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JP2018008914A - 抗脳腫瘍剤及び脳腫瘍治療用医薬組成物 - Google Patents

抗脳腫瘍剤及び脳腫瘍治療用医薬組成物 Download PDF

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JP2018008914A JP2016140810A JP2016140810A JP2018008914A JP 2018008914 A JP2018008914 A JP 2018008914A JP 2016140810 A JP2016140810 A JP 2016140810A JP 2016140810 A JP2016140810 A JP 2016140810A JP 2018008914 A JP2018008914 A JP 2018008914A
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敦 平尾
Atsushi Hirao
敦 平尾
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Kanazawa University NUC
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Abstract

【課題】脳腫瘍への特異性が高い新規の抗脳腫瘍剤を提供する。
【解決手段】本発明の抗脳腫瘍剤は、アモキサピン又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、抗脳腫瘍剤及び脳腫瘍治療用医薬組成物に関する。
mTOR(mammalian target of rapamycin)は、ラパマイシンの標的分子として同定された、2種類の異なる複合体として存在するセリン・スレオニンキナーゼである。
mTOR複合体1(mTORC1)は、mTOR、Raptor、GβL(mLST8)、及びDeptorから構成され、ラパマイシンによって部分的に阻害される。mTORC1は、増殖因子、栄養素、又はエネルギーの利用状況を反映する多くのシグナルを統合して、条件が良い時には細胞増殖を促進し、ストレス条件下や条件が良くない時には分解過程を亢進させる。mTORC1によるシグナル伝達経路の制御には様々ながん抑制遺伝子、及びがん遺伝子が関わっていることが知られている。
また、mTOR複合体2(mTORC2)は、mTOR、Rictor、GβL、Sin1、PRR5/Protor−1、及びDeptorから構成され、Aktを活性化することによって細胞の生存を促進する。
mTORは、細胞の栄養状態を反映し、蛋白合成、細胞増殖、血管新生、免疫などを制御する。mTOR阻害剤は、抗癌剤、免疫抑制剤として実用化されている。
膠芽腫(glioblastoma;GBM)は、ヒトにおける星状細胞系腫瘍のうちグレードIVに分類される、最も悪性度の高い神経膠腫(グリオーマ)である。また、mTORC1の活性が高いほど、神経膠腫(グリオーマ)の予後が悪いことが知られている(例えば、非特許文献1〜3参照。)。mTORC1によるシグナル伝達経路は神経膠腫(グリオーマ)の悪性化の進行に関与していることは明らかであるが、ラパマイシン及びその類似体等のmTORC1阻害剤は、GBMの治療に有効ではない。
よって、P13Kの活性化を刺激し、腫瘍細胞の生存を助けるフィードバックループがmTORによるシグナル伝達経路に存在すると考えられる。このことから、基質のリン酸化を完全に阻害するATP競合TOR阻害剤及びP13K/mTOR阻害剤が開発されている(例えば、非特許文献4参照。)。
Chakravarti, A., et al., "The prognostic significance of phosphatidylinositol 3-kinase pathway activation in human gliomas", J. Clin. Oncol., vol.22, p1926-1933、2004. Yang, J., et al., "Mammalian target of rapamycin signaling pathway contributes to glioma progression and patients' prognosis", The Journal of surgical research, vol.168, p97-102, 2011. Korkolopoulou, P., et al., "Phosphorylated 4E-binding protein 1 (p-4E-BP1): a novel prognostic marker in human astrocytomas", Histopathology, vol.61, p293-305, 2012. Thoreen, C. C., et al., "An ATP-competitive mammalian target of rapamycin inhibitor reveals rapamycin-resistant functions of mTORC1", J. Biol. Chem., vol.284, p8023-8032, 2009.
非特許文献4に記載されているATP競合TOR阻害剤及びP13K/mTOR阻害剤は、望ましくない副作用を有する可能性があり、正常組織に重大な損傷を引き起こす可能性がある。
このため、脳腫瘍への特異性が高く、脳腫瘍の治療に有効な治療薬が求められていた。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、脳腫瘍への特異性が高い新規の抗脳腫瘍剤を提供する。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、発明者が独自に開発したマウスの脳腫瘍モデルを用いた実験系により、脳腫瘍の治療に有効な化合物が複数見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
[1]アモキサピン又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有することを特徴とする抗脳腫瘍剤。
[2]脳腫瘍が神経膠腫(グリオーマ)である[1]に記載の抗脳腫瘍剤。
[3][1]又は[2]に記載の抗脳腫瘍剤及び薬学的に許容できる担体を含むことを特徴とする脳腫瘍治療用医薬組成物。
本発明によれば、脳腫瘍への特異性が高い抗脳腫瘍剤を提供することができる。
(A)実施例1における0、1μM、5μM、又は20μMのアモキサピン処理したTsc1遺伝子欠損細胞、又はコントロール細胞での細胞生存率(%)を示すグラフである。(B)実施例1における0、1μM、5μM、又は20μMのモキシフロキサシンを添加したTsc1遺伝子欠損細胞、又はコントロール細胞での細胞生存率(%)を示すグラフである。(C)実施例1における0、1μM、5μM、又は20μMのクリンダマイシンを添加したTsc1遺伝子欠損細胞、又はコントロール細胞での細胞生存率(%)を示すグラフである。 (A)実施例2におけるアモキサピン処理又は未処理のヒト膠芽腫(glioblastoma;GBM)患者由来細胞株TGS−01でのミトコンドリアの膜電位を測定した結果を示すグラフである。(B)実施例2におけるアモキサピン処理又は未処理のヒトGBM患者由来細胞株TGS−04でのミトコンドリアの膜電位を測定した結果を示すグラフである。 (A)実施例3におけるDMSO、又は1μM、5μM、10μM、20μM、若しくは50μMのアモキサピン処理したヒトGBM患者由来細胞株TGS−01での細胞内ATP量を定量した結果を示すグラフである。(B)実施例3におけるDMSO、又は1μM、5μM、10μM、20μM、若しくは50μMのアモキサピン処理したヒトGBM患者由来細胞株TGS−04での細胞内ATP量を定量した結果を示すグラフである。(C)実施例3におけるDMSO、又は1μM、5μM、10μM、20μM、若しくは50μMのアモキサピン処理したTsc1遺伝子欠損細胞、又はコントロール細胞での細胞内ATP量を定量した結果を示すグラフである。 (A)実施例4におけるDMSO、又は0.1μM、0.5μM、1μM、5μM、10μM若しくは20μMのアモキサピンで処理して7日間培養したヒトGBM患者由来細胞株TGS−01でのスフィア形成数を示すグラフである。(B)実施例4におけるDMSO、又は0.5μM、1μM、5μM、10μM、若しくは20μMのアモキサピンで処理して7日間培養したヒトGBM患者由来細胞株TGS−04でのスフィア形成数を示すグラフである。(C)実施例4におけるDMSO、又は1μM、5μM、10μM、20μM、若しくは50μMのアモキサピンで処理して7日間培養したTsc1遺伝子欠損細胞、又はコントロール細胞でのスフィア形成数を示すグラフである。 実施例5におけるDMSO、又は20μMのアモキサピンで処理し、ピューロマイシン含有又は不含NSPC培地で培養したヒトGBM患者由来細胞株TGS−01でのタンパク質合成を、抗ピューロマイシン抗体を用いたウェスタンブロッティング法により検出した結果を示す画像である。 実施例6におけるDMSO、又は20μMのアモキサピンで処理して培養したヒトGBM患者由来細胞株TGS−01での細胞周期を解析した結果を示すグラフである。
<<抗脳腫瘍剤>>
一実施形態において、本発明は、アモキサピン又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有する抗脳腫瘍剤を提供する。
本実施形態の抗脳腫瘍剤は、脳腫瘍への特異性が高く、脳腫瘍、特に悪性度の高い脳腫瘍を効果的に治療することができる。
本発明者は、独自に開発したマウスの脳腫瘍モデルを用いた実験系(参考文献:Hirao,A.,et al., “Loss of Tsc1 accelerates malignant gliomagenesis when combined with oncogenic signals”, J. Biochem., vol.15, no.4, p227-233, 2014.)により、脳腫瘍に有効な化合物を複数見出し、本発明を完成させた。
上記実験系による脳腫瘍の治療に有効な化合物のスクリーニング方法について、以下に詳細に説明する。
まず、マウスのグリオーマ細胞(以下、「コントロール細胞」と称する場合がある。)と、マウスのTsc1遺伝子が欠損し、mTORが活性化されたグリオーマ細胞(以下、「Tsc1遺伝子欠損細胞」と称する場合がある。)と、をそれぞれ同じ細胞数となるように播種する。mTORC1の活性が高いほど、神経膠腫(グリオーマ)の予後が悪いことが知られていることから、Tsc1遺伝子欠損細胞は、より悪性度の高いグリオーマ(例えば、膠芽腫(グリオブラストーマ)等)のモデル細胞である。
次いで、コントロール細胞及びTsc1遺伝子欠損細胞に被検化合物を添加し、48時間程度培養する。次いで、被検化合物処理後のコントロール細胞及びTsc1遺伝子欠損細胞での細胞生存率(%)を算出する。
ここで、「生存率(%)」とは、[(特定の被検化合物処理後の生存細胞数)÷(特定の被検化合物未処理での生存細胞数)×100]で算出された値である。例えば、化合物A未処理での生存細胞数が100個であり、化合物A処理後の生存細胞数が80個である場合、生存率は80%となる。
次いで、それぞれの被検化合物において、Tsc1遺伝子欠損細胞における生存率(%)とコントロール細胞における生存率(%)とを比較し、Tsc1遺伝子欠損細胞における生存率(%)が低い被検化合物をスクリーニングする。
本発明者は、スクリーニングした被検化合物のうち、13種類の被検化合物では、上記実験系によるスクリーニング方法において、高い再現性が得られることを明らかにした。さらに、13種類の被検化合物のうち、アモキサピン、モキシフロキサシン、及びクリンダマイシンの3つの化合物が抗脳腫瘍剤として有効であることを初めて明らかにし(後述の実施例1及び図1(A)〜(C)参照。)、本発明を完成するに至った。
<アモキサピン>
一実施形態において、本発明の抗脳腫瘍剤は、アモキサピン又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有する。
アモキサピンは、従来、抗うつ薬として用いられる有機化合物の一種である。アモキサピンの構造式は、下記式(1)で表される化合物である。第二世代の三環系抗うつ薬として知られ、抗コリン作用が軽減されている。うつ病、抑うつ状態、パニック障害、過食症、線維筋痛症等の治療に用いられる。
本発明者により、アモキサピン又はその薬学的に許容できる塩が抗脳腫瘍剤として有効であることが初めて明らかとなった。
本明細書において、「薬学的に許容できる」とは、被検動物に適切に投与された場合に、概して、副作用を起こさない程度を意味する。
塩としては、薬学的に許容できる酸付加塩又は塩基性塩が好ましい。
酸付加塩としては、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸との塩;酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機酸との塩が挙げられる。
塩基性塩としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム等の無機塩基との塩;カフェイン、ピペリジン、トリメチルアミン、ピリジン等の有機塩基との塩が挙げられる。
本実施形態の抗脳腫瘍剤は、他の成分として、PBS、Tris−HCl等の緩衝液、アジ化ナトリウム、グリセロール等の添加剤を含んでいてもよい。
本実施形態の抗脳腫瘍剤を用いて、脳腫瘍、特に悪性度の高い脳腫瘍の治療方法を提供することができる。
治療対象として限定はされず、ヒト又はヒト以外の哺乳動物が挙げられ、ヒトが好ましい。
本実施形態の抗脳腫瘍剤の治療対象となる脳腫瘍は、頭蓋内に発生する全ての腫瘍が含まれ、血液、肺や胃など他の臓器由来の腫瘍であっても、転移により頭蓋内で増殖する腫瘍であれば含まれる。
前記脳腫瘍としては、発生頻度の高く代表的な神経膠腫(グリオーマ)、下垂体腺腫、神経鞘腫等が挙げられる。中でも、本実施形態の抗脳腫瘍剤の治療対象となる脳腫瘍は、神経膠腫(グリオーマ)であることが好ましい。
一般に、「神経膠腫(グリオーマ)」とは、神経膠(グリア)細胞から発生する腫瘍を意味する。また、「神経膠(グリア)細胞」とは、神経系(脳及び脊髄等)を構成する神経細胞ではない細胞の総称であり、神経に栄養を与え、神経の活動を支える役割を果たしている。
グリオーマには、様々な種類及び悪性度があり、例えば、表1に示すように分類できる。
表1において、「悪性度」とは、グレード(grade)ともいい、細胞の顕微鏡観察所見の異常、又は増殖及び転移速度の予測に基づいて評価されるものである。悪性度は、表2に示すように分類できる(参考文献:中里洋一、脳腫瘍の新WHO分類、脳神経外科 36:473−491,2008)。
表2において、MIB−1とは、抗Ki−67抗体のクローンの1つであって、増殖の程度を表わす細胞増殖マーカーである。また、Ki−67は乳癌、胃癌、大腸癌、子宮癌など多くの腫瘍において、分化度、血管侵襲及びリンパ節転移といった腫瘍の悪性度や予後とよく相関することが知られており、細胞増殖マーカーとして非常に有用である。
上述したグリオーマは、様々な種類又は悪性度のグリオーマが混ざっていることが多く、同じ病名でも抗がん剤の効果、放射線治療の効果、生命予後等が異なる。
本実施形態の抗脳腫瘍剤は、上述した全ての種類又は悪性度のグリオーマを効果的に治療することができ、特に、高悪性度のグリオーマであるグレード3、4の膠芽腫(グリオブラストーマ)を効果的に治療することができる。
<モキシフロキサシン>
他の実施形態において、本発明の抗脳腫瘍剤は、モキシフロキサシン又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有する。
モキシフロキサシンは、従来、ニューキノロン系抗菌薬として用いられる有機化合物の一種である。モキシフロキサシンの構造式は、下記式(2)で表される化合物である。表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、咽頭及び喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、副鼻腔炎、眼瞼炎、涙嚢炎、麦粒腫、結膜炎、瞼板腺炎、角膜炎(角膜潰瘍を含む)等の治療に用いられている。
本発明者により、モキシフロキサシン又はその薬学的に許容できる塩が抗脳腫瘍剤として有効であることが初めて明らかとなった。
塩としては、薬学的に許容できる酸付加塩又は塩基性塩が好ましい。
酸付加塩及び塩基性塩としては、上述の<アモキサピン>において例示されたものと同様のものが挙げられる。
本実施形態の抗脳腫瘍剤は、他の成分として、PBS、Tris−HCl等の緩衝液、アジ化ナトリウム、グリセロール等の添加剤を含んでいてもよい。
本実施形態の抗脳腫瘍剤を用いて、脳腫瘍、特に悪性度の高い脳腫瘍の治療方法を提供することができる。
治療対象として限定はされず、ヒト又はヒト以外の哺乳動物が挙げられ、ヒトが好ましい。
本実施形態の抗脳腫瘍剤の治療対象となる脳腫瘍は、上述の<アモキサピン>において例示されたものと同様のものが挙げられる。中でも、本実施形態の抗脳腫瘍剤の治療対象となる脳腫瘍は、グリオーマであることが好ましい。
本実施形態の抗脳腫瘍剤は、上述の<アモキサピン>において例示された全ての種類又は悪性度のグリオーマを効果的に治療することができ、特に、高悪性度のグリオーマであるグレード3、4の膠芽腫(グリオブラストーマ)を効果的に治療することができる。
<クリンダマイシン>
他の実施形態において、本発明の抗脳腫瘍剤は、クリンダマイシン又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有する。
クリンダマイシンは、従来、リンコマイシン系抗菌薬として用いられる有機化合物の一種である。クリンダマイシンの構造式は、下記式(3)で表される化合物である。誤嚥性肺炎(嚥下性肺炎)、口腔内感染症、ペニシリンアレルギーがある場合の咽頭炎や副鼻腔炎、腹腔内感染症、CA−MRSA(市中獲得型MRSA)感染症、表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症等の治療に用いられている。
本発明者により、クリンダマイシン又はその薬学的に許容できる塩が抗脳腫瘍剤として有効であることが初めて明らかとなった。
塩としては、薬学的に許容できる酸付加塩又は塩基性塩が好ましい。
酸付加塩及び塩基性塩としては、上述の<アモキサピン>において例示されたものと同様のものが挙げられる。
本実施形態の抗脳腫瘍剤は、他の成分として、PBS、Tris−HCl等の緩衝液、アジ化ナトリウム、グリセロール等の添加剤を含んでいてもよい。
本実施形態の抗脳腫瘍剤を用いて、脳腫瘍、特に悪性度の高い脳腫瘍の治療方法を提供することができる。
治療対象として限定はされず、ヒト又はヒト以外の哺乳動物が挙げられ、ヒトが好ましい。
本実施形態の抗脳腫瘍剤の治療対象となる脳腫瘍は、上述の<アモキサピン>において例示されたものと同様のものが挙げられる。中でも、本実施形態の抗脳腫瘍剤の治療対象となる脳腫瘍は、グリオーマであることが好ましい。
本実施形態の抗脳腫瘍剤は、上述の<アモキサピン>において例示された全ての種類又は悪性度のグリオーマを効果的に治療することができ、特に、高悪性度のグリオーマであるグレード3、4の膠芽腫(グリオブラストーマ)を効果的に治療することができる。
<<脳腫瘍治療用医薬組成物>>
一実施形態において、本発明は、上述の抗脳腫瘍剤及び薬学的に許容できる担体を含む脳腫瘍治療用医薬組成物を提供する。
本実施形態の脳腫瘍治療用医薬組成物によれば、脳腫瘍、特に悪性度の高い脳腫瘍を効果的に治療することができる。
本実施形態の脳腫瘍治療用医薬組成物の治療対象となる脳腫瘍は、上述の<アモキサピン>において例示されたものと同様のものが挙げられる。中でも、本実施形態の脳腫瘍治療用医薬組成物の治療対象となる脳腫瘍は、グリオーマであることが好ましい。
本実施形態の脳腫瘍治療用医薬組成物は、上述の<アモキサピン>において例示された全ての種類又は悪性度のグリオーマを効果的に治療することができ、特に、高悪性度のグリオーマであるグレード3、4の膠芽腫(グリオブラストーマ)を効果的に治療することができる。
<組成成分>
本実施形態の脳腫瘍治療用医薬組成物は、治療的に有効量の上述の抗脳腫瘍剤及び薬学的に許容されうる担体を含む。薬学的に許容されうる担体としては、通常製剤に用いられる賦形剤、希釈剤、増量剤、崩壊剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、乳化剤、芳香剤、着色剤、甘味料、粘稠剤、矯味剤、溶解補助剤、添加剤等が挙げられる。これら担体の1種以上を用いることにより、注射剤、液剤、カプセル剤、懸濁剤、乳剤、又はシロップ剤等の形態の医薬組成物を調製することができる。
また、担体としてコロイド分散系を用いることもできる。コロイド分散系は、上述の抗脳腫瘍剤の生体内安定性を高める効果や、特定の臓器、組織、又は細胞へ、上述の抗脳腫瘍剤の移行性を高める効果が期待される。コロイド分散系としては、例えばポリエチレングリコール、高分子複合体、高分子凝集体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、水中油系の乳化剤、ミセル、混合ミセル、リポソームを包含する脂質を挙げることができ、特定の臓器、組織、又は細胞へ、上述の抗脳腫瘍剤を効率的に輸送する効果のある、リポソームや人工膜の小胞が好ましい。
本実施形態の脳腫瘍治療用医薬組成物における製剤化の例としては、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤として経口的に使用されるものが挙げられる。
または、水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、又は懸濁液剤の注射剤の形で非経口的に使用されるものが挙げられる。更には、薬理学上許容される担体又は希釈剤、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤等と適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化されたものが挙げられる。
錠剤、カプセル剤に混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸のような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油又はチェリーのような香味剤が用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記の材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用蒸留水のようなベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。
本実施形態の脳腫瘍治療用医薬組成物が注射剤である場合、無菌組成物は、例えば、注射用蒸留水のようなベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。また、注射用の水溶液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えばD−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、塩化ナトリウム等が挙げられ、適当な溶解補助剤(例えば、アルコール(具体的には、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等))、又は非イオン性界面活性剤(例えばポリソルベート80(TM)、HCO−50等)と併用してもよい。
また、油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油等が挙げられ、溶解補助剤として、例えば、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等と併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液等)、無痛化剤(例えば、塩酸プロカイン等)、安定剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノール等)、又は酸化防止剤をさらに配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填させる。
また、注射剤は、非水性の希釈剤(例えば、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、エタノール等のアルコール類等)、懸濁剤、又は乳濁剤として調製することもできる。このような注射剤の無菌化は、フィルターによる濾過滅菌、殺菌剤等の配合により行うことができる。注射剤は、用事調製の形態として製造することができる。即ち、凍結乾燥法などによって、無菌の固体組成物とし、使用前に注射用蒸留水又は他の溶媒に溶解して使用することができる。
本実施形態の医薬組成物は、単独で用いてもよく、その他の脳腫瘍治療用医薬組成物と組み合わせて用いてもよい。
<投与量及び投与方法>
本実施形態の脳腫瘍治療用医薬組成物は、患者又は患畜の年齢、性別、体重、症状、治療方法、投与方法、処理時間等を勘案して適宜調節される。また、投与方法としては、例えば、動脈内注射、静脈内注射、皮下注射、鼻腔内的、腹腔内的、経気管支的、筋内的、経皮的、または経口的に当業者に公知の方法が挙げられる。
本実施形態の脳腫瘍治療用医薬組成物に含まれる上述の抗脳腫瘍剤の投与量は、症状及び抗脳腫瘍剤に含まれる有効成分(アモキサピン、モキシフロキサシン、又はクリンダマイシン)の種類により差異はあるが、有効成分がアモキサピンである場合、成人(体重60kg)1日あたり25〜300mgを経口投与することが挙げられる。また、有効成分がモキシフロキサシンである場合、成人(体重60kg)1日あたり200〜400mgを経口投与することが挙げられる。また、有効成分がクリンダマイシンである場合、成人(体重60kg)1日あたり600〜1,200mg(力価)を点滴静注することが挙げられる。抗脳腫瘍剤は、上記の投与量となるように1日に1回投与してもよいし、1日に複数回投与してもよい。
<治療方法>
本発明の一側面は、脳腫瘍の治療のための上述の抗脳腫瘍剤を含む医薬組成物を提供する。
また、本発明の一側面は、治療的に有効量の上述の抗脳腫瘍剤、並びに薬学的に許容されうる担体又は希釈剤を含む脳腫瘍治療用医薬組成物を提供する。
また、本発明の一側面は、前記医薬組成物を含む、脳腫瘍の治療剤を提供する。
また、本発明の一側面は、脳腫瘍の治療剤を製造するための上述の抗脳腫瘍剤の使用を提供する。
また、本発明の一側面は、上述の抗脳腫瘍剤の有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、脳腫瘍の治療方法を提供する。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]抗脳腫瘍剤として有効な化合物のスクリーニング
(1)マウスTsc1遺伝子欠損細胞の作製
まず、Tsc1f/f;Rosa26−CreERT2マウスの脳室下帯(subventricular zone:SVZ)から神経幹/前駆細胞 (neural stem/progenitor cell: NSPC)を単離した。次いで、NSPCをCostar(登録商標) Ultra−LOW 付着性マルチウェルプレート(コースター社製)に播種し、血清不含のNSPC培地を用いて培養した。NSPC培地の組成成分としては、DMEM/F12培地(ライフテクノロジー社製)、B27(登録商標)サプリメント(ライフテクノロジー社製)、50U/mLペニシリン、0.5%ストレプトマイシン(ライフテクノロジー社製))、20ng/mLヒトFGF2(和光社製)、及び20ng/mLヒトEGF(シグマ社製)である。
次いで、レトロウイルス産生用パッケージング細胞に、EGFRvIII及びヒト化されたクサビラオレンジ(huKO)の発現ベクターを導入した。次いで、導入後の培養上清を6,000×g、16時間遠心し、EGFRvIII及びhuKOを発現するレトロウイルスを得た。
次いで、NSPCにEGFRvIII及びhuKOを発現するレトロウイルスを添加し、24時間培養し、感染させた。次いで、形質転換されたNSPCについて、単一の細胞を分離し、5%FBS含有PBSに再懸濁した。次いで、形質転換されたNSPCのうち1×10個を、麻酔をしたBalb/c nu/nuマウスの脳内に移植した。
次いで、脳内に細胞を移植されたマウスから腫瘍組織を摘出し、Brain Tumor Dissociation Kitを用いて、グリオーマ細胞を分離した。次いで、分離されたグリオーマ細胞において、BD FACSAria IIIを用いて、huKO細胞を選別した。
次いで、0.1μM 4−hydroxytamoxifen (4−OHT)(シグマ社製)含有完全NSPC培地(20ng/mLヒトFGF2(和光社製)、及び20ng/mLヒトEGF(シグマ社製)含有)を用いて、huKO細胞を3日間培養した。次いで、培養細胞を洗浄して4−OHTを取り除き、完全NSPC培地(20ng/mLヒトFGF2(和光社製)、及び20ng/mLヒトEGF(シグマ社製)含有)でさらに2日間培養して、Tsc1遺伝子欠損グリオーマ細胞(以下、「Tsc1遺伝子欠損細胞」と称する場合がある。)を得た。また、コントロールとして、4−OHT処理をしていないグリオーマ細胞(以下、「コントロール細胞」と称する場合がある。)も準備した。
(2)抗脳腫瘍剤として有効な化合物のスクリーニング
次いで、Tsc1遺伝子欠損細胞及びコントロール細胞をそれぞれ同じ細胞数となるように384ウェルプレート(コーニング社製)に播種し、ドラッグライブラリに登録されている複数の化合物を、1μM、5μM、及び20μMと濃度をふって添加し、48時間培養した。使用したドラックライブラリとしては、FDA−approved drug library(ENZO;CB−ML−2841J0100)、ICCB known bioactives library(ENZO;CB−BML−2840J0100)、kinase inhibitor library(ENZO;CB−BML−2832J0100)、fatty acid library(ENZO;CB−BML−2803J0100) 、及び phosphatase inhibitor library(ENZO;CB―BML−2834J0100)である。また、細胞生存率を算出するために、化合物未処理のTsc1遺伝子欠損細胞及びコントロール細胞も準備した。
次いで、Cell Counting Kit(同仁化学研究所製)を用いて、生存している細胞を測定した。具体的には、WST−8剤を用いて30分間インキュベーションし、Infinite Pro200(Tecan社製)を用いて、450nmでの吸光度を測定した。化合物未処理のTsc1遺伝子欠損細胞及びコントロール細胞における450nmでの吸光度と比較することで、細胞生存率を算出した。
この結果、Tsc1遺伝子欠損細胞での細胞生存率が、コントロール細胞での細胞生存率での細胞生存率よりも低くなる化合物が37種類得られた(図示せず。)。
さらに、そのうち、13種類の化合物について、高い再現性が得られた。中でも、アモキサピン、モキシフロキサシン、及びクリンダマイシンの3つの化合物が抗脳腫瘍剤として有効であることが初めて明らかとなった。
アモキサピン、モキシフロキサシン、及びクリンダマイシンを用いた場合におけるTsc1遺伝子欠損細胞及びコントロール細胞での細胞生存率を図1(A)〜(C)に示す。図1(A)〜(C)において、横軸はそれぞれの化合物の細胞に添加した濃度を示し、縦軸は、細胞生存率(%)を示す。また、図1(A)〜(C)において、「Control」は、コントロール細胞を示し、「Tsc1−/−」はTsc1遺伝子欠損細胞を示す。
図1(A)〜(C)から、いずれの化合物においても、Tsc1遺伝子欠損細胞での生存率が、コントロール細胞での生存率よりも低く、mTORが活性化されているTsc1遺伝子欠損細胞、すなわちより悪性度の高いグリオーマ細胞に有効な抗腫瘍剤となり得る可能性が示唆された。
[実施例2]アモキサピン処理したヒト膠芽腫(glioblastoma;GBM)患者由来細胞株におけるミトコンドリア膜電位測定試験
(1)アモキサピン処理
細胞としては、ヒト膠芽腫(glioblastoma;GBM)患者由来細胞株であるTGS−01及びTGS−04を用いた。次いで、20μMのアモキサピンを添加、又は無添加条件下において、TGS−01及びTGS−04をそれぞれ30分間培養した。
(2)ミトコンドリア膜電位測定
次いで、アモキサピン処理及び未処理のTGS−01及びTGS−04に、JC−10 dye buffer(アブカム社製)を添加し、5%CO条件下で、37℃、30分間インキュベーションした。JC−10 dyeは、ミトコンドリア膜電位依存的な蓄積を呈し、これは緑色(約529nm)から赤色(約590nm)への蛍光波長シフトによって示される。このため、ミトコンドリアの脱分極は、赤色/緑色の蛍光強度比の減少によって示される。
次いで、PBSで洗浄し、530nm及び585nmのバンドパスフォルターを装着したフローサイトメーターにより488nmの励起波長で解析した。結果を図2(A)及び(B)に示す。図2(A)及び(B)において、「Amoxapine(−)」とはアモキサピン未処理のTGS−01又はTGS−04を示し、「Amoxapine(+)」とはアモキサピン処理のTGS−01又はTGS−04を示す。
図2(A)及び(B)から、アモキサピン処理によりミトコンドリアの膜電位が変化することが確かめられた。本発明者は、mTORが活性化されているグリオーマ細胞では、ミトコンドリアでの酸化的リン酸化をエネルギー源としていることをすでに確かめている。よって、膜電位を変化させ、酸化的リン酸化を阻害するアモキサピンは、mTORが活性化されているグリオーマ細胞、すなわち悪性度の高いグリオーマ細胞に有効な抗腫瘍剤となり得ることが示唆された。
[実施例3]アモキサピン処理したヒトGBM患者由来細胞株及びマウスGBMモデル細胞におけるATPの定量試験
(1)アモキサピン処理
細胞としては、ヒトGBM患者由来細胞株TGS−01及びTGS−04、並びに実施例1で作製したTsc1遺伝子欠損細胞及びコントロール細胞を用いた。
まず、それぞれの細胞を96ウェル又は384ウェル低接着プレート(コーニング社製)に播種し、DMSO、又は1μM、5μM、10μM、20μM、若しくは50μMのアモキサピン添加し、48時間培養した。
(2)ATPの定量
次いで、それぞれの細胞に、CellTiter−Glo(登録商標)(プロメガ社製)を添加し、撹拌して10分間静置した。次いで、Infinite Pro200(Tecan社製)を用いて、発光を検出し、細胞内在性のATP量を測定した。結果を図3(A)〜(C)に示す。図3(A)〜(C)において、横軸はDMSO、又はアモキサピンの濃度を示し、縦軸は発光強度を示す。また、図(C)において、「Control」は、コントロール細胞を示し、「Tsc1−/−」はTsc1遺伝子欠損細胞を示す。
図3(A)及び(B)から、アモキサピンの濃度が20μM以上において、細胞内在性のATP量が低下しており、図3(C)から、アモキサピンの濃度が50μM以上において、細胞内在性のATP量が低下していた。この差は、ヒトとマウスとの違いによるものであると推察された。
また、図3(A)〜(C)から、アモキサピンの濃度依存的に、顕著なATP合成阻害効果が見られることが確かめられた。
[実施例4]アモキサピン処理したヒトGBM患者由来細胞株及びマウスGBMモデル細胞におけるスフィア形成アッセイ
実施例1で作製したTsc1遺伝子欠損細胞及びコントロール細胞について、Accutase(登録商標)(Innovative Cell Technologies社製)を用いて単一細胞の懸濁液を調製し、40μmセルストレーナー(BDバイオサイエンス社製)を用いてろ過した。次いで、ヒトGBM患者由来細胞株TGS−01及びTGS−04、並びにろ過したTsc1遺伝子欠損グリオーマ細胞及びコントロール細胞を5×10細胞ずつ低接着プレート(コーニング社製)に播種した。次いで、DMSO、又は各濃度のアモキサピン、及び1%メチルセルロース含有NSPC培地(20ng/mLヒトFGF2(和光社製)、及び20ng/mLヒトEGF(シグマ社製)含有)を用いて、7日間培養した。結果を図4(A)〜(C)に示す。
図4(A)〜(C)において、横軸はDMSO、又はアモキサピンの濃度を示し、5×10細胞播種したうち形成されたスフィア数を示す。また、図4(C)において、「Control」は、コントロール細胞を示し、「Tsc1−/−」はTsc1遺伝子欠損細胞を示す。
図4(A)及び(B)から、アモキサピン濃度が10μM以上において、スフィア形成数が減少していた。また、図4(C)から、アモキサピン濃度が1μM以上において、スフィア形成数が減少していた。この差は、ヒトとマウスとの違いによるものであると推察された。
また、図4(A)〜(C)から、アモキサピンの濃度依存的に、スフィア形成能の低下、すなわちグリオーマ細胞の増殖抑制効果が見られることが確かめられた。
[実施例5]アモキサピン処理したヒトGBM患者由来細胞株におけるタンパク質合成確認試験
(1)アモキサピン処理
細胞としては、ヒトGBM患者由来細胞株TGS−01を用いた。まず、TGS−01を96ウェル低接着プレート(コーニング社製)に播種した。次いで、DMSO、又は20μMのアモキサピン、及び1μg/mLピューロマイシン含有NSPC培地(20ng/mLヒトFGF2(和光社製)、及び20ng/mLヒトEGF(シグマ社製)含有)を用いて、48時間培養した。ピューロマイシンは、細胞内の翻訳中のペプチドに取り込まれるため、細胞内におけるタンパク質合成の指標となる。
(2)ウェスタンブロッティング法によるピューロマイシンの検出
次いで、各条件で培養した細胞を回収し、Lysis Buffer(0.1M Tris(pH6.7)、4%SDS、リン酸化酵素阻害剤(Thermo Fisher Scientific社製)、プロテアーゼインヒビターカクテル錠Complete Mini(ロッシュ社製)含有)を用いて、細胞破砕液を調製した。次いで、BCA Protein Assay Kit(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて、細胞破砕液に含まれるタンパク質量を定量した。次いで、5μgのタンパク質量となるように調製した各条件の細胞破砕液をSDS−PAGEを用いて、分画した。次いで、分画したタンパク質を0.45mmPVDFメンブレン(ミリポア社製)に転写し、5%BSA及び0.02%Tween 20を含むPBSを用いて、ブロッキングした。次いで、ヤギ抗ピューロマイシン抗体を用いて、4℃でオーバーナイト1次抗体による抗原抗体反応を行った。次いで、HRP結合抗ヤギ抗体を用いて2次抗体による抗原抗体反応を行い、ECL Prime(GEヘルスケア社製)を用いて、検出した。結果を図5に示す。
図5から、20μMのアモキサピン処理したTGS−01では、ほとんどバンドが検出されなかった。このことから、アモキサピンによるタンパク質合成抑制効果が見られることが確かめられた。
[実施例6]アモキサピン処理したヒトGBM患者由来細胞株における細胞周期解析試験
(1)アモキサピン処理
細胞としては、ヒトGBM患者由来細胞株TGS−01を用いた。まず、TGS−01を96ウェル低接着プレート(コーニング社製)に播種した。次いで、DMSO、又は20μMのアモキサピン含有NSPC培地(20ng/mLヒトFGF2(和光社製)、及び20ng/mLヒトEGF(シグマ社製)含有)を用いて、48時間培養した。
(2)細胞周期の解析
次いで、10μMのBrdUを添加し、37℃で30分間インキュベーションした。次いで、細胞を回収し、PBSで洗浄後、−30℃の70%エタノールを加えて16時間保存した。次いで、2Nの塩酸及び0.5%Triton X 100を加えて、室温で30分間インキュベーションした。次いで、抗BrdU−FITC抗体(BDバイオサイエンス社製)を用いて、遮光条件下において室温で1時間インキュベーションして細胞を染色した。次いで、1%ウシ血清アルブミン及び7AAD(BDバイオサイエンス社製)含有PBSに細胞を再懸濁し、BD FACSAria IIIを用いて、1細胞ずつ検出し、細胞周期を解析した。結果を図6に示す。図6において、横軸は細胞周期の各期(G0/G1期、S期、又はG2/M期)を示し、縦軸は全生細胞数中の各期にある細胞数の割合を示す。
図6から、20μMのアモキサピン処理したTGS−01では、DMSO処理したTGS−01よりG2/M期の細胞数が上昇しており、G0/G1期の細胞が低下していることが明らかとなった。このことから、アモキサピンにより細胞周期異常が引き起こされており、細胞分裂が停止されて、細胞増殖が停止していると推察された。
[実施例7]アモキサピン投与によるマウス生存率の確認試験
(1)Tsc1遺伝子欠損グリオーマモデルマウスの作製
実施例1において作製した、EGFRvIII及びhuKOを発現するNSPCを脳内に移植したBalb/c nu/nuマウスを用いた。前記マウスに1mgタモキシフェン(TAM)(シグマ社製)を腹腔内投与し、腫瘍組織においてTsc1遺伝子を欠損させた。
(2)アモキサピンの投与
次いで、アモキサピン(5mg/kg/day)を腹腔内投与した。コントロールとして、アモキサピンを投与していないものも準備した。次いで、それぞれのマウスを飼育し、経時的な生存率を算出した。
その結果、アモキサピンを投与したマウス群が全て死滅したのは約33日後であり、アモキサピンを投与しなかったマウス群が全て死滅したのは約29日後であった。また、アモキサピンを投与したマウス群は、アモキサピンを投与しなかったマウス群と比較して、経時的な生存率が高い傾向があった。
このことから、アモキサピンはグリオーマの治療に有効であると推察された。
本発明によれば、脳腫瘍への特異性が高い抗脳腫瘍剤を提供することができる。

Claims (3)

  1. アモキサピン又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有することを特徴とする抗脳腫瘍剤。
  2. 脳腫瘍が神経膠腫(グリオーマ)である請求項1に記載の抗脳腫瘍剤。
  3. 請求項1又は2に記載の抗脳腫瘍剤及び薬学的に許容できる担体を含むことを特徴とする脳腫瘍治療用医薬組成物。
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