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JP2008103246A - 固体電解質層の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

固体電解質層の製造方法及びその製造装置 Download PDF

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JP2008103246A JP2006286164A JP2006286164A JP2008103246A JP 2008103246 A JP2008103246 A JP 2008103246A JP 2006286164 A JP2006286164 A JP 2006286164A JP 2006286164 A JP2006286164 A JP 2006286164A JP 2008103246 A JP2008103246 A JP 2008103246A
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Nobuo Kawasaki
信夫 川崎
Takeki Koto
武樹 小藤
Minoru Chiga
実 千賀
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Abstract

【課題】イオン伝導性を低下させる性質の結晶体を含まない緻密なガラス状の固体電解質からなる固体電解質層の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】基材を−200℃〜20℃に冷却しながら、原料物質を前記基材に溶射する、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において、原料物質の結晶ピークが測定されないガラス固体電解質からなる固体電解質層の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解質層の製造方法及びその製造装置に関する。
近年、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを動力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に用いられる高性能リチウム電池等二次電池の需要が増加している。
二次電池の部材である電極の形成には、CVD法、スパッタリング法、蒸着法、溶射法等が用いられている。
特に溶射法は、加熱溶融又は軟化する材料であれば、殆どあらゆる材料の溶射が可能で、プロセスが簡単であり、複雑形状部材や大型部材へも適用が可能である。また、他の成膜プロセスに比べ、成膜速度が格段に大きく、厚膜も可能であることから、工業的に広く用いられている。
しかし、ガラス原料物質を溶射した場合、得られるガラスは、非晶質のガラスの他に、イオン伝導性を低下させる性質の結晶が混在するという問題があった。
二次電池部材において、固体電解質層が緻密でアモルファス状のガラスであると、高いイオン伝導度が得られるために、イオン伝導度の低下の原因となるような結晶体を含まないガラス状固体電解質層の製造方法が求められていた。
特許文献1には、溶射法を用いた二次電池用負極の製造方法が開示されている。しかし、溶射法の利用についての実施態様の記載はなく、溶射法を用いた固体電解質層の製造方法について記載も示唆もされていない。
特許文献2には、非水電解質二次電池用正極の製造方法について、溶射法の利用が開示されている。しかし、溶射法の利用についての実施態様の記載はなく、溶射法を用いた固体電解質層の製造方法について記載も示唆もされていない。
特開2004−39407号公報 特開2001−338648号公報
本発明の目的は、イオン伝導性を低下させる性質の結晶体を含まない緻密なガラス状の固体電解質からなる固体電解質層の製造方法及び製造装置を提供することである。
本発明によれば、以下の固体電解質層の製造方法等が提供される。
1.基材を−200℃〜20℃に冷却しながら、原料物質を前記基材に溶射する、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において、原料物質の結晶ピークが測定されないガラス固体電解質からなる固体電解質層の製造方法。
2.前記ガラス固体電解質が硫化物系ガラスである1に記載の固体電解質層の製造方法。
3.1又は2に記載のガラス固体電解質を加熱処理するガラスセラミック固体電解質の製造方法。
4.基材を載置する基台と、前記基台を冷却する冷媒と、前記冷媒を供給する冷媒供給部と、前記基台と前記冷媒供給部の間で冷媒を循環させる冷媒循環部と、を備えた固体電解質層製造装置。
本発明によれば、イオン伝導性を低下させる性質の結晶体を含まない緻密なガラス状の固体電解質からなる固体電解質層の製造方法及び製造装置を提供することができる。
本発明の固体電解質層の製造方法は、基材を冷却しながら原料物質を基材に溶射することを特徴とする。
この方法では、基材に射出された原料物質が急冷して固化するため、結晶質が極めて少ないガラスが形成される。
溶射とは、燃焼ガスやプラズマ等を熱源として、材料を加熱溶融し、これを、ガス又は、圧縮エアーにより基材表面に吹き付けることにより、皮膜を形成するコーティング技術である。
上記溶射としては、フレーム溶射法、高速フレーム法等のガス式溶射法と、プラズマ溶射法、レーザー溶射法、アーク溶射法等の電気式溶射法が挙げられる。
本発明において、溶射は、減圧下、露点−30℃以下及び不活性化ガス下で行われることが好ましい。用いる溶射法は特に限定されないが、上記条件下で溶射が行われることから、好ましくは電気式溶射法である。
本発明の固体電解質層の製造方法は、基材を冷却しながら原料物質を溶射する。
冷却方法は特に限定されず、任意の方法でよい。冷却温度は、−200℃〜20℃であり、好ましくは−100℃〜0℃である。より好ましくは−80℃〜−20℃である。
本発明の方法で得られる固体電解質層の厚みは、好ましくは1〜500μmであり、より好ましくは1〜50μmであり、さらに好ましくは1〜30μmである。
本発明の製造方法で得られる固体電解質層を形成するガラス固体電解質は、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において、原料物質の結晶ピークが測定されない。
原料物質として、例えばLiSとPを用いた場合、溶射して得られる硫化物系ガラス固体電解質は、イオン伝導度の低下をもたらす結晶LiPS、Li、LiPS等に由来するピークが観測されない。
原料物質の溶射方法としては、ガラスとなる原料の混合物を溶射してもよいし、原料それぞれを溶射してもよい。また、ガラスを溶射してもよい。
ガラス固体電解質の原料は、特に限定されず、有機化合物、無機化合物、又は有機・無機両化合物からなる材料を用いることができ、リチウムイオン電池分野で公知のものが使用できる。特に、硫化物系の無機固体電解質は、イオン伝導度が他の無機化合物より高いことが知られており、特開平4−202024号公報等に記載の無機固体電解質を形成する原料を使用できる。具体的には、LiSとSiS、GeS、P、Bの組合せに、適宜、LiPOやハロゲン、ハロゲン化合物を添加して用いることができる。好ましい原料物質は、溶射して得られるガラス固体電解質のリチウムイオン伝導性が高いことから、硫化リチウムと五硫化二燐、又は硫化リチウムと単体燐及び単体硫黄、さらには硫化リチウム、五硫化二燐、単体燐及び/又は単体硫黄である。
LiSは、特に制限なく工業的に入手可能なものが使用できるが、以下に説明するように高純度のものが好ましい。
硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が好ましくは0.15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が好ましくは0.15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、得られる電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)である。即ち、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物であり、この結晶化物のイオン伝導度は低い。
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウム電池のサイクル性能を低下させることがない。
従って、高イオン伝導性電解質を得るためには、不純物が低減された硫化リチウムを用いる必要がある。
このガラス固体物質で用いられる硫化リチウムの製造法としては、少なくとも上記不純物を低減できる方法であれば特に制限はない。
例えば、以下の方法で製造された硫化リチウムを精製することにより得ることもできる。
以下の製造法の中では、特にa又はbの方法が好ましい。
a.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを0〜150℃で反応させて水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を150〜200℃で脱硫化水素化する方法(特開平7−330312号公報)。
b.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを150〜200℃で反応させ、直接硫化リチウムを生成する方法(特開平7−330312号公報)。
c.水酸化リチウムとガス状硫黄源を130〜445℃の温度で反応させる方法(特開平9−283156号公報)。
上記のようにして得られた硫化リチウムの精製方法としては、特に制限はない。好ましい精製法としては、例えば、国際公開WO2005/40039号等が挙げられる。
具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄する。
洗浄に用いる有機溶媒は、非プロトン性極性溶媒であることが好ましく、さらに、硫化リチウム製造に使用する非プロトン性有機溶媒と洗浄に用いる非プロトン性極性有機溶媒とが同一であることがより好ましい。
洗浄に好ましく用いられる非プロトン性極性有機溶媒としては、例えば、アミド化合物、ラクタム化合物、尿素化合物、有機硫黄化合物、環式有機リン化合物等の非プロトン性の極性有機化合物が挙げられ、単独溶媒、又は混合溶媒として好適に使用することができる。特に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)は、良好な溶媒に選択される。
洗浄に使用する有機溶媒の量は特に限定されず、また、洗浄の回数も特に限定されないが、2回以上であることが好ましい。洗浄は、窒素、アルゴン等の不活性ガス下で行うことが好ましい。
洗浄された硫化リチウムを、洗浄に使用した有機溶媒の沸点以上の温度で、窒素等の不活性ガス気流下、常圧又は減圧下で、5分以上、好ましくは約2〜3時間以上乾燥することにより、本発明で用いられる硫化リチウムを得ることができる。
は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。尚、Pに代えて、相当するモル比の単体リン(P)及び単体硫黄(S)を用いることもできる。単体リン(P)及び単体硫黄(S)は、工業的に生産され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
上記硫化リチウムと、五硫化二燐又は単体燐及び単体硫黄の混合モル比は、通常50:50〜80:20、好ましくは60:40〜75:25である。
特に好ましくは、LiS:P=68:32〜74:26(モル比)程度である。
原料物質として、上記の硫化リチウムと、五硫化二燐又は単体燐及び単体硫黄から得られる硫化物系ガラスを用いて溶射してもよい。また、前記の原料物質を混合し、溶射時に溶融させて溶射する方法を採用してもよい。原料物質である硫化物系ガラスの製造方法としては、溶融急冷法やメカニカルミリング法(MM法)がある。
溶融急冷法による場合、PとLiSを所定量乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、硫化リチウム系ガラスが得られる。
この際の反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは、800℃〜900℃である。
また、反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は1〜10000K/sec程度、好ましくは1〜1000K/secである。
MM法による場合、PとLiSを所定量乳鉢にて混合し、メカニカルミリング法にて所定時間反応させることにより、硫化物系ガラスが得られる。
上記原料を用いたメカニカルミリング法は、室温で反応を行うことができる。MM法によれば、室温でガラス状電解質を製造できるため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成のガラス状電解質を得ることができるという利点がある。
また、MM法では、ガラス状電解質の製造と同時に、ガラス状電解質を微粉末化できるという利点もある。
MM法は種々の形式を用いることができるが、遊星型ボールミルを使用するのが特に好ましい。
遊星型ボールミルは、ポットが自転回転しながら、台盤が公転回転し、非常に高い衝撃エネルギーを効率良く発生させることができる。
MM法の回転速度及び回転時間は特に限定されないが、回転速度が速いほど、ガラス状電解質の生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラス質状電解質ヘの原料の転化率は高くなる。
このようにして得られた電解質は、ガラス状電解質であり、通常、イオン伝導度は1.0×10−5〜8.0×10−4(S/cm)程度である。
MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
以上、溶融急冷法及びMM法による硫化物ガラスの具体例を説明したが、温度条件や処理時間等の製造条件は、使用設備等に合わせて適宜調整することができる。
原料物質は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、バインダーを添加することができる。原料物質には、さらにイオン性液体等のリチウムイオン伝導性を有する添加剤を配合してもよい。
原料物質を溶射する基材は、例えば集電体又は電極材層である。集電体又は電極材層に直接、原料物質を溶射し固体電解質層を形成することで固体電解質層の空隙率をより小さくすることができ、イオン伝導度を向上させることができる。
原料物質は、個々の集電体及び電極等の基材に溶射してもよく、ロール等の連続する基材に溶射してもよい。
集電体としては、銅、マグネシウム、ステンレス鋼、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム、リチウム、又は、これらの合金等からなる板状体や箔状体等が使用できる。
電極材層は電極材からなり、電極材には、正極材と負極材がある。
正極材としては、電池分野において正極活物質として使用されているものが使用できる。例えば、硫化物系では、硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化鉄(FeS、FeS)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni)等が使用できる。
また、酸化物系では、酸化ビスマス(Bi)、鉛酸ビスマス(BiPb)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V13)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)等が使用できる。尚、これらを混合して用いることも可能である。好ましくは、コバルト酸リチウムが使用できる。
尚、上記の他にセレン化ニオブ(NbSe)も使用できる。
負極材としては、電池分野において負極活物質として使用されているものが使用できる。例えば、炭素材料、具体的には、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素が挙げられる。又はその混合物でもよい。好ましくは、人造黒鉛である。また、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミ又は金属ケイ素の金属自体、又はこれら金属と他の元素又は化合物と組合わせた合金を、負極材として用いることができる。
電極は、電子伝導性に加えてイオン伝導度を向上させるため、極材の粒子同士が密着し、粒子間の接合点や面を多く存在させ、リチウムイオン伝導パスをより多く確保することが重要である。そのため、上記極材に固体電解質層を形成する固体電解質等のイオン伝導活物質を混合する方法も用いられる。極材粒子間の隙間に生じる空間(単位体積における空間体積と極材粒子の体積の割合:空隙率)が少ない程、電極材が密に詰まっており、イオン伝導度は高くなる。
上記電極材には、導電補助剤を混合してもよい。
導電補助剤は、電子が正極活物質内で円滑に移動するようにするための電気的に導電性を有す物質である。導電補助剤としては特に限定しないが、アセチレンブラック、カーボンブラック、カーボンナノチューブのような導電性物質又はポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロールのような導電性高分子を単独又は混合して用いることができる。
本発明の製造方法を用いて製造されたガラス固体電解質を加熱することにより、ガラスセラミック固体電解質を製造することができる。この場合、固体電解質層の溶射により形成された小さい空隙率を維持しながら、ガラスセラミックの形成に起因するイオン伝導度の向上を利用することができるので好ましい。
加熱処理温度は、好ましくは190℃〜340℃、より好ましくは、195℃〜335℃、特に好ましくは、200℃〜330℃である。加熱処理温度が190℃未満であると、高イオン伝導性の結晶が得られにくい場合があり、加熱処理温度が340℃を超えるとイオン伝導性の低い結晶が生じるおそれがある。
加熱処理時間は、190℃以上220℃以下の温度の場合は、好ましくは3〜240時間であり、より好ましくは4〜230時間である。また、220℃より高く340℃以下の温度の場合は、好ましくは0.1〜240時間、より好ましくは0.2〜235時間、特に好ましくは0.3〜230時間である。加熱処理時間が0.1時間より短いと、高イオン伝導性の結晶が得られにくい場合があり、240時間より長いと、イオン伝導性の低い結晶が生じるおそれがある。
本発明の製造方法で得られるガラスセラミック固体電解質が、例えばLiS及びPから得られるガラスセラミック固体電解質である場合、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において、2θ=17.8±0.3deg,18.2±0.3deg,19.8±0.3deg,21.8±0.3deg,23.8±0.3deg,25.9±0.3deg,29.5±0.3deg,30.0±0.3degに回折ピークを有することが好ましい。
このような結晶構造を有する固体電解質が、極めて高いリチウムイオン伝導性を有する。
本発明の方法で得られる固体電解質層と、上記集電体層及び電極層を接合したことにより実用レベルの全固体二次電池となる。
上記全固体二次電池は薄型化が可能であるため、積層して高出力を得ることができる。さらに、高度の集積が可能である。
本発明の固体電解質層製造装置は、基材を載置する基台と、基台を冷却する冷媒と、冷媒を供給する冷媒供給部と、基台と冷媒供給部の間で冷媒を循環させる冷媒循環部を具備する。ガラス状の固体電解質層は、この固体電解質層製造装置の基台に基材を搭載し、溶射装置から原料物資を、基材に溶射して製造できる。
図1は、本発明に係る固体電解質層製造装置の一実施形態を示す概略図である。
固体電解質層製造装置1において、銅製プレート(基台)10上にステンレス鋼(SUS)板(集電体)20をセットし、溶射装置2を用いて原料物質を溶射する。
溶射している間、冷媒供給部42から、冷媒が、冷媒流通管(冷媒循環部)46を通って、冷却ユニット(基台)44に供給される。冷媒が冷却ユニット44を冷やすと共に、冷媒は冷却ユニット44により暖められる。暖められた冷媒は、冷媒流通管46を通って、再度冷媒供給部42に戻り、冷媒供給部42で冷却されて、冷却ユニット44に供給される。
尚、銅製プレート10は省略でき、ステンレス鋼板を直接冷却ユニット44にセットしてもよい。
製造例1
(1)硫化リチウム(LiS)の製造
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報の第1の態様(2工程法)の方法に従って製造した。具体的には、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。続いてこの反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した硫化水素の一部を脱硫化水素化した。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。脱硫化水素反応が終了後(約80分)反応を終了し、硫化リチウムを得た。
(2)硫化リチウムの精製
上記(1)で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP 100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP 100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
尚、亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)並びにチオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。
(3)硫化リチウム系ガラスの製造
上記製造例にて製造したLiSとP(アルドリッチ製)を出発原料に用いた。これらを70対30のモル比に調製した混合物を約1gと直径10mmのアルミナ製ボール10ケとを45mLのアルミナ製容器に入れ、遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)にて、窒素中、室温(25℃)にて、回転速度を370rpmとし、20時間メカニカルミリング処理することで、白黄色の粉末である硫化リチウム系ガラスを得た。
得られた粉末について、粉末X線回折測定を行った(CuKα:λ=1.5418Å)。得られたチャートが、非晶質体特有のブロードな形を示していることから、この粉末がガラス化(非晶質化)していることが確認できた。
実施例1
以下の固体電解質層の製造は露点が−50℃以下の空気中で行った。
冷却機能を有する銅製のステージ上に、0.5×5×5mmのSUS板を載せた。サーモグラフで観測し、SUS板全体の温度が−30℃になったことを確認し、製造例1(3)で得られた硫化リチウム系ガラスの溶射を行った。溶射は、プラズマ溶射機(日本ユテク株式会社製)を用いて行い、SUS板上に、膜厚が300μmの固体電解質層を形成した。
得られた固体電解質層について、X線として、Cu−Kα(λ=1.5418Å)を用いてX線回折測定を行ったところ、結晶ピークが全く観測されなかった。得られた固体電解質層を、直径10mmにくりぬき、イオン伝導度を交流インピーダンス法(測定周波数:100Hz〜15MHz)により測定したところ、5.0×10−4S/cmであった。
実施例2
硫化リチウム系ガラスに代えて、製造例1(2)で得られたLiSとP(アルドリッチ製)の混合物(モル比で、LiS:P=70:30)を用いた他は、実施例1と同様にして固体電解質層を形成した。X線回折では、原料や他の結晶に由来するピークは観測されなかった。また、イオン伝導度を測定したところ、4.5×10−4S/cmであった。
比較例1
溶射する際のSUS板の温度を25℃に設定した他は、実施例2と同様にして固体電解質層を形成した。得られた固体電解質層のX線回折を行ったところ、いくつか結晶に由来するピークが観測された。ピークの同定を行ったところ、原料であるLiSの結晶とPの結晶が含まれていることがわかった。また、イオン伝導性を低下させると考えられているLiの結晶が生成していることが判明した。この固体電解質層のイオン伝導度は、5.0×10−6S/cmと低いものであった。
実施例3
実施例2で製造した非晶性の固体電解質からなる固体電解質層をオーブンに入れ、300℃で2時間加熱した。得られたものについてX線回折測定をしたところ、2θ=17.8deg, 18.2deg, 19.8deg, 21.8deg, 23.8deg, 25.9deg, 29.5deg, 30.0degに回折ピークを有することが確認された。また、イオン伝導度は1.6×10−3S/cmであった。
実施例4
(1)固体電解質層の製造
コバルト酸リチウム(LiCoO)と製造例1(3)で作製した硫化リチウム系ガラスを300℃、2時間で熱処理したリチウムイオン導電性固体電解質の8:5重量比混合物を正極材として用いた。上記正極材と0.5×5×5mmのSUS板を加圧プレス機を用いてプレスし、SUS板上に厚さ3mmの正極材層を形成した。
SUS板の代りに上記正極材層を用いた他は実施例1と同様にして固体電解質層を形成した。X線回折では、原料や他の結晶に由来するピークは観測されなかった。
(2)電池の製造
カーボングラファイト(TIMCAL製、SFG−15)と製造例1(3)で作製した硫化リチウム系ガラスを300℃、2時間で熱処理したリチウムイオン導電性固体電解質の1:1重量比混合物を負極材として用いた。この負極材を、上記(1)で得られた正極材層と固体電解質層の積層体を直径10mmにくりぬいた積層体の固体電解質層側上に分散させて加圧プレスすることで、積層体上に厚さ2mmの負極材層を形成した。この3層からなる積層体を測定セルとし、10μAの定電流で充放電させることにより、電池特性を調べたところ、初期充電効率は82%であった。
また、上記測定セルの作動電位(リチウム金属の標準電極電位を基準(0V)とした場合の正極の電位差)は3.4Vであった。
本発明の製造方法及び本発明の製造装置で得られる固体電解質層は、全固体二次電池に使用できる。
全固体二次電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを電力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の電池として用いることができる。
本発明に係る固体電解質層製造装置の一実施形態を示す概略図である。
符号の説明
1 固体電解質層製造装置
2 溶射装置
10 銅製プレート(基台)
20 ステンレス鋼板(集電体)
42 冷媒供給部
44 冷却ユニット(基台)
46 冷媒流通管(冷媒循環部)

Claims (4)

  1. 基材を−200℃〜20℃に冷却しながら、原料物質を前記基材に溶射する、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において、原料物質の結晶ピークが測定されないガラス固体電解質からなる固体電解質層の製造方法。
  2. 前記ガラス固体電解質が硫化物系ガラスである請求項1に記載の固体電解質層の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のガラス固体電解質を加熱処理するガラスセラミック固体電解質の製造方法。
  4. 基材を載置する基台と、
    前記基台を冷却する冷媒と、
    前記冷媒を供給する冷媒供給部と、
    前記基台と前記冷媒供給部の間で冷媒を循環させる冷媒循環部と、
    を備えた固体電解質層製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013099834A1 (ja) * 2011-12-28 2013-07-04 三井金属鉱業株式会社 硫化物系固体電解質
KR20170104461A (ko) * 2014-12-02 2017-09-15 폴리플러스 배터리 컴퍼니 Li 이온 전도성 황-기반 유리의 유리체 고체 전해질 시트들 및 연관된 구조들, 셀들 및 방법들

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