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JP2004060008A - 含水した不純銅粉から高純度銅を製造する方法 - Google Patents

含水した不純銅粉から高純度銅を製造する方法 Download PDF

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JP2004060008A JP2002220757A JP2002220757A JP2004060008A JP 2004060008 A JP2004060008 A JP 2004060008A JP 2002220757 A JP2002220757 A JP 2002220757A JP 2002220757 A JP2002220757 A JP 2002220757A JP 2004060008 A JP2004060008 A JP 2004060008A
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Abstract

【課題】銅張積層板をエッチングする際に生ずる劣化銅エッチング液等から回収した銅の塩素化合物及び酸化物を含有する含水不純銅粉から高純度の銅を製造する方法の提供。
【解決手段】銅の塩素化合物を含有する平均粒径500μm以下の含水した不純金属銅粉と澱粉あるいは蔗糖等の炭水化物とを炉内に導入し、1083℃以上、1300℃以下で熱処理して高純度銅インゴットを製造する。この製造方法は、含水不純銅粉が回収後数日間放置されたものあるいは平均粒径50μm未満のより細かい小粒径の場合にも好適に対処できる。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、劣化銅エッチング液から電解により回収された銅等の少なくとも塩素化合物を含有する含水した不純銅粉から高純度銅を製造する方法に関する。より詳しくは、銅張積層板をエッチングして回路導体を形成しプリント配線板を製造する際に生ずる劣化銅エッチング液から回収した銅等の少なくとも塩素化合物を含有し、かつ含水率30wt%前後の小粒径の含水不純銅粉から高純度の銅インゴットを製造する方法に関する。特に、前記回収した後数日間放置された銅粉あるいはより細かい小粒径の銅粉の場合にも好適に高純度の銅インゴットを製造することができる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器等に組み込まれて使用されるプリント配線板には、回路導体材料となる銅箔と絶縁材料となる樹脂基材とを積層接着して得られる各種の銅張積層板が用いられている。この銅張積層板から所要の回路導体を形成するには、銅張積層板を銅エッチング液、例えば塩化第二銅−塩酸水溶液とを接触させてエッチングを行い回路導体以外の不要銅を溶解除去する。
【0003】
このエッチングを繰り返していると銅エッチング液中に塩化第一銅が形成され、その濃度が次第に増加し、エッチング機能が低下し適正なエッチングの維持ができにくくなる。そのため、塩化第一銅を過酸化水素水のような酸化剤を作用させて、塩化第二銅に再生せしめることが従前から知られている。また、銅濃度の増加した劣化エッチング液から、電解により銅を金属銅として回収することも知られている。
【0004】
例えば、特開昭51−23447号公報には、劣化したエッチング液を隔膜電解法により陰極に金属銅を電析せしめる方法、特開昭56−17429号公報には、劣化塩化銅エッチング液を電解法により再生し、かつ金属銅を回収する方法、特開平2−254188号公報には、塩化第一銅を含む液を酸化して塩化第二銅に転換し劣化したエッチング液を再生し、陰極上に金属銅を電析させる方法が提案されている。
【0005】
これらの提案のように劣化銅エッチング液から有価金属である銅を電析回収し、これを銅材料として使用することは、資源の再利用(リサイクル)という点で優れており重要視されるようになっている。そのようなことで、銅の電析技術については、その後も多くの改良技術の提案があり、本発明者らも、これに関し鋭意研究開発を行いその結果に関し特許出願している。その出願で公開された技術には、特開平5−117879号公報、特開平5−125564号公報、特開平6−158359号公報、あるいは特開2001−107270公報等がある。
【0006】
これらの技術のうち、特開平6−158359号公報は、劣化したエッチング液を塩素の外部放出を伴わないクローズド化したプロセスで再生することを可能にした電解槽を提供するものであり、その際に析出した銅は電極から掻き落として回収する。その後本発明者らが提案した、改良型の電解再生処理システムを提供する前記特開2001−107270公報でも、陰極に析出した銅は電極から掻き落として回収するものであり、回収された銅は粉末である。
【0007】
この回収された粉末の銅は、塩酸が存在する溶液中で電解され、かつ電解槽から間欠的に外部に取り出されるまでは、塩酸含有電解液中に沈降堆積しているものである。そのため、その粉末の銅には、塩化第1銅、塩化第2銅、塩酸等の塩素化合物、亜酸化銅、酸化銅、水酸化銅等の酸化物あるいは塩素等の各種化合物が表面に付着し、かつ含水率も高いものとなっている。そのため回収した金属銅を例えばプリント配線板電解銅箔製造用の銅イオン供給源銅材料として再度使用するには各種の不都合があり、そのまま利用することは困難である。
【0008】
その不都合とは、具体的には、回収銅材料の表面に付着している塩素化合物が、銅めっき液中で塩素イオンとして存在し、電解時に陽極から塩素ガスが発生し、電解銅箔製造装置、例えば、陽極材、陰極材、電解槽等の設備を腐食し、損耗させる。また、発生した塩素ガスが環境を汚染させたりする等健康上も極めて有害である。さらに、銅箔の品質上の面でも銅箔面の変色あるいは腐食を与える要因となる。
【0009】
前記したとおりであるから、電析回収された金属銅をリサイクル材料として利用する際には塩素を全く含まないか、または銅箔物性に悪影響を及ぼさない程度の微量の塩素しか含まないことが要求される場合に使用することは難しかった。そのため回収された粉末金属銅から精製した高純度銅を製造する方法も既に提案されており、それには例えば特開平11−335752号公報で開示する技術がある。
【0010】
この公報に記載の方法は、(1)銅エッチング廃液を電解し陰極上に析出した塩素含有銅を回収する工程、(2)回収した塩素含有銅を高温溶融することにより脱塩素化する工程、及び(3)脱塩素化した溶融銅を水と接触させ急速冷却して粒状銅とする工程からなるものである。この方法は、前記したとおり高温溶融の工程と、急速冷却の工程を有し、エネルギー経済性の上で更なる改善の余地がある。
【0011】
さらに、製造された銅の純度あるいは歩留まりの点でも、本発明者が追試した結果によれば充分に満足できるものであるとはいい難く、これらの点でも更なる改善が望まるものであった。すなわち、平均粒径が500μmを越えるものであれば、この方法は一応有効に機能するが、平均500μm以下、特に平均100μm以下では、粒状銅中に混在する銅酸化物の残存量が多く、その結果純度も低く、歩留まりも悪いものであった。
【0012】
そのようなことで、本発明者は、この塩化第1銅、塩化第2銅等の銅の塩素化合物を少なくとも含有し、酸化銅、水酸化銅等の銅の酸化物等の各種不純物を含有しててもよい小粒径の含水した不純銅粉末から高純度銅を製造する技術を開発すべく鋭意研究開発に努め、その結果開発に成功し、その開発した高純度銅を製造する方法を既に特許出願した(特願2002−54443)。
【0013】
その製造方法は、少なくとも銅の塩素化合物を含有する平均粒径500μm以下の含水不純金属銅粉を炉内に導入し、その表面を木炭、竹炭、伐採木竹、廃木材、廃活性炭、あるいは廃プラスチック等の炭素又は炭素含有物質で覆って、1083℃以上、1300℃以下で熱処理することを特徴とするものである。本発明者は、この開発に成功した技術に基づいて含水した不純銅粉末から高純度銅の製造を開始したところ、予定通り順調に高純度銅を製造することができる場合のみでなく、時にはルツボ内には塊が形成され、その塊はルツボに付着し、ルツボを破壊しない限り取り出すことができないトラブルが発生した。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、その原因を究明すべく鋭意検討したところ、そのような現象が発生するのは、エッチング量の変動に伴って不純銅粉末の回収量が変化し、回収後直ちに高純度の銅インゴットを製造する処理を実施することができず、数日間放置された不純銅粉末を使用した場合であることが判明した。また、不純金属銅粉の平均粒径が特に小さい場合、具体的には平均粒径50μm未満の不純金属銅粉を使用した場合にも同様の現象が発現することが判明した。
【0015】
そのようなことで、本発明者は、この現象を解消することができる技術を開発すべく鋭意努力し、その結果開発に成功したのが本発明である。したがって、本発明は、塩素化合物を含有する含水した不純銅粉を回収した後数日間放置後あるいは極端に小粒径、具体的には前記不純銅粉の平均粒径が50μm未満の場合にも好適に高純度の銅インゴットを製造することができる方法を提供することを発明の課題とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、高純度銅の製造方法を提供するものであり、その製造方法は、少なくとも銅の塩素化合物を含有する平均粒径500μm以下の含水した不純金属銅粉と炭水化物とを炉内に混在させ、1083℃以上、1300℃以下で熱処理することを特徴とするものである。
【0017】
本発明の銅製造原料である、含水した不純銅粉末は、典型的には、塩酸が存在する溶液中で電解回収され、かつ電解槽から間欠的に外部に取り出されるまでは、塩酸含有電解液中に沈降堆積しているものであるから、銅粉末表面は、塩化第1銅、塩化第2銅、塩酸等の塩素化合物、水酸化銅、酸化銅等の銅の酸化物あるいは塩素等の各種不純物で覆われており、かつ含水率も約30wt%程度の高いものである。
【0018】
本発明では、このような含水不純金属銅粉を、蔗糖、澱粉等の炭水化物と共に炉内に入れて、炭水化物を含水不純金属銅粉中に分散させて、1083℃以上、1300℃以下の高温で加熱し銅粉を溶融することにより、塩素化合物を含有する含水した不純銅粉を回収した後数日間放置後あるいは極端に小粒径、具体的には前記不純銅粉の平均粒径が50μm未満の場合にも好適に高純度の銅インゴットを製造することができることを見出したのである。
【0019】
以上のとおりであるから、本発明者が開発し既に特許出願した、前記した先行開発技術である、少なくとも銅の塩素化合物を含有する平均粒径500μm以下の含水不純金属銅粉を炉内に装入し、その表面を炭素又は炭素含有物質で覆って、1083℃以上、1300℃以下で熱処理する方法では、解消することができなかった問題点を解消することができたのである。
【0020】
その先行技術においては、その明細書に記載したとおり銅粉中には還元剤も存在せず、それにもかかわらず高純度のインゴットが得られていることから、高温での加熱により水分は蒸発し、かつ銅の塩素化合物も揮発又は熱分解するものと推測している。その結果、残存する未分解の銅の塩化物あるいは酸化物等は、この揮発あるいは分解ガスの上昇によって、比重差で銅と分別され、高純度の銅インゴットが得られるものと推測している。
【0021】
本発明においても、銅粉の状態に関しては先行技術と特段差異はないので、これらの点は本発明でも同様であると推測している。それに加えて、本発明では、不純金属銅粉中に炭水化物が分散されており、この炭水化物は、炭素、水素及び酸を含有する物質であって、銅粉中の各所に分散して存在することから、高温において自燃して還元性のガスを銅粉中の各所において発生し、銅酸化物の還元を促進し、その結果回収した後数日間放置後あるいは極端に小粒径不純銅粉のように高純度の銅を製造し難い場合においても、好適に高純度の銅インゴットを製造することができるものと推測している。
【0022】
そして、このようにして得られた銅は高純度であり、塩素の含有率も低く、銅箔形成用に銅材料として利用することも可能な高純度となっている。また、その製造プロセスは、蔗糖あるいは澱粉等の炭水化物を含水不純金属銅粉中に分散されて高温加熱処理するのみであるから簡便であり、設備も簡単なものですみ、エッチング処理と同一工場内で本発明の方法を実施することも可能である。そのため塩素成分を含有し、かつ含水率が高く、その結果取扱いが難しく、運搬コストも高い、劣化エッチング液から回収された銅粉末を移動することなく処理することができるので、本発明は優れた方法である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について詳述する。
本発明の高純度銅の製造方法は、少なくとも銅の塩素化合物を含有する平均粒径500μm以下の含水した不純金属銅粉と炭水化物とを炉内に混在させ、1083℃以上、1300℃以下で熱処理することを特徴とするものである。
【0024】
原料となる含水不純金属銅粉については、電解により析出した銅を掻き落としたものに限定されるものではなく、平均粒径500μm以下のものであって、塩化第1銅、塩化第2銅等の銅の塩素化合物及び水を含有するものであれば、特に制限されることなく使用可能である。その平均粒径に関しては50μm以下、更に20μm以下の極端に小粒径のものでもあっても使用可能である。また、含水不純金属銅粉には、銅の塩素化合物以外の酸化銅あるいは水酸化銅等の各種不純物を含有しててもよい。
【0025】
このような含水不純金属銅粉には、銅張積層板をエッチングして回路導体を形成しプリント配線板を製造する際に生ずる劣化銅エッチング液を電解し、析出した銅を掻き落として回収したものが例示できる。また、同様に積層板のエッチングに使用するエッチング液であって、使用後溶解した銅を含有する劣化した塩化第2鉄エッチング液を電解して回収した含水不純金属銅粉も例示できる。これらの銅粉は回収直後のものを使用するのが好ましいが、本発明においては数日から十数日放置したものを使用しても高純度銅を製造することができる。
【0026】
本発明では、含水不純金属銅粉は、前記したとおり電解により取得したものに限定されるものではないが、電析した銅を掻き落として回収したものが好ましく使用できる。その銅粉末の回収技術は、本発明者らが開発した前記したところの特開平6−158359号公報、特開2001−107270公報、あるいは特開平11−335752号公報等に開示されており、本発明ではそれらが使用できる。
【0027】
特に、本発明で原材料として使用する含水不純金属銅粉を取得するためには、本発明者らが開発した特開平6−158359号公報に記載の隔膜を有する電解槽の構造あるいは材料等が好ましく使用できる。具体的には、電解槽、陰極、陽極、隔膜、電解処理液、操作条件等に関し、同公報に記載の事項が採用できる。なお、より具体的な操作条件に関しては、特開平11−335752号公報等に開示されており、これが使用できる。
【0028】
このようにして回収される含水不純金属銅粉は、塩化第2銅あるいは塩化第2鉄溶液等の劣化したエッチング液中で電析、掻き落とされて、電解槽から外部に取り出される。その取り出しは、間欠的に行われるので、銅粉はその間塩酸及び塩素化合物が共存する電解液中に沈降堆積している。そのため電解槽から取り出された金属銅粉には、塩化第1銅、塩化第2銅、塩酸等の塩素化合物、亜酸化銅、酸化銅、水酸化銅あるいは炭酸銅等が混入し、かつ含水率は30wt%程度の高いものとなる。
【0029】
このようにして 回収された平均粒径500μm以下のものが本発明の原材料として使用できる。この銅粉の平均粒径に関しては、前記したとおり本発明では50μm以下、更に20μm以下の極端に小粒径のものでもあっても使用可能である。また回収直後のものを使用するのが好ましいが、本発明においては数日から十数日放置したものを使用しても高純度銅を製造することができる。
【0030】
本発明の原材料となる含水不純金属銅粉については、本発明では、平均粒径500μm以下であるとするが、それは平均粒径が500μmより大きい場合には、そのまま炉内に投入し高温で熱処理しても一応高純度の銅インゴットが製造可能であり、また粒径が大きいことから洗浄も簡単で洗浄処理後加熱処理することよって高純度銅インゴットを製造することも可能であるからである。また、不純金属銅粉の含水率については、少ない方が好ましいが、特に遠心分離等により低減させる必要はなく、電解槽から取り出したものをそのまま使用することができる。さらに、金属銅粉表面に付着した不純物についても、特に水洗等により低減させる必要のないことは水分の場合と同様である。
【0031】
含水した不純金属銅粉と共に炉内に混在させる炭水化物は、炭素、水素及び酸を含有する物質であって、高温において自燃して還元性のガスを発生できるものである。この炭水化物としては、各種糖類が特に制限されることなく使用可能であり、それには、ブドウ糖、果糖等の単糖類、蔗糖、麦芽糖、乳糖等の2糖類、又は澱粉、セルロース等の多糖類などが例示できるが、取扱が容易で銅粉中に均一に分散、混合できることから等から蔗糖及び澱粉が好ましい。その炭水化物の銅粉中における含有量については、0.5〜5重量%がよく、好ましくは1〜3重量%がよい。
【0032】
そして、この炭水化物は、本発明では該銅粉中の各所に分散して存在するものであり、該銅粉中に均一に分散するのが好ましい。このように分散することにより、高温において自燃して還元性のガスを銅粉中の各所において発生し、銅酸化物の還元を促進し、その結果回収した後数日間放置後あるいは極端に小粒径不純銅粉のように高純度の銅を製造し難い場合においても、好適に高純度の銅インゴットを製造することができるものと推測している。
【0033】
本発明においても、炭水化物と共に炉内に混在する含水不純金属銅粉の表面は炭素又は炭素含有物質(以下、表面被覆材ということもある)で覆うのが好ましい。この表面被覆材としては高温加熱処理時に炉内で発生したガスを通過させることができ、かつ空気等の酸化性ガスの銅粉内への侵入を阻止することができるものであれば特に制限されることなく使用できる。
【0034】
すなわち酸化性ガスが通過しようとした際には非酸化性のガスへの転換あるいは表面被覆材と反応して捕捉し、酸化性のガスが銅粉内へ侵入することを阻止できるものであればよく、それは粉末あるいは粒状であることが好ましい。その炭素には、木炭、竹炭、あるいは廃活性炭等が例示できる。また、炭素含有物質には、伐採木竹、廃木材あるいは廃プラスチックが例示でき、廃プラスチックについては各種廃プラが制限されることなく使用でき、それには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニールアルコール等の廃棄物が例示できる。
【0035】
含水不純金属銅粉の熱処理は、1083℃以上、1300℃以下の高温で行うことを必要とし、このような高温で処理することにより、銅の酸化物、水酸化物、塩化物は、その一部は還元あるいは熱分解され、大部分は炉内で比重差により銅と分別されるものと解している。この高温での熱処理に使用する炉については、耐熱性の炉であれば、特に制限はなく使用可能であり、抵抗加熱電気炉、誘導炉、燃焼炉あるいはキルン等が使用可能であるが、誘導炉が好ましい。
【0036】
その炉に使用する耐火材料としては、本発明における含水不純金属銅粉の熱処理が、1083℃以上、1300℃以下で行うことを必要としており、その範囲で少なくとも耐火性があることが必要である。そのため耐火材料としては、クロム−マグネシア系耐火物、カーボンボンド黒鉛系耐火物等の銅あるいは銅合金用の炉材が例示できる。なお、還元を前記温度範囲で行うことを必要とするのは、銅の溶融温度が1083℃だからである。
【0037】
含水不純金属銅粉中に炭水化物を混在させるには、該銅粉炉内に導入する前に撹拌機を使用して両者を混合してもよいし、両者を炉内に導入し、その後撹拌機を使用して混合してもよく、要は両者が均一に分散できればよい。後者の場合には高価な炉材を破壊する可能性があるので、それを回避するには前者がよい。また、それらの炉内への装入は、大気開放下で行ってもよい。
【0038】
そのようにした場合には、含水不純金属銅粉の間隙に空気が残留することになるが高純度の銅インゴットを製造できる。また、表面被覆材を使用する場合には、その炉内への装入は、銅粉末上にその表面を覆うように置くのがよい。本発明では、以上のようにすることにより、銅インゴット中に銅の各種化合物又は未反応の炭素または炭素含有物質が残留することなく高純度の銅インゴットを製造できる。
【0039】
本発明において、このような高純度の銅インゴットが製造できる技術的理由については、解明できているわけではないが、一応以下のように推測している。すなわち、本発明では、少量の炭水化物を分散させた含水不純金属銅粉を炉内に入れ、高温で加熱し銅粉を溶融することにより、高純度の銅インゴットが得られている。その炭水化物の量は含水不純金属銅粉と共存する銅化合物を還元できるほどのものではなく、極少量である。
【0040】
このようなことからして、先行技術においても記載したように、温度の上昇に伴い水分が蒸発し、かつ銅の塩素化合物も揮発又は熱分解するものと推測している。その結果、残存する未分解の銅の塩化物あるいは酸化物等は、この揮発あるいは分解ガスの炉内上昇によって、比重差で銅と分別され、溶融した銅が炉底部に、未分解の酸化銅等が上部に移動し高純度の銅インゴットが得られるものと推測している。
【0041】
また、含水不純金属銅粉中に炭水化物が分散していない場合には、高純度の銅インゴットが得られず、酸化銅の混在するインゴットになり、炭水化物が分散している場合には高純度の銅が得られることから、含水不純金属銅粉中に分散する炭水化物が自燃して発生した還元性ガスが銅粉表面に残存する未還元の銅化合物の還元あるいは上方への移動に関与するものと推測している。
【0042】
そして、本発明では、含水した不純金属銅粉と炭水化物とを炉内に導入し、熱処理することにより高純度銅を製造するが、その際には炭水化物が分散した不純金属銅粉表面を炭素又は炭素含有物質で覆った場合には、高純度の銅インゴットがより好ましい態様で得られることから、炭素又は炭素含有物質は、先行技術の場合と同様に銅粉内への酸素の侵入を阻害しているものと推測している。
【0043】
また、この熱処理には、溶融助剤及び脱酸素剤を含水不純金属銅粉中に存在させることが好ましい。前者の溶融助剤は、金属銅粉表面に存在する銅よりも融点の高い酸化銅成分と共融物を作ることができ、それにより内部の銅の溶融を阻害する酸化銅の融点を低下させることができる。その結果、融点の高い酸化銅に覆われることによるインゴット中における銅粉末の溶け残りや酸化銅の塊発生を回避できる。
【0044】
このような溶融助剤としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、珪砂又は硼砂が使用できる。この溶融助剤を炭素又は炭素含有物質と併用して銅粉末上に配置して使用することもでき、その場合には、熱処理中に、銅粉末内に酸素が進入し銅を酸化することを阻止することができる。
【0045】
また、後者の脱酸素剤は、製造された銅インゴット中の酸素濃度を低減した、より高純度の銅インゴットを製造できる。その脱酸素剤として、赤燐又は燐酸が好ましく使用できる。このように脱酸素剤として、赤燐又は燐酸を使用した場合には、少量のリンを製造された高純度銅中に残存させことができ、その場合には銅めっきに再利用する際には少量のリンが含有された銅が好適であることから、特に好ましい。なお、黄燐も脱酸素能を有するが毒性が強く使用するには危険を伴う。
【0046】
【実施例】
以下に、本発明に関し、実施例及び比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、この実施例によって何等限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
【0047】
[実施例1]
銅49.1wt%、塩素8.7wt%及び水約36wt%を含む平均粒径75μmの銅粉(塩化銅水溶液を電解し、電解槽内の塩化銅水溶液と共に取り出した銅粉であって、取り出し後3日経過後のもの)3kgに澱粉50gを混合し、内容積約1800mLの黒鉛ルツボに入れて電気炉で加熱、溶融した。約3時間で炉内温度を1100℃まで昇温し、同温度に30分保持した。なお、この加熱温度は炉内空間の温度をK熱電対で測定したものである。
【0048】
加熱終了後、ルツボから中身を取り出したところ銅のインゴット1.085kgを得た。そのインゴットの成分を分析したところ、Cu>99.5wt%、塩素10mg/kgであった。他の微量不純物については、イオウ、鉄、珪素等が検出された。原料となった銅粉に含まれる銅純分の歩留まりは73.7wt%であった。
【0049】
[実施例2]
銅49.6wt%、塩素5.8wt%及び水約36wt%を含む平均粒径20μmの銅粉(塩化銅水溶液を電解し、電解槽内の塩化銅水溶液と共に取り出した銅粉であって、取り出し後3日経過後のもの)7.98kgに澱粉80g、赤燐8gを混合し、内容積約20Lの黒鉛ルツボに入れて高周波誘導炉(富士電機サーモシステムズ社製 HFT100KW/100KW/3KHZ型)で加熱、溶融した。炉内温度は、約71分間で1200℃まで昇温し、同温度に到達した直後にルツボを傾動させて熔湯を鋳型に流し込んだ。
【0050】
鋳型中で冷却し銅のインゴット3.04kgを得た。そのインゴットの成分を分析したところ、Cu>99.5wt%、塩素5mg/kg、燐0.0013%であった。他の微量不純物については、イオウ、鉄、珪素等が検出された。原料となった銅粉に含まれる銅純分の歩留まりは76.8wt%であった。
【0051】
[実施例3]
銅48.6wt%、塩素5.7wt%及び水約36wt%を含む平均粒径20μmの銅粉2kgに蔗糖40g、赤燐0.8gを混合し、内容積約1800mLの黒鉛ルツボに入れ、その上を表面被覆材である活性炭(試薬用未使用品)150gで覆うように投入した。次いでルツボを電気炉(抵抗加熱式)に装入し、約3時間で炉内温度を1200℃まで昇温し、同温度に30分保持した。
【0052】
加熱終了後、ルツボから中身を取り出したところ銅のインゴット714.5gを得た。そのインゴットの成分を分析したところ、Cu>99.5wt%、塩素14mg/kg、燐0.05%であった。他の微量不純物については、イオウ、鉄、珪素等が検出された。原料となった銅粉に含まれる銅純分の歩留まりは73.1wt%であった。
【0053】
[実施例4]
銅49.6wt%、塩素5.8wt%及び水約36wt%を含む平均粒径20μmの銅粉2.03kgに澱粉40g、赤燐0.8gを混合し、内容積約1800mLの黒鉛ルツボに入れ、その上を表面被覆材である廃活性炭150gで覆うように投入した。次いでルツボを電気炉(抵抗加熱式)に装入し、約3時間で炉内温度を1200℃まで昇温し、同温度に30分保持した。
【0054】
加熱終了後、ルツボから中身を取り出したところ銅のインゴット798.9gを得た。そのインゴットの成分を分析したところ、Cu>99.5wt%、塩素10mg/kg、燐0.035%であった。他の微量不純物については、イオウ、鉄、珪素等が検出された。原料となった銅粉に含まれる銅純分の歩留まりは78.9wt%であった。
【0055】
[実施例5]
銅45.4wt%、塩素8wt%及び水約40wt%を含む平均粒径75μmの銅粉(塩化銅水溶液を電解し、電解槽内の塩化銅水溶液と共に取り出した銅粉であって、取り出し後3日経過後のもの)3.5kgに蔗糖60g、赤燐4.5gを混合し、内容積約1800mLの黒鉛ルツボに入れ、その上を表面被覆材である廃活性炭150gで覆うように投入した。次いでルツボを電気炉(抵抗加熱式)に装入し、約3時間で炉内温度を1200℃まで昇温し、同温度に30分保持した。
【0056】
加熱終了後、ルツボから中身を取り出したところ銅のインゴット1.351kgを得た。そのインゴットの成分を分析したところ、Cu>99.5wt%、塩素10mg/kg、燐0.148%であった。他の微量不純物については、イオウ、鉄、珪素等が検出された。原料となった銅粉に含まれる銅純分の歩留まりは84.6wt%であった。
【0057】
[実施例6]
銅50.1wt%、塩素8.7wt%及び水約36wt%を含む平均粒径75μmの銅粉(塩化銅水溶液を電解し、電解槽内の塩化銅水溶液と共に取り出した銅粉であって、取り出し後3日経過後のもの)2.745kgに澱粉47g、赤燐3gを混合し、内容積約1800mLの黒鉛ルツボに入れ、その上を表面被覆材である廃活性炭で覆うように投入した。次いでルツボを電気炉(抵抗加熱式)に装入し、約3時間で炉内温度を1200℃まで昇温し、同温度に30分保持した。
【0058】
加熱終了後、ルツボから中身を取り出したところ銅のインゴット1.092kgを得た。そのインゴットの成分を分析したところ、Cu>99.5wt%、塩素12mg/kg、燐0.16%であった。他の微量不純物については、イオウ、鉄、珪素等が検出された。原料となった銅粉に含まれる銅純分の歩留まりは87.1wt%であった。
【0059】
[実施例7]
銅49.6wt%、塩素5.8wt%及び水約36wt%を含む平均粒径20μmの銅粉(塩化銅水溶液を電解し、電解槽内の塩化銅水溶液と共に取り出した銅粉であって、取り出し後3日経過後のもの)7.5kgに澱粉150g、赤燐7.5gを混合し、内容積約20Lの黒鉛ルツボに入れ、その上を表面被覆材である木炭300gで覆うように投入した。
【0060】
次いで、ルツボを高周波誘導炉(富士電機サーモシステムズ社製 HFT100KW/100KW/3KHZ型)に装入し、約43分間で炉内温度を1200℃まで昇温し、同温度に到達した直後にルツボを傾動させて熔湯を鋳型に流し込んだ。鋳型中で冷却し銅のインゴット3.26kgを得た。そのインゴットの成分を分析したところ、Cu>99.5wt%、塩素5mg/kg、燐0.063%であった。他の微量不純物については、イオウ、鉄、珪素等が検出された。原料となった銅粉に含まれる銅純分の歩留まりは87.6wt%であった。
【0061】
[比較例1]
銅48.7wt%、塩素5.8wt%及び水約36wt%を含む平均粒径20μmの銅粉2kgに、赤燐0.8gを混合し、内容積約1800mLの黒鉛ルツボに入れ、その上を表面被覆材である廃活性炭150gで覆うように投入した。次いでルツボを電気炉(抵抗加熱式)に装入し、約3時間で炉内温度を1200℃まで昇温し、同温度に30分保持した。
【0062】
加熱終了後、ルツボから中身を取り出そうとしたが、ルツボに付着して取り出すことができなかったので、破壊してインゴットを取り出した。取り出したインゴットのうち完全な熔融状態を経た金属銅は表面のみで、内部には銅粉が残存した。表面部分の金属部分を分析したところCu>99.5wt%、塩素113mg/kgであった。
【0063】
[比較例2]
銅45.4wt%、塩素8wt%及び水約40wt%を含む平均粒径75μmの銅粉(塩化銅水溶液を電解し、電解槽内の塩化銅水溶液と共に取り出した銅粉であって、取り出し後3日経過後のもの)3.5kgに赤燐4.5gを混合し、内容積約1800mLの黒鉛ルツボに入れ、その上を表面被覆材である廃活性炭150gで覆うように投入した。次いでルツボを電気炉(抵抗加熱式)に装入し、約3時間で炉内温度を1200℃まで昇温し、同温度に30分保持した。
【0064】
加熱終了後、ルツボから中身を取り出そうとしたが、ルツボに付着して取り出すことができなかったので、破壊してインゴットを取り出した。取り出したインゴットのうち完全な熔融状態を経た金属銅は表面のみで、内部には銅粉が残存した。表面部分の金属部分を分析したところCu>99.5wt%、塩素204mg/kgであった。
【0065】
[比較例3]
銅50.5wt%、塩素5.7wt%及び水約37wt%を含む平均粒径20μmの銅粉750gに炭酸ナトリウム2.1gと炭酸カリウム2.1gを混合し、内容積約380mLのシリカ−アルミナ系耐火物製のルツボに入れ、その上を表面被覆材である活性炭(試薬用未使用品)8gで覆うように投入した。次いでルツボを電気炉(抵抗加熱式)に装入し、約1.17時間で炉内温度を1200℃まで昇温し、同温度に2時間保持した。
【0066】
加熱終了後、ルツボ内には表面が暗赤色の塊が形成されており、取り出そうとしたがルツボに付着して取り出すことができなかったので、破壊して塊を取り出した。取り出した塊を分析したところ、Cu91.6wt%、塩素0.4%で、硝酸に対する不溶解成分が多量に含まれていた。
【0067】
【発明の効果】
本発明の高純度銅の製造方法は、30wt%前後の水を含有し、かつ塩化第1銅、塩化第2銅等の銅の塩素化合物を少なくとも含み、水酸化銅、酸化銅等の銅の酸化物等の各種不純物を含有していてもよい不純物に覆われている含水不純銅粉末から予め脱水することもなく、澱粉あるいは蔗糖等の炭水化物を含水不純銅粉末に分散させて、小型の炉にて高温で熱処理するだけで、高純度の銅を製造するものである。したがって、その処理は簡便であり、特殊な設備も必要としない。また、処理対象の含水不純銅粉末は、回収後数日以上経過したものでもよく、かつ平均粒径が50μm未満のものであっても処理可能である。
【0068】
そして、得られた銅は高純度であり、塩素の含有率も低く、エッチング液形成用に銅材料として利用することも可能な純度となっている。また、その処理プロセス及び設備も前記したとおり単純かつ簡単であり、エッチング工場内に、そのための設備を付設することも容易に採用可能であり。そのため塩素成分及び強酸である塩酸を含有し、かつ含水率が高く、その結果取扱いが難しく、運搬コストも高い、銅粉末を移動することなく処理することができるので、本発明は優れた方法である。

Claims (10)

  1. 少なくとも銅の塩素化合物を含有する平均粒径500μm以下の含水した不純金属銅粉と炭水化物とを炉内に混在させ、1083℃以上、1300℃以下で熱処理することを特徴とする高純度銅の製造方法。
  2. 炭水化物が糖類である請求項1に記載の高純度銅の製造方法。
  3. 糖類が単糖類又は多糖類である請求項1又は2に記載の高純度銅の製造方法。
  4. 糖類が蔗糖又は澱粉である請求項1ないし3のいずれか1に記載の高純度銅の製造方法。
  5. 炭水化物の含有量が0.5〜5重量%である請求項1ないし4のいずれか1に記載の高純度銅の製造方法。
  6. 炉内に混在する不純金属銅粉と炭水化物の表面が炭素又は炭素含有物質で覆われた状態で熱処理される請求項1ないし5のいずれか1に記載の高純度銅の製造方法。
  7. 炭素又は炭素含有物質が木炭、竹炭、伐採木竹、廃木材、廃活性炭、あるいは廃プラスチックである請求項1ないし6のいずれか1に記載の高純度銅の製造方法。
  8. 含水した不純金属銅粉が、塩化銅を含む水溶液を電解し、電極に析出した銅を掻き落としたものである請求項1ないし7のいずれか1に記載の高純度銅の製造方法。
  9. 溶融助剤として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、珪砂又は硼砂を使用する請求項1ないし8のいずれか1に記載の高純度銅の製造方法。
  10. 脱酸素剤として、赤燐又は燐酸を使用する請求項1ないし9のいずれか1に記載の高純度銅の製造方法。
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