JP2014022123A - 二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】硫黄と有機物とを含む原料を収容する原料容器1と、原料容器内から供給される原料を加熱する加熱容器2と、加熱容器内で生成された生成物を回収する生成物回収容器3と、原料容器から供給される原料を加熱容器に連続的に送りこむとともに加熱容器にて生成された生成物を生成物回収容器3へと連続的に送り出す連続移送機構4と、加熱容器内で発生した硫化水素を外部に取り出すための排出管5とを備え、排出管は、加熱容器内から排出される排ガス中に含まれる硫黄蒸気の処理機構として、硫黄蒸気から硫黄を凝結させて原料として加熱容器内に戻す機構、及び、硫黄蒸気を蒸気のまま排出する機構のうち、少なくともいずれか一方の機構を有している。
【選択図】図1
Description
このような正極活物質として、Co以外にFe、Mn、Niや、種々の添加物を加えた酸化物系正極や、リン酸オリビン系化合物LiMPO4(LiMnPO4、LiFePO4、LiCoPO4など)が提案されている。しかしながら、これら例示した材料は、いずれも容量が安定して250mAh/g以上を示すものではなく、自動車等に要求される使用可能温度範囲、安全性と大容量、大出力特性を兼ね備えた電池となる材料はこれまで存在しなかった。
近年、この硫黄を有機物と加熱してコンポジット化したものが高い容量と良好なサイクル特性、レート特性を示すことがわかってきた。
本出願人らは、これらの有機硫黄系正極材料を組み込んだ電池を製作し、この電池は、自動車に用いる二次電池としての使用可能温度範囲、安全性と大容量、大出力特性を兼ね備えた実電池であることを確認している。
非特許文献2には、中国Nankai大学のC.Laiらが、Ar雰囲気750℃においてPANを炭酸ナトリウムで熱処理して1473m2/gの表面積を持つ活性炭を作成し、これに硫黄を混ぜて150℃で熱処理し、57%の硫黄を含む有機硫黄コンポジットを作製しており、この材料はリチウムイオン電池正極材料として容量1155 mAh/gを示し、84サイクル後でも745 mAh/gの容量を持つことが記載されている。
非特許文献3には、中国Nankai大のB.Zhangらが、硫黄アセチレンブラック混合物を149℃で6時間、300℃まで昇温したコンポジットを作製し、ボールミルで混合したものとSEM、XRD、細孔径分布、CV、インピーダンス法により比較を行ったこと、及び、熱処理したコンポジットは、50サイクル後500mAh/gの容量を示したが熱処理しなかったものは低い容量にとどまったことが記載されている。
非特許文献4には、イラクのMosul大のShahabらが、瀝青と硫黄を400℃で反応させ得られた有機硫黄コンポジットについて種々の温度での硫黄の量を調べた結果が記載されている。
非特許文献5には、北京化学大学のSunらが、リチウム硫黄2次電池の正極材料である硫黄のバインダーとしてこれまでのPEOに代わりゼラチンを用いることで充放電特性とサイクル特性が向上することを見出したこと、及び、ゼラチンは電解質の有機溶媒では膨潤せず、サイクル試験後のSEM観察などで粒子の租粒化が抑えられるなどの効果が見出されたことが記載されている。
非特許文献6においては、ロシア科学アカデミーのシベリア支部のTrofimovが、ポリマーの硫黄化と充放電をレビューしている。ポリエチレンを含む種々のポリマーの硫黄化により生成する化合物の構造が示され、ESRによるラジカルの数、CVが報告されている。
非特許文献7においては、上海交通大学のWeiらが、92 wt.% アクリロニトリル−8 wt.% メチルアクリレートポリマー繊維(安価な市販品)をこれまでのPANの代わりに使用し、MWCNT(多壁カーボンナノチューブ)を導電助剤として加え、繊維1g 、MWCNT0.1g、硫黄10gをエタノール中でボールミル混合し、300℃4時間窒素中で熱処理した35wt%の硫黄を含むコンポジットを得たこと、及び、このコンポジットが、容量560mAh/g、0.5C100 cycle後96.5%、7Cで387mAh/gを示したことが記載されている。
このことからも分かるように、有機硫黄系正極材料は、安価で、資源量が豊富かつ無害な硫黄と有機物のみからなるために環境負荷が低く、高いリチウムイオンの充放電容量を有し、かつ高温で安定かつ酸素を放出しない材料であることから、次世代リチウムイオン二次電池正極材料のみならずナトリウムイオン二次電池正極材料として大変有望視されている。
請求項1に係る発明では、
硫黄と有機物とを含む原料を収容する原料容器と、
前記原料容器内から供給される原料を加熱する加熱容器と、
前記加熱容器内で生成された生成物を回収する生成物回収容器と、
前記原料容器から供給される原料を前記加熱容器に連続的に送りこむとともに、前記加熱容器にて生成された生成物を前記生成物回収容器へと連続的に送り出す連続移送機構と、
前記加熱容器内で発生した硫化水素を外部に取り出すための排出管と、を備え、
前記排出管は、前記加熱容器内から排出される排ガス中に含まれる硫黄蒸気の処理機構として、前記硫黄蒸気から硫黄を凝結させて原料として前記加熱容器内に戻す機構、及び、前記硫黄蒸気を蒸気の状態で排出する機構のうち、少なくともいずれか一方の機構を有していることを特徴とする二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置、を提供する。
前記排出管を加熱する加熱装置を備えており、
前記加熱装置は、前記加熱容器内から取り出された排ガス中に含まれる硫黄蒸気を、前記排出管内において液化させて前記加熱容器内の原料に向けて滴下させて硫黄を原料として再利用することができる第一の加熱温度で、前記排出管を加熱制御することを特徴とする請求項1記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置、を提供する。
前記排出管を加熱する加熱装置を備えており、
前記加熱装置は、前記加熱容器内から取り出された排ガス中に含まれる硫黄蒸気を、前記排出管内において液化させずに蒸気の状態で外部へと取り出すことができる第二の加熱温度で、前記排出管を加熱制御することを特徴とする請求項1記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置、を提供する。
前記加熱装置は、前記第一の加熱温度と前記第二の加熱温度とを切り換え可能であることを特徴とする請求項2又は3記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置、を提供する。
前記排出管は、前記液化した硫黄が未反応の原料に向けて滴下する位置において前記加熱容器と接続されていることを特徴とする請求項2記載の二次電池用有機硫黄系正極材料製造装置、を提供する。
前記連続移送機構による移送方向の下流側から上流側に向けて前記加熱容器内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置、を提供する。
前記加熱容器は、前記連続移送機構による移送方向の下流側が上流側よりも高位置となるように傾斜している又は傾斜可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置、を提供する。
前記加熱容器が、前記原料を加熱して反応させて粗生成物を生成するための加熱反応容器と、前記加熱反応容器で生成された粗生成物に含まれる未反応の硫黄を除去するための加熱脱硫容器とからなり、
前記連続移送機構は、前記原料容器から供給される原料を前記加熱反応容器へと連続的に送りこみ、前記加熱反応容器で生成された粗生成物を前記加熱脱硫装置へと連続的に移送し、前記加熱脱硫装置にて生成された生成物を前記生成物回収容器へと連続的に送り出すことを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置、を提供する。
前記連続移送機構がスクリュー式であることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置、を提供する。
前記連続移送機構がローラーハース式であることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置、を提供する。
前記連続移送機構がプッシャー式であることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置、を提供する。
図1は本発明に係る製造装置の要部を示す概略断面図であり、図2は本発明に係る製造装置の全体構成を示す断面図である。図3は本発明に係る製造装置の第二実施形態の全体構成を示す断面図である。
先ず、図1,2に示す製造装置(第一実施形態)について説明する。
排出管(5)は、加熱容器(2)内から排出される排ガス中に含まれる硫黄蒸気の処理機構として、硫黄蒸気から硫黄を凝結させて原料として加熱容器(2)内に戻す機構(戻し機構)、及び、硫黄蒸気を蒸気の状態で排出する機構(排出機構)のうち、少なくともいずれか一方の機構を有している。
原料容器(1)の下端排出口は、加熱容器(2)の一端側(上流側)と連通連結されている。原料容器(1)内の原料は、下端排出口から取り出されて加熱容器(2)の一端側(上流側)へと供給される。原料容器(1)の下端排出口と、加熱容器(2)の一端側(上流側)とは図1に示すように直接連結してもよいし、図2に示すようにスクリューコンベア等の移送機構(10)を介して連結してもよい。
尚、加熱容器(2)内の温度は、熱電対(15)により測定され、この測定値に基づいて温度調節器(図示略)で電気炉(8)を制御することにより調整される。
排出管(5)は、硫黄による閉塞を避ける目的で内径10mmφより太い管とすることが好ましく、周囲をリボンヒーター等の加熱装置(11)で加熱する。
このように、排出管(5)は、加熱装置(11)によって第一の加熱温度で加熱されることにより、上述した戻し機構として機能する。
加熱容器(2)内の硫黄が過剰である場合に第一の加熱温度に設定すると、硫黄蒸気が液化して加熱容器(2)内に戻されることで硫黄がより過剰となり、過剰となった硫黄が生成物に付着する不具合が起こり得るが、第二の加熱温度に設定すると、過剰な硫黄が蒸気として加熱容器(2)から取り出されるため、かかる不具合の発生が防がれる。
このように、排出管(5)は、加熱装置(11)によって第二の加熱温度で加熱されることにより、上述した排出機構として機能する。
硫黄回収容器(13)は、空冷や水冷等による冷却手段を有することが好ましい。冷却手段にて硫黄回収容器(13)を所定温度(例えば50℃)以下に冷却することにより、硫黄の大半が硫黄回収容器(13)に回収され、硫化水素と不活性ガスのみを外部に排出することが可能となる。即ち、硫黄回収容器(13)とその冷却手段は、硫黄回収機構として機能する。硫黄回収容器(13)に回収されない硫化水素は、燃焼器などを用いて毒性の低い酸化硫黄に変え、水に吸収させる等の除去処理を行う。
工業的に用いられている移動床反応装置や、ロータリーキルンのような通常の加熱反応容器では、硫黄が反応系外に速やかに逃げ出してしまい有機物と十分反応させることができない。また長さと直径の比率が3:1以下の坩堝等に混合原料を入れ雰囲気炉中で反応させた場合でも、蒸発した硫黄が反応系に戻ってこないため硫黄不足となり良好な特性を有する有機硫黄系正極材料を確実に得ることが困難である。
一方、本発明に係る製造装置によれば、加熱容器(2)内部では、連続移送機構(4)により原料が密な状態で加熱容器(2)内を攪拌されながら移動することや、反応に使われず生成物に付着していた硫黄が気化して原料に熱とともに供給されるため、必要十分な硫黄が存在する環境で反応が行われる。また、加熱により気化した硫黄蒸気が排出管(5)により排出される場合でも、排出管(5)内で硫黄蒸気を液体硫黄として凝結させて原料に落下させ、再び硫黄原料として硫化反応に供する(即ち、蒸発した硫黄が液体として原料に還流される)ことができるため、硫黄不足の問題が生じることがない。
このように構成することにより、加熱容器(2)内に向けて滴下した液体の硫黄が、加熱容器(2)の下流側に向けて流下して生成物に付着することが防がれる。
不活性ガス供給手段を備えることにより、加熱容器(2)の下流側において生成された粗生成物(未反応硫黄を含む生成物)から加熱により発生した過剰な硫黄の蒸気を、不活性ガスの流れに乗せて加熱容器の上流側にある原料の方向へと運ぶことができる。これにより、粗生成物から過剰な硫黄が除去され(精製され)、高容量な有機硫黄系正極材料を連続的に合成することが可能となる。
各排出管(5A)(5B)(5C)は、それぞれ加熱装置(11)により、上記した第一の加熱温度又は第二の加熱温度で加熱される。排出管(5A)(5B)(5C)からは、加熱反応容器(21)及び加熱脱硫装置(22)内の硫黄蒸気、硫化水素、不活性ガスが排出される。
(二次電池用有機硫黄系正極材料の製造)
1.原料の調製
ポリアクリロニトリル粉末10.0gと硫黄(細井化学製、99.9%)14.12gを混合して原料とした。
透明石英管(内径45mmφ、外径50mmφ、長さ500mm)を加熱容器として用いた。この石英管の両端をシリコーンゴム栓で留め、それぞれのゴム栓に8mmφのガス入口とガス出口を穿孔した。ステンレス棒(SUS316製、径5mmφ、長さ600mm)にステンレス板から切り出して曲げたスクリューを溶接してステンレス棒に取り付けた(スクリュー径42mmφ、スクリュー長450mm)。石英管の一方に取り付けたシリコーンゴム栓の中央に穴を穿孔し、スクリューの棒を取り付けた。石英管の外部に出たステンレス棒に、スクリューを回転させるためのハンドルを取り付けて、連続移送機構を構成した。
スクリューを内部に取り付けた石英管を管状電気炉(加熱源)に入れ、石英管の両端それぞれ100mmが炉の外に出るようにした。電気炉、石英管は治具を用いてアルミ製フレームに固定した。フレームの下にブロックを置き、原料が入れられる側の石英管の端(上流端)がもう一端(下流端)に対して1ないし2度の傾斜をもって低くなるようにした。
石英管の前記ガス出口にフッ素樹脂管(排出管)を取り付け、これにリボンヒータ(60cm)を巻きつけ、その温度を温度調節器により150℃に加温制御した。そこから硫化水素を捕集するために用意した三角フラスコにつなぐポリエチレン管を接続した。フッ素樹脂管(外径6.3mmφ、内径3mmφ、長さ150mm)を2本ずつ、シリコーンゴム栓に2つの孔を穿孔して取り付け、これを3組、3つの三角フラスコ(各容量500ml)に取り付けた。水酸化ナトリウム40gを水300mlに溶かしたアルカリ水溶液を各々の三角フラスコに約100mlずつ注いだ。石英管から突出する排気ガス口にポリエチレン配管(外径8mmφ、内径6mmφ、長さ500mm)をつなぎ、三角フラスコの2つあるフッ素樹脂管の一方につなぎ、もう一方のフッ素樹脂管から別の三角フラスコにポリエチレン管をつないで、3つの三角フラスコをガスが直列に通過するようにポリエチレン管を配管した。3つの三角フラスコのうち最初の1つは、フッ素樹脂管をアルカリ水溶液に漬けず、残りの2つの三角フラスコでは、ガスが入ってくる管をアルカリ水溶液に浸して、排気ガスがバブリングすることで硫化水素を捕集できるようにした。
石英管の前記ガス入口にはフッ素樹脂管(不活性ガス供給管)を取り付け、そこから石英管内に窒素ガスを送り込んだ。
混合原料を石英管に入れ、電気炉温度を420℃に設定した。原料の反対側から窒素ガスを300ml毎分流した。スクリューのハンドルを手動で毎分半回転させ、原料を石英管の電気炉により加熱されている部分(加熱部)に送り込んだ。原料が加熱部に送り込まれると、加熱された原料から硫化水素が発生した。従来の装置では、発生した硫化水素は、硫黄を含んで排気口より排気され、その際狭隘な排気口は硫黄の付着により閉塞しやすくなるという問題があった。しかし、この装置では、液化した硫黄が原料へ滴下し原料と攪拌され混ざりこむ様子が観察された。また、排出管を加温したため排出管が硫黄で閉塞することはなかった。また、この装置では、排気中の熱も原料に吸収され再利用されることが加熱部に入る手前の原料の変色(溶融した硫黄によるもの)により確認できた。
装置の気密性は良好で、発生した硫化水素が石英管の外部に漏れることはなかった。
13分後、生成物が電気炉(加熱部)の外に送り出された。これにつづく13分間で9.67gの生成物が得られた。電気炉による加熱と、窒素ガスの気流により硫黄が除去され、精製された生成物を得ることができた。除去された硫黄は、後続の原料に移動し、反応に使用された。
(ロータリーキルンを用いた合成)
1.原料の調製
ポリアクリロニトリル粉末5gと硫黄(キシダ化学、99%)17.5gを混合したものを原料とした。
原料を回転しながらむらなく焼成する一般的な合成手法に用いられるロータリーキルンを使用した。
石英管容器(円筒形、内径74mmφ、外径80mmφ、長さ180mm、両端をそれぞれ30mmφの開口をもつ石英板を貼り付けてある)を加熱容器として用い、この容器に原料を入れた。この容器を水平に毎分1回転する石英炉心管に2箇所の開口部が炉心管と同じ方向になるように入れた。炉心間のガスの出口にビニール管を接続し、この管を40gの水酸化ナトリウムを300mlの水に溶かしたアルカリ水溶液の入った三角フラスコに浸し、排気ガスをバブリングさせるようにした。三角フラスコの出口に活性炭吸収装置の吸引口を設置し、捕集し切れなかった硫化水素を捕集し、排気を屋外に送るようにした。
加熱容器内に窒素ガスを100ml/分で流し、温度を1時間かけて400℃まで上げた。
温度が400℃に達した後、温度を下げ生成物を取り出した。得られた生成物は6.4gであった。十分に硫黄を含んだ正極活物質であれば8gの質量が期待できるが、生成物は硫黄不足であり、性状が本来の微粉末とは異なっており、粒子が凝集していた。用いた硫黄が反応に適当な温度である350℃より前に多くが飛び去ってしまったためと考えられる。さらに、反応後硫黄が付着した炉心管の清掃が困難であった。
(少量バッチ合成)
1.原料の調製
ポリアクリロニトリル粉末20gと硫黄(アルドリッチ、99.9%)70gを乳鉢で混合したものを原料とした。
下部が半球状に閉じた石英管(内径60mmφ、長さ380mm)を加熱容器として用い、この石英管の底に原料を入れた。この容器の蓋に、シリコーンゴム栓(No15)にコルクボーラーで8mmφの穴2つと6mmφの穴1つをあけたものを取り付けた。これに端の閉じたアルミナ管(ニッカトー製、材質SSA-S、外6mmφ、内径4mmφ、長さ400mm)を取り付け、このアルミナ管の内部にK種熱電対をいれ、原料温度を測定し、電気炉を温度制御に用いた。別にアルミナ管(ニッカトー製、材質SSA-S、外8mmφ、内径5mmφ、長さ80mm)2本を上述のシリコーンゴム栓に刺し、それぞれ窒素導入管および排気管とした。
フッ素樹脂管(外径8mm、内径6mm、長さ150mm)を2本ずつ、シリコーンゴム栓に2つの孔を穿孔して取り付け、これを3組、3本の三角フラスコ(各容量500ml)に取り付けた。水酸化ナトリウム20gを水300mlに溶かしたアルカリ水溶液を各々の三角フラスコに約100mlずつ注いだ。石英管から突出する排気口にシリコーンゴム配管(10mmφ、内径8mmφ、長さ50cm)をつなぎ、もう一端を三角フラスコの2つあるフッ素樹脂管につなぎ、もう一方のフッ素樹脂管から別の三角フラスコにシリコーンゴム管をつないで、3つの三角フラスコをガスが直列に通過するようにシリコーンゴム管を配管した。3つの三角フラスコは、それぞれガスが入ってくる管をアルカリ水溶液に浸して、排気ガスがバブリングすることで硫化水素を捕集できるようにした。
石英管内部に2時間窒素ガス100ml毎分を送り込んでガス置換を行い、窒素流入管をピンチコックホフマン式で閉じた。石英管を電気炉に入れ、石英管の底から250mmまでを加熱した。
加熱から20分後原料温度が180℃に達した時点から硫化水素ガスが多く生じ、臭気がしはじめた。シリコーンゴム管を硫化水素は透過し、検知器を近づけるとその表面で10ppmを示した。240℃で硫化水素ガスの発生が顕著になり、石英管上部に硫黄の付着が多くみられた。直後硫黄が出口配管を閉塞し、石英管内部に溜まった硫化水素ガスの圧力でシリコーンゴム栓が石英管から外れて硫化水素が漏洩し、硫化水素検知器が20ppmを超えた警報を鳴らした。防毒マスクをして閉塞部分の硫黄を除去し、シリコーンゴム栓を石英管にはめ込んで作業を継続した。室内に漏れ出した硫化水素はダクトで吸引して屋外に排気した。380℃で電気炉の加温を停止した後、原料温度が420℃以上に上がらなくなった時点で電気炉から石英管を取り出し、石英綿の上に横にして寝かして冷まし、凝結した硫黄が粗生成物に流れ下らないように、粗生成物を高い位置に保てるよう石英管の口が下になるよう傾けて冷ました。得られた粗生成物は、脆い塊60gであった。
得られた粗生成物は、硫黄の除去が行われなかったため単体の硫黄を多く含み、そのままでは正極材料として用いることができない。このため塊を粉砕し、2gずつ真空処理容器中で真空下250℃2時間加熱して硫黄を除去した。2gの粗生成物からは約1gの有機硫黄系正極材料が得られた。
上記したように、実施例(本発明)によれば、必要最低限の硫黄を用い、短時間に連続して未反応硫黄が除去された高容量な有機硫黄系正極材料を効率良く合成することができた。
一方、比較例では、連続して短時間での合成を行うことはできず、さらには未反応硫黄の除去のために真空下での加熱処理が別途必要となり、高容量な有機硫黄系正極材料を効率良く合成することはできなかった。
1.電極作製
得られた有機硫黄系正極材料3.0mgとPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)0.3mgとアセチレンブラック2.7mgを、メノウ乳鉢を用いてシート状になるまで手で混練し、直径が10mm程度の円板状となるように形状を整えた。得られた円板状の電極シートを、アルミニウムメッシュ(#100メッシュ)を直径13mmの円形に打ち抜いたものの上に乗せて、卓上ハンドプレス機で、20MPaの圧力で加圧して圧着し一体化することにより、正極用電極を作製した。アルミニウムメッシュは、電極の集電性を高める役割を担う集電体である。一方、負極には、直径13mm、厚さ0.5mmの金属リチウムを用いた。
評価用の電池として2032型コイン電池を組み立てた。セパレータにはポリプロピレン製微多孔膜(Celgard2400、Celgard社製)を用いた。電解液には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比で1:1に混合したものに、1mol/Lの濃度になるようにLiPF6(六フッ化リン酸リチウム)を溶解させたものを用いた。
常法に従い、上記した有機硫黄系正極材料を用いた正極とリチウム金属負極とを対向させ、両者が直接接触しないように、その間に電解液をしみ込ませたセパレータを挟み、ステンレス鋼製の平板と板バネと合わせて、電池缶内に配置させ、蓋をのせ、電池缶と蓋をかしめて密封することにより、電池を作製した。
作製された電池について充放電試験を行った。充放電試験時の電流密度は60mA/gとした。これは、有機硫黄系正極材料が600mAh/gの電気容量を有する場合に、10時間かけて充電又は放電することになる、十分に速度の遅い充放電速度での試験とするためであった。電流値を大きくすると、抵抗が大きい場合に、本来の電気容量を発現できない場合があるため、遅い充放電速度での試験を行った。電圧範囲は1.0から3.0V vs.Li+/Liで試験を行った。試験温度は30℃とした。
充放電試験の結果を表1に示す。
表1に示すように、本発明の装置により得られた有機硫黄系正極材料を用いた実施例において、リチウムイオン二次電池の正極材料として、従来の遷移金属酸化物正極では実現困難な250mAh/g以上の大きな電気容量が得られた。
尚、比較例1の装置により得られた有機硫黄系正極材料を用いた場合、少ない電気容量しか得られなかった。このことは、ロータリーキルンを用いる装置では十分な量の硫黄を生成物中に取り込むことが出来なかったためといえる。また比較例2の装置は、未反応硫黄の除去のために真空下での加熱処理が別途必要であるため、有機硫黄系正極材料を多量に合成するには不向きである。
このことから、本発明の装置は、大きな充放電容量が得られる有機硫黄系正極材料を、安全かつ環境に配慮して連続的に迅速かつ多量に合成することができる点において、従来技術に比して優れた装置であるといえる。
Claims (12)
- 硫黄と有機物とを含む原料を収容する原料容器と、
前記原料容器内から供給される原料を加熱する加熱容器と、
前記加熱容器内で生成された生成物を回収する生成物回収容器と、
前記原料容器から供給される原料を前記加熱容器に連続的に送りこむとともに、前記加熱容器にて生成された生成物を前記生成物回収容器へと連続的に送り出す連続移送機構と、
前記加熱容器内で発生した硫化水素を外部に取り出すための排出管と、を備え、
前記排出管は、前記加熱容器内から排出される排ガス中に含まれる硫黄蒸気の処理機構として、前記硫黄蒸気から硫黄を凝結させて原料として前記加熱容器内に戻す機構、及び、前記硫黄蒸気を蒸気の状態で排出する機構のうち、少なくともいずれか一方の機構を有していることを特徴とする二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置。 - 前記排出管を加熱する加熱装置を備えており、
前記加熱装置は、前記加熱容器内から取り出された排ガス中に含まれる硫黄蒸気を、前記排出管内において液化させて前記加熱容器内の原料に向けて滴下させて硫黄を原料として再利用することができる第一の加熱温度で、前記排出管を加熱制御することを特徴とする請求項1記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置。 - 前記排出管を加熱する加熱装置を備えており、
前記加熱装置は、前記加熱容器内から取り出された排ガス中に含まれる硫黄蒸気を、前記排出管内において液化させずに蒸気の状態で外部へと取り出すことができる第二の加熱温度で、前記排出管を加熱制御することを特徴とする請求項1記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置。 - 前記加熱装置は、前記第一の加熱温度と前記第二の加熱温度とを切り換え可能であることを特徴とする請求項2又は3記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置。
- 前記排出管は、前記液化した硫黄が未反応の原料に向けて滴下する位置において前記加熱容器と接続されていることを特徴とする請求項2記載の二次電池用有機硫黄系正極材料製造装置。
- 前記連続移送機構による移送方向の下流側から上流側に向けて前記加熱容器内に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置。
- 前記加熱容器は、前記連続移送機構による移送方向の下流側が上流側よりも高位置となるように傾斜している又は傾斜可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置。
- 前記排出管から排出された排ガス中に含まれる硫化水素及び硫黄蒸気から硫黄を回収して硫化水素のみを外部に排出する硫黄回収機構を備えていることを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置。
- 前記加熱容器が、前記原料を加熱して反応させて粗生成物を生成するための加熱反応容器と、前記加熱反応容器で生成された粗生成物に含まれる未反応の硫黄を除去するための加熱脱硫容器とからなり、
前記連続移送機構は、前記原料容器から供給される原料を前記加熱反応容器へと連続的に送りこみ、前記加熱反応容器で生成された粗生成物を前記加熱脱硫装置へと連続的に移送し、前記加熱脱硫装置にて生成された生成物を前記生成物回収容器へと連続的に送り出すことを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置。 - 前記連続移送機構がスクリュー式であることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置。
- 前記連続移送機構がローラーハース式であることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置。
- 前記連続移送機構がプッシャー式であることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の二次電池用有機硫黄系正極材料連続製造装置。
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