以下に、本発明の第1実施形態に係る配線基板を含む実装構造体を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1(a)に示した実装構造体1は、例えば各種オーディオビジュアル機器、家電機器、通信機器、コンピュータ装置又はその周辺機器などの電子機器に使用されるものである。この実装構造体1は、電子部品2及び該電子部品2が上面に搭載される配線基板3を含んでいる。
電子部品2は、例えばIC又はLSI等の半導体素子であり、配線基板3に半田等の導電材料を含むバンプ4を介してフリップチップ実装されている。この電子部品2は、母材が、例えばシリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム砒素リン、窒化ガリウム又は炭化珪素等の半導体材料により形成されており、厚みが例えば0.1mm以上1mm以下に設定され、熱膨張率が例えば3ppm/℃以上5ppm/℃以下に設定されている。なお、厚みは、電子部品2の研摩面若しくは破断面を走査型電子顕微鏡で観察し、厚み方向(Z方向)に沿った長さを10箇所以上測定し、その平均値を算出することにより測定される。また、熱膨張率は、市販のTMA装置を用いて、JISK7197‐1991に準じた測定方法により測定される。
配線基板3は、複数の無機絶縁層5、該無機絶縁層5同士の間に介された複数の樹脂層6、無機絶縁層5及び樹脂層6を介して厚み方向に離間した複数の導電層7、及び無機絶縁層5及び樹脂層6を厚み方向に貫通し、厚み方向に離間した導電層7同士を電気的に接続するビア導体8を含み、厚みが例えば0.1mm以上0.8mm以下に設定されている。なお、厚みは、電子部品2と同様に測定される。
無機絶縁層5は、導電層7を支持する支持部材、及び導電層7同士の短絡を抑制する絶縁部材として機能するものであり、無機絶縁材料を例えば97体積%以上100体積%以以下含む。それ故、無機絶縁材料は樹脂材料と比較して剛性が高いため、無機絶縁層5は配線基板3の剛性を高めることができ、樹脂層6として基材を含まないものを用いることができる。また、無機絶縁材料は樹脂材料と比較して分子量が小さく、分子間に水分子が侵入しにくい性質を有しているため、無機絶縁層5は導電層7間の絶縁性を高めることができる。また、無機絶縁材料は樹脂材料と比較して熱膨張率が小さいことから、電子部品2及び樹脂層6の熱膨張率の違いに起因した配線基板3の反りを低減して導電層7の断線を低減できるとともに、樹脂層6とスルーホール導体8との熱膨張率の違いに起因したビア導体8の断線を低減できる。また、無機絶縁層5は、無機絶縁材料は樹脂材料と比較して誘電正接が小さいことから、導電層7の信号伝送特性を高めることができる。なお、無機絶縁層5は、無機絶縁材料以外の残部を含む場合、例えば樹脂材料又は空隙を0体積%より多く3体積%以下含む。
なお、無機絶縁材料の体積比率は、無機絶縁層5の研摩面を電界放出型電子顕微鏡で撮影し、画像解析装置等を用いて、無機絶縁層5における無機絶縁材料の面積比率(面積%)を10個の断面にて測定し、その測定値の平均値を算出して含有量(体積%)とみなすことにより測定される。
この無機絶縁層5は、例えば平板状に形成されており、厚みが例えば5μm以上30μm以下に設定され、厚みが例えば樹脂層6の30%以上80%以下に設定され、ヤング率が例えば10GPa以上100GPa以下に設定され、ヤング率が例えば樹脂層6の10倍以上100倍以下に設定され、厚み方向及び平面方向(XY平面方向)への熱膨張率が例えば0ppm/℃以上10ppm/℃以下に設定され、誘電正接が例えば0.0001以上0.001以下に設定されている。
なお、ヤング率は、市販の引張り試験機を用いて、ISO527‐1:1993に準じた測定方法により測定される。また、誘電正接は、JISR1627‐1996に準じた共振器法により測定される。
このような無機絶縁層5としては、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタニウム、酸化マグネシウム又は酸化ジルコニウム等の無機絶縁材料により形成されたものを用いることができ、なかでも、低誘電正接及び低熱膨張率の観点から、酸化ケイ素を用いることが望ましい。
また、無機絶縁層5は、無機絶縁材料がアモルファス(非晶質)状態であることが望ましい。その結果、無機絶縁層5において、結晶構造に起因した熱膨張率の異方性を低減することができるため、配線基板3に熱が印加された場合、無機絶縁層5の熱膨張量を各方向にてより均一にすることができ、無機絶縁層5におけるクラックの発生を低減できる。アモルファス状態の無機絶縁材料としては、例えば酸化ケイ素を90重量%以上含むものを用いることができ、なかでも、酸化ケイ素を100重量%含むものを用いることが望ましい。また、酸化ケイ素を100重量%未満含むものを用いる場合は、酸化ケイ素の他に、例えば酸化アルミニウム、酸化チタニウム、酸化マグネシウム又は酸化ジルコニウム等の無機絶縁材料を含むものを用いても構わない。
アモルファス状態である無機絶縁材料は、結晶相の領域が例えば10体積%未満に設定されており、なかでも5体積%未満に設定されていることが望ましい。なお、無機絶縁材料における結晶相領域の体積比は、100%結晶化した試料粉末を非晶質粉末に混合してX線回折法で測定して検量線を作成し、調査試料のデータと検量線のデータを比較するにより測定される。
また、無機絶縁層5は、図1(b)に示すように、粒径が3nm以上110nm以下に設定された複数の無機絶縁ナノ粒子5nが結合領域5n1を介して互いに結合することにより形成されたものを用いることが望ましい。その結果、無機絶縁層5の内部構造を緻密なものとし、剛性及び絶縁性を高めることができる。この無機絶縁ナノ粒子5nは、無機絶縁層5に例えば5体積%以上90体積%以下含まれる。また、無機絶縁ナノ粒子5nは、無機絶縁層5の内部構造を緻密にするため、球状であることが望ましい。
なお、無機絶縁ナノ粒子5nは、無機絶縁層5の研摩面若しくは破断面を電界放出型電子顕微鏡で観察することにより確認される。また、無機絶縁ナノ粒子5nの粒径は、無機絶縁層5の研摩面若しくは破断面を電界放出型電子顕微鏡で観察し、20粒子数以上50粒子数以下の粒子を含むように拡大した断面を撮影し、該拡大した断面にて各粒子の最大径を測定することにより測定される。また、無機絶縁層5における無機絶縁ナノ粒子5nの含有量(体積%)は、無機絶縁層5の研摩面を電界放出型電子顕微鏡で撮影し、画像解析装置等を用いて、無機絶縁層5における無機絶縁ナノ粒子5nの面積比率(面積%)を10個の断面にて測定し、その測定値の平均値を算出して含有量(体積%)とみなすことにより測定される。
一方、樹脂層6は、導電層7を支持する支持部材、及び導電層7同士の短絡を抑制する絶縁部材として機能するものであり、樹脂材料を40体積%以上100体積%以下含む。それ故、樹脂材料は無機絶縁材料と比較して剛性が低いため、無機絶縁層5に印加される応力を低減することにより、無機絶縁層5の厚み方向に沿ったクラックを低減し、該クラックに起因した導電層7の断線を低減できる。
この樹脂層6は、厚みが例えば5μm以上30μm以下に設定され、ヤング率が例えば0.2GPa以上20GPa以下に設定され、誘電正接が例えば0.01以上0.02以下に設定され、平面方向及び厚み方向への熱膨張率が例えば20ppm/℃以上50ppm/℃以下に設定されている。
このような樹脂層6としては、例えばエポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、シアネート樹脂、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール樹脂、全芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族液晶ポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂又はポリエーテルケトン樹脂等の樹脂材料により形成されたものを使用することができる。
また、樹脂層6は、例えば繊維により構成された織布若しくは不織布又は繊維を一方向に配列した基材を含まないことが望ましい。その結果、該基材に起因した厚みの増加を低減して配線基板3を小型化するとともに、該基材に起因した配線基板3上面の凹凸を低減し、配線基板3上面を平坦化することができる。
樹脂層6は、無機絶縁材料により形成された無機絶縁フィラーを含有していることが望ましい。その結果、樹脂層6の熱膨張率を低減するとともに、樹脂層6の剛性を高めることができる。また、樹脂層6と無機絶縁層5との材料特性の違いを低減し、樹脂層6と無機絶縁層5との剥離を低減することができる。無機絶縁フィラーは、粒径が例えば0.5μm以上5.0μm以下に設定され、熱膨張率が例えば0ppm/℃以上15ppm/℃以下に設定され、樹脂層6における含有量が例えば10体積%以上60体積%以下に設定されている。このような無機絶縁フィラーとしては、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、又は水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、等の無機絶縁材料により形成されたものを用いることができる。なかでも、無機絶縁層5を構成する無機絶縁材料と同一の無機絶縁材料を用いることが望ましい。その結果、樹脂層6と無機絶縁層5との材料特性の違いをより低減することができる。
なお、無機絶縁フィラーの粒径は、樹脂層6の研摩面若しくは破断面を電界放出型電子顕微鏡で観察し、20粒子数以上50粒子数以下の粒子を含むように拡大した断面を撮影し、該拡大した断面にて各粒子の最大径を測定することにより、測定される。また、樹脂層6の樹脂部における無機絶縁フィラーの含有量(体積%)は、樹脂層6の研摩面を電界放出型電子顕微鏡で撮影し、画像解析装置等を用いて、樹脂層6の樹脂部に占める無機絶縁フィラーの面積比率(面積%)を10箇所の断面にて測定し、その測定値の平均値を算出して含有量(体積%)とみなすことにより、測定される。
導電層7は、接地用配線、電力供給用配線及び/又は信号用配線として機能するものであり、一主面が無機絶縁層5に当接している。導電層7としては、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル又はクロム等の導電材料により形成されたものを使用することができ、厚みが3μm以上20μm以下に設定され、熱膨張率が例えば14ppm/℃以上18ppm/℃以下に設定されている。
ビア導体8は、厚み方向に互いに離間した導電層7同士を相互に接続するものであり、配線基板3の下面側から上面側に向って幅狭となる柱状に形成されている。それ故、配線基板3上面にて配線を微細化して配線密度を高めることができる。ビア導体8としては、例えば銅、銀、金、アルミニウム、ニッケル又はクロムの導電材料により形成されたものを使用することができ、熱膨張率が例えば14ppm/℃以上18ppm/℃以下に設定されている。
ここで、本実施形態の配線基板3においては、無機絶縁層5は、厚み方向に互いに離間した無機絶縁層5を4層含んでおり、該4層の無機絶縁層5は、配線基板3上面側から下面側に向って、第1無機絶縁層5a、第2無機絶縁層5b、第3無機絶縁層5c、第4無機絶縁層5dとする。第1無機絶縁層5aは、配線基板3上面を構成しており、第4無機絶縁層5dは、配線基板3下面を構成している。
また、樹脂層6は、厚み方向に互いに離間した樹脂層6を3層含んでおり、該3層の樹脂層6は、配線基板3上面側から下面側に向って、第1樹脂層6a、第2樹脂層6b、第3樹脂層6cとする。
また、導電層7は、厚み方向に互いに離間した導電層7を4層含んでおり、該4層の導電層7は、配線基板3上面側から下面側に向って、第1導電層7a、第2導電層7b、第3導電層7c、第4導電層7dとする。第1導電層7aは、配線基板3上面に形成されており、バンプ4が電気的に接続される電子部品接続パッドとして機能する。また、第2導電層7b及び第3導電層7cは、無機絶縁層5同士の間に介されており、無機絶縁層5に一主面が当接するように部分的に形成され、且つ、樹脂層6に側面及び他主面が当接するように取り囲まれており、第1導電層7aと第4導電層7dとを電気的に接続する。また、第4導電層7dは、配線基板3下面に形成されており、半田ボールを介して外部回路に電気的に接続される外部回路接続パッドとして機能する。
また、ビア導体8は、厚み方向に互いに離間したビア導体8を3つ含んでおり、該3つのビア導体8は、配線基板3上面側から下面側に向って、第1ビア導体8a、第2ビア導体8b、第3ビア導体8cとする。
一方、本実施形態の配線基板3においては、複数の樹脂層6のうちで最上層に位置する第1樹脂層6aは、厚みが他の樹脂層6よりも小さいため、上面側にて隣接する無機絶縁層5に対する厚みの割合を他の樹脂層6よりも低減することができる。その結果、配線基板3の上面側領域における第1無機絶縁層5aの体積比率を高め、配線基板3の上面側領域における平面方向への熱膨張率を低減することができ、配線基板3の上面側領域と電子部品2との熱膨張率の差を低減することができる。したがって、電子部品2実装時や電子部品作動時に熱が配線基板3に印加された際に、配線基板3の上面側領域と電子部品2との熱膨張量の差を低減することができるため、配線基板3の反りを低減して導電層7に印加される応力を低減することができ、電気的信頼性に優れた配線基板3を得ることができる。
また、配線基板3の上面側領域における第1無機絶縁層5aの体積比率を高めることにより、配線基板3の上面側領域における剛性を高めて配線基板3の反りを低減すること、配線基板3の上面側領域における絶縁性を高めて第1導電層7a及び第2導電層7bの短絡を低減すること、及び配線基板3の上面側領域における誘電正接を低減して第1導電層7aの信号伝送特性を高めることができる。
また、第1樹脂層6aの厚みを小さくすることにより、配線基板3の上面側領域における第1無機絶縁層5aの体積比率を高めているため、第1無機絶縁層5aの厚みを小さくすることができ、第1無機絶縁層5aにて厚み方向に沿ったクラックの発生を低減し、該クラックに起因した第1導電層7aの断線を低減することができる。
導電層7のうちで最上層に位置する第1導電層7aは、第1無機絶縁層5a上面に形成されており、該第1導電層7aに第1導電層7a下面側で隣接する第2導電層7bは、第2無機絶縁層5b下面に形成されており、第1無機絶縁層5a、第1樹脂層6a及び第2無機絶縁層5bを介して第1導電層7aと離間している。それ故、第1無機絶縁層5a及び第2無機絶縁層5bの間に第1樹脂層6aを介在させた構造を第1導電層7a及び第2導電層7bの間に有するため、第1導電層7a及び第2導電層7bの間において、無機絶縁層5にて生じやすいクラックの伸長を第1樹脂層6aにて抑制し、該クラックに起因した第1導電層7a及び第2導電層7bの断線を低減することができる。
また、第1樹脂層6aは、導電層7に当接せず、厚みが導電層7よりも小さいことが望ましい。すなわち、第1無機絶縁層5a及び第2無機絶縁層5bの間には導電層7が形成されておらず、第1樹脂層6aの厚みが導電層7よりも小さいことが望ましい。その結果、第1樹脂層6aは、導電層7に当接しないことから、後述する第2樹脂層6b及び第3樹脂層6cのように導電層7の他主面及び側面に当接させるために厚みを大きくする必要が無く、厚みを導電層7よりも小さくすることが容易にできるため、配線基板3の上面側領域における第1無機絶縁層5aの体積比率を効率良く高めることができる。
第1ビア導体8aは、第1無機絶縁層5a、第1樹脂層6a及び第2無機絶縁層5bを厚み方向に貫通し、第1導電層7a及び第2導電層7bを電気的に接続している。それ故、第1樹脂層6aの厚みを小さくすることにより、配線基板3の上面側領域における第1無機絶縁層5aの体積比率を高め、厚み方向への熱膨張率を低減することができるため、第1無機絶縁層5a、第1樹脂層6a及び第2無機絶縁層5bからなる第1絶縁層とビア導体8との厚み方向への熱膨張率の差を低減し、第1ビア導体8aにおけるクラックの発生を低減することができる。
また、第1導電層7a下面及び第1ビア導体8a側面の間に形成された第1角部C1には、第1無機絶縁層5aが当接し、第2導電層7b上面及び第1ビア導体8a側面の間に形成された第2角部C2には、第2無機絶縁層5bが当接している。それ故、配線基板3に熱が印加された際に電子部品2と配線基板3との熱膨張率の差に起因した平面方向への応力が印加されやすい最上層に位置する第1ビア導体8aにおいて、該応力の集中しやすい第1角部C1及び第2角部C2に低熱膨張率且つ高剛性の第1無機絶縁層5a及び第2無機絶縁層5bを当接させることにより、第1ビア導体8aと第1導電層7a及び第2導電層7bとの接続部において、第1角部C1及び第2角部C2を起点にしたクラックを低減することができる。
また、第1ビア導体8aは、平面方向への断面積が第2導電層7bから第1導電層7aに向って小さくなっていることが望ましい。その結果、配線基板3上面にて、配線を微細化して配線密度を高めることができる。さらに、上述のように第1角部C1に第1無機絶縁層5aが当接しているため、配線基板3上面側に位置するとともに鋭角であることから応力が第2角部C2よりも集中しやすい第1角部C1におけるクラックを低減することができる。
第2導電層7bは、上面が第2無機絶縁層5b下面に当接し、側面及び下面が第2樹脂層6bに当接するように、第2無機絶縁層5b及び第2樹脂層6bに取り囲まれている。その結果、第2導電層7bとの接着強度の高い第2樹脂層6bによって第2導電層7bの側面及び下面を取り囲むことにより、第2導電層7b上面と第2無機絶縁層5b下面との剥離を低減し、第2導電層7bの断線を低減することができる。このように導電層7が無機絶縁層5及び樹脂層6に取り囲まれる構成は、第1導電層7a及び第4導電層7d以外の全ての導電層7に形成されていることが望ましい。
また、第2導電層7bは、厚みが隣接する第2樹脂層6bよりも小さい。その結果、第2樹脂層6bを第2導電層7bの他主面及び側面に十分に当接させることができ、第2導電層7b上面と第2無機絶縁層5b下面との剥離を低減することができる。このように導電層7の厚みが隣接する樹脂層6よりも小さい構成は、第1導電層7a及び第4導電層7d以外の全ての導電層7に形成されていることが望ましい。
第2導電層7bに第2導電層7b下面側で隣接する第3導電層7cは、第3無機絶縁層5cの下面に形成されており、第2樹脂層6b及び第3無機絶縁層5cを介して第2導電層7bと離間している。その結果、第2樹脂層6bを介して第2無機絶縁層5b及び第3無機絶縁層5cを接着させるとともに、第2導電層7b及び第3導電層7cの間に第3無機絶縁層5cを介在させることにより、第2無機絶縁層5b及び第3無機絶縁層5cから成る第2絶縁層の熱膨張率を低減し、配線基板3全体として厚み方向における熱膨張率をより均一とし、配線基板3の反りを低減することができる。また、第2導電層7b及び第3導電層7cの間の絶縁性を高め、第3導電層7cの誘電正接を低減することができる。このように導電層7同士の間に樹脂層6及び無機絶縁層5から成る絶縁層を介在させた構成は、第2導電層7bよりも下方に位置する全ての導電層7同士の間に形成されていることが望ましい。その結果、配線基板3全体として厚み方向における熱膨張率をより均一とすることができる。
なお、第1樹脂層6aの厚みは、1μm以上7μm以下に設定され、他の樹脂層6の0.05倍以上0.5倍以下に設定され、無機絶縁層5の0.05倍以上0.5倍以下に設定されていることが望ましい。また、第1樹脂層6a以外の樹脂層6の厚みは、5μm以上30μm以下に設定され、無機絶縁層5の0.5倍以上2倍以下に設定され、導電層7の厚さの1.05倍以上3倍以下に設定されていることが望ましい。また、各無機絶縁層5は、厚みが例えば同一に設定されており、最大厚みを有する無機絶縁層5の厚みは、最小厚みを有する無機絶縁層5の1.2倍以下に設定されている。
かくして、上述した実装構造体1は、配線基板3を介して供給される電源や信号に基づいて電子部品2を駆動若しくは制御することにより、所望の機能を発揮する。
次に、上述した実装構造体1の製造方法を、図2から図5(a)に基づいて説明する。
(1)下面に第1銅箔7axが形成された支持体9を準備し、第1銅箔7axの下面に第1無機絶縁層5aを形成する。具体的には、例えば以下のように行う。
まず、図2(a)に示すように、下面に第1銅箔7axが形成された支持体9を準備する。次に、無機絶縁ナノ粒子5n及び溶剤を含む無機絶縁ゾルを第1銅箔7axの下面に塗布する。次に、溶剤を蒸発させた後、加熱して無機絶縁ナノ粒子5n同士を結合させることにより、図2(b)に示すように、第1無機絶縁層5aを形成することができる。
支持体9は、銅箔、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させた樹脂板、又は紙にフェノール樹脂を含浸させた樹脂板等を含む支持部と、樹脂又はニッケルを含む接着材と、を備えており、該接着材を介して第1銅箔7axと接着したものを用いることが望ましい。
無機絶縁ゾルは、無機絶縁ナノ粒子5nを10%体積以上50体積%以下含み、溶剤を50%体積以上90体積%以下含むことが望ましい。その結果、溶剤を無機絶縁ゾルの50体積%以上含むことにより、無機絶縁ゾルの粘度を低減し、無機絶縁層5の上面の平坦性を向上させて、配線基板3上面の平坦性を向上させることができる。また、溶剤を無機絶縁ゾルの90体積%以下含むことにより、無機絶縁ゾルの固形物成分量を増加させることにより、無機絶縁層5の生産性を向上させることができる。また、無機絶縁ナノ粒子5nを無機絶縁ゾルの10体積%以上含むことにより、無機絶縁層5の内部構造を緻密にし、且つ厚みを大きく形成することができる。
無機絶縁ナノ粒子5nとして酸化ケイ素により形成されたものを用いる場合、ケイ酸ナトリウム水溶液(水ガラス)等のケイ酸化合物を精製し、化学的に酸化ケイ素を析出させることにより、アモルファス状態の無機絶縁ナノ粒子5nを作製することができる。また、無機絶縁ナノ粒子5nは、粒径が3nm以上に設定されていることが望ましい。その結果、無機絶縁ゾルの粘度を低減し、無機絶縁層5の上面の平坦性を向上させることができる。
溶剤としては、例えばメタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、又はジメチルアセトアミド等の有機溶剤を含むものを使用することができる。なかでも、メタノール、イソプロパノール及び/又はプロピレングリコールモノメチルエーテルを含むものを使用することが望ましい。その結果、無機絶縁ゾルを均一に塗布することができ、且つ、溶剤を効率良く蒸発させることができる。
無機絶縁ゾルの塗布は、例えば、ディスペンサー、バーコーター、ダイコーター又はスクリーン印刷を用いて行うことができる。
無機絶縁ゾルの加熱は、温度が溶剤の沸点以上無機絶縁ナノ粒子5nの結晶化開始温度未満に設定されていることが望ましい。具体的には、無機絶縁ゾルの加熱は、温度が例えば100度以上600度未満に設定され、時間が例えば0.5時間以上24時間以下に設定されている。その結果、該加熱温度が溶剤の沸点以上であることにより、残存した溶剤を効率良く蒸発させることができる。また、該加熱温度が、無機絶縁ナノ粒子5nの結晶化開始温度未満であることにより、無機絶縁ナノ粒子5nの結晶化を低減し、アモルファス状態の割合を高めることができる。その結果、結晶化した無機絶縁層5が相転移によって収縮することを低減し、第1無機絶縁層5aにおけるクラックの発生を低減できる。なお、結晶化開始温度は、非晶質の無機絶縁材料が結晶化を開始する温度、すなわち、結晶相領域の体積が増加する温度である。
ここで、無機絶縁ナノ粒子5nは、粒径が110nm以下に設定されているため、無機絶縁ゾルの加熱温度が無機絶縁ナノ粒子5nの結晶化開始温度未満と低温であっても、無機絶縁ナノ粒子5n同士を強固に結合させることができる。これは、無機絶縁ナノ粒子5nの粒径が110nm以下と超微小に設定されているため、無機絶縁ナノ粒子5nの原子、特に表面の原子が活発に運動するため、かかる低温でも無機絶縁ナノ粒子5n士が強固に結合すると推測される。なお、無機絶縁ナノ粒子5nとして酸化ケイ素により形成されたものを用いる場合、無機絶縁ナノ粒子5n同士を強固に結合させることができる温度は、例えば、かかる粒径を110nm以下に設定した場合は250℃程度であり、かかる粒径を15nm以下に設定した場合は150℃程度である。
無機絶縁ゾルの加熱は、例えば大気雰囲気中で行うことができる。また、温度を150℃以上に上げる場合、第1銅箔7axの酸化を抑制するため、無機絶縁ゾルの加熱は、真空、アルゴン等の不活性雰囲気又は窒素雰囲気にて行われることが望ましい。
(2)第1無機絶縁層5aの下面に、第1樹脂層6a、第2無機絶縁層5b及び第2銅箔7xを形成する。具体的には、例えば以下のように行う。
まず、図2(c)に示すように、未硬化の樹脂を含む第1樹脂シート6axと、第2銅箔7bx及び第2無機絶縁層5bを含む第1積層シート10aと、を準備する。次に、第1無機絶縁層5a下面に第1樹脂シート6axを当接させ、第1樹脂シート6ax下面に第2無機絶縁層5bを当接させて、支持体9、第1樹脂シート6ax及び第1積層シート10aを積層する。次に、該積層体を加熱加圧して第1樹脂シート6axを硬化させることにより、図2(d)に示すように、第1樹脂層6aを形成し、該第1樹脂層6aを介して第1無機絶縁層5a及び第2無機絶縁層5bを接着させる。
第1樹脂シート6axは、その厚みを適宜調整することにより、第1樹脂層6aを所望の厚みとすることができる。また、未硬化の樹脂は、ISO472:1999に準ずるA‐ステージ又はB‐ステージの状態である。
第1積層シート10aは、例えば以下のように作製することができる。まず、第2銅箔7bxを準備する。次に、(1)の工程と同様に、無機絶縁ゾルを第2銅箔7bxの下面に塗布する。次ぎに、溶剤を蒸発させた後、加熱して無機絶縁ナノ粒子5n同士を結合させることにより、第2無機絶縁層5bを形成して、第1積層シート10aを作製することができる。
該積層体の加熱加圧は、温度が第1樹脂層6aに含まれる樹脂の硬化開始温度以上熱分解温度未満に設定されていることが望ましい。具体的には、該積層体の加熱加圧は、温度が例えば170℃以上230℃以下に設定され、圧力が例えば2MPa以上3MPa以下に設定され、時間が例えば0.5時間以上2時間以下に設定されている。なお、硬化開始温度は、樹脂が、ISO472:1999に準ずるC‐ステージの状態となる温度である。また、熱分解温度は、ISO11358:1997に準ずる熱重量測定において、樹脂の質量が5%減少する温度である。
(3)第1無機絶縁層5a、第1樹脂層10a及び第2無機絶縁層5bを厚み方向に貫通する第1ビア導体8aを形成し、第2無機絶縁層5b下面に第2導電層7bを形成する。具体的には、例えば以下のように行う。
まず、例えばYAGレーザー装置又は炭酸ガスレーザー装置を用いて第2銅箔7bx下面にレーザー光を照射することにより、図3(a)に示すように、第1無機絶縁層5a、第1樹脂層10a及び第2無機絶縁層5bを貫通するビア孔Vを形成し、該ビア孔V内に第1銅箔7axの少なくとも一部を露出させる。次に、例えば無電解めっき法、電気めっき法、蒸着法、CVD法又はスパッタリング法等を用いてビア孔V内壁に導電材料を被着させることにより、図3(b)に示すように、柱状の第1ビア導体8aを形成することができる。次に、例えばフォトリソグラフィー技術、エッチング法等を用いて第2銅箔7bxをパターニングすることにより、図3(c)に示すように、第2無機絶縁層5b下面に第2導電層7bを形成することができる。
ビア孔Vは、第2銅箔7bx下面にレーザー光を照射することにより形成しているため、該レーザー光の照射量又は照射時間を適宜調整することにより、ビア孔Vを第2銅箔7bxから第1銅箔7axに向って断面積が大きくなるように形成することができる。
(4)第2無機絶縁層5bの下面に、第2樹脂層6b、第3無機絶縁層5c及び第3銅箔7x3を形成する。具体的には、例えば図3(d)及び図4(a)に示すように、未硬化の樹脂を含む第2樹脂シート6bxと、第3銅箔7cx及び第3無機絶縁層5cを含む第2積層シート10bと、を用いて、(2)の工程と同様に行う。
第2樹脂シート6bxは、厚みが第2導電層7bよりも大きく設定されたものを用いることにより、第2導電層7bの下面及び側面に当接する第2樹脂層6bを形成することができ、第2無機絶縁層5b及び第3無機絶縁層5cの接着強度を高めることができる。
(5)第2無機絶縁層5b、第2樹脂層10b及び第3無機絶縁層5cを厚み方向に貫通する第2ビア導体8bを形成し、第3無機絶縁層5c下面に第3導電層7cを形成する。具体的には、例えば図4(b)に示すように、(3)の工程と同様に行う。
(6)第3無機絶縁層5cの下面に、第3樹脂層6c、第4無機絶縁層5d、第3ビア導体8c及び第4導電層7dを形成する。具体的には、例えば図4(c)に示すように、(4)及び(5)の工程と同様に行う。
(7)図4(d)に示すように、支持体9から第1銅箔7axを剥離する。具体的には、例えば、支持体9が上方に位置するように配線基板3を多孔質のテーブル上に載置し、真空ポンプを用いて吸引することにより配線基板3を固定し、支持体9を上方に引っ張ることにより、支持体9から第1銅箔7axを剥離することができる。
(8)例えばフォトリソグラフィー技術、エッチング法等を用いて第1銅箔7axをパターニングすることにより、図5(a)に示すように、第1無機絶縁層5a上面に第1導電層7aを形成する。
以上のようにして、配線基板3を作製することができる。
(9)バンプ4を介して配線基板3に電子部品2をフリップチップ実装することにより、図1(a)に示した実装構造体1を作製することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良、組み合わせ等が可能である。
例えば、上述した本発明の実施形態は、無機絶縁層を4層含む構成を例に説明したが、無機絶縁層は3層以上であれば何層積層しても構わない。
また、上述した本発明の実施形態は、樹脂層を3層含む構成を例に説明したが、無機絶縁層は2層以上であれば何層積層しても構わない。
また、上述した本発明の実施形態は、導電層を4層含む構成を例に説明したが、導電層は2層以上であれば何層積層しても構わない。
また、上述した本発明の実施形態は、配線基板上下面に無機絶縁層が配されている構成を例に説明したが、配線基板上下面に樹脂層が配されていても構わない。
また、上述した本発明の実施形態は、ソルダーレジスト層についての説明を省略したが、配線基板は上下面に樹脂材料を含むソルダーレジスト層を有していても構わない。
また、上述した本発明の実施形態は、各無機絶縁層の厚みが同一である構成を例に説明したが、各無機絶縁層の厚みは異なっていても構わない。なかでも、図5(b)に示すように、無機絶縁層5Aのうちで最下層に位置する第4無機絶縁層5dAは、厚みが他の無機絶縁層5A(第1無機絶縁層5aA、第2無機絶縁層5bA及び第3無機絶縁層5cA)よりも大きいことが望ましい。その結果、配線基板3A下面の剛性を高めることにより、配線基板3Aの反りを低減することができる。また、配線基板3A下面の熱膨張率を低減することにより、配線基板3Aの反りを低減することができる。この場合、第4無機絶縁層5dAは、厚みが他の無機絶縁層5Aの1.5倍以上2.5倍以下に設定されていることが望ましい。
また、上述した本発明の実施形態においては、無機絶縁層が無機絶縁材料を主成分とする構成を例に説明したが、無機絶縁層は、厚み方向に沿って形成された溝部を有し、該溝部に樹脂層の一部である樹脂部が配されていても構わない。この場合、無機絶縁層は、溝部を取り囲み、無機絶縁材料を主成分とする無機絶縁部を有し、該無機絶縁部は、無機絶縁材料を例えば97体積%以上含む。
また、上述した本発明の実施形態は、樹脂層が基材を含まない構成を例に説明したが、樹脂層は基材を含んでも構わない。また、配線基板は、基材を含まない樹脂層と、基材を含む樹脂層と、を備えていても構わない。この場合、第1樹脂層は基材を含まないことが望ましい。
また、上述した本発明の実施形態は、(1)の工程にて溶剤を蒸発させた後、無機絶縁ゾルを加熱する構成を例に説明したが、溶剤の蒸発と無機絶縁ゾルの加熱とを同時に行っても構わない。
また、上述した本発明の実施形態は、未硬化の樹脂シートを硬化させて樹脂層を形成する構成を例に説明したが、未硬化の液状樹脂を硬化させて樹脂層を形成しても構わない。
また、上述した本発明の実施形態は、銅箔を用いて導電層を形成する構成を例に説明したが、導電材料層を用いて導電層が形成されていればよく、例えば導電材料層として銅箔以外の金属箔を用いても構わない。