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JP2014080333A - 表面処理されたガラス基体の製造方法 - Google Patents

表面処理されたガラス基体の製造方法 Download PDF

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JP2014080333A JP2012229521A JP2012229521A JP2014080333A JP 2014080333 A JP2014080333 A JP 2014080333A JP 2012229521 A JP2012229521 A JP 2012229521A JP 2012229521 A JP2012229521 A JP 2012229521A JP 2014080333 A JP2014080333 A JP 2014080333A
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雄志 松井
Seiji Azuma
誠二 東
Takashi Shibuya
崇 澁谷
Shigeru Nakamura
茂 中村
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Abstract

【課題】爆発や火災発生の危険性が低く、より取り扱いの容易な材料により表面処理されたガラス基体を製造することが可能で、かつ、用いる製造装置の安全装置や気密性を従来よりも簡略化し小型化可能な表面処理されたガラス基体の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ガラスリボンの少なくとも一面に、TFA(トリフルオロ酢酸)を含有する気体を接触させる工程を有する表面処理されたガラス基体の製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面処理されたガラス基体の製造方法に関する。
従来、建材用ガラス、自動車用ガラス、ディスプレイ用ガラス、光学素子、太陽電池用ガラス基体、ショーウィンドウガラス、光学ガラス、メガネレンズなどの光線透過性が要求される用途に用いられるガラス基体において、光線透過率を高めるためにガラス基体の表面に反射防止膜を形成する場合がある。例えば、高透過性のガラス製の部材を得るために、その表面に、蒸着、スパッタなどのドライコーティングや、塗布、スピンコートなどの湿式コーティング等の方法によって、MgF2等のフッ化物の膜や中空状のSiO2膜による反射防止膜を形成することが行われていた。
しかしながら、ガラス基体と異なる性質の機能膜を成膜するため、ガラス基体と機能膜との密着性が悪く、拭き取り等の操作によって膜が容易に剥離する問題があったため、ガラス基体の表面にフッ素化剤を接触させて、ガラス表面に多孔質構造を形成(以下、「エッチング」とも称する)することで、反射防止膜を形成させる方法が知られている(特許文献1)。
これは、ガラス表面において、フッ素系化合物がガラスの骨格構造であるSiOと反応してSiF(ガス)を生成し、その結果、骨格を失った残りの成分が珪フッ化物となって、表面に多孔質の領域を形成するものと推定される。
上記特許文献1では、上記フッ素化剤として、そのままでも反応性が高く、反応時間を短縮できるためフッ素単体を特に好ましく用いることができる旨記載されている。
国際公開第2008/156177号
しかしながら、フッ素単体は反応性が高いため爆発する場合や、火災を起こす場合があり、危険性が高いため、取り扱いが困難であった。また、フッ素単体はガラス表面の処理を密閉系で操作を行う必要があるため装置が大型化し、コストが増大するという問題があった。
本発明は上記従来技術が有する問題に鑑み、爆発や火災発生の危険性が低く、より取り扱いの容易な材料により表面処理されたガラス基体を製造することが可能で、かつ、用いる製造装置の安全装置や気密性を従来よりも簡略化し小型化可能な表面処理されたガラス基体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明は、ガラスリボンの少なくとも一面に、TFA(トリフルオロ酢酸)を含有する気体を接触させる工程を有する表面処理されたガラス基体の製造方法を提供する。
本発明の表面処理されたガラス基体の製造方法においては、フッ素単体よりも爆発や火災が発生する危険性が低く安全なTFA(トリフルオロ酢酸)を用いるため、従来よりも容易に取り扱うことが可能になる。また、安全に、ガラス基体表面に十分な反射防止性能を有する反射防止膜を形成することが可能になる。さらに、より簡易な装置によりガラス基体の表面処理を行うことが可能になり、装置の小型化、コストの低減を図ることができる。
図1は、本発明で用いることのできる両流しタイプのインジェクタを模式的に示す図である。 図2は、本発明で用いることのできる片流しタイプのインジェクタを模式的に示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、本発明は、下記の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、下記の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。
本実施形態では、本発明の表面処理されたガラス基体の製造方法について説明する。
本実施形態におけるガラスリボンとしては、無色透明なソーダライムシリケートガラス、アルミノシリケートガラス、ボレートガラス、リチウムアルミノシリケートガラス、石英ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、その他の各種ガラスからなる透明ガラスリボンを用いることができる。
また、太陽電池用基体に用いる場合、ガラスリボン(ガラス基体)の厚さは0.2〜6.0mmであることが好ましい。この範囲において、得られるガラス基体の強度が強く、透過率が高いため好ましい。また、ガラス基体としては、本実施形態で説明する表面処理を実施しなかった場合でも、350〜800nmの波長領域において高い透過率、例えば80%以上の透過率を有するものを用いることが好ましい。また、十分な絶縁性を有し、かつ化学的、物理的耐久性が高いことが望ましい。
また、ガラスリボンとしては、アルカリ元素、アルカリ土類元素、またはアルミニウムがその成分に含まれることが好ましく、具体的には、ソーダライムシリケートガラス、アルミノシリケートガラスが挙げられる。アルカリ元素、アルカリ土類元素またはアルミニウムが含まれるガラスリボンの場合には、その表面を、TFAを含有する気体で処理することにより、ガラス最表層にFが残存しやすくなり、フッ化物の特徴である低屈折率を生かしてガラス基体の透過率を増加させることができるため好ましい。またガラス基体の成分中にジルコニウムが含まれてもよい。
アルカリ元素、アルカリ土類元素およびアルミニウムはフッ素と化合物をつくることが知られている。これらの元素とフッ素の化合物は屈折率(n)がガラスより低く、ガラス基体表面に形成された場合、ガラス基体の屈折率(n)と空気の屈折率(n)の中間屈折率を有する被膜となる。すなわちn<n<nとなる。ガラス基体、フッ素化合物による被膜、空気がこの順に並んで反射率が低くなり、結果としてTFA(トリフルオロ酢酸)を含有する気体で処理したガラス基体の透過率は、未処理のガラス基体と比べて、透過率が上がるため、本発明のガラス基体としてより適している。
本実施形態の表面処理されたガラス基体の製造方法では、ガラス基体の表面に多孔質構造が形成されることにより、ガラスよりも屈折率の低下した「低屈折率層」を形成することができる。本実施形態の製造方法によれば、未処理のガラス基体と比べて400nmから1100nmまでの平均透過率を向上させることができ、例えば1.0%以上、更には1.5%以上増加させることができる。
ここで、「ガラス基体の表面に多孔質構造が形成される」とは、ガラス基体の表面に多数の凹凸構造が形成された状態になることをいう。ガラス基体の表面に形成される凹凸構造の大きさは特に限定されないが、ガラス基体の表面に低屈折率層を形成するためには、表面処理されたガラス基体についてAFMで観察される表面形状におけるRa(JIS B 0601(1994))が1〜200nmであることが好ましく、2〜100nmであることがより好ましく、2〜70nmであることがさらに好ましい。また、最大高低差が35〜400nmであることが好ましく、35〜350nmであることがより好ましく、35〜200nmであることがさらに好ましい。
また、ガラス基体の表面に形成される凹凸構造により表面積が増加するが、ガラス基体の表面に低屈折率層を形成する、および/またはガラス基体の表面に親水性を付与するためには、ガラス基体表面の表面積率(S−ratio)が1.1〜3.0であることが好ましく、1.1〜2.7であることがより好ましく、1.1〜2.5であることがさらに好ましい。
ここでいうガラス基体の表面積率(S−ratio)とは、AFM等の走査型プローブ顕微鏡を用いて、観察を行った時の凹凸を含む面積を観察面積で除した値を意味している。
また、本実施形態の製造方法により得られる、表面処理されたガラス基体は、表面に凹凸構造が形成されたことにより該表面の濡れ性が向上し、またガラス基体の表面にフッ素が導入されており、ガラス基体の表面に極性基が存在している状態となる等の作用によって、ガラス基体の表面に親水性が付与される。そして、ガラス基体の表面に親水性が付与されることによって、該表面の防汚性が向上する、防曇性が向上する等の効果が発揮される。
本発明の低屈折率層は、ガラスリボンに対してTFAを含有する気体を供給、接触させることにより形成される。この際、ガラスリボンの近傍部分でTFAの一部が分解することによりフッ素やフッ化水素等を生じる場合があり、これらも低屈折率層の形成に寄与すると考えられる。
なお、この様にTFAの一部が分解してフッ素やフッ化水素等を発生する場合であっても、係る分解反応はガラス基体の温度により分解反応が進行するため、ガラス基体の表面近傍において生じる程度である。このため、フッ素等が生じた場合でも排気系によりすぐ排気できるため、フッ素単体を反応ガスとして供給する場合のように密閉性の高い装置等を用いる必要はなく、また爆発等の危険性も生じない。
低屈折率層が設けられたガラス基体の表面におけるフッ素の原子数濃度は1%以上であることが好ましい。一般にフッ化物には低屈折率化合物が多いことが知られている。該フッ化物として、たとえば、NaF、KF、MgF,CaFなどの結晶性化合物が挙げられる。またNaF、KF、MgF,CaFなどと同じような組成のアモルファス化合物も挙げられる。またNaAlFに代表されるような、2つ以上の元素とFを含むような結晶性化合物ならびにアモルファス化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ガラスリボンに対してTFAを含有する気体を供給して表面処理をするにあたっては、例えばガラスリボンがコンベヤーの上を流れている場合は、コンベヤーに触れていない側から供給してもよい。またコンベヤーベルトにメッシュベルトなどのガラスリボンの一部が覆われていないメッシュ素材を用いることにより、コンベヤーに触れている側から供給してもよい。また2つ以上のコンベヤーを直列に並べて、隣り合うコンベヤーの間にインジェクタを設置することにより、コンベヤーに触れている側から当該ガスを供給してガラスリボン表面を処理してもよい。また、ガラスリボンがローラーの上を流れている場合は、ローラーに触れていない側から当該ガスを供給してもよいし、ローラーに触れている側において、隣り合うローラーの間から当該ガスを供給してもよい。
いずれの場合も、ガラスリボンが例えばフロート法により製造されている場合、溶融金属浴に対する非接触面側から、TFA(トリフルオロ酢酸)を含有する気体を供給して表面処理をしてもよい。また溶融金属浴に対して接触面と非接触面の両側から、TFA(トリフルオロ酢酸)を含有する気体を供給して表面処理をしてもよい。
ただし、表面処理を施した後、表面処理を施した面が更にコンベヤーやローラー等の搬送部材と接触する場合、表面処理を施した部分が変形したり、破損したりする場合がある。このため、コンベヤーやローラーと接触していない面に対してTFAを含有する気体を供給して表面処理を行うことが好ましい。
本実施形態においては、TFAを含有する気体をガラスリボンの表面に供給して接触させる際のガラスリボンの温度が500℃以上であることが好ましく、550℃以上であることがより好ましい。
これは、ガラスリボンの表面温度が500℃を下回る場合、TFAを含有する気体と、ガラス骨格を形成するSiなどの元素との反応における反応速度定数が小さくなるため、低屈折率層が形成される反応が十分に進行しない場合があるためである。
ガラスリボンの温度の上限値は特に限定されるものではないが、700℃以下であることが好ましく、650℃以下であることがより好ましい。
これはガラスリボンの表面温度が700℃を上回る温度で該表面を処理した場合は、ガラスの粘度が低くガラス中の原子が動きやすい状態になっており、表面に凹凸が生成したとしても構造が緩和されてしまう場合があるためである。
TFAを含有する気体をガラスリボン表面に供給する際のガラスリボン表面の圧力は、大気圧−100パスカルから大気圧+100パスカルの圧力範囲の雰囲気の中で行われることが好ましく、大気圧−50パスカルから大気圧+50パスカルの圧力範囲の雰囲気の中で行われることがより好ましい。
また、TFAを含有する気体の供給口と、未反応のTFAを含有する気体ならびにガラスリボンと反応して生成する気体、分解して生成した気体の排気口とが、ガラスリボンの同じ側の面に存在することが好ましい。
本実施形態で用いられるTFAを含有する気体を使用する際には、液体のTFA液体を気化してからガラスリボン表面に供給する構成とすることができる。また必要に応じて他の気体で希釈してもよい。
本実施形態で用いられる、TFAを含有する気体としては、TFA以外の液体や気体を含んでいてもよく、常温でTFAと反応しない液体や気体であることが好ましい。たとえばN、空気、H、O、Ne、Xe、CO、Ar、He、Krなどが挙げられるが、これらのものに限定されるものではない。またこれらのガスのうち、2種以上を混合して使用することもできる。TFAを含有する気体のキャリアガスとしては、N、アルゴンなどの不活性ガスを用いることが好ましい。
また、TFAを含有する気体には、更にSOを含んでもよい。SOはフロート法などで連続的にガラス基体を生産する際に使用されており、徐冷域において搬送ローラーがガラス基体と接触して、ガラスに疵を発生させることを防ぐ働きがある。また、高温で分解するガスを含んでいてもよい
更に、TFAを含有する気体は、HO、すなわち、水蒸気もしくは水を含有していてもよい。水蒸気は加熱した水に窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスをバブリングさせて取り出すことができる。大量の水蒸気が必要な場合は、気化器に水を送り込んで直接気化させる方法をとることも可能である。このようにTFAを含有する気体にHOを含有させることにより、TFAによるガラス基体(ガラスリボン)に対するエッチングの程度を調整することができる。
ただし、水の添加量が多くなるとガラスリボンとTFAを含有する気体との反応速度が遅くなると考えられることから、TFAを含有する気体中の、HOとTFAのモル比である、HO/TFAが4.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、1.5以下であることが更に好ましい。
本実施形態においては、ガラスリボンに対して前記TFAを含有する気体を接触させる時間は特に限定されるものではないが、10秒以下であることが好ましく、5秒以下であることがより好ましい。
ガラスリボンに対してTFAを含有する気体を接触させる時間とは、TFAを含有する気体を供給している領域をガラスリボンが通過するために要する時間を意味している。TFAを供給している領域内では、ガラスリボン表面に供給されたTFAを含有するガスによりガラスリボン表面に多孔質構造が形成されており、10秒以内で十分な性能を有する低反射率層を形成することができる。
ガラスリボンに対してTFAを含有する気体を接触させる時間の下限値は特に限定されるものではない。
本実施形態のガラス基体(ガラスリボン)は、フロート法に代表されるように通常ローラー搬送によりガラスリボンを搬送させて製造することができる。フロート法では、ガラスの原料を溶解する溶融炉と、溶融ガラスを溶融金属(錫等)上に浮かせてガラスリボンを成形するフロートバスと、該ガラスリボンを徐冷する徐冷炉とを有するガラス製造装置を用いてガラス基体が製造される。溶融金属(錫)浴上でガラスが成形される際に、溶融金属浴上を搬送されるガラスリボンに対して、金属面に触れていない側からTFAを含有する気体を供給して当該ガラスリボン表面を処理してもよい。溶融金属(錫)浴に続く徐冷領域では、ガラスリボンはローラー搬送により搬送される。ここで、徐冷領域とは、徐冷炉内だけではなく、フロートバス内で上記溶融金属(錫)浴から搬出されてから徐冷炉内に搬送されるまでの部分も含むものである。徐冷領域において、溶融金属(錫)に触れていない側から当該ガスを供給してもよい。この際、溶融金属と接触した側についても同様に当該ガスを供給してもよいが、一般的に溶融金属と接触した側にはローラー等が配置されているため、上記のように溶融金属に触れていない側から当該ガスを供給することが好ましい。
特にフロートバスから徐冷領域の範囲では、ガラス溶解時の温度からガラスが冷却されて例えば500℃以上の温度を取るために、この領域で処理すると、新たにガラスリボンを加熱する必要がなく、よりコストが抑えられる。
インジェクタよりTFAを含有する気体を供給する場合、インジェクタの気体吐出口とガラスリボンとの距離は50mm以下であることが好ましい。50mm以上であると気体が大気中に拡散するため、所望するガス量に対して、ガラスリボンに到達するガスが少なくなる。逆にガラスリボンとの距離が短すぎる、例えばフロート法で生産されるガラス基体にオンラインで処理をする際に、ガラスリボンの変動により、ガラスリボンとインジェクタが接触する恐れがあるため、5mm以上であることが好ましい。
インジェクタは、両流し・片流しなど、いずれの態様で用いてもよく、ガラスリボンの流れ方向に直列に2個以上並べて、ガラスリボン表面を処理してもよい。両流しインジェクタ10とは、図1に示す通り、ガスの吐出口(供給口)1、2から排気口5へのガスの流れ4がガラスリボン20の移動方向21に対して、順方向と逆方向に均等に分かれるインジェクタである。片流しインジェクタ11とは、図2に示す通り、ガスの吐出口1、2から排気口5へのガスの流れ4がガラスリボン20の移動方向21に対して順方向もしくは逆方向のいずれかに固定されるインジェクタである。片流しインジェクタを使用するときは、気流安定性の点でガラスリボン上のガスの流れとガラスリボンの移動方向が同じであることが好ましい。
また、本実施形態では、上述の様に、ローラーに触れていない側と、ローラーに触れている側の両方の側から当該ガスを供給して本発明の表面処理をしてもよい。例えば徐冷領域で両方の側からガスを供給する場合は、連続的に搬送されているガラスに対してインジェクタを、ガラスリボンを挟んで向かい合うように配置して、ローラーに触れていない側とローラーに触れている側の両方の側から当該ガスを供給してもよい。またローラーに触れている側に配置されるインジェクタと、ローラーに触れていない側に配置されるインジェクタは、ガラスリボンの流れ方向に異なる位置に配置してもよい。異なる位置に配置するにあたっては、いずれがガラスリボンの流れ方向に対して上流に配置されても、下流に配置されてもよい。
両方の側から同じガスを供給して、ガラス基体の両面に同じ機能を付与してもよい。例えば両面にTFA(テトラフルオロ酢酸)を含有する気体を供給してガラスリボン表面を処理することで、片側を処理する場合には、未処理のガラス基体と比べて400nmから1100nmまでの平均透過率を向上させることができ、例えば1.0%以上増加させることができる。これに対して、ガラス基体の両面に表面処理を施した場合、片側を処理した場合に比べて更に400nmから1100nmまでの平均透過率を向上させることができる。例えば、未処理のガラス基体と比べて、400nmから1100nmまでの平均透過率を2.0%以上増加させることができる。
このため、例えばフロート法の徐冷領域において、ガラスリボン両面の各表面に対してTFA(トリフルオロ酢酸)を含有する気体を供給して、ガラス組成を変えることなく、かつ、1回のプロセスで、透過率の高いガラス基体を製造することができる。通常のガラス基体の製造方法に合わせて、1回のプロセスで透過率の高いガラス基体を製造できるので、低コストプロセスとして非常に有用である。
またガラス基体の両面に異なる機能を付与することも可能である。フロート法によるガラス製造技術とCVD技術を組み合わせて、オンラインで透明導電膜付きガラス基体が製造されていることは広く知られている。この場合透明導電膜及びその下地膜については、いずれも錫に触れていない面から、もしくは、ローラーに触れていない面からガスを供給して、ガラス基体上に製膜されることが知られている。例えばこのオンラインCVDによる透明導電膜付きガラス基体の製造において、ローラーに触れている面にインジェクタを配置して、そのインジェクタからガラス基体(ガラスリボン)にTFA(トリフルオロ酢酸)を含有する気体を供給してガラス基体(ガラスリボン)表面を処理してもよい。それにより透明導電膜が設けられている面と反対側のガラス基体表面が処理され、フロート法の一連のプロセスの中で、透過率の高いガラス基体に透明導電膜が設けられた、透明導電膜付き高透過ガラス基体を製造することが可能である。
以上に説明してきた本実施形態の表面処理されたガラス基体の製造方法は、ガラスリボンの少なくとも一面に、TFA(トリフルオロ酢酸)を含有する気体を接触させる工程を行った後、さらに、係るガラスリボンについて任意の形状、サイズになるように加工する工程を行うことができる。具体的には例えば、ガラスリボン(ガラス基体)を切断する工程を行うことができる。また、ガラスリボン(ガラス基体)を切断する工程に代えて、ガラスリボンを所定量巻取り、ガラスロールとする工程を行うこともできる。
また、本実施形態の表面処理されたガラス基体について化学強化処理を行うこともできる。この場合には、従来公知の方法により行うことができる。
化学強化処理により、大きなイオン半径の金属イオン(典型的には、Kイオン)を含む金属塩(例えば、硝酸カリウム)融液への浸漬などによって、表面処理されたガラス基体を接触させることにより、ガラス基体中の小さなイオン半径の金属イオン(典型的には、NaイオンまたはLiイオン)が大きなイオン半径の金属イオンと置換される。
化学強化処理の処理条件は、特に限定されず、ガラスの特性および溶融塩等を考慮して最適な条件を選択すればよく、例えば300〜550℃の硝酸カリウム溶液中にガラス基体を5分〜20時間浸漬することによって行うことができる。イオン交換条件は、ガラスの粘度特性や、用途、板厚、ガラス内部の引っ張り応力等を考慮して最適な条件を選択すればよい。イオン交換処理を行うための溶融塩としては、例えば、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウムおよび塩化カリウム等のアルカリ硝酸塩、アルカリ硫酸塩およびアルカリ塩酸塩などが挙げられる。これらの溶融塩は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。また化学強化の度合いを調整するために、溶融塩中に別の元素を添加してもよい。添加しうる別の元素としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、アルミニウムなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの添加物は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の表面処理されたガラス基体について化学強化することにより、機能性膜を有する化学強化ガラス製品を得ることができる。このような化学強化ガラス製品としては、例えば、デジタルカメラ、携帯電話およびPDAといったディスプレイ装置などのカバーガラス並びにディスプレイのガラス基板が挙げられる。
以下に実施例を用いて、本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[実施例1]
大気圧CVD法で用いる両流しインジェクタ10を用いて、図1に示す模式図のようにして、ガラスリボンの一方の表面にTFAを含有する気体を接触させた。TFAを含有する気体を接触させた面は、フロート法で製造したガラスリボンの溶融金属浴非接触面とした。
すなわち、図1に示す中央スリット1から、TFA1.7L/hr(標準状態での気体で毎時リットル)と、窒素(N)100Nm/hrと、を混合したガスを350℃に加熱してガラスリボン20に対して吹きつけ、外スリット2から窒素(N)35Nm/hrをガラスリボン20に向けて吹きつけた。この場合、全ガス(中央スリット、外スリットから供給する全てのガス)のガス流速(単位時間当たりの供給量)は135Nm/hrとなるようにし、全ガス中に含まれるTFA濃度は0.37mol%であった。
各スリットから供給されたガスはガラスリボン(ガラス基体)20上を流路4に沿って流れ、排気スリット5では吹きつけガス流量の2倍量を排気している。ガスの温度と流速の計測には、熱線風速計(カノマックス社製、クリモマスター6543)を用いた。ガラス基体は旭硝子製ソーダライムガラス(厚み1.8mm)の製造工程におけるガラスリボン(ガラス転移点560℃)を使用し、除冷炉の搬送路上で上記インジェクタによるガスの吹きつけを行った。ガスを吹き付ける直前に放射温度計を設置して測定したところガラスリボンの温度は570℃であった。
[実施例2]
以下の点について条件を変更した以外は実施例1と同様にしてガラスリボンにTFAを含有する気体を接触させて表面処理されたガラス基体を製造した。
図1に示す中央スリット1から吹き付けるガスについて、TFA3.9L/hr(標準状態での気体で毎時リットル)と、窒素(N)100Nm/hrと、を混合したガスを350℃に加熱したものを用い、外スリット2からは窒素(N)35Nm/hrを吹きつけた。
この場合、全ガス(中央スリット、外スリットから供給する全てのガス)のガス流速(単位時間当たりの供給量)は135Nm/hrとなるようにし、全ガス中に含まれるTFA濃度は0.85mol%とした。
[実施例3]
以下の点について条件を変更した以外は実施例1と同様にしてガラスリボンにTFAを含有する気体を接触させて表面処理されたガラス基体を製造した。
図1に示す中央スリット1から吹き付けるガスについて、TFA3.8L/hr(標準状態での気体で毎時リットル)と、窒素(N)100Nm/hrと、を混合したガスを350℃に加熱したものを用い、外スリット2からは窒素(N)35Nm/hrを吹きつけた。
この場合、全ガス(中央スリット、外スリットから供給する全てのガス)のガス流速(単位時間当たりの供給量)は135Nm/hrとなるようにし、全ガス中に含まれるTFA濃度は0.82mol%とした。
[実施例4]
以下の点について条件を変更した以外は実施例1と同様にしてガラスリボンにTFAを含有する気体を接触させて表面処理されたガラス基体を製造した。
図1に示す中央スリット1から吹き付けるガスについて、TFA 3.9L/hr(標準状態での気体で毎時リットル)と、窒素(N)100Nm/hrと、を混合したガスを350℃に加熱したものと水蒸気(HO)0.9L/hrを用い、外スリット2からは窒素(N)33Nm/hrを吹きつけた。
この場合、全ガス(中央スリット、外スリットから供給する全てのガス)のガス流速(単位時間当たりの供給量)は133Nm/hrとなるようにし、全ガス中に含まれるTFA濃度は0.85mol%とした。
[実施例5]
以下の点について条件を変更した以外は実施例1と同様にしてガラスリボンにTFAを含有する気体を接触させて表面処理されたガラス基体を製造した。
図1に示す中央スリット1から吹き付けるガスについて、TFA3.7L/hr(標準状態での気体で毎時リットル)と、窒素(N)100Nm/hrとを混合したガスを350℃に加熱したものと、水蒸気(HO)3.5L/hrを用い、外スリット2からは窒素(N)33Nm/hrを吹きつけた。
この場合、全ガス(中央スリット、外スリットから供給する全てのガス)のガス流速(単位時間当たりの供給量)は135Nm/hrとなるようにし、全ガス中に含まれるTFA濃度は0.81mol%とした。
[実施例6]
以下の点について条件を変更した以外は実施例1と同様にしてガラスリボンにTFAを含有する気体を接触させて表面処理されたガラス基体を製造した。
図1に示す中央スリット1から吹き付けるガスについて、TFA1.7L/hr(標準状態での気体で毎時リットル)窒素(N)100Nm/hrと、を混合したガスを350℃に加熱したものと、水蒸気(HO)1.7L/hrを用い、外スリット2からは窒素(N)133Nm/hrを吹きつけた。
この場合、全ガス(中央スリット、外スリットから供給する全てのガス)のガス流速(単位時間当たりの供給量)は135Nm/hrとなるようにし、全ガス中に含まれるTFA濃度は0.37mol%とした。
[参考例]
表面処理をしていないガラス基体、すなわち、旭硝子製ソーダライムガラス(厚み1.8mm)について比較のため、以下の全光線透過率、ヘイズ率の評価に供した。
上記のようにして得られた実施例、参考例のガラス基体について、純水で5分間超音波洗浄した後、全光線透過率、ヘイズ率を下記のとおりにして測定した。
<全光線透過率>
装置: 分光光度計(島津製作所社製、型番UV−3100PC)
処理面から光を入射させて積分球透過率として測定した。400〜1100nmの波長範囲での平均値で求めた。また、各実施例については、未処理のガラス(参考例のガラス基板)に対する透過率の増加分を計算し、透過率の利得(反射防止効果)とした。
<ヘイズ率>
JIS K7361−1に準拠して測定を行った。
具体的には、タッチパネル式ヘイズコンピューターHZ−2(スガ試験機株式会社製)を用い、光源としてはC光源を用いて測定を行った。
各実施例、比較例の測定結果を表1に示す。
Figure 2014080333
これによると、いずれの実施例のガラス基体においても未処理のガラス基体と比較して透過率が向上しており、フッ素を用いて表面処理を行った場合と同様に反射防止膜を形成できていることが確認できた。このことから、TFAを含有する気体によりガラス基体の表面処理を行うことにより、従来、フッ素を用いてガラス基体の表面処理を行っていた場合よりもより安全に、かつ、コストを抑制した装置を用いて同様の反射防止膜を形成することができることが確認できた。
本発明の方法に従えば、優れた低反射率膜を有するガラス基体を従来よりも安全に効率よく連続的に製造することが可能である。また、安全装置や気密性を従来よりも簡略化した装置により表面処理したガラス基体を製造することが可能になり、装置の小型化、コストの低減を図ることができる。さらに、得られる低反射率層の性能も十分に優れたものである。したがって、本発明に従い得られた表面処理されたガラス基体は、建材用ガラス、自動車用ガラス、ディスプレイ用ガラス、光学素子、太陽電池用ガラス基体、ショーウィンドウガラス、光学ガラス、メガネレンズなどの光線透過性が要求される用途に幅広く用いられ、特に薄膜シリコン太陽電池用TCO基板、結晶シリコン太陽電池用カバーガラス、ディスプレイ等の分野に用いることができる。薄膜シリコン太陽電池用TCO基板は、太陽光を効率的に利用するために電池のタンデム化が進んでいる。波長範囲400−700nmの光は、特にアモルファスシリコン層での量子効率が高く、また波長範囲600−900nmの光は、特に微結晶シリコン層での量子効率が高いため、本発明のガラス基体を使うことにより、効率的な太陽光発電を行うことが可能になる。加えて低反射層を有する化学強化ガラスが製造可能となるため、厚み2mm以下で、かつ、透過率の高い太陽電池カバーガラスが製造可能となり、発電効率や軽量化などにも貢献できる。また化学強化による反りが低減できることにより、低反射層を有する大型ディスプレイや、ディスプレイ一体型製品にも利用することができる。
20 ガラス基体

Claims (3)

  1. ガラスリボンの少なくとも一面に、TFA(トリフルオロ酢酸)を含有する気体を接触させる工程を有する表面処理されたガラス基体の製造方法。
  2. 前記TFA(トリフルオロ酢酸)を含有する気体を前記ガラスリボンの表面に供給して接触させる際の前記ガラスリボンの温度が500℃以上である請求項1に記載の表面処理されたガラス基体の製造方法。
  3. 前記ガラスリボンに対して前記TFA(トリフルオロ酢酸)を含有する気体を接触させる時間が、10秒以下である請求項1または2のいずれか1項に記載のガラス基体の製造方法。
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