JP2004043312A - 環状ホスホネートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性に優れた方法で、特定の構造を有する環状ホスホネートを製造する方法を提供する。
【解決手段】有機媒体の共存下、不活性雰囲気下で、ペンタエリスルトールと式(1)のホスホン酸ジハロゲン化物とを有機塩基化合物存在下で反応させて特定の環状ホスホネートを製造する方法において、ペンタエリスリトールと該ホスホン酸ジハロゲン化物との反応後の反応液に、水を添加し、上記反応で副生するハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩を水に溶解させて、この水を除去し、次いで、一価の脂肪族アルコールを添加して該環状ホスホネートを分散させ、濾過精製して環状ホスホネートを回収することを特徴とする環状ホスホネートの製造方法。
(Ar1は置換基があってもよいC6〜20のアリール基、R1〜R4はH、アリール基等、XはCl、BrまたはI。)
【選択図】 なし
【解決手段】有機媒体の共存下、不活性雰囲気下で、ペンタエリスルトールと式(1)のホスホン酸ジハロゲン化物とを有機塩基化合物存在下で反応させて特定の環状ホスホネートを製造する方法において、ペンタエリスリトールと該ホスホン酸ジハロゲン化物との反応後の反応液に、水を添加し、上記反応で副生するハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩を水に溶解させて、この水を除去し、次いで、一価の脂肪族アルコールを添加して該環状ホスホネートを分散させ、濾過精製して環状ホスホネートを回収することを特徴とする環状ホスホネートの製造方法。
(Ar1は置換基があってもよいC6〜20のアリール基、R1〜R4はH、アリール基等、XはCl、BrまたはI。)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有する環状ホスホネートの製造方法に関する。更に詳しくは、難燃剤、結晶核剤、可塑剤、酸化防止剤等の添加剤として使用でき、殊に樹脂用難燃剤として優れた効果を有する環状ホスホネートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂は、その優れた諸物性を活かし、機械部品、電気部品、自動車部品等の幅広い分野に利用されている。一方、これらの樹脂は本質的に可燃性である為、上記用途として使用するには一般の化学的、物理的諸特性のバランス以外に、火炎に対する安全性、すなわち、高度な難燃性が要求される場合が多い。
【0003】
樹脂に難燃性を付与する方法としては、難燃剤としてハロゲン系化合物、さらに難燃助剤としてアンチモン化合物を樹脂に添加する方法が一般的である。しかしながら、この方法は成形加工時あるいは燃焼時に、多量の腐食性ガスを発生させる等の問題がある。また、特に近年、製品廃棄時における環境影響等が懸念されている。そこで、ハロゲンを全く含まない難燃剤や難燃処方が強く望まれている。
【0004】
ハロゲン系難燃剤を使用しないで熱可塑性樹脂を難燃化する方法としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水和物を添加することが広く知られている。しかし、充分な難燃性を得る為には、上記金属水和物を多量に添加する必要があり、樹脂本来の特性が失われるという欠点を有していた。
【0005】
また、トリアリールリン酸エステルモノマーや縮合リン酸エステルオリゴマーの芳香族リン酸エステルも、熱可塑性樹脂に難燃性を付与するための難燃剤として頻繁に用いられてきた。しかし、トリフェニルホスフェートに代表されるトリアリールリン酸エステルモノマーは、樹脂組成物の耐熱性を著しく低下させ、かつ、揮発性が高い為に、押出し時や成形加工時にガスの発生量が多く、ハンドリング性に問題があった。さらに、この化合物は樹脂を高温に加熱するとその少なくとも一部が揮発、あるいはブリード等によって樹脂中から失われるという問題点を有していた。また、縮合リン酸エステルオリゴマーは、揮発性が改善されているものの、その多くが液体であることから、樹脂との混練には液注装置が必要となり、押出し混練時のハンドリング性に問題があった。
【0006】
一方、二置換ペンタエリスリトール環状ホスホネートは、樹脂用難燃剤を中心に種々の検討がなされている。この化合物を熱可塑性樹脂に配合することにより、熱可塑性樹脂の難燃化を達成することができる。このホスホネート化合物が配合された熱可塑性樹脂組成物は、難燃剤の配合による耐熱性、および耐衝撃性等の特性が低下することなく、しかも混練の際に化合物が揮発、あるいはブリード等により樹脂中から失われることのない特徴を有する。
【0007】
また、上記環状ホスホネートの製造法についてはいくつか開示されている。例えば、特開平5−163288号公報においては、ペンタエリスリトールとフェニルホスホン酸ジクロライドとの反応により、ジフェニルペンタエリスリトールジホスホネートを得る製造例の記載がある。米国特許4174343号明細書においては、ジエチルペンタエリスリトールジホスファイトとハロゲン化誘導体(例えばベンジルクロライド)との反応により、対応する二置換ペンタエリスリトールジホスホネートを得る製造例の記載がある。
【0008】
しかしながら、本発明の特定の構造を有する環状ホスホネートに関して、必ずしも従来通りの製造方法ではかかる目的物を高収率で回収できないという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、工業的に有利な生産性に優れた方法で、高純度、低酸価で色相に優れた特定の構造を有する環状ホスホネートの製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明者は、前記目的を達成すべく誠意検討した結果、かかる特定の製造方法および精製方法で製造することにより、特定の構造を有する環状ホスホネートが得られることを見出し、本発明に至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、有機媒体の共存下、不活性雰囲気下で、ペンタエリスルトールと下記式(1)で表される一種または二種以上のホスホン酸ジハロゲン化物とを有機塩基化合物存在下で反応させて下記式(2)で表される環状ホスホネートを製造する方法において、ペンタエリスリトールと該ホスホン酸ジハロゲン化物との反応後の反応液に、水を添加し、上記反応で副生するハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩を水に溶解させて、この水を除去し、次いで、一価の脂肪族アルコールを添加して該環状ホスホネートを分散させ、濾過精製して環状ホスホネートを回収することを特徴とする環状ホスホネートの製造方法が提供される。
【0012】
【化3】
【0013】
(式中、Ar1は炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。また、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。XはCl、BrまたはIである。)
【0014】
【化4】
【0015】
(式中、Ar2およびAr3は、同一または異なっていてもよく、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。また、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12は、それぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。)
上記環状ホスホネートとして、前記式(2)においてAr2、Ar3が、フェニル基、各種キシリル基、各種トルイル基、ジ−t−ブチルフェニル基、各種クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基等であり、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12が、水素原子、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、各種クメニル基、ジ−t−ブチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基等である化合物を挙げる事ができる。好ましくは、Ar2、Ar3がフェニル基、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12が水素原子、メチル基、フェニル基である。
【0016】
具体的には、3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(3−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(4−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(3,5−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0017】
3,9−ビス(2−(2−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(4−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0018】
3,9−ビス(2−(4−ビフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(1−ナフチル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−ナフチル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(1−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(9−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0019】
3,9−ビス(2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−メチル−2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,2−ジフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,2,2−トリフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1−フェニル−2−プロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,2−ジフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,3−ジフェニル−2−プロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1−メチル−2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0020】
3−(2−フェニルエチル)−9−(2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(2−フェニルエチル)−9−(2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。特に、3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
【0021】
本発明で用いる前記式(1)で表されるホスホン酸ジハロゲン化物の製造法は、様々な方法が知られている。合成方法の一例としては、三塩化リンを塩化アルミニウムの存在下にハロゲン化化合物と反応させ、得られた反応生成物を加水分解することによりホスホン酸ジハロゲン化物を得ることができる。別の方法としては、トリアルキルホスファイトをハロゲン化化合物と反応させホスホン酸ジエステルを合成し、これをハロゲン化することにより得ることができる。
【0022】
上記ホスホン酸ジハロゲン化物として、前記式(1)においてAr1が、フェニル基、各種キシリル基、各種トルイル基、ジ−t−ブチルフェニル基、各種クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基等であり、R1、R2、R3およびR4が、水素原子、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、各種クメニル基、ジ−t−ブチルフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基等であり、Xが、Cl、Br、Iである化合物を挙げることができる。好ましくは、Ar1がフェニル基、R1、R2、R3およびR4が水素原子、メチル基、フェニル基、XがClである。
【0023】
具体的には、2−フェニルエチルホスホン酸ジクロライド、2−(2−メチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(3−メチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(4−メチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2,4−ジメチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2,6−ジメチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(3,5−ジメチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2−tert−ブチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(4−tert−ブチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(4−ビフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(1−ナフチル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2−ナフチル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(1−アントリル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2−アントリル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(9−アントリル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−フェニルプロピルホスホン酸ジクロライド、2−メチル−2−フェニルプロピルホスホン酸ジクロライド、2,2−ジフェニルエチルホスホン酸ジクロライド、2,2,2−トリフェニルエチルホスホン酸ジクロライド、1−フェニル−2−プロピルホスホン酸ジクロライド、1,2−ジフェニルエチルホスホン酸ジクロライド、1,3−ジフェニル−2−プロピルホスホン酸ジクロライド、1−メチル−2−フェニルプロピルホスホン酸ジクロライド、2−フェニルエチルホスホン酸ジブロマイド等が挙げられる。特に、2−フェニルエチルホスホン酸ジクロライド、2−フェニルエチルホスホン酸ジブロマイドが好ましい。
【0024】
本反応において使用されるホスホン酸ジハロゲン化物のモル量は、ペンタエリスリトールのモル量に対して1.8〜2.5倍の範囲が好ましい。
【0025】
本発明において使用される有機塩基化合物は、本反応で発生するハロゲン化水素を捕捉し、ハロゲン化水素との塩を形成する化合物であり、好ましくは窒素含有有機塩基化合物が挙げられる。また、前記式(1)で表されるホスホン酸ジハロゲン化物のリン−ハロゲン原子結合と反応しない有機塩基化合物が好ましく用いられる。リン−ハロゲン原子結合と反応しない有機塩基化合物とは、例えば、窒素−水素結合及び、または酸素−水素結合を有しない有機塩基化合物である。これらの結合を有しないとは、該化合物中の窒素−水素結合及び酸素−水素結合量が5000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下しか含まれていないということである。
【0026】
この様な有機塩基化合物としては、脂肪族非環状アミン類、芳香族非環状アミン類、芳香族環状アミン類、脂肪族環状アミン類などの窒素含有有機塩基化合物が挙げられる。これらの化合物の一例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−t−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリ−n−オクチルアミン、メチルジエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、トリフェネチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N,N’,N’−テトラエチルメタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、1−メチルピロール、1−エチルピロール、1−メチルピロリジン、1−エチルピロリジン、オキサゾール、チアゾール、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール、1−メチルピラゾール、1−メチルピペリジン、1−エチルピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、N,N−ジエチル−4−アミノピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、キヌクリジン、キナゾリン、9−メチルカルバゾール、アクリジン、フェナントリジン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどが挙げられる。中でもトリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−メチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、キノリン、4−ビニルピリジンとスチレンの共重合体が好ましく、特にトリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリンが好ましい。また、上記の化合物がポリマー中に化学的に結合された化合物でもよい。例えばポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(2−ビニルピリジン)、4−ビニルピリジンとスチレンの共重合体などが挙げられる。
【0027】
本反応において使用される有機塩基化合物のモル量は、ペンタエリスリトールのモル量に対して0.1〜10倍の範囲が好ましい。さらに好ましくは、3.6〜5.0倍の範囲である。
【0028】
本発明において使用される有機媒体としては、本反応に不活性であり、水に対して任意に混合しないものが好ましい。水に対して任意に混合する有機媒体を使用した場合、反応後の混合物から前記式(2)で表される環状ホスホネートを効率的に得ることが難しくなる。
【0029】
かかる有機媒体としては、ハロゲン含有炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物が好ましい。具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等が挙げられる。中でも、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましく使用される。
【0030】
本反応では、反応系内の温度を、−20〜100℃に保つことが好ましい。
【0031】
本発明において、前記式(2)で表される環状ホスホネートを得る反応系は、不活性雰囲気下に保つことが必要である。かかる目的のためには、窒素、アルゴンらの不活性気体を反応系に流せばよい。
【0032】
本発明の環状ホスホネートは、上記反応による反応後の反応液に、水を添加して、副生するハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩を水に溶解させ、この水を除去し、次いで、一価の脂肪族アルコールを添加して、本反応により生成する環状ホスホネートを分散させ、濾過精製することにより回収することができる。
【0033】
本反応において、反応終了後の反応液に、副生するハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩が析出している場合は、濾過により除去すればよい。かかる塩が溶解している場合は、必要に応じて有機媒体を追加し希釈した後、水を添加して、かかる塩を水相に移動させ、この塩を含む水相部分を除去すればよい。また、この操作は繰り返し行うことが好ましく、これにより副生するハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩の大部分が除去される。
【0034】
一般的に、前記式(2)で表される環状ホスホネートは、本反応で使用する有機媒体に対して溶解度が低いため、本反応で副生するハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩が溶解している反応液に、水を添加して、かかる塩を水相に移動させると、本反応で生成する環状ホスホネートがその有機相から析出する。析出した固体は、ハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩および水との共存により、処理液中で粘調状になることがある。この状態に変化した場合も、水相部分はできる限り除去することが好ましい。また、その状態のままでは、析出物を効率的に濾取することができない為、水相部分を可能な限り除去した有機相に、一価の脂肪族アルコールを添加し、析出した固体を分散させ、濾過精製が行われる。
【0035】
また、本反応で副生するハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩が溶解している反応後の反応液に、水を添加しても、本反応により生成する前記式(2)で表される環状ホスホネートが析出しない場合は、分液操作により有機相と水相とを分離し、かかる有機相を濃縮した後、この濃縮物に一価の脂肪族アルコールを添加して、該環状ホスホネートを分散させ、濾過精製が行われる。
【0036】
上記、一価の脂肪族アルコールとは、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、各種ブタノール、各種ペンタノールであり、好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノールまたは2−プロパノールである。これらの溶媒は単独でもまたは混合溶媒として使用してもよい。
【0037】
本発明で得られる環状ホスホネートは、水および有機系媒体、あるいはこれらの混合物を用いて洗浄することが好ましい。水での洗浄によって、反応副生物であるハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩、およびその他水溶性の不純物を除くことができる。有機系媒体での洗浄によって、その他非水溶性の不純物を除くことができる。
【0038】
有機系媒体としては、20℃で液体である、炭化水素化合物、ハロゲン含有炭化水素化合物、窒素含有炭化水素化合物、酸素含有炭化水素化合物を挙げることができる。具体例として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、酢酸エチル、ベンゼン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。中でも、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。また、これらの媒体は、単独、あるいは二種以上混合して使用しても良い。
【0039】
さらに本発明で得られた環状ホスホネートは、前記有機系媒体を使用して、加熱洗浄することが好ましい。その際の洗浄温度は40℃〜120℃の範囲が好ましく、120℃を越える温度では、環状ホスホネートが分解する可能性があり、40℃より低い温度では、高い洗浄効果が得にくい為、洗浄を何度も繰り返すことが必要となる。
【0040】
本発明で得られる環状ホスホネートは、HPLCによる純度分析、酸価測定、色彩計による色相の分析により、その品質を確認することができる。そのHPLC純度が好ましくは95%以上である。酸価が好ましくは0.8mgKOH/g以下である。色彩計による色相の分析としては、好ましくはYI値が8以下、かつL値が85以上、a値が0.5以下、b値が4.0以下である。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。なお、評価は下記の方法で行った。
(1)リン化合物の純度
試料を、アセトニトリルと水の6:4混合溶液に溶かし、その5μlをカラムに注入した。カラムは野村化学(株)製Develosil ODS−7 300mm×4mmφを用い、カラム温度は40℃とした。検出器はUV−267nmを用いた。
(2)リン化合物の酸価
JIS−K−3504に準拠して測定を実施した。
(3)リン系化合物の色相
リン系化合物の色相は、日本電色工業(株)製分光式色彩計SE−2000を用いて、反射測定を行った。
【0042】
[実施例1]
(1)2−フェニルエチルホスホン酸ジエチルの製造
攪拌装置、攪拌翼、発生ガス捕集装置、ガス導入管、温度計を備えた5リットル三ツ口フラスコに、トリエチルホスファイト1595.1g(9.60mol)、フェネチルブロマイド1480.4g(8.00mol)を仕込み、窒素ガスを反液中に導入しながら、100℃まで加熱し、10時間攪拌した。反応が進行することにより発生する臭化エチルを、分留管、および冷却管を通して−78℃に冷却された捕集器に捕集した。反応終了後、室温まで冷却し、発生した臭化エチルと過剰分のトリエチルホスファイト、および副生したエチルホスホン酸ジエチルを、25〜150℃の温度で減圧留去し、2−フェニルエチルホスホン酸ジエチル1860.5g(7.68mol)を得た。
【0043】
(2)2−フェニルエチルホスホン酸ジクロライドの製造
攪拌装置、攪拌翼、還流冷却管、発生ガス捕集装置、ガス導入管、温度計を備えた5リットル三ツ口フラスコに、前記(1)の反応で得られた2−フェニルエチルホスホン酸ジエチル1860.5g(7.68mol)、塩化チオニル2741.1g(23.0mol)およびピリジン60.7g(0.77mol)を仕込み、窒素ガスを反応溶中に導入しながら、90℃まで加熱し、30時間攪拌した。反応が進行することにより発生する塩化エチルを、分留管、および冷却管を通して−78℃に冷却された捕集器に捕集した。反応終了後、室温まで冷却し、発生した塩化エチルと過剰分の塩化チオニルを、25〜100℃の温度で減圧留去し、2−フェニルエチルホスホン酸ジクロライド1661.6g(7.45mol)を得た。
【0044】
(3)3,9−ビス(2−フェニルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン−3,9−ジオキシドの製造
攪拌装置、攪拌翼、還流冷却管、温度計を備えた10リットル三ツ口フラスコに、前記(2)の反応で得られた2−フェニルエチルホスホン酸ジクロライド1661.6g(7.45mol)、ペンタエリスリトール494.7g(3.63mol)、ピリジン1236.0g(15.6mol)およびクロロホルム6500gを仕込み、窒素ガス気流下、60℃まで加熱し、6時間攪拌させた。反応終了後の反応液に蒸留水3Lを加え攪拌し、水相部分をデカンテーションした。さらに、蒸留水3Lを加え攪拌した後、同様に水相部分をデカンテーションした。さらに、この操作を2回繰り返した。有機相部分を40℃で減圧濃縮し、白色の濃縮物を得、続いてメタノール2.0Lを加え、スラリー化させた。吸引濾過により、この白色物を濾取した。続いて、得られた白色固体にメタノール2.0Lを加え、還流温度で攪拌させた。室温まで冷却した後、白色固体を吸引濾過により濾取した。さらにこの操作を繰り返した。得られた濾取物を、120℃で減圧乾燥して、白色固体1141.7g(2.62mol)を得た。得られた白色固体は、31P、1H NMRスペクトルにより3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンであることを確認した。本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.12mgKOH/gであった。色相はYI値=1.54、L値=95.08、a値=−0.17、b値=0.77であった。
【0045】
[比較例1]
攪拌装置、攪拌翼、還流冷却管、温度計を備えた1リットル三ツ口フラスコに、実施例と同様の方法で製造した2−フェニルエチルホスホン酸ジクロライド124.6g(0.56mol)、ペンタエリスリトール37.1g(0.27mol)、ピリジン92.7g(1.17mol)およびクロロホルム500gを仕込み、窒素ガス気流下、60℃まで加熱し、4時間攪拌させた。反応終了後の反応液を40℃で減圧濃縮し、濃縮後の残留物を塩化メチレン250mLに溶解させた。この処理液に蒸留水500mLを加え、白色物を析出させた。析出物は粘調状に変化し、これをそのまま濾過したところ、フィルター上で目詰まりが生じ、効率的に濾過ができなかった。得られた粘調状の濾取物に、メタノール150mLを加えスラリー化させ、このスラリー液を吸引濾過し、白色固体を得た。得られた白色固体にメタノール100mLを加え、還流温度で攪拌させた。室温まで冷却した後、白色固体を吸引濾過により濾取した。さらにこの操作を5回繰り返した。得られた濾取物を、120℃で減圧乾燥して、白色固体73.7g(0.17mol)を得た。得られた白色固体は、31P、1H NMRスペクトルにより3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンであることを確認した。本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.21mgKOH/gであった。色相はYI値=2.77、L値=93.64、a値=−0.30、b値=1.46であった。
【0046】
なお、この反応において、ペンタエリスリトールと2−フェニルエチルホスホン酸ジクロライドとの反応液に水を加え、そのまま濾過したことから、フィルター上で目詰まりが発生し、濾過に時間がかかり、非常に生産性に劣る方法であった。
【0047】
【発明の効果】
本発明の製造方法により特定の構造を有する環状ホスホネートが生産性良く得られ、得られた環状ホスホネートは、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、結晶核剤等の添加剤として使用でき、殊に樹脂に高度な難燃性を付与する効果が高く、樹脂用の難燃剤として好ましく使用することができる。この環状ホスホネートを配合した樹脂成形物は、高い難燃性を有しており、樹脂そのものの変性や着色性も少なく、さらには樹脂本来の耐熱性の低下を抑制することができ、OA機器、家電製品等の用途に極めて有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有する環状ホスホネートの製造方法に関する。更に詳しくは、難燃剤、結晶核剤、可塑剤、酸化防止剤等の添加剤として使用でき、殊に樹脂用難燃剤として優れた効果を有する環状ホスホネートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂は、その優れた諸物性を活かし、機械部品、電気部品、自動車部品等の幅広い分野に利用されている。一方、これらの樹脂は本質的に可燃性である為、上記用途として使用するには一般の化学的、物理的諸特性のバランス以外に、火炎に対する安全性、すなわち、高度な難燃性が要求される場合が多い。
【0003】
樹脂に難燃性を付与する方法としては、難燃剤としてハロゲン系化合物、さらに難燃助剤としてアンチモン化合物を樹脂に添加する方法が一般的である。しかしながら、この方法は成形加工時あるいは燃焼時に、多量の腐食性ガスを発生させる等の問題がある。また、特に近年、製品廃棄時における環境影響等が懸念されている。そこで、ハロゲンを全く含まない難燃剤や難燃処方が強く望まれている。
【0004】
ハロゲン系難燃剤を使用しないで熱可塑性樹脂を難燃化する方法としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水和物を添加することが広く知られている。しかし、充分な難燃性を得る為には、上記金属水和物を多量に添加する必要があり、樹脂本来の特性が失われるという欠点を有していた。
【0005】
また、トリアリールリン酸エステルモノマーや縮合リン酸エステルオリゴマーの芳香族リン酸エステルも、熱可塑性樹脂に難燃性を付与するための難燃剤として頻繁に用いられてきた。しかし、トリフェニルホスフェートに代表されるトリアリールリン酸エステルモノマーは、樹脂組成物の耐熱性を著しく低下させ、かつ、揮発性が高い為に、押出し時や成形加工時にガスの発生量が多く、ハンドリング性に問題があった。さらに、この化合物は樹脂を高温に加熱するとその少なくとも一部が揮発、あるいはブリード等によって樹脂中から失われるという問題点を有していた。また、縮合リン酸エステルオリゴマーは、揮発性が改善されているものの、その多くが液体であることから、樹脂との混練には液注装置が必要となり、押出し混練時のハンドリング性に問題があった。
【0006】
一方、二置換ペンタエリスリトール環状ホスホネートは、樹脂用難燃剤を中心に種々の検討がなされている。この化合物を熱可塑性樹脂に配合することにより、熱可塑性樹脂の難燃化を達成することができる。このホスホネート化合物が配合された熱可塑性樹脂組成物は、難燃剤の配合による耐熱性、および耐衝撃性等の特性が低下することなく、しかも混練の際に化合物が揮発、あるいはブリード等により樹脂中から失われることのない特徴を有する。
【0007】
また、上記環状ホスホネートの製造法についてはいくつか開示されている。例えば、特開平5−163288号公報においては、ペンタエリスリトールとフェニルホスホン酸ジクロライドとの反応により、ジフェニルペンタエリスリトールジホスホネートを得る製造例の記載がある。米国特許4174343号明細書においては、ジエチルペンタエリスリトールジホスファイトとハロゲン化誘導体(例えばベンジルクロライド)との反応により、対応する二置換ペンタエリスリトールジホスホネートを得る製造例の記載がある。
【0008】
しかしながら、本発明の特定の構造を有する環状ホスホネートに関して、必ずしも従来通りの製造方法ではかかる目的物を高収率で回収できないという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、工業的に有利な生産性に優れた方法で、高純度、低酸価で色相に優れた特定の構造を有する環状ホスホネートの製造方法を提供することにある。
【0010】
本発明者は、前記目的を達成すべく誠意検討した結果、かかる特定の製造方法および精製方法で製造することにより、特定の構造を有する環状ホスホネートが得られることを見出し、本発明に至った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、有機媒体の共存下、不活性雰囲気下で、ペンタエリスルトールと下記式(1)で表される一種または二種以上のホスホン酸ジハロゲン化物とを有機塩基化合物存在下で反応させて下記式(2)で表される環状ホスホネートを製造する方法において、ペンタエリスリトールと該ホスホン酸ジハロゲン化物との反応後の反応液に、水を添加し、上記反応で副生するハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩を水に溶解させて、この水を除去し、次いで、一価の脂肪族アルコールを添加して該環状ホスホネートを分散させ、濾過精製して環状ホスホネートを回収することを特徴とする環状ホスホネートの製造方法が提供される。
【0012】
【化3】
【0013】
(式中、Ar1は炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。また、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。XはCl、BrまたはIである。)
【0014】
【化4】
【0015】
(式中、Ar2およびAr3は、同一または異なっていてもよく、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。また、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12は、それぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。)
上記環状ホスホネートとして、前記式(2)においてAr2、Ar3が、フェニル基、各種キシリル基、各種トルイル基、ジ−t−ブチルフェニル基、各種クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基等であり、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12が、水素原子、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、各種クメニル基、ジ−t−ブチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基等である化合物を挙げる事ができる。好ましくは、Ar2、Ar3がフェニル基、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12が水素原子、メチル基、フェニル基である。
【0016】
具体的には、3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(3−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(4−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(3,5−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0017】
3,9−ビス(2−(2−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(4−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0018】
3,9−ビス(2−(4−ビフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(1−ナフチル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−ナフチル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(1−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(9−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0019】
3,9−ビス(2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−メチル−2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,2−ジフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,2,2−トリフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1−フェニル−2−プロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,2−ジフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,3−ジフェニル−2−プロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1−メチル−2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0020】
3−(2−フェニルエチル)−9−(2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(2−フェニルエチル)−9−(2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。特に、3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
【0021】
本発明で用いる前記式(1)で表されるホスホン酸ジハロゲン化物の製造法は、様々な方法が知られている。合成方法の一例としては、三塩化リンを塩化アルミニウムの存在下にハロゲン化化合物と反応させ、得られた反応生成物を加水分解することによりホスホン酸ジハロゲン化物を得ることができる。別の方法としては、トリアルキルホスファイトをハロゲン化化合物と反応させホスホン酸ジエステルを合成し、これをハロゲン化することにより得ることができる。
【0022】
上記ホスホン酸ジハロゲン化物として、前記式(1)においてAr1が、フェニル基、各種キシリル基、各種トルイル基、ジ−t−ブチルフェニル基、各種クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基等であり、R1、R2、R3およびR4が、水素原子、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、各種クメニル基、ジ−t−ブチルフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基等であり、Xが、Cl、Br、Iである化合物を挙げることができる。好ましくは、Ar1がフェニル基、R1、R2、R3およびR4が水素原子、メチル基、フェニル基、XがClである。
【0023】
具体的には、2−フェニルエチルホスホン酸ジクロライド、2−(2−メチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(3−メチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(4−メチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2,4−ジメチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2,6−ジメチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(3,5−ジメチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2−tert−ブチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(4−tert−ブチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(4−ビフェニル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(1−ナフチル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2−ナフチル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(1−アントリル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(2−アントリル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−(9−アントリル)エチルホスホン酸ジクロライド、2−フェニルプロピルホスホン酸ジクロライド、2−メチル−2−フェニルプロピルホスホン酸ジクロライド、2,2−ジフェニルエチルホスホン酸ジクロライド、2,2,2−トリフェニルエチルホスホン酸ジクロライド、1−フェニル−2−プロピルホスホン酸ジクロライド、1,2−ジフェニルエチルホスホン酸ジクロライド、1,3−ジフェニル−2−プロピルホスホン酸ジクロライド、1−メチル−2−フェニルプロピルホスホン酸ジクロライド、2−フェニルエチルホスホン酸ジブロマイド等が挙げられる。特に、2−フェニルエチルホスホン酸ジクロライド、2−フェニルエチルホスホン酸ジブロマイドが好ましい。
【0024】
本反応において使用されるホスホン酸ジハロゲン化物のモル量は、ペンタエリスリトールのモル量に対して1.8〜2.5倍の範囲が好ましい。
【0025】
本発明において使用される有機塩基化合物は、本反応で発生するハロゲン化水素を捕捉し、ハロゲン化水素との塩を形成する化合物であり、好ましくは窒素含有有機塩基化合物が挙げられる。また、前記式(1)で表されるホスホン酸ジハロゲン化物のリン−ハロゲン原子結合と反応しない有機塩基化合物が好ましく用いられる。リン−ハロゲン原子結合と反応しない有機塩基化合物とは、例えば、窒素−水素結合及び、または酸素−水素結合を有しない有機塩基化合物である。これらの結合を有しないとは、該化合物中の窒素−水素結合及び酸素−水素結合量が5000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは500ppm以下しか含まれていないということである。
【0026】
この様な有機塩基化合物としては、脂肪族非環状アミン類、芳香族非環状アミン類、芳香族環状アミン類、脂肪族環状アミン類などの窒素含有有機塩基化合物が挙げられる。これらの化合物の一例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−t−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリ−n−オクチルアミン、メチルジエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、トリフェニルアミン、トリベンジルアミン、トリフェネチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N,N’,N’−テトラエチルメタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ブタンジアミン、1−メチルピロール、1−エチルピロール、1−メチルピロリジン、1−エチルピロリジン、オキサゾール、チアゾール、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール、1−メチルピラゾール、1−メチルピペリジン、1−エチルピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、N,N−ジエチル−4−アミノピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン、イソキノリン、キヌクリジン、キナゾリン、9−メチルカルバゾール、アクリジン、フェナントリジン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなどが挙げられる。中でもトリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−メチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、キノリン、4−ビニルピリジンとスチレンの共重合体が好ましく、特にトリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリンが好ましい。また、上記の化合物がポリマー中に化学的に結合された化合物でもよい。例えばポリ(4−ビニルピリジン)、ポリ(2−ビニルピリジン)、4−ビニルピリジンとスチレンの共重合体などが挙げられる。
【0027】
本反応において使用される有機塩基化合物のモル量は、ペンタエリスリトールのモル量に対して0.1〜10倍の範囲が好ましい。さらに好ましくは、3.6〜5.0倍の範囲である。
【0028】
本発明において使用される有機媒体としては、本反応に不活性であり、水に対して任意に混合しないものが好ましい。水に対して任意に混合する有機媒体を使用した場合、反応後の混合物から前記式(2)で表される環状ホスホネートを効率的に得ることが難しくなる。
【0029】
かかる有機媒体としては、ハロゲン含有炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物が好ましい。具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等が挙げられる。中でも、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましく使用される。
【0030】
本反応では、反応系内の温度を、−20〜100℃に保つことが好ましい。
【0031】
本発明において、前記式(2)で表される環状ホスホネートを得る反応系は、不活性雰囲気下に保つことが必要である。かかる目的のためには、窒素、アルゴンらの不活性気体を反応系に流せばよい。
【0032】
本発明の環状ホスホネートは、上記反応による反応後の反応液に、水を添加して、副生するハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩を水に溶解させ、この水を除去し、次いで、一価の脂肪族アルコールを添加して、本反応により生成する環状ホスホネートを分散させ、濾過精製することにより回収することができる。
【0033】
本反応において、反応終了後の反応液に、副生するハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩が析出している場合は、濾過により除去すればよい。かかる塩が溶解している場合は、必要に応じて有機媒体を追加し希釈した後、水を添加して、かかる塩を水相に移動させ、この塩を含む水相部分を除去すればよい。また、この操作は繰り返し行うことが好ましく、これにより副生するハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩の大部分が除去される。
【0034】
一般的に、前記式(2)で表される環状ホスホネートは、本反応で使用する有機媒体に対して溶解度が低いため、本反応で副生するハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩が溶解している反応液に、水を添加して、かかる塩を水相に移動させると、本反応で生成する環状ホスホネートがその有機相から析出する。析出した固体は、ハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩および水との共存により、処理液中で粘調状になることがある。この状態に変化した場合も、水相部分はできる限り除去することが好ましい。また、その状態のままでは、析出物を効率的に濾取することができない為、水相部分を可能な限り除去した有機相に、一価の脂肪族アルコールを添加し、析出した固体を分散させ、濾過精製が行われる。
【0035】
また、本反応で副生するハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩が溶解している反応後の反応液に、水を添加しても、本反応により生成する前記式(2)で表される環状ホスホネートが析出しない場合は、分液操作により有機相と水相とを分離し、かかる有機相を濃縮した後、この濃縮物に一価の脂肪族アルコールを添加して、該環状ホスホネートを分散させ、濾過精製が行われる。
【0036】
上記、一価の脂肪族アルコールとは、具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、各種ブタノール、各種ペンタノールであり、好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノールまたは2−プロパノールである。これらの溶媒は単独でもまたは混合溶媒として使用してもよい。
【0037】
本発明で得られる環状ホスホネートは、水および有機系媒体、あるいはこれらの混合物を用いて洗浄することが好ましい。水での洗浄によって、反応副生物であるハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩、およびその他水溶性の不純物を除くことができる。有機系媒体での洗浄によって、その他非水溶性の不純物を除くことができる。
【0038】
有機系媒体としては、20℃で液体である、炭化水素化合物、ハロゲン含有炭化水素化合物、窒素含有炭化水素化合物、酸素含有炭化水素化合物を挙げることができる。具体例として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、酢酸エチル、ベンゼン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。中でも、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。また、これらの媒体は、単独、あるいは二種以上混合して使用しても良い。
【0039】
さらに本発明で得られた環状ホスホネートは、前記有機系媒体を使用して、加熱洗浄することが好ましい。その際の洗浄温度は40℃〜120℃の範囲が好ましく、120℃を越える温度では、環状ホスホネートが分解する可能性があり、40℃より低い温度では、高い洗浄効果が得にくい為、洗浄を何度も繰り返すことが必要となる。
【0040】
本発明で得られる環状ホスホネートは、HPLCによる純度分析、酸価測定、色彩計による色相の分析により、その品質を確認することができる。そのHPLC純度が好ましくは95%以上である。酸価が好ましくは0.8mgKOH/g以下である。色彩計による色相の分析としては、好ましくはYI値が8以下、かつL値が85以上、a値が0.5以下、b値が4.0以下である。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。なお、評価は下記の方法で行った。
(1)リン化合物の純度
試料を、アセトニトリルと水の6:4混合溶液に溶かし、その5μlをカラムに注入した。カラムは野村化学(株)製Develosil ODS−7 300mm×4mmφを用い、カラム温度は40℃とした。検出器はUV−267nmを用いた。
(2)リン化合物の酸価
JIS−K−3504に準拠して測定を実施した。
(3)リン系化合物の色相
リン系化合物の色相は、日本電色工業(株)製分光式色彩計SE−2000を用いて、反射測定を行った。
【0042】
[実施例1]
(1)2−フェニルエチルホスホン酸ジエチルの製造
攪拌装置、攪拌翼、発生ガス捕集装置、ガス導入管、温度計を備えた5リットル三ツ口フラスコに、トリエチルホスファイト1595.1g(9.60mol)、フェネチルブロマイド1480.4g(8.00mol)を仕込み、窒素ガスを反液中に導入しながら、100℃まで加熱し、10時間攪拌した。反応が進行することにより発生する臭化エチルを、分留管、および冷却管を通して−78℃に冷却された捕集器に捕集した。反応終了後、室温まで冷却し、発生した臭化エチルと過剰分のトリエチルホスファイト、および副生したエチルホスホン酸ジエチルを、25〜150℃の温度で減圧留去し、2−フェニルエチルホスホン酸ジエチル1860.5g(7.68mol)を得た。
【0043】
(2)2−フェニルエチルホスホン酸ジクロライドの製造
攪拌装置、攪拌翼、還流冷却管、発生ガス捕集装置、ガス導入管、温度計を備えた5リットル三ツ口フラスコに、前記(1)の反応で得られた2−フェニルエチルホスホン酸ジエチル1860.5g(7.68mol)、塩化チオニル2741.1g(23.0mol)およびピリジン60.7g(0.77mol)を仕込み、窒素ガスを反応溶中に導入しながら、90℃まで加熱し、30時間攪拌した。反応が進行することにより発生する塩化エチルを、分留管、および冷却管を通して−78℃に冷却された捕集器に捕集した。反応終了後、室温まで冷却し、発生した塩化エチルと過剰分の塩化チオニルを、25〜100℃の温度で減圧留去し、2−フェニルエチルホスホン酸ジクロライド1661.6g(7.45mol)を得た。
【0044】
(3)3,9−ビス(2−フェニルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン−3,9−ジオキシドの製造
攪拌装置、攪拌翼、還流冷却管、温度計を備えた10リットル三ツ口フラスコに、前記(2)の反応で得られた2−フェニルエチルホスホン酸ジクロライド1661.6g(7.45mol)、ペンタエリスリトール494.7g(3.63mol)、ピリジン1236.0g(15.6mol)およびクロロホルム6500gを仕込み、窒素ガス気流下、60℃まで加熱し、6時間攪拌させた。反応終了後の反応液に蒸留水3Lを加え攪拌し、水相部分をデカンテーションした。さらに、蒸留水3Lを加え攪拌した後、同様に水相部分をデカンテーションした。さらに、この操作を2回繰り返した。有機相部分を40℃で減圧濃縮し、白色の濃縮物を得、続いてメタノール2.0Lを加え、スラリー化させた。吸引濾過により、この白色物を濾取した。続いて、得られた白色固体にメタノール2.0Lを加え、還流温度で攪拌させた。室温まで冷却した後、白色固体を吸引濾過により濾取した。さらにこの操作を繰り返した。得られた濾取物を、120℃で減圧乾燥して、白色固体1141.7g(2.62mol)を得た。得られた白色固体は、31P、1H NMRスペクトルにより3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンであることを確認した。本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.12mgKOH/gであった。色相はYI値=1.54、L値=95.08、a値=−0.17、b値=0.77であった。
【0045】
[比較例1]
攪拌装置、攪拌翼、還流冷却管、温度計を備えた1リットル三ツ口フラスコに、実施例と同様の方法で製造した2−フェニルエチルホスホン酸ジクロライド124.6g(0.56mol)、ペンタエリスリトール37.1g(0.27mol)、ピリジン92.7g(1.17mol)およびクロロホルム500gを仕込み、窒素ガス気流下、60℃まで加熱し、4時間攪拌させた。反応終了後の反応液を40℃で減圧濃縮し、濃縮後の残留物を塩化メチレン250mLに溶解させた。この処理液に蒸留水500mLを加え、白色物を析出させた。析出物は粘調状に変化し、これをそのまま濾過したところ、フィルター上で目詰まりが生じ、効率的に濾過ができなかった。得られた粘調状の濾取物に、メタノール150mLを加えスラリー化させ、このスラリー液を吸引濾過し、白色固体を得た。得られた白色固体にメタノール100mLを加え、還流温度で攪拌させた。室温まで冷却した後、白色固体を吸引濾過により濾取した。さらにこの操作を5回繰り返した。得られた濾取物を、120℃で減圧乾燥して、白色固体73.7g(0.17mol)を得た。得られた白色固体は、31P、1H NMRスペクトルにより3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンであることを確認した。本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.21mgKOH/gであった。色相はYI値=2.77、L値=93.64、a値=−0.30、b値=1.46であった。
【0046】
なお、この反応において、ペンタエリスリトールと2−フェニルエチルホスホン酸ジクロライドとの反応液に水を加え、そのまま濾過したことから、フィルター上で目詰まりが発生し、濾過に時間がかかり、非常に生産性に劣る方法であった。
【0047】
【発明の効果】
本発明の製造方法により特定の構造を有する環状ホスホネートが生産性良く得られ、得られた環状ホスホネートは、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、結晶核剤等の添加剤として使用でき、殊に樹脂に高度な難燃性を付与する効果が高く、樹脂用の難燃剤として好ましく使用することができる。この環状ホスホネートを配合した樹脂成形物は、高い難燃性を有しており、樹脂そのものの変性や着色性も少なく、さらには樹脂本来の耐熱性の低下を抑制することができ、OA機器、家電製品等の用途に極めて有用である。
Claims (8)
- 有機媒体の共存下、不活性雰囲気下で、ペンタエリスルトールと下記式(1)で表される一種または二種以上のホスホン酸ジハロゲン化物とを有機塩基化合物存在下で反応させて下記式(2)で表される環状ホスホネートを製造する方法において、ペンタエリスリトールと該ホスホン酸ジハロゲン化物との反応後の反応液に、水を添加し、上記反応で副生するハロゲン化水素と有機塩基化合物とからなる塩を水に溶解させて、この水を除去し、次いで、一価の脂肪族アルコールを添加して該環状ホスホネートを分散させ、濾過精製して環状ホスホネートを回収することを特徴とする環状ホスホネートの製造方法。
(式中、Ar1は炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。また、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。XはCl、BrまたはIである。)
(式中、Ar2およびAr3は、同一または異なっていてもよく、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。また、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12は、それぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。) - 請求項1において、有機媒体がハロゲン含有炭化水素化合物または芳香族炭化水素化合物である請求項1記載の環状ホスホネートの製造方法。
- 請求項1において、有機塩基化合物が窒素含有有機塩基化合物である請求項1記載の環状ホスホネートの製造方法。
- 請求項1において、有機塩基化合物が、ピリジン、トリエチルアミンおよびN,N−ジメチルアニリンからなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物である請求項1記載の環状ホスホネートの製造方法。
- 請求項1において、一価の脂肪族アルコールが、メタノール、エタノール、1−プロパノールおよび2−プロパノールからなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物である請求項1記載の環状ホスホネートの製造方法。
- 前記式(1)で表される環状ホスホネートは、その純度が95%以上である請求項1記載の環状ホスホネートの製造方法。
- 前記式(1)で表される環状ホスホネートは、その1g当りのKOH対応の酸価が0.8mgKOH/g以下である請求項1記載の環状ホスホネートの製造方法。
- 前記式(1)で表される環状ホスホネートは、そのYI値が8以下であり、かつL値が85以上、a値が0.5以下、b値が4.0以下である請求項1記載の環状ホスホネートの製造方法。
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Cited By (2)
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|---|---|---|---|---|
| KR100782933B1 (ko) * | 2005-05-30 | 2007-12-06 | 허봉식 | 감귤 과일의 과즙과 과육을 이용한 제주 전통 감귤 엿 제조방법 |
| CN102199172A (zh) * | 2010-03-24 | 2011-09-28 | 金凯美(大连)医药科技有限公司 | 一种1-取代亚磷酰二氯的制备方法 |
-
2002
- 2002-07-04 JP JP2002195719A patent/JP2004043312A/ja active Pending
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