以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお勿論、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
(第1の実施の形態)
図1A,Bは、本発明の実施の形態による振動型ジャイロセンサ素子100を示しており、Aは振動型ジャイロセンサ素子100の全体を示す外観斜視図、Bは振動型ジャイロセンサ素子100の振動子110のみを拡大して示す斜視図である。この振動型ジャイロセンサ素子100は、図1A,Bに示すように、シリコン単結晶基板から切り出された、いわゆる片持ち梁形状の振動子110を備えている。この振動子110は、長手方向に対して垂直な平面で切断したときの断面形状が直角四辺形となる四角柱状に形成されている。
この振動型ジャイロセンサ素子100は、そのおおよその大きさとして、素子厚みt1が300μm、素子長さt2が3mm、素子幅t3が1mmである。また、実際に振動する振動梁すなわち振動子110の大きさとして、振動梁厚みt4を100μm、振動梁長さt5を2.5mm、振動梁幅t6を100μmとした。この形状で振動梁を振動させた場合の共振周波数はおよそ40kHz前後となる。以上の数値は一例であり、使用する周波数、目標とする素子の大きさにより任意に設定可能である。
振動型ジャイロセンサ素子100は、支持基板20(図3参照)上に実装されて使用される。この支持基板20と対向する側の素子100の実装面(底面)を図2に示す。
振動子110の表面には、基準電極104a、圧電体105aが順に積層されている。圧電体105aの上には、駆動電極106aと一対の検出電極106b,106cとが振動子110の長手方向に沿って互いに平行にかつ接触しないように各々形成されている。駆動電極106a、検出電極106b,106cおよび基準電極104aには、それぞれ配線接続端子101A,101B,101C,101Dが設けられている。
圧電体105aは、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などの圧電セラミックスや、水晶、LaTaO3などの圧電単結晶などからなる圧電膜である。基準電極104a、駆動電極106a及び検出電極106b,106cは、金属電極あるいは導電性酸化物電極等からなる。
図3は支持基板20上に振動型ジャイロセンサ素子100が実装されてなる角速度センサ(振動型ジャイロセンサ)150の要部斜視図である。振動型ジャイロセンサ素子100は、図2を参照して説明した実装面を下向きにして支持基板20上に実装されている。本実施の形態では、振動型ジャイロセンサ素子100の配線接続端子101A〜101Dに各々金バンプを形成し、これら金バンプを介して各配線接続端子101A〜101Dを支持基板20上のランド21A〜21Dに接合している。
振動型ジャイロセンサ素子100の振動子110は、基準電極104a、圧電体105a、駆動電極106a及び検出電極106b,106cが積層形成された表面(振動子の一方の面)側を支持基板20側に向けられる。このため、振動子110の表面と対向する面、即ち圧電体及び各種電極膜が形成されていない振動子110の裏面110b側が、図3において上方側に臨んでいる。なお、支持基板20の振動子110と対向する部位には、支持基板20の表面に対する振動子110の垂直方向の振動動作を適正に行わせるための凹部(ニゲ)22が所定の範囲及び深さで形成されている。
後述するように、振動子110の外形形状は、シリコン基板に対する反応性イオンエッチング(RIE)加工によって形成される。このとき、エッチング条件やウェーハ位置等に応じて、振動子110の形状が振動方向に関して左右対称にならない場合がある。この場合、振動子110の重心位置は左右何れか一方側に偏倚して質量バランスが崩れ、支持基板20に対して垂直方向に振動せずに、質量が小さい側に傾いて斜め方向に振動する。この場合、左右の検出電極106b,106cから出力される検出信号に大きな信号差が発生し、適正な角速度検出が不可能となる。
そこで、本実施の形態では、作製した振動型ジャイロセンサ素子100を支持基板20へ実装した後、個々の素子について、振動子110の振動状態を図3に示す垂直振動モードに矯正するべく、後述するような手法を用いて振動子110の裏面110b側にレーザービームを照射し凹部80を形成する。これにより、振動子110の質量バランスを調整して最適な振動モードに矯正することができる。なお、振動子110の表面(裏面110b)に隣接する側面にレーザービームを照射して上記凹部を形成することによっても同様な効果を得ることができる。
ここで、振動子110の裏面110b側が、支持基板20に実装された振動型ジャイロセンサ素子100の上面側に臨んでいるので、レーザーの照射による振動特性の調整を容易に行うことができる。また、支持基板20に実装した後に振動子110の振動特性の調整を行うようにしているので、実装前後における振動特性の変動を回避できるとともに、実装後の特性を判断しながら素子を個別に使用範囲内に調整することが可能となる。
また、振動調整用のレーザー加工領域は、圧電膜105a等が形成された振動子110の表面と離間した面であるので、レーザー加工時に発生する熱により圧電膜の特性が変化したり、分極状態が変化する等の影響を最大限回避することができる。また、振動子110の表面を支持基板20に対向するように素子の底面側に向けさせることで、外部から侵入する熱や光等の外乱による影響を受け難くして、安定した素子特性を維持することが可能となる。
一方、シリコン基板には、その表面に極めて微細な凹凸やマイクロクラック等が存在している。上述のように振動子110の外形は、シリコン基板に対するRIE加工によって形成される。この際に、振動子110の裏面110b側とその両側の稜線部位にプラズマの流れにより微細な筋状の凹凸も生じる。これらの微細な凹凸やクラックについては、図4Aに示すように微細凹凸部127と総称する。なお、図では凹凸部127をやや誇張して示している。
振動型ジャイロセンサ素子100においては、例えば振動動作時に大きな衝撃等が付加されると、振動子110の裏面110bやその稜線部位に存在する微細凹凸部127に応力が集中し、振動子110にクラックが生じたり破損等が発生するおそれがある。
そこで本実施の形態では、振動子110の稜線部位や裏面110bあるいは側面に対してレーザー照射を行ってシリコン基板の表面を溶融させ、図4Bに示すように面取り部130あるいは溶融面134を形成することによって微細凹凸部127を除去するようにしている。これにより、振動子110に外部負荷が加えられた場合にも、微細凹凸部127における応力集中が抑制されるようになり、振動子110の機械的強度の向上を図ることができる。
なお、これら面取り部130や溶融面134の形成は、振動子110の振動特性の調整工程の前に行われると共に、当該調整工程で使用されるレーザー装置が共用される。レーザー装置を共用することで、精密な研磨処理等の機械加工を施すことなく面取り部130あるいは溶融面134を簡易に形成することが可能である。勿論、面取り部130や溶融面134の形成に用いられるレーザー装置は、上記調整工程で使用されるレーザー装置と共用される場合に限らず、別個のものでもよい。
以上のように構成される振動型ジャイロセンサ素子100は、図5に示すIC回路40に接続されることで動作し、角速度に応じて発生するコリオリ力を検出する角速度センサ(振動型ジャイロセンサ)として機能する。IC回路40は、振動型ジャイロセンサ素子100が実装される支持基板20(図3)上に同時に搭載されたIC回路素子や他の電子部品で構成される。
IC回路40は、加算回路41と、増幅回路42と、移相回路(phase-shift circuit)43と、AGC(Auto Gain Controller)44と、差動増幅回路45と、同期検波回路46と、平滑回路47とを備えている。
振動型ジャイロセンサ素子100の一対の検出電極106b,106cは、それぞれ加算回路41と差動増幅回路45とに接続される。また、振動型ジャイロセンサ素子100の駆動電極106aは、AGC44の出力端と接続される。
この角速度センサでは、加算回路41、増幅回路42、移相回路43、AGC44及び振動型ジャイロセンサ素子100によって、いわゆる移相発振回路が構成されている。そして、この移相発振回路によって、振動型ジャイロセンサ素子100の基準電極104aと駆動電極106aとの間に電圧が印加され、振動子110を自励振動させる。振動子110の振動方向は、当該振動子110の厚み方向となる。
また、この角速度センサでは、一対の検出電極106b,106cが加算回路41および差動増幅回路45に接続され、差動増幅回路45の出力端が同期検波回路46に接続され、この同期検波回路46が平滑回路47に接続されており、これらと圧電体105aとで、振動子110の角速度を検出する検出部として機能する。
すなわち、振動型ジャイロセンサ素子100の振動子110を上述した移相発振回路で自励振動させている際に、振動子110の長手方向のまわりに角速度が生じると、コリオリ力により振動子110の振動方向が変化する。この場合、検出電極106b,106cの一方の出力は増加し、他方の出力は減少する。何れかの出力あるいは両出力の変化量をIC回路40により検出測定して、振動子110の長手方向のまわりの入力角速度を検出する。
次に、以上のように構成される本実施の形態の振動型ジャイロセンサ素子100の一製造例を説明する。図6は、振動型ジャイロセンサ素子100の製造方法を説明する主要工程フローである。
[基板準備工程]
まず、図7A,Bに示すようなSi基板1を用意する。基板1の大きさは、所有する薄膜プロセスのラインに応じて任意に設定され、本実施の形態では直径が4インチのウェーハを用いた。基板1の厚みは、作業性やコストにより決定されるが、最終的に振動子の厚み以上であればよく、本実施の形態では300μmの厚みとした。
このSi基板1の両面には、異方性湿式エッチングの際の保護マスクとなる熱酸化膜(SiO2膜)2A,2Bを形成しておく。熱酸化膜2A,2Bの膜厚は任意であるが、本実施の形態では0.3μm程度とした。また、Si基板1に関してはN型を採用しているが、その選択は任意である。Si基板1の方位面は、図7Aで示す基板広口面が(100)方位面、基板1の断面となる図7Bの面が(110)面となるように基板の切り出しが行われている。
[ダイヤフラム形成工程]
次に、図8A,Bに示すように、基板1の裏面の熱酸化膜2Bの一部を除去するために、除去する部分を開口部とするレジストパターン膜3を形成する。このレジストパターン膜3の形成方法は、通常の半導体薄膜形成プロセスで用いられるフォトリソグラフィー技術を用いている。レジスト材は、例えば東京応化社製OFPR−8600を用いたが、種類はこれに限られない。フォトリソグラフィーの工程は、レジスト材塗布・プレベーキング・露光・現像という一般的に薄膜工程で用いられる技術であり、ここでは詳細は省略する。また、この後のプロセスにおいてもフォトリソグラフィー技術を用いているが、特殊な使用方法を除き一般的な工程に関しては省略する。
図8Aで示す開口部のそれぞれが1つの素子となる。開口部の形状は最終的な梁形状と基板1の厚み、および梁形状(振動子110)を形成する際のエッチング幅(図30及び図31において符示するt7)で決定される。エッチング幅t7については後述するが、ここでは200μmとした。
開口部の幅方向(ダイヤフラム幅t9)に関して、必要となる幅は、まず振動梁幅t6+エッチング幅t7×2(左右分)である。さらに、基板1の厚みが300μmで振動梁厚みが100μmであり、後述するが湿式エッチングの方法で基板厚み300μmを振動梁厚み100μmまで削る場合、図11に示すようにダイヤフラム深さt10は200μmであり、このときθ1=55°の角度をもって削られる特徴がある。このためその分の幅:t10×1/tan55°=140μm、を左右分足しておく必要がある。結局ダイヤフラム幅t9=t6+t7×2+140×2=100+200×2+140×2=780μmとなる。同様にダイヤフラム長t8=振動梁長t5+梁空間隔t7+140×2=2500+200+140×2=2980μmとなる。
次に、図9A,Bに示すように、上記の開口部分に相当する部分の熱酸化膜2Bを除去する。除去の方法はイオンエッチング等の物理的エッチングでも湿式エッチングでも構わないが、基板1の界面の平滑性を考慮すると熱酸化膜2Bのみが除去される湿式エッチングが好適である。本実施の形態では湿式エッチングの薬液としてフッ化アンモニウムを用いた。ただし、湿式エッチングの場合長時間エッチングを行うと開口部分の側面からエッチングが進行するいわゆるサイドエッチングが大きくなるため、熱酸化膜2Bの開口部分のみが除去された時点でエッチングを終了させる必要がある。
次に、図10A,Bおよび図11に示すように、開口部分として露出した基板1に対して湿式エッチングを施すことにより、開口部分の基板1の厚みを所望の振動梁厚t4になるまで削る。本実施の形態ではSiである基板1をエッチングするためTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)20%溶液を用いている。この際、液温度を80℃に保持し浸漬エッチングを行っている。
図11は図10BのW部分を拡大して示したものである。上記の条件でエッチング量(ダイヤフラム深さ)t10を200μmとするために、およそ6時間のエッチングを行った。また、このエッチングにより開口部分の基板1の形状は、図11に示すように端部が湿式エッチング角度θ1(=55°)を持って形成される。また、このような湿式エッチング薬液としてTMAH以外にKOH(水酸化カリウム)やEDP(エチレンジアミン−ピロカテコール−水)溶液等が使用できるが、本実施の形態では熱酸化膜2A,2Bとのエッチングレートの選択比がより大きくなるTMAHを採用した。
ところで、本実施の形態では振動梁厚みになるまでの基板研削にSiの特徴を活かした湿式エッチングを採用しているが、研削の方法は任意でありこの方法に限定されるものではない。
上記の方法により上記開口部分の中にダイヤフラムが形成される。湿式エッチングにより残されたダイヤフラム厚みt11が最終的に振動梁厚みt4と等しくなる。
なお、以降の説明では、図10A,BにWで示した1つの素子を拡大して説明する。また、図では説明をわかり易くするため、実際の寸法比とは異なる場合もある。また、図12A,Bに示すように、今後は上記までに形成したダイヤフラムの開口部および熱酸化膜2Bを下方にして説明する。
[電極膜形成工程]
次に、図12A,Bに示すように下層電極膜4、圧電膜5、上部電極膜6を形成する。下層電極膜4は、圧電膜の特性を向上させるために、下地膜としてTi(チタン)膜(膜厚50nm以下、例えば20nm)とこのTi膜の上に形成したPt(白金)膜(膜厚100nm)とからなる積層膜とした。なお、Pt以外にAuやRh(ロジウム)、Re(レニウム)等の他の金属膜が適用可能であり、Ti以外にTa(タンタル)等も適用可能である。
下層電極膜4の形成工程では、まず、マグネトロンスパッタ装置でTiを20nm成膜し、上記Ti上にPtを100nm成膜した。Ti及びPtは、ガス圧0.5Paでそれぞれ1kW及び0.5kWのRF(Radio Frequency)パワー(高周波電力)で成膜した。チタン酸ジルコン酸鉛の下地膜として、Pt膜が使われているが、その密着性を高めることを目的としてTiが成膜される。
次いで、圧電膜5を形成する。圧電膜5の形成工程では、マグネトロンスパッタ装置でPb1.02(Zr0.53Ti0.47)O3の酸化物ターゲットを用い、常温、酸素ガス圧を0.2〜3Pa、RFパワー0.1〜5kWの条件で圧電膜5を1.4μm成膜した。なお、圧電膜5の形成方法の詳細については後述する。
そして、上部電極膜6の形成工程では、上述のようにして形成された圧電膜5の表面にPtを200nm成膜した。上記Ptはマグネトロンスパッタ装置でガス圧0.5Pa、RFパワー0.5kWの条件で成膜した。
[電極膜加工工程]
次に、図13A,Bに示すように、成膜した上部電極膜6を所定形状に加工する。上部電極膜6は図13Aで示すように3つの部分に分かれる。その中の中心が振動梁を駆動させる動力を発生させるための駆動電極(6a)であり、その左右にコリオリ力を検出するための検出電極(6b,6c)が設置される。駆動電極の幅方向中心が振動梁の中心と一致し、左右の検出電極は対称に形成される。上部電極膜6の直線部分の端部には配線接続部分が設けられている。
本実施の形態では駆動電極幅t13を50μm、検出電極幅t14を10μm、上部電極長t12を2mm、駆動電極6aと検出電極6b,6cの間は5μmとした。この大きさに関しては任意であるが、最終的な振動梁の大きさの範囲内に納める必要がある。また、後述する配線パターンとの接続部分に関しての形状も任意であり、本実施の形態では接続部幅t16を50μm、接続部長t15を50μmとした。
上部電極膜6の加工方法としては、フォトリソグラフィー技術を用いて所望のレジストパターン膜を形成した後、イオンエッチングにより不要な部分の上部電極膜6を除去した。上部電極膜6の加工方法に関しては特に限定されるものではない。
次に、図14A,Bに示すように、圧電膜5を所定形状に加工する。圧電膜5は上部電極膜6を完全に覆う形であれば、形状は任意である。本実施の形態では圧電膜長t17を2.2mm、圧電膜幅t18を90μmとした。ここで、圧電膜幅の中心を振動梁の中心と一致させる。圧電膜幅t18は振動梁の幅t4以下の幅である必要がある。また、上部電極膜6の外周より5μmの幅を持たせて圧電膜5を加工した。この幅に関しては素子全体の形状サイズにより任意に設定される。
圧電膜5の加工方法としては、フォトリソグラフィー技術を用いて圧電部形状のレジストパターン膜を形成した後、本実施の形態ではフッ硝酸溶液による湿式エッチングにより除去した。除去の方法に関しては任意であり、物理的なイオンエッチングによる除去や、化学的にRIE(Reactive Ion Etching)により除去する方法が考えられる。
次に、図15A、Bに示すように、下層電極膜4を所定形状に加工する。この下層電極膜4は圧電膜5を完全に覆う形であれば形状は任意である。本実施の形態では下層電極長t19を2.3mm、下層電極幅t20を94μmとした。ここで、下層電極幅の中心は振動梁の中心と一致させる。下層電極幅t20は振動梁の幅t4以下の幅である必要がある。また、圧電膜5の外周より5μmの幅を持たせて下層電極膜4を加工した。この幅に関しては素子全体の形状サイズにより任意に設定される。また、下層電極膜4に対して外部との電気的接合を図るため、図15Aに示すように下層電極接合部分4Aを設ける。下層電極接合部4Aは、この後配線パターンで引き出せる面積を確保する必要があり、下層電極接合部長t21を200μm、下層電極接合部幅t22を100μmとした。
以上の下層電極膜4の加工方法としては、フォトリソグラフィー技術を用いて下層電極部形状のレジストパターン膜を形成した後、イオンエッチングにより不要部分を除去した。この加工方法に関しても任意であり、イオンエッチングに限定されるものではない。
[配線膜形成工程]
次に、図16及び図17に示すように、配線下地膜7を形成する。この目的は、後述する配線膜9の密着性を確保するためである。配線下地膜7は絶縁材料が前提となる。配線下地膜7は振動子上、各電極接続部6a,6b,6c、振動子周辺のエッチング領域以外に成膜されていれば、その形状は任意である。本実施の形態では電極膜の密着性向上も兼ねて、上部電極膜6、下層電極膜4のそれぞれと配線下地膜7を5μmの重なりを持たせることとした。
配線下地膜7の形成方法は、フォトリソグラフィー技術により所望の形状を開口部とするレジストパターン膜を形成した後、配線電極膜をスパッタリングにより成膜し、不要な部分に付着したスパッタリング膜をレジストパターン膜の除去と同時に除去するいわゆるリフトオフの手法を用いた。材料はアルミナを選定し、75nm堆積させた。ただし、この配線下地膜7の材料および形成方法は任意であり、上記の形成方法および材料に限定されるものではない。
次に、図18および図19に示すように、電極接続部6a,6b,6cに平坦化レジスト膜8を設置する。この平坦化レジスト膜8は後述する配線膜9と上部電極膜6との電気的接続を円滑に行うことが目的である。配線膜9と上部電極膜6を物理的に接合する際に、圧電膜5と下層電極膜4の端部を通過せざるを得ないが、圧電膜5に関しては本実施の形態では湿式エッチングにより形成しておりその端部は逆テーパーないしはほぼ垂直状態となっており平坦化レジスト膜8を設置せずに配線を行うとその端部で断線するおそれがある。また、下層電極膜4が露出しているため平坦化レジスト膜により絶縁をとらないと電気的に短絡してしまう。以上の観点から平坦化レジスト膜8を設置している。
平坦化レジスト膜8の形状は、後述する配線膜9を覆う形であれば任意であり、本実施の形態では平坦化レジスト膜幅t23を200μm、平坦化レジスト膜長t24を50μmとした。
平坦化レジスト膜8の形成方法はフォトリソグラフィー技術によりレジスト膜を所望の形状にパターニングを行った後、280〜300℃程度の熱処理を加えることでパターニングを行ったレジスト膜を硬化させる。この際、本実施の形態ではレジスト膜の厚みを2μm程度としたが、この厚みに関しては圧電膜5、下層電極膜4の厚みに応じて変化させ、およそ両者の厚みの合計以上の厚みをもたせることが望ましい。
本実施の形態では上記平坦化レジスト膜8として感光性レジスト膜を用いているが、この材料に関してはこれに限定されるものではない。上記の目的に合う非導電性の材料であればその形成方法も含めて任意である。
次に、図20及び図21に示すように、上部電極膜6と外部との接続を図るために配線膜9を形成する。これは外部との電気的接続を容易にするためであり、配線膜9は平坦化レジスト膜8の上面を通り上部電極膜6の接合部に接続される。上部電極接続部6a,6b,6cの形状は任意であるが、電気的な接触抵抗を減少させるため、5μm四方以上の大きさが望ましい。また本実施の形態では外部との電気的接続に関してはAuバンプのフリップチップによる接合方法を前提としているため、図20のように各電極に対して電極パッド101A,101B,101C,101Dを形成することでAuバンプ領域を確保している。
電極パッド101A,101B,101C,101DはAuバンプの形成が可能な面積が必要であり、本実施の形態では電極パッド部長t25を120μm、電極パッド幅t26を120μmとした。また、上部電極膜6である駆動電極6aおよび左右の検出電極6b,6c、下層電極膜4の4つに対してそれぞれ外部との電気的な接合が必要となるため、配線膜9に関してもこれら4つに対して独立していることが必要であり、電極パッド101A,101B,101C,101Dの位置については素子エリアAR内にあることが前提である。
また、この工程において同時に分極レール111,112も形成する。本実施の形態の振動子は、最終的に分極して圧電特性を安定化させるが、その分極作業を効率化するために同列の素子をまとめて行うことにしている。この同時分極を行うためには電圧印加側、GND側の配線を事前に形成しておく必要があり、ここでは、図22のように各分極レール111,112として横一直線に形成している。この時点では素子とレールは独立しているが、後述するCu配線11の形成で電圧印加側とGND側の配線が接続される。
配線膜9の形成方法は、フォトリソグラフィー技術により所望の形状を開口部とするレジストパターン膜を形成した後、配線電極膜をスパッタリングにより成膜し、不要な部分に付着したスパッタリングした膜をレジスト膜の除去と同時に除去するいわゆるリフトオフの手法により形成した。配線膜の材料としては付着力を向上させるためTiを20nm堆積させた後、電気抵抗が低く低コストのCuを300nm堆積し、その後Auバンプとの接合を容易にするためAuを500nm堆積させた。ただし、この配線膜の材料および形成方法は任意であり上記の形成方法および材料に限定されるものではない。
[絶縁保護膜形成工程]
次に、図23及び図24に示すように、振動梁上および配線上に絶縁保護膜10を形成する。この目的は、湿度などの外的要因による電極間リークを防止すること、また、電極膜の酸化を防止することである。振動子上保護膜幅t27は下層電極幅t20よりも広く、振動梁幅t6より狭いことが条件であり、本実施の形態ではt27を98μmとした。振動子上保護膜長t28は下層電極長t19よりも広く、振動子長さt5より狭いことが条件であり、本実施の形態ではt28を1.95mmとした。配線膜9上の保護膜10は、全体を覆うパターンであるが、Auバンプを行う電極パッド4箇所、及びCu配線11との接続部4箇所においては、選択的に保護膜が付かないようにする必要がある。
保護膜10の形成方法は、フォトリソグラフィー技術により所望の形状を開口部とするレジストパターン膜を形成した後、保護膜をスパッタリングにより成膜し、不要な部分に付着したスパッタリング膜をレジスト膜の除去と同時に除去するいわゆるリフトオフ法の手法により形成した。保護膜10の材料としては、付着力を向上させるためAl2O3を50nm堆積させた後、絶縁性の高いSiO2を750nm堆積し、最上層にはその後の振動梁形成時のレジスト密着性を向上させるためにAl2O3を50nm堆積させた。絶縁保護膜として機能するSiO2は、少なくとも上部電極の厚みの2倍以上は必要であるが、1μm以上の厚みになるとリフトオフ時にバリが発生しやすくなるため、本実施の形態では750nmとしている。また、SiO2成膜時は膜密度を高めるため、Ar圧を放電限界の下限である0.4Paで行った。
次に、図25及び図26に示すようにCu配線11を形成する。Cu配線11は上部電極膜6の駆動電極6a、左右の検出電極6b,6cを電圧印加側のレール111に、下層電極4をGND側のレール112にそれぞれ接続する。Cu配線11は、図27に示すようにすべての素子で同様に接続を行う。この配線をCuにする理由は、分極後に湿式エッチングで容易に溶解し、素子にダメージを与えることなく再度素子を独立することができるためである。そのため、素子にダメージを与えることなく容易に消失させることができる導電体であれば、材料は任意である。配線幅t29(図29)は分極時の導通を確保するため、30μm以上が望ましい。
Cu配線11の形成方法は、フォトリソグラフィー技術により所望の形状を開口部とするレジストパターン膜を形成した後、Cuをスパッタリングにより成膜し、不要な部分に付着したスパッタリング膜をレジスト膜の除去と同時に除去するいわゆるリフトオフの手法により形成した。Cu膜厚は分極時の導通を確保するため、400nmとした。この配線膜の形成方法は任意であり上記の形成方法に限定されるものではない。
次に、図28に示すように裏面ストッパー膜12を形成する。この目的は、後述の振動梁形成で貫通エッチングをした際、最下面のプラズマ集中によるエッジ形状不良を防止するためである。本実施の形態では裏面全面にSiO2を500nm、スパッタリングにより形成した。
[振動梁形成工程]
次に、図29、図30及び図31に示すように梁空間を除去して振動梁を形成する。図30は図29のYY’の断面図、図31は図29のXX’の断面図である。
梁空間の形成方法は、貫通部13を開口部とするレジストパターン膜をフォトリソグラフィー技術により形成し、熱酸化膜2Aをイオンエッチングにより除去した後、基板1を貫通するまでエッチングする。熱酸化膜2Aの除去に関しては湿式エッチングでも可能であるが、サイドエッチングによる寸法誤差を考慮するとイオンエッチングが好適である。
また基板1のSiを貫通させるためには本実施の形態では振動梁厚みt14(ダイヤフラム厚みt11)が100μmであり、この量をエッチング除去する必要がある。通常のイオンエッチング等ではレジスト膜との選択比がとれない上に垂直な壁面として残すことは困難である。本実施の形態では、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)を備えた装置に、エッチングと側壁保護膜成膜を繰り返すBoschプロセス(エッチング時SF6、成膜時C4F8ガス)を用いることで、垂直な側壁面をもつ振動梁の形成を行った。この垂直にSi材料を研削する技術は一般的に確立されており、本実施の形態でも市販されている装置により行われる。ただし、梁空間の除去の方法に関しては任意であり、上記の方法に限定されるものではない。エッチング幅t7はICPでエッチング可能な幅が必要であり、本実施の形態では200μmとした。また、Cu配線11、貫通させないようにする。
ICPでエッチング完了後は、裏面ストッパー膜12を除去する。除去方法は任意であるが、本実施の形態ではフッ化アンモニウムによる湿式エッチングにより除去した。この時ストッパー膜12を除去する前に、貫通パターンのレジストを除去してしまうと、絶縁保護膜10が消失してしまうため、ストッパー膜除去後にレジストを除去することとする。ストッパー膜12、レジスト除去後を図32〜図34に示す。
[分極処理工程]
次に、図35A,Bに示す素子に、圧電特性を安定にさせるための分極処理を施す。同列の素子をまとめて分極するため、印加側パッド、GND側パッドを介して外部電源に接続する。接続の方法、分極方法は任意であるが、本実施の形態ではワイヤボンディングで外部電源に接続して、分極処理を施した。
次に、図36A,Bに示すように、分極処理後に不要となったCu配線11を除去する。Cu配線11を残したまま素子切断を行うと、切断面でCu配線11と基板1が電気的にリークするため、化学的に除去することが望ましい。本実施の形態では素子にダメージを与えないために、メルテックス社製エンストリップ溶液を用いて湿式エッチングを行ってCu配線11を消失させた。
このように、振動型ジャイロセンサ素子100を薄膜プロセスで形成し、上記薄膜プロセスで形成された薄膜の配線を通して複数個一度に分極処理を行うことによって、大量の薄膜ジャイロを安価に、且つ安定に形成できる。
なお、Cu配線11の除去は上述のウェットエッチングによる溶解除去に限られない。後述する素子切断工程では、素子をCu配線11に沿って切断するため、ダイサーで素子を分断する際にCu配線11を研削除去するようにしてもよい。この場合、Cu配線11の形成幅t29は切断砥石幅以下であることが条件となる。本実施の形態では、砥石幅が40μmのダイサ−を用いて素子を分断するため、配線11の形成幅t29は20μm以上40μm以下とする必要がある。20μm未満では分極電圧印加時に抵抗により発熱して配線11が溶断するおそれがある。40μmを超えると砥石幅よりも大きくなって分断後に素子に残存するからである。
[金バンプ形成工程]
次に、図37A,Bに示すように、フリップチップを行うためのAuバンプ14を形成する。Auバンプ14は4箇所の電極パッド上に形成する。
[切断工程]
次に、図38A,Bに示すように、基板1上に圧電薄膜センサとして形成された15個の振動型ジャイロセンサ素子100を個々に分断する。分断時はCu配線ブリッジ部の幅32μm以上の砥石で切断する必要があり、本実施の形態では幅40μmの砥石でダイシングによりカッティングした。図38Bのように素子サイズに従って切断線L1〜L3に沿って切断する。この場合の切断線L1,L2はCu配線ブリッジ部上を切断することが条件となるが、これにより貫通部13と切断面で分断された図39に示す圧電薄膜センサとして振動型ジャイロセンサ素子100が完成し、図38Bに示すC部が不要部分となる。
[実装工程]
そして、個々に分断した振動型ジャイロセンサ素子100は、例えば図40に示すように、フリップチップの手法でIC基板等の支持基板に実装される。IC基板は素子の配置に合わせて電気的結線が完了するようにあらかじめ設計されている。図40の例では、振動型ジャイロセンサ素子100をX方向及びY方向に1つずつ実装することにより、2個の振動型ジャイロセンサ素子100A,100Bを備える二軸の角速度センサ150としている。
この角速度センサ150は、図41に示すように、素子および回路と外部との接触をなくすためカバー材15により気密に密閉かつ保護されている。カバー材15の材料は任意であるが外部ノイズの影響を考慮して、金属などシールドの効果のあるものが望ましい。また、カバー材15は振動梁の振動を妨げない形状とされている。
[調整工程]
ここで、本実施の形態における振動型ジャイロセンサ素子100は、上記ICPを用いたRIEによって振動子の外形加工を行っているが、その中心線上に対し、基板内の全素子が完全に左右対称に形成できるとは限らない。
このため例えば図42A,Bに示すように振動子の断面形状が台形形状となった場合、本来の振動子圧電膜形成面に対して垂直な上下振動からずれて、振動子中心線上から見て質量が小さい側に傾いた振動状態となる。上記振動状態が傾いた場合、縦共振周波数で振動させると振動子上の中心線に対して左右対称に形成された検出電極からの出力の大きさは、傾いた側の検出信号の方が大きくなり、逆側の検出信号が小さくなる。このため、左右の検出信号に差が生じてしまう。
本実施の形態では、この現象の対処法として、個々に分断した振動型ジャイロセンサ素子100について、振動子110の中心線上からみて質量の大きい側をレーザー加工により研削して、左右のバランスを対称とすることにより、垂直な振動状態に矯正する調整工程を実施する。
具体的な調整方法として、振動子110自体の断面形状の詳細を観察することは困難であるが、縦共振周波数で振動子110を振動させた場合の左右検出信号の大きさを比較して、その小さい側の振動子の一部をレーザー加工により削り取って凹部を設けることにより、調整を行う。
調整工程は、調整前に、図43Aに示すように、発振回路71の発振出力G0を駆動電極106aに印加することによって振動型ジャイロセンサ素子100を縦共振状態で駆動させる。調整工程は、一対の検出電極106b,106cから得る検出信号Ga,Gbを加算回路72によって加算し、その加算信号を発振回路71に帰還させる。そして、検出電極106b,106cから得る検出信号Ga,Gbに基づいて、発振回路71の発振周波数を縦共振周波数f0として測定するとともに検出信号Ga,Gbの差を差分信号として測定する。
また、調整工程は、図43Bに示すように、発振回路71の発振出力G1を検出電極106bに印加することによって振動型ジャイロセンサ素子100を横共振状態で駆動させる。そして、検出電極106cから得る検出信号Gb−1を発振回路71に帰還させるとともに、検出信号Gb−1に基づいて、発振回路71の発振周波数を横共振周波数f1として測定する。さらに、調整工程は、図43Cに示すように、発振回路71の発振出力G2を検出電極106cに印加することによって振動型ジャイロセンサ素子100を横共振状態で駆動させる。そして、検出電極106bから得る検出信号Ga−2を発振回路71に帰還させるとともに、検出信号Ga−2に基づいて、発振回路71の発振周波数を横共振周波数f2として測定する。
なお、横共振周波数は、一方の検出信号Gb−1から得る横共振周波数f1と他方の検出信号Ga−2から得る横共振周波数f2とは等しいことから、検出電極106b,106cのいずれか一方の接続状態で行うようにすればよい。
上述した各測定によって得た縦共振周波数f0と横共振周波数f1,f2の周波数差を離調度とし、離調度が所定の範囲であるか否かを判定する。また、調整工程は、振動子を縦共振周波数で振動させたときに検出電極106b,106cから検出される差分信号が所定の範囲であるか否かを判定する。上述した離調度や差分信号の判定結果に基づいて、その大きさから振動子に対する調整加工位置を決定しレーザ照射を行って一部を研削して調整を行う。調整工程は、以下同様の測定・レーザ加工を、離調度と差分信号とが目標値に達するまで施す。
レーザー加工により削り取って振動子に凹部80を設ける被加工領域は、圧電膜や各種電極膜が形成される振動子の表面以外の領域とされ、図3に示したように振動子110の裏面110bや側面、振動子110の先端面、あるいは図44に示すように振動子110の裏面110bと側面の境界となる稜線部分が該当する。なお、振動子110の表面とその側面との間の稜線部も上記被加工領域に含めることができる。この場合、当該表面側の稜線部と圧電膜の形成領域との間が一定以上離れているなど、凹部のレーザー加工時に振動子表面の圧電膜が影響を受けないことが必要である。離調度調整用の凹部及び/又は差分信号(バランス)調整用の凹部の数は単数に限らず複数も含まれる。凹部を複数形成する例では、調整の効果を確認しながら凹部の形成位置や形成数を逐次変化させることで、最終的に目標値にまで調整していくことができる。
レーザー加工により調整する効果の度合いは、加工する位置及び範囲によって決定される。図44に示すように、振動子110の稜線部分に対して先端側から根元側に向けて凹部80を設ける加工位置をそれぞれA,B,Cとした場合、振動子110の根元から先端に向けて離調度、検出信号バランスともに変化量が小さくなるので、根元側を加工することで粗調整、先端側を加工することで微調整と使い分けることができる。ここで「レーザ加工量」は、深さ方向の加工量と振動子長手向の加工量の総計である。従って、加工深さが浅くても加工範囲が広くなれば加工量は大となり、同様に、加工範囲が狭くても加工深さが深くなれば加工量は大となる。
図45は、凹部80を設ける加工位置A,B,Cにおけるレーザー加工量とバランスの変化量[(Ga/Gb)db]の関係を示している。また、図46は、サンプル1,2,3について初期状態によって凹部80を設ける位置A,B,Cを決定してレーザー加工を施して、バランスを目標値まで調整した場合のバランス[(Ga/Gb)db]の変化状態を示している。
レーザー加工により一部を削り取って凹部80を設ける加工位置は、振動子拘束端部付近が最も効果が大きくなるが、形状量は任意である。削り取る量は、左右の検出信号を比較して調整すればよい。
次に、レーザー加工により振動子110の裏面中央部分(中心軸線上)を削り取り、図47に示すように、振動子110の先端側から根元側に向けて凹部80を設ける加工位置をそれぞれA0,B0,C0とした場合の、各加工位置A0,B0,C0におけるレーザー加工量と離調度の変化量[Hz]の関係を図48に示す。加工位置が根元側に近いほど離調度の変化量は大きくなる。また、各加工位置A0,B0,C0におけるレーザー加工量とバランスの変化量[(Ga/Gb)db]の関係を図49に示す。加工位置に関係なくバランスは変化しない((Ga/Gb)=1)。さらに、図50は、サンプル1,2,3について初期状態によって加工位置A0,B0,C0を決定してレーザー加工を施して、離調度を目標値まで調整した場合の変化を示している。
さらに、レーザーで調整を行った振動子110を、振幅100μmまで振動させたときに、レーザー加工した部分で振動子110が折れるか否かを実験した結果を図51に示す。
図51において、三角のプロットは振幅が100μmに満たない時点で振動子がレーザー加工部を起点として破壊してしまったことを意味する。この図51に示す実験結果より、振動子の根元付近に深い加工を施すほど、振動子110は破壊しやすくなっていることがわかる。
次に、何も加工を行っていない振動子、図51の三角プロット範囲でレーザー加工を施した振動子、図51の丸プロットで示した範囲内でレーザー加工を施した振動子について、実際に振動子110を実装したジャイロセンサを200gの剛体に貼り付け落下させたときの振動子110が折れる高さを集計したヒストグラムをそれぞれ図52、図53,図54に示す。
何も加工を行っていない振動子では、図52に示すように、150cm程度の高さで破壊し、100μm角柱の振動子のシリコン強度がこの程度であるのに対し、図51の三角プロット範囲でレーザー加工を施したものでは、図53に示すように、50cm程度の高さで振動子110は破壊されており、外部衝撃に対する強度が半減している。また、その破壊が起きている場所はレーザー加工を施した場所を基点としている。
これに対し、図51の丸プロットで示した範囲内でレーザー加工を施した振動子110では、図54に示すように、150cm程度の高さまで強度は保たれ、加工を施していない振動子と同等の強度が得られている。
さらにこの場合、振動子110の破壊が起きる場所はレーザー加工を施した場所ではなく振動子110に最も応力の集中する根元から破壊が起きており、この実施の形態における大きさの振動子110を用いる限り、これ以上の強度を望めない強度のところで破壊していることを示している。
また、レーザー加工の研削痕を連続したものでなく図55に示すスポット状でかつそれぞれのスポットが重ならないステップ状とした場合には、図56に示すように、100μm以内で振動子110の破壊が起きる領域が狭くなり、図51と比較して同じ場所でのレーザー加工の深さを深くしても、破壊が起きない。すなわち、連続した加工よりも、ステップ状の加工の方が振動子110の強度が強いことを意味している。
しかしながら、振動子110の根元から100μm以下の場所へのレーザー加工は非常にシビアで、上記のステップ状の加工を施しても破壊振幅強度はほとんど変わらず、この部分はレーザー加工に対して極端に強度が弱くなっていると考えられる。このため振動子110の根元から100μm以内の範囲にはレーザー加工を施さないことが望ましい。
上記の結果から、振動子110に対するレーザー加工は振動子110の根元から100μm以内には加工を施さず、また、根元から離れるに従い加工深さを増していくことが理想的であり、この条件で加工を行った場合、振動子110の強度は加工を施さない場合と同程度となる。ここで、振幅100μmで振れた時の振動子根元に加わる応力は、およそ0.5GPa程度である。
なお、実際は振動子の大きさ設計で許容されるレーザー加工の位置と深さは異なるため、実際に使用する形状で、上記の試験を行い振動子が加工した部分を起点として破壊が起きない範囲で加工を施すことになる。
また、レーザー加工により振動子110の裏面中央部分(中心軸線上)からずれた位置を削り取り、図57に示すように、中央側から外側に向けて加工位置をA1,B1,C1とした場合の、各加工位置A1,B1,C1におけるレーザー加工量と離調度の変化量[Hz]の関係を図58に示す。加工位置に関係なく離調度は変化しない。但し、振動子長手方向にある程度の距離加工した場合、離調度は変化する。この場合、各加工位置における離調度の変化量はA1,B1,C1ともに同一となる。また、各加工位置A1,B1,C1におけるレーザー加工量とバランスの変化量[(Ga/Gb)db]の関係を図59に示す。中央部分から外側に向かうほどバランス変化量は大きくなる。
さらに、各加工位置A1,C1におけるレーザー加工による離調度及びバランスの変化状態を図60に示し、また、加工位置B1におけるレーザー加工による離調度及びバランスの変化状態を図61に示す。この例は、離調度及び左右検出信号バランスの調整を共通の凹部で同時に行うことができることを示している。すなわち、離調度調整用の凹部を第1の凹部、バランス調整用の凹部を第2の凹部としたときに、これら第1,第2の凹部を共通の凹部で形成することで、離調度及びバランスの調整を同時に行うことができるようになる。この方法によれば、離調度とバランスの調整を同時に行えるので、調整工程の作業時間の短縮を図ることができるとともに、凹部の形成数を減らして振動子の機械的強度の低下を抑制することができる。
離調度調整及びバランス調整用の凹部80の形状は、図57に示したようなライン状に限らず、図55に示したようなスポット状の凹部をステップ状に複数形成してもよい。凹部80をスポット状に形成することで、上述したように振動子の機械的強度を高めることができるほか、加工位置や加工量の選定範囲を広げられるので精度の高い調整が可能となる。また、凹部80の被加工領域を例えば振動子110の側面とすることで、バランス調整だけでなく、離調度の調整も同時に行うことが可能である。勿論、被加工領域はひとつの面又は部位に限らず、例えば振動子の裏面と側面と稜線部の少なくともひとつに凹部を形成することで振動特性の調整を行うようにしてもよい。なお、凹部80をスポット状に複数形成する例は、上述した離調度及びバランスの双方に共通な凹部の形成に限らず、離調度調整用凹部のみ又はバランス調整用凹部のみにも適用することができる。
本実施の形態によれば、上述のごとく傾いて振動している振動子110においても、矯正して理想的な垂直状態の振動となり、縦共振周波数での左右の検出信号の大きさが同一となるように制御調整ができる。すなわち、このように、振動子110の形成不良に伴う、周波数差かつ縦共振周波数における左右検出信号の信号出力のばらつきを矯正することによって、安定した特性をもつジャイロセンサを容易に提供することができる。また、加工位置を変えて調整することにより加工回数が減り、調整時間が短縮される。また、加工回数を減らすことにより、信頼性の高い、角速度振動子が作製できる。さらに、調整の手順をアルゴリズム化することにより自動調整機の作製が可能になり生産性が向上する。
(第2の実施の形態)
上述したように、本発明に係る振動型ジャイロセンサの調整方法においては、図3に示したように、支持基板20に実装した振動型ジャイロセンサ素子100に対して、目標とする振動特性が得られる程度に振動子110の裏面110b側をレーザー加工する。
振動子110の調整項目は主として2つあり、1つは縦共振周波数と横共振周波数の周波数差を調整すること、もう1つは左右検出信号を揃えることである。周波数差の調整はデバイスの感度を向上させ、左右検出信号の調整はデバイスのノイズ低減に寄与する。
上述の第1の実施の形態では、振動子110を縦共振周波数で振動させた場合の左右の検出信号の大きさを比較して、その小さい側の振動子の一部をレーザー加工により削り取って凹部を設けることにより、振動子110を垂直方向の振動モードに調整していた。これを別の表現で説明すると、動作周波数(縦共振周波数)のみに着目して左右検出信号の振幅と位相を合わせていき、これら左右の検出信号が揃ったとき、振動子110は垂直方向の振動モードに矯正されたものとみなしていた。
図62Aに示すように振動子110が斜め方向に振動している場合、左右の検出信号差が生じる(Ga<Gb)。図62Bは、差分信号(Ga−Gb)(単位dbm)の周波数特性を示しており、この場合は横共振周波数Fhで相当のピークが現れる。Fvは縦共振周波数で振動子110の動作周波数に相当する。上述の第1の実施の形態では、動作周波数(縦共振周波数Fv)のみに着目し、そのピークレベルを低下できる位置を選択して振動子110の裏面110bにレーザーを照射して凹部を形成(以下、レーザートリミングという。)していた。これにより、振動子110の振動モードは、図63Aに示すように垂直方向に矯正されて左右の検出信号差が低下し、図63Bに示すようにFv位置のみならずFh位置においても検出信号差レベルが最小とされる。
しかしながら、図63Bに示すように振動モードを垂直方向に矯正することで検出信号差が低下するのは、垂直方向に振動する振動子から出力される左右検出信号が元々同等である場合に限られる。つまり、検出信号を出力する検出電極は振動子表面の圧電膜上に積層形成されているため、振動子製造プロセスの過程で何らかの理由により当該圧電膜が左右で非対称に形成される場合がある。これは、一枚のシリコン基板から複数の振動子を同時に作製しているため、ウェーハ(基板)位置によって例えば圧電膜の成膜過程で膜厚や組成等に変動が生じることが主な原因である。
したがって、上述のように本来的に左右の検出信号に差が生じている振動子は、動作周波数(縦共振周波数Fv)を基準としたレーザートリミングを施しても、図63Cに示すように横共振周波数Fhのピークレベルを低下させることができなくなる。このような振動子を用いて振動型ジャイロセンサを構成すると、外部から侵入するノイズの影響を受け易くなり、結果的にセンサ出力が劣化する。このセンサ出力の劣化メカニズムについて以下説明する。
本実施の形態の振動型ジャイロセンサは、図64に示すように、振動子110の駆動電極106aにIC回路40のG0端子が接続されることで周波数F0の駆動信号が印加される。また、一方の検出電極106bはIC回路40のGa端子に接続されて検出信号Vgaを出力するとともに、他方の検出電極106cはIC回路40のGb端子に接続されて検出信号Vgbを出力する。IC回路40において、自励発振回路30は図5を参照して説明した加算回路41、増幅回路42、移相回路43及びAGC44によって構成される。また、第1演算回路31は図5の差動増幅回路45に相当し、第2演算回路32は図5の同期検波回路46及び平滑回路47に相当する。
振動子110は入力信号Vg0を印加されて振動し、左右の検出電極106b,106cからそれぞれ検出信号Vga,Vgbを出力する。これらの検出信号は第1演算回路31においてAM変調されて差分信号(Vga−Vgb)が生成される。この差分信号は第2演算回路32において直流変換されて出力され、振動子110に作用する角速度が検出される。このとき、周波数Faをもつ外乱ノイズが振動子110の入力信号にのると、その外乱周波数Faを含んだ入力信号(F0±Fa)で振動子110が振動し、その検出信号の差分信号(Vga−Vgb)にF0±Faの周波数成分が含まれる。その結果、第2演算回路32からは外乱信号Faが重畳した出力信号が出力されることになる。
以上のように、振動子110の振動特性が、F0±Fa成分を励起しやすい状態である場合、センサ出力は当該ノイズの影響を大きく受けて、角速度の検出精度を劣化させてしまう(抑圧比を悪化させてしまう)。振動子110の振動特性がF0±Fa成分を励起しやすい状態である場合とは、動作周波数(縦共振周波数Fv)付近前後2〜300Hz付近に動作周波数以外の周波数帯域にピークをもつ状態を意味する。通常、角速度センサに用いられる振動子は、特性を確保するため、縦共振周波数Fv付近に横共振周波数Fhが設定される。これら縦共振周波数Fvと横共振周波数Fhの周波数差が離調度であり、この離調度付近の周波数をもつ外乱ノイズの飛び込みによってセンサ出力は影響を受けやすくなる。
そこで本実施の形態では、横共共振周波数(Fh)での駆動時に振動子110から出力される左右検出信号の差分信号が最小となるように振動子110の振動特性を矯正する。すなわち、振動子110の振動特性を調整する際、図65A,Bに示すように横共振周波数Fhのピークレベルに着目し、この横共振周波数Fhのピークレベルが最小となるように振動子110をレーザートリミングする。具体的には、振動子110を横共振周波数で振動させたときに検出電極106b,106cから検出される差分信号が所定の範囲であるか否かを判定する。この差分信号の判定結果に基づいて、その大きさから振動子に対する調整加工位置を決定しレーザ照射を行って一部を研削して調整を行う。これらの測定・レーザ加工を目標値に達するまで施す。
以上のように本実施の形態によれば、定常動作時の振動方向(垂直方向)以外の周波数で共振しないように振動子の振動特性を調整し、振動特性の安定化を図るようにしている。その結果、離調度付近の外乱ノイズ(本例では50Hzや100Hzなど)が入力信号に飛び込んでも検出信号に与える影響が少なくなり、ノイズに対するセンサ出力の信号比(SN比)を高め、外乱に強い振動型ジャイロセンサを得ることができる。
また、圧電膜の膜特性の左右非対称性に起因して垂直モードで振動する振動子の左右検出信号に信号差が生じている場合でも、上述したような横共振周波数Fhのピークレベルを低下させる調整処理を施すことで、離調度調整及び左右検出信号の調整のほか、外乱対策をも同時に行うことが可能となるので、生産性、歩留まり及び品質の向上を図ることができる。
(第3の実施の形態)
上述してきたように、本発明に係る振動型ジャイロセンサは、共通の支持基板上に同一構成の振動型ジャイロセンサ素子100A,100Bを異なる軸方向に向けて実装することで、2軸方向の角速度をそれぞれ検出できるようにしている(図40参照)。また、この振動型ジャイロセンサは、同一支持基板上にICチップ等の電子部品が実装されているとともに、各種センサ部品や電子装置等が搭載された本体機器の内部にセッティングされる。したがって、一対の振動型ジャイロセンサ素子間、同一支持基板上のIC部品等の部品間、更には本体機器内の他の電子装置との間におけるクロストークによる影響を回避して、センサ出力の精度向上を高める必要がある。
一方、本発明に係る振動型ジャイロセンサの調整方法は、支持基板20の上に実装された振動型ジャイロセンサ素子100について、その振動子110の裏面110b側をレーザートリミングすることで離調度や検出信号の調整を行うようにしている。この調整工程において、振動型ジャイロセンサ素子の共振周波数を任意の周波数に調整できれば、振動型ジャイロセンサ相互間や他の電子部品あるいは電子装置との間におけるクロストークを回避することが可能となる。
そこで、本実施の形態では、振動子110の振動特性の調整工程において、当該振動子110の離調度及び検出信号バランスといった各種振動特性の調整の後、振動子110に同様なレーザートリミングを施して縦横の共振周波数の調整を行うようにしている。
振動子110は片持ち梁形状の振動子であるので、振動周波数は下記の式で示されるように、梁の長さの2乗に反比例する。式中、fnは片持ち梁の共振周波数、Eはヤング率、Iは梁の断面2次モーメント、ρは密度、Aは梁の断面積、Lは梁の長さ、λは比例係数である。これにより、振動子110の先端部分をレーザートリミングして、梁の剛性及び実効的な長さを減じることにより、梁の共振周波数を増加させることができる。
一方、当該共振周波数の調整の際、先に調整された離調度が変動することは避けなければならない。図66は、レーザー加工深さ11μm、梁長さ1.9mmの場合における梁の加工位置と共振周波数及び離調度の変化を測定して得られた各点のデータのプロット図(グラフ)である。梁の根元(振動子の基端部位)から1.6mm以上(振動子の全長の4/5以上)離れた位置をレーザー加工することで、離調度(93Hz)を変化させることなく共振周波数を増加させることができる。
以上の結果から、図67に示すように、振動子110の裏面110b側においてその根元部位より当該振動子の全長の4/5以上離れた位置を共振周波数調整用のレーザー加工凹部90の形成領域とし、これ以外の領域を離調度調整用及び左右検出信号のバランス調整用のレーザー加工凹部80の形成領域とする。これにより、離調度を変動させることなく振動子110の共振周波数を本体機器内部のクロストークの影響が少ない周波数帯域に任意に調整することができる。凹部90の形成数は単数に限らず複数でもよい。なお、凹部90の加工位置は振動子の軸線上に限らず軸線上からずれた位置でも構わない。また、凹部90の加工位置は振動子110の裏面110bに限らず、振動子110の先端面であってもよい。更に、凹部90の形成によって共振周波数の調整のみならず、例えば振動子の中心軸線に関して右側又は左側にずれた位置に凹部90を形成するなど、加工位置によって左右検出信号のバランス調整を行うことも可能である。
なお、一対の振動型ジャイロセンサ素子間のクロストークを回避するためには、各々の共振周波数を少なくとも1kHz以上離すのが好適である。
(第4の実施の形態)
上述の第1の実施の形態において、シリコン基板1に対して振動子110の外形を切り抜く貫通部13(図29〜図31)の形成工程では、ICP−RIE(誘導結合型プラズマ反応性イオンエッチング)法が用いられている。この方法は、シリコン基板1に対して垂直かつ高アスペクト比で溝加工を行える点で非常に優れている。
ところが、シリコン基板1の大きさ(ウェーハ径)が大きくなると、図68Aに模式的に示すように、基板上の全ての振動子110の両側面を理想的な垂直壁で対称に形成することが困難となり、プラズマ処理室内のガス流分布やプラズマ分布等により、特に基板外周部において図68Bに模式的に示すように、振動子110が左右非対称な形状になる場合がある。
振動子110の振動方向は、左右対称な形状であれば理想的な垂直方向の振動モードとなり(図68A)、振動子110の表面に形成された左右の検出電極106b,106cから出力される検出信号も差がなくバランスがとれた状態となる。しかしながら、振動子110が左右非対称な形状の場合、左右の検出電極106b,106cから出力される検出信号が各々異なりバランスがとれない状態となる(図68B)。左右の検出信号が異なると、振動子110に作用する回転方向の角速度の検知量が異なってしまったり、右方向の回転角速度の感度と左方向の回転角速度の感度とが互いに異なる等の不具合が生じてしまう。
一方、上述したように、左右検出信号のバランスを調整するため、振動型ジャイロセンサ素子100の形成後に振動子110の所定領域をレーザー照射にて研削することが行われている。しかしながら、この方法のみでは検出信号のバランスをとるようにすると調整時間が長くなってしまう。また、レーザー照射で調整できる左右検出信号の差はおよそ30%であるため、調整前の検出信号差がこれよりも大きいと製品として利用できなくなり生産性の向上が図れなくなる。
そこで、本実施の形態では、上述の調整工程による作業時間を短くでき良品率を高めることを目的として、後述するように、振動子110の外形形状を形成するエッチング工程の際、貫通部13の底部に臨む振動子110の稜線部が湾曲形状に加工されるまでエッチング加工を過剰に行うようにしている。
図69Aに示すように、振動子110の外形を切り抜くようにして形成される平面視コ字状の貫通部13は、シリコン基板1上に形成された熱酸化膜2Aをマスクとするシリコン基板1へのエッチング加工により形成される。このエッチング処理は、加工深さが振動子110の形成厚に相当する深さに達した時点で終了される。このとき、シリコン基板1の反対面側に形成された裏面ストッパー膜12が加工量を制限する。
ところで、この貫通部13の形成工程において、加工される溝の底部が裏面ストッパー膜12に達した後も更にエッチング処理を継続させる(以下、オーバーエッチングともいう。)と、図69Bに模式的に示すように、裏面ストッパー膜12上の電荷あるいはエッチャントの溜まり(図69Bにおいて「E」で符示)の影響により、エッチング方向が貫通部13の底部側方に向けられる。これにより、図69Bに示すように、振動子110の下端稜線部が研削されてテーパー状あるいは湾曲状に形成される。
なお、この現象は「ノッチ」とも呼ばれ、通常のプロセスではなるべく生じないようにエッチング条件が管理される。ノッチ現象は、貫通部13の傾きが大きいほど、裏面ストッパー層12とのなす角が鋭角となる稜線部側に顕著に現れる。ここで、図69Aは振動子110の長手方向から見た断面図、図69Bは振動子110の長手方向に対して垂直な方向から見た要部断面図である。
本実施の形態では、貫通部13の形成時のオーバーエッチングに起因するノッチ現象を利用して、振動子110の形状の左右非対称性に起因する振動モードの傾きを緩和するようにしている。
図68Bに示したように、左右非対称な形状を有する振動子110において、通常のエッチング加工(非オーバーエッチング)で形成された振動子110の振動モードに比べて、図70Bに示すように上述したオーバーエッチングで形成された振動子110の振動モードの方が、より垂直方向の振動モードに近くなる。これは、ノッチ現象により湾曲状にエッチングされた振動子110の左右の稜線部110VL,110VRのうち鋭角な方の稜線部23VLの被加工量が多くなる結果、左右の非対称性が緩和されて振動子110の左右重量のバランスが改善されることで、振動モードがより垂直方向に矯正されることに依る。
一方、図68Aに示したように、左右対称な形状を有する振動子110においても同様に、オーバーエッチングで貫通部13が形成された場合、図70Aに示すように当該振動子110の左右の稜線部110VL,110VRはともにノッチ現象により湾曲状に形成されることになる。しかし、この場合は稜線部110VL,110VRの被加工量がほぼ同一であるため、形状の左右対称性が損なわれることはなく、非オーバーエッチング時の振動モードと同様に垂直モードが維持される。
なお、説明の理解容易のため図68及び図70では振動子110の上下を逆に描いており、実際の振動子は、検出電極106b,106cや駆動電極106aが形成される振動子110の表面側を下に向けて振動する。
オーバーエッチング処理は、例えばエッチング時間で管理することができ、処理時間を非オーバーエッチング時よりも長く設定すればよい。ノッチ現象を利用した振動子110の稜線部110VL,110VRの端部からの被加工量は、振動子の大きさや形状、駆動周波数等の仕様に応じて適宜設定可能である。なお上述の第1実施形態で説明した素子形状例においては、5μm以上である。但し、被加工量が大き過ぎると振動子自体の強度が減少するため、好適には20μm以下とする。
以上のように、本実施の形態によれば、元々左右対称形状に形成され振動モードも理想的な振動子においては、振動子110の下端稜線部にテーパー状あるいは湾曲状のノッチが現れても理想的な振動モードが保たれる。また、当初形状が左右非対称に形成されていたがために振動モードも斜めに振動していた振動子も、この振動子の下端稜線部に現れるノッチで非対称性が緩和され振動モードが垂直方向に近くなる。このため、従来調整不良となっていたアンバランスな振動モードで振動する振動子も、レーザー照射による調整工程での調整が可能な領域に入ることにより、生産歩留まりの向上を図ることができる。
なお、本発明者らが確認したところによれば、1枚のシリコン基板から作製された複数の振動型ジャイロセンサ素子において、調整工程前における左右の検出信号差が30%未満となる素子の良品率(歩留まり)は、従来では約43%であったのに対し、本実施の形態によれば約87%と倍増させることができた。
(第5の実施の形態)
上述の第1の実施の形態において、シリコン基板1に対して振動子110の外形を切り抜く貫通部13の形成工程では、ICP−RIE法が用いられている。この方法は、シリコン基板1に対して垂直かつ高アスペクト比で溝加工を行える点で非常に優れている。
一般にエッチング法で直線的な溝を加工する場合、溝の端部が精度よく直角(溝幅方向の側面と溝長さ方向の側面との間が直角)に形成されずに、湾曲した形状となることが多い。したがって、貫通部13の形成工程の際、図71に示すように、振動子110の両側面と素子100の基台部間の境界部分に相当する振動子根元部110R1,110R2がともに平面的に見て湾曲した形状となる。
ところが、このような振動子根元部110R1,110R2は左右で非対称な形状になり易い。図72Aに示すように、振動子110の振動方向は左右が対称な形状であれば理想的な垂直方向の振動モードとなり、振動子110の表面に形成された検出電極106b,106cからの検出信号も左右で差がなくバランスがとれている。これに対して、上述したように振動子根元部110R1,110R2が左右非対称な形となった場合、図72Bに示すように振動子110の振動方向が斜めの振動モードとなってしまう。
このような斜めの振動モードをもつ振動子の場合、その左右の検出電極106b,106cからの検出信号はバランスがとれない状態となる。左右の検出信号が異なると、振動子110に作用する回転方向の角速度の検知量が異なってしまったり、右方向の回転角速度の感度と左方向の回転角速度の感度とが互いに異なる等の不具合が生じてしまう。
一方、上述したように、左右検出信号のバランスを調整するため、素子100の形成後の振動子110の所定領域をレーザー照射にて研削することが行われている。しかしながら、この方法のみで検出信号のバランスをとるようにすると調整時間が長くなってしまう。また、レーザー照射で調整できる左右信号の差はおよそ30%程度であるため、調整前の検出信号差がこれよりも大きいと製品として利用できなくなり生産性の向上が図れなくなる。
そこで、本実施の形態では、上述の調整工程による作業時間を短くでき良品率を高めることを目的として、後述するように、振動子110の外形形状を形成するエッチング工程の際、貫通部13の両端部13A,13B(図73参照)を外側に向けてテーパー状あるいは湾曲状に形成するようにしている。
図73は、外形溝形成工程におけるシリコン基板1の概略平面図であり、貫通部13は振動子110の外形を囲むコ字状に形成され、貫通部13の両端部13A,13Bは振動子110の外側に向けて湾曲状に形成されている。貫通部13の形成は、シリコン基板1上の熱酸化膜2Aをマスクとするエッチング加工で形成される(このとき圧電膜や上部電極膜、端子やリード等の配線パターンは保護膜で覆われている)。そこで、この熱酸化膜2Aのパターニングの際に、貫通部13の形成領域に対応するコ字状開口の両端部を図73に示すように湾曲して形成する。
その結果、貫通部13の両端部13A,13Bはシリコン酸化膜2Aの開口形状に対応して湾曲形状に形成されることになる。そして、図74に示すように、振動子根元部110R1,110R2の形状の左右対称性が良くなり、ほぼ同一形状とすることができる。これにより、振動子110の垂直な振動モードを確保でき、検出信号のバランスを高めることが可能となる。
図75A〜図75Cは、振動子根元部110R2(110R1)の平面視形成例を示している。図75Aは一定曲率の円形状又は楕円形状に振動子根元部110R2を形成した例を示しており、図75Bは傾斜角の異なるテーパー状に振動子根元部110R2を形成した例を示している。また、図75Cは素子100の基台部に対する傾斜角が順次小さくなる複数の傾斜面で振動子根元部110R2を形成した例を示している。
なお、振動子根元部110R1,110R2の形状は上記の例に限定されず、振動子110の外側に向かって漸次形成幅が大となるように振動子根元部110R1,110R2がテーパー状あるいは湾曲状に形成されていればよい。また、振動子根元部110R1,110R2の曲率半径は任意に設定可能であり、例えば5μmとされる。
以上のように、本実施の形態によれば、貫通部13の両端部13A,13Bを当初から湾曲状にパターン形成し、振動子根元部110R1,110R2を湾曲形成させるようにしているので、振動子110の形状を左右ほぼ対称に形成して振動モードを理想的な垂直モードに保つことができる。このため、従来調整不良となっていたアンバランスな振動モードで振動する素子も、レーザー照射による調整工程での調整が可能な領域に入ることにより、生産歩留まりの向上を図ることができる。
なお、本発明者らが確認したところによれば、1枚のシリコン基板から作製された複数の素子において、調整工程前における左右の検出信号差が30%未満となる素子の良品率(歩留まり)は、従来では38%であったのに対し、本実施の形態によれば約82%と著しく向上させることができた。なお、このときの振動子根元部の形成曲率半径は20μmとした。
以上のように本明細書に開示した振動型ジャイロセンサ素子及びその製造方法は、その他に以下の構成を備えている。
1.片持ち梁形状の振動子を有する振動型ジャイロセンサ素子であって、
前記振動子には、当該振動子の縦共振周波数と横共振周波数との周波数差を調整するための単数又は複数の第1の凹部と、当該振動子上に設けられた一対の検出電極から出力される信号差を調整するための単数又は複数の第2の凹部が形成されていることを特徴とする振動型ジャイロセンサ素子。
2.前記第1,第2の凹部は共通の単数又は複数の凹部からなる上記1.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
3.前記振動子の一方の面には、圧電膜、駆動電極及び一対の検出電極が形成されており、前記第1,第2の凹部は、前記一方の面以外の領域に形成されている上記1.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
4.前記振動子の先端側には、当該振動子の共振周波数を調整するための単数又は複数の第3の凹部が形成されている上記1.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
5.前記第3の凹部は、前記振動子の基端部位より当該振動子の全長の4/5以上離れた位置に形成されている上記4.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
6.片持ち梁形状の振動子を有する振動型ジャイロセンサ素子であって、
前記振動子には、当該振動子の縦共振周波数と横共振周波数との周波数差を調整し、かつ当該振動子上に設けられた一対の検出電極から出力される信号差を調整するための単数又は複数の凹部が形成されていることを特徴とする振動型ジャイロセンサ素子。
7.前記振動子の一方の面には、圧電膜、駆動電極及び一対の検出電極が形成されており、前記凹部は、前記一方の面以外の領域に形成されている上記6.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
8.前記振動子の先端側には、当該振動子の共振周波数を調整するための単数又は複数の凹部が形成されている上記6.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
9.前記凹部は、前記振動子の基端部位より当該振動子の全長の4/5以上離れた位置に形成されている上記8.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
10.片持ち梁形状の振動子を有する振動型ジャイロセンサ素子であって、
前記振動子には、当該振動子の縦共振周波数と横共振周波数との周波数差を調整するための単数又は複数の第1の凹部と、当該振動子上に設けられた一対の検出電極から出力される信号差を調整するための単数又は複数の第2の凹部とが形成されており、
前記第2の凹部は、当該振動子を横共振周波数で振動させたときの前記信号差が最小となる位置に形成されていることを特徴とする振動型ジャイロセンサ素子。
11.前記第1,第2の凹部は共通の単数又は複数の凹部からなる上記10.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
12.前記振動子の一方の面には、圧電膜、駆動電極及び一対の検出電極が形成されており、前記第1,第2の凹部は、前記一方の面以外の領域に形成されている上記10.に記載の振動型ジャイロセンサ素子
13.前記振動子の先端側には、当該振動子の共振周波数を調整するための単数又は複数の第3の凹部が形成されている上記10.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
14.前記第3の凹部は、前記振動子の基端部位より当該振動子の全長の4/5以上離れた位置に形成されている上記13.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
15.片持ち梁形状の振動子を有する振動型ジャイロセンサ素子であって、
前記振動子には、当該振動子の縦共振周波数と横共振周波数との周波数差を調整し、かつ当該振動子上に設けられた一対の検出電極から出力される信号差を調整するための単数又は複数の凹部が形成されており、
前記凹部は、当該振動子を横共振周波数で振動させたときの前記信号差が最小となる位置に形成されていることを特徴とする振動型ジャイロセンサ素子。
16.前記振動子の一方の面には、圧電膜、駆動電極及び一対の検出電極が形成されており、前記凹部は、前記一方の面以外の領域に形成されている上記15.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
17.前記振動子の先端側には、当該振動子の共振周波数を調整するための単数又は複数の凹部が形成されている上記15.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
18.前記凹部は、前記振動子の基端部位より当該振動子の全長の4/5以上離れた位置に形成されている上記17.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
19.片持ち梁形状の振動子を有する振動型ジャイロセンサ素子であって、
前記振動子には、当該振動子の共振周波数を調整するための単数又は複数の凹部が形成されていることを特徴とする振動型ジャイロセンサ素子。
20.前記振動子には、当該振動子上に設けられた一対の検出電極から出力される信号差を調整するための単数又は複数の凹部が形成されている上記19.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
21.前記振動子には、当該振動子の縦共振周波数と横共振周波数との周波数差を調整するための単数又は複数の凹部が形成されている上記19.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
22.前記振動子には、当該振動子の縦共振周波数と横共振周波数との周波数差を調整し、かつ当該振動子上に設けられた一対の検出電極から出力される信号差を調整するための単数又は複数の凹部が形成されている上記19.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
23.片持ち梁形状の振動子を有する振動型ジャイロセンサ素子の製造方法であって、
前記振動子に、当該振動子の縦共振周波数と横共振周波数との周波数差を調整するための単数又は複数の第1の凹部を形成する工程と、当該振動子上に設けられた一対の検出電極から出力される信号差を調整するための単数又は複数の第2の凹部を形成する工程とを有し、
前記第2の凹部は、当該振動子を縦共振周波数で振動させたときの前記信号差が最小となる位置に形成されることを特徴とする振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
24.前記周波数差及び前記信号差を測定した後、前記第1,第2の凹部を形成する工程を複数回繰り返して行う上記23.に記載の振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
25.前記第1の凹部と前記第2の凹部とを共通の単数又は複数の凹部で形成する上記23.に記載の振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
26.前記振動子の先端側に、当該振動子の共振周波数を調整するための単数又は複数の第3の凹部を形成する工程を有する上記23.に記載の振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
27.前記第3の凹部は、前記振動子の基端部位より当該振動子の全長の4/5以上離れた位置に形成される上記26.に記載の振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
28.片持ち梁形状の振動子を有する振動型ジャイロセンサ素子の製造方法であって、
前記振動子に、当該振動子の縦共振周波数と横共振周波数との周波数差を調整し、かつ当該振動子上に設けられた一対の検出電極から出力される信号差を調整するための単数又は複数の凹部を形成する工程を有し、
前記凹部は、当該振動子を縦共振周波数で振動させたときの前記信号差が最小となる位置に形成されることを特徴とする振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
29.前記周波数差及び前記信号差を測定した後、前記凹部を形成する工程を複数回繰り返して行う上記28.に記載の振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
30.前記振動子の先端側に、当該振動子の共振周波数を調整するための単数又は複数の凹部を形成する工程を有する上記28.に記載の振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
31.前記凹部は、前記振動子の基端部位より当該振動子の全長の4/5以上離れた位置に形成される上記30.に記載の振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
32.片持ち梁形状の振動子を有する振動型ジャイロセンサ素子の製造方法であって、
前記振動子に、当該振動子の縦共振周波数と横共振周波数との周波数差を調整するための単数又は複数の第1の凹部を形成する工程と、当該振動子上に設けられた一対の検出電極から出力される信号差を調整するための単数又は複数の第2の凹部を形成する工程とを有し、
前記第2の凹部は、当該振動子を横共振周波数で振動させたときの前記信号差が最小となる位置に形成されることを特徴とする振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
33.前記周波数差及び前記信号差を測定した後、前記第1,第2の凹部を形成する工程を複数回繰り返して行う上記32.に記載の振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
34.前記第1の凹部と前記第2の凹部とを共通の単数又は複数の凹部で形成する上記32.に記載の振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
35.前記振動子の先端側に、当該振動子の共振周波数を調整するための単数又は複数の第3の凹部を形成する工程を有する上記32.に記載の振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
36.前記第3の凹部は、前記振動子の基端部位より当該振動子の全長の4/5以上離れた位置に形成される上記35.に記載の振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
37.片持ち梁形状の振動子を有する振動型ジャイロセンサ素子の製造方法であって、
前記振動子に、当該振動子の縦共振周波数と横共振周波数との周波数差を調整し、かつ当該振動子上に設けられた一対の検出電極から出力される信号差を調整するための単数又は複数の凹部を形成する工程を有し、
前記凹部は、当該振動子を横共振周波数で振動させたときの前記信号差が最小となる位置に形成されることを特徴とする振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
38.前記周波数差及び前記信号差を測定した後、前記凹部を形成する工程を複数回繰り返して行う上記37.に記載の振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
39.前記振動子の先端側に、当該振動子の共振周波数を調整するための単数又は複数の凹部を形成する工程を有する上記37.に記載の振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
40.前記凹部は、前記振動子の基端部位より当該振動子の全長の4/5以上離れた位置に形成される上記39.に記載の振動型ジャイロセンサ素子の製造方法。
41.片持ち梁形状の振動子を有する振動型ジャイロセンサ素子であって、
前記振動子には、当該振動子の縦共振周波数と横共振周波数との周波数差を調整するための単数又は複数の第1の凹部と、当該振動子上に設けられた一対の検出電極から出力される信号差を調整するための単数又は複数の第2の凹部とが形成されており、
前記第2の凹部は、当該振動子を縦共振周波数で振動させたときの前記信号差が最小となる位置に形成されていることを特徴とする振動型ジャイロセンサ素子。
42.前記第1,第2の凹部は共通の単数又は複数の凹部からなる上記41.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
43.前記振動子の一方の面には、圧電膜、駆動電極及び一対の検出電極が形成されており、前記第1,第2の凹部は、前記一方の面以外の領域に形成されている上記41.に記載の振動型ジャイロセンサ素子
44.前記振動子の先端側には、当該振動子の共振周波数を調整するための単数又は複数の第3の凹部が形成されている上記41.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
45.前記第3の凹部は、前記振動子の基端部位より当該振動子の全長の4/5以上離れた位置に形成されている上記44.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
46.片持ち梁形状の振動子を有する振動型ジャイロセンサ素子であって、
前記振動子には、当該振動子の縦共振周波数と横共振周波数との周波数差を調整し、かつ当該振動子上に設けられた一対の検出電極から出力される信号差を調整するための単数又は複数の凹部が形成されており、
前記凹部は、当該振動子を縦共振周波数で振動させたときの前記信号差が最小となる位置に形成されていることを特徴とする振動型ジャイロセンサ素子。
47.前記振動子の一方の面には、圧電膜、駆動電極及び一対の検出電極が形成されており、前記凹部は、前記一方の面以外の領域に形成されている上記46.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
48.前記振動子の先端側には、当該振動子の共振周波数を調整するための単数又は複数の凹部が形成されている上記46.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。
49.前記凹部は、前記振動子の基端部位より当該振動子の全長の4/5以上離れた位置に形成されている上記48.に記載の振動型ジャイロセンサ素子。