JP2004035470A - 環状ホスホネートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】生産性に優れた方法で、特定の構造を有する環状ホスホネートを製造する方法を提供する。
【解決手段】下記式(1)で示される環状ホスホネート(好適には3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン等)を製造する方法において、特定の金属含有スピロ環状リン系化合物と、特定のハロゲン化アラルキル化合物とを反応させる。
(Ar1,Ar2は、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基で、R1〜R8は、水素原子もしくは炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、または炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基。)
【選択図】 なし
【解決手段】下記式(1)で示される環状ホスホネート(好適には3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン等)を製造する方法において、特定の金属含有スピロ環状リン系化合物と、特定のハロゲン化アラルキル化合物とを反応させる。
(Ar1,Ar2は、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基で、R1〜R8は、水素原子もしくは炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、または炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基。)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有する環状ホスホネートの製造方法に関する。更に詳しくは、難燃剤、結晶核剤、可塑剤、酸化防止剤等の添加剤として使用でき、殊に樹脂用難燃剤として優れた効果を有する環状ホスホネートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂は、その優れた諸物性を活かし、機械部品、電気部品、自動車部品等の幅広い分野に利用されている。一方、これらの樹脂は本質的に可燃性である為、上記用途として使用するには一般の化学的、物理的諸特性のバランス以外に、火炎に対する安全性、すなわち、高度な難燃性が要求される場合が多い。
【0003】
樹脂に難燃性を付与する方法としては、難燃剤としてハロゲン系化合物、さらに難燃助剤としてアンチモン化合物を樹脂に添加する方法が一般的である。しかしながら、この方法は成形加工時あるいは燃焼時に、多量の腐食性ガスを発生させる等の問題がある。また、特に近年、製品廃棄時における環境影響等が懸念されている。そこで、ハロゲンを全く含まない難燃剤や難燃処方が強く望まれている。
【0004】
ハロゲン系難燃剤を使用しないで熱可塑性樹脂を難燃化する方法としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水和物を添加することが広く知られている。しかし、充分な難燃性を得る為には、上記金属水和物を多量に添加する必要があり、樹脂本来の特性が失われるという欠点を有していた。
【0005】
また、トリアリールリン酸エステルモノマーや縮合リン酸エステルオリゴマーの芳香族リン酸エステルも、熱可塑性樹脂に難燃性を付与するための難燃剤として頻繁に用いられてきた。しかし、トリフェニルホスフェートに代表されるトリアリールリン酸エステルモノマーは、樹脂組成物の耐熱性を著しく低下させ、かつ、揮発性が高い為に、押出し時や成形加工時にガスの発生量が多く、ハンドリング性に問題があった。さらに、この化合物は樹脂を高温に加熱するとその少なくとも一部が揮発、あるいはブリード等によって樹脂中から失われるという問題点を有していた。また、縮合リン酸エステルオリゴマーは、揮発性が改善されているものの、その多くが液体であることから、樹脂との混練には液注装置が必要となり、押出し混練時のハンドリング性に問題があった。
【0006】
一方、特定の構造を有する環状ホスホネートは、樹脂用難燃剤を中心に種々の検討がなされている。この化合物を熱可塑性樹脂に配合することにより、熱可塑性樹脂の難燃化を達成することができる。このホスホネート化合物が配合された熱可塑性樹脂組成物は、難燃剤の配合による耐熱性、および耐衝撃性等の特性が低下することなく、しかも混練の際に化合物が揮発、あるいはブリード等により樹脂中から失われることのない特徴を有する。
【0007】
また、上記環状ホスホネートの製造法についてはいくつか開示されている。例えば、特開平5−163288号公報においては、ペンタエリスリトールとフェニルホスホン酸ジクロライドとの反応により、ジフェニルペンタエリスリトールジホスホネートを得る製造例の記載がある。米国特許4174343号明細書においては、ジエチルペンタエリスリトールジホスファイトとハロゲン化誘導体(例えばベンジルクロライド)との反応により、対応する環状ホスホネートを得る製造例の記載がある。
【0008】
しかしながら、本発明の特定の構造を有する環状ホスホネートに関して、必ずしも従来通りの製造方法ではかかる目的物を高収率で回収できないという問題があった。また、上記特許でも製造法の詳細が記述されておらず、実施例での反応収率、および、純度についての記載もなく工業的な見地から、種々問題を内在していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、工業的に有利な生産性に優れた方法で、特定の構造を有する環状ホスホネートを製造する方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、高純度、低酸価、色相に優れ、残留揮発物が少なく、全残留ハロゲン分およびイオン性のハロゲン分の残留量が少ない環状ホスホネートを製造する方法を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、得られた環状ホスホネートを樹脂に添加した際に、難燃性、熱安定性、色相、着色性が良好で、押出成形の際に発煙がなく、成形加工時に金型汚染のない樹脂組成物を提供することにある。
【0012】
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の製造法及び精製法で得られたペンタエリスリトールジホスホネートが、樹脂に対して高度な難燃性を付与することができると同時に各種樹脂物性に悪影響を与えない事を見出し、本発明に至った。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、下記式(1)で示される環状ホスホネートを製造する方法において、下記式(2)で示される化合物と、下記式(3)で示される化合物とを反応させることを特徴とする環状ホスホネートの製造方法に関する。
【0014】
【化4】
【0015】
(式中、Ar1およびAr2は、同一または異なっていてもよく、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。また、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子もしくは炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、または炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。)
【0016】
【化5】
【0017】
(式中、Mはアルカリ金属である。)
【0018】
【化6】
【0019】
(式中、Ar3は炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。また、R9、R10、R11およびR12はそれぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子もしくは炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。XはClまたはBr、Iである。)
【0020】
上記環状ホスホネートとして、前記式(1)においてAr1、Ar2が、フェニル基、各種キシリル基、各種トルイル基、ジ−t−ブチルフェニル基、各種クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基等であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8が、水素原子、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、各種クメニル基、ジ−t−ブチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基等である化合物を挙げる事ができる。好ましくは、Ar1、Ar2が、フェニル基、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8が、水素原子、メチル基、フェニル基である。
【0021】
具体的には、3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(3−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(4−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(3,5−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0022】
3,9−ビス(2−(2−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(4−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0023】
3,9−ビス(2−(4−ビフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(1−ナフチル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−ナフチル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(1−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(9−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0024】
3,9−ビス(2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−メチル−2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,2−ジフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,2,2−トリフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1−フェニル−2−プロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,2−ジフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,3−ジフェニル−2−プロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1−メチル−2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0025】
3−(2−フェニルエチル)−9−(2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(2−フェニルエチル)−9−(2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。特に、3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
【0026】
本発明で用いる前記式(2)で示される化合物の製造法に関しては、様々な方法が知られている。合成方法の一例としては、ペンタエリスリトールと三塩化リンとの反応生成物に、tert−ブタノールを反応させ、ジヒドロ環状ホスホネートを合成し、該化合物とナトリウムメトキシドとを反応させることで製造することが可能である。
【0027】
上記化合物としては、一般式(2)において、MがNaあるいはK等のアルカリ金属である化合物が挙げられる。特に、MがNaであることが好ましい。
【0028】
本発明で用いる前記式(3)で示される化合物としては、式中Ar3が、フェニル基、各種キシリル基、各種トルイル基、ジ−t−ブチルフェニル基、各種クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基等であり、R9、R10、R11およびR12が、水素原子、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、各種クメニル基、ジ−t−ブチルフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基等であり、Xが、Cl、Br、Iである化合物を挙げることができる。好ましくは、Ar3がフェニル基、R9、R10、R11およびR12が水素原子、メチル基、XがBrである。
【0029】
具体的には、2−フェニルエチルブロマイド、2−(2−メチルフェニル)エチルブロマイド、2−(3−メチルフェニル)エチルブロマイド、2−(4−メチルフェニル)エチルブロマイド、2−(2,4−ジメチルフェニル)エチルブロマイド、2−(2,6−ジメチルフェニル)エチルブロマイド、2−(3,5−ジメチルフェニル)エチルブロマイド、2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチルブロマイド、2−(2−tert−ブチルフェニル)エチルブロマイド、2−(4−tert−ブチルフェニル)エチルブロマイド、2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチルブロマイド、2−(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)エチルブロマイド、2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)エチルブロマイド、2−(4−ビフェニル)エチルブロマイド、2−(1−ナフチル)エチルブロマイド、2−(2−ナフチル)エチルブロマイド、2−(1−アントリル)エチルブロマイド、2−(2−アントリル)エチルブロマイド、2−(9−アントリル)エチルブロマイド、2−フェニルプロピルブロマイド、2−メチル−2−フェニルプロピルブロマイド、2,2−ジフェニルエチルブロマイド、2,2,2−トリフェニルエチルブロマイド、1−フェニル−2−プロピルブロマイド、1,2−ジフェニルエチルブロマイド、1,3−ジフェニル−2−プロピルブロマイド、1−メチル−2−フェニルプロピルブロマイドを挙げることが出来る。特に、2−フェニルエチルブロマイドが好ましい。
【0030】
本発明の前記式(1)で示される環状ホスホネートは、前記式(2)で示される化合物と、前記式(3)で示される化合物とを、有機媒体で希釈して、通常は−20〜100℃の温度条件下で、30分間から100時間、不活性雰囲気下で反応させて得ることができる。
【0031】
本反応において使用される一般式(3)で示される化合物のモル量は、一般式(2)で示される化合物のモル量に対して1.8〜3.0倍の範囲が好ましい。より好ましくは、1.9〜2.1倍の範囲である。該モル量の範囲より少ない場合には、一般式(2)で示される化合物の反応点において、未反応部分の割合が大きくなり、目的物の反応選択率が低下する。該モル量の範囲より多い場合には、反応後混合物から過剰分の一般式(3)の化合物を除去する精製工程での負担が大きくなる。
【0032】
本反応においては、反応に不活性で、かつ安定である有機媒体を使用してもよい。有機媒体を使用することにより、一般式(2)の化合物が該媒体中に溶解、もしくは分散し、攪拌の負荷が大幅に軽減できる。さらに、反応温度の制御が容易となり、高い反応選択率で目的物を得ることができる利点がある。
【0033】
有機媒体としては、具体例として、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、酢酸エチル、ベンゼン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等が挙げられる。好ましくは、ジオキサン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドであり、特に、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。これらの媒体は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。
【0034】
媒体の使用量としては、通常、前記式(2)で示される化合物のモル量に対して、1〜100倍のモル量の範囲である。好ましくは5〜50倍のモル量の範囲であり、更に好ましくは10〜30倍のモル量の範囲である。多量に使用すると、反応容器当たりの目的物の回収量が少なくなり、生産効率が低下する。また、少なすぎる場合、十分な攪拌ができず、さらに温度制御も困難となる為、目的物の反応選択率が低下する。
【0035】
本発明の前記式(1)で示される環状ホスホネートは、前記式(2)で示される化合物と、前記式(3)で示される化合物との反応により製造され、この時の反応温度は、特に限定はしないが、通常、−20〜100℃の範囲であり、好ましくは−10〜60℃の範囲であり、更に好ましくは0〜30℃の範囲である。反応温度が−20℃より低い場合には、反応速度が著しく低下し、生産効率に劣る。また、反応温度が100℃より高い場合には、副反応を促進し、目的物の反応選択率が低下する可能性がある。
【0036】
本発明の前記式(1)で示される環状ホスホネートは、前記式(2)で示される化合物と、前記式(3)で示される化合物との反応により製造され、この時の反応時間は、反応基質により反応性が異なる場合があり限定はされないが、通常、30分間から10時間の範囲で行われる。反応時間が30分間未満では、未反応物が残る可能性があり、また、反応系の温度制御が困難である。また、反応時間が10時間を超える場合には、生産効率に劣る。
【0037】
本発明において、前記式(1)で示される環状ホスホネートを製造する反応は、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。不活性雰囲気下とは、本発明で用いる反応基質が変性することの無い状態のことである。具体的に例を挙げると、反応系内を窒素、またはアルゴン等の不活性ガスで置換した後、該不活性ガス気流下で反応を行う方法である。酸素、または水が共存する場合には、これらに由来する副生成物が生じ、目的物の反応選択率が低下する場合がある。また、水分の影響から、かかる不活性ガスは、乾燥したものであることが好ましい。
【0038】
本発明において、反応系中の水分量は、5000ppm以下が好ましい。より好ましくは3000ppm以下であり、更に好ましくは1000ppm以下である。該水分量が多い場合には、前記式(2)で示される化合物と水との反応に由来する副生成物が生じ、目的物の反応選択率が低下する。
【0039】
本反応においては、前記式(2)で示される化合物と有機媒体を調製した反応系内に、前記式(3)で示される化合物を添加することで反応を開始してもよい。前記式(3)で示される化合物が20℃で固体の場合は、有機媒体で希釈して、添加してもよい。この時の添加時間は、15分間から10時間の範囲であることが好ましい。更に好ましくは、30分間から6時間である。添加時間が短い場合には、反応温度を制御することが困難である。また、添加時間が長い場合には、生産効率に劣る。但し、反応基質により反応性は異なる為、必ずしもこの範囲である必要はない。
【0040】
本発明で得られる環状ホスホネートは、水および有機系媒体、あるいはこれらの混合物を用いて洗浄することが好ましい。水での洗浄によって、反応副生物である金属塩を除くことができ、有機系媒体での洗浄によって、その他非水溶性の不純物を除くことができる。
【0041】
有機系媒体としては、20℃で液体であるアルコール系化合物、炭化水素系化合物、塩素含有化合物、窒素含有化合物または酸素含有化合物を挙げることができる。
【0042】
具体例として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、酢酸エチル、ベンゼン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。中でも、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましく、さらにメタノール、エタノール、2−プロパノール、塩化メチレンまたはN,N−ジメチルホルムアミドが好ましく、特にメタノールが好ましい。また、これらの媒体は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。
【0043】
さらに本発明で得られた環状ホスホネートは、前記有機系媒体を使用して、加熱洗浄することにより、効率的に、高純度のものを得ることができる。その際の洗浄温度は50℃〜120℃の範囲である。120℃をこえる温度では、環状ホスホネートが分解する可能性がある。一方、50℃より低い温度では、高い洗浄効果が得にくい為、洗浄を何度も繰り返すことが必要となり、生産効率の点で劣る。
【0044】
かかる有機系媒体としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミドを挙げるができる。これらの媒体は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。経済的観点、操作性の観点から、メタノールが特に好ましい。上記精製方法を採用することにより、粉末状の環状ホスホネートは鱗片状の結晶となり、乾燥性に優れたものとなる。
【0045】
本発明で得られる環状ホスホネートは、HPLCによる純度分析、酸価測定、色彩計による色相の分析、残留揮発物、およ残留ハロゲン分の含有量の分析により、その品質を確認することができる。そのHPLC純度は好ましくは95%以上である。酸価は好ましくは0.7mgKOH/g以下である。色彩計による色相の分析としては、YI値が8以下、かつL値が85以上、a値が0.5以下、b値が4.0以下が好ましい。また、残留揮発分の含有量は5000ppm以下が好ましい。さらに、全残留ハロゲン分の含有量は3000ppm以下が好ましく、イオン性のハロゲン分の含有量は1000ppm以下が好ましい。
【0046】
本発明における製造方法で、前記式(1)で示される環状ホスホネートを製造した場合、目的とする環状ホスホネートは、生産性良く、かつ高品質のものとして得ることができる。このようにして得た高品質の環状ホスホネートを樹脂に配合したものは、その成形品の熱安定性は高く、色相も良好であり、また、押出混練時の発煙性、成形時の金型汚染はなく、安定した難燃性を発現した。すなわち、実用的見地からも非常に有用であると言える。
【0047】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。なお、評価は下記の方法で行った。
(1)リン化合物の純度
試料を、アセトニトリルと水の6:4混合溶液に溶かし、その5μlをカラムに注入した。カラムは野村化学(株)製Develosil ODS−7 300mm×4mmφを用い、カラム温度は40℃とした。検出器はUV−267nmを用いた。
【0048】
(2)リン化合物の酸価
JIS−K−3504に準拠して測定を実施した。
【0049】
(3)リン系化合物の色相
リン系化合物の色相は、日本電色工業(株)製分光式色彩計SE−2000を用いて、反射測定を行った。
【0050】
(4)リン系化合物の残留揮発分測定
リン系化合物を200℃の熱風乾燥機にて1時間処理を行った。処理後のリン系化合物の重量を測定し、次式により残留揮発分(△T)を求めた。
ΔT={(T1−T2)/T1}×106(ppm)
T1;処理前の重量(g)
T2;処理後の重量(g)
【0051】
(5)リン化合物の全残留ハロゲン分測定
炭酸カリウム法により測定を行った。
【0052】
(6)リン化合物のイオン性残留ハロゲン分測定
Dionex Series2000i/PS(イオンクロマトグラフ)を用いて測定を行った。分離カラムはDionexHPIC−AS4Aを用いた。溶離液として1mMのNa2CO3−NaHCO3水溶液を用い、再生液として0.025Nの硫酸を用いた。流速2ml/min、圧力700psiで測定を行った。
サンプル調製は、200mlの塩化メチレンに0.5gのリン化合物を加え、加熱溶解させた後に、1mlの超純水による抽出処理を2回繰り返した。
イオン性残留ハロゲン分はイオンクロマトグラフの結果と、NaBrによる検量線から求めた。
【0053】
(7)熱安定性(MVRの変化率)
MVRはISO−1133に準拠して測定を実施した。
尚、ABS、PCに関しては250℃、2.2kg荷重の条件で、PS、PBTに関しては230℃、3.8kg荷重の条件で測定を行った。
熱安定性の評価は、ペレットを130℃で24時間処理し、処理前後のペレットのMVRを上記MVR条件で測定し、次式によりその変化率(ΔY)を求めた。
ΔY=(|Y2−Y1|)×100(%)
Y1;処理前のMVR(cm3/10min)
Y2;処理後のMVR(cm3/10min)
ΔYが99%以上のもの:○
ΔYが95%以上98%未満のもの:△
ΔYが95%未満のもの:×
【0054】
(8)成形品の色相
押出混練にて得られたペレットから、色見本板を射出成形しその色相について目視で判定した。判定基準は下記の基準で行った。
色相良好:○
色見本板に若干ヤケが観られるもの:△
色見本板にヤケが観られるもの:×
【0055】
(9)樹脂組成物の着色性
樹脂組成物の押出混練時に着色剤としてタイオキサイド製RTC−30を樹脂成分100重量部に対して0.5重量部添加し、得られた樹脂組成物の色見本板を射出成形した。得られた色見本板の色相を日本電色工業(株)製分光式色彩計SE−2000を用いて、反射測定を行い、リン化合物を添加しない組成物との△Eによって着色性の判定を行った。判定基準は下記の基準で行った。
△Eが1.0未満のもの:○
△Eが1.0以上のもの:×
【0056】
(10)押出混練時の発煙量
押出混練時にノズルからの発煙量について、目視で判定を行った。
発煙なし:○
発煙量小:△
発煙量大:×
【0057】
(11)金型汚染
樹脂組成物の色見本板成形を500Shot行った後の金型汚染を、目視にて判定を行った。
金型汚染なし:○
金型汚染小:△
金型汚染大:×
【0058】
(12)難燃性(UL−94評価)
難燃性は厚さ1/16インチ(1.6mm)のテストピースを用い、難燃性の評価尺度として、米国UL規格のUL−94に規定されている垂直燃焼試験に準じて評価を行った。どの試験片も炎を取り去った後の燃焼が10秒以内で消火し、且つ、滴下物が無い又は滴下物が綿着火をおこさないものがV−0、燃焼が30秒以内で消火し、且つ、滴下物が綿着火をおこすものがV−2であり、この評価基準以下のものをnotVとした。
【0059】
[調製例1]3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンの合成
滴下漏斗、撹拌翼、還流冷却管、窒素注入口を取り付けた10Lの反応容器に、窒素雰囲気下、ペンタエリスリトール816.9g(6.00モル)、ピリジン19.0g(0.24モル)、トルエン2250.4g(24.4モル)を加えた。室温で滴下漏斗より三塩化リン1651.8g(12.0モル)を滴下し、そのまま1時間攪拌した。その後60℃に加熱し1時間攪拌した後、室温まで放冷し、3,9−ジクロロ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンを合成した。発生する塩化水素は、還流冷却管を通して反応系外の水酸化ナトリウム水溶液に吸収させた。続いて、該反応容器に、窒素雰囲気下、塩化メチレン3180.0g(37.4モル)を加え、滴下漏斗からtert−ブタノール889.4g(12.0モル)と塩化メチレン150.2g(1.77モル)の混合溶液を10℃以下に保ちながら滴下した。tert−ブタノールのトルエン溶液の滴下により反応系は白濁し、白色沈殿が生じた。そのまま1時間撹拌を続けた後、反応混合物をグラスフィルターを用いて濾取し、グラスフィルター上の白色固体を塩化メチレンで洗浄し濾取することにより、3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンを含む白色固体を得た。
【0060】
[調製例2]3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンの3,9−ジナトリウム塩の合成
撹拌翼、還流冷却管、窒素注入口を取り付けた10Lの反応容器に、窒素雰囲気下、調整例1で得た3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンを含む白色固体を加え、N,N−ジメチルホルムアミド6608.0g(90.4モル)を加えた。粉末漏斗からナトリウムメトキシド648.2g(12.0モル)を10℃以下に保ちながら加えた。ナトリウムメトキシドの添加により反応系は白濁し、白色沈殿が生じた。そのまま1.5時間攪拌を続けた後、50℃で3時間、減圧濃縮し、塩化メチレン1700gを加えた後、反応混合物をグラスフィルターを用いて濾取し、グラスフィルター上の白色固体を塩化メチレンで洗浄し濾取した。得られた白色固体を、室温で減圧乾燥し、さらに80℃で真空乾燥させることにより、3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンの3,9−ジナトリウム塩(以下、化合物(A)と称する)を得た。31P NMR純度は96%であった。
【0061】
[実施例1]
滴下漏斗、撹拌翼、還流冷却管、窒素注入口を取り付けた3Lの反応容器に、調整例2で得た化合物(A)217.6g(0.80モル)、N,N−ジメチルホルムアミド877.2g(12.0モル)を加えた。該反応液に、滴下漏斗から2−フェニルエチルブロマイド296.1g(1.60モル)を20℃以下に保ちながら滴下し、そのまま2時間攪拌した。70℃で4時間減圧濃縮し、蒸留水1200gを加えた。反応混合物から析出した白色固体をグラスフィルターを用いて濾取し、さらにこの白色固体を蒸留水1200gで洗浄し濾取した。続いて、得られた白色固体にメタノール300gを用いて2回洗浄し濾取した。さらに、得られた白色固体にメタノール600gを加え、2時間還流させた。室温まで冷却の後、結晶を濾過により分離し、メタノール300gで洗浄し濾別した。得られた濾取物を120℃で減圧乾燥して、白色の鱗片状結晶293.2g(0.67モル)を得た。得られた結晶は31P、1H NMRスペクトルおよび元素分析により3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンであることを確認した。31P NMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.03mgKOH/gであった。色相はYI値=1.08、L値=95.95、a値=−0.17、b値=0.53であった。残留揮発物量は400ppmであった。全残留ハロゲン分は120ppm、イオン性残留ハロゲン分は41ppmであった。
【0062】
1H−NMR(CDCl3,300MHz):δ7.1−7.4(m,10H),3.85−4.65(m,8H),2.90−3.05(m,4H),2.1−2.3(m,4H)、31P−NMR(CDCl3,120MHz):δ31.5(S)、融点:245−246℃、元素分析 計算値:C,57.80;H,6.01、測定値:C,58.00;H,6.07
【0063】
[参考例1]
滴下漏斗、撹拌翼、還流冷却管、窒素注入口を取り付けた3Lの反応容器に、調整例2で得た化合物(A)217.6g(0.80モル)、N,N−ジメチルホルムアミド877.2g(12.0モル)を加えた。該反応液に、滴下漏斗から2−フェニルエチルブロマイド296.1g(1.60モル)を20℃以下に保ちながら滴下し、そのまま2時間攪拌した。70℃で4時間減圧濃縮し、析出した白色物をグラスフィルターを用いて濾取した。得られた濾取物を、水で洗浄し、120℃で減圧乾燥した。得られた固体は、31P、1H NMRスペクトルにより3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンであることを確認した。本文記載の方法で測定したHPLC純度は95%であった。酸価は1.3mgKOH/gであった。色相はYI値=0.51、L値=87.41、a値=1.16、b値=−0.32であった。残留揮発物量は5700ppmであった。全残留ハロゲン分は4380ppm、イオン性残留ハロゲン分は410ppmであった。
【0064】
また、表1記載の各成分を表1記載の量(重量部)でタンブラーにて配合し、15mmφ二軸押出機(テクノベル製、KZW15)にてペレット化し、乾燥したペレットを射出成形機((株)日本製鋼所製 J75Si)にて成形し評価した。その結果を表1に示した。
なお、表中の各成分は以下に示した。
【0065】
(イ)樹脂成分
▲1▼ABS樹脂(日本エイアンドエル(株)製サンタックUT−61、以下ABSと称する)
▲2▼耐衝撃性ポリスチレン(エー・アンド・エムスチレン(株)製スタイロンH9152、以下PSと称する)
▲3▼芳香族ポリエステル(帝人(株)製テイジンPBT TRB−H、以下PEstと称する)
▲4▼ポリカーボネート(帝人化成(株)製パンライトL−1225WP、以下PCと称する)
【0066】
(ロ)有機リン化合物
▲1▼実施例1で合成した3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン(以下、FR−1と称する)
▲2▼参考例1で合成した3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン(以下、FR−2と称する)
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】
本発明の製造方法で得られる環状ホスホネートは、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、結晶核剤等の添加剤として使用でき、殊に樹脂に高度の難燃性を付与する効果が高く、樹脂用の難燃剤として好ましく使用することができる。さらに、本発明の環状ホスホネートを配合した樹脂成形品は、樹脂そのものの変性や着色を抑制することができ、実用的見地からも非常に有用であると言える。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有する環状ホスホネートの製造方法に関する。更に詳しくは、難燃剤、結晶核剤、可塑剤、酸化防止剤等の添加剤として使用でき、殊に樹脂用難燃剤として優れた効果を有する環状ホスホネートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂は、その優れた諸物性を活かし、機械部品、電気部品、自動車部品等の幅広い分野に利用されている。一方、これらの樹脂は本質的に可燃性である為、上記用途として使用するには一般の化学的、物理的諸特性のバランス以外に、火炎に対する安全性、すなわち、高度な難燃性が要求される場合が多い。
【0003】
樹脂に難燃性を付与する方法としては、難燃剤としてハロゲン系化合物、さらに難燃助剤としてアンチモン化合物を樹脂に添加する方法が一般的である。しかしながら、この方法は成形加工時あるいは燃焼時に、多量の腐食性ガスを発生させる等の問題がある。また、特に近年、製品廃棄時における環境影響等が懸念されている。そこで、ハロゲンを全く含まない難燃剤や難燃処方が強く望まれている。
【0004】
ハロゲン系難燃剤を使用しないで熱可塑性樹脂を難燃化する方法としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水和物を添加することが広く知られている。しかし、充分な難燃性を得る為には、上記金属水和物を多量に添加する必要があり、樹脂本来の特性が失われるという欠点を有していた。
【0005】
また、トリアリールリン酸エステルモノマーや縮合リン酸エステルオリゴマーの芳香族リン酸エステルも、熱可塑性樹脂に難燃性を付与するための難燃剤として頻繁に用いられてきた。しかし、トリフェニルホスフェートに代表されるトリアリールリン酸エステルモノマーは、樹脂組成物の耐熱性を著しく低下させ、かつ、揮発性が高い為に、押出し時や成形加工時にガスの発生量が多く、ハンドリング性に問題があった。さらに、この化合物は樹脂を高温に加熱するとその少なくとも一部が揮発、あるいはブリード等によって樹脂中から失われるという問題点を有していた。また、縮合リン酸エステルオリゴマーは、揮発性が改善されているものの、その多くが液体であることから、樹脂との混練には液注装置が必要となり、押出し混練時のハンドリング性に問題があった。
【0006】
一方、特定の構造を有する環状ホスホネートは、樹脂用難燃剤を中心に種々の検討がなされている。この化合物を熱可塑性樹脂に配合することにより、熱可塑性樹脂の難燃化を達成することができる。このホスホネート化合物が配合された熱可塑性樹脂組成物は、難燃剤の配合による耐熱性、および耐衝撃性等の特性が低下することなく、しかも混練の際に化合物が揮発、あるいはブリード等により樹脂中から失われることのない特徴を有する。
【0007】
また、上記環状ホスホネートの製造法についてはいくつか開示されている。例えば、特開平5−163288号公報においては、ペンタエリスリトールとフェニルホスホン酸ジクロライドとの反応により、ジフェニルペンタエリスリトールジホスホネートを得る製造例の記載がある。米国特許4174343号明細書においては、ジエチルペンタエリスリトールジホスファイトとハロゲン化誘導体(例えばベンジルクロライド)との反応により、対応する環状ホスホネートを得る製造例の記載がある。
【0008】
しかしながら、本発明の特定の構造を有する環状ホスホネートに関して、必ずしも従来通りの製造方法ではかかる目的物を高収率で回収できないという問題があった。また、上記特許でも製造法の詳細が記述されておらず、実施例での反応収率、および、純度についての記載もなく工業的な見地から、種々問題を内在していた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、工業的に有利な生産性に優れた方法で、特定の構造を有する環状ホスホネートを製造する方法を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、高純度、低酸価、色相に優れ、残留揮発物が少なく、全残留ハロゲン分およびイオン性のハロゲン分の残留量が少ない環状ホスホネートを製造する方法を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、得られた環状ホスホネートを樹脂に添加した際に、難燃性、熱安定性、色相、着色性が良好で、押出成形の際に発煙がなく、成形加工時に金型汚染のない樹脂組成物を提供することにある。
【0012】
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の製造法及び精製法で得られたペンタエリスリトールジホスホネートが、樹脂に対して高度な難燃性を付与することができると同時に各種樹脂物性に悪影響を与えない事を見出し、本発明に至った。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、下記式(1)で示される環状ホスホネートを製造する方法において、下記式(2)で示される化合物と、下記式(3)で示される化合物とを反応させることを特徴とする環状ホスホネートの製造方法に関する。
【0014】
【化4】
【0015】
(式中、Ar1およびAr2は、同一または異なっていてもよく、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。また、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子もしくは炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、または炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。)
【0016】
【化5】
【0017】
(式中、Mはアルカリ金属である。)
【0018】
【化6】
【0019】
(式中、Ar3は炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。また、R9、R10、R11およびR12はそれぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子もしくは炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。XはClまたはBr、Iである。)
【0020】
上記環状ホスホネートとして、前記式(1)においてAr1、Ar2が、フェニル基、各種キシリル基、各種トルイル基、ジ−t−ブチルフェニル基、各種クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基等であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8が、水素原子、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、各種クメニル基、ジ−t−ブチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基等である化合物を挙げる事ができる。好ましくは、Ar1、Ar2が、フェニル基、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8が、水素原子、メチル基、フェニル基である。
【0021】
具体的には、3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(3−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(4−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(3,5−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0022】
3,9−ビス(2−(2−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(4−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0023】
3,9−ビス(2−(4−ビフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(1−ナフチル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−ナフチル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(1−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(9−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0024】
3,9−ビス(2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−メチル−2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,2−ジフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,2,2−トリフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1−フェニル−2−プロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,2−ジフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,3−ジフェニル−2−プロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1−メチル−2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0025】
3−(2−フェニルエチル)−9−(2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(2−フェニルエチル)−9−(2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。特に、3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
【0026】
本発明で用いる前記式(2)で示される化合物の製造法に関しては、様々な方法が知られている。合成方法の一例としては、ペンタエリスリトールと三塩化リンとの反応生成物に、tert−ブタノールを反応させ、ジヒドロ環状ホスホネートを合成し、該化合物とナトリウムメトキシドとを反応させることで製造することが可能である。
【0027】
上記化合物としては、一般式(2)において、MがNaあるいはK等のアルカリ金属である化合物が挙げられる。特に、MがNaであることが好ましい。
【0028】
本発明で用いる前記式(3)で示される化合物としては、式中Ar3が、フェニル基、各種キシリル基、各種トルイル基、ジ−t−ブチルフェニル基、各種クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基等であり、R9、R10、R11およびR12が、水素原子、メチル基、エチル基、各種プロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、各種クメニル基、ジ−t−ブチルフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基等であり、Xが、Cl、Br、Iである化合物を挙げることができる。好ましくは、Ar3がフェニル基、R9、R10、R11およびR12が水素原子、メチル基、XがBrである。
【0029】
具体的には、2−フェニルエチルブロマイド、2−(2−メチルフェニル)エチルブロマイド、2−(3−メチルフェニル)エチルブロマイド、2−(4−メチルフェニル)エチルブロマイド、2−(2,4−ジメチルフェニル)エチルブロマイド、2−(2,6−ジメチルフェニル)エチルブロマイド、2−(3,5−ジメチルフェニル)エチルブロマイド、2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチルブロマイド、2−(2−tert−ブチルフェニル)エチルブロマイド、2−(4−tert−ブチルフェニル)エチルブロマイド、2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチルブロマイド、2−(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)エチルブロマイド、2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)エチルブロマイド、2−(4−ビフェニル)エチルブロマイド、2−(1−ナフチル)エチルブロマイド、2−(2−ナフチル)エチルブロマイド、2−(1−アントリル)エチルブロマイド、2−(2−アントリル)エチルブロマイド、2−(9−アントリル)エチルブロマイド、2−フェニルプロピルブロマイド、2−メチル−2−フェニルプロピルブロマイド、2,2−ジフェニルエチルブロマイド、2,2,2−トリフェニルエチルブロマイド、1−フェニル−2−プロピルブロマイド、1,2−ジフェニルエチルブロマイド、1,3−ジフェニル−2−プロピルブロマイド、1−メチル−2−フェニルプロピルブロマイドを挙げることが出来る。特に、2−フェニルエチルブロマイドが好ましい。
【0030】
本発明の前記式(1)で示される環状ホスホネートは、前記式(2)で示される化合物と、前記式(3)で示される化合物とを、有機媒体で希釈して、通常は−20〜100℃の温度条件下で、30分間から100時間、不活性雰囲気下で反応させて得ることができる。
【0031】
本反応において使用される一般式(3)で示される化合物のモル量は、一般式(2)で示される化合物のモル量に対して1.8〜3.0倍の範囲が好ましい。より好ましくは、1.9〜2.1倍の範囲である。該モル量の範囲より少ない場合には、一般式(2)で示される化合物の反応点において、未反応部分の割合が大きくなり、目的物の反応選択率が低下する。該モル量の範囲より多い場合には、反応後混合物から過剰分の一般式(3)の化合物を除去する精製工程での負担が大きくなる。
【0032】
本反応においては、反応に不活性で、かつ安定である有機媒体を使用してもよい。有機媒体を使用することにより、一般式(2)の化合物が該媒体中に溶解、もしくは分散し、攪拌の負荷が大幅に軽減できる。さらに、反応温度の制御が容易となり、高い反応選択率で目的物を得ることができる利点がある。
【0033】
有機媒体としては、具体例として、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、酢酸エチル、ベンゼン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等が挙げられる。好ましくは、ジオキサン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドであり、特に、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましい。これらの媒体は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。
【0034】
媒体の使用量としては、通常、前記式(2)で示される化合物のモル量に対して、1〜100倍のモル量の範囲である。好ましくは5〜50倍のモル量の範囲であり、更に好ましくは10〜30倍のモル量の範囲である。多量に使用すると、反応容器当たりの目的物の回収量が少なくなり、生産効率が低下する。また、少なすぎる場合、十分な攪拌ができず、さらに温度制御も困難となる為、目的物の反応選択率が低下する。
【0035】
本発明の前記式(1)で示される環状ホスホネートは、前記式(2)で示される化合物と、前記式(3)で示される化合物との反応により製造され、この時の反応温度は、特に限定はしないが、通常、−20〜100℃の範囲であり、好ましくは−10〜60℃の範囲であり、更に好ましくは0〜30℃の範囲である。反応温度が−20℃より低い場合には、反応速度が著しく低下し、生産効率に劣る。また、反応温度が100℃より高い場合には、副反応を促進し、目的物の反応選択率が低下する可能性がある。
【0036】
本発明の前記式(1)で示される環状ホスホネートは、前記式(2)で示される化合物と、前記式(3)で示される化合物との反応により製造され、この時の反応時間は、反応基質により反応性が異なる場合があり限定はされないが、通常、30分間から10時間の範囲で行われる。反応時間が30分間未満では、未反応物が残る可能性があり、また、反応系の温度制御が困難である。また、反応時間が10時間を超える場合には、生産効率に劣る。
【0037】
本発明において、前記式(1)で示される環状ホスホネートを製造する反応は、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。不活性雰囲気下とは、本発明で用いる反応基質が変性することの無い状態のことである。具体的に例を挙げると、反応系内を窒素、またはアルゴン等の不活性ガスで置換した後、該不活性ガス気流下で反応を行う方法である。酸素、または水が共存する場合には、これらに由来する副生成物が生じ、目的物の反応選択率が低下する場合がある。また、水分の影響から、かかる不活性ガスは、乾燥したものであることが好ましい。
【0038】
本発明において、反応系中の水分量は、5000ppm以下が好ましい。より好ましくは3000ppm以下であり、更に好ましくは1000ppm以下である。該水分量が多い場合には、前記式(2)で示される化合物と水との反応に由来する副生成物が生じ、目的物の反応選択率が低下する。
【0039】
本反応においては、前記式(2)で示される化合物と有機媒体を調製した反応系内に、前記式(3)で示される化合物を添加することで反応を開始してもよい。前記式(3)で示される化合物が20℃で固体の場合は、有機媒体で希釈して、添加してもよい。この時の添加時間は、15分間から10時間の範囲であることが好ましい。更に好ましくは、30分間から6時間である。添加時間が短い場合には、反応温度を制御することが困難である。また、添加時間が長い場合には、生産効率に劣る。但し、反応基質により反応性は異なる為、必ずしもこの範囲である必要はない。
【0040】
本発明で得られる環状ホスホネートは、水および有機系媒体、あるいはこれらの混合物を用いて洗浄することが好ましい。水での洗浄によって、反応副生物である金属塩を除くことができ、有機系媒体での洗浄によって、その他非水溶性の不純物を除くことができる。
【0041】
有機系媒体としては、20℃で液体であるアルコール系化合物、炭化水素系化合物、塩素含有化合物、窒素含有化合物または酸素含有化合物を挙げることができる。
【0042】
具体例として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、酢酸エチル、ベンゼン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。中でも、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ジオキサン、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミドが好ましく、さらにメタノール、エタノール、2−プロパノール、塩化メチレンまたはN,N−ジメチルホルムアミドが好ましく、特にメタノールが好ましい。また、これらの媒体は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。
【0043】
さらに本発明で得られた環状ホスホネートは、前記有機系媒体を使用して、加熱洗浄することにより、効率的に、高純度のものを得ることができる。その際の洗浄温度は50℃〜120℃の範囲である。120℃をこえる温度では、環状ホスホネートが分解する可能性がある。一方、50℃より低い温度では、高い洗浄効果が得にくい為、洗浄を何度も繰り返すことが必要となり、生産効率の点で劣る。
【0044】
かかる有機系媒体としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミドを挙げるができる。これらの媒体は、単独、あるいは2種以上混合して使用しても良い。経済的観点、操作性の観点から、メタノールが特に好ましい。上記精製方法を採用することにより、粉末状の環状ホスホネートは鱗片状の結晶となり、乾燥性に優れたものとなる。
【0045】
本発明で得られる環状ホスホネートは、HPLCによる純度分析、酸価測定、色彩計による色相の分析、残留揮発物、およ残留ハロゲン分の含有量の分析により、その品質を確認することができる。そのHPLC純度は好ましくは95%以上である。酸価は好ましくは0.7mgKOH/g以下である。色彩計による色相の分析としては、YI値が8以下、かつL値が85以上、a値が0.5以下、b値が4.0以下が好ましい。また、残留揮発分の含有量は5000ppm以下が好ましい。さらに、全残留ハロゲン分の含有量は3000ppm以下が好ましく、イオン性のハロゲン分の含有量は1000ppm以下が好ましい。
【0046】
本発明における製造方法で、前記式(1)で示される環状ホスホネートを製造した場合、目的とする環状ホスホネートは、生産性良く、かつ高品質のものとして得ることができる。このようにして得た高品質の環状ホスホネートを樹脂に配合したものは、その成形品の熱安定性は高く、色相も良好であり、また、押出混練時の発煙性、成形時の金型汚染はなく、安定した難燃性を発現した。すなわち、実用的見地からも非常に有用であると言える。
【0047】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。なお、評価は下記の方法で行った。
(1)リン化合物の純度
試料を、アセトニトリルと水の6:4混合溶液に溶かし、その5μlをカラムに注入した。カラムは野村化学(株)製Develosil ODS−7 300mm×4mmφを用い、カラム温度は40℃とした。検出器はUV−267nmを用いた。
【0048】
(2)リン化合物の酸価
JIS−K−3504に準拠して測定を実施した。
【0049】
(3)リン系化合物の色相
リン系化合物の色相は、日本電色工業(株)製分光式色彩計SE−2000を用いて、反射測定を行った。
【0050】
(4)リン系化合物の残留揮発分測定
リン系化合物を200℃の熱風乾燥機にて1時間処理を行った。処理後のリン系化合物の重量を測定し、次式により残留揮発分(△T)を求めた。
ΔT={(T1−T2)/T1}×106(ppm)
T1;処理前の重量(g)
T2;処理後の重量(g)
【0051】
(5)リン化合物の全残留ハロゲン分測定
炭酸カリウム法により測定を行った。
【0052】
(6)リン化合物のイオン性残留ハロゲン分測定
Dionex Series2000i/PS(イオンクロマトグラフ)を用いて測定を行った。分離カラムはDionexHPIC−AS4Aを用いた。溶離液として1mMのNa2CO3−NaHCO3水溶液を用い、再生液として0.025Nの硫酸を用いた。流速2ml/min、圧力700psiで測定を行った。
サンプル調製は、200mlの塩化メチレンに0.5gのリン化合物を加え、加熱溶解させた後に、1mlの超純水による抽出処理を2回繰り返した。
イオン性残留ハロゲン分はイオンクロマトグラフの結果と、NaBrによる検量線から求めた。
【0053】
(7)熱安定性(MVRの変化率)
MVRはISO−1133に準拠して測定を実施した。
尚、ABS、PCに関しては250℃、2.2kg荷重の条件で、PS、PBTに関しては230℃、3.8kg荷重の条件で測定を行った。
熱安定性の評価は、ペレットを130℃で24時間処理し、処理前後のペレットのMVRを上記MVR条件で測定し、次式によりその変化率(ΔY)を求めた。
ΔY=(|Y2−Y1|)×100(%)
Y1;処理前のMVR(cm3/10min)
Y2;処理後のMVR(cm3/10min)
ΔYが99%以上のもの:○
ΔYが95%以上98%未満のもの:△
ΔYが95%未満のもの:×
【0054】
(8)成形品の色相
押出混練にて得られたペレットから、色見本板を射出成形しその色相について目視で判定した。判定基準は下記の基準で行った。
色相良好:○
色見本板に若干ヤケが観られるもの:△
色見本板にヤケが観られるもの:×
【0055】
(9)樹脂組成物の着色性
樹脂組成物の押出混練時に着色剤としてタイオキサイド製RTC−30を樹脂成分100重量部に対して0.5重量部添加し、得られた樹脂組成物の色見本板を射出成形した。得られた色見本板の色相を日本電色工業(株)製分光式色彩計SE−2000を用いて、反射測定を行い、リン化合物を添加しない組成物との△Eによって着色性の判定を行った。判定基準は下記の基準で行った。
△Eが1.0未満のもの:○
△Eが1.0以上のもの:×
【0056】
(10)押出混練時の発煙量
押出混練時にノズルからの発煙量について、目視で判定を行った。
発煙なし:○
発煙量小:△
発煙量大:×
【0057】
(11)金型汚染
樹脂組成物の色見本板成形を500Shot行った後の金型汚染を、目視にて判定を行った。
金型汚染なし:○
金型汚染小:△
金型汚染大:×
【0058】
(12)難燃性(UL−94評価)
難燃性は厚さ1/16インチ(1.6mm)のテストピースを用い、難燃性の評価尺度として、米国UL規格のUL−94に規定されている垂直燃焼試験に準じて評価を行った。どの試験片も炎を取り去った後の燃焼が10秒以内で消火し、且つ、滴下物が無い又は滴下物が綿着火をおこさないものがV−0、燃焼が30秒以内で消火し、且つ、滴下物が綿着火をおこすものがV−2であり、この評価基準以下のものをnotVとした。
【0059】
[調製例1]3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンの合成
滴下漏斗、撹拌翼、還流冷却管、窒素注入口を取り付けた10Lの反応容器に、窒素雰囲気下、ペンタエリスリトール816.9g(6.00モル)、ピリジン19.0g(0.24モル)、トルエン2250.4g(24.4モル)を加えた。室温で滴下漏斗より三塩化リン1651.8g(12.0モル)を滴下し、そのまま1時間攪拌した。その後60℃に加熱し1時間攪拌した後、室温まで放冷し、3,9−ジクロロ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンを合成した。発生する塩化水素は、還流冷却管を通して反応系外の水酸化ナトリウム水溶液に吸収させた。続いて、該反応容器に、窒素雰囲気下、塩化メチレン3180.0g(37.4モル)を加え、滴下漏斗からtert−ブタノール889.4g(12.0モル)と塩化メチレン150.2g(1.77モル)の混合溶液を10℃以下に保ちながら滴下した。tert−ブタノールのトルエン溶液の滴下により反応系は白濁し、白色沈殿が生じた。そのまま1時間撹拌を続けた後、反応混合物をグラスフィルターを用いて濾取し、グラスフィルター上の白色固体を塩化メチレンで洗浄し濾取することにより、3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンを含む白色固体を得た。
【0060】
[調製例2]3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンの3,9−ジナトリウム塩の合成
撹拌翼、還流冷却管、窒素注入口を取り付けた10Lの反応容器に、窒素雰囲気下、調整例1で得た3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンを含む白色固体を加え、N,N−ジメチルホルムアミド6608.0g(90.4モル)を加えた。粉末漏斗からナトリウムメトキシド648.2g(12.0モル)を10℃以下に保ちながら加えた。ナトリウムメトキシドの添加により反応系は白濁し、白色沈殿が生じた。そのまま1.5時間攪拌を続けた後、50℃で3時間、減圧濃縮し、塩化メチレン1700gを加えた後、反応混合物をグラスフィルターを用いて濾取し、グラスフィルター上の白色固体を塩化メチレンで洗浄し濾取した。得られた白色固体を、室温で減圧乾燥し、さらに80℃で真空乾燥させることにより、3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンの3,9−ジナトリウム塩(以下、化合物(A)と称する)を得た。31P NMR純度は96%であった。
【0061】
[実施例1]
滴下漏斗、撹拌翼、還流冷却管、窒素注入口を取り付けた3Lの反応容器に、調整例2で得た化合物(A)217.6g(0.80モル)、N,N−ジメチルホルムアミド877.2g(12.0モル)を加えた。該反応液に、滴下漏斗から2−フェニルエチルブロマイド296.1g(1.60モル)を20℃以下に保ちながら滴下し、そのまま2時間攪拌した。70℃で4時間減圧濃縮し、蒸留水1200gを加えた。反応混合物から析出した白色固体をグラスフィルターを用いて濾取し、さらにこの白色固体を蒸留水1200gで洗浄し濾取した。続いて、得られた白色固体にメタノール300gを用いて2回洗浄し濾取した。さらに、得られた白色固体にメタノール600gを加え、2時間還流させた。室温まで冷却の後、結晶を濾過により分離し、メタノール300gで洗浄し濾別した。得られた濾取物を120℃で減圧乾燥して、白色の鱗片状結晶293.2g(0.67モル)を得た。得られた結晶は31P、1H NMRスペクトルおよび元素分析により3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンであることを確認した。31P NMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定したHPLC純度は99%であった。酸価は0.03mgKOH/gであった。色相はYI値=1.08、L値=95.95、a値=−0.17、b値=0.53であった。残留揮発物量は400ppmであった。全残留ハロゲン分は120ppm、イオン性残留ハロゲン分は41ppmであった。
【0062】
1H−NMR(CDCl3,300MHz):δ7.1−7.4(m,10H),3.85−4.65(m,8H),2.90−3.05(m,4H),2.1−2.3(m,4H)、31P−NMR(CDCl3,120MHz):δ31.5(S)、融点:245−246℃、元素分析 計算値:C,57.80;H,6.01、測定値:C,58.00;H,6.07
【0063】
[参考例1]
滴下漏斗、撹拌翼、還流冷却管、窒素注入口を取り付けた3Lの反応容器に、調整例2で得た化合物(A)217.6g(0.80モル)、N,N−ジメチルホルムアミド877.2g(12.0モル)を加えた。該反応液に、滴下漏斗から2−フェニルエチルブロマイド296.1g(1.60モル)を20℃以下に保ちながら滴下し、そのまま2時間攪拌した。70℃で4時間減圧濃縮し、析出した白色物をグラスフィルターを用いて濾取した。得られた濾取物を、水で洗浄し、120℃で減圧乾燥した。得られた固体は、31P、1H NMRスペクトルにより3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンであることを確認した。本文記載の方法で測定したHPLC純度は95%であった。酸価は1.3mgKOH/gであった。色相はYI値=0.51、L値=87.41、a値=1.16、b値=−0.32であった。残留揮発物量は5700ppmであった。全残留ハロゲン分は4380ppm、イオン性残留ハロゲン分は410ppmであった。
【0064】
また、表1記載の各成分を表1記載の量(重量部)でタンブラーにて配合し、15mmφ二軸押出機(テクノベル製、KZW15)にてペレット化し、乾燥したペレットを射出成形機((株)日本製鋼所製 J75Si)にて成形し評価した。その結果を表1に示した。
なお、表中の各成分は以下に示した。
【0065】
(イ)樹脂成分
▲1▼ABS樹脂(日本エイアンドエル(株)製サンタックUT−61、以下ABSと称する)
▲2▼耐衝撃性ポリスチレン(エー・アンド・エムスチレン(株)製スタイロンH9152、以下PSと称する)
▲3▼芳香族ポリエステル(帝人(株)製テイジンPBT TRB−H、以下PEstと称する)
▲4▼ポリカーボネート(帝人化成(株)製パンライトL−1225WP、以下PCと称する)
【0066】
(ロ)有機リン化合物
▲1▼実施例1で合成した3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン(以下、FR−1と称する)
▲2▼参考例1で合成した3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン(以下、FR−2と称する)
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】
本発明の製造方法で得られる環状ホスホネートは、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、結晶核剤等の添加剤として使用でき、殊に樹脂に高度の難燃性を付与する効果が高く、樹脂用の難燃剤として好ましく使用することができる。さらに、本発明の環状ホスホネートを配合した樹脂成形品は、樹脂そのものの変性や着色を抑制することができ、実用的見地からも非常に有用であると言える。
Claims (11)
- 下記式(1)で示される環状ホスホネートを製造する方法において、下記式(2)で示される化合物と、下記式(3)で示される化合物とを反応させることを特徴とする環状ホスホネートの製造方法。
(式中、Ar1およびAr2は、同一または異なっていてもよく、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。また、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子もしくは炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、または炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。)
(式中、Mはアルカリ金属である。)
(式中、Ar3は炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。また、R9、R10、R11およびR12はそれぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子もしくは炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。XはClまたはBr、Iである。) - 請求項1において、前記式(2)で示される化合物のモル量に対して、前記式(3)で示される化合物を1.8〜3.0倍のモル量の範囲で反応させる請求項1記載の環状ホスホネートの製造方法。
- 請求項1において、反応により得られた前記式(1)で示される環状ホスホネートを、さらに水および有機系媒体、あるいはこれらの混合物で洗浄する請求項1記載の環状ホスホネートの製造方法。
- 請求項3において、有機系媒体が20℃で液体であるアルコール系化合物、炭化水素系化合物、塩素含有化合物、窒素含有化合物および酸素含有化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項3記載の環状ホスホネートの製造方法。
- 請求項3において、有機系媒体がメタノール、エタノール、2−プロパノール、塩化メチレンおよびN,N−ジメチルホルムアミドからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である請求項3記載の環状ホスホネートの製造方法。
- 請求項3において、得られた環状ホスホネートを有機系媒体を用いて、50℃〜120℃の範囲の温度で洗浄する請求項3記載の環状ホスホネートの製造方法。
- 環状ホスホネートは、その純度が95%以上である請求項1記載の環状ホスホネートの製造方法。
- 環状ホスホネートは、該環状ホスホネート1g当たりのKOH対応の酸価が0.7mgKOH/g以下である請求項1記載の環状ホスホネートの製造方法。
- 環状ホスホネートは、該環状ホスホネートのYI値が8以下であり、かつL値が85以上、a値が0.5以下、b値が4.0以下である請求項1記載の環状ホスホネートの製造方法。
- 環状ホスホネートは、該環状ホスホネート中の残留揮発物の含有量が5000ppm以下である請求項1記載の環状ホスホネートの製造方法。
- 環状ホスホネートは、該環状ホスホネート中の全残留ハロゲン分が3000ppm以下であり、イオン性のハロゲン分が1000ppm以下である請求項1記載の環状ホスホネートの製造方法。
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|---|---|---|---|---|
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-
2002
- 2002-07-03 JP JP2002194718A patent/JP2004035470A/ja active Pending
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