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JP2016117039A - ガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物 - Google Patents

ガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 基板表面の表面粗さの悪化が抑制されうるガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】 一又は複数の実施形態において、亜鉛又はカルシウムの無機塩(成分A)、及び水を含有する、ガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。該酸性洗浄剤組成物は、ガラス基板を研磨液組成物を用いて研磨する工程1と、工程1で得られたガラス基板を酸性洗浄剤組成物で洗浄する工程2と、工程2で得られたガラス基板をアルカリ性洗浄剤組成物で洗浄する工程3とを有するガラスハードディスク基板の製造方法において使用できる。
【選択図】なし

Description

本開示は、ガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物及びガラスハードディスク基板の製造方法に関する。
近年、パーソナルコンピュータや各種電子デバイスにおいては動画や音声等の大きなデータが扱われるようになり、大容量の情報記録装置が必要となっている。その結果、情報記録媒体は年々高記録密度化の要求が高まっている。これに対応するべく、ハードディスクでは、垂直磁気記録方式の採用、量産化が進められている。この垂直磁気記録方式においては、情報記録媒体用基板(以下、「ハードディスク基板」ともいう)は、現在の基板と比較して基板の耐熱性、表面の平滑性がより高いレベルで求められている。また、スピンドルモーターへの負担を軽減するための低比重化と、ディスクのクラッシュを防止するための高い機械的強度、落下時のヘッドとの衝撃に耐えうる高い破壊靱性を有することが現在にもまして重要になっている。
情報記録媒体用基板に用いられる材料としてはアルミ合金、ガラスなどがある。ガラスはアルミ合金よりもビッカース硬度が高い、表面平滑性が高い等の点で優位であり、動的な使用が想定される用途において現在多く使用されている。
特許文献1には、(1)pHが1.0〜4.0である研磨液組成物を用いて被研磨ガラス基板を研磨する工程と、(2)工程(1)で得られた基板を、pH8.0〜13.0のアルカリ性洗浄剤組成物を用いて浸漬洗浄する工程とを有するガラスハードディスク基板の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、微細化したパーティクルの洗浄力に優れると共に基板上の金属汚染が低減でき、製造時における歩留まり率の向上や短時間で洗浄が可能となる極めて効率的な高度洗浄を可能にする電子材料用洗浄剤として、スルファミン酸、分子内に少なくとも1個のスルホン酸基又はその塩基を有するアニオン性界面活性剤、キレート剤、及び水を必須成分として含有する洗浄剤が開示されている。
特開2012−107226号公報 特開2010−163609号公報
ガラス基板を研磨した後、まず酸性洗浄を行い、次にアルカリ性洗浄をすることで研磨材や研磨屑に由来する金属系パーティクルやシリカ系パーティクルである無機粒子に対する洗浄性が向上する。しかし、酸性洗浄の後にアルカリ性洗浄を行うと、ガラス基板の表面がエッチングされ、基板表面の平滑性(表面粗さ)が悪化する傾向があった。
本開示は、一又は複数の実施形態において、酸性洗浄の後にアルカリ性洗浄を行うガラスハードディスク基板の製造方法における酸性洗浄剤組成物であって、アルカリ洗浄後の基板表面の表面粗さの悪化を抑制しうるガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物を提供する。
本開示は、一又は複数の実施形態において、亜鉛又はカルシウムの無機塩(成分A)、及び水を含有する、ガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物(以下、本開示に係る酸性洗浄剤組成物ともいう)に関する。
本開示は、その他の一又は複数の実施形態において、下記工程1から3を含むガラスハードディスク基板の製造方法に関する。
研磨液組成物を用いてガラス基板を研磨する工程1。
工程1で得られたガラス基板を本開示に係る酸性洗浄剤組成物で洗浄する工程2。
工程2で得られたガラス基板をアルカリ性洗浄剤組成物で洗浄する工程3。
本開示によれば、一又は複数の実施形態において、基板表面の表面粗さの悪化が抑制されるガラスハードディスク基板の製造方法が提供されうる。
本開示は、研磨工程1と酸性洗浄工程2とアルカリ洗浄工程3とを有するガラスハードディスク基板の製造方法において、酸性洗浄工程2において、亜鉛又はカルシウムの無機塩(成分A)及び水を含有する酸性洗浄剤組成物を用いることで、工程3の後の基板の表面粗さの悪化が抑制できるという知見に基づく。
本開示に係る酸性洗浄剤組成物及び本開示に係る製造方法により表面粗さ悪化が抑制される機構の詳細は明らかではないが以下のように推定される。ガラスは酸性洗浄時に、ガラス表面近傍の珪素(Si)及び金属イオン等のガラス成分がガラス表面より溶出すると考えられる。そしてガラス成分が溶出した珪酸等の網目構造を形成する成分とする層はアルカリに溶解されやすい層であり、ガラス成分が溶出した部分がアルカリ洗浄時に溶解し、表面粗さが悪化すると考えられる。一方、亜鉛又はカルシウムの無機塩(成分A)を含有する酸性洗浄剤組成物で洗浄すると、酸性洗浄によりガラスから溶出した珪素(Si)と成分Aの亜鉛又はカルシウムとがスケールを形成することで、酸性洗浄時に珪素(Si)及び金属イオン等のガラス成分のさらなる溶出が抑制され、アルカリ洗浄時にガラスの溶解が抑制され、その結果、アルカリ洗浄による表面粗さの悪化が抑制されると推測される。但し、本開示はこれらに限定されて解釈されなくてもよい。
[成分A:亜鉛又はカルシウムの無機塩]
本開示に係る酸性洗浄剤組成物は、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、成分Aとして亜鉛又はカルシウムの無機塩を含有する。前記無機塩としては、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、硫酸塩及び炭酸塩が好ましい。
酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Aである亜鉛の無機塩の含有量は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは3.0質量%以上、より好ましくは7.0質量%以上、更に好ましくは18.0質量%以上である。該含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは62.0質量%以下、より好ましくは45.0質量%以下、更に好ましくは35.0質量%以下、より更に好ましくは30.0質量%以下である。
酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Aであるカルシウムの無機塩の含有量は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、更に好ましくは7.0質量%以上である。該含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは62.0質量%以下、より好ましくは45.0質量%以下、更に好ましくは35.0質量%以下、より更に好ましくは30.0質量%以下、より更に好ましくは20.0質量%以下である。
酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Aである亜鉛の無機塩の含有量は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、亜鉛の金属量として好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、更に好ましくは7.2質量%以上、より更に好ましくは9.0質量%以上である。該含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは24.0質量%以下、より好ましくは18.0質量%以下、更に好ましくは15.0質量%以下、より更により好ましくは12.0質量%以下である。
酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Aであるカルシウムの無機塩の含有量は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、カルシウムの金属量として好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.9質量%以上である。該含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは18.6質量%以下、より好ましくは7.8質量%以下、更に好ましくは5.0質量%以下、更により好ましくは3.0質量%以下である。
酸性洗浄時(工程2)の洗浄液中の成分Aである亜鉛の無機塩の含有量は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.025質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上である。該含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは0.10質量%以下、より好ましくは0.075質量%以下、更に好ましくは0.06質量%以下、更により好ましくは0.05質量%以下である。
酸性洗浄時(工程2)の洗浄液中の成分Aであるカルシウムの無機塩の含有量は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上である。該含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは0.10質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、更に好ましくは0.035質量%以下、更により好ましくは0.03質量%以下である。
酸性洗浄時(工程2)の洗浄液中の成分Aである亜鉛の無機塩の含有量は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、亜鉛の金属量として好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.008質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上である。該含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは0.10質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、更に好ましくは0.03質量%以下、更により好ましくは0.025質量%以下である。
酸性洗浄時(工程2)の洗浄液中の成分Aであるカルシウムの無機塩の含有量は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、カルシウムの金属量として好ましくは0.002質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。該含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは5.0質量%以下、更に好ましくは3.5質量%以下、更により好ましくは3.0質量%以下である。
ここで、本開示に係るガラスハードディスク基板の製造方法の工程2における酸性洗浄時の洗浄液は、一又は複数の実施形態において、本開示に係る酸性洗浄剤組成物又はその希釈物である。また、本開示において、成分Xの含有量とは、複数種類の成分Xが含有される場合、その合計の含有量をいう。以下同様。
亜鉛の無機塩とカルシウムの無機塩を併用する際の含有量は、ぞれぞれの無機塩が前述の範囲内であることが好ましい。
[成分B:無機酸]
本開示に係る酸性洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、成分Bとして無機酸を含有することが好ましい。前記無機酸は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸及び塩酸から選ばれる1種以上の無機酸である。成分Bは、一又は複数の実施形態において、安全性の観点から、硫酸、硝酸及びリン酸から選ばれる2種以上を併用することが好ましく、リン酸と、硫酸及び/又は硝酸とを併用することがより好ましく、リン酸と硫酸の併用が更に好ましい。
酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Bの含有量は、一又は複数の実施形態において、酸性洗浄剤組成物のpHを後述する範囲に調整できる量である。該含有量は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは20.0質量%以上、より好ましくは30.0質量%以上、更に好ましくは40.0質量%以上である。該含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは50.0質量%以下、より好ましくは45.0質量%以下が挙げられる。
酸性洗浄時(工程2)の洗浄液中の成分Bである無機酸の含有量は、一又は複数の実施形態において、好ましくは後述する洗浄時のpHの範囲内となる量を用いることができる。該含有量は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.06質量%以上である。該含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは0.10質量%以下、より好ましくは0.08質量%以下、更に好ましくは0.07質量%以下である。
[成分C:共重合化合物]
本開示に係る酸性洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、成分Cとして、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位を含む共重合化合物を含有してもよい。
成分Cにおける、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位との割合(モル比、AA/AMPS)は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、10/90以上が好ましく、より好ましくは20/80以上、更に好ましくは30/70以上である。該割合(モル比、AA/AMPS)は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、95/5以下が好ましく、より好ましくは90/10以下、更に好ましくは80/20以下である。該割合(モル比、AA/AMPS)は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは10/90以上95/5以下、より好ましくは20/80以上90/10以下、更に好ましくは30/70以上80/20以下である。
成分Cにおける、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位の全構成単位中に占める割合の合計は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上、更に好ましくは実質100モル%である。
成分Cは、一又は複数の実施形態において、塩の形態である。成分Cが塩の場合、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、または分子量300以下の含窒素系化合物による塩が好ましい。分子量300以下の含窒素系化合物としては、例えば、アンモニア、アルキルアミン又はポリアルキルポリアミンにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が付加されたモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、メチルプロパノールアミン、モノブタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等のアミノアルコール類;テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリン等の四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらのなかでも、同様の観点から、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が更に好ましい。
成分Cの重量平均分子量は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは500以上、より好ましくは1,000以上、更に好ましくは1,200以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは10,000以下、更に好ましくは4,000以下である。本開示において成分Cの重量平均分子量は、下記のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めることができる。
(GPC条件)
カラム:G4000PWXL+G2500PWXL(東ソ−社製)
溶離液:0.2Mリン酸バッファ−/CH3CN=9/1(容量比)
流量:1.0mL/分
カラム温度:40℃
検出:RI
サンプルサイズ:0.2mg/mL
標準物質:分子量が既知の単分散ポリエチレングリコール
(重量平均分子量:194,400,600,1000,1500,4000,7000,10000,13000,20000;ジーエルサイエンス社製)
酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Cの含有量は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは4.0質量%以上、より好ましくは5.0質量%以上、更に好ましくは5.5質量%以上である。該含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは9.0質量%以下が挙げられる。
酸性洗浄時(工程2)の洗浄液中の成分Cの含有量は、一又は複数の実施形態において、好ましくは後述する洗浄時のpHの範囲内となる量を用いることができる。該含有量は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.010質量%以上、更に好ましくは0.012質量%以上である。該含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは0.070質量%以下、より好ましくは0.040質量%以下、更に好ましくは0.020質量%以下である。
[成分D:多価アミン化合物]
本開示に係る酸性洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、成分Dとして、多価アミン化合物を含有してもよい。成分Dとしては、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、窒素原子2〜10を含む分子量500以下の有機アミンが好ましい。具体的には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミンなどのポリエチレンポリアミン;N‐(β‐アミノエチル)エタノールアミン、2‐[メチル[2‐(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]エタノール、2,2′‐(エチレンビスイミノ)ビスエタノール、N‐(2‐ヒドロキシエチル)‐N′‐(2‐アミノエチル)エチレンジアミン、2,2′‐(2‐アミノエチルイミノ)ジエタノール、N1,N4‐ビス(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、N1,N7‐ビス(ヒドロキシエチル)ジエチレントリアミン、1,3‐ジアミノ‐2‐プロパノールなどのアルカノールアミン;ピペラジン、1‐メチルピペラジン、3‐(1‐ピペラジニル)‐1‐プロパンアミン、1‐(2‐アミノエチル)ピペラジン、4‐メチルピペラジン‐1‐アミン、1‐ピペラジンメタンアミン、4‐エチル‐1‐ピペラジンアミン、1‐メチル‐4‐(2‐アミノエチル)ピペラジン、1‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジンなどのピペラジン環を有する化合物等が挙げられる。これらのなかでもアルカノールアミンがより好ましく、N‐(β‐アミノエチル)エタノールアミンが更に好ましい。
酸性洗浄剤組成物の水以外の成分全体に対する成分Dの含有量は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは20.0質量%以上、より好ましくは23.0質量%以上、更に好ましくは25.0質量%以上である。該含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは40.0質量%以下、より好ましくは37.0質量%以下である。
酸性洗浄時(工程2)の洗浄液中の成分Dの含有量は、一又は複数の実施形態において、アルカリ洗浄による基板表面粗さの悪化抑制の観点から、好ましくは0.020質量%以上、より好ましくは0.040質量%以上、更に好ましくは0.045質量%以上である。該含有量は、一又は複数の実施形態において、同様の観点から、好ましくは0.10質量%以下、より好ましくは0.070質量%以下、更に好ましくは0.055質量%以下である。
本開示に係る酸性洗浄剤組成物は、添加作業、貯蔵及び輸送の観点から、濃縮液として製造及び保管し、使用時に成分A、並びに必要に応じて成分B〜Dが前述した洗浄時の洗浄液中の含有量になるように水で希釈して用いることができる。濃縮倍率としては、添加作業及び保存安定性の観点から、好ましくは50倍以上、より好ましくは67倍以上、更に好ましくは90倍以上であり、貯蔵及び輸送の観点から、好ましくは200倍以下、より好ましくは150倍以下、更に好ましくは110倍以下である。希釈する水の量の計量を容易にする観点から、例えば100倍濃縮液が挙げられる。本開示において、100倍濃縮液の形態として開示された洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、洗浄時に好ましくは1/50〜1/200の濃度、より好ましくは1/67〜1/150の濃度、更に好ましくは1/90〜1/110の濃度、より更に好ましくは1/100の濃度に希釈され、洗浄液として使用されうる。希釈用の水は、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が使用され得る。本開示において「洗浄時」とは、一又は複数の実施形態において、洗浄工程を行うときをいう。本開示において濃縮液の洗浄剤組成物の「洗浄時」とは一又は複数の実施形態において、希釈された状態をいう。濃縮された形態の酸性洗浄液組成物も、本開示係る研磨液組成物に含まれうる。
本開示の一又は複数の実施形態において、濃縮液の形態の酸性洗浄剤組成物における成分A〜Dの含有量は、「酸性洗浄時(工程2)の洗浄液中の含有量」として開示された上記の含有量から換算されうる。
[pH]
本開示に係る酸性洗浄剤組成物のpHは、基板表面粗さの悪化抑制の観点から、3.0以上5.0以下であることが好ましい。酸性洗浄剤組成物が100倍濃縮液の形態の場合、そのpHは、一又は複数の実施形態において、より好ましくは3.0以上4.0以下である。酸性洗浄剤組成物が濃縮液でない形態の場合、そのpHは、一又は複数の実施形態において、好ましくは4.0以上5.0以下、より好ましくは4.0以上4.5以下である。また、工程2における洗浄時の洗浄液のpHは、一又は複数の実施形態において、好ましくは4.0以上5.0以下、より好ましくは4.0以上4.5以下である。pHの調整は、一又は複数の実施形態において、NaOHなどを用いて行える。なお、本開示において、pHは、25℃における洗浄剤組成物のpHであり、pHメータを用いて測定でき、電極の洗浄剤組成物への浸漬後3分後の数値である。具体的には、pHは、実施例に記載の方法で測定されうる。
[その他の成分]
本開示に係る酸性洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、成分A、B、C及びD以外に、アルコール、防腐剤、酸化防止剤等を含有してもよい。
[酸性洗浄剤組成物の調製方法]
本開示に係る酸性洗浄剤組成物の調製方法は、何ら制限されないが、例えば、成分A、並びに必要に応じて任意成分を、水に添加して混合する方法が挙げられる。各成分を水に添加する順序等については特に制限はない。混合方法も公知の方法を採用すればよいが、攪拌中の水に各成分が添加されることが好ましい。各成分を水に添加する時の水の温度は、一又は複数の実施形態において、20〜50℃が好ましい。攪拌モーターの回転数は、通常、周速0.1m/s〜0.65m/sが好ましい。水以外の全成分を水に添加した後の攪拌時間は、通常、0.5〜2時間が好ましい。
ガラスハードディスクの製造過程には、ガラスハードディスク基板形成工程とメディア工程とが含まれる。前記ガラスハードディスク基板形成工程では、被研磨ガラス基板に対して少なくとも研磨処理と洗浄処理とがこの順で複数回行われることにより、ガラスハードディスク基板が作製される。前記メディア工程では、必要に応じて研磨によりガラスハードディスク基板の少なくとも一方の主面に浅い凸凹をつけた後(テクスチャー工程)、洗浄がなされ(洗浄工程)、次いで、前記基板の少なくとも一方の主面側に磁性層が形成される(磁性層形成工程)。
ガラスハードディスク基板が製造されるガラスハードディスク基板形成工程は、限定されない一又は複数の実施形態において、溶融ガラスの型枠プレス又はシートガラスから切り出す方法によってガラス基材を得る工程から始まり、形状加工工程、端面研磨工程、粗研削工程、精研削工程、粗研磨工程、仕上げ研磨工程、最終仕上げ研磨工程、化学強化工程を含みうる。また各研磨工程の間には洗浄工程が含まれる。
[工程1]
本開示に係る製造方法における工程1は、研磨液組成物を用いてガラス基板(工程1において、「被研磨ガラス基板」ともいう)を研磨する工程である。工程1は、上述のガラスハードディスク基板形成工程におけるいずれの研磨工程であってもよい。一又は複数の実施形態において、工程1は、仕上げ研磨工程及び/又は最終仕上げ研磨工程における研磨である。
本開示に係る製造方法における工程1は、限定されない一又は複数の実施形態において、研磨液組成物を研磨パッドと被研磨ガラス基板の間に存在させ、所定の研磨荷重で研磨する工程を含む。具体的には、工程1は、限定されない一又は複数の実施形態において、被研磨ガラス基板の研磨対象面に研磨液組成物を供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び/又は前記被研磨ガラス基板を動かして研磨することを含む工程が挙げられる。
工程1における研磨対象である被研磨ガラス基板としては、アルミノ珪酸ガラス基板、ホウ珪酸ガラス基板、アルミノホウ珪酸ガラス基板、石英ガラス基板、結晶化ガラス基板等が挙げられる。前記被研磨ガラス基板は、一又は複数の実施形態において、アルミノ珪酸ガラス基板である。アルミノ珪酸ガラス基板は、その構成元素としてO(酸素)以外ではSi(ケイ素)を最も多く含み、次いでAl(アルミニウム)を多く含む。通常、Siの含有量は20〜40質量%であり、Alの含有量は3〜25質量%で、他にもNa(ナトリウム)などを含むことがある。
工程1で使用する研磨液組成物は、限定されない一又は複数の実施形態において、研磨材、酸、水、及び、必要に応じてポリマー、殺菌剤、抗菌剤、増粘剤、分散剤、防錆剤等を含むものが挙げられる。研磨液組成物の25℃におけるpHは、一又は複数の実施形態において、好ましくは1.0以上、より好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上であり、好ましくは4.0以下である。工程1で使用する研磨液組成物は、前記pHを満たすものであれば、従来公知のものを使用できる。
前記研磨材としては、一又は複数の実施形態において、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、表面を酸化アルミニウムで改質したアルミ改質コロイダルシリカのような表面修飾したシリカ、アルミナ、酸化セリウム(セリア)等が挙げられる。なお、シリカの使用形態としては、スラリー状であることが好ましい。研磨材の一次粒子の平均粒子径は、一又は複数の実施形態において、好ましくは5nm以上、より好ましくは7nm以上、更に好ましくは9nm以上、より更に好ましくは10nm以上であり、そして、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは80nm以下、より更に好ましくは50nm以下である。研磨液組成物中の研磨材の含有量は、一又は複数の実施形態において、研磨速度の向上の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは3質量%以上、より更に好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは19質量%以下、更に好ましくは18質量%以下、より更に好ましくは16質量%以下である。
研磨液組成物中の酸としては、限定されないが、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸、メタンジスルホン酸、エタンジスルホン酸、フェノールジスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸等の含硫黄有機酸、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の含リン有機酸、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、フタル酸、ニトロトリ酢酸、ニトロ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、オキサロ酢酸等の多価カルボン酸、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、基板製造における排水による水質汚染の基準であるCOD値低減の観点、循環研磨における研磨速度の低下、表面粗さの悪化及びパーティクル増加の抑制の観点から、無機酸、含硫黄有機酸、多価カルボン酸及び含リン有機酸が好ましく、リン酸、硫酸、多価カルボン酸、含リン有機酸がより好ましく、更に好ましくは多価カルボン酸であり、さらにより好ましくはコハク酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸であり、さらにより好ましくはクエン酸である。これらの酸は単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。また、酸は塩の形態であってもよい。研磨液組成物中における酸の含有量は、研磨速度向上の観点から、0.05質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.15質量%以上である。また、前記酸の含有量は、研磨装置の腐食を抑制する観点から、10質量%以下が好ましく、より好ましくは7.5質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
研磨液組成物中の水は、媒体として使用されるものであり、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が使用され得る。本発明の研磨液組成物中の水の含有量は、研磨液組成物の取扱いを容易にする観点から、55質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは85質量%以上である。また、前記水の含有量は、研磨速度向上の観点から、99質量%以下が好ましく、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下である。
工程1に用いられる研磨装置としては、特に限定されない一実施形態として、被研磨ガラス基板を保持する、アラミド製やガラスエポキシ製等の冶具(「キャリア」ともいう。)と研磨布(「研磨パッド」ともいう。)とを備える片面又は両面研磨装置を用いることができる。中でも、両面研磨装置が好適に用いられる。研磨パッドの材質としては、有機高分子等が挙げられ、前記有機高分子としては、ポリウレタン等が挙げられる。前記研磨パッドの形状は、不織布状が好ましい。例えば、粗研磨工程ではスウェード調のウレタン製硬質パッド、仕上げ研磨工程及び最終仕上げ研磨工程ではスウェード調のウレタン製軟質パッドが好適に用いられる。
該研磨装置を用いる研磨の具体例としては、被研磨ガラス基板をキャリアで保持し研磨パッドを貼り付けた1対の研磨定盤で挟み込み、研磨液組成物を研磨パッドと被研磨ガラス基板との間に供給し、所定の圧力の下で研磨定盤及び/又は被研磨ガラス基板を動かすことにより、研磨液組成物を被研磨ガラス基板に接触させながら被研磨ガラス基板を研磨する方法が挙げられる。
工程1における研磨液組成物の供給速度は、コスト低減の観点から、被研磨ガラス基板1cm2あたり1.0mL/分以下が好ましく、より好ましくは0.6mL/分以下、更に好ましくは0.4mL/分以下である。また、前記供給速度は、研磨速度の向上の観点、表面粗さ低減の観点から、被研磨ガラス基板1cm2あたり0.01mL/分以上が好ましく、より好ましくは0.025mL/分以上、更に好ましくは0.05mL/分以上である。
本開示において「研磨荷重」とは、研磨時に被研磨基板を挟み込む定盤から被研磨基板の研磨対象面に加えられる圧力を意味する。研磨荷重の調整は、通常の研磨装置であれば容易に調整可能であるが、例えば、定盤や被研磨基板等への空気圧や錘の負荷によって行うことができる。研磨荷重は、研磨速度を向上させる観点から、好ましくは30g/cm2以上、40g/cm2以上がより好ましく、50g/cm2以上がさらに好ましく、60g/cm2以上がさらにより好ましい。表面粗さを低減する観点、研磨中に研磨機に振動が発生しないように安定に研磨できるという観点から、好ましくは400g/cm2以下、300g/cm2以下がより好ましく、200g/cm2以下がさらに好ましく、150g/cm2以下がさらにより好ましい。
[工程2]
工程2は、工程1の研磨工程で研磨されたガラス基板(工程2において「被洗浄基板」ともいう)を本開示に係る酸性洗浄剤組成物で洗浄する工程である。該酸性洗浄剤組成物は、上述のとおりである。洗浄方法の一又は複数の実施形態は、後述する。
[工程3]
工程3は、工程2の酸性洗浄で洗浄されたガラス基板(工程3において「被洗浄基板」ともいう)をアルカリ性洗浄剤組成物で洗浄する工程である。
〔アルカリ性洗浄剤組成物〕
工程3で使用するアルカリ性洗浄剤組成物のpHは、一又は複数の実施形態において、好ましくは8.0以上、より好ましくは9.0以上、更に好ましくは10.0以上であり、好ましくは13.0以下、より好ましくは12.0以下である。前記アルカリ性洗浄剤組成物は、使用時に希釈することを前提とした形態であってもよく、そのまま原液を使用する形態であってもよい。希釈を前提とする場合、希釈倍率は、例えば、好ましくは10倍以上、より好ましくは20倍以上であり、そして、好ましくは500倍以下、より好ましくは200倍以下である。希釈用の水は、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が使用され得る。
工程3で使用するアルカリ性洗浄剤組成物は、前記pHとなるアルカリを含有するアルカリ性水溶液であれば使用できる。なお、本開示において、アルカリの使用は、アルカリ及び又はその塩の使用を含み、無機アルカリ剤及び有機アルカリ剤のうちのいずれであってもよい。無機アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、水酸化カリウム、及び水酸化ナトリウム等が挙げられる。有機アルカリ剤としては、例えば、ヒドロキシアルキルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、及びコリン等が挙げられる。これらのアルカリ剤は、単独で用いても良く、二種以上を混合して用いてもよい。前記アルカリの含有量及び種類は、洗浄剤組成物のpHが前述の範囲となるものであれば、特に限定されない。また、アルカリ性洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、媒体として水を含有することが好ましく、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が使用され得る。
工程3で使用するアルカリ性洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、ノニオン性界面活性剤、スルホン酸化合物、pH調整のための酸、水溶性高分子、アミン、曇点上昇剤、防腐剤、酸化防止剤、消泡剤等が含まれていてもよい。
[洗浄方法]
工程2及び3における洗浄剤組成物を用いた洗浄は、一又は複数の実施形態において、被洗浄基板の浸漬洗浄及び/又はスクラブ洗浄を行うことを含む。工程2及び3では、スクラブに付着する汚れが被洗浄基板に再付着する可能性がある点で、スクラブ洗浄よりも浸漬洗浄が好ましい。また、工程2と工程3の間に工程2で得られたガラス基板を水でリンスする工程、工程3で得られたガラス基板を水でリンスする工程を有してもよい。例えば、ガラス基板を、研磨する工程(工程1)、酸性洗浄剤組成物で洗浄する工程(工程2)、水でリンスする工程、アルカリ性洗浄剤組成物で洗浄する工程(工程3)、水でリンスする工程の順で、ガラスハードディスク基板を製造することができる。
(浸漬洗浄)
被洗浄基板の洗浄剤組成物への浸漬条件としては、特に制限はないが、一又は複数の実施形態において、洗浄剤組成物の温度は、作業性及び操業性の観点から20〜100℃が好ましく、浸漬時間は、洗浄剤組成物による洗浄性の向上の観点から5秒以上が好ましく、10秒以上がより好ましく、100秒以上がさらに好ましい。洗浄されたガラス基板の生産効率の向上の観点から30分以下が好ましく、10分以下がより好ましく、5分以下がさらに好ましい。また、残留物の除去性及び残留物の分散性を高める観点から、洗浄剤組成物には超音波振動が付与されていると好ましい。超音波の周波数としては、20〜2000kHzが好ましく、40〜2000kHzがより好ましく、40〜1500kHzがさらに好ましい。
(スクラブ洗浄)
スクラブ洗浄の方法は、一又は複数の実施形態において、研磨粒子等の残留物の洗浄性や油分の溶解性を促進させる観点から、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物を射出して、被洗浄基板の表面に洗浄剤組成物を接触させて当該表面を洗浄するか、又は、洗浄剤組成物を被洗浄基板の表面上に射出により供給し、洗浄剤組成物が供給された当該表面を洗浄用ブラシでこすることにより洗浄することが好ましい。さらには、超音波振動が与えられている洗浄剤組成物を射出により洗浄対象の表面に供給し、かつ、洗浄剤組成物が供給された当該表面を洗浄用ブラシでこすることにより洗浄することが好ましい。
洗浄剤組成物を被洗浄基板の表面上に供給する手段としては、スプレーノズル等の手段を用いることができる。また、洗浄用ブラシとしては、特に制限はなく、例えばナイロンブラシやPVA(ポリビニルアルコール)スポンジブラシ等を使用することができる。超音波の周波数としては、上述の浸漬洗浄で好ましく採用される値と同様である。
さらにその他の一又は複数の実施形態において、前記浸漬洗浄及び/又は前記スクラブ洗浄に加えて、揺動洗浄、スピンナー等の回転を利用した洗浄、パドル洗浄等の洗浄工程を1つ以上含んでもよい。
本開示に係る洗浄方法では、被洗浄基板を一枚ずつ洗浄してもよいが、複数枚の洗浄すべき被洗浄基板を一度にまとめて洗浄してもよい。また、洗浄の際に用いる洗浄槽の数は1つでも複数でもよい。
以下の実施例及び比較例に基づいて本開示を説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
[酸性洗浄剤組成物の調製]
表1及び2の記載の組成となるように各成分を質量%で配合し、混合することにより、100倍濃縮液の形態の酸性洗浄剤組成物を得た(実施例1〜12、参考例1〜3、比較例1〜8)。表1及び2において、上段の欄は、酸性洗浄剤組成の各成分の水を含めた全体質量に対する組成(質量%)を示す。表1において、下段の欄は、水以外の成分の全体質量に対する質量%を示す。また、pHは、25℃における洗浄剤組成物の洗浄時のpHであり、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM−30G)を用いて測定でき、電極の洗浄剤組成物への浸漬後3分後の数値である。表1及び2において、組成は、有効成分の含有量(質量%)である。
表2の酸性洗浄剤組成物の調製において、成分CのAA/AMPS共重合体、成分DのAEEAは以下のものを使用した。
成分Cの共重合体:アクリル酸80質量%、2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸20質量%の共重合体(重量平均分子量2000、40質量%水溶液、東亞合成株式会社製、アロンA−6016)
成分DのAEEA:N−(β―アミノエチル)エタノールアミン
実施例1〜12、参考例1〜3、比較例1〜8の酸性洗浄剤組成物を使用する工程2を含む、下記工程1〜工程3の研磨及び洗浄を行い、表面粗さの評価を行った。
工程1:研磨工程
(評価用基板)
実施例1〜12、参考例1〜3、比較例1〜8の評価用基板として、ガラス基板(外径:65mmφ、内径:20mmφ、厚さ:0.635mm)を使用した。
(研磨条件)
以下の条件で前記評価用ガラス基板を研磨した。研磨液組成物の供給速度は、非研磨ガラス基板1cm2あたり0.33mL/分である。
研磨機:両面9B研磨機(浜井産業社製)
研磨パッド:FILWEL社製仕上げ研磨用スウェードパッド
研磨液組成物:コロイダルシリカスラリ−(コロイダルシリカ粒子の個数平均粒径24nm、コロイダルシリカ粒子の濃度:8質量%、媒体:水、花王社製)
予備研磨:荷重40g/cm2、時間60秒、研磨液流量100mL/分
本研磨:荷重100g/cm2、時間1200秒、研磨液流量100mL/分
水リンス:荷重40g/cm2、時間60秒、リンス水流量約2L/分
工程2:酸性洗浄工程
実施例1〜12、参考例1〜3、比較例1〜8の酸性洗浄剤組成物(100倍濃縮液)を1%に希釈した洗浄剤組成物を30g用意し、ポリカップの容器に入れた。そして工程1で得られた研磨後のガラス基板(被洗浄基板)1枚を希釈された洗浄剤組成物の入ったポリカップに全面が浸漬されるように入れ、40℃に設定した恒温槽に入れ、1時間静置した。なお、酸性洗浄剤組成物を1%に希釈したので、工程2の洗浄時における洗浄液中の各成分の含有量は、表1及び2で示す配合の組成の1/100の量である。
次いで、恒温槽からポリカップを取り出し、ポリカップ内の被洗浄基板を超純水が30g入ったポリカップにピンセットを使用して移動させ、手で振とうさせた。
工程3:アルカリ性洗浄工程
工程2の後のポリカップ内の被洗浄基板をpH12のアルカリ性洗浄剤が30g入ったポリカップにピンセットを用いて移動させ、40℃に設定した恒温槽に入れ、24時間静置した。
なお、アルカリ性洗浄剤は、アクリル酸/2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の共重合体0.02質量%と、非イオン性界面活性剤(C12、C14アルキル−O(EO)5(PO)1.5(EO)5H)0.05質量%とを含み、水酸化カリウムでpH12.0(25℃)に調整した水溶液を用いた。
次いで恒温槽からポリカップを取り出し、ポリカップ内の被洗浄基板を超純水が30g入ったポリカップにピンセットを使用して移動させ、手で振とうさせた。
被洗浄基板をピンセットを用いて取り出し、表面清浄度向上のために洗浄機にて水洗浄を実施した。洗浄機では、超音波洗浄(40kHz、40℃、30秒間)、洗浄ブラシによるスクラブ洗浄(400rpm、25℃、5秒)を行った。
[表面粗さの測定方法]
上述の工程1〜3を行った後の基板の表面粗さを測定した。表面粗さは、各々の基板の両面を、以下に示す条件にて、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)を用いて測定し、平均値を算出した。これらの結果を表1に示す。
(AFMの測定条件)
Mode: Tapping mode
Area: 1×1μm
Scan rate: 1.0Hz
Cantilever: NCH−10V
Line: 512×512
表1に示すとおり、実施例1及び2は、比較例1〜7と比べて表面粗さの悪化が抑制されていた。また、表2に示すとおり、比較例8と比べて実施例3〜12では表面粗さの悪化が抑制されていた。

Claims (8)

  1. 亜鉛又はカルシウムの無機塩(成分A)、及び水を含有する、ガラスハードディスク基板用酸性洗浄剤組成物。
  2. 前記無機塩(成分A)が、硫酸塩又は炭酸塩である、請求項1記載の酸性洗浄剤組成物。
  3. さらに、無機酸(成分B)を含有する、請求項1又は2に記載の酸性洗浄剤組成物。
  4. さらに、アクリル酸に由来の構成単位と2-アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸に由来の構成単位を含む共重合化合物(成分C)を含有する、請求項1から3のいずれかに記載の酸性洗浄剤組成物。
  5. さらに、多価アミン化合物(成分D)を含有する、請求項1から4のいずれかに記載の酸性洗浄剤組成物。
  6. pHが、1.0以上6.0以下である、請求項1から5のいずれかに記載の酸性洗浄剤組成物。
  7. 下記工程1から3を含むガラスハードディスク基板の製造方法の酸性洗浄剤組成物として使用するための、請求項1から6のいずれかに記載の酸性洗浄剤組成物。
    研磨液組成物を用いてガラス基板を研磨する工程1。
    工程1で得られたガラス基板を酸性洗浄剤組成物で洗浄する工程2。
    工程2で得られたガラス基板をアルカリ性洗浄剤組成物で洗浄する工程3。
  8. 下記工程1から3を含むガラスハードディスク基板の製造方法。
    研磨液組成物を用いてガラス基板を研磨する工程1。
    工程1で得られたガラス基板を請求項1から6のいずれかに記載の酸性洗浄剤組成物で洗浄する工程2。
    工程2で得られたガラス基板をアルカリ性洗浄剤組成物で洗浄する工程3。
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