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JP2018172323A - 二官能かご型シルセスキオキサン誘導体及びその製造方法 - Google Patents

二官能かご型シルセスキオキサン誘導体及びその製造方法 Download PDF

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JP2018172323A JP2017071099A JP2017071099A JP2018172323A JP 2018172323 A JP2018172323 A JP 2018172323A JP 2017071099 A JP2017071099 A JP 2017071099A JP 2017071099 A JP2017071099 A JP 2017071099A JP 2018172323 A JP2018172323 A JP 2018172323A
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渡辺 圭太
Keita Watanabe
圭太 渡辺
田中 徹
Toru Tanaka
徹 田中
淳一 亀井
Junichi Kamei
淳一 亀井
熊木 尚
Takashi Kumaki
尚 熊木
会津 和郎
Kazuo Aizu
和郎 会津
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Abstract

【課題】新規のカルボキシル基を有する官能基を2つ有する二官能かご型シルセスキオキサン誘導体の提供。【解決手段】式(1)で表される、二官能かご型シルセスキオキサン誘導体。[R1は各々独立に直鎖/分岐鎖のアルキル、シクロアルキル又はアリール;Xは単結合、C1〜8の直鎖/分岐鎖のアルキレン、C3〜8のシクロアルキレン又はC6〜14のアリーレン;Yは1〜25の直鎖/分岐鎖のアルキレンC3〜25のシクロアルキレン又はC6〜25のアリーレン;2個の−X−CH2−CH2−S−Y−COOHで表される基は各々独立に]【選択図】図7

Description

本発明の一実施形態は、二官能かご型シルセスキオキサン誘導体及びその製造方法に関する。
近年、シルセスキオキサン化合物は有機ユニットおよび無機ユニットをその構造中に有しており、様々な官能基を導入することが可能であるため、有機無機ハイブリット材料として注目され、多くの研究が報告されている。その構造は、特定の構造がないランダム構造、構造を決定できるラダー構造やかご型構造があることが知られている。特に、かご型構造のシルセスキオキサンは耐熱性、電気絶縁性、透明性などにおいて優れた特性をもつことから、半導体や電子材料として注目されている。
かご型シルセスキオキサン化合物は8つのSiから構成され、T8と呼ばれている。このT8では、Si上の8つの置換基のすべてが反応性置換基に変換された誘導体、即ち8置換T8、もしくは1つが他の反応性置換基に変換された誘導体、即ち一置換X−T8は、置換基の異なる数多の誘導体が商品化されている。
また、このT8のうち、Si上の2つが他の反応性置換基に変換された誘導体、即ち二置換2X−T8は、高分子主鎖にシルセスキオキサンを精密に導入できることから、これまでにない特性をもつ高分子が期待される。
非特許文献1には、アミノプロピルトリアルコキシシランを用いて合成され、p位に2個のアミノプロピル基が導入された2X−T8が提案されている。
非特許文献2には、トリクロロビニルシランを用いて合成され、p位に2個のビニル基が導入された2X−T8が提案されている。
非特許文献1及び2で用いるアミノプロピルトリアルコキシシランやトリクロロビニルシランは、水との反応性が高く、大気中の水蒸気とさえ反応してしまう。また、反応の副生成物として発生する塩酸ガスは腐食性が高く、ガラスコーティングなどを施した特殊な製造設備が必要となってくる。
さらに、トリアルコキシシラン化合物やトリクロロシラン化合物として存在しない官能基を導入することは不可能である。
Chemistry Letters,(2014),43,1532〜1534 Polymer Chemistry,(2015),6,7500〜7504
本発明の一実施形態は、新規のカルボキシル基を有する官能基が2個導入された二官能かご型シルセスキオキサン誘導体、及びその製造方法を提供することを一課題とする。
本発明は以下を要旨とする。
[1]下記一般式(1)で表される、二官能かご型シルセスキオキサン誘導体。
Figure 2018172323
[一般式(1)中、Rは、直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、6個のRは、全て同一であっても、一部または全て異なってもよく、Xは、単結合、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基、炭素数3〜8のシクロアルキレン基、または炭素数6〜14のアリーレン基を表し、Yは、炭素数1〜25の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基、炭素数3〜25のシクロアルキレン基、または炭素数6〜25のアリーレン基を表し、2個の−X−CH−CH−S−Y−COOHで表される基は、互いに同一であっても、異なってもよい。]
[2]下記一般式(2)で表されるケイ素化合物と下記一般式(3)で表されるチオール化合物とを反応させて、二官能かご型シルセスキオキサン誘導体を製造する工程を含む、二官能かご型シルセスキオキサン誘導体の製造方法。
Figure 2018172323
[一般式(2)中、Rは、直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、6個のRは、全て同一であっても、一部または全て異なってもよく、Xは、単結合、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基、炭素数3〜8のシクロアルキレン基、または炭素数6〜14のアリーレン基を表し、2個の−X−CH=CHで表される基は、互いに同一であっても、異なってもよい。]
Figure 2018172323
[一般式(3)中、Yは、炭素数1〜25の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基、炭素数3〜25のシクロアルキレン基、または炭素数6〜25のアリーレン基を表す。]
本発明の一実施形態によれば、カルボキシル基を有する官能基が2個導入された二官能かご型シルセスキオキサン誘導体、及びその製造方法を提供できる。
製造例1の各フラクション分割を示す図。 製造例1の各フラクションのMALDI−TOF MS測定結果。 製造例1の各フラクションのH NMRスペクトル。 製造例1の各フラクションの13C NMRスペクトル。 製造例1の各フラクションの29Si NMRスペクトル。 ビスビニルPOSSの位置異性体。 実施例1のMALDI−TOF MS測定結果。 製造例1のビスビニルPOSSのH NMRスペクトル。 実施例1のH NMRスペクトル。 製造例1のビスビニルPOSSの13C NMRスペクトル。 実施例1の13C NMRスペクトル。 製造例1のビスビニルPOSSの29Si NMRスペクトル。 実施例1の29Si NMRスペクトル。
以下、本発明の一実施形態について説明するが、以下の例示によって本発明は限定されない。
「二官能かご型シルセスキオキサン誘導体」
一実施形態による二官能かご型シルセスキオキサン誘導体は、下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
Figure 2018172323
一般式(1)中、Rは、直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、6個のRは、全て同一であっても、一部または全て異なってもよく、Xは、単結合、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基、炭素数3〜8のシクロアルキレン基、または炭素数6〜14のアリーレン基を表し、Yは、炭素数1〜25の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基、炭素数3〜25のシクロアルキレン基、または炭素数6〜25のアリーレン基を表し、2個の−X−CH−CH−S−Y−COOHで表される基は、互いに同一であっても、異なってもよい。
二官能かご型シルセスキオキサン誘導体は、かご型シルセスキオキサン骨格を含み、8個のSiのうち2個に反応性を示す官能基が導入される。一般式(1)で表される化合物では、−Rで表される基が非反応性であり、−X−CH−CH−S−Y−CO−COOHで表される基が反応性を示すようになる。これによって、カルボキシル基を有する官能基が2個導入された二官能かご型シルセスキオキサン誘導体を提供することができる。
で表されるアルキル基は、炭素数1〜12であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜8であり、直鎖または分岐鎖を有してもよい。
で表されるシクロアルキル基は、炭素数3〜12であることが好ましく、より好ましくは炭素数3〜8である。この炭素数の範囲内で、シクロアルキル基は、炭素環を形成する少なくとも1つの炭素原子に直鎖または分岐鎖を有するアルキル基が結合していてもよい。
で表されるアリール基は、炭素数6〜14であることが好ましく、より好ましくは6〜12であり、さらに好ましくは炭素数6〜8である。この炭素数の範囲内で、アリール基は、炭素環を形成する少なくとも1つの炭素原子に直鎖または分岐鎖を有するアルキル基が結合していてもよい。
としては、例えば、メチル基、エチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、イソオクチル基、フェニル基等を挙げることができる。
は、好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基またはフェニル基であり、より好ましくは炭素数1〜8のアルキル基またはフェニル基である。
一般式(1)において、6個のRは、全て同一であっても、一部または全て異なってもよい。6個のRは、全て同一であることが好ましい。
Xで表されるアルキレン基は、炭素数1〜8であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜3であり、直鎖または分岐鎖を有してもよい。
Xで表されるシクロアルキレン基は、炭素数3〜8であることが好ましく、より好ましくは炭素数3〜6である。この炭素数の範囲内で、シクロアルキレン基は、炭素環を形成する少なくとも1つの炭素原子に直鎖または分岐鎖を有するアルキル基が結合していてもよい。
Xで表されるアリーレン基は、炭素数6〜14であることが好ましく、より好ましくは炭素数6〜12であり、さらに好ましくは〜8である。この炭素数の範囲内で、アリーレン基は、炭素環を形成する少なくとも1つの炭素原子に直鎖または分岐鎖を有するアルキル基が結合していてもよい。
Xとしては、例えば、単結合、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、sec−ブチレン基、t−ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、i-オクチレン基、2−エチルヘキシレン基、3−エチルヘキシレン基、2−メチルペンチレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基等を挙げることができる。
Xは、好ましくは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基もしくはフェニレン基であり、より好ましくは、単結合、炭素数1〜3のアルキレン基であり、一層好ましくは、単結合である。
Yで表されるアルキレン基は、炭素数1〜25であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜8であり、直鎖または分岐鎖を有してもよい。
Yで表されるシクロアルキレン基は、炭素数3〜25であることが好ましく、より好ましくは炭素数3〜8である。この炭素数の範囲内で、シクロアルキレン基は、炭素環を形成する少なくとも1つの炭素原子に直鎖または分岐鎖を有するアルキル基が結合していてもよい。
Yで表されるアリーレン基は、炭素数6〜25であることが好ましく、より好ましくは炭素数6〜14であり、さらに好ましくは6〜8である。この炭素数の範囲内で、アリーレン基は、炭素環を形成する少なくとも1つの炭素原子に直鎖または分岐鎖を有するアルキル基が結合していてもよい。
Yとしては、例えば、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、sec−ブチレン基、t−ブチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、i-オクチレン基、2−エチルヘキシレン基、3−エチルヘキシレン基、2−メチルペンチレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基等を挙げることができる。
Yは、好ましくは、炭素数1〜25のアルキレン基であり、より好ましくは、炭素数1〜8のアルキレン基である。
一般式(1)において、2個の−X−CH−CH−S−Y−COOHで表される基は、互いに同一であっても、異なってもよい。2個の−X−CH−CH−S−Y−COOHで表される基は、互いに同一であることが好ましい。
一般式(1)において、シルセスキオキサン骨格を構成する8個のケイ素原子のうち2個のケイ素原子に−X−CH−CH−S−Y−COOHが結合し、その他の6個のケイ素原子にRが結合する。
シルセスキオキサン骨格に−X−CH−CH−S−Y−COOHで表される基が導入される位置は特に限定されないが、ベンゼン環と同じような命名則を当てはめれば、例えば、1個の酸素原子を介して隣り合う2つのSiに導入されてもよく(o位)、酸素原子−Si−酸素原子を介した2つのSiに導入されてもよく(m位)、互いに対角に位置する2つのSiに導入されてもよい(p位)。一般式(1)で表される化合物は、この3種類のうちいずれの構造でもよい。また、3種類のうち少なくとも一種の構造を含む化合物、または2種以上の構造を含む混合物であってもよい。
「二官能かご型シルセスキオキサン誘導体の製造方法」
以下、一般式(1)で表される二官能かご型シルセスキオキサン誘導体の製造方法の一例について説明する。なお、一般式(1)で表される二官能かご型シルセスキオキサン誘導体は、以下の製造方法によって製造されたものに限定されない。
一般式(1)で表される二官能かご型シルセスキオキサン誘導体の製造方法としては、例えば、下記一般式(2)で表されるケイ素化合物を用いて製造される工程を含む。
さらに、この製造方法は、下記一般式(3)で表されるチオール化合物を用いて製造される工程を含むことが好ましい。
好ましくは、一般式(2)で表されるケイ素化合物と一般式(3)で表されるチオール化合物とを反応させて、二官能かご型シルセスキオキサン誘導体を製造する工程を含む。
Figure 2018172323
一般式(2)中、Rは、直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、6個のRは、全て同一であっても、一部または全て異なってもよく、Xは、単結合、または、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基、炭素数3〜8のシクロアルキレン基、または炭素数6〜14のアリーレン基を表し、2個の−X−CH=CHで表される基は、互いに同一であっても、異なってもよい。
一般式(2)中のRは、上記一般式(1)で表される化合物においてRとして導入される基であり、詳細は上記一般式(1)で説明した通りである。
また、一般式(2)中のXは、上記一般式(1)で表される化合物においてXとして導入される基であり、詳細は上記一般式(1)で説明した通りである。
一般式(2)で表されるケイ素化合物としては、Xが単結合である後述する一般式(III)で表される化合物を好ましく用いることができる。
一般式(2)において、2個の−X−CH=CHで表される基は、互いに同一であっても、異なってもよい。2個の−X−CH=CHで表される基は、互いに同一であることが好ましい。
一般式(2)で表されるケイ素化合物は、2個のビニル基を有する。このケイ素化合物に、カルボキシル基を有するチオール化合物をチオールエン反応によって結合させることで、一般式(2)で表されるケイ素化合物に2個のカルボキシル基を導入することができる。チオール化合物としては、一般式(3)で表されるチオール化合物を用いることができる。
Figure 2018172323
一般式(3)中、Yは、炭素数1〜25の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基、炭素数3〜25のシクロアルキレン基、または炭素数6〜25のアリーレン基を表す。
一般式(3)中のYは、上記一般式(1)で表される化合物においてYとして導入される基であり、詳細は上記一般式(1)で説明した通りである。
一般式(2)で表されるケイ素化合物と一般式(3)で表されるチオール化合物との反応に際してラジカル開始剤を用いてもよい。
ラジカル開始剤としては、特に制限されないが、公知の熱重合開始剤、及び光重合開始剤のいずれも使用できる。
熱重合開始剤の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエード等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物類等が好適に使用され、好ましくは、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)である。
光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、及びオリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)が挙げられる。
これらのラジカル開始剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記開始剤の添加量は一般式(2)で表される化合物100質量部に対し0.1〜5.0質量部であり、より好ましくは0.5〜3.0重量部である。
一般式(2)で表されるケイ素化合物と一般式(3)で表されるチオール化合物との反応は、溶媒中で行うことが好ましい。
溶媒に特に制限はないが、一般式(2)で表されるケイ素化合物、一般式(3)で表されるチオール化合物、及び重合開始剤の溶解性に応じて任意に選択できる。
溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メトキシプロピルアセテート、乳酸エチル、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、トルエンが挙げられ、好ましくは、酢酸エチルである。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応温度は、使用する重合開始剤および溶媒によって異なるが、チオール−エン反応の反応速度から40〜90℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。
一般式(1)で表される二官能かご型シルセスキオキサン誘導体は、核磁気共鳴装置(NMR)及び/または質量分析(MS)により構造を確認することができる。
「ビニル基含有かご型シルセスキオキサン誘導体の製造方法」
以下、上記一般式(2)で表されるケイ素化合物の一例について、一般式(2)においてXが単結合である下記一般式(III)で表されるビニル基含有かご型シルセスキオキサン誘導体について説明する。
Figure 2018172323
一般式(III)中、Rは、直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、6個のRは、全て同一であっても、一部または全て異なってもよい。
一般式(III)中のRは、上記一般式(1)で表される化合物においてRとして導入される基であり、詳細は上記一般式(1)で説明した通りである。
一般式(III)で表される化合物は二置換ビニル−T8を表す。T8は8つのSiから構成され、対称性の高いかご型シルセスキオキサンの総称である。二置換は8つのSiに結合した有機基のうち、2つが反応性置換基であることを意味する。一般式(III)の場合、反応性置換基はビニル基となる。有機基は、後述する一般式(I)で表されるアルコキシシランに由来するRと同一のものとなる。
また、ビニル基が結合している位置については、ベンゼン環と同じような命名則を当てはめれば、酸素を一つ介した2つのSiにビニル基があるo位、酸素−Si−酸素を介した2つのSiにビニル基があるm位、さらに、対角の位置になるp位の3種類がある。各構造を図6に示す。一般式(III)で表される化合物は、この3種類のうちいずれの構造でもよい。また、3種のうち少なくとも一種の構造を含む化合物、または2種以上の構造を含む混合物であってもよい。
一般式(III)で表される化合物の製造方法の一例について説明する。
一般式(III)で表される化合物は、例えば、アルキルアルコキシシランと、ビニルアルコキシシランとを反応させることで得ることができる。
具体的には、下記一般式(I)で表されるアルコキシシランと、下記一般式(II)で表されるビニルアルコキシシランと、塩基性化合物とを水存在下で反応させ、反応物をクロマトグラフィー法によって分離精製することで、一般式(III)で表さあれる化合物を得ることができる。
上記方法では、下記一般式(I)で表されるアルコキシシランのうち少なくとも1種を用いることができる。
Figure 2018172323
一般式(I)中、Rは、直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、Rはそれぞれ独立してアルキル基を表す。
一般式(I)中のRは、上記一般式(III)で表される化合物においてRとして導入される基であり、さらに、上記一般式(1)で表される化合物においてRとして導入される基である。詳細については、上記一般式(1)で説明した通りである。
一般式(I)中、Rはそれぞれ独立してアルキル基を表し、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましい。
で表されるアルキル基は、それぞれ独立的に、直鎖状または分岐鎖を有してもよく、非環式または環式であってもよい。
としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基等を挙げることができる。
中でもRは、反応性の制御の観点から、炭素数1〜8の非置換のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の非置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(I)で表される化合物としては、例えば、イソブチルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシランを用いることができる。
これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルキルアルコキシシランのうち1種を用いて一般式(III)で表される化合物を合成することで、一般式(III)においてRが全て同じ化合物を得ることができる。
アルキルアルコキシシランのうちRが異なる2種以上を用いて一般式(III)で表される化合物を合成することで、一般式(III)においてRが一部または全て異なる化合物を得ることができる。
上記方法では、下記一般式(II)で表されるビニルアルコキシシランのうち少なくとも1種を用いることができる。
Figure 2018172323
一般式(II)中、Rはそれぞれ独立してアルキル基を表し、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましい。Rで表されるアルキル基は、それぞれ独立的に、直鎖または分岐鎖を有してもよく、非環式または環式であってもよい。
としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基等を挙げることができる。中でもRは、反応性の制御の観点から、炭素数1〜8の非置換のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の非置換のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(II)で表される化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン等のビニルアルコキシシランを用いることができる。
これらは、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記方法において、塩基性化合物としては、下記一般式(IV)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2018172323
一般式(IV)において、MはLi、Na、Kからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含むものであれば特に制限はない。但し、反応性の制御や収率の観点から、Li(OH)であることが好ましい。塩基性や求核性がやや低下したアルカリ金属水酸化物は良い選択性を示し、反応性置換基Xの付け根のSiが優先的に脱離する。特にこのなかでLi水酸化物は塩基性や求核性が最も低く、シラン原料の仕込み比に応じた熱力学的に安定な生成物を得るのに有利である。
一般式(I)で表されるアルコキシシランと一般式(III)で表されるビニルアルコキシシランとの反応は、溶媒中で行うことが好ましい。
媒体に特に制限はないが、前記一般式(I)で表されるアルコキシシランと、一般式(II)で表されるビニルアルコキシシランとの相溶性が高く、混合した場合には均一の溶液を与え、一方で一般式(IV)のM(OH)との相溶性が低く、混合した場合には溶解せずにM(OH)が系中に残存している溶剤が好ましい。均一に分散したシラン原料は熱力学的に安定な生成物を与えることに有利である。また、M(OH)濃度は反応中に系内で低濃度のまま一定である方が、熱力学的に安定な生成物を与えることに有利である。
また、溶媒に水を添加することで、水存在下で反応を進行させることができる。水は、一般式(I)で表されるアルコキシシランと一般式(III)で表されるビニルアルコキシシランの合計100質量部に対して、5〜15質量部で添加すればよい。
シラン原料である一般式(I)で表されるアルコキシシランと、一般式(II)で表されるビニルアルコキシシランとのモル比率は、二置換ビニル−T8が生成すれば特に制限はない。仕込み比に応じて統計熱力学的に化合物が得られるとすると、二置換ビニル−T8が目的化合物の場合、75:25が最も収率が大きくなると期待されるモル比率となる。そのためモル比率は90:10〜40:60が好ましい。さらに、同時に生成するT8、一置換ビニル−T8、三置換ビニル−T8を順相のクロマトグラフィーで除去することを考えると、85:15〜45:55が好ましい。さらに、好ましくは80:20〜50:50がよい。
合成を実施する際の媒体は、前述のようにLiOHに対する溶解性が低く、シラン原料や水とは相溶するものが好ましい。具体的にはメタノールとアセトンの混合溶媒が好ましい。このとき、混合する比率に特に制限はない。
また、合成を実施するときの温度に特に制限はない。但し反応時間を短縮する観点から、30〜56℃が好ましく、40〜55℃がより好ましい。
反応後の生成物から二置換ビニル−T8を分離精製する方法はクロマトグラフィー法を用いるとよい。クロマトグラフィーの方法はシリカ粒子を充填剤としたカラムを用いた順相液体クロマトグラフィーが好ましい。順相液体クロマトグラフィーを用いることで、生成するT8、一置換ビニル−T8、三置換ビニル−T8は僅かに分子がもつ分極状態が僅かに異なるため、順に流出させることができる。また、これら分子の分極は小さいため、展開溶剤は極性が低く安価なヘキサンや石油エーテルを含む溶剤が好ましい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
<製造例1>
500mL三口フラスコに、アセトンを300mL、メタノールを40mL、精製水を5.60mL加え、ジムロート冷却器、温度計、滴下ロートを備えて窒素雰囲気とした。塩基性化合物としてLiOH一水和物を7.00g加え撹拌しながらオイルバスで液温が55℃となるように加熱した。滴下ロートに一般式(I)で表されるアルコキシシランとしてイソブチルトリメトキシシランを49.00g、一般式(II)で表されるビニルアルコキシシランとしてビニルトリメトキシシランを13.56g秤取し、50分間かけてゆっくり滴下した。滴下後に液温を50℃とし、18時間窒素雰囲気下で加熱撹拌した。加熱後、オイルバスを外し室温(25℃)まで放冷し、1NのHCl溶液を150mL加えたところ、白濁した。そのまま1時間撹拌し、上澄みを傾斜して除いた。残った白色粘稠物をアセトニトリル100mLで3回洗浄した後、ヘキサンを加えて白色粘稠物を溶解した。この溶液を500mLフラスコに定量的に移し、エバポレーターで溶剤を留去してオイルポンプで減圧乾燥し、白色粘稠物34.64gを得た。
得られた白色粘稠物を分取精製した。
中圧カラムによる分取精製は株式会社ワイエムシィ製「LC−forte/R」、カラムは株式会社山善製「ユニバーサルカラムプレミアム(2L)」を用いた。分取条件10mL/min、展開溶剤はヘキサンとした。白色粘稠物2.64gをヘキサン1.47gに溶解させてカラム上部に直接チャージした。流出RI検出をモニターしながら図1に示すような流出時間で各フラクションに分割し、フラクションごとにエバポレーターで溶剤を留去してオイルポンプで減圧乾燥して、各フラクションから白色結晶を得た。各フラクションから得られた白色結晶の質量を表1に示す。
Figure 2018172323
フラクション2〜4から得られた白色結晶についてBruker Daltonics社製「AutoFlex」を用いてMALDI−TOF MS分析を行った。結果を図2に示す。図2から、HとNa付加体のピークが観測された。
各フラクションから得られた白色結晶の観測値と、ビニルPOSS、ビスビニルPOSS、トリスビニルPOSSの計算値とを表2に示す。フラクション2がビニルPOSS、フラクション3が目的のビスビニルPOSS、フラクション4がトリスビニルPOSSであった。
ビスビニルPOSSについて、ビニル基の結合位置を調べるために、フラクション1〜5から得られた白色結晶をCDCl(重水素化クロロホルム)に溶解させて、Bruker社製「Avance300」を用い、H、13C及び29Si NMRを測定した。それらの測定結果を、それぞれ図3、図4、図5に示す。
Figure 2018172323
フラクション2のビニルPOSSの結果と比較すると、ビスビニルPOSSは2種のビニル基を持つことが分かる。
<実施例1>
ジムロート冷却器、温度計、窒素配管を備えた20mL三口フラスコに、ビスビニルヘキサイソブチルPOSS(POSS:かご型オリゴシルセスキオキサン;一般式(2)においてRがイソブチル基、Xが単結合;上記製造例1の製造方法によって製造したフラクション3のビスビニルPOSS)を1.0g、酢酸エチル(株式会社ゴードー製)を4.0mL、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル、株式会社日本ファインケム製)を0.017g加え、室温(25℃)で15〜20分、窒素バブリングをしながらマグネチックスターラーを用いて撹拌した。
次に、この三口フラスコをオイルバスで液温が40℃となるように加熱後、チオグリコール酸(HS−CH−COOH;一般式(3)においてYがメチル基;和光純薬工業株式会社製)をガスタイトシリンジに0.18mL量り取り滴下した。滴下後に、反応混合物を76〜78℃に加熱して還流条件下で4時間撹拌した。撹拌後、オイルバスから三口フラスコを外し室温まで放冷し、反応物を100mLフラスコに定量的に移し、エバポレーターで溶媒を留去した。得られた白色固体をアセトニトリル20mLで洗浄した後、No.5Cのろ紙を用いてろ別し、ロータリーエバポレーターにより減圧乾燥し、白色結晶0.45gを得た(収率:41%)。
得られた白色結晶をTHF(テトラヒドロフラン;和光純薬工業株式会社製)に溶解し、株式会社日立ハイテクノロジーズ製「Chromaster」を用いゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を行った。この白色結晶は、ポリスチレン換算での重量平均分子量(Mw)が832、数平均分子量(Mn)が823であり、きれいな単分散性(Mw/Mn=1.0)を示した。
得られた白色結晶についてBruker Daltonics社製「AutoFlex」を用いてMALDI−TOF MS分析を行った。その結果を図7に示す。図7の丸印部分にNa付加体のピークが観測された。得られた白色結晶のNa付加体の観測値(MALDI−TOF MS結果)とヘキサイソブチル−2[(6−カルボキシルヘキシル)チオ]エチルPOSSの計算値(Exact Mass)を表1に示す。Na付加体の観測値はNaの原子量分(22.99)だけ大きい値となっている。その結果、得られた白色結晶はヘキサイソブチル−2[(2−カルボキシル)チオ]エチルPOSSであると確認された。
Figure 2018172323
ヘキサイソブチル−2[(2−カルボキシル)チオ]エチルPOSSについて構造同定のために、得られた白色結晶をCDCl(重水素化クロロホルム)に溶解させて、Bruker社製「Avance300」を用い、H、13Cおよび29Si NMRを測定した。
測定条件は以下の通りである。
H NMR)
観測核:
共鳴周波数:300MHz
測定温度:25℃
基準物質:テトラメチルシラン
13C NMR)
観測核:13
共鳴周波数:75MHz
測定温度:25℃
基準物質:テトラメチルシラン
29Si NMR)
観測核:29Si
共鳴周波数:60MHz
測定温度:25℃
基準物質:テトラメチルシラン
製造例1のビスビニルPOSSのH、13Cおよび29Si NMRの測定結果のうちビニル基由来のピーク部分を図8、図10、図12に示す。
実施例1のヘキサイソブチル−2[(2−カルボキシル)チオ]エチルPOSSのH、13Cおよび29Si NMRの測定結果をそれぞれ図9、図11、図13に示す。
H NMRチャートから、6.0ppm付近に確認される原料のビスビニルPOSSのビニル基に由来するピーク(図8)は消失し、図9に示すカルボキシル基に由来する10.3ppm付近のピークが確認された。
13C NMRチャートからも、原料のビスビニルPOSSのビニル基に由来する129.7ppmと136.0ppm付近のピーク(図10)の消失を確認し、新たに26.7ppmと176.8ppmにカルボキシル基に由来する2本のピークが図11から確認された。
29Si NMRチャートからも、原料のビスビニルPOSSのビニル基に由来する−81.5ppm付近のピーク(図12)が消失し、図13に示すカルボキシル基に由来する−70.1ppm付近のピークが確認された。
以上により合成した白色結晶の構造は下記一般式(4)で表されると確認された。
Figure 2018172323

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)で表される、二官能かご型シルセスキオキサン誘導体。
    Figure 2018172323
    [一般式(1)中、Rは、直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、6個のRは、全て同一であっても、一部または全て異なってもよく、Xは、単結合、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基、炭素数3〜8のシクロアルキレン基、または炭素数6〜14のアリーレン基を表し、Yは、炭素数1〜25の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基、炭素数3〜25のシクロアルキレン基、または炭素数6〜25のアリーレン基を表し、2個の−X−CH−CH−S−Y−COOHで表される基は、互いに同一であっても、異なってもよい。]
  2. 下記一般式(2)で表されるケイ素化合物と下記一般式(3)で表されるチオール化合物とを反応させて、二官能かご型シルセスキオキサン誘導体を製造する工程を含む、二官能かご型シルセスキオキサン誘導体の製造方法。
    Figure 2018172323
    [一般式(2)中、Rは、直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基を表し、6個のRは、全て同一であっても、一部または全て異なってもよく、Xは、単結合、炭素数1〜8の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基、炭素数3〜8のシクロアルキレン基、または炭素数6〜14のアリーレン基を表し、2個の−X−CH=CHで表される基は、互いに同一であっても、異なってもよい。]
    Figure 2018172323
    [一般式(3)中、Yは、炭素数1〜25の直鎖または分岐鎖を有するアルキレン基、炭素数3〜25のシクロアルキレン基、または炭素数6〜25のアリーレン基を表す。]
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