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JP2012003938A - 電池用セパレータおよびリチウム二次電池 - Google Patents

電池用セパレータおよびリチウム二次電池 Download PDF

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JP2012003938A JP2010137824A JP2010137824A JP2012003938A JP 2012003938 A JP2012003938 A JP 2012003938A JP 2010137824 A JP2010137824 A JP 2010137824A JP 2010137824 A JP2010137824 A JP 2010137824A JP 2012003938 A JP2012003938 A JP 2012003938A
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Abstract

【課題】 安全性およびハイレートでの充放電特性に優れた電池を構成し得る電池用セパレータと、該セパレータを有するリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂を主体とする微多孔膜からなる多孔質層(I)と、耐熱温度が150℃以上の針状フィラーを主体として含む多孔質層(II)とを有することを特徴とする電池用セパレータ、並びに、正極、負極、セパレータおよび非水電解液を有しており、前記セパレータが本発明の電池用セパレータであることを特徴とするリチウム二次電池により、前記課題を解決する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、安全性およびハイレートでの充放電特性が良好な電池を構成可能な電池用セパレータと、該電池用セパレータを有するリチウム二次電池に関するものである。
現行のリチウム二次電池では、正極と負極との間に介在させるセパレータとして、例えば厚みが20〜30μm程度のポリオレフィン系の微多孔膜が使用されている。また、セパレータの素材としては、電池の熱暴走温度以下でセパレータの構成樹脂を溶融させて空孔を閉塞させ、これにより電池の内部抵抗を上昇させて短絡の際などに電池の安全性を向上させる所謂シャットダウン効果を確保するため、融点の低いポリエチレンが適用されることがある。
こうしたセパレータには、例えば、多孔化と強度向上のために湿式で二軸延伸したフィルムが用いられることが多い。このようなセパレータは、単独で存在する膜として供給されるため、作業性などの点で一定の強度が要求され、これを前記延伸によって確保している。しかし、このような延伸フィルムでは結晶化度が増大しており、シャットダウン温度も、電池の熱暴走温度に近い温度にまで高まっている。そのため、シャットダウン前に熱暴走領域に達してセパレータの熱収縮が起こり、それにより正極と負極とが短絡する虞がある。
このようなセパレータの熱収縮による短絡を防止し、電池の信頼性を高める技術として、例えば、シャットダウン機能を確保するための樹脂を主体として含む第1セパレータ層と、耐熱温度が150℃以上のフィラーを主体として含む第2セパレータ層とを有する多孔質のセパレータを用いて電気化学素子を構成することが提案されている(特許文献1)。
国際公開第2007/66768号
前記の特許文献1の技術によれば、異常過熱した際にも熱暴走が生じ難い安全性に優れたリチウム二次電池などの電気化学素子を提供することができる。
その一方で、リチウム二次電池には、使用機器の高機能化などに伴って、今まで以上にハイレートでの充放電特性の向上が要求されることが予想され、特許文献1に記載の技術においても、未だ改善の余地を残している。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、安全性およびハイレートでの充放電特性に優れた電池を構成し得る電池用セパレータと、該セパレータを有するリチウム二次電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明の電池用セパレータは、熱可塑性樹脂を主体とする微多孔膜からなる多孔質層(I)と、耐熱温度が150℃以上の針状フィラーを主体として含む多孔質層(II)とを有することを特徴とするものである。
また、本発明のリチウム二次電池は、正極、負極、セパレータおよび非水電解液を有しており、前記セパレータが、本発明の電池用セパレータであることを特徴とするものである。
なお、本明細書でいう「耐熱温度が150℃以上」とは、少なくとも150℃において軟化などの変形が見られないことを意味している。
また、本明細書でいうセパレータに係る多孔質層(I)における「熱可塑性樹脂を主体とする」とは、多孔質層(I)内の全成分の固形分比率で、熱可塑性樹脂が50体積%以上であることを意味している。更に、本明細書でいうセパレータに係る多孔質層(II)における「耐熱温度が150℃以上の針状フィラーを主体として含む」とは、層内の固形分比率で、耐熱温度が150℃以上の針状フィラーが50体積%以上であることを意味している。
本発明によれば、安全性およびハイレートでの充放電特性に優れた電池を構成し得る電池用セパレータと、該電池用セパレータを有するリチウム二次電池を構成できる。すなわち、本発明のリチウム二次電池は、高い安全性と、ハイレートでの充放電特性とを有するものである。
本発明の電池用セパレータに係る多孔質層(II)中の針状フィラーの状態の説明図である。 本発明のリチウム二次電池の一例を模式的に示す図で、(a)はその平面図、(b)はその部分縦断面図である。 図2に示すリチウム二次電池の斜視図である。
本発明の電池用セパレータ(以下、単に「セパレータ」という)は、熱可塑性樹脂を主体とする微多孔膜からなる多孔質層(I)と、耐熱温度が150℃以上の針状フィラーを主体として含む多孔質層(II)とを有するものである。
セパレータに係る多孔質層(I)は、正極および負極の短絡を防止するセパレータ本来の機能と、後述する多孔質層(II)の支持体としての機能を有している。また、後述するように、多孔質層(I)によって、シャットダウン機能[例えば80℃以上(より好ましくは100℃以上)150℃以下で、セパレータの空孔が閉塞する性質]を確保することもできる。すなわち、本発明のセパレータを使用したリチウム二次電池(本発明のリチウム二次電池)の温度が多孔質層(I)の主体となる成分である熱可塑性樹脂の融点以上に達したときには、多孔質層(I)に係る熱可塑性樹脂が溶融してセパレータの空孔を塞ぎ、電気化学反応の進行を抑制するシャットダウンを生じる。
一方、セパレータに係る多孔質層(II)は、セパレータ全体の耐熱性を高めるためのものであり、耐熱温度が150℃以上の針状フィラーによって、それを達成している。すなわち、電池が、多孔質層(I)を構成する微多孔膜が収縮し得るような高温となった場合でも、多孔質層(II)の含有する耐熱温度が150℃以上の針状フィラーによってセパレータ全体の収縮が抑制されることから、セパレータが熱収縮した場合に発生し得る正負極の直接の接触による短絡を防止できる。
なお、多孔質層(I)を構成する微多孔膜は、延伸工程を含む方法により製造されるが、一般にTD方向よりもMD方向において高度に延伸されており、MD方向での歪みがTD方向よりも大きいため、高温に曝された際には、MD方向でより収縮しやすい。そのため、セパレータ全体の熱収縮をより高度に抑制するには、特に多孔質層(I)のMD方向での熱収縮を抑えることが求められる。
セパレータ全体の熱収縮をより高度に抑制するには、例えば、多孔質層(II)の含有する耐熱温度が150℃以上のフィラーの粒径を大きくすることが好ましい。しかし、多孔質層(II)中の前記フィラーの粒径が大きくなると、多孔質層(II)内でのリチウムイオンの経路長が長くなるため、このような多孔質層(II)を有するセパレータを用いた電池では、充電および放電が遅くなることから、特にハイレートでの充放電特性を高めることが困難となる。
そこで、本発明のセパレータでは、多孔質層(II)が主体として含む耐熱温度が150℃以上のフィラーを針状のものとした。図1に、本発明のセパレータに係る多孔質層(II)中の針状フィラーの状態を説明するための斜視図を示している。図1では、多孔質層(II)中に存在する針状フィラーも表し、その配向状態を示している。なお、図1は、本発明のセパレータにおける多孔質層(II)中の針状フィラーの状態を分かりやすくするために模式的に示した参考図であって、本発明のセパレータの実際の構造を、そのまま図示したものではない。
図1では、矢印Aが、多孔質層(I)1を構成する微多孔膜のMD方向、矢印Bが、多孔質層(I)1を構成する微多孔膜のTD方向を表している。
セパレータに係る多孔質層(II)2は、例えば、耐熱温度が150℃以上の針状フィラー3などを含み、溶剤に分散などさせて調製した多孔質層(II)形成用組成物を、多孔質層(I)1の表面に塗布し、溶剤を除去する工程を含む方法により形成される。その形成過程で針状フィラーが、図1に示すように、多孔質層(I)1を構成する微多孔膜のMD方向に沿うように配向する。
そのため、本発明のセパレータでは、多孔質層(I)において、特に熱収縮が生じやすいMD方向[多孔質層(I)を構成する微多孔膜のMD方向]での熱収縮を、多孔質層(II)中で、この方向に配向する針状フィラーによって効果的に抑制することができる。
一方、針状フィラーは長軸方向の長さ(針状フィラーにおける最長部分の長さ)に対して短軸方向の長さ(長軸方向に直交する方向の長さ)が小さいため、セパレータにおける多孔質層(I)を構成する微多孔膜のTD方向では、針状フィラーによる多孔質層(II)中のリチウムイオンの経路長の増大(それに伴うリチウムイオンの透過速度の低下)を可及的に抑制できる。
本発明のセパレータでは、多孔質層(II)が含有する針状フィラーによる前記の各作用によって、従来にも増して安全性を高めることができ、かつハイレートでの充放電特性を優れたものとすることができる。
多孔質層(I)を構成する微多孔膜は、熱可塑性樹脂を主体としており、電気絶縁性を有し、電気化学的に安定で、更に後に詳述する電池の有する非水電解液に安定で、前記の突刺強度を有しているものであれば、特に制限はない。このような微多孔膜の主体となる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル;などが挙げられる。
微多孔膜は、前記例示の熱可塑性樹脂により構成された単層構造のものでもよく、また、多層構造であってもよい。多層構造の微多孔膜としては、例えば、PE層とPP層とを有する2層構造の微多孔膜;PE層/PP層/PE層が順次積層されて構成された微多孔膜や、PP層/PE層/PP層が順次積層されて構成された微多孔膜などの3層構造の微多孔膜;などが挙げられる。
なお、多孔質層(I)を構成する微多孔膜は、セパレータのシャットダウン機能をより良好に確保する観点からは、融点、すなわち、JIS K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度が、80℃以上(更に好ましくは100℃以上)170℃以下(更に好ましくは150℃以下)の熱可塑性樹脂を含有していることが好ましく、より具体的には、PEを含有していることが望ましい。
また、PPはPEよりも耐酸化性が高いため、セパレータの耐酸化性を高める観点からは、多孔質層(I)を構成する微多孔膜の表面に、PPが存在していることが好ましい。表面にPPが存在している微多孔膜としては、PP層のみで構成される微多孔膜や、PP層/PE層/PP層が順次積層されて構成された3層構造の微多孔膜(PE層の両面にPP層を有する3層構造の微多孔膜)が挙げられる。
よって、セパレータの耐酸化性を高めつつ、セパレータのシャットダウン機能をより良好に確保できることから、多孔質層(I)を構成する微多孔膜は、PP層/PE層/PP層が順次積層されて構成された3層構造の微多孔膜であることが特に好ましい。なお、前記3層構造の微多孔膜の場合、PP層の厚みは2〜8μmであることが好ましく、PE層の厚みは2〜10μmであることが好ましい。
なお、多孔質層(I)を構成する微多孔膜は、150℃での熱収縮率が、MD方向で5〜40%であり、かつTD方向では9%以下であるものが好ましい。前記の通り、本発明のセパレータでは、多孔質層(II)中の針状フィラーが、多孔質層(I)を構成する微多孔膜のMD方向に沿って配向する傾向があるため、前記微多孔膜のMD方向に相当する方向においては、高い耐熱収縮性を確保し得る一方で、前記微多孔膜のTD方向に相当する方向では、前記微多孔膜のMD方向に相当する方向に比べると、耐熱収縮性向上効果が劣る。
本発明のセパレータでは、電池内が高温となり、多孔質層(I)が、それを構成する微多孔膜のTD方向に相当する方向に収縮したとしても、多孔質層(II)が存在することで、正極と負極との直接の接触をある程度は防止可能であるが、TD方向の熱収縮率が小さな微多孔膜を多孔質層(I)とした場合には、前記微多孔膜のTD方向に相当する方向におけるセパレータ全体の収縮も小さくなることから、電池の安全性を更に高めることが可能となる。
なお、多孔質層(I)を構成するための微多孔膜は、MD方向が収縮した場合に、TD方向では膨張する(熱収縮率が負の値になる)こともある。よって、多孔質層(I)を構成するための微多孔膜のTD方向における熱収縮率は、−5%以上であることが好ましい。
なお、本明細書でいう微多孔膜の熱収縮率は、以下の方法により求められる値である。微多孔膜を5cm×5cmの大きさに切断してクリップで固定した2枚のステンレス板に挟み込んだ後、150℃の恒温槽内に180分放置し、その前後での微多孔膜の寸法(MD方向の寸法およびTD方向の寸法)を投影機で測定し、下記式により熱収縮率を算出する。
熱収縮率(%) = 100×(投入前寸法−投入後寸法)/(投入前寸法)
多孔質層(I)を構成する微多孔膜としては、従来から知られている非水電解質二次電池に使用されている熱可塑性樹脂製の微多孔膜(例えば、ポリオレフィン製の微多孔膜)からなるセパレータの製造法として一般的な湿式二軸延伸法により製造されたものの他、乾式一軸延伸法により製造されたものも使用できる。
乾式一軸延伸法では、ラメラ(層状)構造を有するポリマー結晶を溶融し、ダイスから押し出してシート化して、結晶化のための熱処理を施した後、一軸延伸により結晶界面を剥離してラメラ開孔させて、微多孔膜を形成する。すなわち、乾式一軸延伸法によれば、MD方向にのみ延伸をかけることから、例えば、前記の熱収縮率を有するもの、すなわち、150℃での熱収縮率がMD方向で5〜40%であり、かつTD方向で9%以下(より好ましくは−5%以上)の微多孔膜を得ることができる。また、乾式一軸延伸法によれば、湿式二軸延伸を用いる相分離法で微多孔膜を製造する場合のような溶剤除去工程がないことから、製造工程を簡略化でき、微多孔膜の製造工程、ひいては本発明のセパレータの製造コストを低減でき、本発明のセパレータおよび本発明の電池の生産性を高めることも可能となる。これらの理由から、多孔質層(I)を構成するための微多孔膜は、乾式一軸延伸法によって得られたものがより好ましい。
なお、多孔質層(I)には、セパレータにシャットダウン機能を付与する作用を損なわない範囲で、その強度などを向上するためにフィラーなどを含有させることもできる。多孔質層(I)に使用可能なフィラーとしては、例えば、後述する多孔質層(II)に使用可能なフィラー(耐熱温度が150℃以上の針状フィラーおよび針状以外の形状のフィラー)と同じものが挙げられる。
フィラーの粒径は、平均粒子径で、例えば、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上であって、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下である。なお、本明細書でいう平均粒子径は、例えば、レーザー散乱粒度分布計(例えば、堀場製作所製「LA−920」)を用い、フィラーを溶解しない媒体に、これらフィラーを分散させて測定したD50%(体積基準の積算分率50%における粒子直径)である[後述する多孔質層(II)に係るフィラーについても同じである。]。
多孔質層(I)における熱可塑性樹脂の含有量は、例えばシャットダウンの効果をより得やすくするために、下記のようであることが好ましい。多孔質層(I)の全構成成分中において主体となる熱可塑性樹脂の体積は、50体積%以上であり、70体積%以上であることがより好ましく、100体積%であってもよい。更に、後記の方法により求められる多孔質層(II)の空孔率が20〜60%であり、かつ多孔質層(I)に係る熱可塑性樹脂の体積が、多孔質層(II)の空孔体積の50%以上であることが好ましい。
セパレータに係る多孔質層(II)の主体となるフィラーは、耐熱温度が150℃以上であり、かつ針状のもの(針状フィラー)である。
なお、針状フィラーは、平板面を有しておらず、アスペクト比が、3以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。このようなアスペクト比の針状フィラーであれば、セパレータにおける多孔質層(I)を構成する微多孔膜のMD方向に相当する方向の熱収縮と、多孔質層(II)中のリチウムイオンの透過速度低下とを、より良好に抑制できる。また、針状フィラーのアスペクト比は、300以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましい。
なお、本明細書でいう針状フィラーのアスペクト比は、フィラー中の最長部分の長さ(長軸長さ)と、フィラー中の最長部分に直交する方向のうち最長部分の長さ(短軸長さ)との比(長軸長さ/短軸長さ)を意味しており、具体的には、針状フィラーの10000倍の透過型電子顕微鏡写真を撮影し、フィラー30個について、その長軸長さと短軸長さとを測定して、長軸長さの平均値および短軸長さの平均値を求め、これらの平均値の比によって求められる値である。
多孔質層(II)に使用可能な針状フィラーとしては、例えば、針状ベーマイト、針状アルミナ、針状酸化チタン、針状酸化鉄、針状シリカ、針状酸化マグネシウム、針状酸化亜鉛、針状水酸化マグネシウム、針状水酸化セピオライトウォラストナイト、針状チタン酸カリウム、針状ゾノトライト、針状ドーソナイト、塩基性硫酸マグネシウム繊維、その他のウィスカー類などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、高温下や電池の有する電解液の存在下において、化学的・物理的変化が少なく、溶解イオン濃度が低く、かつ安価なものが好ましく、針状ベーマイトが特に好ましい。
なお、多孔質層(II)には、耐熱温度が150℃以上で、針状以外の形状(球状、楕円体状、板状など)のフィラーを、針状フィラーとともに含有させることもできる。針状以外の形状のフィラーとしては、例えば、下記の無機粒子や有機粒子が挙げられる。
無機粒子の構成材料の具体例としては、例えば、酸化鉄、Al(アルミナ)、SiO(シリカ)、TiO、BaTiO、ZrOなどの無機酸化物;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの無機窒化物;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの難溶性のイオン結晶;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶;モンモリロナイトなどの粘土;などが挙げられる。ここで、前記無機酸化物は、ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、マイカなどの鉱物資源由来物質またはこれらの人造物などであってもよい。また、金属、SnO、スズ−インジウム酸化物(ITO)などの導電性酸化物、カーボンブラック、グラファイトなどの炭素質材料などで例示される導電性材料の表面を、電気絶縁性を有する材料(例えば、前記の無機酸化物など)で被覆することにより電気絶縁性を持たせた粒子であってもよい。
また、有機粒子(有機粉末)としては、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリスチレン、架橋ポリジビニルベンゼン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体架橋物、ポリイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物などの各種架橋高分子粒子や、ポリスルフォン、ポリアクリロニトリル、アラミド、ポリアセタール、熱可塑性ポリイミドなどの耐熱性高分子粒子などが例示できる。また、これらの有機粒子を構成する有機樹脂(高分子)は、前記例示の材料の混合物、変性体、誘導体、共重合体(ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)、架橋体(前記の耐熱性高分子の場合)であってもよい。
針状フィラーおよび針状以外の形状のフィラーの平均粒子径D50%は、例えば、0.01μm以上であることが好ましく、0.3μm以上であることがより好ましく、また、10μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましい。
多孔質層(II)における耐熱温度が150℃以上の針状フィラーの量は、多孔質層(II)の構成成分の全体積中、50体積%以上であり、70体積%以上であることが好ましく、80体積%以上であることがより好ましく、90体積%以上であることが更に好ましい。多孔質層(II)中の針状フィラーを前記のように高含有量とすることで、セパレータ全体の耐熱収縮性をより良好に高めることができ、リチウム二次電池が高温となった際の正極と負極との直接の接触による短絡の発生をより良好に抑制することができる。
また、多孔質層(II)には、耐熱温度が150℃以上のフィラー同士を結着したり、必要に応じて多孔質層(I)と多孔質層(II)とを結着したりするために有機バインダを含有させることが好ましい。よって、このような観点から、多孔質層(II)における耐熱温度が150℃以上のフィラー量(針状以外の形状のフィラーを併用する場合には、針状フィラーと針状以外の形状のフィラーとの合計量)の好適上限値は、例えば、多孔質層(II)の構成成分の全体積中、99.5体積%である。なお、多孔質層(II)における耐熱温度が150℃以上のフィラーの量を70体積%未満とすると、例えば、多孔質層(II)中の有機バインダ量を多くする必要が生じるが、その場合には多孔質層(II)の空孔が有機バインダによって埋められやすく、セパレータとしての機能が低下する虞があり、また、開孔剤などを用いて多孔質化した場合には、フィラー同士の間隔が大きくなりすぎて、熱収縮を抑制する効果が低下する虞がある。
多孔質層(II)には、セパレータの形状安定性の確保や、多孔質層(II)と多孔質層(I)との一体化などのために、有機バインダを含有させることが好ましい。有機バインダとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA、酢酸ビニル由来の構造単位が20〜35モル%のもの)、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリル酸共重合体、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられるが、特に、150℃以上の耐熱温度を有する耐熱性のバインダが好ましく用いられる。有機バインダは、前記例示のものを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記例示の有機バインダの中でも、EVA、エチレン−アクリル酸共重合体、フッ素系ゴム、SBRなどの柔軟性の高いバインダが好ましい。このような柔軟性の高い有機バインダの具体例としては、三井デュポンポリケミカル社の「エバフレックスシリーズ(EVA)」、日本ユニカー社のEVA、三井デュポンポリケミカル社の「エバフレックス−EEAシリーズ(エチレン−アクリル酸共重合体)」、日本ユニカー社のEEA、ダイキン工業社の「ダイエルラテックスシリーズ(フッ素ゴム)」、JSR社の「TRD−2001(SBR)」、日本ゼオン社の「BM−400B(SBR)」などがある。
なお、前記の有機バインダを多孔質層(II)に使用する場合には、後述する多孔質層(II)形成用の組成物の溶媒に溶解させるか、または分散させたエマルジョンの形態で用いればよい。
本発明のセパレータにおいては、多孔質層(II)の厚み[セパレータが多孔質層(II)を複数有する場合は、その総厚み]は、多孔質層(II)による前記の各作用をより有効に発揮させる観点から、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることが好ましい。ただし、多孔質層(II)が厚すぎると、電池のエネルギー密度の低下を引き起こす虞があることから、多孔質層(II)の厚みは、10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましい。
また、多孔質層(I)の厚み[セパレータが多孔質層(I)を複数有する場合は、その総厚み。以下同じ。]は、多孔質層(I)の使用による前記作用(特にシャットダウン作用)をより有効に発揮させる観点から、6μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。ただし、多孔質層(I)が厚すぎると、電池のエネルギー密度の低下を引き起こす虞があることに加えて、多孔質層(I)が熱収縮しようとする力が大きくなり、例えば、セパレータ全体の熱収縮を抑える作用が小さくなる虞がある。そのため、多孔質層(I)の厚みは、30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。
そして、セパレータ全体の厚みは、12〜45μmであることが好ましい。
セパレータ全体の空孔率としては、電解液の保液量を確保してイオン透過性を良好にするために、乾燥した状態で、30%以上であることが好ましい。一方、セパレータ強度の確保と内部短絡の防止の観点から、セパレータの空孔率は、乾燥した状態で、70%以下であることが好ましい。なお、セパレータの空孔率:P(%)は、セパレータの厚み、面積あたりの質量、構成成分の密度から、下記(1)式を用いて各成分iについての総和を求めることにより計算できる。
P = 100−(Σa/ρ)×(m/t) (1)
ここで、前記式中、a:質量%で表した成分iの比率、ρ:成分iの密度(g/cm)、m:セパレータの単位面積あたりの質量(g/cm)、t:セパレータの厚み(cm)である。
また、前記(1)式において、mを多孔質層(I)の単位面積あたりの質量(g/cm)とし、tを多孔質層(I)の厚み(cm)とすることで、前記(1)式を用いて多孔質層(I)の空孔率:P(%)を求めることもできる。この方法により求められる多孔質層(I)の空孔率は、30〜70%であることが好ましい。
更に、前記(1)式において、mを多孔質層(II)の単位面積あたりの質量(g/cm)とし、tを多孔質層(II)の厚み(cm)とすることで、前記(1)式を用いて多孔質層(II)の空孔率:P(%)を求めることもできる。この方法により求められる多孔質層(II)の空孔率は、20〜60%であることが好ましい。
本発明のセパレータは、例えば、耐熱温度が150℃以上の針状フィラーなどを含有する多孔質層(II)形成用組成物(スラリーなどの液状組成物など)を、多孔質層(I)を構成するための微多孔膜の表面に塗布し、所定の温度に乾燥して多孔質層(II)を形成することにより製造することができる。
なお、一般に、多孔質層(I)を構成する微多孔膜は、長尺のものを巻き取ったロール状で供されるため、セパレータを連続的に製造する場合には、このロールから微多孔膜を引き出しつつ、その表面に多孔質層(II)形成用組成物を塗布する工程を含む製造方法が採用される。このような製造方法によれば、多孔質層(I)表面に形成される多孔質層(II)中において、耐熱温度が150℃以上の針状フィラーが、多孔質層(I)を構成する微多孔膜のMD方向(すなわち、セパレータのMD方向)に沿って配向する。
多孔質層(II)形成用組成物は、耐熱温度が150℃以上の針状フィラーの他、必要に応じて有機バインダなどを含有し、これらを溶媒(分散媒を含む。以下同じ。)に分散させたものである。なお、有機バインダについては溶媒に溶解させることもできる。多孔質層(II)形成用組成物に用いられる溶媒は、針状フィラーなどを均一に分散でき、また、有機バインダを均一に溶解または分散できるものであればよいが、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素、テトラヒドロフランなどのフラン類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類など、一般的な有機溶媒が好適に用いられる。なお、これらの溶媒に、界面張力を制御する目的で、アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、または、モノメチルアセテートなどの各種プロピレンオキサイド系グリコールエーテルなどを適宜添加してもよい。また、有機バインダが水溶性である場合、エマルジョンとして使用する場合などでは、水を溶媒としてもよく、この際にもアルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)を適宜加えて界面張力を制御することもできる。
多孔質層(II)形成用組成物は、耐熱温度が150℃以上の針状フィラー、および有機バインダなどを含む固形分含量を、例えば10〜80質量%とすることが好ましい。
また、多孔質層(II)形成用組成物をフィルムや金属箔などの基板上に塗布し、所定の温度で乾燥した後に、必要に応じて前記基板から剥離して多孔質層(II)となる多孔質膜を形成し、この多孔質膜と、多孔質層(I)を構成するための微多孔膜とを貼り合わせて一体化することでセパレータを製造することもできる。この場合、多孔質層(I)を構成するための微多孔膜と多孔質層(II)となる多孔質膜とを一体化させるには、例えば、多孔質層(I)と多孔質層(II)とを重ね合わせ、ロールプレスなどにより両者を貼り合わせる方法などが採用できる。
なお、本発明のセパレータにおいて、多孔質層(I)と多孔質層(II)とは、それぞれ1層ずつである必要はなく、複数の層がセパレータ中にあってもよい。例えば、多孔質層(II)の両面に多孔質層(I)を配置した構成としたり、多孔質層(I)の両面に多孔質層(II)を配置した構成としてもよい。ただし、層数を増やすことで、セパレータの厚みを増やして電池の内部抵抗の増加やエネルギー密度の低下を招く虞があるので、層数を多くしすぎるのは好ましくなく、セパレータ中の多孔質層(I)と多孔質層(II)との合計層数は5層以下であることが好ましい。
本発明のリチウム二次電池は、前記本発明のセパレータを備えていればよく、その他の構成および構造については、従来から知られているリチウム二次電池で採用されている各種構成および構造を適用することができる。
リチウム二次電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶などを外装缶として使用した筒形(角筒形や円筒形など)などが挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池とすることもできる。
リチウム二次電池は、温度が上昇した際に電池内部のガスを外部に排出する機構を有していることが好ましい。かかる機構としては、従来公知の機構を用いることができる。すなわち、スチール缶やアルミニウム缶などの金属缶を外装缶とする電池では、一定の圧力で亀裂が生じる金属製の開裂ベント、一定の圧力で破れる樹脂製のベント、一定の圧力で蓋の開くゴム製のベントなどを用いることができるが、なかでも金属製の開裂ベントを用いるのが好ましい。
一方、ソフトパッケージ電池では、封止部分が樹脂の熱融着により封止されているため、そもそも温度と内圧が上昇した場合に、こうした高温、高圧に耐えられる構造とすることが難しく、特別な機構を設けなくても温度が上昇した場合に電池内部のガスを外部に排出する構成とすることが可能である。すなわち、ソフトパッケージ電池においては、外装体の封止部(熱融着部)が、前記の電池内部のガスを外部に排出する機構として作用する。また、ソフトパッケージ電池の場合、封止部分の幅を特定の場所だけ狭くするなどの方法によっても、温度が上昇した場合に電池内部のガスを外部に排出する構成とすることができる(すなわち、前記特定の場所が、前記の電池内部のガスを外部に排出する機構として作用する)。
リチウム二次電池の負極には、従来から知られているリチウムイオン二次電池に用いられている負極、すなわち、リチウムイオンを吸蔵放出可能な活物質を含有する負極であれば特に制限はない。例えば、活物質として、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などの、リチウムを吸蔵、放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、Si、Sn、Ge、Bi、Sb、Inなどの元素およびその合金、リチウム含有窒化物、または酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物、もしくはリチウム金属やリチウム/アルミニウム合金も負極活物質として用いることができる。これらの負極活物質に導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料など)やPVDFなどの結着剤などを適宜添加した負極合剤を、集電体を芯材として成形体(負極合剤層)に仕上げたものや、前記の各種合金やリチウム金属の箔を単独で用いたり、前記合金やリチウム金属の層を集電体に形成したものなどの負極剤層を有するものが用いられる。
負極に集電体を用いる場合には、集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、また、下限は5μmであることが望ましい。
負極側のリード部は、通常、負極作製時に、集電体の一部に負極合剤層を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、リード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体に銅製の箔などを後から接続することによって設けてもよい。
正極としては、従来から知られているリチウム二次電池に用いられている正極、すなわち、リチウムイオンを吸蔵放出可能な活物質を含有する正極であれば特に制限はない。例えば、活物質として、Li1+xMO(−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mn、Al、Mgなど。なお、元素MはLi以外の他の金属元素で10原子%まで置換されていてもよい。)で表される層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物、LiMnやその元素の一部を他元素で置換したスピネル構造のリチウムマンガン酸化物、LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Feなど)で表されるオリビン型化合物などを用いることが可能である。前記層状構造のリチウム含有遷移金属酸化物の具体例としては、LiCoOやLiNi1−xCox−yAl(0.1≦x≦0.3、0.01≦y≦0.2)などのほか、少なくともCo、NiおよびMnを含む酸化物(LiMn1/3Ni1/3Co1/3、LiMn5/12Ni5/12Co1/6、LiNi3/5Mn1/5Co1/5など)などを例示することができる。特に、Niを40%以上含む活物質の場合には、電池が高容量となるので好ましく、また、O(酸素原子)はフッ素、イオウ原子で1原子%まで置換されていてもよい。
導電助剤としては、カーボンブラックなどの炭素材料が用いられ、バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などフッ素樹脂が用いられ、これらの材料と活物質とが混合された正極合剤により正極合剤層が、例えば集電体の片面または両面に形成される。
また、正極の集電体としては、アルミニウムなどの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、厚みが10〜30μmのアルミニウム箔が好適に用いられる。
正極側のリード部も負極のリード部と同様に、通常、正極作製時に、集電体の一部に正極合剤層を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、リード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体にアルミニウム製の箔などを後から接続することによって設けてもよい。
電極は、前記の正極と前記の負極とを、本発明のセパレータを介して積層した積層電極体や、更にこれを巻回した巻回電極体の形態で用いることができる。
なお、電極体の形成時には、多孔質層(I)が負極に面するようにセパレータを配置することが好ましい。詳細な理由は不明であるが、多孔質層(I)が少なくとも負極に面するようにセパレータを配置した場合には、正極に面するように配置した場合よりも、シャットダウンを生じた場合に、多孔質層(I)から溶融した樹脂のうち、電極合剤層(正極合剤層または負極合剤層)に吸収される割合が少なくなり、溶融した樹脂がセパレータの空孔を閉塞するのに、より有効に利用されるため、シャットダウンによる効果がより良好となる。
また、例えばリチウム二次電池が、温度上昇により電池の内圧が上昇した際に、電池内部のガスを外部に排出して電池の内圧を下げる機構を有する場合には、この機構が作動した際に、内部の非水電解液が揮発して、電極が直接空気に曝される状態となる虞がある。電池が充電状態にある場合に、前記のような状態となり、負極と空気(酸素や水分)が接触すると、負極に吸蔵されたリチウムイオンや負極表面に析出したリチウムと空気とが反応して発熱し、時には発火することもある。また、この発熱により電池の温度が上昇して正極活物質の熱暴走反応を引き起こし、その結果、電池が発火に至ることもある。
しかしながら、熱可塑性樹脂を主体とする多孔質層(I)が負極に面するように構成した電池の場合には、高温時には多孔質層(I)の主体である熱可塑性樹脂が溶融して負極表面を覆うことから、前記の電池内部のガスを外部に排出する機構の作動に伴う負極と空気との反応を抑制することができる。そのため、前記の電池内部のガスを外部に排出する機構が作動することによる発熱の虞をなくし、電池をより安全に保つことができる。
また、リチウム二次電池では、過充電時の安全性や高温下での安定した貯蔵特性(主に外装体の膨れ防止)を確保するために、各種添加剤(例えば、シクロヘキシルベンゼン、ビニレンカーボネートなど)を非水電解液に添加することがある。本来、これらの添加剤は、高電圧や高温など異常な環境下に曝されたときに効果を奏し得るものであるが、通常の使用環境下においても、前記添加剤が重合するなどの副反応が生じる場合もある。特に高電圧下に曝される機会の多い正極側において、前記の副反応が生じる場合が多く、例えば、シクロヘキシルベンゼンが正極側で重合すると、セパレータの目詰まりが生じて、電池のインピーダンスが上昇するなどの問題が発生する虞がある。特に、セパレータの孔径が小さい場合には、こうした目詰まりによる悪影響を受けやすい。
セパレータに係る多孔質層(I)を構成する微多孔膜が、延伸開孔法で多孔化したもの(すなわち、乾式一軸延伸法で製造されたもの)である場合、微多孔膜の孔径制御が困難であり、特に大きな孔径とすることには限界がある。よって、多孔質層(I)が正極側となるようにセパレータを配置して電池を構成すると、非水電解液が前記添加剤を含有している場合に、前記の副反応によるセパレータの空孔の目詰まりの問題が顕著に現れる。そこで、本発明のリチウム二次電池では、特に前記のような添加剤を含有する非水電解液を使用する場合には、比較的ポーラスな多孔質層(II)が正極側となるようにセパレータを配置することがより好ましく、これにより、前記の目詰まりを抑制することができる。
更に、多孔質層(II)が針状フィラーとしてベーマイトなどの無機酸化物を用いている場合には、耐酸化性が多孔質層(I)よりも優れていることから、多孔質層(II)を正極側に向けることによって、正極によるセパレータの酸化をより良好に抑制することが可能となり、高温時の保存特性や充放電サイクル特性に更に優れた電池とすることができる。このようなことから、本発明の電池では、非水電解液が前記添加剤を含有していない場合でも、多孔質層(II)を正極側に向ける構成とすることがより好ましい。
よって、熱可塑性樹脂を主体とする多孔質層(I)や、多孔質層(II)を複数有するセパレータの場合、負極側が多孔質層(I)となり、かつ正極側が多孔質層(II)となるようにセパレータを構成することがより好ましい。
本発明の電池に係る非水電解液としては、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液が用いられる。リチウム塩としては、溶媒中で解離してLiイオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こしにくいものであれば特に制限は無い。例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbFなどの無機リチウム塩、LiCFSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などの有機リチウム塩などを用いることができる。
非水電解液に用いる有機溶媒としては、前記のリチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルなどのニトリル類;エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類;などが挙げられ、これらは2種以上混合して用いることもできる。なお、より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒など、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。また、これらの電解液に安全性や充放電サイクル性、高温貯蔵性といった特性を向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤を適宜加えることもできる。
このリチウム塩の電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/lとすることがより好ましい。
本発明のリチウム二次電池は、従来から知られているリチウム二次電池が適用されている各種用途と同じ用途に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<セパレータの作製>
耐熱温度が150℃以上の針状フィラーである針状ベーマイト(アスペクト比30、平均粒径4μm):250g、有機バインダである架橋したSBR(耐熱温度210℃、膨潤度34%、比重0.95g/cm)のラテックス(固形分比率40質量%):50g、および水:200gを容器に入れ、スリーワンモーターで1時間攪拌して分散させ、均一なスラリー[多孔質層(II)形成用スラリー]を調製した。
多孔質層(I)を構成するための微多孔膜として、PE層の両面にPP層を有する3層構造の微多孔膜(厚み20μm、空孔率50%)を用意した。この微多孔膜は、乾式一軸延伸法で製造されたものである。この微多孔膜の片面に、多孔質層(II)形成用スラリーをダイコーターによって乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布し、乾燥して多孔質層(II)を形成し、セパレータを得た。
<負極の作製>
純度が99.9%以上、平均粒子径が18μm、002面の面間隔(d002)が0.3356nm、c軸方向の結晶子の長さ(Lc)が100nm、R値[波長514.5nmのアルゴンイオンレーザーで励起させたときのラマンスペクトルにおける1580cm−1のピーク強度(I1580)に対する1350cm−1のピーク強度(I1350)の比(I1350/I1580)]が0.18である黒鉛系炭素材料(A):70質量部と、純度が99.9%以上、平均粒子径が21μm、d002が0.3363nm、Lcが60nm、R値が0.11の黒鉛系炭素材料(B):30質量部とを混合し、この混合物98質量部と、CMC:1質量部と、SBR:1質量部とを水の存在下で混合してスラリー状の負極合剤含有ペーストを調製した。この負極合剤含有ペーストを、厚みが10μmの銅箔からなる負極集電体の両面に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、ローラーで負極合剤層の密度が1.65g/cmになるまで加圧処理し、所定のサイズに切断後、ニッケル製のリード体を溶接して負極を作製した。得られた負極の負極合剤層の厚みは片面あたり60μmで、負極の全厚みは130μmであった。
<正極の作製>
コバルト酸リチウム:97.3質量部と、導電助剤である炭素材料:1.5質量部とを、粉体供給装置である定量フィーダー内に投入し、また、PVDFのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(呉羽化学株式会社製「L#1120」、固形分濃度12質量%)の投入量を調整し、混練時の固形分濃度が常に94質量%になるように調整した材料を、単位時間あたり所定の投入量になるように調整しつつ二軸混練押出機に投入して混練を行い、正極合剤含有ペーストを調製した。得られた正極合剤をプラネタリーミキサー内に投入し、前記と同じPVDFのNMP溶液とNMPとを加えて希釈し、塗布可能な粘度に調整した。希釈後の正極合剤含有ペーストの固形分濃度は73.0質量%であった。この希釈後の正極合剤含有ペーストを70メッシュの網を通過させて大きな含有物を取り除いた後、厚みが15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に均一に塗布し、乾燥して膜状の正極合剤層を形成した。乾燥後の正極合剤層の固形分比率は、正極活物質:導電助剤:PVDF(質量比)で97.3:1.5:1.2である。その後、加圧処理し、所定のサイズに切断後、アルミニウム製のリード体を溶接して、シート状の正極を作製した。加圧処理後の正極合剤層の密度は3.8g/cmであり、正極合剤層の厚みは片面あたり60μmで、正極の全厚みは135μmであった。
<電池の組み立て>
前記のようにして得られた正極と負極とを、前記のセパレータを介して重ね、渦巻状に巻回して巻回電極体とした。この巻回電極体を押しつぶして扁平状にし、厚み6mm、高さ50mm、幅34mmのアルミニウム合金製外装缶に入れ、非水電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとを1:2の体積比で混合した溶媒に、LiPFを濃度1mol/lで溶解させた溶液)を2.4ml注入した後に封止を行って、図2に示す構造で、図3に示す外観のリチウム二次電池を得た。
ここで図2および図3に示す電池について説明すると、図2の(a)は平面図、(b)はその部分断面図であって、図2(b)に示すように、正極1と負極2は前記のようにセパレータ3を介して渦巻状に巻回した後、扁平状になるように加圧して扁平状の巻回電極体6として、角筒形の外装缶4に電解液と共に収容されている。ただし、図2では、煩雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使用した集電体としての金属箔や電解液などは図示していない。また、セパレータの各層も区別して示していない。
外装缶6はアルミニウム合金製で電池の外装体を構成するものであり、この外装缶4は正極端子を兼ねている。そして、外装缶4の底部にはPEシートからなる絶縁体5が配置され、正極1、負極2およびセパレータ3からなる扁平状巻回電極体6からは、正極1および負極2のそれぞれ一端に接続された正極リード体7と負極リード体8が引き出されている。また、外装缶4の開口部を封口するアルミニウム合金製の封口用蓋板9にはPP製の絶縁パッキング10を介してステンレス鋼製の端子11が取り付けられ、この端子11には絶縁体12を介してステンレス鋼製のリード板13が取り付けられている。
そして、この蓋板9は外装缶4の開口部に挿入され、両者の接合部を溶接することによって、外装缶4の開口部が封口され、電池内部が密閉されている。また、図2の電池では、蓋板9に非水電解液注入口14が設けられており、この非水電解液注入口14には、封止部材が挿入された状態で、例えばレーザー溶接などにより溶接封止されて、電池の密閉性が確保されている(従って、図2および図3の電池では、実際には、非水電解液注入口14は、非水電解液注入口と封止部材であるが、説明を容易にするために、非水電解液注入口14として示している)。更に、蓋板9には、電池の温度が上昇した際に内部のガスを外部に排出する機構として、開裂ベント15が設けられている。
この実施例1の電池では、正極リード体7を蓋板9に直接溶接することによって外装缶5と蓋板9とが正極端子として機能し、負極リード体8をリード板13に溶接し、そのリード板13を介して負極リード体8と端子11とを導通させることによって端子11が負極端子として機能するようになっているが、外装缶4の材質などによっては、その正負が逆になる場合もある。
図3は前記図2に示す電池の外観を模式的に示す斜視図であり、この図3は前記電池が角形電池であることを示すことを目的として図示されたものであって、この図2では電池を概略的に示しており、電池の構成部材のうち特定のものしか図示していない。また、図2においても、電極群の内周側の部分は断面にしていない。
比較例1
針状ベーマイトに代えて、板状ベーマイト(アスペクト比1、平均粒径1μm)を用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製し、このセパレータを用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例2
実施例1でセパレータの多孔質層(I)に使用した微多孔膜を、多孔質層(II)を形成することなくセパレータに用いた以外は、実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例1および比較例1〜2のリチウム二次電池について、下記のハイレート特性評価および高温貯蔵評価を行った。また、実施例1および比較例1〜2のリチウム二次電池に使用したセパレータについて、下記の熱収縮率評価を行った。
<ハイレート特性評価>
実施例1および比較例1〜2のリチウム二次電池を、0.2Cの電流値で4.2Vまで定電流充電し、その後4.2Vで定電圧充電した。なお、総充電時間は8時間とした。続いて、0.2Cの電流値で電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電を行って、放電容量[標準容量(X)]を求めた。次に、各電池について、前記と同じ条件で充電し、続いて、2Cの電流値で電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電を行って、放電容量(Y)を求めた。そして、標準容量(X)および放電容量(Y)から、下記式によってハイレート特性(%)を求めた。なお、このハイレート特性値が大きいほど、電池のハイレート特性が優れていることを意味している。
ハイレート特性(%) = 100 × 〔放電容量(Y)/標準容量(X)〕
<高温貯蔵評価>
実施例1および比較例1〜2のリチウム二次電池を各10個用意し、これらをハイレート特性評価時と同じ条件で充電し、その後、これらの電池を130℃に保持した恒温槽内で2時間貯蔵し、室温まで冷却してから各電池の電圧を測定し、3.0V以下になった電池の個数を調べた。
<セパレータの熱収縮率評価>
実施例1および比較例1〜2の電池に使用したものと同じセパレータを、それぞれ5cm×5cmの大きさに切断してクリップで固定した2枚のステンレス板に挟み込んだ後、150℃の恒温槽内に180分放置し、その後恒温槽から取り出して、各セパレータ片の長さを測定し、試験前の長さと比較してその減少率をセパレータの熱収縮率として求めた。なお、セパレータの熱収縮率は、セパレータの製造方向(MD方向)、およびMD方向に直交する方向(TD方向)の両者について求めた。なお、比較例2のセパレータの熱収縮率は、実施例1のセパレータに係る多孔質層(I)を構成する微多孔膜の熱収縮率に該当する。
前記の各評価結果を表1に示す。
Figure 2012003938
表1から明らかなように、実施例1の電池は、ハイレート特性(ハイレートでの充放電特性)が良好で、かつ高温貯蔵試験において電圧の低下が認められず、高い信頼性を有している。なお、実施例1の電池に用いたセパレータは、MD方向、TD方向のいずれにおいても熱収縮率が小さいことから、実施例1の電池は、高温下における安全性にも優れているといえる。
これに対し、針状ベーマイトに代えて板状ベーマイトを含有する多孔質層(II)を有するセパレータを用いた比較例1の電池は、高温貯蔵試験においては電圧の低下が認められず、高い信頼性を有しているが、ハイレート特性が実施例1の電池よりも劣っている。また、乾式一軸延伸法により得られた微多孔膜をセパレータに用いた比較例2の電池は、ハイレート特性は良好であるものの、高温貯蔵試験において、一部に電圧低下が認められ、また、セパレータのMD方向の熱収縮率が大きく、高温下における安全性が実施例1の電池よりも劣っている。
1 正極
2 負極
3 セパレータ

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂を主体とする微多孔膜からなる多孔質層(I)と、耐熱温度が150℃以上の針状フィラーを主体として含む多孔質層(II)とを有することを特徴とする電池用セパレータ。
  2. 多孔質層(I)を構成する微多孔膜は、MD方向における150℃での熱収縮率が5〜40%であり、TD方向における150℃での熱収縮率が9%以下である請求項1に記載の電池用セパレータ。
  3. 多孔質層(I)を構成する微多孔膜は、乾式一軸延伸法により得られたものである請求項2に記載の電池用セパレータ。
  4. 多孔質層(II)に含まれる針状フィラーは、ベーマイトである請求項1〜3のいずれかに記載の電池用セパレータ。
  5. 正極、負極、セパレータおよび非水電解液を有するリチウム二次電池であって、
    前記セパレータが、請求項1〜4のいずれかに記載の電池用セパレータであることを特徴とするリチウム二次電池。
JP2010137824A 2010-06-17 2010-06-17 電池用セパレータおよびリチウム二次電池 Pending JP2012003938A (ja)

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