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JP2003001960A - 平版印刷版原版 - Google Patents

平版印刷版原版

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Publication number
JP2003001960A
JP2003001960A JP2001194298A JP2001194298A JP2003001960A JP 2003001960 A JP2003001960 A JP 2003001960A JP 2001194298 A JP2001194298 A JP 2001194298A JP 2001194298 A JP2001194298 A JP 2001194298A JP 2003001960 A JP2003001960 A JP 2003001960A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
treatment
aluminum
heat
printing plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001194298A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisashi Hotta
久 堀田
Yoshitaka Kawamura
芳孝 川村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2001194298A priority Critical patent/JP2003001960A/ja
Priority to US10/166,629 priority patent/US7132212B2/en
Priority to CN 02146060 priority patent/CN1228189C/zh
Priority to EP02013430A priority patent/EP1266753A3/en
Publication of JP2003001960A publication Critical patent/JP2003001960A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】機上現像タイプとして用いる場合には、良好な
機上現像性を有し、感度が高く、高耐刷性を示し、印刷
の際の汚れにくさや耐放置汚れ性(インキ払い性)が良
好であり、従来のサーマルポジタイプやサーマルネガタ
イプとして用いる場合には、熱を効率よく画像形成に利
用することができ、感度が高く、高耐刷性を示し、非画
像部の汚れが生じにくい感熱性の平版印刷版原版の提
供。 【解決手段】アルミニウム板に陽極酸化皮膜を形成させ
た平版印刷版用支持体上に、赤外線レーザー露光により
書き込み可能な記録層を設けてなる平版印刷版原版であ
って、該記録層を設けた後の該陽極酸化皮膜の破断面に
おいて、オージェ電子分光分析による炭素とアルミニウ
ムとの原子数比(C/Al)が1.0以下であることを
特徴とする平版印刷用原版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版用支持
体および平版印刷版原版に関し、現像不要のコンピュー
タ・ツウ・プレートシステム用に好適に用いられる感熱
性平版印刷版原版、詳しくは、デジタル信号に基づいた
赤外線走査露光による画像記録が可能であり、露光後に
現像液を用いるなどの従来の現像工程を経ることなく、
そのまま印刷機に装着して印刷することができる感熱性
平版印刷版原版およびそれに用いられる平版印刷版用支
持体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年進展が目覚ましいコンピュータ・ツ
ウ・プレートシステム用平版印刷版原版については、多
数の研究がなされている。その中で、より一層の工程合
理化と廃液処理問題の解決とを目指すものとして、露光
後、そのまま印刷機に装着して印刷することができる平
版印刷版原版について、多数の研究がなされ、種々の提
案がなされている。有望な技術の一つとしては、親水性
バインダーポリマー中に疎水性熱可塑性ポリマー粒子を
分散させた親水層を画像形成感熱層とする感熱性平版印
刷版原版が挙げられる。この平版印刷版原版は、感熱層
に熱を加えると疎水性熱可塑性ポリマー粒子が融着し、
親水性感熱層表面が親油性画像部に変換するという原理
を利用している。
【0003】このような疎水性熱可塑性ポリマー粒子の
熱融着を利用する平版印刷版原版において、処理工程を
少なくする方法の一つとして、露光後の平版印刷版原版
を現像液で処理することなく印刷機のシリンダーに装着
し、シリンダーを回転させながらインキおよび/または
湿し水を供給することによって、平版印刷版原版の非画
像部を除去する、機上現像と呼ばれる方法がある。この
方法においては、平版印刷版原版を露光した後、そのま
ま印刷機に装着し、通常の印刷工程の中で現像処理が完
了する。このような機上現像に適した平版印刷版原版
は、湿し水やインキ溶剤に可溶な感熱層を有し、しか
も、明室に置かれた印刷機上で現像されるのに適した明
室取り扱い性を有することが必要とされる。
【0004】例えば、特許第2938397号明細書に
は、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合
体の微粒子を分散させた感熱層を親水性支持体上に設け
た平版印刷版原版が記載されている。この特許明細書に
は、前記平版印刷版原版を赤外線レーザー露光して熱可
塑性疎水性重合体の微粒子を熱により合体させて画像形
成した後、印刷機シリンダー上に版を取り付け、インキ
および/または湿し水を供給することにより、機上現像
できることが記載されている。また、特開平9−127
683号公報および国際公開第99/10186号パン
フレットには、熱可塑性微粒子を熱により合体させた
後、機上現像により平版印刷版を作製することが記載さ
れている。
【0005】しかしながら、このような熱による微粒子
の合体で画像を形成する平版印刷版原版は、良好な機上
現像性を示すものの、金属支持体に熱が逃げるため感度
が低いという問題や、微粒子の合体が不十分である場
合、感熱層の画像部の強度が弱くなるために、耐刷性が
不十分となるという問題があった。この対策としては、
アルミニウム支持体と感熱層との間に水不溶性有機ポリ
マーを設ける方法が提案されているが(例えば、特開2
000−23983号公報)、感度は高くなるものの、
汚れるという問題点があった。
【0006】ところで、感熱層中に存在する赤外線吸収
剤がその光熱変換作用を発現し露光により発熱し、その
熱により感熱層の露光部分がアルカリ可溶化しポジ画像
を形成するいわゆるサーマルタイプのポジ型平版印刷版
原版や、その熱によりラジカル発生剤や酸発生剤がラジ
カルや酸を発生させ、それによりラジカル重合反応や酸
架橋反応が進行して不溶化しネガ型画像を形成するサー
マルタイプのネガ型平版印刷版原版などの、機上現像し
ない従来のサーマルタイプの平版印刷版原版において
も、以下のような問題がある。
【0007】即ち、このようなサーマルタイプの画像形
成においては、レーザー光照射によって感熱層中で光熱
変換物質により熱が発生してその熱が画像形成反応を引
き起こすのであるが、粗面化され陽極酸化皮膜を形成さ
れたアルミニウム支持体では、支持体の熱伝導率が感熱
層に比べ極めて高いため、感熱層と支持体との界面付近
で発生した熱は、画像形成に十分使用されないうちに支
持体内部に拡散してしまい、その結果、感熱層支持体界
面では次のようなことが起こる。
【0008】まず、ポジ型感熱層においては、熱が支持
体内部に拡散してアルカリ可溶化反応が不十分となる
と、本来の非画像部分に残膜が発生してしまうという低
感度の問題があり、これはポジ型感熱層の本質的問題と
なっている。また、このようなサーマルポジタイプの平
版印刷版原版においては、光熱変換機能を有する赤外線
吸収剤が必須であるが、これらは分子量が比較的大きい
ため溶解性が低く、また、陽極酸化により生じたミクロ
な開口部に吸着して除去しにくいため、アルカリ現像液
による現像工程において、残膜が発生しやすいという問
題もある。
【0009】一方、ネガ型感熱層においては、熱が支持
体内部に拡散して感熱層支持体界面付近での感熱層の現
像液不溶化が不十分になると、本来画像部となるべき部
分で画像が十分にできずに現像時に流れてしまったり、
たとえ画像様に形成できたとしても印刷時に容易に画像
がはく離してしまったりするという問題がある。
【0010】これらの問題を解決すべく、感熱層で発生
した熱がアルミニウム支持体に拡散することを抑制する
観点から、陽極酸化皮膜のマイクロポアを大きくする試
みがなされている。しかしながら、陽極酸化皮膜のマイ
クロポアを大きくする方法では、感度および耐刷性は向
上するが、耐汚れ性が劣化してしまう。また、機上現像
タイプの感光層を設けた場合においては、機上現像性も
劣化してしまう。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した先
行技術の欠点を克服した感熱性平版印刷版原版およびそ
れに好適に用いられる平版印刷版用支持体を提供するこ
とを目的とする。即ち、機上現像タイプとして用いる場
合には、良好な機上現像性を有し、感度が高く、高耐刷
性を示し、印刷の際の汚れにくさや耐放置汚れ性(イン
キ払い性)が良好であり、従来のサーマルポジタイプや
サーマルネガタイプとして用いる場合には、熱を効率よ
く画像形成に利用することができ、感度が高く、高耐刷
性を示し、非画像部の汚れが生じにくい感熱性の平版印
刷版原版およびそれに好適に用いられる平版印刷版用支
持体を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく鋭意研究したところ、陽極酸化皮膜上に赤外
線レーザー露光により書き込み可能な記録層を設けた平
版印刷版原版においては、陽極酸化皮膜のマイクロポア
に記録層成分が侵入しており、この記録層成分は陽極酸
化皮膜の空隙部(マイクロポア)より熱伝導率が高いた
め、記録層を設けた後の陽極酸化皮膜の熱伝導率は高く
なり、上記問題を生じさせていることを知見した。本発
明者は、上記知見に基づき、更に、鋭意研究したとこ
ろ、陽極酸化皮膜中の炭素成分とアルミニウム成分との
比を特定の値以下とすれば、平版印刷版としたときの耐
刷性、感度および耐汚れ性のすべてに優れる平版印刷版
原版が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0013】即ち、本発明は、アルミニウム板に陽極酸
化皮膜を形成させた平版印刷版用支持体上に、赤外線レ
ーザー露光により書き込み可能な記録層を設けてなる平
版印刷版原版であって、該記録層を設けた後の該陽極酸
化皮膜の破断面において、下記式(1)で表される炭素
とアルミニウムとの原子数比(C/Al)が1.0以下
であることを特徴とする平版印刷用原版を提供する。 C/Al=(Ic /Sc )/(Ial/Sal) (1) Ic :炭素(KLL)オージェ電子微分型peak−t
o−peak強度 Ial:アルミニウム(KLL)オージェ電子微分型pe
ak−to−peak強度 Sc :炭素(KLL)オージェ電子の相対感度係数 Sal:アルミニウム(KLL)オージェ電子の相対感度
係数
【0014】前記記録層を設ける前の前記陽極酸化皮膜
の空隙率が、20〜70%であるのが好ましい。
【0015】前記記録層が、(a)熱反応性官能基を有
する微粒子ポリマー、または、(b)熱反応性官能基を
有する化合物を内包するマイクロカプセルを含有する感
熱層であるのが好ましい態様の一つである。
【0016】更に、本発明は、前記平版印刷版原版を、
レーザー光によって画像露光しそのまま印刷機に取り付
けて印刷するか、または、印刷機に取り付けた後にレー
ザー光によって画像露光しそのまま印刷することを特徴
とする平版印刷版の製版および印刷方法を提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。 <アルミニウム板(圧延アルミ)>本発明の平版印刷版
原版に用いられるアルミニウム板は、寸度的に安定なア
ルミニウムを主成分とする金属であり、アルミニウムま
たはアルミニウム合金からなる。 純アルミニウム板のほ
か、アルミニウムを主成分とし微量の異元素を含む合金
板や、アルミニウムまたはアルミニウム合金がラミネー
トされまたは蒸着されたプラスチックフィルムまたは紙
を用いることもできる。更に、特公昭48−18327
号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレ
ートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合
体シートを用いることもできる。
【0018】本発明に用いられるアルミニウム板は、特
に限定されないが、純アルミニウム板を用いるのが好適
である。完全に純粋なアルミニウムは精練技術上、製造
が困難であるので、わずかに異元素を含有するものを用
いてもよい。例えば、アルミニウムハンドブック第4版
(軽金属協会(1990))に記載の公知の素材のも
の、具体的には、JIS1050材、JIS1100
材、JIS3003材、JIS3103材、JIS30
05材等を用いることができる。また、アルミニウム
(Al)の含有率が99.4〜95質量%であって、鉄
(Fe)、ケイ素(Si)、銅(Cu)、マグネシウム
(Mg)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、クロム
(Cr)、およびチタン(Ti)のうち少なくとも5種
以上を後述する範囲内で含む、アルミニウム合金、スク
ラップアルミ材または二次地金を使用したアルミニウム
板を使用することもできる。
【0019】また、本発明においては、コスト削減効果
のある、Alの含有率が95〜99.4質量%のアルミ
ニウム板を用いることもできる。Alの含有率が99.
4質量%を超えると、不純物の許容量が少なくなるた
め、コスト削減効果が減少してしまう場合がある。ま
た、Alの含有率が95質量%未満であると不純物を多
く含むこととなり圧延中に割れ等の不具合が発生してし
まう場合がある。より好ましいAlの含有率は95〜9
9質量%であり、特に好ましくは95〜97質量%であ
る。
【0020】Feの含有率は0.3〜1.0質量%であ
るのが好ましい。Feは新地金においても0.1〜0.
2質量%前後含有される元素で、Al中に固溶する量は
少なく、ほとんどが金属間化合物として残存する。Fe
の含有率が1.0質量%を超えると圧延途中に割れが発
生しやすくなり、0.3質量%未満であるとコスト削減
効果が減少するため好ましくない。より好ましいFeの
含有率は0.5〜1.0質量%である。
【0021】Siの含有率は0.15〜1.0質量%で
あるのが好ましい。SiはJIS2000系、4000
系、6000系材料のスクラップに多く含まれる元素で
ある。また、Siは新地金においても0.03〜0.1
質量%前後含有される元素であり、Al中に固溶した状
態で、または、金属間化合物として存在する。アルミニ
ウム板が支持体の製造過程で加熱されると、固溶してい
たSiが単体Siとして析出することがある。単体Si
とFeSi系の金属間化合物は耐苛酷インキ汚れ性に悪
影響を与えることが知られている。ここで、「苛酷イン
キ汚れ」とは、印刷を何度も中断しつつ行った場合に、
平版印刷版の非画像部表面部分にインキが付着しやすく
なった結果、印刷された紙等に表れる点状または円環状
の汚れをいう。Siの含有率が1.0質量%を超える
と、例えば、後述する硫酸による処理(デスマット処
理)でこれを除去し切れなくなる場合があり、0.15
質量%未満であると、コスト削減効果が減少してしま
う。より好ましいSiの含有率は0.3〜1.0質量%
である。
【0022】Cuの含有率は0.1〜1.0質量%であ
るのが好ましい。CuはJIS2000系、4000系
材料のスクラップに多く含まれる元素である。Cuは比
較的Alに中に固溶しやすい。Cuの含有率が1.0質
量%を超えると、例えば、後述する硫酸による処理でこ
れを除去し切れなくなる場合があり、0.1質量%未満
であると、コスト削減効果が減少してしまう。より好ま
しいCuの含有率は0.3〜1.0質量%である。
【0023】Mgの含有率は0.1〜1.5質量%であ
るのが好ましい。MgはJIS2000系、3000
系、5000系、7000系材料のスクラップに多く含
まれる元素である。特にcan end材に多く含まれ
るため、スクラップ材に含まれる主要な不純物金属の一
つである。Mgは比較的Al中に固溶しやすく、Siと
金属間化合物を形成する。Mgの含有率が1.5質量%
を超えると、例えば、後述する硫酸による処理でこれを
除去し切れなくなる場合があり、0.1質量%未満であ
ると、コスト削減効果が減少してしまう。より好ましい
Mgの含有率は0.5〜1.5質量%であり、更に好ま
しくは1.0〜1.5質量%である。
【0024】Mnの含有率は0.1〜1.5質量%であ
るのが好ましい。MnはJIS3000系材料のスクラ
ップに多く含まれる元素である。Mnは特にcan b
ody材に多く含まれるため、スクラップ材に含まれる
主要な不純物金属の一つである。Mnは比較的Al中に
固溶しやすく、Al、FeおよびSiと金属間化合物を
形成する。Mnの含有率が1.5質量%を超えると、例
えば、後述する硫酸による処理でこれを除去し切れなく
なる場合があり、0.1質量%未満であると、コスト削
減効果が減少してしまう。より好ましいMnの含有率は
0.5〜1.5質量%であり、更に好ましくは1.0〜
1.5質量%である。
【0025】Znの含有率は0.1〜0.5質量%であ
るのが好ましい。Znは特にJIS7000系のスクラ
ップに多く含まれる元素である。Znは比較的Al中に
固溶しやすい。Znの含有率が0.5質量%を超える
と、例えば、後述する硫酸による処理でこれを除去し切
れなくなる場合があり、0.1質量%未満であると、コ
スト削減効果が減少してしまう。より好ましいZnの含
有率は0.3〜0.5質量%である。
【0026】Crの含有率は0.01〜0.1質量%で
あるのが好ましい。CrはJISA5000系、同60
00系、同7000系のスクラップに少量含まれる不純
物金属である。Crの含有率が0.1質量%を超える
と、例えば、後述する硫酸による処理でこれを除去し切
れなくなる場合があり、0.01質量%未満であると、
コスト削減効果が減少してしまう。より好ましいCrの
含有率は0.05〜0.1質量%である。
【0027】Tiの含有率は0.03〜0.5質量%で
あるのが好ましい。Tiは通常結晶微細化材として0.
01〜0.04質量%添加される元素である。JIS5
000系、6000系、7000系のスクラップには不
純物金属として比較的多めに含まれる。Tiの含有率が
0.5質量%を超えると、例えば、後述する硫酸による
処理でこれを除去し切れなくなる場合があり、0.03
質量%未満であると、コスト削減効果が減少してしま
う。より好ましいTiの含有率は0.05〜0.5質量
%である。
【0028】本発明に用いられるアルミニウム板は、上
記原材料を用いて常法で鋳造したものに、適宜圧延処理
や熱処理を施し、厚さを例えば、0.1〜0.7mmと
し、必要に応じて平面性矯正処理を施して製造される。
この厚さは、印刷機の大きさ、印刷版の大きさおよびユ
ーザーの希望により、適宜変更することができる。な
お、上記アルミニウム板の製造方法としては、例えば、
DC鋳造法、DC鋳造法から均熱処理および/または焼
鈍処理を省略した方法、ならびに、連続鋳造法を用いる
ことができる。
【0029】本発明の平版印刷版原版に用いられるアル
ミニウム支持体は、上記アルミニウム板に陽極酸化処理
を施して得られるが、その製造工程には、陽極酸化処理
以外の各種の工程が含まれていてもよい。
【0030】上記アルミニウム板は、付着している圧延
油を除く脱脂工程、アルミニウム板の表面のスマットを
溶解するデスマット処理工程、アルミニウム板の表面を
粗面化する粗面化処理工程、アルミニウム板の表面を酸
化皮膜で覆う陽極酸化処理工程を経て支持体が形成され
るのが好ましい。本発明に用いられるアルミニウム支持
体の製造工程は、酸性水溶液中で交流電流を用いてアル
ミニウム板を電気化学的に粗面化する粗面化処理(電気
化学的粗面化処理)を含むのが好ましい。また、本発明
に用いられるアルミニウム支持体の製造工程は、上記電
気化学的粗面化処理の他に、機械的粗面化処理、酸また
はアルカリ水溶液中での化学的エッチング処理等を組み
合わせたアルミニウム板の表面処理工程を含んでもよ
い。本発明に用いられるアルミニウム支持体の粗面化処
理等の製造工程は、連続法でも断続法でもよいが、工業
的には連続法を用いるのが好ましい。本発明において
は、更に、必要に応じて、ポアワイド処理(酸処理また
はアルカリ処理)、無機フッ素化合物とケイ酸化合物と
を含む水溶液での処理、親水性表面処理が行われる。更
に、必要に応じて、下塗層を設けてもよい。
【0031】<粗面化処理(砂目立て処理)>まず、粗
面化処理について説明する。上記アルミニウム板は、よ
り好ましい形状に砂目立て処理される。砂目立て処理方
法は、特開昭56−28893号公報に記載されている
ような機械的砂目立て(機械的粗面化処理)、化学的エ
ッチング、電解グレイン等がある。更に、塩酸電解液中
または硝酸電解液中で電気化学的に砂目立てする電気化
学的砂目立て法(電気化学的粗面化処理、電解粗面化処
理)や、アルミニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワ
イヤーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でアルミニウ
ム表面を砂目立てするボールグレイン法、ナイロンブラ
シと研磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法等の
機械的砂目立て法(機械的粗面化処理)を用いることが
できる。これらの砂目立て法は、単独でまたは組み合わ
せて用いることができる。例えば、ナイロンブラシと研
磨剤とによる機械的粗面化処理と、塩酸電解液または硝
酸電解液による電解粗面化処理との組み合わせや、複数
の電解粗面化処理の組み合わせが挙げられる。中でも、
電気化学的粗面化処理が好ましい。また、機械的粗面化
処理と電気化学的粗面化処理とを組み合わせて行うのも
好ましく、特に、機械的粗面化処理の後に電気化学的粗
面化処理を行うのが好ましい。
【0032】機械的粗面化処理は、ブラシ等を使用して
アルミニウム板表面を機械的に粗面化する処理であり、
上述した電気化学的粗面化処理の前に行われるのが好ま
しい。好適な機械的粗面化処理においては、毛径が0.
07〜0.57mmである回転するナイロンブラシロー
ルと、アルミニウム板表面に供給される研磨剤のスラリ
ー液とで処理する。
【0033】ナイロンブラシは吸水率が低いものが好ま
しく、例えば、東レ社製のナイロンブリッスル200T
(6,10−ナイロン、軟化点:180℃、融点:21
2〜214℃、比重:1.08〜1.09、水分率:2
0℃・相対湿度65%において1.4〜1.8、20℃
・相対湿度100%において2.2〜2.8、乾引っ張
り強度:4.5〜6g/d、乾引っ張り伸度:20〜3
5%、沸騰水収縮率:1〜4%、乾引っ張り抵抗度:3
9〜45g/d、ヤング率(乾):380〜440kg
/mm2 )が好ましい。
【0034】研磨剤としては公知のものを用いることが
できるが、特開平6−135175号公報および特公昭
50−40047号公報に記載されているケイ砂、石
英、水酸化アルミニウム、またはこれらの混合物を用い
るのが好ましい。
【0035】スラリー液としては、比重が1.05〜
1.3の範囲内にあるものが好ましい。スラリー液をア
ルミニウム板表面に供給する方法としては、例えば、ス
ラリー液を吹き付ける方法、ワイヤーブラシを用いる方
法、凹凸を付けた圧延ロールの表面形状をアルミニウム
板に転写する方法が挙げられる。また、特開昭55−0
74898号公報、同61−162351号公報、同6
3−104889号公報に記載されている方法を用いて
もよい。更に、特表平9−509108号公報に記載さ
れているように、アルミナおよび石英からなる粒子の混
合物を95:5〜5:95の範囲の質量比で含んでなる
水性スラリー中で、アルミニウム板表面をブラシ研磨す
る方法を用いることもできる。このときの上記混合物の
平均粒子径は、1〜40μm、特に1〜20μmの範囲
内であるのが好ましい。
【0036】電気化学的粗面化処理は、酸性水溶液中
で、アルミニウム板を電極として交流電流を通じ、該ア
ルミニウム板の表面を電気化学的に粗面化する工程であ
り、後述の機械的粗面化処理とは異なる。本発明におい
ては、上記電気化学的粗面化処理において、アルミニウ
ム板が陰極となるときにおける電気量、即ち、陰極時電
気量QC と、陽極となるときにおける電気量、即ち、陽
極時電気量QA との比QC /QA を、例えば、0.5〜
2.0の範囲内とすることで、アルミニウム板の表面に
均一なハニカムピットを生成することができる。QC
A が0.50未満であると、不均一なハニカムピット
となりやすく、また、2.0を超えても、不均一なハニ
カムピットとなりやすい。QC /QA は、0.8〜1.
5の範囲内とするのが好ましい。
【0037】電気化学的粗面化処理に用いられる交流電
流の波形としては、正弦波(サイン波)、矩形波、三角
波、台形波等が挙げられる。中でも、矩形波または台形
波が好ましい。また、交流電流の周波数は、電源装置を
製作するコストの観点から、30〜200Hzであるの
が好ましく、40〜120Hzであるのがより好まし
い。本発明に好適に用いられる台形波の一例を図2に示
す。図2において、縦軸は電流値、横軸は時間を示す。
また、taはアノード反応時間、tcはカソード反応時
間、tpは電流値がゼロからカソードサイクル側のピー
クに達するまでの時間、tp´は電流値がゼロからアノ
ードサイクル側のピークに達するまでの時間、Iaはア
ノードサイクル側のピーク時の電流、Icはカソードサ
イクル側のピーク時の電流を示す。交流電流の波形とし
て台形波を用いる場合、電流がゼロからピークに達する
までの時間tpおよびtp´はそれぞれ0.1〜2ms
ecであるのが好ましく、0.3〜1.5msecであ
るのがより好ましい。tpおよびtp´が0.1mse
c未満であると、電源回路のインピーダンスが影響し、
電流波形の立ち上がり時に大きな電源電圧が必要とな
り、電源の設備コストが高くなる場合がある。また、t
pおよびtp´が2msecを超えると、酸性水溶液中
の微量成分の影響が大きくなり、均一な粗面化処理が行
われにくくなる場合がある。
【0038】また、電気化学的粗面化処理に用いられる
交流電流のdutyは、アルミニウム板表面を均一に粗
面化する点から0.25〜0.5の範囲内とするのが好
ましく、0.3〜0.4の範囲内とするのがより好まし
い。本発明でいうdutyとは、交流電流の周期Tにお
いて、アルミニウム板の陽極反応が持続している時間
(アノード反応時間)をtaとしたときのta/Tをい
う。特に、カソード反応時のアルミニウム板表面には、
水酸化アルミニウムを主体とするスマット成分の生成に
加え、酸化皮膜の溶解や破壊が発生し、次のアルミニウ
ム板のアノード反応時におけるピッティング反応の開始
点となるため、交流電流のdutyの選択は均一な粗面
化に与える効果が大きい。
【0039】交流電流の電流密度は、台形波または矩形
波の場合、アノードサイクル側のピーク時の電流密度I
apおよびカソードサイクル側のピーク時の電流密度I
cpがそれぞれ10〜200A/dm2 となるのが好ま
しい。また、Icp/Iapは、0.9〜1.5の範囲
内にあるのが好ましい。電気化学的粗面化処理におい
て、電気化学的粗面化処理が終了した時点でのアルミニ
ウム板のアノード反応に用いた電気量の総和は、50〜
1000C/dm 2 であるのが好ましい。電気化学的粗
面化処理の時間は、1秒〜30分であるのが好ましい。
【0040】電気化学的粗面化処理に用いられる酸性水
溶液としては、通常の直流電流または交流電流を用いた
電機化学的粗面化処理に用いるものを用いることがで
き、その中でも硝酸を主体とする酸性水溶液または塩酸
を主体とする酸性水溶液を用いることが好ましい。ここ
で、「主体とする」とは、水溶液中に主体となる成分
が、成分全体に対して、30質量%以上、好ましくは5
0質量%以上含まれていることをいう。以下、他の成分
においても同様である。
【0041】硝酸を主体とする酸性水溶液としては、上
述したように、通常の直流電流または交流電流を用いた
電気化学的粗面化処理に用いるものを用いることができ
る。例えば、硝酸アルミニウム、硝酸ナトリウム、硝酸
アンモニウム等の硝酸化合物のうち一つ以上を、0.0
1g/Lから飽和に達するまでの濃度で、硝酸濃度5〜
15g/Lの硝酸水溶液に添加して使用することができ
る。硝酸を主体とする酸性水溶液中には、鉄、銅、マン
ガン、ニッケル、チタン、マグネシウム、ケイ素等のア
ルミニウム合金中に含まれる金属等が溶解されていても
よい。
【0042】硝酸を主体とする酸性水溶液としては、中
でも、硝酸と、アルミニウム塩と、硝酸塩とを含有し、
かつ、アルミニウムイオンが1〜15g/L、好ましく
は1〜10g/L、アンモニウムイオンが10〜300
ppmとなるように、硝酸濃度5〜15g/Lの硝酸水
溶液中に硝酸アルミニウムおよび硝酸アンモニウムを添
加して得られたものを用いることが好ましい。なお、上
記アルミニウムイオンおよびアンモニウムイオンは、電
気化学的粗面化処理を行っている間に自然発生的に増加
していくものである。また、この際の液温は10〜95
℃であるのが好ましく、20〜90℃であるのがより好
ましく、40〜80℃であるのが特に好ましい。
【0043】電気化学的粗面化処理においては、縦型、
フラット型、ラジアル型等の公知の電解装置を用いるこ
とができるが、特開平5−195300号公報に記載さ
れているようなラジアル型電解装置が特に好ましい。図
3は、本発明に好適に用いられるラジアル型電解装置の
概略図である。図3において、ラジアル型電解装置は、
アルミニウム板11が主電解槽21中に配置されたラジ
アルドラムローラ12に巻装され、搬送過程で交流電源
20に接続された主極13aおよび13bによって電解
処理される。酸性水溶液14は、溶液供給口15からス
リット16を通じてラジアルドラムローラ12と主極1
3aおよび13bとの間にある溶液通路17に供給され
る。ついで、主電解槽21で処理されたアルミニウム板
11は、補助陽極槽22で電解処理される。この補助陽
極槽22には補助陽極18がアルミニウム板11と対向
配置されており、酸性水溶液14は、補助陽極18とア
ルミニウム板11との間を流れるように供給される。な
お、補助電極に流す電流は、サイリスタ19aおよび1
9bにより制御される。
【0044】主極13aおよび13bは、カーボン、白
金、チタン、ニオブ、ジルコニウム、ステンレス、燃料
電池用陰極に用いる電極等から選定することができる
が、カーボンが特に好ましい。カーボンとしては、一般
に市販されている化学装置用不浸透性黒鉛や、樹脂含芯
黒鉛等を用いることができる。補助陽極18は、フェラ
イト、酸化イリジウム、白金、または、白金をチタン、
ニオブ、ジルコニウム等のバルブ金属にクラッドもしく
はメッキしたもの等公知の酸素発生用電極から選定する
ことができる。
【0045】主電解槽21および補助陽極槽22内を通
過する酸性水溶液の供給方向はアルミニウム板11の進
行とパラレルでもカウンターでもよい。アルミニウム板
に対する酸性水溶液の相対流速は、10〜1000cm
/secであるのが好ましい。一つの電解装置には1個
以上の交流電源を接続することができる。また、2個以
上の電解装置を使用してもよく、各装置における電解条
件は同一であってもよいし異なっていてもよい。また、
電解処理が終了した後には、処理液を次工程に持ち出さ
ないためにニップローラによる液切りとスプレーによる
水洗とを行うのが好ましい。
【0046】上記電解装置を用いる場合においては、電
解装置中のアルミニウム板がアノード反応する酸性水溶
液の通電量に比例して、例えば、(i)酸性水溶液の導
電率と(ii)超音波の伝搬速度と(iii)温度とか
ら求めた硝酸およびアルミニウムイオン濃度をもとに、
硝酸と水の添加量を調節しながら添加し、硝酸と水の添
加容積と同量の酸性水溶液を逐次電解装置からオーバー
フローさせて排出することで、上記酸性水溶液の濃度を
一定に保つのが好ましい。
【0047】つぎに、酸性水溶液中またはアルカリ水溶
液中での化学的エッチング処理、デスマット処理等の表
面処理について順を追って説明する。上記表面処理は、
それぞれ上記電気化学的粗面化処理の前、または、上記
電気化学的粗面化処理の後であって後述する陽極酸化処
理の前において行われる。ただし、以下の各表面処理の
説明は例示であり、本発明は、以下の各表面処理の内容
に限定されるものではない。また、上記表面処理を初め
とする以下の各処理は任意で施される。
【0048】<アルカリエッチング処理>アルカリエッ
チング処理は、アルカリ水溶液中でアルミニウム板表面
を化学的にエッチングする処理であり、上記電気化学的
粗面化処理の前と後のそれぞれにおいて行うのが好まし
い。また、電気化学的粗面化処理の前に機械的粗面化処
理を行う場合には、機械的粗面化処理の後に行うのが好
ましい。アルカリエッチング処理は、短時間で微細構造
を破壊することができるので、後述する酸性エッチング
処理よりも有利である。アルカリエッチング処理に用い
られるアルカリ水溶液としては、カセイソーダ、炭酸ソ
ーダ、アルミン酸ソーダ、メタケイ酸ソーダ、リン酸ソ
ーダ、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の1種または
2種以上を含有する水溶液が挙げられる。特に、水酸化
ナトリウム(カセイソーダ)を主体とする水溶液が好ま
しい。アルカリ水溶液は、アルミニウムはもちろん、ア
ルミニウム板中に含有される合金成分を0.5〜10質
量%を含有していてもよい。アルカリ水溶液の濃度は、
1〜50質量%であるのが好ましく、1〜30質量%で
あるのがより好ましい。
【0049】アルカリエッチング処理は、アルカリ水溶
液の液温を20〜100℃、好ましくは40〜80℃の
間とし、1〜120秒間、好ましくは2〜60秒間処理
することにより行うのが好ましい。アルミニウムの溶解
量は、機械的粗面化処理の後に行う場合は5〜20g/
2 であるのが好ましく、電気化学的粗面化処理の後に
行う場合は0.01〜20g/m2 であるのが好まし
い。最初にアルカリ水溶液中で化学的なエッチング液を
ミキシングするときには、液体水酸化ナトリウム(カセ
イソーダ)とアルミン酸ナトリウム(アルミン酸ソー
ダ)とを用いて処理液を調製することが好ましい。ま
た、アルカリエッチング処理が終了した後には、処理液
を次工程に持ち出さないために、ニップローラによる液
切りとスプレーによる水洗とを行うのが好ましい。
【0050】アルカリエッチング処理を電気化学的粗面
化処理の後に行う場合、電気化学的粗面化処理により生
じたスマットを除去することができる。このようなアル
カリエッチング処理としては、例えば、特開昭53−1
2739号公報に記載されているような50〜90℃の
温度の15〜65質量%の硫酸と接触させる方法および
特公昭48−28123号公報に記載されているアルカ
リエッチングする方法が好適に挙げられる。
【0051】<酸性エッチング処理>酸性エッチング処
理は、酸性水溶液中でアルミニウム板を化学的にエッチ
ングする処理であり、上記電気化学的粗面化処理の後に
行うのが好ましい。また、上記電気化学的粗面化処理の
前および/または後に上記アルカリエッチング処理を行
う場合は、アルカリエッチング処理の後に酸性エッチン
グ処理を行うのも好ましい。アルミニウム板に上記アル
カリエッチング処理を施した後に、上記酸性エッチング
処理を施すと、アルミニウム板表面のシリカを含む金属
間化合物または単体Siを除去することができ、その後
の陽極酸化処理において生成する陽極酸化皮膜の欠陥を
なくすことができる。その結果、印刷時にチリ状汚れと
称される非画像部に点状のインクが付着するトラブルを
防止することができる。
【0052】酸性エッチング処理に用いられる酸性水溶
液としては、リン酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、ま
たはこれらの2種以上の混酸を含有する水溶液が挙げら
れる。中でも、硫酸水溶液が好ましい。酸性水溶液の濃
度は、50〜500g/Lであるのが好ましい。酸性水
溶液は、アルミニウムはもちろん、アルミニウム板中に
含有される合金成分を含有していてもよい。
【0053】酸性エッチング処理は、液温を60〜90
℃、好ましくは70〜80℃とし、1〜10秒間処理す
ることにより行うのが好ましい。このときのアルミニウ
ム板の溶解量は0.001〜0.2g/m2 であるのが
好ましい。また、酸濃度、例えば、硫酸濃度とアルミニ
ウムイオン濃度は、常温で晶出しない範囲から選択する
ことが好ましい。好ましいアルミニウムイオン濃度は
0.1〜50g/Lであり、特に好ましくは5〜15g
/Lである。また、酸性エッチング処理が終了した後に
は、処理液を次工程に持ち出さないために、ニップロー
ラによる液切りとスプレーによる水洗とを行うのが好ま
しい。
【0054】<デスマット処理>上記電気化学的粗面化
処理の前および/または後に上記アルカリエッチング処
理を行う場合は、アルカリエッチング処理により、一般
にアルミニウム板の表面にスマットが生成するので、リ
ン酸、硝酸、硫酸、クロム酸、塩酸、フッ酸、ホウフッ
化水素酸、またはこれらの2種以上の混酸を含有する酸
性溶液中で上記スマットを溶解する、いわゆるデスマッ
ト処理をアルカリエッチング処理の後に行うのが好まし
い。なお、アルカリエッチング処理の後には、酸性エッ
チング処理およびデスマット処理のうち、いずれか一方
を行えば十分である。
【0055】酸性溶液の濃度は、1〜500g/Lであ
るのが好ましい。酸性溶液中にはアルミニウムはもちろ
ん、アルミニウム板中に含有される合金成分が0.00
1〜50g/L溶解していてもよい。酸性溶液の液温
は、20℃〜95℃であるのが好ましく、30〜70℃
であるのがより好ましい。また、処理時間は1〜120
秒であるのが好ましく、2〜60秒であるのがより好ま
しい。また、デスマット処理液(酸性溶液)としては、
上記電気化学的粗面化処理で用いた酸性水溶液の廃液を
用いるのが、廃液量削減の上で好ましい。デスマット処
理が終了した後には、処理液を次工程に持ち出さないた
めにニップローラによる液切りとスプレーによる水洗と
を行うのが好ましい。
【0056】これらの表面処理の組み合わせとして、好
ましい態様を以下に示す。まず、機械的粗面化処理およ
び/またはアルカリエッチング処理を行い、その後、デ
スマット処理を行う。つぎに、電気化学的粗面化処理を
行い、その後、酸性エッチング処理、アルカリエッ
チング処理およびそれに引き続くデスマット処理、ア
ルカリエッチング処理およびそれに引き続く酸性エッチ
ング処理のいずれかを行う。
【0057】<陽極酸化処理>以上のようにして必要に
応じて各処理を施されたアルミニウム板に、陽極酸化処
理を施す。陽極酸化処理はこの分野で従来行われている
方法で行うことができる。具体的には、硫酸、リン酸、
クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホ
ン酸等の単独のまたは2種以上を組み合わせた水溶液ま
たは非水溶液の中で、アルミニウム板に直流または交流
を流すと、アルミニウム板の表面に、陽極酸化皮膜を形
成することができる。陽極酸化処理の条件は、使用され
る電解液によって種々変化するので一概に決定され得な
いが、一般的には電解液濃度1〜80質量%、液温5〜
70℃、電流密度0.5〜60A/dm2 、電圧1〜2
00V、電解時間1〜1000秒であるのが適当であ
る。これらの陽極酸化処理の中でも、英国特許第1,4
12,768号明細書に記載されている、硫酸電解液中
で高電流密度で陽極酸化処理する方法、および、米国特
許第3,511,661号明細書に記載されている、リ
ン酸を電解浴として陽極酸化処理する方法が好ましい。
また、硫酸中で陽極酸化処理し、更にリン酸中で陽極酸
化処理するなどの多段陽極酸化処理を施すこともでき
る。
【0058】本発明においては、陽極酸化皮膜は、傷付
きにくさおよび耐刷性の点で、1.0g/m2 以上であ
るのが好ましく、2.0g/m2 以上であるのがより好
ましく、3.0g/m2 以上であるのが特に好ましく、
また、厚い皮膜を設けるためには多大なエネルギーを必
要とすることを鑑みると、100g/m2 以下であるの
が好ましく、40g/m2 以下であるのがより好まし
く、20g/m2 以下であるのが特に好ましい。
【0059】陽極酸化皮膜には、その表面にマイクロポ
アと呼ばれる微細な凹部が一様に分布して形成されてい
る。陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの密度は、処
理条件を適宜選択することによって調整することができ
る。
【0060】本発明においては、陽極酸化皮膜の空隙率
が、20〜70%であるのが好ましく、30〜60%で
あるのがより好ましく、40〜50%であるのが特に好
ましい。陽極酸化皮膜の空隙率が20%以上であると、
アルミニウム支持体への熱拡散の抑制が十分となり、高
感度化の効果が十分に得られる。陽極酸化皮膜の空隙率
が70%以下であると、非画像部に汚れが発生する問題
がより起こりにくくなる。
【0061】<ポアワイド処理>本発明においては、陽
極酸化皮膜の空隙率を好適範囲に調整し、熱伝導率を下
げる目的で、陽極酸化処理の後、マイクロポアのポア径
を拡げるポアワイド処理を行うことが好ましい。このポ
アワイド処理は、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウ
ム基板を酸水溶液またはアルカリ水溶液に浸せきするこ
とにより、陽極酸化皮膜を溶解し、マイクロポアのポア
径を拡大するものである。ポアワイド処理は、陽極酸化
皮膜の溶解量が、好ましくは0.01〜20g/m2
より好ましくは0.1〜5g/m2 、特に好ましくは
0.2〜4g/m2 となる範囲で行われる。
【0062】ポアワイド処理に酸水溶液を用いる場合
は、硫酸、リン酸、硝酸、塩酸等の無機酸またはこれら
の混合物の水溶液を用いることが好ましい。酸水溶液の
濃度は10〜1000g/Lであるのが好ましく、20
〜500g/Lであるのがより好ましい。酸水溶液の温
度は、10〜90℃であるのが好ましく、30〜70℃
であるのがより好ましい。酸水溶液への浸せき時間は、
1〜300秒であるのが好ましく、2〜100秒である
のがより好ましい。一方、ポアワイド処理にアルカリ水
溶液を用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムおよび水酸化リチウムからなる群から選ばれる少なく
とも一つのアルカリの水溶液を用いることが好ましい。
アルカリ水溶液のpHは、10〜13であるのが好まし
く、11.5〜13.0であるのがより好ましい。アル
カリ水溶液の温度は、10〜90℃であるのが好まし
く、30〜50℃であるのがより好ましい。アルカリ水
溶液への浸せき時間は、1〜500秒であるのが好まし
く、2〜100秒であるのがより好ましい。
【0063】<封孔処理>本発明においては、上述した
ようにして陽極酸化皮膜を設けて得られたアルミニウム
支持体に封孔処理を行ってもよい。封孔処理皮膜は、例
えば、電着封孔処理をした場合にはポアの底部から形成
され、また、水蒸気封孔処理をした場合にはポアの上部
から形成され、封孔処理の仕方によって封孔処理皮膜の
形成され方は異なる。本発明に好適な封孔処理の形成は
陽極酸化皮膜内部を封孔せず、表層のマイクロポアのみ
を封孔する封孔処理である。本発明に用いられる封孔処
理としては、特開平4−176690号公報および特願
平10−106819号明細書(特開平11−3011
35号公報)に記載の加圧水蒸気や熱水による陽極酸化
皮膜の封孔処理が挙げられる。また、ケイ酸塩処理、重
クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウ
ム塩処理、電着封孔処理、トリエタノールアミン処理、
炭酸バリウム塩処理、極微量のリン酸塩を含む熱水処理
等の公知の方法を用いて行うこともできる。中でも本発
明に好適な封孔処理は、特願2001−9871号明細
書に記載の微粒子による封孔処理である。微粒子による
封孔処理は平均粒径8〜800nm、好ましくは平均粒
径10〜500nm、より好ましくは平均粒径10〜1
50nmの粒子からなる粒子層が設けられる。粒子の平
均粒径が8nm以上であると、陽極酸化皮膜に存在する
マイクロポアの内部に粒子が入り込んでしまうおそれが
少なく、高感度化の効果が十分に得られる。粒子の平均
粒径が800nm以下であると、感熱層との密着性が十
分となり、耐刷性が優れたものとなる。粒子層の厚さ
は、8〜800nmであるのが好ましく、10〜500
nmであるのがより好ましい。
【0064】本発明に用いられる粒子は、熱伝導率が6
0W/(m・K)以下であるのが好ましく、40W/
(m・K)以下であるのがより好ましく、0.3〜10
W/(m・K)以下であるのが特に好ましい。熱伝導率
が60W/(m・K)以下であると、アルミニウム支持
体への熱拡散の抑制が十分となり、高感度化の効果が十
分に得られる。
【0065】粒子層を設ける方法は、特に限定されない
が、アルミニウム支持体を平均粒径8〜800nmの親
水性粒子を含有する電解液を用い、直流または交流を用
いて電解処理する方法が好ましい。上記電解処理に用い
られる交流電流の波形としては、サイン波、矩形波、三
角波、台形波等が挙げられる。また、交流電流の周波数
は、電源装置を製作するコストの観点から、30〜20
0Hzであるのが好ましく、40〜120Hzであるの
がより好ましい。交流電流の波形として台形波を用いる
場合、電流が0からピークに達するまでの時間tpはそ
れぞれ0.1〜2msecであるのが好ましく、0.3
〜1.5msecであるのがより好ましい。上記tpが
0.1msec未満であると、電源回路のインピーダン
スが影響し、電流波形の立ち上がり時に大きな電源電圧
が必要となり、電源の設備コストが高くなる場合があ
る。親水性粒子としては、Al2 3 、TiO2 、Si
2 およびZrO2 を単独でまたは2種以上を組み合わ
せて用いるのが好ましい。電解液は、例えば、前記親水
性粒子を含有量が全体の0.01〜20質量%となるよ
うに、水等に懸濁させて得られる。電解液は、電荷をプ
ラスまたはマイナスに帯電させるために、例えば、硫酸
を添加するなどして、pHを調整することもできる。電
解処理は、例えば、直流を用い、アルミニウム支持体を
陰極として、上記電解液を用い、電圧10〜200Vで
1〜600秒間の条件で行う。この方法によれば、容易
に、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの内部に空隙
を残しつつ、その口をふさぐことができる。封孔方法に
はそのほかにも、溶液による浸せき処理、スプレー処
理、コーティング処理、蒸着処理、スバッタリング、イ
オンプレーティング、溶射、鍍金等が挙げられるが、特
に限定されるものではない。
【0066】具体的処理方法として、例えば、特開昭6
0−149491号公報に記載されている、少なくとも
1個のアミノ基と、カルボキシル基およびその塩の基な
らびにスルホ基およびその塩の基からなる群から選ばれ
た少なくとも1個の基とを有する化合物からなる層、特
開昭60−232998号公報に記載されている、少な
くとも1個のアミノ基と少なくとも1個のヒドロキシ基
を有する化合物およびその塩から選ばれた化合物からな
る層、特開昭62−19494号公報に記載されている
リン酸塩を含む層、特開昭59−101651号公報に
記載されているスルホ基を有するモノマー単位の少なく
とも1種を繰り返し単位として分子中に有する高分子化
合物からなる層等をコーティングによって設ける方法が
挙げられる。
【0067】また、カルボキシメチルセルロース;デキ
ストリン;アラビアガム;2−アミノエチルホスホン酸
等のアミノ基を有するホスホン酸類;置換基を有してい
てもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、ア
ルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホ
スホン酸、エチレンジホスホン酸等の有機ホスホン酸;
置換基を有していてもよいフェニルリン酸、ナフチルリ
ン酸、アルキルリン酸、グリセロリン酸等の有機リン酸
エステル;置換基を有していてもよいフェニルホスフィ
ン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸、
グリセロホスフィン酸などの有機ホスフィン酸;グリシ
ン、β−アラニン等のアミノ酸類;トリエタノールアミ
ンの塩酸塩等のヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等
から選ばれる化合物の層を設ける方法も挙げられる。
【0068】封孔処理には、不飽和基を有するシランカ
ップリング剤を塗設処理してもよい。シランカップリン
グ剤としては、例えば、N−3−(アクリロキシ−2−
ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、(3−アクリロキシプロピル)ジメチルメト
キシシラン、(3−アクリロキシプロピル)メチルジメ
トキシシラン、(3−アクリロキシプロピル)トリメト
キシシラン、3−(N−アリルアミノ)プロピルトリメ
トキシシラン、アリルジメトキシシラン、アリルトリエ
トキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3−ブテニ
ルトリエトキシシラン、2−(クロロメチル)アリルト
リメトキシシラン、メタクリルアミドプロピルトリエト
キシシラン、N−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキ
シプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、(メタクリロキシメチル)ジメチルエトキシシラ
ン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタク
リロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプ
ロピルジメチルエトキシシラン、メタクリロキシプロピ
ルジメチルメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメ
チルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチル
ジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルトリ
エトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルトリメ
トキシシラン、メタクリロキシプロピルトリス(メトキ
シエトキシ)シラン、メトキシジメチルビニルシラン、
1−メトキシ−3−(トリメチルシロキシ)ブタジエ
ン、スチリルエチルトリメトキシシラン、3−(N−ス
チリルメチル−2−アミノエチルアミノ)−プロピルト
リメトキシシラン塩酸塩、ビニルジメチルエトキシシラ
ン、ビニルジフェニルエトキシシラン、ビニルメチルジ
エトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、O−
(ビニロキシエチル)−N−(トリエトキシシリルプロ
ピル)ウレタン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、
ビニルトリイソプロポキシシシラン、ビニルトリフェノ
キシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シ
ラン、ジアリルアミノプロピルメトキシシランが挙げら
れる。中でも、不飽和基の反応性が速いメタクリロイル
基、アクリロイル基を有するシランカップリング剤が好
ましい。
【0069】そのほかにも、特開平5−50779号公
報に記載されているゾルゲルコーティング処理、特開平
5−246171号公報に記載されているホスホン酸類
のコーティング処理、特開平6−234284号公報、
特開平6−191173号公報および特開平6−230
563号公報に記載されているバックコート用素材をコ
ーティングにより処理する方法、特開平6−26287
2号公報に記載されているホスホン酸類の処理、特開平
6−297875号公報に記載されているコーティング
処理、特開平10−109480号公報に記載されてい
る陽極酸化処理する方法、特願平10−252078号
明細書(特開2000−81704号公報)および特願
平10−253411号明細書(特開2000−894
66号公報)に記載されている浸せき処理方法等が挙げ
られ、いずれの方法を用いてもよい。
【0070】<無機フッ素化合物とケイ酸化合物とを含
有する水溶液での処理>本発明においては、好ましい封
孔処理として、無機フッ素化合物とケイ酸化合物とを含
有する水溶液で処理することができる。これにより、平
版印刷版としたときに、耐汚れ性に優れる平版印刷版用
支持体が得られる。本発明に用いられる無機フッ素化合
物としては、金属フッ化物が好適に挙げられる。具体的
には、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フ
ッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、ヘキサフルオロ
ジルコニウムナトリウム、ヘキサフルオロジルコニウム
カリウム、ヘキサフルオロチタン酸ナトリウム、ヘキサ
フルオロチタン酸カリウム、ヘキサフルオロジルコニウ
ム水素酸、ヘキサフルオロチタン水素酸、ヘキサフルオ
ロジルコニウムアンモニウム、ヘキサフルオロチタン酸
アンモニウム、ヘキサフルオロケイ酸、フッ化ニッケ
ル、フッ化鉄、フッ化リン酸、フッ化リン酸アンモニウ
ムが挙げられる。
【0071】また、本発明に用いられるケイ酸化合物と
しては、ケイ酸、ケイ酸塩が挙げられるが、中でもアル
カリ金属ケイ酸塩が好適に挙げられる。具体的には、例
えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチ
ウムが挙げられる。中でも、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸
カリウムが好ましい。ケイ酸ナトリウムは、例えば、3
号ケイ酸ナトリウム、2号ケイ酸ナトリウム、1号ケイ
酸ナトリウム、オルソケイ酸ナトリウム、セスキケイ酸
ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムが挙げられる。ケイ
酸カリウムは、例えば1号ケイ酸カリウムが挙げられ
る。又、アルミニウムを含むアルミノケイ酸塩、ホウ酸
を含むホウケイ酸塩を用いることもできる。ケイ酸は、
オルトケイ酸、メタケイ酸、メタ二ケイ酸、メタ三ケイ
酸、メタ四ケイ酸が挙げられる。
【0072】水溶液中の各化合物の濃度は、無機フッ素
化合物については、陽極酸化皮膜の封孔の点で、0.0
1質量%以上であるのが好ましく、0.05質量%以上
であるのがより好ましく、0.1質量%以上であるのが
特に好ましく、また、汚れ性の点で、10質量%以下で
あるのが好ましく、1質量%以下であるのがより好まし
く、0.5質量%以下であるのが特に好ましい。また、
ケイ酸化合物については、汚れ性の点で、0.01質量
%以上であるのが好ましく、0.1質量%以上であるの
がより好ましく、1質量%以上であるのが特に好まし
く、また、耐刷性の点で、10質量%以下であるのが好
ましく、7質量%以下であるのがより好ましく、5質量
%以下であるのが特に好ましい。水溶液中の各化合物と
の割合は、特に限定されないが、無機フッ素化合物とケ
イ酸化合物の質量比が、5:95〜95:5であるのが
好ましく、20:80〜80:20であるのがより好ま
しい。
【0073】また、無機フッ素化合物とケイ酸化合物と
を含有する水溶液は、pHを高くするために、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化
物を適当量含有してもよい。中でも、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムが好ましい。また、無機フッ素化合
物とケイ酸化合物とを含有する水溶液は、アルカリ土類
金属塩または4族(第IVB族)金属塩を含有してもよ
い。アルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カルシ
ウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バ
リウム等の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸
塩;シュウ酸塩;ホウ酸塩等の水溶性塩が挙げられる。
4族(第IVB族)金属塩としては、例えば、四塩化チ
タン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸
チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸
化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジル
コニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。これらの
アルカリ土類金属塩および4族(第IVB族)金属塩
は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0074】また、水溶液の温度は、10℃以上である
のが好ましく、20℃以上であるのがより好ましく、ま
た、100℃以下であるのが好ましく、80℃以下であ
るのがより好ましい。また、水溶液は、pH8以上であ
るのが好ましく、pH10以上であるのがより好まし
く、また、pH13以下であるのが好ましく、pH12
以下であるのがより好ましい。
【0075】無機フッ素化合物とケイ酸化合物とを含有
する水溶液での処理の方法は、特に限定されず、例え
ば、浸せき法、スプレー法が挙げられる。これらは単独
で1回または複数回用いてもよく、2種以上を組み合わ
せて用いてもよい。中でも、浸せき法が好ましい。浸せ
き法を用いて処理する場合、処理時間は、1秒以上であ
るのが好ましく、3秒以上であるのがより好ましく、ま
た、600秒以下であるのが好ましく、120秒以下で
あるのがより好ましい。
【0076】<親水性表面処理>本発明においては、ア
ルミニウム支持体に、更に1種以上の親水性化合物を含
有する水溶液へ浸せきすることにより、親水性表面処理
を行ってもよい。親水性化合物としては、例えば、ポリ
ビニルホスホン酸、スルホン酸基を有する化合物、糖類
化合物、ケイ酸塩化合物が好適に挙げられる。中でもポ
リビニルホスホン酸、ケイ酸塩化合物が好適である。ケ
イ酸塩化合物が最も好適に挙げられる。
【0077】スルホン酸基を有する化合物には、芳香族
スルホン酸、そのホルムアルデヒド縮合物、それらの誘
導体、およびそれらの塩が含まれる。芳香族スルホン酸
としては、例えば、フェノールスルホン酸、カテコール
スルホン酸、レゾルシノールスルホン酸、ベンゼンスル
ホン酸、トルエンスルホン酸、リグニンスルホン酸、ナ
フタレンスルホン酸、アセナフテン−5−スルホン酸、
フェナントレン−2−スルホン酸、ベンズアルデヒド−
2(または3)−スルホン酸、ベンズアルデヒド−2,
4(または3,5)−ジスルホン酸、オキシベンジルス
ルホン酸類、スルホ安息香酸、スルファニル酸、ナフチ
オン酸、タウリンが挙げられる。中でも、ベンゼンスル
ホン酸、ナフタレンスルホン酸、リグニンスルホン酸が
好ましい。また、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスル
ホン酸、リグニンスルホン酸のホルムアルデヒド縮合物
も好ましい。更に、これらは、スルホン酸塩として使用
してもよい。例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチ
ウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩が挙げられる。
中でも、ナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。スルホ
ン酸基を有する化合物を含有する水溶液のpHは、4〜
6.5であるのが好ましく、硫酸、水酸化ナトリウム、
アンモニア等を用いて上記pH範囲に調整することがで
きる。
【0078】糖類化合物には、単糖類およびその糖アル
コール、オリゴ糖類、多糖類、ならびに、配糖体が含ま
れる。単糖類およびその糖アルコールとしては、例え
ば、グリセロール等のトリオース類およびその糖アルコ
ール類;トレオース、エリトリトール等のテトロースお
よびその糖アルコール類;アラビノース、アラビトール
等のペントースおよびその糖アルコール類;グルコー
ス、ソルビトール等のヘキソースおよびその糖アルコー
ル類;D−グリセロ−D−ガラクトヘプトース、D−グ
リセロ−D−ガラクトヘプチトール等のヘプトースおよ
びその糖アルコール類;D−エリトロ−D−ガラクトオ
クチトール等のオクトースおよびその糖アルコール類;
D−エリトロ−L−グルコ−ノヌロース等のノノースお
よびその糖アルコール類が挙げられる。オリゴ糖類とし
ては、例えば、サッカロース、トレハロース、ラクトー
ス等の二糖類;ラフィノース等の三糖類が挙げられる。
多糖類としては、例えば、アミロース、アラビナン、シ
クロデキストリン、アルギン酸セルロースが挙げられ
る。
【0079】本発明において、「配糖体」とは、糖部分
と非糖部分がエーテル結合等を介して結合している化合
物をいう。配糖体は非糖部分により分類することができ
る。例えば、アルキル配糖体、フェノール配糖体、クマ
リン配糖体、オキシクマリン配糖体、フラボノイド配糖
体、アントラキノン配糖体、トリテルペン配糖体、ステ
ロイド配糖体、からし油配糖体が挙げられる。糖部分と
しては、上述した単糖類およびその糖アルコール;オリ
ゴ糖類;多糖類が挙げられる。中でも、単糖類、オリゴ
糖類が好ましく、単糖類、二糖類がより好ましい。好ま
しい配糖体の例として、下記式(I)で表される化合物
が挙げられる。
【0080】
【化1】
【0081】上記式(I)中、Rは、炭素原子数1〜2
0の直鎖のまたは分枝を有する、アルキル基、アルケニ
ル基またはアルキニル基を表す。炭素原子数1〜20の
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチ
ル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシ
ル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプ
タデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル基が
挙げられ、これらは直鎖であっても、分枝を有していて
もよく、また、環状アルキル基であってもよい。炭素原
子数1〜20のアルケニル基としては、例えば、アリ
ル、2−ブテニル基が挙げられ、これらは直鎖であって
も、分枝を有していてもよく、また、環状アルケニル基
であってもよい。炭素原子数1〜20のアルキニル基と
しては、例えば、1−ペンチニル基が挙げられ、これら
は直鎖であっても、分枝を有していてもよく、また、環
状アルキニル基であってもよい。
【0082】上記式(I)で表される具体的な化合物と
しては、例えば、メチルグルコシド、エチルグルコシ
ド、プロピルグルコシド、イソプロピルグルコシド、ブ
チルグルコシド、イソブチルグルコシド、n−ヘキシル
グルコシド、オクチルグルコシド、カプリルグルコシ
ド、デシルグルコシド、2−エチルヘキシルグルコシ
ド、2−ペンチルノニルグルコシド、2−ヘキシルデシ
ルグルコシド、ラウリルグルコシド、ミリスチルグルコ
シド、ステアリルグルコシド、シクロヘキシルグルコシ
ド、2−ブチニルグルコシドが挙げられる。これらの化
合物は、配糖体の一種であるグルコシドで、ブドウ糖の
ヘミアセタールヒドロキシル基が他の化合物をエーテル
状に結合したものであり、例えば、グルコースとアルコ
ール類とを反応させる公知の方法により得ることができ
る。これらのアルキルグルコシドの一部は、ドイツHe
nkel社により商品名グルコポン(GLUCOPO
N)として市販されており、本発明ではそれを用いるこ
とができる。
【0083】好ましい配糖体の別の例としては、サポニ
ン類、ルチントリハイドレート、ヘスペリジンメチルカ
ルコン、ヘスペリジン、ナリジンハイドレート、フェノ
ール−β−D−グルコピラノシド、サリシン、3´,
5,7−メトキシ−7−ルチノシドが挙げられる。
【0084】糖類化合物を含有する水溶液のpHは、8
〜11であるのが好ましく、水酸化カリウム、硫酸、炭
酸、炭酸ナトリウム、リン酸、リン酸ナトリウム等を用
いて上記pH範囲に調整することができる。
【0085】ポリビニルホスホン酸の水溶液は、濃度が
0.1〜5質量%であるのが好ましく、0.2〜2.5
%であるのがより好ましい。浸せき温度は10〜70℃
であるのが好ましく、30〜60℃であるのがより好ま
しい。浸せき時間は1〜20秒であるのが好ましい。ま
た、スルホン酸基を有する化合物の水溶液は、濃度が
0.02〜0.2質量%であるのが好ましい。浸せき温
度は60〜100℃であるのが好ましい。浸せき時間は
1〜300秒であるのが好ましく、10〜100秒であ
るのがより好ましい。更に、糖類化合物の水溶液は、濃
度が0.5〜10質量%であるのが好ましい。浸せき温
度は40〜70℃であるのが好ましい。浸せき時間は2
〜300秒であるのが好ましく、5〜30秒であるのが
より好ましい。
【0086】本発明では、親水性化合物を含有する水溶
液として、上述したような有機化合物の水溶液のほか
に、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液、フッ化ジルコニウム
カリウム(K2 ZrF6 )水溶液、リン酸塩/無機フッ
素化合物を含む水溶液等の無機化合物水溶液も好適に用
いられる。
【0087】アルカリ金属ケイ酸塩水溶液処理は、好ま
しくは濃度が0.01〜30質量%、より好ましくは
0.1〜10質量%であり、25℃でのpHが好ましく
は10〜13であるアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液に、
支持体を、好ましくは30〜100℃、より好ましくは
50〜90℃で、好ましくは0.5〜40秒間、より好
ましくは1〜20秒間浸せきすることにより行う。
【0088】親水性表面処理に用いられるアルカリ金属
ケイ酸塩は、例えば、上述した無機フッ素化合物とケイ
酸化合物とを含有する水溶液に用いられるアルカリ金属
ケイ酸塩として列挙したものが挙げられる。アルカリ金
属ケイ酸塩の水溶液は、pHを高くするために、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸
化物を適当量含有してもよい。中でも、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムが好ましい。また、アルカリ金属ケ
イ酸塩の水溶液は、アルカリ土類金属塩または4族(第
IVB族)金属塩を含有してもよい。アルカリ土類金属
塩としては、例えば、上述した無機フッ素化合物とケイ
酸化合物とを含有する水溶液が含有してもよいアルカリ
土類金属塩として列挙したものが挙げられる。アルカリ
土類金属塩および4族(第IVB族)金属塩は、単独で
または2種以上組み合わせて用いられる。
【0089】フッ化ジルコニウムカリウム水溶液処理
は、好ましくは濃度が0.1〜10質量%、より好まし
くは0.5〜2質量%のフッ化ジルコニウムカリウムの
水溶液に、支持体を、好ましくは30〜80℃で、好ま
しくは60〜180秒間浸せきすることにより行う。
【0090】リン酸塩/無機フッ素化合物処理は、好ま
しくはリン酸塩化合物濃度が5〜20質量%、無機フッ
素化合物濃度が0.01〜1質量%であり、好ましくは
pHが3〜5の水溶液に、支持体を、好ましくは20〜
100℃、より好ましくは40〜80℃で、好ましくは
2〜300秒間、より好ましくは5〜30秒間浸せきす
ることにより行う。
【0091】本発明に用いられるリン酸塩としては、例
えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属等の金属のリン
酸塩が挙げられる。具体的には、例えば、リン酸亜鉛、
リン酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素
二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸一
アンモニウム、リン酸一カリウム、リン酸一ナトリウ
ム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リ
ン酸カルシウム、リン酸水素アンモニウムナトリウム、
リン酸水素マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸
第一鉄、リン酸第二鉄、リン酸二水素ナトリウム、リン
酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸鉛、リ
ン酸二アンモニウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸
リチウム、リンタングステン酸、リンタングステン酸ア
ンモニウム、リンタングステン酸ナトリウム、リンモリ
ブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸ナトリウム;
亜リン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロ
リン酸ナトリウムが挙げられる。中でも、リン酸二水素
ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カ
リウム、リン酸水素二カリウムが好ましい。
【0092】また、親水性表面処理に用いられる無機フ
ッ素化合物としては、金属フッ化物が好適に挙げられ
る。具体的には、例えば、上述した無機フッ素化合物と
ケイ酸化合物とを含有する水溶液に用いられる無機フッ
素化合物として列挙したものが挙げられる。
【0093】リン酸塩/無機フッ素化合物処理に用いら
れる水溶液は、リン酸塩および無機フッ素化合物をそれ
ぞれ1種または2種以上含有することができる。
【0094】支持体は、これらの親水性化合物を含有す
る水溶液へ浸せきした後には、水等によって洗浄され、
乾燥される。
【0095】上述した親水性表面処理により、陽極酸化
処理後のポアワイド処理により向上した感度(ネガタイ
プの感光層の場合は耐刷性の向上)と引き替えに発生す
る耐放置汚れ性(インキ払い性)劣化等の印刷汚れの問
題が解消される。即ち、ポア径が拡大したことにより、
印刷時、特に印刷機が停止し、平版印刷版が印刷機上で
放置された後の印刷再スタート時に、インキが取れにく
くなる現象(耐放置汚れ性(インキ払い性)劣化)が起
こりやすくなる問題があるが、親水性表面処理が施され
ていると、上記問題が軽減される。
【0096】<下塗層>本発明においては、このように
して得られたアルミニウム支持体上に、赤外線レーザー
露光により書き込み可能な記録層を設ける前に、必要に
応じて、例えば、ホウ酸亜鉛等の水溶性金属塩のような
無機下塗層や、有機下塗層を設けてもよい。
【0097】有機下塗層に用いられる有機化合物として
は、例えば、カルボキシメチルセルロース;デキストリ
ン;アラビアガム;スルホン酸基を側鎖に有する重合体
および共重合体;ポリアクリル酸;2−アミノエチルホ
スホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸類;置換基を
有していてもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホ
ン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチ
レンジホスホン酸、エチレンジホスホン酸等の有機ホス
ホン酸;置換基を有していてもよいフェニルリン酸、ナ
フチルリン酸、アルキルリン酸、グリセロリン酸等の有
機リン酸;置換基を有していてもよいフェニルホスフィ
ン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸、
グリセロホスフィン酸等の有機ホスフィン酸;グリシ
ン、β−アラニン等のアミノ酸類;トリエタノールアミ
ンの塩酸塩等のヒドロキシル基を有するアミンの塩酸
塩;黄色染料が挙げられる。これらは単独で用いてもよ
く、2種以上を混合して用いてもよい。
【0098】有機下塗層は、水もしくはメタノール、エ
タノール、メチルエチルケトン等の有機溶媒、またはそ
れらの混合溶剤に、上記有機化合物を溶解させた溶液を
アルミニウム板上に塗布し乾燥することにより設けられ
る。上記有機化合物を溶解させた溶液の濃度は、0.0
05〜10質量%であるのが好ましい。塗布の方法は、
特に限定されず、バーコーター塗布、回転塗布、スプレ
ー塗布、カーテン塗布等のいずれの方法も用いることが
できる。有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜200m
g/m2 であるのが好ましく、5〜100mg/m2
あるのがより好ましい。上記範囲であると、耐刷性がよ
り良好になる。
【0099】<バックコート層>上述したようにして得
られる支持体には、平版印刷版原版としたときに、重ね
ても記録層が傷付かないように、裏面(記録層が設けら
れない側の面)に、有機高分子化合物からなる被覆層
(以下「バックコート層」ともいう。)を必要に応じて
設けてもよい。バックコート層の主成分としては、ガラ
ス転移点が20℃以上の、飽和共重合ポリエステル樹
脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂および
塩化ビニリデン共重合樹脂からなる群から選ばれる少な
くとも1種の樹脂を用いるのが好ましい。
【0100】飽和共重合ポリエステル樹脂は、ジカルボ
ン酸ユニットとジオールユニットとからなる。ジカルボ
ン酸ユニットとしては、例えば、フタル酸、テレフタル
酸、イソフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロ
ルフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼ
ライン酸、コハク酸、シュウ酸、スベリン酸、セバチン
酸、マロン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等
の飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
【0101】バックコート層は、更に、着色のための染
料や顔料、支持体との密着性を向上させるためのシラン
カップリング剤、ジアゾニウム塩からなるジアゾ樹脂、
有機ホスホン酸、有機リン酸、カチオン性ポリマー、滑
り剤として通常用いられるワックス、高級脂肪酸、高級
脂肪酸アミド、ジメチルシロキサンからなるシリコーン
化合物、変性ジメチルシロキサン、ポリエチレン粉末等
を適宜含有することができる。
【0102】バックコート層の厚さは、基本的には合紙
がなくても、後述する記録層を傷付けにくい程度であれ
ばよく、0.01〜8μmであるのが好ましい。厚さが
0.01μm未満であると、平版印刷版原版を重ねて取
り扱った場合の記録層の擦れ傷を防ぐことが困難であ
る。また、厚さが8μmを超えると、印刷中、平版印刷
版周辺で用いられる薬品によってバックコート層が膨潤
して厚みが変動し、印圧が変化して印刷特性を劣化させ
ることがある。
【0103】バックコート層を支持体の裏面に設ける方
法としては、種々の方法を用いることができる。例え
ば、上記バックコート層用成分を適当な溶媒に溶解し溶
液にして塗布し、または、乳化分散液して塗布し、乾燥
する方法;あらかじめフィルム状に成形したものを接着
剤や熱での支持体に貼り合わせる方法;溶融押出機で溶
融被膜を形成し、支持体に貼り合わせる方法が挙げられ
る。好適な厚さを確保するうえで最も好ましいのは、バ
ックコート層用成分を適当な溶媒に溶解し溶液にして塗
布し、乾燥する方法である。この方法においては、特開
昭62−251739号公報に記載されているような有
機溶剤を単独でまたは混合して、溶媒として用いること
ができる。
【0104】平版印刷版原版の製造においては、裏面の
バックコート層と表面の記録層のどちらを先に支持体上
に設けてもよく、また、両者を同時に設けてもよい。
【0105】本発明の平版印刷版原版は、このようにし
て得られるアルミニウム支持体上に、赤外線レーザー露
光により書き込み可能な記録層を設けることにより得ら
れる。 <記録層>本発明の平版印刷版原版においては、記録層
が、(a)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー、ま
たは、(b)熱反応性官能基を有する化合物を内包する
マイクロカプセルを含有する感熱層であるのが好まし
い。この感熱層を用いると、機上現像タイプの平版印刷
版原版とすることができる。
【0106】上記(a)および(b)に共通の熱反応性
官能基としては、例えば、重合反応を行うエチレン性不
飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、
ビニル基、アリル基)、付加反応を行うイソシアネート
基またはそのブロック体、その反応相手である活性水素
原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシル
基、カルボキシル基)、同じく付加反応を行うエポキシ
基、その反応相手であるアミノ基、カルボキシル基また
はヒドロキシル基、縮合反応を行うカルボキシル基とヒ
ドロキシル基またはアミノ基、開環付加反応を行う酸無
水物とアミノ基またはヒドロキシル基が挙げられる。本
発明に用いられる熱反応性官能基は、これらに限定され
ず、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行
う官能基でもよい。
【0107】(a)微粒子ポリマーに好適な熱反応性官
能基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリルロ
イル基、ビニル基、アリル基、エポキシ基、アミノ基、
ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート基、
酸無水物基およびそれらを保護した基が挙げられる。熱
反応性官能基のポリマー粒子への導入は、ポリマーの重
合時に行ってもよいし、重合後に高分子反応を利用して
行ってもよい。
【0108】熱反応性官能基をポリマーの重合時に導入
する場合は、熱反応性官能基を有するモノマーを用いて
乳化重合または懸濁重合を行うのが好ましい。熱反応性
官能基を有するモノマーの具体例としては、アリルメタ
クリレート、アリルアクリレート、ビニルメタクリレー
ト、ビニルアクリレート、グリシジルメタクリレート、
グリシジルアクリレート、2−イソシアネートエチルメ
タクリレート、そのアルコールなどによるブロックイソ
シアネート、2−イソシアネートエチルアクリレート、
そのアルコールなどによるブロックイソシアネート、2
−アミノエチルメタクリレート、2−アミノエチルアク
リレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−
ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリ
ル酸、無水マレイン酸、二官能アクリレート、二官能メ
タクリレートが挙げられる。本発明に用いられる熱反応
性官能基を有するモノマーは、これらに限定されない。
これらのモノマーと共重合可能な、熱反応性官能基を有
しないモノマーとしては、例えば、スチレン、アルキル
アクリレート、アルキルメタクリレート、アクリロニト
リル、酢酸ビニルが挙げられる。本発明に用いられる熱
反応性官能基を有しないモノマーは、これらに限定され
ない。
【0109】熱反応性官能基をポリマーの重合後に導入
する場合に用いられる高分子反応としては、例えば、国
際公開第96/34316号パンフレットに記載されて
いる高分子反応が挙げられる。
【0110】上記(a)微粒子ポリマーの中でも、微粒
子ポリマー同士が熱により合体するものが好ましく、そ
の表面が親水性で水に分散するものがより好ましい。ま
た、微粒子ポリマーのみを塗布し、凝固温度よりも低い
温度で乾燥して作製したときの皮膜の接触角(空中水
滴)が、凝固温度よりも高い温度で乾燥して作製したと
きの皮膜の接触角(空中水滴)よりも低くなることが好
ましい。このように微粒子ポリマーの表面を親水性にす
るには、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコー
ル等の親水性ポリマーもしくはオリゴマー、または親水
性低分子化合物を微粒子ポリマーの表面に吸着させれば
よいが、これらに限定されるものではない。
【0111】(a)微粒子ポリマーの凝固温度は、70
℃以上であるのが好ましいが、経時安定性を考えると1
00℃以上であるのがより好ましい。 (a)微粒子ポリマーの平均粒径は、0.01〜20μ
mであるのが好ましいが、その中でも0.05〜2.0
μmであるのがより好ましく、0.1〜1.0μmであ
るのが好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時安定
性が得られる。 (a)微粒子ポリマーの添加量は、感熱層固形分の50
質量%以上が好ましく、60質量%以上が更に好まし
い。
【0112】(b)マイクロカプセルに好適な熱反応性
官能基としては、例えば、重合性不飽和基、ヒドロキシ
ル基、カルボキシル基、カルボキシレート基、酸無水物
基、アミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、イソシ
アネートブロック体が挙げられる。
【0113】重合性不飽和基を有する化合物としては、
エチレン性不飽和結合、例えば、アクリロイル基、メタ
クリロイル基、ビニル基、アリル基を少なくとも1個、
好ましくは2個以上有する化合物であるのが好ましい。
そのような化合物群は当該産業分野において広く知られ
るものであり、本発明においては、これらを特に限定さ
れずに用いることができる。これらは、化学的形態とし
ては、モノマー、プレポリマー、即ち、二量体、三量体
およびオリゴマー、またはそれらの混合物、およびそれ
らの共重合体である。
【0114】具体的には、例えば、不飽和カルボン酸
(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、ク
ロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸)、そのエステ
ル、不飽和カルボン酸アミドが挙げられる。中でも、不
飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルお
よび不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミンとのアミドが
好ましい。また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプ
ト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステ
ルまたは不飽和カルボン酸アミドと単官能もしくは多官
能のイソシアネートまたはエポキシドとの付加反応物、
および、単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮
合反応物等も好適に用いられる。また、イソシアネート
基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カル
ボン酸エステルまたはアミドと、単官能もしくは多官能
のアルコール、アミンまたはチオールとの付加反応物、
および、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基
を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単
官能もしくは多官能アルコール、アミンまたはチオール
との置換反応物も好適である。また、別の好適な例とし
て、上記の不飽和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸また
はクロロメチルスチレンに置き換えた化合物が挙げられ
る。
【0115】不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール
とのエステルである重合性化合物のうち、アクリル酸エ
ステルとしては、例えば、エチレングリコールジアクリ
レート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,
3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレング
リコールジアクリレート、プロピレングリコールジアク
リレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ト
リメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、トリメチロールプロパント
リス(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメ
チロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジ
アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアク
リレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、
ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
アクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトール
トリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、
ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサ
アクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イ
ソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー
が挙げられる。
【0116】メタクリル酸エステルとしては、例えば、
テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチ
レングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレー
ト、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブ
タンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメ
タクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタ
エリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリス
リトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘ
キサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレー
ト、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−
(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキ
シ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタク
リロイルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタンが
挙げられる。
【0117】イタコン酸エステルとしては、例えば、エ
チレングリコールジイタコネート、プロピレングリコー
ルジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネ
ート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラ
メチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリト
ールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート
が挙げられる。
【0118】クロトン酸エステルとしては、例えば、エ
チレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリ
コールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロト
ネート、ソルビトールテトラジクロトネートが挙げられ
る。イソクロトン酸エステルとしては、例えば、エチレ
ングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトー
ルジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロト
ネートが挙げられる。マレイン酸エステルとしては、例
えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレング
リコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレー
ト、ソルビトールテトラマレートが挙げられる。
【0119】その他のエステルとしては、例えば、特公
昭46−27926号公報、同51−47334号公
報、同57−196231号公報に記載されている脂肪
族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号
公報、同59−5241号公報、特開平2−22614
9号公報に記載されている芳香族系骨格を有するもの、
特開平1−165613号公報に記載されているアミノ
基を含有するものが挙げられる。
【0120】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ドが挙げられる。その他の好ましいアミド系モノマーと
しては、例えば、特公昭54−21726号公報に記載
されているシクロへキシレン構造を有するものが挙げら
れる。
【0121】また、イソシアネートとヒドロキシル基の
付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合
物も好適であり、具体的には、例えば、特公昭48−4
1708号公報中に記載されている1分子に2個以上の
イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物
に、下記式(II)で示されるヒドロキシル基を有する
不飽和モノマーを付加させて得られる、1分子中に2個
以上の重合性不飽和基を含有するウレタン化合物が挙げ
られる。 CH2 =C(R1 )COOCH2 CH(R2 )OH (II) (ただし、R1 およびR2 は、それぞれHまたはCH3
を表す。)
【0122】また、特開昭51−37193号公報、特
公平2−32293号公報、同2−16765号公報に
記載されているようなウレタンアクリレートや、特公昭
58−49860号公報、同56−17654号公報、
同62−39417号公報、同62−39418号公報
に記載されているエチレンオキサイド系骨格を有するウ
レタン化合物も好適なものとして挙げられる。
【0123】更に、特開昭63−277653号公報、
同63−260909号公報、特開平1−105238
号公報に記載されている、分子内にアミノ構造やスルフ
ィド構造を有するラジカル重合性化合物も好適なものと
して挙げられる。
【0124】その他の好適なものの例としては、特開昭
48−64183号公報、特公昭49−43191号公
報、同52−30490号公報に記載されているような
ポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)
アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多
官能のアクリレートやメタクリレートが挙げられる。ま
た、特公昭46−43946号公報、特公平1−403
37号公報、同1−40336号公報に記載されている
特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報に
記載されているビニルホスホン酸系化合物等も好適なも
のとして挙げられる。また、ある場合には、特開昭61
−22048号公報に記載されているペルフルオロアル
キル基を含有する化合物も好適に挙げられる。更に、日
本接着協会誌、20巻7号、p.300〜308(19
84年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹
介されているものも好適に例示される。
【0125】好適なエポキシ化合物としては、例えば、
グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリ
コールジグリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリシ
ジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジル
エーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビス
フェノール類もしくはポリフェノール類またはそれらの
水素添加物のポリグリシジルエーテルが挙げられる。
【0126】好適なイソシアネート化合物としては、例
えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジ
イソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジ
イソシアネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、
または、それらをアルコールもしくはアミンでブロック
した化合物が挙げられる。
【0127】好適なアミン化合物としては、例えば、エ
チレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレン
テトラミン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジア
ミン、ポリエチレンイミンが挙げられる。
【0128】好適なヒドロキシル基を有する化合物とし
ては、例えば、末端メチロール基を有する化合物、ペン
タエリスリトール等の多価アルコール、ビスフェノール
・ポリフェノール類が挙げられる。好適なカルボキシル
基を有する化合物としては、例えば、ピロメリット酸、
トリメリット酸、フタル酸等の芳香族多価カルボン酸、
アジピン酸等の脂肪族多価カルボン酸が挙げられる。好
適な酸無水物としては、例えば、ピロメリット酸無水
物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物が挙げられ
る。
【0129】エチレン状不飽和化合物の共重合体の好適
なものとしては、例えば、アリルメタクリレートの共重
合体が挙げられる。具体的には、例えば、アリルメタク
リレート/メタクリル酸共重合体、アリルメタクリレー
ト/エチルメタクリレート共重合体、アリルメタクリレ
ート/ブチルメタクリレート共重合体が挙げられる。
【0130】マイクロカプセル化する方法としては、公
知の方法が適用できる。例えば、マイクロカプセルの製
造方法としては、米国特許第2,800,457号明細
書、同第2,800,458号明細書に記載されている
コアセルベーションを利用した方法、英国特許第99,
0443号明細書、米国特許第3,287,154号明
細書、特公昭38−19574号公報、同42−446
号公報、同42−711号公報に記載されている界面重
合法による方法、米国特許第3,418,250号明細
書、同第3,660,304号明細書に記載されている
ポリマーの析出による方法、米国特許第3,796,6
69号明細書に記載されているイソシアネートポリオー
ル壁材料を用いる方法、米国特許第3,914,511
号明細書に記載されているイソシアネート壁材料を用い
る方法、米国特許第4,001,140号明細書、同第
4,087,376号明細書、同第4,089,802
号明細書に記載されている尿素−ホルムアルデヒド系ま
たは尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材
料を用いる方法、米国特許第4,025,445号明細
書に記載されているメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、
ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭3
6−9163号公報、同51−9079号公報に記載さ
れているモノマー重合によるin situ法、英国特
許第930,422号明細書、米国特許第3,111,
407号明細書に記載されているスプレードライング
法、英国特許第952,807号明細書、同第967,
074号明細書に記載されている電解分散冷却法が挙げ
られるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0131】(b)マイクロカプセルに好適に用いられ
るマイクロカプセル壁は、三次元架橋を有し、溶剤によ
って膨潤する性質を有するものである。このような観点
から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウ
レタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミ
ド、またはこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレ
アおよびポリウレタンが好ましい。また、マイクロカプ
セル壁に熱反応性官能基を有する化合物を導入してもよ
い。
【0132】(b)マイクロカプセルの平均粒径は、
0.01〜20μmであるのが好ましく、0.05〜
2.0μmであるのがより好ましく、0.10〜1.0
μmであるのが特に好ましい。上記範囲内であると、良
好な解像度と経時安定性が得られる。
【0133】(b)マイクロカプセルは、カプセル同士
が熱により合体してもよいし、合体しなくてもよい。要
は、マイクロカプセル内包物のうち、塗布時にカプセル
表面もしくはマイクロカプセル外に滲み出したもの、ま
たは、マイクロカプセル壁に浸入したものが、熱により
化学反応を起こせばよい。添加された親水性樹脂、また
は、添加された低分子化合物と反応してもよい。また、
2種以上のマイクロカプセルに、それぞれ異なる官能基
で互いに熱反応するような官能基をもたせることによっ
て、マイクロカプセル同士を反応させてもよい。したが
って、熱によってマイクロカプセル同士が、熱で溶融合
体することは画像形成上好ましいことであるが、必須で
はない。
【0134】(b)マイクロカプセルの感熱層への添加
量は、固形分換算で、10〜60質量%であるのが好ま
しく、15〜40質量%であるのがより好ましい。上記
範囲であると、良好な機上現像性と同時に、良好な感度
および耐刷性が得られる。
【0135】(b)マイクロカプセルを感熱層に添加す
る場合、内包物が溶解し、かつ、壁材が膨潤する溶剤を
マイクロカプセル分散媒中に添加することができる。こ
のような溶剤によって、内包された熱反応性官能基を有
する化合物の、マイクロカプセル外への拡散が促進され
る。このような溶剤は、マイクロカプセル分散媒、マイ
クロカプセル壁の材質、壁厚および内包物に依存する
が、多くの市販されている溶剤から容易に選択すること
ができる。例えば、架橋ポリウレア、ポリウレタン壁か
らなる水分散性マイクロカプセルの場合、アルコール
類、エーテル類、アセタール類、エステル類、ケトン
類、多価アルコール類、アミド類、アミン類、脂肪酸類
等が好ましい。
【0136】具体的には、例えば、メタノール、エタノ
ール、第三ブタノール、n−プロパノール、テトラヒド
ロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケト
ン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレ
ングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモ
ノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメ
チルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが挙
げられるが、本発明はこれらに限定されない。また、こ
れらの溶剤を2種以上併用してもよい。
【0137】マイクロカプセル分散液には溶解しない
が、上記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いることが
できる。添加量は、素材の組み合わせにより決まるもの
であるが、通常、塗布液の5〜95質量%であるのが好
ましく、10〜90質量%であるのがより好ましく、1
5〜85質量%であるのが特に好ましい。
【0138】記録層として、上述した(a)熱反応性官
能基を有する微粒子ポリマー、または、(b)熱反応性
官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセルを含
有する感熱層を用いる場合には、必要に応じてこれらの
反応を開始しまたは促進する化合物を添加してもよい。
反応を開始しまたは促進する化合物としては、例えば、
熱によりラジカルまたはカチオンを発生するような化合
物が挙げられる。具体的には、例えば、ロフィンダイマ
ー、トリハロメチル化合物、過酸化物、アゾ化合物、ジ
アゾニウム塩またはジフェニルヨードニウム塩などを含
んだオニウム塩、アシルホスフィン、イミドスルホナー
トが挙げられる。これらの化合物は、感熱層固形分の1
〜20質量%の範囲で添加するのが好ましく、3〜10
質量%の範囲であるのがより好ましい。上記範囲内であ
ると、機上現像性を損なわず、良好な反応開始効果また
は反応促進効果が得られる。
【0139】感熱層には親水性樹脂を添加してもよい。
親水性樹脂を添加することにより機上現像性が良好とな
るばかりか、感熱層自体の皮膜強度も向上する。親水性
樹脂としては、ヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキ
シエチル、ヒドロキシプロピル、アミノ、アミノエチ
ル、アミノプロピル、カルボキシメチル等の親水基を有
するものが好ましい。
【0140】親水性樹脂の具体例としては、アラビアゴ
ム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチ
ルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセ
テート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン
酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、
ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸
類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレート
のホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルア
クリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキ
シプロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリ
マー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマー
およびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートの
ホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアク
リレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレ
ングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポ
リビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくと
も60質量%、好ましくは少なくとも80質量%の加水
分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポ
リビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、アクリル
アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルア
ミドのホモポリマーおよびポリマー、N−メチロールア
クリルアミドのホモポリマーおよびコポリマーが挙げら
れる。
【0141】親水性樹脂の感熱層への添加量は、感熱層
固形分の5〜40質量%であるのが好ましく、10〜3
0質量%であるのがより好ましい。上記範囲内である
と、良好な機上現像性と皮膜強度が得られる。
【0142】感熱層には、感度を向上させるため、赤外
線を吸収して発熱する光熱変換剤を含有させることがで
きる。かかる光熱変換剤は、700〜1200nmの少
なくとも一部に吸収帯を有する光吸収物質であればよ
く、種々の顔料、染料および金属微粒子を用いることが
できる。
【0143】顔料の種類としては、黒色顔料、褐色顔
料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔
料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられ
る。具体的には、例えば、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ
顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニ
ン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリ
ノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔
料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キ
ノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニ
トロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔
料、カーボンブラックが挙げられる。
【0144】顔料は表面処理を施さずに用いてもよく、
表面処理を施して用いてもよい。表面処理の方法として
は、例えば、親水性樹脂や親油性樹脂を表面コートする
方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例え
ば、シリカゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤
やエポキシ化合物、イソシアネート化合物)を顔料表面
に結合させる方法が挙げられる。上記表面処理方法は、
「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技
術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応
用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されてい
る。これらの顔料中、赤外線を吸収するものが、赤外線
を発光するレーザでの利用に適する点で好ましい。かか
る赤外線を吸収する顔料としてはカーボンブラックが好
ましい。顔料の粒径は0. 01〜1μmの範囲にあるの
が好ましく、0.01〜0.5μmの範囲にあるのがよ
り好ましい。
【0145】染料としては、市販の染料および、文献
(例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和
45年刊)、「化学工業」1986年5月号P.45〜
51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開
発と市場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシ
ー)または特許に記載されている公知の染料が利用でき
る。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾ
ロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染
料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、ポリメチン
染料、シアニン染料等の赤外線吸収染料が好ましい。
【0146】更に、例えば、特開昭58−125246
号公報、同59−84356号公報、同60−7878
7号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−1
73696号公報、同58−181690号公報、同5
8−194595号等に記載されているメチン染料、特
開昭58−112793号公報、同58−224793
号公報、同59−48187号公報、同59−7399
6号公報、同60−52940号公報、同60−637
44号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭5
8−112792号等に記載されているスクワリリウム
染料、英国特許第434,875号明細書に記載されて
いるシアニン染料、米国特許第4,756,993号明
細書に記載されている染料、米国特許第4,973,5
72号明細書に記載されているシアニン染料、特開平1
0−268512号公報に記載されている染料、同11
−235883号公報に記載されているフタロシアニン
化合物が挙げられる。
【0147】また、染料として米国特許第5,156,
938号明細書に記載されている近赤外吸収増感剤も好
適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号
明細書に記載されている置換されたアリールベンゾ(チ
オ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号に記載
されているトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−
181051号公報、同58−220143号公報、同
59−41363号公報、同59−84248号公報、
同59−84249号公報、同59−146063号公
報、同59−146061号公報に記載されているピリ
リウム系化合物、特開昭59−216146号公報に記
載されているシアニン染料、米国特許第4,283,4
75号明細書に記載されているペンタメチンチオピリリ
ウム塩等や特公平5−13514号公報、同5−197
02号公報に記載されているピリリウム化合物、エポリ
ン社製のエポライトIII−178、エポライトIII
−130、エポライトIII−125等も好適に用いら
れる。以下にいくつかの具体例を示す。
【0148】
【化2】
【0149】
【化3】
【0150】上記の有機系の光熱変換剤は、感熱層中に
30質量%までの範囲で添加するのが好ましい。より好
ましくは5〜25質量%であり、特に好ましくは7〜2
0質量%である。上記範囲内であると、良好な感度が得
られる。
【0151】感熱層には、光熱変換剤として金属微粒子
も用いることができる。金属微粒子の多くは光熱変換性
であって、かつ自己発熱性である。好ましい金属微粒子
として、例えば、Si、Al、Ti、V、Cr、Mn、
Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、A
g、Au、Pt、Pd、Rh、In、Sn、W、Te、
Pb、Ge、Re、Sbの単体もしくは合金、または、
それらの酸化物もしくは硫化物の微粒子が挙げられる。
これらの金属微粒子を構成する金属の中でも好ましい金
属は、光照射時に熱による合体をしやすい、融点が約1
000℃以下で赤外、可視または紫外線領域に吸収をも
つ金属、例えば、Re、Sb、Te、Au、Ag、C
u、Ge、Pb、Snである。また、特に好ましいの
は、融点も比較的低く、赤外線に対する吸光度も比較的
高い金属の微粒子、例えば、Ag、Au、Cu、Sb、
Ge、Pbで、最も好ましい元素としては、Ag、A
u、Cuが挙げられる。
【0152】また、例えば、Re、Sb、Te、Au、
Ag、Cu、Ge、Pb、Sn等の低融点金属の微粒子
と、Ti、Cr、Fe、Co、Ni、W、Ge等の自己
発熱性金属の微粒子とを混合使用するなど、2種以上の
光熱変換物質で構成されていてもよい。また、Ag、P
t、Pd等の、微小片としたときに光吸収が特に大きい
金属種の微小片と他の金属微小片とを組み合わせて用い
ることも好ましい。
【0153】これらの粒子の粒径は、10μm以下であ
るのが好ましく、0.003〜5μmであるのがより好
ましく、0.01〜3μmであるのが特に好ましい。上
記範囲内であると、良好な感度と解像力が得られる。
【0154】本発明において、これらの金属微粒子を光
熱変換剤として用いる場合、その添加量は、感熱層固形
分の10質量%以上であるのが好ましく、20質量%以
上であるのがより好ましく、30質量%以上であるのが
特に好ましい。上記範囲内であると、高い感度が得られ
る。
【0155】光熱変換剤は、感熱層の隣接層である下塗
層や、後述する水溶性オーバーコート層が含有してもよ
い。感熱層、下塗層およびオーバーコート層のうち少な
くとも一つの層が光熱変換剤を含有することにより、赤
外線吸収効率が高まり、感度を向上させることができ
る。
【0156】感熱層には、更に必要に応じて上記以外に
種々の化合物を添加してもよい。例えば、耐刷力を一層
向上させるために多官能モノマーを感熱層マトリックス
中に添加することができる。この多官能モノマーとして
は、マイクロカプセル中に入れられるモノマーとして例
示したものを用いることができる。特に好ましいモノマ
ーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート
を挙げることができる。
【0157】また、感熱層には、画像形成後、画像部と
非画像部との区別をつけやすくするため、可視光域に大
きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用すること
ができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイ
ルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグ
リーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#60
3、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイル
ブラックT−505(以上オリエント化学工業社製)、
ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(C
I42555)、メチルバイオレット(CI4253
5)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145
170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、
メチレンブルー(CI52015)、特開昭62−29
3247号公報に記載されている染料が挙げられる。ま
た、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、酸化チタン等
の顔料も好適に用いることができる。添加量は、感熱層
塗布液全固形分に対し0.01〜10質量%であるのが
好ましい。
【0158】また、本発明においては、感熱層塗布液の
調製中または保存中においてエチレン性不飽和化合物の
不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重合防止剤を
添加するのが好ましい。適当な熱重合防止剤としては、
例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ
−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブ
チルカテコール、ベンゾキノン、4,4´−チオビス
(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2´
−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン
アルミニウム塩が挙げられる。熱重合防止剤の添加量
は、全組成物の質量に対して約0.01〜5質量%であ
るのが好ましい。
【0159】また必要に応じて、酸素による重合阻害を
防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級
脂肪酸やその誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程
で感熱層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸やその
誘導体の添加量は、感熱層固形分の約0.1〜約10質
量%であるのが好ましい。
【0160】更に、感熱層には、必要に応じ、塗膜の柔
軟性等を付与するために可塑剤を加えることができる。
可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ク
エン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチ
ル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸
トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチ
ル、オレイン酸テトラヒドロフルフリルが挙げられる。
【0161】感熱層は、必要な上記各成分を溶剤に溶か
して塗布液を調製し、塗布される。ここで使用する溶剤
としては、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキ
サノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエー
テル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシ
エチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテ
ート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリド
ン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラ
クトン、トルエン、水が挙げられるが、これに限定され
るものではない。これらの溶剤は、単独でまたは混合し
て使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜
50質量%である。
【0162】また、塗布し乾燥した後に得られる支持体
上の感熱層塗布量(固形分)は、用途によって異なる
が、一般的に0.5〜5.0g/m2 であるのが好まし
い。上記範囲より塗布量が少なくなると、見かけの感度
は大になるが、画像記録の機能を果たす感熱層の皮膜特
性は低下する。塗布する方法としては、種々の方法を用
いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗
布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エア
ーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布が挙げられ
る。
【0163】感熱層塗布液には、塗布性を向上させるた
めの界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号
公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加
することができる。添加量は、感熱層全固形分の0.0
1〜1質量%であるのが好ましく、0.05〜0.5質
量%であるのがより好ましい。
【0164】本発明の平版印刷版原版においては、親油
性物質による感熱層表面の汚染防止のため、感熱層上
に、水溶性オーバーコート層を設けることができる。本
発明に使用される水溶性オーバーコート層は印刷時に容
易に除去できるものであり、水溶性の有機高分子化合物
から選ばれた樹脂を含有する。水溶性の有機高分子化合
物としては、塗布乾燥によってできた被膜がフィルム形
成能を有するものである。具体的には、ポリ酢酸ビニル
(ただし、加水分解率65%以上のもの);ポリアクリ
ル酸、そのアルカリ金属塩またはアミン塩;ポリアクリ
ル酸共重合体、そのアルカリ金属塩またはアミン塩;ポ
リメタクリル酸、そのアルカリ金属塩またはアミン塩;
ポリメタクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩または
アミン塩;ポリアクリルアミド、その共重合体;ポリヒ
ドロキシエチルアクリレート;ポリビニルピロリドン、
その共重合体;ポリビニルメチルエーテル;ビニルメチ
ルエーテル/無水マレイン酸共重合体;ポリ−2−アク
リルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そ
のアルカリ金属塩またはアミン塩;ポリ−2−アクリル
アミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合
体、そのアルカリ金属塩またはアミン塩;アラビアガ
ム;繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロー
ス、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロー
ス)、その変性体;ホワイトデキストリン;プルラン;
酵素分解エーテル化デキストリンが例示される。また、
目的に応じて、これらを二種以上混合して用いることも
できる。
【0165】また、オーバーコート層には、前記の水溶
性光熱変換剤を添加してもよい。更に、オーバーコート
層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の場
合には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレンドデシルエーテル等の非イオン系界
面活性剤を添加することができる。オーバーコート層の
乾燥塗布量は、0.1〜2.0g/m2 が好ましい。こ
の範囲内で、機上現像性を損なわず、指紋付着汚れなど
の親油性物質による感熱層表面の良好な汚染防止が可能
となる。
【0166】本発明の平版印刷版原版においては、記録
層として、上述した(a)熱反応性官能基を有する微粒
子ポリマー、または、(b)熱反応性官能基を有する化
合物を内包するマイクロカプセルを含有する感熱層以外
のものを用いることもできる。例えば、ネガ型赤外線レ
ーザー記録材料を用いた感光層、ポジ型赤外線レーザー
記録材料を用いた感光層、スルホネート型赤外線レーザ
ー記録材料を用いた感光層が挙げられる。
【0167】本発明の平版印刷版原版を赤外線レーザー
に露光可能なネガ型の平版印刷版原版、いわゆるサーマ
ルネガタイプの平版印刷版原版とする場合には、ネガ型
赤外線レーザー記録材料によって感光層を設けるのがよ
い。ネガ型赤外線レーザー記録材料としては、(A)光
または熱によって分解して酸を発生する化合物、(B)
酸によって架橋する架橋剤、(C)アルカリ可溶性樹
脂、(D)赤外線吸収剤、および(E)一般式(R3
X)n −Ar−(OH)m で表される化合物(式中、R
3 は炭素数6〜32のアルキル基またはアルケニル基を
表し、Xは単結合、O、S、COOまたはCONHを表
し、Arは芳香族炭化水素基、脂肪式炭化水素基または
複素環基を表し、nは1〜3の整数を表し、mは1〜3
の整数を表す。)からなる組成物が好適に用いられる。
【0168】一般に、サーマルネガタイプの平版印刷版
原版は、現像後に指紋が付きやすく、画像部の強度が弱
いという欠点があるが、かかる欠点は上記組成物によっ
て感光層を形成することで解消される。
【0169】(A)光または熱によって分解して酸を発
生する化合物としては、特願平3−140109号明細
書(特開平04−365048号公報)に記載されてい
るイミノスルフォネート等に代表される、光分解してス
ルホン酸を発生する化合物が挙げられ、200〜500
nmの波長の照射、または100℃以上の加熱によって
酸を発生する化合物が挙げられる。好適な酸発生剤とし
ては、例えば、光カチオン重合開始剤、光ラジカル重合
の開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤が挙げられる。
これらの酸発生剤は、記録材料全固形分に対して、0.
01〜50質量%添加されるのが好ましい。
【0170】(B)酸によって架橋する架橋剤として
は、例えば、(i)アルコキシメチル基またはヒドロキ
シル基で置換された芳香族化合物、(ii)N−ヒドロ
キシメチル基、N−アルコキシメチル基またはN−アシ
ルオキシメチル基を有する化合物、(iii)エポキシ
化合物が好適に挙げられる。
【0171】(C)アルカリ可溶性樹脂としては、例え
ば、ノボラック樹脂や、側鎖にヒドロキシアリール基を
有するポリマーが挙げられる。
【0172】(D)赤外線吸収剤からなる組成物として
は、例えば、760〜1200nmの赤外線を有効に吸
収するアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン
染料等の市販染料;カラーインデックスに記載されてい
る黒色顔料、赤色顔料、金属粉顔料、フタロシアニン系
顔料が挙げられる。また、画像の見やすさを向上させる
ためにオイルイエロー、オイルブルー#603等の画像
着色剤を添加するのが好ましい。また、感光層塗膜の柔
軟性改善のため、ポリエチレングリコールやフタル酸エ
ステルのような可塑剤を添加することができる。
【0173】また、本発明の平版印刷版原版を赤外線レ
ーザーに露光可能なポジ型の平版印刷版原版、いわゆる
サーマルポジタイプの平版印刷版原版とする場合には、
ポジ型赤外線レーザー記録材料によって感光層を設ける
のがよい。ポジ型赤外線レーザー記録材料としては、
(A)アルカリ可溶性高分子、(B)該アルカリ可溶性
高分子と相溶してアルカリ溶解性を低下させる化合物、
および(C)赤外レーザーを吸収する化合物からなるポ
ジ型赤外線レーザー記録材料が好適に用いられる。この
ポジ型赤外線レーザー記録材料を用いると、非画像部の
アルカリ現像液に対する溶解性不足を解消でき、また、
傷つきにくく、画像部の耐アルカリ現像適性に優れ、現
像安定性のよい平版印刷版原版とすることができる。
【0174】(A)アルカリ可溶性高分子としては、例
えば、(i)フェノール樹脂、クレゾール樹脂、ノボラ
ック樹脂、ピロガロール樹脂等に代表されるフェノール
性ヒドロキシル基を有する高分子化合物、(ii)スル
ホンアミド基を有する重合モノマーを単独で重合させ、
または、他の重合性モノマーと共重合させて得られた化
合物、(iii)N−(p−トルエンスルホニル)メタ
クリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリ
ルアミド等に代表される活性イミド基を分子内に有する
化合物が挙げられる。
【0175】(B)上記(A)成分と相溶してアルカリ
溶解性を低下させる化合物としては、例えば、スルホン
化合物、アンモニウム塩、スルホニウム塩、アミド化合
物等の上記(A)成分と相互作用する化合物が挙げられ
る。例えば、上記(A)成分がノボラック樹脂の場合に
は、(B)成分としては、シアニン色素が好適に挙げら
れる。
【0176】(C)赤外レーザーを吸収する化合物とし
ては、750〜1200nmの赤外域に吸収域があり、
光/熱変換能を有する材料が好ましい。このような機能
を有するものとしては、例えば、スクワリリウム色素、
ピリリウム塩色素、カーボンブラック、不溶性アゾ染
料、アントラキノン系染料が挙げられる。これらは、
0.01〜10μmの範囲の大きさであるのが好まし
い。
【0177】サーマルポジタイプの平版印刷版原版は、
このポジ型赤外線レーザー記録材料を、メタノール、メ
チルエチルケトン等の有機溶媒に溶解し、必要に応じ
て、染料を添加し、支持体上に乾燥後の質量が1〜3g
/m2 となるように塗布し乾燥することにより得ること
ができる。
【0178】また、本発明の平版印刷版原版には、記録
層として、スルホネート型赤外線レーザー記録材料を用
いてもよい。スルホネート型赤外線レーザー記録材料と
しては、例えば、特許第270480号明細書、特許第
2704872号明細書等に記載されているスルホネー
ト化合物を用いることができる。また、赤外線レーザー
照射によって発生した熱によってスルホン酸を発生し、
水に可溶化する感光材料や、スチレンスルホン酸エステ
ルをゾルゲルで固め、その後赤外線レーザーを照射する
ことで表面極性が変化する感光材料や、特願平9−89
816号明細書(特開平10−282646号公報)、
特願平10−22406号明細書(特開平11−218
928号公報)、特願平10−027655号明細書
(特開平10−282672号公報)に記載されている
レーザー露光によって疎水性表面が親水性に変化する感
光材料等を用いることもできる。
【0179】また、この熱によってスルホン酸基を発生
しうる高分子化合物からなる感光層の特性を更に改善す
るためには、つぎに挙げる方法を併用するのが好まし
い。かかる方法としては、例えば、(1)特願平10−
7062号明細書(特開平11−202483号公報)
に記載された酸または塩基発生剤との併用による方法、
(2)特願平9−340358号明細書(特開平11−
174685号公報)に記載された特定の中間層を設け
る方法、(3)特願平9−248994号明細書(特開
平11−84658号公報)に記載された特定の架橋剤
を併用する方法、(4)特願平10−115354号明
細書(特開平11−301131号公報)に記載された
固体粒子表面修飾の様態で使用する方法を挙げることが
できる。
【0180】更に、レーザー露光によって発生する熱を
利用して感光層の親/疎水性を変化させる組成物の他の
例としては、例えば、米国特許第2,764,085号
明細書に記載されているWerner錯体からなる熱に
よって疎水性に変化する組成物、特公昭46−2721
9号公報に記載されている特定の糖類、メラミンホルム
アルデヒド樹脂等の露光によって親水性に変化する組成
物、特開昭51−63704号公報に記載されているヒ
ートモード露光によって疎水性に変化する組成物、米国
特許第4,081,572号明細書に記載されているフ
タリルヒドラジドポリマーのように熱によって脱水/疎
水化するポリマーからなる組成物、特公平3−5810
0号公報に記載されているテトラゾリウム塩構造を有し
熱によって親水化する組成物、特開昭60−13276
0号公報に記載されているスルホン酸変性ポリマーから
なる露光によって疎水化する組成物、特開昭64−35
43号公報に記載されているイミド前駆体ポリマーから
なる露光によって疎水化する組成物、特開昭51−74
706号公報に記載されているフッ化炭素ポリマーから
なる露光によって親水化する組成物が挙げられ、これら
の組成物を用いて記録層を形成することができる。
【0181】更に、特開平3−197190号公報に記
載されている疎水性結晶性ポリマーからなる露光によっ
て親水性に変化する組成物、特開平7−186562号
公報に記載されている熱によって不溶化された側基が親
水性に変化するポリマーと光熱変換剤からなる組成物、
特開平7−1849号公報に記載されているマイクロカ
プセルを含有する三次元架橋された親水性バインダーか
らなり露光によって疎水化する組成物、特開平8−34
63号公報に記載されている原子価異性化またはプロト
ン移動異性化する組成物、特開平8−141819号公
報に記載されている熱によって層内の相構造変化(相溶
化)を生じ、親/疎水性を変化させる組成物、特公昭6
0−228号公報に記載されている熱によって表面の形
態、表面の親/疎水性が変化する組成物が挙げられ、こ
れらの組成物を用いて記録層を形成することができる。
【0182】本発明において、記録層に用いられる好ま
しい記録材料の他の例としては、高パワーおよび高密度
のレーザー光によって発生した熱を利用する、いわゆる
ヒートモード露光によって、感光層と支持体との間の接
着性を変化させる組成物が挙げられる。具体的には、特
公昭44−22957号公報に記載されている熱融着性
物質または熱反応性物質からなる組成物が挙げられる。
【0183】このようにして得られる本発明の平版印刷
版原版は、上記記録層を設けた後の陽極酸化皮膜の破断
面において、下記式(1)で表される炭素とアルミニウ
ムとの原子数比(C/Al)が1.0以下であることを
特徴とする。 C/Al=(Ic /Sc )/(Ial/Sal) (1) Ic :炭素(KLL)オージェ電子微分型peak−t
o−peak強度 Ial:アルミニウム(KLL)オージェ電子微分型pe
ak−to−peak強度 Sc :炭素(KLL)オージェ電子の相対感度係数 Sal:アルミニウム(KLL)オージェ電子の相対感度
係数
【0184】炭素とアルミニウムとの原子数比(C/A
l)の算出方法について、図を用いてより具体的に説明
する。図1は、平版印刷版原版の陽極酸化皮膜の破断面
についてオージェ電子分光分析を行って得られるチャー
トの一例である。図1中、Cは炭素、Alはアルミニウ
ム、Oは酸素のピークである。オージェ電子分光分析
は、分析直前に平版印刷版原版をほぼ180°折り曲げ
ることで陽極酸化皮膜の破断面を作成し、オージェ電子
分光分析装置付属のサンプルホルダーに固定し、装置内
に導入して行うことができる。図1から、Ic (炭素
(KLL)オージェ電子微分型peak−to−pea
k強度)およびIal(アルミニウム(KLL)オージェ
電子微分型peak−to−peak強度)を求める。
c (炭素(KLL)オージェ電子の相対感度係数)の
値を0.076、Sal(アルミニウム(KLL)オージ
ェ電子の相対感度係数)の値を0.105とし、上記式
(1)に求めたIc およびIalの値を代入することによ
り、C/Alが算出される。図1においては、C/Al
=0.76である。なお、C/Alは、陽極酸化皮膜の
破断面の複数の点(例えば、5点)でオージェ電子分光
分析を行い、その平均値として求めるのが好ましい。
【0185】オージェ電子分光分析の条件の一例を以下
に示す。 測定機器:FE−AES modelSMART−20
0、アルバックファイ社製 照射電流:約10nA 加速電圧:10kV 照射電子ビーム径:focused チャンバー内圧:約1×10-10 Torr(約1.33
×10-8Pa) 検出範囲:20〜2020eV、0eV/step、2
0ms/step マルチプライヤー電圧;2250V
【0186】本発明においては、記録層を設けた後の陽
極酸化皮膜の破断面において、C/Alが1.0以下、
好ましくは0.8以下である。C/Alが1.0以下と
なるように、陽極酸化皮膜のマイクロポアへの侵入を抑
制することにより、記録層を設けた後の陽極酸化皮膜の
熱伝導率を低く維持することができ、これにより、本発
明の平版印刷版原版が平版印刷版としたときの耐刷性、
感度および耐汚れ性のすべてに優れたものとなる。
【0187】以下、本発明に用いられるアルミニウム支
持体の製造装置について説明する。本発明に用いられる
アルミニウム支持体の製造過程としては、(1)圧延さ
れ、コイル状に巻き取られたアルミニウム板を多軸ター
レットからなる送り出し装置から送り出し、(2)上記
各処理(機械的粗面化処理、電気化学的粗面化処理、ア
ルカリエッチング処理、酸性エッチング処理、デスマッ
ト処理、陽極酸化処理、ポアワイド処理(酸処理または
アルカリ処理)、封孔処理、親水性表面処理等)の後、
アルミニウム板を乾燥処理し、(3)アルミニウム板を
上記多軸ターレットからなる巻き取り装置にてコイル状
に巻き取り、または、アルミニウム板の平面性を矯正
し、その後、所定の長さにカットして集積するのが好ま
しい。また、必要に応じ、上記過程において、下塗層や
記録層を形成して乾燥処理する工程を設け、平版印刷版
原版としてから上記巻取り装置によりコイル状に巻き取
ってもよい。
【0188】また、アルミニウム支持体の製造において
は、アルミニウム板の表面の欠陥を検査する装置を用い
て、該欠陥を連続的に検査し、発見した欠陥部のエッジ
部分に目印のラベルを貼る工程を、1工程以上有するの
が好ましい。更に、本発明の平版印刷版原版の製造にお
いては、アルミニウム板の送り出し工程および巻き取り
工程において、アルミコイルの交換の際に、該アルミニ
ウム板の走行を停止しても、上記各工程におけるアルミ
ニウム板の走行速度を一定に保つようなリザーバ装置を
設けることが好ましく、上記アルミコイルの送り出し工
程の後には、アルミニウム板を超音波またはアーク溶接
にて接合する工程を設けるのが好ましい。
【0189】アルミニウム支持体の製造に用いられる装
置は、アルミニウム板の走行位置を検出し、走行位置を
矯正する装置を1個以上有するのが好ましく、また、ア
ルミニウム板の張力カットおよび走行速度制御を目的と
した駆動装置と、張力制御を目的としたダンサロール装
置とをそれぞれ1個以上有するのが好ましい。また、ト
ラッキング装置にて各工程の状態が所望の条件か否かを
記録し、アルミニウムコイルが巻き取られる前に、アル
ミニウムウェブのエッジ部にラベルを貼り、そのラベル
よりも後が所望の条件か否かをのちに判別できるように
するのも好ましい。
【0190】本発明においては、アルミニウム板は、合
紙とともに帯電させて互いに吸着させ、その後所定の長
さにカット、および/または、スリットすることが好ま
しい。また、アルミニウム板のエッジ部分に貼られたラ
ベルの情報をもとに、所定の長さに裁断した後または裁
断する前に、そのラベルを目印として良品部分と欠陥部
分とを分別し、良品部分のみを集積するのが好ましい。
【0191】上記送り出し工程等を含む各工程では、ア
ルミニウム板のサイズ(厚さおよび幅)、アルミニウム
の材質またはアルミニウムウェブの走行速度によって、
それぞれの条件で最適な張力を設定することが重要であ
る。そこで、張力カットと走行速度制御を目的とした駆
動装置と、張力制御を目的としたダンサーロールとを利
用し、張力感知装置からの信号をフィードバック制御す
る張力制御装置を複数設けるのが好ましい。駆動装置
は、直流モーターと主駆動ローラを組み合わせた制御方
法を用いるのが一般的である。主駆動ローラは一般的な
ゴムを材質とするが、アルミニウムウェブがwetな状
態にある工程では不織布を積層して作製されたローラを
用いることができる。また、各パスローラとしては、ゴ
ムまたは金属が一般的に用いられるが、アルミニウムウ
ェブとスリップを起こしやすい箇所ではこのスリップを
防止するために、各パスローラにモーターや減速機を接
続し、主駆動装置からの信号によって一定速度で回転制
御するなど補助的な駆動装置を設けることもできる。
【0192】本発明に用いられるアルミニウム支持体
は、特開平10−114046号公報に記載されている
ように、圧延方向の算術平均粗さ(Ra )をR1 とし、
幅方向の算術平均粗さ(Ra )をR2 とした場合に、R
1 −R2 が、R1 の30%以内であるのが好ましく、ま
た、圧延方向の平均曲率が1.5×10-3mm-1以下、
幅方向の平均曲率が1.5×10-3mm-1以下、圧延方
向と垂直な方向の平均曲率が1.0×10-3mm-1以下
であるのが好ましい。また、上記粗面化処理等を施して
製造されたアルミニウム支持体は、ロール直径20〜8
0mm、ゴム硬度50〜95度の矯正ロールを用いて矯
正するのが好ましい。これにより、平版感光印刷機の自
動搬送工程においても、平版印刷版原版の露光ズレが起
きないフラットネスのアルミニウムコイル状素板を供給
することができる。特開平9−194093号公報に
は、ウェブのカール測定方法および装置、カール修正方
法および装置、ならびにウェブ切断装置が記載されてお
り、本発明においてもこれらを用いることができる。
【0193】また、連続的にアルミニウム支持体を製造
するにあたり、各工程が適切な条件で稼働しているかを
電気的に監視し、トラッキング装置にて各工程の状態が
所望の条件か否かを記録し、アルミニウムコイルが巻き
取られる前に、アルミニウムウェブのエッジ部にラベル
を貼り、そのラベルよりも後が所望の条件か否かを、後
から判別できるようにすることで、裁断時、集積時にそ
の部分の良否を判定することができる。
【0194】上述の粗面化処理に用いられるアルミニウ
ム板の処理装置は、液の温度、比重、電導度、超音波の
伝搬速度のうち、一つ以上を測定し、液の組成を求め、
フィードバック制御、および/または、フィードフォワ
ード制御して液濃度を一定にコントロールするのが好ま
しい。上記処理装置中の酸性水溶液にはアルミニウムイ
オンを初めとするアルミニウム板中に含まれる成分がア
ルミニウム板の表面処理の進行に伴って溶解する。そこ
で、アルミニウムイオン濃度と酸またはアルカリの濃度
を一定にするために、水と酸、または、水とアルカリを
間欠的に添加して液組成を一定に保つのが好ましい。こ
こで添加する酸またはアルカリの濃度は、10〜98質
量%であるのが好ましい。
【0195】上記酸またはアルカリの濃度を制御するに
は、例えば、以下の方法が好ましい。まず、あらかじめ
使用が予定されている濃度範囲の成分液ごとの導電率、
比重または超音波の伝搬速度を各温度毎に測定してデー
タテーブルを作成する。そして、被測定液の導電率、比
重または超音波の伝搬速度と温度データをあらかじめ作
成した非測定液のデータテーブルを参照して濃度を測定
する。上記超音波の伝搬時間を高精度・高安定に測定す
る方法は、特開平6−235721号公報に記載されて
いる。また、上記超音波の伝搬速度を利用した濃度測定
システムについては、特開昭58−77656号公報に
記載されている。また、複数の物理量データを液成分ご
とに相関を示すデータテーブルを作成しておき、そのデ
ータテーブルを参照して多成分液の濃度を測定する方法
は、特開平4−19559号公報に記載されている。
【0196】上記超音波の伝搬速度を用いた濃度測定方
法を被測定液の導電率と温度の値と組み合わせて、アル
ミニウム支持体の粗面化工程に応用すると、プロセスの
管理がリアルタイムで正確に行えるため、一定品質の製
品が製造できるようになり、得率の向上につながる。ま
た、温度と超音波の伝搬速度と導電率との組み合わせだ
けでなく、温度と比重、温度と導電率、温度と導電率と
比重等、それぞれの物理量で濃度および温度ごとにデー
タテーブルを作成しておき、そのデータテーブルを参照
して多成分液の濃度測定する方法をアルミニウム支持体
の粗面化処理工程に応用すると、前記と同様な効果が得
られる。また、比重と温度とを測定し、あらかじめ作成
しておいたデータテーブルを参照して被測定物のスラリ
ー濃度を求めることによって、スラリー濃度の測定も迅
速にかつ正確に行えるようになる。
【0197】上記超音波の伝搬速度測定は液中の気泡の
影響を受けやすいため、垂直に配置され、かつ、下方か
ら上方に向かう流速のある配管中で行われるのがより好
ましい。上記超音波の伝搬速度測定は、配管内の圧力が
1〜10kg/cm2 の圧力範囲内で行うことが好まし
く、超音波の周波数は0.5〜3MHzであるのが好ま
しい。また、上記比重、導電率、超音波の伝搬速度の測
定は温度の影響を受けやすいため、保温状態にあり、か
つ温度変動が±0.3℃以内に制御された配管内で測定
するのが好ましい。更に、導電率および比重、または、
導電率と超音波の伝搬速度とは同一温度で測定するのが
好ましいので、同一の配管内または同一の配管フロー内
で測定するのが特に好ましい。測定の際の圧力変動は温
度の変動につながるので可能な限り低い方が好ましい。
また、測定する配管内の流速分布もできるだけ少ない方
が好ましい。更に、上記測定はスラリー、ゴミ、および
気泡の影響を受けやすいので、フィルターや脱気装置等
を通した液を測定するのが好ましい。
【0198】このようにして得られる本発明の平版印刷
版原版は熱により画像形成される。具体的には、熱記録
ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走
査露光、キセノン放電灯等の高照度フラッシュ露光、赤
外線ランプの固体高出力赤外線レーザによる露光が好適
である。
【0199】本発明の平版印刷版原版は、 記録層が
(a)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー、また
は、(b)熱反応性官能基を有する化合物を内包するマ
イクロカプセルを含有する、いわゆる機上現像タイプの
感熱層である場合には、画像露光後、それ以上の処理な
しに印刷機に装着し、インキおよび/または湿し水を用
いて通常の手順で印刷することができる。また、特許第
2938398号明細書に記載されているように、印刷
機シリンダー上に取りつけた後に、印刷機に搭載された
レーザーにより露光し、その後にインキおよび/または
湿し水をつけて機上現像することも可能である。これら
の場合、印刷機上でインキおよび/または湿し水により
感熱層が除去されるので、別個の現像工程を必要とせ
ず、また、現像後、印刷のために印刷機を止める必要も
なく、現像が終わり次第、引き続き印刷を行うことがで
きる。即ち、本発明の平版印刷版の製版および印刷方法
は、機上現像タイプの感熱層を設けてなる平版印刷版原
版を、レーザー光によって画像露光しそのまま印刷機に
取り付けて印刷するか、または、印刷機に取り付けた後
にレーザー光によって画像露光しそのまま印刷すること
を特徴とする。レーザー光としては、波長760〜12
00nmの赤外線を放射する、固体レーザーまたは半導
体レーザーを用いることができる。なお、機上現像タイ
プの感熱層を有する場合においても、水または適当な水
溶液を現像液とする現像をした後、印刷に用いることが
できる。
【0200】また、本発明の平版印刷版原版は、 従来の
サーマルポジタイプまたはサーマルネガタイプの記録層
等を有する場合には、常法に従い、画像露光後、現像液
により現像して、印刷機に装着し、印刷に供することが
できる。
【0201】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限られるものではない。
【0202】1.アルミニウム支持体の製造 (支持体製造例1)第1表に示す組成Aの合金成分を含
有するアルミニウム合金溶湯から本発明の実施例および
比較例に用いるアルミニウム板を以下のようにして作製
した。まず、アルミニウム合金溶湯に、脱ガスおよびろ
過からなる溶湯処理を施し、DC鋳造法で厚さ500m
mの鋳塊を作製した。得られた鋳塊の表面を10mm面
削した後、鋳塊を加熱し、均熱化処理を行わずに400
℃で熱間圧延を開始し、板厚4mmになるまで圧延し
た。つぎに、冷間圧延で厚さ1.5mmにし、中間焼鈍
を行った後、再度冷間圧延で0.24mmに仕上げ、平
面性を矯正して、アルミニウム板を得た。
【0203】
【表1】
【0204】得られた組成Aのアルミニウム板につい
て、下記に示す(1)〜(9)の手順で表面処理を行っ
た。なお、各表面処理および水洗の後にはニップローラ
で液切りを行った。水洗は、スプレー管から水を吹き付
けて行った。
【0205】(1)機械的粗面化処理 比重1.12のケイ砂(研磨剤、平均粒径25μm)と
水との懸濁液を研磨スラリー液として、スプレー管によ
ってアルミニウム板の表面に供給しながら、ナイロンブ
ラシが回転するブラシローラを用いて機械的粗面化処理
を行った。使用したナイロンブラシの材質は6,10−
ナイロンであり、毛長は50mmであり、毛の直径は
0.48mmであった。このナイロンブラシはφ300
mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植
毛されたものである。また、ブラシローラには、ナイロ
ンブラシが3本使用されており、ブラシ下部に備えられ
た2本の支持ローラ(φ200mm)間の距離は300
mmであった。上記ブラシローラは、ブラシを回転させ
る駆動モータの負荷を、ナイロンブラシがアルミニウム
板に押さえつけられる前の負荷に対して管理し、粗面化
後のアルミニウム板の平均算術粗さ(Ra )が0.45
μmになるように押さえつけた。ブラシの回転方向はア
ルミニウム板の移動方向と同じであった。その後、水洗
を行った。また、研磨剤の濃度は、あらかじめ研磨剤濃
度と温度と比重との関係から作成したテーブルを参照
し、温度および比重から研磨剤濃度を求め、フィードバ
ック制御によって水と研磨剤とを添加し、上記研磨剤の
濃度を一定に保った。また、研磨剤が粉砕して粒度が小
さくなると粗面化されたアルミニウム板の表面形状が変
化するので、サイクロンによって粒度の小さな研磨剤は
系外に逐次排出した。研磨剤の粒径は1〜35μmの範
囲であった。
【0206】(2)アルカリエッチング処理 NaOH27質量%およびアルミニウムイオン6.5質
量%を含有する液温70℃の水溶液をスプレー管によっ
てアルミニウム板に吹き付けて、アルカリエッチング処
理を行った。アルミニウム板の、後に電気化学的粗面化
処理を行う面の溶解量は8g/m2 であり、その裏面の
溶解量は2g/m2 であった。アルカリエッチング処理
に用いたエッチング液の濃度は、あらかじめNaOH濃
度と、アルミニウムイオン濃度と、温度と、比重と、液
の導電率との関係から作成したテーブルを参照し、温
度、比重、および導電率からエッチング液濃度を求め、
フィードバック制御によって水と48質量%NaOH水
溶液とを添加することにより一定に保った。その後、水
洗を行った。
【0207】(3)デスマット処理 液温35℃の硝酸水溶液をスプレーを用いてアルミニウ
ム板に吹き付けて、10秒間デスマット処理を行った。
硝酸水溶液は、次の工程で用いる電解装置からのオーバ
ーフロー廃液を使用した。ついで、デスマット処理液を
吹き付けるスプレー管を数カ所設置して、次の工程まで
アルミニウム板の表面が乾かないようにした。
【0208】(4)電気化学的粗面化処理 図2に示した台形波の交流電流と図3に示した電解装置
2槽とを用いて連続的に電気化学的粗面化処理を行っ
た。酸性水溶液としては、硝酸1質量%の硝酸水溶液
(アルミニウムイオン0.5質量%およびアンモニウム
イオン0.007質量%を含む。)を用いた。液温は5
0℃であった。また、交流電流は、電流値がゼロからカ
ソードサイクル側およびアノードサイクル側のピークに
達するまでの時間tpおよびtp´が1msecであ
り、カーボン電極を対極とした。交流電流のピーク時の
電流密度は、アルミニウム板が陽極時および陰極時とも
に50A/dm2 であり、交流電流の陰極時電気量(Q
C )と陽極時電気量(QA )との比(QC /QA )は
0.95であり、duty比は0.50であり、周波数
は60Hzであり、陽極時の電気量の総和は180C/
dm2 であった。その後、スプレーによって水洗を行っ
た。硝酸水溶液の濃度コントロールは、67質量%の硝
酸原液と水とを、通電量に比例して添加し、硝酸と水と
の添加容積と同量の酸性水溶液(硝酸水溶液)を逐次電
解装置からオーバーフローさせて電解装置系外に排出し
て行った。また、これとともに、あらかじめ硝酸濃度と
アルミニウムイオン濃度と温度と液の導電率と液の超音
波伝搬速度との関係から作成したテーブルを参照し、硝
酸水溶液の温度、導電率、超音波伝搬速度から該硝酸水
溶液の濃度を求め、硝酸原液と水との添加量を逐次調整
する制御を行って濃度を一定に保った。
【0209】(5)アルカリエッチング処理 NaOH26質量%およびアルミニウムイオン6.5質
量%を含有する液温45℃の水溶液を、アルミニウム板
にスプレーを用いて吹き付けて、アルカリエッチング処
理を行った。アルミニウム板の溶解量は1g/m2 であ
った。エッチング液の濃度はあらかじめNaOH濃度と
アルミニウムイオン濃度と温度と比重と液の導電率との
関係から作成したテーブルを参照し、温度、比重および
導電率からエッチング液濃度を求め、フィードバック制
御によって水と48質量%NaOH水溶液とを添加し
て、一定に保った。その後、水洗を行った。
【0210】(6)酸性エッチング処理:硫酸(硫酸濃
度300g/L、アルミニウムイオン濃度15g/L)
を酸性エッチング液とし、これをスプレー管から80℃
で8秒間アルミニウム板に吹き付けて、酸性エッチング
処理を行った。酸性エッチング液の濃度は、あらかじめ
硫酸濃度とアルミニウムイオン濃度と温度と比重と液の
導電率との関係から作成したテーブルを参照して、温
度、比重および導電率から酸性エッチング液濃度を求
め、フィードバック制御によって水と50質量%硫酸と
を添加して、一定に保った。その後、水洗を行った。
【0211】(7)陽極酸化処理 シュウ酸濃度50g/Lの水溶液(アルミニウムイオン
0.5質量%を含む。)を陽極酸化溶液として用いて、
直流電圧を用い、電流密度12A/dm2 、温度50
℃、30秒の条件でアルミニウム板の陽極酸化処理を行
い、陽極酸化皮膜を形成した。陽極酸化処理液の濃度
は、あらかじめシュウ酸濃度とアルミニウムイオン濃度
と温度と比重と液の導電率との関係から作成したテーブ
ルを参照して、温度、比重および導電率から液濃度を求
め、フィードバック制御によって水と50質量%シュウ
酸とを添加して、一定に保った。その後、スプレーによ
って水洗を行った。
【0212】(8)ポアワイド処理 陽極酸化処理後のアルミニウム板をpH13のNaOH
水溶液に50℃で30秒間浸せきして、ポアワイド処理
を行った。その後、水洗を行った。
【0213】(9)親水性表面処理 3号ケイ酸ナトリウム濃度2.5質量%の水溶液で70
℃で10秒間処理して、親水性表面処理を行った。その
後、水洗し、乾燥して、アルミニウム支持体1を得た。
【0214】(支持体製造例2)上記(9)親水性表面
処理の代わりに、下記(10)無機フッ素化合物とケイ
酸化合物とを含有する水溶液での処理を行った以外は、
支持体製造例1と同様の方法により、アルミニウム支持
体2を得た。 (10)無機フッ素化合物とケイ酸化合物とを含有する
水溶液での処理 ポアワイド処理後のアルミニウム板を、フッ化ナトリウ
ムおよび3号ケイ酸ナトリウムを濃度がそれぞれ2質量
%および2.5質量%になるように純水を用いて調製し
た水溶液を用いて、100℃で10秒間浸せきした。そ
の後、水洗を行った。
【0215】(支持体製造例3)上記(8)ポアワイド
処理と(9)親水性表面処理との間に下記(11)粒子
含有水溶液での処理を行った以外は、支持体製造例1と
同様の方法により、アルミニウム支持体3を得た。 (11)粒子含有水溶液での処理 ポアワイド処理後の基板を陰極として、平均粒径30n
mのアルミナ粒子を1重量%含有する水懸濁液を電解液
として用い、電圧110Vで60秒間、定電圧で電解処
理し、その後、水洗を行い、乾燥して封孔処理を行っ
た。
【0216】(比較例用支持体製造例1)上記(7)陽
極酸化処理および(8)ポアワイド処理の代わりに、下
記(7´)陽極酸化処理を行った以外は、支持体製造例
1と同様の方法により、比較例用アルミニウム支持体1
を得た。 (7´)陽極酸化処理 硫酸濃度170g/Lの水溶液(アルミニウムイオン
0.5質量%を含む。)を陽極酸化溶液として用いて、
直流電圧を用い、電流密度5A/dm2 、温度43℃、
33秒の条件でアルミニウム板の陽極酸化処理を行い、
陽極酸化皮膜を形成した。陽極酸化処理液の濃度は、あ
らかじめ硫酸濃度とアルミニウムイオン濃度と温度と比
重と液の導電率との関係から作成したテーブルを参照し
て、温度、比重および導電率から液濃度を求め、フィー
ドバック制御によって水と50質量%硫酸とを添加し
て、一定に保った。その後、スプレーによって水洗を行
った。
【0217】(比較例用支持体製造例2)上記(10)
無機フッ素化合物とケイ酸化合物含有水溶液の処理の代
わりに、下記(11)を行った以外は、支持体製造例2
と同様の方法により、比較例用アルミニウム支持体2を
得た。 (11)ポアワイド処理後のアルミニウム板を、フッ化
ナトリウムおよびリン酸二水素ナトリウムを濃度がそれ
ぞれ0.1質量%および10質量%になるように純水を
用いて調製した水溶液を用いて、100℃で10秒間浸
せきした。その後、水洗を行った。 <空隙率の測定>支持体製造例1〜3、比較用支持体製
造例1、2の空隙率を下記により求めた。 空隙率(%)=[1−(酸化皮膜密度/3.98)]×
100 ここで、酸化皮膜密度(g/cm3 )は[単位面積あた
りの酸化皮膜重量/酸化皮膜膜厚]より求めた。なお、
3.98は化学便覧による酸化アルミニウムの密度(g
/cm3 )である。単位面積あたりの酸化皮膜重量は、
現像処理後の非画像部を所定の大きさに切断し、クロム
酸/リン酸からなるメイソン液にて溶解し、減少分より
算出した。また、膜厚は現像処理後の非画像部における
陽極酸化皮膜を日本電子製走査型顕微鏡T20にて観察
し、50箇所を実測して平均膜厚を算出した。結果を表
2に併記する。
【0218】2.微粒子ポリマーの合成およびマイクロ
カプセルの調製 (1)微粒子ポリマーの合成 アリルメタクリレート7.5g、ブチルメタクリレート
7.5g、ポリオキシエチレンノニルフェノール水溶液
(濃度9.84×10-3mol/L)200mlを加
え、250rpmでかくはんしながら、系内を窒素ガス
で置換した。この液を25℃にした後、セリウム(I
V)アンモニウム塩水溶液(濃度0.984×10-3
ol/L)10mlを添加した。この際、硝酸アンモニ
ウム水溶液(濃度58.8×10-3mol/L)を加
え、pHを1.3〜1.4に調整した。その後、8時間
かくはんして、微粒子ポリマーを含有する液を得た。得
られた液の固形分濃度は9.5%であり、微粒子ポリマ
ーの平均粒径は0.2μmであった。
【0219】(2)マイクロカプセルの調製 キシレンジイソシアネート40g、トリメチロールプロ
パンジアクリレート10g、アリルメタクリレートとブ
チルメタクリレートの共重合体(モル比7/3)10g
および界面活性剤(パイオニンA41C、竹本油脂社
製)0.1gを酢酸エチル60gに溶解させて、油相成
分とした。一方、ポリビニルアルコール(PVA20
5、クラレ社製)の4%水溶液を120g調製し、水相
成分とした。油相成分および水相成分をホモジナイザー
に投入し、10000rpmで用いて乳化させた。その
後、水を40g添加し、室温で30分かくはんし、更に
40℃で3時間かくはんし、マイクロカプセル液を得
た。得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は20質
量%であり、マイクロカプセルの平均粒径は0.2μm
であった。
【0220】3.平版印刷版原版の作製 (実施例1〜3ならびに比較例1および2)上記で得ら
れたアルミニウム支持体1〜3ならびに比較例用アルミ
ニウム支持体1および2に、下記組成の感熱層(1)塗
布液を塗布し、オーブンにて60℃で150秒間乾燥し
て、実施例1〜3ならびに比較例1および2の平版印刷
版原版を得た。感熱層(1)の乾燥塗布量は0.5g/
2 であった。
【0221】 <感熱層(1)塗布液組成> ・上記で合成した微粒子ポリマーを含有する液 5g(固形分) ・ポリヒドロキシエチルアクリレート(重量平均分子量2.5万) 0.5g ・光熱変換剤(本明細書記載のIR−11) 0.3g ・水 100g
【0222】(実施例4〜6ならびに比較例3および
4)上記で得られたアルミニウム支持体1〜3ならびに
比較例用アルミニウム支持体1および2に、下記組成の
感熱層(2)塗布液を塗布し、オーブンにて60℃で1
50秒間乾燥して、実施例4〜6ならびに比較例3およ
び4の平版印刷版原版を得た。感熱層(2)の乾燥塗布
量は0.7g/m2 であった。
【0223】 <感熱層(2)塗布液組成> ・上記で合成したマイクロカプセル液 5g(固形分) ・トリメチロールプロパントリアクリレート 3g ・光熱変換剤(本明細書記載のIR−11) 0.3g ・水 60g ・1−メトキシ−2−プロパノール 40g
【0224】4.感熱層を設けた後の陽極酸化皮膜の破
断面における炭素とアルミニウムとの原子数比(C/A
l)の測定 実施例1〜3ならびに比較例1および2の平版印刷版原
版について、以下のようにして、破断面における炭素と
アルミニウムとの原子数比(C/Al)の測定を行っ
た。分析直前に平版印刷版原版をほぼ180°折り曲げ
ることで陽極酸化皮膜の破断面を作成し、オージェ電子
分光分析装置付属のサンプルホルダーに固定し、装置内
に導入して、オージェ電子分光分析を行った。得られた
チャートから、Ic およびIalを求めた。Sc の値を
0.076、S alの値を0.105とし、上記式(1)
に求めたIc およびIalの値を代入することにより、C
/Alを算出した。結果を第2表に示す。なお、C/A
lは、陽極酸化皮膜の破断面の感熱層と陽極酸化皮膜と
の界面から約0.2μmの位置の5点でオージェ電子分
光分析を行い、その平均値として求めた。
【0225】オージェ電子分光分析の条件を以下に示
す。 測定機器:FE−AES modelSMART−20
0、アルバックファイ社製 照射電流:約10nA 加速電圧:10kV 照射電子ビーム径:focused チャンバー内圧:約1×10-10 Torr(約1.33
×10-8Pa) 検出範囲:20〜2020eV、0eV/step、2
0ms/step マルチプライヤー電圧;2250V
【0226】5.感度の測定 (実施例1〜3ならびに比較例1および2)実施例1〜
3ならびに比較例1および2の機上現像可能な平版印刷
版原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載し
たクレオ社製トレンドセッター3244VFSを用い
て、解像度2400dpiの条件で出力して露光した。
この際、外面ドラム回転数を変化させることにより版面
エネルギを変化させて、画像形成できる最低露光量によ
り感度を評価した。結果を第2表に示した。
【0227】(実施例4〜6ならびに比較例3および
4)実施例4〜6ならびに比較例3および4の機上現像
可能な平版印刷版原版を、マルチチャンネルレーザーヘ
ッドを搭載した富士写真フイルム(株)製Luxel
T−9000CTPを用い、解像度2400dpiの条
件で出力して露光した。この際、ビーム1本あたりの出
力および外面ドラム回転数を変化させて、画像形成でき
る最低露光量により感度を評価した。結果を第2表に示
した。
【0228】6.印刷試験 実施例1〜6および比較例1〜4の平版印刷版原版を、
上述したように露光した後、何ら処理することなく、ハ
イデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り
付け、湿し水を供給した後、インキを供給し、更に紙を
供給して印刷試験を行った。なお、実施例の平版印刷版
原版のすべてにおいて、問題なく機上現像をすることが
でき、印刷も可能であった。
【0229】上記印刷試験においては、地汚れ、放置汚
れ(インキ払い)および耐刷性を以下の方法により評価
した。それぞれの結果を第2表に示した。 (1)地汚れ 印刷試験において、印刷機の水目盛りを調整し、地汚れ
の生じる水目盛りにより地汚れを評価した。地汚れの生
じる水目盛りが2未満である場合を○、2以上3未満で
ある場合を○△、3以上4未満である場合を△、4以上
である場合を×とした。 (2)放置汚れ(インキ払い) 機上現像した後にインキのみを印刷版に供給し、それか
ら湿し水を供給し、インキが払われ、鮮明な印刷物が得
られるまでの印刷枚数を求めた。枚数が少ないほど耐放
置汚れ性(インキ払い性)は優れる。 (3)耐刷性 鮮明な印刷物が得られる印刷枚数により耐刷性を評価し
た。印刷枚数が多いほど耐刷性に優れる。
【0230】第2表から、本発明の平版印刷版原版(実
施例1〜6)は、感度に優れ、地汚れが発生しにくく、
耐放置汚れ性(インキ払い性)および耐刷性に優れるこ
とが分かる。これに対し、感熱層を設けた後の陽極酸化
皮膜の破断面におけるC/Alが大きすぎる場合(比較
例1〜4)は、地汚れが発生しやすく、耐放置汚れ性
(インキ払い性)に劣るか、感度が低く、耐刷性に劣る
かのいずれかであった。
【0231】
【表2】
【0232】
【発明の効果】本発明の平版印刷版原版は、記録層を設
けた後の陽極酸化皮膜の破断面におけるC/Alが所定
の値以下であるため、良好な機上現像性を有し、感度が
高く、かつ、高耐刷性を示し、印刷の際の汚れにくさや
耐放置汚れ性(インキ払い性)が良好である。この場
合、レーザー光によって画像露光しそのまま印刷機に取
り付けて印刷するか、または、印刷機に取り付けた後に
レーザー光によって画像露光しそのまま印刷する本発明
の平版印刷版の製版印刷方法によれば、別個に現像処理
を行うことなく、印刷機上で現像をすることができ、引
き続き印刷を行うことができるので、有用である。
【0233】また、本発明の平版印刷版原版は、記録層
を設けた後の陽極酸化皮膜の破断面におけるC/Alが
所定の値以下であるため、赤外線レーザーの露光量が低
いときや、現像液の液感が低いときでも、現像液に対す
る溶解性が高くなり、その結果、感度が高く、現像ラチ
チュードが広く、低露光時にも残膜が少なく、非画像部
の汚れが生じにくい。また、本発明の平版印刷版原版
は、記録層を設けた後の陽極酸化皮膜の破断面における
C/Alが所定の値以下であるため、レーザー露光部に
おける現像液に対する不溶解率が高くなり、その結果、
感度が高く、耐刷性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 平版印刷版原版の陽極酸化皮膜の破断面につ
いてオージェ電子分光分析を行って得られるチャートの
一例である。
【図2】 本発明に好適に用いられる交流を用いた電気
化学的粗面化処理に用いる台形波の一例を示す波形図で
ある。
【図3】 本発明に好適に用いられる電気化学的粗面化
処理におけるラジアル型セルの一例を示す側面図であ
る。
【符号の説明】
11 アルミニウム板 12 ラジアルドラムローラ 13a、13b 主極 14 酸性水溶液 15 溶液供給口 16 スリット 17 溶液通路 18 補助陽極 19a、19b サイリスタ 20 交流電源 21 主電解槽 22 補助陽極槽
フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA01 AA04 AA12 AB03 AC08 AD01 BC31 BC51 BD03 BD23 BD24 CC20 DA10 DA18 DA20 FA03 2H084 AA14 AA38 AE05 CC05 2H096 AA07 AA08 BA01 BA06 BA16 BA20 CA03 EA02 LA16 2H114 AA04 AA10 AA14 AA24 DA03 DA04 DA52 DA53 DA74 DA75 EA01 EA03 EA05 EA08 FA01 FA07 FA18 GA01 GA09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム板に陽極酸化皮膜を形成させ
    た平版印刷版用支持体上に、赤外線レーザー露光により
    書き込み可能な記録層を設けてなる平版印刷版原版であ
    って、 該記録層を設けた後の該陽極酸化皮膜の破断面におい
    て、下記式(1)で表される炭素とアルミニウムとの原
    子数比(C/Al)が1.0以下であることを特徴とす
    る平版印刷用原版。 C/Al=(Ic /Sc )/(Ial/Sal) (1) Ic :炭素(KLL)オージェ電子微分型peak−t
    o−peak強度 Ial:アルミニウム(KLL)オージェ電子微分型pe
    ak−to−peak強度 Sc :炭素(KLL)オージェ電子の相対感度係数 Sal:アルミニウム(KLL)オージェ電子の相対感度
    係数
  2. 【請求項2】前記記録層を設ける前の陽極酸化皮膜の空
    隙率が20〜70%である請求項1に記載の平版印刷版
    原版。
  3. 【請求項3】前記記録層が、 (a)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー、また
    は、 (b)熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイク
    ロカプセルを含有する感熱層である請求項1または2に
    記載の平版印刷版原版。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷
    版原版を、レーザー光によって画像露光しそのまま印刷
    機に取り付けて印刷するか、または、印刷機に取り付け
    た後にレーザー光によって画像露光しそのまま印刷する
    ことを特徴とする平版印刷版の製版および印刷方法。
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