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JP2008130504A - 画像表示装置の製造方法およびこの製造方法で製造した画像表示装置 - Google Patents

画像表示装置の製造方法およびこの製造方法で製造した画像表示装置 Download PDF

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JP2008130504A JP2006317248A JP2006317248A JP2008130504A JP 2008130504 A JP2008130504 A JP 2008130504A JP 2006317248 A JP2006317248 A JP 2006317248A JP 2006317248 A JP2006317248 A JP 2006317248A JP 2008130504 A JP2008130504 A JP 2008130504A
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Takuo Tamura
太久夫 田村
Hiroshi Kikuchi
廣 菊池
Masakazu Sagawa
雅一 佐川
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Abstract

【課題】陽極酸化膜中のトラップサイトを低減する方法により、残像が低減し、高信頼性かつ長寿命の画像表示装置を提供する
【解決手段】電子加速層となる絶縁層を形成する陽極酸化処理の前又は後あるいは前後で、オゾン雰囲気中でのアニール処理する。この方法で製造された画像表示装置の薄膜電子源は、その電子加速層の欠陥順位が1.5eV以下の欠陥を、1.5×1018個以下有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、画像表示装置に係り、特に薄膜電子源を備えた画像表示装置の製造方法とこの製造方法で製造した画像表示装置に関する。
薄膜電子源とは、下部電極(第1電極)−電子加速層(絶縁層)−上部電極(第2電極)の3種の薄膜を積層した構造を基本とし、下部電極−上部電極の間に電圧を印加して、上部電極の表面から真空中に電子を放出させるものである。
例えば金属―絶縁体―金属を積層したMIM(Metal-Insulator-Metal)型、金属―絶縁体―半導体を積層したMIS(Metal-Insulator-Semiconductor)型、金属―絶縁体―半導体−金属型等がある。MIM型については例えば特許文献1、金属―絶縁体―半導体型については非特許文献1などに記載のMOS型、金属―絶縁体―半導体−金属型は非特許文献2などに記載のHEED型、EL型については非特許文献3など、ポーラスシリコン型については非特許文献4などに報告されている。
薄膜電子源の動作原理をMIM型を例に図1を用いて説明する。図1は、MIM型薄膜電子源の動作原理の説明図である。MIM型の薄膜電子源は、ガラス等の絶縁基板上に第1の電極である第1電極(以下、下部電極とも称する)11を形成し、その上に電子加速層(以下、単に絶縁層とも称する)12を形成し、絶縁層12を覆って第2の電極(以下、上部電極とも称する)13を形成する。上部電極13と下部電極11との間に駆動電圧Vdを印加して、絶縁層12内の電界を1〜10MV/cm程度にすると、下部電極11中のフェルミ準位近傍の電子はトンネル現象により障壁を透過し、電子加速層12、上部電極13の伝導帯へ注入されホットエレクトロンとなる。
これらのホットエレクトロンは電子加速層である絶縁層12中、上部電極13中で散乱されてエネルギーを損失するが、上部電極13の仕事関数φ以上のエネルギーを有する一部のホットエレクトロンは、真空20中に放出される。
他の薄膜電子源も、電子を加速し、薄い上部電極を通して電子を放出する点で共通している。このような薄膜電子源は複数本の上部電極と、複数本の下部電極を直交させてマトリクスを形成すると、任意の場所から電子線を発生させることができるので、画像表示装置等の電子源に用いることができる。
これまで、Au−Al23−Al構造のMIM(Metal-Insulator-Metal)などから電子放出が観測されている。薄膜電子源アレイは、薄い上部電極を用いるため、画像表示装置などに適用するためには、通常給電線となる上部バス電極を付加する。この種の従来技術を開示したものとして、特許文献1―3、非特許文献1−4を挙げることができる。
特開平7−65710号公報 特開平10−294470号公報 特開平7−258893号公報 K. Yokoo,et al,"Emission Characteristics of metal-oxide-semiconductor electron tunneling cathode," J. Vac. Sci.Technol.,B11(2),pp.429−432 (1993) N. Negishi,et al,"High Efficiency Electron-Emission in Pt/SiOx/Si/Al Structure," Jpn. J. Appl. Phys.,vol 36,Part 2,No. 7B,pp. L939-L941 (1997) 岡本信治,「EL薄膜からの電子放出−薄膜冷陰極−」,応用物理,第63巻,第6号,592頁乃至595頁(1994年) 越田信義,「ポーラスシリコンの発光 −間接・直接遷移の枠を超えて−」,応用物理,第66巻,第5号,437頁乃至443頁(1997年)
薄膜電子源の電子加速層である絶縁層は陽極酸化膜が用いられる。薄膜電子源の下部電極(第1の電極)にはアルミニウム或いはアルミニウム合金(アルミニウム―ネオジム等)が用いられ、この下部電極を有機溶剤を主体とする溶液に浸して処理する。そのため、生成された陽極酸化膜中に炭素などの不純物や膜中水分が含まれる。不純物や水分は電子を捕獲するトラップサイト(膜欠陥)の発生原因となる。従来から、陽極酸化処理後にアニール処理で絶縁膜中の不純物や水分を脱離して絶縁膜の安定化を図ることが行われている。しかしながら、従来のアニールでは、依然として絶縁膜中や絶縁膜/基板界面に電荷を捕獲するトラップサイトが多く残存する。このトラップサイトに捕獲された電子は残像と呼ばれる表示不良を引き起こす原因となる。また、トラップサイトの多い絶縁膜(陽極酸化膜)を電子加速層に用いると、絶縁性も損なわれ、電子源の信頼性を損ね、寿命劣化の原因となる。なお、陽極酸化膜中の不純物に関連した従来技術を開示したものとして、特許文献2があるが、この特許文献2で論じられている陽極酸化膜はあくまで絶縁性に関してであり、薄膜電子源の電子加速層としての課題を示唆するものでない。また、特許文献3では陽極化成(陽極酸化処理)の条件による膜中不純物の制御について開示されている。しかし、不純物量、膜欠陥量については考慮されていない。
本発明の目的は、陽極酸化膜中のトラップサイトを低減する方法により、残像が低減し、高信頼性かつ長寿命の画像表示装置を提供することにある。
本発明の画像表示装置を製造する方法は、電子加速層となる絶縁層を形成する陽極酸化処理の前又は陽極酸化処理の後あるいはその前後で、オゾン雰囲気中でのアニール処理することを特徴とする。この方法で製造された画像表示装置の薄膜電子源は、その電子加速層の欠陥順位が1.5eV以下の欠陥を、1.5×1018個以下有する。
残像は、浅い準位(低エネルギー)のトラップサイトに捕獲された電子が再放出されることによって起こる現象である。したがって、特定エネルギー範囲(<1.5eV以下)のトラップサイトを低減することが必要である。欠陥準位1.5eV以下の欠陥を1.5×1018個/cm3以下とすることによって、残像の少ない画像表示装置を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態につき、実施例の図面を参照して詳細に説明する。先ず、本発明の画像表示装置を構成する薄膜電子源の製造方法の各実施例に共通する部分と、この製造方法で得られた画像表示装置を説明する。
図2乃至図10は、本発明の薄膜電子源の製造方法を説明する要部平面図および要部断面図で、図3は、図2に続く図、図4は図3に続く図、・・・図10は図9に続く図である。始めに、ガラスを好適とする絶縁性基板(以下、絶縁基板とも称する)10上に下部電極(第1電極)11用の金属膜を成膜する。下部電極材料としてはアルミニウム(Al)やAl合金を用いる。AlやAl合金を用いたのは、陽極酸化により良質の絶縁膜を形成できるからである。ここでは、ネオジム(Nd)を2原子量%ドープしたAl−Nd合金を用いた。成膜には例えば、スパッタリング法を用いる。その膜厚は300nmとする(図2)。
Al−Nd合金の成膜後は、ホト工程、エッチング工程によりストライプ形状の下部電極11を形成する。エッチングは例えば燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液でのウェットエッチングを用いる(図3)。
次に、陽極酸化(陽極化成)により、電子放出部を制限し下部電極11のエッジへの電界集中を防止する第1保護絶縁層14と、電子加速層である絶縁層12を形成する。まず、下部電極11上の電子放出部となる部分をレジスト膜25でマスクし、その他の部分を選択的に厚く陽極酸化し、第1保護絶縁層14とする(図4)。化成電圧(陽極酸化電圧)を100Vとすれば、厚さ約140nmの保護絶縁層14が形成される。
次に、レジスト膜25を除去し、残りの下部電極11の表面を陽極酸化する。例えば、化成電圧を6Vとすれば、下部電極11上に厚さ約10nmの絶縁層すなわち電子加速層12が形成される(図5)。次に、保護絶縁層14、電子加速層(絶縁層12)中、あるいは電子加速層12の表面の水分、不純物を昇華脱離させるために加熱処理を行う。
本実施例の画像表示装置を構成する薄膜電子源では、電子加速層12である絶縁層内にかかる電界強度が1〜10MV/cm程度である。電子加速層の膜厚を薄くした場合、印加電圧を下降させることが必要であるが、印加電圧を下げると、上部電極13の仕事関数φ以上のエネルギーを持ち、真空20中に放出されるホットエレクトロンの量が減少することになる。そのため膜厚を過剰に薄くすると、高効率な薄膜電子源としての役割を果たさなくなってしまう。
また、電子加速層12の膜厚を厚くした場合には、印加電圧を上昇させることによって、必要な電界強度を得ることが可能である。印加電圧の上昇に伴い、第2電極である上部電極13の仕事関数φ以上のエネルギーを持つホットエレクトロンの量は増大することになるが、膜厚増加に伴い、電子加速層である電子加速層12中で散乱される量も増大してしまう。そのため膜厚を過剰に厚くした場合についても高効率な薄膜電子源としての役割を果たさなくなってしまう。
従って、電子加速層12の膜厚には最適な範囲が存在することになり、この膜厚範囲は5nm〜15nmであれば、高効率な薄膜電子源としての役割を果たすことが実験的に解って来た。なお、ここでは電子加速層12の膜厚を10nmとしているが、この様に膜厚を10nmとするためには、化成電圧を6Vとすればよく、また5nmとする場合には化成電圧を3Vとし、また15nmとする場合には化成電圧を9Vとすることにより、所定の膜厚を得ることが可能である。
次に、上部電極(第2の電極)13への給電線となる上部バス電極膜とその下に形成する第2保護絶縁層15、第1の金属層(上部バス電極)26、第2の金属層27を例えばスパッタリング法等で成膜する。第2保護絶縁層15としては、Si窒化物を用い、膜厚は100nmとした。この第2保護絶縁層15は、陽極酸化で形成する保護絶縁層14にピンホールがあった場合、その欠陥を埋め、下部電極11と上部バス電極間の絶縁を保つ役割を果たす。第1の金属層(上部バス電極)26の材料としてクロム(Cr)を、第2の金属層27の材料としてAl−Nd合金を用いた。第1の金属層26としては他にモリブデン(Mo)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)など、第2の金属層27としては他にAl、銅(Cu)、CrやCr合金等が適用可能である。膜厚は、第1の金属層26を数10nm、第2の金属層27を数μm成膜する(図6)。
続いて、ホトエッチング工程により第1の金属層27と第2の金属層(上部バス電極)27を下部電極11とは直交するように加工して形成する。エッチャントは、第1の金属層26のCrは硝酸アンモニウムセリウム水溶液等、第2の金属層27のAl−Nd合金は、燐酸、酢酸、硝酸の混合水溶液等を用いる(図7、図8)。
次に、第2保護絶縁層15のSiNをドライエッチングし、電子放出部を開口する(図9)。最後に、上部電極13の成膜を行う。この成膜法は、例えばスパッタ成膜を用いる。上部電極13としては、例えばイリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)の積層膜を用い膜厚は数nmで、ここでは5nmとした。成膜された薄い上部電極13は、第1の金属層26のCr膜、および第2の金属層27のAl−Nd膜と接触し、給電される構造となる(図10)。
次に、上記の薄膜電子源をマトリクス配置した薄膜電子源アレイ基板(背面基板)を用いて構成した画像表示装置、すなわち薄膜電子源アレイ基板(図10)と蛍光面および陽極を形成した蛍光面基板(前面基板)とをスペーサを介し貼りあわせ、本発明の表示装置を形成する方法を説明する。
図11は、本発明の薄膜型電子源を用いた表示装置の前面基板を示す図である。前面基板の作製は以下のように行う。基板110には透光性のガラスなどを用いる。まず、画像表示装置のコントラストを上げる目的でブラックマトリクス120を形成する。ブラックマトリクス120は、PVA(ポリビニルアルコール)と重クロム酸ナトリウムとを混合した溶液を基板110に塗布し、ブラックマトリクス120を形成したい部分以外に紫外線を照射して感光させた後、未感光部分を除去し、そこに黒鉛粉末を溶かした溶液を塗布し、PVAをリフトオフすることにより形成する。
次に、赤色蛍光体111を形成する。蛍光体粒子にPVA(ポリビニルアルコール)と重クロム酸アンモニウムとを混合した水溶液を基板110上に塗布した後、蛍光体を形成する部分に紫外線を照射して感光させ、未感光部分を流水で除去する。このようにして赤色蛍光体111をパターン化する。パターンは図11に示したようなストライプ状にパターン化する。同様にして、緑色蛍光体112と青色蛍光体113を形成する。蛍光体としては、例えば赤色にY22S:Eu(P22−R)、緑色にZnS:Cu,Al(P22−G)、青色にZnS:Ag,Cl(P22−B)を用いればよい。
次いで、ニトロセルロースなどの膜でフィルミングした後、基板110全体にAlを,膜厚75nm程度蒸着してメタルバック114とする。このメタルバック114が加速電極、すなわち陽極となる。その後、基板110を大気中400℃程度に加熱してフィルミング膜やPVAなどの有機物を加熱分解する。このようにして、表示側基板が完成する。
図12は、本発明の薄膜電子源を用いた画像表示装置の断面を示す図である。上記ようにして作製した前面基板110と背面基板10とをスペーサ40を介し、周囲の枠116をフリットガラス115を用いて封着する。封着は、フリットガラスペースト中に含まれる有機物のバインダを飛ばすため、およびガス置換などの設備、手間を省き低コスト化するため、大気中で行う。
図12には貼り合わせた表示パネルの図11のA−A'断面、B−B'断面に相当する部分を示す。前面基板110−背面基板10間の距離は1〜3mm程度になるようにスペーサ40の高さを設定する。図12では、説明のため、R(赤)、G(緑)、B(青)に発光する蛍光体ドット毎に全てスペーサ40を立てているが、実際は機械強度が耐える範囲でスペーサ40の枚数(設置密度)を減らし、大体1cm程度置きに立てればよい。封着したパネルは10-7Torr程度の真空に排気して封じきる。
真空封じ後、ゲッターを活性化し、パネル内の真空を維持する。例えば、バリウム(Ba)を主成分とするゲッター材の場合、高周波誘導加熱等によりゲッター膜を形成できる。また、ジルコニウム(Zr)を主成分とする非蒸発型ゲッターを用いてもよい。
このように本実施例では、前面基板110と背面基板10間の距離は1〜3mm程度と長いので、メタルバック114に印加する加速電圧を3〜6KVと高電圧に出来る。したがって、上述のように蛍光体には陰極線管(CRT)用の蛍光体を使用できる。
図13Aは、本発明による画像表示装置の製造方法の実施例1をまとめて説明するプロセス図である。実施例1では、ガラス等の絶縁基板10の上に下部電極(第1電極)11を成膜、加工した後、第1保護絶縁層14を形成する。
第1保護絶縁層14を形成後、オゾン(O3)処理をする。このオゾン処理はオゾン雰囲気中でのアニール処理で、保護絶縁層14の形成直後が望ましい。その後、電子加速層12を形成する。
以下、第2保護絶縁層15、第1の金属層26、第2の金属層27を成膜し、加工した後、上部電極13を形成して薄膜トランジスタ基板となる絶縁基板10側を製作する。
一方で、絶縁基板110にブラックマトリクス120、RGB蛍光体111,112,113を形成し、フィルミング後、メタルバック114を形成してカラーフィルタ基板を製作する。
このようにして製作したカラーフィルタ基板と薄膜トランジスタ基板とをスペーサ40を介して貼り合わせ、周囲を枠(封止枠)116とフリットガラス115で封着する。封止された内部空間を排気して画像表示装置が完成する。
実施例1によれば、欠陥準位1.5eV以下の欠陥を1.5×1018個/cm3以下として、残像の少ない画像表示装置を得ることができる。
図13Bは、本発明による画像表示装置の製造方法の実施例2をまとめて説明するプロセス図である。実施例1と同様に、ガラス等の絶縁基板10の上に下部電極(第1電極)11を成膜、加工した後、第1保護絶縁層14を形成する。第1保護絶縁層14を形成後、電子加速層12を形成する。電子加速層12を形成後にオゾン雰囲気中でのアニールでオゾン処理をする。
以下、第2保護絶縁層15、第1の金属層26、第2の金属層27を成膜し、加工した後、上部電極13を形成して薄膜トランジスタ基板となる絶縁基板10側を製作する。
一方、絶縁基板110にブラックマトリクス120、RGB蛍光体111,112,113を形成し、フィルミング後、メタルバック114を形成してカラーフィルタ基板を製作する。
このようにして製作したカラーフィルタ基板と薄膜トランジスタ基板とをスペーサ40を介して貼り合わせ、周囲を枠(封止枠)116とフリットガラス115で封着する。封止された内部空間を排気して画像表示装置が完成する。
実施例1によっても、欠陥準位1.5eV以下の欠陥を1.5×1018個/cm3以下として、残像の少ない画像表示装置を得ることができる。
実施例3は、実施例1と実施例2を組み合わせたもので、第1保護絶縁層14を形成後、オゾン(O3)処理をすると共に、電子加速層12を形成後にオゾン雰囲気中でのアニールでオゾン処理をする。
実施例3によれば、実施例1、実施例2よりもさらに膜欠陥が低減され、より残像の少ない画像表示装置を得ることができる。
図14は、本発明で得られた薄膜電子源についてTSC法を用いて欠陥評価を行った結果を説明する図である。TSC法(熱刺激電流測定法)は薄膜電子源の欠陥評価の手法として従来よりよく知られている方法である。TSC法では、特定の欠陥準位にトラップされた電子(またはホール)を熱により開放し、開放時に発生する電流を測定することで欠陥評価を行うものである。図14中、実線は従来の製造方法で製作した薄膜電子源の欠陥評価を示し、点線は本発明の製造方法で製作した薄膜電子源の欠陥評価を示す。図14から明らかなように、本発明のオゾン処理によって特定欠陥準位の欠陥量が著しく減少していることが判る。
図15は、本発明で得られた薄膜電子源についてPSC法を用いて欠陥評価を行った結果を説明する図である。PSC法(光刺激電流測定法)も薄膜電子源の欠陥評価の手法として従来からよく知られている方法である。
光刺激電流法は、欠陥にトラップされた電荷を外部からのエネルギーによって、デトラップ(離脱)させるという意味ではTSC法と同原理である。TSCが熱エネルギーを使うのに対して、PSCは光エネルギーを用いる。この測定で用いた光照射エネルギーは1.5eVから4.5eVのエネルギーである。しかし、実際にはそのエネルギー範囲の光を、例えば、0.1eVのステップで刻んで照射する。
PSC法は、照射した際の電流変動によって、どのエネルギーでデトラップが多いかを判定する手法である。なお、1.5eV以下のエネルギーを照射するのは実験的に簡単ではないため、最低照射エネルギーは1.5eVとしている。ちなみに、1.5eVのエネルギーを照射した際には1.5eV以下の電荷がすべて抜けることになる。また、最大エネルギーは4.5eVとしているが、これも上記した低エネルギー側と同じ理由で、現実的な実験装置から制約されるものである。参考までに、照射エネルギーと光の波長の関係は、「エネルギー(eV)=1240/光の波長(nm)」の式で求められる。
図16は、本発明の製造法で製作した画像表示装置の薄膜電子源と従来の製造方法で製作した画像表示装置の薄膜電子源についてTSC法を用いて欠陥を測定し、1.5eV以下の欠陥密度を算出して比較した結果を示す図である。図16に示されたように、本発明の実施例1である陽極酸化前にオゾン処理したもの、本発明の実施例2である陽極酸化後にオゾン処理したものでは、オゾン処理をしない従来の製造方法で製作したものに比べて、欠陥密度が約半分以下に減少していることが判る。なお、図16には示してはいないが、本発明の実施例3についての効果は、実施例1の効果と実施例2の効果との相乗効果となり、欠陥密度がさらに大幅に減少したものとなる。
図17は、比較のために示す従来の製造方法で製作した画像表示装置の薄膜電子源の電流―電圧特性を説明する図である。なお、電流―電圧(I−V)特性として縦軸には電流密度(A/cm2)をとって示す。図17において、(1)実線は1000秒電圧印加直後のI−V特性、(2)点線は電圧印加を止め、1秒放置後のI−V特性、(3)一点鎖線は電圧印加を止め、さらに10秒放置後のI−V特性を示す。
(1)→(3)へと時間が経過するに従い、蓄積した電荷(電子)が放出されるため、I−V特性は負の方向(図面では左方向)にシフトする。定性的には、このシフト量が小さい程、蓄積電荷量が少なく、シフトする時間が早ければ早いほど、トラップ量が少なかったり、準位(エネルギー)が低い可能性がある。
図18は、本発明のオゾン処理を用いて製作した図17と同様の画像表示装置の薄膜電子源の電流―電圧特性を説明する図である。図18においても、(1)実線は1000秒電圧印加直後のI−V特性、(2)点線は電圧印加を止め、1秒放置後のI−V特性、(3)一点鎖線は電圧印加を止め、さらに10秒放置後のI−V特性を示す。図18を図17と比較すると、(2)に示した最初の1秒後のシフト量が大きい、すなわち、速いスピードで欠陥が脱離していることが判る。
図19は、本発明における画像表示装置の残像評価の検査方法を説明する模式図である。図19により、残像評価の検査方法を簡単に説明する。
(1)まず、図19(a)に示したように、画像表示装置の画面全面を中間調表示31の状態にする。ここで、最大輝度の1/4の明るさにしたものを中間調と定義する。符号32で示した部分は白表示予定範囲である。白表示予定範囲32は任意である。
(2)次に、図19(b)に示したように、白表示予定範囲32を最大輝度で表示させる(図中、白抜きで“TEST”と表示した白表示33の部分)。例えば、この状態で1000秒間保持する。
(3)次に、白表示33部分を、もとの中間調表示状態に戻す。理想的には背景の部分(中間調表示箇所31)と文字を表示した部分は同輝度になるはずであるが、最大輝度表示をさせた部分は、閾値Vthのシフトが大きいため、同輝度にはならない。最大輝度を印加した状態では、Vthは最も正の方向にずれ、時間経過に伴い。負の方向へとシフトする。負方向へのシフトが終了したところ(注入電荷が抜けきったところ)で、背景と文字表示部分の輝度は等価となる。
上記した現象が起こった場合、最大輝度表示した部分は、中間調表示させる電圧を印加しても、Vthシフトのため所望の電流が流れず、視覚的には背景よりも暗い画像となる。これが残像となって見えることになる。
図20は、オゾン処理した本発明の画像表示装置とオゾン処理しない従来の画像表示装置との残像評価を視覚的に比較した図である。図20において、横軸は最大輝度電圧を中間調輝度電圧に戻した直後からの経過時間(秒)、縦軸は文字表示部/背景輝度の比(%)である。常時縦軸100%となるのが理想的であるが、視覚的(官能検査的)には1秒後に95%を超える輝度に復活していれば問題なしと定義する。この定義に従えば、実線で示したオゾン処理しない従来の画像表示装置は高々95%であるのに対し、点線で示したオゾン処理した本発明の画像表示装置では1秒未満ですでに98%前後に回復し、1秒後には100%に極めて近い輝度に回復している。
本発明で作製した薄膜電子源を用いた画像表示装置では、薄膜中の欠陥量が大幅に低減され、残像が極めて少なく、より長寿命の画像表示装置を提供することが可能である。
薄膜電子源の動作原理を示す図である。 本発明の薄膜電子源の製造方法を示す図である。 本発明の薄膜電子源の製造方法を示す図2に続く図である。 本発明の薄膜電子源の製造方法を示す図3に続く図である。 本発明の薄膜電子源の製造方法を示す図4に続く図である。 本発明の薄膜電子源の製造方法を示す図5に続く図である。 本発明の薄膜電子源の製造方法を示す図6に続く図である。 本発明の薄膜電子源の製造方法を示す図7に続く図である。 本発明の薄膜電子源の製造方法を示す図8に続く図である。 本発明の薄膜電子源の製造方法を示す図9に続く図である。 本発明の薄膜電子源を用いた画像表示装置の前面基板を示す図である。 本発明の薄膜電子源を用いた表示装置の断面を示す図である。 本発明の画像表示装置の製造プロセスの実施例1の全体をまとめて示す図である。 本発明の画像表示装置の製造プロセスの実施例2の全体をまとめて示す図である。 本発明で得られた薄膜電子源についてTSC法を用いて欠陥評価を行った結果を説明する図である。 本発明で得られた薄膜電子源についてPSC法を用いて欠陥評価を行った結果を説明する図である。 本発明の製造法で製作した画像表示装置の薄膜電子源と従来の製造方法で製作した画像表示装置の薄膜電子源についてTSC法を用いて欠陥を測定し、1.5eV以下の欠陥密度を算出して比較した結果を示す図である。 比較のために示す従来の製造方法で製作した画像表示装置の薄膜電子源の電流―電圧特性を説明する図である。 本発明のオゾン処理を用いて製作した図17と同様の画像表示装置の薄膜電子源の電流―電圧特性を説明する図である。 本発明における画像表示装置の残像評価の検査方法を説明する模式図である。 オゾン処理した本発明の画像表示装置とオゾン処理しない従来の画像表示装置との残像評価を視覚的に比較した図である。
符号の説明
10・・・絶縁基板、11・・・第1電極(下部電極)、12・・・絶縁層(電子加速層)、13・・・第2電極(上部電極)、14・・・第1保護絶縁層、15・・・第2保護絶縁層、20・・・真空、25・・・レジスト膜、26・・・第1の金属層(上部バス電極)、27・・・第2の金属層(上部バス電極)、40・・・スペーサ、110・・・面板、111・・・赤色蛍光体、112・・・緑色蛍光体、113・・・青色蛍光体、114・・・メタルバック、115・・・フリットガラス、116・・・枠。

Claims (14)

  1. 絶縁基板上に第1電極と、第1電極の上層を陽極酸化処理して形成された絶縁層からなる電子加速層と、電子加速層上に成膜された第2電極との積層構造を有する薄膜電子源を備えた画像表示装置の製造方法であって、
    前記電子加速層を形成する陽極酸化処理の前にオゾン雰囲気中でアニール処理することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記アニール処理の直前に、前記第1電極の前記アニール処理される領域を制限すると共に、前記第1電極への電界集中を防止する第1保護絶縁層を成膜することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  3. 請求項2において、
    前記アニール処理の後に、前記第1の保護絶縁層の上に第2保護絶縁層を成膜し、前記アニール処理で形成された電子加速層と前記第2保護絶縁層を覆って前記第2電極を形成することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  4. 絶縁基板上に第1電極と、第1電極の上層を陽極酸化処理して形成された絶縁層からなる電子加速層と、電子加速層上に成膜された第2電極との積層構造を有する薄膜電子源を備えた画像表示装置の製造方法であって、
    前記電子加速層を形成する陽極酸化処理の後にオゾン雰囲気中でアニール処理することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  5. 請求項4において、
    前記アニール処理の後に、前記第1保護絶縁層の上に第2保護絶縁層を成膜し、前記アニール処理で形成された電子加速層と前記第2保護絶縁層を覆って前記第2電極を形成することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  6. 絶縁基板上に第1電極と、第1電極の上層を陽極酸化処理して形成された絶縁層からなる電子加速層と、電子加速層上に成膜された第2電極との積層構造を有する薄膜電子源を備えた画像表示装置の製造方法であって、
    前記電子加速層を形成する陽極酸化処理の前にオゾン雰囲気中でアニール処理し、前記陽極酸化処理の後に再度オゾン雰囲気中でアニール処理することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  7. 請求項6において、
    前記アニール処理の直前に、前記第1電極の前記アニール処理される領域を制限すると共に、前記第1電極への電界集中を防止する第1保護絶縁層を成膜することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  8. 請求項7において、
    前記アニール処理の後に、前記第1保護絶縁層の上に第2保護絶縁層を成膜し、前記アニール処理で形成された電子加速層と前記第2保護絶縁層を覆って前記第2電極を形成することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
  9. 絶縁基板上に第1電極と、第1電極の上層を陽極酸化処理して形成された絶縁層からなる電子加速層と、電子加速層上に成膜された第2電極との積層構造を有する薄膜電子源を備えた画像表示装置であって、
    前記電子加速層は、欠陥順位が1.5eV以下の欠陥を、1.5×1018個以下有することを特徴とする画像表示装置。
  10. 請求項9において、
    前記第1電極の前記アニール処理される領域を除く当該第1電極の上に、前記第1電極への電界集中を防止する第1保護絶縁層を有することを特徴とする画像表示装置。
  11. 請求項10において、
    前記第1保護絶縁層の上に第2保護絶縁層を有し、前記電子加速層と前記第2保護絶縁層を覆って前記第2電極を有することを特徴とする画像表示装置。
  12. 請求項9において、
    前記第1の電極を構成する材料が、アルミニウムもしくはアルミニウムとおネオジムの合金であることを特徴とする画像表示装置。
  13. 請求項9において、
    前記第2電極を構成する材料が、イリジウム、白金、金,銀,ニッケル膜もしくはこれらの2種以上の積層膜であることを特徴とする画像表示装置。
  14. 請求項9において、
    前記第1保護絶縁層の厚さが5nmから15nmであることを特徴とする画像表示装置。
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