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WO2026014380A1 - 有機酸塩の製造方法及びペロブスカイト型複合酸化物の製造方法 - Google Patents

有機酸塩の製造方法及びペロブスカイト型複合酸化物の製造方法

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WO2026014380A1
WO2026014380A1 PCT/JP2025/024191 JP2025024191W WO2026014380A1 WO 2026014380 A1 WO2026014380 A1 WO 2026014380A1 JP 2025024191 W JP2025024191 W JP 2025024191W WO 2026014380 A1 WO2026014380 A1 WO 2026014380A1
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liquid
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諒太郎 金輪
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Nippon Chemical Industrial Co Ltd
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Abstract

粒径が小さく且つ高結晶のペロブスカイト型複合酸化物が得られる有機酸塩を工業的に有利に製造する方法を提供すること。有機酸を含有する溶液(A液)と、Aサイト元素化合物及びBサイト元素化合物を含有する溶液(B液)と、を反応容器に供給しつつ、反応容器内の液を該反応容器から排出しながら、有機酸塩の生成反応を行う有機酸塩の製造方法であり、該反応容器内で、該反応容器内の液、及び該反応容器内の液の体積に対し5.0~95.0体積%の粒状媒体を撹拌しながら、該反応容器に、該A液及び該B液を供給しつつ、該反応容器内の液を該反応容器から排出すること、を特徴とする有機酸塩の製造方法。

Description

有機酸塩の製造方法及びペロブスカイト型複合酸化物の製造方法
 本発明は、誘電体、圧電体、オプトエレクトロニクス材、半導体、センサー等の機能性セラミックの原料として有用なシュウ酸バリウムチタニル、クエン酸バリウムチタニル等の有機酸塩の製造方法に関するものである。
 従来、チタン酸バリウムに代表されるペロブスカイト型複合酸化物は、固相法、水熱合成法、アルコキシド法、シュウ酸塩法等により製造されている。
 固相法では、構成原料粉末等を混合し、該混合物を高温で加熱する乾式方法により製造するため、得られた粉末は不規則な形状を呈する凝集体を成し、また、所望の特性を達成するために高温焼成が必要である。また、水熱合成法は、粉体の特性が良好との長所にもかかわらず合成工程が複雑で、オートクレーブを用いるため生産性が劣り、製造粉末の値段が高く工業的に有利でない。また、アルコキシド法も同様、出発物質の取り扱いが難しく、値段が高く工業的に有利でない。
 シュウ酸塩法で得られるチタン酸バリウムは、水熱合成法やアルコキシド法に比べ、組成が均一なものを安価に製造することができ、また、固相法で製造したチタン酸バリウムに比べ、組成が均一であるという特徴を有する。従来のシュウ酸塩法としては、四塩化チタン等のチタン源、塩化バリウム等のバリウム源及びシュウ酸とを水等の溶媒中で反応させてシュウ酸バリウムチタニルを得た後、該シュウ酸バリウムチタニルを焼成する方法が一般的である(例えば、特許文献1~3参照)。
 このような方法で得られるシュウ酸バリウムチタニルを焼成することによりチタン酸バリウムが得られるが、結晶化度を高めるために高温で焼成すると、チタン酸バリウムが粒成長を起こしてしまい、微細なチタン酸バリウム粒子を得ることが困難であった。これを解決するために、特許文献4では、得られたシュウ酸バリウムチタニルをスラリーとした後、ボールミル、ビーズミル等の湿式粉砕装置により粉砕処理して微粒のシュウ酸バリウムチタニルを得た後、焼成することにより、従来よりも微細なチタン酸バリウム粒子が得られることが記載されている。また、特許文献5でも、同様にシュウ酸バリウムチタニルをビーズミルにより湿式粉砕して焼成したことが記載されている。
特表2005-500239号公報 特開2010-202610号公報 特開2013-63867号公報 特開2004-123431号公報 国際公開WO2003-016219号パンフレット
 特許文献4及び5のように、得られたシュウ酸バリウムチタニルを粉砕することにより、焼成して粒成長しても、ある程度、微細で高結晶なチタン酸バリウムを得ることは可能であるが、近年の機能性セラミックの原料としての特性を有するチタン酸バリウムを得るためには、更なる改善が求められている。
 従って、本発明の目的は、粒径が小さく且つ高結晶のペロブスカイト型複合酸化物が得られる有機酸塩を工業的に有利に製造する方法を提供することにある。
 本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、有機酸、Aサイト元素化合物及びBサイト元素化合物のうちのいずれか1種を含有する溶液(A液)と、有機酸、Aサイト元素化合物及びBサイト元素化合物のうち、A液に含有されていない2種を含有する溶液(B液)とを混合して反応させるときに、反応容器に、反応容器内の液の体積に対し所定量の粒状媒体を入れておき、反応容器内の液及び粒状媒体を撹拌しながら、A液と、B液と、を反応容器に供給しつつ、反応容器内の液を反応容器から排出しながら、有機酸塩の生成反応を行うことにより、反応液と共に流動する粒状媒体が、反応液中で発生した微小な結晶核に生成物が析出して、結晶が大きく成長するのを抑制するので、反応液中で、生成物の結晶が成長せず、粒径が小さい有機酸塩が得られ、得られた有機酸塩を焼成することにより、粒径が小さく且つ高結晶のペロブスカイト型複合酸化物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
 すなわち、本発明(1)は、有機酸、Aサイト元素化合物及びBサイト元素化合物のうちのいずれか1種を含有する溶液(A液)と、該有機酸、Aサイト元素化合物及びBサイト元素化合物のうち、該A液に含有されていない2種を含有する溶液(B液)と、を反応容器に供給しつつ、反応容器内の液を該反応容器から排出しながら、有機酸塩の生成反応を行う有機酸塩の製造方法であり、
 該反応容器内で、該反応容器内の液、及び該反応容器内の液の体積に対し5.0~95.0体積%の粒状媒体を撹拌しながら、該反応容器に、該A液及び該B液を供給しつつ、該反応容器内の液を該反応容器から排出すること、
を特徴とする有機酸塩の製造方法を提供するものである。
 また、本発明(2)は、前記A液が前記有機酸を含有する溶液であり、且つ、前記B液が前記Aサイト元素化合物及び前記Bサイト元素化合物を含有する溶液であることを特徴とする(1)の有機酸塩の製造方法を提供するものである。
 また、本発明(3)は、前記A液が前記Aサイト元素化合物を含有する溶液であり、且つ、前記B液が前記有機酸及び前記Bサイト元素化合物を含有する溶液であることを特徴とする(1)の有機酸塩の製造方法を提供するものである。
 また、本発明(4)は、前記A液が前記Bサイト元素化合物を含有する溶液であり、且つ、前記B液が前記有機酸及び前記Aサイト元素化合物を含有する溶液であることを特徴とする(1)の有機酸塩の製造方法を提供するものである。
 また、本発明(5)は、前記粒状媒体が、粒径0.005~10.0mmのビーズであることを特徴とする(1)~(4)いずれかの有機酸塩の製造方法を提供するものである。
 また、本発明(6)は、前記ビーズが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート及びポリスチレンからなる群から選択される少なくとも1種である樹脂ビーズであることを特徴とする(5)の有機酸塩の製造方法を提供するものである。
 また、本発明(7)は、前記ビーズが、ジルコニア、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素及び窒化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1種であるセラミックビーズであることを特徴とする(5)の有機酸塩の製造方法を提供するものである。
 また、本発明(8)は、前記有機酸が、シュウ酸、クエン酸、マロン酸及びコハク酸からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする(1)~(7)いずれかの有機酸塩の製造方法を提供するものである。
 また、本発明(9)は、前記B液中のAサイト元素化合物がBa、Ca、Mg及びSrからなる群から選択される少なくとも1種を含む化合物であり、前記Bサイト元素化合物がTi、Zr、V、Nb、Cr、B、Al、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Sc、Ta、Ru、Ir、Ga、In及びSnからなる群から選択される少なくとも1種を含む化合物であることを特徴とする(1)~(8)いずれかの有機酸塩の製造方法を提供するものである。
 また、本発明(10)は、生成される有機酸塩の前記反応容器内の滞留時間が、10分以下であることを特徴とする(1)~(9)いずれかの有機酸塩の製造方法を提供するものである。
 また、本発明(11)は、前記反応容器内の液の温度が75℃以下であることを特徴とする(1)~(10)いずれかの有機酸塩の製造方法を提供するものである。
 また、本発明(12)は、生成される有機酸塩の平均粒子径が50μm以下であることを特徴とする(1)~(11)いずれかの有機酸塩の製造方法を提供するものである。
 また、本発明(13)は、(1)~(12)いずれかの製造方法で得られた有機酸塩を焼成することにより、ペロブスカイト型複合酸化物を得ることを特徴とするペロブスカイト型複合酸化物の製造方法を提供するものである。
 本発明によれば、粒径が小さく且つ高結晶のペロブスカイト型複合酸化物が得られる有機酸塩を工業的に有利に製造することができる。
本発明の有機酸塩の製造方法を行うための形態例の反応装置である。 実施例1において焼成温度750℃で得られたチタン酸バリウムの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例1において焼成温度750℃で得られたチタン酸バリウムの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
 本発明の有機酸塩の製造方法は、有機酸、Aサイト元素化合物及びBサイト元素化合物のうちのいずれか1種を含有する溶液(A液)と、該有機酸、Aサイト元素化合物及びBサイト元素化合物のうち、該A液に含有されていない2種を含有する溶液(B液)と、を反応容器に供給しつつ、反応容器内の液を該反応容器から排出しながら、有機酸塩の生成反応を行う有機酸塩の製造方法であり、
 該反応容器内で、該反応容器内の液、及び該反応容器内の液の体積に対し5.0~95.0体積%の粒状媒体を撹拌しながら、該反応容器に、該A液及び該B液を供給しつつ、該反応容器内の液を該反応容器から排出すること、
を特徴とする有機酸塩の製造方法である。
 本発明の有機酸塩の製造方法のうち、本発明の第一の形態の有機酸塩の製造方法は、有機酸を含有する溶液(A液)と、Aサイト元素化合物及びBサイト元素化合物を含有する溶液(B液)と、を反応容器に供給しつつ、反応容器内の液を該反応容器から排出しながら、有機酸塩の生成反応を行う有機酸塩の製造方法であり、
 該反応容器内で、該反応容器内の液、及び該反応容器内の液の体積に対し5.0~95.0体積%の粒状媒体を撹拌しながら、該反応容器に、該A液及び該B液を供給しつつ、該反応容器内の液を該反応容器から排出すること、
を特徴とする有機酸塩の製造方法である。
 また、本発明の有機酸塩の製造方法のうち、本発明の第二の形態の有機酸塩の製造方法は、Aサイト元素化合物を含有する溶液(A液)と、有機酸及びBサイト元素化合物を含有する溶液(B液)と、を反応容器に供給しつつ、反応容器内の液を該反応容器から排出しながら、有機酸塩の生成反応を行う有機酸塩の製造方法であり、
 該反応容器内で、該反応容器内の液、及び該反応容器内の液の体積に対し5.0~95.0体積%の粒状媒体を撹拌しながら、該反応容器に、該A液及び該B液を供給しつつ、該反応容器内の液を該反応容器から排出すること、
を特徴とする有機酸塩の製造方法である。
 また、本発明の有機酸塩の製造方法のうち、本発明の第三の形態の有機酸塩の製造方法は、Bサイト元素化合物を含有する溶液(A液)と、有機酸及びAサイト元素化合物を含有する溶液(B液)と、を反応容器に供給しつつ、反応容器内の液を該反応容器から排出しながら、有機酸塩の生成反応を行う有機酸塩の製造方法であり、
 該反応容器内で、該反応容器内の液、及び該反応容器内の液の体積に対し5.0~95.0体積%の粒状媒体を撹拌しながら、該反応容器に、該A液及び該B液を供給しつつ、該反応容器内の液を該反応容器から排出すること、
を特徴とする有機酸塩の製造方法である。
 本発明の第一の形態、第二の形態及び第三の形態の有機酸塩の製造方法は、A液及びB液に、有機酸、Aサイト元素化合物及びBサイト元素化合物のうちのいずれを含有させるかという点においては異なるものの、共通する点もある。そのため、本発明の第一の形態、第二の形態及び第三の形態の有機酸塩の製造方法に共通する点については、本発明の第一の形態、第二の形態及び第三の形態の有機酸塩の製造方法を、総称して本発明の有機酸塩の製造方法と記載し説明する。
 本発明の有機酸塩の製造方法は、反応原料溶液として、A液及びB液の2種類の溶液を用いて、これらの2種類の溶液を混合して、反応させることにより、有機酸塩を得る有機酸塩の製造方法である。そして、本発明の第一の形態の有機酸塩の製造方法では、A液が有機酸を含有する溶液であり、且つ、B液がAサイト元素化合物及びBサイト元素化合物を含有する溶液である。また、本発明の第二の形態の有機酸塩の製造方法では、A液がAサイト元素化合物を含有する溶液であり、且つ、B液が有機酸及びBサイト元素化合物を含有する溶液である。また、本発明の第三の形態の有機酸塩の製造方法では、A液がBサイト元素化合物を含有する溶液であり、且つ、B液が有機酸及びAサイト元素化合物を含有する溶液である。
 本発明の有機酸塩の製造方法に係る有機酸としては、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、アスパラギン酸及びコハク酸等が挙げられる。有機酸は、1種であっても、2種以上の併用であってもよい。これらの中、有機酸としては、シュウ酸が好ましい。
 本発明の有機酸塩の製造方法に係るAサイト元素とは、ABO型のペロブスカイト型の複合酸化物において、Aサイトを占める元素を指し、また、Bサイト元素とは、ABO型のペロブスカイト型の複合酸化物において、Bサイトを占める元素を指す。つまり、本発明の有機酸塩の製造方法により得られる有機酸塩は、ABO型のペロブスカイト型の複合酸化物の焼成原料であり、本発明の有機酸塩の製造方法により得られる有機酸塩を焼成することにより、ABO型のペロブスカイト型の複合酸化物を得ることができる。
 本発明の有機酸塩の製造方法に係るAサイト元素としては、Ba、Ca、Mg及びSrからなる群から選択される少なくとも1種以上が挙げられる。
 本発明の有機酸塩の製造方法に係るAサイト元素化合物としては、Aサイト元素の塩化物、炭酸塩、水酸化物、酢酸塩、硝酸塩、ギ酸塩、酸化物等が挙げられる。Aサイト元素化合物は、1種であっても、2種以上の併用であってもよい。Aサイト元素化合物としては、塩化バリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ストロンチウム、酢酸バリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、硝酸バリウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸ストロンチウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び水酸化ストロンチウムからなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
 本発明の有機酸塩の製造方法に係るBサイト元素としては、Ti、Zr、V、Nb、Cr、B、Al、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Sc、Ta、Ru、Ir、Ga、In及びSnからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられ、好ましくはTi、Zrである。
 本発明の有機酸塩の製造方法に係るBサイト元素化合物としては、Bサイト元素の塩化物、乳酸塩、アルコキシド、酢酸塩、水酸化物等が挙げられる。Bサイト元素化合物としては、四塩化チタン、四塩化ジルコニウム、乳酸チタン、乳酸ジルコニウム等が挙げられる。Bサイト元素化合物は、1種であっても、2種以上の併用であってもよい。
 本発明の有機酸塩の製造方法に係るA液の溶媒は、水溶媒、有機溶媒、あるいはこれらの混合溶媒が挙げられ、取り扱いが容易であり、微粒の有機酸塩を得る観点から、水溶媒であることが好ましい。水溶媒としては、純水、イオン交換水等の高純度水、又はこれらの高純度水と親水性の有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。
 本発明の有機酸塩の製造方法に係るB液の溶媒は、水溶媒、有機溶媒、あるいはこれらの混合溶媒が挙げられ、取り扱いが容易であり、微粒の有機酸塩を得る観点から、水溶媒であることが好ましい。水溶媒としては、純水、イオン交換水等の高純度水、又はこれらの高純度水と親水性の有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。
 A液及びB液に係る有機溶媒としては、親水性であり原料に対して不活性なものであれば特に制限されず、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジエチルエーテル、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、N,N-ジメチルホルムアミド及びアセトンからなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。水と有機溶媒との混合溶媒、複数の有機溶媒の混合溶媒の場合、これらの混合比は適宜選択される。
 本発明の有機酸塩の製造方法におけるA液又はB液中の有機酸イオンの濃度、すなわち、本発明の第一の形態の有機酸塩の製造方法におけるA液中の有機酸イオンの濃度、本発明の第二の形態の有機酸塩の製造方法におけるB液中の有機酸イオンの濃度、本発明の第三の形態の有機酸塩の製造方法におけるB液中の有機酸イオンの濃度は、特に制限されないが、好ましくは0.10~7.0mol/L、特に好ましくは0.60~5.0mol/Lである。
 本発明の有機酸塩の製造方法におけるA液又はB液中のAサイト元素イオンの濃度、すなわち、本発明の第一の形態の有機酸塩の製造方法におけるB液中のAサイト元素イオンの濃度、本発明の第二の形態の有機酸塩の製造方法におけるA液中のAサイト元素イオンの濃度、本発明の第三の形態の有機酸塩の製造方法におけるB液中のAサイト元素イオンの濃度は、特に制限されないが、好ましくは0.010~6.5mol/L、特に好ましくは0.10~3.0mol/Lである。
 本発明の有機酸塩の製造方法におけるA液又はB液中のBサイト元素イオンの濃度、すなわち、本発明の第一の形態の有機酸塩の製造方法におけるB液中のBサイト元素イオンの濃度、本発明の第二の形態の有機酸塩の製造方法におけるB液中のBサイト元素イオンの濃度、本発明の第三の形態の有機酸塩の製造方法におけるA液中のAサイト元素イオンの濃度は、特に制限されないが、好ましくは0.010~4.0mol/L、特に好ましくは0.10~3.0mol/Lである。
 本発明の有機酸塩の製造方法におけるAサイト元素とBサイト元素の原子換算のモル比は、有機酸塩の焼成を経て得ようとするABO型のペロブスカイト型の複合酸化物のモル比により、適宜選択される。このとき、2種以上のAサイト元素を用いる場合、Aサイト元素の原子換算のモル数は、それら2種以上のAサイト元素の原子換算の合計モルを指し、また、2種以上のBサイト元素を用いる場合、Bサイト元素の原子換算のモル数は、それら2種以上のBサイト元素の原子換算の合計モルを指す。本発明の有機酸塩の製造方法におけるAサイト元素の原子換算の合計モルとBサイト元素の原子換算の合計モルの比(Aサイト元素/Bサイト元素)は、例えば、0.10~25.0、好ましくは0.20~15.0である。例えば、本発明の第一の形態の有機酸塩の製造方法におけるB液中のAサイト元素の原子換算の合計モルとBサイト元素の原子換算の合計モルの比(Aサイト元素/Bサイト元素)は、0.10~25.0、好ましくは0.20~15.0である。また、本発明の第二の形態の有機酸塩の製造方法において使用するA液中のAサイト元素の原子換算の合計モルとB液中のBサイト元素の原子換算の合計モルの比(Aサイト元素/Bサイト元素)は、例えば、0.10~25.0、好ましくは0.20~15.0である。また、例えば、本発明の第三の形態の有機酸塩の製造方法において使用するB液中のAサイト元素の原子換算の合計モルとA液中のBサイト元素の原子換算の合計モルの比(Aサイト元素/Bサイト元素)は、例えば、0.10~25.0、好ましくは0.20~15.0である。
 本発明の有機酸塩の製造方法において、有機酸のモル数に対するAサイト元素及びBサイト元素の原子換算の合計モル数の比は、好ましくは0.01~20.0、特に好ましくは0.10~10.0である。本発明の第一の形態の有機酸塩の製造方法において使用するA液中の有機酸のモル数に対するB液中のAサイト元素及びBサイト元素の原子換算の合計モル数の比は、好ましくは0.01~20.0、特に好ましくは0.10~10.0である。また、本発明の第二の形態の有機酸塩の製造方法において使用するB液中の有機酸のモル数に対するA液中のAサイト元素及びB液中のBサイト元素の原子換算の合計モル数の比は、好ましくは0.01~20.0、特に好ましくは0.10~10.0である。また、本発明の第三の形態の有機酸塩の製造方法において使用するB液中の有機酸のモル数に対するB液中のAサイト元素及びA液中のBサイト元素の原子換算の合計モル数の比は、好ましくは0.01~20.0、特に好ましくは0.10~10.0である。
 本発明の有機酸塩の製造方法では、反応容器内で、反応容器内の液及び粒状媒体を撹拌しながら、反応容器に、A液及びB液を供給しつつ、反応容器内の液を反応容器から排出することにより、反応容器内で、A液とB液とを混合して反応させる。
 本発明の有機酸塩の製造方法では、反応容器で、反応容器内の液(反応液)と共に、粒状媒体を撹拌するが、このとき、粒状媒体の充填率を、反応容器内の液に対する体積割合で、5.0~95.0体積%、好ましくは7.0~90.0体積%、より好ましくは10.0~85.0体積%とする。粒状媒体の充填率を上記範囲にすることにより、反応容器内の液と共に流動する粒状媒体により、反応容器内の液中で発生した微小な結晶核に、生成物が析出して、結晶が大きく成長することが抑制されるので、粒径が小さい有機酸塩が得られる。一方、粒状媒体の充填率が、上記範囲未満だと、粒状媒体による微小な結晶核への生成物の析出が抑制される効果が得られ難く、粒径が小さい有機酸塩が得られ難くなり、また、上記範囲を超えると、反応容器内の液の仕込み量が少なくなり、撹拌を首尾よく行うことができず、反応容器内の液と粒状媒体との接触が少なくなるため、本発明の効果が得られ難くなる。
 本発明の有機酸塩の製造方法で使用されるビーズやボールといった粒状媒体の材質としては、例えば、樹脂、セラミック、ゼオライト等が挙げられる。これらのうち、耐薬品性や粒状媒体の摩耗によるコンタミ防止の観点や生成粒子との分離が容易である観点からは、粒状媒体は樹脂であることが好ましい。また、耐薬品性や生成する粒子を高効率で細かくできる観点からは、粒状媒体はセラミックであることが好ましい。
 粒状媒体に係る樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンからなる群から選択される少なくとも1種である樹脂ビーズ又は樹脂ボールであることが好ましく、生成する有機酸塩を効果的に細かくできる観点から樹脂ビーズであることが特に好ましい。
 粒状媒体として樹脂ビーズを使用する場合、ビーズの直径は、0.005~10.0mm、特に0.01~6.0mmであることが好ましい。
 粒状媒体に係るセラミックとしては、ジルコニア、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、窒化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1種であるセラミックビーズ又はセラミックボールであることが好ましく、生成する有機酸塩を効果的に細かくできる観点からセラミックビーズであることが特に好ましい。
 粒状媒体としてセラミックビーズを使用する場合、ビーズの直径は、0.005~10.0mm、特に0.01~6.0mmであることが好ましい。
 本発明の有機酸塩の製造方法に係る反応容器としては、反応容器内の液及び粒状媒体を撹拌し、反応容器内の液と共に粒状媒体を流動させることができるものであれば特に制限されない。本発明の有機酸塩の製造方法において、反応容器内の液及び粒状媒体を撹拌しながら、反応容器内の液に、A液及びB液を供給しつつ、反応容器内の液を反応容器から排出しながら、A液とB液を混合する。反応させる装置としては、例えば、撹拌機を装着した反応容器、ビーズミル装置、ボールミル装置等が挙げられる。
 反応容器内で、反応容器内の液及び粒状媒体を、撹拌するときの撹拌速度は、周速度で、0.5Lスケールでは、1~15m/分が好ましく、2~12m/分が特に好ましい。また、100Lスケールでは、3~18m/分が好ましく、6~15m/分が特に好ましい。また、10000Lスケールでは、50~200m/分が好ましく、80~180m/分が特に好ましい。また、50000Lスケールでは、200~1200m/分が好ましく、500~900m/分が特に好ましい。反応容器内で、反応容器内の液及び粒状媒体を、撹拌するときの撹拌速度が、上記範囲にあることにより、反応液中で移動する粒状媒体により、反応液中で発生した微小な結晶核に、生成物が析出して、結晶が大きく成長することが抑制されるので、粒径が小さい有機酸塩が得られる。一方、反応容器内で、反応容器内の液及び粒状媒体を、撹拌するときの撹拌速度が、上記範囲未満だと、反応液中で発生した微小な結晶核の形成速度が速くなり、粒成長が起こるため粒径の大きい有機酸塩となり、また、上記範囲を超えると、粒状媒体が摩耗或いは粉砕され易くなり、コンタミや有機酸塩の組成ずれに繋がる他、反応液が飛散してしまい作業環境が悪化し易くなる。
 反応容器内で、反応容器内の液及び粒状媒体を、撹拌するときの撹拌条件は、例えば、反応容器として、撹拌器を備える反応装置を用いる場合、反応容器内の液に対する粒状媒体の充填率(体積割合)が、5.0~90.0体積%、好ましくは7.0~85.0体積%、より好ましくは10.0~80.0体積%であり、また、撹拌速度が、50~1000rpm、好ましくは100~800rpm、より好ましくは150~500rpmである。
 反応容器内で、反応容器内の液及び粒状媒体を、撹拌するときの撹拌条件は、例えば、反応容器として、ビーズミル装置を用いる場合、反応容器内の液に対する粒状媒体の充填率(体積割合)が、5.0~95.0体積%、好ましくは7.0~85.0体積%、より好ましくは10.0~80.0体積%であり、また、撹拌するときの撹拌速度は、周速度で、1~15m/分が好ましく、2~12m/分が特に好ましい。
 本発明の有機酸塩の製造方法では、反応容器内の液及び粒状媒体を撹拌しながら、A液及びB液のそれぞれを、別々の供給口から、反応容器に同時に連続して供給する。
 反応容器に、A液を供給するときのA液の供給速度は、実施する規模にもよるが、例えば、0.5Lスケールでは、0.25ml/分以上が好ましく、0.5ml/分以上が特に好ましい。また、100Lスケールでは、0.03L/分以上が好ましく、0.05L/分が特に好ましい。また、10000Lスケールでは、5L/分以上が好ましく、10L/分以上が特に好ましい。また、50000Lスケールでは、10L/分以上が好ましく、20L/分以上が特に好ましい。A液の供給速度を上記範囲とすることにより、微細な有機酸塩を得易くなる。なお、上記供給速度を満たしていれば上限は特に制限されない。
 反応容器に、B液を供給するときのB液の供給速度は、実施する規模にもよるが、例えば、0.5Lスケールでは、0.25ml/分以上が好ましく、0.5ml/分以上が特に好ましい。また、100Lスケールでは、0.03L/分以上が好ましく、0.05L/分が特に好ましい。また、10000Lスケールでは、5L/分以上が好ましく、10L/分以上が特に好ましい。また、50000Lスケールでは、10L/分以上が好ましく、20L/分以上が特に好ましい。B液の供給速度を上記範囲とすることにより、微細な有機酸塩を得易くなる。なお、上記供給速度を満たしていれば上限は特に制限されない。
 そして、本発明の有機酸塩の製造方法では、反応容器内の液及び粒状媒体を撹拌しながら、A液及びB液を反応容器に同時に連続して供給しつつ、反応容器内で、反応容器内の液の体積が略一定に保たれるように、反応容器内の液を反応容器外へ排出する。このことにより、本発明の有機酸塩の製造方法では、連続フローで、A液とB液の反応による有機酸塩の製造を行う。
 なお、A液及びB液の供給を開始する前の本発明の有機酸塩の製造方法を行うための準備段階では、反応容器内には、A液とB液との反応液が存在しないため、例えば、反応容器には、A液又はB液の調製に用いた溶媒と同様の溶媒を張り込んでおき、所定量の粒状媒体を入れておく。次いで、反応容器内の溶媒及び粒状媒体を撹拌しながら、反応容器へのA液及びB液の供給を開始することにより、本発明の有機酸塩の製造方法を開始する。
 例えば、図1に示すように、反応容器5の下部に繋がるA液の供給管8と、B液の供給管9と、反応容器5の上部側壁に繋がる反応容器内の液の排出管10と、撹拌機6と、有する反応容器5を用いて、反応容器5内で、反応容器内の液3及び粒状媒体7を撹拌しながら、反応容器5に、A液の供給管からA液1と、B液の供給管9からB液2を、同時に連続して供給しつつ、オーバーフローする反応容器内の液3を、反応容器内の液の排出管10より、反応容器5の外に排出して、反応容器5内で、A液1とB液2とを混合して反応させ、A液とB液の反応による有機酸塩の製造を連続的に行う。なお、図1は、本発明の有機酸塩の製造方法を行うための形態例の反応装置であり、また、上述した図1に示す反応装置を用いる有機酸塩の製造方法は、本発明の有機酸塩の製造方法の形態例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
 本発明の有機酸塩の製造方法において、A液と、B液と、を反応容器に供給しつつ、反応容器内の液を反応容器から排出する方法としては、縦置きの反応容器、例えば、撹拌装置を備える反応容器の下部から、A液及びB液のそれぞれを、別々の供給口から、反応容器に同時に連続して供給しつつ、反応容器の上方から、反応容器内の液を排出する方法や、横置きの反応容器、例えば、撹拌装置を備える反応容器の横方向の一方の端から、A液及びB液のそれぞれを、別々の供給口から、反応容器に同時に連続して供給しつつ、横方向の他方の端から、反応容器内の液を排出する方法等が挙げられる。
 反応容器内の液に、A液及びB液を供給するときの温度、すなわち、反応容器内の液の温度は、好ましくは75℃以下、より好ましくは5~70℃、特に好ましくは10~65℃である。反応容器内の液の温度を上記範囲とすることにより、微細な有機酸塩を得易くなる。
 本発明の第一の形態の有機酸塩の製造方法におけるA液とB液の混合比は、A液中の有機酸のモル数に対するB液中のAサイト元素及びBサイト元素の原子換算の合計モル数の比が、好ましくは0.01~20.0、特に好ましくは0.10~10.0となる混合比である。また、本発明の第二の形態の有機酸塩の製造方法におけるA液とB液の混合比は、B液中の有機酸のモル数に対するA液中のAサイト元素及びB液中のBサイト元素の原子換算の合計モル数の比が、好ましくは0.01~20.0、特に好ましくは0.10~10.0となる混合比である。また、本発明の第三の形態の有機酸塩の製造方法におけるA液とB液の混合比は、B液中の有機酸のモル数に対するB液中のAサイト元素及びA液中のBサイト元素の原子換算の合計モル数の比が、好ましくは0.01~20.0、特に好ましくは0.10~10.0となる混合比である。
 また、本発明の第二の形態の有機酸塩の製造方法におけるA液とB液の混合比は、A液中のAサイト元素の原子換算の合計モルとB液中のBサイト元素の原子換算の合計モルの比(Aサイト元素/Bサイト元素)が、好ましくは0.10~25.0、特に好ましくは0.20~15.0となる混合比である。また、本発明の第三の形態の有機酸塩の製造方法におけるA液とB液の混合比は、B液中のAサイト元素の原子換算の合計モルとA液中のBサイト元素の原子換算の合計モルの比(Aサイト元素/Bサイト元素)が、好ましくは0.10~25.0、特に好ましくは0.20~15.0となる混合比である。
 生成される有機酸塩の反応容器内の滞留時間は、好ましくは10分以下、より好ましくは1秒~10分間、特に好ましくは2秒~8分間である。生成される有機酸塩の反応容器内の滞留時間が、上記範囲内にあることにより、微粒の有機酸塩を得やすくなる。なお、生成される有機酸塩の反応容器内の滞留時間は、下記式により計算される。
   生成される有機酸塩の反応容器内の滞留時間(分)=反応容器内の液量(L)/反応容器内の液の排出速度(L/分)
 本発明の有機酸塩の製造方法では、レーザー回折散乱法から求められる有機酸塩の平均粒子径が、好ましくは50μm以下、より好ましくは0.01~40μmとなるように、反応容器、粒状媒体の充填率、A液又はB液の供給速度、反応容器内の液の温度、滞留時間等を適宜選択する。有機酸塩の平均粒子径が、上記範囲である有機酸塩を得ることにより、有機酸塩を焼成して得られるペロブスカイト型複合酸化物が、微細で粒子径のばらつきの小さいものが得られる。
 次いで、本発明の有機酸塩の製造方法では、反応容器から排出される反応容器内の液の固液分離を行う。
 また、固液分離を行った後は、固形分を水洗する。水洗方法としては、特に制限されないが、固形物を水に再分散するなどして洗浄を行うことが、洗浄効率が高い点で好ましい。洗浄後、固形分を乾燥し、必要に応じて粉砕して有機酸塩を得る。
 本発明の有機酸塩の製造方法では、反応容器から排出した反応容器内の液を、固液分離する前に、別容器にて熟成を行ってもよい。熟成を行う場合、熟成温度は、好ましくは10℃以上、より好ましくは5~70℃、特に好ましくは10~65℃であり、熟成時間は、好ましくは0.1~4時間、特に好ましくは0.5~3時間である。この条件で熟成を行うことにより、粒子が安定しつつ、不必要な粒成長が生じないため好ましい。
 本発明の有機酸塩の製造方法を行い得られる有機酸塩の平均粒子径は、好ましくは50μm以下、より好ましくは0.01~40μmである。なお、本発明において有機酸塩の平均粒子径は、凝集体(二次粒子)の粒子径であり、レーザー回折散乱法により測定したD50を平均粒子径とする。
 本発明の有機酸塩の製造方法により得られる有機酸塩は、誘電体セラミック材料のペロブスカイト型複合酸化物系セラミックの製造原料として好適に用いられる。本発明のペロブスカイト型複合酸化物の製造方法は以下の通りである。
 本発明のペロブスカイト型複合酸化物の製造方法は、本発明の有機酸塩の製造方法により得られた有機酸塩を焼成することを特徴とするものである。
 最終製品に含まれる有機酸由来の有機物は、材料の誘電体特性を損なうとともに、セラミック化のための熱工程における挙動の不安定要因となるので好ましくない。従って、本発明では焼成により有機酸塩を熱分解して目的とするペロブスカイト型複合酸化物を得ると共に、有機酸由来の有機物を十分除去する必要がある。焼成条件は、焼成温度が好ましくは600~1200℃、更に好ましくは620~1100℃である。焼成温度が600℃未満では、ペロブスカイト型複合酸化物が一部しか生成していない、或いは、単一相のペロブスカイト型複合酸化物が得られにくい。一方、焼成温度が1200℃を超えると、粒径のバラツキが大きくなる。焼成時間は好ましくは0.5~30時間、更に好ましくは1~20時間である。また、焼成雰囲気は、特に制限されず、不活性ガス雰囲気下、真空雰囲気下、酸化性ガス雰囲気下、大気中のいずれであってもよく、或いは水蒸気を導入しながら前記雰囲気中で焼成を行ってもよい。
  焼成は所望により何度行ってもよい。或いは、粉体特性を均一にする目的で、一度焼成したものを粉砕し、次いで再焼成を行ってもよい。
  焼成後、適宜冷却し、必要に応じ粉砕してペロブスカイト型複合酸化物の粉末を得る。必要に応じて行われる粉砕は、焼成して得られるペロブスカイト型複合酸化物がもろくブロック状のものである場合等に適宜行うが、ペロブスカイト型複合酸化物の粒子自体は下記特定の平均粒径、BET比表面積を有するものである。即ち、前記で得られるペロブスカイト型複合酸化物の粉末は、レーザー回折散乱法から求められる二次粒子(凝集体)の平均粒径が好ましくは30μm以下、更に好ましくは0.2~20μmである。また、前記で得られるペロブスカイト型複合酸化物の一次粒子の平均粒径は、好ましくは10~700nm、更に好ましくは20~600nmである。なお、ペロブスカイト型複合酸化物の一次粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)写真から任意に200個の粒子を測定し、その平均値から求められる一次粒子の平均粒径である。BET比表面積は、好ましくは2~100m/gである。更に、本発明の製造方法で得られるペロブスカイト型複合酸化物の組成は、Ba、Ca、Mg、Sr等のAサイト元素とTi、Zr等のBサイト元素のモル比(Aサイト元素/Bサイト元素)が0.998~1.004、特に0.999~1.003であることが好ましい。また、結晶性の指標となるc軸/a軸は、ペロブスカイト型複合酸化物の比表面積が15m/g以上の範囲では、1.0030~1.0095が好ましく、1.0035~1.0090が特に好ましい。焼成温度が高くなると粒成長が生じるため、比表面積が15m/g未満の範囲となるが、その範囲では、c軸/a軸は、1.0040超が好ましく、1.0043以上が特に好ましい。
  また、本発明のペロブスカイト型複合酸化物の製造方法を行い得られるペロブスカイト型複合酸化物には、必要により誘電特性や温度特性を調整する目的で、副成分元素含有化合物を本発明のペロブスカイト型複合酸化物の製造方法を行い得られるペロブスカイト型複合酸化物に添加して、副成分元素を含有させることができる。用いることができる副成分元素含有化合物としては、例えば、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの希土類元素、Ba、Li、Bi、Zn、Mn、Al、Si、Ca、Sr、Co、Ni、Cr、Fe、Mg、Ti、V、Nb、Mo、W及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物が挙げられる。
  副成分元素含有化合物は、無機物又は有機物のいずれであってもよい。例えば、前記の元素を含む酸化物、水酸化物、塩化物、硝酸塩、蓚酸塩、カルボン酸塩及びアルコキシド等が挙げられる。副成分元素含有化合物がSi元素を含有する化合物である場合は、酸化物等に加えて、シリカゾルや珪酸ナトリウム等も用いることができる。副成分元素含有化合物は1種又は2種以上適宜組み合わせて用いることができる。その添加量や添加化合物の組み合わせは、常法に従って行えばよい。
  ペロブスカイト型複合酸化物に副成分元素を含有させるには、例えば、ペロブスカイト型複合酸化物と副成分元素含有化合物を均一混合後、焼成を行えばよい。或いは、有機酸塩と副成分元素含有化合物を均一混合後、焼成を行ってもよい。
  本発明のペロブスカイト型複合酸化物の製造方法を行い得られたペロブスカイト型複合酸化物を用いて、例えば積層セラミックコンデンサを製造する場合には、先ず、ペロブスカイト型複合酸化物の粉末を、副成分元素を含め従来公知の添加剤、有機系バインダ、可塑剤、分散剤等の配合剤と共に適当な溶媒中に混合分散させてスラリー化し、シート成形を行う。これにより、積層セラミックコンデンサの製造に用いられるセラミックシートを得る。該セラミックシートから積層セラミックコンデンサを作製するには、先ず、該セラミックシートの一面に内部電極形成用導電ペーストを印刷する。乾燥後、複数枚の前記セラミックシートを積層し、厚み方向に圧着することにより積層体とする。次に、この積層体を加熱処理して脱バインダ処理を行い、焼成して焼成体を得る。さらに、該焼成体にNiペースト、Agペースト、ニッケル合金ペースト、銅ペースト、銅合金ペースト等を塗布し焼き付けて、積層セラミックコンデンサが得られる。
  また、本発明のペロブスカイト型複合酸化物の製造方法を行い得られたペロブスカイト型複合酸化物の粉末を、例えばエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂に配合して、樹脂シート、樹脂フィルム、接着剤等とすると、プリント配線板や多層プリント配線板等の材料として用いることができる他、内部電極と誘電体層との収縮差を抑制するための共材、電極セラミック回路基板、ガラスセラミックス回路基板、回路周辺材料及び無機EL用の誘電体材料としても用いることができる。
  また、本発明のペロブスカイト型複合酸化物の製造方法を行い得られたペロブスカイト型複合酸化物は、排ガス除去、化学合成等の反応時に使用される触媒や、帯電防止、クリーニング効果を付与する印刷トナーの表面改質材として好適に用いられる。
 以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
(1)シュウ酸バリウムチタニル及びチタン酸バリウムの平均粒子径(D50) マイクロトラック・ベル社製のMT3000IIを使用してレーザー回折散乱法により測定した。
(2)チタン酸バリウムの比表面積
 BET法により求めた。
(3)チタン酸バリウムのc/a値
 線源としてCu-Kα線を用いてX線回折装置(Bruker社製、D8 ADVANCE)により、c軸とa軸の比c/aを測定した。
(実施例1)
 シュウ酸2水和物40gを純水150gに溶解させ、シュウ酸が2mol/Lであるシュウ酸成分を含む溶液(A液)160mlを調製した。これとは別に、四塩化チタン70g及び塩化バリウム45gを純水200gに溶解させ、四塩化チタンが0.3mol/L、塩化バリウムが0.9mol/Lであるチタン成分及びバリウム成分を含む溶液(B液)250mlを調製した。
 次いで、ポリプロピレン製の300ml反応容器の下部に、A液及びB液を供給するためのチューブ2本を装着し、反応容器の上部側面に反応液を排出するためのチューブ2本を装着した。この反応容器に純水150mlを入れ、ポリプロピレン製のビーズ(粒径4mm)を、撹拌時に反応容器内に存在する反応容器内の液の体積に対してビーズ充填率50%となるように装入し、反応容器上部に撹拌装置(新東科学株式会社製、スリーワンモータ)を装着した。反応容器内の液を35℃に加温して周速300rpmで撹拌を開始した後、撹拌しながら、A液を350ml/分、B液を550ml/分の流量で供給し、反応容器の上部側面から反応液を排出した。このときの反応液の滞留時間は10秒であった。排出した反応液を別容器に移し、排出を行っている間及び排出終了後60分間撹拌を続けたのち、25℃に冷却してスラリーを得た。スラリーを吸引ろ過後、得られた固形物を洗浄、乾燥し、シュウ酸バリウムチタニルの乾燥粉を得た。得られたシュウ酸バリウムチタニルの物性値を表1に示す。
 得られたシュウ酸バリウムチタニルを表1に示す温度、時間で焼成し、チタン酸バリウムを得た。得られたチタン酸バリウムの物性値は表1の通りであった。
(実施例2)
 ビーズ充填率を20%としたこと以外は実施例1と同じ操作を行い、シュウ酸バリウムチタニルの乾燥粉を得た。得られたシュウ酸バリウムチタニルの物性値を表1に示す。
 得られたシュウ酸バリウムチタニルを表1に示す温度、時間で焼成し、チタン酸バリウムを得た。得られたチタン酸バリウムの物性値は表1の通りであった。
(実施例3)
 ビーズ充填率を80%としたこと以外は実施例1と同じ操作を行い、シュウ酸バリウムチタニルの乾燥粉を得た。得られたシュウ酸バリウムチタニルの物性値を表1に示す。
 得られたシュウ酸バリウムチタニルを表1に示す温度、時間で焼成し、チタン酸バリウムを得た。得られたチタン酸バリウムの物性値は表1の通りであった。
(実施例4)
 A液を8ml/分、B液を13ml/分の流量で供給し、反応液の滞留時間を7分間としたこと以外は実施例1と同じ操作を行い、シュウ酸バリウムチタニルの乾燥粉を得た。得られたシュウ酸バリウムチタニルの物性値を表1に示す。
 得られたシュウ酸バリウムチタニルを表1に示す温度、時間で焼成し、チタン酸バリウムを得た。得られたチタン酸バリウムの物性値は表1の通りであった。
(実施例5)
 A液を700ml/分、B液を1100ml/分の流量で供給し、反応液の滞留時間を5秒としたこと以外は実施例1と同じ操作を行い、シュウ酸バリウムチタニルの乾燥粉を得た。得られたシュウ酸バリウムチタニルの物性値を表1に示す。
 得られたシュウ酸バリウムチタニルを表1に示す温度、時間で焼成し、チタン酸バリウムを得た。得られたチタン酸バリウムの物性値は表1の通りであった。
(比較例1)
 ポリプロピレン製のビーズを装入しなかったこと以外は実施例1と同じ操作を行い、シュウ酸バリウムチタニルの乾燥粉を得た。得られたシュウ酸バリウムチタニルの物性値を表1に示す。
 得られたシュウ酸バリウムチタニルを表1に示す温度、時間で焼成し、チタン酸バリウムを得た。得られたチタン酸バリウムの物性値は表1の通りであった。
 なお、表1中、BTOはシュウ酸バリウムチタニルであり、BTはチタン酸バリウムである。
 表1に示す通り、実施例1~5で得られたシュウ酸バリウムチタニルは、比較例1で得られたシュウ酸バリウムチタニルと比べて、D50が小さく微小な二次粒子が得られている。また、実施例1~5のシュウ酸バリウムチタニルを焼成して得られたチタン酸バリウムは、比較例1のチタン酸バリウムと比べて、BET比表面積及びc/a比が同等でありつつD50が小さいため、微小な二次粒子でありながら高結晶なものが得られていることが判る。
 

Claims (13)

  1.  有機酸、Aサイト元素化合物及びBサイト元素化合物のうちのいずれか1種を含有する溶液(A液)と、該有機酸、Aサイト元素化合物及びBサイト元素化合物のうち、該A液に含有されていない2種を含有する溶液(B液)と、を反応容器に供給しつつ、反応容器内の液を該反応容器から排出しながら、有機酸塩の生成反応を行う有機酸塩の製造方法であり、
     該反応容器内で、該反応容器内の液、及び該反応容器内の液の体積に対し5.0~95.0体積%の粒状媒体を撹拌しながら、該反応容器に、該A液及び該B液を供給しつつ、該反応容器内の液を該反応容器から排出すること、
    を特徴とする有機酸塩の製造方法。
  2.  前記A液が前記有機酸を含有する溶液であり、且つ、前記B液が前記Aサイト元素化合物及び前記Bサイト元素化合物を含有する溶液であることを特徴とする請求項1記載の有機酸塩の製造方法。
  3.  前記A液が前記Aサイト元素化合物を含有する溶液であり、且つ、前記B液が前記有機酸及び前記Bサイト元素化合物を含有する溶液であることを特徴とする請求項1記載の有機酸塩の製造方法。
  4.  前記A液が前記Bサイト元素化合物を含有する溶液であり、且つ、前記B液が前記有機酸及び前記Aサイト元素化合物を含有する溶液であることを特徴とする請求項1記載の有機酸塩の製造方法。
  5.  前記粒状媒体が、粒径0.005~10.0mmのビーズであることを特徴とする請求項1に記載の有機酸塩の製造方法。
  6.  前記ビーズが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート及びポリスチレンからなる群から選択される少なくとも1種である樹脂ビーズであることを特徴とする請求項5に記載の有機酸塩の製造方法。
  7.  前記ビーズが、ジルコニア、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素及び窒化ケイ素からなる群から選択される少なくとも1種であるセラミックビーズであることを特徴とする請求項5に記載の有機酸塩の製造方法。
  8.  前記有機酸が、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、酒石酸、乳酸、グリコール酸、リンゴ酸、アスパラギン酸及びコハク酸からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の有機酸塩の製造方法。
  9.  前記Aサイト元素化合物がBa、Ca、Mg及びSrからなる群から選択される少なくとも1種を含む化合物であり、前記Bサイト元素化合物がTi、Zr、V、Nb、Cr、B、Al、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Sc、Ta、Ru、Ir、Ga、In及びSnからなる群から選択される少なくとも1種を含む化合物であることを特徴とする請求項1に記載の有機酸塩の製造方法。
  10.  生成される有機酸塩の前記反応容器内の滞留時間が、10分以下であることを特徴とする請求項1記載の有機酸塩の製造方法。
  11.  前記反応容器内の液の温度が75℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機酸塩の製造方法。
  12.  生成される有機酸塩の平均粒子径が50μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機酸塩の製造方法。
  13.  請求項1に記載の製造方法で得られた有機酸塩を焼成することにより、ペロブスカイト型複合酸化物を得ることを特徴とするペロブスカイト型複合酸化物の製造方法。
     
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