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JP2018144269A - 処理機器およびその製造方法ならびに構造体およびその製造方法 - Google Patents

処理機器およびその製造方法ならびに構造体およびその製造方法 Download PDF

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JP2018144269A JP2017038902A JP2017038902A JP2018144269A JP 2018144269 A JP2018144269 A JP 2018144269A JP 2017038902 A JP2017038902 A JP 2017038902A JP 2017038902 A JP2017038902 A JP 2017038902A JP 2018144269 A JP2018144269 A JP 2018144269A
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Abstract

【課題】溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガス、等に接触する環境下で優れた耐腐食性および耐溶損性を得ることができる処理機器およびその製造方法を提供する。【解決手段】処理機器は、金属基材100と、金属基材100の表面に設けられた保護皮膜とを有する。保護皮膜は、金属基材100上の、金属炭化物を含有するバリア層200と、バリア層200上の、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素とアルミニウム、クロムおよびケイ素からなる群より選択された少なくとも一種の元素とを含有し、金属炭化物を含有しないリザバ層300と、リザバ層300上の、長繊維セラミック織物からなる被覆層400とを有する。【選択図】図1

Description

この発明は処理機器およびその製造方法ならびに構造体およびその製造方法に関し、例えば、溶融アルミニウム、溶融亜鉛等の溶融金属、溶融塩あるいは高温腐食性ガス(燃焼ガス、等)と接触する金属基材を含む各種の処理機器、例えば、金属溶解槽、溶融金属めっき槽、ノロ掻き、熱電対保護管、等に適用して好適なものである。
アルミニウム、亜鉛、等の金属の溶解・鋳造に必要な機器としては、金属を溶融する溶融炉および保持炉、温度測定用の熱電対を挿入する熱電対保護管、のように溶融金属中に浸漬された状態で使用される部材があるほか、溶融金属を保持炉から金型、等に搬送するラドル(ladle)や、保持炉内の溶融金属の表面に浮くノロ(スラグ)を除去するノロ掻き、溶融金属を掬い取る柄杓、ガス・粉末、等の吹込ランス、のように繰り返し溶融金属浴に浸漬されて使用される部材がある。
このような部材においては、一般的に、アルミニウム溶融鍋または溶融槽は鋳鉄または鋳鋼の基材で、熱電対保護管はステンレス鋼の基材で、ラドル、ノロ掻きおよび吹込ランスは炭素鋼の基材で、亜鉛溶融鍋または溶融槽は普通鋼の基材で構成され、その表面にコーティング皮膜および溶融金属離型剤を塗布することによって、溶融金属中への溶解を抑制し、さらに、溶融金属の固着を防止する。
しかしながら、鋳鉄または鋳鋼の基材で構成された溶融鍋の内面は溶融アルミニウム合金により、普通鋼の基材で構成された溶融鍋の内面は溶融亜鉛合金により湯溶浸食されて、基材の厚さが減少し(以下、基材の厚さが減少することを「減肉」と言うこともある。)、外面は高温酸化により劣化するという問題があった。さらに、溶融および保持時には、鋳鉄、鋳鋼および普通鋼の鉄成分が溶融金属中へ溶出し、アルミニウム合金および亜鉛合金の有害元素となることから、溶融金属への鉄の溶出の低減が望まれている。
溶融鍋、溶融槽、熱電対保護管、ラドル、ノロ掻き、柄杓、吹込ランス、等の保護膜として従来から提案されているものは、セラミックス被覆とセラミック系皮膜と金属系皮膜とに大別される。
セラミックス被覆の形成技術は特許文献1〜4に提案されている。特許文献1には、溶融アルミニウムへの溶解が少ないセラミックス製外套で熱電対保護管を保護することが提案され、従来のステンレス製保護管を炭化ケイ素質の保護管で覆い、溶融アルミニウムとステンレス製保護管とが互いに直接接触しないようにしている。特許文献2には、セラミックスからなる両端開口した筒状の本体部の一端側の開口内に、薄く、熱伝導性に優れたセラミックスからなる栓部を挿着したセラミック製筒体を熱電対保護管として用いることにより、熱電対保護管を溶融金属(Fe,Al,Zn等) に浸漬したときに、溶融金属が内部に侵入しないようすることが提案されている。特許文献3には、一端封じの二重管構造とし、内側はサーメット製保護管、そして外側は耐火物製の保護スリーブとした取鍋用連続測温プローブが提案されている。特許文献4には、保護シースを耐熱金属酸化物と黒鉛とにより構成する技術が提案されている。
セラミック系皮膜の形成技術は特許文献5に提案されている。特許文献5には、ステンレス鋼の表面にMgAl2 4 をゾル・ゲル塗布および焼成により形成し、さらに、ステンレス鋼とMgAl2 4 層との間にFeCr2 4 層を酸化処理で形成することによって、溶融アルミニウムとステンレス鋼とが直接接触するのを抑制する方法が提案されている。また、特許文献6には、チタン基材の表面にアルミニウムが溶融めっきされ、該めっき層が酸化処理されてアルミニウム酸化物皮膜が形成された、軽量で耐久性に優れた金属溶湯部材が提案されている。
金属系皮膜の形成技術は特許文献7〜8に提案されている。特許文献7には、金属基体表面にめっきで形成したニッケル−リン合金皮膜は、溶融アルミニウムおよび/または溶融亜鉛に対して優れた湯溶浸食性を示すことが記載され、このニッケル−リン合金皮膜を用いたアルミニウムおよび/または溶融用部材、該部材を備えたアルミニウムおよび/または亜鉛溶融炉、溶融アルミニウムおよび/または溶融亜鉛めっき設備が提案されている。特許文献8には、チタンまたはチタン合金からなる基材の表面に、アルミニウムを溶融めっき後、チタンおよびアルミニウムの拡散を促進させてTi−Al金属間化合物層を形成する方法が提案され、特許文献6に記載の溶融めっき処理に比較して、より長時間の耐久性が得られることが報告されている。
しかしながら、特許文献1〜8に提案された上述の従来の技術では、以下のような問題がある。
(1)セラミックス被覆は金属基材との密着性に劣り、衝撃等によって容易に剥離することから、作業や取り扱いが難しい。
(2)セラミックス被覆に剥離や亀裂が発生すると、その部分から溶湯が侵入して金属基材を溶損し、基材の減肉が進行し、セラミックス被覆のさらなる剥離を助長する。
(3)基材としてチタンを使用する場合、基材と溶融アルミニウムとが反応して、Ti−Al化合物層が成長し、それによってチタン基材の減肉が進行し、さらに、Ti−Al化合物層は脆弱であること、チタン酸化物はAlによって不安定になり分解する傾向があることから、容易に破損する。
(4)ニッケル−リン合金めっき皮膜は、高温雰囲気での耐酸化性に劣り、他方、溶融アルミニウム浴中では、ニッケル−リン合金めっき皮膜のニッケルはアルミニウム溶湯中に容易に溶出し、皮膜に欠損が生じると、その後は、基材の湯溶浸食が起こり、防食性を喪失する。
セラミックスは、溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガスに対して優れた耐性を有するが脆性であり、加熱・冷却や衝撃力によって亀裂・破壊するという欠点を有する。一方、セラミック繊維の織布は、溶融金属、溶融塩、高温腐食雰囲気において優れた耐性を有し、さらに、フレキシブルで折り曲げても折れることはなく自由に屈曲でき、急熱・急冷による破断は生じにくい、という特性を有することから、セラミック繊維の織布で金属基材の表面を包み込むように被覆する方法が考えられ、セラミック繊維の織布製保護膜が特許文献9〜14に提案されている。特許文献9では、外側セラミックススリーブを積層構造に構成し、最外面の層に撥湯性の窒化ホウ素(BN)を含有させ、耐久性を向上させることが提案されている。特許文献10では、非酸化物セラミックまたはサーメットからなる先端を閉鎖された保護管と、保護管の内部に挿入された絶縁セラミックスリーブとを有する金属溶湯用熱電対が提案されている。特許文献11では、熱電対を内蔵したアルミナ保護管を高融点保護管に挿入し、該高融点保護管の有底の先端部を除く外周を耐火性保護スリーブにより保護することが提案されている。特許文献12では、サーメット管の外周壁面と保護スリーブの内周壁面との境界域における接合性を高め、長寿命化に有利な測温プローブ、が提案されている。特許文献13では、金属基材を包み込むように、セラミック繊維の織布あるいは不織布で形成した中空のフレキシブルなスリーブを被せて、該スリーブにセラミック系液体バインダー、あるいは該バインダーにセラミック骨材を混合したスラリーが含浸され、該スリーブが硬化されてなることを特徴とする金属溶湯部材が提案されている。さらに、金属基材と硬化させたセラミック織布の内面と金属基材の間に金属基材の膨張代に相当する隙間を確保することが提案されている。このように、セラミック繊維の織布で金属基材を包み込むように被覆することは、金属基材を溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガス、等から保護するのに優れた方法である。しかし、セラミック繊維の織布は繊維間に空隙を含んでおり、この空隙を通って溶融金属、等が侵入する、という欠点がある。特許文献14に提案のセラミック繊維の織物は、この空隙をセラミック系バインターで埋めることによって、溶融金属、等の侵入を阻止している。しかしながら、その結果、繊維織布が硬化して可撓性を喪失し、緻密なセラミックと同様に、加熱・冷却および衝撃力などによって、亀裂と破断が生じるという問題がある。さらに、硬化したセラミック繊維織布の内面と金属基材との間に隙間を設けていることから、溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガス、等が侵入し、金属基材の溶損と高温腐食が進行する、という欠点もある。
特開平8−75563号公報 特開2013−19772号公報 特開2011−99840号公報 特開2006−53128号公報 特開2014−16216号公報 特開平8−199322号公報 特開2003−239057号公報 特開2013−36070号公報 特開2001−194245号公報 特開2002−372463号公報 特開2005−241394号公報 特開2011−169798号公報 特開平11−132862号公報 特許第4264301号公報
H.Okamoto; Desk Handbook Phase Diagrams for Binary Alloys, ASM International ISBN 0-87170-682-2
この発明が解決しようとする課題は、溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガス、等に接触する環境下で優れた耐腐食性および耐溶損性を得ることができる処理機器およびその製造方法を提供することである。
この発明が解決しようとする課題は、より一般的には、溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガス、等に接触する環境下で優れた耐腐食性および耐溶損性を得ることができる、各種の処理機器、さらには処理機器に該当しない各種の部材、等を含む構造体およびその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、この発明は、
金属基材と、
上記金属基材の表面に設けられた保護皮膜とを有し、
上記保護皮膜は、
上記金属基材上の、金属炭化物を含有するバリア層と、
上記バリア層上の、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素とアルミニウム、クロムおよびケイ素からなる群より選択された少なくとも一種の元素とを含有し、金属炭化物を含有しないリザバ層と、
上記リザバ層上の、長繊維セラミック織物からなる被覆層と、
を有する処理機器である。
この発明において、保護皮膜は、金属基材の、溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガス、等と接触する側の表面の少なくとも一部、好適には全部に設けられる。
金属基材は、例えば、鉄鋼材料(Fe基合金)、非鉄金属材料、鉄(Fe)、コバルト(Co)およびニッケル(Ni)からなる群より選択された少なくとも一種の元素とタングステン(W)とクロム(Cr)とを含有し、あるいはさらにモリブデン(Mo)、タンタル(Ta)およびレニウム(Re)からなる群より選択された少なくとも一種の元素を含有する合金、等であるが、これに限定されるものではない。鉄鋼材料は、例えば、軟鋼、炭素鋼、鋳鉄、鋳鋼、ステンレス鋼、等であるが、これに限定されるものではない。非鉄金属材料は、例えば、チタン、耐熱チタン合金(チタン−アルミニウム合金等)等であるが、これに限定されるものではない。Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも一種の元素とWとCrとを含有し、あるいはさらにMo、TaおよびReからなる群より選択された少なくとも一種の元素を含有する合金は、優れた拡散バリア能を有しているだけでなく、W、Ta、MoまたはReの添加は、強度を高める効果もある。このFe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも一種の元素とWとCrとを含有する合金は、例えば、Cr−W系合金層、Cr−W−Ta(タンタル)系合金層、Cr−W−Mo(モリブデン)系合金層、Cr−W−Ta−Mo系合金層、Cr−W−Ta−Mo−Re(レニウム)系合金層、等であるが、これに限定されるものではない。より具体的には、Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも一種の元素とWとCrとを含有し、あるいはさらにMo、TaおよびReからなる群より選択された少なくとも一種の元素を含有する合金は、Fe−Cr−W系合金では、Wを10原子%以上21原子%以下、Crを23原子%以上53%原子以下、Feを25原子%以上66原子%以下含有するもの(総和で100原子%)、Wを30原子%以上45原子%以下、Crを10原子%以上40原子%以下、Feを30原子%以上59原子%以下含有するもの(総和で100原子%)、Wを35原子%以上45原子%以下、Crを0.1原子%以上50原子%以下、Feを15原子%以上64原子%以下含有するもの(総和で100原子%)、Wを0.1原子%以上20原子%以下、Crを70原子%以上99原子%以下、Feを0.1原子%以上29原子%以下含有するもの(総和で100原子%)、Wを77原子%以上99原子%以下、Crを0.1原子%以上20原子%以下、Feを0.1原子%以上2原子%以下含有するもの(総和で100原子%)等であり、Co−Cr−W系合金では、Wを0.1原子%以上3原子%以下、Crを52原子%以上65原子%以下、Coを30原子%以上54原子%以下含有するもの(総和で100原子%)、Wを3原子%以上25原子%以下、Crを30原子%以上65原子%以下、Coを25原子%以上55原子%以下含有するもの(総和で100原子%)、Wを25原子%以上35原子%以下、Crを20原子%以上40原子%以下、Coを30原子%以上50原子%以下含有するもの(総和で100原子%)、Wを30原子%以上55原子%以下、Crを0.1原子%以上50原子%以下、Coを20原子%以上60原子%以下含有するもの(総和で100原子%)、Wを0.1原子%以上25原子%以下、Crを65原子%以上99原子%以下、Coを0.1原子%以上25原子%以下含有するもの(総和で100原子%)、Wを75原子%以上99原子%以下、Crを0.1原子%以上25原子%以下、Coを0.1原子%以上3原子%以下含有するもの(総和で100原子%)等であり、Ni−Cr−W系合金では、Wを2原子%以上20原子%以下、Crを40原子%以上65原子%以下、Niを30原子%以上40原子%以下含有するもの(総和で100原子%)、Wを0.1原子%以上20原子%以下、Crを70原子%以上99原子%以下、Niを0.1原子%以上30原子%以下含有するもの(総和で100原子%)、Wを80原子%以上99原子%以下、Crを0.1原子%以上20原子%以下、Niを0.1原子%以上3原子%以下含有するもの(総和で100原子%)等である。
金属基材の具体例を表1に示す。
金属基材上の、金属炭化物を含有するバリア層は、金属炭化物の融点が高いことを利用して、溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガス、等が金属基材側に侵入するのを阻止するためのものである。金属炭化物は、例えば、タングステン炭化物、モリブデン炭化物、ニオブ炭化物、アルミニウム炭化物およびクロム炭化物からなる群より選ばれた少なくとも一種であるが、これに限定されるものではない。金属炭化物の濃度は、典型的には35重量%以上95重量%以下、好適には50重量%以上90重量%以下であるが、これに限定されるものではない。バリア層の金属炭化物以外の成分は、典型的には、鉄(Fe)、コバルト(Co)およびニッケル(Ni)からなる群より選択された少なくとも一種の元素、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、等であるが、これに限定されるものではない。これらの金属炭化物は一般に入手できるものであって、その形状および純度には特に制限は無いが、粒径は1μm以上50μm以下が望ましく、さらに望ましくは3μm以上25μm以下である。
金属炭化物を含有するバリア層と溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガス、等との反応性は互いに異なる。このため、各種の反応に対応して、それを抑制するための対策が必要である。バリア層上の、鉄(Fe)、コバルト(Co)およびニッケル(Ni)からなる群より選択された少なくとも一種の元素とアルミニウム(Al)、クロム(Cr)およびケイ素(Si)からなる群より選択された少なくとも一種の元素とを含有し、金属炭化物を含有しないリザバ層は、このような目的を達成するために設けられるものであり、溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガス、等からバリア層を保護することによりバリア層の機能を長期間に亘って発揮させ、ひいては金属基材を長期間に亘って保護するためのものである。リザバ層がアルミニウム(Al)を含有する場合はその含有量は典型的には1重量%以上15重量%以下、クロム(Cr)を含有する場合はその含有量は典型的には1重量%以上30重量%以下、ケイ素(Si)を含有する場合はその含有量は典型的には1重量%以上15重量%以下である。リザバ層はさらに、チタン(Ti)を10重量%以上15重量%以下含有することもあり、この場合は溶融金属、特に溶融アルミニウムに対して有効である。リザバ層は、好適には、ニッケル(Ni)を90重量%以上100重量%未満含有し、この場合は溶融塩、特に塩化物とシアン化合物との溶融塩に対して有効である。また、リザバ層は、好適には、アルミニウム(Al)を7重量%以上15重量%以下含有し、この場合は燃焼ガス雰囲気、特に酸素を含む雰囲気に対して有効である。また、リザバ層は、好適には、ケイ素(Si)を5重量%以上15重量%以下含有し、この場合は燃焼ガス雰囲気、特に硫黄を含む雰囲気に対して有効である。
リザバ層上の、長繊維セラミック織物からなる被覆層は、全体に亘って連続した一体構造を有し、リザバ層の表面を覆っているため、溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガス、等に対して優れた耐性を有する。この被覆層とリザバ層との隙間は狭いことが望ましいが、両者が密着している必要はない。この長繊維セラミック織物の繊維間の空隙は、セラミックススラリー、等で埋められずに存在しており、従って被覆層はフレキシブルな状態を保っている。すなわち、リザバ層上の、長繊維セラミック織物からなる被覆層は、長繊維セラミック織物の繊維間の空隙が存在しており、従ってフレキシブルな状態を保っている。このため、金属基材が加熱、冷却、等されても、被覆層は自由に屈曲することができ、金属基材の形状変化に追従することができることから、破壊、破損、等を防止することができる。一方、長繊維セラミック織物の繊維間の空隙を通って溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガス、等が浸入するが、被覆層の下層にはリザバ層およびバリア層が存在することから、これらのリザバ層およびバリア層により、溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガス、等が金属基材側に浸入するのを阻止することでき、溶融金属による金属基材の溶損、溶融塩、高温腐食性ガス、等による金属基材の高温腐食、等を防止することができる。長繊維セラミック織物は、例えば、長繊維セラミックで編まれた布、ニット、スリーブ、等であるが、これに限定されるものではない。長繊維セラミック織物は、セラミック長繊維が織物に加工され、その繊維間に隙間を有するものであれば、繊維の種類、長さ、形状、等は特に限定されない。長繊維セラミック織物は、望ましくは、50重量%以上90重量%以下である。
処理機器が溶融金属と接触して使用される用途では、好適には、被覆層を構成する長繊維セラミック織物の繊維間の空隙を通って溶融アルミニウム、等の溶融金属が金属基材側に浸入するのを阻止するために、被覆層の表面に溶融金属に対する剥離剤層が設けられ、より好適には、被覆層のリザバ層側の面(内面)にも溶融金属に対する剥離剤層が設けられる。このように被覆層の表面あるいはさらに、リザバ層側の面にも剥離剤層が設けられることにより、溶融金属が長繊維セラミック織物の繊維間の空隙に滞留するのを軽減することができる。剥離剤層に特に制限はなく、一般的に入手できる市販品を使用することができるが、望ましくは、ナトリウム・シリケートを主成分とする水ガラスが用いられる。剥離剤層の量は、被覆層を構成する長繊維セラミック織物の繊維間の空隙が過度に埋められて被覆層のフレキシビリティーを喪失しない範囲であれば、特に制限はなく、必要に応じて選ばれる。例えば、被覆層上に剥離剤層を塗布する場合、その塗布量は、0.1g/cm2 以上0.2g/cm2 以下が望ましい。
処理機器は、何らかの形で溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガス、等と接触して使用されるものであれば、特に限定されない。ここで、処理は、最も広義に解し、金属を溶融すること、溶融金属を用いてめっきすること、溶融金属を貯留すること、溶融金属を搬送すること、溶融金属の表面の浮遊物を除去すること、溶融金属から保護すること、溶融金属の温度を測定すること、溶融塩を貯留すること、高温腐食性ガスを処理すること、等、あらゆるものが含まれる。また、機器には、機械、器械、器具等、あらゆるものが含まれる。処理機器は、具体的には、例えば、金属溶解槽、金属溶融鍋、金属めっき槽、熱電対保護管、溶融金属掻き混ぜ棒、溶融金属を搬送するためのラドル、溶融金属の表面に浮かぶノロを除去するためのノロ掻き、溶融金属を掬うための湯掬い鍋、溶融金属を掬うための柄杓、ガス・粉末の吹込みランス、等であるが、これに限定されるものではない。
溶融金属は、例えば、溶融アルミニウム、溶融亜鉛等であるが、これに限定されるものではない。溶融塩は、例えば、塩化物とシアン化合物との溶融塩であるが、これに限定されるものではない。高温腐食性ガスは、例えば、酸素を含む雰囲気、硫黄を含む雰囲気、等であるが、これに限定されるものではない。
また、この発明は、
金属基材と、
上記金属基材の表面に設けられた保護皮膜とを有し、
上記保護皮膜は、
上記金属基材上の、金属炭化物を含有するバリア層と、
上記バリア層上の、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素とアルミニウム、クロムおよびケイ素からなる群より選択された少なくとも一種の元素とを含有し、金属炭化物を含有しないリザバ層と、
上記リザバ層上の、長繊維セラミック織物からなる被覆層と、
を有する構造体である。
構造体は、処理機器に加えて、処理機器に該当しない各種の構造体を含む、より広い概念である。例えば、構造体には、航空機のジェットエンジンの大幅な軽量化に有効とされるチタン−アルミニウム合金からなる金属基材により構成されるタービン翼も含まれる。このタービン翼にこの発明の保護皮膜を適用することによりタービン翼、ひいてはジェットエンジンの長寿命化を図ることができる。この構造体の発明においては、その性質に反しない限り、上記の処理機器の発明に関連して説明したことが成立する。
また、この発明は、
金属基材の表面に、上記金属基材より融点が低い第1の合金からなる粉末と金属炭化物の粉末との混合粉末を含むスラリー状粉末を塗布した後、上記第1の合金の融点より高く、上記金属基材の融点より低い第1の温度で加熱することにより、上記金属炭化物を含有するバリア層を形成する工程と、
上記バリア層上に、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素を含み、上記金属基材および上記バリア層より融点が低い第2の合金からなる粉末とアルミニウム、クロムおよびケイ素からなる群より選択された少なくとも一種の元素からなる粉末との混合粉末を含むスラリー状粉末を塗布した後、上記第2の合金の融点より高く、上記金属基材および上記バリア層の融点より低い第2の温度で加熱することにより、上記鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素と上記アルミニウム、クロムおよびケイ素からなる群より選択された少なくとも一種の元素とを含有し、金属炭化物を含有しないリザバ層を形成する工程と、
上記リザバ層上に、長繊維セラミック織物からなる被覆層を形成する工程と、
を有する処理機器の製造方法である。
典型的には、第1の合金は鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素とケイ素とホウ素とを含み、例えば、鉄基自溶性合金、コバルト基自溶性合金およびニッケル基自溶性合金からなる群より選択された少なくとも一種の合金であるが、これに限定されるものではない。第1の温度は、例えば1100℃以上1200℃以下、加熱時間は例えば30分以上4時間以下であり、好適には、1125℃以上1175℃以下、加熱時間は例えば1時間以上2時間以下であるが、これに限定されるものではない。第1の温度での加熱の際には、金属炭化物の融点は金属基材の融点より高いため、スラリー粉末中の金属炭化物自体は溶融しないが、金属基材より融点が低い第1の合金が最初に溶融し、続いて、その溶融体に金属炭化物粒子の表面の一部が溶解することによって金属炭化物粒子を含む緻密なバリア層が形成される。典型的には、第2の合金は鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素とケイ素とホウ素とを含み、例えば、鉄基自溶性合金、コバルト基自溶性合金およびニッケル基自溶性合金からなる群より選択された少なくとも一種の合金である。第2の温度は、例えば1050℃以上1175℃以下、加熱時間は例えば30分以上4時間以下であり、好適には、1100℃以上1175℃以下、加熱時間は例えば1時間以上2時間以下であるが、これに限定されるものではない。
バリア層およびリザバ層の形成方法は特に限定されず、必要に応じて選ばれるが、例えば、物理的蒸着法、溶射法、拡散浸透法、化学的蒸着法、電気めっき法、等である。
この処理機器の製造方法を実施することにより、上記の処理機器を容易に製造することができる。この処理機器の製造方法の発明においては、その性質に反しない限り、上記の処理機器の発明に関連して説明したことが成立する。
また、この発明は、
金属基材の表面に、上記金属基材より融点が低い第1の合金からなる粉末と金属炭化物の粉末との混合粉末を含むスラリー状粉末を塗布した後、上記第1の合金の融点より高く、上記金属基材の融点より低い第1の温度で加熱することにより、上記金属炭化物を含有するバリア層を形成する工程と、
上記バリア層上に、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素を含み、上記金属基材および上記バリア層より融点が低い第2の合金からなる粉末とアルミニウム、クロムおよびケイ素からなる群より選択された少なくとも一種の元素からなる粉末との混合粉末を含むスラリー状粉末を塗布した後、上記第2の合金の融点より高く、上記金属基材および上記バリア層の融点より低い第2の温度で加熱することにより、上記鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素と上記アルミニウム、クロムおよびケイ素からなる群より選択された少なくとも一種の元素とを含有し、金属炭化物を含有しないリザバ層を形成する工程と、
上記リザバ層上に、長繊維セラミック織物からなる被覆層を形成する工程と、
を有する構造体の製造方法である。
この構造体の製造方法を実施することにより、上記の構造体を容易に製造することができる。この構造体の製造方法の発明においては、その性質に反しない限り、上記の処理機器の発明および処理機器の製造方法の発明に関連して説明したことが成立する。
この発明によれば、リザバ層上の、長繊維セラミック織物からなる被覆層は、溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガス、等に対して優れた耐性を有するだけでなく、長繊維セラミック織物の繊維間の空隙が存在していてフレキシブルであることにより、加熱・冷却による膨張・収縮時に変化する金属基材の形状に追従することができ、従って処理機器あるいは構造体に加熱・冷却や衝撃力が加わっても亀裂・破壊・剥離を防止することができる。一方、長繊維セラミック織物からなる被覆層の繊維間の空隙を通って金属基材側に溶融金属、等が浸入するが、この長繊維セラミック織物からなる被覆層の下層に金属炭化物を含有するバリア層が設けられていることにより金属基材と反応するのを防止することができ、しかもバリア層上に鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素とアルミニウム、クロムおよびケイ素からなる群より選択された少なくとも一種の元素とを含有するリザバ層が設けられていることにより、バリア層による保護機能を長時間に亘って発揮することができる。このため、溶融アルミニウム、溶融亜鉛等の溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガス、等に接触する環境下で優れた耐腐食性および耐溶損性を得ることができる各種の処理機器あるいは構造体を実現することができる。
この発明の第1の実施の形態による処理機器を示す断面図である。 この発明の第1の実施の形態による処理機器を示す断面図である。 この発明の第2の実施の形態による処理機器を示す断面図である。 この発明の第3の実施の形態による処理機器を示す断面図である。 実施例1〜4および比較例1〜7による各種熱電対保護管のAl−Si合金浴中への浸漬試験の結果を示す略線図である。 実施例4による熱電対保護管のAl−Si合金浴中への90時間浸漬後の断面を示す図面代用写真である。
以下、発明を実施するための形態(以下、単に「実施の形態」と言う。)について説明する。
〈第1の実施の形態〉
[処理機器]
第1の実施の形態においては、溶融金属、等に浸漬して使用される処理機器について説明する。
図1はこの処理機器を示す。図1に示すように、この処理機器においては、棒状の金属基材100の外周面にこの金属基材100の全周に亘ってバリア層200およびリザバ層300が順次設けられ、リザバ層300の全周に亘って長繊維セラミック織物被覆層400が設けられている。これらのバリア層200、リザバ層300および長繊維セラミック織物被覆層400により保護皮膜が形成されている。この保護皮膜は、金属基材100の外周面のうち、この処理機器の使用時に金属基材100が溶融金属、等と接触する部位を少なくとも含む所定の部位、あるいは、溶融金属、等と高温酸化雰囲気とが共存するメニスカス領域に接触する部位を少なくとも含む所定の部位、金属基材100に対して溶融金属が揺動・流動する部分、ノロ等の付着・剥離が繰り返し起きる部位等に設けられる。金属基材100は、処理機器に応じて、円柱状であっても円筒状であってもよいが、図1においては一例として金属基材100が円柱状である場合が示されている。図2はこの金属基材100が円筒状である場合を示す。また、図1および図2においては、一例として、円柱状の金属基材100の長手方向の全体の外周面に保護皮膜が設けられている場合が示されている。
金属基材100は、例えば、先に例示したものの中から、処理機器の用途、要求される機能、バリア層200およびリザバ層300の形成方法等に応じて適宜選択することができ、鉄鋼材料、非鉄金属材料のいずれからなるものであってもよく、炭素の含有の有無あるいは含有濃度も特に限定されない。具体的には、例えば、金属基材100の材料は、処理機器が溶融塩による熱処理機器である場合、あるいは、処理機器が溶融鍋、溶解槽、熱電対保護管、掻き混ぜ棒、ノロ掻き、等の溶融金属処理機器である場合には、費用対効果の観点から、一般的には鉄鋼材料であり、望ましくは、軟鋼、炭素鋼、鋳鋼、ステンレス鋼、等である。
バリア層200は、金属炭化物を例えば35重量%以上95重量%以下、好適には50重量%以上90重量%以下含有し、金属炭化物以外の成分としてFe、CoおよびNiからなる群より選ばれた少なくとも一種、典型的にはこれに加えてBとSiとを含有する。金属炭化物は、例えば、先に例示したものの中から、処理機器の用途、要求される機能、バリア層200およびリザバ層300の形成方法、等に応じて適宜選択することができる。好適には、金属炭化物は、タングステン炭化物(WC)であり、バリア層200のWC濃度は35重量%以上95重量%以下、さらに望ましくは66重量%以上90重量%以下である。バリア層200は金属基材100に強固に接合しており、溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガス、等が金属基材100側に浸入するのを阻止することできる。
リザバ層300は、Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも一種の元素とAl、CrおよびSiからなる群より選択された少なくとも一種の元素とを含有し、金属炭化物を含有しない。
長繊維セラミック織物被覆層400は、長繊維セラミックで編んだ布、ニット、スリーブ、等からなり、溶融金属、溶融塩、高温腐食雰囲気、等に対する耐性および耐酸化性を有するものである。長繊維セラミック織物の長繊維セラミックは、例えば、Al2 3 、ZrO2 、SiC、等であり、これらの中から必要に応じて選ばれる。長繊維セラミックは、好適にはSiO2 を含有するAl2 3 であり、より好適には(28〜40)重量%SiO2 −Al2 3 セラミックである。長繊維セラミック織物被覆層400は、長繊維セラミック織物の繊維間に空隙が存在しており、フレキシブルな状態を維持している。長繊維セラミック織物被覆層400は、例えば、熱電対保護管およびランス管では、それらの目的の部位にそれらの外径より大きい内径を有するスリーブ構造の長繊維セラミック織布をかぶせた構造、ノロ掻きでは目的の部位にニット構造の長繊維セラミック織布を張り付けた構造、が選択される。長繊維セラミック織物被覆層400の厚さは必要に応じて選ばれるが、処理機器が熱電対保護管である場合には、温度応答性を確保するために、厚さが小さい方が望ましいことから、例えば0.5mm以上5mm以下に選ばれ、より好適には1mm以上3mm以下に選ばれる。
[処理機器の製造方法]
まず、金属基材100を用意する。金属基材100の形状、長さ、直径等は、製造しようとする処理機器に応じて決められる。
次に、金属基材100の表面(外周面)に、金属基材100より融点が低い第1の合金の粉末と金属炭化物の粉末との混合粉末を含むスラリー状粉末を塗布した後、上記第1の合金の融点より高く、金属基材100の融点より低い第1の温度で加熱することにより、上記金属炭化物を含有するバリア層200を形成する。より詳細には、例えば、原料粉末(第1の合金の粉末および金属炭化物の粉末)を秤量し、乳鉢で混練した後、有機溶剤とエタノールとを含むスラリー液に投入し、スラリー状粉末を作製する。スラリーの粘性は、例えば、エタノール添加により調整する。このスラリー状粉末を金属基材100の表面に塗布する。例えば、金属基材100の全体をスラリー状粉末中に浸漬した後、引き上げることにより金属基材100の表面全体にスラリー状粉末を塗布することができる。次に、こうしてスラリー状粉末を塗布した金属基材100を例えば60〜80℃に加熱した電熱オーブンに入れて乾燥した後、加熱する。加熱方法は特に制限はないが、減圧雰囲気(油回転ポンプによる排気) および不活性ガス雰囲気の電気炉による加熱、ならびに、燃焼ガスフレームによるいわゆるフュージョン処理が望ましい。後述の実施例では、減圧雰囲気および不活性ガス(Ar)雰囲気で、電気炉による加熱方法を採用した。バリア層200は、金属基材100より融点が低い第1の合金からなる粉末と金属炭化物の粉末との混合粉末を金属基材100の表面に溶射することによって形成してもよい。第1の合金は、Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも一種の元素とSiとBとを含み、典型的には、例えば、Fe基自溶性合金、Co基自溶性合金およびNi基自溶性合金からなる群より選択された少なくとも一種の合金である。第1の温度は、例えば1100℃以上1200℃以下、加熱時間は例えば30分以上4時間以下であり、好適には、1125℃以上1175℃以下、加熱時間は例えば1時間以上2時間以下である。Fe基自溶性合金、Co基自溶性合金およびNi基自溶性合金は例えば株式会社ニューメタルス エンド ケミカルスコーポレーションより市販されている。Fe基自溶性合金としては商品名6AB−325、Co基自溶性合金としては商品名HMSP−2345−00、Ni基自溶性合金としては商品名HMSP−1360−20が挙げられる。また、Co基自溶性合金粉末とWC粉末とが予め混合されたCo基自溶性合金+35重量%WCも商品名HMSP−1660+35%44712−10として市販され、Ni基自溶性合金粉末とWC粉末とが予め混合されたNi基自溶性合金+50重量%WCも商品名HMSP−1660−02+50%46712−10として市販されている。例えば、第1の合金としてNi基自溶性合金を用い、金属炭化物としてWCを用いる場合、Ni基自溶性合金粉末とWC粉末との混合粉末では、WC濃度が35重量%未満では得られるバリア層200の拡散バリアとしての能力が劣り、95重量%を超えると得られるバリア層200の緻密化が不十分であるため、WC濃度は好適には35重量%以上95重量%以下、より好適には50重量%以上90重量%以下である。また、このようにNi基自溶性合金粉末とWC粉末との混合粉末を用いる場合、第1の温度は好適には1100℃以上1175℃以下であり、最も好適には1150℃である。例えば、金属基材100がFe含有合金、例えばステンレス鋼の場合、Ni基自溶性合金粉末とWC粉末との混合粉末を含むスラリー粉末を金属基材100の表面に塗布して第1の温度に加熱する時、Ni基自溶性合金粉末が溶解し、それによって金属基材100の一部が溶解する。さらに、非特許文献1によれば、この溶融合金に溶解したWCのCは金属基材10中のFeと約1150℃で液相を形成することによって、高濃度WCを含むバリア層200の緻密化が促進され、WC含有量を95重量%に増加させることができる。こうして、高濃度WCを含むバリア層200が金属基材100の表面に強固に結合した状態で形成される。
バリア層200を形成するための加熱は二段階で行ってもよい。例えば、減圧雰囲気で電気炉による加熱方法を採用するとする。第一段目の加熱は600℃で30分から1時間行い、続いて、第二段目の加熱を1100℃以上1175℃以下の温度で30分から4時間行う。好適には、第二段目の加熱は1150℃で2時間行う。第一段目の加熱では、スラリー状粉末に含まれる昇華成分を除去し、続いて、第二段目の加熱で金属基材100と金属炭化物を含有するバリア層200との接合を確保する。加熱温度が1100℃未満、加熱時間が30分未満の場合はスラリー状粉末の溶融・焼結が不十分のため、金属基材100との密着性が劣り、加熱温度が1175℃を超え、加熱時間が4時間を超えると金属基材100も過大に溶融してしまう。
次に、バリア層200上に、Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも一種の元素を含み、金属基材100およびバリア層200より融点が低い第2の合金からなる粉末とAl、CrおよびSiからなる群より選択された少なくとも一種の元素からなる粉末との混合粉末を含むスラリー状粉末を塗布した後、第2の合金の融点より高く、金属基材100およびバリア層200の融点より低い第2の温度で加熱することにより、Fe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも一種の元素とAl、CrおよびSiからなる群より選択された少なくとも一種の元素とを含有し、金属炭化物を含有しないリザバ層300を形成する。スラリー状粉末の作製方法等はバリア層200を形成する場合と同様である。第2の合金はFe、CoおよびNiからなる群より選択された少なくとも一種の元素とSiとBとを含み、典型的には、例えば、鉄基自溶性合金、コバルト基自溶性合金およびニッケル基自溶性合金からなる群より選択された少なくとも一種の合金である。第2の温度は、例えば1050℃以上1175℃以下、加熱時間は例えば30分以上4時間以下であり、好適には、1100℃以上1175℃以下、加熱時間は例えば1時間以上2時間以下であるが、これに限定されるものではない。Fe基自溶性合金、Co基自溶性合金およびNi基自溶性合金としては、上記の市販されているものを用いることができる。
リザバ層300を形成するための加熱は二段階で行ってもよい。例えば、減圧雰囲気で電気炉による加熱方法を採用するとする。第一段目の加熱は600℃で30分から1時間行い、続いて、第二段目の加熱を1100℃以上1175℃以下の温度で30分から4時間行う。好適には、第二段目の加熱は1150℃で2時間行う。第一段目の加熱では、スラリー状粉末に含まれる昇華成分を除去し、続いて、第二段目の加熱でリザバ層300を形成し、バリア層200との接合を確保する。加熱温度が1100℃未満、加熱時間が30分未満の場合はスラリー状粉末の溶融・焼結が不十分のため、バリア層200との密着性が劣り、加熱温度が1175℃を超え、加熱時間が4時間を超えるとバリア層200の溶融が進行し、金属炭化物がリザバ層300に浸入してしまう。
次に、リザバ層300上に、長繊維セラミック織物被覆層400を形成する。具体的には、例えば、バリア層200およびリザバ層300が表面に形成された棒状の金属基材100にスリーブ状またはニット状の長繊維セラミック織物を被せる等することにより、リザバ層300上に、長繊維セラミック織物被覆層400を形成する。長繊維セラミック織物被覆層400の一例としてスリーブ状のものの具体例を挙げると下記の通りである。
(1)株式会社ニチビ アルミナ長繊維スリーブ
品番SV−20 原糸維度(tex)=200、
標準内径=20mm 重さ=44g/m 打数=84本
72wt%Al2 3 −28wt%SiO2
(2)二宮電線工業株式会社 セラミックヤーンスリーブ ceramic l
60wt%Al2 3 −40wt%SiO2
(3)金森藤平商事株式会社 アルミナ長繊維スリーブ
72wt%Al2 3 −28wt%SiO2
以上により、目的とする、図1または図2に示す処理機器が製造される。
以上のように、この第1の実施の形態によれば、金属基材100の表面にバリア層200、リザバ層300および長繊維セラミック織物被覆層400からなる保護皮膜が設けられていることにより、溶融金属、溶融塩、高温腐食性ガス、等と接触して使用する処理機器の耐腐食性および耐溶損性の大幅な向上を図ることができ、処理機器の長寿命化を図ることができる。また、この処理機器は、溶融金属と高温酸化雰囲気とが共存するメニスカス領域に晒される環境で、あるいは溶融金属が揺動・流動する状態で、あるいはノロ等の付着・剥離が繰り返し生じる環境下等で、優れた耐湯溶浸食性および耐高温酸化性を得ることができる。
〈第2の実施の形態〉
[処理機器]
第2の実施の形態においては、第1の実施の形態と同様に、棒状の処理機器について説明する。
図3はこの処理機器を示す。図3に示すように、この処理機器においては、長繊維セラミック織物被覆層400の表面に剥離剤層500が設けられている。剥離剤層500の剥離剤としては、例えば、ナトリウム・シリケートを主成分とする水ガラス、BN粉末とAl2 3 粉末との混合粉末、等が用いられる。剥離剤層500を塗布により形成する場合、その塗布量、等は、長繊維セラミック織物被覆層400のフレキシビリティーを喪失することなく、長繊維セラミック織物被覆層400を構成する長繊維セラミック織物の繊維間の空隙を適度に埋めることができるように選択されるが、例えば、0.1g/cm2 以上0.2g/cm2 以下が望ましい。この処理機器の上記以外の構成は第1の実施の形態による処理機器と同様である。
[処理機器の製造方法]
この処理機器の製造方法では、第1の実施の形態と同様にして、金属基材100の表面にバリア層200、リザバ層300および長繊維セラミック織物被覆層400を順次形成した後、長繊維セラミック織物被覆層400上に剥離剤層500を形成する。例えば、長繊維セラミック織物被覆層400上に、粉末状の剥離剤を含むスラリー液を塗布することにより、剥離剤層500を形成する。こうして剥離剤層500を形成することにより、スラリー液中の粉末状の剥離剤が、長繊維セラミック織物被覆層400を構成する長繊維セラミック織物の繊維間の空隙を埋めて塞ぐ。
剥離剤層500の剥離剤の具体例を挙げると次の通りである。
(1)ニチアス株式会社
商品名 TOMBO No.9820 ルミボンド
成分 珪酸ソーダをベースに耐火度の高い骨材を添加
使用目的 セラミックス等の接着剤として使用する。
標準使用量 1〜2kg/m2 =100〜200mg/cm2
(2)ニチアス株式会社
商品名 TOMBO No.4726−BN ジルコート BN−A
成分 82重量%BN−18重量%Al2 3
使用目的 アルミニウム溶湯と接触する各種耐火物を保護するためのコーティング材
標準使用量 0.13〜0.17kg/m2 =13〜17mg/cm2
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができることに加えて、次のような利点を得ることができる。すなわち、処理機器の使用時に溶融アルミニウム、溶融亜鉛、等の溶融金属と直接接触する長繊維セラミック織物被覆層400の表面に剥離剤層500が設けられていることにより、剥離剤層500の塗布量、等を適切に選択することで、フレキシビリティーを喪失することなく、長繊維セラミック織物被覆層400を構成する長繊維セラミック織物の繊維間の空隙を適度に埋めることができる。このため、処理機器の使用時に溶融金属と接触しても、長繊維セラミック織物被覆層400を構成する長繊維セラミック織物の繊維間の空隙に溶融金属が浸入するのを阻止することできる。
〈第3の実施の形態〉
[処理機器]
第3の実施の形態においては、第1の実施の形態と同様に、棒状の処理機器について説明する。
図4はこの処理機器を示す。図4に示すように、この処理機器においては、長繊維セラミック織物被覆層400の表面に剥離剤層500が設けられ、長繊維セラミック織物被覆層400のリザバ層300側の面にも剥離剤層500が設けられている。すなわち、長繊維セラミック織物被覆層400の両面に剥離剤層500が設けられている。剥離剤層500については第2の実施の形態と同様である。この処理機器の上記以外の構成は第1の実施の形態による処理機器と同様である。
[処理機器の製造方法]
この処理機器の製造方法では、第1の実施の形態と同様にして、金属基材100の表面にバリア層200およびリザバ層300を形成した後、リザバ層300上に剥離剤層500を形成する。次に、この剥離剤層500上に長繊維セラミック織物被覆層400を形成した後、この長繊維セラミック織物被覆層400上に再び剥離剤層500を形成する。剥離剤層500の形成方法は第2の実施の形態と同様である。
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができることに加えて、次のような利点を得ることができる。すなわち、処理機器の使用時に溶融アルミニウム、溶融亜鉛、等の溶融金属と直接接触する長繊維セラミック織物被覆層400の表面に剥離剤層500が設けられているだけでなく、長繊維セラミック織物被覆層400の内面にも剥離剤層500が設けられていることにより、長繊維セラミック織物被覆層400の両面の剥離剤層500の塗布量、等を適切に選択することで、フレキシビリティーを喪失することなく、長繊維セラミック織物被覆層400を構成する長繊維セラミック織物の繊維間の空隙を適度に埋めることができる。このため、処理機器の使用時に溶融金属と接触しても、長繊維セラミック織物被覆層400を構成する長繊維セラミック織物の繊維間の空隙に溶融金属が浸入するのをより一層効果的に阻止することできる。
以下、実施例に基づいて、より詳細に説明する。
〈コーティング皮膜の組織観察と元素分析について〉
(1)蛍光X線装置(日本電子株式会社製エレメントアナライザー)を用いて、皮膜表面の元素分析を行った。なお、本測定では、酸素、窒素、炭素、ホウ素等の軽元素の分析は行っていない。
(2)走査型電子顕微鏡(SEM)とエネルギー分散型元素分析装置(EDAX)を用いて、金属基材100とコーティング皮膜との断面組織を観察し、各元素の濃度分布を測定した。なお、本測定手法では、炭素(C)およびホウ素(B)の存在は確認できるが、定量的にそれらの濃度を測定することは困難であった。したがって、ここでは、炭素とホウ素が検出された相を炭化物とホウ化物と表記している。また、タングステン(W)とケイ素(Si)とのピーク分離は困難である。
〈実施例1〉
実施例1は第1の実施の形態に対応するものであるが、ここでは、円筒状の金属基材100に相当するものとして、外径23mmの耐熱合金SUH447製の管、の一端封じの熱電対保護管を使用した。
工程1〜4により熱電対保護管の表面に保護皮膜を形成した。
(工程1)
エタノール中にNi基自溶性合金粉末と(35重量%、50重量%、80重量%)WC粉末とを混合し、混練してスラリー状粉末とした後、このスラリー状粉末を熱電対保護管の表面に塗布し、乾燥した。塗布量は100±20mg/cm2 とした。Ni基自溶性合金粉末としては、株式会社ニューメタルス エンド ケミカルスコーポレーションのHMSP−1360−20(0.9C−4.3Si−3.3B−4.2Fe−16.3Cr−bal.Ni in wt%)を用いた。その後、減圧雰囲気、1150℃、2時間の条件で加熱した。こうして熱電対保護管の表面にバリア層200を形成した。
(工程2)
エタノール中にAl粉末、Cr粉末およびSi粉末とNi基自溶性合金粉末とを混合し、混練してスラリー状粉末とした後、このスラリー状粉末をバリア層200の表面に塗布し、乾燥した。塗布量は80±20mg/cm2 とした。その後、減圧雰囲気、1150℃、2時間の条件で加熱した。こうしてバリア層200の表面にリザバ層300を形成した。
(工程3)
長繊維セラミック織物被覆層400として、先に挙げた株式会社ニチビの内径20mmのアルミナ長繊維スリーブを用いた。このアルミナ長繊維スリーブを、まず長手方向に圧縮して内径を拡大し、このアルミナ長繊維スリーブにバリア層200およびリザバ層300が表面に形成された熱電対保護管を挿入した後、このアルミナ長繊維スリーブを引っ張ることにより内径を縮小させ、アルミナ長繊維スリーブを熱電対保護管の表面に密着させた。こうすることで、熱電対保護管の表面をアルミナ長繊維スリーブにより密着した状態で覆った。熱電対保護管の先端部は金属線(Ni線)で括って、熱電対保護管の先端部をアルミナ長繊維スリーブで覆った。
表2は、Ni基自溶性合金粉末に(35、50、80)wt%WC粉末を添加した混合粉末を用いて形成したバリア層200の各元素の濃度分析の結果(wt%)を示す。バリア層200のW濃度はNi基自溶性合金に含まれるWCの濃度とともに増大し、30wt%から85wt%に亘って変化している。なお、本分析法では炭素(C)は測定されないので、表2に示したWはWCとして存在しており、WC換算の濃度は、それぞれ33、65、95wt%となる。
表3〜5は、Ni基自溶性合金にそれぞれ(0、10、15、20)wt%FeAl、15wt%Cr、5wt%Siを添加した混合粉末を用いて形成したリザバ層300の各元素の濃度分析の結果(wt%)を示す。なお、本分析法ではケイ素(Si)とタングステン(W)とのピーク分離が不十分であり、互いに誤差を含んでいる。
表3〜5より、リザバ層300のAl濃度はNi基自溶性合金に含まれるFeAlの濃度とともに20wt%FeAlでの19wt%Alに増大していることが分かる。リザバ層300のCr濃度およびSi濃度はNi基自溶性合金に添加したCrまたはSiの添加量に比例して増加している。
〈実施例2〉
実施例2は第1の実施の形態に対応するものであるが、ここでは、円筒状の金属基材100に相当するものとして、外径23mmのFe−25Crステンレス鋼製の管、の一端封じの熱電対保護管を使用した。
実施例1と同様に上記工程1〜4により熱電対保護管の表面に保護皮膜を形成した。
バリア層200およびリザバ層300の組成は実施例1と同様であった。
〈実施例3〉
実施例3は第2の実施の形態に対応するものであるが、ここでは、円筒状の金属基材100に相当するものとして、外径23mmの耐熱合金SUH447製の管、の一端封じの熱電対保護管を使用した。
実施例1と同様に上記工程1〜4により熱電対保護管の表面に保護皮膜を形成し、さらにリザバ層300上に剥離剤層500を形成した。剥離剤層500の剥離剤としては、先に挙げたニチアス株式会社のルミボンドを用いた。
バリア層200およびリザバ層300の組成は実施例1と同様であった。
〈実施例4〉
実施例4は第3の実施の形態に対応するものであるが、ここでは、円筒状の金属基材100に相当するものとして、外径23mmのSUS310製の管、の一端封じの熱電対保護管を使用した。
実施例1と同様に上記工程1〜3により熱電対保護管の表面にバリア層200およびリザバ層300を形成した後、リザバ層300上に剥離剤層500を形成した。この剥離剤層500上に工程4により長繊維セラミック織物被覆層400を形成した後、この長繊維セラミック織物被覆層400上に剥離剤層500を形成した。これらの剥離剤層500の剥離剤としては、先に挙げたニチアス株式会社のルミボンドを用いた。
バリア層200およびリザバ層300の組成は実施例1と同様であった。
〈比較例1〉
比較例1は円筒状の金属基材100に相当するものとして、外径23mmの耐熱合金SUH447製の管、の一端封じの熱電対保護管を使用したが、保護皮膜は形成していない。
〈比較例2〉
比較例2は円筒状の金属基材100に相当するものとして、外径23mmのSUS310製の管、の一端封じの熱電対保護管を使用したが、保護皮膜は形成していない。
〈比較例3〉
比較例3は円筒状の金属基材100に相当するものとして、外径23mmのFe−25Cr製の管、の一端封じの熱電対保護管を使用したが、保護皮膜は形成していない。
〈比較例4〉
比較例4は円筒状の金属基材100に相当するものとして、外径23mmの耐熱合金SUH447製の管、の一端封じの熱電対保護管を使用したが、保護皮膜としてバリア層200しか形成していない。バリア層200は実施例1と同様にして形成した。
〈比較例5〉
比較例5は円筒状の金属基材100に相当するものとして、外径23mmのFe−25Cr製の管、の一端封じの熱電対保護管を使用したが、保護皮膜としてバリア層200しか形成していない。バリア層200は実施例1と同様にして形成した。
〈比較例6〉
比較例6は円筒状の金属基材100に相当するものとして、外径23mmの耐熱合金SUH447製の管、の一端封じの熱電対保護管を使用したが、保護皮膜としてバリア層200およびこのバリア層200上の剥離剤層500しか形成していない。バリア層200および剥離剤層500は実施例1と同様にして形成した。
〈比較例7〉
比較例7は円筒状の金属基材100に相当するものとして、外径23mmの耐熱合金SUH447製の管、の一端封じの熱電対保護管を使用したが、保護皮膜としてバリア層200および長繊維セラミック織物被覆層400しか形成していない。バリア層200および長繊維セラミック織物被覆層400は実施例1と同様にして形成した。
〈溶融アルミニウム合金への浸漬試験〉
上記のようにして作製した実施例1〜4および比較例1〜7の試験片をアルミナ坩堝に溶解したAl−Si合金(ADC12)浴中に挿入し、種々の時間経過後に取り出して観察に供した。浸漬試験の条件(浴の温度、浸漬時間)は下記の通りである。
比較例1:800℃ 3時間
比較例2:800℃ 3時間
比較例3:800℃ 3時間
比較例4:800℃ 4時間20分
比較例5:800℃ 4時間20分
比較例6:800℃ 20時間
比較例7:800℃ 69時間
実施例1:800℃ 71時間
実施例2:800℃ 24時間
実施例3:800℃ 24時間
実施例4:800℃ 90時間および800℃ 24時間
図5は、実施例1〜4および比較例1〜7の試験片の残肉厚(元の肉厚=3mm)の浸漬時間による変化を示す。図5に示す浸漬試験の結果は以下のように要約される。
(1)比較例1〜3では、金属基材の溶損速度は平均0.4mm/hrであり、厚さ3mmの保護管では、約8時間で溶解消失することになる。
(2)比較例4、5では、金属基材/バリア層での溶損速度は平均0.11mm/hrであり、金属基材の溶損速度に比較してバリア層の溶損速度は1/3である。すなわち、タングステン炭化物含有バリア層は溶湯Alに対して、耐溶損効果を有し、寿命を3倍に延伸できることがわかる。
(3)比較例6では、剥離剤層の効果を確認するために行った結果、バリア層の表面に剥離剤を塗布したもので、溶損速度に大きなばらつきが認められる。すなわち、約20時間の浸漬では、溶損が認められない場合もあり、一方、溶損速度が約0.1mm/hrとバリア層のみの時と同程度の速度であって、剥離剤の効果がほとんど見られない場合があることが分かる。すなわち、バリア層に剥離剤を塗布した場合、その効果は限定的である。す。
(4)比較例7は、バリア層の表面に長繊維セラミック織布の被覆層を形成した場合で、浸漬時間69時間では溶損は観察されない場合と溶損が観察される場合があり、その溶損速度は約0.01mm/hrであった。
(5)実施例1は、リザバ層の表面に長繊維セラミック織布の被覆層を形成した場合で、浸漬時間71時間では溶損は観察されない場合と溶損が観察される場合があり、その溶損速度は約0.01mm/hrであった。本発明で提案した、バリア層とリザバ層と長繊維セラミック織物被覆層とを有する保護皮膜では、溶損速度は低下していることが分かる。すなわち、本発明で提案する長繊維セラミック織物被覆層400で被覆されたバリア層200およびリザバ層300の皮膜は、剥離剤の有無によらず、ほぼ同様に、優れた耐溶損性を有することを確認した。溶損速度はゼロに近く、観察された速度は基材のみの1/40およびバリア層のみの時の1/11となっており、長繊維セラミックス織布は効果的に、溶損を遅延させていることがわかる。
(6)実施例2、3、4では、浸漬時間24時間では、溶損は無視できる程度であり、さらに、実施例4では、浸漬時間90時間でも、溶損は僅少であった。
実施例4による熱電対保護管の90時間浸漬後の断面写真を図6に示す。図6に示すように、長繊維セラミック織物被覆層400で被覆された保護皮膜が残存しており、金属基材100の溶損も発生していないことが分かる。
〈Alリサイクル施設における実地試験〉
Alリサイクル施設において、Al−Si合金(ADC12)の溶解槽に設けられた樋状の湯道を流れる680℃の溶融Al−Si合金中に実施例4による熱電対保護管を挿入し、寿命を測定した。その結果、実施例4による熱電対保護管の寿命は8週間から10週間であった。比較のために、保護皮膜を形成していない比較例2による熱電対保護管を用いて同様な試験を行って寿命を測定した結果、寿命は1週間であった。すなわち、実施例4による熱電対保護管の寿命は、保護皮膜を形成していない比較例2による熱電対保護管の寿命の8〜10倍であった。
以上、この発明の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
100…金属基材、200…バリア層、300…リザバ層、400…長繊維セラミック織物被覆層、500…剥離剤層

Claims (22)

  1. 金属基材と、
    上記金属基材の表面に設けられた保護皮膜とを有し、
    上記保護皮膜は、
    上記金属基材上の、金属炭化物を含有するバリア層と、
    上記バリア層上の、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素とアルミニウム、クロムおよびケイ素からなる群より選択された少なくとも一種の元素とを含有し、金属炭化物を含有しないリザバ層と、
    上記リザバ層上の、長繊維セラミック織物からなる被覆層と、
    を有する処理機器。
  2. 上記長繊維セラミック織物は長繊維セラミックで編まれた布、ニットまたはスリーブである請求項1記載の処理機器。
  3. 上記金属炭化物は、タングステン炭化物、モリブデン炭化物、ニオブ炭化物、アルミニウム炭化物およびクロム炭化物からなる群より選ばれた少なくとも一種である請求項1または2記載の処理機器。
  4. 上記バリア層の上記金属炭化物の濃度は35重量%以上95重量%以下である請求項3記載の処理機器。
  5. 上記リザバ層がアルミニウムを含有する場合はその含有量は1重量%以上15重量%以下、クロムを含有する場合はその含有量は1重量%以上30重量%以下、ケイ素を含有する場合はその含有量は1重量%以上15重量%以下である請求項1〜4のいずれか一項記載の処理機器。
  6. 上記リザバ層はさらに、チタンを10重量%以上15重量%以下含有する請求項1〜5のいずれか一項記載の処理機器。
  7. 上記リザバ層はニッケルを90重量%以上100重量%未満含有する請求項1〜5のいずれか一項記載の処理機器。
  8. 上記リザバ層はアルミニウムを7重量%以上15重量%以下含有する請求項1〜5のいずれか一項記載の処理機器。
  9. 上記リザバ層はケイ素を5重量%以上15重量%以下含有する請求項1〜5のいずれか一項記載の処理機器。
  10. 上記被覆層の表面に溶融金属に対する剥離剤層が設けられている請求項1〜9のいずれか一項記載の処理機器。
  11. 上記被覆層の上記リザバ層側の面にも溶融金属に対する剥離剤層が設けられている請求項10記載の処理機器。
  12. 上記処理機器は金属溶解槽、金属溶融鍋、金属めっき槽、熱電対保護管、溶融金属掻き混ぜ棒、溶融金属を搬送するためのラドル、溶融金属の表面に浮かぶノロを掬い取るためのノロ掻き、溶融金属を掬うための湯掬い鍋、溶融金属を掬うための柄杓または吹込みランスである請求項1〜11のいずれか一項記載の処理機器。
  13. 金属基材と、
    上記金属基材の表面に設けられた保護皮膜とを有し、
    上記保護皮膜は、
    上記金属基材上の、金属炭化物を含有するバリア層と、
    上記バリア層上の、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素とアルミニウム、クロムおよびケイ素からなる群より選択された少なくとも一種の元素とを含有し、金属炭化物を含有しないリザバ層と、
    上記リザバ層上の、長繊維セラミック織物からなる被覆層と、
    を有する構造体。
  14. 金属基材の表面に、上記金属基材より融点が低い第1の合金からなる粉末と金属炭化物の粉末との混合粉末を含むスラリー状粉末を塗布した後、上記第1の合金の融点より高く、上記金属基材の融点より低い第1の温度で加熱することにより、上記金属炭化物を含有するバリア層を形成する工程と、
    上記バリア層上に、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素を含み、上記金属基材および上記バリア層より融点が低い第2の合金からなる粉末とアルミニウム、クロムおよびケイ素からなる群より選択された少なくとも一種の元素からなる粉末との混合粉末を含むスラリー状粉末を塗布した後、上記第2の合金の融点より高く、上記金属基材および上記バリア層の融点より低い第2の温度で加熱することにより、上記鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素と上記アルミニウム、クロムおよびケイ素からなる群より選択された少なくとも一種の元素とを含有し、金属炭化物を含有しないリザバ層を形成する工程と、
    上記リザバ層上に、長繊維セラミック織物からなる被覆層を形成する工程と、
    を有する処理機器の製造方法。
  15. 上記第1の合金は鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素とケイ素とホウ素とを含む請求項14記載の処理機器の製造方法。
  16. 上記第1の合金は鉄基自溶性合金、コバルト基自溶性合金およびニッケル基自溶性合金からなる群より選択された少なくとも一種の合金である請求項15記載の処理機器の製造方法。
  17. 上記第1の温度は1100℃以上1200℃以下である請求項14〜16のいずれか一項記載の処理機器の製造方法。
  18. 上記第2の合金は鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素とケイ素とホウ素とを含む請求項14〜17のいずれか一項記載の処理機器の製造方法。
  19. 上記第2の合金は鉄基自溶性合金、コバルト基自溶性合金およびニッケル基自溶性合金からなる群より選択された少なくとも一種の合金である請求項18記載の処理機器の製造方法。
  20. 上記第2の温度は1050℃以上1175℃以下である請求項14〜19のいずれか一項記載の処理機器の製造方法。
  21. 上記バリア層および上記リザバ層を物理的蒸着法、溶射法、拡散浸透法、化学的蒸着法または電気めっき法により形成する請求項14〜20のいずれか一項記載の処理機器の製造方法。
  22. 金属基材の表面に、上記金属基材より融点が低い第1の合金からなる粉末と金属炭化物の粉末との混合粉末を含むスラリー状粉末を塗布した後、上記第1の合金の融点より高く、上記金属基材の融点より低い第1の温度で加熱することにより、上記金属炭化物を含有するバリア層を形成する工程と、
    上記バリア層上に、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素を含み、上記金属基材および上記バリア層より融点が低い第2の合金からなる粉末とアルミニウム、クロムおよびケイ素からなる群より選択された少なくとも一種の元素からなる粉末との混合粉末を含むスラリー状粉末を塗布した後、上記第2の合金の融点より高く、上記金属基材および上記バリア層の融点より低い第2の温度で加熱することにより、上記鉄、コバルトおよびニッケルからなる群より選択された少なくとも一種の元素と上記アルミニウム、クロムおよびケイ素からなる群より選択された少なくとも一種の元素とを含有し、金属炭化物を含有しないリザバ層を形成する工程と、
    上記リザバ層上に、長繊維セラミック織物からなる被覆層を形成する工程と、
    を有する構造体の製造方法。
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