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JP2004244594A - 環状共役ジエン系共重合体 - Google Patents

環状共役ジエン系共重合体 Download PDF

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JP2004244594A
JP2004244594A JP2003038533A JP2003038533A JP2004244594A JP 2004244594 A JP2004244594 A JP 2004244594A JP 2003038533 A JP2003038533 A JP 2003038533A JP 2003038533 A JP2003038533 A JP 2003038533A JP 2004244594 A JP2004244594 A JP 2004244594A
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Junichi Shishido
淳一 宍戸
Hiroshi Shirai
博史 白井
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

【課題】キャスト成膜加工性、透明性、表面平滑性、耐衝撃性に優れた新規な環状共役ジエン系共重合体、及びその製造方法と該環状共役ジエン系共重合体の水素化体を提供する。
【解決手段】A環状共役ジエン系単量体に由来する繰返し単位と、B鎖状共役ジエン系単量体に由来する繰返し単位を少なくとも含有し、Aを含む結合構造はAとBとからなるランダム構造であって、該AとBとからなるランダム構造の高分子連鎖の数平均分子量は10000以上、500000以下である環状共役ジエン系共重合体、及び該環状共役ジエン系共重合体のリビングアニオン重合による製造方法、該環状共役ジエン系共重合体の水素化体。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はキャスト成膜加工性、表面平滑性、耐衝撃性に優れた新規な環状共役ジエン系共重合体、その製造方法、及び該環状共役ジエン系共重合体の水素化体に関するものである
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレン、ポリプロピレンなどに代表される汎用ポリオレフィン系材料は、耐酸性、耐塩基性など耐薬品性に優れ、非吸湿性である。また汎用ポリオレフィン系材料は熱可塑性樹脂であり、リサイクル性に優れ、プラスチック構造材料として産業上利用価値が極めて高い。ところが、これら汎用ポリオレフィン系材料は、耐熱性と透明性の両立を求められる用途では利用できない。例えば一般的な結晶性を有するポリプロピレンの溶融温度は高々170℃であり、透明性も悪い。汎用ポリオレフィンの耐熱性を向上させるには、一般的には結晶化度を上げることが挙げられる。しかしながら結晶化度の高いものは、低いものに比較して更に透明性が悪く、耐熱性と透明性の両立を求められる用途には用いることが出来ないという問題があった。
【0003】
ポリオレフィン系材料の改良として、多環ノルボルネン系単量体を用いた環状ポリオレフィン(特許文献1)が提案されている。これら多環ノルボルネン系単量体を用いた環状ポリオレフィン材料は、高分子主鎖骨格中に嵩高い5員環構造を含むことで、160℃程度の軟化温度を有する非晶性の構造をとり、汎用ポリオレフィンを超える耐熱性、透明性を有する材料として産業上の利用価値が高い。しかしながら、これらの有する各種特性は、近年の光学材料に求められる耐熱性、剛性、硬度、なかでも耐衝撃性、に関しては必ずしも十分なものでは無かった。
【0004】
これら多環ノルボルネン系単量体を用いた環状ポリオレフィン系材料の改良としては、1,3−シクロヘキサジエン系単量体をアニオン重合により重合した環状オレフィン系高分子(特許文献2)が挙げられる。これらは、その高分子主鎖骨格中に特異な高分子ミクロ構造を有するシクロヘキサン環連続構造を含むことで、220℃を越える軟化温度を有した非晶の構造をとり、耐熱性と透明性の両立を可能としている。また、特に製造方法であるアニオン重合のリビング性を利用して、シクロヘキサン環連続構造ブロック部とブタジエンからなるゴム成分ブロック部からなるブロック高分子構造を実現することで、上記の多環ノルボルネン系単量体を用いた環状ポリオレフィンの最大の課題である耐衝撃性を大幅に向上させることを可能としている。
【0005】
一方、近年急激に要求の強まった光学材料としてあげられる平面ディスプレー用途などに供されるフィルム状の光学製品に関しては、フィルムの透明性、表面平滑性、積層加工時の切断に耐えうる耐衝撃性が要求されている。また、フィルムの光学的な異方性が少なく、かつ表面平滑性に優れるフィルムの加工方法としては、溶媒に溶解した溶液からのキャスト成膜が最も望ましい加工方法とされている。
しかしながら、上記特許文献2の特異な高分子ミクロ構造を有する環状オレフィン系高分子は、必然的に特異なシクロヘキサン環連続構造を有するため各種有機溶媒への溶解性が非常に低く、そのため、キャストフィルム成形時の乾燥工程において高分子と溶媒との相分離が発生し、透明性と表面平滑性が著しく損なわれることが判明した。
【0006】
この問題を解決するため、シクロヘキサン環連続構造中に他の単量体を挿入する、いわゆるランダム化を図ることが検討され、例えばスチレン単量体由来の繰返し単位をシクロヘキサジエン単量体由来の繰返し単位の連鎖中にランダム化した例が知られている(非特許文献1)。しかしながら、該非特許文献1に記載の共重合体ではランダム化は達成されているものの数平均分子量が著しく低く、近年要求される光学フィルムに必須とされている耐衝撃性を満たしてはいなかった。
また、シクロペンタジエン単量体と1,3−ブタジエン、イソプレンなどをメタロセン触媒で共重合し、シクロペンテン環連続構造中に1,3−ブタジエンなどの他単量体由来の繰返し単位を有した共重合体の例(特許文献3)も挙げられるが、非常に数平均分子量が低かった。
【0007】
更には、シクロヘキサン環連続構造中に1,3−ブタジエン、イソプレン単量体由来の繰返し単位を含むニッケル錯体系触媒による重合例(特許文献4、非特許文献2)が知られているが、何れも低分子量のもでしかなかった。近年このニッケル錯体触媒の改良により1,3−シクロヘキサジエンと1,3−ブタジエンの共重合において、高分子量化を達成した例(非特許文献3、特許文献5)が報告されており、数平均分子量19000程度まの共重合体が達成されている。しかしながら、上記非特許文献3から得られる高分子は、高分子量化が達成されているものの、1,3−シクロヘキサジエン単量体由来の繰返し単位からなる構造部と1,3−ブタジエン単量体由来の繰返し単位からなる構造部が、いずれも1,4−結合のみからなり、その結果特に1,3−シクロヘキサジエン部の1,4−結合連鎖が結晶性の高分子であることが示されている。この1,3−シクロヘキサジエン部の結晶性が高い高分子はポリパラフェニレン前駆体としては極めて有用(特許文献5)であるが、非晶性でないことから、近年の高度な光学材料、特に光学フィルムに求められる十分な透明性を発現するに至ってはいなかった。
【0008】
【特許文献1】
特公平2−9612号公報
【特許文献2】
WO94−28038号国際公開パンフレット
【特許文献3】
特許文献2GB2044277A
【特許文献4】
USP−4127710号公報
【非特許文献1】
polymer Preprints2001,42(1),436
【非特許文献2】
European Polymer.J.,9,895(1973)
【非特許文献3】
高分子論文集、VOl.59、No.6(2002)
【非特許文献5】
特開2002−220441号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、キャスト成膜加工性、透明性、表面平滑性、耐衝撃性に優れた新規な環状共役ジエン系共重合体、及びその製造方法と該環状共役ジエン系共重合体の水素化体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため環状オレフィンの研究を重ね、新規な環状共役ジエン系共重合体、およびその水素化体である環状ポリオレフィン系共重合体を発明するに至った。
即ち、本発明は、
[1]下記式(1)で表される環状共役ジエン系共重合体であって、繰返し単位Aは繰返し単位Bとランダム構造をとる1個又は2個以上の高分子連鎖を形成し、且つ繰返し単位Aおよび/または繰返し単位Bは1,2−結合を有し、該高分子連鎖の少なくとも1個の数平均分子量は10000以上、500000以下であることを特徴とする環状共役ジエン系共重合体。
【化3】
Figure 2004244594
[式(1)は、重合体の組成式を表す。A、B、Cは主鎖を構成する各繰り返し単位を表す。l、m、nは、主鎖に含有される各繰り返し単位のwt%を表し、l+m+n=100であり、且つ0.75≦l/m≦24で、0≦n≦30である。
A:6員環以上の環状共役ジエン系単量体に由来する繰り返し単位(該繰り返し単位は、1種であっても2種以上であっても良い。)。
B:鎖状共役ジエン系単量体に由来する繰り返し単位(該繰り返し単位は、1種であっても2種以上であっても良い。)。
C:その他共重合可能な単量体に由来する繰り返し単位(該繰り返し単位は、1種であっても2種以上であっても良い。)]
[2] 環状共役ジエン系共重合体が非晶性であることを特徴とする請求項1記載の環状共役ジエン系共重合体、
[3] [1][2]の環状共役ジエン系共重合体の主鎖もしくは側鎖の少なくとも一部を水素化してなる水素化環状共役ジエン系共重合体、
[4] 6員環以上の環状共役ジエン系単量体および鎖状共役ジエン系単量体を、有機1族金属化合物と下記式(2)で示されるエーテル化合物とを組み合わせた重合開始剤の存在下に炭化水素化合物溶媒中にて重合することを特徴とする環状共役ジエン系共重合体の製造方法。
【化4】
Figure 2004244594
[式(2)は化学構造式を表す。qは炭素数を表し4以上7以下の値である。−O−R、−O−Rはそれぞれ独立に炭素数1以上のアルコキシ基を表す。]
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に関して具体的に説明する。
本発明における環状共役ジエン系単量体とは、炭素−炭素結合により構成される6員環以上の環状共役ジエンである。好ましい環状共役ジエン系単量体は、炭素−炭素結合により構成される6〜8員環の環状共役ジエンである。特に好ましい環状共役ジエン系単量体は6員環の環状共役ジエンである。具体例としては1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロオクタジエン、及びこれらの誘導体等を挙げることが出来る。これら単量体は必要に応じ1種でも、2種以上であっても構わない。特に好ましくは1,3−シクロヘキサジエン、及び1,3−シクロヘキサジエン誘導体である。
【0012】
本発明における鎖状共役ジエン系単量体とは炭素数4以上の直鎖状の共役ジエンである。具体例としては1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどの鎖状共役ジエン系単量体である。好ましくは炭素数4〜5の鎖状共役ジエン系単量体であり、例えば1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。
本発明におけるその他共重合可能な単量体とは、アニオン重合によって重合可能な従来公知な単量体である。例えば、スチレン及びo−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレンなどのスチレン誘導体並びにビニルナフタレン、ビニルピリジンなど、またメタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メチルビニルケトン、α−シアノアクリル酸メチルなどの極性ビニル系単量体やエチレンオキシド、プロピレンオキシド、環状ラクトン、環状ラクタム、環状シロキサン等の極性単量体、並びにエチレンなどのオレフィン系単量体などを例示することが出来、これら単量体は必要に応じ、1種でも2種以上であっても構わない。
【0013】
本発明の環状共役ジエン系共重合体においては、繰返し単位Aおよび/または繰返し単位Bは1,2−結合を有する。繰返し単位Aおよび/または繰返し単位Bが1,2−結合を有するとは、H−NMR測定にて得られるチャート上の特定位置に現れるピークをもって確認できるものであり、具体的には、Aからなる繰り返し単位が有する1,2−結合によるピークトップ2.37ppmの位置に見られるピーク、またBからなる繰り返し単位が有する1,2−結合による4.75から5.25ppmに範囲に見られるピークのうち、少なくとも、何れかが確認されることである。繰返し単位Aおよび/または繰返し単位Bが1,2−結合を有することで、結晶性の発現が阻害され好ましい。
【0014】
本発明における非晶性とは得られた重合体をエックス線回折測定した場合、結晶性が確認されないものを言う。具体的には回折角2θにおいて5度から25度の範囲にわたるブロードなピークが観察されるものを言う。
本発明の環状共役ジエン系共重合体は、繰返し単位Aおよび/または繰返し単位Bが1,2−結合を有することで結晶性の抑制がなされ、結果として光学的に結晶性のものよりも、より透明な非晶性を有すると推測している。
【0015】
本発明における環状共役ジエン系共重合体は、環状共役ジエン系単量体に由来する繰返し単位Aが、鎖状共役ジエン系単量体に由来する繰返し単位Bとランダム構造をとる1個又は2個以上の高分子連鎖を有することが必要である。
また、本発明の環状共役ジエン系共重合体は、該高分子連鎖中に、悪影響を及ぼさない範囲内でその他共重合可能な単量体に由来する繰返し単位Cを含有し、繰返し単位A、及び繰返し単位Bとランダム構造をとることも可能である。
本発明における環状共役ジエン系共重合体は、繰返し単位Aが繰返し単位Bとランダム構造をとる高分子連鎖のみからなる共重合体であっても、更に該高分子連鎖と、繰返し単位Cからなる高分子連鎖、及び/又は繰返し単位Bからなる高分子連鎖とから構成される高分子ブロック共重合体であることも可能である。
【0016】
即ち、本発明の環状共役ジエン系共重合体は、繰返し単位Aが繰返し単位Bとランダム構造をとる1個又は2個以上の高分子連鎖を有する共重合体であれば、(イ)繰返し単位Aが繰返し単位Bとランダム構造をとる高分子連鎖のみのランダム共重合体であっても良いし、(ロ)繰返し単位Aが、繰返し単位Bとランダム構造をとる高分子連鎖と、繰返し単位Cからなる高分子連鎖とがブロック構造をとる共重合体であっても良いし、(ハ)繰返し単位Aが、繰返し単位Bとランダム構造をとる高分子連鎖と、繰返し単位Bからからなる高分子連鎖とがブロック構造をとる共重合体であっても良いし、(ニ)繰返し単位Aが、繰返し単位Bとランダム構造をとる高分子連鎖と、繰返し単位Bからなる高分子連鎖と、繰返し単位Cからなる高分子連鎖とがブロック構造をとる共重合体であっても良いし、(ホ)繰返し単位Aが繰返し単位Bとランダム構造をとる高分子連鎖と、繰返し単位Bが繰返し単位Cとランダム構造をとる高分子連鎖とがブロック構造をとる共重合体であっても良い。更に、上記の繰返し単位Aが繰返し単位Bとランダム構造をとる高分子連鎖が、該高分子連鎖中に繰返し単位Cを物性に悪影響を及ぼさない範囲内で含有し、これらが互いにランダム構造をとる高分子連鎖であっても構わない。
【0017】
また、式(1)中における繰返し単位Aの、繰返し単位Bに対する重量比l/mは0.75以上、24以下である。l/mが0.75以上であれば耐熱性が改善され耐熱性樹脂として好適に用いられる。また24以下であると環状共役ジエン系単量体に由来する繰返し単位同士の結合が適度な長さになることから、十分な溶融成形性、溶媒溶解性、耐衝撃性を発現させることができる。耐熱性と耐衝撃性の兼合いから1.0≦l/m≦22が好ましく、更に好ましくは1.1≦l/m≦21、特に好ましくは1.2≦l/m≦20である。
【0018】
更に、式(1)中における繰返し単位Cのwt%であるnは0以上30以下で選択することが必要である。この範囲であれば必要な耐衝撃性を保持したまま、表面硬度を向上させることができ好ましい。耐衝撃性と表面硬度の兼ね合いから特に好ましい範囲は0以上、25以下である。
本発明における環状共役ジエン系共重合体の繰返し単位Aが繰返し単位Bとランダム構造をとる高分子連鎖の少なくとも1個の数平均分子量はポリスチレン換算平均数分子量で10000以上、500000以下であり、好ましくは20000以上、200000以下であり、より好ましくは30000以上、200000以下である。10000以上であると高分子材料としての強度、耐衝撃性が発現できる。また500000以下であれば溶媒溶解時の溶液粘度が適切に調整可能である。
【0019】
本発明における環状共役ジエン系共重合体は、繰返し単位Aは繰返し単位Bとランダム構造をとる高分子連鎖を包含する共重合体であるが、該ランダム構造をとる高分子鎖が、この高分子連鎖と相分離可能な数平均分子量を有する繰返し単位Bからなる高分子連鎖とブロック構造をとる共重合体である場合、耐熱性と溶融成形性を維持したまま、耐衝撃性を極めて大きく向上させることができることから好ましい。
【0020】
該ブロック構造をとる共重合体中の繰返し単位Bからなる高分子連鎖の数平均分子量の合計は、ブロック構造をとる共重合体中の繰返し単位Aが繰返し単位Bとランダム構造をとる高分子連鎖の数平均分子量の合計を100%とした場合、15%以上、85%以下であることが好ましい。15%以上、85%以下であれば、繰返し単位Aが繰返し単位Bとランダム構造をとる高分子連鎖と、繰返し単位Bからなる高分子連鎖との相分離性が良好である。特に好ましくは20%以上、80%以下である。
【0021】
また、本発明の環状共役ジエン系共重合体におけるブロック構造はジブロック構造、トリブロック構造など必要に応じて選択可能であるが、繰返し単位Aが繰返し単位Bとランダム構造をとる高分子連鎖と、繰返し単位Bからなる高分子連鎖とからなるブロック共重合体の場合、該ブロック構造はトリブロック構造以上が好ましい。特に高分子主鎖の真中が繰返し単位Bからなる高分子連鎖のブロックであるトリブロック構造、即ち、高ガラス転移温度部/低ガラス転移温度部/高ガラス転移温度部のトリブロック構造が耐熱性と耐衝撃性の観点から好ましい。
【0022】
以下に、本発明の環状共役ジエン系共重合体の重合方法を述べる。
本発明の環状共役ジエン系共重合体の重合方法は、炭化水素化合物溶媒中にて有機1族金属化合物と下記式(2)で表される環状エーテル化合物を組み合わせた重合開始剤を用いたアニオン重合法である。
【0023】
【化5】
Figure 2004244594
[式(2)は化学構造式を表す。qは炭素数を表し4以上7以下の値である。−O−R、−O−Rはそれぞれ独立に炭素数1以上のアルコキシ基を表す。]
【0024】
本発明において重合溶媒に使用される炭化水素化合物としては、ブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、iso−オクタン、n−ノナン、n−デカン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンのような炭素数4以上、10以下の飽和炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、テトラリンのような炭素数6以上、10以下の芳香族炭化水素化合物が挙げられる。これらは工業的な生産性、次反応への影響などを考慮して任意に選択可能であり、必要に応じて1種、あるいは2種以上の混合物であっても良い。より好ましい溶媒としては炭素数6以上、10以下の飽和炭化水素化合物であり、特に好ましい溶媒としてはノーマルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリンである。
【0025】
本発明の環状共役ジエン系共重合体の重合方法において、重合開始剤として用いる有機1族金属化合物の1族金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムを挙げることが出来、なかでもリチウム、ナトリウムが好ましい。これら有機1族金属化合物は1種でも必要に応じて2種類以上であっても構わない。
重合開始剤として用いられる有機1族金属化合物を、好ましい有機金属化合物である有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物の場合を例に挙げて以下に説明する。
有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物とは、それぞれ炭素原子を少なくとも1個以上含有する有機残基に結合する1個または2個以上のリチウム原子、ナトリウム原子を含有する従来公知の化合物である。
【0026】
有機リチウム化合物としては、例えばメチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、iso−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム、アリルリチウム、シクロヘキシルリチウム、フェニルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、1,3−ビス[1−リチオ−1,3,3−トリメチル−ブチル]ベンゼン、シクロペンタジエニルリチウム、インデニルリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等またはポリブタジエニルリチウム、ポリイソプレニルリチウム、ポリスチリルリチウム等高分子鎖の一部にリチウム原子を含有するオリゴマーもしくは高分子化合物が挙げられる。
【0027】
有機ナトリウム化合物としては、ナフタレンナトリウム、α−メチルスチレンナトリウムリビング4量体、n−アミルナトリウムまたはポリブタジエニルナトリウム、ポリイソプレニルナトリウム、ポリスチリルナトリウム等高分子鎖の一部にナトリウム原子を含有するオリゴマーもしくは高分子化合物が挙げられる。
好ましい有機リチウム化合物としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、1,3−ビス[1−リチオ−1,3,3−トリメチル−ブチル]ベンゼンが、また好ましい有機ナトリウム金属化合物としてはナフタレンナトリウム、α−メチルスチレンナトリウムリビング4量体を挙げることができる。但し、1,3−ビス[1−リチオ−1,3,3−トリメチル−ブチル]ベンゼンを使用する場合には重合溶液中で会合構造をとるために単座配位可能なアミン類を添加して使用することが好ましい。該アミン類の使用は、重合開始剤である1族金属有機化合物の会合を解き、単量体との開始反応を、極めて素早く終了させることを可能とし、分子量分布を狭めることができる。具体的なアミン類としてトリエチルアミンを挙げることが出来る。使用量は1族金属元素に対しモル比で0.01以上、1.20以下で使用することが好ましい。
【0028】
本発明における重合開始剤である有機1族金属化合物の使用量は、目的とする分子量、高分子構造によって異なるが、一般的には全単量体1kgに対して金属原子として2.0×10−3molから1.0×10 molの範囲であり、好ましくは5.0×10−3molから6.7×10−2molの範囲で実施することができる。
本発明の重合反応において、重合開始剤として有機1族金属化合物と組み合わせて用いられる環状エーテル化合物としては、式(2)に示される、qが4から7、即ち炭素数5〜8の環状飽和炭化水素化合物の同一炭素に結合する2つの水素を、炭素数1以上、6以下のアルコキシ基(−O−R、−O−R、R、Rは同じでも、異なっていても良い。)に置換した構造のエーテル化合物が用いられる。本発明者らは、該環状エーテル化合物を用いれば、環状共役ジエン系単量体同士の重合速度と、環状共役ジエン系単量体と鎖状共役ジエン系単量体との重合速度が近くなることから、ランダム共重合体を達成することが可能となったものと推測している。
【0029】
本発明において式(2)で表される環状エーテル化合物の構造中のqが4以上、7以下、好ましくは5以上、6以下であれば、溶媒への溶解性が十分であり好ましい。また構造式中の該アルコキシ基の炭素数が1以上、6以下であれば、停止反応などの副反応を生じることなく重合が可能であり好ましい。更に好ましい炭素数としては1以上、3以下である。具体例を挙げれば、1,1−ジメトキシシクロヘキサン、1,1−ジエトキシシクロヘキサン、1,1−ジプロポキシシクロヘキサン等である。
【0030】
本発明において、式(2)で表される環状エーテル化合物の使用量は、式(2)で表される環状エーテル化合物の重量をX、全単量体の合計重量をY、溶媒などのその他の成分の合計重量をZとするとX/(X+Y+Z)で表される値が0.025以上、0.50以下であることが好ましい。X/(X+Y+Z)が0.025以上であれば十分な速さで目的とする高分子量ランダム共重合体を得ることができ、0.50以下であれば重合中の活性末端の失活が少なく重合体の数平均分子量の制御が容易であることから好ましい。より好ましいX/(X+Y+Z)の範囲としては0.05以上、0.20以下である。
【0031】
本発明の重合反応における反応温度は、必要に応じて設定されるが、重合中の活性末端の失活が生じ難く、容易に高分子量体が得られることから、−30℃以上、100℃以下であることが好ましい。更に、重合速度の点からより容易に高分子量体が得られる15℃以上、80℃以下で実施することがより好ましい。
重合反応における単量体濃度は、全ての単量体の合計重量をY、その他の成分の合計重量をZとした場合、Y/(Y+Z)で表され、その値が0.01以上、0.50以下であることが好ましい。重合速度の点からは0.01以上が好ましく、0.50以下であれば、反応溶液の均一性を保つ攪拌が可能であり好ましい。更に好ましくは0.10以上、0.35以下、特に好ましくは0.15以上、0.30以下である。
【0032】
重合反応に要する時間は、目的あるいは重合条件によって異なったものになるため、特に限定することは出来ないが、通常は48時間以内であり、特に好適には30分から8時間の範囲で実施される。
重合反応はいずれも純度99.9999%、酸素0.2ppm未満、二酸化炭素1.0ppm未満の高純度窒素、高純度アルゴン等の不活性ガス下で実施する。重合中は系内に重合開始剤やアニオン活性末端を不活性化させるような不純物(例えば水、酸素、炭酸ガス等)が数ppm混入しても重合速度が大きく低下するので好ましくない。従って不純物の混入には特に留意する必要があり、重合系は大気圧よりも常に高いことが望ましく、また上記重合温度範囲で原料の単量体及び炭化水素化合物溶媒を液相に維持するのに十分な圧力範囲で実施する。
【0033】
必要な重合度に達した時点でアニオン活性末端を停止させるため重合停止剤を用いて、重合を停止させる。本発明における重合停止剤としては、アニオン活性末端を失活させる公知の重合停止剤を採用することが出来る。好適なものとして、水、炭素数が1から20であるアルコール、ケトン、フェノール、カルボン酸、ハロゲン化炭化水素、あるいは二酸化炭素、水素、ハロゲンガス等を例示することが出来る。また重合停止前のリビング高分子を反応停止専用の反応器へ移送し、その後に重合停止剤を用い、停止させることも可能である。
【0034】
重合反応の形式は、追添式、一部一括し込み追添併用式、あるいは連続式などを利用することが可能である。即ち本発明の環状共役ジエン系共重合体の重合方法においては、重合溶媒、重合開始剤、アミン類、単量体を適宜必要に応じて、その一部および全量をあらかじめ反応器に添加することが可能であり、またその後の各成分の添加順序、添加時期、添加速度も適宜必要に応じて選択することが可能である。
【0035】
溶融成形性を高めるためランダム性の高い構造を達成するためには、鎖状共役ジエン系単量体の追添を行い、重合中、反応系内に未反応で存在する環状共役ジエン系単量体量と鎖状共役ジエン系単量体との比を適切に制御することが好ましい。即ち反応系中に未反応で存在する全単量体のうち、環状共役ジエン系単量体量の比率をL(wt%)、鎖状共役ジエン系単量体の比率をM(wt%)とした場合、環状共役ジエン系単量体量の転化率が1%から99%の範囲において、M/Lが0.0005以上、1以下であることが好ましい。より好ましくはM/Lが0.001以上、0.25以下であり、特に好ましくは0.005以上、0.2以下で実施する。
【0036】
特に本発明の環状共役ジエン系共重合体が、繰返し単位Aが繰返し単位Bとランダム構造をとる高分子連鎖と、繰返し単位Bとして1,3−ブタジエン由来の繰返し単位からなる高分子連鎖とからなるブロック共重合体であって、更に水素化を行い、水素化体を製造する場合には、該1,3−ブタジエン由来の繰返し単位からなる高分子連鎖の1,2−結合のモル量は、1,2−結合モル量と1,4−結合モル量の合計量に対して35モル%以上、85モル%未満にすることが好ましい。この範囲であれば、1,3−ブタジエン由来の繰返し単位からなる高分子連鎖の水素化後のブロック部は結晶性を有するエチレン構造とならず非晶性であり、十分な透明性が発現する。更に好ましくは35モル%以上、60モル%以下、特に好ましくは35モル%以上、50モル%以下である。
【0037】
更に、繰返し単位Aが繰返し単位Bとランダム構造をとる高分子連鎖と、繰返し単位Bからなる高分子連鎖とからなる該ブロック共重合体の場合、ランダム構造をとる高分子連鎖中の繰り返し単位Aのモル%をa、繰り返し単位Bのモル%数をbとしたとき、a/bが2.3以上、24以下である。2.3以上であれば耐熱性が維持され、また24以下であれば十分な溶融成形性、溶媒溶解性が得られ好ましい。特に好ましいa/bの範囲としては3.0以上、24以下、特に好ましくは4.0以上、24以下である。
【0038】
また、本発明の環状共役ジエン系共重合体が、繰返し単位Aが繰返し単位Bとランダム構造をとる高分子連鎖と、繰返し単位Bからなる高分子連鎖とからなるブロック共重合体の場合、高分子ブロック構造はトリブロック構造以上が好ましい。特に高分子主鎖の真中が繰返し単位Bからなる高分子連鎖のブロックであるようなトリブロック構造、即ち、高ガラス転移温度部/低ガラス転移温度部/高ガラス転移温度部のトリブロック構造が耐熱性と耐衝撃性の観点から好ましい。
【0039】
該トリブロック構造をとる環状共役ジエン系共重合体の製造には、重合開始剤として2官能性有機Li化合物を使用することが好ましい。特に1,3−ビス[1−リチオ−1,3,3−トリメチル−ブチル]ベンゼンが好ましい。2官能性有機Li化合物を使用して、まず鎖状共役ジエン系単量体をリビング重合し、次いで環状共役ジエン系単量体と鎖状共役ジエン系単量体とがランダムに結合した高分子連鎖を合成することで、目的のトリブロック構造を容易に合成することが可能である。
【0040】
また、該低ガラス転移温度部をなす鎖状共役ジエン系単量体に由来する繰返し単位Bからなる高分子連鎖の重合に当たっては、その重合温度は−20℃から80℃までの範囲で、適宜選択可能である。−20℃以上であれば必要十分は重合速度を得ると同時に、所望の1,2−結合のモル量を得ることが可能である。また80℃以下であればブロック構造を達成するために必要な末端アニオンのリビング性が十分に発現する。より好ましい重合温度としては30℃から70℃である。
【0041】
本発明の環状共役ジエン系共重合体を反応溶液から分離回収する方法としては、重合体を反応溶液から回収する際に通常使用される方法を採用することが出来る。例えば反応溶液と水蒸気を直接接触させることで重合溶媒を蒸発除去させる水蒸気凝固法、重合溶媒と混合可能な重合体の貧溶媒に添加して重合体を沈澱させる方法、反応溶液を薄膜状にした上で加熱し、溶媒を留去させる方法、ベント付き押出機で溶媒を留去しながらペレット化まで行う方法などを例示することが出来、環状共役ジエン系共重合体、および用いた溶媒の性質に応じて最適な方法を採用することが可能である。
【0042】
更に重合開始剤に含有される金属、アミン類などを極めて低減させた高純度の環状共役ジエン系共重合体を得ることが必要な場合は、該環状共役ジエン系共重合体溶液中の金属イオンを適当なキレート化剤で水可溶化した上で高純度イオン交換水との交流接触にて抽出除去する方法、イオン交換樹脂カラムによるイオン性不純物除去方法、二酸化炭素超臨界法を使用した金属イオンおよび低分子アミン除去方法を必要に応じて実施することが可能である。
【0043】
また、本発明の環状共役ジエン系共重合体の分離回収時には該共重合体の熱的安定性、紫外線などに対する安定性および難燃性を向上させるため、公知の安定剤および酸化防止剤、具体的にはフェノール系、有機ホスフェート系、有機ホスファイト系、アミン系、イオウ系、珪素含有系、ハロゲン系等の種々の安定剤、酸化防止剤、難燃剤を採用することが可能である。これら安定剤、酸化防止剤、難燃剤の一般的添加量としては、共重合体100重量部に対し、0.001から5重量部の範囲が選択される。
【0044】
本発明の水素化環状共役ジエン系共重合体は、上記環状共役ジエン系共重合体を適当な水素化触媒を使用して高分子主鎖および側鎖の一部または全てを水素化することで得られる共重合体である。水素化の程度は、水素化率=1−(水素化後の不飽和結合のモル数/水素化前の不飽和結合のモル数)で示される。
環状共役ジエン系単量体に由来する繰返し単位Aの不飽和結合の水素化率は66%以上が好ましい。66%以上であれば高温加熱時や屋外での紫外線暴露による分子切断が抑制される。より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。
【0045】
鎖状共役ジエン系単量体由来の繰返し単位Bの水素化率としては66%以上が好ましい。66%以上であれば高温加熱時や屋外での紫外線暴露による分子切断が抑制される。より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。
その他共重合可能な単量体由来の繰返し単位Cとして、特にビニル芳香族系単量体由来の繰返し単位を使用した場合は、芳香環に由来する不飽和結合の水素化率は、要求される特性により異なる。耐環境性に重きをおいた場合、水素化率は66%以上が好ましく、更に好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。水素化率は66%以上であれば分子切断が抑制される。また高屈折率、低アッベ数を有する光学材料としての性質に重きをおいた場合には、水素化率は0以上、66%以下が好ましい。水素化率0が最も高屈折率であり、低アッベ数である。更に好ましくは0以上、30%以下であり、特に好ましくは0以上、15%以下である。
【0046】
水素化反応は、該環状共役ジエン系共重合体を必要十分に溶解し、かつ自身が水素化されない溶媒での希釈系で実施される。実施濃度は通常5wt%以上40wt%以下である。5wt%以上であれば十分な水素化反応の速度が得られる。また40wt%以下であれば、十分に粘度が低く、水素化時に発生する発熱を十分に除熱することが可能である。水素化の温度は20℃から180℃で適宜選択可能である。この範囲内であれば十分な水素化速度が得られ、かつ水素化触媒の劣化も問題にならず、また高分子鎖中の芳香環と非共役不飽和2重結合の選択水素化を実施することが可能である。また水素化圧は水素化触媒の種類によって異なるが通常0.5MPaから10MPaで適宜選択可能である。
【0047】
本発明に用いられる水素化触媒は、要求される水素化高分子構造が得られる触媒であれば種類、量は制限されない。水素化触媒としては4族、6族、7族、8族、9族、10族の金属、具体的にはチタン、ジルコニウム、ハフニウム、モリブデン、鉄、コバルト、ニッケル、レニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金から選択される少なくとも1種の金属を含有する均一系水素化触媒あるいは不均一系水素化触媒を使用することが可能である。
【0048】
均一系水素化触媒とは反応系に可溶な上記金属の有機金属化合物および金属錯体である。金属錯体の配位子としては水素、ハロゲン、窒素化合物、カルボン酸など適当な元素、有機化合物を任意に選択することが可能である。配位子の具体例としては、水素、フッ素、塩素、臭素、一酸化窒素、一酸化炭素あるいは、ヒドロキシル、エーテル、アミン、チオール、ホスフィン、カルボニル、オレフィン、各種ジエン等の化合物を例示することが出来る。また必要に応じてアルキルリチウム、アルキルマグネシウム、アルキルアルミニウム等の1族、2族、13族の有機金属化合物を還元剤として併用することが可能である。
【0049】
均一系水素化触媒の具体例としてはナフテン酸ニッケル、オクタン酸ニッケル、ニッケルアセチルアセタート、塩化ニッケル、ニッケルカルボニル、ニッケロセン、ナフテン酸コバルト、オクタン酸コバルト、コバルトアセチルアセタート、塩化コバルト、コバルトカルボニル、チタン錯体としてジシクロペンタジエニルチタニウムジクロリド、ルテニウム錯体としてクロロヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等を挙げることができる。
【0050】
本発明における均一系水素化触媒の使用量は、水素化条件によって適宜選択されるが、重合体に対し金属濃度として1wtppm以上、2000wtppm以下の範囲が好ましく、より好ましくは10wtppm以上、500wtppm以下の範囲である。触媒使用量が1wtppm以上2000wtppm以下であると、十分な反応速度を得ることができ、製品の着色が問題となることもなく、また触媒金属の分離回収に多大な労力をかける必要もないことから好ましい。
【0051】
反応温度としては使用する触媒により異なるが60℃以上180℃以下の範囲が好ましく、より好ましくは80℃以上160℃以下で実施する。温度が60℃以上であれば十分な反応速度を得ることができ、また180℃以下であれば、触媒の劣化が問題になることもない。
不均一系水素化触媒とは、上記金属あるいは前記金属の酸化物をアルミナ、シリカ、活性炭、硫酸バリウム、酸化マグネシウム、チタニアなどに担持させたもの、あるいは前記金属粉体もしくは金属酸化物粉体そのものであり、反応系に不溶であることを特徴とする。反応の手法としては重合体溶液と不均一系水素化触媒粉体を分散体として水素化させることも、不均一系水素化触媒を反応塔に詰め、重合体溶液を流通させながら連続的に水素化させることも可能である。
【0052】
担体に担持させて使用する金属としては、前記金属のなかでも、いわゆる貴金属といわれるものが挙げられる。具体的な種類としては、レニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金などが挙げられるが、分子切断などの副反応が少ないことからパラジウムが好ましい。担体の種類としては水素化活性の面からはカーボン、シリカ、アルミナが好ましいが、反応後の触媒回収とリサイクル性、製品の色目等を総合的に考慮した場合アルミナが特に好ましい。貴金属以外の不均一系触媒としては、ラネーニッケル触媒が挙げられる。
【0053】
不均一水素化触媒に使用される貴金属を担体に担持させた触媒の具体例としては、2wt%白金アルミナ粉末(担体:アルミナ粉末、比表面積80〜100m/g)(エヌ・イー・ケムキャット(株)製)、5wt%パラジウムアルミナ粉末(担体:アルミナ粉末、比表面積80〜100m/g)(エヌ・イー・ケムキャット(株)製)、5wt%パラジウムカーボン粉末(担体:カーボン粉末、比表面積900〜1300m/g、含水品)(エヌ・イー・ケムキャット(株)製)、5wt%パラジウムシリカ・アルミナ粉末(担体:シリカ・アルミナ粉末、比表面積400〜600m/g)(エヌ・イー・ケムキャット(株)製)、5wt%ルテニウムアルミナ粉末(担体:アルミナ粉末、比表面積80〜100m/g)(エヌ・イー・ケムキャット(株)製)、5wt%レニウムアルミナ粉末(担体:アルミナ粉末、比表面積80〜100m/g)(エヌ・イー・ケムキャット(株)製)を挙げることが出来る。また、貴金属以外の不均一水素化触媒の具体例としてはスポンジニッケル触媒(日興リカ(株)製 商品名:R−100、R−200)など、いわゆるラネーニッケル触媒を挙げることが出来る。これらは水酸化ナトリウム水溶液でニッケルアルミニウム合金中のアルミニウム成分を溶解除去する工程、即ち一般的に展開と呼ばれる工程後、水分散状態からメタノール分散状態、次いでテトラヒドロフラン分散状態、最終的に水素化溶媒分散状態へと溶媒を置換後、反応系に添加する。
【0054】
不均一系水素化触媒の使用量は、反応系中に存在する重合体に対する金属濃度として0.1wt%以上、1000wt%以下の範囲であり、好ましくは0.5wt%以上、300wt%以下の範囲であり、更に好ましくは1.0wt%以上、150wt%以下の範囲である。反応温度は20℃以上、240℃以下の範囲であり、好ましくは90℃以上、180℃以下で実施する。温度は反応途中で必要に応じて変えることが可能であり、高分子主鎖および高分子側鎖中の非共役2重結合を20℃以上、140℃未満で水素化し、その後必要に応じて140℃以上、240℃以下の範囲で高分子側鎖の芳香環を水素化することが可能である。反応温度が20℃以上であることが反応速度の点から好ましい。また240℃以下であれば触媒の劣化も起こらず、回収後の再使用時に活性が著しく低下することもなく好ましい。反応時間は、反応系の濃度、触媒量、反応温度などの反応条件と、製品として目標とする水素化率の値で変化するが、1時間以上、24時間以内で終了させることが可能である。不均一系水素化触媒は均一触媒に比較して製品の色目が良く、反応系中にハロゲン、硫黄、リンなどを含む被毒物質を含まない場合は、分離回収後の再使用が容易であることから、工業的には均一系水素化触媒よりも望ましい。
【0055】
水素化触媒金属などを極めて低減させた高純度の水素化環状共役ジエン系共重合体を得ることが必要な場合は、水素化環状共役ジエン系共重合体溶液中の金属イオンを適当なキレート化剤で水可溶化した上で高純度イオン交換水との交流接触にて抽出除去する方法、イオン交換樹脂カラムによるイオン性不純物除去方法、二酸化炭素超臨界法を使用した金属イオンおよび低分子アミン除去方法を必要に応じて実施することが可能である。
【0056】
また、本発明の水素化環状共役ジエン系共重合体の分離回収時には該共重合体の熱的安定性、紫外線などに対する安定性および難燃性を向上させるため、公知の安定剤および酸化防止剤、具体的にはフェノール系、有機ホスフェート系、有機ホスファイト系、アミン系、イオウ系、珪素含有系、ハロゲン系等の種々の安定剤、酸化防止剤、難燃剤を採用することが可能である。これら安定剤、酸化防止剤、難燃剤の一般的添加量としては、通常、共重合体100重量部に対し、0.001から5重量部の範囲が選択される。
【0057】
本発明の水素化環状共役ジエン系共重合体は、通常の方法で成型することが可能である。例えば、射出、押出等の溶融成形法、キャスト成膜法などの方法が挙げられる。
溶融成形法を用いることでフィルム、シート、レンズ、バック等に対応する全ての形状の成形体を安価に作成することが可能となる。例えば押出成形を用いて、厚さ100μm以上、500μm以下のフィルム、0.5mm以上、15mm以下のシートを作成することが出来る。また射出成形機を用いて直径10μm以上のマイクロレンズから直径0.5m以下のレンズを成形可能である。
【0058】
本発明の環状ジエン系共重合体および水素化環状ジエン系共重合体は、溶媒(該溶解可能な溶媒とは炭素数4以上、10以下の炭化水素溶媒、エーテル化合物、含ハロゲン有機溶媒、炭素数が6以上、10以下のケトン化合物であり、1種であっても2種以上であっても良い。)に溶解し、スピンコート、ディツプコート、ブレードコート、ロールコートなど適切な塗布法で基材にコート後、乾燥によりフィルムを得る公知のキャスト成膜法により、フィルムに加工することが可能である。好ましい溶媒としてはシクロヘキサン、トルエン、デカリン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、シクロヘキサノン、1,1−ジメトキシシクロヘキサンが挙げられ、これらは1種であっても2種であっても良い。特に好適な溶媒としてはシクロヘキサンと1,1−ジメトキシシクロヘキサンの混合溶媒が好ましい。
【0059】
溶媒からキャスト成膜を実施することで、溶融成形よりも表面平滑性が高く、複屈折の低い、厚さ0.1μm以上、500μm以下のフィルムを得る事が可能である。キャスト成膜の場合、フィルムの厚さが0.1μmより薄くなるとフィルム強度が弱くなるため取扱が困難となる。一方、フィルムの厚さが500μmより厚くなると溶媒の乾燥に時間がかかり好ましくない。
上記のフィルム、あるいはシート作成時に前述の架橋剤、反応可能な単量体、その他の架橋剤、硬化促進剤、触媒、熱架橋剤などと混合し、フィルム、あるいはシート作成後、熱、UV、電子線等の処理することにより架橋することが可能である。架橋させることでフィルムの表面硬度、いわゆる耐傷つき特性や有機溶剤に対する耐溶剤性を向上させることが出来る。
【0060】
上記の方法で得られた各種成形体は光線透過性に優れ、耐熱性、表面平滑性、表面硬度、耐衝撃性のバランスにも優れているため色々な用途展開が可能である。これら高度な光学特性を有するフィルム、シート、レンズに代表される成形体の用途としてはレンズ、非球面レンズ、フレネルレンズ、銀塩カメラ用レンズ、デジタル電子カメラ用レンズ、ビデオカメラ用レンズ、プロジェクター用レンズ、複写機用レンズ、携帯電話用カメラレンズ、メガネ用レンズ、コンタクトレンズ、青色発光ダイオードを使用するデジタル光ディスク装置用非球面ピックアップレンズ、ロッドレンズ、ロッドレンズアレー、マイクロレンズ、マイクロレンズアレー、120℃以上の熱環境下で使用する上記の各種レンズ/各種レンズアレー、ステップインデックス型/グラジエントインデックス型/シングルモード型/マルチコア型/偏波面保存型/側面発光型等の光ファイバー、自動車/電車/船舶/航空機/宇宙船/宇宙基地/人工衛星など移動体中で使用する上記の光ファイバーおよび120℃以上の熱環境下で使用する上記の光ファイバー、光ファイバー用接着剤、コンパクトディスク/光磁気ディスク/デジタルディスク/青色発光ダイオードを使用するデジタル光ディスクなど各種ディスク基板、液晶用偏光フィルム、バックライト用およびフロントライト用液晶用導光板、液晶用光拡散板、異なる屈折率を有する微粒子を分散させた液晶用光拡散板、液晶用ガラス基板代替フィルム、位相差フィルム、液晶用位相差板、携帯電話の液晶用導板、有機エレクトロルミネッセンス用位相差板、液晶用カラーフィルター、フラットパネルディスプレー用反射防止フィルム、タッチパネル用基板、透明導電性フィルム、反射防止フィルム、防げんフィルム、電子ペーパー用基板、有機エレクトロルミネッセンス用基板、プラズマディスプレー用前面保護板、プラズマディスプレー用電磁波防止板、フィールドエミッションディスプレー用前面保護板、圧電素子を使用し特定部位の光を前面拡散させる導光板、偏光子および検光子などを構成するプリズム、回折格子、内視鏡、高エネルギーレーザーを導波する内視鏡、ダハミラーに代表されるカメラ用ミラーもしくはハーフミラー、自動車用ヘッドライトレンズ、自動車用ヘッドライト用リフレクター、太陽電池用前面保護板、住宅用窓ガラス、自動車/電車/船舶/航空機/宇宙船/宇宙基地/人工衛星など移動体用窓ガラス、窓ガラス用反射防止フィルム、半導体露光時の防塵フィルム、電子写真感光材用保護フィルム、紫外光により書き込みもしくは書き換え可能な半導体(EPROM等)封止材、発光ダイオード封止材、紫外光発光ダイオード封止材、白色発光ダイオード封止材、SAWフィルター、光学的バンドパスフィルター、第二次高調波発生体、カー効果発生体、光スイッチ、光インターコネクション、光アイソレーター、光導波路、有機エレクトロルミネッセンスを使用した面発光体、平均粒子径が0.1μm以下の半導体微粒子を分散させた面発光体、蛍光物質を溶解/分散させた蛍光体などが挙げられる。
【0061】
また本発明の環状共役ジエン系共重合体および水素化された環状共役ジエン系共重合体は、成形時の各種安定剤などの使用量を既存の環状オレフィン系樹脂に比較して著しく低減することが可能であり、透明性が要求される医療用容器、衛生容器、低溶出性研究用容器および器具、高安全性食器などに応用することも可能である。具体的な用途としては、内部状態を確認することが必要な研究用注射器、医療用注射器、チューブ、薬液保管用容器、各種タンパク質/アミノ酸/デオキシリボ核酸/酵素吸着量の少ないマイクロタス基板、各種タンパク質/アミノ酸/デオキシリボ核酸/酵素吸着量の少ない透明薬液保管用容器、熱安定剤/光安定剤を含まない薬液保管用容器、薬液保管用袋、各種タンパク質/アミノ酸/デオキシリボ核酸/酵素吸着量の少ない透明薬液保管用袋、輸液バック、樹脂製哺乳瓶、滅菌による変色の少ない樹脂製哺乳瓶、熱安定剤/光安定剤を含まない透明樹脂製哺乳瓶、学童給食用透明食器、熱安定剤/光安定剤を含まない学童給食用透明食器、ミネラルウオーター容器、再使用可能なミネラルウオーター容器、熱安定剤/光安定剤を低減した再使用可能なミネラルウオーター容器などが挙げられる。また、これら用途への加工に関しては、特に特開平11−245256公報、特開2000−263613公報などに記される超臨界状態の二酸化炭素ガスを用いる成形法を使用することが可能である。
【0062】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例によって本発明を更に具体的に説明する。
<使用試薬の精製>
なお、本発明に用いた環状共役ジエン系単量体および炭化水素化合物溶媒はカルシウムハイドライド(和光純薬工業(株)製、試薬一級)を加え、高純度アルゴン(純度99.9999%、酸素0.2ppm未満、二酸化炭素1.0ppm未満)雰囲気下で12時間還流後、蒸留精製したものを使用した。
【0063】
鎖状共役ジエン系単量体である1,3−ブタジエンは、カラム(アルミナを200℃で一昼夜加熱し、その後窒素雰囲気下で室温に冷却し、その後充填)を通し、精製した。
式(2)で表される環状エーテル化合物として使用した1,1−ジメトキシシクロヘキサン(和光純薬工業(株)製)は高純度アルゴン雰囲気下で減圧蒸留精製したものを使用した。
1.62規定ノーマルブチルリチウム(関東化学(株)製)を特に精製せず用いた。
【0064】
0.82規定1,3−ビス[1−リチオ−1,3,3−トリメチル−ブチル]ベンゼン/トリエチルアミン等モル混合物の合成としては、まずm−ジイソプロピルベンゼン(アルドリッチ社製)を0.5規定水酸化ナトリウム溶液で重合禁止剤を抽出除去し、次いでpHが中性になるまで水洗し、無水硫酸ナトリウムで脱水後、高純度アルゴン気流下で減圧蒸留精製した。次いでトリエチルアミン(和光純薬工業(株)製、試薬特級)にカルシウムハイドライドを加え半日還流後、蒸留精製した。次いで精製トリエチルアミンに、そのmol数と当量の1規定セカンダリーブチルリチウム(関東化学(株)製)を特に精製せず、1時間かけて滴下後、トリエチルアミンmol数の半量の上記精製m−ジイソプロピルベンゼンを、0℃下にて、1時間かけて加え、25℃で12時間養生した。
【0065】
アリルブロマイドはアルドリッチ社製のものを、高純度アルゴン気流下、減圧蒸留で精製したものを使用した。
重合反応の停止に使用したメタノール、セカンダリーブタノールはカルシウムハイドライドを加え、その後、高純度アルゴン下で蒸留したものを使用した。
また実施例、比較例において用いた測定は以下の通りである。
【0066】
<ガスクロマトグラフィー(GC)測定>
(株)島津製作所製GC−14に、ββ′−オキシジプロピオニトリルをカラム充填物にしたパックドカラム(GLサイエンス株式会社)を使用した。移動層はHe、カラム温度90℃、インジェクションおよびディテクター部の温度は200℃で行った。内部標準としてエチルベンゼンを使用し、各単量体の残留量を求め、減少分が全てポリマーに転化したとの仮定をとり転化率とポリマー組成を求めた。
【0067】
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定>
実施例および比較例で示した重合後高分子の分子量測定は高分子ラボラトリー社製PL−210高温GPCを用いて測定した。移動相はo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業(株)製、高速液体クロマトグラフ用)、カラム温度は130℃で実施した。
【0068】
H−NMRによる1,2−結合の確認方法>
重合後のサンプルは、NMR解析装置:日本電子(株)製JNM−GSX400)を使用し、測定溶媒:重クロロホルム(アルドリッチ社製)、濃度12.5mg/0.5cm重クロロホルム、25℃で測定した。繰り返し単位Aが有する1,2−結合による、ピークトップ2.37ppmの位置に見られるピークと、繰り返し単位Bが有する1,2−結合による4.75〜5.25ppmの範囲に見られるピークを観察し、どちらかが観察されれば1,2−結合を有するとした。
【0069】
H−NMR測定および水素化率の計算方法>
また水素化後のサンプルは同様に日本電子(株)製JNM−GSX400)を使用し、測定溶媒:o−ジクロロベンゼン−d4(アルドリッチ社製)、濃度12.5mg/0.5cmo−ジクロロベンゼン−d4、135℃の測定条件で測定し、以下の方法で水素化率を求めた。
水素化率は、水素化後のH−NMRチャート上の4.75から5.25ppmに観察される1,3−ブタジエン由来の繰返し単位の1,2−結合によるビニル基の量と該ビニル基が水素化されて1ppm付近に現れるメチル基の量から求めることができる。具体的には水素化されずに残っているビニル基に結合した2個分の水素によるピークの面積S(4.75から5.25ppm)とビニル基2重結合構造が水素化されたことにより生じる1ppm付近のメチル基による水素3個分の面積Sから、次式、水素化率=(S/3)/(S/2+S/3)により1,3−ブタジエン由来の繰返し単位の1,2−結合によるビニル基2重結合の水素化率を求めた。固体触媒の水素化においては1,3−ブタジエン、1,3−シクロヘキサジエンともに1,2−結合、1,4−結合による2重結合でさしたる選択性は無いことから、1,2−結合による水素化率をもって全体の水素化率とした。
【0070】
<X線解析パターンの測定方法>
株式会社リガク社製RINT−2000を使用した。
【0071】
【実施例1】
5×10cm高圧反応器(旭硝工(株)製)を高純度窒素(純度99.9999%、酸素0.2ppm未満、二酸化炭素1.0ppm未満)で十分に乾燥、脱酸素を実施した。次いで反応溶媒としてシクロヘキサン2185gを用い、1,1−ジメトキシシクロヘキサン(以後、CHDAという。)221gを加え、攪拌をおこなった。次いで1,3−シクロヘキサジエン(以後、CHDという。)を626g加え、反応器内部温度を40℃にした。更に1.62規定ノーマルブチルリチウム(以後、NBLという。)を19.69g(25.24cm)加え、重合を開始した。その後、直ちに20wt%に調整した1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液(以後、20%BDという。)46gを加えた。
【0072】
重合開始2分後より精密ポンプ(日本精密(株) NP−LX−310)を使用し、240分にかけて、表2に示した追添推移で20%BDを追添した。追添途中、20分、30分、45分、60分、150分、240分の各時間で表1に示したサンプリング量を反応器から採取した。各サンプルは呈色を確認後、直ちにメタノールで停止した。反応系の呈色はレモンイエローで、20分から240分にかけて僅かに薄くなった。300分まで反応を続行した。300分後でも、反応系のアニオン呈色は十分に残存しており、アニオン活性末端のリビング性が比較的高いことがわかった。その後1.40gのメタノールを反応器に加え反応を停止した。
【0073】
その後、各サンプリング時及び重合終了時のサンプルを各々約30cm用い、シクロヘキサンで倍量に希釈後、500cmのアセトンに注ぎ、激しく攪拌することで再沈精製を実施した。減圧濾過(東洋濾紙社製T020A:0.2μmPTFEメンブラン)で濾別後、再度同量のアセトンで洗浄し、その後真空乾燥器で乾燥を実施し、高分子粉末を得た。乾燥後の高分子粉末のGPC測定を実施し、各サンプリング時での数平均分子量と重量平均分子量分布を求めた。重合終了後の数平均分子量は21600であった。
【0074】
各サンプリング時における、各成分の組成を表1に示した。各成分の実量の計算は下記の方法で行った。具体的に説明する。最初の20分サンプリングまでに20%BDは46g加えている。反応系内部の総重量は3172gである。この時点でのサンプリング量として72gのポリマー溶液を除いたことから反応系の合計は3100gに減少した。その結果、系内残存率は97.7%(=3100/3172×100)となる。即ち20%BDを除いた、30分サンプリング時点での各成分の系中の実量は20分サンプリング時点での各成分量の97.7%の重量になる。また20%BDは20分までに加えた46gと系中残存率97.7%の積に、20分から30分までに追添した23g(=69g−46g、表2参照)を加えた値、即ち67.9g(=46.0g×97.7%+23g)が系中での実量になる。同様に、サンプリングごとに計算を繰り返し、各成分の系中での実量を求め、組成を求めた。図1にサンプリングによる減量を補正した20%BDの追添積算量の時間推移を示した。
【0075】
各サンプリング時、重合終了後の反応溶液におけるCHD転化率とBD転化率は、デカリンを内部標準としたガスクロマトグラフィー分析により、求めた残留CHD量と残留BD量、サンプリング量の補正を加えた系中のCHD実量とBD実量とから求めた。次いでポリマー中のCHD重量濃度[={系中に加えたCHD実量×CHD転化率/(系中に加えたCHD実量×CHD転化率+系中に加えたBD実量×BD転化率)}×100]を求めた。
【0076】
更に全単量体転化率[=(系中に加えたCHD実量×CHD転化率+系中に加えたBD実量×BD転化率)/(系中に加えたCHD実量+重合終了時のBD実量/重合終了時のCHD実量×系中に加えたCHD実量)]を求めた。
全単量体転化率とポリマー中のCHD重量濃度の推移を見ると、重合初期から後期まで、BDおよびCHDが高分子鎖にとり込まれていることが判り、このポリマーがブロックポリマーではないことが判る。即ち、実施例1の高分子構造はCHDとBDのランダム構造をとっていることが容易に理解できる。
【0077】
またH−NMR測定を実施したところ、1,3−ブタジエンの1,2−結合によるビニル基2重結合構造に結合した2個分の水素ピークが4.75から5.25ppmに明確に観察された。
また、前記非特許文献3にも示されているようにCHDの1,4−結合による2重結合のみで構成されたポリマーでは1.25ppmから2.5ppmに単純なピークが見られるだけであるが、2.37ppmにCHDの1,2−結合によるピークが確認できることから1,2−結合による2重結合を主鎖中に有することが明らかである。図3にH−NMRチャートを示した。
【0078】
更にX線回折パターンを測定したところ、回折角2θで5度から30度の範囲にわたるブロードなピークを示し、このポリマーが非晶性であることが判った。図4にX線回折パターンを示した。
次いで窒素下で、メタノールを加えて重合を停止させた重合液1200gにシクロヘキサン1200gを加えて希釈し、5wt%パラジウム担持アルミナ粉体(平均粒子径40μm)(エヌ・イ−・ケムキャット社製)480gと混合後、5×10cm高圧反応器に再度加えた。窒素、次いで水素で十分に内部ガスを置換し、反応器内圧を7.85MPaにした。その後、水素圧を保ちながら、徐々に反応器内部温度を上昇させ180℃に到達後4時間反応を継続した。内部温度を40℃まで冷却後、窒素雰囲気下にて0.2μmPTFEメンブランフィルターを使用した加圧濾過器を用いて、5wt%パラジウムアルミナ粉体を除去し、透明の高分子溶液を得た。この濾過後の高分子溶液を全容積の4倍のアセトンに注ぎ込み、析出回収を実施した。濾別回収後、上記高分子溶液と同容積の4倍のアセトンで洗浄後、真空乾燥器で乾燥し、残留溶媒を除去した。
【0079】
乾燥後の高分子粉体の水素化率をNMRにて測定したところ、4.75から5.25ppmに本来観察されるBDの1,2−結合によるビニル基に結合した水素2個分のピークが殆んど観察されなかった。一方BDの1,2−結合によるビニル基が水素化されたと考えられるメチル基のピークが1.1から1.2ppmに明確に観察された。
更にBDの1,2−結合によるビニル基2重結合の主鎖側に結合した1個分の水素およびBDの1,4−結合による2重結合構造に結合した2個分の水素、1,3−シクロヘキサジエンの2重結合構造に結合した2個分の水素が重なって観察される5.25から6.25ppmのピークも、同様に殆んど観察され無かった。強いて積分値をとり、水素化率を計算したところ99.8%であった。
【0080】
次いで、重合終了後および水素化後の高分子を使用して溶解度試験を実施した。試験溶媒は表5に記したものを使用した。まず10cmバイアル瓶に高分子0.1gを採取し、溶媒を0.4g加え、20wt%高分子溶液を調整した。次いで50℃のウオーターバスにつけながら手で攪拌、振揺を行った。概ね30分浸透し、室温に戻ったところで溶液の溶解状態を評価した。ゲル状態、白濁状態、固形物の残留が認められた場合、溶解不可と判断した。溶解しきれていない場合は同一溶媒にて希釈し10wt%溶液を調整、再度50℃での攪拌、振揺を行った上で同様な基準で溶解状態を評価した。更に溶解しきれていない場合は、再度希釈し5wt%溶液を調整し、同様な溶解操作後、溶解性の確認を行った。評価の点数の付けかたは20%条件で溶解するものを◎、10%条件で溶解するものを○、5%条件で溶解するものを△、5%条件で溶解しないものを×とした。溶媒溶解性評価結果より実施例1の高分子は各種溶媒に対して極めて溶解し易いことが明白である。
【0081】
次いで光学用フィルムとして必要な表面平滑性と耐衝撃性の評価を実施するため、評価用フィルムの溶媒キャスト成膜を行った。まず重合後のポリマー、水素化後のポリマー各0.5gを、それぞれトルエン2.0gに溶解し、ガラス上に設置した幅3cm×6cmの型枠に流し込み、覆いをして3日間室温(25℃)で乾燥させた。その後、ガラス板より剥離し、真空乾燥器にて160℃で8時間乾燥を行い、厚さ280μmの評価用フィルムを得た。キャストフィルムの表面平滑性を目視で評価したところ極めて良好であった。
【0082】
光学用途に供せられるフィルムは、最終製品に至るまで様々な多層複合膜として加工されるため、耐衝撃性が十分でないと歩留まりが極めて悪化し、好ましくない。そのため耐衝撃性が重要であり、特にフィルム端部の切断時に加わる衝撃で、割れが発生しないことが重要である。この耐衝撃性評価方法としてカッターによる切断面のひび割れ発生の有無を見る方法を試みた。乾燥後のフィルムの長軸方向にカッターの刃をあて切断を行い、切断面のひび割れの有無を確認した。
重合後高分子からのキャストフィルム、水素化後高分子からのキャストフィルム、いずれの端面にも特にひび割れは発生せず耐衝撃性は良好であった。評価結果は表5に示す。
【0083】
【実施例2】
5×10cm高圧反応器を高純度窒素で十分に乾燥、脱酸素を実施した。次いで反応溶媒としてシクロヘキサン1755g、CHDA225gを加え、攪拌をおこなった。次いで20%BDを749g加え、反応器内部温度を60℃に調整した。更に0.82規定1,3−ビス[1−リチウオ−1,3,3−トリメチル−ブチル]ベンゼン/トリエチルアミン等モル混合物のシクロヘキサン溶液(以後、DiLiという。)を35.6g(45.7cm)加え、重合を開始した。反応器内部温度は直ちに上昇し10分後に65℃に到達した。次いで内部温度を60℃に制御し、50分間重合を継続し、その後サンプリングをおこなった。反応液はブタジエンアニオンのレモンイエローであったことを確認し、直ちにメタノールで失活させ、ガスクロマトグラフィー分析でBD残量を測定した。結果としてBD残量は存在せず、100%転化率であることを確認し、BD由来の繰り返し単位からなるブロック部(以下、BDブロック部と言う。)を得た。またGPC測定からBDブロック部の数平均分子量は11050、重量平均分子量分布は1.20であった。
【0084】
BDブロック部のサンプリング終了後、直ちに反応器の冷却をおこない、反応器内部温度を40℃にした。
重合開始から60分後、CHDを497g、次いで直ちに20%BDの追添をはじめランダム構造部の重合を開始した。20%BDの追添推移を表4に示した。なお図2にサンプリングによる減量を補正した20%BD追添積算量の時間推移を示した。追添途中、90分、120分、150分、195、240分、300分の各時間で表3に示したサンプリング量を反応器からサンプリングした。各サンプリングは呈色を確認後、直ちにメタノールで停止した。
【0085】
その後、5×10cm高圧反応器に1.42gのメタノールを反応器に加え反応を停止した。各サンプリング時及び重合終了時のサンプルを各々約30cm採取し、シクロヘキサンで倍量に希釈後、500cmのアセトンに注ぎ、激しく攪拌することで再沈精製を実施した。減圧濾過(0.2μmPTFEメンブラン)で濾別後、再度同量のアセトンで洗浄し、その後真空乾燥器で乾燥を実施し、高分子粉末を得た。乾燥後の高分子粉末のGPC測定を実施し、各サンプリング時間での数平均分子量と重量平均分子量分布を求めた。反応終了後の数平均分子量は45500、重量平均分子量分布は1.66であった。
【0086】
各サンプリング時における、組成を表3に示した。また実施例1同様にCHD転化率、BD転化率、CHD/BDランダム構造部におけるCHD重量濃度、CHD/BDランダム構造部転化率を各サンプリングに関して求めた。CHD/BDランダム構造部転化率とポリマー中のCHD重量濃度の推移を見ると、重合初期から後期まで、BDおよびCHDが大差無く高分子鎖にとり込まれていることが判る。このことよりCHDとBDのランダム構造が達成されていることが判る。また、重合開始剤である有機リチウム化合物のDiLiは2官能性であることから、実施例3はBDブロックの両端にCHDとStのランダム構造部を有するトリブロック共重合体であることが理解できる。
【0087】
次いでH−NMR測定を実施した。50分でサンプリングしたBDブロック部の1,2−結合、1,4−結合のモル比を求めた。1,2−結合は38%含まれていた。このBDブロック部のNMRチャートには2.37ppmにピークは観察されなかった。
また全反応終了後のサンプルのNMRチャートには実施例1同様、2.37ppmにCHDの1,2−結合に帰属するピークが観察された。このピークはCHDの1,4−結合、BDの1,2−結合およびBDの1,4−結合、いずれの構造にも帰属されない水素原子のピークであり、このことから実施例2は実施例1同様にCHDの1,2−結合を主鎖中に有するものと考えられる。
更にX線回折パターンを測定したところ、実施例1同様に、このポリマーが非晶性であることが明らかになった。
【0088】
次いで窒素下で、メタノールを加えて重合を停止させた重合液1200gにシクロヘキサン1200gを加えて希釈し、エヌ・イ−・ケムキャット社製5%パラジウム担持アルミナ粉体480g(平均粒子径40μm)と混合後、5×10cm高圧反応器に再度加えた。窒素、次いで水素で十分に内部ガスを置換し、反応器内圧を7.85MPaにした。その後、水素圧を保ちながら、徐々に反応器内部温度を上昇させ180℃に到達後4時間反応を継続した。内部温度を40℃まで冷却後、窒素下にて0.2μmPTFEメンブランフィルターを使用した加圧濾過器を用いて、5%パラジウムアルミナ粉体を除去した。濾過後の高分子溶液を全容積の4倍のアセトンに注ぎ込み、析出回収を実施した。濾別回収後、濾過後の高分子溶液と同容積の4倍のアセトンで洗浄後、真空乾燥器で乾燥し、残留溶媒を除去した。乾燥後の高分子粉体の水素化率を測定したところ、水素化率は100%であった。
【0089】
実施例1同様に溶媒溶解性とキャストフィルム作成による表面平滑性と、その後に耐衝撃性を評価した。いずれの試験結果も良好な溶解性を示した。また、表面平滑性は極めて良好であり、凹凸のない透明なフィルムを得ることが出来た。さらに耐衝撃性の結果は良好であった。結果を表5に示した。
【0090】
【比較例1】
比較例として非特許文献3および特許文献5に開示されるニッケル系触媒によるCHDとBDのランダムポリマー合成を試みた。触媒であるビスアリルニッケルブロミド2量体の合成を実施した。まずビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)ニッケル2.75g(10×10−3mol)(アルドリッチ社製)を高純度アルゴン雰囲気下のグローブボックス中でシュレンク管に計量した。次いでシュレンク缶に、蒸留精製したアリルブロマイド1.21g(10×10−3mol)を加えた。更にトルエン24cmに溶解したブタジエン2.5g(4.6×10−3mol)を加えた。一昼夜放置後、シュレンク管を減圧にし、突沸しないように注意しながらトルエン、シクロオクタジエンおよびブタジエンを除去した。濃い赤色のビスアリルニッケルブロミドの2量体が得られた。
【0091】
次いで、室温(25℃)下、高純度アルゴン雰囲気下のグローブボックス中、前記ビスアリルニッケルブロミド2量体18mg(ニッケル原子として0.1×10−3mol)、10wt%メチルアルミノキサン(アルドリッチ社製)5.8g(アルミ原子として10×10−3mol)、トルエン15gを100cmの耐圧金属容器中に加え十分混合し、触媒溶液を調整した。同様に、十分に高純度アルゴンで置換した別の100cmの耐圧金属容器にCHD17gと、40wt%に事前に調整した1,3−ブタジエントルエン溶液15g、内部標準のデカリン0.1gを加え、十分に混合し、単量体混合物を得た。前記単量体混合物組成は実施例1での仕込み組成(CHD85wt%、BD15wt%)にならった。
【0092】
次いで、室温(25℃)下、前記触媒溶液の全量に、前記単量体混合物を攪拌しながら加えた。重合は速やかに進行し、発熱が認められた。反応を2時間継続した。耐圧容器を開放し、速やかにサンプリングした。その後、濃塩酸を5cm加えた2000cmメタノールに残り全量の反応溶液を注ぎ、再沈精製による洗浄後、濾過によりメタノールを除去し、室温で24時間真空乾燥し、シクロヘキサジエン−ブタジエンコポリマー18.8gを得た。
【0093】
サンプリングした溶液を分析したところ転化率は95%であった。また数平均分子量は18900、重量平均分子量分布は2.57であった。
更に、H−NMR測定をしたところ、実施例1に観察された1,3−ブタジエンの1,2−結合に帰属される4.75から5.25ppmのピークは観察されなかった。またCHDの1,4−結合に帰属されるピークは観察されたが、2.37ppmのピークは全く観察されなかった。
【0094】
更にX線回折パターンを測定したところ、2θで16.7度、19.5度、22.5度の3つに強い回折ピークが存在することが明らかになった。即ち比較例1は結晶性を有するポリマーであった。結果として、比較例1は実施例1、2と異なりCHDの1,2−結合を含まず、かつBDの1,2−結合も含まない、結晶性を有するポリマーであることが明らかである。
次いで、実施例1、2同様に表5に示された各種溶媒に関して溶媒溶解性を評価した結果、溶媒溶解性は悪かった。この結果の理由は定かでは無いが、1,4−結合のみからなるCHD部が結晶性を有しているため、溶媒への溶解性が低下しているものと考えている。結果は表5に示した。
【0095】
次いでキャストフィルム作成を試みた。重合後の高分子、水素化後の高分子各0.5gのポリマーを4.5gのトルエンに加え、100℃に加熱することでポリマー溶液を調製した。次いでガラス上に設置した実施例1と同一サイズの80℃に余熱した型枠にトルエン溶液を流し込み、風が直接あたらないように素早く覆いをし、その後三日間室温で乾燥させた。室温乾燥後、フィルム表面は波状の凹凸を有していた。ガラスから剥離後、真空乾燥器にて160℃で8時間の乾燥を実施した。最終的に得られたフィルムは白化し、細かい波状の凹凸がとれず表面平滑性は悪かった。このことから光学用途に供するフィルムとしては不適切であることが判った。この白化に関してもフィルム内にCHD部の結晶が生じ、光の散乱につながったものと考えている。
【0096】
表面凹凸を有し、かつ白化したため光学フィルムとして価値は無いが、耐衝撃性試験を実施してみたところ、フィルムの割れは発生せず、良好であった。結果のまとめを表5に示した。
以上の結果より、比較例1は光学用途フィルムに供する高分子としては適さないことが明らかである。
【0097】
【比較例2】
まず5×10cm高圧反応器を高純度窒素で十分に乾燥、脱酸素を実施した。反応溶媒としてデカリン3150g、N,N,N,N−テトラメチルエチレンジアミン2.54gを反応器に加えた。次いで室温下にて0.82規定DiLiを16.66g加えた。反応器内部温度を40℃に昇温し、CHD350gを加え、重合を開始した。6時間後、メタノール2cmを加えて重合を停止させた。反応後のCHDの転化率は94.9%であり、ポリシクロヘキサジエンを得た。また分子量な40000、数平均分子量は1.4であった。
【0098】
得られたポリシクロヘキサジエンのH−NMR測定を実施したところ、実施例1、2および比較例2同様にCHDの1,2−結合が観察された。また、X線回折パターンを測定したところ、2θで5度から30℃の範囲にブロードなピークを示し、実施例1、2同様に、このポリマーが非晶性であることが明らかになった。
結果として比較例2はCHDの1,2−結合を主鎖に有する非晶性のポリシクロヘキジエンポリマーであり、数平均分子量が40000のポリマーである。
【0099】
次いで高純度窒素下にてこの重合液1300gと、デカリン1350gに分散させた日興リカ(株)製スポンジニッケル触媒(R−100相当品。水中重量390g)とを混合し、5×10cm高圧反応器に再度加えた。高純度窒素、次いで水素で十分に内部ガスを置換し、反応器内部を7.85MPaにした。その後、水素圧を保ちながら、徐々に反応器内部温度を上昇させ160℃に到達後8時間反応を継続した。内部温度を室温まで冷却後、窒素下にて0.2μmPTFEメンブランを使用した加圧濾過器でスポンジニッケル触媒を除去し、透明な高分子溶液を得た。濾過後の高分子溶液を全容積の4倍のアセトンに注ぎ込み、析出後、回収を実施した。回収高分子は真空乾燥器で乾燥し、残留溶媒を除去した。回収高分子の水素化率は98.0%であった。
【0100】
実施例1、2同様に溶媒溶解性を評価した。重合後の高分子、水素化後の高分子いずれも溶媒溶解性は悪かった。これはシクロ環連続構造の特徴である。結果は表5に示した。
次いでキャストフィルム作成を試みた。重合後の高分子、水素化後の高分子各0.5gのポリマーを4.5gのトルエンに加え、100℃に加熱することでポリマー溶液を調整した。水素化後の高分子に関しては特に溶解性が悪く、この状態で溶液は一部ゲル状態であった。次いでガラス上に設置した実施例1と同一サイズの80℃に余熱した型枠に重合後高分子、水素化後高分子のトルエン溶液を流し込み、風が直接あたらないように素早く覆いをし、その後三日間室温で乾燥させた。室温乾燥後、どちらのフィルムも白化し、またフィルム表面も波状の凹凸を有していた。ガラスから剥離後、真空乾燥器にて160℃で8時間の乾燥を実施した。最終的に得られたフィルムは白化し、細かい波状の凹凸がとれず表面平滑性は悪かった。このことから比較例3は光学用途に供するフィルムとしては不適切であることが判った。
【0101】
耐衝撃性試験を実施した。結果として水素化前は良好であったが、水素化後は、割れが激しかった。これは水素化により耐衝撃性が低下するためと考えられる。結果を表5に示した。
実施例1、2より本発明のポリマーはCHDとBDのランダム構造をとることで各種溶媒への溶解性が高く、また1,2−結合を有した非結晶高分子であり、結果として表面平滑性の良好なキャストフィルムを得ること容易である。
【0102】
また数平均分子量が十分に高いことから耐衝撃性が良好で、フィルムのニ次加工が容易であることが判る。
実施例1、2と比較例1、2の比較より本発明のポリマーはCHDがBDとランダム構造をとることで各種溶媒への溶解性が高く、また1,2−結合を有した非結晶高分子であり、結果として表面平滑性の良好なキャストフィルムを得ること容易であることが判った。また耐衝撃性が良好で、光学フィルムとして2次加工が容易であることが判る。
【0103】
【表1】
Figure 2004244594
【0104】
【表2】
Figure 2004244594
【0105】
【表3】
Figure 2004244594
【0106】
【表4】
Figure 2004244594
【0107】
【表5】
Figure 2004244594
【0108】
【発明の効果】
キャスト成膜加工性、透明性、表面平滑性、耐衝撃性に優れた新規な環状共役ジエン系共重合体、及びその水素化体を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の20%BD追添積算値の時間推移を示すグラフ図である。
【図2】実施例2の20%BD追添積算値の時間推移を示すグラフ図である。
【図3】実施例1のH−NMRチャート図である。
【図4】実施例1のX線回折パターン図である。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表される環状共役ジエン系共重合体であって、繰返し単位Aは繰返し単位Bとランダム構造をとる1個又は2個以上の高分子連鎖を形成し、且つ繰返し単位Aおよび/または繰返し単位Bは1,2−結合を有し、該高分子連鎖の少なくとも1個の数平均分子量は10000以上、500000以下であることを特徴とする環状共役ジエン系共重合体。
    Figure 2004244594
    [式(1)は、重合体の組成式を表す。A、B、Cは主鎖を構成する各繰り返し単位を表す。l、m、nは、主鎖に含有される各繰り返し単位のwt%を表し、l+m+n=100であり、且つ0.75≦l/m≦24で、0≦n≦30である。
    A:6員環以上の環状共役ジエン系単量体に由来する繰り返し単位(該繰り返し単位は、1種であっても2種以上であっても良い。)。
    B:鎖状共役ジエン系単量体に由来する繰り返し単位(該繰り返し単位は、1種であっても2種以上であっても良い。)。
    C:その他共重合可能な単量体に由来する繰り返し単位(該繰り返し単位は、1種であっても2種以上であっても良い。)]
  2. 環状共役ジエン系共重合体が非晶性であることを特徴とする請求項1記載の環状共役ジエン系共重合体。
  3. 請求項1又は2記載の環状共役ジエン系共重合体の主鎖もしくは側鎖の少なくとも一部を水素化してなる水素化環状共役ジエン系共重合体。
  4. 6員環以上の環状共役ジエン系単量体および鎖状共役ジエン系単量体を、有機1族金属化合物と下記式(2)で示されるエーテル化合物とを組み合わせた重合開始剤の存在下に炭化水素化合物溶媒中にて重合することを特徴とする環状共役ジエン系共重合体の製造方法。
    Figure 2004244594
    [式(2)は化学構造式を表す。qは炭素数を表し4以上7以下の値である。−O−R、−O−Rはそれぞれ独立に炭素数1以上のアルコキシ基を表す。]
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