JP2004003010A - 疲労特性に優れた軟窒化部品およびその製造方法 - Google Patents
疲労特性に優れた軟窒化部品およびその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】粒径:10nm未満の微細析出物を分散析出させたフェライト単相組織を有し、質量%で、C≦0.15%、Si≦0.3%、Mn≦2%、Ti:0.03〜0.35%、Mo:0.05〜0.8%、更にNb≦0.08%、V≦0.15%、W≦1.5%の一種または二種以上、S:0.03〜0.1%、Pb≦0.2%、Ca≦0.005%、B≦0.02%、0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)+(V/51)+(W/192)}≦1.5 残部Fe及び不可避的不純物よりなる軟窒化部品。上記組成の鋼を950〜1250℃で加熱後、熱間鍛造し、その後の冷却において、550〜700℃を0.5℃/sec超えで冷却し所望の形状に成形後、軟窒化を550〜700℃にて10分間以上保持で行う。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は軟窒化部品およびその製造方法に関し、特にミクロ組織の調整により強度、疲労特性に優れ、自動車、建設機械用として好ましいものに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のクランクシャフトや歯車には優れた疲労特性や耐摩耗性が要求され、JIS規格材SCM435等を成形後、軟窒化して用いられているが、これらの鋼は冷間鍛造性に劣るため軟化焼鈍などの熱処理が必要とされ、また冷間鍛造後の切削加工性も十分とは言い難かった。
【0003】
また、冷間鍛造後、所望の強度とするため、軟窒化前に焼入れ焼戻しを行うことが必要で、軟化のための球状化焼鈍とあわせて、生産コストの上昇が不可避であった。
【0004】
其のため、冷間鍛造性に優れる軟窒化材の開発が強く要望され、種々の技術が提案されてきた。
【0005】
特開平9−279295号公報は成分組成の調整により軟窒化前の組織をフェライト・ベイナイト組織とし、処理後における硬度低下を抑制するとともに、更にVの析出強化を利用することが記載されている。しかしながら、ベイナイトの転位密度は高く軟窒化前の冷間鍛造性に劣る。
【0006】
特開2000−345259号公報は鋼組成を低C、Mn系とし軟窒化前の硬度を低くし、冷間鍛造性を向上させ、一方、Cu、Ni添加により冷間鍛造中にこれらの金属間化合物を歪誘起析出させ、冷間鍛造後所望の硬度とすることが記載されている。
【0007】
しかしながら、金属間化合物による析出強化量が小さく、冷間鍛造前に硬度を低下させることができないため冷間鍛造性に劣り、冷間鍛造後の被削性も十分優れているとは言い難かった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、球状化焼鈍など特殊な熱処理を施さずに冷間鍛造性を向上させ、一方、冷間鍛造後においては優れた被削性を有し、更に軟窒化前、所望の強度とするための熱処理が不要な鋼はいまだ開発されていない。
【0009】
そこで本発明では、優れた冷間鍛造性や軟窒化後の高強度化のため、従来、必要とされている熱処理を要せず、安価な生産コストで製造可能な軟窒化部品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋼の冷間鍛造性、冷間鍛造後の被削性および軟窒化後の強度に及ぼす組織、組成の影響について鋭意検討を行い、冷間鍛造性および冷間鍛造後の被削性は鋼組織をフェライト単相組織とすることにより向上させ、軟窒化後の強度は軟窒化時に微細析出物の析出により向上させる革新的な製造方法を着想した。
【0011】
更に微細析出鋼の降伏比が調質鋼より高く、優れた疲労強度が得られることも新たな知見として見出した。
【0012】
本発明は以上の知見を基に更に検討を加えてなされたものであり、すなわち、本発明は、
1.フェライト単相組織を有し、フェライト相中に粒径が10nm未満の微細析出物が分散析出していることを特徴とする疲労特性に優れた軟窒化部品。
【0013】
2.質量%で、C≦0.15%、Si≦0.3%、Mn≦2%、Ti:0.03〜0.35%、Mo:0.05〜0.8%、残部Fe及び不可避的不純物よりなる1記載の疲労特性に優れた軟窒化部品。
【0014】
3.鋼組成として更に式(1)を満足することを特徴とする2記載の疲労特性に優れた軟窒化部品。
但し、各元素は含有量(質量%)とする。
【0015】
4.微細析出物がTi、Moの炭化物であることを特徴とする1乃至3のいずれか一つに記載の疲労特性に優れた軟窒化部品。
【0016】
5.鋼組成として、更に質量%で、Nb≦0.08%、V≦0.15%、W≦1.5%の一種または二種以上を含有する2記載の疲労特性に優れた軟窒化部品。
【0017】
6.鋼組成として更に式(2)を満足することを特徴とする5記載の強度、疲労特性に優れた軟窒化部品。
0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)
+(V/51)+(W/184)}≦1.5 (2)
但し、各元素は含有量(%)とし、含まれないものは0とする。
【0018】
7.微細析出物がTiとMoとNb、V、Wの内の少なくとも一種とを含む炭化物であることを特徴とする5または6に記載の疲労特性に優れた軟窒化部品。
【0019】
8.鋼組成として更に質量%で、S:0.03〜0.1%、Pb≦0.2%、Ca≦0.005%、B≦0.02%の一種または二種以上を含有することを特徴とする2、3、5、6のいずれか一つに記載の疲労特性に優れた軟窒化部品。
【0020】
9.2、3、5、6、8のいずれか一つに記載の組成の鋼を950〜1250℃で加熱後、仕上げ圧延温度800℃以上で圧延し、その後の冷却において、700〜550℃を0.5℃/sec超えで冷却することを特徴とする軟窒化部品用棒鋼の製造方法。
【0021】
10.2、3、5、6、8のいずれか一つに記載の組成の鋼を950〜1250℃で加熱後、仕上げ圧延温度800℃以上で圧延し、その後の冷却において、700〜550℃を0.5℃/sec超えで冷却した棒鋼を、所望の形状に成形後、550〜700℃にて10分間以上保持する軟窒化処理を行うことを特徴とする疲労特性に優れた軟窒化部品の製造方法。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明に係る軟窒化部品のミクロ組織、成分組成および製造条件について以下に詳細に説明する。
【0023】
1.ミクロ組織
本発明に係る軟窒化部品は、▲1▼その素材(圧延ままの棒鋼)段階において優れた冷間鍛造性と▲2▼冷間鍛造後においては被削性に優れ、更に▲3▼軟窒化処理後においては調質処理材の軟窒化処理材(従来鋼:例えばSCM435鋼)に比して優れた疲労特性とまた、同等の強度、靭性が得られるよう、そのミクロ組織をフェライト単相で且つ粒径10nm未満の微細析出物を含む組織に規定する。
【0024】
母相をフェライト単相組織とすることにより、素材段階での冷間鍛造性、および冷間鍛造後の切削性を向上させ、更に該組織中に微細析出物を分散析出させることにより軟窒化後、強度とともに疲労特性を向上させる。
【0025】
本発明では微細析出物の粒径は10nm未満とする。析出物の粒径が10nm以上の場合、軟窒化後の析出強化が不充分で調質材を素材としたものと比して強度が向上せず、また、強度特性において降伏比が上昇せず、疲労特性の向上が得られない。
【0026】
微細析出物の粒径は小さいほど有効で、望ましくは5nm、更に望ましくは3nm以下で、そのような微細析出物としてTi、Moを複合含有した炭化物、またそれらに更にNb、V、Wの一種または二種以上を含む炭化物が好ましい。
【0027】
これらの微細析出物の分布形態は特に規定しないが、母相中に均一分散(分散析出)することが望ましい。
【0028】
また、本発明において、微細析出物の大きさは、全析出物の90%以上で満足すれば、焼戻し後目的とする引張強さが得られる。但し、10nm以上の大きさの析出物は析出物形成元素を消費し、強度に悪影響をあたえるため、50nm以下とすることが好ましい。
【0029】
上述した析出物とは別に少量のFe炭化物を含有しても本発明の効果は損なわれないが、平均粒径が1μm以上のFe炭化物を多量に含むと靭性を阻害するため、本発明においては含有されるFe炭化物の大きさ上限は1μm、含有率は全体の1%以下とすることが望ましい。
【0030】
本発明における微細析出物の全析出物に占める割合は、次の方法で決定できる。まず電子顕微鏡試料を、ツインジェット法を用いた電解研磨法で作成し、加速電圧200kVで観察する。
【0031】
その際、微細析出物が母相に対して計測可能なコントラストになるように母相の結晶方位を制御し、析出物の数え落としを最低限にするために焦点を正焦点からずらしたデフォーカス法で観察を行う。
【0032】
また、析出物粒子の計測を行った領域の試料の厚さは電子エネルギー損失分光法を用いて、弾性散乱ピークと非弾性散乱ピーク強度を測定することで評価する。
【0033】
この方法により、粒子数の計測と試料厚さの計測を同じ領域について実行することができる。粒子数および粒子径の測定は試料の0.5×0.5μmの領域4箇所について行い、1μm2当たりに分布する析出物を粒径ごとの個数として算出する。
【0034】
この値と試料厚さから、析出物の1μm3当たりに分布する粒子径ごとの個数を算出し、径が10nm未満の析出物について、測定した全析出物に占める割合を算出する。
【0035】
また、本発明においてフェライト単相組織とは、断面組織観察(200倍の光学顕微鏡組織観察)でフェライト面積率95%以上とし、好ましくは98%以上とする。
【0036】
2.成分組成
本発明に係る軟窒化部品は上述したミクロ組織で目的とする性能が得られるが、以下の成分組成とすることが好ましい。
【0037】
C
Cは強度確保のため添加する。0.15%超えで含有すると微細析出物が粗大化し、強度が低下するため0.15%以下とする。より好ましくは0.03%以上0.12%以下である。
【0038】
Si
Siは脱酸のため添加するが、0.3%を超えるとフェライトに固溶し、冷間加工時の変形抵抗が増大するため0.3%以下とする。より好ましくは0.15%以下である。
【0039】
Mn
Mnは強度向上に有効なため添加するが、2%を超えると冷間加工性を劣化させるので2%以下とする。より好ましくは0.5%以上1.8%以下である。
【0040】
Ti
TiはTi系炭化物や、MoとともにTi−Mo系炭化物を含む析出物を微細に析出させ、軟窒化処理材の強度および疲労特性を向上させるため添加する。0.03%未満では析出物量が少なく所望の強度及び疲労特性が得られないため0.03%以上とし、一方、0.35%を超えて添加すると析出物が粗大化し、そのような効果が低下するため0.03〜0.35%とする。より好ましくは0.03〜0.20%である。
【0041】
Mo
MoはMo系炭化物や、TiとともにTi−Mo系炭化物を含む析出物を微細に析出させ、軟窒化処理材の強度および疲労特性を向上させるため添加する。軟窒化処理材において所望の引張強度とし、疲労特性を向上させるため0.05%以上とし、一方、0.8%を超えて添加するとベイナイト相を形成し、析出強化量が低下するため0.05〜0.8%とする。より好ましくは0.15〜0.45%である。
【0042】
Moは拡散速度が遅く、Tiとともに析出する場合、析出物の成長速度が低下し、微細な析出物が得られやすい。
【0043】
(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)}
本パラメータは、析出物の大きさに影響を与えるもので、0.5以上、1.5以下とした場合、粒径10nm未満の微細析出物の形成が容易となり好ましい。
【0044】
微細なTi−Mo系炭化物では、炭化物中のTi、Moは原子比で2.0≧Ti/Mo≧0.2、更に微細な場合は1.5≧Ti/Mo≧0.7であることが観察された。
【0045】
更に、特性を向上させる場合、Nb、V、Wの一種または二種以上を添加することが好ましい。
【0046】
Nb
NbはTiと微細析出物を形成して強度向上に寄与する。また、組織を微細化し、結晶粒の整粒により延性を向上させる。0.08%を超えると過度に微細化し、延性が低下するため0.08%以下とする。より好ましくは0.04%以下である。
【0047】
V
VはTiと微細析出物を形成するが、0.15%を超えると析出物が粗大化するようになるため、0.15%以下とする。より好ましくは0.10%以下である。
【0048】
W
WはTiと微細析出物を形成するが、1.5%を超えると析出物が粗大化するようになるため、1.5%以下とする。より好ましくは1.0%以下である。
【0049】
これらの元素の添加においては、C、Ti、Mo、Nb、V、Wの原子比を規定することが炭化物の微細化に有効で(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)+(V/51)+(W/192)}を0.5以上、1.5以下とした場合、粒径10nm未満の微細析出物の形成が容易となる。
【0050】
また、微細なTi−Mo−(Nb、V、W)系炭化物では、炭化物中の各元素は原子比で2.0≧(Ti+Nb+V)/(Mo+W)≧0.2、更に微細な炭化物では1.5≧(Ti+Nb+V)/(Mo+W)≧0.7であることが観察された。
【0051】
本発明鋼では、冷間鍛造後や軟窒化処理材の被削性を向上させる場合は、0.03≦S≦0.1%とし、Pb≦0.2%、Ca≦0.005%、B≦0.02%の一種以上を添加することができる。
【0052】
また、本発明鋼では上記添加元素以外の残部はFe及び不可避不純物とするが、脱酸剤としてAlを0.1%以下添加することができる。更に素材の冷間鍛造性を向上させる場合、P≦0.040%、N≦80ppmとし、強度、延性を向上させる場合、Ni≦2%、Cr≦2%の一種以上を添加することができる。
【0053】
尚、これらの元素の含有量や添加の有無により本発明の効果が損なわれることはない。
【0054】
3.製造条件
図1は本発明に係る軟窒化部品の概略製造工程図でS1は素材となる棒鋼製造工程、S2は搬送工程、S3は製品(軟窒化部品)仕上げ工程を示す。棒鋼製造工程(S1)で鋼塊を熱間圧延し棒鋼とし品質検査後、出荷する。
【0055】
製品(軟窒化部品)仕上げ工程(S3)で、該棒鋼を所定の寸法に切断し、冷間鍛造、冷間曲げなどの冷間鍛造を行い、必要に応じてドリル穿孔や旋削等の切削加工で所望の形状とした後、軟窒化処理を行い製品とする。
【0056】
尚、冷間鍛造にかわり熱間鍛造を用いても良く、この場合は熱間鍛造後、冷間矯正が行われる場合がある。また、最終製品にペンキやメッキ等の皮膜処理がなされる場合もある。以下に望ましい製造工程について詳細に説明する。
【0057】
圧延加熱温度
圧延加熱温度は950〜1250℃とする。本発明では、圧延材(素材となる棒鋼)に微細析出物が析出し冷間鍛造性を損なわないよう、熱間圧延時に溶解時から残存する炭化物を固溶させる。
【0058】
圧延加熱温度は950℃未満とした場合、仕上までの圧延荷重が大きくなりすぎて圧延が不可能である。また、1250℃を超えると、析出物が再固溶するため、微細析出物が析出し、強度が上昇するため、冷間鍛造性が悪化する。よって、加熱温度は950℃〜1250℃とする。
【0059】
圧延仕上げ温度
圧延仕上げ温度は800℃未満では圧延荷重が高く真円度が劣化するため800℃以上とする。
【0060】
冷却速度
冷間鍛造前に微細析出物が析出し、冷間鍛造性を損なわないよう、圧延後の冷却速度を規定する。微細析出物の析出温度範囲の700〜550℃を、微細析出物が得られる限界冷却速度(0.5℃/sec)超えで冷却する。
【0061】
軟窒化処理(析出処理)
得られた棒鋼を素材とし、冷間鍛造後、切削加工等により部品形状とする。その後、軟窒化処理を行う。軟窒化処理は微細析出物を析出させるように、加熱温度:550〜700℃、保持時間10分以上で行う。550℃未満では、十分な量の析出物が得られず、700℃超えでは析出物が粗大化するため、550〜700℃とする。
【0062】
尚、冷間鍛造にかわり熱間鍛造を用いた場合、熱間鍛造後の冷間矯正や切削加工性の観点から、微細析出物が析出しないように熱間鍛造時の加熱温度を950〜1250℃、鍛造後の冷却速度を0.5℃/sec超えで行う。
【0063】
【実施例】
表1に示す組成の鋼(No.1〜11)を150kg真空溶解炉にて溶製し、圧延を1100℃加熱、920℃仕上げで行い、その後1℃/secで室温まで冷却し36mmφの棒鋼とした。No.11は従来材である。
【0064】
No.1〜10は圧延まま、No.11は圧延後、球状化処理したものから冷間据えこみ加工用の試験片(直径14mm、高さ/直径比:1.5)を採取し、同心円状溝突付きダイスを取りつけた拘束圧縮盤により圧縮加工時の変形抵抗、割れ発生限界加工率を平均歪速度0.01/secで調査した。
【0065】
変形抵抗は平均歪が1.5(圧下率70%)の荷重を拘束係数と変形前の初期面積で除して求めた。割れ発生限界加工率は実際に割れの発生した圧下率とした。
【0066】
尚、変形抵抗、割れ発生限界か効率は部品鍛造時の圧延工具寿命、割れ発生不良率と相関があることが知られている。
【0067】
更に、被削性をドリル切削試験により評価した。上記圧縮試験採取材の残部を25mm径まで冷間引抜き加工し、No.1〜10は引抜き加工まま、No.11は軟化焼鈍後、20mm厚に切断したものを試験材として、JIS高速度工具鋼SKH51の6mmφのストレートドリルで送り0.15mm/rev、回転数745rpm、1断面当たり5箇所の貫通穴を開け、ドリルが切削不能になるまでの総穴数で評価した。
【0068】
また、芯部の硬度(試験荷重100g)を圧延ままの素材(冷間鍛造前)、圧縮試験片(冷間鍛造後)について調査した。
【0069】
軟窒化処理材はNo.1〜10は25mm径まで冷間引抜き加工した鍛造材にガス軟窒化処理し、鋼No.11は冷間引抜き加工後、焼入れ焼戻し処理を行ったものにガス軟窒化処理し製造した。ガス軟窒化処理はNH3:N2:CO2=50:45:5の雰囲気で525〜725℃に加熱し、5時間保持して行った。
【0070】
これらの軟窒化処理材について、組織観察し、芯部の硬度、引張特性および疲労特性を調査した。
【0071】
組織観察は断面を光学顕微鏡で観察するとともに、析出物を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、組成をエネルギー分散型X線分光装置(EDX)により求めた。
【0072】
芯部の硬度は、冷間鍛造材と同じ位置にて測定した。また、ガス窒化後の表面硬さは表面から0.02mmの位置で測定を行い、有効硬化層深さはHv400となる表面からの深さと定義して測定した。
【0073】
疲労特性は小野式回転曲げ疲労試験により疲労限を求めた。小野式回転曲げ疲労試験片(平行部8mmφ)はφ25mmのものより採取し、上述した軟窒化処理を施した。
【0074】
表2に試験結果を示す。No.1〜6が本発明に係る軟窒化部品、No.7〜10が比較例、No.11が既存の軟窒化用鋼による従来例である。
【0075】
表から明らかなように、No.1〜6の軟窒化処理材はその素材(圧延材:棒鋼)の硬度、変形抵抗、限界加工率および冷間鍛造後の硬度、ドリル切削加工性も従来材の球状化処理材と同等である。更に、軟窒化処理後においては、従来材を調質処理後軟窒化処理したものと強度特性が同等で、疲労特性は更に優れている。
【0076】
これに対しNo.7〜10は得られたミクロ組織が本発明範囲外で、強度、疲労特性に劣る。
【0077】
No.7は軟窒化処理温度が本発明範囲外で高いため、軟窒化処理後後、フェライト+パーライト組織となり、また、析出物の粒径も大きいため降伏強度が700MPa以下と低い。
【0078】
No.8は軟窒化処理温度が本発明範囲外で低いため、軟窒化処理後、ベイナイト組織となり、Cが固溶されたため、析出強化が不足し降伏強度が700MPa以下と低い。
【0079】
No.9はCが高いため圧延材の硬度が高く、変形抵抗、限界加工率、ドリル寿命が従来材に及ばない。また、軟窒化処理後の析出物が大きく十分な析出強化が得られず、従来材より強度が低い。
【0080】
No.10はSi、Mnが高いため圧延材の硬度が高く、変形抵抗、限界加工率、ドリル寿命が従来材に及ばない。また、析出処理後、フェライト+マルテンサイト組織となり、Cが固溶されたため微細析出物にもかかわらず十分な析出強化が得られず、従来材より強度が低い。またNo.7〜10のいずれの疲労限も従来材より低い。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、疲労特性に優れ且つ軟窒化処理後の冷間鍛造性、冷間鍛造後の被削性に優れた軟窒化部品およびその製造方法が得られ、産業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る軟窒化部品の製造工程の一例を示す図。
Claims (10)
- フェライト単相組織を有し、フェライト相中に粒径が10nm未満の微細析出物が分散析出していることを特徴とする疲労特性に優れた軟窒化部品。
- 質量%で、C≦0.15%、Si≦0.3、Mn≦2%、Ti:0.03〜0.35%、Mo:0.05〜0.8%、残部Fe及び不可避的不純物よりなる請求項1記載の疲労特性に優れた軟窒化部品。
- 微細析出物がTi、Moの炭化物であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の疲労特性に優れた軟窒化部品。
- 鋼組成として、更に質量%で、Nb≦0.08%、V≦0.15%、W≦1.5%の一種または二種以上を含有する請求項2記載の疲労特性に優れた軟窒化部品。
- 鋼組成として更に式(2)を満足することを特徴とする請求項5記載の強度、疲労特性に優れた軟窒化部品。
0.5≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(Nb/93)
+(V/51)+(W/184)}≦1.5 (2)
但し、各元素は含有量(%)とし、含まれないものは0とする。 - 微細析出物がTiとMoとNb、V、Wの内の少なくとも一種とを含む炭化物であることを特徴とする請求項5または6に記載の疲労特性に優れた軟窒化部品。
- 鋼組成として更に質量%で、S:0.03〜0.1%、Pb≦0.2%、Ca≦0.005%、B≦0.02%の一種または二種以上を含有することを特徴とする請求項2、3、5、6のいずれか一つに記載の疲労特性に優れた軟窒化部品。
- 請求項2、3、5、6、8のいずれか一つに記載の組成の鋼を950〜1250℃で加熱後、仕上げ圧延温度800℃以上で圧延し、その後の冷却において、700〜550℃を0.5℃/sec超えで冷却することを特徴とする軟窒化部品用棒鋼の製造方法。
- 請求項2、3、5、6、8のいずれか一つに記載の組成の鋼を950〜1250℃以上で加熱後、仕上げ圧延温度800℃以上で圧延し、その後の冷却において、700〜550℃を0.5℃/sec超えで冷却した棒鋼を、所望の形状に成形後、550〜700℃にて10分間以上保持する軟窒化処理を行うことを特徴とする疲労特性に優れた軟窒化部品の製造方法。
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