JP2006248174A - 液体吐出ヘッド、その製造方法、及び、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 圧力室の容積が効率よく変化して液体を効率よく吐出できること。
【解決手段】 液体を吐出するノズル51に連通する圧力室52と、圧力室52内に配置され、所定の駆動により変形する圧電アクチュエータ63と、圧電アクチュエータ63を保持する振動板56と、圧電アクチュエータ63の振動板56に保持されている面を底面とした場合に、圧電アクチュエータ63の上面を圧力室52内の液体に接液させて圧電アクチュエータ63の上面の動きを圧力室52の容積の変化に寄与させる一方で、圧力室52内の液体を圧電アクチュエータ63の側面から遮断して圧電アクチュエータ63の側面の動きにより圧力室52の容積の変化が減少しないようにする隔壁66を備えた。
【選択図】 図3
【解決手段】 液体を吐出するノズル51に連通する圧力室52と、圧力室52内に配置され、所定の駆動により変形する圧電アクチュエータ63と、圧電アクチュエータ63を保持する振動板56と、圧電アクチュエータ63の振動板56に保持されている面を底面とした場合に、圧電アクチュエータ63の上面を圧力室52内の液体に接液させて圧電アクチュエータ63の上面の動きを圧力室52の容積の変化に寄与させる一方で、圧力室52内の液体を圧電アクチュエータ63の側面から遮断して圧電アクチュエータ63の側面の動きにより圧力室52の容積の変化が減少しないようにする隔壁66を備えた。
【選択図】 図3
Description
本発明は液体吐出ヘッド、その製造方法、及び、画像形成装置に係り、特に吐出口に連通した圧力室の容積を変化させることにより吐出口から液体を吐出する液体吐出ヘッド、その製造方法、及び、画像形成装置に関する。
従来、多数のノズルを配列させたインク吐出ヘッドと紙などの記録媒体とを相対的に移動させながら、ノズルから記録媒体に向けてインクを吐出することにより、記録媒体上に画像を形成するようにした画像形成装置が知られている。
このような画像形成装置に搭載するインク吐出ヘッドとしては、ノズルに連通した圧力室にインクを供給し、この圧力室の外側に振動板を介して取り付けられた圧電素子に対して画像データに応じた駆動信号を与えることにより、圧力室の容積を変化させて、圧力室内のインクをノズルから吐出するようにしたピエゾ方式のインク吐出ヘッドが知られている。
一方で、ユニモルフ型の圧電素子を搭載したインク吐出ヘッドにおいて、圧力室(個別液室)の内壁の一部を振動板を有する振動部として形成し、この振動部上の圧力室側に圧電素子を配置したものが知られている(特許文献1)。振動板の厚み精度を確保するため、SOI(silicon on insulator)基板のSOI層厚で振動板厚を決定することも記載されている。
特開2004−237676号公報
しかし、従来のインク吐出ヘッドは、図10に示すように、圧電素子60が振動板56への固定面(底面)を除いて上面及び側面が耐インク性のある薄いパッシベーション膜(保護膜)964を介するなどして圧力室52内の液体に接する。したがって、圧電素子60の上面の動き91による圧力室52の容積の変化と圧電素子60の側面の動き92による圧力室52の容積の変化とが相反してしまい、圧電素子60に印加された電圧に対して圧力室52の容積を効率よく変化させることができず、ノズル51からインクを効率良く吐出できないという課題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、圧力室の容積が効率よく変化して液体を効率よく吐出することができる液体吐出ヘッド、その製造方法、及び、画像形成装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、液体を吐出する吐出口に連通する圧力室と、前記圧力室内に配置され、所定の駆動により変形するアクチュエータと、前記アクチュエータを保持する保持部材と、前記アクチュエータの前記保持部材に保持されている面を底面とした場合に、前記アクチュエータの上面を前記圧力室内の液体に接液させる一方で、前記圧力室内の液体を前記アクチュエータの側面から遮断する遮断部材とを備えたことを特徴とする液体吐出ヘッドを提供する。
これによれば、アクチュエータの上面が圧力室内の液体に接液してアクチュエータの上面の動きが圧力室の容積の変化に寄与する一方で、圧力室内の液体がアクチュエータの側面から遮断されるのでアクチュエータの側面の動きにより圧力室の容積の変化が減少することがなくなり、アクチュエータの駆動に対して圧力室の容積が効率よく変化し、液体が効率よく吐出することになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記遮断部材は、前記アクチュエータの側面を覆い、前記アクチュエータの側面の動きに応じて変形することを特徴とする液体吐出ヘッドを提供する。
これによれば、アクチュエータの側面を覆う遮断部材により、圧力室内の液体がアクチュエータの側面から遮断されて、アクチュエータの駆動に対して圧力室の容積が効率よく変化する。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記遮断部材と前記アクチュエータの側面との間に空間が形成されており、該空間により前記アクチュエータの側面の動きが前記圧力室の容積の変化に寄与することなく吸収されることを特徴とする液体吐出ヘッドを提供する。
これによれば、遮断部材とアクチュエータの側面との間に形成された空間によりアクチュエータの側面の動きが吸収され、アクチュエータの駆動に対して圧力室の容積が効率よく変化する。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記遮断部材は、前記圧力室の隔壁によって構成されていることを特徴とする液体吐出ヘッドを提供する。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記アクチュエータの上面の少なくとも外周部と前記隔壁との間がシールされていることを特徴とする液体吐出ヘッドを提供する。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、前記保持部材は、前記アクチュエータの厚み方向と直交する方向の動きによって前記アクチュエータの厚み方向に振動する振動板であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを提供する。
これによれば、アクチュエータの厚み方向と直交する方向の動きによって振動板がアクチュエータの厚み方向に振動し、このような振動板の振動に応じてアクチュエータの上面により圧力室の容積が変化するので、アクチュエータに対する駆動に対して圧力室の容積が効率よく変化し、液体が効率よく吐出することになる。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、請求項1乃至6のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備え、該液体吐出ヘッドと所定の記録媒体とを相対的に移動させて該記録媒体に画像を形成することを特徴とする画像形成装置を提供する。
請求項8に記載の発明は、液体を吐出する吐出口に連通する圧力室と、所定の駆動により変形するアクチュエータと、前記アクチュエータを保持する保持部材とを備えた液体吐出ヘッドの製造方法であって、前記保持部材上に前記アクチュエータを配置する工程と、前記アクチュエータの前記保持部材に保持されている面を底面とした場合に、前記アクチュエータの上面を前記圧力室内に配置させるとともに、前記圧力室内の液体を前記アクチュエータの側面から遮断する隔壁を形成する工程とを含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法を提供する。
本発明によれば、圧力室の容積が効率よく変化して液体を効率よく吐出することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
[画像形成装置の全体構成例]
図1は、本発明に係る画像形成装置の全体構成の一例を示す全体構成図である。
図1は、本発明に係る画像形成装置の全体構成の一例を示す全体構成図である。
図1において、画像形成装置10は、インクの色毎に設けられた複数のインク吐出ヘッド12K、12C、12M、12Yを有するインク吐出部12と、各インク吐出ヘッド12K、12C、12M、12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、インク吐出部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、インク吐出部12によるプリント結果を読み取るプリント検出部24と、プリント済みの記録紙を外部に排出する排紙部26とを備えている。
なお、図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)を給紙するものを示しているが、予めカットされているカット紙を給紙するものを用いてもよい。ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッタ28が設けられる。カッタ28は、固定刃28Aと、この固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されている。給紙部18から送り出される記録紙16は一般に巻き癖が残りカールする。このカールを除去するために、デカール処理部20において巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム30で記録紙16に熱を与える。デカール処理後、カットされた記録紙16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。
吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくともインク吐出部12のノズル面及びプリント検出部24のセンサ面に対向する部分が平面(フラット面)をなすように構成されている。ベルト33は、記録紙16幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(図示省略)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側においてインク吐出部12のノズル面及びプリント検出部24のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによってベルト上の記録紙16が吸着保持される。ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図示省略)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1において、時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は、図1の左から右へと搬送される。なお、縁無しプリント等を形成するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(プリント領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。吸着ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上においてインク吐出部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、プリント前の記録紙16に加熱空気を吹きつけ、記録紙16を加熱する。プリント直前に記録紙16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
インク吐出図12は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に配置したフルライン型のヘッドとなっている。具体的には、各インク吐出ヘッド12K、12C、12M、12Yは、本画像形成装置10が対象とする最大サイズの記録紙16の少なくとも一辺を超える長さにわたってノズル(吐出口)が複数配列されている。
記録紙16の搬送方向(紙搬送方向)に沿って、上流側(図1の左側)から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の順に各色インクに対応したインク吐出ヘッド12K、12C、12M、12Yが配置されている。記録紙16を搬送しつつ各インク吐出ヘッド12K、12C、12M,12Yからそれぞれ色インクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。このように、紙幅の全域をカバーするフルラインヘッドがインク色毎に設けられてなるインク吐出部12によれば、紙搬送方向(副走査方向)について記録紙16とインク吐出部12を相対的に移動させる動作を一回行うだけで(すなわち、一回の副走査で)記録紙16の全面に画像を記録することができる。これにより、インク吐出ヘッドが紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速プリントが可能であり、生産性を向上させることができる。
なお、ここで主走査方向及び副走査方向とは、次に言うような意味で用いている。すなわち、記録紙の全幅に対応したノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時、(1)全ノズルを同時に駆動するか、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動するか、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動するか、等のいずれかのノズルの駆動が行われ、用紙の幅方向(記録紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)のプリントをするようなノズルの駆動を主走査と定義する。そして、この主走査によって記録される1ライン(帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向という。
一方、上述したフルラインヘッドと記録紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットからなるライン)のプリントを繰り返し行うことを副走査と定義する。そして、副走査を行う方向を副走査方向という。結局、記録紙の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
また、本実施形態では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インクの色数や色の組み合わせについては本実施形態に示す例には限定されず、必要に応じて淡インク、濃インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ等のライト系インクを吐出するインク吐出ヘッドを追加する構成も可能である。
図1に示したように、インク貯蔵/装填部14は、各インク吐出ヘッド12K、12C、12M、12Yに対応する色のインクを貯蔵するタンクを有し、各タンクは図示を省略した管路を介して各インク吐出ヘッド12K、12C、12M、12Yと連通されている。
プリント検出部24は、インク吐出部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ等)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりその他の吐出不良をチェックする手段として機能する。
プリント検出部24の後段には、後乾燥部42が設けられている。後乾燥部42は、プリントされた画像面を乾燥させる手段であり、例えば加熱ファンが用いられる。後乾燥部42の後段には、加熱・加圧部44が設けられている。加熱・加圧部44は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ45で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。生成されたプリント物は、排紙部26から排出される。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テストプリントのプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える選別手段(図示省略)が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテストプリントとを同時に並列に形成する場合は、カッタ(第2のカッタ)48によってテストプリントの部分を切り離す。カッタ48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテストプリントを行った場合に、本画像とテストプリント部を切断するものである。カッタ48の構造は、前述した第1のカッタ28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成されている。また、図示を省略したが、本画像の排出部26Aには、オーダ別に画像を集積するソータが設けられている。
なお、図1においてインク色毎に設けられている各インク吐出ヘッド12K、12C、12M、12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってインク吐出ヘッドを表すものとし、また、実施形態ごとに符号50a、50b、50cと区別して表すものとする。
[インク吐出ヘッドの構造]
本発明に係る第1実施形態のインク吐出ヘッド50aの構造について、図2、図3及び図4を用いて説明する。
本発明に係る第1実施形態のインク吐出ヘッド50aの構造について、図2、図3及び図4を用いて説明する。
図2は、本実施形態のインク吐出ヘッド50aのその一部について簡略化して示す平面透視図である。図2の3−3線に沿った断面図を図3に示し、4−4線に沿った断面図を図4に示す。3−3線は主走査方向に沿った線であり、4−4線は副走査方向に沿った線である。
図2において、インク吐出ヘッド50aには、インクを吐出するノズル51と、ノズル51に連通してノズル51からインクが吐出される際にインクに圧力を付与する圧力室52とを含んでなる複数の圧力室ユニット54が、2次元配列(又は1次元配列)されている。すなわち、複数のノズル51が2次元配列(又は1次元配列)され、複数の圧力室52も同様に2次元配列(又は1次元配列)されている。なお、図2において、各圧力室52を上方から見た場合に、その平面形状は略正方形状をしているが、圧力室52の形状は、このような正方形状には特に限定されない。
なお、図2において、符号62は後述の圧電アクチュエータの一部を構成している一方の電極であり、他方の電極については図示が省略されている。各電極に繋がっている配線にはそれぞれ符号621及び611を付してある。これらの電極及び配線については後述する。
図3及び図4において、ノズルプレート510は、複数のノズル51が形成されている板状部材である。圧力室プレート520は、複数の圧力室52が形成されている板状部材である。圧力室プレート520を構成している隔壁66により、圧力室52同士は互いに隔離されている。
本実施形態の圧電アクチュエータ63は、ユニモルフ型であり、主として単板の圧電素子60と、圧電素子60の厚み方向において圧電素子60の両側に形成されている電極(下部電極61及び上部電極62)とによって構成されている。
本明細書において「圧電素子」は、「電歪素子」と呼ばれるものを含む。圧電素子60の材料としては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、チタン酸バリウム、リラクサ系材料がある。
電極61、62の材料としては、金属や導電性金属酸化物が用いられる。
なお、図2では、下部電極61が複数の圧電素子60に共通のものとして形成されている場合を示しているが、このように共通に形成されている例に特に限定されず、圧電素子60ごとに個別に形成されていてもよい。
圧電素子60及び電極61、62からなる圧電アクチュエータ63は、振動板56によって保持されている。具体的には、圧電アクチュエータ63の一方の面(底面)が振動板56に固着されている。すなわち、圧電アクチュエータ63は、振動板56を介して基板550(支持部材)に支持されている。
圧電素子60は、特定の方向に分極されており、電極61、62に与えられた電界に応じて歪み(「変位」ともいう)を生じる。圧電素子60は、具体的には、圧電素子60の厚み方向(「縦方向」ともいう)に分極されており、下部電極61と上部電極62との間に所定の印加電圧が与えられると、電極61、62間の縦方向の電界に応じて歪みが生じ、このような歪みにより圧力室52の容積が変化する。
以下、圧電素子60に生じる圧電素子60の厚み方向の変位を「縦方向の変位」と称し、圧電素子60の厚み方向とは直交する方向の変位を「横方向の変位」と称する。
第1実施形態のインク吐出ヘッド50aにおいて、隔壁66は、各圧電素子60の側面を覆い、圧電素子60の横方向の変位に応じて横方向に伸縮する程度の弾性を有し、圧力室52内のインクを圧電素子60の側面から遮断する遮断部材を構成している。このような隔壁66の材料としては、圧電素子60よりも剛性の低い材料を用いる。例えば、セラミックスのPZTからなる圧電素子60に対して、樹脂からなる隔壁66を用いる。
このような隔壁66により、圧電アクチュエータ63の振動板56に保持されている面を底面とした場合に、圧電アクチュエータ63の上面が圧力室52内のインクに接液されて圧電アクチュエータ63の上面の動きが圧力室52の容積の変化に寄与する一方で、圧電アクチュエータ63の側面の動きにより圧力室52の容積の変化が減少しないように圧力室52内のインクが圧電アクチュエータ63の側面から遮断される。
振動板56は、圧電素子60の歪みにより発生する応力により振動する。具体的には、圧電素子60の横方向の変位により主として縦方向に振動する。このような振動板56に圧電アクチュエータ63が保持されていることにより、圧電アクチュエータ63の上面にインクが接液する圧力室52は、その容積が効率良く変化することになる。
圧電アクチュエータ63の上面には、圧電アクチュエータ63がインクに接液しないように保護する保護膜64が形成されている。このような保護膜64は、例えば樹脂により形成されている。隔壁66と同じ樹脂を用いてもよい。
また、圧電アクチュエータ63の上部電極62は、図4に示すように絶縁層65により下部電極61から絶縁されている。
圧電アクチュエータ63の下部電極61及び上部電極62からは図2に示されるようにそれぞれ配線621、622が延在して設けられている。下部電極61は接地され、上部電極62には画像形成に用いる画像データに応じた印加電圧(駆動信号)が与えられる。なお、電極配線611、621の形状や配置は図2に示したものに特に限定されない。
また、インク吐出ヘッド50aに対して図1のインク貯蔵・装填部14から与えられるインクは、複数の圧力室52に対して供給される。複数の圧力室52に対してインクを供給するための流路は、図2〜図4において図示が省略されているが、例えば、複数の圧力室52に共通のインク流路を基板550に設け、その共通のインク流路から各圧力室52へ至る個別のインク流路を振動板56及び隔壁66に設ける。このような例とは異なる別の流路構造としてもよい。
図5及び図6は、圧電素子60への印加電圧に対応する圧電素子60の変位及び圧力室52の容積の変化について説明するための説明図である。なお、図5及び図6において、図2〜図4に示した電極(下部電極61、上部電極62)は、説明を簡略化して本発明の理解を容易にするため、図示を省略してある。
ここで、圧電素子60に印加される電圧(図2〜図4に示した電極61、62間に印加される電圧である)をVとし、圧電素子60のx,y,z軸方向にそれぞれ沿った寸法をl,m,nとし、圧電素子60のx,y,z軸方向にそれぞれ沿った変位量をa,b,cとしたとき、これらの印加電圧V、圧電素子60の寸法量l,m,n、及び、圧電素子60の変位量a,b,cの関係は下記の、数1、数2、数3で表される。
[数1]
c/n=d33×V/n
[数2]
b/m=d31×V/n
[数3]
a/l=d31×V/n
ここで、d33は、いわゆる「33」方向の圧電歪定数であり、d31は、いわゆる「31」方向の圧電歪定数である。圧電素子60の分極処理した軸は「3」で表され、この軸に直交する軸は「1」で表される。具体的には、分極処理方向(縦方向)と同じ方向に電界[V/m]を印加した場合における「縦方向」の変位割合がd33であり、「横方向」(圧電素子60の厚み方向に直交な方向)の変位割合がd31である。
c/n=d33×V/n
[数2]
b/m=d31×V/n
[数3]
a/l=d31×V/n
ここで、d33は、いわゆる「33」方向の圧電歪定数であり、d31は、いわゆる「31」方向の圧電歪定数である。圧電素子60の分極処理した軸は「3」で表され、この軸に直交する軸は「1」で表される。具体的には、分極処理方向(縦方向)と同じ方向に電界[V/m]を印加した場合における「縦方向」の変位割合がd33であり、「横方向」(圧電素子60の厚み方向に直交な方向)の変位割合がd31である。
本発明において圧電素子60は、圧力室52内に配置され、また、圧電素子60の縦方向(「33」方向)の変位による圧力室52の容積の変化と圧電素子60の横方向(「31」方向)の変位による圧力室52の容積の変化とは相反することがなくキャンセルは生じない。ここで、圧電素子60の縦方向の変位のみにより圧力室52の容積が変化するものとすると、圧電素子60に電圧Vが印加されているときの圧力室52内の流体(インク)の排除体積は、下記の数4のVol33で表される。
[数4]
Vol33=clm=d33×lmV
一方で、従来技術のようにもしも圧電素子60の上面だけでなく側面が圧力室52内のインクに接液している場合、圧電素子60の縦方向の変位による圧力室52の容積の変化が、圧電素子60の横方向の変位によりキャンセルされてしまう。したがって、従来技術において、圧電素子60に電圧Vが印加されているときの圧力室52内の流体の排除体積は、下記の数5のVol33+31で表される。
Vol33=clm=d33×lmV
一方で、従来技術のようにもしも圧電素子60の上面だけでなく側面が圧力室52内のインクに接液している場合、圧電素子60の縦方向の変位による圧力室52の容積の変化が、圧電素子60の横方向の変位によりキャンセルされてしまう。したがって、従来技術において、圧電素子60に電圧Vが印加されているときの圧力室52内の流体の排除体積は、下記の数5のVol33+31で表される。
[数5]
Vol33+31=amn+bnl+clm=(d33+2×d31)・lmV
ここで、変位特性のかなり高い圧電素子の代表的な圧電歪定数として、d33=600[pm/V]、及び、d31=―250[pm/V]、を代入すると、本発明における液体の排除体積Vol33及び従来技術における液体の排除体積Vol33+31は、数6及び数7で表される。
Vol33+31=amn+bnl+clm=(d33+2×d31)・lmV
ここで、変位特性のかなり高い圧電素子の代表的な圧電歪定数として、d33=600[pm/V]、及び、d31=―250[pm/V]、を代入すると、本発明における液体の排除体積Vol33及び従来技術における液体の排除体積Vol33+31は、数6及び数7で表される。
[数6]
Vol33=600×lmV[pm/V]
[数7]
Vol33+31=(600−2×250)×lmV=100×lmV[pm/V]
このような場合、本実施形態のインク吐出ヘッド50における排除体積Vol33は、従来技術のインク吐出ヘッドにおける排除体積Vol33+31と比較して、略6倍になる。
Vol33=600×lmV[pm/V]
[数7]
Vol33+31=(600−2×250)×lmV=100×lmV[pm/V]
このような場合、本実施形態のインク吐出ヘッド50における排除体積Vol33は、従来技術のインク吐出ヘッドにおける排除体積Vol33+31と比較して、略6倍になる。
前述の数式を図10に示す従来技術のインク吐出ヘッドに当てはめてみる。圧電素子60の上面の変位量は数1における「c」に相当するので、「c=d33×V」である。また、圧電素子60の側面の変位量は数3における「a」に相当するので、「a/l=d31×V/n」である。ここで、「l」は圧電素子60の長手方向の長さであり、「n」は圧電素子60の高さである。したがって、図10に示す従来のインク吐出ヘッドでは、数5により圧力室52の総変位体積は「(d33+2×d31)×電圧V×上面面積」である。すなわち、本実施形態のインク吐出ヘッド50と比較して、「2×d31×電圧V×上面面積」だけインクの吐出においてロスがあったことになる。図10に示す従来の液体吐出ヘッドでは、圧電素子60の縦方向の変位を利用する際、同時に圧電素子60の横方向の変位の影響により、圧力室52の容積の変化がキャンセルされていた。
本実施形態のインク吐出ヘッド50においては、図2〜図4に示すように、隔壁66によって圧力室52内のインクが圧電素子60の側面から遮断されるので、従来あった圧電素子60の縦方向の変位に基づく圧力室52の容積変化と圧電素子60の横方向の変位に基づく圧力室52の容積変化とが相反することにより圧力室52の容積変化がキャンセルされるという現象がなくなり、効率的に圧力室52の容積が変化し、したがって、インクを効率的に吐出することが可能となる。
本実施形態の液体吐出ヘッド50の製造処理の一例について、図7を用いて説明する。
図7(a)に示すように、まず、厚さ略600μmのSi(シリコン)からなる基板550を用意して、この基板550の両面に、厚さ略0.2μmのSiO2層551、552を形成する。
図7(b)に示すように、次に、基板550の一方の面に、厚さ略5μmのSiからなる振動板56を形成する。
図7(c)に示すように、次に、振動板56の上に、厚さ略0.5μmのPt(プラチナ)からなる下部電極層61を形成する。その下部電極層61の上に、エアロゾル法、スパッタ法、ゾルゲル法などにより厚さ略10μmのセラミックスのPZTからなる圧電素子膜を形成して略650℃でアニールし、その圧電素子膜の上に、スパッタ法などにより厚さ略0.5μmのPtからなる上部電極層を形成し、ドライエッチングやサウンドブラスト法によりパターニングして、圧電素子60及び上部電極62を形成する。圧電素子60は、幅が略30μmであり、高さが略20μmである。
図7(d)に示すように、次に、樹脂からなる層厚が略50μmの隔壁層660をスピンコート法などにより形成後、図7(e)に示すように、エッチングによりパターニングして、隔壁66を形成する。隔壁66の幅は略19μmであり、流路幅(後に圧力室52となる溝の幅)は略25μmにしてある。
隔壁66の材料として用いる樹脂は、圧電素子60よりも剛性が低く、圧電素子60の横方向の変位に応じて変形する程度の弾性を有するものを用いる。例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂を用いる。
なお、圧電素子60の露出部分(上部電極62の上)には、厚さ略0.5μmの樹脂からなる保護層64を形成しておく。保護層64の材料として用いる樹脂は、隔壁66の材料として用いる樹脂であってもよく、異なる樹脂を用いてもよい。
図7(f)に示すように、次に、ラミネート法などにより、厚さ略20μmのノズルプレート510を形成する。
図7(g)に示すように、次に、SOI基板550の下部のSiO2層をパターニングし、ウェットエッチングを行い、溝55を形成する。
さらに、ノズルプレート510に、ドライエッチングによりノズル51を形成すると、図2〜図4に示されるインク吐出ヘッド50aが構成される。
なお、圧力室プレート520は、圧電アクチュエータ63上にフォトファブリケーションで形成した場合に限定されず、あらかじめパターニングした圧力室プレート520を圧電アクチュエータ63の上に設置するようにしてもよい。
次に、第2実施形態のインク吐出ヘッド50bの構造について、主として図8を用いて説明する。
図8は、第2実施形態のインク吐出ヘッド50bの一部について主走査方向に沿った断面を示す断面図である。なお、図2〜図4に示す第1実施形態のインク吐出ヘッド50aと同じ構成要素には同じ符号を付してある。
第2実施形態のインク吐出ヘッド50bは、第1実施形態のインク吐出ヘッド50aとは異なり、隔壁66のうちで圧電素子60との接合部分661は、圧電素子60よりも高さが低い。一方で、保護層641は、隔壁66の接合部分661と圧電素子60との高さの差分を、覆っている。すなわち、隔壁66の接合部分661と保護層641とにより共同して圧電素子60の側面が覆われている。これにより、圧力室52内のインクが圧電素子60の側面から遮断される。
なお、保護膜641は、圧電アクチュエータ63の上部電極62を圧力室52内のインクとの接液から保護するのみでなく、圧電アクチュエータ63の上面の外周部(エッジ)と隔壁66との間にインクが入り込まないようにシールしている。
また、第2実施形態のインク吐出ヘッド50bでは、圧電素子60の側面の横方向の変位については、隔壁66が横方向に自在に変形し、圧電素子60の縦方向の変位については、隔壁66の抵抗をできる限り少なくして圧電素子60を縦方向に自在に変位させる。
図9は、第3実施形態のインク吐出ヘッド50cの一部について主走査方向に沿った断面を示す断面図である。なお、図2〜図4に示す第1実施形態のインク吐出ヘッド50aと同じ構成要素には同じ符号を付してある。
第3実施形態のインク吐出ヘッド50cは、第1実施形態のインク吐出ヘッド50aとは異なり、隔壁66と圧電素子60の側面との間に空間67が形成されており、この空間67により圧電素子60の側面の動きが圧力室52の容積の変化に寄与することなく吸収される。
保護膜64は、圧電アクチュエータ63の上部電極62を圧力室52内のインクとの接液から保護するのみでなく、圧電アクチュエータ63の上面の外周部(エッジ)と隔壁66との間にインクが入り込まないようにシールしており、これにより空間67にもインクが入り込まないことになる。
なお、以上説明した各実施形態では、保護層64、641を設けて圧電アクチュエータ63の電極62等を圧力室52内のインクとの接液から保護した場合を例に説明したが、圧電アクチュエータ63を構成する電極や圧電素子と使用されるインクとの関係で接液に対する保護が必要ない場合には、保護層64、641を設けない場合もある。ただし、図9に示す第3実施形態のように、隔壁66と圧電素子60との間に空間67を設ける場合には、圧電アクチュエータ63の接液対策とは関係なく、空間67にインクが入らないように保護する必要がある。
また、圧力室52内のインクを圧電アクチュエータ63の側面から遮断する部材(遮断部材)として、圧力室52同士を離隔する隔壁66を用いた場合を例に説明したが、本発明は、隔壁66を遮断部材として用いないで隔壁66とは別個に遮断部材を設ける場合を含む。
また、振動板56を圧電アクチュエータ63の一方の電極(共通電極)として用いてもよい。
また、圧電アクチュエータ63を保持する部材(保持部材)として振動板56を用いた場合を例に説明したが、本発明は、振動板56以外の部材が圧電アクチュエータ63を保持する場合を含む。例えば、振動板56を設けないでSIO基板に圧電アクチュエータ63を直接取り付ける場合を含む。
その他、本発明は、実施形態において説明した例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の設計変更や改良を行ってもよいのはもちろんである。
10…画像形成装置、12K、12C、12M、12Y、50…インク吐出ヘッド、51…ノズル(吐出口)、52…圧力室、56…振動板(保持部材)、60…圧電素子、61、62…電極、63…圧電アクチュエータ、64…保護膜、65…絶縁層、66…隔壁(遮断部材)、510…ノズルプレート、520…圧力室プレート、550…基板、611、621…配線
Claims (8)
- 液体を吐出する吐出口に連通する圧力室と、
前記圧力室内に配置され、所定の駆動により変形するアクチュエータと、
前記アクチュエータを保持する保持部材と、
前記アクチュエータの前記保持部材に保持されている面を底面とした場合に、前記アクチュエータの上面を前記圧力室内の液体に接液させる一方で、前記圧力室内の液体を前記アクチュエータの側面から遮断する遮断部材と、
を備えたことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記遮断部材は、前記アクチュエータの側面を覆い、前記アクチュエータの側面の動きに応じて変形することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記遮断部材と前記アクチュエータの側面との間に空間が形成されており、該空間により前記アクチュエータの側面の動きが前記圧力室の容積の変化に寄与することなく吸収されることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記遮断部材は、前記圧力室の隔壁によって構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
- 前記アクチュエータの上面の少なくとも外周部と前記隔壁との間がシールされていることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記保持部材は、前記アクチュエータの厚み方向と直交する方向の動きによって前記アクチュエータの厚み方向に振動する振動板であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備え、該液体吐出ヘッドと所定の記録媒体とを相対的に移動させて該記録媒体に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
- 液体を吐出する吐出口に連通する圧力室と、所定の駆動により変形するアクチュエータと、前記アクチュエータを保持する保持部材とを備えた液体吐出ヘッドの製造方法であって、
前記保持部材上に前記アクチュエータを配置する工程と、
前記アクチュエータの前記保持部材に保持されている面を底面とした場合に、前記アクチュエータの上面を前記圧力室内に配置させるとともに、前記圧力室内の液体を前記アクチュエータの側面から遮断する隔壁を形成する工程と、
を含むことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
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