JP2008066094A - 電池用セパレータおよびリチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 エネルギー密度の低下を可及的に抑制し、電池の信頼性を確保しつつ、異常加熱した際の安全性に優れた電池を構成し得るセパレータ、および該セパレータを有するリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】 150℃で実質的に変形しない繊維状物、および150℃で実質的に変形しない無機粒子を少なくとも含有しており、上記無機粒子の一部が、アスペクト比30以上の鱗片状粒子であることを特徴とする電池用セパレータと、リチウムを吸蔵放出可能な活物質を含有する負極、リチウムを吸蔵放出可能な活物質を含有する正極、および本発明の電池用セパレータを有することを特徴とするリチウム二次電池である。
【選択図】 なし
【解決手段】 150℃で実質的に変形しない繊維状物、および150℃で実質的に変形しない無機粒子を少なくとも含有しており、上記無機粒子の一部が、アスペクト比30以上の鱗片状粒子であることを特徴とする電池用セパレータと、リチウムを吸蔵放出可能な活物質を含有する負極、リチウムを吸蔵放出可能な活物質を含有する正極、および本発明の電池用セパレータを有することを特徴とするリチウム二次電池である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、折り曲げに強いことを特徴とするセパレータ、およびこれを用いてなり、高温環境下においても安全なリチウム二次電池に関するものである。本発明のセパレータは、巻回構造を有する電極群を備えた電池に特に好適である。
非水電池の一種であるリチウムイオン電池は、エネルギー密度が高いという特徴から、携帯電話やノート型パーソナルコンピューターなどの携帯機器の電源として広く用いられている。携帯機器の高性能化に伴ってリチウムイオン電池の高容量化が更に進む傾向にあり、安全性の確保が重要となっている。
現行のリチウムイオン電池では、正極と負極の間に介在させるセパレータとして、例えば厚みが20〜30μm程度のポリオレフィン系の多孔質性フィルムが使用されている。また、セパレータの素材としては、電池の熱暴走温度以下でセパレータの構成樹脂を溶融させて空孔を閉塞させ、これにより電池の内部抵抗を上昇させて短絡の際などに電池の安全性を向上させる所謂シャットダウン効果を確保するため、融点の低いポリエチレンが適用されることがある。
ところで、こうしたセパレータとしては、例えば、多孔化と強度向上のために一軸延伸あるいは二軸延伸したフィルムが用いられている。このようなセパレータは、単独で存在する膜として供給されるため、作業性などの点で一定の強度が要求され、これを上記延伸によって確保している。しかし、このような延伸フィルムでは結晶化度が増大しており、シャットダウン温度も、電池の熱暴走温度に近い温度にまで高まっているため、電池の安全性確保のためのマージンが十分とは言い難い。
また、上記延伸によってフィルムにはひずみが生じており、これが高温に曝されると、残留応力によって収縮が起こるという問題がある。収縮温度は、融点、すなわちシャットダウン温度と非常に近いところに存在する。このため、ポリオレフィン系の多孔質性フィルムセパレータを使用するときには、充電異常時などに電池の温度がシャットダウン温度に達すると、電流を直ちに減少させて電池の温度上昇を防止しなければならない。空孔が十分に閉塞せず電流を直ちに減少できなかった場合には、電池の温度は容易にセパレータの収縮温度にまで上昇するため、内部短絡による発火の危険性があるからである。
セパレータの熱収縮による電池の短絡を防ぐ技術としては、例えば、耐熱性の樹脂を用いた微多孔膜や不織布をセパレータに用いる方法があるが、このようなセパレータは高コストであるという欠点も有している。
他方、安価な材料で構成される不織布に種々の加工を施して、これをセパレータに用いる技術も提案されている。例えば、特許文献1には、PP不織布にポリエチレン(PE)の微粒子を塗布して用いる方法が、特許文献2には、ポリエステル不織布にワックスを被覆させて用いる方法が、特許文献3には、ポリエステル不織布とPP不織布の間にPE微多孔膜を接面させて用いる方法が、特許文献4には、PP不織布に無機微粒子や有機微粒子を混合させて用いる方法が、そして、特許文献5には、ポリエチレンテレフタレート(PET)不織布に無機微粒子を塗布して用いる方法が、それぞれ開示されている。
しかしながら、無機微粒子を不織布に混合する技術では、不織布の空隙内に無機微粒子を均一且つ緻密に充填しなければ、リチウムデンドライト発生による短絡を完全に防止することはできないが、不織布のような不均一性の大きな基材に無機微粒子を均一に充填することは困難である。特に正極、負極およびセパレータで構成される電極群として巻回構造の電極群を用いた電池においては、ある程度均一に無機微粒子が充填された不織布を用いても、電極群の径が小さくなる湾曲部においては、曲げ応力によりセパレータにひび割れなどが発生し、デンドライトによる短絡が生じ易いという問題があった。
また、有機微粒子を用いた場合には、無機微粒子を用いた場合と同様に不織布の空隙内に微粒子を均一且つ緻密に充填することが難しい他、PEなどの軟らかい材料を用いた場合には、巻回構造の電極群とする場合などにおける上記のひび割れは発生し難いものの、特にエネルギー密度を高める観点からセパレータを薄くすると、硬い正極材料と負極材料の間の絶縁を十分に保つことができずに短絡が発生することがある。
更に、電極上に無機微粒子などの電気化学的に安定な微粒子を塗布することでセパレータを構成する技術も提案されている(特許文献6、7)。
しかしながら、電池のエネルギー密度を上げるためにセパレータの厚みを薄くしようとすると、正極と負極の間の絶縁性を十分に保つことができないために、短絡が生じ易くなる他、電極群を巻回構造とすると、上記のように、湾曲部において、曲げ応力による割れが発生して短絡の要因となり易い。
また、特許文献8には、ポリオレフィン系の多孔質性フィルムセパレータの熱収縮の問題の解決を課題の一つとして、無機酸化物フィラーと、鱗片状シリカを含む結着剤とから構成される多孔質膜を正極または負極の表面に形成し、これを上記のような多孔質性フィルムセパレータと併用して電池を構成する技術が提案されている。
しかし、特許文献8に記載の技術では、正負極間に、セパレータと共に上記の多孔質膜が介在することになるため、正負極間の距離を小さくすることが困難であり、電池のエネルギー密度の低下を回避し難い。
更に、特許文献9には、非水電解液を保持するポリマーと、鱗片状のフィラーを含む補強材を含有するセパレータを電池化学デバイスに適用することにより、高温環境下での上記ポリマーの流動を抑えて、内部短絡の発生を抑制できることが記載されている。
しかし、特許文献9に記載のセパレータを、例えば、巻回構造の電極群に適用すると、電極群の径が小さくなる湾曲部において、正負極の活物質を含む合剤層に割れが生じた場合に、これら合剤層の割れに伴ってセパレータにも割れが生じ易いため、電池の信頼性を十分に確保することが困難である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エネルギー密度の低下を可及的に抑制し、電池の信頼性を確保しつつ、異常加熱した際の安全性に優れた電池を構成し得るセパレータ、および該セパレータを有するリチウム二次電池を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の電池用セパレータは、150℃で実質的に変形しない繊維状物、および150℃で実質的に変形しない無機粒子を少なくとも含有しており、上記無機粒子の一部が、アスペクト比30以上の鱗片状粒子であることを特徴とするものである。
また、少なくとも、リチウムを吸蔵放出可能な活物質を含有する負極、リチウムを吸蔵放出可能な活物質を含有する正極、および本発明の電池用セパレータを有するリチウム二次電池も、本発明に含まれる。
本発明によれば、エネルギー密度の低下を可及的に抑制し、電池の信頼性を確保しつつ、異常加熱した際の安全性に優れたリチウム二次電池と、該リチウム二次電池を構成し得る電池用セパレータを提供することができる。本発明は、巻回構造の電極群を有する電池に適用する場合において、特にその効果が顕著である。
本発明の電池用セパレータ(以下、「セパレータ」と略す場合がある)は、上記の通り、150℃で実質的に変形しない繊維状物(A)、および150℃で実質的に変形しない無機粒子を少なくとも含有しており、上記無機粒子の一部が、アスペクト比30以上の鱗片状粒子である[以下、アスペクト比30以上の鱗片状粒子を「鱗片状粒子(B)」と表記し、鱗片状粒子(B)に該当しない無機粒子を「無機粒子(C)」と表記する]。
本発明のセパレータでは、繊維状物(A)および無機粒子(C)の存在により、セパレータを薄くしても正極と負極を良好に隔離できるため、電池のエネルギー密度の低下を可及的に抑制しつつ短絡の発生を防止することができる。
また、本発明のセパレータに係る鱗片状粒子(B)は、例えば分散媒などに分散した分散液の状態から、乾燥により分散媒を除去した後には、複数の粒子が積層した状態を取り易い。そのため、鱗片状粒子(B)は、セパレータ内において積層した状態で存在しており、セパレータを折り曲げた場合には、積層した鱗片状粒子(B)の表層数層が崩れて応力が開放され、それ以上の破壊が進行し難いため、セパレータには割れ(クラック)が生じ難い。更に、鱗片状粒子(B)は、無機粒子(C)との親和性が高く、バインダとして無機粒子(C)同士を強固に結着させる作用も有している。
本発明のセパレータでは、鱗片状粒子(B)の上記作用と、補強材として機能する繊維状物(A)および無機粒子(C)の補強作用とが相まって、巻回構造の電極群とする場合や、更にこれを押しつぶして部分的に曲率の大きな箇所をもつ扁平形状の電極群とする場合においても、ひび割れなどの発生が防止できることから、微短絡の発生を抑えて、電池の信頼性を確保することができる。
更に、セパレータの構成主体である繊維状物(A)、鱗片状粒子(B)、および無機粒子(C)は、150℃で実質的に変形しないものであるため、セパレータの熱収縮の発生を抑えることができる。これにより、本発明のセパレータを有する電池では、異常加熱した際にも、セパレータの熱収縮による正極と負極との接触が生じ難く、安全性に優れたものとなる。なお、本明細書でいう「150℃で実質的に変形しない繊維状物(A)」とは、繊維状物(A)により構成されるシート状物の形態で、軟化などによる実質的な寸法変化が生じないことをいい、具体的には、150℃(またはそれ以下の温度)でのシート状物の長さの変化、すなわち室温での長さに対する収縮の割合(収縮率)が5%以下のものをいう。また、本明細書でいう「150℃で実質的に変形しない無機粒子[鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)]」とは、150℃に加熱した無機粒子[鱗片状粒子(B)または無機粒子(C)]を目視観察したときに、変形が確認されないものをいう。
繊維状物(A)は、電気絶縁性を有しており、電気化学的に安定で、更に下記に詳述する非水電解液(以下、「電解液」と省略する場合がある)や、セパレータ製造の際に使用する鱗片状粒子(B)や無機粒子(C)などを含有する液状組成物に用いる溶媒に安定であれば、特に制限はない。なお、本明細書でいう「繊維状物」とは、アスペクト比[長尺方向の長さ/長尺方向に直交する方向の幅(直径)]が4以上のものを意味している。繊維状物(E)のアスペクト比は、10以上であることが好ましい。また、本明細書でいう「電気化学的に安定な」とは、電池の充放電の際に化学変化が生じないことを意味している。
繊維状物(A)の具体的な構成材料としては、例えば、セルロース、セルロース変成体(カルボキシメチルセルロースなど)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)など]、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアラミド、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの樹脂;ガラス、アルミナ、シリカなどの無機材料(無機酸化物);などが挙げられる。繊維状物(A)は、これらの構成材料の1種を含有していてもよく、2種以上を含有していても構わない。また、繊維状物(A)は、構成成分として、上記の構成材料の他に、必要に応じて、公知の各種添加剤(例えば、樹脂である場合には酸化防止剤など)を含有していても構わない。
繊維状物(A)の直径は、セパレータの厚み以下であれば良いが、例えば、0.01〜5μmであることが好ましい。径が大きすぎると、繊維状物同士の絡み合いが不足して、例えばこれらで構成されるシート状物の強度、ひいてはセパレータの強度が小さくなって取り扱いが困難となることがある。また、径が小さすぎると、セパレータの空隙が小さくなりすぎて、イオン透過性が低下する傾向にあり、電池の負荷特性を低下させてしまうことがある。
セパレータ(シート状物)中での繊維状物(A)の存在状態は、例えば、長軸(長尺方向の軸)の、セパレータ面に対する角度が平均で30°以下であることが好ましく、20°以下であることがより好ましい。
繊維状物(A)による補強作用をより有効に発揮させるためには、セパレータの構成成分の全体積中における繊維状物の比率を、例えば、10体積%以上、より好ましくは20体積%以上であって、90体積%以下、より好ましくは80体積%以下とすることが望ましい。
これら繊維状物(A)は、多数が集合して、これらのみによりシート状物を形成している形式のもの、例えば織布、不織布、紙といった形態のものを用い、このシート中に鱗片状粒子(B)や無機粒子(C)が含有されている構成のセパレータとしてもよいし、繊維状物(A)と、鱗片状粒子(B)や無機粒子(C)が均一に分散された形で含有されている構成のセパレータとしてもよい。また、上記した両者の構成を合わせた構成とすることもできる。
鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)は、電気絶縁性を有しており、電気化学的に安定で、更に後述する電解液や、セパレータ製造の際に使用する液状組成物に用いる溶媒に安定であり、高温状態で電解液に溶解しないものであれば、特に制限はない。
鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)は、いずれも無機粒子であるが、このうち、鱗片状粒子(B)は、アスペクト比(鱗片状粒子中の最大長さと鱗片状粒子の厚みの比)が、30以上のものをいい、無機粒子(C)は、鱗片状粒子(B)以外の無機粒子、すなわち、アスペクト比が30未満のものをいう。鱗片状粒子(B)のアスペクト比は、好ましくは35以上であり、また、好ましくは70以下、より好ましくは50以下である。更に、鱗片状粒子(B)では、粒子の平板面の長軸方向長さと短軸方向長さの比の平均値が、1以上、より好ましくは1.2以上であって、3以下、より好ましくは2以下であることが望ましい。
鱗片状粒子(B)や無機粒子(C)の具体例としては、例えば、酸化鉄、SiO2、Al2O3、TiO2、BaTiO2、ZrO、アルミナ−シリカ複合酸化物などの酸化物微粒子;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの窒化物微粒子;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの難溶性のイオン結晶微粒子;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶微粒子;タルク、モンモリロナイトなどの粘土微粒子;ベーマイト、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカなどの鉱物資源由来物質あるいはそれらの人造物;などが挙げられる。また、金属微粒子;SnO2、スズ−インジウム酸化物(ITO)などの酸化物微粒子;カーボンブラック、グラファイトなどの炭素質微粒子;などの導電性微粒子の表面を、電気絶縁性を有する材料(例えば、上記の電気絶縁性の無機粒子を構成する材料)で表面処理することで、電気絶縁性を持たせた微粒子であってもよい。
鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)としては、シリカ(SiO2)、マイカ、アルミナ(Al2O3)、アルミナ−シリカ複合酸化物、ベーマイトなどが特に好ましい。
鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)の平均粒径は、例えば、0.001μm以上、より好ましくは0.1μm以上であって、15μm以下、より好ましくは1μm以下であることが望ましい。ここで、上記の鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)の平均粒径は、レーザー散乱粒度分布計(HORIBA社製「LA−920」)を用い、粒子が膨潤しない媒体(例えば水)に分散させて測定した数平均粒子径である。
無機粒子(C)の形状としては、例えば、所謂球状に近い形状であってもよく、板状や針状など、いずれの形状であってもよいが、セパレータ内での無機粒子(C)同士の重なりを大きくし、正負極間の経路長(所謂曲路率)を大きくし得る観点から、板状であることがより好ましい。
すなわち、無機粒子(C)が板状である場合には、セパレータ中において、無機粒子(C)を、その平板面がセパレータの面に略平行となるように配向させることで、短絡の発生をより良好に抑制できる。これは、無機粒子(C)を上記のように配向させることで、無機粒子(C)同士が平板面の一部で重なるように配置されるため、セパレータの片面から他面に向かう空隙(貫通孔)が、直線ではなく曲折した形で形成されると考えられ、これにより、リチウムデンドライトがセパレータを貫通することを防止できることから、短絡の発生がより良好に抑制されるものと推定される。
板状の無機粒子(C)を上記のように配向させることによる効果を得るためには、セパレータ中での無機粒子(C)の存在形態は、上記の通り、平板面がセパレータの面に対して略平行であることが好ましく、より具体的には、セパレータの表面近傍における無機粒子(C)について、その平板面とセパレータ面との平均角度が30度以下であることが好ましい[最も好ましくは、当該平均角度が0度、すなわち、セパレータの表面近傍における無機粒子(C)の平板面が、セパレータの面に対して平行である]。ここでいう「表面近傍」とは、セパレータの表面から全体厚みに対して10%の範囲を指す。
板状の無機粒子(C)としては、例えば、アスペクト比(板状粒子中の最大長さと板状粒子の厚みの比)が、5以上、より好ましくは10以上であることが望ましい[なお、無機粒子(C)は、鱗片状粒子(B)には該当しないものであるため、アスペクト比は50未満である]。また、板状の無機粒子(C)では、粒子の平板面の長軸方向長さと短軸方向長さの比の平均値は、0.3以上、より好ましくは0.5以上であって、3以下、より好ましくは2以下であることが望ましい。板状の無機粒子(C)が、上記のようなアスペクト比や平板面の長軸方向長さと短軸方向長さの比の平均値を有する場合には、短絡防止作用がより有効に発揮される。
なお、鱗片状粒子(B)や板状の無機粒子(C)における上記の平板面の長軸方向長さと短軸方向長さの比の平均値は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影した画像を画像解析することにより求めることができる。更に鱗片状粒子(B)や板状の無機粒子(C)における上記のアスペクト比も、SEMにより撮影した画像を、画像解析することにより求めることができる。
鱗片状粒子(B)のより具体的な例としては、各種市販品が挙げられ、例えば、旭硝子社製「サンラブリー」(シリカ)、コープケミカル社製「ミクロマイカ」、「ソマシフ」(マイカ)、斐川工業社製「斐川マイカZ20」(セリサイト)などが入手可能である。
また、板状の無機粒子(C)のより具体的な例としても、各種市販品が挙げられ、例えば、石原産業社製「NST−B1」の粉砕品(TiO2)、林化成社製「ベンゲル」(ベントナイト)、河合石灰社製「BMM」(ベーマイト)、河合石灰社製「セラシュールBMT−B」[アルミナ(Al2O3)]、キンセイマテック社製「セラフ」(アルミナ)、コープケミカル社製「ミクロマイカ」(マイカ)などが入手可能である。この他、Al2O3、ZrO、CeO2については、特開2003−206475号公報に開示の方法により作製することができる。
鱗片状粒子(B)や無機粒子(C)は、上記例示のものをそれぞれ1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、鱗片状粒子(B)と無機粒子(C)とは、同じ素材の粒子を用いてもよく、異なる素材の粒子を使用しても構わない。
本発明のセパレータにおける無機粒子[鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)を含む全無機粒子]は、セパレータの構成成分の全体積中、30体積%以上であることが好ましく、40体積%以上であることがより好ましい。セパレータ中の無機粒子量を上記のようにすることで、これら無機粒子の作用をより有効に発揮させることができる。なお、セパレータ中の無機粒子の体積比率の上限は、例えば80体積%であることが好ましい。無機粒子の体積比率が大きすぎると、例えば後述するシャットダウン特性を有する構成とすることが困難となる場合がある。なお、本発明のセパレータを、シャットダウン特性を有しない構成とする場合には、無機粒子を更に高い比率、例えば95体積%以下とすることもできる。
また、鱗片状粒子(B)の量は、セパレータの構成成分の全体積中、0.5体積%以上とすることが好ましく、2体積%以上とすることがより好ましい。鱗片状粒子(B)を上記の量で使用することにより、その作用をより確実に発揮させることができる。なお、鱗片状粒子(B)の量が多すぎると、セパレータ中の無機粒子(C)の量が少なくなって、これによる効果を確保し難くなることがあるため、鱗片状粒子(B)の量は、セパレータの構成成分の全体積中、30体積%以下とすることが好ましく、20体積以下とすることがより好ましい。
また、セパレータにシャットダウン機能を付与するために、80〜130℃で溶融する熱溶融性粒子(D)や、非水電解液中で膨潤でき、かつ温度の上昇により膨潤度が増大する膨潤性粒子(E)を添加することも可能である。また、セパレータには、熱溶融性粒子(D)と膨潤性粒子(E)の両者を添加してもよく、これらの複合体を添加しても構わない。
熱溶融性粒子(D)や膨潤性粒子(E)を用いた場合などにおけるセパレータに係る上記のシャットダウン機能は、例えば、モデルセルの温度による抵抗上昇により評価することが可能である。すなわち、正極、負極、セパレータ、および電解液を備えたモデルセルを作製し、このモデルセルを高温槽中に保持し、5℃/分の速度で昇温しながらモデルセルの内部抵抗値を測定し、測定された内部抵抗値が、加熱前(室温で測定した抵抗値)の5倍以上となる温度を測定することで、この温度をセパレータの有するシャットダウン温度として評価することができる。熱溶融性粒子(D)や膨潤性粒子(E)を用いるなどしたセパレータでは、このようにして評価されるシャットダウン温度を80〜130℃とすることができ、通常の電池の使用環境下では十分なイオン伝導性を確保して、電池の放電特性を良好なものとしつつ、電池内温度が上昇した場合には、比較的早い段階でシャットダウンが生じるため、電池の安全性を確保することができる。
80〜130℃で溶融する熱溶融性粒子(D)、すなわち、JIS K 7121の規定に準じて、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される融解温度が80〜130℃の熱溶融性粒子(D)を含有するセパレータでは、セパレータが80〜130℃(またはそれ以上の温度)に曝されたときに、熱溶融性粒子(D)が溶融してセパレータの空隙が閉塞されるため、リチウムイオンの移動が阻害され、高温時における急激な放電反応が抑制される。よって、この場合、上記の内部抵抗上昇により評価されるセパレータのシャットダウン温度は、熱溶融性粒子(D)の融点以上130℃以下となる。
熱溶融性粒子(D)の構成素材の具体例としては、ポリエチレン(PE)、エチレン由来の構造単位が85モル%以上の共重合ポリオレフィン、ポリプロピレン、またはポリオレフィン誘導体(塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなど)、ポリオレフィンワックス、石油ワックス、カルナバワックスなどが挙げられる。上記共重合ポリオレフィンとしては、エチレン−ビニルモノマー共重合体、より具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体、またはエチレン−エチルアクリレート共重合体が例示できる。また、ポリシクロオレフィンなどを用いることもできる。熱溶融性粒子(D)は、これらの構成材料の1種のみを有していてもよく、2種以上を有していても構わない。これらの中でも、PE、ポリオレフィンワックス、またはエチレン由来の構造単位が85モル%以上のEVAが好適である。また、熱溶融性粒子(D)は、構成成分として、上記の構成材料の他に、必要に応じて、樹脂に添加される公知の各種添加剤(例えば、酸化防止剤など)を含有していても構わない。
熱溶融性粒子(D)の粒径としては、鱗片状粒子(B)や無機粒子(C)と同じ測定法で測定される数平均粒子径で、例えば、0.001μm以上、より好ましくは0.1μm以上であって、15μm以下、より好ましくは1μm以下であることが推奨される。
非水電解液中で膨潤でき、かつ温度の上昇により膨潤度が増大する膨潤性粒子(E)は、これを用いたセパレータを備えた電池が高温に曝されると、膨潤性粒子(E)における温度上昇に伴って膨潤度が増大する性質(以下、「熱膨潤性」という場合がある)により、膨潤性粒子(E)が電池内の電解液を吸収して膨潤する。この際、セパレータの空隙内部に存在する電解液量が不足するいわゆる「液枯れ」状態となり、また、膨潤した粒子がセパレータ内部の空隙を塞ぐことにもなるので、高温時には、電池内でのリチウムイオンの伝導性が著しく減少して電池の内部抵抗が上昇するため、上記のシャットダウン機能を確保することができる。
膨潤性粒子(E)としては、上記の熱膨潤性を示す温度が、75〜125℃のものが好ましい。熱膨潤性を示す温度が高すぎると、電池内の活物質の熱暴走反応を十分に抑制できず、電池の安全性向上効果が十分に確保できないことがある。また、熱膨潤性を示す温度が低すぎると、通常の使用温度域における電池内でのリチウムイオンの伝導性が低くなりすぎて、機器の使用に支障をきたす場合が生じることがある。すなわち、本発明のセパレータでは、シャットダウン機能を付与する場合、電池内のリチウムイオンの伝導性が著しく減少する温度(いわゆるシャットダウン温度)を、上記の通り、およそ80〜130℃の範囲とすることが望ましく、このため、膨潤性粒子(E)が温度上昇により熱膨潤性を示し始める温度は、75〜125℃の範囲にあることが好ましい。
また、膨潤性粒子(E)としては、120℃において測定される、下記式で定義される膨潤度Bが、1.0以上であるものが好ましい。
B = (V1/V0)−1 (1)
[上記式(1)中、V0は、25℃の非水電解液に投入してから24時間後における粒子の体積(cm3)、V1は、25℃の非水電解液に投入してから24時間後に非水電解液を120℃まで昇温させ、更に120℃で1時間経過後における粒子の体積(cm3)を意味する。]
B = (V1/V0)−1 (1)
[上記式(1)中、V0は、25℃の非水電解液に投入してから24時間後における粒子の体積(cm3)、V1は、25℃の非水電解液に投入してから24時間後に非水電解液を120℃まで昇温させ、更に120℃で1時間経過後における粒子の体積(cm3)を意味する。]
上記のような膨潤度を有する膨潤性粒子(E)は、熱膨潤性を示し始める上記温度(75〜125℃のいずれかの温度)を超えた環境下において、その膨潤度が大きく増大する。そのため、このような性質の膨潤性粒子(E)を有するセパレータを用いた電池では、内部温度が特定の温度(例えば、上記の75〜125℃)を超えた時点で、膨潤性粒子(E)が電池内の電解液を更に吸収して大きく膨張することにより、リチウムイオンの伝導性を著しく低下させるため、より確実に電池の安全性を確保することが可能となる。なお、上記式(1)で定義される膨潤性粒子(E)の膨潤度は、大きくなりすぎると電池の変形を発生させることもあり、10以下であるのが望ましい。
上記式(1)で定義される膨潤性粒子(E)の具体的な測定は、以下の方法により行うことができる。予め電解液中に常温で24時間浸漬したときの膨潤度、および120℃における上記式(1)で定義される膨潤度が分かっているバインダ樹脂の溶液またはエマルジョンに、膨潤性粒子(E)を混合してスラリーを調製し、これをポリエチレンテレフタレート(PET)シートやガラス板などの基材上にキャストしてフィルムを作製し、その質量を測定する。次にこのフィルムを常温(25℃)の電解液中に24時間浸漬して質量を測定し、更に電解液を120℃に加熱昇温させ、該温度で1時間後における質量を測定し、下記式(2)〜(8)によって膨潤度Bを算出する[なお、下記式(2)〜(8)は、常温から120℃までの昇温による電解液以外の成分の体積増加は無視できるものとしている]。
Vi = Mi×W/PA (2)
VB = (M0−Mi)/PB (3)
VC = M1/Pc−M0/PB (4)
VV = Mi×(1−W)/PV (5)
V0 = Vi+VB−VV×(BB+1) (6)
VD = VV×(BB+1) (7)
B = 〔{V0+VC−VD×(BC+1)}/V0〕−1 (8)
VB = (M0−Mi)/PB (3)
VC = M1/Pc−M0/PB (4)
VV = Mi×(1−W)/PV (5)
V0 = Vi+VB−VV×(BB+1) (6)
VD = VV×(BB+1) (7)
B = 〔{V0+VC−VD×(BC+1)}/V0〕−1 (8)
ここで、上記式(2)〜(8)中、
Vi:電解液に浸漬する前の膨潤性粒子(E)の体積(cm3)、
V0:電解液中に常温で24時間浸漬後の膨潤性粒子(E)の体積(cm3)、
VB:電解液中に常温で24時間浸漬後に、フィルムに吸収された電解液の体積(cm3)、
Vc:電解液中に常温に24時間浸漬した時点から、電解液を120℃まで昇温させ、更に前記温度で1時間経過するまでの間に、フィルムに吸収された電解液の体積(cm3)、
VV:電解液に浸漬する前のバインダ樹脂の体積(cm3)、
VD:電解液中に常温で24時間浸漬後のバインダ樹脂の体積(cm3)、
Mi:電解液に浸漬する前のフィルムの質量(g)、
M0:電解液中に常温で24時間浸漬後のフィルムの質量(g)、
Ml:電解液中に常温で24時間浸漬した後、電解液を120℃まで昇温させ、更に前記温度で1時間経過した後におけるフィルムの質量(g)、
W:電解液に浸漬する前のフィルム中の膨潤性粒子(E)の質量比率、
PA:電解液に浸漬する前の膨潤性粒子(E)の比重(g/cm3)、
PB:常温における電解液の比重(g/cm3)、
PC:120℃での電解液の比重(g/cm3)、
PV:電解液に浸漬する前のバインダ樹脂の比重(g/cm3)、
BB:電解液中に常温で24時間浸漬後のバインダ樹脂の膨潤度、
BC:上記(1)式で定義される昇温時のバインダ樹脂の膨潤度
である。
Vi:電解液に浸漬する前の膨潤性粒子(E)の体積(cm3)、
V0:電解液中に常温で24時間浸漬後の膨潤性粒子(E)の体積(cm3)、
VB:電解液中に常温で24時間浸漬後に、フィルムに吸収された電解液の体積(cm3)、
Vc:電解液中に常温に24時間浸漬した時点から、電解液を120℃まで昇温させ、更に前記温度で1時間経過するまでの間に、フィルムに吸収された電解液の体積(cm3)、
VV:電解液に浸漬する前のバインダ樹脂の体積(cm3)、
VD:電解液中に常温で24時間浸漬後のバインダ樹脂の体積(cm3)、
Mi:電解液に浸漬する前のフィルムの質量(g)、
M0:電解液中に常温で24時間浸漬後のフィルムの質量(g)、
Ml:電解液中に常温で24時間浸漬した後、電解液を120℃まで昇温させ、更に前記温度で1時間経過した後におけるフィルムの質量(g)、
W:電解液に浸漬する前のフィルム中の膨潤性粒子(E)の質量比率、
PA:電解液に浸漬する前の膨潤性粒子(E)の比重(g/cm3)、
PB:常温における電解液の比重(g/cm3)、
PC:120℃での電解液の比重(g/cm3)、
PV:電解液に浸漬する前のバインダ樹脂の比重(g/cm3)、
BB:電解液中に常温で24時間浸漬後のバインダ樹脂の膨潤度、
BC:上記(1)式で定義される昇温時のバインダ樹脂の膨潤度
である。
また、膨潤性粒子(E)は、下記式(9)で定義される常温(25℃)における膨潤度BRが、0以上1以下であることが好ましい。
BR = (V0/Vi)−1 (9)
上記式(9)中、V0およびViは、上記式(2)〜(8)について説明したものと同じである。
BR = (V0/Vi)−1 (9)
上記式(9)中、V0およびViは、上記式(2)〜(8)について説明したものと同じである。
すなわち、膨潤性粒子(E)は、常温においては、電解液を吸収しない(BR=0)ものであっても、若干の電解液を吸収するものであってもよく、電池の通常使用温度範囲(例えば、70℃以下)では、温度によらず電解液の吸収量があまり変化せず、従って膨潤度もあまり変化しないが、温度の上昇によって電解液の吸収量が大きくなり、膨潤度が増大するものであればよい。
膨潤性粒子(E)としては、好ましくは上記膨潤度BやBRを満足しており、また、電気絶縁性を有しており、電気化学的に安定で、更に後述する電解液や、セパレータ製造の際に使用する鱗片状粒子(B)や無機粒子(C)などを含有する液状組成物に用いる溶媒に安定であり、高温状態で電解液に溶解しないものであれば、特に制限はない。
なお、従来公知のリチウム二次電池では、例えば、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液が非水電解液として用いられている(リチウム塩や有機溶媒の種類、リチウム塩濃度などの詳細は後述する)。よって、膨潤性粒子(E)としては、リチウム塩の有機溶媒溶液中で、75〜125℃のいずれかの温度に達した時に上記の熱膨潤性を示し始め、好ましくは該溶液中において膨潤度Bが上記の値を満足するように膨潤し得るものが推奨される。
また、樹脂単体では、電解液などの有機溶剤に溶解するような性質のものでも、後述する化学的手法によりコアとなる耐熱性粒子と化学結合により複合化された結果、有機溶剤に対して安定になる樹脂で構成される被覆層(シェル)を有する粒子も膨潤性粒子(E)として用いることが可能である。このような場合の膨潤性粒子(E)の膨潤度の測定は、複合化した粒子を用いて、上記と同様の方法により求めることが可能である。
膨潤性粒子(E)の構成材料の具体例としては、ポリスチレン(PS)、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ポリアルキレンオキシド、フッ素樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)などやこれらの誘導体およびその架橋体;尿素樹脂;ポリウレタン;などが挙げられる。
膨潤性粒子(E)は、上記の樹脂を1種単独で含有していてもよく、2種以上を含有していても構わない。また、膨潤性粒子(E)は、必要に応じて、上記の構成材料の他に、樹脂に添加される公知の各種添加剤(例えば、酸化防止剤など)を含有していても構わない。
例えば、膨潤性粒子(E)が上記例示の樹脂架橋体で構成される場合、一旦温度上昇により膨張しても温度を下げることにより再び収縮するというように、温度変化に伴う体積変化に可逆性があり、また、これらの樹脂架橋体は、電解液を含まない所謂乾燥状態においては、熱膨張する温度よりも更に高い温度まで安定である。そのため、上記の樹脂架橋体で構成される膨潤性粒子(E)を用いたセパレータでは、セパレータの乾燥や電池作製時の電極群の乾燥といった加熱プロセスを通しても、膨潤性粒子(E)の熱膨潤性が損なわれることはないため、こうした加熱プロセスでの取り扱いが容易となる。さらに、上記可逆性を有することにより、一旦、温度上昇によりシャットダウン機能が働いた場合であっても、電池内の温度低下により安全性が確保された場合は、再度セパレータとして機能させることも可能である。
上記例示の構成材料の中でも、架橋PS、架橋アクリル樹脂[例えば、架橋ポリメチルメタクリレート(PMMA)]、架橋フッ素樹脂[例えば、架橋PVDF]が好ましく、架橋PMMAが特に好ましい。
これらの膨潤性粒子(E)が温度上昇により膨潤するメカニズムについては、詳細は明らかでないが、例えば架橋PMMAでは、粒子の主体をなすPMMAのガラス転移点(Tg)が100℃付近にあるため、PMMAのTg付近で架橋PMMA粒子が柔軟になって、より多くの電解液を吸収して膨潤するといったメカニズムが考えられる。従って、膨潤性粒子(E)のTgは、およそ75〜125℃の範囲にあるものが望ましいと考えられる。
また、上述したように、無機粒子や有機粒子などの耐熱性粒子に、樹脂を化学的に結合させた粒子、具体的には、電解液に対して安定な無機粒子や有機粒子をコアとし、膨潤性粒子(E)を構成し得る上記の樹脂をシェルとして複合化したコアシェル構造の粒子を、膨潤性粒子(E)として用いることもできる。
コアシェル構造の膨潤性粒子(E)のコアとなり得る耐熱性粒子としては、非水電解液中において、150℃以上の高温に曝された場合に、化学変化や熱変形などの変化がなく、安定に存在し得る無機粒子または有機粒子である。このような無機粒子としては、無機粒子(A)を形成し得る無機粒子として上で例示した各種粒子が挙げられる。また、有機粒子としては、ポリイミド、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、架橋PMMA、架橋PS、ポリジビニルベンゼン(PDVB)、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合体[ただし、膨潤性粒子(E)に該当し得るものは除く]などの各種高分子からなる粒子などが挙げられる。かかる粒子を構成する高分子は、混合物、変性体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体、架橋体(熱可塑性のポリイミド以外を除く)などであってもよい。なお、有機粒子の場合には、上記(1)式で定義される膨潤度Bおよび上記(9)式で定義される膨潤度BRが、ともに1より小さいものが好ましい。
上記のようなコアシェル構造の膨潤性粒子(E)としては、例えば、シランカップリング剤などにより表面処理するなどした耐熱性粒子の共存下で、スチレンやアクリル系モノマー[(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレートなど]を重合して得られる粒子が挙げられる。
膨潤性粒子(E)の大きさとしては、その乾燥時における粒径がセパレータの厚みより小さければよいが、セパレータの厚みの1/3〜1/100の平均粒径を有することが好ましく、具体的には、鱗片状粒子(B)などと同じ方法で得られる平均粒径で、0.1〜20μmであることが好ましい。
熱溶融性粒子(D)や膨潤性粒子(E)を含有させて、セパレータにシャットダウン機能を持たせる場合には、例えば、セパレータの構成成分の全体積中における熱溶融性粒子(D)および/または膨潤性粒子(E)の量を、20体積%以上80体積%以下とすることが好ましい。熱溶融性粒子(D)や膨潤性粒子(E)の量が少なすぎると、これらの粒子を用いることによるシャットダウン効果が小さくなることがあり、多すぎると、セパレータ中の無機粒子[鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)]の量が減ることになるため、例えば、リチウムデンドライトの発生に起因する短絡を防止する効果が小さくなることがある。
本発明のセパレータでは、繊維状物(A)、鱗片状粒子(B)、無機粒子(C)、および上述の各種添加粒子などを、それら同士または相互に結着する目的で、バインダ(F)を用いることが好ましい。バインダ(F)としては、電気化学的に安定且つ電解液に対して安定で、更に繊維状物(A)、鱗片状粒子(B)、無機粒子(C)などを良好に接着できるものであればよいが、例えば、EVA(酢酸ビニル由来の構造単位が20〜35モル%のもの)、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのエチレン−アクリレート共重合体、各種ゴムおよびその誘導体[スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)など]、セルロース誘導体[カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど]、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、アクリル樹脂などが挙げられ、これらを単独で使用することもでき、2種以上を併用することもできる。なお、これらバインダ(F)を使用する場合には、後記するセパレータ形成用の液状組成物の溶媒に溶解するか、または分散させたエマルジョンの形態で用いることができる。
本発明のセパレータにおいて、バインダ(F)を用いる場合には、セパレータの構成成分の全体積中のバインダ(F)の量を、例えば、1〜20体積%とすることが好ましい。
本発明のセパレータは、独立膜の形態としてもよく、電極(正極および/または負極)と一体化した構造としてもよい。
なお、本発明のセパレータには、上記の各成分の他にも、例えばコアシェル構造の膨潤性粒子(E)のコアとして用い得るものとして例示した各種の有機粒子などを含有させてもよい。
本発明のセパレータは、例えば、上述のように、繊維状物(A)で構成されたシート状物中に、鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)[更に、必要に応じて、熱溶融性粒子(D)、膨潤性粒子(E)など]が含有された構造の多孔質膜の形態とすることができる。この場合、繊維状物(A)で構成されたシート状物は、例えば、従来公知のポリオレフィン製の多孔質性フィルムからなるセパレータのような熱収縮が生じ難く、熱に対する寸法安定性が良好であるため、電池の異常加熱の際にもセパレータの熱収縮による短絡が良好に防止できる。
また、本発明のセパレータは、上記のような形態の他にも、例えば、繊維状物(A)、鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)同士が、バインダ(F)により結着されてなる多孔質膜の形態とすることもできる。この場合にも、熱溶融性粒子(D)、膨潤性粒子(E)などが繊維状物(A)などと共にバインダ(F)で結着されていてもよい。こうした形態のセパレータでは、セパレータ内部にひずみが残らないような製法[繊維状物(A)、鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)などを含有する液状組成物を、基材などに塗布し乾燥する工程を有する製法]により製造されるため、上記の、繊維状物(A)で構成されたシート状物を含む形態のセパレータと同様に、熱に対する寸法安定性が良好であることから、電池の異常加熱の際にもセパレータの熱収縮による短絡が良好に防止できる。
上記の各形態を有する本発明のセパレータでは、例えば、150℃での熱収縮率を5%未満とすることができ、例えば、電池内部が150℃程度になっても、セパレータの収縮が殆ど生じないため、正負極の接触による短絡が防止できることから、高温での電池の安全性を高めることができる。なお、セパレータにおける「150℃の熱収縮率」とは、セパレータを恒温槽に入れ、温度を150℃まで上昇させて30分放置した後に取り出して、恒温槽に入れる前のセパレータの寸法と比較することで求められる寸法の減少割合を百分率で表したものである。
セパレータの厚みは、3μm以上、より好ましくは5μm以上であって、50μm以下、より好ましくは30μm以下であることが望ましい。セパレータが薄すぎると、短絡防止効果が小さくなることがあり、また、セパレータの強度が不十分で取り扱いが困難になることがある。他方、セパレータが厚すぎると、電池としたときのエネルギー密度が小さくなる傾向にある。
また、セパレータの空隙率としては、乾燥した状態で20%以上、より好ましくは30%以上であって、70%以下、より好ましくは60%以下であることが望ましい。セパレータの空隙率が小さすぎると、イオン透過性(イオン伝導性)が小さくなることがあり、また、空隙率が大きすぎると、セパレータの強度が不足することがある。なお、セパレータの空隙率:P(%)は、セパレータの厚み、面積あたりの質量、構成成分の密度から、次式を用いて各成分iについての総和を求めることにより計算できる。
P = Σaiρi/(m/t)
ここで、上記式中、ai:質量%で表した成分iの比率、ρi:成分iの密度(g/cm3)、m:セパレータの単位面積あたりの質量(g/cm2)、t:セパレータの厚み(cm)、である。
P = Σaiρi/(m/t)
ここで、上記式中、ai:質量%で表した成分iの比率、ρi:成分iの密度(g/cm3)、m:セパレータの単位面積あたりの質量(g/cm2)、t:セパレータの厚み(cm)、である。
また、JIS P 8117に準拠した方法で行われ、0.879g/mm2の圧力下で100mlの空気が膜を透過する秒数で示されるガーレー値で示されるセパレータの透気度は、10〜300secであることが好ましい。透気度が大きすぎると、イオン透過性が小さくなり、他方、小さすぎると、セパレータの強度が小さくなることがある。また、独立膜の場合、セパレータの強度としては、直径が1mmのニードルを用いた突き刺し強度で50g以上であることが望ましい。かかる突き刺し強度が小さすぎると、リチウムのデンドライト結晶が発生した場合に、セパレータの突き破れによる短絡が発生する虞がある。
本発明のセパレータの製造方法としては、例えば、下記(I)、(II)および(III)の方法が採用できる。(I)の方法は、イオン透過性のシート状物に、鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)を含む液状組成物(スラリーなど)を塗布または含浸させた後、所定の温度で乾燥する製造方法である。
(I)の方法でいう「シート状物」には、繊維状物(A)で構成されたシート状物(各種、織布、不織布など)が該当する。具体的には、上記例示の各材料を構成成分に含む繊維状物の少なくとも1種で構成され、これら繊維状物同士が絡み合った構造を有する不織布などの多孔質シートなどが挙げられる。より具体的には、紙、PP不織布、ポリエステル不織布(PET不織布、PEN不織布、PBT不織布など)、PAN不織布、PVA不織布などの不織布などが例示できる。
上記シート状物の厚みとしては、例えば、20μm以下であることが好ましく、16μm以下であることがより好ましい。目付けとしては、15g/m2以下であることが好ましく、10g/m2以下であることが更に好ましい。また、厚みの下限としては5μmが好ましく、目付けの下限としては2g/m2が好ましい。
上記シート状物に該当する不織布の製法としては、例えば、湿式、乾式、メルトブロー、スパンボンド、電荷溶融紡糸といった従来公知の手法を用いることができる。
本発明のセパレータを形成するための上記液状組成物は、鱗片状粒子(B)、無機粒子(C)や、必要に応じて、熱溶融性粒子(D)、膨潤性粒子(E)、バインダ(F)などを含有し、これらを溶媒(分散媒を含む、以下同じ)に分散または溶解させたものである。液状組成物に用いられる溶媒は、鱗片状粒子(B)、無機粒子(C)や、熱溶融性粒子(D)、膨潤性粒子(E)などを均一に分散でき、また、バインダ(F)を均一に溶解または分散できるものであれば良いが、例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素;テトラヒドロフランなどのフラン類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;などの有機溶媒が好適である。なお、これらの溶媒に、界面張力を制御する目的で、アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、または、モノメチルアセテートなどの各種プロピレンオキサイド系グリコールエーテルなどを適宜添加しても良い。また、バインダ(F)が水溶性である場合、エマルジョンとして使用する場合などでは、水を溶媒としてもよく、この際にもアルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)を適宜加えて界面張力を制御することもできる。
上記液状組成物では、鱗片状粒子(B)、無機粒子(C)、熱溶融性粒子(D)、膨潤性粒子(E)、バインダ(F)を含む固形分含量を、例えば10〜40質量%とすることが好ましい。
なお、熱溶融性粒子(D)、膨潤性粒子(E)が単独で接着性を有する場合には、これらがバインダ(F)を兼ねることもできる。
紙、PP不織布、ポリエステル不織布などの不織布のように、繊維状物で構成されるシート状物であって、特にその空隙の開口径が比較的大きいもの(例えば、空隙の開口径が5μm以上)を構成要素とするセパレータでは、上記空隙が電池の短絡の要因となりやすい。よって、この場合には、無機粒子[鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)]の一部または全部がシート状物の空隙内に存在する構造とすることが好ましい。また、熱溶融性粒子(D)や膨潤性粒子(E)の一部または全部も、シート状物の空隙内に存在していることが好ましい。シート状物の空隙内に鱗片状粒子(B)などを存在させるには、例えば、上記の液状組成物をシート状物に含浸させた後、一定のギャップを通し、余分な液状組成物を除去した後、乾燥するなどの工程を用いればよい。なお、無機粒子(C)が板状粒子の場合に、これら板状粒子の配向性を高めてその機能を有効に作用させるためには、上記液状組成物を含浸させた基体において、該液状組成物にシェアや磁場をかけるといった方法を用いればよい。例えば、上記のように、液状組成物をシート状物に含浸させた後、一定のギャップを通すことで、液状組成物にシェアをかけることができる。
本発明のセパレータの(II)の製造方法は、上記液状組成物に、更に繊維状物(A)を含有させ、これをフィルムや金属箔などの基材上に塗布し、所定の温度で乾燥した後に、該基材から剥離する方法である。なお、(II)の方法で使用する液状組成物は、繊維状物(A)を含有させることが必須である点を除き、(I)の方法で用いる液状組成物と同じであり、その繊維状物(A)を含めた固形分濃度は、例えば10〜40質量%とすることが好ましい。また、(II)の方法で得られるセパレータにおいても、繊維状物(A)で形成されるシート状物の空隙内に、無機粒子[鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)]などの一部または全部が存在する構造とすることが望ましい。
本発明のセパレータの(III)の製造方法は、例えば、鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)、更には必要に応じて、熱溶融性粒子(D)、膨潤性粒子(E)またはバインダ(F)などを、水または適当な溶媒に分散させてスラリー状などの液状組成物を調製し、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーター、スプレーコーターなどの従来公知の塗布装置を用いて、上記液状組成物を電極(正極または負極)上に塗布し、乾燥する方法である。これにより、電極と一体化した構造のセパレータを得ることができる。上記液状組成物には、例えば、(I)や(II)の製造方法について説明した液状組成物と同じものが使用できる。
なお、本発明のセパレータは、上記の構造に限定されるものではない。例えば、無機粒子[鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)]は、個々に独立して存在していなくてもよく、互いに、または、繊維状物(A)に、一部が融着されていても構わない。
上記(I)〜(III)の方法によって作製されたセパレータは、乾燥後に熱処理を施し、内部に含有されている水分や溶媒(分散媒)といった揮発成分を除去することが好ましい。これらの揮発成分を除去することで、リチウム二次電池において、充放電を繰り返した際の電池特性の劣化を抑制できるため、長期信頼性に優れたリチウム二次電池を提供できるようになる。水分や溶媒の残留量としては、セパレータに対して100ppm以下であることが好ましい。
上記熱処理の温度は、セパレータ中に熱溶融性粒子(D)を含む場合には、セパレータのシャットダウン温度未満の温度とする。シャットダウン温度以上の温度で熱処理を施すと、セパレータの有する空孔が閉塞してしまうため、このようなセパレータを使用したリチウム二次電池は、その特性が劣るものとなる。セパレータ中に熱溶融性粒子(D)を含ませないで、セパレータにシャットダウン特性を持たせない場合や、シャットダウン特性付与を膨潤性粒子(E)により確保する態様のセパレータの場合は、上記の通り、乾燥状態で熱処理を行ってもセパレータの特性に影響を与えないので、樹脂の熱分解温度未満の温度であれば熱処理温度に特に制限は無い。
具体的な熱処理温度としては、例えば、70〜140℃、また、熱処理の時間としては、例えば、1時間以上、より好ましくは3時間以上であって、72時間以下、より好ましくは24時間以下とすることが望ましい。このような熱処理は、例えば、温風循環型の恒温槽中で行うことができる。また、必要に応じて真空乾燥機を用いて減圧乾燥を行ってもよい。
本発明のセパレータは、一次電池、二次電池を問わず、広く非水電解質電池のセパレータとして使用できる。以下、本発明のセパレータの特に主要な用途である二次電池について説明する。
本発明の電池(リチウム二次電池)は、本発明のセパレータを有していれば特に制限はなく、従来公知の構成、構造が採用できる。
電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶などを外装缶として使用した筒形(角筒形や円筒形など)などが挙げられる。また、金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ電池とすることもできる。
正極としては、従来公知の非水電解質電池(リチウム二次電池)に用いられている正極であれば特に制限はない。例えば、活物質として、Li1+xMO2(−0.1<x<0.1、M:Co、Ni、Mnなど)で表されるリチウム含有遷移金属酸化物;LiMn2O4などのリチウムマンガン酸化物;LiMn2O4のMnの一部を他元素で置換したLiMnxM(1−x)O2;オリビン型LiMPO4(M:Co、Ni、Mn、Fe);LiMn0.5Ni0.5O2;Li(1+a)MnxNiyCo(1−x−y)O2(−0.1<a<0.1、0<x<0.5、0<y<0.5);などを適用することが可能であり、これらの正極活物質に公知の導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料など)やPVDFなどの結着剤などを適宜添加した正極合剤を、集電体を芯材として成形体に仕上げたものなどを用いることができる。
正極の集電体としては、アルミニウムなどの金属の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、厚みが10〜30μmのアルミニウム箔が好適に用いられる。
正極側のリード部は、通常、正極作製時に、集電体の一部に正極合剤層を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、リード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体にアルミニウム製の箔などを後から接続することによって設けても良い。
負極としては、従来公知の非水電解質電池(リチウム二次電池)に用いられている負極であれば特に制限はない。例えば、活物質として、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、炭素繊維などの、リチウムを吸蔵、放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、Si,Sn、Ge,Bi,Sb、Inなどの元素およびその合金、リチウム含有窒化物、または酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物、もしくはリチウム金属やリチウム/アルミニウム合金も負極活物質として用いることができる。これらの負極活物質に導電助剤(カーボンブラックなどの炭素材料など)やPVDFなどの結着剤などを適宜添加した負極合剤を、集電体を芯材として成形体に仕上げたものが用いられる他、上記の各種合金やリチウム金属の箔を単独、もしくは集電体上に形成したものを用いても良い。
負極に集電体を用いる場合には、集電体としては、銅製やニッケル製の箔、パンチングメタル、網、エキスパンドメタルなどを用い得るが、通常、銅箔が用いられる。この負極集電体は、高エネルギー密度の電池を得るために負極全体の厚みを薄くする場合、厚みの上限は30μmであることが好ましく、また、下限は5μmであることが望ましい。
負極側のリード部も、正極側のリード部と同様に、通常、負極作製時に、集電体の一部に負極剤層(負極活物質を有する層)を形成せずに集電体の露出部を残し、そこをリード部とすることによって設けられる。ただし、この負極側のリード部は必ずしも当初から集電体と一体化されたものであることは要求されず、集電体に銅製の箔などを後から接続することによって設けても良い。
電極は、上記の正極と上記の負極とを、本発明のセパレータを介して積層した積層構造の電極群(電極積層体)や、更にこれを巻回した巻回構造の電極群(電極巻回体)の形態で用いることができる。本発明のセパレータは、無機粒子の一部を鱗片状粒子(B)として、セパレータが折り曲げされた場合などにおける割れの発生を抑えており、巻回構造の電極群とする場合など、セパレータを湾曲させた状態で使用しても、正極と負極とを良好に隔離できる。そのため、本発明のセパレータは、上記のように湾曲した状態での使用が要求される巻回構造の電極群を有する電池にも好適に用いることができ、かかる用途に供する場合にその効果が特に顕著となる。
非水電解液としては、上述したように、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液が用いられる。リチウム塩としては、溶媒中で解離してLi+イオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に制限は無い。例えば、LiClO4、LiPF6 、LiBF4、LiAsF6 、LiSbF6 などの無機リチウム塩;LiCF3SO3 、LiCF3CO2、Li2C2F4(SO3)2、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiCnF2n+1SO3(n≧2)、LiN(RfOSO2)2〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などの有機リチウム塩;などを用いることができる。
電解液に用いる有機溶媒としては、上記のリチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;プロピオン酸メチルなどの鎖状エステル;γ−ブチロラクトンといった環状エステル;ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、1,3−ジオキソラン、ジグライム、トリグライム、テトラグライムなどの鎖状エーテル;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどの環状エーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシプロピオニトリルといったニトリル類;エチレングリコールサルファイトなどの亜硫酸エステル類;などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用しても構わない。なお、より良好な特性の電池とするためには、エチレンカーボネートと鎖状カーボネートの混合溶媒など、高い導電率を得ることができる組み合わせで用いることが望ましい。また、これらの電解液に安全性や充放電サイクル性、高温貯蔵性といった特性を向上させる目的で、ビニレンカーボネート類、1,3−プロパンサルトン、ジフェニルジスルフィド、シクロヘキサン、ビフェニル、フルオロベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの添加剤を適宜加えることもできる。
このリチウム塩の電解液中の濃度としては、0.5〜1.5mol/lとすることが好ましく、0.9〜1.25mol/lとすることがより好ましい。
また、上記の有機溶媒の代わりに、エチル−メチルイミダゾリウムトリフルオロメチルスルホニウムイミド、へプチル−トリメチルアンモニウムトリフルオロメチルスルホニウムイミド、ピリジニウムトリフルオロメチルスルホニウムイミド、グアジニウムトリフルオロメチルスルホニウムイミドといった常温溶融塩を用いることもできる。
更に、上記の非水電解液を含有してゲル化するような高分子材料を添加して、非水電解液をゲル状にして電池に用いてもよい。非水電解液をゲル状とするための高分子材料としては、PVDF、PVDF−HFP、PAN、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体、主鎖または側鎖にエチレンオキシド鎖を有する架橋ポリマー、架橋したポリ(メタ)アクリル酸エステルなど、公知のゲル状電解質形成可能なホストポリマーが挙げられる。
本発明のリチウム二次電池は、従来公知のリチウム二次電池が用いられている各種用途と同じ用途に適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
鱗片状粒子(B)であるシリカの水スラリー(固形分濃度15質量%、アスペクト比50、平均粒径0.5μm)200g、無機粒子(C)であるシリカ(平均粒径3μm)1000g、バインダ(F)であるSBRラテックス(固形分濃度3質量%)108g、および水1000gを容器に入れ、スリーワンモーターで1時間攪拌して分散させ、均一なスラリーを得た。このスラリー中に、厚みが15μmのPET製不織布を通し、引き上げ塗布によりスラリーを塗布した後、乾燥して、厚みが20μmのセパレータを得た。
鱗片状粒子(B)であるシリカの水スラリー(固形分濃度15質量%、アスペクト比50、平均粒径0.5μm)200g、無機粒子(C)であるシリカ(平均粒径3μm)1000g、バインダ(F)であるSBRラテックス(固形分濃度3質量%)108g、および水1000gを容器に入れ、スリーワンモーターで1時間攪拌して分散させ、均一なスラリーを得た。このスラリー中に、厚みが15μmのPET製不織布を通し、引き上げ塗布によりスラリーを塗布した後、乾燥して、厚みが20μmのセパレータを得た。
実施例1のセパレータについて、鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)であるシリカの比重を2.2g/cm3、バインダ(F)の比重を1g/cm3、PET製不織布に係るPETの比重を1.38g/cm3として算出した鱗片状粒子(B)の体積含有率は1.0%であり、無機粒子(C)の体積含有率は32.5%である。
実施例2
無機粒子(C)を、マイカ(平均粒径2〜3μm)1000gに変更した以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
無機粒子(C)を、マイカ(平均粒径2〜3μm)1000gに変更した以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
実施例2のセパレータについて、鱗片状粒子(B)であるシリカの比重を2.2g/cm3、無機粒子(C)であるマイカの比重を3g/cm3、バインダ(F)の比重を1g/cm3、PET製不織布に係るPETの比重を1.38g/cm3として算出した鱗片状粒子(B)の体積含有率は1.0%であり、無機粒子(C)の体積含有率は31.6%である。
実施例3
無機粒子(C)を、板状ベーマイト(平均粒径1μm)1000gに変更した以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
無機粒子(C)を、板状ベーマイト(平均粒径1μm)1000gに変更した以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
実施例3のセパレータについて、鱗片状粒子(B)であるシリカの比重を2.2g/cm3、無機粒子(C)である板状ベーマイトの比重を3.0g/cm3、バインダ(F)の比重を1g/cm3、PET製不織布に係るPETの比重を1.38g/cm3として算出した鱗片状粒子(B)の体積含有率は0.9%であり、無機粒子(C)の体積含有率は27.9%である。
実施例4
無機粒子(C)を、板状αアルミナ(平均粒径2μm)1000gに変更した以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
無機粒子(C)を、板状αアルミナ(平均粒径2μm)1000gに変更した以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
実施例4のセパレータについて、鱗片状粒子(B)であるシリカの比重を2.2g/cm3、無機粒子(C)である板状αアルミナの比重を4.0g/cm3、バインダ(F)の比重を1g/cm3、PET製不織布に係るPETの比重を1.38g/cm3として算出した鱗片状粒子(B)の体積含有率は0.7%であり、無機粒子(C)の体積含有率は22.6%である。
実施例5
鱗片状粒子(B)を、マイカ(アスペクト比30、平均粒径1〜2μm)20gに変更した以外は、実施例3と同様にしてセパレータを作製した。
鱗片状粒子(B)を、マイカ(アスペクト比30、平均粒径1〜2μm)20gに変更した以外は、実施例3と同様にしてセパレータを作製した。
実施例5のセパレータについて、鱗片状粒子(B)であるマイカの比重を3.0g/cm3、無機粒子(C)であるシリカの比重を2.2g/cm3、バインダ(F)の比重を1g/cm3、PET製不織布に係るPETの比重を1.38g/cm3として算出した鱗片状粒子(B)の体積含有率は0.9%であり、無機粒子(C)の体積含有率は28.1%である。
実施例6
膨潤性粒子(E)である架橋PMMAを含むエマルジョン[ガンツ化成社製「スタフィロイドAC−3364(商品名)」、平均粒径0.1μm]250gを更に加えた以外は、実施例1と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
膨潤性粒子(E)である架橋PMMAを含むエマルジョン[ガンツ化成社製「スタフィロイドAC−3364(商品名)」、平均粒径0.1μm]250gを更に加えた以外は、実施例1と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
実施例6のセパレータについて、鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)であるシリカの比重を2.2g/cm3、膨潤性粒子(E)である架橋PMMAの比重を1.2g/cm3、バインダ(F)の比重を1g/cm3、PET製不織布に係るPETの比重を1.38g/cm3として算出した鱗片状粒子(B)の体積含有率は0.8%であり、無機粒子(C)の体積含有率は25.6%である。
実施例7
膨潤性粒子(E)である架橋PMMAを含むエマルジョン[ガンツ化成社製「スタフィロイドAC−3364(商品名)」、平均粒径0.1μm]250gを更に加えた以外は、実施例2と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
膨潤性粒子(E)である架橋PMMAを含むエマルジョン[ガンツ化成社製「スタフィロイドAC−3364(商品名)」、平均粒径0.1μm]250gを更に加えた以外は、実施例2と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
実施例7のセパレータについて、鱗片状粒子(B)であるシリカの比重を2.2g/cm3、無機粒子(C)であるマイカの比重を3.0g/cm3、膨潤性粒子(E)である架橋PMMAの比重を1.2g/cm3、バインダ(F)の比重を1g/cm3、PET製不織布に係るPETの比重を1.38g/cm3として算出した鱗片状粒子(B)の体積含有率は0.8%であり、無機粒子(C)の体積含有率は24.9%である。
実施例8
膨潤性粒子(E)である架橋PMMAを含むエマルジョン[ガンツ化成社製「スタフィロイドAC−3364(商品名)」、平均粒径0.1μm]250gを更に加えた以外は、実施例3と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
膨潤性粒子(E)である架橋PMMAを含むエマルジョン[ガンツ化成社製「スタフィロイドAC−3364(商品名)」、平均粒径0.1μm]250gを更に加えた以外は、実施例3と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
実施例8のセパレータについて、鱗片状粒子(B)であるシリカの比重を2.2g/cm3、無機粒子(C)である板状ベーマイトの比重を3.0g/cm3、膨潤性粒子(E)である架橋PMMAの比重を1.2g/cm3、バインダ(F)の比重を1g/cm3、PET製不織布に係るPETの比重を1.38g/cm3として算出した鱗片状粒子(B)の体積含有率は0.7%であり、無機粒子(C)の体積含有率は22.0%である。
実施例9
膨潤性粒子(E)である架橋PMMAを含むエマルジョン[ガンツ化成社製「スタフィロイドAC−3364(商品名)」、平均粒径0.1μm]250gを更に加えた以外は、実施例4と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
膨潤性粒子(E)である架橋PMMAを含むエマルジョン[ガンツ化成社製「スタフィロイドAC−3364(商品名)」、平均粒径0.1μm]250gを更に加えた以外は、実施例4と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
実施例9のセパレータについて、鱗片状粒子(B)であるシリカの比重を2.2g/cm3、無機粒子(C)である板状αアルミナの比重を4.0g/cm3、膨潤性粒子(E)である架橋PMMAの比重を1.2g/cm3、バインダ(F)の比重を1g/cm3、PET製不織布に係るPETの比重を1.38g/cm3として算出した鱗片状粒子(B)の体積含有率は0.6%であり、無機粒子(C)の体積含有率は17.8%である。
実施例10
膨潤性粒子(E)である架橋PMMAを含むエマルジョン[ガンツ化成社製「スタフィロイドAC−3364(商品名)」、平均粒径0.1μm]250gを更に加えた以外は、実施例5と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
膨潤性粒子(E)である架橋PMMAを含むエマルジョン[ガンツ化成社製「スタフィロイドAC−3364(商品名)」、平均粒径0.1μm]250gを更に加えた以外は、実施例5と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
実施例10のセパレータについて、鱗片状粒子(B)であるマイカの比重を3.0g/cm3、無機粒子(C)であるシリカの比重を2.2g/cm3、膨潤性粒子(E)である架橋PMMAの比重を1.2g/cm3、バインダ(F)の比重を1g/cm3、PET製不織布に係るPETの比重を1.38g/cm3として算出した鱗片状粒子(B)の体積含有率は0.7%であり、無機粒子(C)の体積含有率は22.1%である。
比較例1
鱗片状粒子(B)を添加しない以外は、実施例1と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
鱗片状粒子(B)を添加しない以外は、実施例1と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
比較例2
鱗片状粒子(B)を添加しない以外は、実施例2と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
鱗片状粒子(B)を添加しない以外は、実施例2と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
比較例3
鱗片状粒子(B)を添加しない以外は、実施例3と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
鱗片状粒子(B)を添加しない以外は、実施例3と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
比較例4
鱗片状粒子(B)を添加しない以外は、実施例4と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
鱗片状粒子(B)を添加しない以外は、実施例4と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
比較例5
鱗片状粒子(B)を添加しない以外は、実施例6と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
鱗片状粒子(B)を添加しない以外は、実施例6と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
比較例6
鱗片状粒子(B)を添加しない以外は、実施例7と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
鱗片状粒子(B)を添加しない以外は、実施例7と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
比較例7
鱗片状粒子(B)を添加しない以外は、実施例8と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
鱗片状粒子(B)を添加しない以外は、実施例8と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
比較例8
鱗片状粒子(B)を添加しない以外は、実施例9と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
鱗片状粒子(B)を添加しない以外は、実施例9と同様にしてスラリーを調製し、このスラリーを用いた以外は、実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
実施例1〜10および比較例1〜8のセパレータについて、下記の折り曲げ強度試験とシャットダウン特性評価を行った。結果を表1に示す。
<折り曲げ強度試験>
4.5cm×4cmに切り出したセパレータ片を、スペーサーを挟んで折り曲げ、折り曲げ部に対して上部から均一に加重後、折り曲げ部のSEM観察を行った。SEM観察では、100倍の倍率で折り曲げ線の凸部を観察し、クラックおよび無機粒子(C)の欠落の発生の有無を確認した。折り曲げ試験は、各実施例・比較例のセパレータのそれぞれから切り出した3サンプルについて行い、3回の試験で観察した視野全てにおいて、クラックおよび無機粒子(C)の欠落が全く確認されない場合の折り曲げ強度を○、1つでもクラックまたは無機粒子(C)の欠落が確認された場合の折り曲げ強度を×として、各セパレータの折り曲げ強度を評価した。なお、本試験では、セパレータが巻回構造の電極群に適用された場合における電極群の最内周のR部を想定して、セパレータ片を挟むスペーサー厚みを300μmとした。
4.5cm×4cmに切り出したセパレータ片を、スペーサーを挟んで折り曲げ、折り曲げ部に対して上部から均一に加重後、折り曲げ部のSEM観察を行った。SEM観察では、100倍の倍率で折り曲げ線の凸部を観察し、クラックおよび無機粒子(C)の欠落の発生の有無を確認した。折り曲げ試験は、各実施例・比較例のセパレータのそれぞれから切り出した3サンプルについて行い、3回の試験で観察した視野全てにおいて、クラックおよび無機粒子(C)の欠落が全く確認されない場合の折り曲げ強度を○、1つでもクラックまたは無機粒子(C)の欠落が確認された場合の折り曲げ強度を×として、各セパレータの折り曲げ強度を評価した。なお、本試験では、セパレータが巻回構造の電極群に適用された場合における電極群の最内周のR部を想定して、セパレータ片を挟むスペーサー厚みを300μmとした。
<シャットダウン温度測定>
4cm×4cmの大きさに切り出した各セパレータ片を、端子付きの2枚のステンレス板で挟みこみ、アルミラミネートフィルムの袋に挿入し、非水電解液を注入した後、端子の先を袋の外に出した状態で袋を封止して試験用の試料とした。ここで、非水電解液としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを体積比1:2で混合した溶媒にLiPF6を1.2mol/lの濃度で溶解させた溶液を用いた。上記試料を恒温槽に入れ、HIOKI社製接点抵抗計[3560 ACミリオームハイテスタ(商品名)]により、上記端子に1kHzの交流を印加したときの抵抗値を測定しながら、室温から毎分1℃の割合で温度上昇させて加熱し、内部抵抗の温度変化を求めた。そして、抵抗値が室温での値の10倍以上となったときの温度を、そのセパレータのシャットダウン温度とした。なお、この試験によりシャットダウン温度が確認されなかったものについては、表1において「―」と表記する。
4cm×4cmの大きさに切り出した各セパレータ片を、端子付きの2枚のステンレス板で挟みこみ、アルミラミネートフィルムの袋に挿入し、非水電解液を注入した後、端子の先を袋の外に出した状態で袋を封止して試験用の試料とした。ここで、非水電解液としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを体積比1:2で混合した溶媒にLiPF6を1.2mol/lの濃度で溶解させた溶液を用いた。上記試料を恒温槽に入れ、HIOKI社製接点抵抗計[3560 ACミリオームハイテスタ(商品名)]により、上記端子に1kHzの交流を印加したときの抵抗値を測定しながら、室温から毎分1℃の割合で温度上昇させて加熱し、内部抵抗の温度変化を求めた。そして、抵抗値が室温での値の10倍以上となったときの温度を、そのセパレータのシャットダウン温度とした。なお、この試験によりシャットダウン温度が確認されなかったものについては、表1において「―」と表記する。
表1から以下のことが分かる。繊維状物(A)(PET不織布)、鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)を有する実施例1〜10のセパレータは、鱗片状粒子(B)を使用していない比較例1〜8のセパレータに比べて、折り曲げ強度が優れている。よって、例えば、実施例1〜10のセパレータを使用して構成した巻回構造の電極群を有する電池では、電極群において懸念される内周のR部での折れ曲がりによるセパレータのひび割れの発生や無機粒子(C)の欠落が良好に抑制され、短絡の発生が防止され得る。
また、セパレータにシャットダウン機能を付与すべく、膨潤性粒子(E)である架橋PMMAを使用した実施例6〜10のセパレータでは、鱗片状粒子(B)を含有しないことを除き、実施例6〜9と同じ構成を有する比較例5〜8のセパレータと、ほぼ同等のシャットダウン温度を有しており、セパレータのシャットダウン特性は、鱗片状粒子(B)を使用しても損なわれないことも分かる。
実施例11
<負極の作製>
負極活物質である黒鉛:95質量部と、バインダであるPVDF:5質量部とを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶剤として均一になるように混合して負極合剤含有ペーストを調製した。この負極合剤含有ペーストを、銅箔からなる厚さ10μmの集電体の両面に、活物質塗布長が表面320mm、裏面260mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って全厚が142μmになるように負極合剤層の厚みを調整し、幅45mmになるように切断して、長さ330mm、幅45mmの負極を作製した。さらにこの負極の銅箔の露出部にタブを溶接してリード部を形成した。
<負極の作製>
負極活物質である黒鉛:95質量部と、バインダであるPVDF:5質量部とを、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶剤として均一になるように混合して負極合剤含有ペーストを調製した。この負極合剤含有ペーストを、銅箔からなる厚さ10μmの集電体の両面に、活物質塗布長が表面320mm、裏面260mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って全厚が142μmになるように負極合剤層の厚みを調整し、幅45mmになるように切断して、長さ330mm、幅45mmの負極を作製した。さらにこの負極の銅箔の露出部にタブを溶接してリード部を形成した。
<正極の作製>
正極活物質であるLiCoO2:85質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:10質量部、およびバインダであるPVDF:5質量部を、NMPを溶剤として均一になるように混合して、正極合剤含有ペーストを調製した。このペーストを、集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、活物質塗布長が表面319〜320mm、裏面258〜260mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が150μmになるように正極合剤層の厚みを調整し、幅43mmになるように切断して、長さ330mm、幅43mmの正極を作製した。さらにこの正極のアルミニウム箔の露出部にタブを溶接してリード部を形成した。
正極活物質であるLiCoO2:85質量部、導電助剤であるアセチレンブラック:10質量部、およびバインダであるPVDF:5質量部を、NMPを溶剤として均一になるように混合して、正極合剤含有ペーストを調製した。このペーストを、集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、活物質塗布長が表面319〜320mm、裏面258〜260mmになるように間欠塗布し、乾燥した後、カレンダー処理を行って、全厚が150μmになるように正極合剤層の厚みを調整し、幅43mmになるように切断して、長さ330mm、幅43mmの正極を作製した。さらにこの正極のアルミニウム箔の露出部にタブを溶接してリード部を形成した。
<電池の組み立て>
上記のようにして得られた正極と負極とを、実施例1のセパレータを介して渦巻状に巻回して巻回構造の電極群とした。この電極群を押しつぶして扁平状にし、大日本印刷製ラミネートフィルム外装材内に装填し、電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを1:2の体積比で混合した溶媒に、LiPF6を1.2mol/lの濃度で溶解させた溶液)を注入し、真空封止を行ってリチウム二次電池を作製した。
上記のようにして得られた正極と負極とを、実施例1のセパレータを介して渦巻状に巻回して巻回構造の電極群とした。この電極群を押しつぶして扁平状にし、大日本印刷製ラミネートフィルム外装材内に装填し、電解液(エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートを1:2の体積比で混合した溶媒に、LiPF6を1.2mol/lの濃度で溶解させた溶液)を注入し、真空封止を行ってリチウム二次電池を作製した。
実施例12〜20、比較例9〜16
セパレータを、実施例2〜10または比較例1〜8のものに変更した以外は、実施例11と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
セパレータを、実施例2〜10または比較例1〜8のものに変更した以外は、実施例11と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例21
実施例6で調製したものと同じスラリーを、実施例11で作製したものと同じ負極上に、ダイコーターを用いて、乾燥時の厚みが15μmになるように塗布し乾燥して、負極とセパレータの一体化物を得た。得られた負極とセパレータの一体化物のセパレータ側に、実施例11で作製したものと同じ正極を重ねて渦巻状に巻回して巻回構造の電極群とした。この電極群を用いた以外は、実施例11と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例6で調製したものと同じスラリーを、実施例11で作製したものと同じ負極上に、ダイコーターを用いて、乾燥時の厚みが15μmになるように塗布し乾燥して、負極とセパレータの一体化物を得た。得られた負極とセパレータの一体化物のセパレータ側に、実施例11で作製したものと同じ正極を重ねて渦巻状に巻回して巻回構造の電極群とした。この電極群を用いた以外は、実施例11と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例22
実施例9で調製したものと同じスラリーを、実施例11で作製したものと同じ正極上に、ダイコーターを用いて、乾燥時の厚みが10μmになるように塗布し乾燥して、正極とセパレータの一体化物を得た。得られた正極とセパレータの一体化物のセパレータ側に、実施例11で作製したものと同じ負極を重ねて渦巻状に巻回して巻回構造の電極群とした。この電極群を用いた以外は、実施例11と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例9で調製したものと同じスラリーを、実施例11で作製したものと同じ正極上に、ダイコーターを用いて、乾燥時の厚みが10μmになるように塗布し乾燥して、正極とセパレータの一体化物を得た。得られた正極とセパレータの一体化物のセパレータ側に、実施例11で作製したものと同じ負極を重ねて渦巻状に巻回して巻回構造の電極群とした。この電極群を用いた以外は、実施例11と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例17
セパレータを、PE製微多孔膜に変更した以外は、実施例11と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
セパレータを、PE製微多孔膜に変更した以外は、実施例11と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例18
比較例6で調製したものと同じスラリーを、実施例11で作製したものと同じ負極上に、ダイコーターを用いて、乾燥時の厚みが15μmになるように塗布し乾燥して、負極とセパレータの一体化物を得た。得られた負極とセパレータの一体化物のセパレータ側に、実施例11で作製したものと同じ正極を重ねて渦巻状に巻回して巻回電極体とした。この巻回電極体を用いた以外は、実施例11と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
比較例6で調製したものと同じスラリーを、実施例11で作製したものと同じ負極上に、ダイコーターを用いて、乾燥時の厚みが15μmになるように塗布し乾燥して、負極とセパレータの一体化物を得た。得られた負極とセパレータの一体化物のセパレータ側に、実施例11で作製したものと同じ正極を重ねて渦巻状に巻回して巻回電極体とした。この巻回電極体を用いた以外は、実施例11と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
実施例11〜22および比較例9〜18のリチウム二次電池について、電気化学的評価(充放電効率)と安全性試験を行った。結果を表2に示す。
<充放電効率>
実施例11〜22および比較例9〜18の各電池について、0.2Cでの定電流充電(4.2Vまで)と4.2Vでの定電圧充電による充電(定電流充電と定電圧充電の合計時間15時間)の後、3.0Vまで0.2Cで放電を行い、充放電効率(充電容量に対する放電容量の割合)を求めた。なお充放電効率はそれぞれ電池10個の平均値として求めた。
実施例11〜22および比較例9〜18の各電池について、0.2Cでの定電流充電(4.2Vまで)と4.2Vでの定電圧充電による充電(定電流充電と定電圧充電の合計時間15時間)の後、3.0Vまで0.2Cで放電を行い、充放電効率(充電容量に対する放電容量の割合)を求めた。なお充放電効率はそれぞれ電池10個の平均値として求めた。
<安全性評価>
実施例11〜22および比較例9〜18の各電池を恒温槽に入れ、昇温速度10℃/分で昇温させ、150℃に達したところで温度を一定に保ち、150℃に達したときから、電池の異常発生までの時間(電池が180℃以上になるまでの時間)を測定し、高温時における安全性を評価した。
実施例11〜22および比較例9〜18の各電池を恒温槽に入れ、昇温速度10℃/分で昇温させ、150℃に達したところで温度を一定に保ち、150℃に達したときから、電池の異常発生までの時間(電池が180℃以上になるまでの時間)を測定し、高温時における安全性を評価した。
表2から次のことが分かる。繊維状物(A)、鱗片状粒子(B)および無機粒子(C)を含有するセパレータを用いた実施例11〜22の電池では、鱗片状粒子(B)を含有していないセパレータを用いた比較例9〜16、18の電池に比べて、充放電効率が良好である。これは、表1に示したセパレータの折り曲げ強度と対応しており、実施例11〜22の電池では、巻回構造の電極群を用いた電池で懸念される電極群内周部でのセパレータの割れなどに起因する微短絡の発生が、良好に防止されているものと考えられる。
また、実施例11〜22の電池は、従来公知のPE製微多孔膜をセパレータとして用いた比較例17の電池に比べて、150℃放置時の異常発生までの時間が長く、高温放置時における安全性が向上している。
Claims (9)
- 150℃で実質的に変形しない繊維状物、および150℃で実質的に変形しない無機粒子を少なくとも含有しており、上記無機粒子の一部が、アスペクト比30以上の鱗片状粒子であることを特徴とする電池用セパレータ。
- 無機粒子が、シリカ、マイカ、ベーマイトまたはアルミナである請求項1に記載の電池用セパレータ。
- 無機粒子の一部または全部が、繊維状物で構成されているシート状物の空隙内に存在している請求項1または2に記載の電池用セパレータ。
- 繊維状物で構成されているシート状物は、織布または不織布である請求項3に記載の電池用セパレータ。
- 80〜130℃で溶融する粒子を更に含有する請求項1〜4のいずれかに記載の電池用セパレータ。
- 非水電解液中で膨潤でき、かつ温度の上昇により膨潤度が増大する粒子を更に含有し、リチウム二次電池に用いられるものである請求項1〜5のいずれかに記載の電池用セパレータ。
- 非水電解液中で膨潤でき、かつ温度の上昇により膨潤度が増大する粒子は、下記式で定義される膨潤度Bが1.0以上である請求項6に記載の電池用セパレータ。
B = (V1/V0)−1
[上記式中、V0は、25℃の非水電解液に投入してから24時間後における粒子の体積(cm3)、V1は、25℃の非水電解液に投入してから24時間後に非水電解液を120℃に昇温し、120℃で1時間経過後における粒子の体積(cm3)を意味する。] - 少なくとも、リチウムを吸蔵放出可能な活物質を含有する負極、リチウムを吸蔵放出可能な活物質を含有する正極、および請求項1〜7のいずれかに記載の電池用セパレータを有することを特徴とするリチウム二次電池。
- 電池用セパレータが、正極および負極のうち、少なくとも一方と一体化している請求項8に記載のリチウム二次電池。
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-
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