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JP2012017541A - 銀付調人工皮革 - Google Patents

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JP2012017541A
JP2012017541A JP2010156704A JP2010156704A JP2012017541A JP 2012017541 A JP2012017541 A JP 2012017541A JP 2010156704 A JP2010156704 A JP 2010156704A JP 2010156704 A JP2010156704 A JP 2010156704A JP 2012017541 A JP2012017541 A JP 2012017541A
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Masato Katsuta
真人 割田
Jiro Tanaka
次郎 田中
Kimio Nakayama
公男 中山
Shuichi Ando
秀一 安藤
Naoto Sato
直人 佐藤
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

【課題】機械的物性、特に基体層と銀面層との間の剥離強力に優れ、風合いが柔軟で、かつ天然皮革調の折れシワと充実感を併せ持つ銀付調人工皮革を提供する。
【解決手段】平均繊度が0.001〜0.5デシテックスである極細長繊維から成る長繊維絡合体と絡合体に任意に含浸した高分子弾性体から成る基体層の少なくとも一方の面に銀面層を有し、かつ銀面層と基体層が接着剤層により接着されている銀付調人工皮革であって、(1)基体層の高分子弾性体/極細長繊維の重量比が0/100〜10/90の範囲であること、および、(2)A1/A2≧0.85(式中、A1は銀付調人工皮革の厚さ方向に平行な任意の断面における、接着剤層と基体層の境界から基体層側に0〜100μmの厚み範囲における高分子弾性体を除いた極細長繊維の平均空間占有率であり、A2は銀付調人工皮革の厚さ方向に平行な任意の断面における、接着剤層と基体層の境界から基体層側に100〜300μmの厚み範囲における高分子弾性体を除いた極細長繊維の平均空間占有率である)を同時に満足する銀付調人工皮革。
【選択図】なし

Description

本発明は剥離強力に優れ、風合が柔軟で、かつ、天然皮革調の折れシワと充実感を有する銀付調人工皮革に関するものである。
従来より、不織布などの繊維集合体にポリウレタンエラストマー等の樹脂を含有した基体上に、ポリウレタンエラストマー等の樹脂からなる多孔質あるいは無孔質の層を形成した人工皮革が知られている。この人工皮革は銀付天然皮革に類似しており、その性能をさらに向上するための提案が数多くなされている。例えば銀付調人工皮革の柔軟性と充実感を改善するために、1.0デシテックス以下の極細繊維からなる3次元絡合不織布に弾性樹脂を含浸、湿式凝固して得られる人工皮革が提案されている。より一層柔軟な人工皮革として、溶出可能な海成分を含む海島構造の多成分繊維、たとえば海成分がポリエチレンからなる海島構造繊維を用いて不織布とし、その後最終製品となるまでのいずれかの工程で、海成分を除去して海島構造繊維を極細繊維に変換して得られる人工皮革が提案されている。また、銀付表面の耐傷性に優れた人工皮革として、単繊維繊度0.2デニール以下のポリアミド極細繊維からなるシートの少なくとも片面にウレタン重合体を付与して銀面化した後、芳香族アルコールの乳化液で処理し、乾燥して収縮させることにより、高度な緻密シートにすることが提案されている(特許文献1を参照)。また、弾性ポリマーをミクロファイバー化することで、ゴム感・反発感が少なく充実感があって柔軟な人工皮革を得る方法が提案されている(特許文献2を参照)。しかしながらこれらの人工皮革は、柔軟性を持ちながら天然皮革調の外観、特に天然皮革特有の緻密な折れシワを再現するには到っていない。
銀付調人工皮革は、銀面層と基体層との境目部分の基体層密度が疎であると、折れシワが粗くなり、銀面層と基体層の一体感が損なわれ、さらに機械的物性も低下する傾向がある。そのため、従来より、銀面層と基体層との境目部分の基体層密度を上げる方法として、例えば、発泡させた高分子弾性体で基体層の内部の空隙を埋めたり、基体層表面に高分子弾性体をコートする方法が知られている(特許文献3を参照)。しかしながら、これらの方法は、空隙を埋める手段として高分子弾性体を使用しているため、ゴム感や樹脂感のある人工的な風合いとなり、折れシワも天然皮革とは異なるものであった。また、銀付調人工皮革の機械的物性と柔軟性は相反する関係にあり、これらと前記の折れシワおよび風合いのすべて満足する銀付調人工皮革は未だ提案されていない。
近年、人工皮革は、天然皮革の代替品として靴、衣料、手袋、鞄、ボール、インテリアなどのあらゆる分野に多く利用されており、これらは、より高い品質、審美性、快適な使用感が要求されている。とりわけ優美な天然皮革調の外観、柔軟性と特に靴用には剥離強度が両立したものが強く望まれている。
特公平06−94629号 特許第4204707号 特許第3142103号
本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、機械的物性、特に基体層と銀面層となる樹脂層との間の剥離強力に優れ、風合いが柔軟で、かつ天然皮革調の折れシワと充実感を併せ持った銀付調人工皮革を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討の結果上記課題を達成する銀付調人工皮革を見出した。すなわち本発明は、平均繊度が0.001〜0.5デシテックスである極細長繊維から成る長繊維絡合体と該絡合体に任意に含浸した高分子弾性体から成る基体層の少なくとも一方の面に銀面層を有し、かつ該銀面層と該基体層が接着剤層により接着されている銀付調人工皮革であって、下記条件(1)と(2):
(1)該基体層の高分子弾性体/極細長繊維の重量比が0/100〜10/90の範囲である、
(2)A1/A2≧0.85
(式中、A1は銀付調人工皮革の厚さ方向に平行な任意の断面における、該接着剤層と該基体層の境界から基体層側に0〜100μmの厚み範囲における高分子弾性体を除いた極細長繊維の平均空間占有率であり、A2は銀付調人工皮革の厚さ方向に平行な任意の断面における、該接着剤層と該基体層の境界から基体層側に100〜300μmの厚み範囲における高分子弾性体を除いた極細長繊維の平均空間占有率である)
を同時に満足する銀付調人工皮革に関する。
本発明の好ましい態様において、銀付調人工皮革の厚さ方向に平行な任意の接着剤層断面において、該接着剤層に把持されている該極細長繊維の切断端が厚さ方向に垂直な方向1mm当たり800個以上存在しており、かつ、該接着剤層が基体層表面から厚さ方向に平均して20〜300μmの範囲で浸透している。
機械的物性、特に銀面層と基体層の間の剥離強力に優れ、天然皮革調の緻密な折れシワを有し、柔軟でかつ充実感を持つ銀付調人工皮革が得られる。
本発明の銀付調人工皮革は、基体層を構成する極細長繊維の平均繊度が0.001〜0.5デシテックスである。0.001デシテックス以下の場合には、極細長繊維が集束しやすくなって柔軟性が得られなかったり、風合いや表面感に斑を生じやすい。逆に、0.5デシテックスを超える場合には、長繊維絡合体から繊維が抜けやすい傾向となり、剥離強力を始めとする機械的物性の悪化を招く。これは、太デシテックス繊維は細デシテックス繊維より総表面積が小さくなり、繊維間の動摩擦抵抗が小さくなることによるものである。さらに、繊維が太すぎると、天然皮革のような柔軟性、ボリューム感、表面緻密感が得られない。特に、本発明の銀付調人工皮革を構成する基体層は、長繊維絡合体を主体として構成されており、従来の人工皮革と比べて高分子弾性体の含有量が少ないか、または、含有しないので、繊度による風合いへの影響が大きい。極細長繊維の平均繊度は好ましくは0.01〜0.4デシテックス、より好ましくは0.02〜0.3デシテックスである。極細長繊維は平均繊度が好ましくは0.5〜4.0デシテックス、より好ましくは1.0〜3.0デシテックスの繊維束を形成している。極細長繊維の平均繊度および繊維束の平均繊度が上記範囲内である限り繊維束中の極細長繊維の本数は特に制限されないが、一般的には5〜1000本である。
本発明の銀付調人工皮革は、高分子弾性体を除いた繊維の平均空間占有率の比(A1/A2)が0.85以上であることにより、銀面層と基体層の境界付近に繊維の密な層が形成され、天然皮革調の充実感と、緻密な折れシワを有する。この達成のためには、基体層表面を繊維により高密度化することが重要である。本発明では、基体層を構成する繊維に長繊維を用いることで、従来の短繊維を用いた場合に比べて繊維の嵩高性がおさえられ、基体層の繊維密度を高めることができる。また、本発明の長繊維絡合体は繊維密度を高めているため、多量の高分子弾性体を付与しなくても繊維の素抜けが少なく機械的物性が良好である。これにより基体層への高分子弾性体の付与量を10重量%以下におさえることができ、高分子弾性体特有のゴム感や樹脂感が無く、かつ表面の繊維密度が高い基体層を得ることが可能となる。具体的な基体層表面の繊維の高密度化の方法としては、例えば、極細繊維発生型海島繊維の島成分の割合を増やす方法、ニードルパンチングにより密度を高める方法、長繊維絡合不織布を湿熱収縮あるいは乾熱収縮処理により高密度化する方法、熱プレスにより基体層の表面を高密度化する方法などが挙げられる。
以下に、本発明の銀付調人工皮革の製造方法について説明する。本発明の銀付調人工皮革は以下の順次工程により製造することができる。
(1)水溶性熱可塑性樹脂と非水溶性熱可塑性樹脂とを溶融紡糸して得られる極細繊維発生型長繊維からなる長繊維ウェブを製造するウェブ製造工程、
(2)前記長繊維ウェブを複数枚重ねて絡合させることによりウェブ絡合シートを形成するウェブ絡合工程、
(3)前記ウェブ絡合シートを面積収縮率で35%以上湿熱収縮させる湿熱収縮処理工程と、前記極細繊維発生型長繊維中の前記水溶性熱可塑性樹脂を除去することにより極細繊維発生型長繊維を平均繊度が0.001〜0.5デシテックスである極細長繊維に変換する極細化工程を、湿熱収縮処理工程、次いで極細化工程の順、または同時に行い極細長繊維絡合体を形成する極細長繊維絡合体形成工程、
(4)必要に応じ前記極細長繊維絡合体に高分子弾性体を含浸及び乾燥凝固させる高分子弾性体付与工程、
(5)工程(3)または工程(4)で得られた極細長繊維絡合体の少なくとも一方の面に必要に応じてバフィング処理する、あるいは、極細長繊維絡合体表面に必要に応じて熱プレス処理を行う表面平滑化工程、および
(6)工程(3)〜工程(5)で得られた極細長繊維絡合体を基体層とし、該基体層の少なくとも一方の面に接着剤層を介して銀面層を形成する銀面形成工程。
但し、工程(4)を工程(3)の前に行ってもよい。
以下に、各工程および各工程で得られる繊維集合体について説明する。
(1)ウェブ製造工程
ウェブ製造工程では、海成分が水溶性熱可塑性樹脂からなる海島型長繊維などの極細繊維発生型長繊維からなる長繊維ウェブを製造する。極細繊維発生型長繊維は少なくとも2種類のポリマーからなる多成分系複合繊維であって、例えば、海島型長繊維は海成分ポリマー中にこれとは異なる種類の島成分ポリマーが分散した断面を有する。極細繊維発生型長繊維は、長繊維絡合体に形成した後、高分子弾性体を必要に応じて含浸させる前または含浸させた後に繊維を形成するポリマーの一成分(除去成分)を抽出または分解して除去することで、残ったポリマー(繊維形成成分)からなる極細長繊維が複数本集まった繊維束に変換される。海島型長繊維の場合、海成分ポリマーを抽出または分解して除去することで、残った島成分ポリマーからなる極細長繊維が複数本集まった繊維束に変換される。
極細繊維発生型長繊維としては、特に限定されず、混合紡糸方式や複合紡糸方式などの方法を用いて得られる海島型断面繊維や多層積層型断面繊維等から適宜選択することができる。以下、極細繊維発生型長繊維として海島型長繊維を用いた場合について説明するが、海島型長繊維以外の極細繊維発生型長繊維を用いた場合も同様に本発明を実施することが出来る。極細長繊維を形成するポリマー(海島型長繊維の島成分)の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート、スルホイソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル;ポリ乳酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリヒドロキシブチレート−ポリヒドロキシバリレート共重合体等の脂肪族ポリエステル;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド10、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6−12等のポリアミド;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、塩素系ポリオレフィンなどのポリオレフィン;エチレン単位を25〜70モル%含有する変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコール;およびポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなどのエラストマー等が挙げられる。これらのポリマーはそれぞれ単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、イソフタル酸変性ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン6−12、前記ポリアミドの共重合体、およびポリプロピレンが、紡糸性などの製造性に優れ、得られる人工皮革の力学物性などが優れるので好適である。特に、PETおよびイソフタル酸変性PET等の変性樹脂は、長繊維絡合体の熱水処理時における収縮特性が良好であるので好ましく用いられる。
前記ポリマーには、本発明の目的・効果を損なわない範囲内で必要に応じて各種添加剤、例えば、触媒、着色防止剤、耐熱剤、難燃剤、滑剤、防汚剤、蛍光増白剤、艶消剤、着色剤、光沢改良剤、制電剤、芳香剤、消臭剤、抗菌剤、防ダニ剤、無機微粒子などを配合してもよい。
海島型長繊維を極細長繊維の繊維束に変換する際に、海成分ポリマーは溶剤または分解剤により抽出または分解除去される。従って、海成分ポリマーは溶剤に対する溶解性または分解剤による分解性が島成分ポリマーよりも大きいことが必要である。海島型長繊維の紡糸安定性の点から島成分ポリマーとの親和性が小さく、かつ、紡糸条件において溶融粘度及び/又は表面張力が島成分ポリマーより小さいことが好ましい。このような条件を満たす限り海成分ポリマーは特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−アクリル共重合体、ポリビニルアルコール系樹脂などが好ましく用いられる。有機溶剤を用いることなく銀付調人工皮革を製造することができるので、海成分ポリマーに水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール(水溶性PVA樹脂)を用いるのが特に好ましい。
水溶性PVA樹脂のケン化度としては、90〜99.99モル%、さらには93〜99.98モル%、とくには、94〜99.97モル%、殊には、96〜99.96モル%の範囲であることが好ましい。前記ケン化度がこのような範囲である場合には、水溶性に優れ、熱安定性が良好で、溶融紡糸性に優れ、また、生分解性にも優れた水溶性PVA樹脂が得られる。
従来の人工皮革の製造においては、極細繊維発生型長繊維を任意の繊維長にカットして得たステープルにより繊維ウェブを製造していたが、本発明では、スパンボンド法などにより紡糸した極細繊維発生型長繊維(海島型長繊維)をカットすることなく長繊維ウェブにする。例えば、海島型長繊維は前記の海成分ポリマーと島成分ポリマーを複合紡糸用口金から押出すことにより溶融紡糸する。紡糸温度(口金温度)は海島型長繊維を構成するポリマーのそれぞれの融点よりも高く、180〜350℃が融点ピークと副吸熱ピークを存在させ易い点で好ましい。口金から吐出した溶融状態の海島型長繊維を冷却装置により冷却した後、エアジェットノズルなどの吸引装置を用いて、目的の繊度となるように1000〜6000m/分の引取り速度に相当する速度の高速気流により牽引細化し、移動式ネットなどの捕集面上に堆積させて実質的に無延伸の長繊維からなるウェブを形成する。必要に応じて、得られた長繊維ウェブをプレス等により部分的に圧着して形態を安定化させてもよい。このような長繊維ウェブ製造方法は、従来の短繊維を用いる繊維ウェブ製造方法では必須の原綿供給装置、開繊装置、カード機などの一連の大型設備を必要としないので生産上有利である。また、長繊維ウェブおよびそれを用いて得られる人工皮革では繊維の嵩高性がおさえられ、繊維密度が高くなる傾向があるため、従来一般的であった短繊維ウェブおよびそれを用いて製造した人工皮革に比べて、剥離強力をはじめとする機械的物性に優れる。また。芯材表面に積層した場合に人工皮革の周囲をカットしても繊維屑が発生し難い点においても優れている。本発明では、長繊維を用いて基体層を高密度化することで、天然皮革調の充実感と緻密な折れシワの再現が可能となる。
海島型長繊維の平均断面積は30〜800μm2であるのが好ましい。海島型長繊維の断面において、海成分ポリマーと島成分ポリマーの平均面積比(ポリマー体積比に相当)は5/95〜70/30が好ましい。得られた長繊維ウェブの目付は10〜1000g/m2が好ましい。
本発明において、長繊維とは、繊維長が通常3〜80mm程度である短繊維よりも長い繊維長を有する繊維であり、短繊維のように意図的に切断されていない繊維をいう。例えば、極細化する前の長繊維の繊維長は100mm以上が好ましく、技術的に製造可能であり、かつ、物理的に切れない限り、数m、数百m、数kmあるいはそれ以上の繊維長であってもよい。
(2)ウェブ絡合工程
本工程では、前記長繊維ウェブを複数枚重ねて絡合させることによりウェブ絡合シートを形成する。前記長繊維ウェブを、必要に応じてクロスラッパー等を用いて厚さ方向に複数層重ね合わせた後、両面から同時または交互に少なくとも1つ以上のバーブが貫通する条件でニードルパンチする。パンチング密度は、500〜5000パンチ/cm2の範囲が好ましい。上記範囲内であると、充分な絡合が得られ、海島型長繊維のニードルによる損傷が少ない。該絡合処理により、海島型長繊維同士が三次元的に絡合し、厚さ方向に平行な断面において海島型長繊維が平均600〜4000個/mm2の密度で存在する、海島型長繊維が極めて緻密に集合したウェブ絡合シートが得られる。長繊維ウェブにはその製造から絡合処理までのいずれかの段階で、針折れ防止油剤、帯電防止油剤、絡合向上油剤などのシリコーン系油剤または鉱物油系油剤を付与してもよい。必要に応じて、70〜150℃の温水に浸漬するなどの収縮処理によって、長繊維ウェブの絡合状態をより緻密にしてもよい。また、熱プレス処理を行うことで海島型長繊維同士をさらに緻密に集合させ、長繊維ウェブの形態を安定にしてもよい。ウェブ絡合シートの目付は100〜2000g/m2あるのが好ましい。
(3)長繊維絡合体形成工程
長繊維絡合体形成工程では、前記ウェブ絡合シート中の海成分ポリマーを熱水中で溶解させ除去することにより、極細長繊維からなる長繊維絡合体を形成する。また、前記ウェブ絡合シートを面積収縮率で好ましくは35%以上湿熱収縮させる。
海成分ポリマーを除去する方法としては、島成分ポリマーの非溶剤または非分解剤であり、かつ、海成分ポリマーの溶剤または分解剤でウェブ絡合シートを処理する方法が本発明においては好ましく採用される。島成分ポリマーがポリアミド系樹脂やポリエステル系樹脂である場合、海成分ポリマーが前記水溶性PVA樹脂であれば温水が、また、海成分ポリマーが易アルカリ分解性の変性ポリエステルであれば水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性分解剤が使用される。海成分ポリマーの除去は人工皮革分野において従来採用されている方法により行えばよく、特に制限されない。本発明においては、抽出処理の際に有機溶剤を用いることが無い為、環境負荷が少なく、揮発性物質の発生を抑制する点、また、労働衛生上好ましいので、海成分ポリマーとして前記水溶性PVA樹脂を使用し、これを有機溶剤を使用することなく85〜100℃の熱水中で100〜600秒間処理し、除去率が95質量%以上になるまで抽出除去し、海島型長繊維を島成分ポリマーからなる極細長繊維の繊維束に変換するのが好ましい。
海島型長繊維を極細化する前または極細化と同時に、下記式:
[(収縮処理前の面積−収縮処理後の面積)/収縮処理前の面積]×100
で表される面積収縮率が好ましくは35%以上、より好ましくは35〜90%、さらに好ましくは40〜80%になるように収縮処理を行って高密度化してもよい。収縮処理により形態保持性がより良好になり、繊維の素抜けが防止される。また、上記の収縮率の範囲で収縮処理を行うことにより、基体層の表層部の繊維密度を高め、本発明において重要である、銀面形成後の繊維の平均空間占有率の比(A1/A2)が0.85以上、好ましくは0.85〜1.3、さらに好ましくは0.9〜1.1を満たすことが可能となる。これにより銀面形成後の折れシワが緻密で、天然皮革調の優美な外観を有する銀付調人工皮革が得られる。
収縮処理を極細化前に行う場合、水蒸気雰囲気下でウェブ絡合シートを収縮処理するのが好ましい。水蒸気による収縮処理は、例えば、ウェブ絡合シートに海成分に対して30〜200質量%の水分を付与し、次いで、相対湿度が70%以上、より好ましくは90%以上、温度が60〜130℃の加熱水蒸気雰囲気下で60〜600秒間加熱処理することが好ましい。上記条件で収縮処理すると、水蒸気で可塑化された海成分ポリマーが島成分ポリマーにより構成される長繊維の収縮力で圧搾・変形するので緻密化が容易になる。次いで、収縮処理したウェブ絡合シートを85〜100℃、好ましくは90〜100℃の熱水中で100〜600秒間処理して海成分ポリマーを溶解除去する。また、海成分ポリマーの除去率が95質量%以上になるように、水流抽出処理してもよい。水流の温度は80〜98℃が好ましく、水流速度は2〜100m/分が好ましく、処理時間は1〜20分が好ましい。
収縮処理と極細化を同時に行う方法としては、例えば、ウェブ絡合シートを65〜90℃の熱水中に3〜300秒間浸漬した後、引き続き、85〜100℃、好ましくは90〜100℃の熱水中で100〜600秒間処理する方法が挙げられる。前段階で、海島型長繊維が収縮すると同時に海成分ポリマーが圧搾される。圧搾された海成分ポリマーの一部は繊維から溶出する。そのため、海成分ポリマーの除去により形成される空隙がより小さくなるので、より緻密化した長繊維絡合体が得られる。
収縮処理および海成分ポリマー除去により、好ましくは140〜3000g/m2の目付を有する長繊維絡合体が得られる。極細化した長繊維の平均繊度は、0.001〜0.5デシテックスである。特に、本発明の銀付調人工皮革を構成する基体層は、長繊維絡合体を主体として構成されており、従来人工皮革の如く高分子弾性体を多量に含有していないことから、繊度による風合いへの影響が大きく、好ましくは0.01〜0.4デシテックス、より好ましくは0.02〜0.3デシテックスである。
前記長繊維絡合体の湿潤時の剥離強力は3.0kg/cm以上であることが好ましく、3.5kg/cmであることがより好ましい。剥離強力は極細長繊維の繊維束の三次元絡合の度合いの目安である。上記範囲内であると、長繊維絡合体および得られる基体層の形態保持性および充実感が良好であり、銀面形成後の銀面層と基体層の間の剥離強力に優れる。
(4)高分子弾性体付与工程
本発明に用いられる長繊維絡合体は、高分子弾性体を付与しなくても、形態保持性が良好で繊維の素抜けも少ないが、長繊維絡合体の形態保持性をさらに高めるためや、得られる人工皮革の機械的物性や風合い等を調整するために、長繊維絡合体に高分子弾性体を含浸及び乾燥凝固させてもよい。
本発明に用いられる基体層は、該基体層を構成する高分子弾性体/極細長繊維の重量比が0/100〜10/90であり、好ましくは0/100〜5/95である。特に、高分子弾性体を付与する場合、前記重量比は0.1/99.9〜10/90であるのが好ましく、0.1/99.9〜5/95であるのがより好ましい。前記の重量比とすることで、柔軟な風合いをと、天然皮革調の緻密な折れシワと充実感を有する銀付調人工皮革が得られる。高分子弾性体の重量比が10重量%を超える場合には、高分子弾性体特有のゴム感あるいは樹脂感を持った風合いとなり、天然皮革調の風合いを得ることが難しい。
高分子弾性体は、環境に対する負荷が小さいことから、水性液を用いて長繊維絡合体に含浸するのが好ましい。高分子弾性体の水性液とは、高分子弾性体を水系媒体に溶解した水性溶液、又は、高分子弾性体を水系媒体に分散させた水性分散液である。なお、水性分散液には、水性懸濁液及び水性乳化液が含まれる。特に、耐水性に優れている点から、水性分散液を用いることがより好ましい。
水性分散液によって付与される高分子弾性体は、従来から人工皮革を製造する際に使用されている高分子弾性体であれば特に限定されない。このような高分子弾性体として、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミドエラストマーなどで代表されるポリアミド系樹脂、ポリエステルエラストマーなどで代表されるポリエステル系樹脂、弾性ポリスチレン系樹脂、弾性ポリオレフィン系樹脂などがあるが、柔軟性と充実感に優れるといった点からポリウレタン系樹脂が好ましく用いられる。高分子弾性体の付与方法としては高分子弾性体の水性分散液を含浸して熱風、スチーム、マイクロ波、熱水浴などのいずれかの方法により高分子弾性体を固化またはゲル化させ、次いで、乾燥するエマルジョン法を好適例として挙げることができる。高分子弾性体の水性分散液はポリウレタンエマルジョン、アクリル系エマルジョンのようなエマルジョン、とりわけ分散媒が水のみである水性エマルジョンを使用すれば、本発明方法で得られる人工皮革に使用される基体層が有機溶剤を使用することなく製造することができ、環境への負荷がより少ない人工皮革の製造方法となる。また、これらのエマルジョンが感熱ゲル化性を有している場合、エマルジョン粒子がマイグレーションすることなく感熱ゲル化するので、高分子弾性体を長繊維絡合体に均一に付与することができる。親水性親油性バランス(HLB)の低いノニオン性界面活性剤を乳化剤として用いたり、いわゆるマイグレーション防止剤と称する物質を感熱ゲル化剤としてエマルジョン中に添加することにより感熱ゲル化性のエマルジョンが得られる。添加する感熱ゲル化剤としては、例えば、塩化カルシウムなどの無機塩類とポリエチレングリコール型ノニオン性界面活性剤、ポリビニルメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、シリコーンポリエーテル共重合体、ポリシロキサン等を挙げることができ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。
(5)表面平滑化工程
必要に応じて、工程(3)または工程(4)で得られた長繊維絡合体に表面を平滑化し、銀面層形成後の表面品位を向上させる目的でバフィング処理を施してもよい。バフィング処理を行う場合は、長繊維絡合体表面の極細繊維の平均立毛長を150μm以下とすることが好ましく、120μm以下とすることがより好ましい。150μm以下とすることで、表面の長繊維が複雑に絡み難くなることから絡合体表面の繊維密度が向上し、表面銀面形成後の繊維の平均空間占有率の比(A1/A2)が0.85以上、好ましくは0.85〜1.3、さらに好ましくは0.9〜1.1を満たすことが可能となる。また、風合いを損なうことなく接着剤層を浸透させた場合(例えば、基体層表面から厚さ方向に20〜300μm浸透)においても、得られる銀付調人工皮革の厚さ方向に平行な任意の接着剤層断面において、該接着剤層に把持されている極細長繊維の切断端が厚さ方向に垂直な方向1mm当たり800個以上存在し易くなる点で好ましい。平均立毛長が150μmを超えた場合は、基体層表層部の繊維密度が下がるため、基体層の表面の緻密性が低くなり、銀面層形成後の銀付調人工皮革の折れシワが粗くなる傾向となる。平均立毛長を150μm以下とするとするためには、コンタクトバフやエメリーバフなどによるバフィング条件、例えば、ペーパー番手や回転数等を適宜選択することが好ましい。
バフィング処理の代わりに、得られた長繊維絡合体の表面に熱プレス等を行い表面の平滑化を行っても良い。この場合は、前述した高分子弾性体と極細長繊維の重量比を満たす範囲内で、高分子弾性体が付与されていることが好ましい。高分子弾性体が存在することで、熱プレス時の表面の成形性が良好となり、より平滑な面を形成することが可能である。また、熱プレスでは、表面の平滑化と同時に表面の高密度化が可能であり、銀面形成後の繊維の平均空間占有率の比(A1/A2)が0.85以上となるので、銀面層形成後の折れシワが良好となる。しかしながら、過剰な熱プレスは柔軟性の低下を引き起こすため、熱プレスの温度やプレス圧等を適宜調整する必要がある。
必要に応じて、揉み柔軟化処理、逆シールのブラッシング、エメリーバフ処理などを行ったり、防汚処理、親水化処理、滑剤処理、柔軟剤処理、酸化防止剤処理、紫外線吸収剤処理、蛍光剤処理、難燃剤処理などの仕上げ処理を行うこともできる。
(6)銀面形成工程
本工程では、工程(3)〜工程(5)で得られた長繊維絡合体を基体層とし、該基体層の少なくとも一方の面に銀面層となる樹脂層を形成する。
銀面層を形成する方法としては、離型紙上に形成した樹脂膜を基体層の表面に接着剤層を介して接着するいわゆる乾式造面法を用いることが好ましい。接着剤層は、銀付調人工皮革の厚さ方向に平行な任意の接着剤層断面において、該接着剤層によって把持されている該極細長繊維の切断端(接着剤層断面内に存在する極細長繊維の切断端数)が厚さ方向に垂直な方向1mm当たり好ましくは800個以上、より好ましくは800〜2000個存在し、かつ該接着剤層が基体層表面から厚さ方向に平均して好ましくは20〜300μm、より好ましくは50〜150μmの範囲で浸透するように形成することが好ましい。
本発明の基体層は表面の繊維密度が高くなっているため、従来の銀付調人工皮革に比べて、接着剤層によって把持されている繊維の数が多いことが特徴である。また、高分子弾性体を全く、あるいはごく少量しか含まないため、極細繊維同士の間に接着剤が浸透しやすい状態となっている。すなわち、接着剤層により極細繊維束ではなく個々の極細繊維が把持されることにより、従来に比べて接着剤層に把持される繊維の表面積が格段に大きくなり、高い剥離強力を有する銀付調人工皮革が得られる。
本発明では、例えば、顔料または染料を分散した水性樹脂分散体を模様を有する離型紙にコートして70℃〜130℃の温度で水分を除去して銀面層となる樹脂層を形成する。この樹脂層上に高分子弾性体からなる接着剤をコートし、70〜130℃で接着剤の水分を全部除去するか、幾分水分を残存させた状態で、接着剤がタックの出る状態で基体層と張り合わせる。必要に応じて、基体層の厚みの5/10〜8/10のクリアランスで加熱したプレスロール等でプレスし(常温〜130℃)、接着剤が基体層内部に表面より平均して20〜300μm浸透した状態で樹脂層を接着する。接着剤は基体層の繊維束間、繊維間および繊維と高分子弾性体の空間に浸透する。上記切断端数と浸透度合いを満足するように、基体層の密度に応じて、接着剤の粘着性、プレスのクリアランス、および接着剤量を調節することによって、銀面層の湿潤時の剥離強力が目標とする3.0kg/cm以上の銀付調人工皮革を得ることが可能となる。接着後は、必要に応じて70℃〜130℃の温度で余分な水分を除去する。また、その際に、接着剤樹脂の熱による軟化を利用して、接着剤の浸透の度合いを調整することが可能である。さらに、接着剤樹脂自体の溶融粘度を調整して、熱による軟化の温度依存性を変化させて、接着剤の浸透の度合いを調整することも可能である。この接着剤層の浸透が基体表面層より20μm以上であると、接着剤層が極細長繊維を十分に把持することができ、本発明の目的とする高い剥離強力を達成することができる。また300μm以下であると、高い剥離強力が達成されると共に、人工皮革の風合いが硬くなり、表面層が硬く折れシワが荒くなることを避けることができる。上記の浸透の範囲であっても、基体層表面の繊維密度が低いと接着剤層による極細長繊維の把持が不十分になる。従って、確実に高い剥離強力を達成するためには、接着剤層の浸透度合いに加えて、前記切断端数を1mm当たり800個以上にするのが好ましい。
銀面層に用いられる樹脂はポリウレタンが最も好適であり、公知のポリウレタンから選ばれる。適宜他の樹脂を混合しても良い。近年多くの用途で耐久性が要求されていることからポリエーテル系、あるいはポリカーボネート系などの耐久性に優れたポリウレタンを用いることがより好ましい。また、環境に対する負荷が小さいことから、ポリウレタンの水性液を用いて銀面層を形成することが好ましい。水性液とは、ポリウレタンを水系媒体に溶解した水性溶液、又は、ポリウレタンを水系媒体に分散させた水性分散液である。なお、水性分散液には、懸濁分散液及び乳化分散液が含まれる。特に、耐水性に優れている点から、水性分散液を用いることがより好ましい。
本発明に使用される銀面層を形成する樹脂には、公知の添加物、例えば、増粘剤、硬化促進剤、増量剤、充填剤、耐光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、防黴材、難燃剤、浸透剤などの界面活性剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子化合物、染料、顔料などを配合することができる。
銀面層の厚みは10〜100μmの範囲が好ましく、10μm以上であると表面強度が高く、100μm以下であると人工皮革の風合いが硬くなり折れシワが荒くなることが避けられる。
本発明で使用する銀面層用および接着剤用のポリウレタンは、硬さの目安である100%伸張時のモジュラスが10〜150kg/cm2のものが好ましい。10kg/cm2以上であると機械強度物性が十分であり、150kg/cm2以下であるとポリウレタン樹脂自体が硬くなる傾向、耐屈曲性が低下する傾向、人工皮革全体の風合いが硬くなる傾向、折れシワが不自然で荒くなる傾向などの不都合を避けることができる。
接着剤層に使用される高分子弾性体は架橋性ポリウレタンであることが好ましく、接着剤層がこの架橋性ポリウレタン樹脂の架橋物からなることによって、銀付人工皮革が水に濡れ過酷な条件下で使用された時、接着剤層が膨潤し銀面層との接着力が低下することを防止することが可能となる。また銀面層の最表面は水の浸透を防ぐために無孔質層にすることが好ましい。最表面を無孔質層にするためには、発泡剤等の添加剤を添加していないポリウレタン等の公知の樹脂からなる着色または無着色樹脂溶液を離型紙に塗布乾燥し、いったん無孔質層を設けた後、該架橋性ポリウレタンからなる接着剤を該離型紙に形成された無孔質層上に塗布し、次いで、基体層と張り合わせる方法によって得られる。なお、本発明の効果に影響をおよぼさない範囲で該無孔質層と接着剤層の間に発泡層を形成してもよい。
接着剤の主剤となる樹脂は従来から人工皮革、合成皮革などに使用されている樹脂であればすべて使用できるが、耐水性などの観点から架橋剤を併用する架橋性ポリウレタン樹脂が最も好適に用いられる。また、環境への負荷を考慮して、接着剤層は前記樹脂の水性分散液を用いて形成することが好ましい。水性分散液の製造方法についても公知の製造方法に従えばよく、特に制限されるものではない。
架橋性ポリウレタン樹脂としては、例えば2液系接着剤用に使用される公知のポリウレタン系樹脂が好ましく、このようなポリウレタン樹脂は、例えば、高分子ポリオール、有機ポリイソシアネート、鎖伸長剤および架橋剤との反応部位となるヒドロキシル基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、乳化剤などの製造原料から得ることができる。
高分子ポリオールとしては、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオールなどの高分子ポリオールを挙げることができ、目的とする人工皮革の用途に応じて単独使用しても併用してもよい。高分子ポリオール1分子当たりの水酸基の数は2より大きくてもエマルジョン合成に支障をきたさない限り問題はない。水酸基の数が2より大きい高分子ポリオールを得る手段としては、高分子ポリオールを製造する際に1分子中の水酸基の数が3個以上である低分子ポリオールを使用する方法、ポリウレタン重合の際に高分子ジオールと1分子中の水酸基の数が3個以上である高分子ポリオールを混合する方法を挙げることができる。すなわち水酸基の数が2より大きい高分子ポリオールを製造する方法としては、例えば低分子ジオールと低分子ジカルボン酸を縮合重合してポリエステルジオールを製造する際に、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの3官能以上の低分子ポリオールを低分子ジオールに併用して製造することができる。
イソシアネート化合物についても特に制限はなく、通常のポリウレタン水性分散液の製造に従来から使用されている公知の脂肪族、脂環族、芳香族の有機ジイソシアネートのいずれを使用してもよい。例えば、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、P−フェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。これらの有機イソシアネートは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明において水性分散液を製造するに際して使用できるカルボキシル基含有化合物としてはカルボキシル基を少なくとも1個およびカルボキシル基を除く活性水素原子を含む基、例えば水酸基またはアミノ基を少なくとも2個有する化合物であればよいが、なかでもジヒドロキシアルカン酸が好ましく、ジヒドロキシアルカン酸のなかでもジメチロールアルカン酸が好ましい。代表的なジメチロールアルカン酸としては2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酢酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸を挙げることができ、このなかでも特に2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸が好適に使用できる。カルボキシル基含有化合物中のカルボキシル基は該化合物中の水酸基またはアミノ基と比べてイソシアネート基に対して比較的反応性が低く、水性分散体製造時に有機ジイソシアネートとほとんど反応しない。前記カルボキシル基含有化合物はイソシアネート基と水酸基またはアミノ基との間で選択的に反応するので、第3級アミンと第4級塩の形成に利用し得るペンダントカルボキシル基を持ったポリマー構造を与える。ポリウレタン水性分散液の製造時において、ポリウレタンに導入したカルボキシル基を第3級アミンで全部塩の形にして中和しても良いが、部分的に中和し、遊離のカルボキシル基の形で残しておいても良い。
ポリウレタン水性分散液の製造の際にはポリウレタンに導入されるカルボキシル基の塩形成のために第3級アミンを使用することができるが、第3級アミンとしてはトリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、トリプロピルアミン等のトリアルキルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジイソプロピルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン等のアルカノールジアルキルアミン、N−メチルジエタノールアミン等のジアルカノールアルキルアミン等が好ましく使用される。第3級アミン塩はリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩よりも水に対する感受性が小さく耐水性が良好である。
鎖伸長剤としては、ポリウレタン水性分散液製造に一般に用いられるジアミノ化合物、ジオール化合物、アミノアルコールなどを挙げることができ、また一部に単官能アミノ化合物を併用して分子量を制御したり、アミノカルボン酸を使用して末端にカルボキシル基を導入することもできる。このような化合物としては、例えば、イソシアネート基と反応し得る水素原子を分子中に含有する分子量400以下の低分子化合物を用いることができる。例えば、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンおよびその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、ヘキサメチレンジアミン、4,4´−ジアミノフェニルメタン、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジアミンなどのジアミン類、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロヘキシルアミンなどの単官能アミン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、キシリレングリコール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ネオペンチルグリコールなどのジオール、アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコールなどのアミノアルコール類、ε−カプロラクタムの加水分解によって得られるアミノアルキル酸であるε−アミノカプロン酸(6−アミノヘキサン酸)やγ−アミノ酪酸(4−アミノブタン酸)、アミノシクロヘキサンカルボン酸、アミノ安息香酸などのアミノカルボン酸、水などが挙げられる。これら低分子化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋性ポリウレタン樹脂に使用される架橋剤としては、公知の架橋剤を使用することが可能であり、たとえば、エポキシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合物、有機ポリイソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、メラミンホルムアミド化合物、ユリアメチロール化合物などを挙げることができる。この中でも得られる人工皮革の剥離強力が優れることから有機ポリイソシアネート化合物が好適に使用できる。架橋剤は水分散タイプの架橋剤と必要に応じて界面活性剤を配合したものであっても、それ自体が水分散体のものであってもよく、主剤中へ均一になるまで攪拌しながら添加するなどして使用する。また、本発明の主旨からは架橋剤などにも有機溶剤が含まれていないことが好ましい。
架橋性ポリウレタン樹脂と架橋剤の配合割合は不揮発分基準で、主剤100重量部に対して架橋剤が2〜30重量部であることが好ましい。架橋剤の量が2重量部以上であると剥離強力が高くなり、30重量部以下であると高い剥離強力が得られ、また、柔軟な人工皮革、天然皮革調の折れシワが得られる。架橋性ポリウレタン樹脂の水性分散液の塗布量はウェット基準で40〜400g/m2、固形分基準で20〜300g/m2の範囲が剥離強力と風合いの点で好ましい。基体層の繊維密度により同じ塗布量でも接着剤の基体層表面から内部へ浸透量が変わる。上記範囲の塗布量であると、本発明の20〜300μmの範囲の浸透を達成することができる。ウェット重量で400g/m2を超える量を塗布した場合、乾燥に著しく時間が掛かり、表面にウレタン樹脂の膜が形成される。その結果、内部の水分を揮散させることが困難となり、架橋反応を阻害する水分が残存して剥離物性に悪影響を及ぼすといった問題を生ずることがある。架橋反応は室温放置することによっても進むが、好ましくは40〜80℃に加熱することが好ましい。
本発明に使用される接着剤およびその配合液には、公知の添加物、例えば、増粘剤、硬化促進剤、増量剤、充填剤、耐光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、防黴剤、難燃剤、浸透剤などの界面活性剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの水溶性高分子化合物、染料、顔料等の着色剤などを配合することができる。
本発明においては、銀面層を形成する前、または形成した後に必要に応じてさらに柔軟性を付与するためや、天然皮革ライクな揉みシワを付与するために柔軟化処理を行うことが好ましい。柔軟化処理には、高圧液体流染色機、ウインス、タンブラー、機械的な揉み機等公知の揉み機による機械的な揉みを行う方法、あるいは、柔軟化効果を持つ薬剤を付与する方法等があり、より好ましい効果のある方法としては、高圧液流染色機を用い熱水液流と共に狭いノズルを通過させる方法がある。いずれの方法を用いても、本発明はさらなる柔軟性および天然皮革調の揉みシワの付与が可能である。
上記のようにして得られる本発明の銀付調人工皮革において、基体層の厚みを1としたとき、接着剤層の厚みは好ましくは0.03〜0.6であり、銀面層の厚みは好ましくは0.05〜0.3である。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下において、部および%は、特にことわりのない限り質量基準であり、評価は次の方法で行った。
[人工皮革の湿潤時の剥離強力測定方法]
表面を削った巾2.5cmのゴム板に接着剤を均一に塗布し、100℃で2分熱処理した後、たて方向23cm、巾2.5cmの銀付調人工皮革サンプルを張り合わせて試験片を作製した。試験片を2〜4kg/cm2圧力でプレスし、室温にて1昼夜放置した。試験片を20℃の水中に1時間浸し、その後湿潤状態で試験片のゴム板先端部を一方のチャックに、人工皮革の銀面層先端部を他方のチャックに挟み、引張試験機にて速度100mm/分で銀面層と基体層間の剥離強力を測定、記録した。得られたSS曲線から剥離強力の平坦な部分の平均値を求め、試験片3個の平均値をcm当たりに換算して表した。
[基体層の繊維の平均空間占有率]
銀付調人工皮革の厚み方向と平行な任意の断面5箇所を走査型電子顕微鏡にて拡大写真を撮影し(50〜100倍)、2値化処理した。接着剤層と基体層の境界から基体層側に0〜100μmの厚み範囲を厚み方向に垂直な2〜5mmの幅で画像処理を行い、繊維の空間占有率を算出した。接着剤層と基体層の境界から基体層側に100〜300μmの厚み範囲についても同様にして空間占有率を求めた。5点の平均からA1とA2を求めた。
[接着剤層が把持している極細繊維の切断端個数の測定]
銀付調人工皮革の厚み方向と平行な任意の断面を走査型電子顕微鏡にて拡大写真を撮影し(200〜300倍)、厚み方向に垂直な任意の1mm間で、接着剤層断面内に観察される極細繊維の切断端個数を数えた。
[接着剤層の浸透深さの測定]
銀付調人工皮革の厚み方向と平行な任意の断面を走査型電子顕微鏡にて拡大写真を撮影し(200〜300倍)、厚み方向に垂直な任意の2mm間で、最も浸透の少ない部分から3点、最も多い部分から3点を選びその浸透深さの平均値で示した。
[柔軟性の評価]
20cm角程度に切り出した試験片を評価用資料とした。人工皮革分野の当業者から選出された5人のパネリストが試験片に触って、以下の基準で柔軟性を評価した。
◎:牛皮革と同様に、触ったり折り曲げたりしたときの反発感がなく、非常に柔軟であり、スポーツ靴のアッパー用素材として優れるものであった。
○:牛皮革には若干劣るものの、スポーツ靴のアッパー用素材として一般的な柔軟性であった。
△:スポーツ靴のアッパー用素材として使用可能であるが、反発感が強く好ましくない柔軟性であった。
×:スポーツ靴のアッパー用素材としては硬すぎて使用不可の風合いであった。
[充実感の評価]
20cm角程度に切り出した試験片を評価用資料とした。人工皮革分野の当業者から選出された5人のパネリストが試験片に触って、以下の基準で充実感を評価した。
◎:牛皮革と同様の充実感のあるものであり、スポーツ靴のアッパー用素材として優れるものであった。
○:牛皮革には若干劣るもののスポーツ靴のアッパー用素材として一般的な充実感であった。
△:スポーツ靴のアッパー用素材として使用可能であるが、腰が弱く、好ましくない充実感であった。
×:重厚感に欠け、腰が無く、スポーツ靴のアッパー用素材としては使用不可の充実感であった。
[折れシワの評価]
タテ20cm×ヨコ20cmの正方形に切り出した試験片を、縦方向に上端と下端を併せるように表面を谷折りしたときに発生する折れシワの形状を目視により観察し、以下の基準により判定した。
◎:折り込んだ表面に牛皮革と同様の緻密で、均一な折れシワが発生した。
○:牛皮革には若干劣るものの、折り込んだ表面にスポーツ靴のアッパー用素材として一般的な折れシワが発生した。
△:折り込んだ表面に部分的に銀面が浮きあがったような粗めの折れシワが発生した。
×:折り込んだ表面にダンボールを折り込んだような粗い折れシワが発生した。
実施例1
水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂を海成分に用い、イソフタル酸変性度6モル%のポリエチレンテレフタレ−トを島成分とし、繊維1本あたりの島数が25島で、かつ海成分/島成分が25/75(重量比)となるような溶融複合紡糸用口金を用い、260℃で口金より吐出した。紡糸速度が4000m/minとなるようにエジェクター圧力を調整し、平均繊度2.5デシテックスの海島型長繊維をネット上に捕集し、目付30g/m2のスパンボンドシート(長繊維ウェブ)を得た。
上記スパンボンドシートをクロスラッピングにより12枚重ねて、重ね合わせウェブを作製し、これに、針折れ防止油剤をスプレーした。次いで、6バーブのニードル針で2000パンチ/cm2のパンチ密度でニードルパンチングし、ウェブ絡合シートを得た。
このウェブ絡合シートを70℃熱水中に90秒間浸漬して島成分の応力緩和による面積収縮率を生じさせ、ついで95℃の熱水中に10分間浸漬して変性PVAを溶解除去して、極細長繊維絡合体を得た。このときの面積収縮率は44%であり、平均繊維繊度は0.1デシテックスであった。その後、この極細長繊維絡合体をサーキュラータイプの高速流体染色機を用い、90℃で20分リラックス処理を行った。
得られた極細長繊維絡合体表面を#240のサンドペーパーを用いてバフィング処理し、基体層を得た。得られた基体層の目付は600g/m2であり、見かけ密度は0.58g/cm3であった。また、基体層の平均立毛長は90μmであり、湿潤時の剥離強力は5.5kg/cmであった。
このようにして得られた基体層表面に乾式造面処理を行い、銀面層を形成した。まず、離型紙上に下記組成の水系ポリウレタン分散液を100g/m2塗布し、90℃で1分、次いで120℃で2分乾燥することにより、厚みが30μmで、100%伸長時のモジュラスが30kg/cm2の樹脂膜を得た。
水系ポリウレタン分散液組成
ハイドランULK−003(ポリエーテル系ポリウレタン、DIC(株)製) 100部
ハイドランアシスターCS−7(多価カルボジイミド系架橋剤、DIC(株)製) 4部
ダイラックブラックHS−9550(黒顔料、DIC(株)製) 10部
次いで、得られた樹脂膜の上に下記組成の架橋性ポリウレタン系接着剤溶液を150g/m2塗布し、90℃で3分乾燥し、基体層の厚みの70%のクリアランスロールで基体層と圧着した。その後、100℃で2分間乾燥し、60℃で2日間熟成後、離型紙を剥して銀付調人工皮革を得た。
架橋性ポリウレタン接着剤溶液組成
ハイドランWLA−407(ポリエーテル系ポリウレタン、DIC(株)製) 100部
ハイドランアシスターC−7(変性ポリイソシアネート系架橋剤、DIC(株)製) 10部
こうして得られた銀付調人工皮革は、基体層を構成する高分子弾性体/極細長繊維の重量比率は0/100であった。また、平均空間占有率(A1)と平均空間占有率(A2)の比(A1/A2)は1.02であった。さらに、切断端数は1mm当たり1116個であり、接着剤層は基体層表面から63μm浸透していた。
上記の銀付調人工皮革は、風合いが柔軟で充実感を有し、また、天然皮革調の折れシワを持つものであった。また、この銀付調人工皮革の湿潤時の剥離強力(銀面層−基体層)は4.8kg/cmと非常に高いものであった。
実施例2
実施例1でバフィング処理を行う前にポリウレタン系樹脂の2%水性液を含浸、乾燥した以外は実施例1と同様の処理を行い、銀付調人工皮革を得た。このときの基体層を構成する高分子弾性体/極細長繊維の重量比率は1.3/98.7であった。こうして得られた銀付調人工皮革は、銀面層と基体層の一体感に優れ、折れシワの状態も天然皮革調であった。
比較例1
実施例1において、長繊維絡合不織布を、収縮処理工程での面積収縮率が30%になるように紡糸速度を調整した以外は、実施例1と同様の処理を行い、基体層を得た。このときの基体層の目付は505g/m2、見かけ比重は0.49g/cm3で、高分子弾性体/極細長繊維の重量比は0/100であった。また、基体層の湿潤時の剥離強力は2.8kg/cmであった。ついで、この基体層に実施例1と同様の乾式造面処理を行い、銀付調人工皮革を得た。こうして得られた銀付調人工皮革の繊維の平均空間占有率の比(A1/A2)は0.82であった。銀付調人工皮革の湿潤時の剥離強力(銀面層−基体層)は2.6kg/cmであり、また、折れシワが粗く、充実感に劣るものであった。
比較例2
実施例1でバフィング処理を行う前にポリウレタン系樹脂の25%水性液を含浸、乾燥した以外は実施例1と同様の処理を行い、銀付調人工皮革を得た。このときの基体層を構成する高分子弾性体/極細長繊維の重量比率は14/86であった。こうして得られた銀付調人工皮革は、柔軟性に劣るものであった。
比較例3
実施例1において、繊維1本あたりの島数が7島となる溶融複合防止用口金を用いて紡糸して、平均繊度3.5デシテックスの海島型長繊維をネット上に捕集し、目付30g/m2のスパンボンドシートとした以外は実施例1と同様の処理を行い基体層を得た。この基体層を構成する繊維の平均繊度は0.6デシテックスであった。また、目付は550g/m2で、見かけ比重が0.53g/cm3であった。この基体層に実施例1と同様の方法で乾式造面処理を行い銀付調人工皮革を得たが、充実感に劣るものであった。
比較例4
水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系樹脂を海成分に用い、イソフタル酸変性度6モル%のポリエチレンテレフタレ−トを島成分とし、繊維1本あたりの島数が12島で、かつ海成分/島成分が30/70(重量比)となるような溶融複合紡糸用口金を用いて紡糸した後、延伸することで繊度3.3デシテックスの海島型長繊維を得た。この長繊維を捲縮処理した後、51mmにカットし、カード、ニードル処理して、短繊維ウェブ絡合シートを得た。その後、実施例1と同様に収縮およびPVA溶解除去工程、バフィング工程を経て、短繊維から成る基体層を得た。この基体層を構成する繊維の平均繊度は0.2デシテックスであり、目付は450g/m2、見かけ比重は0.39g/cm3であった。こうして得られた基体層に、実施例1と同様の乾式造面処理を行い銀付調人工皮革を得たが、折れシワが粗く、充実感に劣るものであった。
以上の実施例および比較例により得られた銀付調人工皮革の性能を表1に示す。
Figure 2012017541
本発明の銀付調人工皮革は、紳士靴、スポーツシューズ、鞄、ベルト、カメラケース、ランドセルなどに用いられる銀付き人工皮革として好適に使用することができる。特に、本発明の銀付人工皮革は靴用途、その中でも湿潤時においても高い剥離物性を必要とするスポーツシューズの主に甲部分などに用いられる。甲部分と靴底ゴム部とをインジェクション一体化により製靴するスポーツシューズでは銀付人工皮革の剥離強力が製品の品質に顕著に影響する。本発明の銀付調人工皮革はこのような方法で製造されるスポーツシューズに好適に用いられる。

Claims (4)

  1. 平均繊度が0.001〜0.5デシテックスである極細長繊維から成る長繊維絡合体と該絡合体に任意に含浸した高分子弾性体から成る基体層の少なくとも一方の面に銀面層を有し、かつ該銀面層と該基体層が接着剤層により接着されている銀付調人工皮革であって、下記条件(1)と(2):
    (1)該基体層の高分子弾性体/極細長繊維の重量比が0/100〜10/90の範囲である、
    (2)A1/A2≧0.85
    (式中、A1は銀付調人工皮革の厚さ方向に平行な任意の断面における、該接着剤層と該基体層の境界から基体層側に0〜100μmの厚み範囲における高分子弾性体を除いた極細長繊維の平均空間占有率であり、A2は銀付調人工皮革の厚さ方向に平行な任意の断面における、該接着剤層と該基体層の境界から基体層側に100〜300μmの厚み範囲における高分子弾性体を除いた極細長繊維の平均空間占有率である)
    を同時に満足する銀付調人工皮革。
  2. 銀付調人工皮革の厚さ方向に平行な任意の接着剤層断面において、該接着剤層に把持されている該極細長繊維の切断端が厚さ方向に垂直な方向1mm当たり800個以上存在しており、かつ、該接着剤層が基体層表面から厚さ方向に平均して20〜300μmの範囲で浸透している請求項1に記載の銀付調人工皮革。
  3. 接着剤層が架橋性ポリウレタン樹脂の架橋物からなる請求項1または2に記載の銀付調人工皮革。
  4. 以下の工程:
    (1)水溶性熱可塑性樹脂と非水溶性熱可塑性樹脂とを溶融紡糸して得られる極細繊維発生型長繊維からなる長繊維ウェブを製造するウェブ製造工程、
    (2)前記長繊維ウェブを複数枚重ねて絡合させることによりウェブ絡合シートを形成するウェブ絡合工程、
    (3)前記ウェブ絡合シートを面積収縮率で35%以上湿熱収縮させる湿熱収縮処理工程と、前記極細繊維発生型長繊維中の水溶性熱可塑性樹脂を除去することにより極細繊維発生型長繊維を平均繊度が0.001〜0.5デシテックスである極細長繊維に変換する極細化工程を、湿熱収縮処理工程次いで極細化工程の順、または同時に行い極細長繊維絡合体を形成する極細長繊維絡合体形成工程、
    (4)必要に応じ前記極細長繊維絡合体に高分子弾性体を含浸及び乾燥凝固させる高分子弾性体付与工程、但し、工程(4)を工程(3)の前に行ってもよい、
    (5)工程(3)または工程(4)で得られた極細長繊維絡合体の少なくとも一方の面に必要に応じてバフィング処理する、あるいは、極細長繊維絡合体表面に必要に応じて熱プレス処理を行う表面平滑化工程、および
    (6)工程(3)〜工程(5)で得られた極細長繊維絡合体を基体層とし、該基体層の少なくとも一方の面に接着剤層を介して銀面層を形成する銀面形成工程
    を順次行い、
    (1)該基体層の高分子弾性体/極細長繊維の重量比が0/100〜10/90の範囲である、および
    (2)A1/A2≧0.85
    (式中、A1は銀付調人工皮革の厚さ方向に平行な任意の断面における、該接着剤層と該基体層の境界から基体層側に0〜100μmの厚み範囲における高分子弾性体を除いた極細長繊維の平均空間占有率であり、A2は銀付調人工皮革の厚さ方向に平行な任意の断面における、該接着剤層と該基体層の境界から基体層側に100〜300μmの厚み範囲における高分子弾性体を除いた極細長繊維の平均空間占有率である)
    を同時に満足する銀付調人工皮革を製造する方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014005564A (ja) * 2012-06-22 2014-01-16 Kuraray Co Ltd 銀付調人工皮革及びその製造方法
JP2015229219A (ja) * 2014-06-05 2015-12-21 株式会社クラレ 繊維複合シートの製造方法
CN113152110A (zh) * 2021-05-18 2021-07-23 广东欧美斯家具有限公司 一种绿色环保沙发家具用聚氨酯合成革及其制备方法

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