JP2004218164A - 皮革様シート基材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【目的】例えば靴において、足の動きに応じて、屈曲、伸縮のような負荷のかかる部分が柔軟化して足にフィットし、履き心地が良く、負荷のかからない部分は形状を保持する、すなわち天然皮革と同じような形態変化をおこす皮革様シートを提供することである。
【構成】2種以上の重合体成分が交互に5つ以上配列している接合型複合繊維からなる不織布と該不織布の内部に高分子弾性体が充填された皮革様シートにおいて、該皮革様シートをJIS K6545「革の耐屈曲性試験方法」で1万回屈曲させたとき、屈曲部の該接合型複合繊維の割繊率(x)と屈曲試験前の割繊率(y)の比率が、(x)/(y)=1.5以上であり、かつ屈曲試験前の割繊率(y)が40%以下であることを特徴とする皮革様シート基材。
【選択図】図1
【構成】2種以上の重合体成分が交互に5つ以上配列している接合型複合繊維からなる不織布と該不織布の内部に高分子弾性体が充填された皮革様シートにおいて、該皮革様シートをJIS K6545「革の耐屈曲性試験方法」で1万回屈曲させたとき、屈曲部の該接合型複合繊維の割繊率(x)と屈曲試験前の割繊率(y)の比率が、(x)/(y)=1.5以上であり、かつ屈曲試験前の割繊率(y)が40%以下であることを特徴とする皮革様シート基材。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接合型複合繊維からなる不織布とその内部に高分子弾性体が充填された皮革様シート基材に関する。さらに詳しくは、本発明は、接合型複合繊維と高分子弾性体からなる皮革様シート基材において、その繊維の一部のみを割繊して適度な柔軟性を有する皮革様シート基材とし、例えば靴用素材に用いた場合、使用を重ねるに連れて、繊維の割繊が進行し、より柔軟化され、足の形にフィットするといった従来天然皮革の特徴であった履き心地を達成することを特徴とする。
【0002】
【従来の技術】
天然皮革の構造、外観、風合を手本に人工皮革は開発され、現在では一部物性や機能の観点で天然皮革を上回るものも上市されているが、一方で今だに靴、衣類、手袋等、身につけて着用する分野においては、天然皮革のフィット感をはじめとする着用感を達成することができていない状況にある。
その顕著な例として、例えば靴において、天然皮革をアッパー材として使用した靴は、着用するに連れて屈曲部がより柔軟になり、足の形にフィットし、一方変形されない部分例えば、かかと部分やはとめ部分はある硬さを保ち、靴のデザインとしての形状を保っている。しかしながら、従来の人工皮革は、使用による硬さ変化、形状変化がほとんど起こらないため、型崩れしないという利点の一方で、足になじまないという問題点を持っており、柔軟さ由来の履きやすさ、硬さ由来の形状保持性の相反する目的を達成するためには、異なる素材同士の組合せを行うしか方法がなかった。
その理由としては、天然皮革の場合、構成するコラーゲンのフィブリルが集合してコラーゲン繊維を形成し、該繊維が束となって繊維束を形成しているが、使用によって繊維束が解れてフィブリル化している。しかしながら、人工皮革はその製品自体が極細繊維からなっており、使用によってその繊維形状を変化させられない。
【0003】
例えば、海島型繊維を用いる場合には、海成分を溶剤により溶解除去して極細繊維を発生させる。また一方で2成分が高度に分割相互配列した接合型(多層張り合わせ型や花弁型など)においても、物理的な力、すなわち揉んだり、ウォータージェット流を噴射するなどして、強制的に割繊したり、溶剤等を用いて一成分を膨潤させることによって界面部分で剥離させることによって、結果としてほぼ全ての繊維を割繊する条件にて処理を行っていた(例えば、特許文献1参照。)。このように、これらの方法において得られる皮革様シートを構成する繊維は極細化された繊維であり柔らかい風合いは有るものの、靴等に成形したとき履きこんでいるうちにフィット感が得られない等の問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭54−96181号(第3頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、例えば靴において、足の動きの応じて、屈曲、伸縮のような負荷のかかる部分が柔軟化して足にフィットし、履き心地が良く、負荷のかからない部分は形状を保持する、すなわち天然皮革と同じような形態変化をおこす皮革様シートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、外的負荷に応じて、適度な変形と柔軟化を生じる皮革様シートについて鋭意検討した結果、以下の構成によって目的が達成できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、2種以上の重合体成分が交互に5つ以上配列している接合型複合繊維からなる不織布と該不織布の内部に高分子弾性体が充填された皮革様シートにおいて、該皮革様シートをJIS K6545「革の耐屈曲性試験方法」で1万回屈曲させたとき、屈曲部の該接合型複合繊維の割繊率(x)と屈曲試験前の割繊率(y)の比率が、(x)/(y)=1.5以上であり、かつ屈曲試験前の割繊率(y)が40%以下であることを特徴とする皮革様シート基材であり、さらに該皮革様シート基材を用いた銀付き調人工皮革、または皮革様シート基材と立毛シートを積層してなるスエード調人工皮革である。そして好ましくは、それらの人工皮革をアッパー材として用いた靴に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる接合型複合繊維は、2種以上の重合体成分、即ちこれらを構成する成分A、成分Bの少なくとも2成分からなる。そして該繊維の横断面構造は、成分A、成分Bが互いに相溶せず、相分離によって両者の間に界面を形成しており、さらに成分A、成分Bが交互に5つ以上配列されていることが必要である。そして、靴として使用しているうちに割繊してよりフィット感を得やすいといった点で8以上が好ましく、10以上がより好ましい。5つ未満である場合には、割繊により得られる繊維径と元の繊維の径との差が小さく、使用に伴う屈曲によって起こる風合、柔軟性の変化が小さくフィット感が得られない。
成分A、Bは、それぞれ相分離構造を形成する重合体の組合せであり、かつ紡糸性を有する重合体であれば、とくに限定されないが、紡糸性、糸物性、割繊性の観点から、ポリアミドとポリエステルの組合せが好適に用いられる。ポリアミド、ポリエステルの種類についても限定されるものではなく、例えばポリアミドではナイロン6、ナイロン12、ナイロン6−12等、公知のものが好んで用いられ、ポリエステルではPET、PBT等が好んで用いられる。
横断面構造は、5つ以上のパーツからなることが必要であるが、成分A、成分Bの形成する断面構造は多層貼り合わせ型であることが好ましい。その他にも花弁型等、様々な型を用いることができるが、外的な応力に対する割繊性や、割繊前後の風合い差の観点で、多層貼り合わせ型が好ましい。
さらに、これら繊維はカード、ニードルパンチや水流絡合等の工程通過性の観点で、繊維の表皮部分に該繊維表面部分の衝撃を保護する観点からスキン層(以下被膜と称することもある)を有する構造であることが好ましい。スキン層は成分A、成分Bいずれの成分でも良く、また、第3成分でもよい。スキン層の厚さも特に限定されるものではないが、薄すぎると製造工程中で割繊し、工程通過性が低下する傾向があり、また厚すぎると使用時の割繊が起こりにくくなる傾向があるため、通常、被膜部分の最小厚み(t)と繊維の最大直径(d)との比(t/d)は0.005〜0.03の範囲内であることが好ましい。
【0008】
また、繊維中の重合体成分Aと成分Bの重量比は目的とする断面構造が形成される限り問題はないが、好ましくは90/10〜10/90の範囲にあり、さらに好ましくは80/20〜20/80の範囲である。ただしA、B両重合体成分の重量比の何れか一方が10%未満の場合には、紡糸口金より吐出する前に口金内において成分Aと成分Bとを交互に配列する際に、一方の重合体の量が少ないために目的とする断面を形成することが難しくなる傾向がある。
【0009】
接合型複合繊維の単繊維繊度は、特に限定されず、用途によって任意に繊度を選ぶことができるが、得られる皮革様シートの風合いや靴にして使用したときの使用を重ねるにつれてフィット性が優れることから、0.5〜10デシテックス、より好ましくは2〜7デシテックスである。また、ステープル長もその用途により、任意に選ぶことができる。また、割繊後の各繊維の繊度としては平均0.01〜1.0デシテックスの範囲が得られる皮革様シートの風合いの点で好ましい。
【0010】
接合型複合繊維には、必要に応じて各種添加剤を配合し使用することができる。例えば、触媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、着色剤、光沢改良剤、制電剤、芳香剤、消臭剤、抗菌剤、防ダニ剤、無機微粒子などが含まれてもよい。また、添加剤の配合は重合体A、重合体Bのいずれか一方でも良いし、または両方であっても良い。
【0011】
次に該繊維を不織布に加工するが、その方法については公知の方法を採用することができる。すなわち、カードで解繊し、ウェッバーを通してウェッブを形成し、所望の重さ及び厚さに重ね合わせる。次いで、例えばニードルパンチ方法や高圧水流絡合処理方法等で絡合処理を行って不織布とするか、あるいは該繊維を重ね合わせた編織布に水流等を使用して3次元絡合させて複合不織布とする。該不織布は、人工皮革とした際の厚さ等を考慮して目的に応じた形態にすることが好ましいが、目付けとしては200〜1500g/m2、厚みとしては1〜10mmの範囲が工程中での取り扱いの容易さの観点から好ましい。不織布の見かけ密度は、柔軟な風合いを有する皮革様シートを得るためには0.1〜0.6g/cm3であることが好ましく、0.15〜0.55g/cm3であることがより好ましい。見かけ密度が0.6g/cm3より大きくなると、得られるシートがゴムの様な風合いとなる傾向がある。一方、見かけ密度が0.1g/cm3より小さくなると、反発性および腰感が劣り、風合いが損なわれる傾向がある。熱水収縮後の不織布は、必要に応じて熱プレス等により、表面の平滑化が施される。これにより得られる皮革様シートの外観が向上する場合がある。
【0012】
本発明の趣旨を損なわない範囲でポリビニルアルコール等の水溶性ポリマー、シリコーン系またはフッ素系の油剤、撥水剤、柔軟剤、帯電防止剤や耐光安定剤、紫外線吸収剤などの公知の化合物を付着させるなどの処理を行うことができる。また、不織布は、前記した接合型複合繊維の他に他の繊維が加えられていてもよい。
【0013】
本発明方法に用いられる高分子弾性体は、従来から皮革様シートを製造する際に使用されている高分子弾性体であればよい。このような高分子弾性体として、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミドエラストマーなどのポリアミド系樹脂、ポリエステルエラストマーなどのポリエステル系樹脂、弾性を有するポリスチレン系樹脂、弾性を有するポリオレフィン系樹脂などがあるが、この中でも得られる皮革様シートに優れた風合いを与えることから、ポリウレタン系樹脂やアクリル系樹脂が好適に使用される。
【0014】
樹脂の付与方法としてはポリウレタンなどのジメチルホルムアミド溶液を不織布に含浸し、水中で湿式凝固、脱洗する、いわゆる湿式凝固法と、エマルジョンを含浸して熱風、スチーム、マイクロ波、熱水浴などのいずれかの方法により樹脂の固化またはゲル化および乾燥を行うエマルジョン法を好適例として挙げることができる。湿式凝固法を採用すれば、より天然皮革調の風合いを得ることができる。またポリウレタンエマルジョン、アクリル系エマルジョンのようなエマルジョン、とりわけ水のみで分散された水性エマルジョンを使用すれば、本発明方法で得られる皮革様シートは有機溶剤を使用することなく製造することができ、さらに環境への負荷が少ない皮革様シートの製造方法となるため好ましい。このような高分子弾性体エマルジョンとしては、ポリウレタン系エマルジョン、アクリル系エマルジョン、ポリウレタン/アクリル系複合エマルジョンなどがあるが、この中でも得られる皮革様シートに優れた風合いを与えることから、ポリウレタン系エマルジョンやポリウレタン/アクリル系複合エマルジョンが好適に使用される。
【0015】
これらのエマルジョンが感熱ゲル化性を有している場合、エマルジョン粒子をマイグレーションさせることなく均一に付与することができる。界面活性剤としてHLBの低いノニオン性界面活性剤で乳化したり、いわゆるマイグレーション防止剤と称する物質を感熱ゲル化剤としてエマルジョン中に添加することにより感熱ゲル化性が得られる。添加する感熱ゲル化剤としては、例えば、塩化カルシウムなどの無機塩類とポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤、ポリビニルメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、シリコーンポリエーテル共重合体、ポリシロキサン等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0016】
得られる皮革様シートを構成する不織布と高分子弾性体の重量比は用途によって適宜選択することができるが、一般に不織布の重量に対して5〜150重量%であることが好ましく、15〜120重量%であることがより好ましく、30〜100重量%であることがさらに好ましい。5重量%未満では、高分子弾性体によるバインダー効果の不足により、繊維の脱落が発生したり、加工中に不織布が伸びたり、得られるシートの充実感が不足するなどの問題が発生し、得られるシートの風合いが悪くなる傾向がある。一方、150重量%を越えると、得られるシートは硬くなり、皮革様シートの風合いが悪くなる傾向がある。
【0017】
本発明においては、構成する繊維の割繊率に関して、JIS K6545「革の耐屈曲性試験方法」で1万回屈曲させたとき、屈曲部の該接合型複合ステープル繊維の割繊率(x)と屈曲試験前の割繊率(y)の比率が、(x)/(y)=1.5以上であり、かつ屈曲試験前の割繊率(y)が40%以下であることが必要である。ここでいう割繊率は、本発明の皮革様シート断面を走査型電子顕微鏡で200倍の倍率にて観察し、糸断面の見える繊維を無作為に20本選び出した時、その断面を構成する重合体A、重合体Bの界面の一部に亀裂の入った繊維を割繊されたとみなし、割繊された繊維の割合である。屈曲試験前の割繊率が40%を越える場合、使用によって起こる風合、柔軟性の変化が小さくなる傾向があり、本発明の趣旨に反する。逆に割繊率は風合いの点から5%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。割繊率が40%以下となるように割繊処理を施す場合には、ヤマサもみ等の乾式でのもみ処理、あるいはサーキュラー他染色機を用いた湿式でのもみが好ましく用いられるが、処理効率の点でサーキュラー染色機でのもみが特に好ましく用いられ、割繊温度は40〜120℃程度とし、比較的短時間すなわち30分以内の範囲で行うことが好ましい。
【0018】
本発明方法により得られる皮革様シートは、適度な柔軟性と充実感を有しており、片面に公知の方法で樹脂被覆層を形成することにより、銀付き人工皮革として使用することができる。さらに、本発明を構成する基材に充填する高分子弾性体と、樹脂被覆層にポリウレタン等の水性エマルジョンを用いた場合には、製造工程で一切有機溶剤を使用しない銀付き人工皮革を得ることができる。
【0019】
一方、該皮革様シート基材と立毛シートを積層することによってスエード調人工皮革を得ることができる。立毛シートは、公知の種々の物を選ぶことができる。例えば、0.5デシテックス以下の極細繊維不織布と高分子弾性体からなる皮革様シートの表面を立毛させたシート、0.5デシテックス以上の繊維からなる編織物の表面を立毛させたシート、ポリウレタン等からなる発泡シートの表面をバフィングしてスエード感を持たせたシート、スエード調の面感を有する離型紙を用いた乾式法により得られるシート等である。中でも0.5デシテックス以下の極細繊維と高分子弾性体からなる皮革様シートの表面を立毛させたシートが外観に高級感が得られることから好ましい。
これらの立毛シートは通常、該皮革様シートや立毛シートに対し良溶媒となる溶剤や、接着樹脂等で該皮革様シートに接着して用いられるが、特に0.5デシテックス以下の極細繊維不織布と高分子弾性体からなる皮革様シートの表面を立毛させたシートを積層する場合には、本発明の皮革様シートを構成する不織布と0.5デシテックス以下の極細繊維発生型繊維不織布とを積層した後に、高分子弾性体を含浸、極細繊維発生型繊維の極細繊維化の工程を経て皮革様シートを作成した後、極細繊維からなる面を立毛させる方法も採用することができる。
【0020】
この様にして得られる銀付き調、あるいはスエード調人工皮革は、特に、紳士靴等デザイン性と履き心地の両者を求められる高級靴用アッパー材に好適に使用することができる。そして得られる靴は、天然皮革製の靴と同様、靴のデザインを保持するだけの適度な硬さを有しており、着用によって屈曲部が柔軟化し、張力のかかる部分が適度に変形し、個人の足にフィットする感覚を有する。
【0021】
【実施例】
以下に実施例によって本発明方法を具体的に説明するが、本発明はそれによって何ら限定されるものではない。以下の例において、接合型複合ステープル繊維の割繊率の評価は以下の方法により行った。
【0022】
[屈曲試験]JIS K6545「革の耐屈曲性試験方法」に準拠した。
[割繊率]得られる皮革様シート断面を200倍の走査型電子顕微鏡写真で観察し、繊維断面が観察可能な繊維20本を無作為に抽出し、一部でも割れている繊維数の割合を示した。
割繊率(%)=(割れている繊維数/抽出した繊維数20本)×100(%)
【0023】
製造例1
重合体成分Aとしてナイロン6(ガラス転移点=40℃)、重合体成分としてポリエチレンテレフタレート(ガラス転移点=69℃)を用いて、重量比を66/34の割合で、11層に交互に配列させた後に口金より吐出させて紡糸した。そして、延伸、機械捲縮した後、51mmにカットし、図1に示す断面形状の複合ステープル繊維を得た。得られた複合ステープル繊維の繊度は3.3デシテックスであった。
この複合ステープル繊維を用い、カード、ニードルパンチ工程を通って不織布を作成した。そこへまずポリビニルアルコールPVA−205(株式会社クラレ製)の10%水溶液を含浸し、絞った後120℃で乾燥し、ポリビニルアルコールを不織布に対して4%付与した後、水性ポリウレタンエマルジョン(ボンディック1310NSA:大日本インキ化学工業株式会社製)を乾燥後の固形分重量で不織布の70重量%となるように含浸して、乾燥した後に165℃熱プレスで表面の平滑化と比重合わせを実施し、シート1を得た。
【0024】
製造例2
重合体成分Aとしてポリブチレンテレフタレート(ガラス転移点=37℃)、重合体成分Bとしてポリエチレンテレフタレート(ガラス転移点=69℃)を用いた以外は製造例1と同様にして、図1に示す断面形状の複合ステープル繊維を得た。得られた複合ステープル繊維の繊度は3.3デシテックスであった。
この複合ステープル繊維を用い、さらに製造例1と同様の操作によりシート2を得た。
【0025】
実施例1
製造例1で得られたシート1をサーキュラー染色機中で、ポリビニルアルコールの除去、割繊を兼ねるため、60℃、20分間の条件で処理を行った。得られた皮革様シート基体は適度な柔軟性を有するものであった。断面観察の結果、繊維の割繊率は20%であり、屈曲試験で1万回屈曲させた後の割繊率は70%であった。したがって、屈曲部の該接合型複合ステープル繊維の割繊率(x)と屈曲試験前の割繊率(y)の比率は、(x)/(y)=3.5であった。
さらに得られたシートの片面に白顔料で着色した厚み30ミクロンのポリウレタンフィルムを、固形分重量で100g/m2となるように塗布した水性ポリウレタン系接着剤により貼り合わせる乾式造面を行い銀付き調人工皮革を得た。得られた銀付き調人工皮革は平滑な面感と自然な折れ皺を有し、適度な柔軟性を示すものであった。
この銀付き調人工皮革をアッパー材に用いて、オックスフォードタイプの靴を作製し、10人の被験者に1日平均1万歩程度を10日間歩いてもらい、着用感と靴デザインの保持性について調査したところ、履き心地に関する評価は、靴が個人の足型へ適度に変形してフィット感が生まれるため、着用感が優れているというものであった。一方で、屈曲変形を受けないはとめ部分は元の硬さを保持しており、靴のデザインを損なっていなかった。
【0026】
実施例2
製造例1で得られたシート1をサーキュラー染色機中で、ポリビニルアルコールの除去、割繊を兼ねるため、60℃、20分間の条件で処理を行った。得られた皮革様シート基体は適度な柔軟性を有するものであった。断面観察の結果、繊維の割繊率は20%であり、屈曲試験で1万回屈曲させた後の割繊率は70%であった。したがって、屈曲部の該接合型複合ステープル繊維の割繊率(x)と屈曲試験前の割繊率(y)の比率は、(x)/(y)=3.5であった。
さらに得られたシートの片面に単繊度0.1デシテックスの極細繊維立毛を有する厚さ0.45mmのスエード調人工皮革を、水性ポリウレタン系接着剤により固形分重量で80g/m2となるように塗布し貼り合わせてスエード調人工皮革を得た。得られたスエード調人工皮革は平滑な面感と優れたライティング効果を有し、適度な柔軟性を示すものであった。
このスエード調人工皮革をアッパー材に用いて、オックスフォードタイプの靴を作製し、10人の被験者に1日平均1万歩程度を10日間歩いてもらい、着用感と靴デザインの保持性について調査したところ、履き心地に関する評価は、靴が個人の足型へ適度に変形してフィット感が生まれるため、着用感が優れているというものであった。一方で、屈曲変形を受けないはとめ部分は元の硬さを保持しており、靴のデザインを損なっていなかった。
【0027】
比較例1
製造例1で得られたシート1をサーキュラー染色機中で、110℃、40分間の条件で処理を行った。得られた皮革様シート基体は柔軟性に優れるものであった。断面観察の結果、繊維の割繊率は90%であった。また、屈曲試験で1万回屈曲させた後の割繊率は95%であった。したがって、屈曲部の該接合型複合ステープル繊維の割繊率(x)と屈曲試験前の割繊率(y)の比率は、(x)/(y)=1.06であった。
さらに得られたシートの片面に白顔料で着色した厚み30ミクロンのポリウレタンフィルムを、水性ポリウレタン系接着剤により固形分重量で100g/m2となるように塗布し貼り合わせて銀付き調人工皮革を得た。得られた銀付き調人工皮革は平滑な面感と自然な折れ皺を有しており、柔軟性にも優れていた。
この銀付き調人工皮革をアッパー材に用いて、オックスフォードタイプの靴を作製し、実施例1と同様の着用試験を行ったところ、靴は柔らかい履き心地であったが、足へのフィット感が低いという評価であった。一方で、はとめ部分は素材の柔軟さゆえにデザイン的にきれいな線が出にくく、靴としての高級感にかけるものであり、着用試験後の型崩れが目立った。
【0028】
比較例2
製造例2で得られたシート1をサーキュラー染色機中で、110℃、40分間の条件で処理を行った。得られた皮革様シート基体は柔軟性に劣るものであった。断面観察の結果、繊維の割繊率は5%であった。また、屈曲試験で1万回屈曲させた後の割繊率も5%であり、したがって、屈曲部の該接合型複合ステープル繊維の割繊率(x)と屈曲試験前の割繊率(y)の比率は、(x)/(y)=1であった。
さらに得られたシートの片面をバフして平滑化した後、白顔料で着色した厚み30ミクロンのポリウレタンフィルムを、水性ポリウレタン系接着剤により固形分重量で100g/m2となるように塗布し貼り合わせて銀付き調人工皮革を得た。得られた銀付き調人工皮革は平滑な面感を有していたが、柔軟性に劣っていた。
この銀付き調人工皮革をアッパー材に用いて、オックスフォードタイプの靴を作製し、実施例1と同様の着用試験を行ったところ、靴の履き心地は硬く、足へのフィット感も低く、着用試験者の中には靴擦れを起こす人もいた。
【0029】
【発明の効果】
本発明方法により、例えば靴のアッパー材へ応用した場合に、着用にしたがって柔軟化して足型にフィットするといった、外観、風合のみならず、着用感も天然皮革と同様の性能が得られるまさに天然皮革代替材料としての位置付けを有する皮革様シート基材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に用いられる多層張り合わせ型接合型複合ステープル繊維の断面の一例を示す図である。
【図2】本発明方法に用いられる接合型複合ステープル繊維断面の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
1:成分A
2:成分B
d:繊維の最大直径
t:被膜の最小厚さ
【発明の属する技術分野】
本発明は、接合型複合繊維からなる不織布とその内部に高分子弾性体が充填された皮革様シート基材に関する。さらに詳しくは、本発明は、接合型複合繊維と高分子弾性体からなる皮革様シート基材において、その繊維の一部のみを割繊して適度な柔軟性を有する皮革様シート基材とし、例えば靴用素材に用いた場合、使用を重ねるに連れて、繊維の割繊が進行し、より柔軟化され、足の形にフィットするといった従来天然皮革の特徴であった履き心地を達成することを特徴とする。
【0002】
【従来の技術】
天然皮革の構造、外観、風合を手本に人工皮革は開発され、現在では一部物性や機能の観点で天然皮革を上回るものも上市されているが、一方で今だに靴、衣類、手袋等、身につけて着用する分野においては、天然皮革のフィット感をはじめとする着用感を達成することができていない状況にある。
その顕著な例として、例えば靴において、天然皮革をアッパー材として使用した靴は、着用するに連れて屈曲部がより柔軟になり、足の形にフィットし、一方変形されない部分例えば、かかと部分やはとめ部分はある硬さを保ち、靴のデザインとしての形状を保っている。しかしながら、従来の人工皮革は、使用による硬さ変化、形状変化がほとんど起こらないため、型崩れしないという利点の一方で、足になじまないという問題点を持っており、柔軟さ由来の履きやすさ、硬さ由来の形状保持性の相反する目的を達成するためには、異なる素材同士の組合せを行うしか方法がなかった。
その理由としては、天然皮革の場合、構成するコラーゲンのフィブリルが集合してコラーゲン繊維を形成し、該繊維が束となって繊維束を形成しているが、使用によって繊維束が解れてフィブリル化している。しかしながら、人工皮革はその製品自体が極細繊維からなっており、使用によってその繊維形状を変化させられない。
【0003】
例えば、海島型繊維を用いる場合には、海成分を溶剤により溶解除去して極細繊維を発生させる。また一方で2成分が高度に分割相互配列した接合型(多層張り合わせ型や花弁型など)においても、物理的な力、すなわち揉んだり、ウォータージェット流を噴射するなどして、強制的に割繊したり、溶剤等を用いて一成分を膨潤させることによって界面部分で剥離させることによって、結果としてほぼ全ての繊維を割繊する条件にて処理を行っていた(例えば、特許文献1参照。)。このように、これらの方法において得られる皮革様シートを構成する繊維は極細化された繊維であり柔らかい風合いは有るものの、靴等に成形したとき履きこんでいるうちにフィット感が得られない等の問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭54−96181号(第3頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、例えば靴において、足の動きの応じて、屈曲、伸縮のような負荷のかかる部分が柔軟化して足にフィットし、履き心地が良く、負荷のかからない部分は形状を保持する、すなわち天然皮革と同じような形態変化をおこす皮革様シートを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、外的負荷に応じて、適度な変形と柔軟化を生じる皮革様シートについて鋭意検討した結果、以下の構成によって目的が達成できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、2種以上の重合体成分が交互に5つ以上配列している接合型複合繊維からなる不織布と該不織布の内部に高分子弾性体が充填された皮革様シートにおいて、該皮革様シートをJIS K6545「革の耐屈曲性試験方法」で1万回屈曲させたとき、屈曲部の該接合型複合繊維の割繊率(x)と屈曲試験前の割繊率(y)の比率が、(x)/(y)=1.5以上であり、かつ屈曲試験前の割繊率(y)が40%以下であることを特徴とする皮革様シート基材であり、さらに該皮革様シート基材を用いた銀付き調人工皮革、または皮革様シート基材と立毛シートを積層してなるスエード調人工皮革である。そして好ましくは、それらの人工皮革をアッパー材として用いた靴に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる接合型複合繊維は、2種以上の重合体成分、即ちこれらを構成する成分A、成分Bの少なくとも2成分からなる。そして該繊維の横断面構造は、成分A、成分Bが互いに相溶せず、相分離によって両者の間に界面を形成しており、さらに成分A、成分Bが交互に5つ以上配列されていることが必要である。そして、靴として使用しているうちに割繊してよりフィット感を得やすいといった点で8以上が好ましく、10以上がより好ましい。5つ未満である場合には、割繊により得られる繊維径と元の繊維の径との差が小さく、使用に伴う屈曲によって起こる風合、柔軟性の変化が小さくフィット感が得られない。
成分A、Bは、それぞれ相分離構造を形成する重合体の組合せであり、かつ紡糸性を有する重合体であれば、とくに限定されないが、紡糸性、糸物性、割繊性の観点から、ポリアミドとポリエステルの組合せが好適に用いられる。ポリアミド、ポリエステルの種類についても限定されるものではなく、例えばポリアミドではナイロン6、ナイロン12、ナイロン6−12等、公知のものが好んで用いられ、ポリエステルではPET、PBT等が好んで用いられる。
横断面構造は、5つ以上のパーツからなることが必要であるが、成分A、成分Bの形成する断面構造は多層貼り合わせ型であることが好ましい。その他にも花弁型等、様々な型を用いることができるが、外的な応力に対する割繊性や、割繊前後の風合い差の観点で、多層貼り合わせ型が好ましい。
さらに、これら繊維はカード、ニードルパンチや水流絡合等の工程通過性の観点で、繊維の表皮部分に該繊維表面部分の衝撃を保護する観点からスキン層(以下被膜と称することもある)を有する構造であることが好ましい。スキン層は成分A、成分Bいずれの成分でも良く、また、第3成分でもよい。スキン層の厚さも特に限定されるものではないが、薄すぎると製造工程中で割繊し、工程通過性が低下する傾向があり、また厚すぎると使用時の割繊が起こりにくくなる傾向があるため、通常、被膜部分の最小厚み(t)と繊維の最大直径(d)との比(t/d)は0.005〜0.03の範囲内であることが好ましい。
【0008】
また、繊維中の重合体成分Aと成分Bの重量比は目的とする断面構造が形成される限り問題はないが、好ましくは90/10〜10/90の範囲にあり、さらに好ましくは80/20〜20/80の範囲である。ただしA、B両重合体成分の重量比の何れか一方が10%未満の場合には、紡糸口金より吐出する前に口金内において成分Aと成分Bとを交互に配列する際に、一方の重合体の量が少ないために目的とする断面を形成することが難しくなる傾向がある。
【0009】
接合型複合繊維の単繊維繊度は、特に限定されず、用途によって任意に繊度を選ぶことができるが、得られる皮革様シートの風合いや靴にして使用したときの使用を重ねるにつれてフィット性が優れることから、0.5〜10デシテックス、より好ましくは2〜7デシテックスである。また、ステープル長もその用途により、任意に選ぶことができる。また、割繊後の各繊維の繊度としては平均0.01〜1.0デシテックスの範囲が得られる皮革様シートの風合いの点で好ましい。
【0010】
接合型複合繊維には、必要に応じて各種添加剤を配合し使用することができる。例えば、触媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、着色剤、光沢改良剤、制電剤、芳香剤、消臭剤、抗菌剤、防ダニ剤、無機微粒子などが含まれてもよい。また、添加剤の配合は重合体A、重合体Bのいずれか一方でも良いし、または両方であっても良い。
【0011】
次に該繊維を不織布に加工するが、その方法については公知の方法を採用することができる。すなわち、カードで解繊し、ウェッバーを通してウェッブを形成し、所望の重さ及び厚さに重ね合わせる。次いで、例えばニードルパンチ方法や高圧水流絡合処理方法等で絡合処理を行って不織布とするか、あるいは該繊維を重ね合わせた編織布に水流等を使用して3次元絡合させて複合不織布とする。該不織布は、人工皮革とした際の厚さ等を考慮して目的に応じた形態にすることが好ましいが、目付けとしては200〜1500g/m2、厚みとしては1〜10mmの範囲が工程中での取り扱いの容易さの観点から好ましい。不織布の見かけ密度は、柔軟な風合いを有する皮革様シートを得るためには0.1〜0.6g/cm3であることが好ましく、0.15〜0.55g/cm3であることがより好ましい。見かけ密度が0.6g/cm3より大きくなると、得られるシートがゴムの様な風合いとなる傾向がある。一方、見かけ密度が0.1g/cm3より小さくなると、反発性および腰感が劣り、風合いが損なわれる傾向がある。熱水収縮後の不織布は、必要に応じて熱プレス等により、表面の平滑化が施される。これにより得られる皮革様シートの外観が向上する場合がある。
【0012】
本発明の趣旨を損なわない範囲でポリビニルアルコール等の水溶性ポリマー、シリコーン系またはフッ素系の油剤、撥水剤、柔軟剤、帯電防止剤や耐光安定剤、紫外線吸収剤などの公知の化合物を付着させるなどの処理を行うことができる。また、不織布は、前記した接合型複合繊維の他に他の繊維が加えられていてもよい。
【0013】
本発明方法に用いられる高分子弾性体は、従来から皮革様シートを製造する際に使用されている高分子弾性体であればよい。このような高分子弾性体として、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミドエラストマーなどのポリアミド系樹脂、ポリエステルエラストマーなどのポリエステル系樹脂、弾性を有するポリスチレン系樹脂、弾性を有するポリオレフィン系樹脂などがあるが、この中でも得られる皮革様シートに優れた風合いを与えることから、ポリウレタン系樹脂やアクリル系樹脂が好適に使用される。
【0014】
樹脂の付与方法としてはポリウレタンなどのジメチルホルムアミド溶液を不織布に含浸し、水中で湿式凝固、脱洗する、いわゆる湿式凝固法と、エマルジョンを含浸して熱風、スチーム、マイクロ波、熱水浴などのいずれかの方法により樹脂の固化またはゲル化および乾燥を行うエマルジョン法を好適例として挙げることができる。湿式凝固法を採用すれば、より天然皮革調の風合いを得ることができる。またポリウレタンエマルジョン、アクリル系エマルジョンのようなエマルジョン、とりわけ水のみで分散された水性エマルジョンを使用すれば、本発明方法で得られる皮革様シートは有機溶剤を使用することなく製造することができ、さらに環境への負荷が少ない皮革様シートの製造方法となるため好ましい。このような高分子弾性体エマルジョンとしては、ポリウレタン系エマルジョン、アクリル系エマルジョン、ポリウレタン/アクリル系複合エマルジョンなどがあるが、この中でも得られる皮革様シートに優れた風合いを与えることから、ポリウレタン系エマルジョンやポリウレタン/アクリル系複合エマルジョンが好適に使用される。
【0015】
これらのエマルジョンが感熱ゲル化性を有している場合、エマルジョン粒子をマイグレーションさせることなく均一に付与することができる。界面活性剤としてHLBの低いノニオン性界面活性剤で乳化したり、いわゆるマイグレーション防止剤と称する物質を感熱ゲル化剤としてエマルジョン中に添加することにより感熱ゲル化性が得られる。添加する感熱ゲル化剤としては、例えば、塩化カルシウムなどの無機塩類とポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤、ポリビニルメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、シリコーンポリエーテル共重合体、ポリシロキサン等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0016】
得られる皮革様シートを構成する不織布と高分子弾性体の重量比は用途によって適宜選択することができるが、一般に不織布の重量に対して5〜150重量%であることが好ましく、15〜120重量%であることがより好ましく、30〜100重量%であることがさらに好ましい。5重量%未満では、高分子弾性体によるバインダー効果の不足により、繊維の脱落が発生したり、加工中に不織布が伸びたり、得られるシートの充実感が不足するなどの問題が発生し、得られるシートの風合いが悪くなる傾向がある。一方、150重量%を越えると、得られるシートは硬くなり、皮革様シートの風合いが悪くなる傾向がある。
【0017】
本発明においては、構成する繊維の割繊率に関して、JIS K6545「革の耐屈曲性試験方法」で1万回屈曲させたとき、屈曲部の該接合型複合ステープル繊維の割繊率(x)と屈曲試験前の割繊率(y)の比率が、(x)/(y)=1.5以上であり、かつ屈曲試験前の割繊率(y)が40%以下であることが必要である。ここでいう割繊率は、本発明の皮革様シート断面を走査型電子顕微鏡で200倍の倍率にて観察し、糸断面の見える繊維を無作為に20本選び出した時、その断面を構成する重合体A、重合体Bの界面の一部に亀裂の入った繊維を割繊されたとみなし、割繊された繊維の割合である。屈曲試験前の割繊率が40%を越える場合、使用によって起こる風合、柔軟性の変化が小さくなる傾向があり、本発明の趣旨に反する。逆に割繊率は風合いの点から5%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。割繊率が40%以下となるように割繊処理を施す場合には、ヤマサもみ等の乾式でのもみ処理、あるいはサーキュラー他染色機を用いた湿式でのもみが好ましく用いられるが、処理効率の点でサーキュラー染色機でのもみが特に好ましく用いられ、割繊温度は40〜120℃程度とし、比較的短時間すなわち30分以内の範囲で行うことが好ましい。
【0018】
本発明方法により得られる皮革様シートは、適度な柔軟性と充実感を有しており、片面に公知の方法で樹脂被覆層を形成することにより、銀付き人工皮革として使用することができる。さらに、本発明を構成する基材に充填する高分子弾性体と、樹脂被覆層にポリウレタン等の水性エマルジョンを用いた場合には、製造工程で一切有機溶剤を使用しない銀付き人工皮革を得ることができる。
【0019】
一方、該皮革様シート基材と立毛シートを積層することによってスエード調人工皮革を得ることができる。立毛シートは、公知の種々の物を選ぶことができる。例えば、0.5デシテックス以下の極細繊維不織布と高分子弾性体からなる皮革様シートの表面を立毛させたシート、0.5デシテックス以上の繊維からなる編織物の表面を立毛させたシート、ポリウレタン等からなる発泡シートの表面をバフィングしてスエード感を持たせたシート、スエード調の面感を有する離型紙を用いた乾式法により得られるシート等である。中でも0.5デシテックス以下の極細繊維と高分子弾性体からなる皮革様シートの表面を立毛させたシートが外観に高級感が得られることから好ましい。
これらの立毛シートは通常、該皮革様シートや立毛シートに対し良溶媒となる溶剤や、接着樹脂等で該皮革様シートに接着して用いられるが、特に0.5デシテックス以下の極細繊維不織布と高分子弾性体からなる皮革様シートの表面を立毛させたシートを積層する場合には、本発明の皮革様シートを構成する不織布と0.5デシテックス以下の極細繊維発生型繊維不織布とを積層した後に、高分子弾性体を含浸、極細繊維発生型繊維の極細繊維化の工程を経て皮革様シートを作成した後、極細繊維からなる面を立毛させる方法も採用することができる。
【0020】
この様にして得られる銀付き調、あるいはスエード調人工皮革は、特に、紳士靴等デザイン性と履き心地の両者を求められる高級靴用アッパー材に好適に使用することができる。そして得られる靴は、天然皮革製の靴と同様、靴のデザインを保持するだけの適度な硬さを有しており、着用によって屈曲部が柔軟化し、張力のかかる部分が適度に変形し、個人の足にフィットする感覚を有する。
【0021】
【実施例】
以下に実施例によって本発明方法を具体的に説明するが、本発明はそれによって何ら限定されるものではない。以下の例において、接合型複合ステープル繊維の割繊率の評価は以下の方法により行った。
【0022】
[屈曲試験]JIS K6545「革の耐屈曲性試験方法」に準拠した。
[割繊率]得られる皮革様シート断面を200倍の走査型電子顕微鏡写真で観察し、繊維断面が観察可能な繊維20本を無作為に抽出し、一部でも割れている繊維数の割合を示した。
割繊率(%)=(割れている繊維数/抽出した繊維数20本)×100(%)
【0023】
製造例1
重合体成分Aとしてナイロン6(ガラス転移点=40℃)、重合体成分としてポリエチレンテレフタレート(ガラス転移点=69℃)を用いて、重量比を66/34の割合で、11層に交互に配列させた後に口金より吐出させて紡糸した。そして、延伸、機械捲縮した後、51mmにカットし、図1に示す断面形状の複合ステープル繊維を得た。得られた複合ステープル繊維の繊度は3.3デシテックスであった。
この複合ステープル繊維を用い、カード、ニードルパンチ工程を通って不織布を作成した。そこへまずポリビニルアルコールPVA−205(株式会社クラレ製)の10%水溶液を含浸し、絞った後120℃で乾燥し、ポリビニルアルコールを不織布に対して4%付与した後、水性ポリウレタンエマルジョン(ボンディック1310NSA:大日本インキ化学工業株式会社製)を乾燥後の固形分重量で不織布の70重量%となるように含浸して、乾燥した後に165℃熱プレスで表面の平滑化と比重合わせを実施し、シート1を得た。
【0024】
製造例2
重合体成分Aとしてポリブチレンテレフタレート(ガラス転移点=37℃)、重合体成分Bとしてポリエチレンテレフタレート(ガラス転移点=69℃)を用いた以外は製造例1と同様にして、図1に示す断面形状の複合ステープル繊維を得た。得られた複合ステープル繊維の繊度は3.3デシテックスであった。
この複合ステープル繊維を用い、さらに製造例1と同様の操作によりシート2を得た。
【0025】
実施例1
製造例1で得られたシート1をサーキュラー染色機中で、ポリビニルアルコールの除去、割繊を兼ねるため、60℃、20分間の条件で処理を行った。得られた皮革様シート基体は適度な柔軟性を有するものであった。断面観察の結果、繊維の割繊率は20%であり、屈曲試験で1万回屈曲させた後の割繊率は70%であった。したがって、屈曲部の該接合型複合ステープル繊維の割繊率(x)と屈曲試験前の割繊率(y)の比率は、(x)/(y)=3.5であった。
さらに得られたシートの片面に白顔料で着色した厚み30ミクロンのポリウレタンフィルムを、固形分重量で100g/m2となるように塗布した水性ポリウレタン系接着剤により貼り合わせる乾式造面を行い銀付き調人工皮革を得た。得られた銀付き調人工皮革は平滑な面感と自然な折れ皺を有し、適度な柔軟性を示すものであった。
この銀付き調人工皮革をアッパー材に用いて、オックスフォードタイプの靴を作製し、10人の被験者に1日平均1万歩程度を10日間歩いてもらい、着用感と靴デザインの保持性について調査したところ、履き心地に関する評価は、靴が個人の足型へ適度に変形してフィット感が生まれるため、着用感が優れているというものであった。一方で、屈曲変形を受けないはとめ部分は元の硬さを保持しており、靴のデザインを損なっていなかった。
【0026】
実施例2
製造例1で得られたシート1をサーキュラー染色機中で、ポリビニルアルコールの除去、割繊を兼ねるため、60℃、20分間の条件で処理を行った。得られた皮革様シート基体は適度な柔軟性を有するものであった。断面観察の結果、繊維の割繊率は20%であり、屈曲試験で1万回屈曲させた後の割繊率は70%であった。したがって、屈曲部の該接合型複合ステープル繊維の割繊率(x)と屈曲試験前の割繊率(y)の比率は、(x)/(y)=3.5であった。
さらに得られたシートの片面に単繊度0.1デシテックスの極細繊維立毛を有する厚さ0.45mmのスエード調人工皮革を、水性ポリウレタン系接着剤により固形分重量で80g/m2となるように塗布し貼り合わせてスエード調人工皮革を得た。得られたスエード調人工皮革は平滑な面感と優れたライティング効果を有し、適度な柔軟性を示すものであった。
このスエード調人工皮革をアッパー材に用いて、オックスフォードタイプの靴を作製し、10人の被験者に1日平均1万歩程度を10日間歩いてもらい、着用感と靴デザインの保持性について調査したところ、履き心地に関する評価は、靴が個人の足型へ適度に変形してフィット感が生まれるため、着用感が優れているというものであった。一方で、屈曲変形を受けないはとめ部分は元の硬さを保持しており、靴のデザインを損なっていなかった。
【0027】
比較例1
製造例1で得られたシート1をサーキュラー染色機中で、110℃、40分間の条件で処理を行った。得られた皮革様シート基体は柔軟性に優れるものであった。断面観察の結果、繊維の割繊率は90%であった。また、屈曲試験で1万回屈曲させた後の割繊率は95%であった。したがって、屈曲部の該接合型複合ステープル繊維の割繊率(x)と屈曲試験前の割繊率(y)の比率は、(x)/(y)=1.06であった。
さらに得られたシートの片面に白顔料で着色した厚み30ミクロンのポリウレタンフィルムを、水性ポリウレタン系接着剤により固形分重量で100g/m2となるように塗布し貼り合わせて銀付き調人工皮革を得た。得られた銀付き調人工皮革は平滑な面感と自然な折れ皺を有しており、柔軟性にも優れていた。
この銀付き調人工皮革をアッパー材に用いて、オックスフォードタイプの靴を作製し、実施例1と同様の着用試験を行ったところ、靴は柔らかい履き心地であったが、足へのフィット感が低いという評価であった。一方で、はとめ部分は素材の柔軟さゆえにデザイン的にきれいな線が出にくく、靴としての高級感にかけるものであり、着用試験後の型崩れが目立った。
【0028】
比較例2
製造例2で得られたシート1をサーキュラー染色機中で、110℃、40分間の条件で処理を行った。得られた皮革様シート基体は柔軟性に劣るものであった。断面観察の結果、繊維の割繊率は5%であった。また、屈曲試験で1万回屈曲させた後の割繊率も5%であり、したがって、屈曲部の該接合型複合ステープル繊維の割繊率(x)と屈曲試験前の割繊率(y)の比率は、(x)/(y)=1であった。
さらに得られたシートの片面をバフして平滑化した後、白顔料で着色した厚み30ミクロンのポリウレタンフィルムを、水性ポリウレタン系接着剤により固形分重量で100g/m2となるように塗布し貼り合わせて銀付き調人工皮革を得た。得られた銀付き調人工皮革は平滑な面感を有していたが、柔軟性に劣っていた。
この銀付き調人工皮革をアッパー材に用いて、オックスフォードタイプの靴を作製し、実施例1と同様の着用試験を行ったところ、靴の履き心地は硬く、足へのフィット感も低く、着用試験者の中には靴擦れを起こす人もいた。
【0029】
【発明の効果】
本発明方法により、例えば靴のアッパー材へ応用した場合に、着用にしたがって柔軟化して足型にフィットするといった、外観、風合のみならず、着用感も天然皮革と同様の性能が得られるまさに天然皮革代替材料としての位置付けを有する皮革様シート基材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に用いられる多層張り合わせ型接合型複合ステープル繊維の断面の一例を示す図である。
【図2】本発明方法に用いられる接合型複合ステープル繊維断面の他の一例を示す図である。
【符号の説明】
1:成分A
2:成分B
d:繊維の最大直径
t:被膜の最小厚さ
Claims (4)
- 2種以上の重合体成分が交互に5つ以上配列している接合型複合繊維からなる不織布と該不織布の内部に高分子弾性体が充填された皮革様シートにおいて、該皮革様シートをJIS K6545「革の耐屈曲性試験方法」で1万回屈曲させたとき、屈曲部の該接合型複合繊維の割繊率(x)と屈曲試験前の割繊率(y)の比率が、(x)/(y)=1.5以上であり、かつ屈曲試験前の割繊率(y)が40%以下であることを特徴とする皮革様シート基材。
- 請求項1に記載の皮革様シート基材を用いた銀付き調人工皮革。
- 請求項1に記載の皮革様シート基材と、立毛シートを積層してなるスエード調人工皮革。
- 請求項2または3記載の人工皮革をアッパー材として用いた靴。
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