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JP2010037324A - 歯科用充填修復キット - Google Patents

歯科用充填修復キット Download PDF

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JP2010037324A
JP2010037324A JP2009063551A JP2009063551A JP2010037324A JP 2010037324 A JP2010037324 A JP 2010037324A JP 2009063551 A JP2009063551 A JP 2009063551A JP 2009063551 A JP2009063551 A JP 2009063551A JP 2010037324 A JP2010037324 A JP 2010037324A
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Abstract

【課題】1回のみの光照射により前処理材および充填修復材を硬化でき、歯牙と充填修復材との接着力をさらに向上させ、充填修復材の厚みにより歯牙と充填修復材との接着力が左右されにくく、かつ優れた審美性を発揮できる歯科用充填修復キットを提供すること。
【解決手段】(a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体、(b)第三級アミン化合物、(c)光重合開始剤、(d)塩基性無機材料および(e)フィラーを含む(A)充填修復材と、(f)酸性基含有ラジカル重合性単量体および(g)水を含む(B)前処理材と、を含んでなり、(A)充填修復材が、(B)前処理材が塗布され、且つ塗布された当該前処理材が未硬化である窩洞に直接充填される歯科用充填修復キットとしている。
【選択図】なし

Description

本発明は、光重合性の歯科用修復材料を含む歯科用充填修復キットに関する。
従来、歯牙の齲歯等により生じた小さい欠損(窩洞)は、金属材料にて充填されている。しかし、近年、天然歯牙色と同等の色調を付与できることおよび操作が容易なことから、アクリル系の重合性単量体、無機フィラー、および光重合開始剤とを含んでなる充填修復材が好んで用いられている。
しかし、上記レジン系の充填修復材自体には歯牙に対する接着性がないために、レジン系の充填修復材料のみで歯牙の窩洞を充填すると、充填修復材と歯牙との間に隙間が生じることがある。その結果、その隙間から細菌が進入し、あるいは歯牙から充填修復材が脱落してしまう危険性が高くなる。
そこで、レジン系の充填修復材と歯牙との間に、酸性基を含有する単量体等を主成分の歯面処理剤の層を設ける案が実用化されている。歯面処理剤は、歯牙のエナメル質および象牙質の表面処理剤として作用し、充填修復材と歯牙との接着力を高める作用をする。このような歯面処理剤を歯牙とレジン系の充填修復材との間に介在させることにより、充填修復材と歯牙とを隙間なく接着することができる。
充填修復材は、歯牙の形状を付する際には容易に変形できるが、充填を終了するとすぐに硬化することが好ましい。このため、近年では、充填修復材および歯面処理剤は、重合開始剤として光重合開始剤を含み、生体に対して無害である可視光を用いて好適に硬化される。また、充填修復材には、重合促進剤としてアミン化合物が一般的に添加されている。アミン化合物を光重合開始剤と組み合わせて用いることにより、硬化速度が向上するのみならず、より深い硬化深度を確保することができ、歯牙に充填した充填修復材の光照射面からより遠い部位、即ち歯面により近い部位の充填修復材まで十分に光硬化させることが可能となる。このようなアミン化合物としては、活性が特に高い点から芳香族第三級アミン化合物が広く用いられている。
歯牙の修復を行う作業は、以下の手順で行われる。まず、齲歯部分を削り、窩洞を形成する。次に、その窩洞に歯面処理剤を塗布する。次に、歯面処理剤を塗布した部分に可視光を照射することにより、歯面処理剤を硬化させる。そして、歯面処理材の層の上に充填修復材を充填する。最後に、充填修復材を硬化させるために、充填修復材に可視光を照射する。
上述の修復方法の場合、可視光を2回照射する必要があるが、患者の負担を軽減し、修復作業の簡略化を図る観点から、可視光の照射回数を減らすことが望ましい。しかし、1回のみの可視光照射により、歯面処理剤と充填修復材とを同時に硬化させると、充填修復材の重合収縮量が大きいために、接着界面に大きな応力が生じる。また、未硬化の前処理材中に含まれる酸性基を含有する単量体と、充填修復材中のアミン化合物が中和反応を起こし、アミン化合物の重合促進効果が低減してしまう。この結果、歯面処理剤と充填修復材との間の接着強度が非常に小さくなり、あるいは長期間の接着耐久性に劣るという問題が生じやすい。
このような問題を解消するために、種々の歯科用充填修復キットが開発されてきており、その一例として、充填修復材および前処理材の両方に、酸性基を有する単量体、酸性基を有しない単量体および重合開始剤を含む歯科用充填修復キットが知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる歯科用充填修復キットにおいて、充填修復材は前処理材に似た組成から成ることから、前処理材と充填修復材との界面の親和性が高くなるため、前処理材と充填修復材との界面で剥離が生じにくくなる。したがって、前処理材と充填修復材とを1回のみの光照射で同時に重合させた場合にも、比較的高い接着強度を有する。
同様に、充填修復材と前処理材に含まれる重合禁止剤或いは光重合開始剤の量を調節することで、前処理材の光重合開始を早くした歯科用充填修復キットが知られている(例えば、特許文献2参照)。かかる歯科用充填修復キットにおいて、歯面に塗布した前処理材と、該前処理材層上に充填した充填修復材を同時に光照射し硬化させた場合、前処理材層の光重合開始が早くなるため、同様に前処理材と充填修復材との界面で剥離が生じにくくなる。したがって、同様に前処理材と充填修復材とを1回のみの光照射で同時に重合させた場合にも、比較的高い接着強度を有する。
特開2006−131621号公報(特許請求の範囲) 特開2007−210944号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、上述の特許文献1に開示される歯科用充填修復キットには、次のような問題がある。前処理材と充填修復材とを1回のみの光照射で同時に硬化させる場合、充填修復材の重合収縮量が大きくなる。このため、接着界面に大きな応力が生じる。この結果、実臨床上からみると十分な接着強度が未だ得られておらず、長期間の接着耐久性に劣るという問題がある。また、特に、充填修復材の厚みが大きくなると、光の照射面から遠位部の重合が完了しにくいという問題がある。特に重合促進効果を有するアミン化合物は弱塩基性であるため、充填修復材に含まれる酸性基を有する単量体によって中和され、重合促進効果が低下するため、口腔内で光を照射する際には、光は歯牙の咬合面より照射されるため、光の届きにくい前処理材側の重合が完了しにくく、充填修復材と前処理材との間の接着力および接着耐久性が劣る傾向がある。
また、上述の従来技術で用いられる充填修復材は、酸性基を有する単量体を含有するため、食物等に含まれる塩基性の物質を吸着しやすい。このため、充填修復材の部分が着色し、審美性に欠けるという問題がある。
同様に、特許文献2に開示される歯科用充填修復キットであっても、充填修復材の厚みが大きくなると、光の届きにくい前処理材側の重合開始が遅延する傾向がある。さらに、前処理材と充填修復材の接触した界面付近では、同様に充填修復材中のアミン化合物が前処理材中の酸性基を有する単量体によって中和され、重合促進効果が低下するため、前処理材層のみならず、前処理材に接触した充填修復材の重合が完了し難いという問題がある。そのため、同様に充填修復材と前処理材との間の接着力は実臨床上からみると未だ十分なものではなく、さらに接着耐久性も劣る傾向がある。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、1回のみの光照射により前処理材および充填修復材を硬化できる歯科用充填修復キットであって、歯牙と充填修復材との接着力を向上させると共に、充填修復材の厚みにより歯牙と充填修復材との接着力が左右されにくく、かつ優れた審美性を発揮できる歯科用充填修復キットを提供することにある。
かかる目的を達成するため、本発明者は、鋭意研究した結果、酸性基を含むラジカル重合性単量体と水とを含む前処理材を用いて前処理をした後に、第三級アミン化合物および塩基性無機材料を添加した酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含有する充填修復材を窩洞に充填し、可視光を照射して硬化させたところ、前処理材および充填修復材を1回のみの光照射で重合しても、歯牙と充填修復材との間に安定した高い接着力が発現し、さらに、充填修復材の厚みにより歯牙と充填修復材との接着力が左右されにくく、かつ充填修復材が着色しにくいことを見出し、本発明を完成させるに至った。
特に、本発明は、(a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体、(b)第三級アミン化合物、(c)光重合開始剤、(d)塩基性無機材料および(e)フィラーを含む(A)充填修復材と、(f)酸性基含有ラジカル重合性単量体および(g)水を含む(B)前処理材と、を含んでなり、(A)充填修復材が、(B)前処理材が塗布され、且つ塗布された当該前処理材が未硬化である窩洞に直接充填される歯科用充填修復キットとするようにしている。
本発明によれば、歯牙に塗布した前処理材上に、第三級アミン化合物および塩基性無機材料を含む充填修復材を充填することで、前処理材と充填修復材との接触界面では、塩基性が比較的高い塩基性無機材料と前処理材中の酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基との間で中和反応が生じ、酸性基の酸が弱められ、第三級アミン化合物の重合促進効果の低減を回避できる。その結果、第三級アミン化合物は、前処理材と充填修復材との接触界面において重合促進効果を十分に発揮できる。
さらに、充填修復材に含まれるラジカル重合性単量体は酸性基を含有せず、かつ前処理材に含まれるラジカル重合性単量体は酸性基を含有している。したがって、前者の単量体のpHは、後者の単量体のpHよりも高いため、充填修復材と前処理材との間にはpH勾配が生じる。その結果、充填修復材と前処理材が融和することで混合層が生じ、さらに、塩基性無機材料と前記酸性基との間で中和反応が生じる。そのため、この混合層中でも上記第三級アミン化合物の含有による光重合促進効果は、失われ難い。
したがって、たとえ充填修復材の厚みが大きく、硬化時の光照射において前処理材側に達する光が弱い場合であっても、該前処理材側の重合を十分に進行させることができ、その結果、歯牙と充填修復材との間に高い接着強度を実現できる。また、充填修復材が酸性基含有ラジカル重合性単量体を含まないので、充填修復材は着色されにくい。このため、審美性に優れた充填物を実現できる歯科用充填修復キットとなる。
また、別の本発明は、(A)充填修復材が、(a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部に対して、(d)塩基性無機材料を少なくとも3質量部を含んでなる歯科用充填修復キットとしている。
このような組成の充填修復材を用いると、重合時の十分な重合促進効果が得られる。このため、歯牙と充填修復材との間にさらに安定した高い接着力が発現する。
また、別の本発明は、(a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部が(a1)酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体3〜30質量部を含んでなる歯科用充填修復キットとしている。
このような組成の酸性基非含有ラジカル重合性単量体を用いると、歯牙と充填修復材との間にさらに安定した高い接着力が発現する。
また、別の本発明は、(b)第三級アミン化合物が、芳香族アミン化合物である歯科用充填修復キットとしている。
塩基性が比較的に低い芳香族第三級アミン化合物を用いることによって、芳香族第三級アミン化合物は、前処理材中の酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基との中和反応が生じにくい。このため、前処理材と充填修復材との接触界面および両者の内部における光重合開始剤の、その高い重合促進効果をより向上させ、光重合の促進に大きく寄与できる。
また、別の本発明は、(d)塩基性無機材料がフルオロアルミノシリケートガラスである歯科用充填修復キットとしている。
このような組成の光重合開始剤を用いた歯科用充填修復キットを採用すると、フルオロアルミノシリケートガラスから溶出する多価金属イオンは、酸性基を有するラジカル重合性単量体の重合物とイオン架橋することにより、歯質との接着性および硬化体の物性を向上させることができる。
また、別の本発明は、(c)光重合開始剤が、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含んでなる歯科用充填修復キットとしている。
このような組成の光重合開始剤を用いた歯科用充填修復キットを採用すると、歯牙と充填修復材との間の接着力をさらに一層強力にすることができる。したがって、充填修復材が歯牙からより剥がれにくくなる。
また、別の本発明は、(B)前処理材にバナジウム化合物、(A)充填修復材にハイドロパーオキサイドをさらにそれぞれ含んでなる歯科用充填修復キットとしている。
このような組成の歯科用充填修復キットを採用すると、歯牙と充填修復材との間の接着力をさらに一層強力にすることができる。
本発明によれば、1回のみの光照射により前処理材および充填修復材を硬化でき、歯牙と充填修復材との接着力をさらに向上させ、充填修復材の厚みにより歯牙と充填修復材との接着力が左右されにくく、かつ優れた審美性を発揮できる歯科用充填修復キットを提供することができる。
以下、本発明に係る歯科用充填修復キットの好適な実施の形態を説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施の形態に何ら限定されるものではない。
本発明の実施の形態に係る歯科用充填修復キットは、大別すると、充填修復材(以後、コンポジットレジンという)と前処理材(以後、プライマーという)とを含む。コンポジットレジンには、酸性基非含有ラジカル重合性単量体、第三級アミン化合物および塩基性無機材料が含まれ、プライマーには、酸性基含有ラジカル重合性単量体が含まれる。
(a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体
本実施の形態において、コンポジットレジンは、酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含む。コンポジットレジン中に酸性基が存在する場合には、コンポジットレジンは、後述の第三級アミン化合物および塩基性無機材料を含むため、酸性基と後述の第三級アミン化合物および塩基性無機材料とが中和反応を起こし、コンポジットレジンの製造直後からコンポジットレジンにおける第三級アミン化合物の重合促進効果が低下してしまう。一方、本実施の形態のように、コンポジットレジン中に酸性基が含有されていない場合には、歯牙の窩洞にコンポジットレジンを充填する前に、酸性基と後述の第三級アミン化合物および塩基性無機材料との中和反応を起こさない。さらに、本実施の形態のように、コンポジットレジンに重合促進効果の高い第三級アミンに加えて、塩基性無機材料を含んでいるため、コンポジットレジンを充填した後、プライマーとコンポジットレジンとの混合層において、塩基性無機材料が該第三級アミンと競合して中和され、中和反応を受けなかった残部の第三級アミンが両者の混合層における光重合開始剤の重合促進効果を高めることができる。特に、この効果は、使用する塩基性無機材料が比較的塩基性の高いものである場合に顕著になり、より好ましい。また、酸性基含有ラジカル重合性単量体をコンポジットレジンに含まず塩基性の物質を吸着しないため、より着色しにくく、審美性に優れる。
本実施の形態において、酸性基非含有ラジカル重合性単量体としては、該ラジカル重合性単量体の分子中に酸性基を有しない化合物であれば何等制限なく使用することができる。具体的に酸性基とは、ホスフィニコ基、ホスホノ基、スルホ基あるいはカルボキシル基等の、pKaが5より小さく、活性プロトンを解離可能な官能基をいう。
このような酸性基非含有ラジカル重合性単量体としては、重合性の良さ等から(メタ)アクリレート系の単量体が主に用いられている。当該(メタ)アクリレート系の単量体を具体的に例示すると下記(1)〜(4)に示すものが挙げられる。
(1)単官能ラジカル重合性単量体
エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレートシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、若しくはグリシジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート、1H,1H,6H−デカフルオロヘキシルメタクリレート若しくは1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチルメタクリレート等の含フッ素(メタ)アクリレート、あるいは下記式(g)〜(k)、(p)〜(q)で示される(メタ)アクリレート等が挙げられる。
Figure 2010037324
Figure 2010037324
なお、上記各式中のRは、水素原子またはメチル基である。また、上記各式中のR若しくはRは、それぞれ独立なアルキレン基である。また、上記各式中のRは、アルキル基である。上記各式中のmは、0もしくは1〜10の整数であり、nは1〜10の整数(但し、m+nは2〜10の整数である。)である。
(2)二官能ラジカル重合性単量体
二官能ラジカル重合性単量体としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス((メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(3−(メタ)アクリロキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル]プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジプロポキシフェニルプロパン、2−(4−メタクリロキシエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロキシジプロポキシフェニル−2−(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、あるいは2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシイソプロポキシフェニルプロパン等が挙げられる。
(3)三官能ラジカル重合性単量体
三官能ラジカル重合性単量体としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートあるいはトリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(4)四官能ラジカル重合性単量体
四官能ラジカル重合性単量体としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、あるいはペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上述の酸性基非含有ラジカル重合性単量体の中でも、機械的強度の点から、二官能以上のラジカル重合性単量体が好ましい。
本発明においては、上述のようなラジカル重合性単量体を単独で用いても良いし、あるいは、2種類以上のラジカル重合性単量体を併用しても良い。さらに、官能基数が異なる複数種のラジカル重合性単量体を組み合わせても良い。
(a1)酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体
酸性基非含有ラジカル重合性単量体の一部に、水溶性のラジカル重合性単量体を含むことが好ましい。酸性基非含有ラジカル重合性単量体の一部に、水溶性のラジカル重合性単量体を含むことにより、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体の一部が水溶性であるため、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体の酸性基に対する親和性が高い。したがって、コンポジットレジンとプライマーとの親和性が高い。そのため、コンポジットレジンとプライマーとの間のpH勾配による双方へのラジカル重合性単量体の移動がより生じやすくなり、両層のより高い融和が生じる。また、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体がプライマー側へ進出する際に、後述の第三級アミン化合物と同時に光重合開始剤も帯同してコンポジットレジン側からプライマー側へ移行するため、より効率よくプライマーの重合を行うことができるようになる。
本明細書において、水溶性とは、23℃の水に対する溶解度が1g/l以上であることを意味する。さらに好ましくは、100g/l以上の溶解度である。そのような酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体としては、酸性基非含有の(メタ)アクリレート系単量体のうち、水溶性の(メタ)アクリレート系単量体類を何ら制限なく使用することができる。具体的に例示すると、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートあるいは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート系単量体、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート等の分子内にエチレングリコール鎖を有するメタアクリレート等が挙げられる。これらは単独にまたは2以上を混合して用いることができる。
上述の酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体の中でも、多官能ラジカル重合性単量体を用いることが好ましい。具体的に例示すると、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートあるいは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の単官能ラジカル重合性単量体よりも、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能ラジカル重合性単量体を用いることが好ましい。多官能ラジカル重合性単量体を用いることにより、プライマーを介してコンポジットレジンと歯牙との間、特に象牙質に対する接着強度を向上させることができる。
好ましい水溶性の多官能ラジカル重合性単量体を例示すると、重合度が9〜30のポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール部位の重合度が合計20〜50のポリエトキシ化ビスフェノール類のジメタクリレート、モノ或いはポリエチレングリコールジグリシジルエーテルのメタクリル酸付加物等が挙げられ、中でもポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレートがより好ましい。中でもポリエチレングリコールジメタクリレートが最も好適に利用できる。
また、コンポジットレジンが含有する酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部のうち、上述の酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体を3〜30質量部含有する場合には、プライマーを介して、象牙質に対するコンポジットレジンの接着強度が向上する。また、コンポジットレジンは、酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体を3質量部以上含有すると、コンポジットレジンとプライマーとの間で重合開始剤の移動がより生じやすくなる。さらに、同ラジカル重合性単量体を30質量部以下含有すると、吸水性を低くすることができる。したがって、第三級アミン化合物と塩基性無機材料との移動をより容易にし、且つ光重合開始剤の移動も容易とした上で、吸水性を抑え、かつ歯牙とコンポジットレジンとの接着強度を向上させるためには、酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部のうち、酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体を3〜30質量部含むコンポジットレジンとすることが好ましい。特に好ましい酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体の量は、ラジカル重合性単量体100質量部のうち、5〜25質量部である。
(b)第三級アミン化合物
本実施の形態において、コンポジットレジンには、(b)第三級アミン化合物が配合される。光重合開始剤に対し、重合促進剤として(b)第三級アミン化合物を組み合わせることにより、光重合開始剤の重合促進効果を高めることができる。本発明においては、このような重合促進剤として作用するものであれば、公知のいかなる第三級アミン化合物を使用しても良い。
このような第三級アミン化合物としては、一般に、窒素原子に芳香族基の結合した芳香族第三級アミン化合物と、脂肪族基しか結合していない脂肪族第三級アミン化合物に大別される。
(b1)脂肪族第三級アミン化合物
揮発性が比較的低く、臭気が発生しない等の点で、歯科用としては、脂肪族第三級アミン化合物が好適に使用される。本実施の形態において、これら脂肪族第三級アミン化合物を具体的に例示すると、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリアリルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−エチルジアリルアミン、N−エチルジベンジルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジプロピルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリ(イソプロパノール)アミン、トリ(2−ヒドロキシブチル)アミン、トリベンジルアミン等の脂肪族第三級アミン化合物等が挙げられる。
上述の脂肪族第三級アミン化合物の中でも、入手または合成が容易であり、かつ化合物の化学的な安定性および重合性単量体への溶解性に優れること等の理由から、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−エチルジアリルアミン、N−エチルジベンジルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンあるいはトリブチルアミン等を用いるのが好ましい。これらのうち、特に、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルエタノールアミンまたはトリエタノールアミンを用いるのがより好ましい。
(b2)芳香族第三級アミン化合物
本実施の形態において、代表的な芳香族第三級アミン化合物とは、アミノ基の窒素原子に少なくとも一つ以上の芳香族基と、多くとも2つ以下の脂肪族基が結合したアミン化合物である。本実施の形態において、代表的な芳香族第三級アミン化合物としては、公知のものを特に制限なく使用できるが、特に入手容易な点から好適には下記一般式(3)で表されるものが挙げられる。
Figure 2010037324
式(3)中、RおよびRは、各々独立に、アルキル基であり、Rは、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、シアノ基、カルボニル基、アミノカルボニル基、或いはアルキルオキシカルボニル基等である。また、nは、0〜5の整数を表す。nが2以上の場合は、複数のRは、互いに同一でも異なっていても良い。さらに、R同士が結合して環を形成していても良い。
上記R、RおよびRにおけるアルキル基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基等を挙げることができる。また、このアルキル基は、当然のことながら置換基を有している置換アルキル基であっても良く、このような置換アルキル基としては、フロロメチル基、2−フロロエチル基等のハロゲン置換アルキル基、あるいは2−ヒドロキシエチル基等の水酸基置換アルキル基等を例示することができる。
また、上記のRにおけるアリール基、アルケニル基、アルコキシ基、シアノ基、カルボニル基、アミノカルボニル基、あるいはアルキルオキシカルボニル基等の何れも置換基を有するものであって良い。アリール基としては、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−メチルチオフェニル基、p−クロロフェニル基、4−ビフェニリル基等の炭素数6〜12のものを挙げることができる。アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、2−フェニルエテニル基等の炭素数2〜12のものを挙げることができる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のもの等が例示され、カルボニル基としてはホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられ、アミノカルボニル基としてはアミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基等があげられ、アルキルオキシカルボニル基としてメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、アミルオキシカルボニル基、イソアミルオキシカルボニル基等のアルキルオキシ基部分の炭素数が1〜10のものが例示される。
上記一般式(3)で示される芳香族第三級アミンにおいて、上記RおよびRとして、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、特に、炭素数1〜3の非置換のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基)、あるいは2−ヒドロキシエチル基がより好適である。中でもメチル基がより好ましい。
また、n=1の場合は、上記Rの結合位置がパラ位であることが好ましく、中でも該Rがアルキル基、アルキルオキシカルボニル基であることが好ましく、アルキルオキシカルボニル基が最も好ましい。一方、Rが2〜3個結合している場合には、その結合位置はオルト位および/またはパラ位であることが好ましい。中でもn=1の場合がより好ましい。
上記一般式(3)で示される芳香族第三級アミン化合物を具体的に例示すると、Rがパラ位に結合したアルキルオキシカルボニル基である化合物として、p−ジメチルアミノ安息香酸メチル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸プロピル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸プロピル等が例示される。また、他の芳香族アミン化合物を具体的に例示すると、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリン、N,N,2,4−テトラメチルアニリン、N,N−ジエチル−2,4,6−トリメチルアニリン、N,N−ジメチルアセトフェノン、N,N−ジメチルシアノベンゼン、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸アミド等が挙げられる。中でも、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルあるいはN,N−ジメチル−p−トルイジンを用いるのが特に好ましく、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルが最も好ましい。
なお、これら第三級アミン化合物は、必要に応じて1種で、あるいは2種以上の化合物を組み合わせて用いても良い。
これらの中でも、後述のプライマーに含まれる酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基との中和反応が生じにくく、塩基性が比較的低い観点から、対応するアンモニウムイオン塩の25℃水中でのpKa値が9以下のアミン化合物が好適に用いられ、特に好ましくはpKa値7.0以下のアミンが用いられる。このような塩基性の低いアミンは、一般には、芳香族第三級アミンであり、上記例示したものを少なくとも1種以上使用することにより、後述のプライマーとコンポジットレジンとの接触界面および接触界面近傍の両者の内部における光重合開始剤の重合促進効果をより高めることができる。
本実施の形態において、上述した第三級アミン化合物は、通常、使用する光重合開始剤の0.1〜10倍の重量の範囲内で添加するのが一般的である。より好ましくは、コンポジットレジン中の酸性基非含有ラジカル重合性単量体とプライマー中の酸性基含有ラジカル重合性単量体との総量100質量部に対して、0.01〜10質量部、特に0.02〜5質量部の範囲とするのが好ましい。
(c)光重合開始剤
本実施の形態において、コンポジットレジンに含まれる光重合開始剤としては、化合物自身が光照射に伴って重合可能なラジカルを生成するものが好適に用いられる。そのような光重合開始剤として、例えば、α−ケトカルボニル化合物、あるいはアシルフォスフィンオキシド化合物等が挙げられる。
α−ケトカルボニル化合物としては、例えば、α−ジケトン、α−ケトアルデヒド、あるいはα−ケトカルボン酸エステル等が挙げられる。具体的には、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、2,3−ヘキサジオン、ベンジル、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−ジエトキシベンジル、4,4’−オキシベンジル、4,4’−ジクロルベンジル、4−ニトロベンジル、α−ナフチル、β−ナフチル、カンファーキノン、カンファーキノンスルホン酸エステル、カンファーキノンカルボン酸エステルあるいは1,2−シクロヘキサンジオン等のα−ジケトン、メチルグリオキザールあるいはフェニルグリオキザール等のα−ケトアルデヒド、ピルビン酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル、フェニルピルビン酸メチルあるいはフェニルピルビン酸ブチル等のα−ケトカルボン酸エステル等が挙げられる。
これらα−ケトカルボニル化合物の中では、安定性等の面からα−ジケトンを使用することが好ましく、α−ジケトンの中ではジアセチル、ベンジルあるいはカンファーキノンが特に好ましい。
アシルフォスフィンオキシド化合物としては、例えば、ベンゾイルジメトキシホスフィンオキシド、ベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシあるいは2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、重合促進剤としての第三級アミン化合物により重合促進効果を発揮すると共に、自ら十分に高い重合開始効果を有するアシルフォスフィンオキシド化合物を用いることが特に好ましい。また、光重合開始剤の配合量は、コンポジットレジン中の酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部に対して、0.01〜5重量部の範囲とするのが好ましい。
さらに、本実施の形態に係る歯科用充填修復キットには、光重合開始剤と共に、光酸発生剤を組合せて配合させれば、重合活性をより高めることができる。光酸発生剤としては、光照射によってブレンステッド酸あるいはルイス酸を生成するものが好適に用いられる。
そのような光酸発生剤を例示すれば、ハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体、ジアリールヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物、あるいはピリジニウム塩化合物等を挙げることができる。これら光酸発生剤の中でもハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体、あるいはジアリールヨードニウム塩化合物が好適に利用できる。
ハロメチル基置換−s−トリアジン誘導体としては、例えば、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メチルチオフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2,4−ジクロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブロモフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−n−プロピル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロロエチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(o−メトキシスチリル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−ブトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3,4,5−トリメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等を挙げることができる。
また、ジアリールヨードニウム塩化合物としては、例えば、ジフェニルヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(m−ニトロフェニル)ヨードニウム、p−tert−ブチルフェニルフェニルヨードニウム、メトキシフェニルフェニルヨードニウム、p−オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウム、4−イソプロピルフェニル−4−メチルフェニルヨードニウム、等のクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフロロメタンスルホネート等が挙げられ、特に化合物の溶解性の点からテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフロロメタンスルホネート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート塩が好適に使用される。
上記した光酸発生剤は1種または2種以上を混合して用いても良い。これら光酸発生剤の配合量は、その効果を発現する範囲であれば特に制限されるものではないが、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体100重量部に対し0.001〜12重量部が好ましく、0.005〜6重量部の配合がより好ましい。
また、本実施の形態において、歯科用充填修復キットは、プライマー中に光重合開始剤を含有させなくとも、1回の光照射で高い接着強度が得られるが、コンポジットレジンおよびプライマーの両方に、光重合開始剤を含有させることによって、より高い重合促進効果が得られる。コンポジットレジンおよびプライマーの両方に光重合開始剤を含有させる場合にも、光重合開始剤としては前述と同様の化合物を用いることができる。また、その好適な配合量は、プライマー中の酸性基含有ラジカル重合性単量体100質量部に対して、0.01〜5重量部である。
(d)塩基性無機材料
本実施の形態において、コンポジットレジンに含まれる塩基性無機材料は、コンポジットレジンの強度を向上させると共に、かつ重合時の第三級アミン化合物の重合促進効果を高めるために添加される。塩基性無機材料は、コンポジットレジンに含まれる酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部に対して、通常は3質量部以上含まれる。特に好ましい塩基性無機材料の量は、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して5〜80質量部であり、8〜30質量部が最も好ましい。塩基性無機材料の量が3質量部以上の場合には、重合時の十分な第三級アミン化合物の重合促進効果が得られる。
本実施の形態における塩基性無機材料としては、以下の方法で測定した場合に、高い塩基性度を示すものが、通常使用される。すなわち、内空部の底面積706.5mmのビーカ内で、蒸留水とエタノールを体積比1:1で混合した溶液に、リン酸を滴下することで、23℃においてpH2.50±0.03に調整した酸性溶液20gに対して、塩基性無機化合物1.0gを添加し、直径8mmで長さ20mmの攪拌子を用いて、23℃において回転数200rpmで2分間攪拌した直後の分散液の23℃におけるpH値が、塩基性無機化合物を含まないものと比べて、0.05以上高いpH値差値を示すものである。上記pHの測定法は、塩化カリウム液を用いたガラス電極を用いて、pHメーターで測定すれば良い。
なお、コンポジットレジンに含まれる塩基性無機材料は、フィラーとしての機能も有する。それゆえ、本実施の形態において、(A)充填修復材は、「(a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体、(b)第三級アミン化合物、(c)光重合開始剤、(d)塩基性無機材料および(e)フィラーを含む」ものであるが、具体的に言えば、以下の2種類に大別されることになる。
<第一の充填修復材>
(a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体、(b)第三級アミン化合物、(c)光重合開始剤、および、(d,e)塩基性無機材料(当該塩基性無機材料はフィラーとしての機能も兼ねる)を含む。
<第二の充填修復材>
(a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体、(b)第三級アミン化合物、(c)光重合開始剤、並びに、(d,e)塩基性無機材料を除く無機フィラー、有機フィラーおよび無機―有機複合フィラーから選択される少なくとも1種のフィラーと塩基性無機材料とからなる混合フィラー成分を含む。
なお、第二の充填修復材において、混合フィラー成分中に占める塩基性無機材料の割合は0.5質量%以上70質量%以下が好ましく、1.0質量%以上50質量%以下がより好ましい。混合フィラー成分中に占める塩基性無機材料の割合を0.5質量%以上とすることにより、重合時の第三級アミン化合物の重合促進効果を確実に確保することができる。
塩基性無機材料として利用できる無機化合物としては、上述の条件を満たす限り特に制限されないが、好適には、I、II、III族の酸化物あるいは水酸化物、フッ化物、炭酸塩、珪酸塩もしくはこれらの混合物若しくは複合塩等から選択することができる。より好ましい当該pH差値は保存安定性の点から0.10〜4.50であり、より好ましくは0.10〜2.00、最も好ましくは0.15〜1.00である。また、接着強度の点から、2価以上の多価金属イオン溶出可能な無機塩基材料がより好ましく、3価以上の多価金属イオンを溶出可能な塩基性無機材料が最も好ましい。
代表的な塩基性無機材料を具体的に例示すると、酸化物としてアルミナ、カルシア、マグネシア等が挙げられる。また、水酸化物としては水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム等の水酸化物等が挙げられ、フッ化物としては、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム等が挙げられ、炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム等が挙げられる。また、珪酸塩としては、カルシウムシリケート、アルミニウムシリケート、フルオロアルミノシリケートガラス、その他ケイ酸塩ガラス等が挙げられる。中でもカルシウムイオン、アルミニウムイオン等の金属イオン溶出性塩基性無機材料も好適に用いることができる。特に、3価以上金属イオン溶出性塩基性無機材料が好ましく、中でもフルオロアルミノシリケートガラスを用いることが最も好ましい。これは、フルオロアルミノシリケートガラスから溶出する多価金属イオンは、酸性基を有するラジカル重合性単量体の重合物とイオン架橋することにより、歯質との接着性や硬化体の物性を向上させることができるためである。
好適に使用できる上記のフルオロアルミノシリケートガラスは、歯科用セメント、例えば、グラスアイオノマーセメント用として使用される公知のものが使用できる。一般に知られているフルオロアルミノシリケートガラスの組成は、イオン質量パーセントで、珪素、10〜33;アルミニウム、4〜30;アルカリ土類金属、5〜36;アルカリ金属、0〜10;リン、0.2〜16;フッ素、2〜40および残量酸素のものが好適に使用される。より好ましい組成範囲を例示すると、珪素、15〜25;アルミニウム、7〜20;アルカリ土類金属、8〜28;アルカリ金属、0〜10;リン、0.5〜8;フッ素、4〜40および残量酸素である。上記カルシウムの一部または全部をマグネシウム、ストロンチウム、バリウムで置き換えたものも好ましい。また上記アルカリ金属はナトリウムが最も一般的であるが、その一部または全部をリチウム、カリウム等で置き換えたものも好適である。さらに必要に応じて、上記アルミニウムの一部をイットリウム、ジルコニウム、ハフニウム、タンタル、ランタン等で置き換えることも可能である。
本発明に用いることのできる塩基性無機化合物の形状は特に限定されず、通常の粉砕により得られるような粉砕形粒子、あるいは球状粒子でもよく、必要に応じて板状、繊維状等の粒子を混ぜることもできる。
また、塩基性無機化合物は、後述するプライマー中の酸性基含有ラジカル重合性単量体との中和反応をより速やかにし且つ操作性を悪化させない観点から、平均粒子径が0.01μm〜20μmのものが好ましく、より好ましくは0.05μm〜15μm、さらに0.1μm〜5μmの範囲のものが最も好ましい。
上述の塩基性無機材料は、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で処理することにより、重合性単量体との親和性、重合性単量体への分散性、硬化体の機械的強度および耐水性を向上できる。かかる表面処理剤および表面処理方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法が制限なく採用できる。塩基性無機材料の表面処理に用いられるシランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランあるいはヘキサメチルジシラザン等が好適に用いられる。また、シランカップリング剤以外にも、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、ジルコ−アルミネート系カップリング剤を用いる方法、あるいは、フィラー粒子表面に前記重合性単量体をグラフト重合させる方法により、塩基性無機材料の表面処理を行うことができる。
(e)フィラー
本実施の形態において、コンポジットレジンに含まれるフィラーは、コンポジットレジンの強度を向上させ、かつ重合時の収縮を抑えるために添加される。また、フィラーの添加量により、コンポジットレジンが硬化する前の粘度(操作性)を調節することができる。フィラーは、好適には、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、80〜2000質量部の範囲で含まれる。特に好ましいフィラーの量は、コンポジットレジンに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して90〜500質量部であり、100〜230質量部がさらに好ましい。フィラーの量が80質量部以上の場合には、コンポジットレジンとしての十分な強度が得られ、2000質量部以下の場合には、粘度が高くなりすぎず、コンポジットレジンを充填する作業の操作性が向上する。また、プライマーにもフィラーを添加すると、接着強度がより強固なものとなるため、より好ましい。フィラーとしては、無機フィラー、有機フィラーおよび無機―有機複合フィラーから選択される1種以上を適宜用いることができる。また、無機フィラーは、塩基性無機材料、および、塩基性無機材料以外の無機フィラーから選択される1種以上を適宜用いることができる。
本発明に使用される有機フィラーについて具体的に例示すると、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート・エチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート・ブチル(メタ)アクリレート共重合体あるいはメチル(メタ)アクリレート・スチレン共重合体等の非架橋性ポリマー若しくは、メチル(メタ)アクリレート・エチレングリコールジ(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート・トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート共重合体あるいは(メタ)アクリル酸メチルとブタジエン系単量体との共重合体等の(メタ)アクリレート重合体等が使用できる。また、これらの2種以上の混合物を用いることもできる。
本発明に使用される無機フィラーの種類としては、前述の塩基性無機材料を用いることができる。また、他の公知のものを適宜選択して使用できる。例えば、石英、シリカ、シリカチタニア、シリカジルコニア、ランタンガラス、バリウムガラスあるいはストロンチウムガラス等が挙げられる。なお、これらを2種以上組み合わせて使用することもできる。
なお、塩基性無機材料以外の無機フィラーの中には、表面に強酸点を有するものがあり、上述の第三級アミンが吸着されてしまうおそれがある。そのため、塩基性無機材料以外の無機フィラーとしては、無水トルエン中において、酸塩基指示薬である4−フェニルアゾジフェニルアミンによる青紫呈色を示さない無機フィラーが好ましい。
ここで、4−フェニルアゾジフェニルアミンを用いた上記酸点の測定は、常法に従えば良いが、通常は、次の方法により実施する。すなわち、まず、フィラーを100℃で3時間以上乾燥後、五酸化ニ燐を収容したデシケーター中にて保管し、その1gをサンプル管ビンに入れ、次いで、無水トルエン3gを入れて激しく振盪し、凝集物のないように分散させる。分散後、当該サンプル管ビンに、遮光下で保存した0.004mol/lの4−フェニルアゾジフェニルアミンの無水トルエン溶液を一滴(約0.016g)加え、同様に振盪した後に目視にて青紫呈色の判断をすれば良い。
また、無機−有機複合フィラーも好適に使用できる。例えば、無機フィラーに重合性単量体を予め添加し、ペースト状にした後、重合させ、粉砕することにより、粒状の有機−無機複合フィラーを得ることができる。有機無機複合フィラーとしては、例えば、TMPTフィラー(トリメチロールプロパンメタクリレートとシリカフィラーを混和、重合させた後に粉砕したもの)等を使用できる。
上述の無機フィラーあるいは無機―有機複合フィラーは、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で処理することにより、重合性単量体との親和性、重合性単量体への分散性、硬化体の機械的強度および耐水性を向上できる。かかる表面処理剤および表面処理方法は、特に限定されるものではなく、上述塩基性無機材料の表面処理に用いられる同じシランカップリング剤を採用しても良い。
上述したフィラーの屈折率は、特に限定されない。したがって、一般的な歯科用途には、屈折率が1.4〜2.2の範囲のものが好適に用いられる。また、形状あるいは粒子径についても、特に制限はない。形状あるいは粒子径を適宜選択して使用されるが、平均粒径は通常0.001〜100μmであり、特に0.001〜10μmであることが好ましい。また、上述したフィラーの中でも、特に、球状の無機フィラーを用いると、得られる硬化体の表面滑沢性が増し、優れた修復材料となり得るので好ましい。
(f)酸性基含有ラジカル重合性単量体
本実施の形態に係る歯科用充填修復キットのプライマーに含まれる酸性基含有ラジカル重合性単量体は、1分子中に少なくとも1つの酸性基と1つのラジカル重合性不飽和基とを有する化合物であれば特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。このような酸性基含有ラジカル重合性単量体は、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部中に10質量部以上含まれることが好ましく、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部中に30質量部以上の酸性基含有ラジカル重合性単量体が含まれるのがより好ましい。また、該酸性基としては、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン基、リン酸モノエステル基あるいはリン酸ジエステル基等を挙げることができる。その中でも、歯質に対する接着性が高い酸性基として、カルボキシル基、リン酸モノエステル基あるいはリン酸ジエステル基がより好ましい。さらに、コンポジットレジンとプライマーとの間の物質の移動を活発化させる目的で、コンポジットレジンとプライマーとの間のpH勾配をより急勾配にするため、プライマーに含まれる酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基は、強酸性であることが最も好ましい。そのような強酸性の酸性基としては、リン酸モノエステル基あるいはリン酸ジエステル基が最も好ましい。
そのような酸性基含有ラジカル重合性単量体をより具体的に例示すると、2−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンマレエート、2−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、2−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、11−(メタ)アクロイルオキシエチル−1,1−ウンデカンジカルボン酸、2−(メタ)アクロイルオキシエチル−3‘−メタクロイルオキシ−2’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピルサクシネート、4−(2−(メタ)アクロイルオキシエチル)トリメリテートアンハイドライド、N−(メタ)アクロイルグリシン、N−(メタ)アクロイルアスパラギン酸等のカルボン酸酸性ラジカル重合性単量体類;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、ビス((メタ)アクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェート、(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート等のリン酸酸性基含有ラジカル重合性単量体類;ビニルホスホン酸等のホスホン酸酸性基含有ラジカル重合性単量体類;スチレンスルホン酸、3−スルホプロパン(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のスルホン酸酸性基含有ラジカル重合性単量体類等が挙げられる。また、これら酸性基含有ラジカル重合性単量体は、必要に応じて2種以上のものを併用しても良い。
プライマーには、その他に、酸性基非含有の単量体を含んでも良い。酸性基非含有の重合性単量体としては、前述の酸性基非含有かつ水溶性ラジカル重合性単量体、若しくは酸性基非含有かつ非水溶性のラジカル重合性単量体を用いることができる。特に、酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体がプライマーに含まれている場合には、歯質に対するプライマーの浸透性および、酸性基非含有かつ非水溶性のラジカル重合性単量体の水に対する相溶性を向上させるため、好ましい。一方、酸性基非含有かつ非水溶性ラジカル重合性単量体がプライマー中に含まれている場合には、該重合性単量体が水との相分離を引き起こし、コンポジットレジンからの重合開始剤の進入を妨げる恐れがある。そのため、プライマー中の酸性基非含有かつ非水溶性ラジカル重合性単量体の含有量は、ラジカル重合性単量体100質量部中に5質量部以下が好ましく、5質量部より多く配合する場合は、酸性基非含有かつ水溶性ラジカル重合性単量体と合わせて用いることが好ましい。
(g)水
本実施の形態に係る歯科用充填修復キットのプライマーに含まれる水は、酸性基含有ラジカル重合性単量体による歯質の脱灰を助ける働きを有する。水は、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、5〜300質量部含まれることが好ましく、特に、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して15〜200質量部の水が含まれるのがより好ましい。
また、プライマーの操作性をより向上させるために、プライマーは、流動性を有する親水性の有機溶媒を含んでいても良い。例えば、アセトン、エタノールあるいはイソプロピルアルコール、ターシャリーブタノール等の溶媒が含まれていても良い。特に、アセトン、エタノールあるいはイソプロピルアルコールのように、揮発性が高く、かつ毒性の低い溶剤は、後述の乾燥が容易になるため、好適に用いられる。親水性の有機溶媒の含有量は、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、20〜400質量部が好ましく、より好ましい親水性の有機溶媒の含有量は、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、50〜300質量部である。
また、プライマーは、硬化したプライマー層の強度を上げるためにフィラーを含んでいても良い。例えば、前述の無機フィラー、有機フィラーあるいは無機―有機複合フィラー等を含んでいても良い。その中でも、無塩基性無機フィラーを用いることが好ましい。フィラーの配合量は、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、0.5〜30質量部が好ましく、より好ましいフィラーの配合量は、プライマーに含まれるラジカル重合性単量体100質量部に対して、1〜30質量部である。
実施の形態において、プライマー中にバナジウム化合物が配合されると共に、コンポジットレジン中に有機過酸化物であるハイドロパーオキサイドが配合されるのが好ましい。
本実施の形態におけるプライマーに使用されるバナジウム化合物は、+IV価および/または+V価のバナジウム化合物である。+IV価および/または+V価のバナジウム化合物をプライマー中に配合することにより、接着界面および両者の内部でプライマー中の酸性基含有ラジカル重合性単量体と後述するコンポジットレジン中の有機過酸化物であるハイドロパーオキサイドとラジカル重合反応を起こし、コンポジットレジンとプライマーの接着性を極めて良好なものとすることができる。
バナジウム化合物は酸化数が−I価から+V価までとるが、本発明に使用されるバナジウム化合物は、安定性および活性が高い理由から、+IV価または+V価バナジウム化合物を使用することが特に好ましい。当該+IV価または+V価バナジウム化合物としては公知の化合物が制限なく使用できる。具体的に例示すると、四酸化二バナジウム(IV)、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、シュウ酸バナジル(IV)、硫酸バナジル(IV)、オキソビス(1−フェニル−1,3−ブタンジオネート)バナジウム(IV)、オキソバナジウム(IV)ビスマルトラート、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸ナトリウム(V)、メタバナジン酸アンモン(V)、バナジウム(V)オキシトリイソプロポキシド等のバナジウム化合物が挙げられる。中でも、プライマーに対する溶解性の観点から、酸化バナジウムアセチルアセトナート(IV)、オキソバナジウム(IV)ビスマルトラート、バナジウム(V)オキシトリイソプロポキシドが好ましく、オキソバナジウム(IV)ビスマルトラートが最も好ましい。
これら+IV価または+V価バナジウム化合物は複数の種類のものを併用しても良い。なお、以下では、簡便のために、バナジウム化合物と称す場合は、+IV価または+V価のバナジウム化合物を示すものとする。
本実施の形態のプライマーにおけるバナジウム化合物の配合量は、特に制限されるものではないが、高い接着性を得るためには配合量が多い方が好ましい一方で、配合量が少ない方が保存安定性に優れるため、プライマー中の全重合性単量体100質量部に対して0.001〜10質量部であるのが好ましく、0.05〜3質量部であるのがより好ましい。
本実施の形態におけるコンポジットレジンに使用されるハイドロパーオキサイドは、特に制限されるものではなく、公知のものが何等制限無く使用できる。代表的なハイドロパーオキサイドとしては、パラメタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイドは、コンポジットレジン中の酸性基非含有ラジカル重合性単量体、プライマー中の酸性基含有ラジカル重合性単量体あるいはバナジウム化合物の構造および配合量によって適宜選択して使用すれば良いが、プライマーに対する浸透性の観点からパラメタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドが好ましく、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドが好ましい。また、比較的揮発性が低いことから、中でも1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドが最も好ましい。
なお、これらのハイドロパーオキサイドは、必要に応じて単独または2種以上を組み合わせて用いても良い。
ハイドロパーオキサイドの配合量は、特に制限されるものではなく、コンポジットレジン中の酸性基非含有ラジカル重合性単量体の種類、配合量および他成分の配合割合によって適宜決定すれば良いが、好ましくは、コンポジットレジンを構成する酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部に対して、0.01〜20質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、最も好ましくは0.5〜5質量部の範囲で配合される。
さらに、本実施の形態に係る歯科用充填修復キットには、歯牙や歯肉の色調に合わせるため、顔料あるいは蛍光顔料等の着色材料を配合できる。また、紫外線に対する変色防止のため紫外線吸収剤を添加しても良い。さらに、保存安定性を向上させるために、重合禁止剤を配合することも好ましい。また、安定剤あるいは殺菌剤等を添加しても良い。
本実施の形態に係る歯科用充填修復キットのプライマーの使用方法は、特に制限されない。一般には、プライマーの流動性は、良好であるため、ハケ、ヘラ、筆、あるいはローラー等で窩洞に塗布、または窩洞に噴霧する方法を採用することができる。また、プライマーは複数回塗っても良い。また、エッチング剤を別途用いる必要がある場合には、プライマーを塗布する前に用いても良い。
プライマーを窩洞に塗布または噴霧した後には、好ましくは、余剰な水分および溶剤を蒸発させるために乾燥させる。乾燥の方法としては、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、送風乾燥、減圧乾燥、あるいは、それらを組み合わせる乾燥方法があるが、口腔内で乾燥させることを考慮すると、乾燥空気を出す気銃を用いて送風乾燥することが好ましい。
次に、乾燥したプライマーの上に、コンポジットレジンを盛り付けて窩洞を充填する。この際、コンポジットレジンの使用法は特に制限されない。一般には、ヘラ等で盛り付けられ、実際の歯牙と同様の形状に整えられる。最後に、歯科用光照射機にて可視光を充填修復部に照射することにより、充填修復部にあるプライマーおよびコンポジットレジンを硬化させることができる。
また、本実施の形態に係る歯科用充填修復キットの包装形態は、特に制限されるものではないが、操作がより簡便であることから、それぞれが同一容器内に包装され、1ペーストのコンポジットレジンおよび1液のプライマーとして包装されることがより好ましい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。作製したコンポジットレジンの組成を表2および表3に、作製したプライマーの組成を表4および表5に、それぞれ示す。また、各実施例および各比較例における歯科用充填修復キットの組成、充填部分の初期接着試験結果および接着耐久性試験結果を、それぞれ表6、表7および表8に示す。
まず、実施例および比較例で使用した化合物とその略称、歯牙とコンポジットレジンとの初期接着試験の測定方法、コンポジットレジンの作製方法、およびプライマーの作製方法について説明する。
(1)使用した化合物とその略称
[酸性基含有ラジカル重合性単量体]
「PM」:2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェートおよびビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンフォスフェートを質量比2:1の割合で混合した混合物
「MDP」:10−メタクリルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート
「MAC−10」:11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸
[酸性基非含有ラジカル重合性単量体]
「D−2.6E」:2,2´−ビス(4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル)プロパン
「BisGMA」:2,2´−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン
「3G」:トリエチレングリコールジメタクリレート
[酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体]
「HEMA」:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
「14G」:ポリエチレングリコール(重合度14)ジメタクリレート(化4の構造式)
「BPE−1300」:エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(化5の構造式)
Figure 2010037324
Figure 2010037324
[揮発性の水溶性有機溶媒]
「IPA」:イソプロピルアルコール
アセトン
[第三級アミン]
「DMBE」:p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル
「TMPT」:N,N−ジメチル−p−トルイジン
「DMEM」:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
[光重合開始剤]
「CQ」:カンファーキノン
「BN」:ベンジル
「TPO」:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド
「BTPO」:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド
[重合禁止剤]
「HQME」:ハイドロキノンモノメチルエーテル
「BHT」:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール
[塩基性無機化合物]
「AO」:アルミナ粉末(平均粒径0.02μm)
「NaF」:フッ化ナトリウム(平均粒径4.0μm)
「CS」:カルシウムシリケート(平均粒径5.0μm)
「MF」:フルオロアルミノシリケートガラス粉末(トクソーアイオノマー、株式会社トクヤマ製)を湿式の連続型ボールミル(ニューマイミル、三井鉱山株式会社製)を用いて、平均粒径0.5μmまで粉砕し、その後、粉砕粉末1gに対して20gの5.0N塩酸にてフィラー表面を20分間改質処理したもの。
(平均粒径:0.5μm、24時間溶出イオン量:27meq/g−フィラー)
[ハイドロパーオキサイド]
「パーオクタH」:1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド(化6の化合物)
「パーメンタH」:パラメンタンハイドロパーオキサイド(化7の化合物)
「パーブチルH」:t−ブチルハイドロパーオキサイド(化8の化合物)
Figure 2010037324
Figure 2010037324
Figure 2010037324
[バナジウム化合物]
「BMOV」:オキソバナジウム(IV)ビスマルトラート
「VO(OPr)3」:バナジウム(V)オキシトリイソプロポキシド
[光酸発生剤]
「IMDPI」:(化9の化合物)
「TAZ」:(化10の化合物)
Figure 2010037324
Figure 2010037324
[その他成分]
「F1」:球状シリカ−ジルコニア(平均粒径0.4μm)をγ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランにより疎水化処理したものと、球状シリカ−チタニア(平均粒径0.08μm)γ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランにより疎水化処理したものとを質量比70:30にて混合した混合物
「F2」:ヒュームドシリカ(平均粒径0.02μm)をメチルトリクロロシランにより表面処理したもの
(2)0.5mm厚コンポジットレジンの接着強度測定方法
牛を屠殺し、屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去した。抜去した牛前歯を、注水下、#600のエメリーペーパーで研磨し、唇面に平行かつ平坦になるように、エナメル質および象牙質平面を削り出した。次に、削り出した平面に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥させた。次に、この平面に直径3mmの穴を有する両面テープを貼り付け、さらに、厚さ0.5mmおよび直径8mmの穴を有するパラフィンワックスを、先に貼り付けられた両面テープの穴の中心に、パラフィンワックスの穴の中心をあわせて固定することで、模擬窩洞を形成した。この模擬窩洞に、プライマーを塗布し、20秒間放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した。さらにその上にコンポジットレジンを充填し、可視光線照射器(トクソーパワーライト、株式会社トクヤマ製)により可視光を30秒間照射して、コンポジットレジンの厚さが0.5mmである接着試験片を作製した。
上述の接着試験片を37℃の水中に24時間浸漬した後、引張り試験機(オートグラフ、株式会社島津製作所製)を用いて、クロスヘッドスピード2mm/minにて引っ張り、歯牙とコンポジットレジンとの引張り接着強度を測定した。歯牙とコンポジットレジンとの引張接着強度の測定は、各実施例あるいは各比較例につき、各種試験片4本についてそれぞれ測定した。その4回の引張接着強度の平均値を、該当する実施例若しくは比較例の接着強度とした。
(3)1.5mm厚コンポジットレジンの接着強度測定方法
0.5mm厚コンポジットレジンの接着強度測定方法と同様の方法にて、厚さ0.5mmおよび直径8mmの穴を有するパラフィンワックスのかわりに、厚さ1.5mmおよび直径8mmの穴を有するパラフィンワックスを用いて、コンポジットレジンの厚さが1.5mmである接着試験片を作製した。そして、0.5mm厚コンポジットレジンの接着強度測定方法と同様の方法にて接着強度を測定した。
(4)2.5mm厚コンポジットレジンの接着強度測定方法
0.5mm厚コンポジットレジンの接着強度測定方法と同様の方法にて、厚さ0.5mmおよび直径8mmの穴を有するパラフィンワックスのかわりに、厚さ2.5mmおよび直径8mmの穴を有するパラフィンワックスを用いて、コンポジットレジンの厚さが2.5mmである接着試験片を作製した。そして、0.5mm厚コンポジットレジンの接着強度測定方法と同様の方法にて接着強度を測定した。
(5)無機化合物の塩基性測定
蒸留水とエタノールを体積比1:1で混合した溶液にリン酸を添加し、23℃においてpHメーター(本体:イオンメーターIM20E、電極:GST−5721S、何れも東亜ディーケーケー株式会社製)測定により、pH2.50に調製し、測定用分散媒体とした。内空部の底面積706.5mmのビーカに、該分散液20gと、塩基性無機化合物1.0gとを入れ、23℃において、直径8mmで長さ20mmの攪拌子を用いて、23℃において回転数200rpmで2分間スターラーにて攪拌した。2分間の攪拌直後の分散液のpHを液に浸したpHメーターで測定し、このときの分散液のpH値から、分散媒体単体のpH値を差し引いた値をpH差とした。各種無機塩基化合物における測定値とpH差を表1に示す。
(6)溶出イオンの測定法
上記分散液を、100mlのサンプル管に0.2gを計り取り、IPAを用いて1質量%に希釈した。この液をシリンジフィルターでろ過し、ろ液をICP(誘導結合型プラズマ)発光分光分析を用いて、金属イオンの溶出の有無を確認した。
Figure 2010037324
(7)コンポジットレジンの調製
6.0gのBisGMA、3.0gの3Gおよび1.0gの14Gに対して、0.05gのBTPO、0.05gのDMBE、0.01gのHQMEおよび0.003gのBHTを加え、暗所にて均一になるまで撹拌し、マトリックスとした。得られたマトリックスを、15.5gのF1および8.0gのAOとメノウ乳鉢で混合し、真空下にて脱泡することにより、フィラー充填率61.7%の光硬化型のコンポジットレジンCR1を得た。他のコンポジットレジン(CR2〜CR40)も同様の手順で、表2および表3に示す組成にて作製した。
Figure 2010037324
Figure 2010037324
(8)プライマーの調製
5.0gのPM、5.0gのHEMA、0.003gのBHTおよび10.0gの蒸留水を暗所にて均一になるまで撹拌し、プライマーP1を得た。他のプライマー(P2〜P18)も同様の手順で、表4および表5に示す組成にて作製した。
Figure 2010037324
Figure 2010037324
表6、表7、および表8記載のコンポジットレジンおよびプライマーを用いて各実施例の歯科用充填修復キットとし、各実施例および比較例について、接着試験を行った。その結果を表6、表7、および表8に示す。
Figure 2010037324
Figure 2010037324
Figure 2010037324
酸性基非含有の重合性単量体、第三級アミン化合物および塩基性無機材料を含むコンポジットレジンを用いて実施例1〜50の測定を行った。また、実施例1〜18では、同じプライマーを使用し、実施例19〜28では、プライマーの種類を変えて測定した。いずれの結果も、エナメル質および象牙質の両方に対して、コンポジットレジンの厚みが大きい場合(1.5mm)の場合にも良好な接着強度を示した。また、実施例29〜43では、同じプライマーを使用し、実施例44〜50では、プライマーの種類を変えて測定した。いずれの結果も、エナメル質および象牙質の両方に対して、コンポジットレジンの厚みが2.5mmである場合に良好な接着強度を示した。
実施例1〜6
塩基性無機材料の種類および含有量が異なるコンポジットレジンを用いて測定を行った。歯牙に塗布したプライマー層上に、第三級アミン化合物と塩基性無機材料とを含有するコンポジットレジンを充填することで、プライマー層とコンポジットレジンとの接触界面では、塩基性が比較的高い塩基性無機材料とプライマー層中の酸性基含有ラジカル重合性単量体であるPMの酸性基との間で中和反応が生じ、酸性基の酸が弱められ、第三級アミン化合物の重合促進効果を高めることができる。このため、プライマー層のみならず、プライマー層に接触したコンポジットレジンの重合が完了しやすい。その結果、いずれの塩基性無機材料を用いた場合にも、コンポジットレジンの厚みが0.5mmの場合および1.5mmの場合の両方にて、安定した接着強度を示した。
実施例7〜12
第三級アミン化合物および光重合開始剤の種類が異なるコンポジットレジンを用いて測定を行った。いずれの第三級アミン化合物および光重合開始剤を用いた場合にも、コンポジットレジンの厚みが0.5mmの場合および1.5mmの場合の両方にて、安定した接着強度を示した。しかし、実施例8および実施例9では、α―ジケトン系の光重合開始剤であるCQおよびBNをそれぞれ用いたため、他の実施例と比べると、接着強度が僅か低下していた。
実施例13、14
実施例1と同じ組成比で、酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体の種類を変化させた実施例13および実施例14を評価した。酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体として、単官能ラジカル重合性単量体であるHEMAを用いた実施例14よりも、多官能ラジカル重合性単量体を用いた実施例13の方が、コンポジットレジンの厚さに関わらず接着強度が良好であった。特に、コンポジットレジンの厚みが1.5mmである場合に、実施例13は、実施例14よりも象牙質に対する接着強度が高かった。
実施例15〜17
実施例1の組成で、酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体の含有比を変化させた実施例15〜17を評価した。酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体を含まない実施例15よりも、酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体を含む実施例16および実施例17の方が、コンポジットレジンの厚さに関わらず接着強度が良好であった。
実施例18
実施例4の組成で、フィラーの含有比を変化させた実施例18を評価した。コンポジットレジンの厚さに関わらず良好な接着強度を示した。
実施例24、25
プライマー中に多価金属イオン溶出性フィラーであるMFを添加した実施例24と、表面処理されたヒュームドシリカおよびMFを無機フィラーとして添加した実施例25を評価した。その結果、コンポジットレジンの厚さが0.5mmの試験片において、MFを添加していない実施例20と比較して、実施例24は、象牙質への接着強度が向上した。さらに、実施例25は、エナメル質および象牙質への接着耐久性も向上した。また、コンポジットレジンの厚さが1.5mmの試験片では、実施例20と比較して、実施例24および実施例25の両方において、エナメル質および象牙質に対する接着強度が向上した。
実施例21〜23
プライマー中の酸性基含有ラジカル重合性単量体の種類および酸性基非含有ラジカル重合性単量体の含有量を変えて評価を行った。その結果、酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基がリン酸系エステルである実施例21は、酸性基含有ラジカル重合性単量体の酸性基がカルボキシル基であるMAC−10を用いた実施例22と比較して、コンポジットレジンの厚さに関わらずエナメル質に対する良好な接着強度を示した。さらに、酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含有した実施例23は、実施例21、22よりもコンポジットレジンの厚さに関わらず接着強度が高かった。
実施例26
プライマー中に光重合開始剤および2種類のフィラーを加えた実施例26を評価した。実施例20と比較して、フィラーおよび重合開始剤の両方を添加した実施例26は、コンポジットレジンの厚さに関わらず、前述の実施例25とほぼ同程度の良好な接着強度を示した。
実施例27
プライマー中に芳香族第三級アミン化合物を含有させた実施例27を評価した。実施例27は、コンポジットレジンの厚さに関わらずエナメル質および象牙質に対する接着強度が向上した。
実施例28
実施例20の組成で、エナメル質および象牙質の両方に対して、コンポジットレジンの厚みが2.5mmである場合の接着強度を評価した。実施例28は、エナメル質および象牙質に対する接着強度が低かった。
実施例29〜32
塩基性無機材料の含有量が異なるコンポジットレジンを用いて測定を行った。その結果、実施例28と比較して、実施例29〜32は、コンポジットレジンにハイドロパーオキサイドが含まれ、プライマーにバナジウム化合物が含まれたため、コンポジットレジンの厚さが2.5mmの試験片において、エナメル質および象牙質に対する接着強度が向上した。また、多価金属イオンを溶出できるFASGを用いた実施例32では、接着強度がより高かった。
実施例33〜35
ハイドロパーオキサイドの含有量が異なるコンポジットレジンを用いて測定を行った。その結果、ハイドロパーオキサイドを多く含有した実施例35は、実施例33、34より接着強度が高かった。
実施例36〜39
ハイドロパーオキサイドおよび光重合開始剤の種類が異なるコンポジットレジンを用いて測定を行った。いずれのハイドロパーオキサイドおよび光重合開始剤を用いた場合にも、コンポジットレジンの厚みが2.5mmの場合において、安定した接着強度を示した。しかし、実施例38および実施例39では、α―ジケトン系の光重合開始剤であるCQおよびBNをそれぞれ用いたため、実施例36、37と比べると、接着強度が僅か低下していた。
実施例40、43
同じ酸性基非含有ラジカル重合性単量体の組成で、フィラーの含有比を変化させた実施例40、43を評価した。その結果、良好な接着強度を示した。
実施例41、42
実施例40と同じ酸性基非含有ラジカル重合性単量体の組成で、異なる種類の光酸発生剤およびα―ジケトン系の光重合開始剤であるCQを添加させた実施例41、42を評価した。光酸発生剤の作用によって、α―ジケトン系の光重合開始剤を活性化させたため、プライマーとコンポジットレジンとを良好な強度で接着できる。
実施例44、45
バナジウム化合物の含有量が異なるプライマーを用いて測定を行った。その結果、実施例32と比較して、バナジウム化合物を多く含有した実施例44、45は、実施例32より接着強度が高かった。
実施例47、48
プライマー中に多価金属イオン溶出性フィラーであるMFを添加した実施例47と、表面処理されたヒュームドシリカおよびMFを無機フィラーとして添加した実施例48を評価した。その結果、コンポジットレジンの厚さが2.5mmの試験片では、実施例46と比較して、実施例47および実施例48の両方は、エナメル質および象牙質に対する接着強度が向上した。
実施例49、50
光重合開始剤および2種類のフィラーを加えたプライマーの組成で、有機溶媒の種類を変化させた実施例49、50を評価した。その結果、良好な接着強度を示した。
比較例1、2
ラジカル重合性単量体として、酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含み、かつ第三級アミン化合物と塩基性無機材料とを含まないコンポジットレジンを用い、プライマーの種類を変化させた比較例1および比較例2について評価した。比較例1および比較例2は、実施例3および実施例27と比べると、コンポジットレジンの厚さが0.5mでは、それぞれの接着強度がほぼ変化しなかったが、コンポジットレジンの厚さが1.5mmでは、それぞれの接着強度が大きく低下していた。
比較例3、4
ラジカル重合性単量体として、酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含み、かつ第三級アミン化合物を含み、塩基性無機材料を含まないコンポジットレジンを用い、プライマーの種類を変化させた比較例3および比較例4について評価した。比較例3および比較例4は、実施例3および実施例27と比べると、コンポジットレジンの厚さが0.5mでは、それぞれの接着強度がほぼ変化しなかったが、コンポジットレジンの厚さが1.5mmでは、それぞれの接着強度が大きく低下していた。
比較例5
ラジカル重合性単量体として、酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含み、かつ塩基性無機材料を含み、第三級アミン化合物を含まないコンポジットレジンを用い、プライマーの種類を変化させた比較例5について評価した。比較例5は、実施例27と比べると、コンポジットレジンの厚さが0.5mでは、それぞれの接着強度がほぼ変化しなかったが、コンポジットレジンの厚さが1.5mmでは、それぞれの接着強度が大きく低下していた。
比較例6
酸性基含有ラジカル重合性単量体、第三級アミン化合物および塩基性無機材料を含有するコンポジットレジンを用い、実施例27と同じ組成を有するプライマーを配合させた比較例6について評価した。その結果、まず、コンポジットレジンの厚さが1.5mmである場合は、コンポジットレジンの厚さが0.5mである場合と比較して接着強度が大きく低下していた。また、象牙質に対する接着強度は、厚みに関わらず実施例27と比較して低下していた。
比較例7、8
ラジカル重合性単量体として、酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含み、かつハイドロパーオキサイドを含み、第三級アミン化合物と塩基性無機材料とを含まないコンポジットレジンを用い、プライマーの種類を変化させた比較例7および比較例8について評価した。比較例7および比較例8は、実施例32および実施例47と比べると、コンポジットレジンの厚さが2.5mでは、エナメル質および象牙質に対する接着強度が低下していた。特に、象牙質に対する接着強度の低下が大きかった。
比較例9、10
ラジカル重合性単量体として、酸性基非含有ラジカル重合性単量体を含み、かつハイドロパーオキサイドと第三級アミン化合物とを含み、塩基性無機材料を含まないコンポジットレジンを用い、プライマーの種類を変化させた比較例9および比較例10について評価した。比較例9および比較例10は、実施例32および実施例47と比べると、コンポジットレジンの厚さが2.5mでは、エナメル質および象牙質に対する接着強度が低下していた。特に、象牙質に対する接着強度の低下が大きかった。

Claims (7)

  1. (a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体、(b)第三級アミン化合物、(c)光重合開始剤、(d)塩基性無機材料および(e)フィラーを含む(A)充填修復材と、
    (f)酸性基含有ラジカル重合性単量体および(g)水を含む(B)前処理材と、
    を含んでなり、上記(A)充填修復材が、上記(B)前処理材が塗布され、且つ塗布された当該前処理材が未硬化である窩洞に直接充填されることを特徴とする歯科用充填修復キット。
  2. 前記(A)充填修復材は、前記(a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部に対して、(d)塩基性無機材料を少なくとも3質量部を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の歯科用充填修復キット。
  3. 前記(a)酸性基非含有ラジカル重合性単量体100質量部は、(a1)酸性基非含有かつ水溶性のラジカル重合性単量体3〜30質量部を含んでなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の歯科用充填修復キット。
  4. 前記(b)第三級アミン化合物が、芳香族アミン化合物であることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の歯科用充填修復キット。
  5. 前記(d)塩基性無機材料がフルオロアルミノシリケートガラスであることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の歯科用充填修復キット。
  6. 前記(c)光重合開始剤は、アシルフォスフィンオキシド系重合開始剤を含んでなることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の歯科用充填修復キット。
  7. 前記(B)前処理材にバナジウム化合物、前記(A)充填修復材にハイドロパーオキサイドをさらにそれぞれ含んでなることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の歯科用充填修復キット。
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