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JP2008140563A - 燃料電池 - Google Patents

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JP2008140563A
JP2008140563A JP2006322919A JP2006322919A JP2008140563A JP 2008140563 A JP2008140563 A JP 2008140563A JP 2006322919 A JP2006322919 A JP 2006322919A JP 2006322919 A JP2006322919 A JP 2006322919A JP 2008140563 A JP2008140563 A JP 2008140563A
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Keisuke Nagasaka
圭介 永坂
Yoshihisa Tamura
佳久 田村
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】中空型セルを備えた燃料電池において、中空型セルの内周面側を流通する反応ガスの濃度勾配に起因する中空型セルの軸方向の一端側から他端側にかけて減少する発電勾配を緩和、又は理想的には均一化し、中空型セルの劣化を抑制する。
【解決手段】中空電解質膜、該中空電解質膜の内周面及び外周面に設けられた一対の電極、並びに該一対の電極にそれぞれ接続する集電材を有し、且つ、少なくとも一方の端部が開放された中空型セルを備える燃料電池であって、
該中空型セルの内周面及び外周面のうち少なくとも一方に、該中空型セルの内周面側ガス流路の上流側から下流側にいくに従って該内周面又は外周面の単位面積当りの反応ガスの接触面積を増大させる接触面積変化手段が設けられていることを特徴とする燃料電池。
【選択図】図1

Description

本発明は、中空形状の電解質膜を有する中空型セルを備える燃料電池に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、燃料電池はカルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示す。電解質として固体高分子電解質を用いる固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動することなどの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
固体高分子電解質型燃料電池では、水素を燃料とした場合、アノード(水素極)では(1)式の反応が進行する。
→ 2H + 2e …(1)
(1)式で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、カソード(酸化剤極)に到達する。そして、(1)式で生じたプロトンは、水と水和した状態で、固体高分子電解質膜内を水素極側から酸化剤極側に、電気浸透により移動する。
また、酸素を酸化剤とした場合、酸化剤極では(2)式の反応が進行する。
2H + (1/2)O + 2e → HO …(2)
酸化剤極で生成した水は、主としてガス拡散層を通り、外部へと排出される。
このように、燃料電池では、水以外の排出物がなく、クリーンな発電装置である。
従来、固体高分子電解質型燃料電池としては主に、平面状の固体高分子電解質膜の一面に水素極及び他面に酸化剤極となる触媒層を設けるとともに、得られた平面状の膜・電極接合体の両側にさらにそれぞれガス拡散層を設け、さらに平面状のセパレータで挟んだ平型の単セルが開発されてきた。このような平型の単セルは、複数積層して燃料電池スタックとして用いられる。
固体高分子電解質型燃料電池の出力密度向上のため、固体高分子電解質膜としては非常に膜厚の薄いプロトン伝導性高分子膜が用いられている。この膜厚はすでに100μm以下のものが主流であり、さらなる出力密度向上のためにさらに薄い電解質膜を用いたとしても、単セルの厚みを現在のものより劇的に薄くすることはできない。同様に、触媒層、ガス拡散層及びセパレータ等についてもそれぞれ薄膜化が進んでいるが、それらすべての部材の薄膜化によっても、単位体積当たりの出力密度の向上には限界がある。従って、小型化の要求に対しても、今後充分に応えられなくなることが予想される。
また、前記セパレータには、通常、腐食性に優れたシート状のカーボン材料が用いられている。セパレータは、このカーボン材料自体が高価である上に、平面状の膜・電極接合体の面全体に均一に燃料ガス及び酸化剤ガスを行き渡らせるためのガス流路溝を、微細加工により形成するため、非常に高価なものとなっている。その結果、燃料電池の製造原価を押し上げていた。
以上の問題の他にも、平型の単セルには、前記ガス流路から燃料ガス及び酸化剤ガスが漏れ出さないように幾層にもスタックされた単セルの周縁を確実にシールすることが技術的に難しいこと、平面状の膜・電極接合体のたわみや変形に起因して発電効率が低下してしまうことなど、多くの問題がある。
近年、中空状の電解質膜の内周面側と外周面側にそれぞれ電極を設けた中空型セルを基本的な発電単位とする固体高分子電解質型燃料電池が開発されている(例えば、特許文献1等)。
このような中空型セルを有する燃料電池は、その中空内をガス流路とするため、平型で使用されるセパレータに相当する部材が必要ない。そして、その内周面と外周面とにそれぞれ異なった種類のガスを供給して発電するので、特別にガス流路を形成する必要もない。従って、その製造においては、コストの低減が見込まれる。さらに、セルが3次元形状であるので、平型の単セルに比べて体積に対する比表面積が大きくとれ、体積当たりの発電出力密度の向上が見込める。
中空型セルを備える燃料電池では、中空型セルにおいて、内周面側ガス流路を流通する反応ガス(例えばここで燃料ガスである水素とするが、これに限定されず空気等の酸化剤ガスであってもよい)と中空型セルの外周面側を流通する反応ガス(例えばここで空気とするが、これに限定されず水素等の燃料ガスであってもよい)が反応して発電する。
通常、大きな電圧を得るために、まず、複数の中空型セルを並列に接続する。そして、大きな電流を得るために、中空型セルが並列に接続された複数の中空型セルスタックを、さらに直列に接続する。
中空型セルは、中空電解質膜の内面及び外面に設けられた電極にそれぞれ接続する集電材(内部集電材、外部集電材)を有しており、ここから各セルの電流が取り出される。複数の中空型セルを並列に接続する場合には、各セルの内面側電極の電流及び外面側電極の電流をそれぞれ集約する。例えば、特許文献2には、コイル状集電体を有するチューブ型燃料電池用膜電極複合体を用いたチューブ型燃料電池が開示されている。また、特許文献3には、巻き線又はメッシュ状の集電体をカソード又はアノード触媒層の表面に接するように配置して集電を行う管形複合体を複数有するモジュールが開示されている。
しかしながら、中空型セルには、中空型セルの軸方向に発電勾配が存在する。発電勾配は、具体的には次のように生じる。上述したように、中空型セルにおいて、内周面側ガス流路を流通する燃料ガスと中空型セルの外周面側を流通する空気が反応して発電する。一方、中空型セルの内周面側ガス流路に水素ガスが供給され、該中空型セルの外周面側に空気が該中空型セルの軸方向に対して交差する方向に供給される燃料電池の場合には、空気は中空型セルの外周面の全面に、すなわち、中空型セルの外周面全体にほぼ一定に供給されるが、中空型セルの軸方向に沿って内周面側ガス流路を流通する水素ガスは、空気との反応によって上流側で優先的に消費され、内周面側ガス流路の上流側から下流側に進むにつれて、水素の濃度が減少していく。そのため、中空型セルの内周面側の上流側に比べて下流側の方が単位体積あたりの水素ガスの濃度が少なく、濃度勾配が生じる。
中空型セルにはこのような水素ガスの濃度勾配が存在するために、水素ガスと空気が反応して発電する量(電気化学反応量)が中空型セルの内周面側ガス流路の上流側から下流側にかけて減少していく。
このように、中空型セルの内周面側ガス流路の上流側と下流側との間に電気化学反応量の差が生じるため、中空型セルに温度勾配ができたり、水素欠や部分電池が生じ易く、中空型セルの劣化の原因となっていた。
特表2004−505417号公報 特開2005−353484号公報 特表2002−539587号公報
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、中空型セルを備えた燃料電池において、中空型セルの内周面側を流通する反応ガスの濃度勾配に起因する中空型セルの軸方向の一端側から他端側にかけて減少する発電勾配を緩和、又は理想的には均一化し、中空型セルの劣化を抑制することを目的とする。
本発明の燃料電池は、中空電解質膜、該中空電解質膜の内周面及び外周面に設けられた一対の電極、並びに該一対の電極にそれぞれ接続する集電材を有し、且つ、少なくとも一方の端部が開放された中空型セルを備える燃料電池であって、
該中空型セルの内周面及び外周面のうち少なくとも一方に、該中空型セルの内周面側ガス流路の上流側から下流側にいくに従って該内周面又は外周面の単位面積当りの反応ガスの接触面積を増大させる接触面積変化手段が設けられていることを特徴とする。
前記中空型セルの外周面側に供給される反応ガスの流通方向は、前記中空型セルの軸方向に対して交差する方向である。
本発明において、前記中空型セルの外周面及び内周面のうち少なくとも一方が反応ガス遮断性材料によって被覆され、前記中空型セルの外周面又は内周面の単位面積当りの該反応ガス遮断性材料による被覆面積割合が前記内周面側ガス流路の上流側から下流側にいくに従って減少するように被覆することにより前記接触面積変化手段を構成することができる。
この場合、前記反応ガス遮断性材料が、前記中空型セルの内周面又は外周面に接触する集電材及び/又は熱交換部材、又は、樹脂製部材であってもよい。
例えば、前記反応ガス遮断性材料が線状反応ガス遮断性材料であり、該線状反応ガス遮断性材料が前記内周面側ガス流路の上流側から下流側に行くに従って巻きピッチが大きくなるように前記中空型セルの外周面に捲回されていてもよい。
また、前記反応ガス遮断性材料が、一端から他端に向けて線径が小さくなる線状反応ガス遮断性材料であるか又は線径が異なる2本以上の線状反応ガス遮断性材料の組み合わせであり、該線状反応ガス遮断性材料が前記内周面側ガス流路の上流側から下流側に行くに従って線径が小さくなるように前記中空型セルの外周面に捲回されていてもよい。
また、前記反応ガス遮断性材料が線状反応ガス遮断性材料であり、該線状反応ガス遮断性材料が前記内周面側ガス流路の上流側から下流側に行くに従って弱い巻き締め力となるように前記中空型セルの外周面に捲回されていてもよい。
さらに、前記反応ガス遮断性材料が前記中空型セルの内周面又は外周面の形状と合う湾曲した板状反応ガス遮断性材料であり、該板状反応ガス遮断性材料が前記内周面側ガス流路の上流側から下流側に行くに従って該板状反応ガス遮断性材料の前記中空型セルに接している面積が小さくなるように、前記中空型セルの外周面又は内周面に沿うように配置されていてもよい。
また本発明において、前記中空型セルの外周面及び内周面のうち少なくとも一方が前記反応ガス遮断性材料によって被覆されており、該反応ガス遮断性材料のガス透過性が前記内周面側ガス流路の上流側から下流側にいくに従って増大するように被覆することにより前記接触面積変化手段を構成することができる。
この場合、前記反応ガス遮断性材料が、前記中空型セルの内周面又は外周面に接触する集電材及び/又は熱交換部材、又は、樹脂製部材であってもよい。
例えば、前記反応ガス遮断性材料が、一端から他端に向けてガス透過性が大きくなる線状反応ガス遮断性材料であるか、又は、ガス透過性が異なる2本以上の線状反応ガス遮断性材料の組み合わせであり、該線状反応ガス遮断性材料が前記内周面側ガス流路の上流側から下流側に行くに従ってガス透過性が大きくなるように前記中空型セルの外周面に捲回されていてもよい。
また、前記反応ガス遮断性材料が前記中空型セルの内周面又は外周面の形状と合う湾曲した板状反応ガス遮断性材料であり、該板状反応ガス遮断性材料が前記内周面側ガス流路の上流側から下流側に行くに従ってガス透過性が大きくなるように前記中空型セルの外周面又は内周面に沿うように配置されていてもよい。
本発明によれば、中空型セルの内周面及び外周面のうち少なくとも一方に、内周面側ガス流路の上流側から下流側にいくに従って中空型セルの内周面又は外周面の単位面積当りの反応ガスの接触面積を増大させる接触面積変化手段が設けられていることによって、中空型セルの内周面側ガス流路の上流側と下流側における反応ガス(燃料ガスと酸化剤ガス)の電気化学反応量を調整することができるので、中空型セルの軸方向の一端側から他端側にかけての発電勾配を緩和、又は理想的には中空型セルの発電(電気化学反応量)を均一化し、温度勾配、水素欠、部分電池等に起因する中空型セルの劣化を抑制することができる。それ故に、燃料電池において安全で安定した発電が可能となる。
本発明の燃料電池は、中空電解質膜、該中空電解質膜の内周面及び外周面に設けられた一対の電極、並びに該一対の電極にそれぞれ接続する集電材を有し、且つ、少なくとも一方の端部が開放された中空型セルを備える燃料電池であって、
該中空型セルの内周面及び外周面のうち少なくとも一方に、該中空型セルの内周面側ガス流路の上流側から下流側にいくに従って該内周面又は外周面の単位面積当りの反応ガスの接触面積を増大させる接触面積変化手段が設けられていることを特徴とする。
上記接触面積変化手段は、中空型セルの内周面及び外周面のうち少なくとも一方の一部領域を反応ガスと接触しないようにするハードウエア的な手段である。尚、燃料電池のシステム全体としての反応ガスの供給量は、該接触面積変化手段によっては変化しない。
中空型セルを集合させたセルスタックの場合、通常、中空型セルの外周面側に供給される反応ガスは、中空型セルの軸方向に対して交差する方向に流通させる。
本発明において、中空型セルの外周面側に供給される反応ガスの流通方向が中空型セルの軸方向に対して交差する方向であるとは、一般的には中空型セルの軸方向に対して90度付近(真横)の角度方向を意味するが、中空型セルの外周面側に供給される反応ガスの濃度勾配が中空型セルの軸方向に沿って発生しないという観点、すなわち、中空型セルの軸方向に沿った電気化学反応量の不均一さに関しては中空型セルの外周面側に供給される反応ガスの流通方向が実質的に影響を与えないという観点からすれば、中空型セルの軸方向に対して45度程度の斜め横から90度(真横)までの角度方向は、中空型セルの軸方向に対して交差する方向であると言って差し支えない。
中空型セルの外周面側に供給される反応ガスの流通方向が中空型セルの軸方向に対して交差する方向である場合には、中空型セルの外周面側に供給される反応ガスの濃度勾配が中空型セルの軸方向に沿って全く或いはそれほど発生しないため、中空型セルの外周面側に供給される反応ガスの流通方向は中空型セルの軸方向に沿った電気化学反応量の不均一さに関して実質的に影響を与えないか、影響があるとしてもそれほど大きくない。従って、中空型セルの内周面側の反応ガスの流通方向のみを考慮して、内周面側又は外周面側における反応ガスの接触面積を変化させることで、中空型セルの軸方向における電気化学反応量の勾配を充分に緩和することができ、通常は中空型セルの外周面側の反応ガスの流通方向を考慮する必要がない。
以下、図を参照しながら、本発明を実施形態を以て詳しく説明していく。
(1)第1の実施形態
本発明の第1の実施形態は、中空電解質膜、該中空電解質膜の内周面及び外周面に設けられた一対の電極、並びに該一対の電極にそれぞれ接続する集電材を有し、且つ、少なくとも一方の端部が開放された中空型セルの外周面及び内周面のうち少なくとも一方が反応ガス遮断性材料によって被覆されており、該中空型セルの外周面又は内周面の単位面積当りの該反応ガス遮断性材料による被覆面積割合が該中空型セルの内周面側ガス流路の上流側から下流側にいくに従って減少するように被覆することにより前記接触面積変化手段が構成されている実施形態である。
接触面積変化手段を構成する反応ガス遮断性材料を用いて、中空型セルの外周面又は内周面の単位面積当りの該反応ガス遮断性材料による被覆面積割合が、中空型セルの内周面側ガス流路の上流側から下流側にいくに従って減少するように、中空型セルの内周面及び外周面のうち少なくとも一方を被覆することによって、該中空型セルの内周面側ガス流路の上流側から下流側にいくに従って該内周面又は外周面の単位面積当りの反応ガスの接触面積を増大させ、中空型セルの発電勾配を小さくすることができる。
上記反応ガス遮断性材料は、中空型セルの内周面及び外周面のうち少なくとも一方の一部領域を被覆し、反応ガスの中空型セルへの供給を遮断又は供給を少なくする材料である。
本発明における反応ガス遮断性材料は、燃料電池の作動環境に耐え得る耐食性及び強度を有していれば、その構成材料は適当なものを選択することができる。反応ガス遮断性材料は、専用の部材で接触面積変化手段を構成してもよいが、既存の部材に反応ガス遮断性材料の機能を持たせて接触面積変化手段を構成してもよい。既存の部材としては、例えば、集電材、中空型セルの温度を調節する熱交換部材、集電材と熱交換部材の機能を兼ねる部材などが挙げられる。また、反応ガス遮断性材料の専用の部材としては、例えば、樹脂製部材を用いることができる。例えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリスルホン、及びポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂(PEEK)を用いることができ、耐腐食性、耐熱性の観点からポリスルホン及びPEEK等が好ましい。尚、複数の異なる反応ガス遮断性材料を組み合わせて用いてもよい。
上記反応ガス遮断性材料の形状は、中空型セルの外周面に、又は、後述する場合によっては中空型セルと棒状反応ガス遮断性材料の外周面に密着させて配置できるものであれば、特に限定されない。例えば、線状(断面が円形の線材、平帯状の線状を含む)、板状、棒状、網状、シート状、略U字状及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。
このように、上記反応ガス遮断性材料が中空型セルの内周面又は外周面に接触する集電材及び/又は熱交換部材、又は、樹脂製部材である場合には、該内周面又は外周面の単位面積当りの該反応ガス遮断性材料による接触面積割合が内周面側ガス流路の上流側から下流側にいくに従って減少するように該反応ガス遮断性材料を配置することにより前記接触面積変化手段が構成されている。
本発明の第1の実施形態として具体的には、次のような形態が挙げられる。
図1は反応ガス遮断性材料が線状反応ガス遮断性材料2aであり、該線状反応ガス遮断性材料2aが中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に行くに従って巻きピッチが大きくなるように該中空型セル1の外周面に捲回されている第1の実施形態の第1の例の概念図である。
捲回とは、通常は長尺の線状部材を螺旋状に中空型セルの外周面に巻き付けることをいうが、中空型セルの軸方向に所望の間隔をあけて環状の反応ガス遮断性材料を複数配置する(中空型セルに嵌め込む)形態も含まれる。また、中空型セルと棒状反応ガス遮断性材料(集電材、熱交換部材など)を互いに接触するように並列させて、該線状反応ガス遮断性材料が該中空型セルの外周面と該棒状反応ガス遮断性材料の外周面を橋渡すように捲回してもよい。
上記巻きピッチには、長尺の線状部材を螺旋状に中空型セルの外周面に巻き付ける場合の隣り合う捲回された螺旋状部材同士の間のピッチも、環状の反応ガス遮断性材料の部材同士の間のピッチも含まれる。
ピッチの大きさとしては、上流側:中空型セル1の軸方向の長さの約1/2の部分(以下、中間部分という):下流側が1:10:200の割合で、中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に向って増加し、線状反応ガス遮断性材料2aの配置が密から疎に変化することが好ましい。
第1の実施形態の第1の例において、中空型セル1の発電(電気化学反応量)は、接触面積変化手段を構成する反応ガス遮断性材料を用いて次のように調節される。中空型セル1の内周面側ガス流路1aに水素ガスが供給され、該中空型セル1の外周面側に空気が該中空型セル1の軸方向に対して交差する方向に供給されるため、空気は中空型セルの外周面の全面に、すなわち、中空型セルの外周面全体にほぼ一定に供給され、中空型セルの軸方向に沿って内周面側ガス流路1aを流通する水素ガスは、下流側よりも上流側で優先的に空気との反応によって消費される環境下にある。一方、線状反応ガス遮断性材料2aが中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に行くに従って巻きピッチが大きくなるように該中空型セル1の外周面に捲回されているため、該外周面の単位面積当りの線状反応ガス遮断性材料2aによる接触面積割合が該上流側から下流側にいくに従って減少する。すなわち、中空型セル1の外周面の単位面積当りの線状反応ガス遮断性材料2aによる被覆面積割合が内周面側ガス流路1aの上流側から下流側にいくに従って減少するため、該上流側から下流側にいくに従って該外周面の単位面積当りの空気の接触面積が増大する。したがって、中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側で、水素ガスが空気との反応に過剰に消費されることはなく、上流側から下流側においてほぼ均等に水素が行きわたるため、水素ガスの濃度勾配はほとんど生じない。
第1の実施形態の第1の例における中空型セル1には、このように水素ガスの濃度勾配がほとんど存在しないために、水素ガスと空気が反応して発電する量(電気化学反応量)が中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側にかけてほぼ均一である。
これに対して、従来、特許文献2においては、集電材のピッチ、太さ等の分布について記載されておらず、図面を参照すると、単にコイル状集電体を均等のピッチで中空型セルに沿わせるだけであるため、中空型セルの内周側ガス流路の軸方向のける上流側に発電の偏りがあった。また、特許文献3においては、図面を参照すると、巻き線又はメッシュ状の集電体をカソード又はアノード触媒層の表面に均一に接するように配置して全体を覆うため、発電の偏りを是正することは難しい。
また、本発明においては、第1の実施形態の第2の例として図2に示すように、反応ガス遮断性材料が、一端から他端に向けて線径が小さくなる線状反応ガス遮断性材料2bであるか、又は、線径が異なる2本以上の線状反応ガス遮断性材料2bの組み合わせであり、該線状反応ガス遮断性材料2bが中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に行くに従って線径が小さくなるように該中空型セル1の外周面に捲回されていてもよい。
この場合、線状反応ガス遮断性材料の線径の大きいものを内周面側ガス流路の上流側に捲回し、該線径の小さいものを下流側に且つ上流側と同じ巻きピッチで捲回する。線径が大きいほど線材の外周面のカーブが緩い(外周面がより平坦に近づく)ため、中空型セル1の外周面に対する線材の単位長さ当りの接触面積が大きくなる。
ここで、線径が異なる2本以上の線状反応ガス遮断性材料2bの組み合わせとすることは、例えば、線材Aの線径>線材Bの線径とした場合に、下記1)又は2)いずれの方法でも良い。
1)上流側では線材Aを巻き、下流側では線材Bを巻く方法。この場合、線材の巻き方としては、長尺状線材を螺旋状に巻いてもよいし、環状線材を嵌め込んでもよい。
2)内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に向けて、最初に「線材Aを2本」、次に「線材Aを1本及び線材Bを1本」そして「線材Bを2本」の順序でそれぞれ配置する方法。
線径の大きさとしては、上流側:中間部分:下流側が50:5:1の割合で、中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に向って減少し、線状反応ガス遮断性材料2bが幅広から幅狭に変化することが好ましい。
第1の実施形態の第1の例と同様に、捲回には、長尺の線状部材を螺旋状に中空型セルの外周面に巻き付ける形態及び中空型セルの軸方向に所望の間隔を設けて環状の反応ガス遮断性材料を複数配置する形態が含まれ、中空型セルと棒状反応ガス遮断性材料を互いに接触するように並列させて、該線状反応ガス遮断性材料が該中空型セルの外周面と該棒状反応ガス遮断性材料の外周面を橋渡すように捲回してもよい。
第1の実施形態の第2の例において、中空型セル1の発電(電気化学反応量)は、接触面積変化手段を構成する反応ガス遮断性材料を用いて次のように調節される。中空型セル1の内周面側ガス流路1aに水素ガスが供給され、該中空型セル1の外周面側に空気が該中空型セル1の軸方向に対して交差する方向に供給されるため、空気は中空型セルの外周面の全面に、すなわち、中空型セルの外周面全体にほぼ一定に供給され、中空型セルの軸方向に沿って内周面側ガス流路1aを流通する水素ガスは、下流側よりも上流側で優先的に空気との反応によって消費される環境下にある。一方、線状反応ガス遮断性材料2bが中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に行くに従って線径が小さくなるように該中空型セル1の外周面に捲回されているため、該外周面の単位面積当りの線状反応ガス遮断性材料2bによる接触面積割合が該上流側から下流側にいくに従って減少する。すなわち、中空型セル1の外周面の単位面積当りの線状反応ガス遮断性材料2bによる被覆面積割合が内周面側ガス流路1aの上流側から下流側にいくに従って減少するため、該上流側から下流側にいくに従って該外周面の単位面積当りの空気の接触面積が増大する。したがって、中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側で、水素ガスが空気との反応に過剰に消費されることはなく、上流側から下流側においてほぼ均等に水素が行きわたるため、水素ガスの濃度勾配はほとんど生じない。
第1の実施形態の第2の例における中空型セル1には、このように水素ガスの濃度勾配がほとんど存在しないために、水素ガスと空気が反応して発電する量(電気化学反応量)が中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側にかけてほぼ均一である。
第1の実施形態の第2の例と比較すると、第1の実施形態の第1の例は、現在用いられている部材をそのまま用いることができるため、容易に採用することができることから、第1の実施形態の第1の例の方が好ましい。
また、本発明においては、第1の実施形態の第3の例として、反応ガス遮断性材料が線状反応ガス遮断性材料2cであり、該線状反応ガス遮断性材料2cが中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に行くに従って弱い巻き締め力となるように該中空型セル1の外周面に捲回されていてもよい。
図3に第1の実施形態の第3の例における代表的な斜視図を示し、該線状反応ガス遮断性材料2cの中空型セルに捲回されている様子の模式的な断面図を図4に示す。線状反応ガス遮断性材料2cの巻き締め力を上流側では強くし、下流側では弱くする。巻き締め力が強いほど線状反応ガス遮断性材料2cが中空型セル1にめり込む(沈む)ので、中空型セル1の外周面に対する線材の単位長さ当りの接触面積が大きくなる。尚、線状反応ガス遮断性材料2cの巻きピッチは特に限定されず、均等でも変化をつけてもよい。
巻き締め力の大きさとしては、上流側:中間部分:下流側が5:3:1の割合で、中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に向って減少し、線状反応ガス遮断性材料2cの巻き締め力が強から弱に変化することが好ましい。
第1の実施形態の第3の例において、線状反応ガス遮断性材料2cを巻き締めて固定する部材としては、従来から用いられている適切な部材を使用することができる。又は、線状反応ガス遮断性材料2cが中空型セル1にめり込むように、中空型セル1及び線状反応ガス遮断性材料2cの材料を適宜選択することができる。
第1の実施形態の第1の例と同様に、捲回には、長尺の線状部材を螺旋状に中空型セルの外周面に巻き付ける形態及び中空型セルの軸方向に所望の間隔を設けて環状の反応ガス遮断性材料を複数配置する形態が含まれ、中空型セルと棒状反応ガス遮断性材料を互いに接触するように並列させて、該線状反応ガス遮断性材料が該中空型セルの外周面と該棒状反応ガス遮断性材料の外周面を橋渡すように捲回してもよい。
第1の実施形態の第3の例において、中空型セル1の発電(電気化学反応量)は、接触面積変化手段を構成する反応ガス遮断性材料を用いて次のように調節される。中空型セル1の内周面側ガス流路1aに水素ガスが供給され、該中空型セル1の外周面側に空気が該中空型セル1の軸方向に対して交差する方向に供給されるため、空気は中空型セルの外周面の全面に、すなわち、中空型セルの外周面全体にほぼ一定に供給され、中空型セルの軸方向に沿って内周面側ガス流路1aを流通する水素ガスは、下流側よりも上流側で優先的に空気との反応によって消費される環境下にある。一方、線状反応ガス遮断性材料2cが中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に行くに従って弱い巻き締め力となるように該中空型セル1の外周面に捲回されているため、該外周面の単位面積当りの線状反応ガス遮断性材料2cによる接触面積割合が該上流側から下流側にいくに従って減少する。すなわち、中空型セル1の外周面の単位面積当りの線状反応ガス遮断性材料2cによる被覆面積割合が内周面側ガス流路1aの上流側から下流側にいくに従って減少するため、該上流側から下流側にいくに従って該外周面の単位面積当りの空気の接触面積が増大する。したがって、中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側で、水素ガスが空気との反応に過剰に消費されることはなく、上流側から下流側においてほぼ均等に水素が行きわたるため、水素ガスの濃度勾配はほとんど生じない。
第1の実施形態の第3の例における中空型セル1には、このように水素ガスの濃度勾配がほとんど存在しないために、水素ガスと空気が反応して発電する量(電気化学反応量)が中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側にかけてほぼ均一である。
上述した第1の実施形態の第1〜3の例は、例えば、コイル状に予め巻かれた線状反応ガス遮断性材料を両端から牽引することによって巻きの直径を小さくし、中空型セルの内周面側ガス流路内に配置した後に牽引を止め、該線状反応ガス遮断性材料の回復力に従って巻きの直径が大きくなり、該線状反応ガス遮断性材料を該内周面側ガス流路の内周面に沿わせることで、中空型セルの内周面においても実現することができる。又は、支持部材に線状反応ガス遮断性材料を捲回して中空型セルの内周面に合う形状を作り、該支持部材を取り除いて形状を保ったまま、該線状反応ガス遮断性材料を中空型セルの内周面に接するように配置することもできる。
さらに、図5に示すような、反応ガス遮断性材料が中空型セル1の外周面の形状と合う湾曲した板状反応ガス遮断性材料2dであり、該板状反応ガス遮断性材料2dが該中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に行くに従って該板状反応ガス遮断性材料2dの該中空型セル1に接している面積が小さくなるように該中空型セル1の外周面に沿うように配置されている第1の実施形態の第4の例が挙げられる。
板状反応ガス遮断性材料2dの形状は、反応ガス遮断性材料と中空型セルの横断面における接触部分の円弧長さが内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に行くに従って短くなる形状を有している形状とすることができる。これによって、板状反応ガス遮断性材料2dの該中空型セル1に接している面積が内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に行くに従って小さくなる。
必要に応じて、板状反応ガス遮断性材料2dを中空型セル1に接触して固定するための拘束部材(上述した線材などであってもよい)や接着材料を用いることができ、これらは従来から用いられているものを使用することができる。
第1の実施形態の第4の例において、中空型セル1の発電(電気化学反応量)は、接触面積変化手段を構成する反応ガス遮断性材料を用いて次のように調節される。中空型セル1の内周面側ガス流路1aに水素ガスが供給され、該中空型セル1の外周面側に空気が該中空型セル1の軸方向に対して交差する方向に供給されるため、空気は中空型セルの外周面の全面に、すなわち、中空型セルの外周面全体にほぼ一定に供給され、中空型セルの軸方向に沿って内周面側ガス流路1aを流通する水素ガスは、下流側よりも上流側で優先的に空気との反応によって消費される環境下にある。一方、板状反応ガス遮断性材料2dが該中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に行くに従って該板状反応ガス遮断性材料2dの該中空型セル1に接している面積が小さくなるように該中空型セル1の外周面に沿うように配置されているため、該外周面の単位面積当りの板状反応ガス遮断性材料2dによる接触面積割合が該上流側から下流側にいくに従って減少する。すなわち、中空型セル1の外周面の単位面積当りの板状反応ガス遮断性材料2dによる被覆面積割合が内周面側ガス流路1aの上流側から下流側にいくに従って減少するため、該上流側から下流側にいくに従って該外周面の単位面積当りの空気の接触面積が増大する。したがって、中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側で、水素ガスが空気との反応に過剰に消費されることはなく、上流側から下流側においてほぼ均等に水素が行きわたるため、水素ガスの濃度勾配はほとんど生じない。
第1の実施形態の第4の例における中空型セル1には、このように水素ガスの濃度勾配がほとんど存在しないために、水素ガスと空気が反応して発電する量(電気化学反応量)が中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側にかけてほぼ均一である。
上述した板状反応ガス遮断性材料2dが、反応ガス遮断性材料が中空型セル1の内周面の形状と合う湾曲した板状反応ガス遮断性材料であり、該板状反応ガス遮断性材料が該中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に行くに従って該板状反応ガス遮断性材料の該中空型セル1に接している面積が小さくなるように該中空型セル1の内周面に沿うように配置されていてもよい。さらに、板状反応ガス遮断性材料を外周面及び内周面に設けることもできる。
尚、上述した第1の実施形態の第1〜4の例を組み合わせてもよい。
以下、本発明の燃料電池に備えられる中空型セル1について説明する。
図6は、本発明の燃料電池に備えられる中空型セルの一形態例を示す斜視図、図7は、図6の中空型セルの模式的な断面図である。図6及び図7において、中空型セル1はチューブ状の固体高分子電解質膜(パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜)11、固体高分子電解質膜11の内周面側に設けられたアノード(本実施形態では燃料極)12及び外周面側に設けられたカソード(本実施形態では空気極)13を有している。さらに、アノード12の表面には、アノード側集電材14として柱状集電材が配置され、カソード13の表面には、カソード集電材15として、金属ワイヤからなる網状(ネット状)集電材15aと棒状集電材15bが配置されている。図示されていないが、本実施例における反応ガス遮断性材料2が中空型セル1の外周面に配置されながら、網状集電材15aに編み込まれていてもよい。また、該網状集電材15aが本実施例における線状反応ガス遮断性材料2a〜2cであってもよい。
このような構造を有する中空型セルの中空内周面(実質的には、アノード側集電材14の外周面に設けた溝14aによって形成された内周面側ガス流路に露出した部分)に水素ガス、外周面に空気を流通させることで、アノード及びカソードに燃料又は酸化剤が供給され、発電する。
図7の中空型セル1は、その両端において中空部が開放されているものであって、燃料ガスは一端から中空内へと流入し、他端から流出するようになっているが、本発明における中空型セル1は、中空電解質膜の内周面側に反応ガスを十分に供給できるものであれば、中空部の一端のみが開放され、もう一端は封止されていてもよい。特に、本実施形態のように、内周面側の電極として、水素を燃料とする燃料極を設ける場合、非反応性成分をほとんど含まない水素ガスを燃料ガスとして中空型セルの中空内に供給できること、また、水素分子の拡散性が高いことから、中空内に供給された反応ガスを消費しきることが可能であるため、一端を封鎖した中空部内であっても反応ガスを十分に供給することができる。中空型セルの一端を封鎖する方法としては、樹脂等を中空の一端に注入する方法が例示できるが、特に限定されるものではない。
図6において、中空型セル1はチューブ状の電解質膜を有するものであるが、本発明における中空電解質膜はチューブ状に限られず、中空部を有し、当該中空部に燃料や酸化剤を流入させることで、中空内部に設けられた電極に電気化学反応に必要な反応成分を供給することができるものであればよい。
チューブ状の固体高分子電解質膜11の内径及び外径、長さ等は特に限定されるものではないが、チューブ状電解質膜の外径は0.01〜10mmであることが好ましく、0.1〜1mmであることがさらに好ましく、0.1〜0.5mmであることが特に好ましい。チューブ状電解質膜の外径が0.01mm未満のものは現時点では、技術的な問題で製造することが難しく、一方、その外径が10mmを超えるものでは、占有体積に対する表面積があまり大きくならないため、得られる中空型セルの単位体積当たりの出力が充分に得られないおそれがある。
パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜は、プロトン伝導性の向上の点からは薄いほうが好ましいが、あまりに薄すぎるとガスを隔離する機能が低下し、非プロトン水素の透過量が増大してしまう。しかしながら、従来の平型の燃料電池用単セルを積層した燃料電池と比べると、中空形状を有するセルを多数集めることにより作製された燃料電池では電極面積が大きくとれるので、やや厚みのある膜を用いた場合でも、充分な出力が得られる。かかる観点から、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜の厚みは、10〜100μmであり、より好ましくは50〜60μmであり、さらに好ましくは50〜55μmである。
また、上記の外径と膜厚との好ましい範囲から、内径の好ましい範囲は0.01〜10mmであり、より好ましくは0.1〜1mmであり、さらに好ましくは0.1〜0.5mmである。
本発明の燃料電池は、中空型セルを有するため、平型のセルを有する燃料電池と比べて単位体積当たりの電極面積を大きくとることができることから、固体高分子電解質膜として、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜ほど高いプロトン伝導性を有していない電解質膜を用いても、単位体積当たりの出力密度の高い燃料電池を得ることができる。
固体高分子電解質膜としては、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の他、固体高分子型燃料電池の電解質膜に用いられているような材料を使用することができ、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂以外のフッ素系イオン交換樹脂、スルホン酸基を有するポリスチレン系陽イオン交換膜などのポリオレフィンのような炭化水素を骨格として少なくともスルホン酸基、ホスホン酸基、及び、リン酸基等のプロトン交換基のうちから一種を有するもの、特表平11−503262号公報などに開示されている、ポリベンズイミダゾール、ポリピリミジン、ポリベンゾオキサゾールなどの塩基性高分子に強酸をドープした塩基性高分子と強酸との複合体からなる固体ポリマー電解質等の高分子電解質が挙げられる。
このような電解質を用いた固体高分子電解質膜は、フィブリル状、繊布状、不繊布状、多孔質シートのパーフルオロカーボン重合体で補強することや、膜表面に無機酸化物あるいは金属をコーティングすることにより補強することもできる。また、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜としては、例えばデュポン社製ナフィオンや旭硝子社製フレミオン等の市販品もある。
また、本実施形態では電解質膜として、プロトン伝導膜の一種であり、固体高分子電解質膜の一つであるパーフルオロカーボンスルホン酸樹脂膜を用いて説明しているが、本発明の燃料電池において用いられる電解質膜は特に限定されるものではなく、プロトン伝導性のものであっても、水酸化物イオンや酸化物イオン(O2-)等その他のイオン伝導性のものであってもよい。プロトン伝導性の電解質膜としては、上記したような固体高分子電解質膜に限られず、リン酸水溶液を多孔質の電解質板に含浸させたものや、多孔質性ガラスからなるプロトン伝導体、ハイドロゲル化したリン酸塩ガラス、ナノ細孔を有する多孔質硝子の表面及び細孔内にプロトン伝導性官能基を導入した有機−無機ハイブリットプロトン伝導膜、無機金属繊維強化電解質ポリマー等を用いることができる。
電解質膜11の内周面及び外周面に設けられる各電極12、13は、固体高分子型燃料電池に用いられているような電極材料を用いて形成することができる。通常は、電解質膜側から順に触媒層とガス拡散層とを積層して構成された電極が用いられる。
触媒層は触媒粒を含み、さらに触媒粒の利用効率を高めるためのプロトン伝導性物質を含んでいてもよく、プロトン伝導性物質としては上記電解質膜の材料として用いられるものを用いることができる。触媒粒としては、触媒成分を炭素質粒子、炭素質繊維のような炭素材料等の導電性材料に担持させた触媒粒が好適に用いられる。
本発明の燃料電池は、中空型セルを有するため、平型のセルを有する燃料電池と比べて単位体積当たりの電極面積を大きくとることができることから、白金ほど触媒作用が大きくない触媒成分を用いても、単位体積当たりの出力密度が高い燃料電池を得ることができる。
触媒成分としては、アノードにおける水素の酸化反応、カソードにおける酸素の還元反応に対して触媒作用を有するものであれば特に限定されず、例えば、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスニウム(Os)、タングステン(W)、鉛(Pb)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)等の金属、又はそれらの合金から選択することができる。好ましくは、Pt、及びPtと例えばRuなど他の金属とからなる合金である。
ガス拡散層としては、炭素質粒子及び/又は炭素質繊維等の炭素材料を主成分とする多孔質導電性材料を用いることができる。炭素質粒子及び炭素質繊維の大きさは、ガス拡散層を製造する際の溶液中における分散性や得られるガス拡散層の排水性等を考慮して適宜最適なものを選択すればよい。ガス拡散層は、生成水など水分の排水性を高める点から、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロカーボンアルコキシアルカン、エチレン−テトラフルオロエチレンポリマー、又はこれらの混合物等を含浸させたり、或いはこれらの物質を用いて撥水層を形成するなどして撥水加工することが好ましい。
尚、中空電解質膜の内周面及び外周面に設けられる各電極の構成、電極に用いられる材料等は、同じであってもよく、また、異なっていてもよい。
チューブ状の電解質膜の内周面及び外周面に一対の電極を設ける方法は、特に限定されるものではない。例えば、まず、チューブ状の電解質膜を準備する。チューブ状の電解質膜を準備する方法は特に限定されず、市販品のチューブ状に形成された電解質膜を用いることもできる。そして、当該チューブ状電解質膜の内周面及び外周面に、電解質及び触媒粒を含む溶液を塗布・乾燥して触媒層を形成し、当該二つの触媒層上に炭素質粒子及び/又は炭素質繊維を含む溶液を塗布・乾燥してガス拡散層を形成する方法が挙げられる。このとき、電解質膜の内周面側に形成したガス拡散層の内周面に中空部が存在するように触媒層とガス拡散層を形成する。
或いは、まず、炭素質粒子及び/又は炭素質繊維等の炭素材料を含み、チューブ状に形成されたもの(チューブ状炭素質)を内周面側電極(アノード)のガス拡散層として用い、当該ガス拡散層の外周面に電解質及び触媒粒を含む溶液を塗布・乾燥して内周面側電極の触媒層を形成して内周面側電極を作製し、次に、当該触媒層の外周面に電解質を含む溶液を塗布・乾燥して電解質膜層、さらに当該電解質膜層の外周面に外周面側電極(カソード)の触媒層を形成し、当該触媒層の外周面に炭素材料を含む溶液を塗布・乾燥して外周面側電極のガス拡散層を形成する方法も挙げられる。チューブ状炭素質としては、例えば、炭素質粒子等の炭素材料とエポキシ及び/又はフェノール系樹脂を溶媒に分散させてチューブ状に成形し、熱硬化後、焼成することにより得られる。
尚、電解質膜、触媒層、ガス拡散層を形成する際に使用する溶媒は、分散及び/又は溶解する材料に応じて適宜選択すればよく、また、各層を形成する際の塗布方法についても、スプレー法、スクリーン印刷法等種々の方法にから適宜選択することができる。
本発明の燃料電池に用いられる中空型セルは、上記にて例示した構成に限られず、中空型セルの機能を高めることを目的として触媒層及びガス拡散層以外の層を設けても良い。また、本実施形態においては、中空電解質膜の内側にアノード、外側にカソードを設けているが、内側にカソード、外側にアノードを設けても良い。
次に、本発明の燃料電池に備えることができる集電材について説明する。集電材は、中空型セルの中空電解質膜の内周面及び外周面に設けられた電極にそれぞれ接続され、各セルの電流を取り出すものである。
本発明の集電材は、電気伝導性材料からなるものであれば特に限定されない。集電材として使用される金属としては、例えば、Al、Cu、Fe、Ni、Cr、Ta、Ti、Zr、Sm、In等の中から選ばれる少なくとも1種以上の金属、又はステンレス鋼などのそれらの合金が好ましい。また、その表面がAu、Pt、導電性樹脂等によりコーティングされていても良い。特に耐蝕性に優れることから、中でもステンレスやチタンが好ましい。
集電材の形状は特に限定されず、柱状、ワイヤ状、棒状の他、線状でも、筒形状でもよく、例えば、スプリング状の金属ワイヤや金属箔、金属シート又はカーボンシート等のシート材料からなるもの等も適用できる。ワイヤの太さ及び編みこみの密度、棒状集電材の太さ等は、特に制限されるものではない。
集電材の形態としては、例えば図6に示すようなアノード側集電材(本実施形態においては内面側電極表面に配置される内部集電材)14は中空型セル1の内周面と接する外径を有する柱状集電材であり、その外周面には、中空型セル1の軸方向(長手方向)に延びる溝14aが形成されている。この溝14aと内周面側電極12との隙間が水素ガスを供給するための内周側ガス流路1aとなる。溝14aとしては、中空型セル1の軸方向(長手方向)に延びる溝が少なくとも一本必要であり、必要に応じて、中空型セル1の外周面に様々なパターン又は方向性を有する溝が形成される。
また、カソード側集電材(本実施形態においては、外面側電極表面に配置される外部集電材)15としては、中空型セル1と棒状集電材15bを平行にして交互に並べ、これら両者の外周面を被覆するように金属ワイヤを編みこんだカソード側集電材15の一部である網状集電材15aが形成されている。金属ワイヤからなる網状集電材15aは、複数の中空型セル1と各中空型セルの棒状集電材15bとを一体化するように、且つ、各中空型セルのカソード(外面側電極)及び各棒状集電材15bに接触するように、金属ワイヤが編み込まれており、網状集電材15aは複数の中空型セルで共有されている。このとき、各中空型セルのカソード側集電材(15a、15b)は相互に電気的に接続された接続網を形成している。
網状集電材を用いる形態としては、上述した網状集電材15aの他に、1つの中空型セルと1つの棒状集電材を一体化するように金属ワイヤを編み込んだ形態(接続網形成せず)でもよく、或いは、複数の中空型セルと1本の棒状集電体を一体化するように金属ワイヤを編み込み、複数の中空型セルの電流が網状集電材の金属ワイヤを経て1本の棒状集電体に集まるように形成された接続網を形成していてもよい。
また、外部集電材としては、上記棒状集電材15bを用いずに、金属ワイヤからなる網状集電材15aのみでもよい。このとき、複数の中空型セルを一体化するように金属ワイヤを編み込み、各中空型セルがこの網状集電材を共有する(各集電材が相互に接続する)接続網としてもよい。棒状集電材15bを、流体やガスが流通できるような中空部を有するチューブ形状とし、この棒状集電材の中空部にセルを冷却又は加温するための熱媒体を流通させてもよい。
また、アノード側(中空型セル内面側)においても、各中空型セルのアノード側集電材が相互に電気的に接続した接続網を形成していてもよい。
これら集電材は、必要に応じて、カーボン系接着剤やAgペーストなどの導電性接着材により電極上に固定される。
尚、中空型セル1と集電材の間には、反応ガス遮断性材料や導電性の部材を介在させてもよい。該導電性の部材の材料等は導電材と同様のものを用いることができる。
次に、本発明の燃料電池に備えることができる熱交換部材について説明する。
本発明の熱交換部材は、中空型セルの熱交換のための部材である。本発明の熱交換部材は、中空型セルの軸方向の長さに沿って少なくとも一部領域と接触し、本発明を実施できるものであればよいが、通常は、中空型セルと平行に設けられる管であり、一つの熱媒体供給口及び一つの熱媒体排出口を有することが好ましい。このような構造の熱交換部材を用いることで、熱交換部材を固定するシール構造を単純化することができるからである。また、熱交換部材の入口及び出口が一つである場合、入口から出口に至るまでの間に、熱交換部材が枝分れ構造を有していてもよく、一本の管からなる場合であってもよい。中でも、本発明においては、上記熱交換部材が一本の管からなることが好ましい。冷却管の配置を簡略化できるからである。
熱交換部材は、図示しない熱交換器に接続されており、該熱交換器を熱媒体が循環し、熱交換部材の中を熱媒体が流通する。熱交換部材の中の熱媒体は中空型セルと熱交換した後、流路を通って熱交換器に回収され、当初の熱状態に戻され、再び熱交換部材の中に供給されて循環する。
熱交換部材は、該熱交換部材の中を熱媒体が流通することによって、中空型セルを所定の温度範囲まで冷却又は加温できるような熱伝導性を有する材料で形成される。このような材料としては、例えば、Cu、Al、Ti、Pt、Ag、Au等の一般的な金属や、これら金属の組み合わせによる合金又はクラッド材等が挙げられる。
熱交換部材は、必要に応じて、少なくともその一部に絶縁性を付与してもよい。中空型セルと熱交換部材の配置や熱媒体の種類によっては、熱交換部材や熱媒体からの漏電を防止する必要があるからである。一方、熱交換部材を中空型セルの集電材としても機能させる場合には、熱交換部材の少なくとも一部に導電性を付与する必要がある。この場合も、必要に応じて、熱交換部材や熱媒体からの漏電を防止すべく、冷却部の流路内周面側に絶縁性を付与する。
上記冷却管の外径としては、中空型セルの大きさ等によって異なり、特に限定されるものではないが、通常0.5〜2mmの範囲内である。
熱媒体は、一般的に冷却剤として、又は熱媒ヒーター、ボイラーに用いられている流体を使用することができ、液体であっても、気体であってもよい。例えば、液体としては、水、エチレングリコール、等、気体としては、空気等が挙げられる。冷却効果の点から通常は、液体の冷却剤が好ましい。液体の冷却剤としては、対流性、耐凍性、腐食性の観点から、エチレングリコールを好適に用いることができる。また、セルを加温する場合には、熱媒体油、砂などを熱媒体として用いることができる。
尚、熱媒体中には、氷点下における冷却剤の凍結を防止するための不凍剤などを、適宜添加してもよい。
上記熱交換器としては、一般的なものを用いることができる。例えば、冷却ファン等の通風によって放熱させるものや、熱媒体となる溶媒を流通させることによって放熱させるもの、外気である空気を利用した空冷方式のもの、電熱ヒーター等が挙げられる。中でも、空気中に放熱するラジエータが好ましい。
尚、中空型セル1と熱交換部材の間には、反応ガス遮断性材料や熱伝導性の部材を介在させてもよい。該熱伝導性の部材の材料等は熱交換部材と同様のものを用いることができる。
(2)第2の実施形態
本発明の第2の実施形態は、中空型セルの外周面及び内周面のうち少なくとも一方が反応ガス遮断性材料によって被覆されており、中空型セルの外周面又は内周面に対する該反応ガス遮断性材料のガス透過性が内周面側ガス流路の上流側から下流側にいくに従って増大するように被覆することにより前記接触面積変化手段が構成されている実施形態である。
接触面積変化手段を構成する反応ガス遮断性材料を用いて、反応ガス遮断性材料のガス透過性が、中空型セルの内周面側ガス流路の上流側から下流側にいくに従って増大するように、中空型セルの内周面及び外周面のうち少なくとも一方を被覆することによって、該中空型セルの内周面側ガス流路の上流側から下流側にいくに従って該内周面又は外周面の単位面積当りの反応ガスの接触面積を増大させ、中空型セルの発電勾配を小さくすることができる。
第2の実施形態で用いられている反応ガス遮断性材料は、ガス透過性等において第1の実施形態に対し特殊であるが、形状、材料、ピッチ等は上記第1の実施形態と同様とすることができる。また、第2の実施形態における中空型セル、集電材及び熱交換部材は、第1の実施形態と同様のものを用いることができる。各部材の材料、形状、ピッチ等は第1の実施形態と同様とすることができる。
第2の実施形態としては、具体的には次のような形態が挙げられる。
第2の実施形態の第1の例としては、反応ガス遮断性材料が、一端から他端に向けてガス透過性が大きくなる線状反応ガス遮断性材料であるか、又は、ガス透過性が異なる2本以上の線状反応ガス遮断性材料の組み合わせであり、該線状反応ガス遮断性材料が中空型セル1の内周面側ガス流路の上流側から下流側に行くに従ってガス透過性が大きくなるように該中空型セルの外周面に捲回されている実施形態が挙げられる。
この場合、線状反応ガス遮断性材料のガス透過性の小さいものを内周面側ガス流路の上流側に捲回し、該ガス透過性の大きいものを下流側に且つ上流側と同じ巻きピッチで捲回する。
ここで、長手方向の一端から他端に向けてガス透過性が大きくなる線状熱伝導部材は、例えば、長手方向の一端から他端に向けて濃度の異なる撥水層インクを塗布し、線状熱伝導部材の多孔性に勾配をもたせたものなどを用いる手法で実現することができる。ガス透過性の小さい線状反応ガス遮断性材料としては、メッキ線、金等のクラッド線等が挙げられる。また、ガス透過性の大きい線状反応ガス遮断性材料としては、メッキ線やクラッド線を撥水処理した撥水処理線、カーボン繊維等が挙げられる。
第1の実施形態の第1の例と同様に、捲回には、長尺の線状部材を螺旋状に中空型セルの外周面に巻き付ける形態及び中空型セルの軸方向に所望の間隔を設けて環状の反応ガス遮断性材料を複数配置する形態が含まれ、中空型セルと棒状反応ガス遮断性材料を互いに接触するように並列させて、該線状反応ガス遮断性材料が該中空型セルの外周面と該棒状反応ガス遮断性材料の外周面を橋渡すように捲回してもよい。
第2の実施形態の第1の例において、中空型セル1の発電(電気化学反応量)は、接触面積変化手段を構成する反応ガス遮断性材料を用いて次のように調節される。中空型セル1の内周面側ガス流路1aに水素ガスが供給され、該中空型セル1の外周面側に空気が該中空型セル1の軸方向に対して交差する方向に供給されるため、空気は中空型セルの外周面の全面に、すなわち、中空型セルの外周面全体にほぼ一定に供給され、中空型セルの軸方向に沿って内周面側ガス流路1aを流通する水素ガスは、下流側よりも上流側で優先的に空気との反応によって消費される環境下にある。一方、線状反応ガス遮断性材料2?が中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に行くに従ってガス透過性が大きくなるように該中空型セル1の外周面に捲回されているため、該上流側から下流側にいくに従って該外周面の単位面積当りの空気の接触面積が増大する。したがって、中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側で、水素ガスが空気との反応に過剰に消費されることはなく、上流側から下流側においてほぼ均等に水素が行きわたるため、水素ガスの濃度勾配はほとんど生じない。
第2の実施形態の第1の例における中空型セル1には、このように水素ガスの濃度勾配がほとんど存在しないために、水素ガスと空気が反応して発電する量(電気化学反応量)が中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側にかけてほぼ均一である。
上述した第2の実施形態の第1の例は、例えば、コイル状に予め巻かれた線状反応ガス遮断性材料を両端から牽引することによって巻きの直径を小さくし、中空型セルの内周面側ガス流路内に配置した後に牽引を止め、該線状反応ガス遮断性材料の回復力に従って巻きの直径が大きくなり、該線状反応ガス遮断性材料を該内周面側ガス流路の内周面に沿わせることで、中空型セルの内周面においても実現することができる。又は、支持部材に線状反応ガス遮断性材料を捲回して中空型セルの内周面に合う形状を作り、該支持部材を取り除いて形状を保ったまま、該線状反応ガス遮断性材料を中空型セルの内周面に接するように配置することもできる。
また、第2の実施形態の第2の例としては、反応ガス遮断性材料が中空型セル1の外周面の形状と合う湾曲した板状反応ガス遮断性材料であり、該板状反応ガス遮断性材料が該中空型セル1の内周面側ガス流路の上流側から下流側に行くに従ってガス透過性が大きくなるように該中空型セルの外周面に沿うように配置されている実施形態が挙げられる。
ここで、ガス透過性が大きくなる板状熱伝導部材は、例えば、網目の異なる金属メッシュを複数種用いるなどの手法で実現することができる。
必要に応じて、板状反応ガス遮断性材料を中空型セル1に接触して固定するための拘束部材(上述した線材などであってもよい)や接着材料を用いることができ、これらは従来から用いられているものを使用することができる。
第2の実施形態の第2の例において、中空型セル1の発電(電気化学反応量)は、接触面積変化手段を構成する反応ガス遮断性材料を用いて次のように調節される。中空型セル1の内周面側ガス流路1aに水素ガスが供給され、該中空型セル1の外周面側に空気が該中空型セル1の軸方向に対して交差する方向に供給されるため、空気は中空型セルの外周面の全面に、すなわち、中空型セルの外周面全体にほぼ一定に供給され、中空型セルの軸方向に沿って内周面側ガス流路1aを流通する水素ガスは、下流側よりも上流側で優先的に空気との反応によって消費されえる環境下でありながら、板状反応ガス遮断性材料が該中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に行くに従って該板状反応ガス遮断性材料2dのガス透過性が大きくなるように該中空型セル1の外周面に沿うように配置されているため、該上流側から下流側にいくに従って該外周面の単位面積当りの空気の接触面積が増大する。したがって、中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側で、水素ガスが空気との反応に過剰に消費されることはなく、上流側から下流側においてほぼ均等に水素が行きわたるため、水素ガスの濃度勾配はほとんど生じない。
第2の実施形態の第2の例における中空型セル1には、このように水素ガスの濃度勾配がほとんど存在しないために、水素ガスと空気が反応して発電する量(電気化学反応量)が中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側にかけてほぼ均一である。
上述した板状反応ガス遮断性材料が、反応ガス遮断性材料が中空型セル1の内周面の形状と合う湾曲した板状反応ガス遮断性材料であり、該板状反応ガス遮断性材料が該中空型セル1の内周面側ガス流路1aの上流側から下流側に行くに従って該板状反応ガス遮断性材料のガス透過性が大きくなるように該中空型セル1の内周面に沿うように配置されていてもよい。さらに、板状反応ガス遮断性材料を外周面及び内周面に設けることもできる。
尚、上述した第2の実施形態の第1及び2の例を組み合わせてもよい。また、上述した第1の実施形態の及び第2の実施形態を組み合わせてもよい。
本発明の燃料電池は、少なくとも上述した中空型セル1、集電材及び熱交換部材の一体化物を並列又は直列に2本以上備えるセルスタックを、並列又は直列に2つ以上接続したものである。
具体的には、図8に示すように、セルスタック30は、中空型セル1、集電材及び熱交換部材の一体化物(セルモジュール29)を2本以上備える。セルスタック30の両端部には、中空型セル1の中空内に水素ガスを流通させるガス用マニホールド31a及び31bと、熱交換部材2内に熱媒体を流通させる熱媒体用マニホールド32a及び32bとが備えられ、さらに、各中空型セル1で発生した電荷を集める集電部(不図示)が備えられている。ガス用マニホールド31a及び31b内である水素ガス流路33と、ガス用マニホールド31a及び31bの間である酸化剤ガス流路34との間に配置されている隔壁35a及び35b(上述した外部拘束部材に相当する)には、セルモジュール29を挿入することができる貫通孔が所定の間隔で設けられており、複数のセルモジュール29はその両端を対向しあう隔壁35a及び35bの貫通孔に挿入することによって、所定間隔で且つ互いに長手方向が平行となるように整列されている。隔壁35a及び35bの酸化剤ガス流路側には、ポッティング材を流し込んで貫通孔の周囲を含む領域を密閉するポッティング処理等が施されており、貫通孔に挿入されたセルモジュール29が一体に固定されている。
セルスタック30において、入口側のガス用マニホールド(例えば、31a)を介してセルスタック30へと供給された水素は、各中空型セル1の内周面側ガス流路1aを通って、酸化剤ガス流路34からの中空型セル1の外周面に供給される空気中の酸素と電解質膜を介して電気化学反応し、当該電気化学反応に使用されなかった水素等は出口側のガス用マニホールド(例えば、31b)を介して回収される。また、セルスタック30において、上記集電部は、一方が中空型セル1の図7に示した負極側集電材14に電気的に接続されるとともに、他方が正極側集電材15(15a,15b)に電気的に接続されることにより、複数の中空型セル1で発生した電荷を集めて(集電して)いる。尚、上述した反応ガス遮断性材料2が正極側集電材を兼ねる場合には、正極側集電材15と共に、正極側集電部に電気的に接続される(図示せず)。
このようなセルスタック30を複数、外装容器に収容し、直列又は並列に接続して燃料電池とする。燃料及び酸化剤の供給、モジュールの集電、接続方法等は特に限定されない。
本発明における第1の実施形態の第1の例を示す斜視図である。 本発明における第1の実施形態の第2の例を示す斜視図である。 本発明における第1の実施形態の第3の例を示す斜視図である。 本発明における第1の実施形態の第3の例を示す模式的断面図である。 本発明における第1の実施形態の第4の例を示す斜視図である。 本発明の燃料電池に備えられる中空型セルの一形態例を示す斜視図である。 図6の中空型セルの断面図である。 本発明のセルスタックの一形態例を概略的に示す外観図である。
符号の説明
1…中空型セル
1a…内周側ガス流路
2a,2b,2c,2d…反応ガス遮断性材料
11…中空電解質膜(パーフルオロカーボンスルホン酸膜)
12…アノード(内周面側電極)
13…カソード(外周面側電極)
14…アノード側集電材(内部集電材)
14a…溝
15(15a,15b)…カソード側集電材(外部集電材)
29…セルモジュール
30…セルスタック
31(31a,31b)…ガス用マニホールド
32(32a,32b)…熱媒体用マニホールド
33…水素ガス流通路
34…酸化剤ガス流通路
35(35a,35b)…隔壁

Claims (12)

  1. 中空電解質膜、該中空電解質膜の内周面及び外周面に設けられた一対の電極、並びに該一対の電極にそれぞれ接続する集電材を有し、且つ、少なくとも一方の端部が開放された中空型セルを備える燃料電池であって、
    該中空型セルの内周面及び外周面のうち少なくとも一方に、該中空型セルの内周面側ガス流路の上流側から下流側にいくに従って該内周面又は外周面の単位面積当りの反応ガスの接触面積を増大させる接触面積変化手段が設けられていることを特徴とする燃料電池。
  2. 前記中空型セルの外周面側に供給される反応ガスの流通方向が、前記中空型セルの軸方向に対して交差する方向である、請求項1に記載の燃料電池。
  3. 前記中空型セルの外周面及び内周面のうち少なくとも一方が反応ガス遮断性材料によって被覆されており、前記中空型セルの外周面又は内周面の単位面積当りの該反応ガス遮断性材料による被覆面積割合が前記内周面側ガス流路の上流側から下流側にいくに従って減少するように被覆することにより前記接触面積変化手段が構成されている、請求項1又は2に記載の燃料電池。
  4. 前記反応ガス遮断性材料が前記中空型セルの内周面又は外周面に接触する集電材及び/又は熱交換部材、又は、樹脂製部材である、請求項3に記載の燃料電池。
  5. 前記反応ガス遮断性材料が線状反応ガス遮断性材料であり、該線状反応ガス遮断性材料が前記内周面側ガス流路の上流側から下流側に行くに従って巻きピッチが大きくなるように前記中空型セルの外周面に捲回されている、請求項4に記載の燃料電池。
  6. 前記反応ガス遮断性材料が、一端から他端に向けて線径が小さくなる線状反応ガス遮断性材料であるか又は線径が異なる2本以上の線状反応ガス遮断性材料の組み合わせであり、該線状反応ガス遮断性材料が前記内周面側ガス流路の上流側から下流側に行くに従って線径が小さくなるように前記中空型セルの外周面に捲回されている、請求項4に記載の燃料電池。
  7. 前記反応ガス遮断性材料が線状反応ガス遮断性材料であり、該線状反応ガス遮断性材料が内周面側ガス流路の上流側から下流側に行くに従って弱い巻き締め力となるように前記中空型セルの外周面に捲回されている、請求項4に記載の燃料電池。
  8. 前記反応ガス遮断性材料が前記中空型セルの内周面又は外周面の形状と合う湾曲した板状反応ガス遮断性材料であり、該板状反応ガス遮断性材料が内周面側ガス流路の上流側から下流側に行くに従って該板状反応ガス遮断性材料の前記中空型セルに接している面積が小さくなるように前記中空型セルの外周面又は内周面に沿うように配置されている、請求項4に記載の燃料電池。
  9. 中空型セルの外周面及び内周面のうち少なくとも一方が反応ガス遮断性材料によって被覆されており、該反応ガス遮断性材料のガス透過性が内周面側ガス流路の上流側から下流側にいくに従って増大するように被覆することにより前記接触面積変化手段が構成されている、請求項1又は2に記載の燃料電池。
  10. 前記反応ガス遮断性材料が中空型セルの内周面又は外周面に接触する集電材及び/又は熱交換部材、又は、樹脂製部材である、請求項9に記載の燃料電池。
  11. 前記反応ガス遮断性材料が、一端から他端に向けてガス透過性が大きくなる線状反応ガス遮断性材料であるか、又は、ガス透過性が異なる2本以上の線状反応ガス遮断性材料の組み合わせであり、該線状反応ガス遮断性材料が内周面側ガス流路の上流側から下流側に行くに従ってガス透過性が大きくなるように前記中空型セルの外周面に捲回されている、請求項10に記載の燃料電池。
  12. 前記反応ガス遮断性材料が前記中空型セルの内周面又は外周面の形状と合う湾曲した板状反応ガス遮断性材料であり、該板状反応ガス遮断性材料が内周面側ガス流路の上流側から下流側に行くに従ってガス透過性が大きくなるように前記中空型セルの外周面又は内周面に沿うように配置されている、請求項10に記載の燃料電池。
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