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JP2011034928A - イオン伝導性複合体、膜電極接合体(mea)、及び電気化学装置 - Google Patents

イオン伝導性複合体、膜電極接合体(mea)、及び電気化学装置 Download PDF

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JP2011034928A JP2009182965A JP2009182965A JP2011034928A JP 2011034928 A JP2011034928 A JP 2011034928A JP 2009182965 A JP2009182965 A JP 2009182965A JP 2009182965 A JP2009182965 A JP 2009182965A JP 2011034928 A JP2011034928 A JP 2011034928A
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Kazuaki Fukushima
和明 福島
Takeshi Kishimoto
健史 岸本
Takuo Kaimoto
拓郎 開本
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Abstract

【課題】 イオン伝導性微粒子とフッ化ビニリデンの共重合体とを含有し、上述したような燃料電池集合体の作製工程に耐え得る、優れた機械的特性、特に強い靱性と適度な可撓性とを兼ね備えたイオン伝導性膜を形成できるイオン伝導性複合体、このイオン伝導性複合体を電解質として用いて作製された膜電極接合体(MEA)、及び電気化学装置を提供すること。
【解決手段】 イオン伝導性複合体を、イオン解離性の基を有するイオン伝導性微粒子と、温度130℃、圧力20kgf/cm2の下で15分間加熱処理した後の結晶化度が30%以下であるフッ化ビニリデンの共重合体とで構成する。ポリフッ化ビニリデンの結晶化を抑えるためには、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、およびパーフルオロアルコキシトリフルオロエチレンからなる群から選ばれた1種または複数種をコモノマーとする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、イオン伝導性微粒子とフッ化ビニリデンの共重合体とを含有するイオン伝導性複合体、並びに、このイオン伝導性複合体を電解質とする膜電極接合体(MEA)、及び燃料電池などの電気化学装置に関するものである。
燃料電池は、エネルギー変換効率が高く、窒素酸化物などの環境汚染物質を生成しないことから、電源装置として盛んに研究開発が行われている。また、近年、ノート型パーソナルコンピュータや携帯電話などの携帯型電子機器では、その高機能化および多機能化にともない、消費電力が増加する傾向にあり、この傾向に対応できる携帯型電子機器用電源として、燃料電池に対する期待が大きい。
燃料電池では、負極(アノード)側に燃料が供給されて燃料が酸化され、正極(カソ−ド)側に空気または酸素が供給されて酸素が還元され、燃料電池全体では燃料が酸素によって酸化される。このとき、燃料がもつ化学エネルギーが、効率よく電気エネルギーに変換されて取り出される。燃料電池には、故障しない限り、燃料を補給することで、電源として使い続けることができる特徴がある。
すでに様々な種類の燃料電池が提案または試作され、一部は実用化されている。燃料電池は、用いられる電解質によって、アルカリ電解質形燃料電池、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、および高分子電解質形燃料電池(PEFC)などに分類される。このうち、PEFCは、電解質が固体で飛散するおそれがないことや、他の形式の燃料電池に比べて低い温度、例えば30℃〜130℃程度の温度で動作させることができ、起動時間が短いことなどから、携帯型電源として好適である。
図6は、PEFCとして構成された燃料電池の構造の例を示す断面図である。燃料電池10では、水素イオン(プロトン)伝導性高分子電解質膜11の両側の面に、それぞれ、アノード(燃料極)12およびカソ−ド(酸素極)13が対向して接合され、膜電極接合体(MEA)14が形成されている。アノード12では、カーボンシートやカーボンクロスなどの多孔質導電材からなるガス透過性集電体(ガス拡散層)12aの表面に、水素イオン(プロトン)伝導性を有する高分子電解質粒子と、電子伝導性を有する触媒粒子とを含有する、多孔性のアノード触媒層12bが形成され、ガス拡散電極が形成されている。また、カソ−ド13では、同じく、カーボンシートなどの多孔質支持体からなるガス透過性集電体(ガス拡散層)13aの表面に、水素イオン(プロトン)伝導性を有する高分子電解質粒子と、電子伝導性を有する触媒粒子とを含有する、多孔性のカソ−ド触媒層13bが形成され、ガス拡散電極が形成されている。触媒粒子は、触媒材料単独からなる粒子であってもよいし、触媒材料が担体に担持された複合体粒子であってもよい。
膜電極接合体(MEA)14は、燃料流路21と酸素(空気)流路24との間に挟持され、燃料電池10に組み込まれる。発電時には、アノード12側では燃料が燃料導入口22から供給され、燃料排出口23から排出される。この間に、燃料の一部がガス透過性集電体(ガス拡散層)12aを通り抜け、アノード触媒層12bに到達する。燃料電池の燃料としては、水素やメタノールなど、種々の可燃性物質を用いることができる。カソード13側では酸素または空気が酸素(空気)導入口25から供給され、酸素(空気)排出口26から排出される。この間に、酸素(空気)の一部がガス透過性集電体(ガス拡散層)13aを通り抜け、カソード触媒層13bに到達する。
例えば、燃料が水素である場合、アノード触媒層12bに供給された水素は、アノード触媒粒子上で下記の反応式(1)
2H2 → 4H+ +4e-・・・・・(1)
で示される反応によって酸化され、アノード12に電子を与える。生じた水素イオンH+は高分子電解質膜11を通ってカソ−ド13側へ移動する。カソ−ド触媒層13bに供給された酸素は、アノード側から移動してきた水素イオンと、カソ−ド触媒粒子上で下記の反応式(2)
2 +4H++4e- → 2H2O・・・・・(2)
で示される反応によって反応し、還元されてカソ−ド13から電子を取り込む。燃料電池10全体では、(1)式と(2)式を合わせた、下記の反応式(3)
2H2+O2 → 2H2O・・・・・(3)
で示される反応が起こる。
水素などの気体燃料は、貯蔵用の高圧容器などが必要になるため、小型化には適さない。一方、メタノールなどの液体燃料は、貯蔵しやすいという利点があるが、改質器によって液体燃料から水素を取り出す方式の燃料電池は、構成が複雑になるので、小型化には適さない。これらに対し、メタノールを改質することなく、直接アノードに供給して反応させるダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC)には、燃料を貯蔵しやすく、かつ、構成が簡素で、小型化が容易であるという特徴がある。従来、DMFCは、多くがPEFCと組み合わされて、PEFCの1種として研究されてきており、携帯型電子機器用電源として最も期待されている。
さて、従来、水素イオン伝導性高分子電解質膜11の材料として、Nafion(デュポン社の登録商標)などのパーフルオロスルホン酸系樹脂が一般的に用いられてきた。Nafion(登録商標)は、パーフルオロ化された疎水性の分子骨格と、親水性のスルホン酸基を有し、パーフルオロ化された側鎖とを有する高分子からなる。Nafion(登録商標)では、スルホン酸基から解離した水素イオンが、高分子マトリックス中に取込まれた水をチャネルとして拡散移動することにより、水素イオン伝導性が発現する。従って、Nafion(登録商標)膜は、水分を十分に吸収した湿潤状態で優れたプロトン伝導性を発揮する。
しかし、水分含有量の少ない状態では、Nafion(登録商標)膜の水素イオン伝導率は急激に低下する。また、高分子中に取り込まれた水は、疎水性の高分子骨格から相分離した状態で保持されているので、不安定で、含水状態が温度によって大きく変化し、水素イオン伝導率の温度依存性が大きい。また、高温では水分が蒸発によって失われ、低温では水分が凍結するため、これらを防止するために、燃料電池が動作できる温度範囲が制限される。さらに、Nafion(登録商標)膜はメタノールの透過を阻止する性能が低く、Nafion(登録商標)膜を用いたDMFCではメタノールクロスオーバーによる発電性能の低下が著しい。
そこで、後述の特許文献1には、カーボンクラスター、特にフラーレンなどの特異な分子構造をもつカーボンクラスターなどを主成分とする炭素質材料に、プロトン解離性の基を導入した炭素質材料誘導体を、水素イオン伝導性電解質膜の材料として用いることが提案されている。なお、特許文献1において、「カーボンクラスター」とは、炭素原子が多数を占め、炭素−炭素間結合の種類は問わず、炭素原子が数個から数百個結合して形成されている集合体のことであるとされ、「プロトン解離性の基」とは、その基から水素原子がプロトン(水素イオンH+)として電離し、離脱し得る官能基を意味するとされている。本願においても、「カーボンクラスター」および「プロトン解離性の基」を同様に定義するものとする。
フラーレンなどのカーボンクラスターにプロトン解離性の基を導入したプロトン解離性分子は、凝集状態で水素イオン伝導性を示す。これは、フラーレン1分子中に多数のプロトン解離性の基が存在するので、単位体積当たりに含まれるプロトン解離性の基の個数が非常に多くなるからであると考えられている。
その後、フラーレン間が有機基で連結されたフラーレン系高分子など、様々なフラーレン誘導体が合成され、それらのうちには、特許文献1に例示されているフラーレン誘導体に比べ化学的および熱的安定性に優り、水素イオン伝導性電解質膜の構成材料として好適であると述べられているフラーレン誘導体が報告されている(例えば、特開2003-123793号公報、特開2003-187636号公報、特開2003-303513号公報、特開2004-55562号公報、および特開2005-68124号公報参照。)。
しかし、PEFC10などに用いられる水素イオン伝導性電解質膜11が満たすべき性能は多岐にわたり、水素イオン伝導性が高いことばかりではなく、機械的強度、特に靱性(材料が粘り強く、材料中で亀裂が発生しにくく、かつ伝播しにくい性質)が優れ、かつ適度な可撓性を有すること、燃料や酸素の透過(クロスリーク)を防止する性能が十分であること、耐水性や化学的安定性や耐熱性が優れていることなどが要求される。現在容易に入手可能な水素イオン伝導性材料で、これらすべての要求に単独で応え得る材料は存在しない。例えば、フラーレン系水素イオン伝導性材料は多くが粉体であり、成膜性、膜の機械的強度および可撓性、並びに、燃料や酸素の透過防止性能が、成膜性に優れた高分子材料に比べて劣っている場合がある。
そこで、特許文献1や後述の特許文献2には、プロトン解離性の基を有するカーボンクラスター誘導体を、成膜性に優れた高分子材料と複合体化することにより、成膜性、膜の機械的強度および可撓性、並びに燃料や酸素の透過防止性能を高める構成が提案されている。
特許文献1には、成膜性に優れた高分子材料としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのポリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、およびポリビニルアルコール(PVA)が例示されている。
特許文献2には、プロトン解離性の基を有するカーボンクラスター誘導体と、水及び/又はアルコール分子等の液体分子を透過しにくい高分子材料とが混合されてなり、この高分子材料の混合比率が15質量%を超え、95質量%以下、より望ましくは、20質量%以上、90質量%以下であるプロトン伝導性複合体が提案されている。この際、高分子材料が、少なくともフッ化ビニリデンの単一重合体または共重合体を含むのがよいとされ、共重合体はヘキサフルオロプロペンとの共重合体であるのがよいとされている。
特許文献2には、次のように説明されている。すなわち、上記の構成により、カーボンクラスター誘導体が有する高いプロトン伝導性を維持しながら、上記高分子材料と同様に、成膜性や膜の機械的強度や化学的安定性に優れ、水およびメタノール等の液体分子の透過を遮断する性能に優れたプロトン伝導性複合体を実現できる。この際、カーボンクラスター誘導体は、高いプロトン伝導性を有する水素イオン伝達路を提供する。一方、上記高分子材料は、水およびメタノール等の液体分子の移動を遮断するとともに、高い成膜性と機械的強度によってカーボンクラスター誘導体の膨潤を阻止する機能を有する。
一方、燃料電池の1つのセルから取り出せる電圧は0.3V〜0.8V程度であるので、電子機器を駆動するのに通常必要な電圧を1つのセルで発生することはできない。従って、電子機器を駆動する電源を構成するには、複数個の燃料電池セルを直列に接続する必要がある。この際、携帯型電子機器用途では一般に薄型構造が望まれるので、複数個のセルを平面状に配置し、それらを電気的に直列に接続する燃料電池システムを構成する必要がある。
そこで、後述の特許文献3には、平面状に配置された複数の燃料電池を直列に接続するための接続部材を備えた燃料電池集合体が提案されている。図7はこの燃料電池集合体100の断面図である。また、図8(a)は、燃料電池集合体100の要部断面図であり、図8(b)はその分解図であり、図8(c)は要部を構成する膜電極接合体(MEA)110の拡大断面図である。図8(a)に示す燃料電池集合体100要部は、平面状に配置された3つの膜電極接合体110の集合体である。
図8(c)に示すように、膜電極接合体110は、電解質膜111と、反応領域111Aにおいて電解質膜111を挟んで対向配置されたアノード12およびカソード13とを有している。但し、電解質膜111はアノード12およびカソード13よりも大きく作られており、周辺領域111Bに、膜電極接合体110を接続部材120に密着させるための接着層112が設けられている(図では省略したが、電解質膜111の端面は接着層112で被覆されている。)。接着層112は、電解質膜111と密着している第1密着層112Aと、接続部材120の屈曲部に接合する第2密着層112Bなどで構成される。
図8(a)および図8(b)に示すように、接続部材120は2つの平坦部の間に屈曲部を有する。接続部材120は、隣り合う燃料電池の一方(図8では左側)の燃料電池のアノード12と1つの平坦部において接し、他方(図8では右側)の燃料電池のカソード13ともう1つの平坦部において接し、隣接する2つの燃料電池を電気的に直列に接続するように構成されている。その他に、燃料電池集合体100は端子130、絶縁板140、および燃料供給装置150などを有する。
特許文献2の構成によれば、カーボンクラスター誘導体が有する高いプロトン伝導性を維持しながら、成膜性に優れた高分子材料と同様に、成膜性や膜の機械的強度や化学的安定性に優れ、水およびメタノール等の液体分子の透過を遮断する性能に優れたプロトン伝導性複合体を実現できる。そして、単独のセルからなる燃料電池に関しては、このプロトン伝導性複合体を用いて水素イオン伝導性電解質膜を作製することにより、歩留まりよく燃料電池を製造できることが明らかになった。この燃料電池はメタノールの透過を遮断する性能に優れ、ダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC)として好適である。
しかし、特許文献3のように、複数個のセルが平面状に配置され、それらを直列に接続するための接続部材120が設けられた燃料電池集合体100に応用した場合、特許文献2の構成をもってしても、歩留まりよく燃料電池集合体100を製造することが難しいことが明らかになった。これは、密着層112Aおよび112Bを用いて膜電極接合体110を接続部材120に密着させる工程の際に、加熱や加圧などが電解質膜111に及ぶため、電解質膜111の破断などが起こり、歩留まりが低下するためであると考えられる。
本発明は、上述したような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、イオン伝導性微粒子とフッ化ビニリデンの共重合体とを含有し、上述したような燃料電池集合体の作製工程に耐え得る、優れた機械的特性、特に強い靱性と適度な可撓性とを兼ね備えたイオン伝導性膜を形成できるイオン伝導性複合体、このイオン伝導性複合体を電解質として用いて作製された膜電極接合体(MEA)、及び電気化学装置を提供することにある。
即ち、本発明は、
イオン解離性の基を有するイオン伝導性微粒子と、
温度130℃、圧力20kgf/cm2の下で15分間加熱処理した後の結晶化度が 30%以下であるフッ化ビニリデンの共重合体と
を含有する、イオン伝導性複合体に係わる。なお、前記フッ化ビニリデンの共重合体における結晶化度Cは、下記の式
C=((結晶化部分)/((結晶化部分)+(非結晶化部分)))×100
で定義されるものとする。
また、前記イオン伝導性複合体が電解質として対向電極間に挟持されている膜電極接合体、及び、前記イオン伝導性複合体が電解質として対向電極間に挟持され、電気化学反応部を構成している電気化学装置に係わる。
フッ化ビニリデンの単一重合体(ホモポリマー)は結晶化しやすいポリマーであるが、適切なコモノマーを選択して共重合体(コポリマー)化することで結晶化を抑えることができ、膜電極接合体(MEA)作製のために、温度130℃、圧力20kgf/cm2の下で15分間加熱処理した後の結晶化度を30%以下に抑えることができる。後に実施例1および比較例1において示すように、加熱処理後の結晶化度が30%以下であれば、イオン伝導性複合体膜の破断伸びを50%以上に保ち、脆性の悪化を防止することができる。この結果、燃料電池集合体の作製工程に耐え得る、優れた機械的特性、特に強い靱性と適度な可撓性とを兼ね備えたイオン伝導性複合体が得られる。
本発明の膜電極接合体(MEA)及び電気化学装置は、前記イオン伝導性複合体を電解質として有しているので、製造工程における電解質膜の破断を防止することができ、製造歩留まりが向上する。
本発明の実施の形態1に基づく、共重合体P(VDF−HFP)試料Aを用いて作製したイオン伝導性複合体膜を130℃で加熱処理した後に測定した、広角X線回折像である。 同、共重合体P(VDF−CDFE)試料Bを用いて作製したイオン伝導性複合体膜を130℃で加熱処理した後に測定した、広角X線回折像である。 本発明の実施例1および比較例1で得られた水素イオン伝導性複合体膜において、加熱処理温度を変えた場合の結晶化度の変化を示すグラフである。 本発明の比較例1で得られた水素イオン伝導性複合体膜の応力ひずみ曲線の測定結果を示すグラフである。 本発明の実施例1および比較例1で得られた水素イオン伝導性複合体膜の、種々の相対湿度における水素イオン伝導度を示すグラフである。 PEFCとして構成された燃料電池の構造の例を示す断面図である。 特許文献3に示されている燃料電池集合体の断面図である。 同、燃料電池集合体の要部断面図(a)、その分解図(b)、および、要部を構成する膜電極接合体(MEA)の拡大断面図(c)である。
本発明のイオン伝導性複合体において、前記フッ化ビニリデンの共重合体が、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、及びパーフルオロアルコキシトリフルオロエチレンからなる群から選ばれた少なくとも1種をコモノマーとする共重合体であるのがよい。
また、前記フッ化ビニリデンの共重合体における前記ヘキサフルオロプロペンの質量分率が3質量%以上であるのがよい。
また、前記イオン伝導性微粒子が、前記イオン解離性の基を有するカーボンクラスター又は無定形炭素であるのがよい。
また、前記カーボンクラスターが、球状カーボンクラスター分子Cn(n=36、60、70、76、78、80、82、84等、通称フラーレン)からなる群の中から選ばれた少なくとも1種であるのがよい。
また、前記イオン解離性の基が、水素イオンH+、リチウムイオンLi+、ナトリウムイオンNa+、カリウムイオンK+、マグネシウムイオンMg2+、カルシウムイオンCa2+、ストロンチウムイオンSr2+、及びバリウムイオンBa2+のいずれかを含むのがよい。
前記イオン解離性の基が水素イオン解離性の基であり、水素イオン伝導性を有するのがよい。この際、前記水素イオン解離性の基が、ヒドロキシ基−OH、スルホン酸基−SO3H、カルボキシ基−COOH、ホスホノ基−PO(OH)2、リン酸二水素エステル基−O−PO(OH)2、ホスホノメタノ基>CH(PO(OH)2)、ジホスホノメタノ基>C(PO(OH)2)2、ホスホノメチル基−CH2(PO(OH)2)、ジホスホノメチル基−CH(PO(OH)2)2、ホスフィン基−PHO(OH)、−PO(OH)−、及び−O−PO(OH)−からなる群の中から選ばれた1種以上の基であるのがよい。ここで、メタノ基>CH2とは、メタノ基の炭素原子が2本の結合手で前記カーボンクラスターの2個の炭素原子と単結合を形成し、橋かけ構造を作っている原子団のことである。
本発明の電気化学装置は、燃料電池として構成されているのがよい。
次に、本発明の好ましい実施の形態を図面参照下に具体的かつ詳細に説明する。
[実施の形態1]
実施の形態1では、主として、請求項1〜8に記載したイオン伝導性複合体の例について説明する。
本発明の実施の形態1に基づくイオン伝導性複合体を作製するには、まず、イオン解離性の基を有するカーボンクラスター誘導体を適当な有機溶媒に加え、撹拌し、均一に分散させる。続いて、この分散液にフッ化ビニリデンの共重合体の粉末を加え、撹拌し、塗液を調製する。次に、このようにして調製した塗液を基材上に均一に塗り広げ、塗膜を形成する。この塗膜から溶媒を徐々に蒸発させ、膜状のイオン伝導性複合体を作製する。
イオン伝導性複合体膜の厚さは、塗布する塗液の濃度および単位面積当たりの塗布量を変えることなどによって制御することができる。
上記有機溶媒として、シクロペンタノン、アセトン、プロピレンカーボネート、およびγ−ブチロラクトンなどを用いることができる。また、基材として、ガラス板や、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート(PET)、およびポリプロピレン(PP)などの有機高分子樹脂からなるフィルムやシートを用いることができる。
本発明の特徴は、上記フッ化ビニリデンの共重合体が、温度130℃、圧力20kgf/cm2の下で15分間加熱処理した後の結晶化度が30%以下であるという条件を満たす樹脂であることである。フッ化ビニリデン共重合体における結晶化度Cは、既述したように、下記の式
C=((結晶化部分)/((結晶化部分)+(非結晶化部分)))×100
で定義される。フッ化ビニリデン共重合体の結晶化度Cは、広角X線回折像の測定、または融解熱量の測定によって決定することができる。以下、広角X線回折像の測定による決定について説明する(融解熱量の測定による決定については、例えば、特開平7−216635号公報参照。)。
図1は、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロペンとの共重合体P(VDF−HFP)の試料Aを用いて作製したイオン伝導性複合体膜を、温度130℃、圧力20kgf/cm2の下で15分間加熱処理した後に測定した広角X線回折像である。なお、共重合体P(VDF−HFP)の構造は、下記の構造式によって示される。
共重合体P(VDF−HFP)の構造式:
Figure 2011034928
(但し、lおよびmは、不特定の正の整数であり、nは、重合度に応じて変化する、大きな正の整数である。)
図1に示されているように、試料Aでは、結晶化部分による回折像である鋭い結晶性ピークの面積が小さく、非結晶化部分による回折像である幅広の非結晶性ピークの面積が大きいことから、結晶化度が小さいことがわかる。結晶化度Cを、結晶性ピークの面積と非結晶性ピークの面積から、下記の式
C=((結晶性ピーク面積)/((結晶性ピーク面積)+(非結晶性ピーク面積)))×100
を用いて算出したところ、試料Aの結晶化度Cは7%であった。なお、結晶性ピークと非結晶性ピークとが重なっている領域では、図に示すように、プロファイルフィッティングを行うことにより、各ピークを分離した。
図2は、フッ化ビニリデンとクロロジフルオロエチレンとの共重合体P(VDF−CDFE)の試料Bを用いて作製したイオン伝導性複合体膜を、温度130℃、圧力20kgf/cm2の下で15分間加熱処理した後に測定した広角X線回折像である。なお、共重合体P(VDF−CDFE)の構造は、下記の構造式によって示される。
共重合体P(VDF−CDFE)の構造式:
Figure 2011034928
(但し、lおよびmは、不特定の正の整数であり、nは、重合度に応じて変化する、大きな正の整数である。)
図2に示されているように、試料Bでは結晶性ピークの面積が大きく、非結晶性ピークの面積が小さいことから、結晶化度が大きいことがわかる。試料Aと同様にして、各ピークの面積から試料Bの結晶化度Cは48%であると算出された。
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、後に実施例1によって示すように、試料Aを用いて作製されたイオン伝導性複合体膜では、成膜後の結晶化度が7%と小さく、しかも、膜電極接合体(MEA)を作製するために、温度130℃、圧力20kgf/cm2の下で15分間加熱処理する工程の間にも結晶化が進行せず、加熱処理後も結晶化度は7%のままであることを見出した。
一方、後に比較例1によって示すように、試料Bを用いて作製されたイオン伝導性複合体膜では、成膜後の結晶化度が22%と比較的大きく、しかも、膜電極接合体(MEA)を作製するために、温度130℃、圧力20kgf/cm2の下で15分間加熱処理する工程の間に結晶化が進行し、加熱処理後の結晶化度は48%に達すること、この結果、イオン伝導性複合体膜の破断伸びが低下し、イオン伝導性複合体膜が破断しやすくなることを見出した。
フッ化ビニリデンの単一重合体(ホモポリマー)は結晶化しやすいポリマーであるが、適切なコモノマーを選択して共重合体(コポリマー)化することで結晶化を抑え、膜電極接合体(MEA)作製のための加熱処理工程後の結晶化度を30%以下に抑えることができる。後に実施例1および比較例1において示すように、加熱処理後の結晶化度が30%以下であれば、イオン伝導性複合体膜の破断伸びを50%以上に保ち、脆性の悪化を防止することができる。この結果、燃料電池集合体の作製工程に耐え得る、優れた機械的特性、特に強い靱性と適度な可撓性とを兼ね備えたイオン伝導性複合体が得られる。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、ポリフッ化ビニリデンの結晶化を抑えるためには、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、およびパーフルオロアルコキシトリフルオロエチレンからなる群から選ばれた1種または複数種をコモノマーとするのがよいことを見出した。この理由が完全に明らかになったわけではないが、1つにはサイズの効果が考えられる。上記コモノマーをエチレンの誘導体としてみた場合、上記コモノマーではすべての水素原子がこれよりサイズの大きいフッ素原子、塩素原子、トリフルオロメチル基、またはパーフルオロアルコキシ基によって置換されている。これらの大きな原子または原子団が導入されることによって立体障害が生じ、ポリフッ化ビニリデンが結晶構造をとることが困難になると考えられる。
一方、クロロジフルオロエチレンは、チレンの誘導体としてみた場合、3つの水素原子はサイズの大きい塩素原子およびフッ素原子によって置換されているものの、1つの水素原子が残されている。この水素原子によって立体障害が緩和されるので、クロロジフルオロエチレンがコモノマーとしてポリフッ化ビニリデンの結晶化を抑制する効果は小さいと考えられる。
また、上記コモノマーは、水素原子がすべてフッ素原子または塩素原子によって置換されているため、化学的に安定で、撥水性が高く、メタノールの透過を遮断する性能が高い共重合体を、フッ化ビニリデンとともに形成することができる点でも好ましい。
上記コモノマーがヘキサフルオロプロペンである場合、フッ化ビニリデン共重合体におけるヘキサフルオロプロペンの質量分率が3質量%以上であるのがよい。
上記イオン伝導性微粒子は、とくに限定されるものではないが、例えば、イオン解離性の基を有するカーボンクラスター又は無定形炭素であるのがよい。これらについては、従来、多くの研究開発が行われ、多くの成果が蓄積されているので、これらを利用することができる。
イオン解離性の基を有するカーボンクラスター誘導体としては、例えば、特許文献1および2、並びに特開2003-123793号公報、特開2003-187636号公報、特開2003-303513号公報、特開2004-55562号公報、特開2005-68124号公報などに例示されているフラーレン誘導体などの中から、イオン伝導性や、化学的および熱的安定性を勘案して、使用条件などに応じて、適宜選択して用いるのがよい。フラーレンは、球状カーボンクラスター分子Cn(n=36、60、70、76、78、80、82、84等)であり、とくにC60及び/又はC70であるのが好ましい。現在用いられているフラーレンの製造方法では、C60およびC70の生成比率が圧倒的に高く、製造コスト的にC60及び/又はC70を用いるメリットが大きい。ただし、カーボンクラスター誘導体はフラーレン誘導体に限られるものではなく、カーボンナノホーンなどの他のカーボンナノ粒子の誘導体であってもよい。また、安価な石油ピッチなどの炭素材料に、スルホン酸基などの酸性基を導入したものであってよい。
カーボンクラスター誘導体が有するイオン解離性の基はとくに限定されるものではないが、水素イオンH+、リチウムイオンLi+、ナトリウムイオンNa+、カリウムイオンK+、マグネシウムイオンMg2+、カルシウムイオンCa2+、ストロンチウムイオンSr2+、及びバリウムイオンBa2+のいずれかを含むのがよい。
とくに、イオン解離性の基が水素イオン解離性の基であり、カーボンクラスター誘導体が水素イオン伝導性を有するのがよい。この際、前記水素イオン解離性の基が、ヒドロキシ基−OH、スルホン酸基−SO3H、カルボキシ基−COOH、ホスホノ基−PO(OH)2、リン酸二水素エステル基−O−PO(OH)2、ホスホノメタノ基>CH(PO(OH)2)、ジホスホノメタノ基>C(PO(OH)2)2、ホスホノメチル基−CH2(PO(OH)2)、ジホスホノメチル基−CH(PO(OH)2)2、ホスフィン基−PHO(OH)、−PO(OH)−、及び−O−PO(OH)−からなる群の中から選ばれた1種以上の基であるのがよい。
[実施の形態2]
実施の形態2では、主として、請求項9〜11に記載した膜電極接合体(MEA)、および電気化学装置の例として、実施の形態1で作製した水素イオン伝導性複合体膜を、特許文献3に提案されている燃料電池集合体100に適用した例について説明する。
図7および図8を用いて説明したように、燃料電池集合体100では、電解質膜111はアノード12およびカソード13よりも大きめに作られており、その周辺領域111Bに、膜電極接合体110を接続部材120の屈曲部に密着させるための接着層112が設けられている。接着層112は、電解質膜111と密着している第1密着層112Aと、接続部材120に接合する第2密着層112Bなどで構成されている。
第1密着層112Aは、電解質膜111との親和性の高い樹脂、具体的には、ビニルアルコールの単一重合体または共重合体からなる樹脂、ポリエチレンまたはポリプロピレン等が酸、酸無水物、または酸エステルなどにより変性された樹脂、あるいは、表面に電解質膜111のスルホン酸基と結合可能な塩基性基を有するポリアミン等の樹脂などによって構成され、厚さは、例えば50μmである。第2密着層112Bは、接続部材120を構成する金属に対して高い密着性および熱封止性を有する樹脂、具体的には、ポリエチレンまたはポリプロピレン等が酸、酸無水物、または酸エステルなどにより変性された樹脂などによって構成され、厚さは、例えば10μmである。
接続部材120は屈曲した形状をもち、平面状に配置された2つの燃料電池を直列に接続するように構成されている。接続部材120は、銅Cu、ニッケルNi、チタンTi、またはステンレス鋼(SUS)により構成され、金Auまたは白金Ptなどでめっきされていてもよい。接続部材120の厚さは、例えば150μmである。
燃料電池集合体100を作製するには、まず、実施の形態1で作製した水素イオン伝導性複合体膜を適当な平面形状に切断する。これをアノード12とカソード13との間に挟み、例えば、温度130℃、圧力20kgf/cm2の下で15分間加熱圧着することによって、膜電極接合体110を作製する。この際、図8(c)に示したように、電極間に挟まれた反応領域111Aの外側に周辺領域111Bを形成する。
次に、電解質膜111の周辺領域111Bに、第1密着層112Aおよび第2密着層112Bを積層し、接着層112を形成する。次に、接着層112を接続部材120の屈曲部に、例えば、温度170℃の下で10秒間加熱圧着する。同様にして、図8(b)に示したように、3つの膜電極接合体110を接続部材120によって一列に連結し、両端の膜電極接合体110に端子130を取り付ける。
この後、図7に示したように、連結された膜電極接合体110のアノード12に絶縁板140を、例えば、温度170℃の下で30秒間加熱圧着し、アノード12を大気から隔離する。また、カソード13上にも絶縁板140を配置する。最後に、アノード12側の絶縁板140の下部に燃料供給装置150を取り付ける。
なお、接続部材120、端子130、および絶縁板140は、アノード12およびカソード13に燃料ガスおよび空気をそれぞれ供給するための開口を有しており、接続部材120および端子130は、例えば、エキスパンドメタルなどのメッシュ類やパンチングメタルなどによって形成する。
燃料電池集合体100を構成する燃料電池がダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC)である場合には、燃料のメタノールは、メタノール水溶液または純メタノールとして供給され、蒸発したメタノール分子がアノード触媒層12bに到達する。メタノール分子は、アノード触媒粒子上で下記の反応式(4)
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e-・・・・・(4)
で示される反応によって酸化され、アノード12に電子を与える。生じた水素イオンH+は高分子電解質膜111を通ってカソ−ド13側へ移動する。カソ−ド触媒層13bに供給された酸素は、アノード側から移動してきた水素イオンと、カソ−ド触媒粒子上で下記の反応式(5)
(3/2)O2+6H++6e- → 3H2O・・・・・(5)
で示される反応によって反応し、還元されてカソ−ド13から電子を取り込む。燃料電池全体では、(4)式と(5)式を合わせた、下記の反応式(6)
CH3OH+(3/2)O2 → CO2+2H2O・・・・(6)
で示される反応が起こる。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。本実施例では、まず、カーボンクラスター誘導体としてフラーレン系プロトン伝導体ポリマーを用い、ポリフッ化ビニリデン共重合体試料として、実施の形態1で説明したP(VDF−HFP)共重合体試料Aを用い、実施の形態1で説明したようにして水素イオン伝導性複合体膜を作製した。次に、この水素イオン伝導性複合体膜を電解質として用いて、実施の形態2で説明した膜電極接合体110および燃料電池集合体100を作製し、発電性能を調べた。また、水素イオン伝導性複合体膜の結晶化度、破断伸び、および水素イオン伝導度を測定した。但し、本発明が下記の実施例に限られるものではないことは言うまでもない。
<水素イオン伝導性複合体膜の作製>
カーボンクラスター誘導体として、下記の構造式(1)で示されるフラーレン系プロトン伝導体ポリマーをγ−ブチロラクトン(和光純薬製、特級)に加え、2時間撹拌し、均一に分散させた。この分散液にフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロペンとの共重合体P(VDF−HFP)の粉末を加え、80℃に保ちながら3時間以上撹拌し、均一に分散させた。この際、P(VDF−HFP)共重合体試料として実施の形態1で説明した試料Aを用い、フラーレン系プロトン伝導体ポリマーの質量に対する共重合体P(VDF−HFP)粉末の質量比を0.30とした。
フラーレン系プロトン伝導体ポリマーの構造式(1):
Figure 2011034928
次に、このようにして調製した塗液をポリプロピレンフィルム上に均一に塗り広げ、塗膜を形成した。クリーンベンチ内でこの塗膜から溶媒を徐々に蒸発させ、膜状のイオン伝導性複合体を作製した。さらに、得られた薄膜を60℃に保った乾燥機中に3時間置き、溶媒を蒸発させ、乾燥させた。乾燥後の薄膜の厚さは15μmであった。
[比較例1]
比較例1では、ポリフッ化ビニリデン共重合体試料として、試料Aの代わりに、実施の形態1で説明したP(VDF−CDFE)共重合体試料Bを用いた。これ以外は実施例1と同様にして、乾燥後の膜の厚さが15μmの水素イオン伝導性複合体膜を作製した。
<膜電極接合体(MEA)および燃料電池集合体の作製>
実施例1および比較例1でそれぞれ得られた水素イオン伝導性複合体膜を18mm×38mmの長方形に切断し、電解質膜111として用いた。この電解質膜111を、平面形状が15mm×35mmの長方形であるアノード12とカソード13との間に挟み、温度130℃、圧力20kgf/cm2の下で15分間加熱圧着して、膜電極接合体110を作製した。アノード12およびカソード13は、カーボンクロス(E−TEK社製;商品名(型番)ELAT GDL HT 1400―W、厚さ400μm)からなる集電体に、触媒粒子とNafion(登録商標)分散液(デュポン社製;商品名(型番)DE1020)とを混合した塗液を塗布した後、溶媒を蒸発させ、触媒層を形成したものを用いた。各電極で用いた触媒粒子は、それぞれ、カーボンブラックに白金触媒Ptを担持させた担持触媒(田中貴金属工業(株)製)、およびカーボンブラックに白金ルテニウム合金触媒PtRuを担持させた担持触媒(田中貴金属工業(株)製)を用いた。
次に、電解質膜111の周辺領域111Bと接着層112とを、熱圧着によって接着した。接着層112は、ポリビニルアルコール(PVA)フィルム((株)クラレ製;商品名(型番)エバールフィルム EF−E)からなる第1密着層112Aと、ポリオフィン系接着性樹脂(三菱化学(株)製;商品名(型番)モディック P−502)からなる第2密着層112Bとをラミネートにより接着したフィルムである。
一方、チタンTi製の網((株)サンクメタル製;商品名 エキスパンドメタル)を材料として、接続部材120を作製した。接続部材120の平坦部の平面形状は15mm×35mmの長方形とし、屈曲部の幅は、アノード12およびカソード13に比して0.5mm程度大きく作製した。
次に、接着層112を接続部材120の屈曲部に、温度170℃の下で10秒間加熱圧着した。同様にして、図8(b)に示したように、3つの膜電極接合体110を接続部材120によって一列に連結し、両端の膜電極接合体110に端子130を取り付けた。この後、アノード12側およびカソード13側にそれぞれ絶縁板40を取り付け、最後に、アノード12側の絶縁板40の下部に燃料供給装置50を取り付けた。
<燃料電池集合体の発電性能>
燃料電池集合体100に対し、燃料供給装置50からアノード12に燃料として純メタノールを供給し、自然吸気にてカソード13に空気を供給し、室温25℃で発電試験を行った。
実施例1で得られた水素イオン伝導性複合体膜を電解質膜111として用いた燃料電池集合体100では、Nafion(登録商標)を用いた場合と同様に確実に膜電極接合体110を作製でき、良好な発電性能が得られた。しかし、比較例1で得られた水素イオン伝導性複合体膜を電解質膜111として用いた場合には、発電性能が低くなった。
そこで、燃料電池集合体100を解体し、内部を観察したところ、比較例1による燃料電池集合体100では、水素イオン伝導性複合体膜の一部が破断していた。従って、比較例1による燃料電池集合体100の発電性能が低い原因は、水素イオン伝導性複合体膜の破断によって燃料の透過を遮断できなくなり、セル電圧が低下したことによると考えられる。
<水素イオン伝導性複合体膜の広角X線回折(XRD)測定>
水素イオン伝導性複合体膜の破断の原因を探るために、膜電極接合体110を作製したときと同様に、温度130℃、圧力20kgf/cm2の下で15分間加熱処理した膜について、下記の条件にて広角X線回折測定を行った。
X線回折装置:リガク社製RINT2500V
X線:Cu−Kα線
X線出力:50kV、300mA
光学系:集中法光学系
スキャン速度:2θ=4°/min
スキャン方法:2θ−θ
スキャン範囲:2θ=1〜30°
スリット:発散スリット−1/2°、
受光スリット−0.15mm、
散乱スリット−1/2°
図1は、実施例1で得られた水素イオン伝導性複合体膜のX線回折像であり、図2は、比較例1で得られた水素イオン伝導性複合体膜のX線回折像である。これらについては既に説明したので、ここでの説明は省略する。
図3は、加熱処理温度を変えた場合の結晶化度の変化を示すグラフである。実施例1で得られた水素イオン伝導性複合体膜では、加熱処理前の結晶化度が6.8%であり、130℃、150℃、および155℃で加熱処理した後の結晶化度が、それぞれ、6.8%、7.3%、および5.4%で、結晶化度が加熱処理によってほとんど変化しなかった。一方、比較例1で得られた水素イオン伝導性複合体膜では、加熱処理前の結晶化度が22%であり、130℃、150℃、および155℃で加熱処理した後の結晶化度が、それぞれ、48%、53%、および58%で、結晶化度が加熱処理によって大きく変化し、加熱処理温度が高いほど結晶化度が大きくなった。
<水素イオン伝導性複合体膜の破断伸びおよび破断強度の測定>
水素イオン伝導性複合体膜の応力ひずみ曲線を測定し、破断伸びおよび破断強度を調べた。表1に、実施例1および比較例1で得られた水素イオン伝導性複合体膜の、加熱処理の前後における破断伸びを示す。実施例1で得られた水素イオン伝導性複合体膜では、破断伸びは、加熱処理によってほとんど変化しない。
Figure 2011034928
図4は、比較例1で得られた水素イオン伝導性複合体膜の、加熱処理の前後における応力ひずみ曲線の測定結果を示すグラフである。図4からわかるように、比較例1では、加熱により結晶化度が高くなると、破断伸びが大きく低下することが分かる。
<水素イオン伝導性複合体膜の水素イオン伝導度の測定>
実施例1および比較例1記載の水素イオン伝導性複合体膜について、加熱の前後における水素イオン伝導度の変化を測定した。水素イオン伝導度は複素インピーダンス法によって測定した。
図5は、その測定結果を示すグラフである。図5に示すように、比較例1記載の膜のイオン伝導度は加熱後に大きく低下しているのに対し、実施例1記載の膜のイオン伝導度はほとんど変化しない。結晶化度が高くなりすぎると、イオン伝導パスを阻害する傾向がみられた。
以上のように、イオン解離性の官能基を有するカーボンクラスターとPVdFなどの含フッ素バインダーとからなる膜において、バインダー樹脂の結晶化度を制御することにより、加熱プロセス後においても膜の破断強度およびプロトン伝導度を維持することが可能となり、歩留まりが向上する。
以上、本発明を実施の形態および実施例に基づいて説明したが、上述の例は、本発明の技術的思想に基づき、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは言うまでもない。
本発明のイオン伝導性複合体とその製造方法は、イオン伝導性電解質膜の製造歩留まりを向上させ、燃料電池などの電気化学装置の普及などに寄与できる。
WO01/06519(請求項1,4,5,16及び18、第3,6−11,13及び14頁、図1−5及び7) 特開2005−93417号公報(第8及び12−14頁、図1−4、6及び7) 特開2008−108677号公報(第4−7頁、図1,3及び6−9)
10…燃料電池、11…水素イオン(プロトン)伝導性高分子電解質膜、
12…アノード(負極;燃料極)、12a…ガス透過性集電体(ガス拡散層)、
12b…アノード触媒層、13…カソ−ド(正極;酸素極)、
13a…ガス透過性集電体(ガス拡散層)、13b…カソ−ド触媒層、
14…膜電極接合体(MEA)、15…アノード端子、16…カソ−ド端子、
21…燃料流路、22…燃料導入口、23…燃料排出口、24…酸素(空気)流路、
25…酸素(空気)導入口、26…酸素(空気)排出口、100…燃料電池集合体、
110…膜電極接合体、111…電解質膜、111A…反応領域、111B…周辺領域、
112…接着層、112A…第1密着層、112B…第2密着層、120…接続部材、
130…端子、140…絶縁板、150…燃料供給装置、
160…燃料(メタノールなど)

Claims (11)

  1. イオン解離性の基を有するイオン伝導性微粒子と、
    温度130℃、圧力20kgf/cm2の下で15分間加熱処理した後の結晶化度が 30%以下であるフッ化ビニリデンの共重合体と
    を含有する、イオン伝導性複合体。
  2. 前記フッ化ビニリデンの共重合体が、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、及びパーフルオロアルコキシトリフルオロエチレンからなる群から選ばれた少なくとも1種をコモノマーとする共重合体である、請求項1に記載したイオン伝導性複合体。
  3. 前記フッ化ビニリデンの共重合体における前記ヘキサフルオロプロペンの質量分率が3質量%以上である、請求項2に記載したイオン伝導性複合体。
  4. 前記イオン伝導性微粒子が、前記イオン解離性の基を有するカーボンクラスター又は無定形炭素である、請求項1に記載したイオン伝導性複合体。
  5. 前記カーボンクラスターが、球状カーボンクラスター分子Cn(n=36、60、70、76、78、80、82、84等、通称フラーレン)からなる群の中から選ばれた少なくとも1種である、請求項4に記載したイオン伝導性複合体。
  6. 前記イオン解離性の基が、水素イオンH+、リチウムイオンLi+、ナトリウムイオンNa+、カリウムイオンK+、マグネシウムイオンMg2+、カルシウムイオンCa2+、ストロンチウムイオンSr2+、及びバリウムイオンBa2+のいずれかを含む、請求項1に記載したイオン伝導性複合体。
  7. 前記イオン解離性の基が水素イオン解離性の基であり、水素イオン伝導性を有する、請求項6に記載したイオン伝導性複合体。
  8. 前記水素イオン解離性の基が、ヒドロキシ基−OH、スルホン酸基−SO3H、カルボキシ基−COOH、ホスホノ基−PO(OH)2、リン酸二水素エステル基−O−PO(OH)2、ホスホノメタノ基>CH(PO(OH)2)、ジホスホノメタノ基>C(PO(OH)2)2、ホスホノメチル基−CH2(PO(OH)2)、ジホスホノメチル基−CH(PO(OH)2)2、ホスフィン基−PHO(OH)、−PO(OH)−、及び−O−PO(OH)−からなる群の中から選ばれた1種以上の基である、請求項7に記載したイオン伝導性複合体。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載したイオン伝導性複合体が電解質として対向電極間に挟持されている、膜電極接合体(MEA)。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載したイオン伝導性複合体が電解質として対向電極間に挟持され、電気化学反応部を構成している、電気化学装置。
  11. 燃料電池として構成されている、請求項10に記載した電気化学装置。
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