JP2004018383A - 環状ホスホネート化合物 - Google Patents
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Abstract
【課題】工業的に有利な生産性に優れた方法により、樹脂に混合した際に大きな問題であるハロゲン系ガス発生、或いはそれに起因するヤケ現象の如き耐熱性を向上させ、かつ高度に難燃性を付与することができる残留ハロゲン分の低い特性を保有するペンタエリスリトールジホスホネート化合物を提供する。
【解決手段】特定の環状ホスホネート化合物であって、該化合物の全残留ハロゲン分が3000ppm以下であり、イオン性のハロゲン分が1000ppm以下であることを特徴とする環状ホスホネート化合物。
【選択図】 なし
【解決手段】特定の環状ホスホネート化合物であって、該化合物の全残留ハロゲン分が3000ppm以下であり、イオン性のハロゲン分が1000ppm以下であることを特徴とする環状ホスホネート化合物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有するペンタエリスリトールジホスホネート化合物に関する。更に詳しくは、難燃剤、結晶核剤、可塑剤等の添加剤として使用でき、殊に樹脂用難燃剤として優れた効果を有する新規なペンタエリスリトールジホスホネート化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂は、その優れた諸物性を活かし、機械部品、電気部品、自動車部品等の幅広い分野に利用されている。一方、これらの樹脂は本質的に可燃性である為、上記用途として使用するには一般の化学的、物理的諸特性のバランス以外に、火炎に対する安全性、すなわち、高度な難燃性が要求される場合が多い。
【0003】
樹脂に難燃性を付与する方法としては、難燃剤としてハロゲン系化合物、さらに難燃助剤としてアンチモン化合物を樹脂に添加する方法が一般的である。しかしながら、この方法は成形加工時あるいは燃焼時に、多量の腐食性ガスを発生させる等の問題がある。また、特に近年、製品廃棄時における環境影響等が懸念されている。そこで、ハロゲンを全く含まない難燃剤や難燃処方が強く望まれている。
【0004】
ハロゲン系難燃剤を使用しないで熱可塑性樹脂を難燃化する方法としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水和物を添加することが広く知られている。しかし、充分な難燃性を得る為には、上記金属水和物を多量に添加する必要があり、樹脂本来の特性が失われるという欠点を有していた。
【0005】
また、トリアリールリン酸エステルモノマーや縮合リン酸エステルオリゴマーの芳香族リン酸エステルも、熱可塑性樹脂に難燃性を付与するための難燃剤として頻繁に用いられてきた。しかし、トリフェニルホスフェートに代表されるトリアリールリン酸エステルモノマーは、樹脂組成物の耐熱性を著しく低下させ、かつ、揮発性が高い為に、押出し時や成形加工時にガスの発生量が多く、ハンドリング性に問題があった。さらに、この化合物は樹脂を高温に加熱するとその少なくとも一部が揮発、あるいはブリード等によって樹脂中から失われるという問題点を有していた。また、縮合リン酸エステルオリゴマーは、揮発性が改善されているものの、その多くが液体であることから、樹脂との混練には液注装置が必要となり、押出し混練時のハンドリング性に問題があった。
【0006】
一方、二置換ペンタエリスリトールジホスホネートは、樹脂用難燃剤を中心に種々の検討がなされている。この化合物を熱可塑性樹脂に配合することにより、熱可塑性樹脂の難燃化を達成することができる。このホスホネート化合物が配合された熱可塑性樹脂組成物は、難燃剤の配合による耐熱性、および耐衝撃性等の特性が低下することなく、しかも混練の際に化合物が揮発、あるいはブリード等により樹脂中から失われることのない特徴を有する。
【0007】
また、上記二置換ペンタエリスリトールジホスホネートの製造法についてはいくつか開示されている。例えば、特開平5−163288号公報においては、ペンタエリスリトールとフェニルホスホン酸ジクロライドとの反応により、ジフェニルペンタエリスリトールジホスホネートを得る製造例の記載がある。
【0008】
米国特許4174343号明細書においては、ジエチルペンタエリスリトールジホスファイトとハロゲン化誘導体(例えばベンジルクロライド)との反応により、対応する二置換ペンタエリスリトールジホスホネートを得る製造例の記載がある。
【0009】
しかしながら、本発明の特定の構造を有するペンタエリスリトールジホスホネートに関して、必ずしも従来通りの製造方法ではかかる目的物を高収率で回収できないという問題があった。また、上記の特許でも製造法の詳細は詳述されておらず、目的物の純度に関する記載もなく、工業的な製造法の見地からも種々の問題が内在していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、工業的に有利な生産性に優れた方法により、樹脂に混合した際に大きな問題であるハロゲン系ガス発生、或いはそれに起因するヤケ現象の如き耐熱性を向上させ、かつ高度に難燃性を付与することができる残留ハロゲン分の低い特性を保有するペンタエリスリトールジホスホネート化合物を提供することにある。
【0011】
本発明者は、前記目的を達成すべく誠意検討した結果、特に、環状ホスホネートの残留揮発分が、この数値が、一定以下に低減すれば、該化合物が、樹脂形成時点での操作性、環境対策上の利点、が発現すると共に、物性、外観色度に悪影響を与えない事を見出し、同時に、所期の高度の難燃性を付与することができる事を見出し、本発明に至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、下記式(1)で示される環状ホスホネート化合物であって、該化合物の全残留ハロゲン分が3000ppm以下であり、イオン性のハロゲン分が1000ppm以下であることを特徴とする環状ホスホネート化合物が提供され、さらに好適には純度が94%以上である環状ホスホネート化合物が提供される。
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、Ar1およびAr2は、同一または異なっていてもよく、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。また、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子もしくは炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、または炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。)
本発明は、従来法では、特に保存安定性、あるいは、樹脂混合時点、で大きな問題になる残留ハロゲン量を低減させ、殊に樹脂混合に際して大きな問題となるハロゲン系ガス発生、或いはそれに起因するガス発生を抑制し、同時に、それに起因する樹脂成形時においては、ヤケ現象の如き耐熱性を向上させ、色相、あるいは、樹脂そのものの変性を生起することなく、高度の難燃性を付与させるし、或いは、紙袋保存時の腐蝕の低減、樹脂成形用金型の腐蝕、あるいは、モールドデポジットとして問題になる金型汚染らを抑制できる環状ホスホネート化合物、及び、その残留ハロゲン分の低下に関する知見を提供することにある。
【0015】
上記ペンタエリスリトールジホスホネート化合物として、一般式(1)においてAr1、Ar2が、フェニル基、各種キシリル基、各種トルイル基、ジ−t−ブチルフェニル基、各種クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基等であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8が、水素原子、メチル、エチル、各種プロピル、各種ブチル、各種ペンチル、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、各種クメニル基、ジ−t−ブチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基等である化合物を挙げる事ができる。 特に好ましくは、Ar1、Ar2が、フェニル基、各種キシリル基、各種トルイル基であって、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8が、水素原子、メチル、エチル、各種プロピル、各種ブチル、各種ペンチル、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基であり、更に好ましくは、Ar1、Ar2が、フェニル基、各種キシリル基、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8が、水素原子、メチル、エチル、フェニル基である。
【0016】
かかる化合物としては、具体的には、3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(3−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(4−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(3,5−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0017】
3,9−ビス(2−(2−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(4−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0018】
3,9−ビス(2−(4−ビフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(1−ナフチル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−ナフチル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(1−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(9−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0019】
3,9−ビス(2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−メチル−2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,2−ジフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,2,2−トリフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1−フェニル−2−プロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,2−ジフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,3−ジフェニル−2−プロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1−メチル−2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0020】
3−(2−フェニルエチル)−9−(2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(2−フェニルエチル)−9−(2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
【0021】
特に、3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
【0022】
かかる化合物は、各種の製造法が存在するが、例えば、対応する3,9−ジ置換−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカンを、ハロゲン化誘導体の共存下に、温度120℃から250℃の条件下で加熱処理する事で、得られる。これらハロゲン化誘導体は、溶媒として使用することもできるし、いわゆる反応活性剤としての使用も可能である。
【0023】
この時、好ましくは、130℃以上、240℃以下、さらに好ましくは、150℃以上230℃以下の雰囲気で行われる。
【0024】
一般に反応時間としては、その濃度、加熱形態、手法により異なるが、10分から1000分間の処理でよい。
【0025】
高温ほど短時間で変化するが、同時に温度の影響による副反応が生起し、結果的に収率が低下することがあるので250℃以上の温度での運転は好ましくない。
【0026】
しかし、該反応を円滑に進め、生成物回収の観点から、芳香族系溶媒が好ましく使われる。
【0027】
かかる溶媒としては炭素数6から20の芳香族炭化水素であればよく、かつ、反応の効率的視点から、温度120℃から250℃までの加熱が可能であればよい。かかる溶媒は、出発物を一部、あるいは全部を溶解することが多く、さらには、反応中間体の溶解性を促進して、収率向上に大きな寄与を与える事も重要な因子となる。この様な溶媒として、トルエン、キシレン、ブチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、テトラリン、らを上げる事が出来、目的とする反応温度に対応して選択すればよい。
【0028】
本発明の環状ホスホネート化合物は、該化合物の純度が94%以上であることも重要な案件である。このような環状ホスホネート化合物を得るためには、反応性生成物の洗浄が好適に採用される。かかる洗浄方法として、芳香族系溶媒に生成物が溶解している場合には、一旦濃縮乾固し、あるいは、反応系でスラリー状態になっている場合は、そのままで回収した後、その固体を、一般式R−OHで表される脂肪族アルコール化合物を用い、洗浄する事が生成物の純度向上に必要である。その際、洗浄温度が50℃以上120℃以下である事が望ましく、この温度以上では、加熱変化の可能性が存在し、これより低い温度では、繰り返し回数の増加につながり、好ましくない。
【0029】
かかる化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールらをあげる事ができるが経済的観点、操作性の観点から、メタノールが好ましい。
【0030】
さらに、別の製造方法として、対応する置換基保有ホスホン酸ジハライドとペンタエリスリトールとの反応でも同様に上記中間体を経由せずに、得ることが出来る。しかし、精製方法に関しては、全く同様の処置で、純度の向上が可能である。
【0031】
さらに、別の製造方法として、一旦、環状ホスホネート水素化物を経由し、強塩基、例えば金属アルコキシドを反応させて環状ホスホネート金属塩にして、これを、対応するハロゲン化物誘導体と反応させて得る事も可能である。
【0032】
さらに、別の方法として、トリフェニルホスファイトを原料として、ペンタエリスリトールと反応させ、この反応生成物を、所望の各種アルコールとエステル交換させても得る事ができるが、いずれも、上記の方法で精製されたホスホネート化合物は、その製品純度が94%以上である事が望ましく、さらに好ましくは96%以上であれば、後述する樹脂、あるいは、他製品への添加で悪影響を及ぼすことが減少でき、好ましい。
【0033】
本発明の環状ホスホネートは、該化合物の全残留ハロゲン分が3000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、特に好ましくは300ppm以下である。また、イオン性のハロゲン分が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、より好ましくは100ppm以下、特に好ましくは80ppm以下である。これらの数値をどちらかが超えると、明らかに加熱処理時点で、ハロゲン化水素系の悪臭が観測され、あるいは、時として、ある種の樹脂では明瞭なヤケが観測される。
【0034】
この様な存在量は、全ハロゲン量の測定として、材料の燃焼後の灰分の中和滴定から求めることができ、一方、イオン性のハロゲン含量は、例えば、イオンクロマトで定量する事が可能である。
【0035】
かかる残留ハロゲン分は、その主たる由来は、大半は反応原料、触媒に起因すると考えられる。一般に、無機物誘導体、あるいは、有機物の混合状態で、生成物に混入しているために、その精製が、著しく困難になる事が多い。
【0036】
したがって、無機成分除去には水系を使用しなければならないし、一方、反応系由来のハロゲン誘導体には、有機系の洗浄剤が必要になる。しかも、有機系は、その材料が生成物とさらなる反応が進行する可能性もあり、一方、無機系は、安定な中性塩でなく、酸性の状態であれば、臭化水素の共存を意味する。これらの存在は、結果的に、例えば、該化合物の保存安定性、あるいは、樹脂混合時点、で大きな問題になり、例えば紙袋保存時の腐蝕の低減、樹脂成形用金型の腐蝕、あるいは、モールドデポジットとして問題になる金型汚染らを生起し、実用上好ましくない。
【0037】
かかる問題点が内在しために、従来の技術では、この重要な性質を無視したり、あるいは、その存在のままで実用に供する事が多く、本来の性能発現に至らず、実用性の低い材料として位置付けされたものと考えられる。
【0038】
上述した洗浄方法で、かかる残留ハロゲン分が、大幅に減少し、本発明の化合物の各種応用への効果が良好になる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。なお、評価は下記の方法で行った。
(1)リン化合物の全残留臭素分測定
炭酸カリウム法にて測定を行った。
(2)リン化合物のイオン性残留臭素分測定
Dionex Series2000i/PS(イオンクロマトグラフ)を用いて測定を行った。分離カラムはDionexHPIC−AS4Aを用いた。溶離液として1mMのNa2CO3−NaHCO3水溶液を用い、再生液として0.025Nの硫酸を用いた。流速2ml/min、圧力700psiで測定を行った。
サンプル調製は、200mlの塩化メチレンに0.5gのリン化合物を加え、加熱溶解させた後に、1mlの超純水による抽出処理を2回繰り返した。
イオン性残留臭素分はイオンクロマトグラフの結果と、NaBrによる検量線から求めた。
(3)MVR(流動性試験)
ISO−1133に準拠して測定を実施した。
尚、ABS、PCに関しては250℃、2.2kg荷重の条件で、PS、PBTに関しては230℃、3.8kg荷重の条件で測定を行った。
(4)熱安定性(MVRの変化率)
ペレットを130℃で24時間処理した。処理前後のペレットのMVRを上記MVR条件で測定し、次式によりその変化率(ΔY)を求めた。
ΔY=(|Y2−Y1|/Y1)×100(%)
Y1;処理前のMVR(cm3/10min)
Y2;処理後のMVR(cm3/10min)
(5)成形品の色相
押出混練にて得られたペレットから、色見本板を射出成形しその色相について目視で判定した。判定基準は下記の基準で行った。
色相良好:○
色見本板に若干ヤケが観られるもの:△
色見本板にヤケが観られるもの:×
(6)金型汚染
樹脂組成物の色見本板成形を500Shot行った後の金型汚染を、目視にて判定を行った。
金型汚染なし:○
金型汚染小:△
金型汚染大:×
(7)難燃性(UL−94評価)
難燃性は厚さ1/16インチ(1.6mm)のテストピースを用い、難燃性の評価尺度として、米国UL規格のUL−94に規定されている垂直燃焼試験に準じて評価を行った。どの試験片も炎を取り去った後の燃焼が10秒以内で消火し、且つ、滴下物が無い又は滴下物が綿着火をおこさないものがV−0、燃焼が30秒以内で消火し、且つ、滴下物が綿着火をおこすものがV−2であり、この評価基準以下のものをnotVとした。
【0040】
調製例1
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド(FR−1)の調製
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器にペンタエリスリトール816.9g(6.0モル)、ピリジン19.0g(0.24モル)、トルエン2250.4g(24.4モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に三塩化リン1651.8g(12.0モル)を該滴下ロートを用い添加し、添加終了後、60℃にて加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、得られた反応物に塩化メチレン26.50部を添加し、氷冷しながらターシャリーブタノール889.4g(12.0モル)および塩化メチレン150.2g(1.77モル)を滴下した。得られた結晶をトルエンおよび塩化メチレンにて洗浄しろ過した。得られたろ取物を80℃、1.33×102Paで12時間乾燥し、白色の固体1341.1g(5.88モル)を得た。得られた固体は31P、1HNMRスペクトルにより2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイドである事を確認した。
【0041】
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器に得られた2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイド1341.0g(5.88モル)、DMF6534.2g(89.39モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に氷冷下ナトリウムメトキシド648.7g(12.01モル)を添加した。氷冷にて2時間攪拌した後に、室温にて5時間攪拌を行った。さらにDMFを留去した後に、DMF2613.7g(35.76モル)を添加し、該反応混合物に氷冷にて(2−ブロモエチル)ベンゼン2183.8g(11.8モル)滴下した。氷冷下3時間攪拌した後、DMFを留去し、水8Lを加え、析出した固体を濾取、水2Lで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール4Lをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約2時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール2Lで洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×102Paで19時間乾燥し、白色の粉末1924.4g(4.41モル)を得た。得られた固体は31PNMR、1HNMRスペクトルおよび元素分析により2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイドである事を確認した。31PNMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定した全残留臭素分は120ppm、イオン性残留臭素分は41ppmであった。
【0042】
1H−NMR(CDCl3,300MHz):δ7.1−7.4(m,10H),3.85−4.65(m,8H),2.90−3.05(m,4H),2.1−2.3(m,4H)、31P−NMR(CDCl3,120MHz):δ31.5(S)、融点:245−246℃、元素分析 計算値:C,57.80;H,6.01、測定値:C,58.00;H,6.07
【0043】
調製例2
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド(FR−2)の調製
攪拌機、温度計、コンデンサーを有する反応容器に、3,9−ジ(2−フェニルエトキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン436.4g(1.0mol)および2−フェニルエチルブロマイド370.1g(2.0mol)を充填し、室温下攪拌しながら、乾燥窒素をフローさせた。次いでオイルバスで加熱を開始し、オイルバス温度180℃で10時間保持した。その後オイルバスを取り除き室温まで冷却した。得られた白色固体状の反応物にメタノール2000mlを加えて攪拌洗浄後、グラスフィルターを用いて白色粉末を濾別した。次いで濾別した白色粉末をとメタノール4000mlをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約2時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール2000mLで洗浄した。得られた白色粉末を100Pa、120℃で8時間乾燥させて、2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド362.3gを得た。生成物は質量スペクトル分析、1H、31P核磁気共鳴スペクトル分析および元素分析でビス2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイドであることを確認した。収率は83%であった。また、本文記載の方法で測定した全残留臭素分は210ppm、イオン性残留臭素分は5ppmであった。
【0044】
1H−NMR(CDCl3,300MHz):δ7.1−7.4(m,10H),3.85−4.65(m,8H),2.90−3.05(m,4H),2.1−2.3(m,4H)、31P−NMR(CDCl3,120MHz):δ31.5(S)、融点:245−246℃
【0045】
調製例3
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド(FR−3)の調製
攪拌機、温度計、コンデンサーを有する反応容器に、3,9−ジ(2−フェニルエトキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン436.4g(1.0mol)および2−フェニルエチルブロマイド370.1g(2.0mol)を充填し、室温下攪拌しながら、乾燥窒素をフローさせた。次いでオイルバスで加熱を開始し、オイルバス温度180℃で10時間保持した。その後オイルバスを取り除き室温まで冷却した。発生した白色固体を濾取し、100℃、1.33×10Paにて減圧乾燥を行った。得られた白色固体は31P、1HNMRスペクトルにより2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイドである事を確認した。また、本文記載の方法で測定した全残留臭素分は4380ppm、イオン性残留臭素分は41ppmであった。
【0046】
(イ)樹脂成分
▲1▼ABS樹脂(日本エイアンドエル(株)製サンタックUT−61、以下ABSと称する)
▲2▼耐衝撃性ポリスチレン(エー・アンド・エムスチレン(株)製スタイロンH9152、以下PSと称する)
▲3▼芳香族ポリエステル(帝人(株)製テイジンPBT TRB−H、以下PEstと称する)
▲4▼ポリカーボネート(帝人化成(株)製パンライトL−1225WP、以下PCと称する)
【0047】
(ロ)有機リン化合物
▲1▼調製例1で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド{前記一般式(1)において、R1〜R8が水素原子、Ar1およびAr2がフェニル基であるリン系化合物(以下FR−1と称する)}
▲2▼調製例2で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド{前記一般式(1)において、R1〜R8が水素原子、Ar1およびAr2がフェニル基であるリン系化合物(以下FR−2と称する)}
▲3▼調製例3で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド{前記一般式(1)において、R1〜R8が水素原子、Ar1およびAr2がフェニル基であるリン系化合物(以下FR−3と称する)}
【0048】
[実施例1〜8、比較例1〜4]
表1記載の各成分を表1記載の量(重量部)でタンブラーにて配合し、15mmφ二軸押出機(テクノベル製、KZW15)にてペレット化し、乾燥したペレットを射出成形機((株)日本製鋼所製 J75Si)にて成形し評価した。その結果を表1に示す。
【0049】
なお、難燃性(UL−94評価)は、実施例1〜実施例4はV−2、実施例5〜実施例8はV−0であり、難燃性に優れた樹脂組成物が得られた。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】
本発明の環状ホスホネート化合物は、特に樹脂に配合あるいは成形する際に、ガスの発生およびヤケの問題が抑制され、樹脂の色相に優れる難燃性樹脂組成物を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有するペンタエリスリトールジホスホネート化合物に関する。更に詳しくは、難燃剤、結晶核剤、可塑剤等の添加剤として使用でき、殊に樹脂用難燃剤として優れた効果を有する新規なペンタエリスリトールジホスホネート化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂は、その優れた諸物性を活かし、機械部品、電気部品、自動車部品等の幅広い分野に利用されている。一方、これらの樹脂は本質的に可燃性である為、上記用途として使用するには一般の化学的、物理的諸特性のバランス以外に、火炎に対する安全性、すなわち、高度な難燃性が要求される場合が多い。
【0003】
樹脂に難燃性を付与する方法としては、難燃剤としてハロゲン系化合物、さらに難燃助剤としてアンチモン化合物を樹脂に添加する方法が一般的である。しかしながら、この方法は成形加工時あるいは燃焼時に、多量の腐食性ガスを発生させる等の問題がある。また、特に近年、製品廃棄時における環境影響等が懸念されている。そこで、ハロゲンを全く含まない難燃剤や難燃処方が強く望まれている。
【0004】
ハロゲン系難燃剤を使用しないで熱可塑性樹脂を難燃化する方法としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水和物を添加することが広く知られている。しかし、充分な難燃性を得る為には、上記金属水和物を多量に添加する必要があり、樹脂本来の特性が失われるという欠点を有していた。
【0005】
また、トリアリールリン酸エステルモノマーや縮合リン酸エステルオリゴマーの芳香族リン酸エステルも、熱可塑性樹脂に難燃性を付与するための難燃剤として頻繁に用いられてきた。しかし、トリフェニルホスフェートに代表されるトリアリールリン酸エステルモノマーは、樹脂組成物の耐熱性を著しく低下させ、かつ、揮発性が高い為に、押出し時や成形加工時にガスの発生量が多く、ハンドリング性に問題があった。さらに、この化合物は樹脂を高温に加熱するとその少なくとも一部が揮発、あるいはブリード等によって樹脂中から失われるという問題点を有していた。また、縮合リン酸エステルオリゴマーは、揮発性が改善されているものの、その多くが液体であることから、樹脂との混練には液注装置が必要となり、押出し混練時のハンドリング性に問題があった。
【0006】
一方、二置換ペンタエリスリトールジホスホネートは、樹脂用難燃剤を中心に種々の検討がなされている。この化合物を熱可塑性樹脂に配合することにより、熱可塑性樹脂の難燃化を達成することができる。このホスホネート化合物が配合された熱可塑性樹脂組成物は、難燃剤の配合による耐熱性、および耐衝撃性等の特性が低下することなく、しかも混練の際に化合物が揮発、あるいはブリード等により樹脂中から失われることのない特徴を有する。
【0007】
また、上記二置換ペンタエリスリトールジホスホネートの製造法についてはいくつか開示されている。例えば、特開平5−163288号公報においては、ペンタエリスリトールとフェニルホスホン酸ジクロライドとの反応により、ジフェニルペンタエリスリトールジホスホネートを得る製造例の記載がある。
【0008】
米国特許4174343号明細書においては、ジエチルペンタエリスリトールジホスファイトとハロゲン化誘導体(例えばベンジルクロライド)との反応により、対応する二置換ペンタエリスリトールジホスホネートを得る製造例の記載がある。
【0009】
しかしながら、本発明の特定の構造を有するペンタエリスリトールジホスホネートに関して、必ずしも従来通りの製造方法ではかかる目的物を高収率で回収できないという問題があった。また、上記の特許でも製造法の詳細は詳述されておらず、目的物の純度に関する記載もなく、工業的な製造法の見地からも種々の問題が内在していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、工業的に有利な生産性に優れた方法により、樹脂に混合した際に大きな問題であるハロゲン系ガス発生、或いはそれに起因するヤケ現象の如き耐熱性を向上させ、かつ高度に難燃性を付与することができる残留ハロゲン分の低い特性を保有するペンタエリスリトールジホスホネート化合物を提供することにある。
【0011】
本発明者は、前記目的を達成すべく誠意検討した結果、特に、環状ホスホネートの残留揮発分が、この数値が、一定以下に低減すれば、該化合物が、樹脂形成時点での操作性、環境対策上の利点、が発現すると共に、物性、外観色度に悪影響を与えない事を見出し、同時に、所期の高度の難燃性を付与することができる事を見出し、本発明に至った。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、下記式(1)で示される環状ホスホネート化合物であって、該化合物の全残留ハロゲン分が3000ppm以下であり、イオン性のハロゲン分が1000ppm以下であることを特徴とする環状ホスホネート化合物が提供され、さらに好適には純度が94%以上である環状ホスホネート化合物が提供される。
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、Ar1およびAr2は、同一または異なっていてもよく、炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基である。また、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同一または異なっていてもよく、水素原子もしくは炭素数6〜20の置換もしくは非置換のアリール基、または炭素数7〜30の置換もしくは非置換のアラルキル基、または炭素数1〜20の飽和もしくは不飽和の炭化水素基である。)
本発明は、従来法では、特に保存安定性、あるいは、樹脂混合時点、で大きな問題になる残留ハロゲン量を低減させ、殊に樹脂混合に際して大きな問題となるハロゲン系ガス発生、或いはそれに起因するガス発生を抑制し、同時に、それに起因する樹脂成形時においては、ヤケ現象の如き耐熱性を向上させ、色相、あるいは、樹脂そのものの変性を生起することなく、高度の難燃性を付与させるし、或いは、紙袋保存時の腐蝕の低減、樹脂成形用金型の腐蝕、あるいは、モールドデポジットとして問題になる金型汚染らを抑制できる環状ホスホネート化合物、及び、その残留ハロゲン分の低下に関する知見を提供することにある。
【0015】
上記ペンタエリスリトールジホスホネート化合物として、一般式(1)においてAr1、Ar2が、フェニル基、各種キシリル基、各種トルイル基、ジ−t−ブチルフェニル基、各種クメニル基、ビフェニル基、ナフチル基等であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8が、水素原子、メチル、エチル、各種プロピル、各種ブチル、各種ペンチル、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基、各種キシリル基、各種クメニル基、ジ−t−ブチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、1−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基等である化合物を挙げる事ができる。 特に好ましくは、Ar1、Ar2が、フェニル基、各種キシリル基、各種トルイル基であって、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8が、水素原子、メチル、エチル、各種プロピル、各種ブチル、各種ペンチル、プロペニル基、フェニル基、各種トルイル基であり、更に好ましくは、Ar1、Ar2が、フェニル基、各種キシリル基、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8が、水素原子、メチル、エチル、フェニル基である。
【0016】
かかる化合物としては、具体的には、3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(3−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(4−メチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(3,5−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0017】
3,9−ビス(2−(2−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(4−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0018】
3,9−ビス(2−(4−ビフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(1−ナフチル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−ナフチル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(1−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(2−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−(9−アントリル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0019】
3,9−ビス(2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2−メチル−2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,2−ジフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(2,2,2−トリフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1−フェニル−2−プロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,2−ジフェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1,3−ジフェニル−2−プロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3,9−ビス(1−メチル−2−フェニルプロピル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、
【0020】
3−(2−フェニルエチル)−9−(2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、3−(2−フェニルエチル)−9−(2−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)エチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
【0021】
特に、3,9−ビス(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキソ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカンが好ましい。
【0022】
かかる化合物は、各種の製造法が存在するが、例えば、対応する3,9−ジ置換−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカンを、ハロゲン化誘導体の共存下に、温度120℃から250℃の条件下で加熱処理する事で、得られる。これらハロゲン化誘導体は、溶媒として使用することもできるし、いわゆる反応活性剤としての使用も可能である。
【0023】
この時、好ましくは、130℃以上、240℃以下、さらに好ましくは、150℃以上230℃以下の雰囲気で行われる。
【0024】
一般に反応時間としては、その濃度、加熱形態、手法により異なるが、10分から1000分間の処理でよい。
【0025】
高温ほど短時間で変化するが、同時に温度の影響による副反応が生起し、結果的に収率が低下することがあるので250℃以上の温度での運転は好ましくない。
【0026】
しかし、該反応を円滑に進め、生成物回収の観点から、芳香族系溶媒が好ましく使われる。
【0027】
かかる溶媒としては炭素数6から20の芳香族炭化水素であればよく、かつ、反応の効率的視点から、温度120℃から250℃までの加熱が可能であればよい。かかる溶媒は、出発物を一部、あるいは全部を溶解することが多く、さらには、反応中間体の溶解性を促進して、収率向上に大きな寄与を与える事も重要な因子となる。この様な溶媒として、トルエン、キシレン、ブチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、テトラリン、らを上げる事が出来、目的とする反応温度に対応して選択すればよい。
【0028】
本発明の環状ホスホネート化合物は、該化合物の純度が94%以上であることも重要な案件である。このような環状ホスホネート化合物を得るためには、反応性生成物の洗浄が好適に採用される。かかる洗浄方法として、芳香族系溶媒に生成物が溶解している場合には、一旦濃縮乾固し、あるいは、反応系でスラリー状態になっている場合は、そのままで回収した後、その固体を、一般式R−OHで表される脂肪族アルコール化合物を用い、洗浄する事が生成物の純度向上に必要である。その際、洗浄温度が50℃以上120℃以下である事が望ましく、この温度以上では、加熱変化の可能性が存在し、これより低い温度では、繰り返し回数の増加につながり、好ましくない。
【0029】
かかる化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールらをあげる事ができるが経済的観点、操作性の観点から、メタノールが好ましい。
【0030】
さらに、別の製造方法として、対応する置換基保有ホスホン酸ジハライドとペンタエリスリトールとの反応でも同様に上記中間体を経由せずに、得ることが出来る。しかし、精製方法に関しては、全く同様の処置で、純度の向上が可能である。
【0031】
さらに、別の製造方法として、一旦、環状ホスホネート水素化物を経由し、強塩基、例えば金属アルコキシドを反応させて環状ホスホネート金属塩にして、これを、対応するハロゲン化物誘導体と反応させて得る事も可能である。
【0032】
さらに、別の方法として、トリフェニルホスファイトを原料として、ペンタエリスリトールと反応させ、この反応生成物を、所望の各種アルコールとエステル交換させても得る事ができるが、いずれも、上記の方法で精製されたホスホネート化合物は、その製品純度が94%以上である事が望ましく、さらに好ましくは96%以上であれば、後述する樹脂、あるいは、他製品への添加で悪影響を及ぼすことが減少でき、好ましい。
【0033】
本発明の環状ホスホネートは、該化合物の全残留ハロゲン分が3000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下、特に好ましくは300ppm以下である。また、イオン性のハロゲン分が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、より好ましくは100ppm以下、特に好ましくは80ppm以下である。これらの数値をどちらかが超えると、明らかに加熱処理時点で、ハロゲン化水素系の悪臭が観測され、あるいは、時として、ある種の樹脂では明瞭なヤケが観測される。
【0034】
この様な存在量は、全ハロゲン量の測定として、材料の燃焼後の灰分の中和滴定から求めることができ、一方、イオン性のハロゲン含量は、例えば、イオンクロマトで定量する事が可能である。
【0035】
かかる残留ハロゲン分は、その主たる由来は、大半は反応原料、触媒に起因すると考えられる。一般に、無機物誘導体、あるいは、有機物の混合状態で、生成物に混入しているために、その精製が、著しく困難になる事が多い。
【0036】
したがって、無機成分除去には水系を使用しなければならないし、一方、反応系由来のハロゲン誘導体には、有機系の洗浄剤が必要になる。しかも、有機系は、その材料が生成物とさらなる反応が進行する可能性もあり、一方、無機系は、安定な中性塩でなく、酸性の状態であれば、臭化水素の共存を意味する。これらの存在は、結果的に、例えば、該化合物の保存安定性、あるいは、樹脂混合時点、で大きな問題になり、例えば紙袋保存時の腐蝕の低減、樹脂成形用金型の腐蝕、あるいは、モールドデポジットとして問題になる金型汚染らを生起し、実用上好ましくない。
【0037】
かかる問題点が内在しために、従来の技術では、この重要な性質を無視したり、あるいは、その存在のままで実用に供する事が多く、本来の性能発現に至らず、実用性の低い材料として位置付けされたものと考えられる。
【0038】
上述した洗浄方法で、かかる残留ハロゲン分が、大幅に減少し、本発明の化合物の各種応用への効果が良好になる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。なお、評価は下記の方法で行った。
(1)リン化合物の全残留臭素分測定
炭酸カリウム法にて測定を行った。
(2)リン化合物のイオン性残留臭素分測定
Dionex Series2000i/PS(イオンクロマトグラフ)を用いて測定を行った。分離カラムはDionexHPIC−AS4Aを用いた。溶離液として1mMのNa2CO3−NaHCO3水溶液を用い、再生液として0.025Nの硫酸を用いた。流速2ml/min、圧力700psiで測定を行った。
サンプル調製は、200mlの塩化メチレンに0.5gのリン化合物を加え、加熱溶解させた後に、1mlの超純水による抽出処理を2回繰り返した。
イオン性残留臭素分はイオンクロマトグラフの結果と、NaBrによる検量線から求めた。
(3)MVR(流動性試験)
ISO−1133に準拠して測定を実施した。
尚、ABS、PCに関しては250℃、2.2kg荷重の条件で、PS、PBTに関しては230℃、3.8kg荷重の条件で測定を行った。
(4)熱安定性(MVRの変化率)
ペレットを130℃で24時間処理した。処理前後のペレットのMVRを上記MVR条件で測定し、次式によりその変化率(ΔY)を求めた。
ΔY=(|Y2−Y1|/Y1)×100(%)
Y1;処理前のMVR(cm3/10min)
Y2;処理後のMVR(cm3/10min)
(5)成形品の色相
押出混練にて得られたペレットから、色見本板を射出成形しその色相について目視で判定した。判定基準は下記の基準で行った。
色相良好:○
色見本板に若干ヤケが観られるもの:△
色見本板にヤケが観られるもの:×
(6)金型汚染
樹脂組成物の色見本板成形を500Shot行った後の金型汚染を、目視にて判定を行った。
金型汚染なし:○
金型汚染小:△
金型汚染大:×
(7)難燃性(UL−94評価)
難燃性は厚さ1/16インチ(1.6mm)のテストピースを用い、難燃性の評価尺度として、米国UL規格のUL−94に規定されている垂直燃焼試験に準じて評価を行った。どの試験片も炎を取り去った後の燃焼が10秒以内で消火し、且つ、滴下物が無い又は滴下物が綿着火をおこさないものがV−0、燃焼が30秒以内で消火し、且つ、滴下物が綿着火をおこすものがV−2であり、この評価基準以下のものをnotVとした。
【0040】
調製例1
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド(FR−1)の調製
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器にペンタエリスリトール816.9g(6.0モル)、ピリジン19.0g(0.24モル)、トルエン2250.4g(24.4モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に三塩化リン1651.8g(12.0モル)を該滴下ロートを用い添加し、添加終了後、60℃にて加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、得られた反応物に塩化メチレン26.50部を添加し、氷冷しながらターシャリーブタノール889.4g(12.0モル)および塩化メチレン150.2g(1.77モル)を滴下した。得られた結晶をトルエンおよび塩化メチレンにて洗浄しろ過した。得られたろ取物を80℃、1.33×102Paで12時間乾燥し、白色の固体1341.1g(5.88モル)を得た。得られた固体は31P、1HNMRスペクトルにより2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイドである事を確認した。
【0041】
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器に得られた2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイド1341.0g(5.88モル)、DMF6534.2g(89.39モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に氷冷下ナトリウムメトキシド648.7g(12.01モル)を添加した。氷冷にて2時間攪拌した後に、室温にて5時間攪拌を行った。さらにDMFを留去した後に、DMF2613.7g(35.76モル)を添加し、該反応混合物に氷冷にて(2−ブロモエチル)ベンゼン2183.8g(11.8モル)滴下した。氷冷下3時間攪拌した後、DMFを留去し、水8Lを加え、析出した固体を濾取、水2Lで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール4Lをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約2時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール2Lで洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×102Paで19時間乾燥し、白色の粉末1924.4g(4.41モル)を得た。得られた固体は31PNMR、1HNMRスペクトルおよび元素分析により2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイドである事を確認した。31PNMR純度は99%であった。また、本文記載の方法で測定した全残留臭素分は120ppm、イオン性残留臭素分は41ppmであった。
【0042】
1H−NMR(CDCl3,300MHz):δ7.1−7.4(m,10H),3.85−4.65(m,8H),2.90−3.05(m,4H),2.1−2.3(m,4H)、31P−NMR(CDCl3,120MHz):δ31.5(S)、融点:245−246℃、元素分析 計算値:C,57.80;H,6.01、測定値:C,58.00;H,6.07
【0043】
調製例2
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド(FR−2)の調製
攪拌機、温度計、コンデンサーを有する反応容器に、3,9−ジ(2−フェニルエトキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン436.4g(1.0mol)および2−フェニルエチルブロマイド370.1g(2.0mol)を充填し、室温下攪拌しながら、乾燥窒素をフローさせた。次いでオイルバスで加熱を開始し、オイルバス温度180℃で10時間保持した。その後オイルバスを取り除き室温まで冷却した。得られた白色固体状の反応物にメタノール2000mlを加えて攪拌洗浄後、グラスフィルターを用いて白色粉末を濾別した。次いで濾別した白色粉末をとメタノール4000mlをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約2時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール2000mLで洗浄した。得られた白色粉末を100Pa、120℃で8時間乾燥させて、2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド362.3gを得た。生成物は質量スペクトル分析、1H、31P核磁気共鳴スペクトル分析および元素分析でビス2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイドであることを確認した。収率は83%であった。また、本文記載の方法で測定した全残留臭素分は210ppm、イオン性残留臭素分は5ppmであった。
【0044】
1H−NMR(CDCl3,300MHz):δ7.1−7.4(m,10H),3.85−4.65(m,8H),2.90−3.05(m,4H),2.1−2.3(m,4H)、31P−NMR(CDCl3,120MHz):δ31.5(S)、融点:245−246℃
【0045】
調製例3
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド(FR−3)の調製
攪拌機、温度計、コンデンサーを有する反応容器に、3,9−ジ(2−フェニルエトキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン436.4g(1.0mol)および2−フェニルエチルブロマイド370.1g(2.0mol)を充填し、室温下攪拌しながら、乾燥窒素をフローさせた。次いでオイルバスで加熱を開始し、オイルバス温度180℃で10時間保持した。その後オイルバスを取り除き室温まで冷却した。発生した白色固体を濾取し、100℃、1.33×10Paにて減圧乾燥を行った。得られた白色固体は31P、1HNMRスペクトルにより2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイドである事を確認した。また、本文記載の方法で測定した全残留臭素分は4380ppm、イオン性残留臭素分は41ppmであった。
【0046】
(イ)樹脂成分
▲1▼ABS樹脂(日本エイアンドエル(株)製サンタックUT−61、以下ABSと称する)
▲2▼耐衝撃性ポリスチレン(エー・アンド・エムスチレン(株)製スタイロンH9152、以下PSと称する)
▲3▼芳香族ポリエステル(帝人(株)製テイジンPBT TRB−H、以下PEstと称する)
▲4▼ポリカーボネート(帝人化成(株)製パンライトL−1225WP、以下PCと称する)
【0047】
(ロ)有機リン化合物
▲1▼調製例1で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド{前記一般式(1)において、R1〜R8が水素原子、Ar1およびAr2がフェニル基であるリン系化合物(以下FR−1と称する)}
▲2▼調製例2で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド{前記一般式(1)において、R1〜R8が水素原子、Ar1およびAr2がフェニル基であるリン系化合物(以下FR−2と称する)}
▲3▼調製例3で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド{前記一般式(1)において、R1〜R8が水素原子、Ar1およびAr2がフェニル基であるリン系化合物(以下FR−3と称する)}
【0048】
[実施例1〜8、比較例1〜4]
表1記載の各成分を表1記載の量(重量部)でタンブラーにて配合し、15mmφ二軸押出機(テクノベル製、KZW15)にてペレット化し、乾燥したペレットを射出成形機((株)日本製鋼所製 J75Si)にて成形し評価した。その結果を表1に示す。
【0049】
なお、難燃性(UL−94評価)は、実施例1〜実施例4はV−2、実施例5〜実施例8はV−0であり、難燃性に優れた樹脂組成物が得られた。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】
本発明の環状ホスホネート化合物は、特に樹脂に配合あるいは成形する際に、ガスの発生およびヤケの問題が抑制され、樹脂の色相に優れる難燃性樹脂組成物を得ることができる。
Claims (2)
- 前記式(1)で示される環状ホスホネート化合物の純度が94%以上である請求項1記載の環状ホスホネート化合物。
Priority Applications (1)
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| JP2002171209A JP2004018383A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | 環状ホスホネート化合物 |
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| JP2002171209A JP2004018383A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | 環状ホスホネート化合物 |
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| JP2004018383A true JP2004018383A (ja) | 2004-01-22 |
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|---|---|---|---|---|
| WO2014157598A1 (ja) * | 2013-03-28 | 2014-10-02 | 帝人株式会社 | 環状ホスホネート化合物およびその製造方法 |
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2002
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| JPWO2016017571A1 (ja) * | 2014-07-31 | 2017-05-25 | 帝人株式会社 | 難燃性樹脂組成物およびそれからの成形品 |
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