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JP2003301264A - 切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合金系ターゲット材およびその製造方法ならびに皮膜コーティング方法 - Google Patents

切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合金系ターゲット材およびその製造方法ならびに皮膜コーティング方法

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Publication number
JP2003301264A
JP2003301264A JP2002108818A JP2002108818A JP2003301264A JP 2003301264 A JP2003301264 A JP 2003301264A JP 2002108818 A JP2002108818 A JP 2002108818A JP 2002108818 A JP2002108818 A JP 2002108818A JP 2003301264 A JP2003301264 A JP 2003301264A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
target material
alloy
coating
film
cutting tool
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002108818A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Inoue
謙一 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP2002108818A priority Critical patent/JP2003301264A/ja
Publication of JP2003301264A publication Critical patent/JP2003301264A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空蒸着用のTi−Al合金系ターゲット材
に関するものであり、特にはアークイオンプレーティン
グ法による蒸発源として、優れた耐摩耗性、耐酸化性、
耐凝着性、密着性を皮膜に付与でき、切削工具の表面皮
膜のコーティングに最適なTi−Al合金系ターゲット
材およびその製造方法と、そのターゲット材による皮膜
コーティング方法を提供する。 【解決手段】 実質的にAlとTiとからなり、酸素を
0.2〜0.6質量%含み、原子%でAlとTiの組成
比率がAl/Ti:0.4〜1.9である切削工具の皮
膜形成用Ti−Al合金系ターゲット材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、切削工具の表面皮
膜を形成させるための真空蒸着用のターゲット材に関す
るものであり、特にはアークイオンプレーティング法に
よる皮膜コーティングの際の蒸発源として有効なTi−
Al合金系ターゲット材およびその製造方法と、そのタ
ーゲット材による皮膜コーティング方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】切削工具等の表面に耐摩耗性、耐酸化性
の向上を目的として、例えばその窒化膜や炭窒化膜とい
ったTi−Al系硬質皮膜が適用されている。Ti−A
l系硬質皮膜のコーティングには、蒸発源としてTi−
Al合金系ターゲット材を使用し、前述のアークイオン
プレーティング法にて成膜を行うことが最適である。
【0003】イオンプレーティング法の1種であるアー
クイオンプレーティング法は、減圧した反応ガス雰囲気
中において、皮膜の原料となるターゲット材をアーク放
電にて瞬時に溶解、イオン化し、負に印加した被覆母材
に付着させ皮膜を形成する方法である。この時、溶解さ
れたターゲット材は、被覆母材とターゲット材の間に発
生するプラズマ中で、反応ガスとともにイオン化され
る。アークイオンプレーティング法は、電子銃等を用い
たイオンプレーティング法に比べ、蒸発金属のイオン化
率が高いため、密着力に優れた皮膜が得られることか
ら、現在ではその適用量が増加している。
【0004】一般にTi−Al系硬質皮膜は、反応ガス
として窒素を用いた窒化膜として用いられる。最近特開
平8−3750に記載されるように、例えばガス中に窒
素と酸素を同時に添加し、窒化皮膜中に酸化物を介在さ
せることで、皮膜の耐凝着性は更に良好となり、切削工
具等の性能が向上することが提案された。
【0005】Ti−Al系硬質皮膜は、皮膜中の残留圧
縮応力が大きいため、被覆母材が変形すると、皮膜が剥
離しやすいという欠点を有するが、上述の手法により、
皮膜中に酸化物を介在させることで残留圧縮応力は低下
し、皮膜の密着性が向上する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】先述のように、従来の
Ti−Al合金系ターゲット材を使用した場合、Ti−
Al系硬質皮膜に酸化物を介在させるためには、反応ガ
ス中に数%の酸素を添加する必要があるが、酸素を混合
した反応ガスは、加熱された炉内全域に広がる。そのた
め、成膜作業を繰返すにしたがい、本来、電気的に導電
性が必要とされる成膜装置真空容器内壁や、装置内に配
置される電極等の表面は、絶縁物質である酸化物によっ
て徐々に覆われることになる。これにより、成膜装置は
安定した成膜が行えなくなっていき、得られる皮膜の性
能も著しく劣化していく。このことから、酸化物が介在
するTi−Al系硬質皮膜は、実験的に成膜が可能であ
っても、工業製品としての量産には十分に適用できると
は言い難かった。
【0007】本発明はこうした事情に着目してなされた
ものであって、特に耐凝着性、密着性が要求される切削
工具の表面への最適なTi−Al合金系ターゲット材お
よびその製造方法ならびに、その有効な皮膜コーティン
グ方法を確立するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、成膜雰囲気
中に多量の酸素を導入するのではなく、特定組成のTi
−Al合金系ターゲット材自身の酸素含有量を特定の値
とすることで、切削工具としての優れた皮膜特性が得ら
れることを見出し、本発明に至った。
【0009】すなわち、本発明は実質的にAlとTiと
からなり、酸素を0.2〜0.6質量%含み、原子%で
AlとTiの組成比率がAl/Ti:0.4〜1.9で
あることを特徴とする切削工具の表面皮膜形成用Ti−
Al合金系ターゲット材である。
【0010】本発明の切削工具の表面皮膜形成用Ti−
Al合金系ターゲット材は、ターゲット材組織が、面積
率でターゲット材構成元素による金属間化合物相が20
〜90%、Tiを除くターゲット材構成元素がTiに固
溶したTi合金相および純Ti相のいずれか1種もしく
は2種が実質的に残部を構成しているTi−Al合金系
ターゲット材が更に好ましい。
【0011】また、本発明のターゲット材は、アークイ
オンプレーティング用に好ましい。
【0012】本発明のTi−Al合金系ターゲット材の
製造方法は、原子%でAlとTiの組成比率をAl/T
i:0.4〜1.9とし、酸素含有量を0.2〜0.6
質量%とした混合粉末を、加圧焼結法を用いて圧密化す
ることである。この時、ターゲット材構成元素からなる
金属間化合物粉末とTi粉末を所定比率に混合し、酸素
含有量を0.2〜0.6質量%とした混合粉末を、加圧
焼結法を用いて焼結温度800〜1200℃で圧密化す
ることで組織中にターゲット材構成元素からなる金属間
化合物相と、Tiを除くターゲット材構成元素がTiに
固溶したTi合金相および純Ti相のいずれか1種もし
くは2種を適度に残留させることが更に望ましい。
【0013】そして、これら技術を利用することによ
り、切削工具の表面への最適なTi−Al系硬質皮膜の
コーティング技術として、その有効な皮膜コーティング
方法を確立した。すなわち、ターゲット材を用いた皮膜
コーティング方法において、酸素を0.2〜0.6質量
%含み、原子%でAlとTiの組成比率がAl/Ti:
0.4〜1.9であるTi−Al合金系ターゲット材、
あるいは更に面積率でターゲット材構成元素による金属
間化合物相が20〜90%、Tiを除くターゲット材構
成元素がTiに固溶したTi合金相および純Ti相のい
ずれか1種もしくは2種が実質的に残部を構成している
Ti−Al合金系ターゲット材を窒化雰囲気中でアーク
イオンプレーティングによって切削工具をコーティング
することを特徴とする皮膜コーティング方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の重要な特徴は、反応ガス
中に多量の酸素を添加することなく、Ti−Al合金系
ターゲット材の酸素添加量を特定の範囲に規定した点で
ある。ターゲット中に適量の酸素を含有させることで、
酸素の多くは、被覆母材とターゲット材の間に発生する
プラズマ中に、ターゲット材金属元素とともに存在しイ
オン化されることから、従来のように、酸素が加熱され
た炉内全域に広がることはなくなり、成膜装置は安定し
た成膜が行えるようになる。これは、特にアークイオン
プレーティング法に適用して安定した成膜特性を発揮す
るだけでなく、切削工具に被覆した際、優れた耐摩耗
性、耐酸化性、耐凝着性、密着性を付与できる。
【0015】最初に、本発明のTi−Al合金系ターゲ
ット材の酸素含有量について説明する。一般に減圧中で
使用されるターゲット材においては、不純物成分として
の酸素の含有量は、少ないほど良いと考えられている
が、発明者等が検討した結果、これは10−1Pa以下
の減圧下で使用されるスパッタリング用ターゲット材に
おいて該当することであり、切削工具等への硬質皮膜の
被覆を目的とするイオンプレーティングに関しては、そ
の使用圧力が10−1Pa以上のため、ある特定の範囲
内では問題の無いことを確認した。
【0016】ターゲット材中の酸素は、皮膜中に酸化物
を介在させる。これにより、皮膜硬さは若干低下するも
のの、金属に対する皮膜の化学的親和性は低下するた
め、切削時、皮膜と被加工材である金属が摩擦するよう
な場合、切削工具の刃先において凝着等の現象が抑制さ
れ、結果的に皮膜の耐摩耗性が向上する。また、従来の
Ti−Al系硬質皮膜は、皮膜中の残留圧縮応力が大き
いため、被覆母材が変形すると、皮膜が剥離しやすいと
いう欠点を有するが、本発明を適用することで、皮膜中
に介在した酸化物により残留圧縮応力は緩和され、皮膜
の密着性も向上する。特に60HRC程度の高硬度材を
乾式で高速切削するような超硬合金製コーティングエン
ドミル等では、被覆母材が超硬合金であっても切削応力
や切削時の発熱によって、工具の刃先が変形してしまう
ため、皮膜の密着性が非常に重要となる。
【0017】このとき、ターゲット材中の酸素含有量が
0.2質量%未満であると皮膜中に酸化物が十分に形成
しないため、その効果が得られない。しかしながら、酸
素含有量が0.6%を越えるとターゲット材中に分散す
る酸化物が粗大となるため、使用中に異常放電が発生し
アークが度々失火する等、放電が極端に不安定になる。
その結果、得られる皮膜の特性も低下する。加えて、タ
ーゲット材表面も不均一に消耗するため、ターゲット材
自体の寿命が極端に短くなる。以上の理由から酸素含有
量は質量%で0.2〜0.6%に規定する。より好まし
くは0.3%を超え、0.5%以下である。
【0018】本発明のTi−Al合金系ターゲット材の
組成について説明する。Alは、例えばアークイオンプ
レーティングのような成膜方法によって得られるTi−
Al系硬質皮膜の耐酸化性の向上、高硬度化に効果を示
す元素であり、そのAl/Tiの値が重要である。Al
/Tiが原子%で、0.4未満であるとAl含有量が少
なすぎるため上記効果が得られず、逆に1.9を越える
と皮膜の密着力低下および硬さの低下が著しい。そのた
め原子%でAlとTiの組成比率はAl/Ti:0.4
〜1.9とする。好ましく0.6〜1.5である。
【0019】本発明のTi−Al合金系ターゲット材
は、ドロップレット発生量を抑制する場合は、面積率で
ターゲット材構成元素による金属間化合物相が20〜9
0%、残部実質的にTiを除くターゲット材構成元素が
Tiに固溶したTi合金相および純Ti相のいずれか1
種もしくは2種であることが望ましい。通常、粉末を原
料に用いてTi−Al合金系ターゲット材を製造する場
合、純Tiおよび純Al粉末を使用するが、これにより
製造されたTi−Al合金系ターゲット材の組織には、
融点の低いAl相と融点の高いTi相が共存する。これ
をアークイオンプレーティング法に適用すると、融点の
低いAl相の溶融量が多くなり、ドロップレットの原因
となる。そのためドロップレット発生量を抑制する場合
は、各相の融点の差を小さくする目的で、ターゲット材
の組織を金属間化合物相とTi合金相および純Ti相の
いずれか1種もしくは2種で構成することが望ましい。
【0020】ターゲット材構成元素からなる金属間化合
物相は、TiAl、TiAl、TiAlといった金
属間化合物の一種以上を主体とし、これらの金属間化合
物の面積率がターゲット材組織中において20〜90
%、残部実質的にTiを除くターゲット材構成元素がT
iに固溶したTi合金相および純Ti相のいずれか1種
もしくは2種である場合に、ドロップレットの発生量は
抑制される。これら金属間化合物相の面積率が20%未
満であると、Al含有量を本発明組成範囲内にするため
には、Al合金相が組織中に存在することとなるため、
上記効果は得られなくなり望ましくない。逆に90%を
越えるとターゲット材の強度、靭性が不足するため、使
用中にクラックや割れが発生し、異常放電の発生原因と
なる。よってターゲット材構成元素からなる金属間化合
物相は、面積率で20〜90%、残部実質的にTiを除
くターゲット材構成元素がTiに固溶したTi合金相お
よび純Ti相のいずれか1種もしくは2種であることが
望ましい。また上記金属間化合物相は、ターゲット材中
に均一分散していることが好ましく。より好ましい範囲
は25〜85%である。
【0021】本発明のTi−Al合金系ターゲット材
は、スパッタリングによる成膜にも用いることができる
が、切削工具の皮膜に用いる際には、皮膜の密着性に優
れるといった面からアークイオンプレーティング用とす
ることが最も好ましいものである。スパッタリングは、
10−1Pa以下の減圧下で使用されるため、ターゲッ
ト材中から発生する酸素が、皮膜中に含有され難いだけ
でなく、ターゲット材表面のグロー放電を不安定にす
る。一方、アークイオンプレーティングにおいては、そ
の使用圧力が10−1Pa以上、具体的には数Paと、
スパッタリングに対して高圧であるため、酸素は皮膜中
に含有されやすく、またターゲット材表面を溶融、蒸発
させるためのアーク放電は不安定になり難い。このこと
から、本発明のTi−Al合金系ターゲット材は、アー
クイオンプレーティング用とすることが最も好ましい。
【0022】本発明のTi−Al合金系ターゲット材を
製造するにあたっては、まず、Al/Ti比が所定比率
であり、かつ酸素を0.2〜0.6質量%含む混合粉末
を加圧焼結法、例えばHIP法またはホットプレス法の
いずれかを用い圧密化する。原料として酸素を0.2〜
0.6質量%含む粉末を用いることで、本発明のTi−
Al合金系ターゲット材の製造が可能となる。この時、
圧密化の圧力等は特に限定されるものではないが、相対
密度が98%以下となるような条件では、ターゲット材
中にミクロポア等の欠陥が多数残存してしまい、ターゲ
ット材使用中の異常放電等の不具合が発生するため好ま
しくない。
【0023】更にドロップレット発生量を抑制する目的
においては、ターゲット材構成元素からなる金属間化合
物粉末とTi粉末とを所定比率に混合し、酸素含有量を
0.2〜0.6質量%とした混合粉末を加圧焼結法、例
えばHIP法またはホットプレス法のいずれかを用いて
800〜1200℃で圧密化することが望ましい。使用
するターゲット材構成元素からなる金属間化合物粉末
は、TiAl、TiAl、TiAlといった金属間
化合物から、所定のAl/Tiによって必要に応じて選
択できる。この時、圧密化温度が800℃未満では、圧
密化が十分でないため、ターゲット材中にミクロポア等
の欠陥が多数残存してしまうことや、各粉末間の結合が
不十分で強度不足を招く。逆に1200℃を超えて圧密
化すると、ターゲット材を構成する元素からなる金属間
化合物相が、面積率で90%を越えてしまい、ターゲッ
ト材が脆くなってしまう。そのためHIP法あるいはホ
ットプレス法による圧密化の温度は800〜1200℃
と限定する。
【0024】また、本発明のTi−Al合金系ターゲッ
ト材を使用して、窒化雰囲気中あるいは炭窒化雰囲気中
で、アークイオンプレーティングによって切削工具に窒
化膜あるいは炭窒化膜といったTi−Al系硬質皮膜を
コーティングすることで耐凝着性、密着性に優れる切削
工具を得ることができる。
【0025】また、本発明のターゲット材は実質的にT
i、Alとからなるものであるが、必要に応じてIVa、
Va、VIa属の金属元素ならびにSi、Bを必要に応
じ、原子%で30%以下、更には10%以下微量添加し
てもよい。更に不可避的不純物としては、H、N、C
l、Feを挙げることができるが、これらはH:0.1
質量%以下、N:0.05質量%以下、Cl:0.2質
量%以下、Fe:0.1質量%以下であることがよい。
【0026】
【実施例】次に実施例に基づき詳細に説明するが、本発
明は下記実施例によって限定を受けるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更が可能であ
り、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0027】いずれも100メッシュ以下のTi粉末、
Al粉末およびTiAl粉末から種々選択し、表1に
記載のターゲット材の原子量比(Al/Ti)にそれぞ
れ調整後、V型混合機により混合紛を作製し、鋼製の容
器に充填した後、これを表1に記載の条件にてHIP処
理し圧密化した。
【0028】得られた成形品より機械加工によって、組
織評価用の15mm×15mm×厚み10mmのブロッ
クサンプルと、放電特性および皮膜特性を調査する目的
でφ100mm×厚み14mm、底面はφ105×厚み
2mmの固定用つばがついたターゲット材を削り出し
た。各粉末およびターゲット材に含まれる酸素量も表1
に示す。
【0029】
【表1】
【0030】ブロックサンプルについては、X線マイク
ロアナライザーによりTi、Alの面分析を行い、ター
ゲット材構成元素からなる金属間化合物相を特定し、画
像解析によってそれらの面積率を算出し、また、X線回
折によってターゲット材を構成している金属相を定性し
た。ここで、本発明のターゲット材No.11を観察し
たSEM写真を図1に示す。濃灰色の部分が金属間化合
物相、白い部分が純Ti相、その中間色の部分がTi合
金相である。
【0031】一方、ターゲット材は、アークイオンプレ
ーティング装置の水冷カソードへ装着し、実際に成膜を
行い評価した。この時、密着性ならびにドロップレット
による面粗さの変化を評価するために、被覆面(13m
m×13mm)を鏡面研磨した超硬合金(JIS P4
0相当材)製サンプルを被覆母材として使用した。ま
た、皮膜の実用特性の評価には外径8mmの超硬合金製
6枚刃エンドミルを用いた。被覆条件は、始めに1×1
−3Paまで真空引きし、500℃に加熱、30分間
保持した後、Ar雰囲気中1.0Paの圧力にし、被覆
母材のBias電圧を−400Vで60分間のArイオ
ンによる被覆表面の洗浄を行った後、N雰囲気中、圧
力:3.0Pa、ターゲット材のアーク電流:100
A、被覆母材のBias電圧:−100Vにて70分の
条件で窒化膜の成膜を行った。
【0032】ターゲット材の放電特性については、ター
ゲット上でアーク放電の失火回数で評価した。また、得
られた皮膜については、ロックウェルCスケール硬さ試
験機を用い圧痕周囲における皮膜剥離の状態を図2に示
す4段階に区分し皮膜の密着性評価を行い、触針式表面
粗さ測定機にて面粗さRy(JIS−B−0601:最
大高さ)で被覆表面のドロップレットの評価を行った。
なお、ドロップレット量が増加、もしくは粗大なドロッ
プレットが発生した場合、被覆表面の凹凸が大きくなる
ためRyは増加する。更に、皮膜の実用特性の評価につ
いては、次に示す乾式高速切削条件にて切削性能を評価
し、刃先の欠けないしは摩耗等により工具が切削不能と
なるまで加工を続け、この時の切削長を工具寿命とした
評価した。ターゲット材組織、ターゲット材の使用状
態、皮膜の評価結果を表2に示す。
【0033】(切削条件) 工具 :超硬合金製6枚刃エンドミル 外径8mm 切削方法:側面切削ダウンカット、エアーブロー 被削材 :SKD11(硬さ60HRC) 切り込み:Ad 12mm×Rd 0.2mm 切削速度:150m/min 送り :0.05mm/tooth
【0034】
【表2】
【0035】表2より明らかなように、酸素含有量なら
びにAl/Tiが本発明の範囲を外れる比較品は、その
使用状態、皮膜特性が本発明品に比べ劣ることがわか
る。特に工具寿命に著しい差が見とめられる。比較品N
o.27は従来品同等のターゲット材であり、従来品の
中では比較的工具寿命が優れるものの、酸素含有量が低
いため、本発明品の工具寿命に及ばない。図3は本発明
品No.8から得られたTi−Al窒化膜の光電子分光
装置(XPS、X−ray Photoelectro
n Spectrometer)による測定結果である
が、TiとNの結合を示すピークのほかに、TiとOの
結合を示すピークも認められ、皮膜中には酸化物も介在
していることがわかる。また、本発明品の中でも金属間
化合物相の面積率およびターゲットを構成する組織が本
発明の望ましい範囲にあるものは、工具寿命が優れるだ
けでなく、面粗さRyも小さくなるため、硬質皮膜被覆
後の表面に平滑度が必要とされるような精密仕上用切削
工具へも適用が可能となる。
【0036】
【発明の効果】以上のように、本発明のTi−Al合金
系ターゲット材は、ターゲット材の酸素添加量を規定し
たことによって、装置に対して有害な酸素を反応ガス中
に添加することなく、酸化物の介在するTi−Al系硬
質皮膜を安定して得ることが可能となる。これにより、
切削工具に被覆した際、優れた耐摩耗性、耐酸化性、耐
凝着性、密着性を付与でき、表面皮膜のコーティングに
最適なターゲット材として供給が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のTi−Al合金系ターゲット材の一実
施例を示すSEM組織写真である。
【図2】ロックウェルCスケール硬さ試験機を用いた際
の、圧痕周囲における皮膜の密着性について優劣を示し
た図である。
【図3】本発明のTi−Al合金系ターゲット材から得
られたTi−Al窒化膜の一実施例の光電子分光装置に
よる測定結果を示した図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的にAlとTiとからなり、酸素を
    0.2〜0.6質量%含み、原子%でAlとTiの組成
    比率がAl/Ti:0.4〜1.9であることを特徴と
    する切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合金系ターゲ
    ット材。
  2. 【請求項2】 ターゲット材組織は、面積率でターゲッ
    ト材構成元素による金属間化合物相が20〜90%、T
    iを除くターゲット材構成元素がTiに固溶したTi合
    金相および純Ti相のいずれか1種もしくは2種が実質
    的に残部を構成していることを特徴とする請求項1に記
    載の切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合金系ターゲ
    ット材。
  3. 【請求項3】 ターゲット材はアークイオンプレーティ
    ング用であることを特徴とする請求項1または2に記載
    の切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合金系ターゲッ
    ト材。
  4. 【請求項4】 原子%でAlとTiの組成比率をAl/
    Ti:0.4〜1.9とし、酸素含有量を0.2〜0.
    6質量%とした混合粉末を、加圧焼結法を用いて圧密化
    することを特徴とする切削工具の表面皮膜形成用Ti−
    Al合金系ターゲット材の製造方法。
  5. 【請求項5】 ターゲット材構成元素からなる金属間化
    合物粉末とTi粉末を所定比率に混合し、酸素含有量を
    0.2〜0.6質量%とした混合粉末を、加圧焼結法を
    用いて800〜1200℃で圧密化し、組織中にターゲ
    ット材構成元素からなる金属間化合物相と、Tiを除く
    ターゲット材構成元素がTiに固溶したTi合金相およ
    び純Ti相のいずれか1種もしくは2種を残留させるこ
    とを特徴とする切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合
    金系ターゲット材の製造方法。
  6. 【請求項6】 ターゲット材はアークイオンプレーティ
    ング用であることを特徴とする請求項4または5に記載
    の切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合金系ターゲッ
    ト材の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1または2に記載のTi−Al合
    金系ターゲット材をターゲットとして窒化雰囲気中でア
    ークイオンプレーティングによって切削工具をコーティ
    ングすることを特徴とする皮膜コーティング方法。
JP2002108818A 2002-04-11 2002-04-11 切削工具の表面皮膜形成用Ti−Al合金系ターゲット材およびその製造方法ならびに皮膜コーティング方法 Pending JP2003301264A (ja)

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