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JP2008216994A - 配向膜の成膜方法及び装置、並びに配向膜及び液晶素子 - Google Patents

配向膜の成膜方法及び装置、並びに配向膜及び液晶素子 Download PDF

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JP2008216994A
JP2008216994A JP2008021010A JP2008021010A JP2008216994A JP 2008216994 A JP2008216994 A JP 2008216994A JP 2008021010 A JP2008021010 A JP 2008021010A JP 2008021010 A JP2008021010 A JP 2008021010A JP 2008216994 A JP2008216994 A JP 2008216994A
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Akira Sakai
明 酒井
Yohei Ishida
陽平 石田
Toshiaki Aeba
利明 饗場
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Abstract

【課題】成膜速度を速くすることが可能な液晶用配向膜の成膜方法及び装置を提供する。
【解決手段】斜め蒸着法により基板上1に第1の液晶用配向膜2を形成した後、スパッタ法により第1の液晶用配向膜2上に第2の液晶用配向膜3を形成する。斜め蒸着法により第1の液晶用配向膜を形成した後、成膜速度の大きいスパッタ法により第2の液晶用配向膜を形成することで成膜速度を速くすることが可能となる。
【選択図】図2

Description

本発明は、反射型或いは透過型液晶表示装置等に用いられる液晶配向膜の成膜方法及び装置に関するものである。また、本発明は液晶配向膜及び液晶素子に関するものである。
液晶素子に用いられる配向膜には、ポリイミド、ポリアミド等の有機系配向膜とSiOx等の無機系配向膜がある。無機系配向膜は垂直配向型液晶に用いられている。SiO2斜め蒸着膜は、エレクトロンビーム蒸着装置によりSiO2粒子を蒸発させ、TFT基板や対向基板上に所望の角度で堆積させて得られる。 特許文献1に説明されているように、斜め蒸着膜は、溝(グルーブ)構造または柱(カラム)構造を持つ。蒸着粒子の入射方向と基板法線とのなす角度すなわち蒸着角によりその形状が変化し、それに応じて液晶の配向方向が変化する。
蒸着角が20°以上では面内配向方向は定まらずランダム配向となり、50°前後では基板表面における蒸着物の入射面に垂直な溝構造により傾き角0°の水平配向が出現する。
また、蒸着角80°以上では柱状の異方性構造が発達し、基板上の液晶分子は、基板に垂直かつ蒸着ビームを含む面内で、基板法線に対して傾いて配向する。傾き角は、蒸着角を80°以上で微調節することによりある範囲で制御することができる。特許文献2には、蒸着角85°で斜め蒸着させたSiO膜が、液晶を、10°ないし30°のプレチルト角で配向させ得ることが報告されている。
蒸着によらず、膜材料物質をスパッタして飛翔させ、飛翔方向に斜めにおいた基板に付着させることによっても、カラム構造の膜が形成できることが、特許文献3に記載されている。
特開平05-150243号公報 米国特許4582396号明細書 特開2004-170744号公報
斜め蒸着法で配向膜を形成するとき、蒸着角を厳密に調節して蒸着を行う必要がある。しかし、蒸着源が点であるため、基板面の位置によって蒸着角は違ってくる。このため、大面積の基板に均一に成膜するには、基板と蒸着源の間の距離を大きくとらなくてはならず、蒸着源の蒸発量に対して基板に到達する量の割合が小さくなって、成膜速度を速くすることが難しかった。
一方、スパッタ法では、スパッタターゲットが蒸着法における蒸着源よりも広い面積をもつので、それによるスパッタ粒子の基板付着角の不均一が生じる。このため、液晶を基板面内で均一に配向させるのは蒸着法よりもさらに困難である。
本発明の配向膜の成膜方法は、斜め蒸着法により基板上に第1の配向膜を形成する工程と、スパッタ法により前記第1の配向膜上に第2の配向膜を形成する工程とを含むことを特徴とする。斜め蒸着法により第1の配向膜を形成した後、成膜速度の大きいスパッタ法により第2の配向膜を形成することで成膜速度を速くすることが可能となる。
また、本発明の配向膜の成膜装置は、基板を載置するステージと、前記ステージの上に載置された基板上に斜め蒸着法により第1の配向膜を形成する手段と、前記第1の配向膜上にスパッタ法により第2の配向膜を形成する手段とを備えたことを特徴とする。
更に、本発明の配向膜の成膜は、斜め蒸着法により基板上に形成された第1の配向膜と、スパッタ法により前記第1の配向膜上に形成された第2の配向膜からなることを特徴とする。
更に、本発明の液晶素子は、一対の基板と、前記一対の基板の各内側に形成された配向膜と、前記基板間に挟持された液晶とを有する液晶素子において、前記配向膜は、斜め蒸着法により形成された第1の配向膜と、スパッタ法により前記第1の配向膜上に形成された第2の配向膜からなることを特徴とする。
本発明によれば、斜め蒸着法により第1の配向膜を形成した後に、成膜速度の速いスパッタ法により第2の配向膜を形成することにより、成膜速度を速くすることが可能となる。
また、液晶素子のプレチルト角の精密配向制御が可能となるばかりか、カラムが太く、充填率の高く、プレチルト角の安定化、耐久性能の高い液晶素子を提供することが可能となる。更に、低電圧でスプレイ配向からベンド配向への転移が可能で、その結果大きなリタデーションを持つベンドモードの液晶素子を提供できる。
次に、発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(成膜方法)
図1は本発明に係る配向膜の成膜方法を説明する図である。以下、図1(a)、図1(b)、図1(c)の順に説明する。
まず、図1(a)に示すように基板1を準備する。基板1としては、単一の基体のほか、絶縁性の基体に導電体や絶縁体の1層以上の膜を形成したものも含まれる。実際のデバイスは、基板上に電極等の膜をパターニングして形成したものを使用する場合が多い。
基板1の材質としては、金属、半導体、ガラス、セラミックス、有機材料等の任意のものが挙げられる。ガラスやプラスチック等のような透光性の材質の基板を用いると、液晶表示部等のように透光性が求められるデバイスにも適用可能となる。
基板1は、シリコンウエーハ、石英またはガラス、或いはそれらに多結晶シリコン、アモルファスシリコンを薄い膜として形成したものが用いられる。金属板、セラミック板、フィルム状有機材料などでもよい。
サイズは任意であるが、8インチまたはそれ以上が好ましい。プロジェクタ用の液晶シャッターなど、小さいサイズの液晶素子用の基板を製造する場合も、8インチ以上の基板に成膜した後、小さく切り出す。
基板1の形状は平滑な板状のものが一般的であるが、それに限らず、曲面を有するもの、表面にある程度の凹凸や段差を有するもの、或いはそれらを組み合わせたものでもよい。
次に、図1(b)に示すように基板1上に斜め蒸着法(斜方蒸着法)により配向膜(第1の配向膜)2を形成する。斜め蒸着法には、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、レーザアブレーション法等やそれらから派生した方法が挙げられる。
また成膜手法は単一のものでも、複数以上の手法を組み合わせたものでも、配向膜の形成等に不都合がなければ特に限定されるものではない。但し、成膜の大面積化のためには、レーザアブレーション法は好ましくない場合もある。それに対して、成膜の大面積化のためには抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法或いはそれから派生した方法が好ましい場合がある。
斜め蒸着法の成膜温度としては、室温や加熱した温度等の任意の温度が挙げられる。プラスチック等の熱に弱い材質を含む基板を用いた場合等には室温近傍での成膜が好ましい。
配向膜は、透明度を高めるために、シンコン(Si)及び酸素(O)を主成分(例えば、酸化シリコンの含有率が90重量%以上)として含有するものが好ましい。また、結晶性は任意であって、アモルファスであるもの、一部がアモルファスであるもの、或いは結晶であるもの等を用いることができる。
配向膜の厚さは液晶配向特性に影響するので重要なパラメータである。厚くすると成膜時間が長くかかり、スループットが長くなるので好ましくない。本発明は、次の工程でスパッタにより高速で成膜するので、斜め蒸着工程での配向膜厚は薄くてよい。
次に、図1(c)に示すように基板1上の配向膜(第1の配向膜)2上にスパッタ法により配向膜(第2の配向膜)3を成膜する。それにより、第1の膜2と第2の膜3を含む配向膜(全体)4を形成する。
スパッタ法には、RFスパッタ、DCスパッタ、対向ターゲット法、イオンビームスパッタ法等がある。一般に、スパッタ法の成膜速度は蒸着法での成膜速度よりも数倍速い。典型的には、斜め蒸着法の成膜速度は0.1nm/sec前後であるのに対し、スパッタ法では0.5nm/secないし1.0nm/secである。本発明の配向膜の製造方法は、斜め蒸着法とスパッタ法の膜を積層して全体が所定の膜厚になるようにする。これによって全膜厚を斜め蒸着によって形成するよりも短時間で所定の膜厚の配向膜を作ることができ、スループットが向上する。
スパッタ膜の膜厚は、スパッタリング電力の供給時間を調整して変えることができる。スパッタ積層膜の膜厚は、斜方蒸着膜の膜厚と合わせて適当な範囲に設定する。スパッタリングのターゲット材としてはSiOを用いる。酸素ガスを導入する等してスパッタリングし、カラム構造体の化学量論比を変化させることができる。
スパッタ法の成膜雰囲気としては、Ar等の希ガス雰囲気、O等の反応性ガス、或いはそれらを混合した雰囲気等任意の雰囲気が挙げられる。
スパッタは、室温近傍または室温より高い温度でおこなう。但し、スパッタ粒子の表面拡散距離を小さくすることにより配向膜の溝構造や柱状構造を保ちながら成膜する目的に対しては室温近傍での成膜が好ましい。また、プラスチック等の熱に弱い材質を含む基板を用いた場合等には室温近傍での成膜が好ましい。
下層(第2の配向膜3)と上層(第1の配向膜2)の元素組成比は異なっていても良い。下層と上層の結晶性も異なっていても良い。これらの特性はむしろ異なるのが普通である。
上で述べたとおり、配向膜の厚さは、成膜のスループット短縮の効果から言って下層の方が上層よりも薄い方が好ましい。
(成膜装置)
斜め蒸着膜を成膜した後に同一の真空装置内でスパッタ膜を積層することができる。斜方蒸着膜を成膜した後、一度大気に開放し、別のスパッタ装置にてスパッタ膜を積層してもよいが、装置内を真空にするには時間がかかるので、同一の真空装置で連続して成膜を行うほうが好ましい。
図2は、同一の真空装置内で斜め蒸着とスパッタを連続して行う成膜装置である。基板や配向膜には図1と同一符号を付している。
11は基板1を載置する試料ステージ、12は斜め蒸着源、13はスパッタターゲット、14は斜め蒸着用シャッター、15はスパッタ用シャッターである。また、16は斜め蒸着粒子、17はスパッタ粒子、18は(可動)隔壁、19は制御系、20は操作系である。
斜め蒸着源12から基板1の中央までは1mである。蒸着源から基板まで距離が大きいほど基板の端部の蒸着源となす蒸着角は小さくなる。生産設備の設置環境等の観点から真空装置の大きさの制限を配慮し、この距離を適宜設定する。
ターゲット13の面と基板1とは通常図2のように平行にするが、傾斜させることもできる。均一に成膜させるために基板を回転させることもできる。
斜め蒸着用シャッター14は斜め蒸着源12からの斜め蒸着粒子を開閉するものであり、制御系19により蒸着開始時に開き、終了時に閉じるように制御される。特に、斜め蒸着用シャッター14は斜め蒸着源12が安定するまで閉じられ、安定してから開くように制御される。スパッタ用シャッター15も同様であり、制御系19により開閉が制御される。
以上の構成要素は必要に応じて真空容器(不図示)内に配置されており、真空排気系(不図示)により真空排気されている。更に制御系19は試料ステージ11、斜め蒸着源12、スパッタターゲット13、斜め蒸着用シャッター14、スパッタ用シャッター15、(可動)隔壁18、成膜制御系(不図示)、真空制御系(不図示)等と信号のやり取りを行う。
特に、制御系19は斜め蒸着源12を用いて斜め蒸着法により基板11上に第1の膜2を形成した後、スパッタターゲット13を用いてスパッタ法により第1の膜上2に第2の膜3を形成するように制御を行う。このようにして制御系19は操作系20を介して成膜装置の制御、運転等を行う。
また制御系19の制御に基づき試料ステージ11が移動、回転させられ、成膜に最適な位置、方向に基板1を設置することができる。更に制御系19の制御により(可動)隔壁18の一部或いは全部を移動させることができ、退避位置(不図示)にも移動させることができる。この(可動)隔壁18を使用することによりスパッタ雰囲気の制御等が容易になる。
スパッタリングガスはAr、Xe、Kr等の希ガスで、これに酸素ガスを適宜混入させる。スパッタ圧力は導入ガス流量及び排気コンダクタンス調整バルブの開口度により適宜調整する。
スパッタリングの成膜速度は高周波電力に大きく依存するが、電力を適宜調整することで、所望のスパッタリング速度を得ることができる。本実施例の配向膜成膜方法におけるスパッタリング法は、基板へのイオン衝撃、逆スパッタを緩和させるために、基板を電気的にグランド状態、フローティング状態にしても、或いはバイアスを印加しても構わない。
蒸着角を大きくすることで蒸着粒子のフラックスが低下するので、実質的な堆積速度の低下が懸念されるが、不足するフラックス(堆積速度)を電子銃の電力増加で容易に補うことができる。また、蒸着角が大きく設定されたSiウェハー基板の配置は蒸着角が小さい場合に比べて蒸着空間に高い充填効率で多数配置することができる。
図2の成膜装置で、斜め蒸着法により基板上に第1の配向膜を形成する工程と、スパッタ法により第1の配向膜上に第2の配向膜を形成する工程を同じ真空の元で連続させることにより、良質の配向膜を高い成膜速度で作製できる。(液晶セルの製法)。
図3は、本発明で形成した配向膜を用いて作製した液晶セル(液晶素子)の断面模式図である。図中701は一対の基板(ガラス基板)、702はITO電極、703は配向膜、704は液晶層である。配向膜703はSiOを主成分とした材料を用いて、下層を斜方蒸着法(斜め蒸着法)で、上層をスパッタ蒸着法で成膜したものである。蒸着方向を、矢印705、706で示す。
図3の液晶セルは、上下2枚の基板を、配向膜が形成された面を内側に、蒸着方向が反平行になるように貼り合わされている。基板の間隔は不図示のスペーサにより一定に制御されている。基板間に挟持される液晶は、液晶の動作モードにより、誘電異方性が負または正の材料を用いる。
代表的な液晶配向のタイプを図4に示す。図4(a)は完全な垂直配向であり、液晶分子の長軸が基板に対して垂直に配向する。
図4(b)はプレチルト角を持った垂直配向で、液晶分子の長軸が基板法線方向からある角度傾斜して配向する。
図4(c)はプレチルト角を持った水平配向で、液晶分子の長軸は基板面からある角度立ち上がって配向する。
図4(d)は完全な水平配向で、液晶分子は配向膜上で基板面に対して完全に平行に配向する。
プレチルト角は液晶素子作製とは別に傾斜角測定用のセルを作り、周知のクリスタルローテーション法により測定することができる。
(斜方蒸着膜のプレチルト角)
マイクロデバイス用のLCOSパネル等では、通常、電圧を加えないときに液晶が垂直配向にあり、電圧印加で垂直から倒れていくにつれて透過率が高くなる液晶モード(VAモードという)が用いられている。
画素の微細化で画素間隔が小さくなると、画素間の横電界によってディスクリネーションが発生し、コントラストが低下する。これを防ぐにはプレチルト角を大きくすることが有効である。しかしプレチルト角が大きくなると電界がかかっていないときでもいくらか光が透過するようになり、この場合もコントラストを低下させる。LCOSパネルでは、プレチルト角が1°から15°の範囲で制御されなければならない。
図5は斜方蒸着膜の蒸着角と液晶配向のプレチルト角の関係を表している。プレチルト角は基板法線に対する液晶配向のなす角度で定義される。完全な垂直配向はプレチルト角=0°である。
図5に示すように、斜方蒸着膜の蒸着角とプレチルト角の関係は、蒸着角60°以上でプレチルト角が0°からずれていく。0°でない小さなプレチルト角、例えば4°を得るには、蒸着角を60°付近に設定する。
(斜方蒸着膜にスパッタ膜を積ねた膜のプレチルト角)
SiO2を蒸着角80°で膜厚80nmまで形成し、これにスパッタSiO2膜を20nm積層した膜のプレチルト角を測定すると15°であった。この値は、図5から予想される斜方蒸着のみのプレチルト角(約33°)より小さい。このことから、斜方蒸着膜とスパッタ膜を積層した膜は、単独の斜方蒸着膜よりプレチルト角が小さい、すなわち、スパッタ膜はプレチルトを低下させるはたらきをする。
斜方蒸着したSiO2膜の上にスパッタ法でSiO2膜を積層することで、VA(垂直配向)モードなどのプレチルト角を制御することができる。
従来知られているように、斜方蒸着の成膜条件によって、傾斜角およびカラム太さの異なる膜を形成することができる。これにスパッタリング膜を積層することでプレチルト角の制御ができる。所望のプレチルト角を得るには、図5から読み取れる蒸着角よりも大きい蒸着角で斜方蒸着を行い、それにスパッタ膜を積層すればよい。
大きな蒸着角で斜方蒸着を行うと、スパッタ膜を積層する前でも、基板面内の蒸着角の不均一さが少なくなるという有利さがある。以下それを説明する。
図6は、基板中心での蒸着角を60°として斜め蒸着したときの基板面内の蒸着角の分布を示す。破線は基板法線を表す。基板は8インチ径のSiウェハーである。基板中心から蒸発源までの距離は1mとした。
図に示すとおり、蒸着源に最も近い点では蒸着角56.9°、最も遠い点では蒸着角62.6°となる。それぞれ、中心に対し、−3.1°、+2.6°の蒸着角の分布になる。この蒸着角分布に対応するプレチルト角を図5から算出する。
図5の蒸着角60°近くの3本の破線は、それぞれ最大蒸着角、中心蒸着角、最小蒸着角とプレチルトの関係を表している。蒸着源に最も近い点で2.0°、最も遠い点で6.5°となる。中心のプレチルト角4.0°に対し、−2°、+2.5°の範囲で分布し、分布幅は4.5°である。
これに対して、基板中心での蒸着角を80°とした斜め蒸着の場合、基板面内の蒸着角の分布は、図7に示したように、蒸着源に最も近い点では蒸着角78.9°、最も遠い点では蒸着角80.9°となる。中心の80°に対し、−1.1°、+0.9°の範囲の分布となる。これは、上の蒸着角60°の場合(分布幅に比べて小さい。この結果、プレチルト角も、図5の蒸着角80°付近に3本の破線で表したように、中心33.5°、最小32.0°、最大36°となり、中心から−1.5°、+2.5°の範囲の分布、つまり4.0°の分布幅に収まる。
このように、大きな蒸着角で蒸着すると、蒸着角、プレチルト角とも小さな分布幅に収まるので、同じプレチルト角を得るのには、大きな蒸着角で斜め蒸着を行うほうが有利である。本発明の、斜め蒸着膜にスパッタ膜を積層する方法は、成膜時間が短縮できることに加えて、プレチルト角のムラが小さくなるという利点があることが分かる。
(積層膜の形状)
スパッタ膜を積層することでプレチルト角が小さくなる理由は、いまのところ解明されていない。
図8に、斜方蒸着膜(蒸着角85°)と、それにスパッタSiO2膜を20nm積層して得られる膜の断面SEM像を比較して示す。図面左側が斜方蒸着膜、右側がSiO2積層膜である。同図から、スパッタ膜を積層しても、カラム構造のカラム角度には大きな変化は見られず、カラムの斜めに伸びる方向にスパッタSiO2膜も成長しているのが分かる。またカラムの幅が太くなっている。すなわち、積層配向膜は、カラム角度は大きく変わることなく、カラムの太さが増し、充填率が高くなっている。
次に、実施例を挙げて本発明を説明する。以下の実施例は図2に示す成膜装置を使用しても良く、斜め蒸着装置とスパッタ装置を組み合わせることで実施しても良い。
(実施例1)
基板1として、電極膜をパターニングしたガラス基板を準備した。この基板の表面に斜め蒸着法により酸化シリコンからなる配向膜2を形成した。蒸着源としてSiOの粉末を用い、電子ビーム加熱によって蒸発させた。
基板は特に加熱せず、成膜速度は0.1nm/sec、成膜時間は100secで、終了後の膜厚は10nmであった。
次に、配向膜2の上からスパッタ法により酸化シリコンからなる配向膜3を成膜した。スパッタのターゲットとしてSiOの焼結体を用い、Ar雰囲気中で行った。配向膜全体の厚さが所定の値、この場合は50nm、になった時点で成膜を終了した。これにより、全体の配向膜4を完成した。
スパッタ成膜時の成膜速度は0.6nm/secである。全体の膜厚を50nmにするために、スパッタ法では40nmの成膜を目標として、時間は67secとした。成膜時間の合計は167secである。
成膜終了後に基板を成膜装置から取り出し、断面のFE−SEM観察を行ったところ、配向膜全体が斜め方向の溝(グルーブ)構造または柱(カラム)構造を持ち、斜め蒸着膜の特徴を示していた。次に、この基板を用いて液晶を注入したセルを作製し、液晶配向性を評価したところ、良好な特性が得られた。
(比較例1)
斜め蒸着法のみを用いて配向膜全体を成膜した以外は、実施例1と同様に配向膜を形成した。成膜速度は実施例1と同じ0.1nm/secで、500secかけて膜厚50nmを得た。
この膜の液晶配向性を評価したところ、実施例1の膜と同等な結果が得られた。しかし、合計成膜時間は実施例1の3倍以上かかっている。
(実施例2)
斜め蒸着法の蒸着源としてSiO粉末を用い、抵抗加熱にて蒸発させ成膜したこと以外は実施例1と同様にして配向膜を形成した。膜断面の形態、液晶配向性は実施例1と同様であった。
(比較例2)
斜め蒸着法のみを用いて配向膜全体を成膜した以外は、実施例2と同様に配向膜を形成した。評価結果(形態観察及び液晶配向性測定)は実施例2と同様な結果が得られた。但し成膜時間は実施例2の2倍程度であった。
(実施例3)
斜方蒸着膜にスパッタ膜を積層して得られるSiO2配向膜を用いて、ベンド配向の液晶を作ることもできる。プレチルト角を45°前後に制御してベンド配向させることにより、コントラストが高くかつ応答速度の速いOCBモードの液晶装置が作製できる。
ガラス基体上に20nmの厚さのITO膜を形成した基板に、基板中心で蒸着角87.5°となるように基板を傾斜させて保持し、これに斜め蒸着でSiO2膜を膜厚60nmになるように蒸着する。
さらにその上に、RFスパッタ法でSiO2膜を20nm積層する。スパッタ条件は、Ar:10sccm、酸素ガス:1.0sccm、圧力1×10−3Torr、RF電力400W、基板温度:室温、基板:グランド、スパッタ時間:3minである。
この基板を分割し、うち2枚を、図3に示すように、蒸着方向(図中の→の方向)を平行にして貼り合せ、セルを作製した。シリカビーズ又は樹脂ビーズ(各直径3μm)を含有させた紫外線熱硬化樹脂からなるシール剤を基板の外周に塗布し、セルギャップが3μmになるようにした。
塗布後、紫外線照射、熱硬化の行程を経た後、真空液晶注入装置において正の誘電異方性を有する液晶材料を注入した。注入口は封口材を塗布し、液晶をセル内に封止した。このようにして作製した液晶セルを再配向させるために、100℃で5分保持し、50℃まで徐冷した。
2枚の偏光板をクロスニコルに配置し、これを液晶セルの上下から挟み、下部偏光板側から光を照射して液晶セルの配向観察を行った。液晶セルの電極に電圧を印加しない状態では液晶セルは黄色状に観察された。この状態は図9(a)に示すスプレイ配向状態である。
次に、上下のITO電極に60Hzの矩形波を印加し、その電圧の波高値を変化させた。電圧を徐々に増加させ、3.5V以上で液晶セルは灰色状態に変化した。これは液晶セルの配向が図9(a)に示すスプレイモードから図9(b)に示すベンドモードへ転移したものである。
この灰色状態は後述する比較例3と比べて液晶セルのリタデーションが大きいことを意味する。印加電圧をゼロに戻すと、スプレイ配向に戻るが、その時の転移速度は遅く、液晶セルがベンド誘起し易い状態であることが示唆された。
本実施例では、プレチルト角は液晶素子の作製とは別にプレチルト角測定用のセルを作り、周知のクリスタルローテーション法により測定した。
本実施例の液晶素子は、配向膜のカラムの幅が太く、充填率が高いのが特徴で、配向膜の空隙率が改善されることから、液晶配向の耐久性の向上が期待できる。このような配向膜構造の変化は、液晶配向の制御を可能とし、とりわけプレチルト角の制御を可能にする。
スパッタSiO2膜を積層することで、配向膜の膜厚及びカラム幅、充填率を変化させて、プレチルト角の制御を効果的に行うことができる。
図10に、斜方蒸着膜(蒸着角87.5°で作製したSiO2膜)と、それにスパッタ法でSiO2を積層した膜の断面SEM像を比較して示す。図面左側が斜方蒸着膜、右側がSiO2を積層した膜である。斜方蒸着膜にスパッタSiO2膜を20nm積層すると、カラムは傾いた方向にさらに成長し、カラム幅も太くなっていることが観察される。
本実施例の液晶素子は、低電圧でベンド誘起可能であり、かつ大きなリタデーションを持つ。また、本実施例の液晶素子は、カラムが太く、充填率が高い特徴を有し、プレチルト角の安定化、耐久性能の向上に有用である。
(比較例3)
実施例3でスパッタSiO2膜20nmを積層する以外は、全く同一の条件としてベンドモード観察用の液晶パネルを作製した。実施例3と同様にして観察したが、本比較例では上下のITO電極に電圧を印加しなくとも、液晶セルは黒い灰色状にあった。これは液晶セルの配向がスプレイモードを経ることなく、ベンドモードの状態にあることを示す。
しかしながら、実施例3の液晶素子の灰色に比べると、黒色に近く、リタデーション量が充分確保できていない状態であることが分かった。この液晶素子は、数日この状態を保持し、スプレイ配向に戻ることはなく、液晶セルがベンド誘起し易い状態であることが分かった。
また、実施例3でスパッタSiO2膜20nmを積層する以外は、全く同一の条件としてプレチルト角測定用のセルを作製した。本比較例での液晶素子はプレチルト角測定の結果、プレチルト角は48.1°(水平からの傾き)であった。実施例3の液晶セルのプレチルト角42.4°(水平からの傾き)に比べて大きいことが分かった。この結果、プレチルト角が大きいと、無電圧でベンド配向に転移するものの、リタデーションが小さいことが分かった。
本発明に係る成膜方法の一実施形態を示す図である。 本発明に係る成膜装置の一実施形態を示す図である。 本発明の液晶素子を示す構造図である。 液晶配向モードの説明図である。 本発明に係る蒸着角とプレチルト角の関係を示す図である。 蒸着角60°の蒸着角分布を示す図である。 蒸着角80°の蒸着を示す図である。 本発明の実施例に係る液晶配向膜のSEM像である。 本発明に係る液晶配向モードの図である。 本発明の液晶配向膜のSEM像である。
符号の説明
1 基板
2 液晶用配向膜(第1の膜)
3 液晶用配向膜(第2の膜)
4 液晶用配向膜(全体)
11 試料ステージ
12 斜め蒸着源
13 スパッタターゲット
14 斜め蒸着用シャッター
15 スパッタ用シャッター
16 斜め蒸着粒子
17 スパッタ粒子
18 (可動)隔壁
19 制御系
20 操作系
701 ガラス基板
702、703 ITO
704 液晶
705 706 配向膜

Claims (10)

  1. 斜め蒸着法により基板上に第1の配向膜を形成する工程と、スパッタ法により前記第1の配向膜上に第2の配向膜を形成する工程とを含むことを特徴とする配向膜の成膜方法。
  2. 前記斜め蒸着法は抵抗加熱蒸着法又は電子ビーム蒸着法であることを特徴とする請求項1に記載の配向膜の成膜方法。
  3. 前記第2の配向膜は室温で成膜されることを特徴とする請求項1に記載の配向膜の成膜方法。
  4. 前記第2の配向膜は斜めスパッタ法により形成されることを特徴とする請求項1に記載の配向膜の成膜方法。
  5. 前記第2の配向膜は希ガス雰囲気で形成されることを特徴とする請求項1に記載の配向膜の成膜方法。
  6. 前記希ガス雰囲気にArが含まれることを特徴とする請求項5に記載の配向膜の成膜方法。
  7. 基板を載置するステージと、前記ステージの上に載置された基板上に斜め蒸着法により第1の配向膜を形成する手段と、前記第1の配向膜上にスパッタ法により第2の配向膜を形成する手段とを備えたことを特徴とする配向膜の成膜装置。
  8. 斜め蒸着法により基板上に形成された第1の配向膜と、スパッタ法により前記第1の配向膜上に形成された第2の配向膜とが積層されてなることを特徴とする配向膜。
  9. 前記第1の配向膜がカラム構造を有することを特徴とする請求項8に記載の配向膜。
  10. 一対の基板と、前記一対の基板の各内側に形成された配向膜と、前記基板間に挟持された液晶とを有する液晶素子において、
    前記配向膜は、斜め蒸着法により形成された第1の配向膜と、スパッタ法により前記第1の配向膜上に形成された第2の配向膜からなることを特徴とする液晶素子。
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