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JP2008075015A - セルロース化合物、高分子組成物、光学フィルム、位相差板、および偏光板 - Google Patents

セルロース化合物、高分子組成物、光学フィルム、位相差板、および偏光板 Download PDF

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JP2008075015A
JP2008075015A JP2006257427A JP2006257427A JP2008075015A JP 2008075015 A JP2008075015 A JP 2008075015A JP 2006257427 A JP2006257427 A JP 2006257427A JP 2006257427 A JP2006257427 A JP 2006257427A JP 2008075015 A JP2008075015 A JP 2008075015A
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Japan
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film
cellulose
formula
liquid crystal
cellulose compound
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Application number
JP2006257427A
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English (en)
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Masato Nagura
正人 名倉
Toyohisa Oya
豊尚 大屋
Tomohiro Ogawa
智宏 小川
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Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
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Abstract

【課題】 逆波長分散性を有する位相差板を簡便な製造工程で作製可能な新規なセルロース化合物を提供する。
【解決手段】 一般式(1)で表されるセルロース化合物。
Figure 2008075015

式中、nは10〜1500の整数である。X、XおよびXは−O−、−OCO−または−OCONH−を表す。R、R、およびRの少なくとも一つは一般式(2)で表される置換基である。
Figure 2008075015

(式中、Lは単結合またはアルキレン基を表す。VはC、CH、またはNを表し、PおよびQは芳香族基を有する環構造αを形成する残基である。Vにおける炭素原子または窒素原子をVと、Vと結合するP、Qとの3原子により形成される平面上において、P−Qに対して平行方向をX軸、該平面上でX軸に直交方向をY軸とすると、環構造αの吸収の遷移モーメントの大きさがX軸方向、Y軸方向の順に大きい。)
【選択図】なし

Description

本発明はセルロース化合物、高分子組成物、光学フィルム、位相差板、偏光板に関する。詳しくは、液晶表示装置に用いられる偏光板に好適な位相差板、該位相差板に好適な光学フィルム、該光学フィルムに好適な高分子組成物、前記高分子組成物に含まれるセルロース化合物に関する。
セルロースアシレートフィルムはその透明性、強靭性および光学的等方性から、液晶表示装置向けの偏光板保護フィルムとして広く利用されている。
近年、液晶表示装置の普及に伴い、表示性能や耐久性に対する要求がより高くなり、応答速度の向上や、表示画像に対して斜め方向から観察した場合のコントラストやカラーバランスといった視野角をより広範囲で補償することが課題となっている。これらの課題を解決すべく、VA(Vertical Alignment)方式、OCB(Optical Compensated Bend)方式、あるいはIPS(In-Plane Switching)方式の表示素子が開発され、それぞれの液晶方式に応じた、様々なレターデーション発現性を有する光学フィルム材料が要求されている。とりわけ、位相差フィルムは、面内のレターデーション(Re)および、厚み方向のレターデーション(Rth)の値を多様な液晶方式それぞれに応じて制御することが求められている。
このような要求に対して、光学フィルム材料として従来から広く用いられているセルロースアセテートは、延伸倍率が上げにくいという特徴を有することから、レターデーションの発現範囲に限界がある。
これらの課題を解決する手段として、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどの脂肪酸セルロースエステルセルロース混合アシレートを製膜して用いる光学フィルムが提案されている(特許文献1、2)。これらの脂肪酸セルロースはセルロースアセテートのレターデーション発現性を拡大する可能性を有する優れた素材である。しかしながら上記光学フィルムで制御できるReの値は、例えば、セルロースアセテートプロピオネートでは30nm以下、Rthの値は60〜300nmの範囲に限定され、多様化した液晶方式に応じた十分なレターデーションの発現には至っていない。
芳香族基をもつセルロースとして芳香族カルボン酸とのエステルからなるセルロースアシレートを用いた光学フィルムも提案されている(特許文献3)。しかし、レタデ−ションなどの光学特性については十分な知見は得られていない。
特開2001−188128号公報 特開2005−352620号公報 特開2002−179701号公報
上記問題点に鑑み本発明の目的は、新規なセルロース化合物を提供し、それにより簡便な製造工程で作製可能な、広帯域λ/4板のような逆波長分散性を有する位相差板を提供することにある。また、この位相差板を用いた偏光板を提供することにある。
上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ある特定の材料を延伸し、フィルムにすることや特定フィルムに添加して延伸することで、該特定フィルムにおける波長分散を逆分散とすることが可能であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明の目的は、下記手段により達成された。
(1)下記一般式(1)で表されることを特徴とするセルロース化合物。
Figure 2008075015
一般式(1)中、nは平均重合度を表し、10〜1500の整数である。X、XおよびXはそれぞれ独立に、*−O−、*−OC(=O)−または*−OC(=O)NH−(*は主鎖側の結合を表す)の連結基を表す。R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または下記一般式(2)で表される置換基である。n個ずつ存在する−X−R、−X−Rまたは−X−Rは構成単位ごとで異なっていてもよく、n個ずつ存在するR、R、およびRのうち、少なくとも一つは下記一般式(2)で表される置換基である。
Figure 2008075015
(一般式(2)中、Lは単結合、または炭素数1〜20のアルキレン基を表し、アルキレン基を構成する−CH−を−O−、−S−、−NR−(Rは水素原子または置換基)に置換してもよい。VはC、CH、またはNを表し、PおよびQは芳香族基を有する環構造αを形成する残基であり、置換基を有していてもよい。このときVにおける炭素原子または窒素原子をVとし、PおよびQにおける前記Vと結合している原子をそれぞれP、Qとした場合、V−P−Qの3原子により形成される平面上において、P−Qに対して平行方向をX軸、該平面上でX軸に直交方向をY軸とすると、環構造αの吸収の遷移モーメントの大きさがX軸方向、Y軸方向の順に大きい。ただし、前記遷移モーメントは、下記一般式(3)で表される化合物の吸収の遷移モーメントを計算して得られる値である。)
Figure 2008075015
(一般式(3)中、V、P、Qおよび環構造αは、それぞれ一般式(2)におけるものと同じ意味である。)
(2)前記−X−R、−X−R、および−X−Rで表される置換基であって、前記R、R、およびRが前記一般式(2)で表される置換基の平均置換度(B)が下記式(I)を満たす(1)項記載のセルロース化合物。
数式(I) 0.1<(B)<2.5
ただし、前記セルロース化合物における−X−R、−X−R、および−X−Rで表される置換基の平均置換度の合計(−X−R)+(−X−R)+(−X−R)は3.0である。
(3)前記−X−R、−X−R、および−X−Rで表される置換基であって、前記R、R、およびRが炭素数1〜10のアルキル基である置換基の平均置換度(A)、並びに前記R、R、およびRが前記一般式(2)で表される置換基の平均置換度(B)が、下記式(I)〜(III)を満たす(2)項記載のセルロース化合物。
数式(I) 0.1<(B)<2.5
数式(II) 0.5<(A)<2.9
数式(III) 0.6<(A)+(B)<3.0
ただし、前記セルロース化合物における−X−R、−X−R、および−X−Rで表される置換基の平均置換度の合計(−X−R)+(−X−R)+(−X−R)は3.0である。
(4)前記環構造αが、含窒素五員環、含窒素六員環、芳香族炭化水素、および脂環式炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む構造である(1)〜(3)のいずれか1項に記載のセルロース化合物。
(5)前記X、XおよびXが、*−OC(=O)−(*はピラノース環側の結合を表す)である(1)〜(4)のいずれか1項に記載のセルロース化合物。
(6)(1)〜(5)のいずれか1項に記載のセルロース化合物を、少なくとも1種含んでなることを特徴とする高分子組成物。
(7)(6)項記載の高分子組成物より形成されたことを特徴とする光学フィルム。
(8)(7)項記載の光学フィルムを有することを特徴する位相差板。
(9)(6)記載の高分子組成物を少なくとも一種含み、該高分子組成物を延伸等の配向処理を行った、配向方向に対して複屈折Δn(550nm)が正でありかつ特定波長における複屈折Δnが下記数式(V)および(VI)を満足するフィルムを有することを特徴とする位相差板。
数式(V) 0.5<Δn(450nm)/Δn(550nm)<1.0
数式(VI) 1.05<Δn(630nm)/Δn(550nm)<1.5
(10)(8)または(9)項に記載の位相差板を、偏光子の少なくとも片側に配置したことを特徴とする偏光板。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[セルロース化合物]
本発明においてセルロース化合物とは、セルロース化合物、および、セルロースを原料として生物的あるいは化学的に官能基を導入して得られるセルロース骨格を有する化合物を含むものとする。
本発明のセルロース化合物は一般式(1)で表される。
Figure 2008075015
一般式(1)中、nは平均重合度を表し、10〜1500の整数であり、繰返し単位の構造や化合物の用途にもよるが、50〜1000が好ましい。さらに好ましくは100〜500の範囲である。
一般式(1)中、X、X、およびXはそれぞれ独立に、*−O−、*−OC(=O)−または*−OC(=O)NH−(*は主鎖側の結合を表す)の連結基を表すが、*−O−、*−OC(=O)−が好ましく、*−OC(=O)−がより好ましい。なお、セルロース体中にn個ずつ存在するX、XおよびXは構成単位ごとに同じでもそれぞれ異なっていても良い。
一般式(1)中、R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または下記一般式(2)で表される置換基のいずれかであり、n個ずつ存在するR、R、およびRのうち、少なくとも一つは一般式(2)で表される置換基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、分岐を有していてもよく、環を形成しても良い。さらに該アルキル基は置換基を有しても良いが、好ましくは炭素数1〜8の直鎖アルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜5の直鎖アルキル基、さらに好ましくはメチル基、エチル基、およびn−プロピル基である。
次に一般式(2)で表される置換基について説明する。
Figure 2008075015
式中、Lは単結合もしくは炭素数1〜20のアルキレン基を表し、直鎖でも分岐を有していても良く、また環構造を有しても良い。好ましくは炭素数1〜15のアルキレン基であり、より好ましくは炭素数1〜10、さらに好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基である。また、具体的な環構造としてはシクロへキシレン基やビシクロへキシレン基が挙げられる。さらにL中の−CH−を−O−、−S−、−NR−(Rは水素原子または置換基)に置換しても良い。例えば、−OCH−、−OCHCH−、−CHOCH−、−OCHCHCH−等が挙げられる。
VはC、CH、またはNを表し、PおよびQは芳香族基を有する環構造αを形成する残基であり、置換基を有していても良い。このとき、Vにおける炭素原子または窒素原子をVとし、PおよびQにおける前記Vと結合している原子をそれぞれP、Qとすると、V−P−Qの3原子により形成される平面上で、P−Qに対して平行方向をX軸、該平面上でX軸に直交方向をY軸とすると、環構造αの吸収の遷移モーメントの大きさがX軸方向、Y軸方向の順に大きい(吸収の遷移モーメントとは、遷移の際の電気的双極子モーメントの変化量であり、遷移前後の状態の波動関数を計算することにより与えられる。)この条件を満足する環構造αには制限は無く、単環式であっても多環式であっても良い。また、縮環構造を有していることも好ましい。特に環構造αは含窒素五員環、含窒素六員環、芳香族炭化水素、および脂環式炭化水素のいずれかを含んでいることが好ましい。
ただし、前記遷移モーメントは、下記一般式(3)で表される化合物の吸収の遷移モーメントを計算して得られる値である。
Figure 2008075015
(一般式(3)中、V、P、Qおよび環構造αは、それぞれ一般式(2)におけるものと同じ意味である。)
上記のY軸方向の遷移モーメントの大きさが、X軸方向の遷移モーメントの大きさよりも小さい、または等しいと得られる延伸フィルムの波長分散が順分散となってしまう。
セロース化合物の環構造αの吸収の遷移モーメントの大きさがX軸方向、Y軸方向の順に大きいことで、当該化合物を含む延伸フィルムは、TD方向に比較してMD方向の吸収遷移波長をより長波化できる。
以下に本発明の好ましい環構造αに関して具体例を挙げて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
Figure 2008075015
Figure 2008075015
Figure 2008075015
なお、本発明のセルロース化合物の末端に位置する2つのグルコピラノース環については、1位または4位の水酸基にも置換基を有することが可能であるが、その置換基の種類は特に限定されない。好ましい例としては、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは炭素数1〜18、さらに好ましくは炭素数1〜12)、脂肪族アシル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは炭素数2〜18、特に好ましくは炭素数2〜12)、芳香族アシル基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜24、特に好ましくは炭素数6〜20)、および、上記の−X−R、−X−Rまたは−X−Rで表される基などを挙げることができる。
セルロースを構成するβ−1、4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。本発明において平均置換度とは、2位、3位及び6位の水酸基のいずれかが前記規定の置換基に置換されている割合を示す。2位、3位及び6位の水酸基がすべて目的の置換基に置換されたとき平均置換度は3.0となる。
すなわち、本発明の一般式(I)で表される化合物において、−X−R、−X−R、および−X−Rで表される置換基の平均置換度の合計(−X−R)+(−X−R)+(−X−R)は3.0となる。
−X−R、−X−R、および−X−Rで表される置換基であって、前記R、R、およびRが前記一般式(2)で表される置換基の平均置換度(B)は、数式(I)を満たすことが好ましく、数式(I’)を満たすことがより好ましい。数式(I’’)を満たすことはさらに好ましい。
数式(I) 0.1<(B)<2.5
数式(I’) 0.1<(B)<2.0
数式(I’’)0.15<(B)<1.5
また、数式(I)、(I’)および(I’’)と同時に、−X−R、−X−R、−X−Rで表される置換基であって、前記R、R、Rが炭素数1〜10のアルキル基である置換基の平均置換度(A)が数式(II)を満たすことが好ましく、数式(II’)を満たすことがより好ましい。数式(II’’)を満たすことはさらに好ましい。
数式(II) 0.5<(A)<2.9
数式(II’) 0.8<(A)<2.5
数式(II’’)1.0<(A)<2.4
よって、(A)および(B)は、下記式(III)を満たすことが好ましい。
数式(III) 0.6<(A)+(B)<3.0
本発明において置換基の平均置換度は、H−NMRあるいは13C−NMRにより得られるシグナルデータから、含まれる官能基を同定し、各々の置換基に相当するシグナルの積分値を求め、得られた積分値の比率から置換度を算出する常法により、決定することが出来る。
<セルロース化合物の製造方法>
セルロース化合物の一般的な合成方法については、特開平6−329561号公報、特開平5−240848号公報、Macromol.Chem.Phys.,1996年,197巻,953−964頁、Macromol.Chem.Phys.,2002年,203巻,961−967頁、Org.Biomol.Chem.,2004年,2巻,402−407頁、「セルロースの事典」131−144ページ、セルロース学会編、2000年、Comprehensive Cellulose Chemistry,Volume 2、Wiley−Vch、2001年などに詳細に記載されており、本発明においても適宜適用することができる。
本発明のセルロース化合物の合成法としては、1段階あるいは多段階の合成から選択できる。
1段階合成法は、セルロースからエステル化あるいはエーテル化などを実施することにより合成するもので、本発明のセルロース化合物が混合エステルあるいは混合エーテルである場合には、エステル化剤あるいはエーテル化剤として2種類以上の混合物を用いて反応させればよい。
多段階合成法は、セルロースから合成中間体を一旦合成し、それを次工程の出発物質として合成する製造法であり、1段階での合成が置換基の位置選択性、化学的製造適性、工業的生産性、あるいは経済性の点で適さない場合などに選択することができる。
ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどの安価な化合物をエーテル化、エステル化(炭酸エステル化、カルバミン酸エステル化を含む)などの方法により修飾して本発明の化合物を合成する場合などに、特に有用である。工業的なセルロース誘導体の製造法においては、エステル化、加水分解、解重合などを、中間体を取り出すことなく逐次的あるいは同時進行的に行う場合もあるが、このような合成法も多段階合成法の範疇と考えることができる。
本発明においては、置換位置を制御した合成を行う必要性から、多段階合成法が好ましく採用される。
(原料および前処理)
セルロース原料としては、広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、綿花リンター由来のものが好ましく用いられる。セルロース原料としては、α−セルロース含量が92質量%〜99.9質量%の高純度のものを用いることが好ましい。
セルロース原料がシート状や塊状である場合は、あらかじめ解砕しておくことが好ましく、セルロースの形態は綿状、羽毛状、あるいは粉末状になるまで解砕が進行していることが好ましい。
本発明において、セルロース原料は、活性化剤と接触させる前処理(活性化)を行うことが好ましい。活性化剤としてはエステル化を行う際にはカルボン酸を、エーテル化を行う場合には水または水酸化ナトリウム水溶液を使用することが好ましい。添加方法としては噴霧、滴下、浸漬などの任意の方法から選択することができ、活性化はいかなる温度ならびに時間を要して行ってもよい。
(ろ過)
セルロース化合物混合物中の未反応物、難溶解性塩、その他の異物などを除去または削減する目的として、反応混合物(ドープ)のろ過を行ってもよい。ろ過は、反応中から本発明のセルロース化合物の再沈殿までの間のいかなる工程において行ってもよい。ろ過圧や取り扱い性の制御の目的から、ろ過に先立って適切な溶媒で希釈することも好ましい。
(再沈殿)
このようにして得られたセルロース化合物溶液を、貧溶媒(水、アルコールなどを含む溶媒)中に混合するか、セルロース化合物溶液中に、貧溶媒を混合することにより、セルロース誘導体を再沈殿させ、洗浄を行うことにより目的のセルロース化合物を得ることができる。再沈殿は連続的に行っても、一定量ずつバッチ式で行ってもよい。また、温度により沈降性が変動する場合には、その性質に応じて、冷却、加熱、煮沸などの操作を行っても良い。セルロース化合物溶液の濃度、貧溶媒の組成、沈殿方法をセルロース化合物の置換様式あるいは重合度により調整することで、再沈殿したセルロース化合物の形態や見かけ密度、あるいは分子量分布を制御することも好ましい。
(洗浄)
生成したセルロース化合物は洗浄処理することが好ましい。洗浄溶媒はセルロース化合物の溶解性が低く、かつ、不純物を除去することができるものであればいかなるものでもよいが、通常は水、またはアルコールのような貧溶媒が用いられる。洗浄液の温度は、好ましくは15℃〜100℃であり、さらに好ましくは25℃〜90℃であり、特に好ましくは30℃〜80℃である。洗浄処理はろ過と洗浄液の交換を繰り返すいわゆるバッチ式で行っても、連続洗浄装置を用いて行ってもよい。洗浄の進行はいかなる手段で追跡を行ってよいが、水素イオン濃度、イオンクロマトグラフィー、電気伝導度、ICP、元素分析、原子吸光スペクトルなどの方法を好ましい例として挙げることができる。
(安定化)
洗浄後のセルロース化合物は、安定性をさらに向上させたり、カルボン酸臭を低下させるために、弱アルカリ(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物、酸化物など)の水溶液などで処理することも好ましい。
残存させる安定化剤の量と種類は、洗浄液の量、洗浄の温度、時間、攪拌方法、洗浄容器の形態、安定化剤の組成や濃度により制御できる。
<セルロースアシレートの重合度>
本発明において、セルロース化合物は、好ましくはセルロースアシレートであり、さらに好ましくはセルロースアセテートである。セルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であることが好ましく、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400がさらに好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度を700以下とすることにより、セルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり過ぎず、流延によるフィルム製造が容易になる傾向にある。また、重合度を180以上とすることにより、作製したフィルムの強度がより向上する傾向にあり好ましい。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫著、「繊維学会誌」、第18巻、第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。具体的には、特開平9−95538号公報に記載の方法に従って測定することができる。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましく、1.0〜1.6であることがさらに好ましい。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。本発明で用いるセルロースアシレートの製造時に使用される際には、セルロースアシレートの含水率は2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.7質量%以下であることがさらに好ましい。通常のセルロースアシレートは、2.5〜5質量%の割合で含水していることが知られている。このような場合、上記本発明において好ましい含水率にするため、セルロースアシレートを乾燥することが好ましい。乾燥方法は目的とする含水率とすることができる方法であれば特に限定されない。
また、本発明におけるセルロースアシレートの原料綿や合成方法としては、例えば、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、7頁〜12頁、2001年3月15日発行、発明協会)に記載のものを好ましく採用できる。
<セルロースアシレートへの添加剤>
本発明の高分子組成物は上記のセルロース化合物を少なくとも1種含んでなる組成物である。本発明において、高分子組成物とは、一般式(1)で規定されるセルロース化合物と、下記(イ)〜(ニ)から選ばれる少なくとも1種とからなる組成物をいう。
(イ)溶液化するための溶媒
(ロ)一般式(1)で規定される以外のセルロース化合物
(ハ)一般的な種々の添加剤
(ニ)上記以外の添加物
本発明の高分子組成物の好ましい態様の一つはセルロースアシレート溶液である。このとき、高分子組成物が固形物である場合、上記の一般式(1)で規定されるセルロース化合物が50質量%〜100質量%含まれていることが好ましく、60〜100質量%含まれていることがより好ましく、70〜100質量%含まれていることがさらに好ましい。また、セルロースアシレート溶液である場合は、上記の一般式(1)で規定されるセルロース化合物が1〜40質量%含まれていることが好ましく、3〜30質量%含まれていることがより好ましく、5〜25質量%含まれていることがさらに好ましい。
セルロースアシレート溶液には、種々の添加剤(例えば、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤等)を加えることができる。また、添加剤の添加時期は、ドープ作製工程の何れにおいて添加してもよく、また、ドープ調製工程の最後に調製工程としてこれらの添加剤を添加してもよい。
これらの添加剤は、固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば、20℃以下の紫外線吸収剤と20℃以上の紫外線吸収剤を混合して用いたり、同様に可塑剤を混合して用いたりすることができる。具体的には、特開2001−151901号公報に記載の方法を採用できる。
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤としては、目的に応じ任意の種類のものを選択することができ、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、ニッケル錯塩系等の吸収剤を用いることができ、好ましくはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系である。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−アセトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等を挙げることができる。
サリチル酸エステル系としては、フェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート等を挙げることができる。
これら例示した紫外線吸収剤の中でも、特に2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4,4’−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールが特に好ましい。
紫外線吸収剤は、吸収波長の異なる複数の吸収剤を複合して用いることが、広い波長範囲で高い遮断効果を得ることができるので好ましい。液晶用紫外線吸収剤は、液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。特に好ましい紫外線吸収剤は、上述のベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物である。中でも、ベンゾトリアゾール系化合物は、セルロースエステルに対する不用な着色が少ないことから、好ましい。
また、紫外線吸収剤については、特開昭60−235852号、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号、同6−118233号、同6−148430号、同7−11056号、同7−11055号、同7−11056号、同8−29619号、同8−239509号、特開2000−204173号の各公報に記載の化合物も用いることができる。
紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアシレートに対し0.001〜5質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。添加量が0.001質量%以上であれば添加効果が十分に発揮されうるので好ましく、添加量が5質量%以下であればフィルム表面への紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制できるので好ましい。
また紫外線吸収剤は、セルロースアシレート溶解時に同時に添加してもよいし、溶解後のドープに添加してもよい。特にスタティックミキサ等を用い、流延直前にドープに紫外線吸収剤溶液を添加する形態が、分光吸収特性を容易に調整することができるので好ましい。
(劣化防止剤)
前記劣化防止剤は、セルローストリアセテート等が劣化、分解するのを防止するために添加してもよい。劣化防止剤としては、ブチルアミン、ヒンダードアミン化合物(特開平8−325537号公報)、グアニジン化合物(特開平5−271471号公報)、ベンゾトリアゾール系UV吸収剤(特開平6−235819号公報)、ベンゾフェノン系UV吸収剤(特開平6−118233号公報)などの化合物を用いることができる。
(可塑剤)
可塑剤としては、リン酸エステルおよび/またはカルボン酸エステルであることが好ましい。リン酸エステル系可塑剤としては、例えばトリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が好ましい。また、カルボン酸エステル系可塑剤としては、例えばジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)、ジエチルヘキシルフタレート(DEHP)、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)、O−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等が好ましい。さらに、前記可塑剤が、(ジ)ペンタエリスリトールエステル類、グリセロールエステル類、ジグリセロールエステル類であることが好ましい。
(剥離促進剤)
剥離促進剤としては、クエン酸のエチルエステル類が好ましい例として挙げられる。
(赤外吸収剤)
赤外吸収剤としては、例えば特開2001−194522号公報に記載のものが好ましい。
(染料)
本発明では、色相調整のための染料を添加してもよい。染料の含有量は、セルロースアシレートに対する質量割合で10〜1000ppmが好ましく、50〜500ppmがさらに好ましい。この様に染料を含有させることにより、セルロースアシレートフィルムのライトパイピングが減少でき、黄色味を改良することができる。これらの化合物は、セルロースアシレート溶液の調製の際に、セルロースアシレートや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。またインライン添加する紫外線吸収剤液に添加してもよい。特開平5−34858号公報に記載の染料を用いることができる。
(マット剤微粒子)
本発明の光学フィルムは、上記の本発明の高分子組成物により形成されたものである。本発明の光学フィルムとしてはセルロースアシレートフィルムが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えてもよい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は、ケイ素を含むものが濁度が低くなる点でより好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。二酸化ケイ素の微粒子は、1次平均粒子サイズが20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子サイズが0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子サイズは0.2μm〜1.5μmが好ましく、0.4μm〜1.2μmがさらに好ましく、0.6μm〜1.1μmが最も好ましい。1次/2次粒子サイズはフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒子サイズとした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子サイズとした。
二酸化ケイ素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、いずれも商品名、日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、いずれも商品名、日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが、1次平均粒子サイズが20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化ケイ素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次平均粒子サイズの小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作製し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化ケイ素微粒子の分散性がよく、二酸化ケイ素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行い、これを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化ケイ素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化ケイ素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましく、15〜20質量%がさらに好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m2あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
(化合物添加の比率)
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート質量に対して5〜45質量%であることが好ましい。より好ましくは10〜40質量%であり、さらに好ましくは15〜30質量%である。これらの化合物としては上述したように、光学異方性を低下する化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤などである。さらに、分子量が2000以下の化合物の総量が上記範囲内であることがより好ましい。これら化合物の総量を5質量%以上とすることにより、セルロースアシレート単体の性質が出にくくなり、例えば、温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しにくくなる。またこれら化合物の総量を45質量%以下とすることにより、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムの白濁(フィルムからの泣き出し)が抑止される傾向にあり好ましい。
<セルロースアシレート溶液の有機溶媒>
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いて製造されることが好ましい。本発明において主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
以上、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としてもよいし、例えば公開技法(公開技報2001−1745、12頁〜16頁、2001年発行、発明協会)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としてもよい。
その他、セルロースアシレート溶液及びフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含め以下の特許文献に開示されているものを、好ましい態様としてあげることができる。特開2000−95876号、特開平12−95877号、特開平10−324774号、特開平8−152514号、特開平10−330538号、特開平9−95538号、特開平9−95557号、特開平10−235664号、特開平12−63534号、特開平11−21379号、特開平10−182853号、特開平10−278056号、特開平10−279702号、特開平10−323853号、特開平10−237186号、特開平11−60807号、特開平11−152342号、特開平11−292988号、特開平11−60752号、特開平11−60752号の各公報。
これらの特許文献によると本発明のセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、それらも、本発明においても好ましい態様である。
<セルロースアシレートフィルムの製造工程>
次に、セルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置を広く採用することができる。
(溶解工程)
セルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法または高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、22頁〜25頁、2001年3月15日発行、発明協会)にて詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
本発明におけるセルロースアシレート溶液のドープ透明度としては85%以上であることが好ましく、88%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。本発明においてはセルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、商品名、島津製作所)で550nmの吸光度を測定する。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出する。
(流延、乾燥、巻き取り工程)
溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば、回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜やハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、25頁〜30頁、2001年3月15日発行、発明協会)に詳細に記載されており、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
(延伸処理)
本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムは、延伸処理によりレターデーション値を調整することが好ましい。特に、セルロースアシレートフィルムの面内レターデーション値を高い値とする場合には、積極的に幅方向に延伸する方法、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、特開平4−284211号、特開平4−298310号、及び特開平11−48271号の各公報などに記載されている、製造したフィルムを延伸する方法を用いることができる。
フィルムの延伸は、常温又は加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムの延伸は、縦又は横だけの一軸延伸でもよく、同時又は逐次2軸延伸でもよい。フィルムは、1〜200%の延伸を行うことが好ましく、1〜100%の延伸を行うことがより好ましく、1〜50%の延伸を行うことがさらに好ましい。
上記偏光板を斜めから見たときの光漏れの抑制のためには、偏光膜の透過軸とセルロースアシレートフィルムの面内の遅相軸を平行に配置する必要がある。連続的に製造されるロールフィルム状の偏光膜の透過軸は、一般的に、ロールフィルムの幅方向に平行であるので、前記ロールフィルム状の偏光膜とロールフィルム状のセルロースアシレートフィルムからなる保護膜を連続的に貼り合せるためには、ロールフィルム状の保護膜の面内遅相軸は、フィルムの幅方向に平行であることが必要となる。従って幅方向により多く延伸することが好ましい。また延伸処理は、製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理してもよい。前者の場合には残留溶媒を含んだ状態で延伸を行ってもよく、残留溶媒量が2〜30質量%で好ましく延伸することができる。
乾燥後得られる、本発明に好ましく用いられるセルロースアシレートフィルムの厚さは、使用目的によって異なり、5〜500μmの範囲であることが好ましく、20〜300μmの範囲であることがより好ましく、30〜150μmの範囲であることがさらに好ましい。また、光学用、特にVA液晶表示装置用としては、40〜110μmであることが好ましい。フィルム厚さの調整は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。
以上のようにして得られた、セルロースアシレートフィルムの幅は0.5〜3mが好ましく、より好ましくは0.6〜2.5m、さらに好ましくは0.8〜2.2mである。長さは、1ロール当たり100〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500〜7000mであり、さらに好ましくは1000〜6000mである。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、ナーリングの幅は3mm〜50mmが好ましく、より好ましくは5mm〜30mm、高さは0.5〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであってもよい。
フィルムの幅方向のRe(590)値のばらつきは、±5nmであることが好ましく、±3nmであることが更に好ましい。また幅方向のRth(590)値のバラツキは±10nmが好ましく、±5nmであることが更に好ましい。また、長さ方向のRe値、及びRth値のバラツキも、幅方向のバラツキの範囲内であることが好ましい。
<セルロースアシレートフィルムの光学特性>
(Re、Rthの測定)
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、それぞれ波長λにおける面内のレターデーション及び厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)は“KOBRA 21ADH”(商品名、王子計測機器(株)製)において、波長λnmの光をフィルムの法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は、前記Re(λ)、面内の遅相軸(“KOBRA 21ADH”により判断される)を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値、及び面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として、フィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて測定したレターデーション値の、合計3つの方向で測定したレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に“KOBRA 21ADH”が算出する。
ここで平均屈折率の仮定値は「ポリマーハンドブック」(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。
Re(λ)値、Rth(λ)値は、それぞれ、以下の数式(7)、(8)を満たすことが、液晶表示装置、特にVAモード、OCBモード液晶表示装置の視野角を広くするために好ましい。また特にフィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)が、偏光板の液晶セル側の保護膜に用いられる場合に好ましい。
数式(7):0nm≦Re(590)≦200nm
数式(8):0nm≦Rth(590)≦400nm
(式中、Re(590)、Rth(590)は、波長λ=590nmにおける値(単位:nm)である。)
さらに好ましくは、以下の数式(7−1)、(8−1)を満たすものである。
数式(7−1):30nm≦Re(590)≦150nm
数式(8−1):30nm≦Rth(590)≦300nm
本発明に好ましく用いられるフィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)をVAモード、OCBモードに使用する場合、セルの両側に1枚ずつ合計2枚使用する形態(2枚型)と、セルの上下のいずれか一方の側にのみ使用する形態(1枚型)の2通りがある。
2枚型の場合、Re(590)は20〜100nmが好ましく、30〜70nmがさらに好ましい。Rth(590)については70〜300nmが好ましく、100〜200nmがさらに好ましい。
1枚型の場合、Re(590)は30〜150nmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。Rth(590)については100〜300nmが好ましく、150〜250nmがさらに好ましい。
<フィルムの透湿度>
本発明の光学フィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の透湿度は、JIS規格JIS Z 0208をもとに、温度60℃、湿度95%RH(相対湿度)の条件において測定し、膜厚80μmに換算して400〜2000g/m2・24hであることが好ましい。500〜1800g/m2・24hであることがより好ましく、600〜1600g/m2・24hであることが特に好ましい。2000g/m2・24h以下とすることにより、フィルムのRe値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超えにくくなり、好ましい。また、本発明のフィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)に光学異方性層を積層して光学補償フィルムとした場合も、Re値、Rth値の湿度依存性の絶対値が0.5nm/%RHを超えにくくなり、好ましい。この光学補償シートや偏光板が液晶表示装置に組み込まれた場合、色味の変化や視野角の低下を引き起こす。また、フィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の透湿度を400g/m2・24h以上とすることにより、偏光膜の両面などに貼り付けて偏光板を作製する場合に、フィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)によって接着剤が乾燥しにくくなり、接着不良を生じにくくできる。
フィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の膜厚が厚ければ透湿度は小さくなり、膜厚が薄ければ透湿度は大きくなる傾向にある。そこで、本発明における透湿度は、膜厚を80μmに換算した値として述べている。膜厚の換算は、(80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚μm/80μm)として求める。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4,共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明のフィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)試料70mmφを25℃90%RH及び60℃95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置(KK−709007、商品名、東洋精機(株))にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で求める。
<フィルムの残留溶剤量>
本発明では、フィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)に対する残留溶剤量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。本発明のフィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)を支持体に用いる場合、残留溶剤量を該範囲内とすることでカールをより抑制できる。これは、前述のソルベントキャスト方法による成膜時の残留溶剤量が少なくすることで自由体積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
<フィルムの吸湿膨張係数>
本発明のフィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の吸湿膨張係数は30×10-5/%RH以下とすることが好ましく、15×10-5/%RH以下とすることがより好ましく、10×10-5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、下限値は特に定めるものではなく、吸湿膨張係数は小さい方が好ましい傾向にあるが、より好ましくは、1.0×10-5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、本発明のフィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)を光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
<表面処理>
フィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)は、場合により表面処理を行うことによって、フィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)と各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えば、グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torr(0.133Pa〜2.67kPa)の低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、30頁〜32頁、2001年3月15日発行、発明協会)に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
(アルカリ鹸化処理)
アルカリ鹸化処理は、フィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)を鹸化液の槽に直接浸漬する方法、又は鹸化液をフィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)に塗布する方法により実施することが好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法及びE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液をフィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)に対して塗布するために、濡れ性がよく、また鹸化液溶媒によってフィルム(好ましくはセルロースアシレートフィルム)表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒〜5分が好ましく、5秒〜5分がさらに好ましく、20秒〜3分が特に好ましい。アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗あるいは酸で洗浄したあと水洗することが好ましい。
<機能層>
本発明のフィルムは、その用途として光学用途と写真感光材料に適用される。特に光学用途が液晶表示装置であることが好ましく、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成であることがさらに好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)が好ましい。
その際に前述の光学用途に本発明のフィルムを用いるに際し、各種の機能層を付与することが実施される。それらは、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。本発明のフィルムを用いることができるこれらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、32頁〜45頁、2001年3月15日発行、発明協会)に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
本発明においては、上記の一般式(I)で表されるセルロース化合物を少なくとも一種含み、高分子組成物を延伸等の配向処理を行ったフィルムにおいて、配向方向に対して複屈折Δn(550nm)が正でありかつ特定波長における複屈折Δnが
数式(V) 0.5<Δn(450nm)/Δn(550nm)<1.0
数式(VI) 1.05<Δn(630nm)/Δn(550nm)<1.5
であることが好ましい。
このようなΔnの波長分散性を発現させるためには、配向方向(以下、TD方向と示す)とそれに直交する方向(以下、MD方向と示す)における吸収波長と遷移モーメントの方向を上手く配置する必要がある。
ΔnはTD方向の屈折率からMD方向の屈折率を差し引いた値であるため、TD方向の屈折率の波長分散性よりも、MD方向の波長分散性が、より右肩下がり(右を長波長側、左を短波長側とおいたときのΔnの傾き)であれば、数式(V)および(VI)を満足する。屈折率の波長分散性は、Lorentz−Lorenzの式で表されているように、物質の吸収に密接な関係にあるため、MD方向の波長分散性をより右肩下がりにするためには、TD方向に比較してMD方向の吸収遷移波長をより長波化できればよい。
本発明の一般式(1)で表されるセルロース化合物を用いることで、TD方向に比較してMD方向の吸収遷移波長をより長波化でき、数式(V)および(VI)を満足する光学フィルムとすることができる。
[偏光板]
本発明の光学フィルムの用途について説明する。
本発明の光学フィルムは特に偏光板保護膜用として有用である。偏光板保護膜として用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護膜処理面と偏光膜を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光膜及びその両面を保護する保護膜で構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成してもよい。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明のフィルムを適用した偏光板保護膜はどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護膜には透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護膜をこの部分に用いることが得に好ましい。
[位相差板(光学補償フィルム)]
本発明の光学フィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の位相差板として用いると特に効果がある。なお、位相差板とは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、光学補償フィルム、光学補償シートなどと同義である。位相差板は複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
[液晶表示装置]
<一般的な液晶表示装置の構成>
本発明のフィルムを光学補償フィルムとして用いる場合は、偏光膜の透過軸と、本発明のフィルムからなる光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光膜、および該液晶セルと該偏光膜との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、好ましくは50μm〜2mmの厚さを有する。
<液晶表示装置の種類>
本発明のフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。具体的には、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、VA、ECB、およびHAN等の表示モードが挙げられる。また、上記表示モードを配向分割した表示モードにおいても用いることができる。また、本発明のフィルムは、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても好ましく用いることができる。
(TN型液晶表示装置)
本発明のフィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報の記載に従って作製することができる。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36,(1997),p.143や、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36,(1997),p.1068)の記載に従って作製することができる。
(STN型液晶表示装置)
本発明のフィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報の記載に従って作製することができる。
(VA型液晶表示装置)
本発明のフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いられる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートのRe値を0〜150nmとし、Rth値を70〜400nmとすることが好ましい。VA型液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRth値は70〜250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRth値は150〜400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であってもよい。
(IPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置)
本発明のフィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、または偏光板の保護膜としても有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明のフィルムを用いた偏光板は色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護膜のうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護膜(セル側の保護膜)に本発明のフィルムを用いた偏光板を少なくとも片側一方に用いることが好ましい。更に好ましくは、偏光板の保護膜と液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のレターデーション値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。
(OCB型液晶表示装置およびHAN型液晶表示装置)
本発明のフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーション値の絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平9−197397号公報の記載に従って作製することができる。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn.J.Appl.Phys.Vol.38,(1999),p.2837)の記載に従って作製することができる。
(反射型液晶表示装置)
本発明のフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開WO98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報の記載に従って作製することができる。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、国際公開WO00/65384号の記載に従って作製することができる。
(その他の液晶表示装置)
本発明のフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al.,SID 98 Digest,(1998),p.1089)の記載に従って作製することができる。
<ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルム>
本発明のフィルムは、また、ハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムに好ましく用いることができる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のフィルムの片面または両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れかあるいは全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、54頁〜57頁、2001年3月15日発行、発明協会)に詳細に記載されており、本発明のフィルムを好ましく用いることができる。
<写真フィルム支持体>
さらに、本発明のフィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用できる。具体的には、特開2000−105445号公報にカラーネガティブに関する記載に従って、本発明のフィルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119号公報に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法に従って、作製することができる。
<透明基板>
本発明のフィルムは、光学的異方性がゼロに近く、優れた透明性を持たせることもできることから、液晶表示装置の液晶セルガラス基板の代替、すなわち駆動液晶を封入する透明基板としても用いることができる。
液晶を封入する透明基板はガスバリアー性に優れる必要があることから、必要に応じて本発明のフィルムの表面にガスバリアー層を設けてもよい。ガスバリアー層の形態や材質は特に限定されないが、本発明のフィルムの少なくとも片面にSiO2等を蒸着したり、塩化ビニリデン系ポリマーやビニルアルコール系ポリマーなど相対的にガスバリアー性の高いポリマーのコート層を設ける方法が考えられ、これらを適宜使用できる。
また液晶を封入する透明基板として用いるには、電圧印加によって液晶を駆動するための透明電極を設けてもよい。透明電極としては特に限定されないが、本発明のフィルムの少なくとも片面に、金属膜、金属酸化物膜などを積層することによって透明電極を設けることができる。中でも透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましく、なかでも酸化スズを主として酸化亜鉛を2〜15質量%含む酸化インジウムの薄膜が好ましく使用できる。これら技術の詳細は例えば、特開2001−125079号公報や特開2000−227603号公報に記載の方法を用いることができる。
本発明のフィルム(好ましくはセルロースフィルム)のRe値とRth値をそれぞれ好ましい範囲に制御するためには、使用する一般式(I)で表されるセルロース化合物(レターデーション制御剤)の種類および添加量、ならびにフィルムの延伸倍率を適宜調整することが好ましい。特に、本発明では、一般式(I)で表されるセルロース化合物の中から所望のRe値が得られるように、該レターデーション制御剤の添加量およびフィルムの延伸倍率を適宜設定することにより、所望のRe値を有するフィルムを得ることができる。
以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1:セルロース化合物の合成]
<合成例1−1:化合物(a)の合成>
下記スキームにしたがって化合物(a)を合成した。
Figure 2008075015
(合成中間体(a−1)の合成)
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、および滴下ロートを備えた2lの三口フラスコにカルバゾール75質量部、炭酸カリウム90質量部、1−メチル−2−ピロリドン750質量部を量り取り、室温で攪拌した。ここに3‐ブロモプロピオン酸メチル84質量部を室温を保持したまま滴下した。滴下終了後、110℃まで昇温して5時間攪拌した。その後、室温付近まで放冷し、炭酸カリウムを濾別した反応液を酢酸エチルと0.5N塩酸を用いて抽出した。次いでメタノールからの再結晶を行い、目的の(a−1)を65質量部得た。
(合成中間体(a−2)の合成)
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、および滴下ロートを備えた1lの三口フラスコに(a−1)を50質量部量り取り、メタノール400質量部に溶解した。ここへ2N水酸化ナトリウム水溶液120質量部を加え、65℃で2時間攪拌した。反応液がpH1になるように氷浴中で1N塩酸を加え、これを酢酸エチルで抽出・洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後、酢酸エチルを減圧留去して目的の(a−2)を45質量部得た。
(化合物(a)の合成)
500ml三口フラスコに化合物(a−2)40質量部を量り取り、トルエン200質量部に溶解した。ここに塩化チオニル40質量部を添加し、60℃で攪拌した。目的化合物(a)の生成をTLCにて確認後、溶媒と塩化チオニルを減圧留去し、目的の(a)を38質量部得た。
<合成例1−2:化合物(b)の合成>
Figure 2008075015
上記化合物(a)の合成において、出発原料であるカルバゾールをインドールに変える以外は同様にして反応を行い、化合物(b)を得た。
<合成例1−3(比較例):比較用化合物(d)の合成>
Figure 2008075015
500ml三口フラスコに4−ビフェニル酢酸40質量部を量り取り、トルエン200質量部に溶解した。ここに塩化チオニル40質量部を添加し、60℃で攪拌した。目的化合物(d)の生成をTLCにて確認後、溶媒と塩化チオニルを減圧留去し、目的の(d)を35質量部得た。
<合成例2−1:セルロース化合物(A)の合成>
ジアセチルセルロース(アセチル置換度2.16)50質量部をアセトン500質量部に溶解した。ここに、ピリジン23質量部を加えた。あらかじめアセトン200質量部に溶解した化合物(a)を30分間かけて滴下し、内温を40℃に昇温して5時間攪拌した。
メタノール100質量部を添加し、30分間攪拌した。反応混合物をメタノールと混合してセルロース化合物を沈殿させ、40−50℃のメタノールで連続洗浄して精製した。
濾過の後、真空乾燥し、セルロース化合物Aを60質量部得た。得られたセルロース化合物Aの数平均分子量をGPC測定により求めたところ、M=89500であった。
<合成例2−2:セルロース化合物Bの合成>
上記合成例2−1において化合物(a)を化合物(b)に変える以外は同様にして反応を行い、セルロース化合物Bを得た。得られたセルロース化合物Bの数平均分子量数平均分子量をGPC測定により求めたところ、M=91200であった。
<合成例2−3:セルロース化合物Cの合成>
上記合成例2−1において化合物(a)を9−フルオレニルメトキシカルボニルクロライドに変える以外は同様にして反応を行い、セルロース化合物Cを得た。得られたセルロース化合物Cの数平均分子量数平均分子量をGPC測定により求めたところ、M=85700であった。
<合成例2−4(比較例):比較用セルロース化合物Fの合成>
上記合成例2−1において化合物(a)を化合物(d)に変える以外は同様にして反応を行い、比較用セルロース化合物Fを得た。得られた比較用セルロース化合物Dの数平均分子量数平均分子量をGPC測定により求めたところ、M=97200であった。
セルロース化合物A〜Dの平均置換度は下記表1の通りであった。なお、一般式(1)におけるX、X、およびXは全て*−OCO−(*は主鎖側の結合を表す)である。
Figure 2008075015
<吸収の遷移モーメント計算>
上記置換基Bとして用いた構造の吸収の遷移モーメントを計算した。計算には置換基のモデルとして下記の構造を用いた。遷移モーメントの計算は、Gaussian03, Revision C.02(米ガウシアン社)を用い、B3LYP/6−31ギガ(D)レベルのDFT計算で構造最適化後、B3LYP/6-31+g(D)レベルのTD−DFT計算で励起状態計算を行った。結果は表2に示すように、セルロース化合物A〜Cの置換基のモデルは、X軸方向の遷移モーメントがY軸方向の遷移モーメントよりも大きいが、比較用セルロース化合物Dの置換基のモデルは、X軸方向の遷移モーメントがY軸方向の遷移モーメントよりも小さいことが分かる。
Figure 2008075015
[実施例2:セルロース化合物フィルムの作製]
<セルロース体溶液の調製>
下記の原料をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して溶解し、下記表3に記載の質量部組成のセルロース体溶液を調製した。
なお、比較用化合物として、E:セルロースアセテート(ダイセル化学工業株式会社製、アセチル置換度2.86)、F:セルロースアセテートブチレート(イーストマンケミカル社製、商品コード381−20)を使用した。
Figure 2008075015
Figure 2008075015
<セルロース化合物フィルム試料001〜006の作製>
セルロース化合物溶液を、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が15質量%のフィルムを、160℃の条件で、テンターを用いて15%の延伸倍率で横延伸して、フィルム試料(厚さ:92μm)を作製した。作製したセルロースアセテートフィルムについて、波長450nm、550nm、630nmにおけるRe値を、上述の方法により測定した。結果を表4に示す。
Figure 2008075015
表4より、本発明のセルロース化合物からなるフィルムは、Re発現性に優れており、また、下記数式(V)および(VI)を満たすことが分かる。
数式(V) 0.5<Δn(450nm)/Δn(550nm)<1.0
数式(VI) 1.05<Δn(630nm)/Δn(550nm)<1.5
[実施例3:偏光板保護膜]
実施例2の試料001〜005を用いて、特開平11−316378号公報の実施例1に記載の方法により、楕円偏光板試料101〜105を作製して評価した。本発明のフィルムにより得られた楕円偏光板の光学特性は優れたものであった。また、本発明の試料に関しては、経時での耐久性も比較例の保護膜と比較して特に問題なかった。
[実施例4:光学補償フィルムの作製と評価]
特開平11−316378号公報の実施例1の液晶層を塗布したセルロースアセテートフィルムの代わりに、実施例2の本発明のセルロースフィルム001〜003を使用し、これを特開2002−62431号公報の実施例9に記載のベンド配向液晶セルに25℃・相対湿度60%下で取り付け、これを25℃・相対湿度10%の中に持ち込んだ。本発明のセルロースフィルムを使用したものは漏れならびにコントラストの変化の小さい良好な表示性能が得られた。
さらに特開平7−333433号公報の実施例1の液晶層を塗布したセルロースアセテートフィルムに代わって、本発明のセルロースフィルム001〜003に変更し光学補償フィルターフィルムを作製した。この場合も同様に、良好な光学補償フィルムを作製できた。
また、本発明のセルロースフィルム001〜003を用いた偏光板、位相差偏光板を、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学的異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載の20インチVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載の20インチOCB型液晶表示装置、特開2004−12731号公報の図11に記載のIPS型液晶表示装置に用いたところ、光漏れの極めて少ない良好な液晶表示装置を得た。一方で、本発明外のセルロースアシレートDを用いて作成した液晶表示装置は、暗黒下での黒表示をさせた場合に、光漏れが観察された。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表されることを特徴とするセルロース化合物。
    Figure 2008075015
    一般式(1)中、nは平均重合度を表し、10〜1500の整数である。X、XおよびXはそれぞれ独立に、*−O−、*−OC(=O)−または*−OC(=O)−NH−(*は主鎖側の結合を表す)の連結基を表す。R、R、およびRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または下記一般式(2)で表される置換基である。n個ずつ存在する−X−R、−X−Rまたは−X−Rは構成単位ごとで異なっていてもよく、n個ずつ存在するR、R、およびRのうち、少なくとも一つは下記一般式(2)で表される置換基である。
    Figure 2008075015
    (一般式(2)中、Lは単結合、または炭素数1〜20のアルキレン基を表し、アルキレン基を構成する−CH−を−O−、−S−、−NR−(Rは水素原子または置換基)に置換してもよい。VはC、CH、またはNを表し、PおよびQは芳香族基を有する環構造αを形成する残基であり、置換基を有していてもよい。このときVにおける炭素原子または窒素原子をVとし、PおよびQにおける前記Vと結合している原子をそれぞれP、Qとした場合、V−P−Qの3原子により形成される平面上において、P−Qに対して平行方向をX軸、該平面上でX軸に直交方向をY軸とすると、環構造αの吸収の遷移モーメントの大きさがX軸方向、Y軸方向の順に大きい。ただし、前記遷移モーメントは、下記一般式(3)で表される化合物の吸収の遷移モーメントを計算して得られる値である。)
    Figure 2008075015
    (一般式(3)中、V、P、Qおよび環構造αは、それぞれ一般式(2)におけるものと同じ意味である。)
  2. 前記−X−R、−X−R、および−X−Rで表される置換基であって、前記R、R、およびRが前記一般式(2)で表される置換基の平均置換度(B)が下記式(I)を満たす請求項1記載のセルロース化合物。
    数式(I) 0.1<(B)<2.5
    ただし、前記セルロース化合物における−X−R、−X−R、および−X−Rで表される置換基の平均置換度の合計(−X−R)+(−X−R)+(−X−R)は3.0である。
  3. 前記−X−R、−X−R、および−X−Rで表される置換基であって、前記R、R、およびRが炭素数1〜10のアルキル基である置換基の平均置換度(A)、並びに前記R、R、およびRが前記一般式(2)で表される置換基の平均置換度(B)が、下記式(I)〜(III)を満たす請求項2記載のセルロース化合物。
    数式(I) 0.1<(B)<2.5
    数式(II) 0.5<(A)<2.9
    数式(III) 0.6<(A)+(B)<3.0
    ただし、前記セルロース化合物における−X−R、−X−R、および−X−Rで表される置換基の平均置換度の合計(−X−R)+(−X−R)+(−X−R)は3.0である。
  4. 前記環構造αが、含窒素五員環、含窒素六員環、芳香族炭化水素、および脂環式炭化水素からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む構造である請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロース化合物。
  5. 前記X、XおよびXが、*−OC(=O)−(*はピラノース環側の結合を表す)である請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロース化合物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロース化合物を、少なくとも1種含んでなることを特徴とする高分子組成物。
  7. 請求項6記載の高分子組成物より形成されたことを特徴とする光学フィルム。
  8. 請求項7記載の光学フィルムを有することを特徴する位相差板。
  9. 請求項6記載の高分子組成物を少なくとも一種含み、該高分子組成物を延伸等の配向処理を行った、配向方向に対して複屈折Δn(550nm)が正でありかつ特定波長における複屈折Δnが下記数式(V)および(VI)を満足するフィルムを有することを特徴とする位相差板。
    数式(V) 0.5<Δn(450nm)/Δn(550nm)<1.0
    数式(VI) 1.05<Δn(630nm)/Δn(550nm)<1.5
  10. 請求項8または9に記載の位相差板を、偏光子の少なくとも片側に配置したことを特徴とする偏光板。
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