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JP2004341289A - 平版印刷版原版 - Google Patents

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JP2004341289A
JP2004341289A JP2003138474A JP2003138474A JP2004341289A JP 2004341289 A JP2004341289 A JP 2004341289A JP 2003138474 A JP2003138474 A JP 2003138474A JP 2003138474 A JP2003138474 A JP 2003138474A JP 2004341289 A JP2004341289 A JP 2004341289A
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JP2003138474A
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English (en)
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Tadafumi Tomita
忠文 冨田
Yoshinori Hotta
吉則 堀田
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

【課題】感度が極めて高い、レーザによる画像記録が可能な画像記録層を有する平版印刷版原版の提供。
【解決手段】親水性層を表面に有する平版印刷版用支持体の前記親水性層上に、赤外線レーザによる画像記録が可能な画像記録層を設けてなる平版印刷版原版であって、前記親水性層の波長830nmの赤外線の吸収率が60%以上であり、かつ、前記画像記録層の波長830nmの赤外線の透過率が10%以上である平版印刷版原版。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版原版に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、画像形成技術の発展に伴い、細くビームを絞ったレーザ光を平版印刷版原版の版面上に走査させ、文字原稿、画像原稿等を直接版面上に形成させ、フィルム原稿を用いず直接製版することが可能となりつつある。
そのような方法に用いられる平版印刷版原版として、支持体上に、サーマルタイプの画像記録層を設けた平版印刷版原版が知られている。サーマルタイプの画像記録層としては、具体的に、画像記録層中に存在する赤外線吸収剤がその光熱変換作用を発現し露光により発熱し、その熱により画像記録層の露光部分がアルカリ可溶化しポジ画像を形成するいわゆるサーマルポジタイプの画像記録層、その熱によりラジカル発生剤や酸発生剤がラジカルや酸を発生させ、それによりラジカル重合反応や酸架橋反応が進行して不溶化しネガ型画像を形成するサーマルネガタイプの画像記録層等が知られている。
【0003】
これらのサーマルタイプの画像記録層を有する平版印刷版原版を用いる場合、レーザ露光の露光量が十分大きくないと、以下のような問題が生じる。
即ち、サーマルポジタイプの画像記録層の場合には、本来、非画像部となるべき露光部分においてアルカリ可溶化反応が十分に進行せず、ポツ状残膜と呼ばれるポツ状現像不良が発生し、印刷物の非画像部の汚れの原因となる。
一方、サーマルネガタイプの画像記録層の場合には、本来、画像部となるべき露光部分においてアルカリ不溶化反応が十分に進行せず、画像が形成されなくなる。具体的には、ポツ状白抜けと呼ばれるポツ状現像不良が発生し、印刷物の画像部の白抜けの原因となる。また、たとえ画像様に形成できたとしても印刷時に容易に画像部がはく離してしまい、耐刷性が悪くなる。
【0004】
これに対して、レーザ露光の出力を上げて画像記録層で発生する熱を増加させたり、レーザ露光の走査速度を下げて露光時間を増やしたりすれば、これらの問題は防止することができるが、レーザ露光の出力を上げると、一般に使用されている半導体レーザの場合にはレーザの寿命が低下するので、高額なレーザを頻繁に交換する必要が生じ、また、レーザ露光の走査速度を下げると、製版作業時間が増して、製版工程のコストアップにつながる。
【0005】
したがって、サーマルタイプの画像記録層を有する平版印刷版原版であって、露光量が低くても、現像不良が起こらず、耐刷性にも優れる、感度が極めて高い平版印刷版原版が求められている。
【0006】
また、レーザ露光によって発生した熱によって爆発的に膨張し、ブラシ等で機械的に掻き取ることで現像することができ、現像液による処理が不要であるアブレーションタイプの画像記録層を有する平版印刷版原版においても、上記と同様の問題があるため、感度が極めて高い平版印刷版原版が求められている。
【0007】
更に、近年、露光後、そのまま印刷機に装着して印刷することができる、いわゆる機上現像型の平版印刷版原版について、多数の研究がなされ、種々の提案がなされている。例えば、熱による微粒子またはマイクロカプセルの合体で画像を形成する平版印刷版原版が提案されている。
そのような機上現像型の平版印刷版原版においても、上記と同様の問題があるため、感度が極めて高い平版印刷版原版が求められている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明は、感度が極めて高い、レーザによる画像記録が可能な画像記録層を有する平版印刷版原版を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究の結果、支持体の画像記録層側の表面に赤外線の吸収率が高い親水性層を設け、かつ、前記画像記録層の赤外線の透過率を高くすることにより、レーザから照射された赤外線が画像記録層を透過して親水性層において効率よく吸収され、画像記録層の親水性層付近において、光熱変換作用が効率よく発現し、熱による反応が起こり、これにより露光量が低くても、現像不良が起こらず、耐刷性にも優れる、感度が極めて高い平版印刷版原版を実現することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
即ち、本発明は、以下の(1)〜(6)を提供する。
【0011】
(1)親水性層を表面に有する平版印刷版用支持体の前記親水性層上に、赤外線レーザによる画像記録が可能な画像記録層を設けてなる平版印刷版原版であって、
前記親水性層の波長830nmの赤外線の吸収率が60%以上であり、かつ、前記画像記録層の波長830nmの赤外線の透過率が10%以上である平版印刷版原版。
【0012】
(2)前記親水性層が、粒状物質と、ケイ酸塩化合物とを含有する上記(1)に記載の平版印刷版原版。
【0013】
(3)前記親水性層が、前記粒状物質として、チタン化合物および/またはケイ素化合物を含有し、前記チタン化合物および/またはケイ素化合物の固形分量が、前記親水性層の全固形分に対して、40質量%以上である上記(2)に記載の平版印刷版原版。
【0014】
(4)前記親水性層が、前記粒状物質として、金属元素を2質量%以上含有する二酸化チタンと、還元酸化チタンとの一方または両方を含有する上記(2)または(3)に記載の平版印刷版原版。
【0015】
(5)前記粒状物質が、平均粒径の異なる2種以上からなる上記(2)〜(4)のいずれかに記載の平版印刷版原版。
【0016】
(6)前記粒状物質のうち、平均粒径の最も大きい粒状物質が、酸化アルミニウムである上記(5)に記載の平版印刷版原版。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
[平版印刷版用支持体]
<親水性層>
本発明の平版印刷版原版に用いられる平版印刷版用支持体は、親水性層を表面に有する。親水性層は、現像処理、機上現像等により平版印刷版原版の画像記録層が除去されたときに、表面が露出して非画像部を形成する層である。
【0018】
本発明においては、親水性層は、波長830nmの赤外線の吸収率が60%以上である。波長830nmの赤外線の吸収率が60%以上であると、レーザから照射された赤外線を効率よく吸収し、画像記録層の親水性層付近における熱による反応に効率よく利用させることができる。親水性層の波長830nmの赤外線の吸収率は、65%以上であるのが好ましい。
【0019】
本発明において、親水性層の波長830nmの赤外線の吸収率の測定方法は、以下の通りである。
平版印刷版原版の親水性層と同様の親水性層をPET基板上に形成させ、測定用サンプルを得る。一方、ブランクサンプルとして、親水性層を形成させていないPET基板を用意する。測定用サンプルおよびブランクサンプルについて、分光光度計により、波長830nmの赤外線の拡散反射を測定し、測定用サンプルの反射率を求める。また、測定用サンプルおよびブランクサンプルについて、分光光度計により、波長830nmの赤外線の吸光度を測定し、下記式(1)より測定用サンプルの透過率を求める。
【0020】
T=10−A×100% (1)
【0021】
上記式(1)中、Tは透過率を表し、Aは吸光度を表す。
【0022】
上記で得られた反射率および透過率から、下記式(2)により、波長830nmの赤外線の吸収率を求める。
【0023】
(吸収率)=(1−(反射率)−(透過率))×100% (2)
【0024】
親水性層は、上述したように、画像記録層が除去されたときに表面が親水性であり、かつ、波長830nmの赤外線の吸収率が60%以上であれば、その構成を特に限定されないが、粒状物質と、ケイ酸塩化合物とを含有するのが好ましい。粒状物質およびケイ酸塩化合物は、いずれも、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
親水性層に用いられる粒状物質は、主として、親水性層の赤外線の吸収率を向上させる機能を果たす。
粒状物質としては、例えば、チタン化合物、ケイ素化合物が好適に挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、酸化チタン、窒化チタン(TiN)、塩化チタン、臭化チタン、フッ化チタン、ホウ化チタンが挙げられる。酸化チタンとしては、二酸化チタン(TiO)、還元酸化チタンが挙げられる。二酸化チタンとしては、例えば、アナターゼ型、ルチル型が挙げられる。二酸化チタンは、金属元素を2質量%以上含有するのが好ましい態様の一つである。金属元素としては、例えば、Fe、Cr、Ni、Sbが挙げられる。金属元素は2種以上が含有されていてもよい。還元酸化チタンとしては、例えば、TiO、Ti、Tiが挙げられる。
【0026】
本発明においては、親水性層が、金属元素を2質量%以上含有するの二酸化チタンと、還元酸化チタンとの一方または両方を含有するのが、赤外線の吸収率が高くなり、平版印刷版原版の感度が高くなる点で好ましい。
【0027】
ケイ素化合物としては、例えば、窒化ケイ素(Si)が、親水性層の赤外線の吸収率が高くなり、平版印刷版原版の感度が高くなる点で好適に挙げられる。
【0028】
本発明においては、親水性層が、粒状物質として、上記チタン化合物および/または上記ケイ素化合物を含有し、チタン化合物および/またはケイ素化合物の固形分量が、親水性層の全固形分に対して、40質量%以上であるのが、赤外線の吸収率が高くなり、平版印刷版原版の感度が高くなる点で好ましい。チタン化合物および/またはケイ素化合物の固形分量が、親水性層の全固形分に対して、50質量%以上であるのがより好ましい。
【0029】
粒状物質は、平均粒径が0.01μm以上であるのが好ましく、0.03μm以上であるのがより好ましく、また、3μm以下であるのが好ましく、0.5μm以下であるのがより好ましい。粒状物質の平均粒径が大きすぎると、親水性層の厚さを薄くすること、例えば、10μm以下とすることが困難となる。親水性層の厚さが厚すぎると、原料のコストが高くなること、親水性層を塗布し乾燥させて形成させる際の乾燥時間が長くなること等のコスト面でのデメリットが大きくなる。一方、粒状物質の平均粒径が小さすぎると、光学性能等の物理的性質、反応性等の化学的性質等が、上記範囲にある場合と異なることがあり、本発明の効果を得られないことがある。
粒状物質の平均粒径を上記範囲とするために、従来公知の粉砕処理を施してもよい。例えば、ポットミル、めのう乳鉢、振動ミル等を用いた乾式粉砕処理、ボールミル、めのう乳鉢、ペイントシェーカー等を用いた湿式粉砕処理が挙げられる。
【0030】
上述したように、粒状物質は、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよいが、平均粒径の異なる2種以上を併用するのが好ましい態様の一つである。親水性層が平均粒径の異なる2種以上の粒状物質を含有すると、親水性層の画像記録層側の表面に凹凸が形成され、画像記録層または下塗層と、支持体との密着性が優れたものとなり、平版印刷版の耐刷性が優れたものとなる。
【0031】
特に、平均粒径の最も大きい粒状物質が、酸化アルミニウム(Al)であるのが好ましい。親水性層が酸化アルミニウムと後述するケイ酸塩化合物とを含有している場合、両者の反応により形成されたアルミノシリケートによって親水性層の膜強度が強くなり、ひいては平版印刷版の耐刷性が特に優れたものとなる。
【0032】
親水性層に用いられるケイ酸塩化合物は、主として、粒状物質のバインダーとしての機能を果たす。
ケイ酸塩化合物としては、例えば、オルトケイ酸塩、メタケイ酸塩、セスキケイ酸塩、変性ケイ酸塩(例えば、ホウケイ酸塩、ホスホシリケートから誘導されたもの)が挙げられる。具体的には、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが好適に挙げられる。中でも、ケイ酸ナトリウムが好ましい。
【0033】
本発明の平版印刷版原版に用いられる平版印刷版用支持体は、後述する基板の上に、上述した親水性層を設けることにより得ることができる。
親水性層を設ける方法は、特に限定されない。例えば、上述した親水性層の各成分が分散しまたは溶解した親水性層用塗布液を、基板の上に塗布し、乾燥させる方法が挙げられる。
【0034】
親水性層を設けた後、酸処理を行うことも好ましい態様の一つである。親水性層がケイ酸塩化合物を含有すると、親水性層の表面がアルカリ性になるが、酸処理によりこれを中和することで、耐アルカリ性の低い画像記録層を用いる場合にも、画像記録層と支持体との密着性が良好となる。
【0035】
親水性層は、表面の表面粗さが0.1〜2μmであるのが好ましい。上記範囲であると、画像記録層と支持体との密着性が優れたものとなり、平版印刷版の耐刷性が優れたものになる。
親水性層の表面の表面粗さを上記範囲とする方法は、特に限定されず、例えば、上述した平均粒径の異なる2種以上を併用して親水性層を設ける方法、支持体基板に粗面化処理を施した後に親水性層を設ける方法、親水性層を設けた後に、後述する機械的粗面化処理(例えば、ブラシグレイン法)を施す方法、親水性層を設けた後に、研磨剤(例えば、アルミナ粉)を水中に懸濁させたスラリー液を高速で吹き付けることにより粗面化する方法、親水性層を設ける際に、半乾燥状態となったときに、表面に凹凸を有するロール等を接触させ、凹凸を転写させる方法が挙げられる。
【0036】
本発明において、平均粗さの測定方法は、以下の通りである。
触針式粗さ計(例えば、sufcom575、東京精密社製)で2次元粗さ測定を行い、ISO4287に規定されている平均粗さRを5回測定し、その平均値を平均粗さとする。
2次元粗さ測定の条件を以下に示す。
【0037】
<測定条件>
カットオフ値0.8mm、傾斜補正FLAT−ML、測定長3mm、縦倍率10000倍、走査速度0.3mm/sec、触針先端径2μm
【0038】
<支持体基板>
本発明の平版印刷版原版に用いられる基板としては、従来公知の金属板、樹脂板等の基板が挙げられる。
本発明に用いられる金属板としては、各種金属を用いることができる。中でも、アルミニウム、銅、ステンレス、メッキ鋼板等が好ましく、特に、防錆性に優れ、リサイクル性が高く、比重が軽いので取扱性に優れ、安価である点で、アルミニウムが最も好ましい。
【0039】
本発明に用いられるアルミニウム板は、寸度的に安定なアルミニウムを主成分とする金属であり、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。純アルミニウム板のほか、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金板を用いることもできる。
【0040】
本明細書においては、上述したアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる各種の基板をアルミニウム板と総称して用いる。前記アルミニウム合金に含まれてもよい異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等があり、合金中の異元素の含有量は10質量%以下である。
【0041】
このように本発明に用いられるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、例えば、アルミニウムハンドブック第4版(1990年、軽金属協会発行)に記載されている従来公知の素材、例えば、JIS A1050、JISA1100、JIS A1070、Mnを含むJIS A3004、国際登録合金 3103A等のAl−Mn系アルミニウム板を適宜利用することができる。また、引張強度を増す目的で、これらのアルミニウム合金に0.1質量%以上のマグネシウムを添加したAl−Mg系合金、Al−Mn−Mg系合金(JISA3005)を用いることもできる。更に、ZrやSiを含むAl−Zr系合金やAl−Si系合金を用いることもできる。更に、Al−Mg−Si系合金を用いることもできる。
【0042】
JIS1050材に関しては、本願出願人によって提案された技術が、特開昭59−153861号、特開昭61−51395号、特開昭62−146694号、特開昭60−215725号、特開昭60−215726号、特開昭60−215727号、特開昭60−216728号、特開昭61−272367号、特開昭58−11759号、特開昭58−42493号、特開昭58−221254号、特開昭62−148295号、特開平4−254545号、特開平4−165041号、特公平3−68939号、特開平3−234594号、特公平1−47545号および特開昭62−140894号の各公報に記載されている。また、特公平1−35910号公報、特公昭55−28874号公報等に記載された技術も知られている。
【0043】
JIS1070材に関しては、本願出願人によって提案された技術が、特開平7−81264号、特開平7−305133号、特開平8−49034号、特開平8−73974号、特開平8−108659号および特開平8−92679号の各公報に記載されている。
【0044】
Al−Mg系合金に関しては、本願出願人によって提案された技術が、特公昭62−5080号、特公昭63−60823号、特公平3−61753号、特開昭60−203496号、特開昭60−203497号、特公平3−11635号、特開昭61−274993号、特開昭62−23794号、特開昭63−47347号、特開昭63−47348号、特開昭63−47349号、特開昭64−1293号、特開昭63−135294号、特開昭63−87288号、特公平4−73392号、特公平7−100844号、特開昭62−149856号、特公平4−73394号、特開昭62−181191号、特公平5−76530号、特開昭63−30294号および特公平6−37116号の各公報に記載されている。また、特開平2−215599号公報、特開昭61−201747号公報等にも記載されている。
【0045】
Al−Mn系合金に関しては、本願出願人によって提案された技術が、特開昭60−230951号、特開平1−306288号および特開平2−293189号の各公報に記載されている。また、特公昭54−42284号、特公平4−19290号、特公平4−19291号、特公平4−19292号、特開昭61−35995号、特開昭64−51992号、特開平4−226394号の各公報、米国特許第5,009,722号明細書、同第5,028,276号明細書等にも記載されている。
【0046】
Al−Mn−Mg系合金に関しては、本願出願人によって提案された技術が、特開昭62−86143号公報および特開平3−222796号公報に記載されている。また、特公昭63−60824号、特開昭60−63346号、特開昭60−63347号、特開平1−293350号の各公報、欧州特許第223,737号、米国特許第4,818,300号、英国特許第1,222,777号の各明細書等にも記載されている。
【0047】
Al−Zr系合金に関しては、本願出願人によって提案された技術が、特公昭63−15978号公報および特開昭61−51395号公報に記載されている。また、特開昭63−143234号、特開昭63−143235号の各公報等にも記載されている。
【0048】
Al−Mg−Si系合金に関しては、英国特許第1,421,710号明細書等に記載されている。
【0049】
アルミニウム合金を板材とするには、例えば、下記の方法を採用することができる。まず、所定の合金成分含有量に調整したアルミニウム合金溶湯に、常法に従い、清浄化処理を行い、鋳造する。清浄化処理には、溶湯中の水素等の不要ガスを除去するために、フラックス処理、アルゴンガス、塩素ガス等を用いる脱ガス処理、セラミックチューブフィルタ、セラミックフォームフィルタ等のいわゆるリジッドメディアフィルタや、アルミナフレーク、アルミナボール等をろ材とするフィルタや、グラスクロスフィルタ等を用いるフィルタリング処理、あるいは、脱ガス処理とフィルタリング処理を組み合わせた処理が行われる。
【0050】
これらの清浄化処理は、溶湯中の非金属介在物、酸化物等の異物による欠陥や、溶湯に溶け込んだガスによる欠陥を防ぐために実施されることが好ましい。溶湯のフィルタリングに関しては、特開平6−57432号、特開平3−162530号、特開平5−140659号、特開平4−231425号、特開平4−276031号、特開平5−311261号、特開平6−136466号の各公報等に記載されている。また、溶湯の脱ガスに関しては、特開平5−51659号公報、実開平5−49148号公報等に記載されている。本願出願人も、特開平7−40017号公報において、溶湯の脱ガスに関する技術を提案している。
【0051】
ついで、上述したように清浄化処理を施された溶湯を用いて鋳造を行う。鋳造方法に関しては、DC鋳造法に代表される固体鋳型を用いる方法と、連続鋳造法に代表される駆動鋳型を用いる方法がある。
DC鋳造においては、冷却速度が0.5〜30℃/秒の範囲で凝固する。0.5℃/秒未満であると粗大な金属間化合物が多数形成されることがある。DC鋳造を行った場合、板厚300〜800mmの鋳塊を製造することができる。その鋳塊を、常法に従い、必要に応じて面削を行い、通常、表層の1〜30mm、好ましくは1〜10mmを切削する。その前後において、必要に応じて、均熱化処理を行う。均熱化処理を行う場合、金属間化合物が粗大化しないように、450〜620℃で1〜48時間の熱処理を行う。熱処理が1時間より短い場合には、均熱化処理の効果が不十分となることがある。
【0052】
その後、熱間圧延、冷間圧延を行ってアルミニウム板の圧延板とする。熱間圧延の開始温度は350〜500℃が適当である。熱間圧延の前もしくは後、またはその途中において、中間焼鈍処理を行ってもよい。中間焼鈍処理の条件は、バッチ式焼鈍炉を用いて280〜600℃で2〜20時間、好ましくは350〜500℃で2〜10時間加熱するか、連続焼鈍炉を用いて400〜600℃で6分以下、好ましくは450〜550℃で2分以下加熱するかである。連続焼鈍炉を用いて10〜200℃/秒の昇温速度で加熱して、結晶組織を細かくすることもできる。
【0053】
以上の工程によって、所定の厚さ、例えば、0.1〜0.5mmに仕上げられたアルミニウム板は、更にローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置によって平面性を改善してもよい。平面性の改善は、アルミニウム板をシート状にカットした後に行ってもよいが、生産性を向上させるためには、連続したコイルの状態で行うことが好ましい。また、所定の板幅に加工するため、スリッタラインを通してもよい。また、アルミニウム板同士の摩擦による傷の発生を防止するために、アルミニウム板の表面に薄い油膜を設けてもよい。油膜には、必要に応じて、揮発性のものや、不揮発性のものが適宜用いられる。
【0054】
一方、連続鋳造法としては、双ロール法(ハンター法)、3C法に代表される冷却ロールを用いる方法、双ベルト法(ハズレー法)、アルスイスキャスターII型に代表される冷却ベルトや冷却ブロックを用いる方法が、工業的に行われている。連続鋳造法を用いる場合には、冷却速度が100〜1000℃/秒の範囲で凝固する。連続鋳造法は、一般的には、DC鋳造法に比べて冷却速度が速いため、アルミマトリックスに対する合金成分固溶度を高くすることができるという特徴を有する。連続鋳造法に関しては、本願出願人によって提案された技術が、特開平3−79798号、特開平5−201166号、特開平5−156414号、特開平6−262203号、特開平6−122949号、特開平6−210406号、特開平6−26308号の各公報等に記載されている。
【0055】
連続鋳造を行った場合において、例えば、ハンター法等の冷却ロールを用いる方法を用いると、板厚1〜10mmの鋳造板を直接、連続鋳造することができ、熱間圧延の工程を省略することができるというメリットが得られる。また、ハズレー法等の冷却ベルトを用いる方法を用いると、板厚10〜50mmの鋳造板を鋳造することができ、一般的に、鋳造直後に熱間圧延ロールを配置し連続的に圧延することで、板厚1〜10mmの連続鋳造圧延板が得られる。
【0056】
これらの連続鋳造圧延板は、DC鋳造について説明したのと同様に、冷間圧延、中間焼鈍、平面性の改善、スリット等の工程を経て、所定の厚さ、例えば、0.1〜0.5mmの板厚に仕上げられる。連続鋳造法を用いた場合の中間焼鈍条件および冷間圧延条件については、本願出願人によって提案された技術が、特開平6−220593号、特開平6−210308号、特開平7−54111号、特開平8−92709号の各公報等に記載されている。
【0057】
このようにして製造されるアルミニウム板には、以下に述べる種々の特性が望まれる。
アルミニウム板の強度は、平版印刷版用支持体として必要な腰の強さを得るため、0.2%耐力が140MPa以上であるのが好ましい。また、バーニング処理を行った場合にもある程度の腰の強さを得るためには、270℃で3〜10分間加熱処理した後の0.2%耐力が80MPa以上であるのが好ましく、100MPa以上であるのがより好ましい。特に、アルミニウム板に腰の強さを求める場合は、MgやMnを添加したアルミニウム材料を採用することができるが、腰を強くすると印刷機の版胴へのフィットしやすさが劣ってくるため、用途に応じて、材質および微量成分の添加量が適宜選択される。これらに関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平7−126820号公報、特開昭62−140894号公報等に記載されている。
【0058】
アルミニウム板の結晶組織は、化学的粗面化処理や電気化学的粗面化処理を行った場合、アルミニウム板の表面の結晶組織が面質不良の発生の原因となることがあるので、表面においてあまり粗大でないことが好ましい。アルミニウム板の表面の結晶組織は、幅が200μm以下であるのが好ましく、100μm以下であるのがより好ましく、50μm以下であるのが更に好ましく、また、結晶組織の長さが5000μm以下であるのが好ましく、1000μm以下であるのがより好ましく、500μm以下であるのが更に好ましい。これらに関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平6−218495号、特開平7−39906号、特開平7−124609号の各公報等に記載されている。
【0059】
アルミニウム板の合金成分分布は、化学的粗面化処理や電気化学的粗面化処理を行った場合、アルミニウム板の表面の合金成分の不均一な分布に起因して面質不良が発生することがあるので、表面においてあまり不均一でないことが好ましい。これらに関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平6−48058号、特開平5−301478号、特開平7−132689号の各公報等に記載されている。
【0060】
アルミニウム板の金属間化合物は、その金属間化合物のサイズや密度が、化学的粗面化処理や電気化学的粗面化処理に影響を与える場合がある。これらに関して、本願出願人によって提案された技術が、特開平7−138687号、特開平4−254545号の各公報等に記載されている。
【0061】
本発明においては、上記に示されるようなアルミニウム板をその最終圧延工程において、積層圧延、転写等により凹凸を付けて用いることもできる。
【0062】
本発明に用いられるアルミニウム板は、連続した帯状のシート材または板材である。即ち、アルミニウムウェブであってもよく、製品として出荷される平版印刷版原版に対応する大きさ等に裁断された枚葉状シートであってもよい。
アルミニウム板の表面のキズは平版印刷版用支持体に加工した場合に欠陥となる可能性があるため、平版印刷版用支持体とする表面処理工程の前の段階でのキズの発生は可能な限り抑制する必要がある。そのためには安定した形態で運搬時に傷付きにくい荷姿であることが好ましい。
アルミニウムウェブの場合、アルミニウムの荷姿としては、例えば、鉄製パレットにハードボードとフェルトとを敷き、製品両端に段ボールドーナツ板を当て、ポリチュ−ブで全体を包み、コイル内径部に木製ドーナツを挿入し、コイル外周部にフェルトを当て、帯鉄で絞め、その外周部に表示を行う。また、包装材としては、ポリエチレンフィルム、緩衝材としては、ニードルフェルト、ハードボードを用いることができる。この他にもいろいろな形態があるが、安定して、キズも付かず運送等が可能であればこの方法に限るものではない。
【0063】
本発明に用いられるアルミニウム板の厚みは、0.1〜0.6mm程度であり、0.15〜0.4mmであるのが好ましく、0.2〜0.3mmであるのがより好ましい。この厚みは、印刷機の大きさ、印刷版の大きさ、ユーザーの希望等により適宜変更することができる。
【0064】
本発明に用いられる樹脂板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、セルロースアセテート等のフレキシブルな樹脂板や、一般的にエンジニアリングプラスチックスと呼ばれる、機械的強度の強い樹脂板であって表面を親水化処理したものが挙げられる。
機械的強度の強い樹脂板としては、例えば、「エンジニアリングプラスチックス」(改訂第3版、昭和60年、化学工業日報社)に記載されているものが挙げられる。具体的には、例えば、セルロースアセテートブチレート、セルローストリアセテート、セルローストリブチレート、ポリアセタール、ポリアミド(例えば、脂肪族ポリアミド、アラミド等の芳香族ポリアミド)、ポリアミドイミド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート、ポリサルフォン(PSF)、ポリスチレン、ポリセルローストリアセテート、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリベンゾオキサゾール、非晶ポリアクリレート(PAR)が挙げられる。
【0065】
また、強化材を充填した強化樹脂板を用いることもできる。
強化樹脂板に用いられる強化材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、高剛性有機繊維が挙げられる。
強化樹脂板に用いられる樹脂板としては、上述した機械的強度の強い樹脂板のほか、PET、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂等が挙げられる。
詳しくは、例えば、「エンジニアリングプラスチックス」(改訂第3版、昭和60年、化学工業日報社)、「エンプラ93」(1993年、化学工業日報社)、「ポリマーフィルムと機能性膜」(1991年、技報堂出版社)、「プラスチックハンドブック」(1980年、(株)工業調査会)、「プラスチックフィルム−加工と応用−第2版」(1995年、技報堂出版社)に記載されている。
【0066】
<表面処理>
本発明の平版印刷版原版に用いられる平版印刷版用支持体は、上記基板に表面処理を施して用いるのが好ましい。平版印刷版用支持体の製造工程は、特に限定されない。以下、基板の例としてアルミニウム板を用いて説明する。
【0067】
表面処理の代表的方法として、
アルミニウム板に機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および電解液を用いた電気化学的粗面化処理を順次施す方法、
アルミニウム板に機械的粗面化処理、アルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および異なる電解液を用いた電気化学的粗面化処理を複数回施す方法、
アルミニウム板にアルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および電解液を用いた電気化学的粗面化処理を順次施す方法、
アルミニウム板にアルカリエッチング処理、酸によるデスマット処理および異なる電解液を用いた電気化学的粗面化処理を複数回施す方法
が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。これらの方法において、前記電気化学的粗面化処理の後、更に、アルカリエッチング処理および酸によるデスマット処理を施してもよい。
以下、表面処理の各工程について、詳細に説明する。
【0068】
<機械的粗面化処理>
機械的粗面化処理は、電気化学的粗面化処理と比較してより安価に、平均波長5〜100μmの凹凸のある表面を形成することができるため、粗面化処理の手段として有効である。
機械的粗面化処理方法としては、例えば、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウム表面を砂目立てするボールグレイン法、特開平6−135175号公報および特公昭50−40047号公報に記載されているナイロンブラシと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法を用いることができる。
また、凹凸面をアルミニウム板に圧接する転写方法を用いることもできる。即ち、特開昭55−74898号、特開昭60−36195号、特開昭60−203496号の各公報に記載されている方法のほか、転写を数回行うことを特徴とする特開平6−55871号公報、表面が弾性であることを特徴とした特開平6−24168号公報に記載されている方法も適用可能である。
【0069】
また、放電加工、ショットブラスト、レーザ、プラズマエッチング等を用いて、微細な凹凸を食刻した転写ロールを用いて繰り返し転写を行う方法や、微細粒子を塗布した凹凸のある面を、アルミニウム板に接面させ、その上より複数回繰り返し圧力を加え、アルミニウム板に微細粒子の平均直径に相当する凹凸パターンを複数回繰り返し転写させる方法を用いることもできる。転写ロールへ微細な凹凸を付与する方法としては、特開平3−8635号、特開平3−66404号、特開昭63−65017号の各公報等に記載されている公知の方法を用いることができる。また、ロール表面にダイス、バイト、レーザ等を使って2方向から微細な溝を切り、表面に角形の凹凸をつけてもよい。このロール表面には、公知のエッチング処理等を行って、形成させた角形の凹凸が丸みを帯びるような処理を行ってもよい。
また、表面の硬度を上げるために、焼き入れ、ハードクロムメッキ等を行ってもよい。
そのほかにも、機械的粗面化処理としては、特開昭61−162351号公報、特開昭63−104889号公報等に記載されている方法を用いることもできる。
本発明においては、生産性等を考慮して上述したそれぞれの方法を併用することもできる。これらの機械的粗面化処理は、電気化学的粗面化処理の前に行うのが好ましい。
【0070】
以下、機械的粗面化処理として好適に用いられるブラシグレイン法について説明する。
ブラシグレイン法は、一般に、円柱状の胴の表面に、ナイロン(商標名)、プロピレン、塩化ビニル樹脂等の合成樹脂からなる合成樹脂毛等のブラシ毛を多数植設したローラ状ブラシを用い、回転するローラ状ブラシに研磨剤を含有するスラリー液を噴きかけながら、上記アルミニウム板の表面の一方または両方を擦ることにより行う。上記ローラ状ブラシおよびスラリー液の代わりに、表面に研磨層を設けたローラである研磨ローラを用いることもできる。
ローラ状ブラシを用いる場合、曲げ弾性率が好ましくは10,000〜40,000kg/cm、より好ましくは15,000〜35,000kg/cmであり、かつ、毛腰の強さが好ましくは500g以下、より好ましくは400g以下であるブラシ毛を用いる。ブラシ毛の直径は、一般的には、0.2〜0.9mmである。ブラシ毛の長さは、ローラ状ブラシの外径および胴の直径に応じて適宜決定することができるが、一般的には、10〜100mmである。
【0071】
研磨剤は公知の物を用いることができる。例えば、パミストン、ケイ砂、水酸化アルミニウム、アルミナ粉、炭化ケイ素、窒化ケイ素、火山灰、カーボランダム、金剛砂等の研磨剤;これらの混合物を用いることができる。中でも、パミストン、ケイ砂が好ましい。特に、ケイ砂は、パミストンに比べて硬く、壊れにくいので粗面化効率に優れる点で好ましい。
研磨剤の平均粒径は、粗面化効率に優れ、かつ、砂目立てピッチを狭くすることができる点で、3〜50μmであるのが好ましく、6〜45μmであるのがより好ましい。
研磨剤は、例えば、水中に懸濁させて、スラリー液として用いる。スラリー液には、研磨剤のほかに、増粘剤、分散剤(例えば、界面活性剤)、防腐剤等を含有させることができる。スラリー液の比重は0.5〜2であるのが好ましい。
【0072】
機械的粗面化処理に適した装置としては、例えば、特公昭50−40047号公報に記載された装置を挙げることができる。
【0073】
<電気化学的粗面化処理>
電気化学的粗面化処理には、通常の交流を用いた電気化学的粗面化処理に用いられる電解液を用いることができる。中でも、塩酸または硝酸を主体とする電解液を用いることで、本発明に特徴的な凹凸構造を表面に形成させることができる。
本発明における電解粗面化処理としては、陰極電解処理の前後に酸性溶液中での交番波形電流による第1および第2の電解処理を行うことが好ましい。陰極電解処理により、アルミニウム板の表面で水素ガスが発生してスマットが生成することにより表面状態が均一化され、その後の交番波形電流による電解処理の際に均一な電解粗面化が可能となる。
この電解粗面化処理は、例えば、特公昭48−28123号公報および英国特許第896,563号明細書に記載されている電気化学的グレイン法(電解グレイン法)に従うことができる。この電解グレイン法は、正弦波形の交流電流を用いるものであるが、特開昭52−58602号公報に記載されているような特殊な波形を用いて行ってもよい。また、特開平3−79799号公報に記載されている波形を用いることもできる。また、特開昭55−158298号、特開昭56−28898号、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭54−85802号、特開昭60−190392号、特開昭58−120531号、特開昭63−176187号、特開平1−5889号、特開平1−280590号、特開平1−118489号、特開平1−148592号、特開平1−178496号、特開平1−188315号、特開平1−154797号、特開平2−235794号、特開平3−260100号、特開平3−253600号、特開平4−72079号、特開平4−72098号、特開平3−267400号、特開平1−141094の各公報に記載されている方法も適用できる。また、前述のほかに、電解コンデンサーの製造方法として提案されている特殊な周波数の交番電流を用いて電解することも可能である。例えば、米国特許第4,276,129号明細書および同第4,676,879号明細書に記載されている。
【0074】
電解槽および電源については、種々提案されているが、米国特許第4203637号明細書、特開昭56−123400号、特開昭57−59770号、特開昭53−12738号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32823号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特開昭62−127500号、特開平1−52100号、特開平1−52098号、特開昭60−67700号、特開平1−230800号、特開平3−257199号の各公報等に記載されているものを用いることができる。また、特開昭52−58602号、特開昭52−152302号、特開昭53−12738号、特開昭53−12739号、特開昭53−32821号、特開昭53−32822号、特開昭53−32833号、特開昭53−32824号、特開昭53−32825号、特開昭54−85802号、特開昭55−122896号、特開昭55−132884号、特公昭48−28123号、特公昭51−7081号、特開昭52−133838号、特開昭52−133840号号、特開昭52−133844号、特開昭52−133845号、特開昭53−149135号、特開昭54−146234号の各公報等に記載されているもの等も用いることができる。
【0075】
電解液である酸性溶液としては、硝酸、塩酸のほかに、米国特許第4,671,859号、同第4,661,219号、同第4,618,405号、同第4,600,482号、同第4,566,960号、同第4,566,958号、同第4,566,959号、同第4,416,972号、同第4,374,710号、同第4,336,113号、同第4,184,932号の各明細書等に記載されている電解液を用いることもできる。
【0076】
酸性溶液の濃度は0.5〜2.5質量%であるのが好ましいが、上記のスマット除去処理での使用を考慮すると、0.7〜2.0質量%であるのが特に好ましい。また、液温は20〜80℃であるのが好ましく、30〜60℃であるのがより好ましい。
【0077】
塩酸または硝酸を主体とする水溶液は、濃度1〜100g/Lの塩酸または硝酸の水溶液に、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸イオンを有する硝酸化合物または塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム等の塩酸イオンを有する塩酸化合物の少なくとも一つを1g/Lから飽和するまでの範囲で添加して使用することができる。また、塩酸または硝酸を主体とする水溶液には、鉄、銅、マンガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、シリカ等のアルミニウム合金中に含まれる金属が溶解していてもよい。好ましくは、塩酸または硝酸の濃度0.5〜2質量%の水溶液にアルミニウムイオンが3〜50g/Lとなるように、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等を添加した液を用いることが好ましい。
【0078】
更に、Cuと錯体を形成しうる化合物を添加して使用することによりCuを多く含有するアルミニウム板に対しても均一な砂目立てが可能になる。Cuと錯体を形成しうる化合物としては、例えば、アンモニア;メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、シクロヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)等のアンモニアの水素原子を炭化水素基(脂肪族、芳香族等)等で置換して得られるアミン類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸塩類が挙げられる。また、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム等のアンモニウム塩も挙げられる。
温度は10〜60℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。
【0079】
電気化学的粗面化処理に用いられる交流電源波は、特に限定されず、サイン波、矩形波、台形波、三角波等が用いられるが、矩形波または台形波が好ましく、台形波が特に好ましい。台形波とは、図1に示したものをいう。この台形波において電流がゼロからピークに達するまでの時間(TP)は1〜3msecであるのが好ましい。1msec未満であると、アルミニウム板の進行方向と垂直に発生するチャタマークという処理ムラが発生しやすい。TPが3msecを超えると、特に硝酸電解液を用いる場合、電解処理で自然発生的に増加するアンモニウムイオン等に代表される電解液中の微量成分の影響を受けやすくなり、均一な砂目立てが行われにくくなる。その結果、平版印刷版としたときの耐汚れ性が低下する傾向にある。
【0080】
台形波交流のduty比は1:2〜2:1のものが使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記載されているように、アルミニウムにコンダクタロールを用いない間接給電方式においてはduty比が1:1のものが好ましい。
台形波交流の周波数は0.1〜120Hzのものを用いることが可能であるが、50〜70Hzが設備上好ましい。50Hzよりも低いと、主極のカーボン電極が溶解しやすくなり、また、70Hzよりも高いと、電源回路上のインダクタンス成分の影響を受けやすくなり、電源コストが高くなる。ただし、周波数を100〜300Hzとすることにより、小波構造の開口径の標準偏差を0.2以下とすることもできる。
【0081】
電解槽には1個以上の交流電源を接続することができる。主極に対向するアルミニウム板に加わる交流の陽極と陰極との電流比をコントロールし、均一な砂目立てを行うことと、主極のカーボンを溶解することとを目的として、図2に示したように、補助陽極を設置し、交流電流の一部を分流させることが好ましい。図2において、11はアルミニウム板であり、12はラジアルドラムローラであり、13aおよび13bは主極であり、14は電解処理液であり、15は電解液供給口であり、16はスリットであり、17は電解液通路であり、18は補助陽極であり、19aおよび19bはサイリスタであり、20は交流電源であり、40は主電解槽であり、50は補助陽極槽である。整流素子またはスイッチング素子を介して電流値の一部を二つの主電極とは別の槽に設けた補助陽極に直流電流として分流させることにより、主極に対向するアルミニウム板上で作用するアノード反応にあずかる電流値と、カソード反応にあずかる電流値との比を制御することができる。主極に対向するアルミニウム板上で、陽極反応と陰極反応とにあずかる電気量の比(陰極時電気量/陽極時電気量)は、0.3〜0.95であるのが好ましい。
【0082】
電解槽は、縦型、フラット型、ラジアル型等の公知の表面処理に用いる電解槽が使用可能であるが、特開平5−195300号公報に記載されているようなラジアル型電解槽が特に好ましい。電解槽内を通過する電解液は、アルミニウムウェブの進行方向に対してパラレルであってもカウンターであってもよい。
【0083】
(硝酸電解)
硝酸を主体とする電解液を用いた電気化学的粗面化処理により、平均開口径0.5〜5μmのピットを形成することができる。ただし、電気量を比較的多くしたときは、電解反応が集中し、5μmを超えるハニカムピットも生成する。
このような砂目を得るためには、電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、1〜1000C/dmであるのが好ましく、50〜300C/dmであるのがより好ましい。この際の電流密度は20〜100A/dmであるのが好ましい。
【0084】
(塩酸電解)
塩酸はそれ自身のアルミニウム溶解力が強いため、わずかな電解を加えるだけで表面に微細な凹凸を形成させることが可能である。この微細な凹凸は、平均開口径が0.01〜0.2μmであり、アルミニウム板の表面の全面に均一に生成する。このような砂目を得るためには電解反応が終了した時点でのアルミニウム板のアノード反応にあずかる電気量の総和が、1〜100C/dmであるのが好ましく、20〜70C/dmであるのがより好ましい。この際の電流密度は20〜50A/dmであるのが好ましい。
【0085】
このような塩酸を主体とする電解液での電気化学的粗面化処理では、アノード反応にあずかる電気量の総和を400〜1000C/dmと大きくすることでクレーター状の大きなうねりを同時に形成することも可能であるが、この場合は平均開口径10〜30μmのクレーター状のうねりに重畳して平均開口径0.01〜0.4μmの微細な凹凸が全面に生成する。
【0086】
本発明においては、第1の電解粗面化処理として、上述した硝酸を主体とする電解液を用いた電解粗面化処理(硝酸電解)を行い、第2の電解粗面化処理として、上述した塩酸を主体とする電解液を用いた電解粗面化処理(塩酸電解)を行うのが好ましい。
【0087】
上記の硝酸、塩酸等の電解液中で行われる第1および第2の電解粗面化処理の間に、アルミニウム板は陰極電解処理を行うことが好ましい。この陰極電解処理により、アルミニウム板表面にスマットが生成するとともに、水素ガスが発生してより均一な電解粗面化処理が可能となる。この陰極電解処理は、酸性溶液中で陰極電気量が好ましくは3〜80C/dm、より好ましくは5〜30C/dmで行われる。陰極電気量が3C/dm未満であると、スマット付着量が不足する場合があり、また、80C/dmを超えると、スマット付着量が過剰となる場合があり、いずれも好ましくない。また、電解液は上記第1および第2の電解粗面化処理で使用する溶液と同一であっても異なっていてもよい。
【0088】
また、直流を用いた電気化学的粗面化処理には、通常の直流を用いた電気化学的粗面化処理に用いられる電解液を用いることができる。具体的には、上記交流を用いた電気化学的粗面化処理に用いられる電解液と同様のものを用いることができる。
中でも、濃度3〜50g/L、好ましくは5〜20g/Lの塩酸水溶液または硫酸水溶液が好ましい。
ここで、電解液は、酢酸、アンモニア等の異種イオンは含まないようにするのが好ましい。アルミニウムイオンは0.1〜8質量%であるのが好ましい。
温度は20〜60℃が好ましい。
【0089】
電気化学的粗面化処理に用いられる直流電源波は、極性の変化しない電流であれば特に限定されず、くし形波、連続直流、商用交流をサイリスタで全波整流したもの等が用いられるが、平滑化された連続直流が好ましい。
電流密度は20〜200A/dmであるのが好ましい。処理時間は5〜90秒であるのが好ましい。
直流を用いた電気化学的粗面化処理は、回分法、半連続法および連続法のいずれでも行うことができるが、連続法で行うのが好ましい。
【0090】
直流を用いた電気化学的粗面化処理に用いられる装置は、交互に配置された陽極と陰極との間に直流電圧を印加し、アルミニウム板を該陽極および該陰極と、間隔を保って通過させることができるものであれば、特に限定されない。
例えば、図4に示される一つの電解槽を有する装置が挙げられる。図4において、アルミニウム板61は、電解液64で満たされた電解槽65を通過する。電解槽65に交互に配置された陽極62と陰極63との間には、直流電圧が印加されている。電解槽65においては、電解液64が供液ノズル66から供給され、排液管67を通じて排出される。
また、図5に示される陽極62の槽と陰極63の槽とが別個の電解槽である装置も挙げられる。図5において、アルミニウム板61は、電解液64で満たされた複数の電解槽65を通過する。各電解槽65には、陽極62または陰極63が、交互になるように配置されている。交互に配置された陽極62と陰極63との間には、直流電圧が印加されている。各電解槽65においては、電解液64が供液管68から供給され、排液管67を通じて排出される。
【0091】
電極は、特に限定されず、電気化学的粗面化処理に用いられる従来公知の電極を用いることができる。
陽極としては、例えば、チタン、タンタル、ニオブ等のバルブ金属に白金族系の金属をめっきし、またはクラッドしたもの;バルブ金属に白金族系の金属の酸化物を塗布し、または焼結させたもの;アルミニウム;ステンレスが挙げられる。中でも、バルブ金属に白金をクラッドしたものが好ましい。電極の内部に水を通して水冷化するなどの方法により、陽極の寿命を更に長くすることができる。
陰極としては、例えば、ブールベイダイヤグラムから、電極電位を負としたときに溶解しない金属等を選択して用いることができる。中でも、カーボンが好ましい。
【0092】
電極の配列は、波状構造に応じて、適宜選択することができる。また、陽極と陰極とのアルミニウム板の進行方向の長さを変えたり、アルミニウム板の通過速度を変えたり、電解液の流速、液温、液組成、電流密度等を帰ることにより、波状構造を調整することができる。また、図5に示す装置のように、陽極の槽と陰極の槽とを別個の電解槽とした場合には、各処理槽の電解条件を変えることもできる。
【0093】
<アルカリエッチング処理>
アルカリエッチング処理は、上記アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させることにより、表層を溶解する処理である。
【0094】
電解粗面化処理より前に行われるアルカリエッチング処理は、機械的粗面化処理を行っていない場合には、前記アルミニウム板(圧延アルミ)の表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等を除去することを目的として、また、既に機械的粗面化処理を行っている場合には、機械的粗面化処理によって生成した凹凸のエッジ部分を溶解させ、急峻な凹凸を滑らかなうねりを持つ表面に変えることを目的として行われる。
【0095】
アルカリエッチング処理の前に機械的粗面化処理を行わない場合、エッチング量は、0.1〜10g/mであるのが好ましく、1〜5g/mであるのがより好ましい。エッチング量が0.1g/m未満であると、表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等が残存する場合があるため、後段の電解粗面化処理において均一なピット生成ができずムラが発生してしまう場合がある。一方、エッチング量が1〜10g/mであると、表面の圧延油、汚れ、自然酸化皮膜等の除去が十分に行われる。上記範囲を超えるエッチング量とするのは、経済的に不利となる。
【0096】
アルカリエッチング処理の前に機械的粗面化処理を行う場合、エッチング量は、3〜20g/mであるのが好ましく、5〜15g/mであるのがより好ましい。エッチング量が3g/m未満であると、機械的粗面化処理等によって形成された凹凸を平滑化できない場合があり、後段の電解処理において均一なピット形成ができない場合がある。また、印刷時に汚れが劣化する場合がある。一方、エッチング量が20g/mを超えると、凹凸構造が消滅してしまう場合がある。
【0097】
電解粗面化処理の直後に行うアルカリエッチング処理は、酸性電解液中で生成したスマットを溶解させることと、電解粗面化処理により形成されたピットのエッジ部分を溶解させることを目的として行われる。
電解粗面化処理で形成されるピットは電解液の種類によって異なるためにその最適なエッチング量も異なるが、電解粗面化処理後に行うアルカリエッチング処理のエッチング量は、0.1〜5g/mであるのが好ましい。硝酸電解液を用いた場合、塩酸電解液を用いた場合よりもエッチング量は多めに設定する必要がある。
電解粗面化処理が複数回行われる場合には、それぞれの処理後に、必要に応じてアルカリエッチング処理を行うことができる。
【0098】
アルカリ溶液に用いられるアルカリとしては、例えば、カセイアルカリ、アルカリ金属塩が挙げられる。具体的には、カセイアルカリとしては、例えば、カセイソーダ、カセイカリが挙げられる。また、アルカリ金属塩としては、例えば、タケイ酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、メタケイ酸カリ、ケイ酸カリ等のアルカリ金属ケイ酸塩;炭酸ソーダ、炭酸カリ等のアルカリ金属炭酸塩;アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリ等のアルカリ金属アルミン酸塩;グルコン酸ソーダ、グルコン酸カリ等のアルカリ金属アルドン酸塩;第二リン酸ソーダ、第二リン酸カリ、第三リン酸ソーダ、第三リン酸カリ等のアルカリ金属リン酸水素塩が挙げられる。中でも、エッチング速度が速い点および安価である点から、カセイアルカリの溶液、および、カセイアルカリとアルカリ金属アルミン酸塩との両者を含有する溶液が好ましい。特に、カセイソーダの水溶液が好ましい。
【0099】
アルカリ溶液の濃度は、エッチング量に応じて決定することができるが、1〜50質量%であるのが好ましく、10〜35質量%であるのがより好ましい。アルカリ溶液中にアルミニウムイオンが溶解している場合には、アルミニウムイオンの濃度は、0.01〜10質量%であるのが好ましく、3〜8質量%であるのがより好ましい。アルカリ溶液の温度は20〜90℃であるのが好ましい。処理時間は1〜120秒であるのが好ましい。
【0100】
アルミニウム板をアルカリ溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム板をアルカリ溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム板をアルカリ溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、アルカリ溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が挙げられる。
【0101】
<デスマット処理>
電解粗面化処理またはアルカリエッチング処理を行った後、表面に残留する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い(デスマット処理)が行われる。用いられる酸としては、例えば、硝酸、硫酸、リン酸、クロム酸、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸が挙げられる。
上記デスマット処理は、例えば、上記アルミニウム板を塩酸、硝酸、硫酸等の濃度0.5〜30質量%の酸性溶液(アルミニウムイオン0.01〜5質量%を含有する。)に接触させることにより行う。アルミニウム板を酸性溶液に接触させる方法としては、例えば、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中を通過させる方法、アルミニウム板を酸性溶液を入れた槽の中に浸せきさせる方法、酸性溶液をアルミニウム板の表面に噴きかける方法が挙げられる。
デスマット処理においては、酸性溶液として、上述した電解粗面化処理において排出される硝酸を主体とする水溶液もしくは塩酸を主体とする水溶液の廃液、または、後述する陽極酸化処理において排出される硫酸を主体とする水溶液の廃液を用いることができる。
デスマット処理の液温は、25〜90℃であるのが好ましい。また、処理時間は、1〜180秒であるのが好ましい。デスマット処理に用いられる酸性溶液には、アルミニウムおよびアルミニウム合金成分が溶け込んでいてもよい。
【0102】
<陽極酸化処理>
以上のように処理されたアルミニウム板には、更に、陽極酸化処理が施される。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている方法で行うことができる。この場合、例えば、硫酸濃度50〜300g/Lで、アルミニウム濃度5質量%以下の溶液中で、アルミニウム板を陽極として通電して陽極酸化皮膜を形成させることができる。陽極酸化処理に用いられる溶液としては、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0103】
この際、少なくともアルミニウム板、電極、水道水、地下水等に通常含まれる成分が電解液中に含まれていても構わない。更には、第2、第3の成分が添加されていても構わない。ここでいう第2、第3の成分としては、例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオン;アンモニウムイオン等の陽イオン;硝酸イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、リン酸イオン、フッ化物イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオン等の陰イオンが挙げられ、0〜10000ppm程度の濃度で含まれていてもよい。
【0104】
陽極酸化処理の条件は、使用される電解液によって種々変化するので一概に決定され得ないが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm、電圧1〜100V、電解時間15秒〜50分であるのが適当であり、所望の陽極酸化皮膜量となるように調整される。
【0105】
また、特開昭54−81133号、特開昭57−47894号、特開昭57−51289号、特開昭57−51290号、特開昭57−54300号、特開昭57−136596号、特開昭58−107498号、特開昭60−200256号、特開昭62−136596号、特開昭63−176494号、特開平4−176897号、特開平4−280997号、特開平6−207299号、特開平5−24377号、特開平5−32083号、特開平5−125597号、特開平5−195291号の各公報等に記載されている方法を使用することもできる。
【0106】
中でも、特開昭54−12853号公報および特開昭48−45303号公報に記載されているように、電解液として硫酸溶液を用いるのが好ましい。電解液中の硫酸濃度は、10〜300g/L(1〜30質量%)であるのが好ましく、また、アルミニウムイオン濃度は、1〜25g/L(0.1〜2.5質量%)であるのが好ましく、2〜10g/L(0.2〜1質量%)であるのがより好ましい。このような電解液は、例えば、硫酸濃度が50〜200g/Lである希硫酸に硫酸アルミニウム等を添加することにより調製することができる。
【0107】
硫酸を含有する電解液中で陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板と対極との間に直流を印加してもよく、交流を印加してもよい。
アルミニウム板に直流を印加する場合においては、電流密度は、1〜60A/dmであるのが好ましく、5〜40A/dmであるのがより好ましい。
連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板の一部に電流が集中していわゆる「焼け」が生じないように、陽極酸化処理の開始当初は、5〜10A/mの低電流密度で電流を流し、陽極酸化処理が進行するにつれ、30〜50A/dmまたはそれ以上に電流密度を増加させるのが好ましい。
連続的に陽極酸化処理を行う場合には、アルミニウム板に、電解液を介して給電する液給電方式により行うのが好ましい。
このような条件で陽極酸化処理を行うことによりポア(マイクロポア)と呼ばれる孔を多数有する多孔質皮膜が得られるが、通常、その平均ポア径は5〜50nm程度であり、平均ポア密度は300〜800個/μm程度である。
【0108】
陽極酸化皮膜の量は1〜5g/mであるのが好ましい。1g/m未満であると版に傷が入りやすくなり、一方、5g/mを超えると製造に多大な電力が必要となり、経済的に不利となる。陽極酸化皮膜の量は、1.5〜4g/mであるのがより好ましい。また、アルミニウム板の中央部と縁部近傍との間の陽極酸化皮膜量の差が1g/m以下になるように行うのが好ましい。
【0109】
陽極酸化処理に用いられる電解装置としては、特開昭48−26638号、特開昭47−18739号、特公昭58−24517号の各公報等に記載されているものを用いることができる。
中でも、図3に示す装置が好適に用いられる。図3は、アルミニウム板の表面を陽極酸化処理する装置の一例を示す概略図である。陽極酸化処理装置410において、アルミニウム板416は、図3中矢印で示すように搬送される。電解液418が貯溜された給電槽412にてアルミニウム板416は給電電極420によって(+)に荷電される。そして、アルミニウム板416は、給電槽412においてローラ422によって上方に搬送され、ニップローラ424によって下方に方向変換された後、電解液426が貯溜された電解処理槽414に向けて搬送され、ローラ428によって水平方向に方向転換される。ついで、アルミニウム板416は、電解電極430によって(−)に荷電されることにより、その表面に陽極酸化皮膜が形成され、電解処理槽414を出たアルミニウム板416は後工程に搬送される。前記陽極酸化処理装置410において、ローラ422、ニップローラ424およびローラ428によって方向転換手段が構成され、アルミニウム板416は、給電槽412と電解処理槽414との槽間部において、前記ローラ422、424および428により、山型および逆U字型に搬送される。給電電極420と電解電極430とは、直流電源434に接続されている。
【0110】
図3の陽極酸化処理装置410の特徴は、給電槽412と電解処理槽414とを1枚の槽壁432で仕切り、アルミニウム板416を槽間部において山型および逆U字型に搬送したことにある。これによって、槽間部におけるアルミニウム板416の長さを最短にすることができる。よって、陽極酸化処理装置410の全体長を短くできるので、設備費を低減することがあできる。また、アルミニウム板416を山型および逆U字型に搬送することによって、各槽412および414の槽壁にアルミニウム板416を通過させるための開口部を形成する必要がなくなる。よって、各槽412および414内の液面高さを必要レベルに維持するのに要する送液量を抑えることができるので、稼働費を低減することができる。
【0111】
<封孔処理>
本発明においては、必要に応じて陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアを封じる封孔処理を行ってもよい。封孔処理は、沸騰水処理、熱水処理、蒸気処理、ケイ酸ソーダ処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等の公知の方法に従って行うことができる。例えば、特公昭56−12518号公報、特開平4−4194号公報、特開平5−202496号公報、特開平5−179482号公報等に記載されている装置および方法で封孔処理を行ってもよい。
【0112】
[平版印刷版原版]
本発明の平版印刷版原版は、上述した平版印刷版用支持体の親水性層上に、赤外線レーザによる画像記録が可能な画像記録層(感熱層)を設けてなる平版印刷版原版である。
本発明の平版印刷版原版に用いられる画像記録層は、波長830nmの赤外線の透過率が10%以上である。波長830nmの赤外線の透過率が10%以上であると、レーザから照射された赤外線を効率よく透過させ、親水性層に到達させることができる。画像記録層の波長830nmの赤外線の透過率は、15%以上であるのが好ましい。
【0113】
本発明において、画像記録層の波長830nmの赤外線の透過率の測定方法は、以下の通りである。
平版印刷版原版の画像記録層と同様の画像記録層をPET基板上に形成させ、測定用サンプルを得る。一方、ブランクサンプルとして、画像記録層を形成させていないPET基板を用意する。測定用サンプルおよびブランクサンプルについて、分光光度計により、波長830nmの赤外線の吸光度を測定し、上記式(1)より測定用サンプルの透過率を求める。
【0114】
本発明の平版印刷版原版に用いられる画像記録層としては、例えば、サーマルポジタイプ、サーマルネガタイプ、機上現像可能な無処理タイプ、アブレーションタイプが好適に挙げられる。以下、これらの好適な画像記録層について説明する。
【0115】
<サーマルポジタイプ>
サーマルポジタイプの画像記録層は、アルカリ可溶性高分子化合物と赤外線吸収剤とを含有する。
アルカリ可溶性高分子化合物は、高分子中に酸性基を含有する単独重合体、これらの共重合体、およびこれらの混合物を包含し、特に、(1)フェノール性ヒドロキシ基(−Ar−OH)、(2)スルホンアミド基(−SONH−R)のような酸性基を有するものが、アルカリ現像液に対する溶解性の点で好ましい。とりわけ、赤外線レーザ等による露光での画像形成性に優れる点で、フェノール性ヒドロキシ基を有することが好ましい。例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−およびm−/p−混合のいずれでもよい)混合ホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂;ピロガロールアセトン樹脂が好ましく挙げられる。更に詳しくは特開2001−305722号公報の[0023]〜[0042]に記載されている高分子が好ましく用いられる。
【0116】
赤外線吸収剤は、露光エネルギーを熱に変換して画像記録層の露光部領域の相互作用解除を効率よく行うことを可能とする。染料としては、具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体(例えば、ニッケルチオレート錯体)等が挙げられる。中でも、シアニン染料が好ましく、例えば、特開2001−305722号公報の一般式(I)で示されたシアニン染料が挙げられる。
サーマルポジタイプの画像記録層に用いられる組成物には、上記コンベンショナルポジタイプで記述した物と同様の感度調節剤、焼出剤、染料等の化合物や塗布性を良化するための界面活性剤を加えることが好ましい。詳しくは特開2001−305722号公報の[0053]〜[0059]に記載されている化合物が好ましい。
【0117】
また、サーマルポジタイプの画像記録層は、単層に限らず、2層構造であってもよい。
2層構造の画像記録層(重層系の画像記録層)としては、支持体に近い側に耐刷性および耐溶剤性に優れる下層(以下「A層」という。)を設け、その上にポジ画像形成性に優れる層(以下「B層」という。)を設けたタイプが好適に挙げられる。このタイプは感度が高く、広い現像ラチチュードを実現することができる。B層は、一般に、赤外線吸収剤を含有する。赤外線吸収剤としては、上述した染料が好適に挙げられる。
A層に用いられる樹脂としては、スルホンアミド基、活性イミノ基、フェノール性ヒドロキシ基等を有するモノマーを共重合成分として有するポリマーが耐刷性および耐溶剤性に優れている点で好適に挙げられる。B層に用いられる樹脂としては、フェノール性ヒドロキシ基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂が好適に挙げられる。
A層およびB層に用いられる組成物には、上記樹脂のほかに、必要に応じて、種々の添加剤を含有させることができる。具体的には、特開2002−3233769号公報の[0062]〜[0085]に記載されているような種々の添加剤が好適に用いられる。また、上述した特開2001−305722号公報の[0053]〜[0060]に記載されている添加剤も好適に用いられる。
A層およびB層を構成する各成分およびその含有量については、特開平11−218914号公報に記載されているようにするのが好ましい。
【0118】
サーマルポジタイプの画像記録層と支持体との間には、下塗層を設けるのが好ましい。下塗層に含有される成分としては、特開平11−109637号公報の[0036]に記載されている酸基とオニウム基とを有する高分子化合物が好適に挙げられる。また、特開2001−305722号公報の[0068]に記載されている種々の有機化合物が好適に挙げられる。
【0119】
<サーマルネガタイプ>
サーマルネガタイプの画像記録層は、赤外線レーザ照射部が硬化して画像部を形成するネガ型の画像記録層である。
このようなサーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、重合型の層(重合層)が好適に挙げられる。重合層は、(A)赤外線吸収剤と、(B)ラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)と、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する(C)ラジカル重合性化合物と、(D)バインダーポリマーとを含有する。
重合層においては、赤外線吸収剤が吸収した赤外線を熱に変換し、この際発生した熱により、オニウム塩等のラジカル重合開始剤が分解し、ラジカルが発生する。ラジカル重合性化合物は、末端エチレン性不飽和結合を有する化合物から選ばれ、発生したラジカルにより連鎖的に重合反応が生起し、硬化する。
(A)赤外線吸収剤としては、例えば、前述したサーマルポジタイプの画像記録層に含有される上記赤外線吸収剤が挙げられるが、特にシアニン色素の具体例としては特開2001−133969号公報の[0017]〜[0019]に記載されたものが挙げられ、(B)ラジカル発生剤としては、オニウム塩が挙げられ、好適に用いられるオニウム塩の具体例としては、特開2001−133969号公報の[0030]〜[0033]に記載されたものが挙げられ、(C)ラジカル重合性化合物は、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。(D)バインダーポリマーとしては線状有機ポリマーを用いることが好ましく、水または弱アルカリ水に可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが選択される。特にこれらの中で、ベンジル基またはアリル基と、カルボキシ基とを側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂が、膜強度、感度および現像性のバランスに優れており、好適である。(C)ラジカル重合性化合物および(D)バインダーポリマーに関しては同公報の[0036]〜[0060]に詳しく記載された物が使用できる。その他の添加物としては、同公報の[0061]〜[0068]に記載されている添加剤(例えば、塗布性を向上させるための界面活性剤) を加えることも好ましい。
【0120】
また、重合型のほかに、サーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、酸架橋型の層(酸架橋層)が好適に挙げられる。酸架橋層は、(E)光または熱により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤」という。)と、(F)発生した酸により架橋する化合物(以下、「架橋剤」という。)と、酸の存在下で架橋剤と反応しうる(G)アルカリ可溶性高分子化合物を含有する。赤外線レーザのエネルギーを効率よく使用するため、酸架橋層には(A)赤外線吸収剤が配合される。(E)酸発生剤としては、光重合の光開始剤、色素類の光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤等の、熱分解して酸を発生しうる化合物が挙げられる。(F)架橋剤としては、(i)ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物、(ii)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有する化合物、(iii)エポキシ化合物が挙げられる。(G)アルカリ可溶性高分子化合物としては、ノボラック樹脂、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマー等が挙げられる。
【0121】
<無処理タイプ>
無処理タイプの画像記録層は、熱可塑性微粒子ポリマー型、マイクロカプセル型、スルホン酸発生ポリマー含有型等のタイプがある。
熱可塑性微粒子ポリマー型は、(H)疎水性熱溶融性樹脂微粒子が(J)親水性高分子マトリックス中に分散され、露光部の熱により疎水性のポリマーが溶融し、互いに融着してポリマーによる疎水性領域、即ち、画像部を形成する。
(H)疎水性熱溶融性樹脂微粒子(以下、「微粒子ポリマー」という。)は、微粒子ポリマー同士が熱により溶融合体するものが好ましく、表面が親水性で、湿し水等の親水性成分に分散する、親水性表面を有する微粒子ポリマーが好ましい。微粒子ポリマーとしては、Reseach Disclosure No.33303(1992年1月)、特開平9−123387号、同9−131850号、同9−171249号、同9−171250号の各公報、欧州特許出願公開第931,647号明細書等に記載されている熱可塑性微粒子ポリマーが好適に挙げられる。具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール等のモノマーのホモポリマーもしくはコポリマーまたはそれらの混合物が挙げられる。中でも、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルを用いるのが好ましい。親水性表面を有する微粒子ポリマーは、微粒子を構成するポリマー自体が親水性であるもの、ポリマーの主鎖または側鎖に親水性基を導入して親水性を付与したもの等のポリマー自体が親水性であるもの;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の親水性ポリマー、親水性オリゴマーまたは親水性低分子化合物を、微粒子ポリマー表面に吸着させて表面を親水性化したものを包含する。微粒子ポリマーとしては、熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーがより好ましい。上記したような微粒子ポリマーは、(J)親水性高分子マトリックス中に分散させることで、機上現像する場合には機上現像性が良好となり、更に、画像記録層自体の皮膜強度も向上する。
【0122】
マイクロカプセル型としては、特開2000−118160号公報に記載されているタイプや、特開2001−277740号公報に記載されているような熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセル型が好ましく挙げられる。
スルホン酸発生ポリマー含有型に用いられるスルホン酸発生ポリマーとしては、例えば、特開平10−282672号公報に記載されているスルホン酸エステル基、ジスルホン基またはsec−もしくはtert−スルホンアミド基を側鎖に有するポリマー等が挙げられる。
無処理タイプの画像記録層に親水性樹脂を含有させることにより、機上現像性が良好となるばかりか、画像記録層自体の皮膜強度も向上する。また、親水性樹脂を架橋硬化させて、現像処理不要の平版印刷版原版を得ることができる。親水性樹脂としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、カルボキシメチル基等の親水基を有するものや、親水性のゾルゲル変換系結着樹脂が好ましい。親水性樹脂の具体例としては、上記した(J)親水性高分子マトリックスとして用いられる親水性樹脂として列挙したものが挙げられる。
中でも、ゾルゲル変換系結着樹脂が好ましい。
無処理タイプの画像記録層には、赤外線吸収剤を添加することが必要である。赤外線吸収剤は、波長830nmの光を吸収する物質であればよく、上記したサーマルポジタイプに用いられる染料と同様の染料が特に好ましい。
【0123】
<アブレーションタイプ(アブレーション界面はく離型無処理タイプ)>
アブレーションタイプの画像記録層としては、有機物を主体とするインキ受容層を有する有機タイプと無機物を主体とするインキ受容層を有する無機タイプが挙げられる。
無機タイプのインキ受容層に含有される無機物としては、例えば、Cr、Ti、活字合金として知られているPb−Sb−Snの3元合金等の親インキ性を有する材料である金属または合金;石炭、木炭、ダイヤモンド、DLC(ダイヤモンドライクコーティング)、グラファイト、クラッシーカーボン等の炭素類;酸化物;窒化物;ケイ化物;ホウ化物;炭化物が挙げられる。これらは、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0124】
具体的には、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化クロム;窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウム、窒化バナジウム、窒化ニオブ、窒化タンタル、窒化モリブデン、窒化タングステン、窒化クロム、窒化ケイ素、窒化ホウ素;ケイ化チタン、ケイ化ジルコニウム、ケイ化ハフニウム、ケイ化バナジウム、ケイ化ニオブ、ケイ化タンタル、ケイ化モリブデン、ケイ化タングステン、ケイ化クロム;ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化ハフニウム、ホウ化バナジウム、ホウ化ニオブ、ホウ化タンタル、ホウ化モリブデン、ホウ化タングステン、ホウ化クロム;炭化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化ニオブ、炭化タンタル、炭化モリブデン、炭化タングステン、炭化クロム等が挙げられる。
【0125】
これらの無機物は、無機物の中でもYAGレーザ、LDレーザ等の760〜1064nmの波長の光の吸収率が高いので、熱によって画像形成可能な層がアブレーションして、はく離する材料である。
【0126】
中でも、親インキ性を示す、Cr、Ti、Pb−Sb−Sn、ダイヤモンド、DLC、TiO、BaTiO、SrTiO、Si、SiC等が好ましい。
【0127】
画像形成可能な層として形成するには、蒸着法、CVD法、ゾル−ゲル法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、拡散法、電着法、メッキ法等を適宜用いることができる。
【0128】
アブレーション後に、一般的に行われているように、物理的にブラシ等で掻き取ったりする工程を併用し、残留物を除去してもよい。
【0129】
有機タイプのインキ受容層に含有される有機物としては、溶媒に可溶で、親油性の皮膜を形成できる有機高分子が用いられる。更には、下層として設けることができる親水性層の塗布溶媒に不溶であるのが好ましいが、場合によっては一部下層の塗布溶媒に膨潤するものが、親水性層との接着性に優れ、好ましい。
なお、親水性層は、陽極酸化処理の後に、親水性有機物の下塗り、シリケート処理等によって設けられる、0.01〜0.1μm程度の厚さの層である。この親水性層は、現像後放置した際の耐汚れ性、機上現像する際の現像されやすさ、刷り始めのインキ払い性等の各種の印刷性能を向上させるために設けられる。本発明においても、親水性層を設けるのは好ましい態様の一つである。
【0130】
上述した有機高分子としては、具体的には、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレア、ポリイミド、ポリシロキサン、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、フェノール化合物とアセトンとの縮合樹脂、ポリビニルアセテート、アクリル樹脂およびその共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルハロゲン化フェノール、メタクリル樹脂およびその共重合体、アクリルアミド共重合体、メタクリルアミド共重合体、ポリビニルフォルマール、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、セルロースエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の有機高分子が挙げられる。中でも、側鎖にヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホンアミド基、トリアルコキシシリル基等を有する樹脂が、支持体や下層の親水性層との接着性に優れ、場合によって架橋剤で容易に硬化するので好ましい。また、アクリロニトリル共重合体、ポリウレタン、側鎖にスルホンアミド基を有する共重合体、側鎖にヒドロキシ基を有する共重合体等をジアゾ樹脂によって光硬化させたものも好適に例示される。
【0131】
ノボラック樹脂およびレゾール樹脂としては、例えば、フェノール、クレゾール(m−クレゾール、p−クレゾール、m/p混合クレゾール)、フェノール/クレゾール(m−クレゾール、p−クレゾール、m/p混合クレゾール)、フェノール変性キシレン、t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、レゾルシノール、ピロガロール、カテコール、クロロフェノール(m−Cl、p−Cl)、ブロモフェノール(m−Br、p−Br)、サリチル酸、フロログルシノール等と、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド)等との付加縮合物が挙げられる。
【0132】
その他の好適な高分子化合物として、下記(1)〜(12)のモノマーをその構成単位とする通常1〜20万の平均分子量を持つ共重合体が挙げられる。
(1)芳香族ヒドロキシ基を有するアクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類およびヒドロキシスチレン類、例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミドまたはN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−、m−およびp−ヒドロキシスチレン、o−、m−およびp−ヒドロキシフェニルアクリレートまたはメタクリレート、
(2)脂肪族ヒドロキシ基を有するアクリル酸エステル類およびメタクリル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
【0133】
(3)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアクリル酸エステル、
(4)メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、
【0134】
(5)アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミドおよびN−エチル−N−フェニルメタクリルアミド等のアクリルアミドまたはメタクリルアミド、
【0135】
(6)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル、
(7)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル、
(8)スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン類、
(9)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン、
(10)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン、
(11)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等、
【0136】
(12)N−(o−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニル)ナフチル〕アクリルアミド、N−(2−アミノスルホニルエチル)アクリルアミド等のアクリルアミド類、N−(o−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(m−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−〔1−(3−アミノスルホニル)ナフチル〕メタクリルアミド、N−(2−アミノスルホニルエチル)メタクリルアミド等のスルホンアミド基含有アクリルアミドまたはメタクリルアミド類、また、o−アミノスルホニルフェニルアクリレート、m−アミノスルホニルフェニルアクリレート、p−アミノスルホニルフェニルアクリレート、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)アクリレート、o−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、p−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)メタクリレート等のスルホンアミド基含有アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル類。
【0137】
好適な具体例としては、親インキ性のポリマーとして一般に知られている、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、EMA(エチルメタクリレート)−スチレン、ポリスチレン、ノボラックが挙げられる。
【0138】
これらの有機高分子を適当な溶媒に溶解させて、支持体上に塗布し乾燥させて、インキ受容層を支持体上に設けることができる。有機高分子のみを溶媒に溶解させて用いることもできるが、架橋剤、接着助剤、着色剤、塗布面状改良剤、可塑剤等を必要に応じて添加することができる。
その他、露光後のプリントアウト画像を形成させるための加熱発色系または消色系添加剤が添加されてもよい。
【0139】
有機高分子を架橋させる架橋剤としては、例えば、ジアゾ樹脂、芳香族アジド化合物、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、テトラアルコキシケイ素の初期加水分解縮合物、グリオキザール、アルデヒド化合物やメチロール化合物等が挙げられる。
【0140】
接着助剤としては、上記ジアゾ樹脂が支持体および親水性層との接着性に優れるが、そのほかに、シランカップリング剤、イソシアネート化合物、チタン系カップリング剤等も有用である。
【0141】
着色剤としては、通常の染料や顔料が用いられるが、特に、ローダミン6G塩化物、ローダミンB塩化物、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーンシュウ酸塩、キニザリン、2−(α−ナフチル)−5−フェニルオキサゾール等が好適に挙げられる。他の染料として具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上、オリエント化学工業社製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、メチレンブルー(CI52015)、パテントピュアブルー(住友三国化学社製)、ブリリアントブルー、メチルグリーン、エリスリシンB、ベーシックフクシン、m−クレゾールパープル、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニルイミナフトキノン、シアノ−p−ジエチルアミノフェニルアセトアニリド等に代表されるトリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、オキサジン系、キサンテン系、イミノナフトキノン系、アゾメチン系もしくはアントラキノン系の染料または特開昭62−293247号公報および特開平9−179290号公報に記載されている染料が挙げられる。
上記着色剤は、インキ受容層中に添加される場合は受容層の全固形分に対し、通常、約0.02〜10質量%、より好ましくは約0.1〜5質量%の割合で含有される。
【0142】
更に、塗布面状改良剤としてよく知られた化合物であるフッ素系界面活性剤やシリコン系界面活性剤も用いることができる。具体的には、パーフルオロアルキル基、ジメチルシロキサン基等を有する界面活性剤が塗布面上を整えることで有用である。
【0143】
上述した有機高分子は、書き込み用レーザの波長(830nm)の光の吸収率が低いので、適当な赤外線吸収剤を、溶解し、分散し、または混合させるのが好ましい。
赤外線吸収剤としては、波長830nmに吸収帯を有する光吸収物質であればよく、種々の顔料および染料を用いることができる。
顔料としては、例えば、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている赤外線吸収性の顔料が挙げられる。
【0144】
これらの顔料には、インキ受容層における分散性を向上させるため、必要に応じて従来公知の表面処理を施すことができる。表面処理の方法としては、親水性樹脂、親油性樹脂等を表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シリカゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤やエポキシ化合物、イソシアネート化合物等)を顔料表面に結合させる方法等が挙げられる。
【0145】
染料としては、例えば、市販の染料ならびに文献(例えば、「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊、「化学工業」1986年5月号p.45〜51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシー)および特許文献に記載されている公知の染料が挙げられる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、ポリメチン染料、シアニン染料等の赤外線吸収染料が好適に例示される。
【0146】
更に、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号および特開昭60−78787号の各公報等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号および特開昭58−194595号の各公報等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号および特開昭60−63744号の各公報等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号公報等に記載されているスクワリリウム染料、英国特許第434,875号明細書に記載されているシアニン染料、米国特許第4,756,993号明細書に記載されている染料、米国特許第4,973,572号明細書に記載されているシアニン染料、特開平10−268512号公報に記載されている染料が挙げられる。
【0147】
また、染料として、米国特許第5,156,938号明細書に記載されている近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号明細書に記載されている置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号公報および米国特許第4,327,169号明細書に記載されているトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号および同59−146061号の各公報に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記載されているシアニン染料、米国特許第4,283,475号明細書に記載されているペンタメチンチオピリリウム塩等、特公平5−13514号公報および同5−19702号公報に記載されているピリリウム化合物、エポリン社製のエポライトIII−180、エポライトIII−178、エポライトIII−130、エポライトIII−125、エポライトIII−117、Amrican Cyanamid社製の光吸収色素であるCyabsorb IR−165等も好適に例示される。
インキ受容層に用いられる染料は、上記赤外線吸収染料であってもよいが、より親油性の染料がより好ましい。
【0148】
赤外線吸収剤の含有量は、インキ受容層の膜厚、親水性層の赤外線反射率等によって異なるが、通常、インキ受容層固形分の20質量%以下であるのが好ましく、15質量%以下であるのがより好ましい。上記範囲であると、インキ受容層の耐久性を損なうことなく、かつ、感度が良好となる。
【0149】
更に、インキ受容層には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が添加される。可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フクル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸またはメタクリル酸のオリゴマーおよびポリマー等が挙げられる。
【0150】
更に、インキ受容層に添加できる発色系または消色系の添加剤としては、例えば、ジアゾ化合物、ジフェニルヨードニウム塩等の熱酸発生剤とロイコ染料(ロイコマラカイトグリーン、ロイコクリスタルバイオレット、クリスタルバイオレットのラクトン体等)またはpH変色染料(例えば、エチルバイオレット、ビクトリアピュアーブルーBOH等の染料)との組み合わせが挙げられる。また、欧州特許第897,134号明細書に記載されているような、酸発色染料と酸性バインダーとの組み合わせも好適に挙げられる。この場合、加熱によって染料を形成している会合状態の結合が切れ、ラクトン体が形成して有色から無色に変化する。
これらの添加剤の添加割合は、好ましくはインキ受容層固形分に対して、10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
【0151】
上記インキ受容層を塗布するために用いられる溶媒としては、アルコール類(メタノール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロピラン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルモノアセテート、ガンマーブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル等)、アミド類(ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等)等が挙げられる。これらは、単独でまたは混合して用いられる。
塗布液中の上記インキ受容層成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。また、上記のような有機溶媒からの塗布ばかりでなく、水性エマルジョンからも皮膜を形成させることができる。この場合の濃度は5〜50質量%であるのが好ましい。
【0152】
インキ受容層の塗布乾燥後の厚さは、0.5〜1.5μmであるのが好ましい。インキ受容層が薄すぎると、耐摩耗性が低下して耐刷性を確保できなくなる。また、インキ受容層が厚すぎると、露光現像工程で、画像形成が困難になる。
【0153】
また、無機タイプのインキ受容層に含有される無機物の具体例として上記に列挙した各種の無機物を粉末としてポリマーに分散し、または混合してもよい。
【0154】
無機物(無機微粉末)としては、コロイダルシリカ、コロイダルアルミニウム等のコロイド粒子;これらのコロイド粒子より大きい粒径の不活性粒子、例えば、シリカ粒子、表面疎水化処理を施されたシリカ粒子、アルミナ粒子、二酸化チタン粒子、重金属粒子;クレー、タルクが挙げられる。中でも、アルミニウム、ケイ素、チタン、スズ、インジウム、鉄およびジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの元素の酸化物が好ましい。
【0155】
コロイド粒子としては、球形のものが好適である。シリカの場合、コロイドの粒径が5〜100nmであるのが好ましい。また、10〜50nmの球状粒子が、50〜400nmの長さに連なったパールネックレス状のコロイド粒子も用いることができる。また、アルミニウムの酸化物のコロイド粒子のように100nm×10nmのような羽毛状のものも好適に用いることができる。
【0156】
これらのコロイド分散液は、日産化学工業社製等の市販品を購入することもできるが、「微粒子ハンドブック」(朝倉書店)p.234〜235に記載されているような機械的に粉砕して微粒子を形成する方法、「微粒子ハンドブック」(朝倉書店)p.226〜320に記載されているようなCVD法、蒸着法等の方法によって形成することもできる。
【0157】
コロイド粒子は、ハロゲン化物、アルコキシ化合物等の加水分解、水酸化物の縮合等の種々の公知の方法によって、コロイド分散液の分散相として得ることができる。
【0158】
コロイド粒子の分散媒としては、水のほかに、メタノール、エタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン等の有機溶媒を用いることもできる。
【0159】
これらの無機物をインキ受容層に含有させることにより、下層の親水性層との接着性が向上し、耐刷性が向上するという効果が得られる。
無機物の含有量は、インキ受容層固形分に対し、80質量%以下であるのが好ましく、40質量%以下であるのがより好ましい。
【0160】
また、インキ受容層と支持体との密着性を向上させるため、各種の下塗剤を塗布してもよい。また、ベヘン酸等の親インキ性物質を含有することもできる。
【0161】
<バックコート層>
このようにして、平版印刷版用支持体上に、各種の画像記録層を設けて得られた平版印刷版原版の裏面には、必要に応じて、平版印刷版を重ねた場合における画像記録層の傷付きを防止するために、有機高分子化合物からなるバックコート層を設けることができる。
【0162】
[平版印刷版]
本発明の平版印刷版原版は、画像記録層に応じた種々の処理方法により、平版印刷版とされる。
本発明の平版印刷版原版は、熱により画像形成される。具体的には、赤外線レーザから照射された赤外線を画像記録層の赤外線吸収剤が熱に変換し、これにより熱反応が起きて、画像が形成される。
一般には、像露光を行う。像露光に用いられる活性光線の光源としては、波長830nmの赤外線を放射する半導体レーザが用いられる。なお、本発明の平版印刷版原版の画像記録層に画像を記録させることができるものであれば、他の活性光線の光源を用いてもよい。
【0163】
上記露光の後、画像記録層がサーマルタイプである場合は、露光した後、現像液を用いて現像して平版印刷版を得るのが好ましい。平版印刷版原版に用いられる好ましい現像液は、アルカリ現像液であれば特に限定されないが、有機溶剤を実質的に含有しないアルカリ性の水溶液が好ましい。また、アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液を用いて現像することもできる。アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液を用いて現像する方法については、特開平11−109637号公報に詳細に記載されており、該公報に記載されている内容を用いることができる。また、平版印刷版原版をアルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液を用いて現像することもできる。
【0164】
また、画像記録層が無処理タイプまたはアブレーションタイプである場合には、露光した後、現像処理なしに印刷機に装着することができる。レーザ露光した箇所の画像記録層と支持体または親水性層との界面がはく離し、インキと湿し水を用いて印刷を開始すると、レーザ露光して露出する支持体または親水性層部分にはインキが着肉せず、印刷が進行する。
【0165】
また、画像記録層が無処理タイプまたはアブレーションタイプである場合には、印刷機シリンダー上に取り付けた後に、印刷機に搭載されたレーザにより露光し、その後に湿し水および/またはインクをつけて機上露光・機上現像することも可能である。
【0166】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
1.平版印刷版原版の作成
(実施例1〜11ならびに比較例1および2)
(1)平版印刷版用支持体の作成
Si:0.1質量%、Fe:0.3質量%、Cu:0.010質量%、Ti:0.03質量%を含有し、残部はAl(99.5質量%)と不可避不純物とからなるJIS 1050材の厚さ0.24mmのアルミニウム板に以下のようにして、機械的粗面化処理を施した。
即ち、図6に示したような装置を使って、比重1.12の研磨剤(パミス)と水との懸濁液を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するローラ状ナイロンブラシにより機械的粗面化処理を行った。図6において、1はアルミニウム板、2および4はローラ状ブラシ、3は研磨スラリー液、5、6、7および8は支持ローラである。研磨剤の平均粒径は40μm、最大粒径は100μmであった。ナイロンブラシの材質は6・10ナイロン、毛長は50mm、毛の直径は0.3mmであった。ナイロンブラシはφ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。回転ブラシは3本使用した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシローラはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシローラをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。ブラシの回転方向はアルミニウム板の移動方向と同じであった。ブラシの回転数は200rpmであった。
ついで、35℃の10質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸せきさせて、アルミニウム溶解量が1g/mになるようにアルカリエッチング処理を施した後、水洗した。
【0167】
更に、温度30℃の硝酸濃度1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
ついで、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。このときの電解液は、硝酸10.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L、アンモニウムイオンを0.007質量%含む。)、液温50℃であった。交流電源波形は図1に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図2に示すものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で30A/dm、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で220C/dmであった。補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。
その後、スプレーによる水洗を行った。
【0168】
ついで、アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.25g/m溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
その後、温度30℃の硫酸濃度15質量%水溶液(アルミニウムイオンを4.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーで水洗した。デスマット処理に用いた硝酸水溶液は、硝酸水溶液中で交流を用いて電気化学的粗面化処理を行う工程の廃液を用いた。
【0169】
ついで、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行った。このときの電解液は、塩酸7.5g/L水溶液(アルミニウムイオンを5g/L含む。)、温度35℃であった。交流電源波形は図1に示した波形であり、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8msec、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電解槽は図2に示すものを使用した。
電流密度は電流のピーク値で25A/dm、電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量の総和で50C/dmであった。
その後、スプレーによる水洗を行った。
【0170】
ついで、アルミニウム板をカセイソーダ濃度26質量%、アルミニウムイオン濃度6.5質量%の水溶液を用いてスプレーによるエッチング処理を32℃で行い、アルミニウム板を0.10g/m溶解し、前段の交流を用いて電気化学的粗面化処理を行ったときに生成した水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分を除去し、また、生成したピットのエッジ部分を溶解してエッジ部分を滑らかにした。その後、スプレーによる水洗を行った。
その後、温度60℃の硫酸濃度25質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)で、スプレーによるデスマット処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
【0171】
更に、図3に示す構造の陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を行った。第一および第二電解部に供給した電解液としては、硫酸を用いた。電解液は、いずれも、硫酸濃度170g/L(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度38℃であった。その後、スプレーによる水洗を行った。最終的な酸化皮膜量は2.7g/mであった。
【0172】
その後、後述する親水性層用塗布液を塗布して180℃で2分間乾燥させて親水性層を形成させ、第1表に示される厚さの親水性層を有する平版印刷版用支持体を得た。なお、親水性層の厚さは、ミクロトームで平版印刷版用支持体から切り出した断面を、FE−SEM(S−900、日立製作所社製)で観察することにより求めた。
【0173】
<親水性層用塗布液>
下記第1表に示される粒状物質15質量部(2種以上の粒状物質を用いた場合は合計15質量部。その内訳は第2表に示す。)と、3号ケイ酸ソーダ(日本化学工業社製、NaO含有量10質量%、SiO含有量30質量%)15質量部(固形分として6質量部)と、純水70質量部と、エマルション樹脂(アルマテックスE269、三井化学社製、固形分50質量%)0.2質量%(固形分として0.1質量%)とを、超音波分散装置(超音波ホモジナイザーVC−130、SONICS社製)で10分間処理し、更に、ホモジナイザー(オートセルマスターCM−200、アズワン社製)で10000rpmで10分間かくはんして、親水性層用塗布液を得た。
なお、比較例1に用いた親水性層用塗布液は、上記親水性層用塗布液において、粒状物質を用いず、純水の量を85質量部としたものである。
【0174】
【表1】
Figure 2004341289
【0175】
なお、第1表における粒状物質1〜5は、市販品に粉砕処理を施して、平均粒径を小さくしたものである。粉砕処理は、粉砕用ボールとしてジルコニアボール(YTZ−0.2、ニッカトー社製)を用いたポットミル(HD A−5、ニッカトー社製)により、粉砕時間を1〜100時間の範囲で調整して、平均粒径が3μm以下となるように行った。粉砕はメタノール中で行い、粉砕後、ろ過し乾燥させて、各粒状物質を得た。各粒状物質の平均粒径は、第1表に示したとおりである。
また、第1表中、粒状物質4は、Feを2質量%含有する二酸化チタンであり、粒状物質5は、NiおよびSbを22質量%含有する二酸化チタンである。
また、第2表中、「第1粒状物質」および「第2粒状物質」は、それぞれ、本発明に好適に用いられる赤外線の吸収率が高いチタン化合物および/またはケイ素化合物、および、第1粒状物質以外の粒状物質を意味し、便宜的に分類したものである。
【0176】
(2)画像記録層の形成
上記で得られた各平版印刷版用支持体に、下記組成の下塗液を塗布し、80℃で15秒間乾燥させ、塗膜を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆量は10mg/mであった。
【0177】
<下塗液組成>
・下記高分子化合物 0.2g
・メタノール 100g
・水 1g
【0178】
【化1】
Figure 2004341289
【0179】
更に、下記組成の感熱層用塗布液1を調製し、下塗りした平版印刷版用支持体に、この感熱層用塗布液1を乾燥後の塗布量(感熱層塗布量)が1.7g/mになるよう塗布し、乾燥させて感熱層(サーマルポジタイプの画像記録層)を形成させ、平版印刷版原版を得た。
【0180】
<感熱層用塗布液1組成>
・ノボラック樹脂(m−クレゾール/p−クレゾール=60/40、重量平均分子量7,000、未反応クレゾール0.5質量%含有) 1.0g
・下記式で表されるシアニン染料A 0.08g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.05g
・p−トルエンスルホン酸 0.002g
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシ−β−ナフタレンスルホン酸にしたもの 0.02g
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業社製) 0.05g
・メチルエチルケトン 12g
【0181】
【化2】
Figure 2004341289
【0182】
(実施例12〜22ならびに比較例3および4)
下塗層およびサーマルポジタイプの画像記録層の代わりに、以下のようにしてサーマルネガタイプの画像記録層を形成させた以外は、実施例1〜11ならびに比較例1および2と同様の方法により、平版印刷版原版を得た。
【0183】
下記組成の感熱層用塗布液2を調製し、上記で得られた親水性層を有する平版印刷版用支持体に、この感熱層用塗布液2を乾燥後の塗布量(感熱層塗布量)が1.2g/mになるよう塗布し、温風式乾燥装置により115℃で45秒乾燥させて感熱層(サーマルネガタイプの画像記録層)を形成させ、平版印刷版原版を得た。
【0184】
<感熱層用塗布液2組成>
・下記式で表される赤外線吸収剤IR−6 0.06g
・下記式で表されるラジカル発生剤IO−6 0.30g
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 1.00g
・アリルメタクリレートとメタクリル酸のモル比80:20の共重合体(重量平均分子量12万) 1.00g
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩 0.04g
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−176、大日本インキ化学工業社製) 0.01g
・メチルエチルケトン 9.0g
・メタノール 10.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 4.0g
・3−メトキシ−1−プロパノール 4.0g
【0185】
【化3】
Figure 2004341289
【0186】
(実施例23〜33ならびに比較例5および6)
下塗層およびサーマルポジタイプの画像記録層の代わりに、以下のようにしてマイクロカプセルを含有する無処理タイプの画像記録層を形成させた以外は、実施例1〜11ならびに比較例1および2と同様の方法により、平版印刷版原版を得た。
【0187】
下記組成の感熱層用塗布液3を調製し、上記で得られた親水性層を有する平版印刷版用支持体に、この感熱層用塗布液3をバーコーターを用いて、乾燥後の塗布量(感熱層塗布量)が0.7g/mになるよう塗布し、オーブンを用いて60℃で150秒間乾燥させて感熱層(マイクロカプセルを含有する無処理タイプの画像記録層)を形成させ、平版印刷版原版を得た。
【0188】
<感熱層用塗布液3組成>
・後述するマイクロカプセル液 5g(固形分として)
・トリメチロールプロパントリアクリレート 3g
・下記式で表される赤外線吸収剤IR−11 0.24g
・水 60g
・1−メトキシ−2−プロパノール 40g
【0189】
【化4】
Figure 2004341289
【0190】
<マイクロカプセル液>
キシレンジイソシアネート40g、トリメチロールプロパンジアクリレート10g、アリルメタクリレートとブチルメタクリレートの共重合体(モル比7/3)10gおよび界面活性剤(パイオニンA41C、竹本油脂社製)0.1gを酢酸エチル60gに溶解させて、油相成分とした。一方、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ社製)の4質量%水溶液を120g調製し、水相成分とした。油相成分および水相成分をホモジナイザーに投入し、10000rpmで10分間用いて、乳化させた。その後、水を40g添加し、室温で30分かくはんし、更に40℃で3時間かくはんし、マイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は20質量%であり、マイクロカプセルの平均粒径は0.2μmであった。
【0191】
(比較例7〜19)
感熱層用塗布液3における赤外線吸収剤IR−11の量を0.3gとした以外は、実施例23〜33ならびに比較例5および6と同様の方法により、平版印刷版原版を得た。
【0192】
2.親水性層の波長830nmの赤外線の吸収率の測定
上記で得られた平版印刷版原版の親水性層の波長830nmの赤外線の吸収率を以下のようにして求めた。
各平版印刷版原版に用いた親水性層用塗布液を、PET基板上に厚さが各平版印刷版原版と同じになるようにワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥させて親水性層を形成させ、測定用サンプルを得た。一方、ブランクサンプルとして、親水性層を形成させていないPET基板を用意した。
測定用サンプルおよびブランクサンプルについて、Varian社製のUV−VIS−IR分光光度計により、Praying Mantisアタッチメントを装着して、波長830nmの赤外線の拡散反射を測定し、測定用サンプルの反射率を求めた。
また、測定用サンプルおよびブランクサンプルについて、Varian社製のUV−VIS−IR分光光度計により、波長830nmの赤外線の吸光度を測定し、下記式(1)より測定用サンプルの透過率を求めた。なお、吸光度が大きくて測定限界を超えたものについては、透過率が5%であるとして、下記式(1)を用いた。
【0193】
T=10−A×100% (1)
【0194】
上記式(1)中、Tは透過率を表し、Aは吸光度を表す。
【0195】
上記で得られた反射率および透過率から、下記式(2)により、波長830nmの赤外線の吸収率を求めた。結果を第2表に示す。
【0196】
(吸収率)=(1−(反射率)−(透過率))×100% (2)
【0197】
3.画像記録層の波長830nmの赤外線の透過率の測定
上記で得られた平版印刷版原版の画像記録層の波長830nmの赤外線の透過率を以下のようにして求めた。
各平版印刷版原版に用いた感熱層用塗布液を、PET基板上に感熱層塗布量が各平版印刷版原版と同様になるようにワイヤーバーを用いて塗布し、乾燥させて画像記録層を形成させ、測定用サンプルを得た。一方、ブランクサンプルとして、画像記録層を形成させていないPET基板を用意した。
測定用サンプルおよびブランクサンプルについて、Varian社製のUV−VIS−IR分光光度計により、波長830nmの赤外線の吸光度を測定し、上記式(1)より測定用サンプルの透過率を求めた。なお、吸光度が大きくて測定限界を超えたものについては、透過率が5%であるとした。
【0198】
その結果、サーマルポジタイプ、サーマルネガタイプおよび実施例23〜33ならびに比較例5および6に用いた無処理タイプの画像記録層については、透過率が15%であり、比較例7〜19に用いた無処理タイプの画像記録層については、透過率が5%であった。
【0199】
4.露光および現像処理
上記で得られた各平版印刷版原版には、画像記録層に応じて、下記の方法で画像露光および現像処理を行った。
【0200】
(1)サーマルポジタイプの画像記録層の場合
平版印刷版原版を出力500mW、波長830nm、ビーム径17μm(1/e)の半導体レーザを装備したCREO社製TrenndSetter3244を用いて主走査速度5m/秒、版面エネルギー量140mJ/cmで像様露光した。なお、後述する感度の評価のためには、版面エネルギー量を20〜200mJ/cmまで5mJ/cmおきに変えて露光を行ったサンプルを準備した。
その後、非還元糖と塩基とを組み合わせたD−ソルビット/酸化カリウムKOよりなるカリウム塩5.0質量%およびオルフィンAK−02(日信化学工業社製)0.015質量%を含有する水溶液1LにC1225N(CHCHCOONa)を添加したアルカリ現像液を用いて現像処理を行った。現像処理は、上記アルカリ現像液を満たした自動現像機PS900NP(富士写真フイルム(株)製)を用いて、現像温度25℃、12秒の条件で行った。現像処理が終了した後、水洗工程を経て、ガム(GU−7(1:1))等で処理して、製版が完了した平版印刷版を得た。
【0201】
(2)サーマルネガタイプの画像記録層の場合
平版印刷版原版を水冷式40W赤外線半導体レーザ(波長830nm)を搭載したCREO社製Trendsetter3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー量100mJ/cm、解像度2400dpiの条件で露光した。なお、後述する感度の評価のためには、版面エネルギー量を20〜200mJ/cmまで5mJ/cmおきに変えて露光を行ったサンプルを準備した。
その後、富士写真フイルム(株)製自動現像機スタブロン900Nを用いて現像処理を行った。現像液としては、富士写真フイルム(株)製DN−3Cの1:1水希釈液を用い、現像浴の温度は30℃とし、フィニッシャーとしては、富士写真フイルム(株)製FN−6の1:1水希釈液を用いた。
【0202】
(3)マイクロカプセルを含有する無処理タイプの画像記録層の場合
平版印刷版原版を水冷式40W赤外線半導体レーザ(波長830nm)を搭載したCREO社製Trendsetter3244VFSにて、出力18W、外面ドラム回転数150rpm、版面エネルギー量280mJ/cm、解像度2400dpiの条件で露光した。なお、後述する感度の評価のためには、版面エネルギー量を100〜600mJ/cmまで10mJ/cmおきに変えて露光を行ったサンプルを準備した。
露光後、現像処理を施さずに、各評価に用いた。
【0203】
5.平版印刷版原版の評価
上記で得られた平版印刷版原版の感度、耐汚れ性および耐刷性を下記の方法で評価した。
(1)感度
画像記録層がサーマルポジタイプである場合については、各版面エネルギー量で露光したサンプルの現像処理後の非画像部を20倍のルーペで観察し、ポツ状残膜の有無を調べた。また、画像記録層がサーマルネガタイプである場合については、各版面エネルギー量で露光したサンプルの現像処理後の画像部を20倍のルーペで観察し、ポツ状白抜けの有無を調べた。
また、画像記録層が無処理タイプである場合については、露光後、現像処理を施さずにハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付け、湿し水(IF−102、富士写真フイルム(株)製)を供給し、シリンダーを数回転させた後、インキ(GEOS−G(N)墨、大日本インキ化学工業社製)を供給して、シリンダーを更に約10回転させて印刷機上で現像を行い、その後、紙を供給して印刷を行い、各版面エネルギー量での印刷物の画像部を20倍のルーペで観察し、ポツ状白抜けの有無を調べた。
ポツ状現像不良(ポツ状残膜またはポツ状白抜け)が観察されない版面エネルギー量の最小値により、感度を評価した。版面エネルギー量が小さいほど感度に優れることを意味している。
結果を第2表に示す。
【0204】
(2)耐汚れ性
ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mで、大日本インキ化学工業社製のGEOS−G(N)墨のインキを用いて印刷し、1万枚印刷した後におけるブランケットの汚れを目視で評価した。
結果を第2表に示す。耐汚れ性をブランケットの汚れの程度が少ない方から○、△の2段階で評価した。
【0205】
(3)耐刷性
ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mで、大日本インキ化学工業社製のGEOS−G(N)墨のインキを用いて印刷し、汚れのない良好な印刷物を印刷することのできる枚数により、耐刷性を評価した。
結果を第2表に示す。
【0206】
第2表から明らかなように、本発明の平版印刷版原版(実施例1〜33)は、感度が高く、耐汚れ性および耐刷性にも優れる。
これに対して、親水性層を有しない場合(比較例1、3および5)、親水性層の波長830nmの赤外線の吸収率が低すぎる場合(比較例2、4および6)および画像記録層の波長830nmの赤外線の透過率が低すぎる場合(比較例7〜19)は、感度が低い。
【0207】
【表2】
Figure 2004341289
【0208】
【表3】
Figure 2004341289
【0209】
【表4】
Figure 2004341289
【0210】
【表5】
Figure 2004341289
【0211】
【発明の効果】
本発明の平版印刷版原版は、感度が極めて高く、かつ、耐汚れ性および耐刷性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平版印刷版原版の作成における電気化学的粗面化処理に用いられる交番波形電流波形図の一例を示すグラフである。
【図2】本発明の平版印刷版原版の作成における交流を用いた電気化学的粗面化処理におけるラジアル型セルの一例を示す側面図である。
【図3】本発明の平版印刷版原版の作成における陽極酸化処理に用いられる陽極酸化処理装置の概略図である。
【図4】本発明の平版印刷版原版の作成における直流を用いた電気化学的粗面化処理に用いられる装置の一例を示す側面図である。
【図5】本発明の平版印刷版原版の作成における直流を用いた電気化学的粗面化処理に用いられる装置の別の一例を示す側面図である。
【図6】本発明の平版印刷版原版の作成における機械的粗面化処理に用いられるブラシグレイニングの工程の概念を示す側面図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム板
2、4 ローラ状ブラシ
3 研磨スラリー液
5、6、7、8 支持ローラ
11 アルミニウム板
12 ラジアルドラムローラ
13a、13b 主極
14 電解処理液
15 電解液供給口
16 スリット
17 電解液通路
18 補助陽極
19a、19b サイリスタ
20 交流電源
40 主電解槽
50 補助陽極槽
61 アルミニウム板
62 陽極
63 陰極
64 電解液
65 電解槽
66 供液ノズル
67 排液管
68 供液管
410 陽極酸化処理装置
412 給電槽
414 電解処理槽
416 アルミニウム板
418、426 電解液
420 給電電極
422、428 ローラ
424 ニップローラ
430 電解電極
432 槽壁
434 直流電源

Claims (6)

  1. 親水性層を表面に有する平版印刷版用支持体の前記親水性層上に、赤外線レーザによる画像記録が可能な画像記録層を設けてなる平版印刷版原版であって、
    前記親水性層の波長830nmの赤外線の吸収率が60%以上であり、かつ、前記画像記録層の波長830nmの赤外線の透過率が10%以上である平版印刷版原版。
  2. 前記親水性層が、粒状物質と、ケイ酸塩化合物とを含有する請求項1に記載の平版印刷版原版。
  3. 前記親水性層が、前記粒状物質として、チタン化合物および/またはケイ素化合物を含有し、前記チタン化合物および/またはケイ素化合物の固形分量が、前記親水性層の全固形分に対して、40質量%以上である請求項2に記載の平版印刷版原版。
  4. 前記親水性層が、前記粒状物質として、金属元素を2質量%以上含有する二酸化チタンと、還元酸化チタンとの一方または両方を含有する請求項2または3に記載の平版印刷版原版。
  5. 前記粒状物質が、平均粒径の異なる2種以上からなる請求項2〜4のいずれかに記載の平版印刷版原版。
  6. 前記粒状物質のうち、平均粒径の最も大きい粒状物質が、酸化アルミニウムである請求項5に記載の平版印刷版原版。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007097169A1 (ja) * 2006-02-24 2007-08-30 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. 平版印刷版材料、その製造方法、及び印刷方法
JP2010243517A (ja) * 2009-03-31 2010-10-28 Fujifilm Corp 平版印刷版原版及び平版印刷版の作製方法

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