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JP2018039037A - エンジンバルブ用コバルト基盛金合金およびエンジン - Google Patents

エンジンバルブ用コバルト基盛金合金およびエンジン Download PDF

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雄貴 鴨
公彦 安藤
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公彦 安藤
伸幸 篠原
Nobuyuki Shinohara
伸幸 篠原
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Abstract

【課題】エタノール混合ガソリン等を使用した場合であっても、高い耐食性と耐凝着性を発揮することのできるエンジンバルブ用コバルト基盛金合金と、このコバルト基盛金合金からなる盛金材が肉盛りされてなるエンジンバルブを備えたエンジンを提供する。【解決手段】質量%で、Cr;13〜35%、Mo;5〜30%、Si;0.1〜3.0%、C;0.04%以下、Ni;15%以下、W;9%以下、Fe;30%以下、Mn;3%以下、S;0.4%以下を含有し、残部がCoおよび不可避不純物元素(ただし、Co量は30%以上)からなることを特徴とするエンジンバルブ用コバルト基盛金合金である。【選択図】図1

Description

本発明は、エンジンバルブ用コバルト基盛金合金と、このコバルト基盛金合金からなる盛金材が肉盛りされたエンジンバルブを備えたエンジンに関するものである。
エンジンバルブのバルブフェースには、耐食性と耐摩耗性に優れたコバルト基盛金合金が採用されている。
たとえば、特許文献1には、重量比でCr;10〜40%、Mo;10を越え30%、W;1〜20%、Si;0.5 〜5%、C;0.05〜3%、Al;0.001〜0.12%、O;0.001〜0.1%、Fe;30%以下、Ni;20%以下、Mn;3%以下を含有し、残部がCoおよび不可避不純物元素(但し、Co量は30〜70重量%)からなるコバルト基盛金合金が開示されている。
特開平5−84592号公報
特許文献1に記載のコバルト基盛金合金によれば、Feを30%以下含有したことで、靱性を向上させるとともに酸化物を形成し、潤滑材としての効果を発揮し、含有されるCr、MoおよびWがCoリッチマトリクスを固溶強化するとともに、Alを添加してO含有量を規制したことで盛金性を改善することができる。また、高負荷運転されるエンジンバルブのバルブフェースに盛金されることでエンジンバルブの耐摩耗性が向上し、同時に相手攻撃性をも満足し、盛金性に優れたコバルト基盛金合金となる。
ところで、環境影響負荷低減等を目的として、エンジン用の燃料にエタノールおよびエタノール混合ガソリンやCNG、LPG等が適用されており、エタノールおよびエタノール混合ガソリンを燃料とした車両はフレキシブル・フューエル・ビークル(FFV)と称されている。
これらエタノール混合ガソリン等を使用した場合、環境影響負荷を低減できるものの、従来のガソリンに比して厳しい腐食環境や凝着環境となることから、バルブシートに過大な摩耗が生じることが懸念される。したがって、性能に優れた特許文献1に記載のコバルト基盛金合金を有するエンジンバルブを備えたエンジンであっても、エタノール混合ガソリン等を使用した場合において、高い耐食性と耐凝着性を発揮するのは難しい。
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、エタノール混合ガソリン等を使用した場合であっても、高い耐食性と耐凝着性を発揮することのできるエンジンバルブ用コバルト基盛金合金と、このコバルト基盛金合金からなる盛金材が肉盛りされてなるエンジンバルブを備えたエンジンを提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明によるエンジンバルブ用コバルト基盛金合金は、質量%で、Cr;13〜35%、Mo;5〜30%、Si;0.1〜3.0%、C;0.04%以下、Ni;15%以下、W;9%以下、Fe;30%以下、Mn;3%以下、S;0.4%以下を含有し、残部がCoおよび不可避不純物元素(ただし、Co量は30%以上)からなることを特徴とするものである。
特許文献1に記載されるコバルト基盛金合金のC量が0.05〜3質量%であるのに対して、本発明のエンジンバルブ用コバルト基盛金合金のC量は0.04質量%以下であり、この点で双方は大きく相違している。
すなわち、特許文献1に記載されるコバルト基盛金合金はC量が0.05質量%以上であることから、硬質な炭化物相を生成し易く、炭化物相が多くなることで相手攻撃性が高くなるといった課題が懸念される。盛金の相手攻撃性が高くなり過ぎることは、相手のバルブシートの摩耗の増加に直結する。
また、炭化物生成によって固溶Cr、Moが減少し、耐凝着性や耐食性が低下するといった課題も懸念される。
これに対し、本発明のコバルト基盛金合金のC量は0.04質量%以下であることから、相手攻撃性を低減することができ、相手のバルブシートの摩耗を抑制することが可能になる。
また、C量が少なくなることで炭化物の生成が抑制され、このことによって固溶Cr、Moの減少も抑制される結果、高い耐食性と耐凝着性を備えたコバルト基盛金合金となる。
このように、C量の違いは極めて重要であり、上記するエタノール混合ガソリン等を使用する場合において当該C量の違いによる効果の違いは一層顕著になる。
また、本発明によるエンジンは、前記コバルト基盛金合金からなる盛金材が肉盛りされてなるエンジンバルブを備えたエンジンであって、エンジン用の燃料が、エタノールおよびエタノール混合ガソリン、CNG、LPGのいずれか一種からなる。
本発明によるエンジンは、C量が0.04質量%以下に設定されたコバルト基盛金合金からなる盛金材が肉盛りされてなるエンジンバルブを備えていることで、エンジンバルブの相手のバルブシートの摩耗が抑制され、高い耐久性を有するエンジンとなる。
以上の説明から理解できるように、本発明のエンジンバルブ用コバルト基盛金合金によれば、C量が0.04質量%以下に設定されていることで、相手攻撃性が低減され、硬質な炭化物の生成が抑制されることで、高い耐食性と耐凝着性を備えたコバルト基盛金合金が得られ、相手のバルブシートの摩耗を抑制することができる。
また、エタノールおよびエタノール混合ガソリンやCNG、LPGを燃料として使用し、したがって、厳しい腐食環境や凝着環境の下にあっても、高耐久なエンジンを提供することができる。
本発明のコバルト基盛金合金からなる盛金部を有するエンジンバルブの縦断面図である。 摩耗試験の結果を示した図であって、特に、エンジンバルブおよびバルブシートの合計摩耗量とコバルト基盛金合金のC量の関係を示した図である。 図2においてC量が0〜0.05質量%の範囲を拡大した図である。 腐食試験前後の実施例および参考例のSEM画像図である。
以下、図面を参照して本発明のエンジンバルブ用コバルト基盛金合金の実施の形態を説明する。
(エンジンバルブ用コバルト基盛金合金の実施の形態)
図1は本発明のコバルト基盛金合金からなる盛金部を有するエンジンバルブの縦断面図である。図示するように、エンジンバルブ10のバルブフェースに環状にコバルト基盛金合金からなる盛金部20が形成され、エンジンバルブ10がシリンダヘッドに搭載された際に、盛金部20が高圧で当接する相手側に不図示のバルブシートが配設されている。
ここで、コバルト基盛金合金は、質量%で、Cr;13〜35%、Mo;5〜30%、Si;0.1〜3.0%、C;0.04%以下、Ni;15%以下、W;9%以下、Fe;30%以下、Mn;3%以下、S;0.4%以下を含有し、残部がCoおよび不可避不純物元素(ただし、Co量は30%以上)からなる。
Cr不動態膜を形成する合金にMoが適量添加されることで、Cr不動態膜の再生を促進することができる。そのため、盛金部20の腐食や摺動によってCr不動態膜が破壊しても、この破壊よりもCrおよびMoによるCr不動態膜の再生の方が上回る結果、繰り返しの摺動と高腐食の環境下においても高い耐食性と耐凝着性を有するコバルト基盛金合金となる。
各金属元素の数値範囲の根拠について、以下詳細に説明する。
<Cr;13〜35質量%>
Crが13質量%未満であると不動態酸化膜が形成されず、耐食性が発揮されないことから、Crの下限値を13質量%に規定している。
また、Crが35質量%を超えると盛金性が悪化することから、Crの上限値を35質量%に規定している。
<Mo;5〜30質量%>
Moが5質量%未満であると耐食性の向上効果が不足することから、Moの下限値を5質量%に規定している。
また、Moが30質量%を超えると盛金性が悪化することから、Moの上限値を30質量%に規定している。
<Si;0.1〜3.0質量%>
Siが0.1質量%未満であると盛金性(濡れ性)が低下することから、Siの下限値を0.1質量%に規定している。
また、Siが3.0質量%を超えると相手攻撃性が増加することから、Siの上限値を3.0質量%に規定している。
<C;0.04質量%以下>
Cが0.04質量%を超えると、耐食性が低下し、耐食性の低い共晶組織を形成して腐食することで相手のバルブシートに対する相手攻撃性が増加し、さらには、固溶Cr,Moが減少することで耐食性が低下することから、Cの上限値を0.04質量%に規定している。
<Ni;15質量%以下>
Niは、盛金の靭性および耐食性の向上に寄与する元素である。Niが15質量%を超えると、耐摩耗性が低下し、盛金性が悪化することから、Niの上限値を15質量%に規定している。
<W;9質量%以下>
Wは、盛金の耐摩耗性の向上に寄与する元素である。Wが9質量%を超えると融点が上昇し、融点の上昇に起因して盛金性が悪化することから、Wの上限値を9質量%に規定している。
<Fe;30質量%以下>
Feは、盛金の靭性の向上に寄与する元素である。Feが30質量%を超えると耐食性が低下することから、Feの上限値を30質量%に規定している。
<Mn;3質量%以下>
Mnは、盛金性の改善に寄与する元素である。Mnが3質量%を超えると耐摩耗性が低下することから、Mnの上限値を3質量%に規定している。
<S;0.4質量%以下>
Sは、盛金性(濡れ性)およびブローホール排出促進性の向上に寄与する元素である。Sが0.4質量%を超えると凝固割れが発生することから、Sの上限値を0.4質量%に規定している。
なお、既述する特許文献1に記載されるコバルト基盛金合金のC量が0.05〜3質量%であるのに対して、本発明のエンジンバルブ用コバルト基盛金合金のC量は0.04質量%以下である。
特許文献1に記載されるコバルト基盛金合金はC量が0.05質量%以上であることから、硬質な炭化物相を生成し易く、炭化物相が多くなることで相手攻撃性が高くなる傾向にあり、盛金の相手攻撃性が高くなり過ぎることは、相手のバルブシートの摩耗の増加に直結する。また、炭化物生成によって固溶Cr、Moが減少し、耐凝着性や耐食性が低下する傾向にある。
これに対し、本発明のコバルト基盛金合金のC量は0.04質量%以下であることから、相手攻撃性を低減することができ、相手のバルブシートの摩耗を抑制することが可能になる。また、C量が少なくなることで炭化物の生成が抑制され、このことによって固溶Cr、Moの減少も抑制される結果、高い耐食性と耐凝着性を備えたコバルト基盛金合金となる。
また、盛金部20を有するエンジンバルブ10を備えたエンジンでは、エンジン用の燃料として、エタノールおよびエタノール混合ガソリンやCNG、LPGのいずれか一種を適用するものが挙げられる。
このエンジンは、C量が0.04質量%以下に設定されたコバルト基盛金合金からなる盛金材を肉盛りした盛金部20を有するエンジンバルブ10を備えていることから、厳しい腐食環境や凝着環境の下にあっても、エンジンバルブ10の相手のバルブシートの摩耗が抑制され、高い耐久性を有するエンジンとなる。
(エンジンバルブの耐食性、エンジンバルブとバルブシートの耐摩耗性等を検証した実験とその結果)
本発明者等は、エンジンバルブの耐食性、エンジンバルブとバルブシートの耐摩耗性、盛金ビード等を検証する実験をおこなった。以下の表1に、本発明のコバルト基盛金合金(実施例1〜11)と、比較例1〜19の盛金合金のそれぞれの組成を示し、表2に、各コバルト基盛金合金の耐食性、耐摩耗性、盛金ビード、および実機摩耗に関する実験結果を示す。また、摩耗試験の結果に関し、特に、エンジンバルブおよびバルブシートの合計摩耗量とコバルト基盛金合金のC量の関係を以下の表3と図2,3に示し、腐食試験前後の実施例および参考例のSEM画像図を図4に示している。ここで、表3における参考例1,2は既述する特許文献1に開示のコバルト基盛金合金である。なお、エンジンバルブの相手のバルブシートは、Fe系バルブシートであり、Fe−16Mo−21Co−2.4Mn−1.1C(いずれも質量%)である。
まず、エンジンバルブの耐食性に関する実験は、平面寸法が20mm×20mmで高さ2mmの試験体の試験面(鏡面研磨した面)をpH2.0の腐食液に24時間浸漬し、試験面の断面をSEM観察し、試験面の最表層の腐食の有無を確認した。
また、耐摩耗性に関する実験は、プラズマ盛金法でエンジンバルブのバルブフェースに盛金し(出力130A、処理速度8mm/秒)、単体摩耗試験を実施し、軸方向摩耗量170μmを閾値とし、170μm以上を表2,3では不可(×)とした。
ここで、単体摩耗試験の概要を説明すると、この試験は、盛金材の相手攻撃性と耐摩耗性を調べるための試験である。具体的には、プロパンガスバーナーを加熱源に用い、肉盛されたバルブフェースと、Cu系材料およびFe系焼結材料からなるバルブシートとの摺動部をプロパンガス燃焼雰囲気とした。バルブシートの温度を200℃に制御し、スプリングによりバルブフェースとバルブシートとの接触時に176Nの荷重を付与し、2000回/分の割合でバルブフェースとバルブシートを接触させて8時間の摩耗試験をおこなった。この摩耗試験において、基準位置からのバルブの沈み量を測定した。このバルブの沈み量は、エンジンバルブがバルブシートと接触することによって双方が摩耗した摩耗量(摩耗深さ)に相当するものである。
また、盛金ビードに関する実験は、盛金性が悪く、バルブフェースへの盛金加工が可能か否かを検証し、表2,3では、盛金加工できるもの可(○)、盛金加工できないものを不可(×)とした。
さらに、実機摩耗に関する実験は、2400ccのガソリンエンジンを用い、アルコール含有燃料を用いて300時間の実機耐久試験を実施し、表2,3では、摩耗量(エンジンバルブとバルブシートの合計摩耗量)の限界値基準値を100として示している。
[表1]
Figure 2018039037
[表2]
Figure 2018039037
[表3]
Figure 2018039037
[表4]
Figure 2018039037
表2より、実施例1〜11はいずれも、耐食性、耐摩耗性、および盛金性に優れていることが分かった。
また、実機摩耗に関しては、実験対象の実施例1,9でいずれも摩耗量の限界基準値100を下回り、良好な結果を示している。
対して、各比較例は、耐食性と耐摩耗性、盛金性のいずれかを満足せず、実施摩耗の実験対象である比較例2,3はいずれも摩耗量の限界基準値100以上の結果になっている。
また、表3と図2,3より、C量が0.05質量%以上の参考例1,2(特許文献1に開示のコバルト基盛金合金)はいずれも摩耗量の限界基準値100以上の結果になっているのに対して、C量が0.04質量%以下の実施例1,9,12はいずれも摩耗量の限界基準値100を下回り、良好な結果を示している。
また、図4より、腐食試験前後のSEM画像において、参考例2では腐食試験後に硬質相ができて腐食が確認されたのに対して、実施例6では腐食試験の前後でいずれも腐食がないことが観察されている。
さらに、表4より、C量が0.04質量%以下、S量が0.4質量%以下の実施例13,14はいずれも、耐食性、耐摩耗性、および盛金性に優れているのに対して、S量が0.5質量%以上の比較例20は凝固割れが生じ、盛金性に問題があることが確認されている。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
10…エンジンバルブ、20…盛金部

Claims (2)

  1. 質量%で、Cr;13〜35%、Mo;5〜30%、Si;0.1〜3.0%、C;0.04%以下、Ni;15%以下、W;9%以下、Fe;30%以下、Mn;3%以下、S;0.4%以下を含有し、残部がCoおよび不可避不純物元素(ただし、Co量は30%以上)からなることを特徴とするエンジンバルブ用コバルト基盛金合金。
  2. 請求項1に記載のコバルト基盛金合金からなる盛金材が肉盛りされてなるエンジンバルブを備えたエンジンであって、エンジン用の燃料が、エタノールおよびエタノール混合ガソリン、CNG、LPGのいずれか一種からなるエンジン。
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