム厚さT1が前記ゴム厚さT2の130%〜170%であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 車両内側のサイドウォール部を構成するゴム組成物のゴム硬度H1と車両外側のサイドウォール部を構成するゴム組成物のゴム硬度H2とが異なり、これらゴム硬度H1およびH2がH1>H2の関係を満たし、ゴム硬度H1がゴム硬度H2の105%〜120%であることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイドウォール部を構成するゴム組成物の硬度が40〜70であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ベルト層のタイヤ幅方向最外側端部から前記インナーライナー層に向けて引いた垂線Pに対する前記部分タイゴム層の前記ビード部側への突出量L1が、前記垂線Pとタイヤ内表面との交点Aからビードトウの先端点Bまでのタイヤ内面に沿ったペリフェリ長さL2の0.25倍〜0.90倍であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記部分タイゴム層の車両内側の端部における突出量L1INと車両外側の端部における突出量L1OUT とが異なり、これら突出量L1INおよびL1OUT がL1IN>L1OUT の関係を満たし、突出量L1INが突出量L1OUT の120%以上であり、これら突出量L1INおよびL1OUT の差が5mm〜30mmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記サイドウォール部のタイヤ最大幅位置におけるゴム厚さが1.0mm〜5.0mmであり、前記部分タイゴム層の厚さが0.1mm〜1.3mmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記部分タイゴム層を構成するゴム組成物の硬度が50〜90であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2017082745A JP2018177115A (ja) | 2017-04-19 | 2017-04-19 | 空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2017082745A JP2018177115A (ja) | 2017-04-19 | 2017-04-19 | 空気入りタイヤ |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2018177115A true JP2018177115A (ja) | 2018-11-15 |
Family
ID=64280867
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2017082745A Pending JP2018177115A (ja) | 2017-04-19 | 2017-04-19 | 空気入りタイヤ |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2018177115A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2020152165A (ja) * | 2019-03-18 | 2020-09-24 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤ |
-
2017
- 2017-04-19 JP JP2017082745A patent/JP2018177115A/ja active Pending
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2020152165A (ja) * | 2019-03-18 | 2020-09-24 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤ |
| JP7315818B2 (ja) | 2019-03-18 | 2023-07-27 | 横浜ゴム株式会社 | 空気入りタイヤ |
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