JP2003301264A - 切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合金系ターゲット材およびその製造方法ならびに皮膜コーティング方法 - Google Patents
切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合金系ターゲット材およびその製造方法ならびに皮膜コーティング方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 真空蒸着用のTi−Al合金系ターゲット材
に関するものであり、特にはアークイオンプレーティン
グ法による蒸発源として、優れた耐摩耗性、耐酸化性、
耐凝着性、密着性を皮膜に付与でき、切削工具の表面皮
膜のコーティングに最適なTi−Al合金系ターゲット
材およびその製造方法と、そのターゲット材による皮膜
コーティング方法を提供する。 【解決手段】 実質的にAlとTiとからなり、酸素を
0.2〜0.6質量%含み、原子%でAlとTiの組成
比率がAl/Ti:0.4〜1.9である切削工具の皮
膜形成用Ti−Al合金系ターゲット材。
に関するものであり、特にはアークイオンプレーティン
グ法による蒸発源として、優れた耐摩耗性、耐酸化性、
耐凝着性、密着性を皮膜に付与でき、切削工具の表面皮
膜のコーティングに最適なTi−Al合金系ターゲット
材およびその製造方法と、そのターゲット材による皮膜
コーティング方法を提供する。 【解決手段】 実質的にAlとTiとからなり、酸素を
0.2〜0.6質量%含み、原子%でAlとTiの組成
比率がAl/Ti:0.4〜1.9である切削工具の皮
膜形成用Ti−Al合金系ターゲット材。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、切削工具の表面皮
膜を形成させるための真空蒸着用のターゲット材に関す
るものであり、特にはアークイオンプレーティング法に
よる皮膜コーティングの際の蒸発源として有効なTi−
Al合金系ターゲット材およびその製造方法と、そのタ
ーゲット材による皮膜コーティング方法に関するもので
ある。
膜を形成させるための真空蒸着用のターゲット材に関す
るものであり、特にはアークイオンプレーティング法に
よる皮膜コーティングの際の蒸発源として有効なTi−
Al合金系ターゲット材およびその製造方法と、そのタ
ーゲット材による皮膜コーティング方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】切削工具等の表面に耐摩耗性、耐酸化性
の向上を目的として、例えばその窒化膜や炭窒化膜とい
ったTi−Al系硬質皮膜が適用されている。Ti−A
l系硬質皮膜のコーティングには、蒸発源としてTi−
Al合金系ターゲット材を使用し、前述のアークイオン
プレーティング法にて成膜を行うことが最適である。
の向上を目的として、例えばその窒化膜や炭窒化膜とい
ったTi−Al系硬質皮膜が適用されている。Ti−A
l系硬質皮膜のコーティングには、蒸発源としてTi−
Al合金系ターゲット材を使用し、前述のアークイオン
プレーティング法にて成膜を行うことが最適である。
【0003】イオンプレーティング法の1種であるアー
クイオンプレーティング法は、減圧した反応ガス雰囲気
中において、皮膜の原料となるターゲット材をアーク放
電にて瞬時に溶解、イオン化し、負に印加した被覆母材
に付着させ皮膜を形成する方法である。この時、溶解さ
れたターゲット材は、被覆母材とターゲット材の間に発
生するプラズマ中で、反応ガスとともにイオン化され
る。アークイオンプレーティング法は、電子銃等を用い
たイオンプレーティング法に比べ、蒸発金属のイオン化
率が高いため、密着力に優れた皮膜が得られることか
ら、現在ではその適用量が増加している。
クイオンプレーティング法は、減圧した反応ガス雰囲気
中において、皮膜の原料となるターゲット材をアーク放
電にて瞬時に溶解、イオン化し、負に印加した被覆母材
に付着させ皮膜を形成する方法である。この時、溶解さ
れたターゲット材は、被覆母材とターゲット材の間に発
生するプラズマ中で、反応ガスとともにイオン化され
る。アークイオンプレーティング法は、電子銃等を用い
たイオンプレーティング法に比べ、蒸発金属のイオン化
率が高いため、密着力に優れた皮膜が得られることか
ら、現在ではその適用量が増加している。
【0004】一般にTi−Al系硬質皮膜は、反応ガス
として窒素を用いた窒化膜として用いられる。最近特開
平8−3750に記載されるように、例えばガス中に窒
素と酸素を同時に添加し、窒化皮膜中に酸化物を介在さ
せることで、皮膜の耐凝着性は更に良好となり、切削工
具等の性能が向上することが提案された。
として窒素を用いた窒化膜として用いられる。最近特開
平8−3750に記載されるように、例えばガス中に窒
素と酸素を同時に添加し、窒化皮膜中に酸化物を介在さ
せることで、皮膜の耐凝着性は更に良好となり、切削工
具等の性能が向上することが提案された。
【0005】Ti−Al系硬質皮膜は、皮膜中の残留圧
縮応力が大きいため、被覆母材が変形すると、皮膜が剥
離しやすいという欠点を有するが、上述の手法により、
皮膜中に酸化物を介在させることで残留圧縮応力は低下
し、皮膜の密着性が向上する。
縮応力が大きいため、被覆母材が変形すると、皮膜が剥
離しやすいという欠点を有するが、上述の手法により、
皮膜中に酸化物を介在させることで残留圧縮応力は低下
し、皮膜の密着性が向上する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】先述のように、従来の
Ti−Al合金系ターゲット材を使用した場合、Ti−
Al系硬質皮膜に酸化物を介在させるためには、反応ガ
ス中に数%の酸素を添加する必要があるが、酸素を混合
した反応ガスは、加熱された炉内全域に広がる。そのた
め、成膜作業を繰返すにしたがい、本来、電気的に導電
性が必要とされる成膜装置真空容器内壁や、装置内に配
置される電極等の表面は、絶縁物質である酸化物によっ
て徐々に覆われることになる。これにより、成膜装置は
安定した成膜が行えなくなっていき、得られる皮膜の性
能も著しく劣化していく。このことから、酸化物が介在
するTi−Al系硬質皮膜は、実験的に成膜が可能であ
っても、工業製品としての量産には十分に適用できると
は言い難かった。
Ti−Al合金系ターゲット材を使用した場合、Ti−
Al系硬質皮膜に酸化物を介在させるためには、反応ガ
ス中に数%の酸素を添加する必要があるが、酸素を混合
した反応ガスは、加熱された炉内全域に広がる。そのた
め、成膜作業を繰返すにしたがい、本来、電気的に導電
性が必要とされる成膜装置真空容器内壁や、装置内に配
置される電極等の表面は、絶縁物質である酸化物によっ
て徐々に覆われることになる。これにより、成膜装置は
安定した成膜が行えなくなっていき、得られる皮膜の性
能も著しく劣化していく。このことから、酸化物が介在
するTi−Al系硬質皮膜は、実験的に成膜が可能であ
っても、工業製品としての量産には十分に適用できると
は言い難かった。
【0007】本発明はこうした事情に着目してなされた
ものであって、特に耐凝着性、密着性が要求される切削
工具の表面への最適なTi−Al合金系ターゲット材お
よびその製造方法ならびに、その有効な皮膜コーティン
グ方法を確立するものである。
ものであって、特に耐凝着性、密着性が要求される切削
工具の表面への最適なTi−Al合金系ターゲット材お
よびその製造方法ならびに、その有効な皮膜コーティン
グ方法を確立するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、成膜雰囲気
中に多量の酸素を導入するのではなく、特定組成のTi
−Al合金系ターゲット材自身の酸素含有量を特定の値
とすることで、切削工具としての優れた皮膜特性が得ら
れることを見出し、本発明に至った。
中に多量の酸素を導入するのではなく、特定組成のTi
−Al合金系ターゲット材自身の酸素含有量を特定の値
とすることで、切削工具としての優れた皮膜特性が得ら
れることを見出し、本発明に至った。
【0009】すなわち、本発明は実質的にAlとTiと
からなり、酸素を0.2〜0.6質量%含み、原子%で
AlとTiの組成比率がAl/Ti:0.4〜1.9で
あることを特徴とする切削工具の表面皮膜形成用Ti−
Al合金系ターゲット材である。
からなり、酸素を0.2〜0.6質量%含み、原子%で
AlとTiの組成比率がAl/Ti:0.4〜1.9で
あることを特徴とする切削工具の表面皮膜形成用Ti−
Al合金系ターゲット材である。
【0010】本発明の切削工具の表面皮膜形成用Ti−
Al合金系ターゲット材は、ターゲット材組織が、面積
率でターゲット材構成元素による金属間化合物相が20
〜90%、Tiを除くターゲット材構成元素がTiに固
溶したTi合金相および純Ti相のいずれか1種もしく
は2種が実質的に残部を構成しているTi−Al合金系
ターゲット材が更に好ましい。
Al合金系ターゲット材は、ターゲット材組織が、面積
率でターゲット材構成元素による金属間化合物相が20
〜90%、Tiを除くターゲット材構成元素がTiに固
溶したTi合金相および純Ti相のいずれか1種もしく
は2種が実質的に残部を構成しているTi−Al合金系
ターゲット材が更に好ましい。
【0011】また、本発明のターゲット材は、アークイ
オンプレーティング用に好ましい。
オンプレーティング用に好ましい。
【0012】本発明のTi−Al合金系ターゲット材の
製造方法は、原子%でAlとTiの組成比率をAl/T
i:0.4〜1.9とし、酸素含有量を0.2〜0.6
質量%とした混合粉末を、加圧焼結法を用いて圧密化す
ることである。この時、ターゲット材構成元素からなる
金属間化合物粉末とTi粉末を所定比率に混合し、酸素
含有量を0.2〜0.6質量%とした混合粉末を、加圧
焼結法を用いて焼結温度800〜1200℃で圧密化す
ることで組織中にターゲット材構成元素からなる金属間
化合物相と、Tiを除くターゲット材構成元素がTiに
固溶したTi合金相および純Ti相のいずれか1種もし
くは2種を適度に残留させることが更に望ましい。
製造方法は、原子%でAlとTiの組成比率をAl/T
i:0.4〜1.9とし、酸素含有量を0.2〜0.6
質量%とした混合粉末を、加圧焼結法を用いて圧密化す
ることである。この時、ターゲット材構成元素からなる
金属間化合物粉末とTi粉末を所定比率に混合し、酸素
含有量を0.2〜0.6質量%とした混合粉末を、加圧
焼結法を用いて焼結温度800〜1200℃で圧密化す
ることで組織中にターゲット材構成元素からなる金属間
化合物相と、Tiを除くターゲット材構成元素がTiに
固溶したTi合金相および純Ti相のいずれか1種もし
くは2種を適度に残留させることが更に望ましい。
【0013】そして、これら技術を利用することによ
り、切削工具の表面への最適なTi−Al系硬質皮膜の
コーティング技術として、その有効な皮膜コーティング
方法を確立した。すなわち、ターゲット材を用いた皮膜
コーティング方法において、酸素を0.2〜0.6質量
%含み、原子%でAlとTiの組成比率がAl/Ti:
0.4〜1.9であるTi−Al合金系ターゲット材、
あるいは更に面積率でターゲット材構成元素による金属
間化合物相が20〜90%、Tiを除くターゲット材構
成元素がTiに固溶したTi合金相および純Ti相のい
ずれか1種もしくは2種が実質的に残部を構成している
Ti−Al合金系ターゲット材を窒化雰囲気中でアーク
イオンプレーティングによって切削工具をコーティング
することを特徴とする皮膜コーティング方法である。
り、切削工具の表面への最適なTi−Al系硬質皮膜の
コーティング技術として、その有効な皮膜コーティング
方法を確立した。すなわち、ターゲット材を用いた皮膜
コーティング方法において、酸素を0.2〜0.6質量
%含み、原子%でAlとTiの組成比率がAl/Ti:
0.4〜1.9であるTi−Al合金系ターゲット材、
あるいは更に面積率でターゲット材構成元素による金属
間化合物相が20〜90%、Tiを除くターゲット材構
成元素がTiに固溶したTi合金相および純Ti相のい
ずれか1種もしくは2種が実質的に残部を構成している
Ti−Al合金系ターゲット材を窒化雰囲気中でアーク
イオンプレーティングによって切削工具をコーティング
することを特徴とする皮膜コーティング方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の重要な特徴は、反応ガス
中に多量の酸素を添加することなく、Ti−Al合金系
ターゲット材の酸素添加量を特定の範囲に規定した点で
ある。ターゲット中に適量の酸素を含有させることで、
酸素の多くは、被覆母材とターゲット材の間に発生する
プラズマ中に、ターゲット材金属元素とともに存在しイ
オン化されることから、従来のように、酸素が加熱され
た炉内全域に広がることはなくなり、成膜装置は安定し
た成膜が行えるようになる。これは、特にアークイオン
プレーティング法に適用して安定した成膜特性を発揮す
るだけでなく、切削工具に被覆した際、優れた耐摩耗
性、耐酸化性、耐凝着性、密着性を付与できる。
中に多量の酸素を添加することなく、Ti−Al合金系
ターゲット材の酸素添加量を特定の範囲に規定した点で
ある。ターゲット中に適量の酸素を含有させることで、
酸素の多くは、被覆母材とターゲット材の間に発生する
プラズマ中に、ターゲット材金属元素とともに存在しイ
オン化されることから、従来のように、酸素が加熱され
た炉内全域に広がることはなくなり、成膜装置は安定し
た成膜が行えるようになる。これは、特にアークイオン
プレーティング法に適用して安定した成膜特性を発揮す
るだけでなく、切削工具に被覆した際、優れた耐摩耗
性、耐酸化性、耐凝着性、密着性を付与できる。
【0015】最初に、本発明のTi−Al合金系ターゲ
ット材の酸素含有量について説明する。一般に減圧中で
使用されるターゲット材においては、不純物成分として
の酸素の含有量は、少ないほど良いと考えられている
が、発明者等が検討した結果、これは10−1Pa以下
の減圧下で使用されるスパッタリング用ターゲット材に
おいて該当することであり、切削工具等への硬質皮膜の
被覆を目的とするイオンプレーティングに関しては、そ
の使用圧力が10−1Pa以上のため、ある特定の範囲
内では問題の無いことを確認した。
ット材の酸素含有量について説明する。一般に減圧中で
使用されるターゲット材においては、不純物成分として
の酸素の含有量は、少ないほど良いと考えられている
が、発明者等が検討した結果、これは10−1Pa以下
の減圧下で使用されるスパッタリング用ターゲット材に
おいて該当することであり、切削工具等への硬質皮膜の
被覆を目的とするイオンプレーティングに関しては、そ
の使用圧力が10−1Pa以上のため、ある特定の範囲
内では問題の無いことを確認した。
【0016】ターゲット材中の酸素は、皮膜中に酸化物
を介在させる。これにより、皮膜硬さは若干低下するも
のの、金属に対する皮膜の化学的親和性は低下するた
め、切削時、皮膜と被加工材である金属が摩擦するよう
な場合、切削工具の刃先において凝着等の現象が抑制さ
れ、結果的に皮膜の耐摩耗性が向上する。また、従来の
Ti−Al系硬質皮膜は、皮膜中の残留圧縮応力が大き
いため、被覆母材が変形すると、皮膜が剥離しやすいと
いう欠点を有するが、本発明を適用することで、皮膜中
に介在した酸化物により残留圧縮応力は緩和され、皮膜
の密着性も向上する。特に60HRC程度の高硬度材を
乾式で高速切削するような超硬合金製コーティングエン
ドミル等では、被覆母材が超硬合金であっても切削応力
や切削時の発熱によって、工具の刃先が変形してしまう
ため、皮膜の密着性が非常に重要となる。
を介在させる。これにより、皮膜硬さは若干低下するも
のの、金属に対する皮膜の化学的親和性は低下するた
め、切削時、皮膜と被加工材である金属が摩擦するよう
な場合、切削工具の刃先において凝着等の現象が抑制さ
れ、結果的に皮膜の耐摩耗性が向上する。また、従来の
Ti−Al系硬質皮膜は、皮膜中の残留圧縮応力が大き
いため、被覆母材が変形すると、皮膜が剥離しやすいと
いう欠点を有するが、本発明を適用することで、皮膜中
に介在した酸化物により残留圧縮応力は緩和され、皮膜
の密着性も向上する。特に60HRC程度の高硬度材を
乾式で高速切削するような超硬合金製コーティングエン
ドミル等では、被覆母材が超硬合金であっても切削応力
や切削時の発熱によって、工具の刃先が変形してしまう
ため、皮膜の密着性が非常に重要となる。
【0017】このとき、ターゲット材中の酸素含有量が
0.2質量%未満であると皮膜中に酸化物が十分に形成
しないため、その効果が得られない。しかしながら、酸
素含有量が0.6%を越えるとターゲット材中に分散す
る酸化物が粗大となるため、使用中に異常放電が発生し
アークが度々失火する等、放電が極端に不安定になる。
その結果、得られる皮膜の特性も低下する。加えて、タ
ーゲット材表面も不均一に消耗するため、ターゲット材
自体の寿命が極端に短くなる。以上の理由から酸素含有
量は質量%で0.2〜0.6%に規定する。より好まし
くは0.3%を超え、0.5%以下である。
0.2質量%未満であると皮膜中に酸化物が十分に形成
しないため、その効果が得られない。しかしながら、酸
素含有量が0.6%を越えるとターゲット材中に分散す
る酸化物が粗大となるため、使用中に異常放電が発生し
アークが度々失火する等、放電が極端に不安定になる。
その結果、得られる皮膜の特性も低下する。加えて、タ
ーゲット材表面も不均一に消耗するため、ターゲット材
自体の寿命が極端に短くなる。以上の理由から酸素含有
量は質量%で0.2〜0.6%に規定する。より好まし
くは0.3%を超え、0.5%以下である。
【0018】本発明のTi−Al合金系ターゲット材の
組成について説明する。Alは、例えばアークイオンプ
レーティングのような成膜方法によって得られるTi−
Al系硬質皮膜の耐酸化性の向上、高硬度化に効果を示
す元素であり、そのAl/Tiの値が重要である。Al
/Tiが原子%で、0.4未満であるとAl含有量が少
なすぎるため上記効果が得られず、逆に1.9を越える
と皮膜の密着力低下および硬さの低下が著しい。そのた
め原子%でAlとTiの組成比率はAl/Ti:0.4
〜1.9とする。好ましく0.6〜1.5である。
組成について説明する。Alは、例えばアークイオンプ
レーティングのような成膜方法によって得られるTi−
Al系硬質皮膜の耐酸化性の向上、高硬度化に効果を示
す元素であり、そのAl/Tiの値が重要である。Al
/Tiが原子%で、0.4未満であるとAl含有量が少
なすぎるため上記効果が得られず、逆に1.9を越える
と皮膜の密着力低下および硬さの低下が著しい。そのた
め原子%でAlとTiの組成比率はAl/Ti:0.4
〜1.9とする。好ましく0.6〜1.5である。
【0019】本発明のTi−Al合金系ターゲット材
は、ドロップレット発生量を抑制する場合は、面積率で
ターゲット材構成元素による金属間化合物相が20〜9
0%、残部実質的にTiを除くターゲット材構成元素が
Tiに固溶したTi合金相および純Ti相のいずれか1
種もしくは2種であることが望ましい。通常、粉末を原
料に用いてTi−Al合金系ターゲット材を製造する場
合、純Tiおよび純Al粉末を使用するが、これにより
製造されたTi−Al合金系ターゲット材の組織には、
融点の低いAl相と融点の高いTi相が共存する。これ
をアークイオンプレーティング法に適用すると、融点の
低いAl相の溶融量が多くなり、ドロップレットの原因
となる。そのためドロップレット発生量を抑制する場合
は、各相の融点の差を小さくする目的で、ターゲット材
の組織を金属間化合物相とTi合金相および純Ti相の
いずれか1種もしくは2種で構成することが望ましい。
は、ドロップレット発生量を抑制する場合は、面積率で
ターゲット材構成元素による金属間化合物相が20〜9
0%、残部実質的にTiを除くターゲット材構成元素が
Tiに固溶したTi合金相および純Ti相のいずれか1
種もしくは2種であることが望ましい。通常、粉末を原
料に用いてTi−Al合金系ターゲット材を製造する場
合、純Tiおよび純Al粉末を使用するが、これにより
製造されたTi−Al合金系ターゲット材の組織には、
融点の低いAl相と融点の高いTi相が共存する。これ
をアークイオンプレーティング法に適用すると、融点の
低いAl相の溶融量が多くなり、ドロップレットの原因
となる。そのためドロップレット発生量を抑制する場合
は、各相の融点の差を小さくする目的で、ターゲット材
の組織を金属間化合物相とTi合金相および純Ti相の
いずれか1種もしくは2種で構成することが望ましい。
【0020】ターゲット材構成元素からなる金属間化合
物相は、Ti3Al、TiAl、TiAl3といった金
属間化合物の一種以上を主体とし、これらの金属間化合
物の面積率がターゲット材組織中において20〜90
%、残部実質的にTiを除くターゲット材構成元素がT
iに固溶したTi合金相および純Ti相のいずれか1種
もしくは2種である場合に、ドロップレットの発生量は
抑制される。これら金属間化合物相の面積率が20%未
満であると、Al含有量を本発明組成範囲内にするため
には、Al合金相が組織中に存在することとなるため、
上記効果は得られなくなり望ましくない。逆に90%を
越えるとターゲット材の強度、靭性が不足するため、使
用中にクラックや割れが発生し、異常放電の発生原因と
なる。よってターゲット材構成元素からなる金属間化合
物相は、面積率で20〜90%、残部実質的にTiを除
くターゲット材構成元素がTiに固溶したTi合金相お
よび純Ti相のいずれか1種もしくは2種であることが
望ましい。また上記金属間化合物相は、ターゲット材中
に均一分散していることが好ましく。より好ましい範囲
は25〜85%である。
物相は、Ti3Al、TiAl、TiAl3といった金
属間化合物の一種以上を主体とし、これらの金属間化合
物の面積率がターゲット材組織中において20〜90
%、残部実質的にTiを除くターゲット材構成元素がT
iに固溶したTi合金相および純Ti相のいずれか1種
もしくは2種である場合に、ドロップレットの発生量は
抑制される。これら金属間化合物相の面積率が20%未
満であると、Al含有量を本発明組成範囲内にするため
には、Al合金相が組織中に存在することとなるため、
上記効果は得られなくなり望ましくない。逆に90%を
越えるとターゲット材の強度、靭性が不足するため、使
用中にクラックや割れが発生し、異常放電の発生原因と
なる。よってターゲット材構成元素からなる金属間化合
物相は、面積率で20〜90%、残部実質的にTiを除
くターゲット材構成元素がTiに固溶したTi合金相お
よび純Ti相のいずれか1種もしくは2種であることが
望ましい。また上記金属間化合物相は、ターゲット材中
に均一分散していることが好ましく。より好ましい範囲
は25〜85%である。
【0021】本発明のTi−Al合金系ターゲット材
は、スパッタリングによる成膜にも用いることができる
が、切削工具の皮膜に用いる際には、皮膜の密着性に優
れるといった面からアークイオンプレーティング用とす
ることが最も好ましいものである。スパッタリングは、
10−1Pa以下の減圧下で使用されるため、ターゲッ
ト材中から発生する酸素が、皮膜中に含有され難いだけ
でなく、ターゲット材表面のグロー放電を不安定にす
る。一方、アークイオンプレーティングにおいては、そ
の使用圧力が10−1Pa以上、具体的には数Paと、
スパッタリングに対して高圧であるため、酸素は皮膜中
に含有されやすく、またターゲット材表面を溶融、蒸発
させるためのアーク放電は不安定になり難い。このこと
から、本発明のTi−Al合金系ターゲット材は、アー
クイオンプレーティング用とすることが最も好ましい。
は、スパッタリングによる成膜にも用いることができる
が、切削工具の皮膜に用いる際には、皮膜の密着性に優
れるといった面からアークイオンプレーティング用とす
ることが最も好ましいものである。スパッタリングは、
10−1Pa以下の減圧下で使用されるため、ターゲッ
ト材中から発生する酸素が、皮膜中に含有され難いだけ
でなく、ターゲット材表面のグロー放電を不安定にす
る。一方、アークイオンプレーティングにおいては、そ
の使用圧力が10−1Pa以上、具体的には数Paと、
スパッタリングに対して高圧であるため、酸素は皮膜中
に含有されやすく、またターゲット材表面を溶融、蒸発
させるためのアーク放電は不安定になり難い。このこと
から、本発明のTi−Al合金系ターゲット材は、アー
クイオンプレーティング用とすることが最も好ましい。
【0022】本発明のTi−Al合金系ターゲット材を
製造するにあたっては、まず、Al/Ti比が所定比率
であり、かつ酸素を0.2〜0.6質量%含む混合粉末
を加圧焼結法、例えばHIP法またはホットプレス法の
いずれかを用い圧密化する。原料として酸素を0.2〜
0.6質量%含む粉末を用いることで、本発明のTi−
Al合金系ターゲット材の製造が可能となる。この時、
圧密化の圧力等は特に限定されるものではないが、相対
密度が98%以下となるような条件では、ターゲット材
中にミクロポア等の欠陥が多数残存してしまい、ターゲ
ット材使用中の異常放電等の不具合が発生するため好ま
しくない。
製造するにあたっては、まず、Al/Ti比が所定比率
であり、かつ酸素を0.2〜0.6質量%含む混合粉末
を加圧焼結法、例えばHIP法またはホットプレス法の
いずれかを用い圧密化する。原料として酸素を0.2〜
0.6質量%含む粉末を用いることで、本発明のTi−
Al合金系ターゲット材の製造が可能となる。この時、
圧密化の圧力等は特に限定されるものではないが、相対
密度が98%以下となるような条件では、ターゲット材
中にミクロポア等の欠陥が多数残存してしまい、ターゲ
ット材使用中の異常放電等の不具合が発生するため好ま
しくない。
【0023】更にドロップレット発生量を抑制する目的
においては、ターゲット材構成元素からなる金属間化合
物粉末とTi粉末とを所定比率に混合し、酸素含有量を
0.2〜0.6質量%とした混合粉末を加圧焼結法、例
えばHIP法またはホットプレス法のいずれかを用いて
800〜1200℃で圧密化することが望ましい。使用
するターゲット材構成元素からなる金属間化合物粉末
は、Ti3Al、TiAl、TiAl3といった金属間
化合物から、所定のAl/Tiによって必要に応じて選
択できる。この時、圧密化温度が800℃未満では、圧
密化が十分でないため、ターゲット材中にミクロポア等
の欠陥が多数残存してしまうことや、各粉末間の結合が
不十分で強度不足を招く。逆に1200℃を超えて圧密
化すると、ターゲット材を構成する元素からなる金属間
化合物相が、面積率で90%を越えてしまい、ターゲッ
ト材が脆くなってしまう。そのためHIP法あるいはホ
ットプレス法による圧密化の温度は800〜1200℃
と限定する。
においては、ターゲット材構成元素からなる金属間化合
物粉末とTi粉末とを所定比率に混合し、酸素含有量を
0.2〜0.6質量%とした混合粉末を加圧焼結法、例
えばHIP法またはホットプレス法のいずれかを用いて
800〜1200℃で圧密化することが望ましい。使用
するターゲット材構成元素からなる金属間化合物粉末
は、Ti3Al、TiAl、TiAl3といった金属間
化合物から、所定のAl/Tiによって必要に応じて選
択できる。この時、圧密化温度が800℃未満では、圧
密化が十分でないため、ターゲット材中にミクロポア等
の欠陥が多数残存してしまうことや、各粉末間の結合が
不十分で強度不足を招く。逆に1200℃を超えて圧密
化すると、ターゲット材を構成する元素からなる金属間
化合物相が、面積率で90%を越えてしまい、ターゲッ
ト材が脆くなってしまう。そのためHIP法あるいはホ
ットプレス法による圧密化の温度は800〜1200℃
と限定する。
【0024】また、本発明のTi−Al合金系ターゲッ
ト材を使用して、窒化雰囲気中あるいは炭窒化雰囲気中
で、アークイオンプレーティングによって切削工具に窒
化膜あるいは炭窒化膜といったTi−Al系硬質皮膜を
コーティングすることで耐凝着性、密着性に優れる切削
工具を得ることができる。
ト材を使用して、窒化雰囲気中あるいは炭窒化雰囲気中
で、アークイオンプレーティングによって切削工具に窒
化膜あるいは炭窒化膜といったTi−Al系硬質皮膜を
コーティングすることで耐凝着性、密着性に優れる切削
工具を得ることができる。
【0025】また、本発明のターゲット材は実質的にT
i、Alとからなるものであるが、必要に応じてIVa、
Va、VIa属の金属元素ならびにSi、Bを必要に応
じ、原子%で30%以下、更には10%以下微量添加し
てもよい。更に不可避的不純物としては、H、N、C
l、Feを挙げることができるが、これらはH:0.1
質量%以下、N:0.05質量%以下、Cl:0.2質
量%以下、Fe:0.1質量%以下であることがよい。
i、Alとからなるものであるが、必要に応じてIVa、
Va、VIa属の金属元素ならびにSi、Bを必要に応
じ、原子%で30%以下、更には10%以下微量添加し
てもよい。更に不可避的不純物としては、H、N、C
l、Feを挙げることができるが、これらはH:0.1
質量%以下、N:0.05質量%以下、Cl:0.2質
量%以下、Fe:0.1質量%以下であることがよい。
【0026】
【実施例】次に実施例に基づき詳細に説明するが、本発
明は下記実施例によって限定を受けるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更が可能であ
り、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
明は下記実施例によって限定を受けるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更が可能であ
り、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0027】いずれも100メッシュ以下のTi粉末、
Al粉末およびTiAl3粉末から種々選択し、表1に
記載のターゲット材の原子量比(Al/Ti)にそれぞ
れ調整後、V型混合機により混合紛を作製し、鋼製の容
器に充填した後、これを表1に記載の条件にてHIP処
理し圧密化した。
Al粉末およびTiAl3粉末から種々選択し、表1に
記載のターゲット材の原子量比(Al/Ti)にそれぞ
れ調整後、V型混合機により混合紛を作製し、鋼製の容
器に充填した後、これを表1に記載の条件にてHIP処
理し圧密化した。
【0028】得られた成形品より機械加工によって、組
織評価用の15mm×15mm×厚み10mmのブロッ
クサンプルと、放電特性および皮膜特性を調査する目的
でφ100mm×厚み14mm、底面はφ105×厚み
2mmの固定用つばがついたターゲット材を削り出し
た。各粉末およびターゲット材に含まれる酸素量も表1
に示す。
織評価用の15mm×15mm×厚み10mmのブロッ
クサンプルと、放電特性および皮膜特性を調査する目的
でφ100mm×厚み14mm、底面はφ105×厚み
2mmの固定用つばがついたターゲット材を削り出し
た。各粉末およびターゲット材に含まれる酸素量も表1
に示す。
【0029】
【表1】
【0030】ブロックサンプルについては、X線マイク
ロアナライザーによりTi、Alの面分析を行い、ター
ゲット材構成元素からなる金属間化合物相を特定し、画
像解析によってそれらの面積率を算出し、また、X線回
折によってターゲット材を構成している金属相を定性し
た。ここで、本発明のターゲット材No.11を観察し
たSEM写真を図1に示す。濃灰色の部分が金属間化合
物相、白い部分が純Ti相、その中間色の部分がTi合
金相である。
ロアナライザーによりTi、Alの面分析を行い、ター
ゲット材構成元素からなる金属間化合物相を特定し、画
像解析によってそれらの面積率を算出し、また、X線回
折によってターゲット材を構成している金属相を定性し
た。ここで、本発明のターゲット材No.11を観察し
たSEM写真を図1に示す。濃灰色の部分が金属間化合
物相、白い部分が純Ti相、その中間色の部分がTi合
金相である。
【0031】一方、ターゲット材は、アークイオンプレ
ーティング装置の水冷カソードへ装着し、実際に成膜を
行い評価した。この時、密着性ならびにドロップレット
による面粗さの変化を評価するために、被覆面(13m
m×13mm)を鏡面研磨した超硬合金(JIS P4
0相当材)製サンプルを被覆母材として使用した。ま
た、皮膜の実用特性の評価には外径8mmの超硬合金製
6枚刃エンドミルを用いた。被覆条件は、始めに1×1
0−3Paまで真空引きし、500℃に加熱、30分間
保持した後、Ar雰囲気中1.0Paの圧力にし、被覆
母材のBias電圧を−400Vで60分間のArイオ
ンによる被覆表面の洗浄を行った後、N2雰囲気中、圧
力:3.0Pa、ターゲット材のアーク電流:100
A、被覆母材のBias電圧:−100Vにて70分の
条件で窒化膜の成膜を行った。
ーティング装置の水冷カソードへ装着し、実際に成膜を
行い評価した。この時、密着性ならびにドロップレット
による面粗さの変化を評価するために、被覆面(13m
m×13mm)を鏡面研磨した超硬合金(JIS P4
0相当材)製サンプルを被覆母材として使用した。ま
た、皮膜の実用特性の評価には外径8mmの超硬合金製
6枚刃エンドミルを用いた。被覆条件は、始めに1×1
0−3Paまで真空引きし、500℃に加熱、30分間
保持した後、Ar雰囲気中1.0Paの圧力にし、被覆
母材のBias電圧を−400Vで60分間のArイオ
ンによる被覆表面の洗浄を行った後、N2雰囲気中、圧
力:3.0Pa、ターゲット材のアーク電流:100
A、被覆母材のBias電圧:−100Vにて70分の
条件で窒化膜の成膜を行った。
【0032】ターゲット材の放電特性については、ター
ゲット上でアーク放電の失火回数で評価した。また、得
られた皮膜については、ロックウェルCスケール硬さ試
験機を用い圧痕周囲における皮膜剥離の状態を図2に示
す4段階に区分し皮膜の密着性評価を行い、触針式表面
粗さ測定機にて面粗さRy(JIS−B−0601:最
大高さ)で被覆表面のドロップレットの評価を行った。
なお、ドロップレット量が増加、もしくは粗大なドロッ
プレットが発生した場合、被覆表面の凹凸が大きくなる
ためRyは増加する。更に、皮膜の実用特性の評価につ
いては、次に示す乾式高速切削条件にて切削性能を評価
し、刃先の欠けないしは摩耗等により工具が切削不能と
なるまで加工を続け、この時の切削長を工具寿命とした
評価した。ターゲット材組織、ターゲット材の使用状
態、皮膜の評価結果を表2に示す。
ゲット上でアーク放電の失火回数で評価した。また、得
られた皮膜については、ロックウェルCスケール硬さ試
験機を用い圧痕周囲における皮膜剥離の状態を図2に示
す4段階に区分し皮膜の密着性評価を行い、触針式表面
粗さ測定機にて面粗さRy(JIS−B−0601:最
大高さ)で被覆表面のドロップレットの評価を行った。
なお、ドロップレット量が増加、もしくは粗大なドロッ
プレットが発生した場合、被覆表面の凹凸が大きくなる
ためRyは増加する。更に、皮膜の実用特性の評価につ
いては、次に示す乾式高速切削条件にて切削性能を評価
し、刃先の欠けないしは摩耗等により工具が切削不能と
なるまで加工を続け、この時の切削長を工具寿命とした
評価した。ターゲット材組織、ターゲット材の使用状
態、皮膜の評価結果を表2に示す。
【0033】(切削条件)
工具 :超硬合金製6枚刃エンドミル 外径8mm
切削方法:側面切削ダウンカット、エアーブロー
被削材 :SKD11(硬さ60HRC)
切り込み:Ad 12mm×Rd 0.2mm
切削速度:150m/min
送り :0.05mm/tooth
【0034】
【表2】
【0035】表2より明らかなように、酸素含有量なら
びにAl/Tiが本発明の範囲を外れる比較品は、その
使用状態、皮膜特性が本発明品に比べ劣ることがわか
る。特に工具寿命に著しい差が見とめられる。比較品N
o.27は従来品同等のターゲット材であり、従来品の
中では比較的工具寿命が優れるものの、酸素含有量が低
いため、本発明品の工具寿命に及ばない。図3は本発明
品No.8から得られたTi−Al窒化膜の光電子分光
装置(XPS、X−ray Photoelectro
n Spectrometer)による測定結果である
が、TiとNの結合を示すピークのほかに、TiとOの
結合を示すピークも認められ、皮膜中には酸化物も介在
していることがわかる。また、本発明品の中でも金属間
化合物相の面積率およびターゲットを構成する組織が本
発明の望ましい範囲にあるものは、工具寿命が優れるだ
けでなく、面粗さRyも小さくなるため、硬質皮膜被覆
後の表面に平滑度が必要とされるような精密仕上用切削
工具へも適用が可能となる。
びにAl/Tiが本発明の範囲を外れる比較品は、その
使用状態、皮膜特性が本発明品に比べ劣ることがわか
る。特に工具寿命に著しい差が見とめられる。比較品N
o.27は従来品同等のターゲット材であり、従来品の
中では比較的工具寿命が優れるものの、酸素含有量が低
いため、本発明品の工具寿命に及ばない。図3は本発明
品No.8から得られたTi−Al窒化膜の光電子分光
装置(XPS、X−ray Photoelectro
n Spectrometer)による測定結果である
が、TiとNの結合を示すピークのほかに、TiとOの
結合を示すピークも認められ、皮膜中には酸化物も介在
していることがわかる。また、本発明品の中でも金属間
化合物相の面積率およびターゲットを構成する組織が本
発明の望ましい範囲にあるものは、工具寿命が優れるだ
けでなく、面粗さRyも小さくなるため、硬質皮膜被覆
後の表面に平滑度が必要とされるような精密仕上用切削
工具へも適用が可能となる。
【0036】
【発明の効果】以上のように、本発明のTi−Al合金
系ターゲット材は、ターゲット材の酸素添加量を規定し
たことによって、装置に対して有害な酸素を反応ガス中
に添加することなく、酸化物の介在するTi−Al系硬
質皮膜を安定して得ることが可能となる。これにより、
切削工具に被覆した際、優れた耐摩耗性、耐酸化性、耐
凝着性、密着性を付与でき、表面皮膜のコーティングに
最適なターゲット材として供給が可能である。
系ターゲット材は、ターゲット材の酸素添加量を規定し
たことによって、装置に対して有害な酸素を反応ガス中
に添加することなく、酸化物の介在するTi−Al系硬
質皮膜を安定して得ることが可能となる。これにより、
切削工具に被覆した際、優れた耐摩耗性、耐酸化性、耐
凝着性、密着性を付与でき、表面皮膜のコーティングに
最適なターゲット材として供給が可能である。
【図1】本発明のTi−Al合金系ターゲット材の一実
施例を示すSEM組織写真である。
施例を示すSEM組織写真である。
【図2】ロックウェルCスケール硬さ試験機を用いた際
の、圧痕周囲における皮膜の密着性について優劣を示し
た図である。
の、圧痕周囲における皮膜の密着性について優劣を示し
た図である。
【図3】本発明のTi−Al合金系ターゲット材から得
られたTi−Al窒化膜の一実施例の光電子分光装置に
よる測定結果を示した図である。
られたTi−Al窒化膜の一実施例の光電子分光装置に
よる測定結果を示した図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 実質的にAlとTiとからなり、酸素を
0.2〜0.6質量%含み、原子%でAlとTiの組成
比率がAl/Ti:0.4〜1.9であることを特徴と
する切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合金系ターゲ
ット材。 - 【請求項2】 ターゲット材組織は、面積率でターゲッ
ト材構成元素による金属間化合物相が20〜90%、T
iを除くターゲット材構成元素がTiに固溶したTi合
金相および純Ti相のいずれか1種もしくは2種が実質
的に残部を構成していることを特徴とする請求項1に記
載の切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合金系ターゲ
ット材。 - 【請求項3】 ターゲット材はアークイオンプレーティ
ング用であることを特徴とする請求項1または2に記載
の切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合金系ターゲッ
ト材。 - 【請求項4】 原子%でAlとTiの組成比率をAl/
Ti:0.4〜1.9とし、酸素含有量を0.2〜0.
6質量%とした混合粉末を、加圧焼結法を用いて圧密化
することを特徴とする切削工具の表面皮膜形成用Ti−
Al合金系ターゲット材の製造方法。 - 【請求項5】 ターゲット材構成元素からなる金属間化
合物粉末とTi粉末を所定比率に混合し、酸素含有量を
0.2〜0.6質量%とした混合粉末を、加圧焼結法を
用いて800〜1200℃で圧密化し、組織中にターゲ
ット材構成元素からなる金属間化合物相と、Tiを除く
ターゲット材構成元素がTiに固溶したTi合金相およ
び純Ti相のいずれか1種もしくは2種を残留させるこ
とを特徴とする切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合
金系ターゲット材の製造方法。 - 【請求項6】 ターゲット材はアークイオンプレーティ
ング用であることを特徴とする請求項4または5に記載
の切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合金系ターゲッ
ト材の製造方法。 - 【請求項7】 請求項1または2に記載のTi−Al合
金系ターゲット材をターゲットとして窒化雰囲気中でア
ークイオンプレーティングによって切削工具をコーティ
ングすることを特徴とする皮膜コーティング方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002108818A JP2003301264A (ja) | 2002-04-11 | 2002-04-11 | 切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合金系ターゲット材およびその製造方法ならびに皮膜コーティング方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002108818A JP2003301264A (ja) | 2002-04-11 | 2002-04-11 | 切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合金系ターゲット材およびその製造方法ならびに皮膜コーティング方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2003301264A true JP2003301264A (ja) | 2003-10-24 |
Family
ID=29392452
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002108818A Pending JP2003301264A (ja) | 2002-04-11 | 2002-04-11 | 切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合金系ターゲット材およびその製造方法ならびに皮膜コーティング方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2003301264A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP1722003A1 (de) * | 2005-05-12 | 2006-11-15 | Fette GmbH | Legierter Körper als Target für das PVD-Verfahren, Verfahren zur Herstellung des legierten Körpers und PVD-Verfahren mit dem legierten Körper |
| JP2016069700A (ja) * | 2014-09-30 | 2016-05-09 | Jx金属株式会社 | Ti−Al合金スパッタリングターゲット |
| CN111438356A (zh) * | 2020-04-13 | 2020-07-24 | 河北晟华新材料科技有限公司 | 一种用于物理气相沉积的钛铝靶材及其制备方法 |
| CN113981388A (zh) * | 2021-10-25 | 2022-01-28 | 北京安泰六九新材料科技有限公司 | 一种高致密度TiAl及TiAlMe靶材的制备方法 |
-
2002
- 2002-04-11 JP JP2002108818A patent/JP2003301264A/ja active Pending
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP1722003A1 (de) * | 2005-05-12 | 2006-11-15 | Fette GmbH | Legierter Körper als Target für das PVD-Verfahren, Verfahren zur Herstellung des legierten Körpers und PVD-Verfahren mit dem legierten Körper |
| JP2016069700A (ja) * | 2014-09-30 | 2016-05-09 | Jx金属株式会社 | Ti−Al合金スパッタリングターゲット |
| TWI675116B (zh) * | 2014-09-30 | 2019-10-21 | 日商Jx日鑛日石金屬股份有限公司 | Ti-Al合金濺鍍靶 |
| CN111438356A (zh) * | 2020-04-13 | 2020-07-24 | 河北晟华新材料科技有限公司 | 一种用于物理气相沉积的钛铝靶材及其制备方法 |
| CN111438356B (zh) * | 2020-04-13 | 2022-02-22 | 河北晟华新材料科技有限公司 | 一种用于物理气相沉积的钛铝靶材及其制备方法 |
| CN113981388A (zh) * | 2021-10-25 | 2022-01-28 | 北京安泰六九新材料科技有限公司 | 一种高致密度TiAl及TiAlMe靶材的制备方法 |
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