以下、本発明の封止用フィルムおよび封止用フィルム被覆電子部品搭載基板を、添付図面に示す好適実施形態に基づいて、詳細に説明する。
本発明の封止用フィルムは、電子部品搭載基板が備える基板と、この基板上に搭載された電子部品とを被覆するために用いられる封止用フィルムであり、樹脂材料を主材料として構成され、JIS K 6251に準拠して求められる軟化点における伸び率が150%以上3500%以下であることを特徴とする。
また、上記の封止用フィルムを用いることで、電子部品搭載基板が備える基板と電子部品との被覆を、基板と電子部品とを覆うように封止用フィルムを配置する配置工程と、封止用フィルムを加熱し軟化させるとともに、減圧する加熱・減圧工程と、封止用フィルムを冷却させるとともに、加圧することで、基板と電子部品とを封止用フィルムで被覆させる冷却・加圧工程とを経ることで実施される。
このような封止用フィルムを用いて、基板上に電子部品が搭載されることにより形成された凹凸の被覆に適用すると、前記冷却・加圧工程において、軟化された状態の封止用フィルムが、加圧された状態で冷却されることから、優れた追従性をもって封止した状態で、基板と電子部品とを被覆することができる。そのため、この封止用フィルムを被覆することで得られる封止用フィルム被覆電子部品搭載基板において、電子部品が湿気や埃等の外部因子と接触するのを的確に抑制または防止することができる。したがって、得られた封止用フィルム被覆電子部品搭載基板ひいてはこの封止用フィルム被覆電子部品搭載基板を備える電子機器の信頼性の向上を図ることができる。
なお、以下の本発明の封止用フィルムおよび封止用フィルム被覆電子部品搭載基板の説明では、プリント配線基板等の基板5上に電子部品4が搭載(載置)された電子部品搭載基板45において、基板5上への電子部品4の搭載により、基板5上に凸部61と凹部62とからなる凹凸6が形成される。そして、この凹凸6を、本発明の封止用フィルム100を用いて被覆する場合について説明する。なお、基板5としては、プリント配線基板が挙げられ、基板5上に搭載する電子部品4としては、例えば、半導体素子、コンデンサー、コイル、コネクターおよび抵抗等が挙げられる。
<封止用フィルム>
まず、本発明の封止用フィルム100について説明する。
図1は、本発明の封止用フィルムの第1実施形態を示す縦断面図、図2は、本発明の封止用フィルムの第2実施形態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図1、図2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
本発明の封止用フィルム100は、樹脂材料を主材料として構成され、JIS K 6251に準拠して求められる軟化点における伸び率が150%以上3500%以下であるものである。
このような封止用フィルム100は、前記伸び率が前記範囲内のものであれば、如何なる樹脂材料で構成されるものであってもよいが、樹脂材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン共重合体、延伸ポリプロピレン、未延伸ポリプロピレンのようなポリオレフィン系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸とからなるナイロン−6T、ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸とからなるナイロン−6I、ノナンジアミンとテレフタル酸とからなるナイロン−9T、メチルペンタジアミンとテレフタル酸とからなるナイロン−M5T、カプロラクタムとラウリルラクタムとからなるナイロン−6,12、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とカプロラクタムとからなるナイロン−6−6,6のようなポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニルおよびポリビニルアルコール等の熱可塑性樹脂が挙げられ、これらのうちの少なくとも1種を含む単層体であってもよいし、多層体であってもよい。
なお、封止用フィルム100に含まれる樹脂材料は、上述した熱可塑性樹脂材料の他に、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂のような熱硬化性樹脂やアクリル樹脂やウレタン樹脂のようなUV硬化性樹脂が含まれていてもよい。
封止用フィルム100は、これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂を主材料として含有する単層体、または、ポリオレフィン系樹脂を主材料として含有する層を1層以上有する多層体であることが好ましく、ポリオレフィン系樹脂を主材料として含有する層を1層以上有する多層体であることがより好ましい。これにより、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を容易に150%以上3500%以下に設定することができる。
以下、ポリオレフィン系樹脂を主材料として含有する層を1層以上有する多層体で構成される封止用フィルム100の一例について説明する。なお、本実施形態では、4層からなる多層体について説明するが、特に、4層からなる多層体に限定されるものではない。
<<第1実施形態>>
図1に示すように、本実施形態において、封止用フィルム100は、最外層11、中間層12、中間層13、最内層14を備え、これらが、図3に示す、被覆すべき電子部品搭載基板45の反対側から、この順で積層されている積層体で構成されている。
最外層11は、封止用フィルム100に酸素ガスバリア性を付与するためのものであり、酸素ガスバリア性樹脂を含有する層である。
この酸素ガスバリア性樹脂としては、本実施形態では、エチレン−ビニルアルコール共重合体ケン化物(以下、「EVOH」と略すこともある。)のうち、共重合されるエチレン含有量が27〜44モル%のものであることが好ましい。
また、最外層11の平均厚さは、1μm以上30μm以下であることが好ましく、5μm以上15μm以下であることがより好ましい。最外層11の平均厚さをかかる範囲内に設定することにより、封止用フィルム100に酸素ガスバリア性を確実に付与し得るとともに、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を150%以上3500%以下の範囲内に確実に設定することができる。
なお、封止用フィルム100に、酸素ガスバリア性を付与する必要がない場合には、封止用フィルム100における最外層11の形成を省略してもよい。
中間層12は、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を150%以上3500%以下に設定して、凹凸6への密着性および形状追従性に優れたものとすること、さらには、封止用フィルム100を強靱性に優れたものとすることを目的に、アイオノマー樹脂を主材料として含有する層である。
ここで、本明細書中において、アイオノマー樹脂とは、エチレンおよび(メタ)アクリル酸を重合体の構成成分とする2元共重合体や、エチレン、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルを重合体の構成成分とする3元共重合体を、金属イオンで架橋した樹脂のことを言い、これらのうちの1種または2種を組み合わせて用いることができる。
また、金属イオンとしては、例えば、カリウムイオン(K+)、ナトリウムイオン(Na+)、リチウムイオン(Li+)、マグネシウムイオン(Mg++)、亜鉛イオン(Zn++)等が挙げられる。これらの中でも、ナトリウムイオン(Na+)または亜鉛イオン(Zn++)であることが好ましい。これにより、アイオノマー樹脂における架橋構造が安定化されるため、前述した中間層12としての機能をより顕著に発揮させることができる。
さらに、エチレンおよび(メタ)アクリル酸を重合体の構成成分とする2元共重合体、もしくは、エチレン、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルを重合体の構成成分とする3元共重合体のカルボキシル基における陽イオン(金属イオン)による中和度は、好ましくは40mol%以上75mol%以下である。
また、中間層12は、融点(JIS K−7121に準拠し、DSC法で測定)が100℃以下、引張破壊応力(JIS K−7162に準拠し測定)が40MPa以下であるのがより好ましい。これにより、後述する電子部品搭載基板の封止方法において、封止用フィルム100を用いた基板5と電子部品4との被覆を容易に実施することができる。
また、中間層12の平均厚さは、1μm以上30μm以下であることが好ましく、5μm以上15μm以下であることがより好ましい。中間層12の平均厚さをかかる範囲内に設定することにより、封止用フィルム100を強靱性に優れ、かつ、封止用フィルム100の軟化点における伸び率が150%以上3500%以下の範囲内に確実に設定されているものとし得る。
中間層13は、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を150%以上3500%以下に設定するものとすることを目的に、本実施形態では、エチレン共重合体としてのエチレン−酢酸ビニル共重合体を主材料として含有する層である。
また、このエチレン−酢酸ビニル共重合体としては、共重合されるVA含有量が5重量%以上30重量%以下であることが好ましく、10重量%以上20重量%以下であることがより好ましい。前記下限値未満であると、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を前記範囲内に設定することが困難となるおそれがある。これに対して、前記上限値を超えると、中間層13を構成する樹脂の結晶部が減少し、非結晶部が増加する傾向を示すことに起因して、封止用フィルム100を、最内層14を備える構成としたとしても、中間層13に残存する酸化防止剤等の添加剤が溶出するおそれがある。そのため、最内層14を通過して、電子部品搭載基板45側に移行し、その結果、電子部品4の特性に不都合が生じるおそれがある。また、融点も低下する傾向を示すことから封止用フィルム100の耐熱性が低下するおそれもある。
また、中間層13の平均厚さは、5μm以上130μm以下であることが好ましく、20μm以上80μm以下であることがより好ましい。中間層13の平均厚さをかかる範囲内に設定することにより、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を150%以上3500%以下の範囲内に確実に設定することができる。
なお、中間層12と中間層13とは、最外層11側からこの順で積層される場合の他、最外層11側から中間層13と中間層12とがこの順で積層されていてもよい。
最内層14は、中間層13に含まれる酸化防止剤等の添加剤が溶出するのに起因して、電子部品搭載基板45側に移行するのを抑制または防止するブロッキング層として機能させることを目的に、エチレン系ヒートシール性樹脂を主材料として含有する層である。
また、最内層14は、電子部品搭載基板45を封止用フィルム100で被覆する際に、電子部品4と密着(接触)する層であり、さらに、封止用フィルム100を基板5にヒートシールさせるための層として機能する。
このような最内層14に含まれるエチレン系ヒートシール性樹脂としては、本実施形態では、JIS K7112に定める方法により測定された密度が0.890以上0.910以下の範囲にあり、JIS K7206に定める方法により測定されたビカット軟化点が90℃以下である直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)が好ましく用いられる。
また、最内層14には、エチレン系ヒートシール性樹脂の他に、滑剤が含まれていても良い。その場合、滑剤としては、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等の有機系滑剤、シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム等の無機系滑剤が好ましく用いられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。その添加量としては好ましくは0.1〜5重量%であり、通常、マスターバッチの形で添加される。
この最内層14の平均厚さは、1μm以上20μm以下であることが好ましく、5μm以上15μm以下であることがより好ましい。最内層14の平均厚さをかかる範囲内に設定することにより、最内層14に、前記ブロッキング層としての機能を確実に付与し得るとともに、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を150%以上3500%以下の範囲内に確実に設定することができる。
なお、酸化防止剤等の添加剤が中間層13から溶出するのは、主として、電子部品4等の駆動により、封止用フィルム100が加熱されるときであるため、封止用フィルム100を、最内層14を備える構成とすることで、図3に示す、電子部品搭載基板45が封止用フィルム100で被覆された構成をなす封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50の耐熱性の向上を図ることができる。
また、封止用フィルム100が備える中間層13において、酸化防止剤等の添加剤の溶出が抑制または防止され、中間層13によるシール性が確保されている場合には、封止用フィルム100における最内層14の形成を省略してもよい。
また、封止用フィルム100では、最外層11と中間層12との間、中間層12と中間層13との間、中間層13と最内層14との間には、接着性を付与したり、あるいは接着性を高めるために必要に応じて接着層を設けるようにすることもできる。特に、最外層11と中間層12との間または中間層12と中間層13との間は、共押出による製膜加工でも接着強度が弱いため、この両層の間には接着樹脂層を配置することが好ましい。
接着層に含まれる接着性樹脂としては、例えば、EVA、エチレン−無水マレイン酸共重合体、EAA、EEA、エチレン−メタクリレート−グリシジルアクリレート三元共重合体、あるいは、各種ポリオレフィンに、アクリル酸、メタクリル酸などの一塩基性不飽和脂肪酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの二塩基性不飽和脂肪酸またはこれらの無水物をグラフトさせたもの、例えば、マレイン酸グラフト化EVA、マレイン酸グラフト化エチレン−α−オレフィン共重合体、スチレン系エラストマー、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等、公知のものを適宜、使用することができる。
なお、最外層11と中間層12との間または中間層12と中間層13との間に接着層を介挿する構成とする場合、接着層と中間層12との積層体は、これら接着層と中間層12とが繰り返し積層された繰り返し体であってもよいし、さらに、接着層と中間層13との積層体は、これら接着層と中間層13とが繰り返し積層された繰り返し体であってもよい。
また、本実施形態では、最外層11、中間層13および最内層14により、ポリオレフィン系樹脂を主材料として含有する層が構成される。
<<第2実施形態>>
また、前記第1実施形態のように、封止用フィルム100が、ポリオレフィン系樹脂を主材料として含有する層を1層以上有する多層体で構成される場合の他、例えば、封止用フィルム100を、ポリアミド系樹脂を主材料として含有する層を1層以上有する多層体で構成することができるが、この場合の一例としては、以下に示すようなものが挙げられる。
図2に示すように、本実施形態において、封止用フィルム100は、最外層21、中間層22、中間層23、最内層24を備え、これらが、被覆すべき電子部品搭載基板45の反対側から、この順で積層されている積層体で構成されている。
最外層21は、電子部品搭載基板45が封止用フィルム100で被覆された封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50の外側に対する耐熱性を付与するためのものであり、軟質塩化ビニル系樹脂および直鎖低密度ポリエチレンのうちの少なくとも1種を含有する層である。
軟質塩化ビニル樹脂としては、平均重合度700以上1800以下の塩化ビニル単独重合体、エチレン含有量10%以下のエチレン−塩化ビニル共重合体、またはエチレン−酢酸ビニル共重合体含有量12%以下のエチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラフト共重合体を用いることができ、さらには、これらの混合物をベースレジン100重量部として、可塑剤を40%以上70重量部以下添加したものも用いることができる。
また、可塑剤としては、フタル酸系、リン酸系、脂肪族系、ポリエステル系、トリメリット酸系、ピロメリット酸系等の公知のものを用いることができる。
さらに、この他、最外層21中には、安定剤、滑剤、加工助剤、二次可塑剤兼安定剤等が含まれていてもよい。
直鎖低密度ポリエチレンとしては、特に限定されないが、例えば、エチレンにヘキセンまたはオクテンを共重合させたものが用いられ、密度0.935g/cm2以下、融点120℃以上、軟化点110℃以上のものが好ましく用いられる。
最外層21をかかる構成のものとすることで、封止用フィルム100を、優れた耐熱性を有するものとし得るとともに、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を150%以上3500%以下に設定することができる。
また、最外層21の平均厚さは、5μm以上60μm以下であることが好ましく、10μm以上40μm以下であることがより好ましい。最外層21の平均厚さをかかる範囲内に設定することにより、封止用フィルム100に耐熱性を確実に付与し得るとともに、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を150%以上3500%以下の範囲内に確実に設定することができる。
なお、封止用フィルム100が、封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50の外側に対する耐熱性を考慮する必要がないものである場合には、封止用フィルム100における最外層21の形成を省略してもよい。
中間層22は、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を150%以上3500%以下に設定するものとすることを目的に、ポリアミド系樹脂を主材料として含有する層である。
また、このポリアミド系樹脂としては、例えば、カプロラクタムとラウリルラクタムとからなるナイロン−6,12、または、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とカプロラクタムとからなるナイロン−6−6,6において6−ナイロンの比率が30%以上90%以下のもののような共重合ナイロンであることが好ましい。このような共重合ナイロンを用いることにより、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を前記範囲内に確実に設定することができる。
さらに、共重合ナイロンにおける、6−ナイロンの比率が50%以上85%以下、融点が200℃以下、重量平均分子量が20,000以上であることがより好ましい。これにより、中間層22の適度な溶融粘度の低下が図られるため、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を前記範囲内により確実に設定し得るとともに、封止用フィルム100の製造時における中間層22の成膜性を維持することができる。
また、中間層22の平均厚さは、1μm以上40μm以下であることが好ましく、5μm以上20μm以下であることがより好ましい。中間層22の平均厚さをかかる範囲内に設定することにより、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を150%以上3500%以下の範囲内に確実に設定することができる。
中間層23は、封止用フィルム100に酸素ガスバリア性を付与するためのものであり、酸素ガスバリア性樹脂を含有する層である。
この酸素ガスバリア性樹脂としては、前記第1実施形態の最外層11で挙げたものと同様に、エチレン−ビニルアルコール共重合体ケン化物のうち、共重合されるエチレン含有量が27〜44モル%のものであることが好ましい。
また、中間層23の平均厚さは、1μm以上30μm以下であることが好ましく、5μm以上15μm以下であることがより好ましい。中間層23の平均厚さをかかる範囲内に設定することにより、封止用フィルム100に酸素ガスバリア性を確実に付与し得るとともに、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を150%以上3500%以下の範囲内に確実に設定することができる。
なお、中間層22と中間層23とは、最外層21側からこの順で積層される場合の他、最外層21側から中間層23と中間層22とがこの順で積層されていてもよい。
また、封止用フィルム100に、酸素ガスバリア性を付与する必要がない場合には、封止用フィルム100における中間層23の形成を省略してもよい。
最内層24は、電子部品搭載基板45を封止用フィルム100で被覆する際に、電子部品4と密着(接触)する層であり、さらに、封止用フィルム100を基板5にヒートシールさせるための層として機能させることを目的に、エチレン系ヒートシール性樹脂を主材料として含有する層である。
このような最内層24に含まれるエチレン系ヒートシール性樹脂としては、前記第1実施形態の最内層14で挙げたのと同様のものを用いることができる。
この最内層24の平均厚さは、1μm以上20μm以下であることが好ましく、5μm以上15μm以下であることがより好ましい。最内層24の平均厚さをかかる範囲内に設定することにより、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を150%以上3500%以下の範囲内に確実に設定することができる。
なお、酸化防止剤等の添加剤が中間層23から溶出するのは、主として、電子部品4等の駆動により、封止用フィルム100が加熱されるときであるため、封止用フィルム100を、最内層24を備える構成とすることで、電子部品搭載基板45が封止用フィルム100で被覆された構成をなす封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50の耐熱性の向上を図ることができる。
なお、封止用フィルム100において、中間層23により基板5に対するシール性を確保し得る場合には、封止用フィルム100における最内層24の形成を省略してもよい。
また、封止用フィルム100では、前記第1実施形態と同様に、最外層21と中間層22との間、中間層22と中間層23との間、中間層23と最内層24との間には、接着性を付与したり、あるいは接着性を高めるために必要に応じて接着層を設けるようにすることもできる。
なお、最外層21と中間層22との間または中間層22と中間層23との間に接着層を介挿する構成とする場合、接着層と中間層22との積層体は、これら接着層と中間層22とが繰り返し積層された繰り返し体であってもよいし、さらに、接着層と中間層23との積層体は、これら接着層と中間層23とが繰り返し積層された繰り返し体であってもよい。
また、本実施形態では、中間層22により、ポリアミド系樹脂を主材料として含有する層が構成される。
さらに、前記第1実施形態および第2実施形態の封止用フィルム100を製造する製造方法については、特に限定されず、例えば、公知の共押出法、ドライラミネート法等を用いて、成膜および積層を行うことにより得ることができる。
ここで、封止用フィルム100を、前記第1実施形態および第2実施形態で示した多層体で構成することにより、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を比較的容易に150%以上3500%以下に設定することができるが、この伸び率は、150%以上3500%以下であればよいが、150%以上3000%以下であることが好ましく、500%以上2000%以下であることがより好ましい。これにより、封止用フィルム100を用いて、電子部品搭載基板45が備える凹凸6の被覆に適用した際に、凹凸6の形状に対して優れた追従性をもって封止した状態で被覆することができ、かつ、封止用フィルム100の途中で破断されるのを的確に抑制または防止することができる。
また、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を前記範囲内とすることにより、基板5に設けられた凹凸6における段差が10mm以上のように段差が大きいものであったとしても、封止用フィルム100を凹凸6の形状に対応して追従させることができる。
なお、破断伸び(軟化点における伸び率)の測定は、オートグラフ装置(例えば、島津製作所製、AUTOGRAPH AGS−X等)を用いて、JIS K 6251に記載の方法に準拠して測定することができる。
また、封止用フィルム100の軟化点は、動的粘弾性測定装置(例えば、セイコーインスツル社製、EXSTAR6000等)を用いて、チャック間距離20mm、昇温速度5℃/および角周波数10Hzの条件で測定し得る。
さらに、封止用フィルム100の25℃以上80℃以下の温度範囲での線膨張率は、100ppm/K以下であることが好ましく、5ppm/K以上50ppm/K以下であることがより好ましい。封止用フィルム100の25℃以上80℃以下の温度範囲での線膨張率がこのような範囲の値であると、封止用フィルム100の加熱時において、封止用フィルム100は、優れた伸縮性を有するものとなるため、封止用フィルム100の凹凸6に対する形状追従性をより確実に向上させることができる。さらに、封止用フィルム100と、基板5さらには電子部品4との間で、優れた密着性を維持することができるため、電子部品搭載基板45の駆動を繰り返すことで生じる発熱に起因する封止用フィルム100の電子部品搭載基板45からの剥離をより的確に抑制または防止することができる。なお、封止用フィルム100の線膨張率は、例えば、動的粘弾性測定装置(例えば、セイコーインスツル社製、EXSTAR6000等)を用いて算出し得る。
また、封止用フィルム100の80℃における貯蔵弾性率は、1×105Pa以上であることが好ましく、2×105Pa以上9×108Pa以下であることがより好ましい。これにより、封止用フィルム100を用いて、電子部品搭載基板45が備える凹凸6を被覆する際に、封止用フィルム100を凹凸6の形状に対応してより確実に追従させることができる。そのため、封止用フィルム100を凹凸6に対してより優れた密着性(気密性)をもって、被覆し得ることから、封止用フィルム100の被覆により、湿気や埃等の外部因子に対するバリア性をより確実に向上させることができる。なお、封止用フィルム100の80℃における貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(例えば、セイコーインスツル社製、EXSTAR6000等)を用いて、チャック間距離20mm、昇温速度5℃/分及び角周波数10Hzの条件で測定し得る。
封止用フィルム100の全体としての平均厚さは、10μm以上200μm以下であることが好ましく、20μm以上150μm以下であることがより好ましい。封止用フィルム100の平均厚さをかかる範囲内に設定することにより、封止用フィルム100の途中において、封止用フィルム100が破断するのを的確に抑制または防止し得るとともに、封止用フィルム100の軟化点における伸び率を150%以上3500%以下の範囲内に確実に設定することができる。
<電子部品搭載基板の封止方法>
次に、上述した本発明の封止用フィルムを用いた電子部品搭載基板の封止方法について説明する。
本実施形態の電子部品搭載基板の封止方法は、基板5と電子部品4とを覆うように封止用フィルム100を配置する配置工程と、封止用フィルム100を加熱し軟化させるとともに、減圧する加熱・減圧工程と、封止用フィルム100を冷却させるとともに、加圧することで、基板5と電子部品4とを封止用フィルム100で被覆する冷却・加圧工程とを有する。
図3は、本発明の封止用フィルムを用いた電子部品搭載基板の封止方法を説明するための縦断面図である。
以下、電子部品搭載基板の封止方法の各工程について、順次説明する。
(配置工程)
まず、図3(a)に示すように、電子部品搭載基板45が備える基板5と電子部品4とを覆うように封止用フィルム100を電子部品搭載基板45上に配置する。
(加熱・減圧工程)
次に、図3(b)に示すように、封止用フィルム100を加熱し軟化させるとともに、減圧する。
このように、封止用フィルム100を加熱することにより、封止用フィルム100が軟化し、その結果、基板5上に電子部品4を搭載することにより形成された凹凸6の形状に対して、追従し得る状態となる。
また、この際、電子部品搭載基板45および封止用フィルム100を、減圧雰囲気下に配置することで、封止用フィルム100の上側ばかりでなく、電子部品搭載基板45と封止用フィルム100との間の気体(空気)が脱気される。
これにより、封止用フィルム100が伸展しながら、凹凸6の形状に若干追従した状態となる。
本工程により、電子部品搭載基板45に形成された凹凸6の形状に対して、封止用フィルム100を、追従し得る状態とすることができる。
なお、封止用フィルム100の加熱と、雰囲気の減圧とは、加熱の後に減圧してもよく、減圧の後に加熱してもよいが、加熱と減圧とをほぼ同時に行うことが好ましい。これにより、軟化した封止用フィルム100を、凹凸6の形状に確実に若干追従した状態とすることができる。
(冷却・加圧工程)
次に、図3(c)に示すように、封止用フィルム100を冷却させるとともに、加圧する。
このように、減圧された雰囲気から加圧することで、前記加熱・減圧工程において、電子部品搭載基板45と封止用フィルム100との間が脱気され、減圧状態が維持されていることから、封止用フィルム100がさらに伸展することとなり、その結果、凹凸6の形状に優れた密着度(気密度)で追従した状態で、軟化した状態の封止用フィルム100により、基板5と電子部品4とが被覆される。
この際、本発明では、封止用フィルム100の軟化点における伸び率が150%以上3500%以下となっている。そのため、封止用フィルム100は、この加圧時に、電子部品搭載基板45に形成された凹凸6に対してより優れた形状追従性をもって伸展させることができるため、軟化した状態の封止用フィルム100により、基板5と電子部品4とを優れた密着性をもって被覆することができる。
そして、封止用フィルム100により、基板5と電子部品4とを、優れた密着性(気密性)をもって被覆した状態で、封止用フィルム100を冷却することで、この状態を維持したまま、封止用フィルム100が固化する。
これにより、電子部品搭載基板45に形成された凹凸6の形状に追従した状態で、封止用フィルム100により、基板5と電子部品4とが被覆された封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50が得られることとなる。そのため、この封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50において、湿気や埃等の外部因子と電子部品4が接触するのを的確に抑制または防止することができる。したがって、得られる封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50ひいてはこの封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50を備える電子機器の信頼性の向上が図られる。
本工程により、電子部品搭載基板45に形成された凹凸6の形状に対応して、封止用フィルム100を、優れた密着性をもって被覆させることができる。
なお、封止用フィルム100の冷却と、雰囲気の加圧とは、加圧の後に冷却してもよいが、冷却と加圧とをほぼ同時に行うことが好ましい。これにより、凹凸6の形状に対応して、封止用フィルム100をより優れた密着性をもって被覆させることができる。
上記の工程を経ることで、封止用フィルム100により、基板5と電子部品4とが被覆された封止用フィルム被覆電子部品搭載基板50を得ることができる。
以上、本発明の封止用フィルムおよび封止用フィルム被覆電子部品搭載基板について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の封止用フィルムでは、前記第1、第2実施形態の任意の構成を組み合わせることもできる。
例えば、本発明の封止用フィルムには、同様の機能を発揮し得る、任意の層が追加されていてもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
<封止用フィルムの製造>
封止用フィルムを得るために、形成すべき封止用フィルムの各層を構成する樹脂として、それぞれ、以下に示すものを用意した。
すなわち、最外層11を構成する樹脂として、EVOH(クラレ製、「エバールSP295B」、密度1.13g/cm3 、メルトインデックス5.5g/10min(190℃測定)、融点163℃、エチレン含有量44モル%)を用意した。
また、中間層13を構成する樹脂として、接着樹脂(三井化学製、「アドマーNF536」、密度0.905kg/m3 、MFR3.5g/10min(190℃測定)、融点120℃)を用意した。
さらに、中間層12を構成する樹脂として、アイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル製、「ハイミラン1855」、密度0.940kg/m3 、MFR1.3g/10min(190℃測定)、融点97℃)を用意した。
また、最内層14を構成する樹脂として、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(三井デュポンポリケミカル製、「エバフレックスV5714RC」、密度0.940kg/m3 、MFR2.8g/10min(190℃測定)、融点89℃、酢酸ビニル含有量16重量%)を用意した。
次に、これら最外層11を構成する樹脂、中間層12を構成する樹脂、中間層13を構成する樹脂および最内層14を構成する樹脂を用いて、共押出法により、最外層11/中間層13/中間層12/最内層14の順に積層された積層体で構成される実施例1の封止用フィルムを得た。
なお、得られた実施例1の封止用フィルムの各層の平均厚さ(μm)は、それぞれ、最外層11より13/9/13/65μmであり、合計厚さは、100μmであった。
また、実施例1の封止用フィルムの軟化点における伸び率を測定したところ1200%であった。
さらに、実施例1の封止用フィルムにおける、25℃以上80℃以下の温度範囲での線膨張率を測定したところ、20ppm/Kであった。
また、封止用フィルムの80℃における貯蔵弾性率を測定したところ、2×107Paであった。
<封止用フィルム被覆電子部品搭載基板の製造>
まず、任意の電子部品搭載基板を用意し、その後、スキンパック包装機(ハイパック社製、「HI−750シリーズ」)が備えるチャンバー内において、電子部品搭載基板が有する基板と電子部品とを覆うように得られた実施例1の封止用フィルムを配置した。
次に、封止用フィルムを加熱し軟化させるとともに、チャンバー内を減圧した。なお、封止用フィルムを加熱した温度は125℃であり、チャンバーの圧力は0.4kPaであり、かかる加熱・減圧の条件を1分間保持した。
次に、チャンバー内を常温・常圧に戻すことで、封止用フィルムを冷却するとともに、チャンバー内を加圧した。これにより、基板と電子部品とが封止用フィルムで被覆された実施例1の封止用フィルム被覆電子部品搭載基板を得た。
(実施例2)
前記実施例1の中間層13のみで構成される実施例2の封止用フィルムおよび封止用フィルム被覆電子部品搭載基板を得た。
(実施例3)
前記実施例1の中間層12のみで構成される実施例3の封止用フィルムおよび封止用フィルム被覆電子部品搭載基板を得た。
(実施例4)
封止用フィルムを得るために、形成すべき封止用フィルムの層を構成する樹脂として、以下に示すものを用意した。
そして、この層を構成する樹脂を用いて、押出法により、実施例4の封止用フィルムを得た。なお、得られた実施例4の封止用フィルムの平均厚さ(μm)は、100μmであった。
ポリプロピレン樹脂(住友化学製、「ノーブレンFS2011DG2」、密度0.900g/cm3 、メルトインデックス2.0g/10min(230℃測定)、融点160℃)
(実施例5)
封止用フィルムを得るために、形成すべき封止用フィルムの各層を構成する樹脂として、それぞれ、以下に示すものを用意したこと以外は、前記実施例1と同様にして、共押出法により、最外層21/中間層22/中間層23/最内層24の順に積層された積層体で構成される実施例5の封止用フィルムを得た。
最外層21を構成する樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン製、「4040FC」、密度938g/cm3 、メルトインデックス3.5g/10min(190℃測定)、融点126℃)を用意した。
さらに、中間層22を構成する樹脂として、ポリアミド樹脂(宇部興産製、「1030B2」、相対粘度4.1(96%硫酸)、融点220℃)を用意した。
また、中間層23を構成する樹脂として、EVOH(クラレ製、「エバールJ171B」、密度1.18g/cm3 、メルトインデックス1.7g/10min(190℃測定)、融点183℃、エチレン含有量32モル%)を用意した。
また、最内層24を構成する樹脂として、最外層21と同じ樹脂を用意した。
(比較例1)
比較例1として、市販の二軸延伸PETフィルム(東洋紡社製、銘柄:E5107)を用意した。
<評価試験>
各実施例および比較例で作製した封止用フィルムまたは封止用フィルム被覆電子部品搭載基板について、形状追従性、シワの発生の有無、耐熱性の評価を行った。以下に、これらの評価方法について説明する。
<<形状追従性>>
形状追従性は、以下のようにして評価した。
すなわち、各実施例および比較例で作製した封止用フィルム被覆電子部品搭載基板について、被覆した凹凸における空隙の有無により、以下の評価基準に基づいて判断した。なお、空隙の有無は、顕微鏡を用いて観察した。
各符号は以下のとおりであり、○を合格とし、×を不合格とした。
○ :段差の底部にまで、充填された状態で被覆されている
× :段差の底部において明らかな空隙が形成された状態で被覆されている
<<シワの有無>>
シワの有無は、以下のようにして評価した。
すなわち、各実施例および比較例で作製した封止用フィルム被覆電子部品搭載基板について、被覆した上面におけるシワの有無により、以下の評価基準に基づいて判断した。なお、シワの有無は、マイクロスコープを用いて観察した。
各符号は以下のとおりであり、○を合格とし、×を不合格とした。
○:封止用フィルムの上面の全体にシワが認められない
×:封止用フィルムの上面の凸部に対応する位置に明らかなシワが認められる
表1から明らかなように、各実施例の封止用フィルムでは、軟化点における伸び率が150%以上3500%以下であることにより、凹部の底部における空隙、さらには封止用フィルムの上面におけるシワが生じることなく、電子部品搭載基板に対して被覆することが可能であった。
これに対して、比較例の封止用フィルムでは、軟化点における伸び率が150%未満であり、これに起因して、封止用フィルムによる電子部品搭載基板に対する被覆の際に、凹部の底部における空隙および封止用フィルムの上面におけるシワが発生する結果となった。