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JP2008019718A - 内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリンダボアの表面性状の改良と、ピストンリングやピストンスカート部に対するコーティング材料の改良により、シリンダとピストンとの間の摩擦損失や摩耗を大幅に低減した内燃機関を提供する。
【解決手段】少なくともシリンダボア6の内面6aがアルミニウム合金により形成されかつシリンダボア内面6aに多数の微細凹部11が形成された内燃機関であって、ピストンリング7およびピストンスカート部8の表面に硬質カーボン膜9を被覆したことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、摩擦損失や摩耗を低減するためにシリンダのボア内面に多数の微細凹部が形成された往復動内燃機関に関する。
自動車用の内燃機関では、CO2などの排出を削減するために、摩擦損失や摩耗を低減し、運転効率の向上が求められている。特に、ピストンリングやピストンスカート部とシリンダボアとの間の摩擦損失の低減は、重要な課題であり、最近では鋳鉄製ライナーのないモノブロックエンジンなども開発されている。
このようなモノブロックエンジンでは、ピストンリングの上下面に、クロムメッキ皮膜や窒化層やPVD(Physical Vaper Deposition)皮膜が形成される例が多いが、窒化層やPVD皮膜を有するピストンリングは、アルミニウム合金製ピストンのリング溝を攻撃する傾向があるといわれている。
これに対して、固体潤滑材を含有させた合成樹脂被覆をピストンリングの上下面に施すと、エンジン運転の初期にアルミニウム凝着を抑止できることが知られているが、合成樹脂被覆は、耐摩耗性が低いので、アルミニウム凝着抑止効果が長続きしないという不具合がある。
下記特許文献1には、アルミニウムあるいはアルミニウム合金(以下、アルミニウム合金と略称)からなるピストンの頂面、側壁あるいはリング溝や、鋼製のピストンリングに人造ダイヤモンド材の薄い被覆を施し、摩擦損失、熱腐食及び浸食作用に対抗し、耐久性を高める内燃機関が開示されている。しかし、ここには、ピストンあるいはシリンダの内面などに所定膜厚の人造ダイヤモンド材の薄い被覆を形成する点が開示されているのみで、被覆の詳細については何ら示されていない。
また、ピストンリングの表面にコーティングするコーティング材に関して言及されている例は多いが、ピストンリングの相手材であるシリンダのボア表面の性状や材料に関しては殆ど言及されていない。
そこで、本発明者らは、アルミニウム合金製のシリンダ内で摺動するピストンのピストンリングやピストンスカート部の表面にコーティングするコーティング材や、シリンダのボア表面の性状や材料の種類によって耐摩擦損失や摩耗が大きく異なることを見出すことにより、本発明を完成させたのである。
特開平3−260362号公報(特許請求の範囲第1項〜第4項、第3頁左上欄、第4頁右上欄など参照)
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、シリンダボアの表面性状の改良と、ピストンリングやピストンスカート部に対するコーティング材料の改良により、シリンダとピストンとの間の摩擦損失や摩耗を大幅に低減した内燃機関を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明は、少なくともシリンダボア内面がアルミニウム合金により形成されかつ前記シリンダボア内面に多数の微細凹部が形成された内燃機関であって、ピストンリングおよびピストンスカート部の表面に硬質カーボン膜を被覆したことを特徴とする内燃機関である。
本発明によれば、多数の微細凹部を形成しかつアルミニウム合金製のボア内面を有するシリンダ内で、硬質カーボン膜で被覆したピストンリングおよびピストンスカート部を有するピストンが摺動するので、シリンダボア内面の微細凹部による潤滑油保持効果と、ピストン側の硬質カーボン膜による油膜保持能力の向上に加え、硬質カーボン膜による相手アルミニウム合金に対する攻撃性が減少し、摩擦低減と耐摩耗性、耐焼き付き性などが向上した内燃機関となる。
以下、本発明に係る内燃機関について、詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る内燃機関を示す概略断面図、図2は図1の要部を拡大して示す断面説明図、図3は本実施形態のピストンリングの断面図、図4は本実施形態のピストンスカート部を示す断面図、図5(A)(B)はシリンダボア内面に形成された微細凹部の形成例を示す説明図、図6(A)(B)は微細凹部の断面形状例を示すもので、図5の6−6線に沿う拡大断面図である。
内燃機関は、図1に示すように、アルミニウム合金製のピストン1に設けられたピン2が、クランクシャフト3とコネクティングロッド4を介して連結され、アルミニウム合金製のシリンダ5のボア6内で、潤滑油の存在下で往復摺動可能に設けられている。
ピストン1は、シリンダ5内での往復摺動時に、ボア6の内周面6aとピストンリング7やピストンスカート部8との間に摩擦が生じることから、本実施形態では、ピストン1側とボア6の内周面6a側にそれぞれ摩擦損失や摩耗を大幅に低減する摩擦低減手段が施されている。
まず、ピストン1側の摩擦低減手段は、図2,3に示すように、ピストン1の上部に設けられたピストンリング7とピストンスカート部8の表面に硬質カーボン膜9(図2,図3参照)を施すことにより構成されている。
さらに詳述する。図2は便宜的にピストン1とシリンダ5との間を離間して示しているが、図2に示すように、ピストンリング7は、ピストン1とシリンダ5のボア6との間のすき間を無くし、燃焼室からクランクケース側に圧縮ガスが抜けることを防ぐコンプレッションリング(前述のトップリング7aとセカンドリング7b)と、ボア6の内周面6aについている余分なエンジンオイルをかき落とし、適度な油膜を形成してピストンの焼きつきを防止するオイルリング7cとを有している。
これら全てのピストンリング7に硬質カーボン膜9を被覆してもよいが、セカンドリング7bに硬質カーボン膜9をコーティングすると、オイル消費は抑制されるものの、摺動中にセカンドリング7bの先端がボア6の内周面6aに十分なじまず、結果としてボア6の内周面6aを攻撃する虞がある。したがって、本実施形態では、トップリング7aとオイルリング7cのみに、図3に示すように、硬質カーボン膜9を全体的にコーティングし、オイル消費を抑制しつつ、耐摩耗性を向上させている。
また、ピストン1は、シリンダ5のボア6内でピストンピン2を中心に傾斜作動し、ピストンスカート部8とボア6の内周面6aとの間で摺動摩擦が生じるので、本実施形態では、図4に示すように、ピストンスカート部8の表面にも硬質カーボン膜9をコーティングしている。
このようにピストンリング7やピストンスカート部8を被覆する硬質カーボン膜9は、膜厚tが0.5μm以上20μm以下とすることが好ましい。膜厚tが0.5μm以下の場合には、摩耗により母材が露出する虞があり、20μm以上になると、成膜時間が長くなり生産性が劣るばかりでなく、膜剥離などの耐久性の面で問題を生じる可能性がある。
また、硬質カーボン膜9の硬さは、ビッカース硬さ(HV)で2500以下とすることが好ましい。このようにすれば、相手材であるアルミニウム合金製のシリンダ5のボア内周面6aに対する耐攻撃性が極めて減少し、摩耗を抑制することができる。
硬質カーボン膜9の算術平均粗さ(Ra1)は、0.05μm以下であって、しかも、Rsk値(スキューネス;JIS B0601:2001)をマイナス、つまり、プラトー状の表面粗さ(下に凸)することが好ましい。なお、スキューネスとは、平均値のまわりの3次モーメントをσ3で正規化したもので、平均値のまわりの非対称性を示す指標として用いられており、以下の式により求められる値である。
Figure 2008019718
算術平均粗さ(Ra1)が0.05μm以下であると、油膜保持能力が向上し、摩擦係数が低減し、相手アルミニウム合金への耐攻撃性が減少する。さらに、Rsk値をマイナスにすると、さらに油膜保持能力が向上し、耐摩耗性、耐焼き付き性、耐相手攻撃性を一層高めることができる。
なお、硬質カーボン膜9の算術平均粗さ(Ra1)は、例えば、触針式表面形状測定装置FormTalysurf−120L(Taylor−Hobson社製)により測定される。
ピストンスカート部8は、平滑な面に硬質カーボン膜9を形成してもよいが、その表面に滑り方向(つまり、図4の両矢印で示す摺動方向)と直交する方向に伸延する円周溝10を形成し、これに硬質カーボン膜9をコーティングしてもよい。これにより油膜保持能力が一層向上し、より好ましいものとなる。
円周溝10の断面形状としては、図4に示すように、いわゆるプラトー形状であることが好ましい。プラトー形状とは、円周溝10相互間の山部の尖端部分を削落し平坦部10aにしたものである。プラトー形状にしたピストンスカート部8は、油膜形成能力が十分発揮され、相手アルミニウム合金を攻撃する虞が極めて少なくなるが、プラトー形状でない場合には、油膜が十分形成されず、相手アルミニウム合金を攻撃する可能性が高くなる。
円周溝10の形成に当っては、溝底から平坦部10aまでの最大深さH1が5μm以下とすることが好ましい。最大深さH1が5μm以下であれば、保油性の向上によりアルミニウム合金の相手ライナー材への攻撃性が極めて減少するとともに、摩擦や磨耗が飛躍的に小さくなる。最大深さH1が5μmより大きくなると、円周溝10の深さが深すぎ、金属接触が大きくなり、十分な摩擦係数低下効果が得られない虞が生じる。
ただし、円周溝10が形成されたピストンスカート部8であっても、その算術平均粗さ(Ra2)は、0.2μm以下とすることが好ましい。このようにすると、上述した摩擦係数低下効果がさらに発現されるという優れた効果がもたらされる。
一方、シリンダ5側の摩擦低減手段は、図2に示すように、アルミニウム合金よりなるシリンダボア6内面に複数の微細な凹部11を施すことにより形成している。
微細凹部11は、開口部の外形が矩形、円形あるいは楕円形など種々のものを使用することができるが、その配置状態は、図5(A)に示すように、千鳥格子状の配置としてもよく、図5(B)に示すように、正方格子状の配置としてもよい。各微細凹部11の断面形状は、図6(A)(B)に拡大して示すように、断面U字状あるいは断面矩形状など種々の形状を有するものを使用することができる。
微細凹部11は、シリンダボア6内面の面積に対して開口部の合計面積の割合(面積率)が、0.5%〜10%とすることが好ましい。面積率が、0.5%以下であれば、油膜厚さを増大させる効果が十分発現されず、10%以上であれば、接触部に対する凹部の面積が大きすぎ、金属接触が増加する虞があり好ましくない。
微細凹部11の深さH2は、0.5μm〜20μmが好ましい。0.5μm以下であれば、保油性が十分でなく、20μm以上であれば、不必要に油溜りができ好ましくない。したがって、0.5μm〜20μmの範囲であれば、摩擦が小さく、耐久性に優れたシリンダ5となる。微細凹部11の深さの測定は、三次元表面構造解析顕微鏡NewView5032(ザイゴ株式会社製)を用い、非接触三次元白色光位相変調干渉方式などにより測定する。
微細凹部11の開口部の摺動方向(図5中、両矢印方向)の最大長さLは、500μm以下であることが好ましい。微細凹部11の最大長さLが500μm以上になると、接触部に対する微細凹部11の面積が大きすぎるため、金属接触が増加する方向であり好ましくない。
微細凹部11の滑り方向(図5中、両矢印方向)の最大長さLに対する、微細凹部11の底面の極値を示す長さSの比、つまり、S/Lは0.2以下とすることが好ましい。
S/Lが0.2以下であれば、微細凹部11による動圧効果が効果的に発現されることで油膜厚さが増大し、摩擦係数が極めて小さく、焼き付き防止性に優れたシリンダ5を得ることができる。しかし、S/Lが0.2以上になると、動圧効果が減少し、摩擦低減効果が減少する虞がある。
前述したように微細凹部11を千鳥格子状あるいは正方格子状に配置した場合には、微細凹部11が存在しない部分が生じるが、この部分の平均的な表面粗さ(他の部分と区別するために「算術平均粗さ」(Ra3)と称す)は、0.05μm以下であることが好ましい。
算術平均粗さ(Ra3)が0.05μm以下であれば、油膜厚さを増大させる効果が十分発現され、金属接触が抑制され摩擦が小さく、耐久性に優れたシリンダ5を得ることができる。また、算術平均粗さ(Ra3)が0.05μm以上になると、油膜厚さが小さい場合に金属接触が増大し、摩擦の増大や、摩耗が増大するなどの影響が懸念される。
シリンダ5は、アルミニウム合金製であるが、シリンダ5のボア内面のアルミニウム合金のSi含有率は、12%以下とすることが好ましい。このようにすると、問題なく摺動するラシリンダ5を得ることができ、特に、Si量を減らすことで、加工が容易になる。
前述したピストンリング7とシリンダ5、ピストンスカート部10とシリンダ5の2種類の摺動形態それぞれについて、種々の材料、面積率、微細凹部の配置状態、表面粗さなどを有するものにつき実験を行い、摩擦係数や摩耗量を測定し、評価法により効果を確認した。
<ピストンリングとシリンダ>
図7はピストンリングとシリンダとの往復摺動試験状態を示す概略斜視図である。ピストンリングとシリンダの実験には、図7に示すような、往復摺動試験に使用したシリンダ用のプレート材は、40mm×60mm×5mm厚の板材であって、ADC14およびADC12という2種類の板材である。表面は、各種仕上げ加工を施すとともに、微細凹部11(図7では不図示)を所定の面積率、断面形状で形成し、千鳥あるいは正方状の配置して、評価に供した。
往復摺動試験に使用したピストンリング用の部材としては、SCM435の浸炭焼入れ焼き戻し材であり、種々の硬さを有するものである。接触幅は40mm、接触部分の曲率半径rは30mmで、この接触部分の表面には各種薄膜がコーティングされている。
各種薄膜のコーティングは、非晶質硬質カーボン膜9をイオンプレーディング法(以下、PVD法)およびCVD(Chemical Vaper Deposition)法により形成した。またコーティング後、表面に形成されたドロップレットと呼ばれる突起をテープラップフィルムにより、必要に応じて除去した後、試験に供した。
実験条件は、25℃の潤滑油(5W30)を0.8cc/minで滴下し、垂直荷重F1として25Kgfを加えつつ、摺動距離30mmを、摺動速度600回/minで往復摺動させることにより行った。
ここに、断面U字形状の微細凹部11(下記表1、表2では「U」で示す)は、マスクブラスト処理により規則的に形成した。マスクブラスト処理は、光リソグラフィ技術を利用し、樹脂製マスクに微細凹部の形状を形成し、その樹脂マスクを円筒内面表面に貼り付けた後、平均粒径20μmのアルミナ砥粒を、投射ノズルからワークまでの距離を100mmとし、投射流量100g/min、投射圧0.4MPaの条件下で投射し、微細凹部11(図7では不図示)を成形した。
断面矩形状(下記表1、表2では「R」で示す)の微細凹部11は、インデント加工により規則的に形成した。インデント加工は、所望の形状となるような超硬製の工具を試作し、その工具を押し込むことにより塑性加工によって形成した。インデント加工により生じた微細凹部11の周辺の盛り上がりは、粒径9μmのテープラップフィルムを使用したラッピング加工により除去した。
(実施例1)
実施例1のシリンダ用のプレート材は、ADC14を使用し、これに形成した微細凹部11は、インデント加工によって形成した断面矩形状のもので、大きさは、80μm×320μm、面積率2.5%とし、深さH2は3μmとした。これらの配置は、図3に示す正三角形状に配置した千鳥格子配置とした。
また、ピストンリング用の部材は、非晶質硬質カーボン膜9をCVD法により形成した。またコーティング後、表面に形成されたドロップレットと呼ばれる突起を必要に応じてテープラップフィルムにより研磨し、除去した後、試験に供した。算術平均粗さRa1は、0.02μmであり、ビッカース硬さ(HV)は2000であった。
実施例1につき、前述の実験を行った結果、後述する比較例1の摩擦係数を「1」、摩耗量を「1」とした場合、実施例1のものは、摩擦係数が「0.10」、摩耗量を「0.07」という値であり、比較例1より摩擦係数および耐摩耗性の点ですぐれることが確認された。
(実施例2)
実施例2のシリンダ用のプレート材は、ADC12を使用し、これに形成した微細凹部11は、配置、大きさ、面積率、深さH2が実施例1と同様とした。また、ピストンリング用の部材は、実施例1と同様とした。
同様の実験を行った結果、摩擦係数が「0.11」、摩耗量を「0.13」という値になった。実施例2も、比較例1より摩擦係数および耐摩耗性の点ですぐれることが確認された。
(実施例3)
実施例3のシリンダ用のプレート材は、ADC12を使用し、これに形成した微細凹部11は、実施例1と同様の、断面形状、配置、大きさ、面積率、深さH2とした。また、ピストンリング用の部材は、非晶質硬質カーボン膜9をPVD法により形成した。算術平均粗さRa1は、0.02μmであり、ビッカース硬さ(HV)は2800であった。
同様の実験を行った結果、摩擦係数が「0.10」、摩耗量を「0.10」という値になった。実施例3も、比較例1より摩擦係数および耐摩耗性の点ですぐれることが確認された。
(実施例4)
実施例4のシリンダ用のプレート材は、ADC12を使用し、これに形成した微細凹部11は、実施例1と同様の、断面形状、大きさ、面積率、深さH2であるが、配置を正方状とした。また、ピストンリング用の部材は、非晶質硬質カーボン膜9をCVD法により形成した。算術平均粗さRa1は、0.02μmであり、ビッカース硬さ(HV)は2000であった。
同様の実験を行った結果、摩擦係数が「0.13」、摩耗量を「0.20」という値になった。実施例4も、比較例1より摩擦係数および耐摩耗性の点ですぐれることが確認された。
(実施例5)
実施例5のシリンダ用のプレート材は、ADC12を使用し、これに形成した微細凹部11は、実施例1と同様の、千鳥配置、大きさ、面積率、深さH2であるが、断面形状をU字状とした。また、ピストンリング用の部材は、非晶質硬質カーボン膜9をCVD法により形成した。算術平均粗さRa1は、0.02μmであり、ビッカース硬さ(HV)は2000であった。
同様の実験を行った結果、摩擦係数が「0.14」、摩耗量を「0.23」という値になった。実施例5も、比較例1より摩擦係数および耐摩耗性の点ですぐれることが確認された。
(実施例6)
実施例6のシリンダ用のプレート材は、ADC12を使用し、これに形成した微細凹部11は、実施例1と同様の、千鳥配置、大きさ、面積率、深さH2であるが、断面形状を矩形状とした。また、ピストンリング用の部材は、研磨することなく、非晶質硬質カーボン膜9をCVD法により形成した。算術平均粗さRa1は、0.02μmであり、ビッカース硬さ(HV)は2000であった。
同様の実験を行った結果、摩擦係数が「0.63」、摩耗量を「0.67」という値になった。実施例6も、比較例1より摩擦係数および耐摩耗性の点ですぐれることが確認された。
(比較例1)
比較例1としてのシリンダ用のプレート材は、FCA材を使用し、クロスハッチを全面に形成し、算術平均粗さRa3が0.3μmとしたものである。
また、比較例1のピストンリング用の部材は、クロムメッキを行い、中心線平均荒さRa3が0.2μmとなるようにしたもので、ビッカース硬さ(HV)は800である。
この比較例1につき、前述の実験を行った場合の摩擦係数は「1」、摩耗量を「1」と設定する。
(比較例2)
比較例2のシリンダ用のプレート材は、ADC12を使用し、これに微細凹部11を形成せず、中心線平均荒さRa3を0.02μmとした。また、比較例2のピストンリング用の部材は、クロムメッキし、算術平均粗さRa1を、0.2μmとし、ビッカース硬さ(HV)は800とした。
同様の実験を行った結果、摩擦係数は比較例1に対し「0.75」、摩耗量は比較例1に対し「20」という値になった。
(比較例3)
比較例3のシリンダ用のプレート材は、ADC14を使用し、比較例1と同様、クロスハッチを全面に形成し、中心線平均荒さRa3が0.3μmとしたものである。
また、比較例3のピストンリング用の部材は、Al分散NiPメッキを行い、算術平均粗さRa1が0.1μmとなるようにしたもので、ビッカース硬さ(HV)は800である。
同様の実験を行った結果、摩擦係数は比較例1に対し「0.50」、摩耗量は比較例1に対し「6」という値になった。
これらをまとめると、下記の表1に示すようになる。
Figure 2008019718
<ピストンスカート部とシリンダ>
図8はピストンスカート部とシリンダとの往復摺動試験状態を示す概略斜視図である。ピストンスカート部とシリンダの実験には、図8に示すような、内接する2つ半円筒材である、ライナー切り出し材(シリンダ材)と、ピストン切り出し材(ピストン材)とを用いた。より具体的には、ボア径86mmに相当するピストンとシリンダをそれぞれ切り出し、試験に供した。
シリンダ材としては、ADC12およびFCAという2種類を使用した。表面は、前述したピストンリングとシリンダの摺動形態の場合と同様、各種仕上げ加工を施すとともに、微細凹部11を所定の面積率、断面形状で形成し、千鳥状の配置とした。
ピストン材としては、種々の硬さの材料を使用した。表面は、ピストンスカート部10に形成されている条痕(切削目)を必要に応じてラッピングを行ってプラトー形状とし、その条痕の深さおよびプラトー形状の平坦部の表面粗さを制御した。その後、必要に応じて各種コーティングを行った。
実験条件は、80℃の5W30の潤滑油を0.8cc/minで滴下し、垂直荷重F2として75Kgfを加えつつ、摺動速度600回/minで往復摺動させることにより行った。
なお、この摺動形態における微細凹部11の形成方法は、前述したピストンリングとシリンダの摺動形態の場合と同様である。また、ピストンスカート部に、非晶質硬質カーボン膜9を形成方法も前述したピストンリングとシリンダの摺動形態の場合と同様である。
(実施例7)
実施例7のシリンダ材は、ADC12を使用し、これに形成した微細凹部11は、インデント加工によって形成した断面矩形状のもので、面積率2.5%とし、深さH2は3μmとした。配置状態は、図3に示す正三角形状に配置した千鳥格子とした。
また、ピストン材は、ピストンスカート部10の部分をプラトー形状とし、その条痕の深さH1は5μmとし、非晶質硬質カーボン膜9をCVD法により形成し、このビッカース硬さ(HV)は2800であった。
実施例7につき、前述の実験を行った結果、後述する比較例4の摩擦係数を「1」、摩耗量を「1」とした場合、実施例7のものは、摩擦係数が「0.80」、摩耗量を「0.33」という値であり、後述する比較例4〜6の摩擦係数および耐摩耗性より優れていることが確認された。
(実施例8)
実施例8のシリンダ材は、ADC12で、微細凹部11の、断面矩形状、面積率、深さ、配置状態は実施例7と同様とした。
また、ピストン材は、ピストンスカート部10の部分をプラトー形状とし、その条痕の深さH1は3μmとし、非晶質硬質カーボン膜9をCVD法により形成し、このビッカース硬さ(HV)は2000であった。
実施例8につき、前述の実験を行った結果、摩擦係数は「0.70」、摩耗量を「0.17」という値であり、比較例4〜6の摩擦係数および耐摩耗性より優れていることが確認された。
(実施例9)
実施例9のシリンダ材は、ADC12で、微細凹部11の、断面矩形状、面積率、深さ、配置状態は実施例7と同様とした。
また、ピストン材は、「条痕なし」とし、非晶質硬質カーボン膜9をCVD法により形成し、このビッカース硬さ(HV)は2000であった。
実施例9につき、前述の実験を行った結果、摩擦係数は「0.40」、摩耗量を「0.03」という値であり、比較例4〜6の摩擦係数および耐摩耗性より優れていることが確認された。
(比較例4)
比較例4のシリンダ材は、FCAで、微細凹部11ではなく、算術平均粗さRa2が0.3μmのクロスハッチとした。
また、ピストン材は、ピストンスカート部10の部分がプラトー形状を有しない、深さが10μmの条痕を形成し、その表面をクロムメッキした。そのビッカース硬さ(HV)は800であった。
比較例4につき、前述の実験を行った場合の摩擦係数は「1」、摩耗量を「1」と設定する。
(比較例5)
比較例5のシリンダ材は、ADC12で、これに形成した微細凹部11は、インデント加工によって形成した断面矩形状のもので、面積率2.5%とし、深さH2は3μmとした。配置状態は、図3に示す正三角形状に配置した千鳥格子とした。
また、ピストン材は、ピストンスカート部10の部分がプラトー形状を有しない、深さH1が10μmの条痕を形成し、非晶質硬質カーボン膜9をCVD法により形成した。そのビッカース硬さ(HV)は2000であった。
比較例5につき、前述の実験を行った結果、摩擦係数が「1.1」、摩耗量を「3.3」という値であった。
(比較例6)
比較例6のシリンダ材は、ADC12で、これに微細凹部11は形成せず、算術平均粗さRa2が0.02μmのものとした。
また、ピストン材は、深さH1が5μmの条痕を形成しているが、ピストンスカート部10の部分がプラトー形状を有しない、また、表面も研磨せず、非晶質硬質カーボン膜9をCVD法により形成した。そのビッカース硬さ(HV)は2000であった。
比較例6につき、前述の実験を行った結果、摩擦係数が「0.95」、摩耗量を「1」という値であった。
これらをまとめると、下記の表2に示すようになる。
Figure 2008019718
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。例えば、上述した実施形態では、ピストン側に硬質カーボン膜9を形成したが、場合によってはシリンダ側に形成してもよい。
本発明は、潤滑油の存在下で摺動する摺動部材の摺動摩擦を低減した内燃機関、特に、ピストンとシリンダに利用することができる。
本発明の実施形態に係る内燃機関を示す概略断面図である。 図1の要部拡大断面図である。 本実施形態のピストンリングの断面図である。 本実施形態のピストンスカート部を示す断面図である。 シリンダボア内面に形成された微細凹部の形成例を示す説明図である。 微細凹部の断面形状例を示すもので、図5の6−6線に沿う拡大断面図である。 ピストンリングとシリンダとの往復摺動試験状態を示す概略斜視図である。 ピストンスカート部とシリンダとの往復摺動試験状態を示す概略斜視図である。
符号の説明
1…ピストン、
5…シリンダ、
6…シリンダボア、
6a…シリンダボア内面、
7…ピストンリング、
7a…トップリング、
7c…オイルリング、
8…ピストンスカート部、
9…硬質カーボン膜、
11…微細凹部、
H1…周溝の深さ、
H2…微細凹部の深さ、
L…微細凹部の摺動方向の表面長さ、
Ra1…硬質カーボン膜の算術平均粗さ、
Ra2…ピストンスカート部の算術平均粗さ、
Ra3…微細凹部間の算術平均粗さ、
S…微細凹部の底面の極値を示す長さ、
t…膜厚。

Claims (12)

  1. 少なくともシリンダボア内面がアルミニウム合金により形成されかつ前記シリンダボア内面に多数の微細凹部が形成された内燃機関であって、ピストンリングおよびピストンスカート部の表面に硬質カーボン膜を被覆したことを特徴とする内燃機関。
  2. 前記シリンダボア内面を形成するアルミニウム合金は、Si含有率が12%以下であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記微細凹部は、前記シリンダボア内面の面積に対する面積率が、0.5%以上10%以下としたことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関。
  4. 前記微細凹部は、深さ(H2)が、0.5μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関。
  5. 前記微細凹部は、摺動方向の表面長さ(L)が500μm以下であり、さらに、千鳥状に配置し、当該微細凹部が存在しない面の算術平均粗さ(Ra2)が0.05μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関。
  6. 前記微細凹部は、摺動方向の表面長さを「L」、当該微細凹部の底面の極値を示す長さを「S」とした場合、S/Lが0.2以下としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関。
  7. 前記硬質カーボン膜は、膜厚(t)が、0.5μm以上20μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関。
  8. 前記硬質カーボン膜は、硬さ(Hv)が、2500以下であることを特徴とする請求項7に記載の内燃機関。
  9. 前記硬質カーボン膜は、算術平均粗さ(Ra1)が、0.05μm以下でかつRsk値マイナスとなっていることを特徴とする請求項7又は8に記載の内燃機関。
  10. 前記ピストンスカート部は、摺動方向と直交する方向に、断面プラトー状の周溝が形成され、当該周溝の溝底から平坦部までの最大高さ(H2)が5μm以下であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の内燃機関。
  11. 前記ピストンスカート部は、前記周溝がなく、その算術平均粗さ(Ra2)が0.2μm以下であることを特徴とする請求項10に記載の内燃機関。
  12. 前記ピストンリングは、オイルリングとトップリングに硬質カーボン膜を形成したことを特徴とする請求項7〜11のいずれかに内燃機関。
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