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JP2009240220A - 可塑性油脂組成物 - Google Patents

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JP2009240220A
JP2009240220A JP2008090774A JP2008090774A JP2009240220A JP 2009240220 A JP2009240220 A JP 2009240220A JP 2008090774 A JP2008090774 A JP 2008090774A JP 2008090774 A JP2008090774 A JP 2008090774A JP 2009240220 A JP2009240220 A JP 2009240220A
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Emi Kondo
恵美 近藤
Tetsutaro Tomoe
哲太郎 友枝
Ryuta Konaka
隆太 小中
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Abstract

【課題】部分硬化油を使用しなくても、良好なコク味を有する可塑性油脂組成物を提供することを課題とする。さらにコク味を有する可塑性油脂組成物を食品に用いることにより、食品のコク味を強化する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】蒸留により精製したパーム油を0.5〜10質量%含有し、油相の構成脂肪酸組成においてトランス型脂肪酸の含有量が5質量%未満であることを特徴とするコク味を有する可塑性油脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、部分硬化油を使用しなくても、部分硬化油のようなコク味を有する可塑性油脂組成物に関する。
従来、可塑性油脂組成物の物性調整に使われていた部分硬化油は、独特のコク味を有することでも知られている。しかし、部分硬化油にはトランス型脂肪酸が多く含まれるという欠点があった。トランス型脂肪酸の含有量を低くするために、部分硬化油を用いずに可塑性油脂組成物を作った場合、コク味が不足するという問題があった。
一方、蒸留法により精製したパームオイルを用いた食品が特許文献1に記載されている。この特許文献1には、蒸留法により精製したパームオイルを加工食料品に用いることにより、油脂酸化防止することができると記載されているのみであり、部分硬化油のようなコク味を、部分硬化油を用いずに付与できることについての記載は全くない。
また、特許文献2には、特定のパーム油カロチンを配合するパーム油カロチン含有食品が記載されているが、このパーム油カロチン含有食品は色素配合が多いため、色調が強く出すぎるという欠点があった。
特開平11−209755号公報 特開平6−189711号公報
従って、本発明の目的は良好なコク味を有し、部分硬化油を使用せず、トランス型脂肪酸の含有量が低い可塑性油脂組成物を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成すべく種々検討した結果、部分硬化油を使用せず、特定の油脂を用いることにより、上記問題が解決可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、蒸留により精製したパーム油を0.5〜10質量%含有し、油相の構成脂肪酸組成においてトランス型脂肪酸の含有量が5質量%未満であることを特徴とするコク味を有する可塑性油脂組成物により上記の目的を解決するものである。
本発明の可塑性油脂組成物は、トランス型脂肪酸を有する部分硬化油を使用しなくても、部分硬化油を使用したような良好なコク味を有する可塑性油脂組成物とすることが可能である。
以下、本発明の可塑性油脂組成物について詳細に説明する。
本発明の可塑性油脂組成物では、蒸留により精製したパーム油を用いる。
上記の蒸留により精製したパーム油について詳しく説明する。
通常の油脂は原油を、脱酸、脱色、脱臭の工程を行い、精製する。この通常の精製方法では、これらの工程中に、油脂が高温にさらされるため、カロチノイド、トコフェロール、トコトリエノールなどの油脂に含まれる天然成分が消失してしまう。
本発明では脱酸、脱色、脱臭を行わずに、蒸留により精製を行うものである。上記の蒸留としては。水蒸気蒸留、分子蒸留や短行程蒸留などの真空蒸留をあげることができるが、本発明では真空蒸留を行うことが好ましい。
具体的には、パーム原油を必要により、不純物の除去や脱ガム工程を行う。そして蒸留を行い、蒸留により精製したパーム油とする。本発明ではここで得られた蒸留により精製したパーム油を用いてもよいが、さらに蒸留により精製したパーム油を分別したパームオレインやスーパーオレインを用いることもできる。
また本発明では上記のパーム原油は必要により、パーム原油を分別した分別パーム原油を用いてもよい。
本発明で用いる上記の蒸留により精製したパーム油は、カロチノイド400ppm以上、トコフェロール100ppm以上、トコトリエノール500ppm以上含有し、全構成脂肪酸中の飽和脂肪酸の占める割合が40質量%以下となるように精製することが好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物中、上記の蒸留により精製したパーム油の含有量は0.5〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%、さらに好ましくは0.5〜2質量%である。
本発明の可塑性油脂組成物中、上記の蒸留により精製したパーム油の含有量が0.5質量%よりも少ないとコク味が出ないため好ましくなく、10質量%よりも多いと赤みが強くなり、色調に影響するので好ましくない。
また本発明の可塑性油脂組成物では構成脂肪酸組成においてトランス型脂肪酸を含有する部分硬化油を用いないことが好ましい。
そのため本発明の可塑性油脂組成物は、油相の構成脂肪酸組成においてトランス型脂肪酸の含有量が5質量%未満、好ましくは4質量%未満、さらに好ましくは2質量%未満とする。本発明において上記のトランス型脂肪酸の含有量は少ないほど好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物において、油相の構成脂肪酸組成においてトランス型脂肪酸の含有量が5質量%よりも多いと、トランス型脂肪酸は動脈硬化症のリスクを増加させると言われており、健康への影響が懸念されるため好ましくない。
本発明の可塑性油脂組成物で用いることができる上記の蒸留により精製したパーム油以外の油脂としては、例えば脱ガム、脱酸、脱色、脱臭の工程により精製したパーム油(以下通常精製したパーム油という)、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、落花生油、カポック油、胡麻油、月見草油、カカオ脂、シア脂、サル脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油、鯨油などの各種植物油脂、動物油脂並びにこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される1又は2以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。本発明においては、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
本発明の可塑性油脂組成物において上記の油脂の含有量は好ましくは60〜95質量%、さらに好ましくは65〜90質量%、最も好ましくは67〜85質量%である。
本発明の可塑性油脂組成物は、直接β型の油脂結晶を含有することが好ましい。本発明の可塑性油脂組成物において、直接β型の油脂結晶を含有しないと、結晶安定性の良好な可塑性油脂組成物が得られにくい。ただし、本発明の可塑性油脂組成物は、直接β型の油脂結晶を含有していれば、直接β型の油脂結晶でない油脂結晶、例えばβプライム型の油脂結晶を含有していても良い。
上記の直接β型の油脂結晶とは、油脂結晶を融解し、冷却し、結晶化したときに、熱エネルギー的に不安定なα型結晶から、準安定形のβプライム型を経由せず、最安定形のβ型結晶に直接転移する油脂結晶のことである。この際、上記の結晶化条件は如何なる結晶化条件であってもよく、テンパリング等の特殊な熱処理を必要としない。
本発明において、油脂結晶が直接β型であることを確認する方法としては、油脂結晶を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られる油脂結晶が、β型結晶であることを確認する方法が挙げられる。
上記の油脂結晶がβ型結晶であることを確認する方法としては、例えば、X線回折測定において、以下のように短面間隔を測定する方法が挙げられる。
具体的には、油脂結晶について、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する強い回折ピークを示した場合に、該油脂結晶はβ型結晶であると判断する。さらにより高い精度で測定する場合は、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度1)及び4.2〜4.3オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比が1.3以上、好ましくは1.7以上、より好ましくは2.2以上、最も好ましくは2.5以上となった場合にβ型結晶であると判断する。
また、上記の直接β型の油脂結晶は、トリグリセリド分子のパッキング状態が2鎖長構造であることが好ましい。油脂結晶が2鎖長構造であることを確認する方法としては、例えばX線回折測定による方法が挙げられる。
具体的には、油脂結晶について、長面間隔を2θ:0〜8度の範囲で測定し、40〜50オングストロームに相当する回折ピークを示した場合に、該油脂結晶は2鎖長構造をとっていると判断する。
また、上記の直接β型の油脂結晶は、実質的に微細結晶であることが好ましい。上記の微細結晶とは、油脂の結晶が微細であることであり、口にしたり、触った際にもザラつきを感ずることのない結晶であることを意味し、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下、最も好ましくは3μm以下のサイズの油脂結晶を指す。上記サイズとは、結晶の最大部位の長さを示すものである。
上記の直接β型の油脂結晶の結晶サイズが20μmを越えた油脂結晶であると、該油脂結晶を含有する油中水型乳化油脂組成物を口にしたり、触った際にザラつきを感じやすい。尚、「実質的に」とは、全ての直接β型の油脂結晶のうち微細結晶を90質量%以上含有することを指す。
本発明の可塑性油脂組成物において、上記の直接β型の油脂結晶の含有量は、本発明の可塑性油脂組成物の油相中に、油相基準で好ましくは5質量%以上、より好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは5〜30質量%、最も好ましくは5〜20質量%である。直接β型の油脂結晶の含有量が、本発明の可塑性油脂組成物の油相中、5質量%未満であると経日的に20μmを越えたサイズを有するβ型結晶が出現しやすく、経日的に硬くなりやすい。
尚、上記の油相とは、油脂に、必要に応じて、乳化剤、着色料、酸化防止剤、着香料、調味料等を添加したものを指す。また、上記の油脂には、乳製品、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、カカオマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材から抽出される脂肪分も含まれる。
ここで、本発明で言うところの直接β型の油脂結晶の例を挙げる。
上記の直接β型の油脂結晶の例として、S1MS2(S1及びS2は飽和脂肪酸、Mはモノ不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセリド(以下S1MS2とする)と、MS3M(S3は飽和脂肪酸、Mはモノ不飽和脂肪酸を表す)で表されるトリグリセリド(以下MS3Mとする)とからなるコンパウンド結晶が挙げられる。
上記のS1MS2のS1及びS2並びにMS3MのS3は、好ましくは炭素数16以上の飽和脂肪酸であり、さらに好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸である。また、本発明において、上記のS1、S2及びS3が、同じ飽和脂肪酸であるのが最も好ましい。
また、上記のS1MS2のM及びMS3MのMは、好ましくは炭素数16以上のモノ不飽和脂肪酸、さらに好ましくは炭素数18以上のモノ不飽和脂肪酸、最も好ましくはオレイン酸である。
上記のS1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶とは、構造の異なるS1MS21分子とMS3M1分子とが混合された際、あたかも単一のトリグリセリド分子であるかの如き結晶化挙動を示すものである。コンパウンド結晶は分子間化合物とも呼ばれる。
本発明の可塑性油脂組成物において、上記のS1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶は、本発明の可塑性油脂組成物の油相中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは5〜30質量%、最も好ましくは5〜20質量%となるように含有させる。
また、本発明の可塑性油脂組成物の油相中、上記のS1MS2の含有量は、好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは2.5〜25質量%、さらに好ましくは2.5〜15質量%、最も好ましくは2.5〜10質量%であり、上記のMS3Mの含有量は、好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは2.5〜25質量%、さらに好ましくは2.5〜15質量%、最も好ましくは2.5〜10質量%である。
さらに、本発明の可塑性油脂組成物において、S1MS2のモル数/MS3Mのモル数が、好ましくは0.4〜7、さらに好ましくは0.8〜5となるように含有させる。
本発明の可塑性油脂組成物中に、好ましくは上記のような範囲で、S1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶を含有させるために、本発明ではS1MS2を含有する油脂及びMS3Mを含有する油脂を混合して用いてもよい。
上記のS1MS2を含有する油脂としては、例えば、上記の蒸留により精製したパーム油、通常精製したパーム油、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、コクム脂、デュパー脂、モーラー脂、フルクラ脂、チャイニーズタロー等の各種植物油脂、これらの各種植物油脂を分別した加工油脂、並びに下記に記載するエステル交換油、該エステル交換油を分別した加工油脂を用いることができる。本発明では、上記の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記のエステル交換油としては、上記の蒸留により精製したパーム油、通常精製したパーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、これらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油が挙げられる。
本発明の可塑性油脂組成物においては、上記のS1MS2を含有する油脂として、S1MS2と共に、後に詳述する3飽和トリグリセリドをも含有する点において、通常精製したパーム油や通常精製したパーム油を分別したパームステアリン、パームオレイン、パーム中部油、パームスーパーオレイン等の分別油、これらを用いて製造したエステル交換油のうちの1種又は2種以上を使用することが最も好ましい。
上記のMS3Mを含有する油脂としては、例えば、豚脂、豚脂分別油、下記に記載するエステル交換油を用いることができ、本発明ではこれらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記のエステル交換油としては、上記の蒸留により精製したパーム油、通常精製したパーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、大豆油、ナタネ油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオバター、シア脂、マンゴー核油、サル脂、イリッペ脂、魚油、鯨油等の各種動植物油脂、これらの各種動植物油脂を必要に応じて水素添加及び/又は分別した後に得られる加工油脂、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを用いて製造したエステル交換油が挙げられる。
本発明の可塑性油脂組成物においては、上記のMS3Mを含有する油脂として、MS3Mと共に、後に詳述する3飽和トリグリセリドをも含有する点において、通常精製したパーム油や、通常精製したパーム油を分別したパームステアリン、パームオレイン、パーム中部油、パームスーパーオレイン等の分別油を用いて製造したエステル交換油のうちの1種又は2種以上を使用することが最も好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物において、上記のS1MS2を含有する油脂は、本発明の可塑性油脂組成物の油相中、S1MS2が好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは2.5〜25質量%、さらに好ましくは2.5〜15質量%、最も好ましくは2.5〜10質量%となるよう含有させ、上記のMS3Mを含有する油脂は、本発明の可塑性油脂組成物の油相中、MS3Mを好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは2.5〜25質量%、さらに好ましくは2.5〜15質量%、最も好ましくは2.5〜10質量%となるよう含有させる。
また、本発明の可塑性油脂組成物では、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドを含有するのが好ましい。該3飽和トリグリセリドを含有することにより、直接β型の油脂結晶の含有量が少なくても結晶性が良好であり、且つ、結晶安定性の面で十分に満足の得られる可塑性油脂組成物を得ることが可能となる。
本発明で使用する構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドは、構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの占める割合が60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリド中、構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの占める割合が60質量%未満である3飽和トリグリセリドを用いた場合、直接β型の油脂結晶の含有量が少ないと、経日的に20μmを越えたサイズを有するβ型結晶が出現しやすく、経日的に硬くなりやすい。尚、構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの占める上記割合は、高いほど好ましく、その上限は特に制限されるものではない。
また、上記の構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドにおいて、その炭素数の上限は、特に制限されるものではないが、通常24程度である。
本発明の可塑性油脂組成物において、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる上記3飽和トリグリセリドの含有量は、本発明の可塑性油脂組成物の油相中、油相基準で好ましくは5〜30質量%以下、さらに好ましくは7〜25質量%、最も好ましくは10〜20質量%とする。上記の3飽和トリグリセリドの含有量が、本発明の可塑性油脂組成物の油相中、5質量%未満であると、粘りのない物性となりやすく、特に耐熱性に乏しい油脂組成物となってしまう上に、経日的に20μmを越えたサイズを有するβ型結晶が出現しやすく、経日的に硬くなりやすい。また、30質量%超であると、得られる油脂組成物の融点が高くなりすぎ、口溶けが悪くなりやすい。
また、本発明の可塑性油脂組成物においては、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの含有量が、油相中に油相基準で5質量%以下、特に3質量%以下であると、直接β型の油脂結晶の含有量が比較的少ない油脂組成物であっても、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる上記3飽和トリグリセリドをより素早くβ型に転移させることができる点で好ましい。構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなる上記トリグリセリドの含有量は、できる限り少ないことが好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物において、直接β型油脂として、上記のS1MS2とMS3Mとからなるコンパウンド結晶を使用した場合は、上記構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる上記3飽和トリグリセリド中の、構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリドを構成する飽和脂肪酸と、上記コンパウンド結晶のS1、S2及びS3とは同じ飽和脂肪酸であるのが好ましい。
本発明の可塑性油脂組成物においては、上記構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドの起源としては、構成脂肪酸として炭素数16以上の脂肪酸を多く含有する食用油脂を、極度水素添加した油脂、分別した分別硬部油脂、極度水素添加及び分別した極度水素添加分別硬部油脂、並びにそれらの油脂をエステル交換した油脂のうちの1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の可塑性油脂組成物において、上記構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドの起源として、上記の極度水素添加した油脂を使用する場合は、構成脂肪酸において、同一炭素数の脂肪酸含量が60質量%以上、好ましくは80質量%以上である大豆油・キャノーラ油・米油・綿実油・コーン油・サフラワー油・ひまわり油・ハイエルシン菜種油などの食用油脂を、ヨウ素価を5以下、好ましくは1以下まで水素添加した極度水素添加油脂を使用することが望ましい。
このような極度水素添加油脂を使用すると、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリド中、構成脂肪酸の全てが同一の飽和脂肪酸であるトリグリセリドの占める割合が60質量%以上である3飽和トリグリセリドを簡単に得ることができ、しかも、本発明の油中水型乳化油脂組成物の油相中において、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドであって、構成脂肪酸が少なくとも2種の飽和脂肪酸からなるトリグリセリドの含有量を5質量%以下、好ましくは3質量%以下とすることが容易である。
また、本発明の可塑性油脂組成物において、上記構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドの起源として、上記分別硬部油脂を使用する場合、通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリン、通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリンのランダムエステル交換油、及び通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリンを含む油脂配合物のランダムエステル交換油から選択された1種又は2種以上を使用することが好ましい。
この通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリンは、脂肪酸組成として、飽和脂肪酸であるパルミチン酸を多く含み、上昇融点が44〜56℃、ヨウ素価が20〜50であり、食用油脂としては融点が高いため口溶けが大変悪く、また硬くて使用しづらいため、食用油脂や食品への配合量も限られた量に制限せざるを得ず、油脂組成物、特にマーガリンやショートニング等の可塑性油脂組成物への使用用途は硬さの調整用の用途に限られていた。
しかも、通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリンを使用したこれらの油脂組成物、特にマーガリンやショートニング等の可塑性油脂組成物や、該可塑性油脂組成物を使用して製造された食品は、保管条件によっては経時的にグレイニングやブルームと呼ばれる粗大結晶粒を形成し、表面が白色化したり、ザラつきや触感の悪さを呈し製品価値の全くないものになってしまう問題があった。
本発明の可塑性油脂組成物は、このように、可塑性油脂組成物に用いるには不適であるとされていた通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリンを使用しながら、経日的なブルームを起こさない可塑性油脂組成物を得ることができる。
通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリンは、S1MS2を20〜40質量%含有する上に、更に、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドを30〜60質量%含有し、且つ、該3飽和トリグリセリドにおいて、構成脂肪酸の全てがパルミチン酸であるトリグリセリドの占める割合が60質量%以上であるため、本発明の可塑性油脂組成物において、上記構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドの起源として極めて好適に使用することができる。
上記構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドの起源としては、このような通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリンをそのまま使用することができるが、通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリンにランダムエステル交換を行なった油脂、更には通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリンにパーム核軟部油や通常精製したパーム油等の他の油脂を添加してランダムエステル交換した油脂を使用することもでき、また、通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリンに、脂肪酸、脂肪酸低級アルコールエステルを添加してランダムエステル交換を行なった油脂を使用することもできる。
これらのランダムエステル交換反応を行なうことにより、さらに結晶性が良好で、経日的なブルームを起こさない可塑性油脂組成物を得ることができる。
本発明の可塑性油脂組成物において、上記構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドの起源として、上記通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリンを使用する場合は、豚脂、各種エステル交換油等の上記MS3Mを含有する油脂を組みあわせることが好ましい。S1MS2、MS3M、及び上記の3飽和トリグリセリドを少ない油種で簡単に配合することが可能な点で、通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリン、通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリンのランダムエステル交換油、及び通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリンを含む油脂配合物のランダムエステル交換油から選択される1種又は2種以上と、通常精製したパーム油のランダムエステル交換油、通常精製したパーム油を分別して得たパームスオレインのランダムエステル交換油、通常精製したパーム油を分別して得たパームスオレインのランダムエステル交換油及び通常精製したパーム油を分別して得たパーム中部油のランダムエステル交換油から選択される1種又は2種以上とを組合わせることがさらに好ましい。
さらに結晶性が良好で、コシが強く良好な可塑性油脂組成物を得ることができる点から、通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリン、通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリンのランダムエステル交換油、及び通常精製したパーム油を分別して得たパームステアリンを含む油脂配合物のランダムエステル交換油から選択される1種又は2種以上と、通常精製したパーム油を分別して得たパームオレイン、通常精製したパーム油を分別して得たパームスーパーオレイン等のパーム系軟部油から選択される1種または2種以上のランダムエステル交換油とを組み合わせることが最も好ましい。
また、本発明の可塑性油脂組成物において、直接β型の結晶となる油脂や構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドを含む油脂以外にその他の油脂を用いても良い。その他の油脂を用いる場合、その他の油脂の含有量は、本発明の可塑性油脂組成物の油相中、好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下、最も好ましくは70質量%以下とする。その他の油脂としては、通常の加工食品に用いられる食用油脂であれば、特に限定されず、動物油、植物油等の天然油、及びこれらの油脂の硬化油、分別油、エステル交換油、ランダムエステル交換油等の単独あるいは混合油が使用出来る。
ここで、ある可塑性油脂組成物が、直接β型の油脂結晶を含有していることを確認する方法について述べる。
まず、第1の方法として、ある可塑性油脂組成物の油相のトリグリセリド組成を分析し、直接β型の油脂結晶となるトリグリセリド、例えばS1MS2及びMS3Mの油相中の含有量を測定し、直接β型の油脂結晶となるトリグリセリドが油相中に含有されていること、好ましくはその含有量が前記範囲内にあることを確認することにより、可塑性油脂組成物が直接β型の油脂結晶を含有していることを確認する方法が挙げられる。
また、第2の方法として、油相中に上記直接β型の油脂結晶となるトリグリセリド、例えば、S1MS2及びMS3Mを含有している油脂が配合されていること、好ましくは上記S1MS2及びMS3Mが油相中に前記範囲内の含有量となるように配合されていることを確認する方法が挙げられる。
更に、より簡単な方法である第3の方法として、ある可塑性油脂組成物の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることを確認することによって、可塑性油脂組成物が直接β型の油脂結晶を含有していることを確認する方法が挙げられる。
尚、第3の方法において、可塑性油脂組成物の油相の油脂結晶が下に示すような微細結晶であることが確認された場合は、油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で7日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることを確認することによって、直接β型の油脂結晶を含有していることを確認することができる。この場合、5℃で7日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることが好ましいが、5℃で4日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることがさらに好ましく、5℃で1日間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることが一層好ましく、5℃で1時間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることがさらに一層好ましく、5℃で30分間保持した際に得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶であることが最も好ましい。
上記の第3の方法において、ある可塑性油脂組成物中の直接β型の油脂結晶の含有量が多いほど、5℃での保持時間が短くても、得られる油脂結晶が2鎖長構造のβ型結晶となる。
上記の第3の方法において、5℃での保持期間後に得られた油脂結晶がβ型結晶であることを判断する方法としては、X線回折測定において、以下のように短面間隔を測定することにより判断できる。
具体的には、油脂結晶について、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する強い回折ピークを示した場合に、該油脂結晶はβ型結晶であると判断する。さらにより高い精度で測定する場合は、短面間隔を2θ:17〜26度の範囲で測定し、4.5〜4.7オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度1)及び4.2〜4.3オングストロームの面間隔に対応する範囲に最大値を有するピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比が1.3以上、好ましくは1.7以上、より好ましくは2.2以上、最も好ましくは2.5以上となった場合にβ型結晶であると判断する。
また、本発明の可塑性油脂組成物の油相の油脂結晶は、トリグリセリド分子のパッキング状態が2鎖長構造であることが好ましい。この2鎖長構造であることを確認する方法としては、例えばX線回折測定による方法が挙げられる。
具体的には、油脂結晶について、長面間隔を2θ:0〜8度の範囲で測定し、40〜50オングストロームに相当する回折ピークを示した場合に、該油脂結晶は2鎖長構造をとっていると判断する。
また、本発明の可塑性油脂組成物の油相の油脂結晶は、微細結晶であることが好ましい。上記の微細結晶とは、油脂の結晶が微細であることであり、口にしたり、触った際にもザラつきを感ずることのない結晶であることを意味し、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm、最も好ましくは3μm以下のサイズの油脂結晶を指す。上記サイズとは、結晶の最大部位の長さを示すものである。
本発明の可塑性油脂組成物の油相の油脂結晶のサイズが20μmを越えた油脂結晶であると、可塑性油脂組成物を口にしたり触った際にザラつきを感じやすく、また、液状油成分を保持することが困難となり、可塑性油脂組成物が油にじみを起こしやすく、水相成分及び油脂結晶により形成される3次元構造中に維持できにくくなる。
本発明の可塑性油脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲においてその他の成分を含有することができる。その他の成分としては、乳化剤、増粘安定剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、甘味料、水、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵及び各種卵加工品、着香料、乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、コーヒー、ナッツペースト、香辛料、ココアマス、ココアパウダー、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物が挙げられる。上記その他の成分は、本発明の可塑性油脂組成物中、好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
上記の乳化剤としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリン酒石酸脂肪酸エステル、グリセリンクエン酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等の合成乳化剤や、例えば大豆レシチン、卵黄レシチン、大豆リゾレシチン、卵黄リゾレシチン、酵素処理卵黄、サポニン、植物ステロール類、乳脂肪球皮膜等の天然乳化剤が挙げられる。本発明では、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
上記の乳化剤の含有量は特に制限はないが、本発明の可塑性油脂組成物中、好ましくは0〜15質量%、さらに好ましくは0〜10質量%、最も好ましくは0〜5質量%である。
特に本発明では健康志向や風味の点で、上記の合成乳化剤を用いないのが好ましく、合成乳化剤や天然乳化剤を用いないのがさらに好ましい。
上記増粘安定剤としては、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、アラビアガム、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、プルラン、タマリンドシードガム、サイリウムシードガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、澱粉、化工澱粉等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
上記増粘安定剤の含有量は、特に制限はないが、本発明の可塑性油脂組成物中、好ましくは0〜10質量%、さらに好ましくは0〜5質量%である。なお、本発明の可塑性油脂組成物において、上記増粘安定剤が必要でなければ、増粘安定剤を用いなくてもよい。
次に本発明の可塑性油脂組成物の製造方法について説明する。
本発明の可塑性油脂組成物は、まず油脂に蒸留により精製したパーム油、必要によりその他の成分を添加した油相に、必要により水にその他の成分を添加した水相を加え、混合する。
そして上記混合物を殺菌処理するのが望ましい。殺菌方式は、タンクでのバッチ式でも、プレート型熱交換機や掻き取り式熱交換機を用いた連続方式でも構わない。また殺菌温度は好ましくは80〜100℃、さらに好ましくは80〜95℃、最も好ましくは80〜90℃とする。その後、必要により油脂結晶が析出しない程度に予備冷却を行なう。予備冷却の温度は好ましくは40〜60℃、さらに好ましくは40〜55℃、最も好ましくは40〜50℃とする。
次に急冷可塑化を行なう。この急冷可塑化は、コンビネーター、ボテーター、パーフェクター、ケムテーターなどの密閉型連続式掻き取りチューブラー冷却機(Aユニット)、プレート型熱交換機などが挙げられ、また開放型冷却機のダイヤクーラーとコンプレクターを組み合わせが挙げられる。この急冷可塑化を行なうことにより、可塑性を有する油脂組成物となる。
これらの装置の後に、ピンマシンなどの捏和装置(Bユニット)やレスティングチューブ、ホールディングチューブを使用してもよい。
また、本発明の可塑性油脂組成物を製造する際のいずれかの製造工程で、窒素、空気等を含気させても、含気させなくても構わない。
得られた本発明の可塑性油脂組成物は、マーガリンタイプでもショートニングタイプでもどちらでもよく、また、乳化物とする場合、その乳化形態は、油中水型、水中油型、及び二重乳化型のいずれでも構わない。本発明の可塑性油脂組成物において乳化物とする場合、油相と水相の質量比率は好ましくは油相30〜99質量%、水相1〜70質量%、さらに好ましくは油相50〜95質量%、水相5〜50質量%、最も好ましくは油相60〜95%、水相5〜40%とする。
本発明の可塑性油脂組成物は、各種食品に用いることができ、食品のコク味を強化することができる。各種食品としては例えば食パン、菓子パン、デニッシュ・ペストリー、パイ、シュー、ドーナツ、ケーキ、クッキー、ハードビスケット、ワッフル、スコーン等のベーカリー製品に、練り込み用、ロールイン用、サンド・フィリング用、スプレー・コーティング用、フライ用として使用することができる。さらには、カレールウ用、バッター用、ソース用、フライ用などの調理・総菜用としてもまた使用することができる。
特に本発明の可塑性油脂組成物は、ロールイン用油脂として用いるのが好ましい。ロールイン用油脂とする場合はシート状、ブロック状、円柱状、直方体等の形状としてもよい。各々の形状についての好ましいサイズは、シート状:縦50〜1000mm、横50〜1000mm、厚さ1〜50mm、ブロック状:縦50〜1000mm、横50〜1000mm、厚さ50〜500mm、円柱状:直径1〜25mm、長さ5〜100mm、直方体:縦5〜50mm、横5〜50mm、高さ5〜100mmである。
また上記用途における本発明の可塑性油脂組成物の使用量は、使用用途により異なるものであり、特に限定されるものではない。
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。SMSとはSMSで表されるトリグリセリドを、MSMはMSMで表されるトリグリセリドを示すものとする。
(実施例1)
パームオレインのランダムエステル交換油58質量%、パームスーパーオレインのランダムエステル交換油6質量%、パームステアリン5質量%、大豆油10.5質量%、パーム原油から不純物を除去し、真空蒸留により精製したパーム油(カロチノイド500ppm、トコフェロール160ppm、トコトリエノール600ppm含有)0.5質量%を混合し、混合油脂を製造した。この混合油脂80質量%の油相と、水からなる水相20質量%を混合し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。
次に6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。
その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、ロールイン用油脂として用いることができる本発明のコク味を有する可塑性油脂組成物1を得た。
得られた可塑性油脂組成物1の油相の油脂結晶は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であった。可塑性油脂組成物1の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られた油脂結晶について、2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折ピークを示し、また、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)及び4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比をとったところ、3となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認され、可塑性油脂組成物1は直接β型の油脂結晶を含有していることがわかった。
さらに、可塑性油脂組成物1の油相のX線回折測定を実施したところ、46オングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることも確認された。また、光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
また得られた可塑性油脂組成物1の油相中において、SMSの含有量は9.2質量%で、MSMの含有量は6.5質量%であり、MSM/SMSのモル比は0.7であった。そしてSMSとMSMとからなるコンパウンド結晶の含有量は13質量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドの含有量は10.4質量%であった。また、トリパルミチンは、全組成中7.8質量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドの内で75質量%を占めていた。
さらにガスクロマトグラフで測定したところ、可塑性油脂組成物1の油相の構成脂肪酸組成において、トランス型脂肪酸含量は1質量%であった。
(実施例2)
実施例1においてパームオレインのランダムエステル交換油56.5質量%、真空蒸留により精製したパーム油(カロチノイド500ppm、トコフェロール160ppm、トコトリエノール600ppm含有)2質量%とした他は、実施例1と同様の配合と製法により本発明のコク味を有する可塑性油脂組成物2を得た。
得られた可塑性油脂組成物2の油相の油脂結晶は、光学顕微鏡下で、3μm以下の微細油脂結晶であった。可塑性油脂組成物2の油相を70℃で完全に融解した後、0℃で30分間保持し、5℃で30分間保持した際に得られた油脂結晶について、2θ:17〜26度の範囲でX線回折測定を実施したところ、4.6オングストロームの面間隔に対応する強い回折ピークを示し、また、4.6オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度1)及び4.2オングストロームの面間隔に対応する最大ピーク強度(ピーク強度2)をとり、ピーク強度1/ピーク強度2の比をとったところ、3となり、この油脂結晶はβ型をとることが確認され、可塑性油脂組成物2は直接β型の油脂結晶を含有していることがわかった。
さらに、可塑性油脂組成物2の油相の油脂結晶について、2θ:0〜8度の範囲でX線回折測定を実施したところ、46オングストロームに相当する回折ピークが得られ、トリグリセリドのパッキング状態が2鎖長構造であることも確認された。また、光学顕微鏡で、この油脂結晶のサイズを観察したところ、3μm以下の微細な結晶であった。
また得られた可塑性油脂組成物2の油相中において、SMSの含有量は9.6質量%で、MSMの含有量は6.3質量%であり、MSM/SMSのモル比は0.7であった。そしてSMSとMSMとからなるコンパウンド結晶の含有量は12.6質量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドの含有量は10.2質量%であった。また、トリパルミチンは、全組成中7.7質量%であり、構成脂肪酸の全てが炭素数16以上の脂肪酸からなる3飽和トリグリセリドの内で75質量%を占めていた。
さらにガスクロマトグラフで測定したところ、可塑性油脂組成物2の油相の構成脂肪酸組成において、トランス型脂肪酸含量は1質量%であった。
(比較例1)
大豆の部分硬化油64量%、大豆油16質量%を混合し、混合油脂を製造した。この混合油脂80質量%の油相と水からなる水相20質量%を混合し、85℃で殺菌した。そして50℃まで予備冷却した。
次に6本のAユニット、レスティングチューブを通過させ、急冷可塑化した。
その後、サイズが縦420mm、横285mm、厚さ9mmのシート状に成形し、ロールイン用油脂として用いることができる可塑性油脂組成物4を得た。
ガスクロマトグラフで測定したところ、可塑性油脂組成物3の油相の構成脂肪酸組成において、トランス型脂肪酸含量は26質量%であった。
(比較例2)
実施例1において真空蒸留により精製したパーム油のかわりに、パーム原油から脱ガム、脱酸、脱色、脱臭により精製したパーム油を用いた他は、実施例1と同様の配合と製法にて可塑性油脂組成物4を製造した。
〔可塑性油脂組成物のコク味評価〕
実施例1、2で得られた可塑性油脂組成物1、2は、部分硬化油を含有する比較例1で得られた可塑性油脂組成物と同等なコク味を有していた。比較例2で得られた可塑性油脂組成物4は、実施例1で得られた可塑性油脂組成物1よりもコク味を感じなかった。
<ベーカリー試験>
実施例1、2及び比較例1、2で得られた可塑性油脂組成物1〜4を用いて、下記配合と製法によりデニッシュペストリーを製造した。
[デニッシュペストリーの配合]
強力粉 80質量部
薄力粉 20質量部
イースト 4質量部
上白糖 15質量部
食塩 1質量部
ショートニング 10質量部
水 50質量部
可塑性油脂組成物 50質量部
[デニッシュペストリーの製法]
ショートニングと可塑性油脂組成物以外の原料をミキサーボールに入れ、フックを用い、縦型ミキサーにて低速3分、中速3分にてミキシングを行い、ショートニングを入れ、さらに低速3分、中速3分にてミキシングを行い、生地を調製した、この生地をフロアタイム20分、−5℃の冷凍庫で24時間リタードさせた。この生地に可塑性油脂組成物をのせ、常法により、ロールイン(3つ折り3回)し、成型(縦10センチ、横10センチ、厚さ3ミリ)した。そしてホイロ(32℃ 50分)をとり、200℃15分にて焼成した。
〔コク味評価〕
実施例1、2で得られた可塑性油脂組成物1、2を用いて製造したデニッシュペストリーを食したところ、部分硬化油を含有する比較例1で得られた可塑性油脂組成物3を用いて製造したデニッシュペストリーと同等なコク味を有していた。比較例2で得られた可塑性油脂組成物4を用いて製造したデニッシュペストリーは、実施例1で得られた可塑性油脂組成物1を用いて製造したデニッシュペストリーよりもコク味を感じなかった。

Claims (3)

  1. 蒸留により精製したパーム油を0.5〜10質量%含有し、油相の構成脂肪酸組成においてトランス型脂肪酸の含有量が5質量%未満であることを特徴とするコク味を有する可塑性油脂組成物。
  2. 蒸留により精製したパーム油0.5〜10質量%を含有する油相を急冷可塑化することを特徴とするコク味を有する可塑性油脂組成物の製造方法。
  3. 請求項1記載のコク味を有する可塑性油脂組成物を食品に用いることを特徴とする食品のコク味強化方法。
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