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JP2015189044A - 加飾シート及び加飾樹脂成形品 - Google Patents

加飾シート及び加飾樹脂成形品 Download PDF

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JP2015189044A JP2014066933A JP2014066933A JP2015189044A JP 2015189044 A JP2015189044 A JP 2015189044A JP 2014066933 A JP2014066933 A JP 2014066933A JP 2014066933 A JP2014066933 A JP 2014066933A JP 2015189044 A JP2015189044 A JP 2015189044A
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Abstract

【課題】オーバーレイ法に適用される熱融着層を備える加飾シートであって、成形時の高い密着性に加えて、成形後に高温下に晒された場合にも高い密着性を有する加飾シートを提供する。【解決手段】熱融着層を有する加飾シートを加熱により軟化させ、前記加飾シートを成形樹脂の形状に追従させて成形しながら、前記熱融着層を前記成形樹脂に熱融着させて、前記加飾シートにより前記成形樹脂が加飾された加飾樹脂成形品を製造するオーバーレイ法に用いられる加飾シートであって、前記加飾シートは、少なくとも、基材層と、熱融着層とが積層された積層体からなり、前記積層体の厚みが、200〜400μmの範囲にあり、前記熱融着層のガラス転移温度が、65〜85℃の範囲にある、加飾シート。【選択図】なし

Description

本発明は、オーバーレイ法に適用される、熱融着層を備える加飾シートに関する。
従来、車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等には、樹脂成形品の表面に加飾シートを積層させた加飾樹脂成形品が使用されている。このような加飾樹脂成形品の製造においては、予め意匠が付与された加飾シートを、射出成形によって樹脂と一体化させる成形法などが用いられている。係る成形法の代表的な例としては、加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形しておき、当該加飾シートを射出成形型に挿入し、流動状態の樹脂を型内に射出することにより樹脂と加飾シートとを一体化するインサート成形法や、射出成形の際に金型内に挿入された加飾シートを、キャビティ内に射出注入された溶融樹脂と一体化させる射出成形同時加飾法が挙げられる。また、射出成形による成形法以外には、予め成形された成形体上に加熱や加圧を伴いながら貼着される、オーバーレイ法と呼ばれる加飾方法においても加飾シートが用いられている(例えば、特許文献1)。
また、特許文献2には、このようなオーバーレイ法において、絵柄層を有する転写フィルムの接着層を加熱溶融させて、ワーク(成形樹脂)の表面に接触させることにより、ワークの表面に絵柄層を絵付けする方法が開示されている。特許文献2に開示された方法によれば、多品種小ロット生産に対応しやすくなり、加飾樹脂成形品のさらなるバリエーションの展開が可能になると期待される。
特公昭56−45768号公報 特開2012−101549号公報
特許文献2に開示された方法を加飾シートに適用する場合、加飾シートを軟化させて成形品の形状に追随させる際の高い密着性に加えて、成形後においても高い密着性が保持されていることが求められる。特に、上記のような、車両内外装部品、建材内装材、家電筐体等に使用される加飾樹脂成形品は、高温下に晒されることがあるため、成形後の高温下における高い密着性が要求される。しかしながら、オーバーレイ法に適用される熱融着層を備える加飾シートにおいては、成形時の高い密着性に加えて、成形後に高温下に晒された場合にも高い密着性を発揮するために加飾シートが備えるべき要件が十分に検討されていないという現状がある。このため、熱融着層を備える加飾シートを用いた加飾樹脂成形品の製造にオーバーレイ法を適用することの妨げになることがある。
このような状況下、本発明は、オーバーレイ法に適用される熱融着層を備える加飾シートであって、成形時の高い密着性に加えて、成形後に高温下に晒された場合にも高い密着性を有する加飾シートを提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、オーバーレイ法に用いられる熱融着層を備える加飾シートにおいて、加飾シートを少なくとも基材層と、熱融着層とが積層された積層体とし、さらに、当該積層体の厚みを200〜400μmの範囲、熱融着層のガラス転移温度を65〜85℃の範囲に設定することにより、成形時の高い密着性に加えて、成形後に高温下に晒された場合にも高い密着性を有する加飾シートが得られることを見出した。本発明は、このような知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 熱融着層を有する加飾シートを加熱により軟化させ、前記加飾シートを成形樹脂の形状に追従させて成形しながら、前記熱融着層を前記成形樹脂に熱融着させて、前記加飾シートにより前記成形樹脂が加飾された加飾樹脂成形品を製造するオーバーレイ法に用いられる加飾シートであって、
前記加飾シートは、少なくとも、基材層と、熱融着層とが積層された積層体からなり、
前記積層体の厚みが、200〜400μmの範囲にあり、
前記熱融着層のガラス転移温度が、65〜85℃の範囲にある、加飾シート。
項2. 表面保護層をさらに有する、項1に記載の加飾シート。
項3. 装飾層をさらに有する、項1または2に記載の加飾シート。
項4. 前記熱融着層と、前記基材層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなる、項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
項5. 前記基材層と前記表面保護層との間に、プライマー層及び装飾層の少なくとも一方が積層された積層体からなる、項4に記載の加飾シート。
項6. 前記熱融着層と、装飾層と、前記基材層とがこの順に積層された積層体からなる、項1に記載の加飾シート。
項7. 項1〜6のいずれかに記載の加飾シートの前記熱融着層が、成形樹脂層に積層されてなる、加飾樹脂成形品。
項8. 以下の工程1〜5を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。
工程1:項1〜6のいずれかに記載の加飾シートの前記熱接着層を、前記成形樹脂に対向させ、チャンバー内が前記加飾シートを介して気密に分割されるようにして、前記加飾シートと前記成形樹脂とをチャンバー内に配置する工程
工程2:前記加飾シートを介して分割された前記チャンバー内の一方側と他方側とが同一圧力となるように前記チャンバー内を減圧し、かつ、前記チャンバー内の前記加飾シートを加熱して軟化させる工程
工程3:前記加飾シートを介して分割された前記チャンバー内の前記成形樹脂とは反対側の減圧を解除して、加熱により軟化した前記加飾シートを前記成形樹脂の形状に追従させて成形する工程
工程4:前記加飾シートと前記成形樹脂とを前記熱融着層を介して熱融着させる工程
工程5:前記加飾シートを介して分割された前記チャンバー内の前記成形樹脂側の減圧を解除して、加飾樹脂成形品を取り出す工程
本発明によれば、オーバーレイ法に適用される熱融着層を備える加飾シートであって、成形時の高い密着性に加えて、成形後に高温下に晒された場合にも高い密着性を有する加飾シートを提供することができる。さらに、本発明によれば、当該加飾シートを用いた加飾樹脂成形品を提供することができる。
本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾シートの一例の略図的断面図である。 本発明の加飾樹脂成形品の一例の略図的断面図である。 本発明の加飾樹脂成形品の一例の略図的断面図である。
1.加飾シート
本発明の加飾シートは、オーバーレイ法に用いられる加飾シートである。ここで、本発明において、オーバーレイ法とは、熱融着層を有する加飾シートを加熱により軟化させ、加飾シートを成形樹脂の形状に追従させて成形しながら、熱融着層を成形樹脂に熱融着させて、加飾シートにより成形樹脂が加飾された加飾樹脂成形品を製造する方法をいう。本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層と、熱融着層とが積層された積層体からなり、当該積層体の厚みが、200〜400μmの範囲にあり、かつ、熱融着層のガラス転移温度が、65〜85℃の範囲にあることを特徴とする。本発明の加飾シートは、このような構成を有することにより、熱融着層を有する加飾シートを用いたオーバーレイ法に適用された場合、成形時の高い密着性に加えて、成形後に高温下に晒された場合にも高い密着性を有する。なお、後述の通り、本発明の加飾シートは、装飾層などを有していなくてもよく、例えば透明であってもよい。以下、本発明の加飾シートについて詳述する。
加飾シートの積層構造
本発明の加飾シートは、少なくとも、基材層1と、熱融着層2とを有する。また、本発明の加飾シートは、加飾シートの表面を保護することなどを目的として、必要に応じて、最外層として表面保護層3を設けてもよい。また、表面保護層3と、これに隣接する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて、表面保護層3の下にプライマー層4を設けてもよい。また、加飾シートに装飾性を付与することなどを目的として、必要に応じて、装飾層5を設けてもよい。また、加飾シートの色の変化やバラツキを抑制する目的で、必要に応じて隠蔽層7を設けてもよい。
本発明の加飾シートの積層構造として、熱融着層/基材層がこの順に積層された積層構造;熱融着層/基材層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;熱融着層/基材層/プライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;熱融着層/基材層/装飾層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;熱融着層/基材層/装飾層/プライマー層/表面保護層がこの順に積層された積層構造;熱融着層/装飾層/基材層がこの順に積層された積層構造などが挙げられる。図1に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、熱融着層/基材層/装飾層/プライマー層/表面保護層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。図2に、本発明の加飾シートの積層構造の一態様として、熱融着層/装飾層/基材層がこの順に積層された加飾シートの一例の略図的断面図を示す。
(加飾シートの厚み)
本発明の加飾シートにおいては、加飾シートを構成する積層体の総厚みが、200〜400μmの範囲にあることが必要である。本発明においては、加飾シートの厚みがこのような特定の範囲内にあり、かつ、後述する熱接着層2のガラス転移温度(Tg)が65〜85℃という特定の範囲にあることにより、オーバーレイ法に適用される熱融着層を備える加飾シートにおいて、成形時の高い密着性に加えて、成形後に高温下に晒された場合にも高い密着性を有する。
上記の成形時及び高温下における密着性をさらに高める観点からは、加飾シートを構成する積層体の総厚みとしては、好ましくは200〜350μm程度、より好ましくは220〜300μm程度が挙げられる。なお、本発明において、加飾シートを構成する積層体の総厚みは、厚み計(ニコン社製 デジマイクロMF−501)を用いて測定した値である。
加飾シートを形成する各層の組成
[基材層1]
基材層1は、本発明の加飾シートの保形性を高めることなどを目的として設けられる層である。また、基材層1が加飾樹脂成形品の最外層に位置するように積層される場合には、加飾樹脂成形品の表面保護層としても機能する。基材層1は、好ましくは樹脂シート(樹脂フィルム)により形成されている。
基材層1に使用される樹脂成分については、特に制限されず、三次元成形性や、加飾樹脂成形品の表面保護層として機能する場合には耐傷性、耐薬品性などに応じて適宜選定すればよいが、好ましくは、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」と表記することもある);アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル樹脂;アクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ABS樹脂が三次元成形性の観点から好ましい。また、基材層1が加飾樹脂成形品の最外層に位置するように積層される場合には、アクリル樹脂が好ましい。基材層1を形成する樹脂成分としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、基材層1は、これら樹脂の単層シートで形成されていてもよく、また同種又は異種樹脂による複層シートで形成されていてもよい。
基材層1は、隣接する層との密着性を向上させるために、必要に応じて、片面又は両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理が施されていてもよい。基材層1の表面処理として行われる酸化法としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン紫外線処理法等が挙げられる。また、基材層1の表面処理として行われる凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材層1を構成する樹脂成分の種類に応じて適宜選択されるが、効果及び操作性等の観点から、好ましくはコロナ放電処理法が挙げられる。
また、基材層1には、着色剤などを配合した着色、色彩を整えるための塗装、デザイン性を付与するための模様の形成などがなされていてもよい。
基材層1の厚みは、特に制限されず、加飾シートの用途等に応じて適宜設定されるが、
通常180〜350μm程度、好ましくは200〜300μm程度が挙げられる。基材層1の厚みが上記範囲内であると、加飾シートに対してより一層優れた三次元成形性、意匠性などを備えさせることができる。
[熱融着層2]
熱融着層2は、オーバーレイ法を用いて加飾シートと成形樹脂層6とを接着させるために設けられる層である。本発明の加飾シートにおいて、熱接着層2は、基材層1または装飾層5などの成形樹脂層6と積層される層の裏面(成形樹脂層6側)に積層されている。
本発明の加飾シートにおいては、熱融着層2のガラス転移温度(Tg)が65〜85℃の範囲にあることが必要である。上述の通り、本発明においては、熱接着層2のガラス転移温度(Tg)が65〜85℃という特定の範囲にあり、かつ、加飾シートの総厚みが200〜400μmという特定の範囲にあることにより、オーバーレイ法に適用される熱融着層2を備える本発明の加飾シートにおいて、成形時の高い密着性に加えて、成形後に高温下に晒された場合にも高い密着性を有する。
上記の成形時及び高温下における密着性をさらに高める観点からは、熱融着層2のガラス転移温度(Tg)としては、好ましくは65〜80℃程度が挙げられる。なお、本発明において、熱接着層2のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)法を用いて測定された吸熱ピーク温度を意味する。
熱融着層2を形成する樹脂としては、上記のガラス転移温度(Tg)を有するものであれば特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
熱融着層2の厚みは、特に制限されないが、好ましくは0.5〜10μm程度、好ましくは1〜8μm程度、さらに好ましくは2〜6μm程度が挙げられる。
[表面保護層3]
表面保護層3は、加飾樹脂成形品の耐傷付き性、耐候性などを高めることを目的として、必要に応じて、加飾樹脂成形品の最表面に位置するようにして、加飾シートに設けられる層である。表面保護層3を形成する素材は、特に限定されないが、通常は樹脂が用いられ、好ましくは熱可塑性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などが用いられる。また、表面保護層3は、樹脂フィルムにより形成することも好ましい。樹脂フィルムとしては、特に制限されず、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの熱可塑性樹脂フィルムが挙げられ、これらの中でもアクリル樹脂フィルムが特に好ましい。表面保護層3は、例えば電離放射線硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の樹脂フィルムの1層により形成されていてもよいし、これらの2層以上により形成されていてもよい。以下、表面保護層3の形成に用いられる電離放射線硬化性樹脂について詳述する。
(電離放射線硬化性樹脂)
表面保護層3の形成に使用される電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂の中でも、電子線硬化性樹脂は、無溶剤化が可能であり、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるため、表面保護層3の形成において好適に使用される。
電離放射線硬化性樹脂として使用される上記モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)、好ましくは3個以上(3官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能性(メタ)アクリレートとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、電離放射線硬化性樹脂として使用される上記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等)等が挙げられる。ここで、ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端または側鎖に(メタ)アクリレート基を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートなどであってもよい。ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールと、多価イソシアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、シリコーンマクロモノマーを(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合させることにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネート化合物の反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。シリコーン(メタ)アクリレートは、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーンの末端又は側鎖に(メタ)(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。これらの中でも、多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが特に好ましい。これらのオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記した電離放射線硬化性樹脂の中でも、優れた三次元成形性を得る観点からは、ポリカーボネート(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。また、三次元成形性と耐傷付き性を両立する観点からは、ポリカーボネート(メタ)アクリレートとウレタン(メタ)アクリレートを組み合わせて使用することがより好ましい。
(他の添加成分)
表面保護層3を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物には、表面保護層3に備えさせる所望の物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば紫外線吸収剤や光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤、マット剤等が挙げられる。これらの添加剤は、常用されるものから適宜選択して用いることができ、例えばマット剤としてはシリカ粒子や水酸化アルミニウム粒子等が挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
(表面保護層3の厚み)
表面保護層3の厚みについては、特に制限されないが、表面保護層3を電離放射線硬化性樹脂などの硬化性樹脂を用いて形成する場合には、例えば、1〜100μm、好ましくは1〜50μm、更に好ましくは1〜30μmが挙げられる。このような範囲の厚みを満たすと、耐傷付き性、耐候性等の表面保護層としての十分な物性が得られると共に、表面保護層3を電離放射線硬化性樹脂を用いて形成する場合には電離放射線を均一に照射することが可能であるため、均一に硬化することが可能となり、経済的にも有利になる。更に、表面保護層3の硬化後の厚みが前記範囲を充足することによって、加飾シートの三次元成形性が一層向上するため自動車内装用途等の複雑な三次元形状に対して高い追従性を得ることができる。このように、本発明の加飾シートは表面保護層3の厚みを従来のものより厚くしても、十分に高い三次元成形性が得られることから、特に表面保護層3に高い膜厚を要求される部材、例えば車両外装部品等の加飾シートとしても有用である。なお、上記の厚みは硬化後の表面保護層3の厚みを示す。また、表面保護層3を樹脂フィルムを用いて形成する場合には、例えば、10〜200μm程度であることが好ましく挙げられる。
(電離放射線硬化性樹脂を用いる場合の表面保護層3の形成)
表面保護層3の形成は、例えば、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を調製し、これを塗布し、架橋硬化することにより行われる。なお、電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗布方式により、表面保護層3の下に位置する基材層1、装飾層5、プライマー層4などの表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよい。
本発明においては、調製された塗布液を、前記厚みとなるように、表面保護層3の下に位置する基材層1、装飾層5、プライマー層4などの上に、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗布し、未硬化樹脂層を形成させる。
このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させて表面保護層3を形成する。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度が挙げられる。
なお、電子線の照射において、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、表面保護層3の下に電子線照射によって劣化しやすい樹脂を使用する場合には、電子線の透過深さと表面保護層3の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定する。これにより、表面保護層3の下に位置する層への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による各層の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、表面保護層3の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
更に、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含む光線を放射すればよい。紫外線源としては、特に制限されないが、例えば、高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈、紫外線発光ダイオード(LED−UV)等が挙げられる。
かくして形成された表面保護層3には、各種の添加剤を添加することにより、ハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能等の機能を付与する処理を行ってもよい。
なお、表面保護層3を樹脂フィルムにより形成する場合には、表面保護層3の下に位置する基材層1、装飾層5、プライマー層4などの上に樹脂フィルムを積層すればよい。なお、樹脂フィルムとしては、マット剤等の添加剤を含む樹脂フィルムや、サンドブラスト加工等の表面加工を施された樹脂フィルムを用いることもできる。
[プライマー層4]
プライマー層4は、表面保護層3とその下に位置する層との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて含まれる層である。プライマー層4は、樹脂により形成することができる。
プライマー層4を形成する樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の中でも、好ましくは、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、及び(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記ウレタン樹脂としては、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンを使用できる。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であればよく、具体的には、ポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記イソシアネートとしては、具体的には、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート;4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが挙げられる。
上記ウレタン樹脂の中でも、架橋後の密着性の向上等の観点から、好ましくは、ポリオールとしてアクリルポリオール、又はポリエステルポリオールと、架橋材としてヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネートとから組み合わせ;さらに好ましくは、アクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートとを組み合わせが挙げられる。
上記アクリル樹脂としては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、又は(メタ)アクリル酸エステルと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。(メタ)アクリル樹脂として、より具体的には、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これらのアクリル樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(メタ)アクリル−ウレタン共重合体樹脂としては、特に制限されないが、例えば、アクリル−ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂が挙げられる。また、硬化剤としては、前述する各種イソシアネートが用いられる。アクリル−ウレタン(ポリエステルウレタン)ブロック共重合系樹脂におけるアクリルとウレタン比の比率については、特に制限されないが、例えば、アクリル/ウレタン比(質量比)として、9/1〜1/9、好ましくは8/2〜2/8が挙げられる。
プライマー層4の厚みについては、特に制限されないが、例えば0.5〜20μm程度、好ましくは1〜5μm程度が挙げられる。プライマー層4がこのような厚みを充足することにより、加飾シートの耐候性をより高めると共に、表面保護層3の割れ、破断、白化等を有効に抑制することができる。
プライマー層4は、プライマー層4を形成する樹脂を用いて、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等の通常の塗布方法や転写コーティング法により形成される。ここで、転写コーティング法とは、薄いシート(フィルム基材)にプライマー層や接着層の塗膜を形成し、その後に加飾シート中の対象となる層表面に被覆する方法である。
[装飾層5]
装飾層5は、樹脂成形品に装飾性を与えることを目的として、必要に応じて設けられる層である。装飾層5は、絵柄を形成していてもよく、ベタであってもよく、これらの組合せであってもよい。装飾層5は、例えば、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。装飾層5によって形成される模様は、特に制限されず、例えば、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様など挙げられ、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様も挙げられる。これらの模様は、通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
装飾層5に用いるインキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては、特に制限されず、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
着色剤としては、特に制限されず、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。
装飾層5の厚みは、特に制限されないが、例えば1〜40μm程度、好ましくは3〜30μm程度が挙げられる。
装飾層5は金属薄膜層であってもよい。金属薄膜層を形成する金属としては、例えば、スズ、インジウム、クロム、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、金、白金、亜鉛、及びこれらのうち少なくとも1種を含む合金などが挙げられる。金属薄膜層の形成方法は特に制限されず、例えば上記の金属を用いた、真空蒸着法などの蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などが挙げられる。また、隣接する層との密着性を向上させるため、金属薄膜層の表面や裏面には公知の樹脂を用いたプライマー層を設けてもよい。
[隠蔽層7]
隠蔽層7は、加飾シートの色の変化やバラツキを抑制する目的で、必要に応じて設けられる層である(図示していない)。
隠蔽層7は、通常、基材層1が加飾シートの色調や絵柄に悪影響を及ぼすのを抑制するために設けられるため、一般には不透明色の層として形成される。
隠蔽層7は、バインダーに、顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したインキ組成物を用いて形成される。隠蔽層7を形成するインキ組成物は、上述の装飾層5に使用されるものから適宜選択して使用される。
隠蔽層7は、通常、厚みが1〜10μm程度に設定され、所謂ベタ印刷層として形成されることが望ましい。
2.加飾樹脂成形品
本発明の加飾樹脂成形品は、本発明の加飾シートと成形樹脂とを一体化させることにより成形されてなるものである。即ち、本発明の加飾樹脂成形品は、少なくとも、成形樹脂層と、熱融着層と、基材層とがこの順に積層された積層体からなり、前記成形樹脂層を除く部分の厚みが200〜400μmの部分を有し、かつ、熱融着層のガラス転移温度が65〜85℃の範囲にあることを特徴とする。なお、本発明の加飾シートと成形樹脂とを一体化させて成形する場合には、加飾シートが引き延ばされた部分の厚みは薄くなるため、当該部分においては、厚みが200〜400μmよりも薄くなっている場合がある。本発明の加飾樹脂成形品では、必要に応じて、加飾シートに上述の表面保護層3、プライマー層4、装飾層5などの少なくとも1層がさらに設けられていてもよい。なお、図3は、図1に示される積層構造を有する加飾シートと成形樹脂とが一体化して得られる加飾樹脂成形品の模式的断面図である。また、図4は、図2に示される積層構造を有する加飾シートと成形樹脂とが一体化して得られる加飾樹脂成形品の模式的断面図である。
本発明の加飾樹脂成形品は、熱融着層を有する本発明の加飾シートを用いたオーバーレイ法によって製造することができる。上述の通り、本発明のオーバーレイ法においては、熱融着層を有する加飾シートを加熱により軟化させ、加飾シートを成形樹脂の形状に追従させて成形しながら、熱融着層を成形樹脂に熱融着させて、加飾シートにより成形樹脂が加飾された加飾樹脂成形品を製造する。
より具体的には、下記の工程1〜5を備えるオーバーレイ法によって、本発明の加飾樹脂成形品が製造される。
工程1:本発明の加飾シートの前記熱接着層を、前記成形樹脂に対向させ、チャンバー内が前記加飾シートを介して気密に分割されるようにして、前記加飾シートと前記成形樹脂とをチャンバー内に配置する工程
工程2:前記加飾シートを介して分割された前記チャンバー内の一方側と他方側とが同一圧力となるように前記チャンバー内を減圧し、かつ、前記チャンバー内の前記加飾シートを加熱して軟化させる工程
工程3:前記加飾シートを介して分割された前記チャンバー内の前記成形樹脂とは反対側の減圧を解除して、加熱により軟化した前記加飾シートを前記成形樹脂の形状に追従させて成形する工程
工程4:前記加飾シートと前記成形樹脂とを前記熱融着層を介して熱融着させる工程
工程5:前記加飾シートを介して分割された前記チャンバー内の前記成形樹脂側の減圧を解除して、加飾樹脂成形品を取り出す工程
上記の工程2において、加飾シートを介して分割されたチャンバー内の一方側と他方側とが同一圧力であるとは、加飾シートが略水平な状態を保つことができる程度にチャンバー内の加飾シートを介した両側の圧力が近しいことをいい、必ずしも両側の圧力が完全に一致している必要はない。また、加飾シートを加熱して軟化させた際、加飾シートが自重により垂れ下がることがあるため、チャンバー内の加飾シートを介した両側の真空度を僅かに変化させることで、加飾シートが略水平な状態を保つようにしてもよい。また、工程2におけるチャンバー内の減圧と、加飾シートの加熱の前後は特に問わず、同時に行ってもよい。
上記の工程2において、チャンバー内の加熱温度としては、工程3において加飾シートが軟化されて成形樹脂層の形状に追従できる温度であれば、特に制限されないが、好ましくは90〜200℃程度、より好ましくは100〜180℃程度が挙げられる。
また、工程3において加飾シートを成形樹脂に追従させる工程では、工程2における加熱の余熱により加飾シートの成形を行ってもよいが、引き続きチャンバー内を加熱し、加飾シートを加熱し続けることが好ましい。工程3におけるチャンバー内の加熱温度としては、上記工程2における加熱温度と同程度が好ましく挙げられる。
工程4において加飾シートと成形樹脂とを熱融着層を介して熱融着させる工程では、工程2、または工程3における加熱の余熱により熱融着層を行ってもよいが、引き続きチャンバー内を加熱し、熱融着層を十分に軟化させることが好ましい。工程4におけるチャンバー内の加熱温度としては、熱融着層が軟化して加飾シートと成形樹脂とを熱融着できる温度であれば特に限定されないが、好ましくは110〜220℃程度、より好ましくは130〜200℃程度が挙げられる。
工程2〜4においてチャンバー内の加飾シートを加熱する手段としては特に限定されず、例えば熱盤ヒーターによる加熱、高温蒸気による加熱などが使用できる。工程2〜4における加熱手段は同じであってもそれぞれ異なっていてもよく、加熱温度についても必要により各工程ごとに変動させてもよい。
本発明の加飾樹脂成形品において、成形樹脂層は、用途に応じた樹脂を選択すればよい。成形樹脂層を構成する成形樹脂としては、熱可塑性樹脂であってもよく、また熱硬化性樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の加飾樹脂成形品は、オーバーレイ法によって製造することができるため、多品種小ロット生産に対応しやすくなり、加飾樹脂成形品のバリエーションを広く展開することができる。さらに、本発明の加飾樹脂成形品は、成形時の高い密着性に加えて、成形後に高温下に晒された場合にも高い密着性を有する。よって、本発明の加飾樹脂成形品は、例えば、自動車等の車両の内装材又は外装材;窓枠、扉枠等の建具;壁、床、天井等の建築物の内装材;テレビ受像機、空調機等の家電製品の筐体;容器等として利用することができる。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
(加飾シートの作製)
<実施例1、4〜6及び比較例1〜4>
それぞれ表1及び表2に記載の厚みを有する基材層としてのABS樹脂フィルム上に、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂を含むインキを用いて、グラビア印刷により装飾層(厚み10μm)を形成した。装飾層の模様は、木目模様とした。次に、ABS樹脂フィルムの装飾層とは反対側の面に、表1及び表2に記載のTgを有する樹脂を用いてグラビア印刷により熱融着層(厚み5μm)を形成した。次に、装飾層の上に、後述のプライマー組成物を用いてグラビア印刷によりプライマー層(厚み2μm)を形成した。次に、プライマー層の上に後述の電離放射線硬化性樹脂を、硬化後の厚みが10μmとなるようにして、グラビアリバースコートにより塗工した。次に、塗工した電離放射線硬化性樹脂に対して、電子線を照射(加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad))して、電離放射線硬化性樹脂を硬化して表面保護層を形成し、熱融着層/基材層/装飾層/プライマー層/表面保護層がこの順に積層された加飾シート(積層構造1)を得た。各加飾シートの総厚みは、表1及び表2に記載の通りである。なお、各加飾シートの総厚みは、厚み計(ニコン社製 デジマイクロMF−501)を用いて測定した値である。
[電子線硬化性樹脂組成物]
アクリルシリコーンアクリレート(重量平均分子量20,000):70質量部
6官能のウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量5,000):30質量部
<実施例2>
表1に記載の厚みを有する基材層としてのABS樹脂フィルム上に、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂を含むインキを用いて、グラビア印刷により装飾層(厚み10μm)を形成した。装飾層の模様は、木目模様とした。次に、ABS樹脂フィルムの装飾層とは反対側の面に、表1に記載のTgを有する樹脂を用いてグラビア印刷により熱融着層(厚み5μm)を形成した。次に、装飾層の上にアクリルフィルム(厚み100μm)を熱ラミネートにより積層して、熱融着層/基材層/装飾層/表面保護層がこの順に積層された加飾シート(積層構造2)を得た。
<実施例3>
表1に記載の厚みを有する基材層(表面保護層)としてのアクリルフィルムの上に、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル系共重合体樹脂を含むインキを用いて、グラビア印刷により装飾層(厚み10μm)を形成した。装飾層の模様は、木目模様とした。次に、装飾層の上に、表1に記載のTgを有する樹脂を用いてグラビア印刷により熱融着層(厚み5μm)を形成して、熱融着層/装飾層/基材層(表面保護層)がこの順に積層された加飾シート(積層構造3)を得た。
(成形時の密着性の評価)
実施例1〜6及び比較例1〜4の加飾シートを用いて、以下の工程により加飾樹脂成形品を作製し、得られた加飾樹脂成形品の表面を目視で観察して、以下の基準により成形時の密着性を評価した。結果を表1及び表2に示す。
[加飾樹脂成形品の作製]
1.チャンバー内の上側に加飾シート、下側に成形樹脂を互いに対向するように設置する。このとき、チャンバー内が、加飾シートを介して気密に分割されるようにする。
2.熱盤ヒータにより加飾シートを加熱すると共に、加飾シートの上側及び下側が同一真空圧となるように、チャンバー内を真空引きする。
3.加飾シート温度が150℃となったところで、チャンバー内の上側を大気開放し、軟化した加飾シートを成形樹脂の形状に追随させる。
4.加熱温度を上昇させ、加飾シート温度が170℃となったところで20秒間保持し、加飾シートと成形樹脂との界面において、熱融着させる。
5.チャンバー内の下側を大気開放し、加飾樹脂成形品を取り出す。
[成形時の密着性の評価]
○:加飾樹脂成形品の全面に亘って、加飾シートの剥がれが発生していない。
×:加飾樹脂成形品の端部において、加飾シートの剥がれが発生している。
―:成形時の熱によって、加飾シートが破断し、加飾樹脂成形品が製造できない。
(高温下における密着性の評価)
上記で得られた加飾樹脂成形品を110℃で168時間放置した後、表面を目視で観察して、剥がれの有無を確認し、以下の基準により高温下における密着性を評価した。結果を表1及び表2に示す。
○:加飾樹脂成形品の全面に亘って、加飾シートの剥がれが発生していない。
×:加飾樹脂成形品の端部において、加飾シートの剥がれが発生している。
―:成形時の熱によって、加飾シートが破断し、加飾樹脂成形品が製造できない。
表1及び表2に示される結果から明らかな通り、加飾シートの総厚みが200〜400μmの範囲にあり、かつ、熱融着層のガラス転移温度が65〜85℃の範囲にある実施例1〜6の加飾シートにおいては、成形時の高い密着性に加えて、成形後に高温下に晒された場合にも高い密着性を有していた。
一方、加飾シートの総厚みは200〜400μmの範囲にあるものの、熱融着層のガラス転移温度が90℃と高い比較例1の加飾シートでは、成形時及び成形後に高温下に晒された場合の密着性が劣っていた。また、熱融着層のガラス転移温度が60℃と低い比較例2の加飾シートでは、成形後に高温下に晒された場合の密着性が劣っていた。
また、熱融着層のガラス転移温度は65〜85℃の範囲にあるものの、加飾シートの総厚みが450μmと厚い比較例3の加飾シートでは、成形時及び成形後に高温下に晒された場合の密着性が劣っていた。一方、加飾シートの総厚みが175μmと薄い比較例4の加飾シートでは、成形時の熱によって、加飾シートが破断し、加飾樹脂成形品が製造できなかった。
1…基材層
2…熱融着層
3…表面保護層
4…プライマー層
5…装飾層
6…成形樹脂層

Claims (8)

  1. 熱融着層を有する加飾シートを加熱により軟化させ、前記加飾シートを成形樹脂の形状に追従させて成形しながら、前記熱融着層を前記成形樹脂に熱融着させて、前記加飾シートにより前記成形樹脂が加飾された加飾樹脂成形品を製造するオーバーレイ法に用いられる加飾シートであって、
    前記加飾シートは、少なくとも、基材層と、熱融着層とが積層された積層体からなり、
    前記積層体の厚みが、200〜400μmの範囲にあり、
    前記熱融着層のガラス転移温度が、65〜85℃の範囲にある、加飾シート。
  2. 表面保護層をさらに有する、請求項1に記載の加飾シート。
  3. 装飾層をさらに有する、請求項1または2に記載の加飾シート。
  4. 前記熱融着層と、前記基材層と、表面保護層とがこの順に積層された積層体からなる、請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
  5. 前記基材層と前記表面保護層との間に、プライマー層及び装飾層の少なくとも一方が積層された積層体からなる、請求項4に記載の加飾シート。
  6. 前記熱融着層と、装飾層と、前記基材層とがこの順に積層された積層体からなる、請求項1に記載の加飾シート。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の加飾シートの前記熱融着層が、成形樹脂層に積層されてなる、加飾樹脂成形品。
  8. 以下の工程1〜5を備える、加飾樹脂成形品の製造方法。
    工程1:請求項1〜6のいずれかに記載の加飾シートの前記熱接着層を、前記成形樹脂に対向させ、チャンバー内が前記加飾シートを介して気密に分割されるようにして、前記加飾シートと前記成形樹脂とをチャンバー内に配置する工程
    工程2:前記加飾シートを介して分割された前記チャンバー内の一方側と他方側とが同一圧力となるように前記チャンバー内を減圧し、かつ、前記チャンバー内の前記加飾シートを加熱して軟化させる工程
    工程3:前記加飾シートを介して分割された前記チャンバー内の前記成形樹脂とは反対側の減圧を解除して、加熱により軟化した前記加飾シートを前記成形樹脂の形状に追従させて成形する工程
    工程4:前記加飾シートと前記成形樹脂とを前記熱融着層を介して熱融着させる工程
    工程5:前記加飾シートを介して分割された前記チャンバー内の前記成形樹脂側の減圧を解除して、加飾樹脂成形品を取り出す工程
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