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WO2026014067A1 - 積層インダクタ - Google Patents

積層インダクタ

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WO2026014067A1
WO2026014067A1 PCT/JP2025/018211 JP2025018211W WO2026014067A1 WO 2026014067 A1 WO2026014067 A1 WO 2026014067A1 JP 2025018211 W JP2025018211 W JP 2025018211W WO 2026014067 A1 WO2026014067 A1 WO 2026014067A1
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outer conductor
layer portion
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誉男 河内
軌宏 中井
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

金属磁性体と隣接する側のコイル導体層の内部状態を改善し、コイル導体層の低抵抗化および表皮効果の向上を図った積層インダクタを提供する。本開示の積層インダクタは、金属磁性粒子を含有する金属磁性層MLが積層された金属磁性体Mと、コイル導体層CLが金属磁性層MLの積層方向に積層されたコイル(第1コイルC1,第2コイルC2)と、を有する素体10を備え、コイル導体層CLは、積層方向において金属磁性層MLと隣接する外側導体層部CLoと、外側導体層部CLoよりも内側に位置し、外側導体層部CLoと隣接する内側導体層部CLiと、を備えており、外側導体層部CLoの空隙の量は、内側導体層部CLiの空隙の量よりも少ない。

Description

積層インダクタ
 本開示は、積層インダクタに関する。
 特許文献1には、複数のコイル用導体層(Ag)が磁性体層(Ni-Cu-Zn系フェライト)を介して積層され、コイル用導体層の単位長さ当たりの実表面長が1≦(実表面長/単位長さ)≦1.3の範囲にある積層インダクタが開示されている。この積層インダクタによれば、導体層の表面平滑性を向上させてコイル部分の実質的な表面長を短くしてあるので、表皮効果によって電流がコイル部分の表面に集中して流れる場合でも抵抗値を減少させてQ値低下を抑制することができる、とされている。
特開2004-39957号公報
 近年、磁性体層に金属磁性体粒子が用いられているが、金属磁性体粒子を用いた場合、熱処理(例えば、焼成)温度を高くすると金属磁性体の磁気特性が劣化する虞がある。そのため、磁性体層にフェライトを用いた場合の様に熱処理温度を高くすることができなかった。そして、熱処理温度が低いとコイル用導体の焼結が不十分になりやすかった。
 コイル用導体の焼結が不十分な場合、高周波域の電流がコイル用導体に流れる際の表皮効果を原因としたQ値の低下や、コイル用導体の抵抗の増大が生じていた。具体的には、コイル用導体の焼結が不十分であると、図7に示すようにコイル用導体CDの全域に空隙Pが存在し、表皮効果を原因としたQ値の低下や、コイル用導体の抵抗の増大が生じていた。
 かかる点を鑑みて、本開示は、金属磁性体と隣接する側のコイル導体層の内部状態を改善し、コイル導体層の低抵抗化および表皮効果の向上を図った積層インダクタを提供することを目的とする。
 本開示に係る積層インダクタは、
 金属磁性粒子を含有する金属磁性層が積層された金属磁性体と、コイル導体層が前記金属磁性層の積層方向に積層されたコイルと、を有する素体を備え、
 前記コイル導体層は、前記積層方向において前記金属磁性層と隣接する外側導体層部と、前記外側導体層部よりも内側に位置し、前記外側導体層部と隣接する内側導体層部と、を備えており、
 前記外側導体層部の空隙の量は、前記内側導体層部の空隙の量よりも少ない。
 本開示の積層インダクタによれば、金属磁性体と隣接する側のコイル導体層の内部状態を改善し、コイル導体層の低抵抗化および表皮効果の向上を図ることができる。
図1は、本開示の積層インダクタの斜視図である。 図2は、本開示の積層インダクタの分解斜視図である。 図3は、本開示の積層インダクタの模式断面図である。 図4は、本開示の積層インダクタのSEM写真である。 図5は、本開示の積層インダクタの模式断面図である。 図6は、本開示の積層インダクタのSEM写真である。 図7は、従来の積層インダクタの模式断面図である。 図8は、本開示の積層インダクタの製造工程を示す製造フロー図である。
 以下、本開示の積層インダクタおよび積層インダクタの製造方法を詳細に説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図示する内容は、本開示の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。以下に示す図面は模式図であり、その寸法、縦横比の縮尺等は実際の製品と異なる場合がある。
 本明細書中、要素間の関係性を示す用語(例えば、「平行」、「直交」等)及び要素の形状を示す用語は、文字どおりの厳密な態様のみを意味するだけではなく、実質的に同等な範囲、例えば、数%程度の差異を含む範囲も意味する。なお、本明細書では、素体を構成する磁性層およびコイル導体層が積層される方向を「積層方向」とする。また、平面視とは、素体を上面(高さ方向)から見た平面図を言う。
<本開示の積層インダクタ>
 本開示の積層インダクタ1は、素体10と、素体10の実装面に設けられた外部電極20と、を備えている。
[素体]
 素体10は、例えば、六面を有する六面体形状である。一例として、直方体形状又は略直方体形状であってよい。素体10は、角部及び稜線部に丸みが付けられていてもよい。角部は、素体10の三面が交わる部分であり、稜線部は、素体10の二面が交わる部分である。
 図1には、積層インダクタ1及び素体10における長辺方向、短辺方向、高さ方向を、それぞれL方向、W方向、T方向として示している。長辺方向Lと短辺方向Wと高さ方向Tとは互いに直交する。
 図1に示す素体10は、高さ方向Tに相対する第1主面11及び第2主面12と、長辺方向Lに相対する第1端面13及び第2端面14と、短辺方向Wに相対する第1側面15及び第2側面16とを有する。図1に示す例では、素体10の第1主面11にそれぞれ第1外部電極21、第2外部電極22、第3外部電極23、第4外部電極24が形成されており、素体10の第1主面11は、積層インダクタ1の実装面(素体の底面)に相当する。
 図2は、本開示の積層インダクタ1の内部構造の一例を模式的に示す分解斜視図である。図2に示すように、素体10は、コイル導体層CLと、金属磁性粒子を含有する金属磁性層MLと、スルーホール導体THと、がそれぞれ積層されている。そして、素体10の内部には、一例として、2つのコイル(第1コイルC1および第2コイルC2)が設けられている。なお、素体10の内部に設けられるコイルの個数は、3個以上であってもよいし、1個であってもよい。
 素体10は積層グループG1~G7が積層されて成り、積層グループG7の下側に第1外部電極21~第4外部電極24が形成されている。なお、素体10が有する積層構造の各層の境界は消失してよい。各積層グループG1~G7は、所望の厚みとするために複数積層して構成されていてよい。
 積層グループG1は、金属磁性層MLを有しており、素体10の第2主面12(図1参照)を構成する。
 積層グループG2および積層グループG3は、第2コイルC2を構成するために設けられている。つまり、第2コイルC2を構成するように、コイル導体層CLが積層されている。なお、積層グループG2のコイル導体層CLと積層グループG3のコイル導体層CLとは互いにビア導体(不図示)によって接続されていてよい。また、本開示の積層グループG2およびG3は、それぞれ複数の層が積層されて構成されてよい。
 第2コイルC2の一端は、第3外部電極23と電気的に接続される第3スルーホール導体TH3が設けられ、第2コイルC2の他端は、第4外部電極24と電気的に接続される第4スルーホール導体TH4が設けられている。コイル導体層CL、第3スルーホール導体TH3および第4スルーホール導体TH4の周囲には、金属磁性層MLが配置されている。
 積層グループG4および積層グループG5は、第1コイルC1を構成するために設けられている。つまり、第1コイルC1を構成するように、コイル導体層CLが積層されている。なお、積層グループG4のコイル導体層CLと積層グループG5のコイル導体層CLとは互いにビア導体(不図示)によって接続されていてよい。また、本開示の積層グループG4および積層グループG5は、複数の層が積層されて構成されてよい。
 第1コイルC1の一端は、第1外部電極21と電気的に接続される第1スルーホール導体TH1が設けられ、第1コイルC1の他端は、第2外部電極22と電気的に接続される第2スルーホール導体TH2が設けられている。コイル導体層CL、第1スルーホール導体TH1~第4スルーホール導体TH4の周囲には、金属磁性層MLが配置されている。
 積層グループG6および積層グループG7は、第1外部電極21~第4外部電極24の配置に対応して、第1スルーホール導体TH1~第4スルーホール導体TH4が設けられている。第1スルーホール導体TH1~第4スルーホール導体TH4の周囲には、金属磁性層MLが配置されている。なお、図2に示すように、積層グループG6の第1スルーホール導体TH1~第4スルーホール導体TH4の平面積よりも積層グループG7の第1スルーホール導体TH1~第4スルーホール導体TH4の平面積を大きくすることにより、スルーホール導体の位置合わせを容易に行うことができる。
 以上のように、素体10が積層グループG1~積層グループG7を備える積層構造を有すると、積層インダクタ1の設計の自由度がより高くなる。例えば、素体10の底面(第1主面11)に第1外部電極21~第4外部電極24を備える積層インダクタ1を製造する場合、スルーホール導体を用いた底面側へのコイル(第1コイルC1,第2コイルC2)の引き出しが行いやすくなる。なお、上記積層グループG1~積層グループG7を備える積層構造は、素体10の第2主面12側から又は第1主面11側から積層してもよい。また、スルーホール導体THおよび/またはビア導体を構成する材料を例えば、スクリーン印刷等で順次ビア導体所望の厚みになるまで繰り返し印刷を行ってもよく、スパッタ法、インクジェット法、またはこれら以外の公知の方法で形成してもよい。
 上述のとおり、素体10の内部には、金属磁性層MLを積層して構成された金属磁性体Mと、コイル導体層CLを積層して構成されたコイル(第1コイルC1および第2コイルC2)と、スルーホール導体THと、を備えている。以下、素体10を構成する各要素を詳述する。
-金属磁性体-
 金属磁性層MLを積層して構成された金属磁性体Mは、金属磁性材料で構成される金属磁性粒子を含んでよい。金属磁性粒子は、Feおよび/またはSiを含んでいてよい。より具体的には、Fe粒子又はFe合金粒子であってよい。Fe合金としては、Fe-Si系合金、Fe-Cr系合金、Fe-Si-Cr系合金、Fe-Si-Al系合金、Fe-Si-B-P-Cu-C系合金、Fe-Si-B-Nb-Cu系合金等であってよい。また、金属磁性粒子には、製造上意図しないCr、Mn、Cu、Ni、P、SまたはCo等の不純物を含んでいてもよい。また、金属磁性粒子は、磁性ペーストに含有されてよい。そのため、金属磁性粒子には、磁性ペースト作製時に添加されるFeよりも酸化し易い元素(例えば、Cr、Al、Li、Zn、Zr)が含まれていてもよい。
 上述の金属磁性粒子の表面は、絶縁被膜で覆われていてよい。金属磁性粒子の表面が絶縁被膜で覆われていると、金属磁性粒子間の絶縁性を高くでき、インダクタの耐電圧が向上するとともに、金属磁性粒子に生じる渦電流を抑制できる。金属磁性粒子の表面に絶縁被膜を形成する方法としては、ゾル-ゲル法、メカノケミカル法等を用いることができる。絶縁被膜を構成する材料は、P、Si等の酸化物、リン酸亜鉛、リン酸マンガンであってよい。また、絶縁被膜は金属磁性粒子の表面が雰囲気中の酸素で酸化されることで形成された酸化膜、またはFeよりも酸化し易い元素の酸化被膜であってもよい。絶縁被膜の厚みは、好ましくは1nm以上50nm以下、より好ましくは1nm以上30nm以下、さらに好ましくは1nm以上20nm以下である。例えば、インダクタの試料を研磨することで得られた断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影し、得られたSEM写真から、金属磁性粒子の表面を覆う絶縁被膜の厚みを測定できる。
 金属磁性体M中の金属磁性粒子の平均粒径は、好ましくは0.2μm以上50μm以下、より好ましくは1μm以上20μm以下、さらに好ましくは1μm以上10μm以下である。金属磁性体M中の金属磁性粒子の平均粒径は、以下に説明する手順で測定できる。インダクタの試料を切断して試料断面を得る。具体的には、素体の中心部を通って積層インダクタの実装面と端面に直交する様に切断して試料断面を得る。得られた断面について、複数箇所(例えば5箇所)の領域(例えば130μm×100μm)をSEMで撮影し、得られたSEM画像を画像解析ソフト(例えば、画像解析ソフトウェアWinROOF2021(三谷商事株式会社製))を用いて解析し、金属磁性粒子の円相当径を求める。得られた円相当径の平均値を金属磁性粒子の平均粒径とする。
 素体10を形成する際には、熱処理が施されてよい。この場合、素体10に含まれる金属磁性粒子は表面に酸化膜を有する。この酸化膜は、金属磁性粒子に由来するものであり、熱処理により形成される。素体10において、隣接する金属磁性粒子は酸化膜を介して互いに接合されて金属磁性層MLが構成される。本明細書でいう「複数の金属磁性粒子が接合されて構成される」とは、SEM観察等によって粒形状を確認可能な構成の他に、金属磁性粒子を使用するものの、熱処理等によって複数の金属磁性粒子が混然一体となって緻密な構造体(一例として、焼結体)を構成することも包含してよい。
 素体10は、素体強度をより向上させるため、素体10の焼成後に樹脂材料を含浸させてよい。素体強度を高める樹脂の一例として、エポキシ樹脂または/およびフェノール樹脂または/およびシリコーン樹脂を用いてよい。
-コイル-
 コイル導体層CLを積層して構成されたコイル(第1コイルC1および第2コイルC2)は、積層方向に巻回軸を備えていてよい。そして、積層方向で隣接するコイル導体層CL同士は、上述したとおり、ビア導体を介して接続されてよい。図2に示す実施形態では、積層グループG4および積層グループG5によって第1コイルC1が構成される。また、積層グループG2および積層グループG3によって第2コイルC2が構成される。
 コイル導体層CLの厚みは、各積層グループで同じであってもよいし、異なる厚みであってもよい。コイル導体層CLは、その材料の一例として、Agを含んでおり、さらにCuおよび/またはPd等の金属導体を含んでもよい。より具体的には、コイル導体層CLの材料は、上述の金属磁性体Mを構成する金属磁性材料よりも柔らかい材料としてよい。コイル導体層CLは、例えば上述の金属磁性層MLに導電性ペーストを印刷することによって形成されてよい。
 各コイル導体層CLは、積層方向において金属磁性層MLと隣接する外側導体層部CLoと、外側導体層部CLoよりも内側に位置し、外側導体層部CLoと隣接する内側導体層部CLiと、を備えてよい(図3,図5参照)。
 本明細書において、外側導体層部CLoと内側導体層部CLiとの境界は、以下のように設定される。
(1)素体10の実装面側からコイルの巻軸を通る位置で素体10の長さ方向に沿って素体10の厚み方向に切断した切断面を作成する。
(2)この切断面において、コイル導体層CLの厚み全体を確認できる程度の撮影視野(およそ400~600倍程度)でSEMおよび/またはEDXによって撮影する(一例として、図4,図6参照)。
(3)図3および図4に示すように、コイル導体層CLの断面を観察すると空隙Pの量により、コイル導体層CLは、厚み方向に、金属磁性層MLと隣接する外側導体層部CLoと、外側導体層部CLoと隣接する内側導体層部CLiと、を有することがわかる。なお、図示例では、内側導体層部CLiの厚みL1と、外側導体層部CLoの合計の厚み(0.5L1,0.5L1)と、を略一致させているが、この態様に限定されるものではない。
 本開示の積層インダクタ1は、外側導体層部CLoの空隙Pの量は、内側導体層部CLiの空隙Pの量よりも少なくなっている(図4,図6参照)。本明細書において空隙Pの量は、コイル導体層CLの画像を二値化処理し、内側導体層部CLiの空隙Pの面積および外側導体層部CLoの空隙Pの面積を算出し、求めている。
 したがって、本開示の積層インダクタ1は、従来技術である図7に示すようなコイル用導体CDの全域に空隙Pが存在するインダクタと比較し、外側導体層部CLoの空隙量が少ないため、表皮効果を原因としたQ値の低下を改善するとともに、コイルの低抵抗化を図ることができる。
 好適な積層インダクタ1の態様として、内側導体層部CLiは、積層方向において外側導体層部CLoに挟まれていてよい。このような構成によれば、内側導体層部CLiが空隙の少ない外側導体層部CLoに挟まれているため、コイル導体層CLと金属磁性層MLとの境界にて表皮効果を原因としたQ値の低下をより適切に改善することができる。
 また、図5および図6に示すように、外側導体層部CLoの厚み(0.05L2,0.05L2)を内側導体層部CLiの厚みL2の0.1倍としてもよい。なお、本明細書でいう外側導体層部CLoの厚みは、内側導体層部CLiの積層方向の両側の外側導体部CLoの合計の厚みを意図している。このように外側導体層部CLoおよび内側導体層部CLiを設定すると、外側導体層部CLoの空隙量がより少なくなり、表皮効果を原因としたQ値の低下がさらに改善される。これにより、外側導体層部CLoの厚みは、内側導体層部CLiの厚みの0.1倍以上1倍以下とすることが好ましい。
 また、図3および図4に示す態様では、内側導体層部CLiの空隙Pの面積は、外側導体層部CLoの空隙Pの面積の1.2倍となっており、図5および図6に示す態様では、内側導体層部CLiの空隙Pの面積は、外側導体層部CLoの空隙Pの面積の3倍となっている。なお、本明細書でいう外側導体層部CLoの空隙Pの面積は、内側導体層部CLiの積層方向の両側の外側導体部CLoの空隙Pの合計の面積を意図している。したがって、本開示の好適な積層インダクタ1の態様として、コイル導体層CLを断面視した際に、内側導体層部CLiの空隙Pの面積は、外側導体層部CLoの空隙Pの面積の1.2倍以上3倍以下であってよい。このような構成によれば、コイル導体層の低抵抗化および表面効果の向上を好適に図ることができる。
-スルーホール導体-
 スルーホール導体TH(第1スルーホール導体TH1~第4スルーホール導体TH4)は、外部電極20と、コイル(第1コイルC1,第2コイルC2)の一端または他端と、をそれぞれ電気的に接続する。スルーホール導体THは、その材料の一例として、Ag、Cuおよび/またはPd等の金属導体であってよい。スルーホール導体層TLは、例えば上述の金属磁性層MLに導電性ペーストを印刷することによって形成されてよい。
[外部電極]
 外部電極20は、素体10の底面に設けられている。外部電極20は、第1外部電極21~第4外部電極24を含んでよい。第1外部電極21~第4外部電極24は、それぞれ第1スルーホール導体TH1~第4スルーホール導体TH4と電気的に接続される。素体10の底面(第1主面11)に外部電極20を設けると、積層インダクタ1を適切に実装基板等に実装が可能となる。
 第1外部電極21~第4外部電極24は、それぞれ、素体10の第1主面11のみに設けられていてもよいが、素体10の第1主面11と、第1主面11と隣接する面(第1端面13、第2端面14、第1側面15、第2側面16のいずれか1つまたは2つの面)に跨って設けられていてもよい。
 外部電極20は、一例として、Cuおよび/またはAu等様々な材料を用いてよい。外部電極20の形成は、どのような手法で形成されてもよいが、一例として、めっき(例えば、無電解めっき法、スパッタ法)で形成されためっき電極であってよく、外部電極20を形成した後、さらにめっき法を用いて外部電極20上にNiおよびSn等のめっき層を形成し、二層以上の積層構造としてもよい。
<本開示の積層インダクタの製造方法>
 次に、本開示のインダクタの製造方法について図8を参照しながら説明する。本開示の積層インダクタの製造方法は、積層工程と、熱処理工程と、を備えている。なお、後述するとおり、任意付加的に脱脂工程を備えていてもよい。
-積層工程-
 まず、図2で説明した積層グループG1~G8の金属磁性層MLを構成する磁性材料(磁性ペースト)、コイル導体層CLを構成する導体ペーストを準備する。
 磁性ペーストの作製方法の一例として、体積基準での累積50%粒子径であるD50が2μm以上、20μm以下のFe-Si合金又はFe-Si-Cr合金などの金属粉末を準備する。この金属粉末に、結合剤としてセルロース又はポリビニルブチラール(PVB)など、溶剤としてターピネオール及びブチルジグリコールアセテート(BCA)の混合物などを含有させ、混錬することで磁性ペーストを作製する。
 金属磁性体として、Fe-Si合金を用いる場合、Siの含有量は2.0at%(原子パーセント)以上、8.0at%以下であることが好ましい。金属磁性粉末として、Fe-Si-Cr合金を用いる場合、Siの含有量は2.0at%以上、8.0at%以下であることが好ましい。また、金属磁性粉末として、Fe-Si-Cr合金を用いる場合、Crの含有量は0.2at%以上、6.0at%以下であることが好ましい。
 導体ペーストとしては、例えば、導電材料としてのAgおよび有機物(エチルセルロース系樹脂、アクリル樹脂および/またはポリビニルブチラール樹脂等)を含むペーストを準備する。ここで、本開示の積層インダクタの製造方法では、外側導体層部用の有機物の含有量が少ない第1導体ペーストと、第1導体ペーストよりも有機物の含有量が多い第2導体ペーストを準備する。
 上述の磁性ペーストおよび導体ペーストを使用し、スクリーン印刷等によって図2に示す積層グループG1~G8を準備および積層する。ここで、コイル導体層CLを形成する際、外側導体層部CLoには、有機物の含有量が少ない第1導体ペーストを使用し、内側導体層部CLiには、有機物の含有量が多い第2導体ペーストを使用する。そして、積層グループG1~G8を積層した後、プレス装置にて加圧処理をすることによって、積層体が構成される。
-脱脂工程(任意付加的工程)-
 好適な積層インダクタの製造方法の製造工程として、脱脂工程を備えていてよい。脱脂工程は、磁性ペーストおよび導体ペーストに含まれるバインダーを取り除く工程である。一例として300℃以上500℃以下程度の温度で脱脂する。これにより、磁性ペーストおよび導体ペーストに含まれるバインダーが取り除かれる。つまり、第1導体ペーストおよび第2導体ペーストの有機物の一部が除去されて空隙Pが生じうる。
・熱処理工程
 脱脂工程後に熱処理を行う。熱処理温度は、コイル導体層が焼結する程度の温度であり、例えば、400℃以上1000℃以下程度としてよい。本開示の熱処理工程は、空気雰囲気中で熱処理してもよいし、低酸素濃度雰囲気中で熱処理してもよい。熱処理を施すことにより、第1導体ペーストおよび第2導体ペーストの有機物が完全に除去され、コイル導体層CLに空隙Pが生成される(空隙生成工程に対応する)。
 その後、素体の強度を高めるために素体に樹脂を含浸して硬化を行ってもよい。素体に含浸される樹脂は、エポキシ樹脂が用いられるが、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース樹脂及びアルキド樹脂等からなる群より選択される1種以上の樹脂が用いられても良い。上記工程を経ることにより、本開示の積層インダクタの素体が形成される。
 その後、形成された素体に対し、コイル導体層と電気的に接続されている外部電極を形成する。外部電極は、素体10の実装面(第1主面11)のスルーホール導体が露出している位置に電解めっきによって形成する。めっきの材料はCuめっきであってよい。その他にNi-Sn、Ni-Au、Ni-Cuおよび/またはCu-Ni-Au等が挙げられるがこれに限定されるものではない。外部電極形成後に素子個片化カットを行って、本実施形態の積層インダクタを製造することができる。
 以上のとおり、本実施形態で説明したインダクタの製造方法によれば、外側導体層部CLoの空隙Pの量が内側導体層部CLiの空隙Pの量よりも少ない積層インダクタを製造することができる。したがって、金属磁性体と隣接する側のコイル導体層の内部状態を改善し、コイル導体層の低抵抗化および表皮効果の向上を図ることができる。
<本開示の積層インダクタの他の製造方法>
 上述の積層インダクタの製造方法における、空隙生成工程の一手法として、積層体を脱脂する際の脱脂速度を100℃/min以上で脱脂することによって成されてよい。脱脂速度を100℃/min以上とすると、コイル導体層において外側導体層部を内側導体層部よりも脱脂し易くすることができ、外側導体層部の空隙の量を内側導体層部の空隙の量よりも少なくすることができる。
 なお、今回開示した実施態様は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本開示の技術的範囲は、上記した実施態様のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本開示の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
 本開示の積層インダクタおよび積層インダクタの製造方法の態様は、以下のとおりである。
<1>金属磁性粒子を含有する金属磁性層が積層された金属磁性体と、コイル導体層が前記金属磁性層の積層方向に積層されたコイルと、を有する素体を備え、
 前記コイル導体層は、前記積層方向において前記金属磁性層と隣接する外側導体層部と、前記外側導体層部よりも内側に位置し、前記外側導体層部と隣接する内側導体層部と、を備えており、
 前記外側導体層部の空隙の量は、前記内側導体層部の空隙の量よりも少ない、積層インダクタ。
<2>前記外側導体層部の厚みは、前記内側導体層部の厚みの0.1倍以上1倍以下である、<1>に記載の積層インダクタ。
<3>前記コイル導体層を断面視した際に、前記内側導体層部の空隙の面積は、前記外側導体層部の空隙の面積の1.2倍以上3倍以下である、<1>または<2>に記載の積層インダクタ。
<4>前記コイル導体層は、Agを含有する、<1>~<3>のいずれか1つに記載の積層インダクタ。
<5>前記金属磁性粒子は、FeおよびSiを含有する、<1>~<4>のいずれか1つに記載の積層インダクタ。
<6>前記内側導体層部は、前記外側導体層部に挟まれている、<1>~<5>のいずれか1つに記載の積層インダクタ。
 本開示の積層インダクタは、金属磁性体と隣接する側のコイル導体層の内部状態を改善し、コイル導体層の低抵抗化および表皮効果の向上を図る電子部品として利用できる。
1  積層インダクタ
10 素体
11 第1主面
12 第2主面
13 第1端面
14 第2端面
15 第1側面
16 第2側面
20 外部電極
21~24 第1外部電極~第4外部電極
C1~C2 第1コイル~第2コイル
CL コイル導体層
CD コイル用導体
G1~G8 積層グループ
M  金属磁性体
ML 金属磁性層
TH スルーホール導体
TH1~TH4 第1スルーホール導体~第4スルーホール導体

Claims (6)

  1.  金属磁性粒子を含有する金属磁性層が積層された金属磁性体と、コイル導体層が前記金属磁性層の積層方向に積層されたコイルと、を有する素体を備え、
     前記コイル導体層は、前記積層方向において前記金属磁性層と隣接する外側導体層部と、前記外側導体層部よりも内側に位置し、前記外側導体層部と隣接する内側導体層部と、を備えており、
     前記外側導体層部の空隙の量は、前記内側導体層部の空隙の量よりも少ない、積層インダクタ。
  2.  前記外側導体層部の厚みは、前記内側導体層部の厚みの0.1倍以上1倍以下である、請求項1に記載の積層インダクタ。
  3.  前記コイル導体層を断面視した際に、前記内側導体層部の空隙の面積は、前記外側導体層部の空隙の面積の1.2倍以上3倍以下である、請求項1または2に記載の積層インダクタ。
  4.  前記コイル導体層は、Agを含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層インダクタ。
  5.  前記金属磁性粒子は、FeおよびSiを含有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層インダクタ。
  6.  前記内側導体層部は、前記外側導体層部に挟まれている、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層インダクタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0864421A (ja) * 1994-08-19 1996-03-08 Murata Mfg Co Ltd 積層セラミック電子部品およびその製造方法
JP2023023579A (ja) * 2021-08-05 2023-02-16 株式会社村田製作所 コイル部品
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