明細書
抗血小板膜糖蛋白質 πモノクローナル抗体 技術分野
本発明は、 血小板膜糖蛋白質 VI (以下、 GPV Iと略称することがある) に対 する抗体およぴ該抗体の認識領域に関するものである。 背景技術
血小板は血栓形成 ·生体防御において極めて重要な役割を担っており、 生理的 な役割から種々の病態における関わりが解明されつつある。 特に、 血小板は止血 血栓を形成するという機能において注目されており、 例えば、 血管内皮細胞が損 傷を受けると、 血管内皮下の主要なマトリックス蛋白質であるコラーゲンが露出 し、 ここへ血小板が粘着する。 次に、 コラーゲンからのシグナルにより血小板が 活性化され、 最終的にはフイブリノ一ゲンを介して血小板が凝集する。 そして場 合によってはこれが血栓塞栓性疾患のような病的状態の原因となることから治療 の標的として注目されている。
従来、 血小板凝集に基づく血拴症の治療 ·予防の目的で、 アスピリン、 チクロ ビジン、 GPIIb/IIIaアンタゴニスト等の抗血小板薬が用いられてきたが、 有 効性および出血等の副作用の面から多くの問題が指摘されており、 これらの問題 の無い、 十分な安全性、 および確実かつ適切な作用を有する優れた抗血小板薬の 登場が望まれている。 '
血小板膜上に存在する GPV Iは、 血小板のコラーゲン受容体であり、 コラー ゲン刺激による血小板の活性化に中心的役割を担っていることが明らかにされて いる (高山博史, 日本血栓止血学会誌, 2003年, 第 14卷, 第 2号, p. 7 5 -81参照) 。 すなわち、 スギヤマらは自己免疫性血小板減少患者の血小板で は 62.k D aの膜蛋白質が特異的に欠損しており、 コラーゲンによる血小板凝集 が認められないこと (タテオ *スギヤマ (Tateo Sugiyama) 、 外 5名, ブラッド (Blood) , (米国) , 1987年, 第 69卷, 第 6号, p. 1712— 172 0参照) 、 さらに、 この患者の血小板で欠損していた蛋白が GPV' Iであり、 患
者の血清より精製した抗体の Fab断片がコラーゲン惹起血小板凝集を抑制するこ とを報告している (タテオ 'スギヤマ (Tateo Sugiyaraa) 、 外 5名, ブラッド (Blood) , (米国) , 1 987年, 第 69卷, 第 6号, p. 1 71 2— 1 72 0 ;およびマサアキ ·モロイ (Masaaki Moroi) 、 外 3名, ジャーナノレ ·ォブ · クジニカノレ ·インべスティゲーシ 3ン (Journal of Clinical Investigation) , (米国) , 1 989年, 第 84卷, 第 5号, p. 1440— 1445参照) 。 これまでに自己免疫疾患患者由来の抗ヒ ト GPV I自己抗体は、 スギヤマら (タテオ ·スギヤマ (Tateo Sugiyaraa) 、 外 5名, ブラッド (Blood) , (米 国) , 1 987年, 第 69巻, 第 6号, p. 1 71 2— 1 720参照) やタカハ シら (ホウユウ 'タカハシ (Hoyu Takahashi) 、 外 1名, アメリカン 'ジャーナ ノレ ·ォブ ·へマト口シー (American Journal of Hematology) , (米国) , 20 0 1年, 第 67卷, 第 4号, p. 262— 267参照) が報告している。 しかし ながら、 スギヤマらの報告では患者血漿から精製した抗ヒト GPV I自己抗体に は血小板凝集を惹起する作用があるため、 直ちに医薬応用することはできない。 タカハシらの文献 (ホウユウ 'タカハシ (Hoyu Takahashi) 、 外 1名, アメリカ ン · ジャーナノレ ·ォブ ·へマトロシ一 (American Journal of Hematology) , (米国) , 2001年, 第 67卷, 第 4号, p. 262 - 267) には、 GPV Iと推測される約 62kDaの蛋白に対する自己抗体の存在、 及び、 この抗体が血小 板凝集を惹起することが記載されている。 また、 これらの患者由来の抗 GPV I 抗体を医薬として臨床応用するためには安全性の高い抗体を安定した品質で大量 に生産する必要があるが、 工業的に生産する方法は未だ確立されていない。
現在までに作製されている抗 GPV I抗体として、 マウス GPV Iに対するモ ノクローナルラット抗体 (欧州特許出願公開公報第 1 228768号参照) 、 お よびヒ ト GPV Iに対するモノクローナルマウス抗体がある (国際特許出願公開 公報第 01ノ 00810号および国際特許出願公開公報第 02/080968号 参照; Thromb Haemost. 2003 Jun; 89 (6) :996- 1003) 。
また、 ヒ ト GPV Iを認識するヒ トー本鎖抗体 (scFv: single chain Fv) が ファージディスプレー法等を用いて作製されている (国際特許出願公開公報第 0 1/00810号、 国際特許出願公開公報第 02/080968号、 およびピー
ター · A ·スメサースト (Peter A Smethurst) 、 外 1 5名、 プラッド (Blood) , (米国) , 2002年, 第 100卷, 第 1 1号, p. 474 a参照) 。 これらの 一本鎖抗体はヒ ト抗体の重鎖可変領域 (VH) と軽鎖可変領域 (VL) をぺプチ ドリンカ一で結合させたものであり、 ヒ ト由来の可変領域を有する抗体である力 細胞が産生する通常のィムノグロブリンに比べると、 一般的に抗原への親和性が 低く、 生体内での半減期も短い。 また、 スメサ一ストらは、 一本鎖抗体の内、 血 小板凝集を抑制するクローン (10B 1 2) について GPV I上のェピトープを 解析し、 59番目のリジン (Ly s 59) が関与する可能性を示唆した (ホウュ ゥ .タカハシ (Hoyu Takahashi) 、 外 1名, アメリカン .ジャーナル ·ォブ ·へ マト口ジー (American Journal of Hematology) , (米国) , 2001年, 第 6 7卷, 第 4号, p . 2 6 2— 2 6 7 ;およびピーター · Α · スメサース ト (Peter A Smethurst) 、 外 1 5名、 ブラッド (Blood) , (米国) , 2002年, 第 100卷, 第 1 1号, p. 474 a) 。
このように、 現在まで報告されているヒ ト GPV Iに対する抗体のほとんどは、 前記ヒ ト自己抗体を含めて、 in vitroにおいて抗体単独で血小板を活性化させる 作用、 及び/または、 血小板凝集を惹起もしくは促進する作用を有することから、 生体に投与した場合、 血小板減少を引き起こす可能性が考えられる。 事実、 Nieswandtらは、 in vivoで血小板上の G P V Iを消失させるモノクローナル抗体 (JAQ1、 JAQ2及び JAQ3) を複数報告しているが、 何れの抗体も投与後に血小板減 少を惹起した。
近年、 GPV Iのァゴニストであるコラーゲン、 convulxin及び CRPならびに G PV I とコラーゲンの結合を阻害する抗体 (9012.2) が血小板を活性化し、 それ に伴ってメタロプロテアーゼを介した切断により血小板からの G PV Iの sheddingが生じることが報告された (S t e p h e n s G外 4名、 B 1 o o d. 200 5 J a n 1 ; 1 0 5 ( 1) : 1 8 6— 9 1 ; Gardiner EE外 4名, Blood. 2004;104:3611-3617 ; Bergraeier W 外 6 名 , Throrab Haemost. 2004;91 :951-958.) 。 さらに、 9012.2抗体等を用いて G P V I上のコラーゲンと の相互作用に関与するアミノ酸残基 (Val34, Leu36) が推定された (Lecut C外 7名, J Biol Chera. 2004; 279 :52293-52299. ) 。 ·
また、 高山らは、 自己免疫疾患患者のリンパ球を用いて抗ヒト GPV I抗体を クローン化し、 その性質を i n v i t r oにおいて検討した (国際特許出願公 開公報第 05 007800号) 。
しカ し、 現在までの何れの報告においても、 血小板を活性化させず、 及び/ま たは、 生体内における血小板減少を惹起せずに、 血小板膜上の GPV Iを消失さ せる作用を有する抗体は開示されていなレ、。 発明の開示
このように抗血小板薬として、 安全性が高く、 有効性が優れ、 かつ使いやすい 薬剤が求められている状況において、 生体に投与可能な、 抗 GPV I抗体が切望 されている。
本発明の目的は、 血小板、 例えば、 哺乳類の血小板、 具体的には、 ヒ ト、 サル、 ラット、 マウス血小板、 特にヒ ト血小板膜上に存在する糖蛋白質である GPV I に特異的に結合する新規な抗体、 好ましくはモノクローナル抗体を提供するもの である。 特に生体に投与可能で、 有効でかつ血小板減少等の副作用の点で問題の ない、 抗 GPV I抗体を提供するものである。 また、 GPVI、 特に、 ヒト GPV Iに特異的に結合し新規な CDR配列を含有する抗体を提供するものである。 さ らに、 これらの抗体を産生する細胞を提供するものである。
本発明者らは、 上記の課題を解決すべく、 GPV Iに対する抗体を産生するマ ウスハイプリ ドーマを多数樹立し、 それらの産生する抗体の性状を解析すること を着想した。 この着想に基づき、 鋭意研究を重ねた結果、 GPV Iとの結合能を 有し、 コラーゲンによる血小板凝集能を低下させる活性を有する抗体を産生する ハイプリ ドーマを得ることに成功した。 そして、 各抗体の GPV I上の認識領域 を解析し、 GPV Iのェピトープに関する有益な情報を得た。 また、 当該クロー ンを単離し、 さらに検討を重ねた結果、 該抗体をコードする遺伝子を得ることに 成功し、 この抗体の C D Rのァミノ酸配列が新規の配列であることを明らかにし た。 さらに、 遺伝子組換技術により組換抗体を作製し、 本発明を完成した。
なお、 本明細書においては、 ハイブリ ドーマ (例えば、 クローン F 1232— 18) が産生する抗体を F 1232- 18抗体のように記載することがある。
本発明の第 1の態様は、 特定の機能または特性を示す、 GPVI、 例えば、 哺乳 類 GPV I、 具体的には、 ヒ ト、 サル、 ラット又はマウス GPVI、 特に、 ヒ ト GP V I と特異的に結合する抗体、 好ましくはモノクローナル抗体 (以下抗ヒ ト GP V I抗体及び抗ヒ ト GPV Iモノクローナル抗体のように各々記載することがあ る) もしくはその活性断片またはそれらの誘導体である。 具体的には、
(1) 以下の性質を有する抗体もしくはその活性断片またはそれらの誘導体; a) GPVI, 特に、 ヒ ト血小板膜糖蛋白質 VI (GPV I) と特異的に結合し、 b) 血小板を活性化させる作用、 及び または、 生体内における血小板減少を惹 起する作用が弱く、 及び、
c) 血小板と接触させることにより血小板膜上の GPV Iを少なくとも部分的に 消失させる、
(2) 血小板 GPVIの shedding, 特に、 血小板の活性化に伴うメタ口プロテア一 ゼを介した切断による血小板からの G P VIの sheddingを介さずに、 血小板と接触 させることにより、 血小板膜上の GPVIを少なくとも部分的に消失させる抗 GPVI 抗体もしくはその活性断片またはそれらの誘導体、 特に、 上記 (1) の性質を有 する抗体もしくはその活性断片またはそれらの誘導体、
(3) 血小板 GPVIの internalizationを介して、 血小板膜上の GPVIを少なくと も部分的に消失させる抗 GPVI抗体もしくはその活性断片またはそれらの誘導体、
(4) 血小板 GPVIの internalizationを介して、 血小板膜上の GPVIを少なくと も部分的に消失させる、 (1) ないし (3) の抗体もしくはその活性断片または それらの誘導体、
(5) 生体内において血小板と接触させることにより血小板膜上の GPV Iを 少なくとも部分的に消失させる、 (1) ないし (4) の抗体もしくはその活性断 片またはそれらの誘導体、
( 6 ) 生体内に投与して血小板と接触させることにより血小板がコラーゲンに 応答して凝集する能力を低下もしくは欠如させる、 (1) ないし (5) の抗体も しくはその活性断片またはそれらの誘導体、
(7) 出血時間の延長作用が弱い、 (1) ないし (6) の抗体もじくはその活 性断片またはそれらの誘導体、 '
(8) GP V Iとの解離定数が 4 X 10_8M以下である、 (1) ないし (7) の抗体もしくはその活性断片またはそれらの誘導体である。
前記 (1) ないし (8) の抗体は、 単独ではヒ ト血小板凝集を惹起しない抗体 が好ましい。 好適な例として、 表 6及び表 1 1に挙げられたクロ^-ン、 好ましく は GPVIのループ 9を認識する抗体またはそれをヒ ト I gG、 より好ましくはヒ ト I g G4と組み替えたキメラ抗体もしくはヒ ト化抗体が挙げられる。 また、 本 発明の抗体は、 GPVI、 特に、 ヒ ト GP V Iと抗体との解離定数 (Kd値) が好 ましくは 10— 8M以下、 より好ましくは 4 X 10—9Μ以下の抗体である。 本発明 の抗体もしくはその活性断片またはそれらの誘導体には、 GPV Iとの結合能を 有する限りにおいて、 例えば、 キメラ抗体及びヒ ト化抗体、 Fab (Fragment of antigen binding) 、 Fab'、 F(ab')2、 一本鎖抗体 (scFv) 、 ジスルフィ ド安定化 抗体 (dsFv) 、 diabody, nanobody及び CDRを含むペプチド等、 ならびに、 標識抗 体、 コンジユゲート抗体及び抗体融合蛋白質等を包含する。
また、 本発明第 1の態様の抗体等は、 GPVI、 例えば、 哺乳類の GPVI、 具体 的には、 ヒ ト、 サル、 ラット、 マウス GPVI、 特に、 ヒ ト GP V Iに特異的に結合 し、 コラーゲンによる血小板の凝集能を特異的に低下させるが他のァゴニスト、 例えば、 ADPまたはトロンビンに対する凝集能には影響しないものが好ましレ、。 また、 単独ではヒ ト血小板凝集を惹起しないものが好ましい。 該抗体は、 コラー ゲンによるヒ ト血小板の凝集を抑制する濃度または用量と同等、 好ましくは 10 倍、 より好ましくは 100倍、 さらに好ましくは 1000倍において、 単独では ヒ ト血小板凝集を有意に惹起しない。
ここで前記 (1) ないし (8) の抗体は、 その特性を有する限り、 GPVI、 特 に、 ヒ ト GPV Iとコラーゲンとの結合を阻害する抗体であっても良く、 好まし くは 108M以下、 より好ましくは 10— 9M以下、 さらに好ましくは 104βΜ以下 の解離定数 (Kd値) で GPVI、 特に、 ヒ ト GPV Iとコラーゲンとの結合を阻 害する抗体である。
本発明の抗体は必ずしも特定のクローンに限定されるものではなく、 本発明の 好ましい例と同様の作用を有する抗体は本発明の範囲に包含される。 本発明の抗 体の作用の有無は実施例に示される方法または公知の方法によって確認し得る。
また、 本発明の好ましい抗体と GPV I上の認識領域、 結合部位もしくはェピ トープが同一か少なくとも部分的に共通である抗体、 例えば、 GPV I との結合 において互いに競合する関係にある抗体は本発明の範囲に包含される。 本発明の 抗体との認識領域または結合部位の共通性の有無は実施例に記載の方法に準じて、 または公知の方法によって確認し得る。 すなわち、 本発明により、 本発明の特定 の抗体と GPV I結合において競合する抗体が提供される。 本発明の実施例の競 合実験における分類では、 表 1に挙げられる 8種類のグループ、 好ましくはグノレ ープ d、 eまたは h、 より好ましくはグループ dまたは eに分類される抗体が本 発明の抗体として挙げられる。 前記 (1) ないし (8) の抗体の好適な例として は、 GPVI、 特にヒ ト GPVIのループ 9の少なくとも一部を認識する抗体が挙げ られる。
本発明の第 2の態様は、 新規な GPV I、 例えば、 哺乳類の GPVI、 具体的に は、 ヒ ト、 サル、 ラット、 マウス GPVI、 特にヒ ト GPVI上の認識領域、 結合部位も しくはェピトープによって規定される抗 GPV I抗体であり、 好ましくはモノク ローナル抗体である。 具体的には、
(9) GPVI, 特に、 ヒ ト GPV I ドメイン 1のループ 2、 ループ 3とループ 5、 もしくはループ 4とループ 5、 または、 ドメイン 2のループ 9、 もしくはル ープ 9とループ 1 1、 好ましくはドメイン 2のループ 9もしくはループ 9とルー プ 1 1またはドメイン 1のループ 2、 より好ましくはドメイン 2のループ 9もし くはループ 9とループ 1 1、 さらに好ましくはドメイン 2のループ 9の少なくと も一部分を含むァミノ酸配列または G P V I上の構造を特異的に認識する抗体も しくはその活性断片またはそれらの誘導体、
(10) GPV I ドメイン 1のループ 2、 ループ 3とループ 5、 もしくはルー プ 4とループ 5、 または、 ドメイン 2のループ 9、 もしくはループ 9とループ 1 1の少なくとも一部分が、 ヒ ト GPVIのループ 2の E 21、 K 22および P 23、 ループ 3の G 33とループ 5の A57、 K 59および L 62、 もしくはループ 4 の S 43、 S 44、 S 45、 R 46および E 48とループ 5の A 57、 K59お よび L 62、 または、 ループ 9の T 1 16、 R1 1 7、 G i l 9および Q 1 22、 もしくはループ 9の T 1 1 6、 R 1 1 7、 G i l 9および Q 1 22とループ 1 1
の R139である、 (9) の抗体もしくはその活性断片またはそれらの誘導体、
(1 1) GPVI、 特に、 ヒ ト GPVI ドメイン 1のループ 2、 ループ 3とルー プ 5、 もしくはループ 4とループ 5、 または、 ドメイン 2のループ 9、 もしくは ループ 9とループ 11、 好ましくはドメイン 2のループ 9もしくはループ 9とル ープ 11またはドメイン 1のループ 2、 より好ましくはドメイン 2のループ 9も しくはループ 9とループ 11、 さらに好ましくはドメイン 2のループ 9と特異的 に結合する、 (9) または (10) の抗体もしくはその活性断片またはそれらの 誘導体である。 さらに、 好ましくは、
(12) GPVI、 特に、 ヒ ト GPV I ドメイン 1のループ 2、 ノレープ 3とルー プ 5、 もしくはループ 4とループ 5、 または、 ドメイン 2のループ 9、 もしくは ループ 9とループ 11、 好ましくはドメイン 2のループ 9もしくはループ 9とル ープ 1 1またはドメイン 1のループ 2、 より好ましくはドメイン 2のループ 9も しくはループ 9とループ 11、 さらに好ましくはドメイン 2のループ 9の少なく とも一部を含むアミノ酸配列または GPV I上の構造を認識する、 (1) ないし (8) の抗体もしくはその活性断片またはそれらの誘導体、
(13) ヒ ト GPV I ドメイン 1のループ 2の E 21、 K22および P 23、 ノレープ 3の G 33とループ 5の A 57、 K 59および L 62、 もしくはループ 4 の S43、 S44、 S 45、 R 46および E 48とループ 5の A 57、 K59お よび L 62、 または、 ドメイン 2のループ 9の T 116、 R 117、 G119お よび Q 122、 もしくはループ 9の T 116、 R1 17、 Gi l 9および Q l 2 2とループ 1 1の R 139を含むアミノ酸配列または GPV I上の構造を特異的 に認識する、 (1) ないし (8) の抗体もしくはその活性断片またはそれらの誘 導体、
(14) GPVI, 特に、 ヒ ト GPV I ドメイン 1のループ 2、 ループ 3とルー プ 5、 もしくはループ 4とループ 5、 または、 ドメイン 2のループ 9、 もしくは ループ 9とループ 11、 好ましくはドメイン 2のループ 9もしくはループ 9とル ープ 11またはドメィン 1のループ 2、 より好ましくはドメイン 2のループ 9も しくはループ 9とループ 11、 さらに好ましくはドメイン 2のループ 9と特異的 に結合する、 (1) ないし (8) の抗体もしくはその活性断片またはそれらの誘
導体である。
ここで、 上記の各ループの少なくとも一部分は、 例えば、 ヒ ト GPV Iにおい て異種 GPV I、 例えばサル、 マウスまたはラット GPV Iと対応するアミノ酸 残基が異なる残基である。 GPV I、 例えば、 ヒ ト GP V Iのモデリング構造は 実施例に記載する方法により推定可能であり、 各ループ構造の位置を図 1、 3及 び 47に示した。 上記のループの内、 ドメイン 2のループ 9、 ループ 9とループ 1 1及ぴドメイン 1のループ 2、 好ましくはドメイン 2のループ 9もしくはルー プ 9とループ 11、 さらに好ましくはドメイン 2のループ 9は本発明の抗体の認 識領域として重要であり、 これらを認識する抗体は好ましいものである。 好適な 例として、 表 6及び 1 1に挙げられた抗体またはそれをヒ ト I gG、 より好まし くはヒ ト I gG4と組み替えたキメラ抗体もしくはヒ ト化抗体が挙げられる。 本発明の第 2の態様の抗体は、 本発明第 8の態様のぺプチド及び, /または第 9 の態様のポリペプチドとの結合性によって、 分類すること、 または、 結合領域を 確認することができる。 すなわち、 本発明は、 本発明第 8の態様のペプチド及び Zまたは第 9の態様のポリペプチドの内、 特定のものとの結合性が異なる、 好ま しくは低下した抗 GPV I抗体を提供す'る。 具体的には、 特定の GPV I変異体 との結合性が、 ヒ ト GPV I及び/または他の GPV I変異体との結合性と有意 に異なる、 好ましくは低下した抗 GPV I抗体である。 具体的な確認方法、 用い るポリペプチド等、 好適な分類及び好適な抗体の例は実施例示されている。 本発 明の抗体は、 その抗原結合価は必ずしも限定されず、 Fabもしくは scFvのような 一価抗体でも良いが、 生体内、 特に血中での安定性、 GPV Iへの結合性または 作用の強度の観点から、 好ましくは、 二価以上の多価抗体、 例えば、 二価、 三価、 四価もしくは十価の抗体、 より好ましくは、 二価抗体 ある。 従って、 本発明の 第二の態様において、 GPV I上の特定の領域、 特に、 ループ 9、 を認識する一 価の抗体及ぴ二価以上の多価抗体、 例えば、 二価、 三価、 四価もしくは十価の抗 体、 好ましくは、 二価抗体が提供される。 ここで、 四価抗体の例としては I gA、 十価抗体の例としては I gMが挙げられるが、 これらに限定されない。 また、 三 価抗体は生理的には存在しないが、 固有の三量体化特性を有する天然または合成 ペプチド、 例えば、 テナシン ( t e n a s c i n) 分子のドメイン (M 110-139、
Swissprot #P10039(ニヮトリ)、 または Swissprot #P24821(fcト)) を利用し、 化 学的または遺伝子工学的に一価抗体 (scFvもしくは Fab等) に結合させることで 三価抗体を調製可能である (特表 2004-508828号公報参照) 。 なお、 本発明第二 の態様の抗体は、 好ましくは、 第一の態様の抗体の特定の機能または特性を示す ものである。
本発明の第 3の態様は、 新規な C D Rァミノ酸配列または可変領域ァミノ酸配 列を含有する抗 GPV I抗体であり、 好ましくは、 ヒト I gG、 特にヒト I gG 4と組み替えたキメラ抗体、 より好ましくは CD R移植抗体、 特にヒト化抗体で ある。 具体的には、
(1 5) 少なくとも抗体の H鎖または L鎖の一方の 3組の CD R、 好ましくは 抗体の H鎖おょぴ L鎖両方の 6組の CDRが、 表 8、 9、 1 2及び 1 3に記載の クローン'、 好ましくは GPVIのループ 9を認識するする抗体の CD Rのアミノ酸配 列を、 それぞれ対応する CDRのァミノ酸配列として含有する抗 GPV I抗体も しくはその活性断片またはそれらの誘導体、
(1 6) 配列番号 15、 16及び 17のアミノ酸配列、 配列番号 18、 19及び 20のアミ ノ酸配列、 配列番号 21、 22及び 23、 配列番号 24、 25及び 26、 配列番号 27、 28及ぴ 29、 配列番号 30、 31及び 32、 配列番号 33、 34及び 35、 配列番号 36、 37及び 38、 配 列番号 39、 40及び 41、 配列番号 42、 43及び 44、 配列番号 45、 46及び 47、 または、 配列番号 48、 49及び 50のアミノ酸配列を、 または表 1 2に記載の何れかのクロー ンの VH CDR1、 VH CDR2及び VH CDR3をそれぞれ VH CDR1、 VH CDR2及ぴ VH CDR3に有 する抗 GPV I抗体の重鎖もしくはその活性断片またはそれらの誘導体、
(1 7) 配列番号 51、 52及び 53のアミノ酸配列、 配列番号 54、 55及び 56のアミ ノ酸配列、 配列番号 57、 58及び 59、 配列番号 60、 61及ぴ 62、 配列番号 63、 64及び 65、 配列番号 66、 67及ぴ 6S、 配列番号 69、 70及び 71、 配列番号 72、 73及び 74、 配 列番号 75、 76及ぴ 77、 配列番号 78、 79及ぴ 80、 配列番号 81、 82及び 83、 または、 配列番号 84、 85及び 86のアミノ酸配列を、 または表 1 3に記載の何れかのクロー ンの VL CDR1、 VL CDR2及び VL CDR3をそれぞれ VL CDR1、 VL CDR2及ぴ VL CDR3に有 する抗 GP V I抗体の軽鎖もしくはその活性断片またはそれらの誘導体、
(18) 配列番号 15、 16、 17、 51、 52及び 53のアミノ酸配列、 配列番号 18、 19
20、 54、 55及び 56のアミノ酸配列、 配列番号 21、 22、 23、 57、 58及び 59のァミノ 酸配列、 配列番号 24、 25、 26、 60、 61及び 62のアミノ酸配列、 配列番号 27、 28、 29、 63、 64及ぴ 65のアミノ酸配列、 配列番号 30、 31、 32、 66、 67及び 68のァミノ 酸配列、 配列番号 33、 34、 35、 69、 70及び 71のアミノ酸配列、 配列番号 36、 37、 38、 72、 73及び 74のアミノ酸配列、 配列番号 39、 40、 41、 75、 76及び 77のァミノ 酸配列、 配列番号 42、 43、 44、 78、 79及ぴ 80のアミノ酸配列、 配列番号 45、 46、 47、 81、 82及び 83のアミノ酸配列、 または、 配列番号 48、 49、 50、 84、 85及び 86 のアミノ酸配列を、 または表 1 2及び 1 3に記載の何れかのクローンの VH CDR1、 VH CDR2、 VH CDR3、 VL CDR1、 VL CDR2及び VL CDR3をそれぞれ VH CDR1、 VH CDR2、 VH CDR3、 VL CDR1、 VL CDR2及び VL CDR3に有する抗 G P V I抗体もしくはその活 性断片またはそれらの誘導体、
( 1 9 ) 少なくとも抗体の H鎖または L鎖の可変領域、 好ましくは抗体の H鎖 および L鎖両方の可変領域が、 表 7または表 1 4に記載のクローン'、 好ましくは GPVIのループ 9を認識する抗体が有する可変領域のァミノ酸配列を、 それぞれ対 応する可変領域のアミノ酸配列として含有する抗ヒ ト G P V I抗体、 特にヒト I g G、 好ましくはヒト I g G 4と組み替えたキメラ抗体もしくはその活性断片ま たはそれらの誘導体である。 第 3の態様の抗体は、 好ましくは、 第 1の態様及び /または第 2の態様の抗体等の特性及び Zまたは認識領域特異性を有するもので あ 。
本発明の第 4の態様は、 第 1ないし第 3の態様の抗体もしくはその活性断片ま たはそれらの誘導体の少なくとも H鎖もしくは L鎖の一方の 3組の C D R、 好ま しくは H鎖及び L鎖の 6組の C D R、 または、 可変領域をコードする塩基配列を 含有するポリヌクレオチドまたは核酸である。 具体的には、
( 2 0 ) 第 1ないし第 3の態様の抗体もしくはその活性断片またはそれらの誘 導体の H鎖及び/または L鎖をコードする塩基配列を含有するポリヌクレオチド、 ( 2 1 ) 少なくとも抗体の H鎖または L鎖の一方の 3組の C D R、 好ましくは 抗体の H鎖または L鎖の両方の 6組の C D Rをコードする塩基配列として、 表 8 及び 9または表 1 2及び 1 3に記載のクローン、 好ましくは GPVIのループ 9を認 識する抗体の遺伝子におけるそれぞれ対応する C D Rをコードする塩基配列を含
有する (2 0 ) のポリヌクレオチド、
( 2 2 ) 少なくとも抗体の H鎖または L鎖の可変領域、 好ましくは抗体の H鎖 および L鎖両方の可変領域として、 表 7または表 1 4に記載のクローン GPVIのル ープ 9を認識する抗体の遺伝子におけるそれぞれ対応する可変領域をコードする 塩基配列を含有するポリヌクレオチド、
( 2 3 ) H鎖の可変領域をコードする配列番号 2 8 0の塩基配列と、 L鎖の可 変領域をコ一ドする配列番号 2 8 4の塩基配列とを含有するポリヌクレオチド、 または H鎖の可変領域をコードする配列番号 2 8 2の塩基配列と、 L鎖の可変領 域をコードする配列番号 2 8 4の塩基配列とを含有するポリヌクレオチドである。 また、 本発明は、 特定のマウス germ- line抗体遺伝子セグメントの組合せを含有 する抗体遺伝子に由来する、 抗ヒ ト GPVI抗体遺伝子又はその重鎖もしくは軽鎖可 変領域遺伝子を提供する。 すなわち、
( 2 4 ) 表 1 6に記載されたマウス germ- line抗体遺伝子セグメント VH、 D H 及び J Hの何れかの組合せを含有する抗体重鎖遺伝子に由来する、 抗ヒ ト GPVI抗 体遺伝子又はその重鎖可変領域遺伝子、
( 2 5 ) 前記抗体重鎖可変領域遺伝子の CDRァミノ酸配列をコードするヌクレ ォチド配列を含有する抗ヒト GPVI抗体遺伝子又はその重鎖可変領域遺伝子、
( 2 6 ) 表 1 6に記載されたマウス germ - line抗体遺伝子セグメント V L及び J Lの何れかの組合せを含有する抗体軽鎖遺伝子に由来する、 抗ヒ ト GPVI抗体遺 伝子又はその軽鎖可変領域遺伝子、
( 2 7 ) 前記抗体軽鎖可変領域遺伝子の CDRァミノ酸配列をコードするヌクレ ォチド配列を含有する抗ヒト GPVI抗体遺伝子又はその軽鎖可変領域遺伝子である。 ここで、 表 1 6に記載されたマウス germ- line抗体遺伝子セグメントの内、 各抗 体クローンの最上段に示されたスコアの高いセグメントの組合せ、 例えば、 クロ ーン F1246- 1- 1の重鎖遺伝子では V H (3 : 3. 9) 、 D H (DSP2. 7又は DSP2. 5) 及び J H (JH4) の組合せが好ましい。 また、 前記抗体遺伝子に由来する遺伝子には、 それがコードする抗体が同様な抗原特異性を示す限り、 その抗体遺伝子自体又は 1塩基以上の変異を伴った遺伝子を包含し、 その変異は天然に生じたもの及び人 為的に導入したものの何れであっても良い。 同時に、 本発明は、 '特定のマウス
germ- line抗体遺伝子セグメントの組合せを含有する抗体遺伝子に由来する、 抗 ヒト GPVI抗体遺伝子又はその重鎖もしくは軽鎖可変領域遺伝子にコードされる抗 体もしくはその活性断片またはそれらの誘導体を提供する。 すなわち、
(28) 前記 (2·4) 〜 (25) の抗体遺伝子又はその重鎖可変領域遺伝子に コードされる抗ヒ ト GPVI抗体又はその重鎖可変領域ポリペプチド、
(29) 前記 (26) 〜 (27) の抗体遺伝子又はその軽鎖可変領域遺伝子に コードされる抗ヒト GPVI抗体又はその軽鎖可変領域ポリべプチドである。
さらに、 本発明は、 ポリエチレングリコール (PEG) 化された抗 GPVI抗体、 特 に抗ヒ ト GPVI抗体、 具体的には、 前記本発明の抗体、 好ましくは、 GPVIのループ 9を認識する抗体、 もしくはその活性断片またはそれらの誘導体を提供する。 抗 体等に PEGを結合させる方法は公知の方法 (例えば、 Roberts M.J. et al. Advanced Drug delivery Reviews 54(2002)459- 476参照) に従うことができ、 具 体的には実施例 31に記載されている。
本発明の第 5の態様は、 第 1ないし第 3の態様の抗体もしくはその活性断片ま たはそれらの誘導体を産生する細胞、 または、 第 4の態様のポリヌクレオチドを 含有する細胞である。 具体的には、
(30) 前記 (1) ないし (19) に記載のいずれかの抗体もしくはその活性 断片またはそれらの誘導体を産生する細胞、 特に、 形質転換細胞、 またはハイブ リ ドーマ、
(3 1) 前記 (20) ないし (23) に記載のいずれかのポリヌクレオチドを 含有する細胞、 特に、 形質転換細胞、 またはハイプリ ドーマである。
本発明の第 6の態様は、 第 4の態様のポリヌクレオチドもしくはそれを含有す る発現ベクター、 または第 5の態様の細胞を用いることを特徴とする、 第 1ない し第 3の態様の抗体を製造する方法である。 具体的には、
(32) 前記 (30) または(31)の細胞を培養する工程および、 該細胞が産 生するモノクローナル抗体を採取する工程を含む、 第 1ないし第 3の態様の抗体 を製造する方法、
(33) 前記(1 9)ないし(23)のポリヌクレオチド、 それを含有する発現べ クタ一、 (30)· または (31) の細胞の何れかを用いる工程を含む、 第 1ない
し第 3の態様の抗体の製造方法である。
本発明の第 7の態様は、 本件第 1ないし第 3の態様の抗体もしくはその活性断 片またはそれらの誘導体を有効成分として含有する医薬組成物に関するもので、 好ましくは血栓性、 塞栓性または動脈硬化性の疾患の予防およぴ.. または治療の ための医薬組成物である。 本発明の抗体は、 血小板の活性化作用、 血小板凝集作 用、 血小板減少作用及び出血時間の延長作用等の副作用がほとんどなく、 上記疾 患等の予防および/または治療に有用である。
本発明の第 8の態様は、 GP V I上の特定の構造、 特に、 ループ構造を構成す るペプチド、 具体的には、
(34) GPVI、 特にヒト GPV I ドメイン 1のループ 2、 ループ 3とループ 5、 もしくはループ 4とループ 5、 または、 ドメイン 2のループ 9、 もしくはループ 9とループ 1 1を含有するペプチド、 特に、 それらの何れかのアミノ酸配列から なるペプチドである。 ここで、 該ペプチドは異種の GPV I由来のアミノ酸配列 または GPV I以外のポリペプチド、 例えば、 F cのアミノ酸配列を含有しても 良い。
本発明の第 9の態様は、 特定の GP V I変異体、 例えば、 アミノ酸置換体、 種 間でのドメイン置換体または種間での部分配列置換体、 例えばループ置換体等で ある。 好ましくは図 1及び 3に示される GPV Iの 1もしくは 2以上のループ構 造を構成するアミノ酸を他のアミノ酸または多種 (例えば、 ヒ ト、 サル、 マウス 及びラット) の対応するループのアミノ酸で置換した変異体であり、 具体例は表 4または実施例に記載されている。 具体的には、
(35) 配列番号 137ないし 151のアミノ酸配列を含有するポリペプチドである。 本発明の第 10の態様は、 以下の工程を含む、 抗体もしくはその活性断片また はそれらの誘導体のスクリーニング方法である。
a) 血小板膜糖蛋白質 VI (GPV I) 、 特にヒ ト GPVIとの結合性を測定する工程、 b) 血小板を活性化させる作用、 及びまたは、 生体内における血小板減少を惹起 する作用を測定する工程、 及び、
c) 血小板と接触させることにより血小板膜上の GPV Iを少なくとも部分的に 消失させる活性を測定する工程。 '
本発明の第 11の態様は、 第 8の態様のぺプチドまたは第 9の態様のポリぺプ チドと抗体との反応性、 例えば、 結合性を測定する工程を含む、 抗体のェピトー プの推定方法、 または、 抗体の認識領域の同定方法である。
本発明の第 12の態様は、-本発明第 8の態様のぺプチドまたは第 9の態様のポ リペプチド等を用いることを特徴とする GPV Iに特異的な抗体の製造方法、 具 体的に.は、
(36) 本発明第 8の態様のぺプチドまたは第 9の態様のポリぺプチド等を免 疫用の投与抗原として、 または、 体外免疫用の抗原として用いること特徴とする GP V Iに特異的な抗体、 好ましくは、 本発明の第 1ないし第 3の態様の抗体の 製造方法、
(37) 本発明第 8の態様のぺプチドまたは第 9の態様のポリぺプチド等を抗 体の検出または同定用の抗原として用いること特徴とする GPV Iに特異的な抗 体、 好ましくは、 本発明の第 1ないし第 3の態様の抗体の製造方法である。 すな わち、 本発明の抗体が認識しうる GPVI、 特にヒ ト GPV I上のアミノ酸配列、 例 えば、 ループ構造に対応するアミノ酸配列がマウス GPV I上に組み込まれた G PV I組換体は、 それ自身を免疫原及び/または検出用抗原として同じ認識領域 を認識しうる新たな抗体を得ることができる。 ヒ ト治療用抗体のより好ましい作 製方法として、 ヒ ト抗体遺伝子トランスジエニック非ヒ ト動物を用いた方法が開 示されている (W02002/070648 (特表 2005-504507) 、 WO 200 2/043478 (特表 2004- 515230) ) 。 異種の GPV I、 例えばマウス GP V Iにヒ ト G P V Iの部分ァミノ酸配列を組み込んだ蛋白質は、 上記のトランス ジヱニック動物、 例えばマウスに免疫した場合、 GPV Iのマウスのアミノ酸配 列には反応せずに組み込まれたヒ トアミノ酸配列、 好ましくはェピトープ、 によ り反応するヒ ト抗体が効率的に得られると考えられる。 よって、 この方法で得ら れたヒ ト抗体は、 本発明の第 1または第 2態様の抗体の特徴を有するヒ ト抗体と して有用であり、 該方法は特に有用である。
本発明の第 13の態様は、 第 1ないし第 3の態様の抗体を用いて試料中の GP V Iを検出または定量する方法である。 該方法は、 血小板上の GPV Iまたは体 液、 特に血液中の GPV Iを測定でき、 疾患の診断をする方法、 好ましくは血栓
形成を伴う疾患の診断をする方法に応用可能である。 また、 該方法は、 GPV I と関連した治療のモニタリング、 特に、 血小板上の GPV Iを指標として、 抗 G P V I抗体の効果予測もしくは判定、 または予後の判定等に応用しうる。 図面の簡単な説明
図 1は、 ヒ ト可溶型 GP V Iおよびマウス可溶型 GPV Iのアミノ酸列のァラ ィメントである。 四角は、 GPV Iの各ドメイン領域およびモデリングによって 予測されたループ領域の位置 (L 1一 L 14) を示す。
図 2は、 GPV I欠損患者の抗体とマウス抗ヒ ト GP V Iモノクローナル抗体 との競合試験の結果を表す。 YA-Abs-88および YA- Abs- 03は G P V I欠損患者の抗 GPV I抗体を示す。
図 3は、 ヒ ト可溶型 GPV Iおよびラット可溶型 GP V Iのアミノ酸列のァラ ィメントである。 四角は、 各ドメイン領域およびモデリングによって予測された ループ領域の位置 (L 1— L 14) を示す。
図 4は、 マウスハイプリ ドーマ抗体とキメラ抗体の反応性を調べた結果を示す, 図 5は、 キメラ化した抗体とマウスハイブリ ドーマ抗体の GPV Iとコラーゲ ンとの結合阻害を示す。
図 6は、 抗ヒ ト GPV I抗体の GPV I変異体との結合特性を調べた結果を表 す。
図 7は、 CF1232-37-2の各種 hGP V Iマウスループ置換体との反応性を調べ た結果を表す。
図 8は、 ヒ ト血小板および力二クイザル血小板活性化作用を示す。. ヒ ト血小板 (A) およぴカニクイザル血小板 (B) の CD62P (Pセレクチン発現量) を FACSによ り測定し、 平均蛍光強度 (MFI) で示した。
図 9は、 ヒ ト血小板に対する凝集惹起作用を示す。
図 10は、 コラーゲン惹起ヒ ト血小板凝集に対する F1232-37- 2の作用を表す。 図 1 1は、 ADP惹起ヒ ト血小板凝集に対する F1232- 37- 2の作用を表す。
図 12は、 マウス抗ヒ ト G P V Iモノクローナル抗体 F1232-37-2および F1199- 6の力二クイザルへの静脈内投与試験の結果を示す。 ' ·
図 1 3は、 マウス/ヒ トキメラ抗ヒ ト G P V I抗体の力二クイザル ex vivo試験 (単回静脈内試験 CF1232- 37-2単回静脈内投与試験) の結果を示す。
図 1 4は、 cマウス/ヒ トキメラ抗ヒ ト G P V I抗体の力二クイザル ex vivo試 験 (反復静脈内投与試験) の結果を示す。 力二クイザルに CF1232- 37- 2を 0. 3 mg/kgを 1日おきに 4回投与したときのコラーゲン '惹起血小板凝集能 (A) および血 小板 GPVI量 (B) を測定した。
図 1 5は、 cマウス/ヒ トキメラ抗ヒ ト G P V I抗体の力二クイザル ex vivo試 験 (皮下投与試験) の結果を示す。 力二クイザルに CF1232- 37 - 2を皮下投与した 後、 経時的に採血し、 2 g/rnL コラーゲンで惹起される血小板凝集能 (A) およ び血小板 GPVI量 (B) を測定した。
図 1 6は、 F1232- 37- 2 Fabのコラーゲン惹起血小板凝集抑制作用を示す。
図 1 7は、 F1232-37- 2 F(ab' ) 2の力二クイザル ex vivo試験の結果を示す。 図 1 8は、 CF1232- 37- 2両鎖安定共発現プラスミ ドの構築を示す。
図 1 9は、 COS細胞で発現させた cF1232 - 37-2と CH0細胞で発現させた cF1232- 37-2の抗原結合反応性を示す。
図 2 0は、 重鎖可変領域のアミノ酸配列とそのヒ ト化について示す。
図 2 1は、 軽鎖可変領域のアミノ酸配列とそのヒ ト化について示す。
図 2 2は、 ヒ ト化抗体の G P V I結合特異性を示す。
図 2 3は、 キメラ抗 G P V I抗体を投与された力二クイザル血小板のコラーゲ ン惹起凝集能試験の結果を表す。
図 2 4は、 力二クイザル出血時間試験の結果を表す。 A : eptifibatide投与静 脈内投与後 5分後および抗 G P V I抗体 CF1232-37-2投与 48時間後の血小板のコ ラーゲン惹起凝集能を示す。 B : eptifibatide投与静脈内投与後 5分後および抗 G P V I抗体 CF1232-37-2投与 48時間後の出血時間^各群薬物投与前値と比較し た結果を示す。
図 2 5は、 抗 G P V I抗体による血小板 G P V I抗原 shedding確認試験の結果 を示す。
図 2 6は、 抗 G P V I抗体全抗体および Fab抗体の PEG化の結果を表す。 各レー ンは、 1 : F1232- 37-2全抗体; 2 : F1232- 37- 2の PEG化反応物; 3 ·: PEG化 F1232 -
37- 2精製物; 4 : F1232-37-2 Fab抗体; 5 : F1232-37-2 Fabの PEG化反応物;
6 : PEG化 F1232- 37- 2 Fab精製物を表す。
図 2 7は、 PEG化抗 G P V I抗体の G P V I抗原結合活性試験の結果を表す。 図 2 8は、 ラット G P VI遺伝子のヌクレオチド配列及びそれによってコードさ れるアミノ酸配列を示す。
図 2 9は、 実施例 3 5で得られた rGPVI_Fc融合蛋白質の SDS-PAGEの結果を表す 図である。 レーン' 1は分子量マーカー、 レーン 2は rGPVI- hFc融合蛋白質、 レー ン 3は rGPVI- mFc融合蛋白質を示す。
図 3 0は、 GPVIループ置換体に対する結合能を調べた結果を示す。
図 3 1は、 抗ラット GPVI抗体のラット血小板に対する結合能を調べた結果を示 す。
図 3 2は、 抗ラット GPVI抗体投与ラット血小板の凝集能を調べた結果を示す。 図 3 3は、 実施例 4 0における GPVI消失の結果を示す。
図 3 4は、 コラーゲン致死モデルに対する抗 GPVI抗体の効果を調べた結果を示 す。
図 3 5は、 電気刺激惹起動脈血栓モデルに対する抗 GPVI抗体の効果を調べた 結果を示す。
図 3 6は、 CypHer5E標識 cF1232- 37-2/CHOの抗原結合評価を表す図である。 図 3 7は、 CypHer5E標識 cF1232-37-2/CH0 in vitro internalizationの結果を 示す。
図 3 8は、 CyPHer5E標識 F1239- 6- 1の抗原結合評価を示す。
図 3 9は、 CypHer5E標識 F1239-6- 1 in vitro internalizationの結果を示す。 図 4 0は、 CypHer5E標識 F1239-6-1 in vivo internalizationの結果を示す。 図 4 1は、 CF1232- 37- 2S/C0Sの血小板活性化評価 (CD62P) の結果を示す。 図 4 2は、 CF1232-37-2S/COSのコラーゲン惹起血小板凝集に対する抑制作用 を示す。
図 4 3は、 C F1232- 37- 2S/C0Sの力二クイザル ex vivo試験の結果を表す図であ る。 コラーゲン惹起血小板凝集能により結果を示す。 '
図 44は、 PEG化 F1239- 6- lFabの抗原結合活性を調べた結果を表す図である。 図 45は、 CF1232- 37- 2高用量投与下の力二クイザルの出血時間を示す。 図 46は、 実施例 50におけるラットの出血時間測定結果を示す。
図 47は、 ヒ ト可溶型 GPVIおよび力二クイザル可溶型 GPYIのァミノ酸配列の了 ライメントを示す。 四角は、 GPVIの各ドメイン領域およびモデリングによって予 測されたループ領域の位置 (L1 - L14) を示す。 発明を実施するための最良の形態
(構成) ―
本件発明の抗体は、 血小板、 例えば、 哺乳類の GPVI、 具体的には、 ヒ ト、 サ ノレ、 ラッ ト、 マウス血小板、 特に、 ヒ ト血小板上に存在する膜糖蛋白質である G P V Iを特異的に認識するものである。 なお、 本発明の抗体が認識する GPV I は必ずしも血小板上のものに限られず、 例えば、 巨核球の GPV Iをも認識し得 るものである。 ここで、 本発明が対象とする GPV Iは哺乳類の GPVIであり、 例えば、 ヒ ト、 サル、 ラット、 マウス GPVIが挙げられ、 特に、 ヒ ト GPVIである。 以下に、 本発明をさらに詳しく説明する。 なお、 本明細書中では、 アミノ酸配列 を 1文字表記または 3文字表記で記載することがある。
本発明の抗体は、 ポリクローナル抗体でもよいが、 好ましくは、 モノクローナ ル抗体である。 このモノクローナル抗体の作製方法には特定の方法に限らず、 例 えばハイブリ ドーマが産生したモノク口ーナル抗体、 抗体の遺伝子を組み込んだ 組換え細胞が産生したモノクローナル抗体、 または EBV (ェプスタイン ·バー ウィルス) により形質転換した細胞が産生するモノクローナル抗体のいずれであ つてもよい。 また、 本発明のモノクローナル抗体を少なくとも一つ含有する抗体 の混合物もしくはポリクローナル抗体、 または複数の本発明のモノクローナル抗 体の混合物であってもよい。 さらに、 本発明の抗体は、 二重特異性 (b i s p e c i f i c) 抗体または多重特異性 (p o l y s p e c i f i c) 抗体も包含す る。
本発明の抗体は、 GPVI、 例えば、 哺乳類の GP VI、 具体的には、 ヒ ト、 サル ラット、 マウス GPVI、 特にヒ ト GPV Iと特異的に結合する抗体である。 本発明
の抗体と GPVI、 特にヒト GPV Iとの結合は公知の方法で測定可能であり、 具 体的には、 実施例に示された方法が挙げられる。 本発明の抗体は GP VI、 特にヒ ト GP V I と抗体との解離定数 (Kd値) 力 4 X 10%, 好ましくは 1 CT8 M以下、 より好ましくは 4 X 10— 9M以下、 さらに好ましくは 10— 9M以下であ る。 ヒ ト GPV Iと抗体との解離定数を測定する方法は特定の方法に限定されず、 常法により行うことができる。 例えば、 チップ上に固定化した GPV I-Fcを用 いて B I ACORE 3000のような蛋白質相互作用解析装置により測定するこ とができる。 また、 血小板、 特にヒ ト又はサル血小板を用いて、 公知の方法、 例 えば、 R I標識抗体を用いた方法によっても測定できる。 具体的には、 実施例 5 及び 52に示されている。 '
本発明の第 1の態様の抗体は、 血小板と接触させることにより、 特に、 生体内 において接触させることにより、 血小板膜上の GP V Iを少なくとも部分的に消 失させる作用を有するものである。 その作用は、 本発明の抗体と血小板とを一定 時間接触させた後、 血小板を分離し、 その表面上の GPV I発現量を測定するこ とにより確認しうる。 GPV I発現量は F AC S等を用いた常法により測定でき、 具体的な方法は実施例に示されている。 本発明の抗体は、 例えば、 3mgZk g、 好ましくは 1 mg./k g、 より好ましくは 0. 3mg,/k g、 さらに好ましくは 0. lmgZk gの投与量で、 投与前値または対照群の値と比較して、 20%以 上、 好ましくは 40 %以上、 より好ましくは 60 %以上、 さらに好ましくは 8 0%以上、 血小板上の GPV Iを消失させる作用を有する。
本発明の抗体は、 血小板 GPVIの shedding、 特に、 血小板の活性化に伴うメタ口 プロテアーゼを介した切断による血小板からの GP VIの sheddingを介さない GPVI 消失作用を有するもの、 または、 該 sheddingを惹起する作用が弱い、 好ましくは 有意な惹起作用がない、 より好ましくは実質的に惹起作用がなく、 血小板と接触 させることにより血小板膜上の GPVIを少なくとも部分的に消失させる抗体である。 ここで、 sheddingの有無は公知の方法 (S t e p h e n s G外 4名、 B 1 o o d . 2005 J a n 1 ; 105 (1) : 1 86— 91 ; Gardiner EE et al. , Blood. 2004;104:3611-3617 , Bergraeier W et al. , Throrab Haeraost. 2004;91:951-958.) で検出しうるが、 具体的には、 実施例 30に記載された方法
を適用できる。
本発明の抗体は、 血小板 GPVIの internalizationを介して、 血小板と接触させ ることにより血小板膜上の GPVIを少なくとも部分的に消失させる、 抗体もしくは その活性断片またはそれらの誘導体である。 これらの抗体は、 血小板の活性化に 伴うメタ口プロテアーゼを介した切断による血小板からの G P VIの sheddingを惹 起する抗体と異なり、 以下に述べるように、 それ自体では血小板を活性化させる 作用、 及び, zまたは、 生体内における血小板減少を惹起する作用が弱い、 好まし くはほとんど作用がなく、 有用なものである。 そのような抗体の好適な例として は、 G P V Iのループ 9を認識する抗体が挙げられる。
本発明の抗体による、 血小板 GPVIの internalizationは、 公知の方法で確認し ても良く、 好ましくは、 実施例に示されるような、 標識物質、 例えば、 蛍光物質、 好ましくは、 p H感受性蛍光物質を用いた方法、 具体的には、 これらの標識物質 で本発明の抗体を直接又は間接的に標識する方法により、 抗体が結合した G P V Iが血小板内への取込みを検出し、 又は、 その取込み量を測定しうる。 好適な方 法は実施例に示されている。
本発明の抗体は、 それ自体では血小板を活性化させる作用、 及び/または、 生 体内における血小板減少を惹起する作用が弱い、 好ましくはほとんど作用がない ものである。 血小板の活性化は公知の方法で測定しうるが、 血小板表面抗原、 好 ましくは CD 6 2 Pの発現量を指標とすることができる。 例えば、 本発明の抗体 を投与した生体から一定時間経過後に血小板を分離し、 その C D 6 2 Pの発現量 を常法により測定する方法、 及び、 生体から分離した血小板と本発明の抗体を接 触させ、 一定時間経過後にその C D 6 2 Pの発現量を常法により測定する方法等 が挙げられる。 その具体的な方法は実施例に示されている。 本発明の抗体による 血小板の活性化は、 C D 6 2 Pの発現量を指標とした場合、 血小板上の G P V I を少なくとも部分的に消失させる投与量または濃度において、 対照となる血小板 の 5倍以下、 好ましくは 2倍以下、 より好ましくは 1 . 5倍以下、 さらに好まし くはほぼ同程度である。
また、 生体内における血小板減少の有無は、 本発明の抗体を生体に投与後経時 的に採血して血小板数を常法により測定し、 投与前値または対照となる個体の血
小板数と比較することにより確認する。 具体的な方法は実施例に示されている。 本発明の抗体による血小板数の変化は、 血小板上の GPV Iを少なくとも部分的 に消失させる投与量または濃度において、 投与前値または対照群の値を 100% として、 50%以上、 好ましくは 70%以上、 より好ましくは 90%以上、 さら に好ましくはほぼ同程度である。
本発明の抗体は、 コラーゲンによるヒ ト血小板の凝集能を低下させる作用、 す なわち、 生体内に投与して血小板と接触させることにより血小板がコラーゲンに 応答して凝集する能力を低下もしくは欠如させる作用を有するものである。 その 作用は、 本発明の抗体を生体内に投与して血小板と接触させた後、 経時的に血小 板を分離し、 コラーゲン惹起血小板凝集を測定することにより確認できる。 ここ で、 血小板凝集は公知の方法で測定し得るが、 例えば、 血小板凝集能測定装置等 で光透過率を指標として凝集率を計算することにより測定でき、 一般的には、 光 透過率が最大となる点の凝集率 (以下、 最大凝集率と称することがある) で表さ れる。 後述の実施例 8等に記載された方法において、 本発明の抗体は、 3mg.Z k g、 好ましくは lmg/k g、 より好ましくは 0. 3mg Zk g、 さらに好ま しくは 0. lmgZk gの投与量で、 投与前値または対照群の値と比較して、 2 0 %、 好ましくは 40 %以上、 より好ましくは 60 %以上、 さらに好ましくは 8 0 %以上、 血小板のコラーゲン凝集能を低下させる作用を有する。
本発明の抗体は、 好ましくは、 コラーゲン以外の血小板凝集を惹起する物質、 例えば ADPまたはトロンビンによる凝集に対してはほとんど影響せず、 コラー ゲン凝集能に影響する投与量または濃度で、 最大凝集率が好ましくは対照の 80% 以上、 より好ましくは対照の 90%以上、 さらに好ましくは対照の 95%以上である。 コラーゲン以外の血小板凝集を惹起する物質によるヒ ト血小板の凝集の抑制を測 定する方法は常法によって行うことができる。
また、 本発明の抗体は、 出血時間の延長作用が弱い、 好ましくは有意な延長作 用がない、 より好ましくは実質的に延長作用がない抗体である。 出血時間は公知 の方法で測定でき、 具体的には実施例 28又は 50に記載された方法を適用でき る。 本発明の抗体は、 治療用量又はそれ以上、 例えば、 0. 3mg/k g、 好ま しくは lmg/k g、 より好ましくは 3mgZk g、 さらに好ましくは 10mg
Zk gの投与量においても、 出血時間を実質的に延長せず、 具体的には、 出血時 間が投与前値、 正常値又は対照群の 5倍以下、 好ましくは 3倍以下、 さらに好ま しくは 2倍以下、 特に好ましくは 1. 5倍以下である。 そのような好適な例とし ては、 GPVI、 特にヒ ト GPVIのループ 9を認識する抗体が挙げられる。
現在まで報告されているヒ ト GPV Iに対する抗体のほとんどは、 前記ヒ ト自 己抗体を含めて、 in vitroにおいて抗体単独で血小板を活性化させる作用、 及び /または、 血小板凝集を惹起もしくは促進する作用を有することから、 生体に投 与した場合、 血小板減少を引き起こす可能性が考えられる。 F a b断片等の形態 では、 血小板凝集を惹起しないものも報告されているが、 生体内においては、 何 らかの原因により F a bが架橋または凝集して、 I gG等と同様な挙動を示す可 能性も完全には否定できない。 よって、 抗体の活性断片ではなく完全な抗体分子、 例えば、 I gGの形態でも、 そのような作用を示さない、 または、 そのような作 用が低い抗 G P V I抗体が好ましい。
また、 生体内における動態及び安定性は、 自然の形態である抗体分子、 例えば、 I gG等が優れている。 一般に、 血中半減期は F a b等の断片に比べて I gGの 方が遥かに長く、 血栓症、 特に、 心房細動に伴う血栓症等の慢性的疾患や長期間 の抗体投与が必要な病態においては、 血中半減期の長い分子形態、 特に I gGが 望ましい。
本発明の抗体は血小板上の GPV Iとコラーゲンとの結合を特異的に阻害する ものであってもよい。 例えば、 後述の実施例に記載された方法において、 本発明 の抗体は GPV Iとコラーゲンの結合を好ましくは 100 i g/mL以下で、 より好ま しくは lO g/raL以下、 さらに好ましくは 1 μ g/mL以下、 特に好ましくは 0.1 μ g/mL の濃度で 50%阻害する抗体である。 コラーゲンと GPV Iとの結合を測定する 方法は特定の方法に限定されず、 他の常法により行うことができる。
本発明の第 2の態様は、 新規な GPV I上の認識領域、 結合部位もしくはェピ トープによって規定される抗 GPV I抗体であり、 好ましくはモノクローナル抗 体である。 本発明の抗体の GPV I上の認識領域等は公知の方法によって確認ま たは推定しうる。 例えば、 本発明の第 11の態様の方法を応用し、 第 8の態様の ぺプチドまたは第 9の態様のポリぺプチドとの反応性を測定することにより実施
できる。 具体的な方法は実施例に示されている。 例えば、 実施例 7または実施例 1 8に記載された方法において、 反応性もしくは阻害率が対照 (例えば、 hGP V I-Fc) と比較して有意に変化する、 例えば、 50%、 好ましくは 30%、 よ り好ましくは 10%以下となる場合、 または、 I C 50等の値が有意に変化する、 例えば、 3倍、 10倍、 より好ましくは 30倍、 さらに好ましくは 100倍とな る場合を基準として確認又は推定しうる。 GP V I上の認識領域、 結合部位もし くはェピトープが確認された抗体は、 単独でまたは他の抗体との組合せにより、 特定の GPV I分子種を検出するために、 または、 GPV Iの構造及び機能の関 係を解析する目的においても有用である。
本発明の第 3の態様として、 新規な CD Rアミノ酸配列または可変領域アミノ 酸配列を含有する抗ヒ ト GP V I抗体がある。
抗体の重鎖および軽鎖の N末端側には可変領域が存在し、 それぞれ重鎖可変領 域 (VH) 、 軽鎖可変領域 (VL) と呼ばれる。 可変領域内には相補性決定領域 (complementarity determining region; CDR) 力 S存在し、 この部分力 S抗原認識 の特異性を担っている。 可変領域の CD R以外の部分は、 CDRの構造を保持す る役割を有し、 フレームワーク領域 (FR) と呼ばれる。 重鎖おょぴ軽鎖の C末 端側には定常領域が存在し、 それぞれ重鎖定常領域 (CH) 、 軽鎖定常領域 (C L) と呼ばれる。
重鎖可変領域中には、 第 1の相補性決定領域 (CDR 1) 、 第 2の相補性決定 領域 ( C D R 2 ) および第 3の相 ίί性決定領域 ( C D R 3 ) の 3つの相補性決定 領域が存在する。 重鎖可変領域中の 3つの相補性決定領域をまとめて重鎖相補性 決定領域と呼ぶ。 軽鎖可変領域中にも同様に、 第 1の相補性決定領域 (CDR 1) 、 第 2の相補性決定領域 (CDR2) および第 3の相補性決定領域 (CDR 3) の 3つの相補性決定領域が存在する。 軽鎖可変領域中の 3つの相補性決定領 域をまとめて軽鎖相補性決定領域と呼ぶ。
本発明の抗体の CDR配列は必ずしも限定されないが、 VH CDR1、 VH CDR2及ぴ VH CDR3としてのアミノ酸配列の好適な組合せ、 VL CDR1、 VL CDR2及び VL CDR3と してのアミノ酸配列の好適な組合せは、 さらに、 VH CDR1、 VH CDR2、 VH CDR3、 VL CDR1、 VL CDR2及び VL CDR3としてのアミノ酸配列の好適な組合せは表 8及び
9ならびに表 1 2及び 1 3に示されている。 好ましくは GPVIのループ 9を認識す る抗体の CDRアミノ酸配列のうち、 いずれか 1つ以上、 好ましくは H鎖の 3つ、 より好ましくは全てのアミノ酸配列を含有する抗体である。 C D R以外のァミノ 酸配列は特に限定されず、 C D R以外のアミノ酸配列が他の抗体、 特に、 他種の 抗体由来である、 いわゆる C D R移植抗体が本発明の抗体に包含される。 この内、 C D R以外のアミノ酸配列がヒ ト由来であるヒ ト化抗体が好ましく、 必要に応じ てフレームワーク領域 (F R ) に 1ないし数個のアミノ酸残基の付加、 欠失、 置 換及び Zまたは挿入を伴っていてもよい。 ヒ ト化抗体の作製方法は公知の方法を 用いることができ、 具体的な方法は実施例に示されている。
本発明の抗体の V Hおよび V Lのアミノ酸配列は必ずしも限定されないが、 好 ましい抗体として、 V Hとして配列番号 2 8 1のアミノ酸配列もしくは V Lとし て配列番号 2 8 5のアミノ酸配列のいずれか 1つ以上を含有する抗体、 または V Hとして配列番号 2 8 3のァミノ酸配列もしくは V Lとして配列番号 2 8 5のァ ミノ酸配列のいずれか 1つ以上を含有する抗体がある。
なお、 本発明の抗体は必ずしも特定のアミノ酸配列のものに限定されず、 その 活性及び .Zまたは抗原性に実質的に影響のない範囲で、 本発明の抗体のアミノ酸 配列において、 例えば可変領域、 特に F R部分において 1ないし数個のアミノ酸 残基の付加、 欠失、 置換及び/または挿入が許容される。
本発明の抗体は、 抗体の定常領域が好ましくはヒ ト抗体、 より好ましくはヒ ト I g G、 さらに好ましくはヒ ト I g G 4由来のアミノ酸配列からなる抗体である。 本件発明の抗体は特定の分子種に必ずしも限定されるものではない。 抗体、 す なわち免疫グロブリンの構造は重鎖 (H鎖) および軽鎖 (L鎖) とからなり、 重 鎖のクラス (γ、 ct、 μ、 δ ヽ ε ) により 5つのイソタイプ (IgG、 IgA、 IgM、 IgD、 IgE) に分けられる。 このうち IgGと IgAは重鎖の違い (例えばヒ トの場合、 γ 1、 γ 2、 γ 3、 γ 4、 ο; 1、 2 ) からサブクラス (例えばヒ トの場合 IgGl、 IgG2、 IgG3、 IgG4、 IgAl、 IgA2) に分けられる。 軽鎖は、 κまたは; Iのいずれか のタイプに分類される。 本発明の抗体はクラス、 サブタイプまたはイソタイプは 限定されず、 いずれに分類されるものでもあってもよい。 好ましくはイソタイプ 力 SlgGの抗体であり、 さらに好ましくは補体結合性のないという点においてサブ
クラス力 SlgG4の抗体である。
本発明の抗体としては、 その活性、 例えば、 G P V I との結合能を有する限り において、 抗体の断片、 特に活性断片または一部でもよい。 ここで、 抗体の活性 断片とは、 抗体の少なくとも一つの活性、 特に、 抗原結合活性を有する断片であ る。 例 ば、 Fab (fragment of antigen binding) 、 Fab'、 (Fab )ク.、 —本鎖饥 体 (scFv) 、 ジスルフィ ド安定化抗体 (dsFv) 、 diabody、 sc (Fv) 2 (例えば、 Orita T, Blood. 2005; 105: 562- 566参照) 、 nanobody (例えば、 Cortez - Retaraozo V· , Cancer Research 64, 2853-2857, 2004参照) 及び CDRを含有する ペプチド等が挙げられる。 また、 抗体の誘導体とは、 抗体の少なくとも一つの活 性、 特に、 抗原結合活性を有する抗体由来の物質で、 他の物質を結合した抗体も しくは抗体の活性断片、 他の物質で修飾された修飾抗体もしくはその活性断片、 又は、 抗体の構造、 特に、 アミノ酸配列に変異を導入した分子が挙げられる。 本 発明の抗体は、 その抗原結合価は必ずしも限定されず、 Fabもしくは scFvのよう な一価抗体でも良いが、 生体内、 特に血中での安定性、 G P V Iへの結合性また は作用の強度の観点から、 好ましくは、 二価以上の多価抗体、 例えば、 二価、 三 価、 四価もしくは十価の抗体、 より好ましくは、 二価抗体である。
本発明の第 4の態様として、 本発明第 1ないし第 3の態様の抗体をコードする ポリヌクレオチドまたは核酸が提供される。 該ポリヌクレオチドは、 本発明の抗 体のアミノ酸配列をコードするものであれば必ずしも限定されず、 ポリヌクレオ チドとしては、 D N A及び R N Aが含まれる。
本発明の抗体の C D R配列をコードするポリヌクレオチドは必ずしも限定はな いが、 VH CDR1、 VH CDR2及び VH CDR3としてのアミノ酸配列をコードする塩基配 列の好適な組合せ、 VL CDR1、 VL CDR2及び VL CDR3としてのアミノ酸配列をコー ドする塩基配列の好適な組合せは、 さらに、 VH CDR1、 VH CDR2、 VH CDR3、 VL CDR1、 VL CDR2及ぴ VL CDR3としてのァミノ酸配列をコードする塩基配列の好適な 糸且み合わせは、 表 8および 9ならびに表 1 2及び 1 3に示されている。
本発明の抗体の V Hおよび V Lのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド は必ずしも限定はないが、 好ましくは VHとしてのアミノ酸配列をコードする配 列番号 87、 89、 91、 93、 95、 97、 99、 101、 103、 105、 107及び 109の塩基配列、
または V Lとしてのアミノ酸配列をコードする配列番号 88、 90、 92、 94、 96、 98 100、 102、 104、 106、 108及び 110の塩基配列のいずれか 1つ、 より好ましくは両 方の塩基配列を含有するポリヌクレオチドであり、 また、 好ましくは VHとして のアミノ酸配列をコードする配列番号の塩基配列、 または V Lとしてのアミノ酸 配列をコードする配列番号の塩基配列のいずれか 1つ、 より好ましくは両方の塩 基配列を含有するポリヌクレオチドである。
本発明の抗体の定常領域をコードするポリヌクレオチドは、 好ましくはヒ ト抗 体、 より好ましくはヒ ト I g G、 さらに好ましくはヒ ト I g G 4由来の塩基配列 を含有する。
本発明の抗体のヌクレオチド配列を含有するベクターまたは遺伝子を細胞に移 入することにより、 本発明の抗体を産生する細胞を製造することができる。 移入 方法は公知の方法に従うことができ、 具体的な方法は実施例に示されている。 本発明第 5の態様として、 本発明の抗体を産生する細胞が提供される。 このよ うな細胞の例としては、 ハイプリ ドーマ、 形質転換体、 または本発明の抗体の遺 伝子を導入した遺伝子組換え細胞等がある。 抗体を産生するハイプリ ドーマとし ては、 具体的には表 6及び 1 1に示されたクローンが挙げられる。 また、 本発明 により上記発明の細胞が産生する抗体が提供される。
本発明の第 8の態様及び第 9の態様により、 G P V Iに関連した新規なぺプチ ドまたはポリべプチドが提供される。 これらのぺプチド等は公知の方法で作製で き、 具体的な方法は実施例に示されている。 第 8の態様のペプチドまたは第 9の 態様のポリぺプチドは、 抗 G P V I抗体を作製するための免疫用の投与抗原とし て、 または、 抗 G P V I抗体を検出するための抗原として使用し得る。
(製法)
本発明の第 6の態様として、 抗体の生産方法が提供される。 本発明の抗体を作 製する方法には必ずしも限定はないが、 以下に記載の方法でも作製しうる。 すな わち、 ヒ ト G P V Iもしくはその断片またはそれらの誘導体、 例えば、 ヒ ト G P V I — F cを抗原として動物、 例えば、 マウスに投与し、 その末梢血からリンパ 球を採取し、 マウスミエローマ細胞とのハイプリ ドーマを作製する。 作製したハ
イブリ ドーマが産生する抗体を得て、 G P V I との結合能を有し、 第 1ないし第 3の抗体の特性を有する抗体を選択し、 この抗体を産生する細胞を得る。 この細 胞を培養することにより、 本発明の抗体を得ることができる。
本発明の抗体は、 公知の方法 (それぞれ Nature, 312 : 643, 19S4 、 Nature, 321 : 522, 1986 以来、 多くの方法が開発されている) を用いた組換えヒ ト 抗体としても作製できる。 まず、 本発明の抗体を産生する細胞、 例えば、 リンパ 球、 好ましくは、 抗 G P V Iモノクローナル抗体を生産するハイプリ ドーマより、 VHまたは VLをコードする核酸、 例えば cDNAを取得し、 塩基配列およびアミノ酸配 列を決定する。 次に、 取得した VHおよび VLをコードする cDNAを同一細胞又は別の ヒ ト細胞より作製したヒ ト抗体 CHおよび../またはヒ ト抗体 CLをコードする遺伝子 を含有する動物細胞用発現ベクターにそれぞれ挿入してヒ ト抗体発現ベクターを 構築し、 動物細胞へ導入し発現させることにより製造することができる。 動物細 胞に導入する遺伝子の作製方法には限定はなぐ、 ハイプリ ドーマ由来のゲノム DNAまたは cDNAから得てもよく、 ハイブリ ドーマの mRNAから PCRによって得てもよ く、 また化学合成によっても得てもよい。
本発明の抗体の VHまたは VLをコードする核酸を組み込むベクターとしては、 必 ずしも限定されないが、 蛋白質遺伝子等の発現に汎用され、 特に抗体遺伝子の発 現に適合するベクターまたは高発現用ベクターが好ましい。 好適な例としては、 EFプロモーター及び/または CMVェンハンサーを含有するベクターが挙げられ、 例えば、 pEF-BOSまたは実施例で用いたベクターがある。 また、 通常 VHまたは VL をコードする核酸を組み込んだ発現ベクターをそれぞれ作製し、 宿主細胞に c o t r a n s f e c tするが、 単一の発現ベクターに組み込んでも良い。
発現ベクターを導入する宿主細胞としては、 必ずしも限定されないが、 蛋白質 遺伝子等の発現に汎用され、 特に抗体遺伝子の発現に適合する細胞が好ましい。 例えば、 細菌 (大腸菌等) 、 放線菌、 酵母、 昆虫細胞 (SF9等) 、 哺乳類細胞 (COS - 1、 CH0、 ミエローマ細胞等) が挙げられる。
組換抗体を工業的に生産するためには、 一般的には当該抗体を安定して高生産 する組換動物細胞株、 例えば、 C H O細胞株が利用される。 そのような組換細胞 株の作製、 クロ ン化、 高発現のための遺伝子増幅及びスクリーニングは公知の
方法を用いることができる (例えば、 Omasa T.: J. Biosci. Bioeng. , 94, 600- 605, 2002等参照) 。 また、 安定高生産動物細胞株の樹立において、 2種類のプ 口モータを使用するが、 プロモータ活性の異なる組合せ、 例えば、 活性の高いも の及び低いもの、 を利用することによって、 好ましくは相対的に活性の弱いプロ モーターを選択マーカーの発現プロモーターとして利用することで発現能の高い クローンを効率的 (選択的) に取得し得る。 好適なプロモータの組合せの例及び 具体的な方法は実施例に示されている。
組換えヒ ト抗体の作製に用いるヒ ト抗体の定常領域としては、 例えば、 ヒ ト抗 体重鎖定常領域としては Cy lや Cy 4、 ヒ ト抗体軽鎖定常領域としては C κ等 の任意のヒ ト抗体の定常領域を用いることができる。
本発明の抗体の内、 ヒ トのアミノ酸配列を含有する抗体は、 ヒ ト体内に天然に 存在する抗体の他に、 可変重鎖および可変軽鎖からなるコンビナトリアルライブ ラリー、 例えば、 ヒ ト抗体ファージライブラリーおよびヒ ト抗体産生トランスジ エニック動物から得られる抗体等も含まれる。 ヒ ト抗体ファージライブラリ一は、 ヒ ト B 細胞から調製した抗体遺伝子をファージ遺伝子に挿入することにより Fab 、 一本鎖抗体等の抗体の活性断片をファージ表面に発現させたライブラリーである。 これらのライブラリーをスクリーユングすることによつても本発明の抗体は入手 され得る。 これらの方法および他の方法は、 当業者に周知である (Hu s eら, S c i e n c e 246 : 1 275— 1 28 1 (1 989) 、 Wi n t e rおよ ぴ H a r r i s, I mm u n o 1. To d a y 14 : 243— 246 (1 99 3) ; Wa r dら, Na t u r e 34 1 : 544— 546 (1 989) .: H a r 1 o wおよび L a n e, 前出, 1 988) ; H i l y a r dら, P r o t e i n En g i n e e r i n g : A p r a c t i c a l a p p r o a c h ( I R L P r e s s 1 992) ; B o r r a b e c k, An t i b o d y En g i n e e r i n g , 第 2版 (Ox -f o r d Un i v e r s i t y P r e s s 1 995) ) 。 該ライブラリーより、 抗原を固定化した基質に対する結合活性を指, 標として所望の抗原結合活性を有する抗体の活性断片を発現しているファージを 回収することができる。 該抗体の活性断片は、 更に遺伝子工学的手法により、 2 本の完全な H鎖および 2本の完全な L鎖からなるヒ ト抗体分子へも変換すること
ができる。
本発明は重鎖 2本と軽鎖 2本からなる抗体のほかに、 本発明の抗体の活性断片 等も含まれる。 抗体の活性断片としては、 例えば Fab (fragment of antigen binding ) 、 Fab' , F (ab' )2があり、 抗体の活性断片をリンカ一等で結合したも のとして例えば一本鎖抗体 (single chain Fv : scFv ) やジスルフィ ド安定化 抗体 (disulfide stabilized Fv : dsFv) があり、 抗体の活性断片を含むぺプチ ドとして例えば CDR を含有するペプチドが挙げられる。 これらは、 本発明の抗体 を適当な蛋白分解酵素で処理する方法または遺伝子組換技術等、 公知の方法で製 造することができる。
本発明の Fab は、 本発明の抗 G P V I抗体を IgMの場合はタンパク質分解酵素 ペプシンで処理して、 IgGの場合はタンパク分解酵素パパィンで処理して得るこ とができる。 または、 該抗体の Fab をコードする DNA を原核生物用発現ベクター あるいは真核生物用発現べクタ一に挿入し、 該べクタ一を原核生物あるいは真核 生物へ導入することにより発現させ、 Fab を製造することができる。
本発明の F (ab' ) 2 は、 本発明の抗 G P V I抗体をタンパク質分解酵素ペプシン で処理して得ることができる。 または、 下記の Fab'をチォエーテル結合あるいは ジスルフィ ド結合させ、 作製することができる。
本発明の Fab'は、 G P V Iに特異的に反応する F (ab' ) 2 を還元剤ジチオスレィ トール処理して得ることができる。
本発明の scFvに含まれる VHおよび VLは、 本発明のハイプリ ドーマが産生する抗 体またはヒ ト抗体のいずれをも用いることができる。 本発明の scFvは、 本発明の 抗 G P V I抗体の VHおよび VLをコ一—ドする cDNAを取得し、 scFvをコードする DNA を構築し、 該 DNA を原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに 揷入し、 該発現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現 させ、 scFvを製造することができる。
dsFvは、 VHおよび VL中のそれぞれ 1ァミノ酸残基をシスティン残基に置換した ポリペプチドを該システィン残基間のジスルブイ ド結合を介して結合させたもの をいう。 システィン残基に置換するァミノ酸残基は Reiterらにより示された方法 [Protein Engineering, 7, 697 (1994) ] に従って、 抗体の立体構造予測に基づ
いて選択することができる。 本発明の dsFvに含まれる VHおよび VLは本発明の第 1 または第 2の態様の抗体のいずれに由来するものをも用いることができる。
本発明の dsFvは、 本発明の抗 G P V I抗体の VHおよび VLをコードする cDNAを取 得し、 dsFvをコードする DNA を構築し、 該 DNA を原核生物用発現ベクターあるい は真核生物用発現ベクターに挿入し、 該発現ベクターを原核生物あるいは真核生 物へ導入することにより発現させ、 dsFvを製造することができる。
CDR を含むぺプチドは、 H鎖または L鎖 CDR の少なくとも 1領域以上を含んで 構成される。 複数の CDR は、 直接または適当なペプチドリンカ一を介して結合さ せることができる。 本発明の CDR を含むペプチドは、 本発明の抗 G P V I抗体の VHおよび VLをコードする cDNAを取得した後、 CDR をコードする DNA を構築し、 該
DNA を原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに揷入し、 該発 現ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入することにより発現させ、 CDR を 含むペプチドを製造することができる。 また、 CDR を含むペプチドは、 Fmoc法 (フルォレニルメチルォキシカルボニル法) 、 tBoc法 (t-ブチルォキシカルボ二 ル法) 等の化学合成法によって製造することもできる。
本発明の抗体もしくは活性断片またはそれらの誘導体には、 例えばハイプリ ド 一マが産生する抗体、 E B Vを用いて形質転換した細胞が産生する抗体、 c D N Aより発現した組換え抗体、 またはそれらの抗体の活性断片に放射性同位元素、 タンパク質、 ペプチドまたは低分子の化合物などを化学的に結合させた抗体、 ま たは遺伝子工学的に融合させた抗体も含まれる。 例えば、 ポリエチレングリコー ル等を結合した抗体は、 安定性等の点で有用性が高く、 好ましい例の一つである。 本発明の抗 G P V I抗体または抗体の活性断片の H鎖或いは L鎖の N末端側或い は C末端側、 抗体または抗体の活性断片中の適当な置換基あるいは側鎖、 さらに は抗体または抗体の活性断片中の糖鎖に放射性同位元素、 タンパク質、 ペプチド あるいは低分子の化合物などを化学的手法 [抗体工学入門 (金光修著 1 9 9 4 年 (株) 地人書館) ] により結合させることにより製造することができる。
ハイブリ ドーマとは、 リンノヽ。球と、 ヒ ト、 マウス、 ラット等に由来するミエ口 一マ細胞とを細胞融合させて得られる、 所望の抗原特異性を有したモノクローナ ル抗体を産生する細胞を意味し、 公知の方法により作製しうる。 '
モノクローナル抗体を作製する場合は、 細胞融合に使用するミエローマ細胞と の適合性を考慮して選択することが好ましい。 ミエローマ細胞は、 公知の種々の 細胞が使用可能である。 これにはヒ ト由来の SKO— 007、 ヒ トマウスへテロ ミエローマである SHM—D 33、 マウス由来の P 3、 P 3U1、 SP 2/0、 NS— 1、 ラット由来の YB 2Z0及び Y3— Ag 1, 2, 3等の骨髄腫細胞が 含まれる。
ヒ ト抗体の場合、 体外免疫によるリンパ球の活性化を利用してハイプリ ドーマ を作製する方法、 及び、 ヒ ト抗体遺伝子を組み換えた動物、 特にトランスジェニ ックマウス、 例えば、 KMマウスを用いてハイプリ ドーマを作製する方法が挙げ られる。 (WO 2002ノ 070.648 (特表 2005 - 504507) 、 WO 2002 043478 (特表 2004- 515230) ) 異種の GPV I、 例えばマウス GPV Iに ヒ ト G P V Iの部分ァミノ酸配列を組み込んだ蛋白質は、 上記のトランスジヱニ ック動物、 例えばマウスに免疫した場合、 GPV Iのマウスのアミノ酸配列には 反応せずに組み込まれたヒ トアミノ酸配列、 好ましくはェピトープ、 により反応 するヒ ト抗体が効率的に得られると考えられる。 よって、 この方法で得られたヒ ト抗体は、 本発明の第 1または第 2態様の抗体の特徴を有するヒ ト抗体として有 用であり、 該方法は特に有用である。 ハイプリ ドーマ作製に用いる細胞としては、 必ずしも限定はされないが、 ヒ ト抗体を作製する場合はハイプリ ドーマ作製に用 いる複数の細胞のうち少なくとも 1種はヒ ト由来の細胞であることが好ましい。 ヒ ト由来の細胞としては、 末梢血、 リンパ節または脾臓等のヒ トのリンパ球が用 いられ、 特に自己抗体の産生が確認されているヒ トのリンパ球が好ましい。
リンパ球の活性化は公知の方法により行なうことができる。 例えば、 ヒ トの末 梢血又は脾臓から B細胞を採取し、 i n v i t r o i mmu n i z a t i o n法により抗原刺激し、 ヒ トの B細胞由来のミエローマ細胞あるいはマウス由来 のミエローマ細胞とのハイプリ ドーマを作製する方法、 EBVでトランスフォー ムし、 マウスミエローマ細胞と融合させる方法、 PWM等のマイ トジヱンで刺激 し B細胞をポリクローナルに活性化し融合させる方法 (免疫実験操作法 I · II、 右田俊介他編集、 南江堂) 等が好ましい。
動物を免疫するための投与抗原、 または、 細胞を刺激するために用いる抗原は、
必ずしも限定はない。 抗原とするタンパク質の由来動物は、 抗体の使用目的に応 じて適宜選択し得るが、 天然物由来のもの、 遺伝子工学的に作成したもの、 化学 的に合成したもの、 他のタンパク質やペプチドとの融合タンパク質等、 いずれで もよい。 例えば血小板、 血小板の膜、 精製 GPV I、 組換え GPV I、 GP V I-Fcを用いることができ、 好ましくは GPV I- Fcである。 また、 本発明第 8の 態様のペプチドまたは第 9の態様のポリペプチドは、 抗 GPV I抗体を作製する ための免疫用の投与抗原として好適に使用し得る。
活性化リンパ球とミエローマ細胞との融合は、 Milstein等の方法(Methods in Enzymol. , 73 卷 3頁) 等の公知の方法を用いて行なうことができる。 例えば、 融合剤としてポリエチレングリコール (PEG) を使用する方法 (単クローン抗 体実験操作法入門、 安東民衛 *千葉丈. 著、 講談社) または電気融合法等が挙げ られる。 免疫細胞とミエローマ細胞との混合比は、 それらが融合できる比率であ れば限定されないが、 活性化リンパ球に対し、 ミヱローマ細胞を 1 10量ない し等量を使用することが好ましい。 PEG (平均分子量 1, 000〜4, 00 0) を使用して細胞融合を行なう方法では PEG濃度は必ずしも限定されないが 50 %で行なうことが好ましい。 また、 融合効率促進剤としてジメチルスルフォ キシド (DMSO) 等の補助剤を添加してもよい。 融合は 37°Cに加温した PE G溶液を混合した細胞に添加することにより開始し、 1〜5分間反応後、 培地を 添加することにより終了する。
この融合により形成されたハイブリ ドーマをヒポキサンチン、 チミジン及びァ ミノプテリンを含む培地 (HAT培地) 等の選択培地で 1日〜 10日間培養し、 未融合細胞と分離する。 得られたハイプリ ドーマをその産生する抗体により更に 選択する。 選択したハイプリ ドーマを公知の限界希釈法に従って単一クローン化 し、 単一クローン性抗体産生ハイプリ ドーマとして樹立する。
ハイプリ ドーマの産生する抗体の活性を検出する方法は公知の方法を使用する ことができる。 ここで抗体の活性は、 第一段階として、 GPV I抗原への結合能 を、 第二段階として、 GPV Iとコラーゲンの結合を阻害する活性を検出する。 第一段階の活性の検出方法としては、 例えば EL I SA法、 ウェスタンブロット 法、 ラジオィムノアッセィ法が挙げられる。 第二段階の活性の検出法としては、
例えば E L I S A法 (結合阻害型) 、 タンパク相互作用解析法 (B I A C O R E 等) 、 血小板凝集抑制測定法が挙げられる。 また、 第 8の態様のペプチドまたは 第 9の態様のポリべプチドは、 抗 G P V I抗体を検出するための抗原として使用 し得る。 具体的方法は実施例に示されている。
樹立したハイプリ ドーマを公知の方法で培養し、 その培養上清よりモノクロ一 ナル抗体を得ることができる。
抗体の精製は、 塩析法、 ゲル濾過法、 イオン交換クロマト法またはァフィニテ ィークロマト法等の公知の精製手段を用いて行うことができる。
抗体の濃度は公知のタンパク質の定量方法、 例えば 2 8 0 n mにおける吸光度 の測定により測定することができる。 ' 本発明の抗 G P V I抗体の抗原結合性を確認する方法、 または本発明の抗 G P V I抗体を用いて生物試料中の G P V Iを検出する方法としては、 蛍光抗体法、 免疫酵素抗体法 (ELISA) 、 放射性物質標識免疫抗体法 (RIA) 、 免疫組織染色法、 免疫細胞染色法などの免疫組織化学染色法 (ABC法、 CSA法等) 、 ウェスタンブ ロッテイング法、 免疫沈降法、 上記に記した酵素免疫測定法、 サンドイッチ ELISA法 [単クローン抗体実験マニュアル (講談社サイエンティフィック、 1987 年) 、 続生化学実験講座 5免疫生化学研究法 (東京化学同人、 1986年) ] などを 用いることができる。 (用途)
本発明の抗体は、 ヒ ト G P V Iに特異的に結合するものであり、 本発明の抗体、 抗体の活性断片、 化学物質と結合させた抗体の修飾物、 またはこれらの混液を含 む組成物等は、 ヒトの疾患の予防、 診断および治療の用途、 また被験試料、 細胞 および組織等のヒト G P V Iの検出の用途等を含めて、 種々の用途がある。 用途:医薬
本発明の抗体はヒト G P V Iへの結合の特異性が高く、 かつ、 単独ではヒト血 小板の活性化及び/または血小板減少を促進または惹起する作用が低いことから、 特に、 ヒトの疾患、 例えば、 血小板の活性化もしくは凝集、 または血管内皮障害
もしくは動脈硬化性の反応によって引き起こされる疾病の予防及び Zまたは治療 に有効であり、 また、 血栓もしくは塞栓に起因する疾患、 例えば、 血栓症及び塞 栓症等の予防及び または治療に利用することができる。 これらの疾患には、 動 脈性血栓症のみならず、 静脈性血拴症も含まれ、 また、 心房細動に起因する脳梗 塞も含まれる。
本発明の抗体により予防及び./または治療が可能なヒ トの疾患または病態とし ては、 具体的には、 心筋梗塞、 血栓溶解療法時、 経皮的冠静脈内腔拡張術施行時、 ステント施行時、 バイパス手術施行時もしくは人工血管施行時の、 またはこれら の後の血管内皮肥厚、 血管再狭窄、 狭心症もしくは心筋梗塞、 心房細動もしくは 心房粗動及びこれらに起因する血栓症、 塞栓症もしくは脳梗塞、 閉塞性血栓性血 管炎、 急性動脈閉塞症、 閉塞性動脈硬化症または深部静脈血栓症等があり、 脳梗 塞 (ァテローム性血栓性梗塞、 ラクナ梗塞、 心原性梗塞) 、 一過性脳虚血発作、 くも膜下出血後の脳血管攣縮、 肺血栓、 肺塞栓症、 血管性紫斑病、 特発性血小板 減少性紫斑病、 血栓性血小板減少性紫斑病、 播種性血管内凝固症候群、 体外循環 時での血液凝固防止、 全身性エリテマトーデス、 多発性動脈炎、 抗リン脂質抗体 症候群、 紫斑病性腎炎、 糖尿病に伴う内皮細胞傷害、 糖尿病性腎炎、 糖尿病性網 膜症、 腎塞栓、 移植治療に伴う合併症 (肝静脈閉塞症、 移植片対宿主病) 等が挙 げられる。
本発明の抗体は、 また、 先述の予防及び/または治療対象の疾患に対して、 単 独で投与されるか、 あるいは他の薬理活性成分と併用されることもできる。 かか る薬理活性成分とは、 例えば公知の血栓溶解剤 (例えば組織プラスミノーゲンァ クチベータ一 (t — P A) ならびにそれらの誘導体 (改変体あるいはいわゆる第 二世代といわれるものも含む) 、 ゥロキナーゼ、 ストレプトキナーゼ) 、 あるい は公知の抗血小板薬 (例えばァスピリン、 チクロビジン、 クロピドグレル、 ト口 ンボキサンアンタゴニスト、 トロンボキサン合成阻害剤、 GPII b ZlII aアンタ ゴニスト) 、 公知の抗凝固薬 (例えばヮーファリン、 へパリン、 低分子へパリン、 ペンタサッカライ ド、 トロンビン阻害剤、 F X a阻害剤、 F VII a阻害剤) など が挙げられる。 ここで併用とは、 本発明の抗体と、 当該薬理活性成分とをともに 含む合剤を投与する他、 本発明の抗体と当該薬理活性成分とがそれぞれ別個の製
剤として一時期にもしくは時間をずらして投与される場合をも含み、 患者の血中 において同時に存在する限りにおいて投与の形態は問われない。
本発明の抗体ならびに製剤学的に許容される組成物を有効成分として含有する 医薬品は、 通常用いられる製剤用の担体ゃ賦形剤、 その他の添加剤を用いて例え ば錠剤、 注射剤、 散剤、 坐剤等に調製され、 人間その他の動物に対して投与され る。
ヒトに適用する場合、 その投与経路は、 経口投与、 静脈内投与 (ボーラス投与、 連続点滴、 間欠的点滴) 、 皮下投与、 筋肉内投与、 関節内投与、 経皮投与、 経鼻 投与等があるが、 通常、 経口投与または静脈内投与である。 本発明の抗体のヒ ト に対する臨床投与量は適用される患者の症状、 体重、 年齢や性別等を考慮して適 宜決定されるが、 通常成人一日あたり、 静脈内投与で 1〜1000 Omg、 好ま しくは 10〜1000mgであり、 これを 1回あるいは数回にわけて投与する。 投与量は種々の条件で変動するので、 上記投与量範囲より少ない量で十分な場合 もある。
ここで、 本発明の抗体は GPV Iを認識する点で共通するものの、 本発明は異 なる機序を有する多様な抗体を包含するものである。 例えば、 GPV Iとコラー ゲンの結合を直接阻害する、 または GPV Iを切断することにより血小板の活性 化及び, /または凝集を抑制する抗体は比較的即時的な効果を期待できるので、 少 なくとも疾患の急性期 (例えば、 心筋梗塞時もしくは PTC A実施時またはそれ らの直前もしくは直後) において有用である可能性がある。 このような場合には、 好ましくは血中の血小板表面の GPV Iの大部分に本発明の抗体を結合させるた めに比較的大量の抗体を投与、 例えば、 単回もしくは分割静注または点滴静注す ることができる。 また、 GPV Iを內部に取り込ませる抗体は即時的効果を期待 することはできないかもしれないが、 ヒ ト血小板の血中での寿命 (9〜10日前 後) 及ぴヒト抗体の血中半減期 (I gGの場合、 数週間) を考慮すると持続的な 効果が期待できるので、 例えば、 疾患の慢性期 (例えば、 心筋梗塞発症後または PTCA実施後数日〜数ケ月) において有用である可能性がある。 このような場 合には、 血中の血小板のコラーゲンに対する反応性を部分的に、 好ましくは完全 に、 阻止する程度に血小板表面の GPV Iを消失させるために必要な量の抗体を
比較的間隔を置いて、 例えば、 1クールを数日から数週間として、 投与、 例えば、 単回もしくは分割静注または点滴静注することができる。 従って、 好ましい態様 において、 本発明の抗体はこれらの効果を併せ持っても良い。 また、 それぞれの 効果が期待できる抗 G P V I抗体を複数組み合わせた治療を実施しても良い。 非経口投与のための糸且成物は、 通常、 許容される担体、 好ましくは水性担体中 に溶解さ^た免疫グロブリンの溶液又はそれの混液を含む。 種々の水性担体、 例 えば、 水、 緩衝水、 リン酸塩緩衝生理食塩水 (P B S ) 、 0 . 4 %生理食塩水、 0 . 3 %グリシン、 ヒ トアルブミン溶液等が用いられ得る。 これらの溶液は、 無 菌であり、 そして一般的には微粒子物質が存在しない。 これらの組成物は、 慣用 の、 良く知られた滅菌方法により滅菌されうる。 組成物は、 生理学的条件に近づ けるために、 要求に応じて、 薬学的に許容できる補助物質、 例えば p H調節及び 緩衝化剤、 毒性調節剤等、 例えば酢酸ナトリゥム、 塩化ナトリゥム、 塩化力リゥ ム、 塩化カルシウム及び乳酸ナトリウムを含みうる。 これらの製剤中の抗体の濃 度は、 広範囲に、 即ち、 約 0 . 0 0 5重量%未満 (通常は、 少なくとも約 1重 量%) から 1 5又は 2 0重量%と大きい量まで変化することができ、 主として、 選択された投与の特定の様式に従って、 液容量、 粘性等に基づいて選択される。 非経口投与糸且成物を調製するための現実の方法は、 本技術分野の熟練者にとつ て公知又は明白であり、 例えば、 レミントンズ ファーマシューティカル サイエ ンス (第 1 5版、 マック パブリ ッシング カンパニー、 ィース トン、 ペンシルバ 二了、 1 9 8 0 ) (本引例をもって本明細書の一部と成す) に更に詳細に記載さ れている。 洗浄 (l a v a g e ) 又はその他のルー卜のために適した組成物は、 意図される特定の使用に従って選択される。 いくつかの薬学的組成物は、 抗 G P V I抗体及びその疾患に於いて常用される他の治療剤を含みうる。 いずれの場合 も、 ボーラス投与および持続投与が適用されうる。 また、 予防的または治療的有 効量は、 対象疾患、 病態および患者の状態等によって適宜決定される。
本発明の抗体は、 貯蔵のため凍結又は凍結乾燥され、 使用に先だって適当な担 体中で再構成されうる。 この技術は、 慣例の免疫グロブリンにおいて有効である と知られており、 公知の、 凍結乾燥及び再構成技術が用いられ得る。 凍結乾燥及 ぴ再構成が、 様々な程度の抗体の活性損失をもたらしうる (例えば、 慣例の免疫
グロブリン、 I gM抗体は、 I gG抗体よりも大きい活性損失を生じる傾向にあ る) とレヽうこと、 及び使用レベルが、 それを補うために調節されなければならな いかもしれないということは、 - 当業者にとって認識されることである。 用途: GPV I検出
本発明の抗体または抗体の活性断片を用いて、 被検試料中の GPV Iを検出す る方法は、 被験試料と本発明の抗体または抗体の活性断片を接触させる工程、 本 発明の抗体または抗体の活性断片に結合した被検試料中の GPV Iを検出するェ 程を含み得る。 被検試料'中の GPV Iを定量する工程を更に含んでも良い。 被験 試料中の GPV Iを検出する方法により、 疾患の診断を行うことができる。 特に、 ヒ トの疾患、 例えば、 血栓性、 塞栓性または動脈硬化性の疾患の診断に利用する ことができる。
本発明の抗体を用いて、 被検試料中の GP V Iを検出する方法としては、 サン ドイッチ EL I SA系、 インヒピション ELISA系、 蛍光抗体法、 免疫組織化学染 色法、 放射性物質標識免疫抗体法、 ウェスタンプロッティング法、 免疫沈降法な どがあげられるが、 これらに限定されるものではない。 対象となる被検試料は限 定されないが生物試料が用いられ、 動物、 特にヒ トの体液あるいは、 組織、 細胞 およぴ菌体ならびにそれらの抽出液、 培養上清、 塗末標本および切片が挙げられ るが、 血小板または血漿あるいは血清であることが好ましレ、。
また、 血小板上の G P V Iを測定することにより、 G P V Iと関連した治療の モニタリング、 特に、 血小板上の GPV Iの消失を指標として、 抗 GPV I抗体 の効果予測もしくは判定、 または予後の判定等に応用しうる。 実施例
以下の実施例により.本発明を更に詳述するが、 本発明はこれら実施例に限定し て理解されるべきものではない。 実施例 1
GPV I細胞外領域 - Fc融合蛋白質の作製 '
A. ヒ ト G P V I細胞外領域 -マゥス Fc融合蛋白質 (hG P V I -mFc) の作製 ( 1 ) hG P V I - mFc融合蛋白発現プラスミ ドの構築
マウスゲノム DNAを铸型とし、 マウスィムノグロブリン (mIgG2a) 重鎖定常領 域の各ドメインをコードする遺伝子領域を増幅した。 すなわち、 以下のプライマ 一対で PCR反応を行った。 その結果、 mIgG2a- a (配列番号 152) および mIgG2a-c (配列番号 154) では CH1ドメイン、 raIgG2a-b (配列番号 153) および raIgG2a- e (配列番号 156) ではヒンジ部分、 mIgG2a - d (配列番号 155) および mIgG2a- g (配 列番号 I58) では CH2ドメイン、 raIgG2a- f (配列番号 157) および mIgG2a- h (配列 番号 159) では CH3ドメイン増幅した。 次にこれら 4種の増幅産物を混合し、 ブラ イマ一 mIgG2a_aおよび mIgG2a- hを用いた PCR反応を行うことで、 各ドメインが連 結された増幅産物 (重鎖定常領域 (C y 2a) をコードする DNA断片) を得た。 この 増幅産物を pT7-BlueTベクターにクローユングした後、 マウス Fc領域をコードす る DNA断片を制限酵素 Bam HIおよび Kpn Iで切り出して断片 Αを調製した。 一方、 pCAGGS_G P V I - Fcプラスミ ドからヒ ト G P V Iの細胞外ドメインをコードする DNA断片を制限酵素 Xba Iおよぴ Bgl IIで切り出し、 断片 Bを調製した。 これらの 断片を、 Xba I および Kpn Iで切断して調製した発現ベクター pEF2cewの EFプロモ 一ター下流に、 断片 A+断片 Bとなるように連結し、 hG P V I -mFc (配列番号 222) を発現するプラスミ ド (pTK- 2249) を構築した。 ( 2 ) hG P V I -mFc融合蛋白質の発現おょぴ精製
COS- 1細胞は 10%牛胎児血清入りのダルべッコ EM培地で継代し、 pTK-2249をト ランスフエクシヨン試薬 (FuGENE6、 ロシュダイァグノスティックス) と適当量 混和した後に、 無血清のダルベッコ MEM培地に滴下し、 これを培養液と交換する ことでトランスフヱクションを行つた。 5% CO存在下、 37°Cで 3日間培養し、 そ の培養上清をプロテイン Aカラム (Prosep-A、 MILLIPORE) にて精製したものを 抗ヒ ト G P V I抗体作製用の抗原とした。
B . ヒ ト G P V I細胞外領域- ヒ ト Fc融合蛋白質 (hG P V I - hFc) 発現プラス ミ ド (P TK- 2233)'の構築および発現 '
ヒ ト hGP V I - hFcをコードする遺伝子をもつプラスミ ド (pCAGGS - GPV I - Fc) を制限酵素 Xba Iおよび Eco T22Iで切断して得られた断片 J、 制限酵素 Eco T22! [および Bgl IIで切断して得られた断片 Kとそれぞれ調製し、 発現プラスミド pEF cewの EF- letプロモーター下流に断片 J + Kとなるように連結して hGPV I - hFc発現プラスミド (pTK- 2233) を構築した。 なお、 hG Ρ V I -hFcの発現および 精製は hG P V I - raFcの場合と同様に行った。
C. マウス GPV I細胞外領域-ヒ ト Fc融合蛋白質 (mGPV I- hF c) 発現 プラスミ ド (pTK- 2440) の構築
. マウスゲノム DNAを錄型とし、 表記のプライマー対で PCR反応を行った。 その結 果、 raGPV I_h (配列番号 162) および mGPV I _i (配列番号 163) で PCR增幅 産物 hi、 raGPV I -j (配列番号 164) および mGPV I- k (配列番号 165) で PCR 増幅産物 jk、 mGPV I-1 (配列番号 166) および mGPV I- ra (配列番号 167) で PCR増幅産物 lm、 mG P V I -n (配列番号 168) および raG P V I - o (配列番号 169) で PCR増幅産物 no、 mG P V I -p (配列番号 170) および mGPV I- c (配列 番号 160) で PCR増幅産物 pcが得られた。 これらの増幅産物を混合して铸型とし、 . さらにプライマー mGP V I- e (配列番号 161) 、 mGPV I- q (配列番号 171) 、 mGPV I- r (配列番号 172) 、 raGPV I- s (配列番号 173) および mGPV I - c を混合して PCR反応を行うことで、 各断片が連結された増幅産物を得た。 この増 幅産物を pT7 - BlueTベクターにクローユングし、 pTK_2437とした。 ρΤΚ_2437のマ ウス G Ρ V Iの細胞外ドメィンを含む遺伝子領域には 5'側に制限酵素 he Iの認 識部位、 3'側には Bam HIの認識部位を有しており、 これらの酵素で切断し、 DNA 断片を調製した。 そしてこの断片を制限酵素 Xba Iおよび Bam HIで切断して調製 した pTK- 2233に挿入してマウス mGPV I _F c発現プラスミ ド (pTK-2440) を 構築した。
D. 力二クイザル GPV I細胞外領域-ヒ ト Fc融合蛋白質発現プラスミ ドの構築 (1) 力二クイザル D1D2 -ヒ ト D3キメラ GPV I - ヒ ト Fc融合蛋白質発現プラス ミ ドの構築 ' '
既知配列であるヒ ト GPV Iの遺伝子情報に基づき、 適当なプライマー対を設 計および調製し、 これらのヒ ト GPV Iプライマーを用いて、 力二クイザルのゲ ノム DNAを铸型とした PCR反応を行うことで、 力二クイザル G P V I遺伝子配列の 一部を決定した。 次に、 その配列を基に新たに力二クイザル用のプライマー対を 設計および調製し、 各プライマー対で力二クイザルのゲノム DNAを铸型とした PCR 反応を再度行い、 macGPV I- a (配列番号 174) および macGPV I-b (配列番 号 175) で増幅産物 abを、 hGPV I_d (配列番号 180) およひ 'raacGPV I- c (配 列番号 176) で増幅産物 dcを、 raacGPV I- d (配列番号 177) および hGPV I - h (配列番号 182) で増幅産物 dhを、 hGPV I_g (配列番号 181) および macGPV I- g (配列番号 178) で増幅産物 ggを得た。 一方、 pTK-2233を铸型とし、 macG Ρ V I- h (配列番号 179) および: EgGl-i (配列番号 183) を用いた PCR反応で増幅産 物 hiを得た。 以上の 5種類の増幅産物を混合して铸型とし、 raacGPV I- aおよ び IgGl - iによる PCRを再度行った。 この操作で得られた増幅産物は、 力二クイザ ル GP V Iの D1および と、 ヒ トの D3を融合したキメラ GP V I遺伝子を含んで おり、 制限酵素 Nhe Iおよび Bara HIによる切断後、 制限酵素 Xba Iおよび Bam HIで 切断して調製した pTK- 2233に挿入して、 力二クイザル D1D2-ヒ ト D3キメラ GPV I 一 ヒ ト Fc融合蛋白質 (GPV I-F FH-h F c、 配列番号 223) 発現プラス ミ ド (pTK— 2462) を構築した。 実施例 2
抗ヒ ト GP V I抗体の作製
Α. ゥサギボリクローナル抗体の作製
ヒ ト GPV Iに対するポリクローナル抗体を作製するため、 ゥサギに免疫を行 つた。 すなわち、 実施例 1 Αで調製した hGPV I-mF c Z O w gを 500 1の生理食塩水に希釈し、 500 μ 1のフロインド完全アジュバント (D I FC Ο) と等量混合した後、 雌性ニュージーランド白色ゥサギ (北山ラベス) 2. 1 —2. 2 k gの背部皮下に投与した。 2週間後、 再度、 hGPV I- mF c 20 μ gを 500 μ 1の生理食塩水に希釈し、 500 μ 1のフロインド不完全アジュ バント (D I FCO) と等量混合後、 背部皮下に投与した。 投与終了 1週間後耳
静脈より採血し、 定法にしたがい抗血清を分離し、 抗体を精製した。 すなわち、 抗血清に最終飽和濃度 33%となるように硫酸アンモユウムを添加し、 4°Cで 1 時間攪拌後、 析出した沈殿を遠心分離した。 次に沈殿をダルベッコリン酸緩衝液 (以下、 D— PBSと記載) で溶解し、 D— PB Sにて一夜透析した。 透析液を 濾過後、 プロテイン Aカラム (プロセップ A、 ミリポア) に供し、 結合した I g G画分を 0. 1Mグリシン塩酸緩衝液(pH3. 0)で溶出することにより、 精製 抗体を得た。 得られた溶出画分は 1Mのトリス塩酸バッファー (pH7.0) にて 速やかに中和し、 D— PBSで透析後、 280 nmの吸光度より蛋白濃度を算出 した (吸光係数: 0. 714mg./mL) 。 以降、 得られた抗体を抗 GPV Iポ リクローナル抗体と記載する。
B. 抗ヒ ト GPV Iモノクローナル抗体の作製
GP V I - mF c 20 μ gとフロインド完全アジュバント (D I FCO) を等 量混合し、 投与抗原とした。 雌性 d dYマウス (8週令、 SLC) に投与抗原を 2回投与し、 3日後に、 リンパ節よりリンパ球を分離した。 得られたリンパ球を P 3 X 63— Ag. 8. U 1 (ATTC) と混合した後、 ポリエチレングリコー ノレ (PEG 1500、 S i gma) を用いて安東民衛 ·千葉丈ノ著 「単クローン 抗体実験操作入門」 (講談社、 p 83) にしたがって細胞融合を行った。 HAT 培地によりハイプリ ドーマを選択し、 1週間後目的の抗体を産生しているハイブ リ ドーマのスクリーニングを 2種類の方法で行った。 すなわち、 プレートに固相 化した hGPV I- hF cに対する結合活性を指標とする方法及びコラーゲンと GPV Iの結合阻害活性を指標とする方法を使用した。
(1) 結合活性を指標としたハイプリ ドーマのスクリーニング
実施例 1 Bにより調製した hGPV I- h F cを D— PB Sで 2 μ gZmLに 希釈し、 ィムノプレート (Ma X i s o r p、 NUNC) に 50 μ Lノウエル添 加した。 37°Cで 1時間反応後、 イオン交換水で 5回洗浄し、 2%S t a b i 1 Gu a r d (Su rmo d i c s) を含む D— PB S (pH7. 4) を各ウエノレ に 100 μ L添加してプロッキングした。 次に培養上清を各ゥエルに添加し、 3
7 °Cで 1時間反応させた後、 0. 05%Twe e n 20を含む生理食塩水で 3回 洗浄した。 ペルォキシダーゼ標識抗マウスィムノグロブリン抗体 (DAKO、 P 260) を 10%ゥサギ血清含有 D— PB Sで 1000倍に希釈し各ゥエルに 5 O L添カ卩した。 37°Cで 1時間反応後、 同様に 5回洗浄し TMB溶液 (B i o F i x) を各ゥエルに添加した。 室温で 10分間反応後、 0. 5 M硫酸溶液で反 応を停止し、 プレート分光光度計 (マルチスキャン J X、 大日本製薬) で 450 nmの吸光度を測定した。 その結果、 hGP V I - h F cと反応した細胞を選択 し、 限界希釈法 (安東民衛*千葉丈/著 「単クローン抗体実験操作入門」 (講談 社、 p 97) によりクローニングを行った。 8日後、 同様にスクリーニングを行 い、 hGPV I_h F cと反応する抗体を選択した。
(2) コラーゲン- GPV I結合阻害活性を指標としたハイプリ ドーマのスクリ 一ユング
D— PBSでコラーゲン (Ho r n) を 10 g Lに希釈し、 ィムノブレ ート (Ma x i s o r p、 NUNC) に 50 μ L/ゥエル添カ卩した。 4。Cで一夜 反応後、 イオン交換水で 5回洗浄し、 5%B S Aを含む D_P B Sでブロッキン グした。 次に培養上清を 25 μ L/ゥヱル添加し、 さらに D— P B Sで 2 g Ζ mLに調製した hGPV I— hF cを 25 L/ゥヱル添加し、 37°Cで 1時間 反応させた後、 0. 05%Twe e n 20を含む生理食塩水で 3回洗浄した。 ぺ ルォキシダーゼ標識した抗一ヒト I gG抗体 (B i oMe d a) を 10%ャギ血 清を含む D— PB Sで 1000倍に希釈し各ゥヱルに 50 μ L添加した。 37°C で 1時間反応後、 同様に 5回洗浄し TMB溶液 (B i o F i X) を各ゥヱルに添 加した。 室温で 10分間反応後、 0. 5 M硫酸溶液で反応を停止し、 プレート分 光光度計 (マルチスキャン J X、 大日本製薬) で 450 nmの吸光度を測定し、 抗体無添加のゥエルの吸光度に対して 50%以上吸光度が低下したゥエルを、 抗 GPV I抗体を産生するハイプリ ドーマとして選択した。
その結果、 複数回の細胞融合 (F番号が 1回分を示す) により、 コラーゲンと GP V Iの結合阻害活性を有するハイプリ ドーマを選択した。
(3) ハイプリ ドーマが産生する抗体の作製
抗 GP V I抗体を産生するハイブリ ドーマを 10%FC SZRPM 1— 164 0培地 ( S i gma) で培養後、 Hy b r i d oma— S FM培地 ( I n v i t ' r o g e n) に交換して培養することにより抗体を産生させ、 培養上清からプロ ティン Aカラム (P r o s e p— rA、 ミリポア) を用いて抗体を精製した。 す なわち、 得られた培養上清を予め D— P B Sにて平衡化したプロティン A力ラム (P r o s e p— A、 M i 1 1 i p o r e) に吸着させ、 非吸着蛋白質を D— P B Sにて洗浄した後、 25 mM グリシン一塩酸バッファー (pH 3. 0) にて吸着画分を溶出した。 その後、 生理食塩水にて透析を行った。 得られた抗体 の濃度は 280 nmの吸光度より吸光係数 (Ε1% : 1·4) を用いて算出した。 以 降、 得られた抗体を抗 GPV Iモノクローナル抗体と記載する。 実施例 3
抗 GPV Iモノクローナル抗体のグループ分類
実施例 2で得られた抗体を GPV Iへの結合特性、 すなわち結合領域の違いに より分類するため、 F 1199、 F 1201、 F 1202、 F 1210及び F 1 21 1の各抗体を用いて競合アツセィを行なった。 まず、 中根らの方法 (J. H i s t o c h em. Cy t o c h em. , 22, 1084, 1974) に従い、 各抗 G P V Iモノクローナル抗体のペルォキシダーゼ標識抗体を調製した。
次にこれらのペルォキシダーゼ標識抗体を用いて各精製抗体との競合ァッセィ を行い、 抗体を分類した。 すなわち、 D— PB Sで hGPV I- hF cを 2 g ZmLに希釈し、 ィムノプレート (Ma X i s o r p、 NUNC) に 50 μ L/ ゥエル添加した。 37 で 1時間反応後、 ィオン交換水で 5回洗浄し、 2 % S t a b i 1 Gu a r dを含む D— PB Sを各ゥエルに添加しブロッキングした。 次 に、 上記の標識抗体 25 μ Lと各精製抗体 25 μ Lをゥヱルに添カ卩し、 37°Cで 1時間反応させた後、 0. 05%Twe e n 20を含む生理食塩水で 5回洗浄し. TMB溶液 (B i o F i X) で発色させた。 室温で 10分間反応後、 0. ·5Μ硫 酸溶液で反応を停止し、 プレート分光光度計 (マルチスキャン J X、 大日本製 薬) で 450 nriiの吸光度を測定した。 '
精製抗体を添加していないときの吸光度を 1 0 0 %として、 各標識抗体に対す る阻害活性を算出し、 各精製抗体の分類を行った。 その結果、 標識抗体
(i) , (ii) , (v) , (viii) と競合したものをグループ a と した。 標識抗体 (i) , (v) , (vii) と 競合反 した も のを グループ b と した。 標識抗体 (i),(ii) , (vii) , (viii)と競合したものをグループ c とした。 また、 標識抗体 o
1
(iii) , (iv)と競合したものをグループ dとした。 標識抗体(iii), (iv) , (vi)と競 合したものをグループ eとした。 標識抗体(iii), (vi)としたものをグループ f と した。 また、 規則性が見られなかったものをグループ g及びグループ hとした。 グループ gとグループ: hはお互いには競合しないので別グループとした。 従って、 作製した抗 G P V Iモノクローナル抗体は G P V Iの表面上の少なくとも 8種類 の領域を認識していることが確認された。 実施例 4
サル e X V i v o試験に供した抗体のグループ分類
作製した抗ヒ ト G P V Iモノクローナル抗体のうち、 サル G P V I と結合し e X v i v o試験に使用可能な抗体を実施例 3で行つたグループ分類の方法に従 つて分類した。 すなわち、 実施例 3で作製した各標識抗体を用いて実施例 3と同 様の方法で競合アツセィを行い、 各抗体を分類した。 表 1に示すように実施例 3 同様に少なくとも 7種類の領域を認識する抗体群に分類された。 表 1
グループ a
グループ b F1232-16-1
グループ c F1232-39-3 F1232-21-1 F1232-13-3
グループ d F1232-7-1 F1232-9-1 F1232-11-1
F1232-19-1 F1232-37-2 F1201-18
グループ e F1232-17-1 F1232-18-3
グループ f F1232-8-3 F1232-14-2 F1232-15-1 F1232-24-1
F1232- 38- 1 F1232 - 45 - 1 F1232-29-2
グループ g F1201-20 F1232-27-1
グループ h F1232 - 43 - 3
実施例 5
抗 G P V Iモノクローナル抗体の解離定数の算出
実施例 2において作製した抗 GPV Iモノクローナル抗体の解離定数を、 蛋白 相互作用解析装置 B I ACORE 3 0 0 0 (B I ACORE) を用いて測定した。 すなわち、 センサーチップに実施例 1で作製した G PV I置換体 (h GPV I H HH- li F c及び F FH- h F c ) をマニュアルに従って CM 5チップ (B I AC ORE) に結合した。 つぎに、 - E P
D L各抗体を HB S 緩衝液 (B I ACORE) で希釈し、 1. 2 5から 4 0 nMまでの希釈系列を調製し、 B I ACORE 3 0
X
0 0にて解析した。 各抗体の結合ごとに p H 1. 5のグリシン緩衝液 (B I AC
o
ORE) でチップを再生した。 得られた結果を e V a 1 u a t i o nソフト (B
1 ACORE) の B i v a l e n t a n a 1 y t eを用いて解析し、 解離定数 を算出した。 結果を表 2に示す。 今回作製した各抗 GPV Iモノクローナル抗体 は GP V I -HHH-h F cに対して、 十分な親和性を有していることが示され
表 2
分類 抗体名 解離定数 (KD) M
ヒ ト GPVI サル G PVI
グループ a F1232- 10- - 8.33X10"10 1.09X10"9
グループ c F1232- -21- 1 1.39X10—9 3.56X10-9
グルーづ d F1232- -7-1 3.47 X 1(Γ8 3.43 X 10— 7
F1232- ■19- 1 1.75X10一9 2.35X10-9
F1232- ■37- -2 4.03X10— 10 1.00 X 10—9
F1201- •18 1.16X10-9 6.19X10—10
グル^"プ e F1232- ■17- 1 1.77X10一10
F1232- -18- ■3 1.65X10-9 3.65 X liF7
グルー -プ f F1232- ■14- -2 1.56X10-8 2.14X10—8
F1232- -24- 1 2.5X10"10 7.1 X 10— 10
グルーづ g F1201- ■20 1:50X10—8 7.55X10-9
グルーづ h F1232- -43- ■3 1.36X10—9 1.69X10—9 実施例 6
抗 GPV Iポリ.クローナル抗体を用いたサンドィツチ E I A系の作製
サンドイッチ E L I S A系を作製するため、 実施例 2で得られた抗 G PV Iポ リク口ーナル抗体を実施例 3と同様にペルォキシダーゼで標識した。 次に抗 G P V Iポリクローナル抗体固相化プレートを調製した。 すなわち、 抗体を D— P B Sで 1 0 μ gZmLに希釈し、 ィムノプレート (Ma x i s o r p、 NUNC) の各ゥエルに 5 0 μ L添加し、 4 5°Cにて 3 0分間反応させた。 次にイオン交換 水で 5回洗浄し、 2%S t a b i l G u a r d (S u r mo d i c s ) を含む D — P B Sを各ゥエルに 1 0 0 L添加しブロッキングした。 標準品は精製 GPV I — h F cを 0. 1 %B SA.ZD— P B Sで 0. 7 5、 1. 5、 3. 1. 6. 2 5、 1 2. 5、 2 5、 5 0 n g/m 1に希釈し調製した。 ブランクは 0. 1 % B S A を含む D— P B Sを使用した。 測定は、 まずプレートのブロッキング剤を廃棄し、 調製した標準品及びブランクを 5 0 μ 1分注し 2 5 °Cで一晚反応した。 プレート を 0. 0 5%Tw e e n 2 0含有生理食塩水で 3回洗浄し、 続けて 1 0%ゥサギ 血清、 0. 1 %Tw e e n 2 0を含む D— P B Sにより 2 ^ §/ιη 1に希釈したぺ ルォキシダーゼ標識抗 G Ρ V Iポリクローナル抗体を 5 0 μ 1添カ卩し、 3 7でで 反応した。 同様に 5回洗浄後、 ΤΜΒ溶液 (B i o F i X) を各ゥエルに添カロし 室温で 2 0分間反応後、 0. 5 M硫酸溶液で反応を停止し、 プレート分光光度計 (マルチスキャン J X、 大日本製薬) で 4 5 0 nmの吸光度を測定し、 標準曲線 を作成した。 実施例 7
抗 G P V I抗体の認識領域の解析
ヒト GPV Iのアミノ酸配列の一部をマウスのアミノ酸配列に置換し、 抗体の 反応性の変化を調べることにより抗 GPV I抗体の認識領域を絞り込んだ。 すな わち、 血小板膜蛋白質である GPV Iの細胞外領域が免疫グロプリン様領域 1、 2 (ドメイン 1または D l、 ドメイン 2または D 2と記載することがある 2) および ムチン様領域 (ドメイン 3または D 3と記載することがある) の三つのドメイン で構成されている (図 1) ことから、 各ドメイン単位での置換体を作製し、 各置 換体に対する抗 GPV I抗体の結合実験を行った。
また、 抗 G P V I抗体認識領域の更なる絞込みを行う目的で G PV I免疫グロ
プリン様領域と PDB (プロティンデータバンク)登録タンパク質の中から、 ァミノ 酸配列の相同性が比較的高いヒ ト NK細胞活性化受容体 Nkp46、 Ig-like transcript 2 (ILT2) の情報を基にヒ ト G P V Iのモデリングを行い、 アミノ酸 変異を導入可能な領域構造を予測した (図 1) 。 そしてそれらのループ領域にお けるヒ ト GPV I とマウス GPV Iのアミノ酸置換体発現プラスミ ドを構築し、 各置換体に対する抗 GPV I抗体の結合実験を行った。 その結果、 各抗 GPV I モノク口一ナル抗体が認識する G P V Iの各ドメインおよびループ領域を確認で きた。 なお、 本明細書中では、 GPV Iのドメインまたはアミノ酸置換変異体を 単に GPV I置換体と標記することがある。 表 3. ヒ ト可溶型 GPVIのドメイン 1および 2領域における各ループのアミノ酸配 列
(1)ヒ ト GPV I とマウス GPV Iのドメイン置換体発現プラスミ ドの構築
実施例 1にて作製した hGPV I- hFc (以下 G P V I - HHH- hFcと記載、 配列 番号 135) 発現プラスミ ド (pTK2233) および mGPV I- hFc (以下 GPV I- MMM - hFcと記載、 配列番号 136) 発現プラスミ ド (pTK2440) を铸型とし、 ヒ ト G
PV I とマウス GPV Iのドメインを置換した GPV I置換体発現プラスミ ドを 構築した。
すなわち、 GP V Iのドメイン 1がマウス、 ドメイン 2およびドメイン 3がヒ ト の配列からなる G P V I置換体 (以下 G P V I -MHH-hFcと記載、 配列番号 137) 発現プラスミ ドを構築するために、 PTK2440を铸型とし、 マウス GP V I配列の 上流に設計したセンスプライマー 1 (表 4、 配列番号 184) およびマウス GPV I のドメィン 1の C末側 15merにヒ ト G P V Iのドメイン 2の N末側 15raerを連結したァ ンチセンスプライマー 3 (表 4、 配列番号 186) を用いて PCRを行い、 マウス GP V Iのドメイン' 1の DNA断片 (417bp) を増幅した。 次に pTK2233を铸型とし hFc配 列上に設計したアンチセンスプライマー 2 (表 4、 配列番号 185) 、 およびマウス GPV I ©ドメ ン Ίの C末側 15merにヒ ト GPV Iのドメイン 2の N末側 15merを連 結したセンスプライマー 4 (表 4、 配列番号 187) を用いて PCRを行い、 ヒ ト GP V Iのドメイン 2, ドメイン 3,hFcの N末側までの DNA断片 (571bp) を増幅した。 そ して、 増幅した 2つの DNA断片、 センスプライマー 1、 アンチセンスプライマー 2を 用いて PCRを行うことにより、 マウス G P V Iのドメイン 1、 ヒ ト GP V Iのドメ イン 2, ドメイン' 3、 hFcの N末側配列を連結した DNA断片 (973bp) を増幅した。 こ の増幅された DNA断片を制限酵素 XbaI,BamHIで切断した後、 pTK2233の Xbal, BaraHI サイ トに挿入し、 GPV I -MHH-hFc発現プラスミ ドを構築した。
GP V Iのドメイン 1がヒ ト、 ドメイン 2がマウス、 ドメイン 3がヒ トの配列か らなる GPV I置換体 (以下 G P V I -HMH-hFcと記載、 配列番号 138) 発現プラ スミ ド、 および GPV Iのドメイン' 1およびドメイン 2がマウス、 ドメイン 3がヒ トの配列からなる G P V I置換体 (以下 G P V I -MMH-hFcと記載、 配列番号 139) 発現プラスミ ドも同様の方法にて置換したい GPV Iのドメインのつなぎ 目の位置でヒ トとマウスの GPV I配列を 15raerずつ連結して作製したセンス (表 4、 配列番号 191) およびアンチセンスプライマー (表 4、 配列番号 190) 、 センスプライマー 1、 アンチセンスプライマー 2を用いて必要な DNA断片を増幅し、 制限酵素乂ヒ31,83111111で切断し.た後 1¾2233の ヒ31,83111111サィ トに挿入することに よって構築した。 また、 今回実験に使用した 5種類の GPV I置換体のアミノ酸 配列を配列番号 141〜151に示した。
(2)ヒ ト GPV Iのループ領域をマウスのアミノ酸配列に置換しだ GPV I置換
体発現プラスミ ドの構築
抗 G P V Iモノクローナル抗体の認識領域となり得る単一ループ領域をそれに 対応するマウス GPV Iのアミノ酸配列に置換した GPV I置換体発現プラスミ ド^ ¾下のように構築した。 まず、 ヒ ト GP V Iのループ領域 L2においてヒ トの アミノ酸配列をマウスのアミノ酸配列へ置き換わるよう塩基配列を置換し、 さら に置換した塩基から上流に 11 mer, 下流に 13 merヒ ト G P V Iの塩基配列を連結 したセンスプライマー 10 (表 4) およびアンチセンスプライマー 9 (表 4) を作 製した。 次に、 pTK2233を铸型として、 センスプライマー 1とアンチセンスプライ マー 9. ^用いて PCRを行うことにより、 ループ領域 L2がマウスの配列に置換された ヒ ト G P V Iの N末側 DNA断片 (215bp) を増幅した。 同様に、 pTK2233を鎳型とし て、 センスプライマー 10とアンチセンスプライマー 2を用いて PCRを行うことによ り、 ループ領域 L2がマウスの配列に置換されたヒ ト GP V Iの C末側領域に hFcの N末側配列が連結した DNA断片 (773bp) を増幅した。 そして、 増幅した 2つの DNA 断片、 センスプライマー 1、 アンチセンスプライマー 2を用いて PCRを行い、 ルー プ領域 L2がマゥスの配列に置換されたヒ ト G P V Iに hFcの N末側配列が連結した DNA断片 (958bp) を増幅した。 この増幅された DNA断片を制限酵素 XbaI,BamHIで 切断した後、 pTK2233の XbaI,BaraHIサイ トに挿入し、 ヒ ト G P V Iの領域 L2をマ ウス GP V Iのアミノ酸配列に置換した GPV I置換体 (以下 hGP V I _raL2- hFcと記載、 配列番号 46) 発現プラスミ ドを構築した。
その他のループ領域を置換した GPV I置換体、 hGP V I- mL3- hFc,hGP V I -mL4-hFc, hGP V I - mL5_hFc, hGP V I - raL6- hFc, hGP V I _raL7_hFc, hGP V I -mLS-hFc, hGP V I— mL9-hFc, hGP V I -raLlO— hFc, hG P V I - mLll— hFc, hG P V I -mL13-hFc, hG P V I - mL14- hFcの発現プラスミ ドも同様の方法にて構築した。 それぞれの G P V I置換体発現プラスミ ドの構築に使用したプライマー配列を表 4に示した。 また、 作製した G P V I置換体のァミノ酸配列を配列番号 47— 5 7に示した。 表 4. 各 GPVI置換体発現プラスミ ドの構築に使用したプライマーの組合せおよび 增幅領域 ' '
hGPVI- raLlO- hFc N末側 配列番号 184 配列番号 208 (配列番号 1 4
C末側 配列番号 209 配列番号 1 85 8)
hGPVI-mLll-hFc N末側 配列番号 184 配列番号 2 10
(配列番号 1 4
C末側 配列番号 21 1 配列蕃号 185 9)
hGPVI-mL13-hFc N末側 配列番号 184 配列番号 21 2
(配列番号 1 5
C末側 配列番号 21 3 配列番号 1 85 0)
hGPVI-niL14-hFc N末側 配列番号 184 配列番号 214
(配列番号 1 5
C末側 配列番号 21 5 配列番号 1 85 1)
(3) G P V I置換体の調製
実施例 7 (1), (2)で構築した GPV I置換体発現プラスミ ドおよび pTK2233、 ΡΤΚ2440を実施例 1に示されている方法と同様に COS - 1細胞に導入し、 発現させた。 得られた培養上清から、 目的の GPV I置換体をプロテイン Aカラム (Prosep- A、 ミリポア) で精製した。 得られた GPV I置換体の精製度は、—還元 ·非還元 の両条件で SDS- PAGEを行い、 銀染色にて確認した。
(4)ヒ GPV Iとマウス GPV Iのドメイン置換体との結合活性
ヒ ト GPV Iのドメインをマウス GP V Iのドメインに置換することにより、 抗体の認識領域を絞込んだ。 すなわち、 G P V I -HHH-hFc, GPV I -MHH-hFc, G P V I -HMH-hFc, GPV I - MH-hFc,及ぴ G P V I -匪- hFcと各抗 G P V Iモノク ローナル抗体との結合活性測定を行った。
まず、 プレート(Maxisorp、 Nunc)に 5 μ g/mLでゥサギ抗ヒ ト IgG抗体 (DAK0) を 固相ィ匕し、 2% StabiliGuard (SurModics) でブロッキングした。 次に、 ブロッキ ング液を除去し、 0.1%BSA/PBSで希釈した G P V I置換体を添加して 37°Cで 1時 間反応した。 0.05%TVeen- 20を含む 0.9%生理食塩水にて洗浄後、 0.1%BSA/PBSで 希釈した 1%ヒ ト血清 (コスモバイオ) で 37°C、 1時間ブロッキングし、 再ぴ 0.05%Tween-20を含む 0.9%生理食塩水にて洗浄後、 実施例 3で作製したペルォ キシダーゼ標識した抗体を 0.1%BSA/PBSで 0. S/zg/mLに希釈して添加し、 37°C、 1 時間反応した。 最後に 0.05 % Tween-20を含む 0.9%生理食塩水にて洗浄後、
H202/TMB溶液を用いて発色させ、 0.5M硫酸で反応を停止した後、 吸光度を 450nm の波長にて測定した。
その結果、 F1232-10- 2, F1232-21-1, F1201- 20, F1232- 43- 3及び F1232- 14- 2抗体 ではドメイン 1をマウス G P V Iに置換した GPV I -MHH-hFc, GP V I -匪- hFc及び GPV I-MMM - hFcに対する結合活性が顕著に低下した。 このことから、 これらの抗体の認識領域は GPV Iのドメイン 1に存在することが明らかとなつ た。 一方、 F1232 - 7 - 1,F1232 - 19 - 1,F1232— 37- 2, F1232- 17— 1, F1232-18- 3, F1232- 24 - 1抗体では、 ドメイン 2をマウス GPV Iに置換した GP V I -画- hFc, GP
V I -MMH-hFc, GPV I -MMM - hFcに対する結合活性が顕著に低下し、 これ,らの抗 体の認識領域は G P V Iのドメイン 2に存在することが推測された。
各抗 G P V I抗体の抗原認識領域を表 5に示した。
(5)ヒト GP V Iのループ領域をマウスのアミノ酸配列に置換した GPV I置換 体との結合活性
G P V I -HHH-hFc, hG P V I - mL2_hFc, hG P V I - mL3 - hFc, hG P V I - mL4- hFc, hGP V I - mL5_hFc, hGP V I - mL6 - hFc, hGP V I _mL7- hFc, hGP V I _mL8- hFc, hG P V I -raL9- hFc, hG P V I - mL10- hFc, hG P V I - mLll- hFc, hG P V I - mL 13- hFc及び hGP V I - mL14_hFcと各抗 G P V Iモノクローナル抗体との結合活 性測定を行った。
ヒト GPV Iのループ領域をマウスのループ領域に置換した GPV I置換体と ヒト GPV Iに対する結合活性を比較することで、 抗体の認識領域を置換したル ープ領域まで絞り込んだ。
測定方法は実施例 7 (4)に記載の方法と同様に、 実施例 3で作製したペルォキ シダーゼ標識した抗体を、 各抗体の GP V I-HHH-hFc に対する親和性に合わせ て測定可能な濃度に 0.1%BSA/PBSで希釈し用いた。 その結果、 F1232- 10-2,
F1232_21-1,F1232_43- 3抗体では、 hGP V I -mL2-hFc, F1232-14- 2抗体は hG P
V I - mL3- hFcおよび hG P V I - mL5- hFc、 F1201- 20抗体は hG P V I - mL4- hFcおよ ぴ hGP V I -mL5- hFcに対する結合活性が低下した。 また、 F1232- 7- 1, F1232-37 - 2,F1232-17 - 1,F1'232-18- 3及び F1232- 24 - 1抗体では hG P V I - raL9_hFc、 F1232-
19- 1抗体では hG P V I _mL9-hFcおよび hG P V I -mLl l- hFcに対する結合活性が 低下した。 各抗 G P V I抗体の抗原認識領域を表 5に示した。 表 5
·:各ループを置換した GPVI変異体に対する抗体の結合 性が hGPVI-hFcに対す る結合活性の 30%以下に低下したもの 表 6
実施例 8
力二クイザル ex vivo実験による抗 GPV Iモノクローナル抗体の評価 実施例 2にて作製した各抗 GPV Iモノクローナル抗体を雄性力二クイザル
(約 6kg) に 24時間間隔で 0.3rag/kg及び lmg/kg静脈内投与した。 投与前、 初回 投与 24時間後及び 48時間後に採血し、 血小板数、 CD62P蛋白質 (血小板の活性 化マーカー) の発現量、 血小板膜蛋白質 (GPIIb/IIIa; CD41aおよび GPV I ; CD42a) の発現量、 血小板 GP V Iの発現量、 及び血小板凝集能 (コラーゲンお よび ADPに対する反応性) を測定した。
A. 血小板数の測定
採血したクェン酸加血の血小板数を Sysraex F-820を用いて測定した。 クローン No. F 1 232— 18— 3、 F 1 232— 10— 2、 F 1232— 14— 2、 F 1 232— 43— 3、 F 1 201— 20、 F 1232— 37— 2を投与したサ ルでは血小板数の減少は認められなかった (減少率が 20 %未満;表 6中に—で 表示) 。 また、 F 1201— 18、 F 1 232— 1 7— 1を投与したサルでは血 小板数の減少傾向が認められた (減少率が 20 %〜 40 %;表 6中に土で表示) 。 一方、 F 1 232— 7— 1、 F 1 232— 24— 1、 F 1 232— 21— 1を投 与したサルでは明らかな血小板数の減少が見られ (減少率が 40 %〜 60 %;表 6中に十で表示) 、 特に F 1 232- 1 9- 1においては顕著であった (減少率 が 60 %以上;表 6中に ++で表示) 。
B. CD62P蛋白質の確認
採血したクェン酸加血を、 X100g、 25°Cで 20分間遠心分離することにより多血 小板血漿 (Platelet Rich Plasma; PRP) を調製した。 PRPの血小板数が 1 X 108 cells/mLとなるように 0.5%非働化FBSと2.5 mM EDTAを含む PBS (以下、 FACSバッ ファー) で希釈した後、 抗ヒ ト CD62P - PE (BD Biosciences Pharmingen) を用い てサル血小板上の CD 62 P蛋白質の発現を F AC Sにて調べた。 すなわち、 P RPに抗ヒト CD62P-PEを添加して室温で 30分静置した後、 FACSバッファーで血小 板を洗浄し、 フローサイトメーター CYTOMICS FC500 (BECKMA COULTER) で血小 板の蛍光強度を測定した。 その結果、 いずれの抗 GPV Iモノクローナル抗体を 投与したサルから採血、 調製した PRPにおいても、 投与前と比較して CD62 Pの発現の上昇は認められなかった (発現誘導が 2倍未満;表 6中に一で表示) 。
C. CD41aおよび CD42a蛋白質の確認
サル血小板上における CD41aおよび CD42a蛋白質発現量の測定は、 CD 62 Pの 場合と同様に P R Pを調製し、 それぞれ抗ヒ ト CD41a- FITC (BD Biosciences Pharmingen) 、 抗ヒ 卜 CD42a - PE (BD Biosciences Pharmingen) ¾r用レヽた FAC S解析にて行った。 その結果、 F 1 232— 21— 1および F 1 232— 1 9一 1を投与したサルから採血、 調製した PR Pにおいて CD41aおよび CD42a蛋白質の 軽度の減少が認められた (lmg/kg投与後の消失率が 30 %〜 70 %;表 6中に士 で表示) ものの、 その他の抗 GPV Iモノクローナル抗体を投与したサルから採 血、 調製した PRPでは CD41aおよび CD42a蛋白質の発現に影響は認められなかつ た (lmg/kg投与後の消失率が 30 %未満;表 6中に—で表示) 。
P. GPV I蛋白質の確認
サル血小板上における GPV I蛋白質の確認は、 CD 62 Pの場合と同様に P RPを調製し、 蛍光色素 Af488で標識した抗 GP V Iポリクローナル抗体を用い た F AC S解析にて行った。 その結果、 F 1 201— 18、 F 1 201— 20、 F 1 232— 37— 2を投与したサルから採血、 調製した P R Pにおいて G P V I蛋白質の消失が認められ (lmg/kg投与後の消失率が 70%以上;表 6中に +で 表示) 、 特に F 1 232— 7— l、 F 1 232— 18— 3、 F 1 232— 10— 2、 F 1 232— 21— 1、 F 1232— 43— 3、 F 1 232— 1 7— 1、 F 1 232- 1 9- 1においては顕著であった (0.3mg/kg投与後の消失率が 70 % 以上;表 6中に ++で表示) 。 一方、 F 1 232— 24— 1、 F 1 232— 14— 2を投与したサルから採血、 調製した PR Pにおいては部分的な消失が認められ た (lmg/kg投与後の消失率が 30 %〜 70 %;表 6中に土で表示) 。
E. 血小板凝集能の測定
コラーゲンおよび ADPに対する血小板凝集能を血小板凝集測定装置 (PA- 200 Aggregation Analyzer, Ko a) を用いて測定した。 まず、 PRPの血小板数が 3 X108 cells/raLとなるように生理食塩液で希釈した後、 終濃度 IraMの CaC12溶液を
添加し、 37°Cで 3分間インキュベートした。 さらに終濃度 2μ§/ηι1のコラーゲン溶 液あるいは終濃度で 10 の ADP溶液を添加し、 37°Cで 12分間ィンキュベートした。 血小板凝集率は光の透過率を PA- 200 Aggregation Analyzer ( owa) で測定する ことにより求めた。 その結果、 F 1232— 7— 1、 F 1201-20を投与し たサルから採血、 調製した P R Pにおいてコラーゲン '応答性の血小板凝集能の低 下が認められ (lmg/kg投与後の消失率が 70%以上;表 6中に十で表示) 、 特に F 1232— 18— 3、 F 1232— 10— 2、 F 1232— 21— 1、 F 12 01— 18、 F 1232— 43— 3、 F 1232— 37— 2、 F 1232— 17 一 1、 F 1232— 19— 1においては顕著であった (0.3mg/kg投与後の低下率 が 70%以上;表 6中に ++で表示) 。 また、 F 1232— 24— 1を投与したサ ルから採血、 調製した PR Pにおいては部分的な低下が認められた (lmg/kg投与 後の低下率が 30%〜70%;表 6中に土で表示) 。 一方、 F 1232— 14— 2においては血小板凝集能にほとんど影響を示さなかった (lmg/kg投与後の消失 率が 30 %未満;表 6中に—で表示) 。
また、 AD P応答性の血小板凝集能については、 F 1232— 10— 2、 F 1 232— 21— 1を投与したサルから採血、 調製した PR Pにおいて部分的に低 下したが (lmg/kg投与後の消失率が 30%〜70%;表 6中に土で表示) 、 その 他の抗 GPV Iモノクローナル抗体を投与したサルから採血、 調製した PR Pに おいて血小板凝集に影響は認められなかった (lmg/kg投与後の消失率が 30%未 満;表 6中に一で表示) 。 実施例 9
抗 G P V I抗体の可変領域ァミノ酸配列の決定
以下に抗 GPV I抗体 (クローン No. F1232-7- 1) の可変領域のアミノ酸配列 決定の例を示すが、 他の抗 GPV I抗体についても同様の実験操作で可変領域の アミノ酸配列を決定した。
すなわち、 目的とする抗 GPV Iモノクローナル抗体を産生するハイプリ ドー から RNeasy Micro Kit (キアゲン)を用いてトータル RNAを抽出し、 Superscript III First-Strand Synthesis System for RT- PCRキット(Invitrogfen)にて一本鎖
cDNAを合成した。 得られた一本鎖 cDNAを铸型と した Mouse Ig-Primer Set (Novagen) による PCRで可変領域を増幅し、 塩基配列を決定した。 開始コドン付 近の情報はデータベース上の配列情報を検索し、 再度 5'側プライマーを設計した (F1232-7- 1重鎖 5'側プライマー : 1232H- b (配列番号 216) 、 軽鎖 5'側プライマ 一 : 1232K- a (配列番号 218) ) 。 一方、 可変領域の 3'側配列は、 アミノ酸配列を 変えることなく、 ヒ ト定常領域との連結可能な制限酵素認識部位 (重鎖は Nhe I 認識配列、 軽鎖は Bsi WI認識配列) を付したプライマーを設計した (F1232-7 - 1 重鎖 3'側プライマー : 1031H - b (配列番号 217) 、 軽鎖 3'側プライマー : mlgK- BsiWI (配列番号 219) ) 。 これらの新規プライマーを用いて再度 PCRを行うこと により重鎖可変領域および軽鎖可変領域を増幅し、 p T 7 B l u e Tベクター (N o V a g e n )を用いてクローニングした (重鎖可変領域をコードする遺伝子 断片をもつプラスミドを pTK-2464、 軽鎖可変領域をコードする遺伝子断片をもつ プラスミドを ρΤΚ- 2466とした) 。 次に、 常法に従い重鎖可変領域および軽鎖可変 領域の塩基配列を決定し、 その塩基配列 (重鎖可変領域;配列番号 87、 軽鎖可変 領域;配列番号 88) およびそれらにコードされるアミノ酸配列 (重鎖可変領域; 配列番号 111、 軽鎖可変領域;配列番号 112) を示すとともに F1232- 7 - 1以外のク ローンについても同様に塩基配列およびアミノ酸配列を決定した (表 7 ) 。 また、 可変領域のァミノ酸配列における CDR部分の配列を表 8および表 9に示した。 表 7
クローン番号 塩基配列 ァミノ酸配列
重鎖 軽鎖 重鎖 軽鎖
F1232-7-1 配列番号 87 配列番号 88 配列番号 111 配列番号 112
F1232-18-3 配列番号 89 配列番号 90 配列番号 113 配列番号 114
F1201-20 配列番号 91 配列番号 92 配列番号 115 配列番号 116
F1232-17-1 配列番号 93 配列番号 94 配列番号 117 配列番号 118
F1232- 19- 1 配列番号 95 配列番号 96 配列番号 119 配列番号 120
F1232-21-1 配列番号 97 配列番号 98 配列番号 121 配列番号 122
F1232 - 43- 3 配列番号 99 配列番号 100 配列番号 123 配列番号 124
F1201-18 配列番号 101 配列番号 102 配列番号 125 配列番号 126
F1232-10-1 配列番号 103 配列番号 104 配列番号 127 配列番号 128
F1232- 37 - 2 配列番号 105 配列番号 106 配列番号 129 配列番号 130
F1232-14-2 配列番号 107 配列番号 108 配列番号 131 配列番号 132
I F1232-24-1 |配列番号 109 |配列番号 110 |配列番号 133 |配列番号 134
配列後ろの力ッコ内の数字は配列番号を表す。
表 9
配列後ろの力ッコ内の数字は配列番号を表す。
実施例 1 0
遺伝子組換えによるマウス -ヒ トキメラ抗体の産生
抗原結合活性を有する V領域がハイプリ ドーマ抗体由来、 すなわちマウス抗体 由来であり、 c領域がヒ ト由来の抗体 (キメラ抗体) を作製した。 ( 1 ) マウス-ヒ トキメラ抗体発現プラスミ ドの構築
抗 G P V I抗体 (クローン NO. F1232- 7-1) マウス-ヒ トキメラ抗体発現プラス ミ ドの構築は以下のように行った。
まず pTK-2464を制限酵素 EcoR Iおよび Nhe Iで切断し、 重鎖可変領域をコード する遺伝子断片 Cを調製した。 一方、 pTK-2232 (W02005/7800実施例 10参照) を制 限酵素 Eco 47ΠΙおよび Bara HIで切断し、 重鎖定常領域 (C y 4) をコードする遣 伝子断片 Dを調製した。 これらの断片を、 EcoR I および Bam HIで切断して調製 した発現ベクター pEF2cewの EFプロモーター下流に、 断片 C+断片 Dとなるように 連結し、 重鎖発現プラスミ ド (pTK-2468) を構築した。
.次に ρΤΚ-2466を制限酵素 EcoR Iおよび BsiW Iで切断し、 軽鎖可変領域をコード する DNA断片 Eを調製した。 一方、 HeLaゲノム DNAを鏡型としてプライマー BsiWI- hlgK (配列番号 220) および IgK-e (配列番号 221) による PCRを行い、 ヒ ト軽鎖定 常領域 (C K ) を pT_7BlueTにクローユングした(pT7- hIgK)。 pT7- hlgKからヒ ト軽 鎖定常領域を切り出すために制限酵素 Bsi WIと Bara HIにて pT7 - hlgKを切断し、 DNA断片 Fを調製した。 これらの断片を EcoR I および Bara HIで切断して調製した 発現ベクター pEF2cewの EFプロモーター下流に断片 E+断片 Fとなるように連結し、 各軽鎖発現プラスミ ド (pTK- 2474) を構築した。
( 2 ) 組換えマウス-ヒ トキメラ抗体の発現および G P V Iに対する結合活性の 構築したマウス -ヒ トキメラ 体発現プラスミ ドの発現および精製は実施例 1 に示した方法と同様に行った。 すなわち、 目的とするクローンのマウス-ヒ トキ メラ抗体の重鎖発現プラスミ ドおよび軽鎖発現プラスミ ドを C O S— 1細胞に対 してコトランスフエクシヨンし、 3 7 °Cにて 3日間培養後、 その培養上清をプロ ティン Aカラムにて精製した。 得られたマウス-ヒ トキメラ抗体は S D S— P A
GEにてその精製度を確認した後、 ヒ ト GP V Iおよびサル GPV Iに対する結 合能を確認した。 まず、 実施例 1にて作製した GPV I置換体、 hGPV I— h F cもしくは GPV I— F FH-h F cを D—PB Sで 2 μ g.ZmLに希釈し、 ィムノプレート (Ma x i s o r p、 NUNC) に 50 LZゥェル添加した。 次に、 3 7°Cで 1時間反応後、 イオン交換水で 5回洗浄し、 2%S t a b i 1 G u a r d (S u r mo d i c s) を含む D— P B Sを各ウエノレに 1 00 μ L添カロ することによりブロッキングした。 次に精製したマウス-ヒ トキメラ抗体を各ゥ エルに添加し 3 7°Cで 1時間反応させた後、 0. 0 5%Tw e e n 20を含む生 理食塩水で 3回洗浄した。 ペルォキシダーゼ標識抗ヒ ト軽鎖 K抗体 (DAKO) を 1 0 %ゥサギ血清含有 D— PB Sで 1 000倍に希釈し、 各ゥエルに 5 0 L 添加した。 3 7°Cで 1時間反応後、 同様に 5回洗浄し TMB溶液 (B i o F i x) を各ゥエルに添加した。 室温で 1 0分間反応後、 0. 5 M硫酸溶液で反応を 停止し、 プレート分光光度計 (マルチスキャン J X、 大日本製薬) で 4 50 nm の吸光度を測定した。 その結果、 作製したマウス-ヒ トキメラ抗体はヒ トおよび サルの GPV Iに特異的に結合することが確認された。 実施例 1 1
ヒ ト化抗体の作製
A. ヒ ト化抗体の作製 (方法 1)
( 1 ) ヒ ト化 F抗体可変領域のコンピューターモデリング
ヒ ト化抗体で高い親和性を保持するために、 クィーンらの一般的な方法 (Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 10029, 1989) に準じてフレームワーク残基の選択を行 う。 ヒ 卜 Sti列は K a b a t ら ( Sequences of proteins of immunological interest, 5th ed. , U.S. Department of Health and Human Services, 1991) の K軽鎖及び重鎖配列データベースに基づきマウス抗 GPV Iモノクローナル抗 体 (クローン No. F 1232-7-1) に高いフレームワーク相同性を有する配列を選択 する。 さらに、 コンピューター解析により最も適したフレームワーク中のアミノ 酸の改変を行う。 具体的にはコンピュータープログラム ENCAD (レビッ ト、 J.Mol. Boil.168*595(1983)) や、 Horamology (アクセルリス社)、 FAMS (S G I
社) などのタンパク質モデリングツールを用いて F 1232-7- 1抗体可変領域の分子 モデルの構築を行う。 抗体データベースより得られたヒ ト E u抗体分子モデル (S t e p h e n s ら、 Immunology 85 (4), 668-674 (1995)に F 1232- 7-1抗体 の CD R配列を F R中に移植する。 分子最適化計算や分子動力学計算などの最適 化やシミュレーション解析を通じて、 コンピューターモデル上で CDRと FRが 本来のヒ ト抗体モデルとは異なり、 有意な接触を示す FR領域で、 アミノ酸置換 を行うことにより CDRと FRとの接触が改善されると予想される位置について マウス抗体由来のアミノ酸への置換を行う。 また、 ヒ ト抗体のデータベース中で その位置においてまれにしか現れない FR中のアミノ酸残基はそれらの位置にお けるヒ トコンセンサンスアミノ酸に置換する。 アミノ酸置換の良否は実際の活性 により確認することになるため、 ァミノ酸置換の異なるタイプの抗体を数種類作 製する。
(2) ヒ ト化抗体の構築
実施例 1 1 A (1) で選択された配列を基に、 シグナルペプチド、 スプライス 供与シグナル及び制限サイ ト (例えば Eco RI) を含むアミノ酸配列をコードする 遺伝子を構築する。 構築した遺伝子は合成ヌクレオチド (80塩基長程度) を数 種類オーバーラップするように調製する。 すなわち、 オリゴを対にしてァニール し、 DNAポリメラーゼの K 1 e n o w断片で伸長し、 2本鎖断片を得る。 この 断片を変性し 1本鎖にした後、 同様にァニールし、 DNAポリメラーゼの K l e n ow断片で伸長し.、 全長の遺伝子をコードする 2本鎖断片を得る。 得られる断 片を PCRで増幅し、 精製後に制限酵素 (例えば Eco RIと Nhe I) で切断し精製 する。 精製した断片をヒ ト IgG4定常領域遺伝子 (CY4) の CHIェクソンから C H 3ェクソンまでを含む遺伝子断片 (例えば pTK- 2232を Nhe Iおよび BamHIで切 断) と連結し、 発現ベクター pEF2cewの EFプロモーター下流 (Eco RIと BamHIで切 断) に組み込むことでヒ ト化重鎖発現プラスミ ドを構築する。 また、 置換するァ ミノ酸の数が少ない場合は部位特異的突然変異法によりァミノ酸変異を発現ブラ スミ ドに導入することも可能である。 軽鎖可変領域配列は上記と同様に構築可能 である。 この場合ヒ ト C /c領域は pT7-hIgKから切り出し、 発現ベクター pEF2cew
の EFプロモーター下流に、 軽鎖可変領域配列と連結し、 組み込むこととなる。 抗体を産生する形質転換体を作製するため、 重鎖及び軽鎖プラスミ ドを制限酵 素で切断し直線化後、 マウスミエローマ細胞 S p2_0- a g 1 4 (ATC C C RL 1 5 8 1 ) 中へジーンパルサー (B I OR AD) を用いて導入する。 例えば 直線化した DNA断片約 20 gを 1X 107細胞に 360V、 25 i FDのキャパシタン スでエレク トポレーションを行う。 次に細胞を 96穴プレートに植え込み、 2日間 培養後、 プラスミ ド断片が組み込まれた細胞を選択するため、 10%F C S、 IX
HT ( I n v l t r o g e n) 、 0.25m g/m l X a n t h i n e 1 μ g m 1
My c o p h e n o l i c a c i dを含む D— MEM (S i g m a ) を添カ卩し-、 更に 2週間培養する。 培養後上清中の抗体を解析することにより、 目的とするヒ ト化 F 1232- 7-1抗体産生細胞株を選択する。 すなわち、 培養上清中の抗体が固相 ィ匕した GPV I抗原と結合し、 結合する抗体をペルォキシダーゼ標識抗ヒ ト I g G4抗体で検出する。 結合が認められた抗体産生細胞株はコンブルエントになる まで 10%F C Sを含む培地で培養し、 無血清培地 (Hy b r i d om a S FM、 I n v i t r o g e n) に交換する。 培養上清を回収し、 培養上清中に含まれる 抗体をプロテイン A (P r o s e p- A、 ミリポア) に結合させ、 0.1M グリシ ン塩酸 (p H 3. 0) で溶出する。 精製抗体を P B S- (S i g m a ) で透析し、 2 8 Onmの吸光度より抗体濃度を算出する (ヒ ト抗体 Irag./mLは約 1. 3の吸光 度を示す) 。
(3) ヒ ト化抗体の評価
ヒ ト化抗体と元のマウス抗体の GPV I抗原との結合能を、 B I ACOREシ ステム (B I ACORE社) を用いて測定し、 比較する。 すなわち、 B i ACO RE 3 0 0 0をのマニュアルにしたがって CM5チップ (B I ACORE社) に 精製 hGP V I -rnFcを固定化する。 次に HB S_E Pバッファー (B I ACORE 社) で希釈した抗体希釈列を作製し、 各サンプルをインジェクトする。 得られた データを B I AC OREの解析プログラム (B I A E v a l u a t i o n, B I ACORE) を用いて解析し、 ァフィ二ティー (K d) を算出する。
B. ヒト化抗体の作製 (方法 2)
(1) ヒト化抗体遺伝子の作製
ヒト化抗体において移植する CDR配列が活性を有する適切なドメイン構造と して維持させるためには元の F R領域の配列も合わせて移植する方法もまた有効 である。 CDRドメイン構造の維持にどのアミノ酸が関与しいているかは、 FR 中のアミノ酸の性質 (疎水性、 親水性、 酸性、 塩基性、 分子サイズ等) から推定 でき、 またコンピューターを用いたモデリングにより推定可能である。 すなわち シリコングラフィック上で起動するソフトウェアー QUANTA/CHARMm あるいは Mo d e l e r (モレキュラー 'シユミレーシヨンズ) を用いてモデリ ングを ί亍っ。 B r o o k h a v e n P r o t e i n D a t a B a k (P DB) に登録されているヒ ト抗体配列より F 1232-7 - 1抗体の VH及ぴ VL領域と 相同性の高い抗体の三次元構造を検索し、 それに基づき F 1232-7抗体の三次元構 造を推定する。 推定三次元構造上で重鎖及び軽鎖の C D Rに水素結合している F R領域中のアミノ酸群 (第 1群). を選出し、 更にそれらに水素結合している FR 領域中のアミノ酸群 (第 2群) を選出する。 同様に、 CDRに静電的相互作用や ファンデルワールス力等のエネルギー結合により結合していると推定される FR 領域中のアミノ酸群 (第 1群) と更にそれらに結合していると推定される FR領 域中のアミノ酸群 (第 2群) を選択する。 このようにして選択した FR領域中の アミノ酸群を CDRアミノ酸と併せてヒ ト抗体配列上に移植するが、 Kabatらの 分類 ( Sequences of proteins oi immunological interest, 5th ed. , U.S. Department of Health and Human Services, 1991 ) や N C B I (National Center for Biotechnology Information) 等より得られるヒ ト抗体配列の可変領 域アミノ酸には存在しないような配列が生じる場合は、 そのアミノ酸は移植しな い。 このようにして得られた情報に基づきヒ ト抗体配列 VH及び VLに移植する 配列を決定し、 ヒト化抗体作製に用いる遺伝子を構築する。
構築した遺伝子はアマシャムのキット (Oligonucleotide- directed in vitro mutagenesis system version 2) と P C R法を組み合わせる方法、 また数種類の 長鎖合成ヌクレオチドを組み合わせて増幅する方法、 キメラ抗体の VHあるいは VL遺伝子を铸型に数種類のプライマーを用いて増幅後、 さらにそれら増幅遺伝
子断片を铸型として全長遺伝子断片を得る方法により作製する。 得られた増幅遣 伝子断片を、 実施例 1 1 A ( 2 ) 記載のプラスミ ド (pTK- 2232あるいは pT7- IgK) の定常領域断片と連結し、 発現ベクター pEF2cewの EFプロモーター下流に組 み込むことで、 ヒ ト化抗体発現プラスミ ドを構築する。 作製したプラスミ ドは実 施例 1 1 A (2) 記載の方法により細胞に導入し、 形質転換体を得、 同様に精製 抗体を作製する。 また、 実施例 1 1 A (3) と同様に抗体の評価を行う。 実施例 1 2
GP V I欠損患者の GPV I抗体の抗原結合特性とマウス抗ヒ ト G PV Iモノ クローナル抗体の抗原結合特性
1 2 - 1 ヒ ト GPV Iループ置換体を用いた GPV I欠損患者の抗 G PV I抗 体の抗原結合特性解析
G P V I欠損患者 (タテオ 'スギヤマ (Tateo Sugiyama) 、 外 5名, ブラッド (Blood) , (米国) , 1 9 8 7年, 第 6 9卷, 第 6号, p . 1 7 1 2— 1 7 2 0) 血中に含まれる抗 GPV I抗体の認識ドメイン解析を各種組換えタンパクを 用いて行った。 患者特異 t製抗体と実施例 7に記載される組換えヒ ト G PV Iル ープ置換体を混合し、 3 7°Cで 2時間ポリプロピレンプレート上で反応させた後、 混合サンプルを実施例 2に記載の方法と同様にして作製した組換え h G P V I — h F c固相プレートに 5 0 μίΖゥヱルで添加し、 3 7 °Cで 1時間反応させた。 次いで、 ペルォキシダーゼ標識抗ヒ ト 及ぴ; L鎖抗体 (DAKO、 P 1 3 0, P 1 2 9) を 1 0%ゥサギ血清を含む D— PB S (p H 7. 4) で 1 0 0 0倍に希 釈し各ゥヱルに 5 0 μ L添加した。 3 7でで 1時間反応後、 実施例 2に記載の方 法と同様に吸光度を測定した。 測定値を、 組換えヒ ト GPV Iループ置換体を添 加しないときの吸光度と比較し、 吸光度低下がないか、 あるいは吸光度低下の程 度が小さくなるループ置換体の結果から GPV I欠損患者の自己抗体に含まれる 抗 GPV I抗体の抗原認識部位を推定した。
その結果を表 1 0に示した。 ΙΤΡ癸症後早期の患者抗体 (#930819) を対象と した場合、 h GPV I — h F c -mL4 (組換えヒ ト GPV I — h F cのループ 4 をマウスの配列に変換しタンパクを示す。 以下同様に記載する) 、 'h GPV I —
hF c— mL 5、 hGPV I -hF c -mL 9, hGPV I -hF c -mL 13 を用いた時、 その吸光度は減少しなかった。 つまりは実験対象とした GPV I欠 損患者の抗 GPV I抗体にはループ 4、 5、 9、 13を認識している抗体を含ん でいる事が解った。 一方、 ITP発症から長期経過した患者抗体 (#021004) を対 象とした場合においては、 hGPV I— hF c—mL 9、 および hGPV I - h F c -mL 13を用いた時、 その吸光度は減少しなかった。 つまりは実験対象と した GPV I欠損患者の抗 GPV I抗体にはループ 9、 13を認識している抗体 を含んでいる事が解った。 表 10
GPVI欠損患者抗体のマウスループ置換体による吸収実験
+ :吸収抗原として添加したときに、 吸光度の低下がないか、 またはその低下が小さい場合
—:吸収抗原として添加したときに、 吸光度の低下が非置換体 (hGPVI-h c)と同程度である場合
2-2 GPVI欠損患者の抗体とマウス抗ヒト GPVIモノクローナル抗体との競合
5" '
実施例 2で作製したマウス抗 GPV Iハイプリ ドーマ抗体と GPV I欠損患者 血中に含まれる抗 GPVI抗体との競合実験を行った。 すなわち、 GPVI欠損患者由 来の抗 GPVI抗体を 12— 1に記載の hGPVI— hFc固相化プレートに 50 μ LZゥ エルにて添加し、 4。Cで一晩反応させた。 そこにペルォキシダーゼ標識マウス抗 GP V Iハイプリ ドーマ抗体を吸光度 0. 5〜1.. 0になるよう添加し、 -37°C で 45分反応させ、 実施例 2に記載の方法と同様にして吸光度を測定した。 その 結果、 実施例 2に記載の方法と同様の方法で作製されたマウス抗ヒト GPVIモノク ローナル抗体 F 1 199— 6および F 1232— 37— 2は、 GPVI欠損患者血 中に含まれる抗 GPVI抗体と競合した。 結果を図 2に示す。
実施例 13
ドメイン 2 (L 9ループ) 特異的抗ヒ ト GP V I抗体の作製
13-1 マウス抗ヒ ト GPV Iモノクローナル抗体の作製
実施例 1により調製した精製 hGPV I-mF c融合タンパク 20 μ gと A 1 um(P I ERCE)、 オリゴ C p Gを混合し、 投与抗原とした。 d d Yマウス (メス、 8週令、 SLC) に投与し、 さらに投与抗原 20 μ gを投与した。 3日 後、 リンパ節又は脾臓よりリンパ球を分離し、 実施例 2に記載の方法と同様の方 法で細胞融合を行い、 ハイプリ ドーマを選択した。
1週間後目的の抗体を産生しているハイプリ ドーマを実施例 7で作製した hG P V I-hFc及び hGPV I— mL9— hFcに対する結合活性を指標としてスクリー ニングした。 すなわち、 実施例 1により調製した精製 hGPV I— hF cまたは hGPV I—mL9_hFcを D— PB S (p H 7. 4) で 1 g /m Lに希釈し、 ィ ムノプレート (Ma X i s o r b、 NUNC) に 50 μ LZゥエル添加し、 実施 例 2の記載の方法と同様にして固相化した。 次に培養上清を各ゥエルに添加し室 温で 1時間反応させた後、 実施例 2に記載の方法と同様にしてペルォキシダーゼ 標識抗マウスィムノグロプリン抗体 (DAKO、 P 260) を用いて反応を行い、 吸先度を測定した。 その結果、 精製 hGPV I_hF cと結合し (吸光度 1以 上) 、 hGPV I— mL9 - hFcとは結合しない (吸光度 0. 5以下) 抗体を産生し ている細胞を選択し、 実施例 2に記載の方法によりクローニングした。 8〜10 日後、 同様にスクリーニングを行い、 L9特異的マウス抗ヒ ト GP V I抗体を産生 するハイプリ ドーマを得た。 実施例 2B (3) と同様に、 得られたハイプリ ドー マを培養し、 モノクローナル抗体を精製した。 各抗体のサブタイプは IsoStrip Mouse Monoclonal antibody Isotyping Kit (Rocheノを.用レヽて決:疋'しこ。
13-2 ラット抗ヒ ト GPV Iモノクローナル抗体の作製
精製 hGPV I-mF c融合タンパク、 又は L 9及び L 1 1ループをヒ ト由来 配列に置換したラット GPV I- mF c融合蛋白質 (ratGPV I - hL9/hll- raFc) (配列番号 288) を投与抗原とした。 なお、 ラット GP V Iは、 ラッ ト骨髄
RNAを錡型とし、 オリゴ dTプライマーを用いた逆転写反応で cDNAを合成した後、 これをさらに錄型とした PCRで全長遺伝子をクローニングした。 PCRに使用したプ ライマー対は (mG P V I - a:CCACATAGCTCAGGACTGGG (配列番号 289) 、 mGPV I -d:CCAAGTTATTTCTAGGCCAGTGG (配列番号 290) ) である。 投与抗原 20 μ gと フロイントコンプリートアジュバント(D I F CO)を等量混合し、 Wi s t a r ラット (メス、 8週令、 SLC) に投与し、 2週間後リンパ節よりリンパ球を分 離した。 SP 2.ZO_Ag l 4 (ATTC) と混合後、 実施例 2に記載の方法と 同様の方法で細胞融合を行い、 ハイプリ ドーマを選択した。
1週間後目的の抗体を産生しているハイプリ ドーマにより上記 14— 1に記載 の方法によりスクリーニングした。 その結果、 精製ヒ ト GPV I- h F cと結合 し (吸光度 1以上) 、 L 9をマウス L 9に置換した精製ヒ ト GPV I- hF cと は結合しない (吸光度 0. 5以下) 抗体を産生している細胞を選択し、 実施例 2 に記載される方法によりクローニングし、 ラット抗ヒ ト GPV I抗体を産生する ハイプリ ドーマを得た。 実施例 2B (3) と同様に、 得られたハイプリ ドーマを 培養し、 モノクローナル抗体を精製した。 各抗体のサブタイプは Rat MonoAB ID/SP Kit(ZYMED)を用いて決定した。 実施例 14
抗 G P V Iモノクローナル抗体の特性解析
14- 1 抗原結合特性
実施例 1 3で得られた各抗体の特性を解析するため、 ヒ ト GPV I- h F cと の結合、 実施例 4に記載の F 1 232- 37一 2抗体との競合、 L 9ループに対 する特異性を調べた。 すなわち、 ヒ ト GPV Iに対する結合は実施例 2の方法に 従い固定化した抗原に対する結合活性を測定した。 結合活性は吸光度が 0. .5〜 1. 0までを十、 1. 0〜2. 0を +十、 2. 0以上を + + +と表示した。 F 1 232-37-2との競合は以下のように行った。 すなわち、 F 1 232— 37 一 2を中根らの方法 (J. H i s t o c h em. Cy t o c h em. , 22, 1 084, 1974) に従いペルォキシダーゼ (東洋紡) 標識抗体を調製し、 使用 した抗体量より抗体濃度を算出した。
次にこのペルォキシダーゼ標識抗体を用いて各精製抗体との競合ァッセィを行 つた。 すなわち、 上記の標識抗体 25 Lと各精製抗体 25 ^ Lを hGP- hFc固 相化プレートのゥエルに添加し、 37°Cで 1時間反応させた後、 0. 05%Tw e e n 20を含む生理食塩水で 5回洗浄し、 TMB溶液 (B i o F i x) で発色 させた。 室温で 10分間反応後、 0. 5 M硫酸溶液で反応を停止し、 プレート分 光光度計 (マルチスキャン J X、 大日本製薬) で 450 nmの吸光度を測定した。 その結果を表 11に示す。 阻止活性は阻止抗体無添加の吸光度から 50%以上阻 止する場合を + +十、 30%〜50%阻止する場合を +十、 10%〜30%阻止 する場合を十と表示した。 '
L 9ループ特異性は実施例 13の 13— 1記載の方法に従い測定し、 反応性が 50%以上低下する場合を +すなわち L 9ループを認識していると判断した。 表 11
実施例 1 3で得られた各抗体のコラーゲン- G P V I結合阻害活性を実施例 2 と同様の方法で調べた。 抗体無添加のゥエルの吸光度に対して 5 0 %以上吸光度 が低下した場合を + +十、 3 0 %〜 5 0 %低下した場合を + +、 1 0 %〜 3 0 % 低下した場合を十と表示した (表 1 1 ) 。
1 4 - 3 解離定数の測定
実施例 1 4で得られた各抗体の解離定数は実施例 5に記載の方法と同様の方法 により調べた。 結果を F 1 2 3 2 - 3 7 - 2の解離定数に対する相対値として表 1 1に示した。 実施例 1 5
抗 G P V I抗体の可変領域ァミノ酸の決定 ( 2 )
実施例 1 3で作製した抗ヒ ト G P V I抗体の可変領域のァミノ酸配列は、 実施 例 9に記載の方法と同様の方法により決定した。 抗体可変領域の塩基配列を決定 したクローンについて、 C D R及ぴ可変領域の塩基配列おょぴ推定されるァミノ 酸配列を表 1 2及び 1 3ならびに配列表 (表 1 4参照) に示した。 抗体可変領域 遺伝子の配列解析の結果から、 これらの抗体の配列は数種類の一定の抗体遺伝子 に由来すると考えられ、 ヒ ト GPVIのループ 9を認識する抗体のレパートァ選択に 特徴のあることが認められた。 抗 GPVI抗体重鎖の CDR配列
クローン 重鎖
番号 CDR1 CDR2 CDR3
F1245-4-1 SYWMH MIHPNSDNTNYNEKFKS HYYDYVDY
F1245-5-1 SYWMH MIHPNSGSTHY EKFKS GGVTPVAY
F1245-6-2 SY丽 MIHPNSGST誦 EKFKS GGVTPVAY
F1245 - 7 - 1 SYWMH MIHPNSGSTNY EKFKS PVTAVVEYYFDY
F1246-1-1 SYGMS TISNGGTYTYYPDSV G LRDYYAMDY
F1249-3-2 SYGMS TISSGGSYTYYSDSVKG DSGYFDY
F1249-5-1 SYWMH MI画 SDIT画 EKFKN LGDYYAMDY
F1249-18-2 SYWMH MIHPNSDITNYNEKFKN SGDYYAMDY .
F1249-20-1 DYAMH VISTYYGDTSYNQKFKG AEDYDPWFAY
F1249- 22 - 1 SY麵 Q EIDPSDSYTNYNQKFKG GAITTATLDY
F1249-24-1 DYAMH VISTYYGDTSYNQKFKG AEDYDPWFAY
F1249-30-1 DYAMH VISTYYGDTSYNQKFKG AEDYDPWFAY
F1251-1-1 DYYIH YINPNSGYTNYNEKFKS CNSGYGDWFAY
F1257 - 3 - 1 TSGMVVS AIDWDGDKYYNPSLKS TPYYGYKEAYYFDY 抗 GPVI抗体軽鎖の CDR配列
表 1 4 抗 GPVIモノクローナル抗体可変領域の塩基配列およびアミノ酸配列 塩基配列 ァミノ酸配列 クローン番号
重鎖 軽鎖 重鎖 軽鎖
F1245-4-1 配列番号 224 配列番号 226 配列番号 225 配列番号 227
F1245-5-1 配列番号 228 配列番号 230 配列番号 229 配列番号 231
F1245-6-2 配列番号 232 配列番号 234 配列番号 233 配列番号 235
F1245-7-1 配列番号 236 配列番号 238 配列番号 237 配列番号 239
F1246-1-1 配列番号 240 配列番号 242 配列番号 241 配列番号 243
F1249-3-2 配列番号 244 配列番号 246 配列番号 245 配列番号 247
F1249-5-1 配列番号 248 配列番号 250 配列番号 249 配列番号 251
F1249-18-2 配列番号 252 配列番号 254 配列番号 253 配列番号 255
F1249-20-1 配列番号 256 配列番号 258 配列番号 257 配列番号 259
F1249-22-1 配列番号 260 配列番号 262 配列番号 261 配列番号 263
F1249-24-1 •配列番号 264 配列番号 266 配列番号 265 配列番号 267
F1249- 30 - 1 配列番号 268 配列番号 270 配列番号 269 配列番号 271
F1251-1-1 配列番号 272 配列番号 274 配列番号 273 配列番号 275
F1257-3-1 配列番号 276 配列番号 278 配列番号 277 配列番号 279
NEW-HAN 配列番号 280 ― 配列番号 281 一
Eu-HC 配列番号 282 ― 配列番号 283 ―
REI-KA ― 配列番号 284 ― 配列番.号 285
Eu-KA ― 配列番号 286 ― 配列番号 287 実施例 16
マウス/ヒ トキメラ抗 GPV I抗体の生産 (2)
16-1 マウス/ヒ トキメラ抗体の生産
実施例 10の方法と同様の方法で作製した発現プラスミ ドを下記の方法で CO S - 1細胞に導入し、 キメラ抗体の一過性発現を行った。 なお、 c F 1232— 18-3 (マウスモノクローナル抗体 F1232 - 18-3のマウス/ヒ トキメラ化抗体を CF1232-18 - 3と表記する。 以下、 他のマウスモノクローナル抗体も同様に表記す る。 ) 発現には重鎖発現プラスミ ド pTK— 2471と、 軽鎖発現プラスミ ド ρ ΤΚ— 2475との c ο— t r a n s f e ς t i ο ηを行い、 c F 1232— 4 3— 3、 c F 1232— 10— 1あるいは c F 1232— 37— 2についてはそ れぞれ p TK— 2504と pTK_2514、 pTK— 2509と pTK— 25 17あるいは ρ TK— 2510と pTK— 251 1をそれぞれ c o - t r a n s f e c t i o nし 7こ。
COS— 1細胞を 2. 1 X 106c e 1 1 s.Z段でセルスタック 10チャンバ 一 (CORN I NG社) に植え込み、 37 °Cで 4日間培養を行った。 培養液を廃 棄後に、 細胞を D— MEMで二度洗浄した後に、 以下の F uGENE/DNAZ 生産培地混合液をチャンバ一 1台あたり約 1.3L添加した。 FuGENE6 (ロシ ュ .ダイァグノスティックス社) 2. 12 1と重鎖発現プラスミ ド .軽鎖発現 プラスミ ド各 530 μ gとを添付プロトコールに従い混合した後に、 Hy b r i d o m a— S FM ( I n v i t r o g e n社) 1. 3 Lへ加えた。 F u GENE /DNA/生産培地混合液添加後、 37°Cの条件下で 3〜4日間培養行い、 上清 を回収した。 Hy b r i d oma— SFM培地 1. 3 1をセルスタック · 10チ ヤンバーに新たに加え、 さらに 3〜4日間培養行い、 再度上清を回収した。 これ らの上清中にマウス/ヒ トキメラ抗体が発現しており、 以下の精製に用いた。
16- 2 マウス/ヒ トキメラ抗体の精製
精製操作は、 記載が無い限り 4 °Cにて実施した。
16 _ 1で調製された c F 1 232— ·37— 2 COS培養液を、 プレフィル ターとして 1 μπιの孔径を有するカプセルカートリッジフィルター (東洋濾紙株 式会社) 、 本フィルタ一として 0. 22 mの孔径を有するフルォロダインフィ ルター (PALL) をそれぞれ用い、 室温にて清澄化し培養上清を得た。 この培 養上清を予め P B S— (S i gma) にて平衡化した r mp P r o t e i n A S e p h a r o s e a s t r l ow 、Am e r s h am B i o s c i e n c e s) に吸着させ、 非吸着蛋白質を P B S—にて洗浄後、 非特異的に吸着 している蛋白質を 1. 5 M Na C lを含む 100 mMリン酸バッファ一にて 溶出した。 その後、 特異的に結合している抗体を、 100 mM グリシン一塩 酸バッファー (PH 3. 0) にて溶出した。 溶出液はその容量を測定し、 直ぐ に lZl 0容量の 1 M T r i s— HC 1 (pH 7. 0) を添加し、 pHを中 性に戻した。 得られた標品を 0. 9% N a C 1水溶液に対して透析し、 精製標 品とした。 同様の操作で C F 1 2 3 2— 43— 3、 c F 1232— 1 0— 1ある いは c F 1232 - 18— 3を精製した。
なお、 実施例 13でクローン化したモノクローナル抗体の内、 F 1249— 1 8— 2、 F 1245— 7— 1、 F 1246— 1一 1、 F 1249— 24— 1、 F 1245— 4— 1、 F 1249— 22— 1及び F 1251— 1·— 1についても同 様の方法でキメラ抗体発現プラスミ ドの作製、 COS— 1細胞での発現及び精製 を行なった。 実施例 17
マウス/ヒ トキメラ抗体の抗原結合特性
17- 1 マウス/ヒ トキメラ抗体の抗原結合活性
16一 2で作製した各キメラ抗体の解離定数を、 蛋白相互作用解析装置 B I A CORE 3000 (B IACORE) を用いて実施例 5と同様の方法で測定した ( 作製したキメラ抗体は hGPV I -h F cに対して十分な親和性を有しているこ
とが示された。
17-2 マウス/ヒ トキメラ抗体と対応するマウスモノクローナル抗体との抗 原結合性比較 - マウス/ヒ トキメラ抗体と対応マウスモノクローナル抗体との抗原結合活性を 比較するために、 実施例 14に記載の方法と同様にペルォキシダーゼ標識 F1232- 37-2、 F1232- 18- 3、 F1232_43_3、 および F1232- 10- 1を作製し、 これらの標識抗体 と固相化 hGPV I-hFcとの結合反応系に対応する非標識マウス/ヒ トキメラ抗 体を添加する競合法 (実施例 14の 14一 1記載の方法) により、 マウスモノク ローナル抗体と対応するマウス/ヒ トキメラ抗体のヒ ト GPV Iに対する結合活 性を比較した。 その結果、 図 4に示すように両者には差がなかった。 また、 GP V Iとコラーゲンの結合に対する各抗体の阻害活性測定を実施例 2あるいは実施 例 14に記載の方法のより行った。 本実験の結果、' 図 5に示すように検討を行つ た各抗体による GPV Iとコラーゲンとの結合阻害活性が確認された。 キメラ化 した抗体とマウスハイプリ ドーマ抗体の GPV Iとコラーゲンとの結合阻害活性 は同等であった。
17— 3 抗ヒ ト GP V I抗体の GP V I変異体との結合特性
hGPV I- hFcを 4μ§/ηιΙで固相化したプレートに、 実施例 14に記載の方法で ペルォキシダーゼ標識した F1232- 37- 2または CF1232- 37-2と実施例 7にて作製し た hGPV I- hFc、 mGPV I- hFc、 hG P V I - mL3- hFc、 または、 実施例 1に記 載の方法と同様の方法で作製した hG P V I -K59E-hFc (ヒ ト G P V Iの 59番目の リジンをグルタミン酸に置換した 1ァミノ酸変異ヒ ト G P V I細胞外領域とヒ ト Fcからなる融合蛋白質) を 0.1%BSA/PBSで希釈し混合した後にプレートに添加し、 37°Cで一時間反応させた。 反応後、 TMB溶液を用いて発色させ吸光度を 450nmの波 長にて測定した。
本実験の結果、 ペルォキシダーゼ標識された F1232-37- 2あるいは c F1232-37-2 と hGP V I-hFcとの結合は hGPV I- hFc、 hG P V I - mL3- hFc、 および hGPV I-K59E-hFcによ'り阻害されたが、 mGPV I- hFcでは阻害されなかった。 この結
果は F1232- 37- 2あるいは cF1232- 37- 2で同等であった。 一方、 実施例 2に記載さ れた方法と同様の方法で作製されたマウスモノクローナル抗体 F1199-6ではこれ とは異なる現象が認められた。 すなわち、 ペルォキシダーゼ標識した F1199 - 6抗 体と hGPV I- hFcとの結合は、 hGP V I- hFcおよび hGP V I_mL3_hFcによ り阻害されたが、 hGP V I - raFc および GP V I - K59E - hFcには阻害されなかつ た。 結果を図 6に示す。
17-4 マウス/ヒ トキメラ F1232- 37 - 2抗体のェピトープ解析
CF1232- 37-2抗体の抗原認識部位を確認するために、 G P V I _HHH_hFc、 GP V I -薩- hFc、 hG P V I _mL2- hFc、 hG P V I - mL3_liFc、 hG P V I _mL4_hFc、 h G P V I - raL5- hFc、 hG P V I - raL6- hFc、 hG P V I _mL7- hFc、 hG P V I _raL8- hFc、 hG P V I _mL9_hFc、 hG P V I - mL10- hFc、 hG P V I - raLll_hFc、 hGPV I - mL13- hFc、 hGP V I -mL14-hFc (以上実施例 7で作製) と cF1232_37- 2抗体と の結合活性測定を行った。
即ち、 ヒ ト GPV Iのループ領域をマウスのループ領域に置換することにより、 抗体の結合活性が置換前のヒ ト GP V Iに対する結合活性と比較して低下した場 合、 置換したループ領域に抗体の認識領域が存在すると推測される。 またマウス GP V Iのループ領域をヒ トのループ領域に置換した置換体において、 '抗体の結 合活性が回復した場合、 置換したループ領域が抗体の認識領域であると推測する ことができ、 これら両実験より抗体の反応領域の絞込みが可能であると考えられ る。
測定方法は 17— 3の方法に準じ行った。
得られた結果を解析したところ、 図 7に示すように、 C.F1232 - 37-2は hGP V I _mL9-hFcにおいて顕著に活性が低下していた。 この結果より cF1232_37-2はル —プ 9領域を認識するものと考えられる。 実施例 18
マウス抗 GP V Iモノクローナル抗体およびマウス/ヒ トキメラ抗 GP V Iモ ノクローナル抗体の血小板に対する作用 '
18- 1 ヒ ト血小板およぴカニクイザル血小板活性化作用
正常人あるいは力二クイザルから採血したタエン酸加血を Sysmex F-820に供し、 血小板数等を求めた後、 ヒ トでは 170Xg、 25°C、 15分間、 サルでは 115Xg、 25°C、 20分間遠心分離することにより多血小板血漿 (Platelet Rich Plasma; PRP) を、 引き続き、 1300 Xg、 25°C、 15分間遠心分離することにより乏血小板血漿 (Platelet Poor Plasma; PPP) を得た。
次に得られた PRPを血小板の濃度が 3.33 X 108 cells/raLとなるように PRPを PPP で希釈した後、 終濃度 l〜10 ig/raLの抗体を添加し, 37°Cで 30分間インキュベー トした。 インキュベート後パラホルムアルデヒ ド (終濃度 1%) を加えて、 4°Cで 1 時間固定化を実施した。 0.5% 非働化 FBSを含む PBS (以下、 FBSバッファー) で洗 浄後、 抗ヒ ト CD62P-PE (BECKMA COULTER) を添加して室温、 遮光下で 30分静置 した。 30分後、 FBSバッファーで血小板を洗浄後、 フローサイ トメーター CYTOMICS FC500 (BECKMAN COULTER) で血小板の蛍光強度を測定することにより CD62Pの発現について解析した。
図 8に示すように、 F1199 - 6抗体は濃度依存的にヒ ト血小板あるいは力二クイ ザル血小板を活性化したが, F1232- 37- 2抗体に血小板活性化作用はほとんど認め られなかった。 また、 CF1232-37 - 2のヒ ト血小板あるいは力二クイザル血小板へ の作用も同様であった。 また、 実施例 1 6で作製したキメラ抗体、 c F 1 249 - 18-2, c F 1 245— 7_ 1、 c F 1 246— 1一 1、 c F 1249— 2 4— 1、 c F 1245— 4— 1、 c F 1 249_22— 1及び c F 1 251— 1 一 1について同様の方法でサル血小板活性化作用を検討したところ、 活性化作用 は認められなかった。 一部のクローンでは、 キメラ化していないマウス抗体でサ ル血小板活性化作用を示すものもあったが、 キメラ化することによりその作用は 消失した。 なお、 実施例 2で作製したマウスモノクローナル抗体についても同様 に検討したところ、 何れの抗体もヒ_ト血小板活性化作用は認められなかつた。
18-2 ヒ ト血小板凝集惹起作用
1 9 - 1に記載の方法で調製された PRPを血小板の濃度が 3.33 X 108 cells/mL となるように PPPで希釈した後、 終濃度 l lO ig/mLの抗体を添加し, 37°Cで 5分
間ィンキュベートした。 ここに終濃度 ImMの CaCl2溶液を添加し、 37°Cで 12分間ィ ンキュベートしながら PRPの光の透過率を MCMへマトレ_广サー 313M (ェム ·シー · メディカル) で測定することにより血小板凝集を求めた。
図 9に示すように、 F1199-6は濃度依存的にヒ ト血小板の凝集を惹起したが、 F1232 - 37 - 2および c F1232- 37-2の血小板凝集惹起作用はほとんど認められなかつ た。
1 8 - 3 コラーゲン惹起ヒ ト血小板凝集抑制作用
1 8 - 1に記載の方法により調製された PRPを血小板の濃度が 3. 33 X 108 cells/raLとなるように PPPで希釈した後、 終濃度 1〜10 μ g/mLの抗体を添加し, 37°Cで 5分間ィンキュベートした。 ここに終濃度 ImMの CaCl。溶液を添加し、 さら に 37°Cで 3分間ィンキュベートした後, 終濃度 l ^ g/mlのコラーゲン溶液を添加し、 37°Cで 12分間ィンキュベートしながら PRPの光の透過率を MCMへマトレーサー 313M (ェム ·シー ·メディカル') で測定することによりコラーゲン応答性の血小板凝 集を求めた。
図 1 0に示すように、 F1232-37-2および C F1232-37- 2は濃度依存的にコラーゲ ン惹起ヒ ト血小板の凝集を抑制した。
1 8 - 4 ADP惹起ヒ ト血小板凝集抑制作用
1 8— 1に記載の方法により調製された PRPを血小板の濃度が 3. 33 X 108 cells/mLとなるように PPPで希釈した後、 終濃度 1〜10 μ g/raLの抗体を添加し, 37°Cで 5分間ィンキュベートした。 ここに終濃度 ImMの CaCl,溶液を添加し、 さら に 37°Cで 3分間ィンキュベートした後, 終濃度 5 μ Μの ADP溶液を添カ卩し、 37°Cで 12 分間ィンキュベートしながら PRPの光の透過率を MCMへマトレーサー 313M (ェム · シー ·メディカル) で測定することにより ADP応答性の血小板凝集を求めた。 そ の結果を図 1 1に示す。
F1232- 37- 2および c F1232- 37- 2に ADP惹起ヒ ト血小板凝集の凝集抑制作用は認 められなかった。
実施例 19
抗 GPV I抗体の測定系 (E I A)
サンドイッチ E I A法により抗 GPV I抗体濃度を測定した。 すなわち、 固相 化蛋白質として実施例 1と同様の方法で調製したヒト GPV Iの配列を持つ hG P V I— h F c、 および、 標識抗体として An t i Huma n Ka p p a L i g h t Ch a i n s HRP (D AKO) を用いたサンドイッチ E I A 系を作製した。
標準品として実施例 16で調製した抗 GPV I抗体を用いた。 hGPV I— h F cを PBS (pH7. 4) で 4 g Zm Lに希釈し、 NUNC— I mmun o l a t e Ma x i s o r p (NUNC) の各ゥエルに 50 μ L添加した。 4 °Cでー晚反応後、 氷冷水で 5回洗浄し、 2%S t a b i l Gu a r d (S u r Mo d i c s , I n c. ) を含む PBS (p H 7. 4) を各ゥエルに 100 L 添加し、 ブロッキングした。 次に 0. 1%B SAを含む PBS (p H 7. 4) を 希釈液として測定試料および標準品の希釈検体を調製した。 プレートのブロッキ ング剤を廃棄し、 各ゥエルに希釈検体 50 μ Lを添加し、 37°Cで 1時間反応さ せた。 反応終了後、 0. 05%Twe e n 20Z0. 9 %塩化ナトリゥム溶液で 3回洗浄した。 次に 10%ゥサギ血清を含む PB S (p H 7. 4) で希釈した標 識抗体を調製し、 各ゥエルに 50 μ L添加し、 37 °Cで 1時間反応させた。 反応 終了後、 0. 05%Twe e n 20 0. 9 %塩化ナトリウム溶液で 3回洗浄し、 テトラメチルベンジジン溶液 (B i o FX) を各ゥヱルに 50 μ Lずつ添加した。 室温で約 10分反応後、 1 m ο 1 /L塩酸溶液 50 Lで反応停止し、 プレート 分光光度計で 450 nmの吸光度を測定した。
また、 サル血漿中の GPV I抗体濃度を測定する際には、 標識抗体希釈液とし て 10%サル血漿および 10%ゥサギ血漿を含む PB S (pH 7. 4) を用い、 同様に測定した。 実施例 20
力二クイザル ex vivo実験による抗 GPV Iモノクローナル抗体の評価 (2) 試験開始にあたり、 まず被験力-クイザルの体重測定および薬物投与前採血を
行った。 抗 G P V I抗体投与後 0. 5時間〜 2週間後に採血し、 1 ) 血小板数、 2 ) 血小板膜蛋白質 (GPIIb/GPIIIa (CD41a) 、 GPIX (CD42a) ) の発現、 3 ) 血小板 G P V Iの発現、 4 ) 血小板凝集 (コラーゲンおよび ADPに対する反応性) を測 定し、 各抗体の評価を行った。 '
すなわち、 力二クイザル (雄、 約 5kg) の脚静脈から採血しだクェン酸加血を Sysraex F- 820に供し、 血小板数等を求めた後'、 115 X g、 25°C、 15分間遠心分離す ることにより多血小板血漿 (Platelet Rich Plasma ; PRP) を、 引き続き、 830 X g、 25°C、 20分間遠心分離することにより乏血小板血漿 (Platelet Poor Plasma ; ' PPP) を得た。 次に得られた PRPを 0. 5%非働化 FBSと 2. 5 raM EDTAを含む PBS (以下 FACSバッファー) で希釈し、 CD41aの発現については抗ヒ ト CD41a_FITC (BD Biosciences Pharmingen) を、 CD42aの発現については抗ヒ ト CD42a_FITC (BD Biosciences Pharmingen) を、 G P V Iの発現については蛍光色素 Af488で標識 したゥサギ抗 G P V I - raFcポリクローナル抗体およびマウス抗 G P V I - mFcモノ クローナル抗体を添加して室温、 遮光下で 30分静置した。 30分後、 FACSバッファ 一で血小板を洗浄後、 フローサイ トメーター CYT0MICS FC500 ( BECKMAN COULTER) で血小板の蛍光強度を測定することにより各膜蛋白質の発現について 解析した。 また得られた PRPを使用し Western Blotting により各膜タンパク質の 発現について解析も行った。 方法は以下の通りである。 サル ex vivo試験にお いて得られた各種 PRPを 2. 5 mM EDTA/PBSにより 2回洗浄し、 0. 5 X 106血小板/ μ Lになるよ つに 1 X Sample Buffer ( + β - mercaptoethanol , Protease inhibitor cocktail (Roche) , Phosphatase inhibitor cocktail (PIERCE) ) を 添加し、 99°Cで 5分間熱処理を行った。 処理したサンプルは液体窒素により凍結 し、 使用直前まで- 30°Cで保存した。
Western Blottingによりサル PRP中の各タンパク質を解析するために、 まず SDS- PAGEによりタンパク質の分離を行った。 5- 20%の濃度勾配ポリアタリルァミ ドゲル (ATT0) を使用し、 1レーンあたり 2. 5 X 10°血小板になるようにサンプル をチャージし、 ゲル一枚につき 30 raAで泳動を行った。 ブロッテイングは常法に 従い、 セ ミ ドライ 法に よ り 低蛍光のメ ンブ レ ン ( Iraraobilon-FL PVDF, MILLIP0RE ) に転写した。 プロッティング後、 0. 1' % Tween 20 /PBS
(TPBS) で軽くすすぎ、 BlockAce (大日本製薬株式会社) により 4°Cで一晚ブロ ッキングを行った。 ブロッキング反応後、 10 % BlockAce/TPBSで希釈した一次 抗体を添加、 室温で一時間、 回転混合しながら反応させた。 使用した一次抗体は 抗 GPIIIa抗体 (Anti - Integrin /3 3 , Santa Cruz) 、 抗 G P V I抗体 (ヒ ト G P V I合成べプチドを抗原と したポリクローナル抗体) 、 抗 GPIX抗体 (Anti- CD42a , Santa Cruz) である。 次抗体反応後、 TPBSによりよくすすいだ後に、 TPBSで洗浄した。 洗浄後、 10 % BlockAce/TPBSにより希釈した二次抗体を添加し 室温で 30分間回転混合しながら反応させた。 二次抗体は GPIIIa及び G P V Iは Anti-Rabbit Igs HRP, GPKは Anti- Goat Igs HRP (共に DakoCytoraation) を使用 した。 二次抗体反応後、 TPBSによ り よ く 洗浄し、 ECL Plus (Amersham Biosciences) によ り 検出を行なった。 反応後、 Typhoon9410 ( Amersham Biosciences) により発光検出を行った。 検出条件は Fluorescenceモードを使用 した。 このモードにより ECL Plus発光中間体を検出した。 検出されたバンドを解 析ソフト IraageQuant5. 2を使用し、 発現タンパク質の定量を行った。
一方、 コラーゲンおよび ADPに対する反応性については以下のように行った。 先ず、 血小板の濃度が 3 X 108 cells/mLとなるように PRPを PPPで希釈した後、 終 濃度 ImMの CaCl2溶液を添加し、 37°Cで 3分間ィンキュベートした。 さらに終濃度 2 μ g/mlのコラーゲン溶液あるいは終濃度で 20 μ Μの ADP溶液を添加し、 37°Cで 12分 間ィンキュベートしながら PRPの光の透過率を MCMへマトレーサー 313M (ェム .シ 一 ·メディカル) で測定することによりコラーゲンあるいは ADP応答性の血小板 凝集を求めた。
2 0 - 1 マウス抗ヒ ト G P V Iモノクローナル抗体の力二クイザル ex vivo試 マウスモノクローナル抗体 F1232- 37 - 2およびマウスモノクロ ナル抗体 F1199- 6の 0. 3mg/ k gで静脈内投与した場合、 投与 1日後には血小板 G P V I量の低下 が認められとともに血小板のコラーゲンに対する応答性の低下が認められ、 その 作用はマウスモノクローナル抗体 F1232-37- 2では 2日以上持続した。
また、 F1199- 6投与力二クイザルにおいては、 投与後に血小板数減少が見られ
たが、 F1237 - 2投与力二クイザルでは血小板数に大きな変動は見られなかった。 結果を図 1 2に示す。
20 - 2 マウス/ヒ トキメラ抗ヒ ト G P V I抗体の力二クイザル ex vivo試験 ( 1 ) 単回静脈内試験
力二クイザル (雄) に CF1232- 37- 2を 0.1, 0.3, lrag/kgにて静脈内投与した。 図 1 3に示すように、 0.1, 0.3, lmg/kg CF1232- 37-2投与動物では投与後速や かに血小板のコラーゲンに対する応答性が低下し、 その作用は 0.3および lmg/kg 投与動物では 2日間以上持続した. また、 0. lrag/kg CF1232-37-2投与動物は投与 後 2時間ほどかけてコラーゲンに対する応答 Ϊ生が低下し、 その作用は 1日間持続し た。
20 - 3 マウス/ヒ トキメラ抗ヒ ト GPV I抗体の力二クイザル ex vivo試験 (2) 反復静脈内投与試験
力二クイザル (雄) に CF1232- 37-2を 1日おきに 4回投与し, 各投与前、 各投与 翌日, 最終投与翌日〜 17日後の採血というスケジュールにて行った。 また、 採血 によ り得られた血液については、 1 ) 血小板数、 2 ) 血小板膜蛋白質 GPIIb/GPIIIa (CD41a) 、 GPIX (CD42a) 、 GPIIIa (CD61)の発現、 3) 血小板 GP V Iの発現、 4) コラーゲン惹起血小板凝集および ADP惹起血小板惹起に対する 反応性を測定した。
初回投与の翌日から血小板 GPV I量の低下および血小板のコラーゲンに対す る応答性の低下が認められ, コラーゲンに対する応答性の低下は 0. lmg/kg投与動 物は最終投与後 2日間, 0.3rag/kg投与動物は最終投与後 10日間以上持続した。 図 14に 0.3rag/kg反復投与試験における力二クイザル血小板のコラーゲン惹起凝集 能および血小板 GPV I、 GPIIIaおよび GPIXの推移を示した。 なお、 この試験に おいて、 血小板膜蛋白質 GPK (CD42a) 、 GPIIIa (CD61)の発現量は大きく変化し なかった。
20-4 —マウス/ヒ トキメラ抗ヒ ト G P V I抗体の力二クイザル ex vivo試験
(3) 単回皮下投与試験
力二クイザル (雄) に CF1232- 37-2を 0.1, 0.3, lrag/kgにて皮下投与し、 投与 前および投与後継時的な採血により得られた血液を試料として、 1) 血小板数、 2) 血小板膜蛋白質 (GPIIb/GPIIIa (CD41a) 、 GPIX (CD42a) 、 GPIIIa (CD61) ) の発現、 3) 血小板 GP V Iの発現、 4) 血小板凝集 (コラーゲンおよび ADPに 対する反応性) を測定した。 結果を図 15に示す。
lrag/kgおよび 0.3rag/kg皮下投与動物においては投与 3時間後から血小板のコラ 一ゲンに対する応答性の低下がみられ、 投与翌日には血小板 GPVI量の低下が認め られた。 コラーゲンに対する応答性の低下は 0.3mg/kg投与動物は投与後 1週間以 上、 lmg/kg投与動物は 2週間以上持続した。 また、 0. lmg/kg投与動物においても 投与当日にコラーゲンに対する応答性の低下が認められた。 また、 血小板膜蛋白 質 (GPIIb/GPIIIa (CD41a) 、 GPIX (CD42a) 、 GPIIIa (CD61)) の発現量は大きく 変化しなかった。 実施例 21
抗 GPV Iモノクローナル抗体の Fabおよび F(ab')2の調製
21 - 1 マウスモノクローナル抗体 F 1232— 37— 2の F ( a b ' ) 0作製 マウスモノクローナル抗体 F 1232— 3 7— 2の F (a b,) 2を作製するた めに、 実施例 2で得られたマウスモノクローナル抗体 F 1 232— 37— 2を L y s y l En d o p e p t i d a s eを用いて処理した。 すなわち、 精製マウス モノクローナル抗体 F 1 232— 37— 2に 1/10量の 1 Mトリス緩衝液 (p
H 8. 5) を添加し、 Ly s y l En d o p e p t i d a s e (W a k o ) を抗 体:酵素 = 30 : 1 (モル比) になるように添加し、 37 °C 3時間反応した。 反 応終了時には終濃度 3 OmMとなるように TLCK (S I GMA) を添加した。 次に F (a b') 2の精製を行った。 まず未切断の抗体と F c部位を取り除く目 白 3で、 Ly s y l En d o p e p t i d a s e処¾した f几体"^ P r o s e p r
A (M i 1 1 i p o r e ) に供した。 さらにこの非吸着画分を S u p e r d e x
75 (Am e r s h am) に力ける事で L y s y l En d o p e p t i d a s e を取り除き F 1 232— 37— 2の F (a b') 2を得た。 続いて得られた F (a
b') 2を生理食塩水 (大塚) で透析し、 抗体の純度をアクリルアミ ドゲル上で分 析することにより評価し、 抗体濃度を B o v i n e I g Gスタンダードによる B r a d f o r d法にて定量した。 21— 2 F 1232— 37— 2の F a b作製
F 1232— 37— 2の F a bを作製するために、 実施例 2で得られた精製マ ウスモノクローナル抗体 F 1232— 37— 2を P a p a i n (W a k o ) を用 いて処理した。 すなわち、 精製マウスモノクローナル抗体 F 1232— 37— 2 を 1 mMC y s t e i n e , 20 mMEDT A/D- P BS— (p H 7. 4) バ ッファー中に置換し、 P a p a i n (W a k o ) を抗体:酵素 = 30 : 1 (重量 比) になるように添加し、 25 °C 16時間反応した。 反応終了時には終濃度 30 mMとなるように I o d o a c e t am i d e (W a k o ) を添カ卩した。
次に F a bの精製を行った。 まず未切断の抗体と F c部位を取り除く目的で、 P a p a i n処理した抗体を P r o s e p rA (Mi 1 1 i p o r e) に供し た。 さらにこの非吸着画分を S u p e r d e X 75 (A n e r s h a m) にかけ る事で P a p a i nを取り除き F l 232— 37— 2の F a bを得た。 続いて得 られた F a bを生理食塩水 (大塚) で透析し、 抗体の純度をアクリルアミ ドゲル 上で分析することにより評価し、 抗体濃度を B o v i n e I g Gスタンダード による B r a d f o r d法にて定量した。
21-3 F1232-37- 2抗体の F (ab' ) 2および Fabの抗原結合反応性
実施例 2において作製した F 1232-37-2 (Wh o 1 e抗体) 、 および 22— 1および 21— 2で作製した F (a b') 2および F a bそれぞれの解離定 数を蛋白相互作用解析装置 B I ACORE 3000 (B I ACORE) を用いて 測定した。 すなわち、センサーチップに実施例 1で作製した hGP.V.I- hFcを マニュアルに従って CM5チップ (B I ACORE) に結合した。 つぎに、 各抗 体を HBS- EP緩衝液 (B I ACORE) で 0から 800 n Mまでの希釈系列 を調製し、 B I ACORE 3000にて解析した。 各抗体の結合ごとに p H 1. 5のグリシン緩衝液 (B IACORE) でチップを再生した。 得られた結果を W
h o 1 e抗体及び F (a b') 2に関しては e v a l u a t i o nソフト (B I A CORE) の B i v a l e n t a n a 1 y t eを用いて解析し、 F a bに関し ては 1 : 1 B i n d i n gを用いて解析し、 解離定数を算出した。 その結果、 F 1 232-3 7 - 2抗体の F (a b' ) 2及び F a bの解離定数は、 Wh o 1 e 抗体のそれを 1として約 0. 7及び 0. 6であり、 Wh o 1 e抗体と比較して同 等な親和性を有している事が示された。 実施例 22
抗 GPV I抗体 Fabの力二クイザル in vitro試験
力二クイザルから実施例 20に記載の方法で力二クイザルより採血し、 調製し た PRPを血小板の濃度が 3.33X 108 cells/raLとなるように PPPで希釈した後、 終濃 度 l〜100;U g/mLの F1232- 37- 2Fabを添加し, 37°Cで 5分間インキュベートした。 こ こに終濃度 ImMの CaCl2溶液を添加し、 さらに 37°Cで 3分間インキュベートした後 終濃度 2 g/ralのコラーゲン溶液を添加し、 37°Cで 12分間ィンキュベートしなが ら PRPの光の透過率を MCMへマトレーサー 313M (ェム ·シー ·メディカル) で測定 することによりコラーゲン応答性の血小板凝集を求めた。 結果を図 1 6に示す。
F1232-37-2 Fabのコラーゲン惹起血小板凝集抑制作用は cF1232- 37- 2より弱か つに。 実施例 23
抗 GPV I抗体 F(ab' )2の力二クイザル ex vivo試験
実施例 2 1にて調製した F1232- 37- 2の F(a )2を lrag/kgの投与量で力二クイザ ルに皮下投与し、 投与前および投与後継時的な採血により得られた血液を試料と して、 血小板 GPV Iの発現おょぴ血小板凝集能 (コラーゲンおよび ADPに対す る反応性) を測定した。
図 1 7に示すように、 F1232- 37- 2F(ab')2投与動物では投与 12時間後からコラ 一ゲンに対する応答性の低下がみられ、 投与翌日には GPV Iの発現低下が認め られた。 コラーゲンに対する応答性の低下は 2日間以上持続した。 また、 血小板 膜蛋白質 (FcyRII (CD32) 、 GPIX (CD42a) 、 GPIIIa(CD61)) の発現量は大きく
変化しなかった。 実施例 24
サル出血時間測定
出血時間の測定にあたっては先ず力二クイザルの体重を測定した後、 血液学的 パラメータ、 凝固系パラメータ, 血小板機能に異常がないことを確認し、 lrag/kg の CF1232- 37- 2を皮下に投与してその 3時間および 48時間後に測定というスケジュ ールにて行う。
力二クイザル (雄、 2.5〜5kg) の両側尾静脈に注射針を刺入した後、 出血時間 を測定する。
CF1232- 37- 2投与動物において投与前と比較して著明な出血時間の延長は認め られない。 実施例 25
マウス/ヒ トキメラ抗 GP V I抗体発現 CH0細胞の作製
25-1 マウス/ヒ トキメラ F 1232— 37— 2発現プラスミ ドの作製
まず、 発現効率を高める目的で、 cFl 232— 37— 2重鎖発現プラスミ ド (pTK- 25 1 0) を Eco RIと Nco Iで切断し、 プロモーターと開始コドンの間 に、 Kozak配列 (Kozak, M. et al. , J. Mol.Biol. , 196, 947-950, 1987) を有す る断片 (センス鎖 5 ' AATTCGCCGCCACC 3 ' (配列番号 291) 、 アンチセンス鎖 5, CATGGTGGCGGCG 3 ' (配列番号 292) ) を揷入し、 ρ ΤΚ— 2571を構築した。 同様に cFl 232-37-2軽鎖発現プラスミ ド ( p TK— 251 1) にも Kozak 配列を挿入し、 pTK— 2572を構築した。
次に、 pTK— 2572を制限酵素 Ssp Iおよび Sse 83871で切断し、 得られた断 片の末端を平滑化するこ.とで、 軽鎖発現ユニット (EFプロモーター、 抗体軽鎖遣 伝子およびポリ Aシグナル配列) を調製した。 一方、 1 —2571は、 重鎖発現 ユニットを切断しない制限酵素 Sse 83871で切断後、 平滑化処理を行い、 この部 位に軽鎖発現ュニットおよびマーカーュニットを一緒に挿入することで、 3ュニ 'ットを 1つのベクター上にもつ両鎖安定共発現プラスミ ドを構築した。 なお、 マ
一力一ュニットは遺伝子増幅の為のマウスジヒ ドロ葉酸レダクターゼ (raDHFR) 遺伝子に、 適当なプロモータ一/ェンハンサ一およびポリ Aシグナル配列を付した 遺伝子断片であり、 4種類 (アデノウイルスプロモータ、 チミジンキナーゼプロ モーター、 SV40プロモーター/ェンハンサーおよび SV40プロモーター) のプロモ 一ター/ェンハンサーを合成して用意した結果、 4種類の両鎖安定共発現プラス ミド (それぞれ、 ρΤΚ_ 2550、 ρ ΤΚ- 2575, ρΤΚ— 2576ぉょぴ ΤΚ— 2577 ) を構築した (図 18参照) 。
25-2 マウス/ヒトキメラ F'l 232— 37— 2を発現する C H O細胞形質 転換株の作製
DHFR遺伝子欠損 CHO細胞に実施例 25— 1で構築した発現プラスミド p TK- 2577を t r a n s f e c t i o nし、 キメラ抗体産生形質転換 C HO を樹立した。 即ち、 HT me d i a Su p p l eme n t (50 X) H y b r i -M a x (S i gma ;終濃度 1 Xで使用) 及び 200 mM L一 G 1 u t am i n e ( S i g m a ;終濃度 4 mMで使用) を含む E X— C E L L 3 25 P F CHO ( J RH B i o s c i e n c e ) にて馴化培養した C HO DXB 11を t r a n s f e c t i o n当日に遠心後、 8 X 106c e 1 1 s / 1 50 c m2 Ro u xの濃度でフラスコに植え込んだ。 FuGENE 6 (ロッ シュダイァグノテイクス) 125 μ 1を用いて、 発現プラスミド ρΤΚ— 257 7 12. 5 μ gを F u GENE 6添付プロトコールに準じ調製し、 先の CHO DXB 1 1へ導入した。 5%。02で37で、 2日間培養した後に、 細胞を回収 し、 HT不含 4mM L— G 1 u t am i n e含有 EX— CELL 325 P F CHO培地 (以下 EX— CELL (HT—) と記載) で二度洗浄し、 EX— CELL (HT— ) に再度懸濁した。 次に 12, 500〜 50, 000 c e 1 1 s /w e l lで 96we l l _p l a t eに細胞を蒔き直し、 5%C02、 3 7 °Cで培養を続け、 3日あるいは 4日毎に培地の半量を新しい EX— CE L L (HT—) に交換した。 約 1ヶ月間培養を続けた後、 コロニーが発生したゥエル 内の細胞を新しいプレートに移し、 培養上清中の CH0細胞を宿主として発現する CF1232- 37-2を実施例 19に記載の E I A法で測定した。 上清中に c F 1232
-37— 2ZCHOの発現が確認された細胞を c F 1232— 37 - 2/CHO 産生形質転換株として得た。
同様にして、 CF1232- 37- 2発現プラスミ ドの p TK— 2550、 pTK— 257 5、 および pTK— 2576で CHO DXB11株を形質転換し、 得られる組換え細胞が 産生する c F1232 - 37 - 2/CH0を実施例 19に記載の E I Α法で測定した。 その結果、 表 15に示すように、 選択マーカーとして利用している mDHFRのプロモーターの 種類によって CF1232- 37- 2/CH0の生産性が異なっていおり、 相対的に活性の弱い プロモーターを選択マーカーの発現プロモータ—として利用することで高発現ク ローンが得られることを確認した。 表 15
各種 CF1232- 37- 2/CH0発現プラスミ ドの トランスフエクショ ン成績
25-3 Me t h o t r e X a t eを用いた遺伝子増幅
26一 2で得られたキメラ抗体発現形質転換 CHO株を、 Me t h o t r e X a t e (以下 MTXと表記) を含む EX— CELL (HT_) 培地で選択培養す ることにより、 遺伝子増幅作業を行い目的のキメラ抗体の生産量が上昇している クローンの選択を行つた。
即ち、 実施例 25 _ 2で得られた形質転換株を 30あるいは 100 nM MT
X含有 EX— CE L L (HT—) 培地に懸濁し、 96we l l— p l a t eに卷 き込んだ。 3日あるいは 4日毎に培地の半量を新しい 30あるいは 100 nM
MTX含有 EX— CELL (HT—) に交換し、 コロニーが生じるまで 5 %CO
2、 37 °Cで培養を続けた。 得られたコロニーの培養上清中への発現量を E I A 法で確認し、 生産量の増加しているクローンを選択した。 その結果、 生産量が約
2ないし 1 0倍上昇した形質転換株を得ることができた。 尚、 この遺伝子増幅し た形質転換株を、 MTX濃度を 3ないし 10倍上げた培地で選択培養を繰り返す ことにより、 さらに生産量が増加するクローンを得ることができる。 2 5 -4 CF1232- 37- 2発現 CHO細胞による cF1232 - 37- 2の生産
25- 3で得られた CHO— G 32 D S 25 H 8細胞クローンを 100 nM
MTX含有 EX— CE L L (HT— ) 培地に 1. 5 X 105c e l l s m 1で 植え込み、 37°Cで 7日間培養した。 得られた培養上清を以下の精製に用いた。 25- 5 c F 1232— 37— 2/CHOの精製
以後の操作は特に記載が無い限り 4 °Cにて実施した。
25-4で調製された CH0細胞株培養上清を、 プレフィルタ一として 1 μ mの 孔径を有するカプセルカートリッジフィルター (東洋濾紙株式会社) 、 本フィル ターとして 0. 2 2 μ mの孔径を有するフルォロダインフィルター (PALL) をそれぞれ用い、 室温にて清澄化した。 清澄化後の培養上清を予め PB S- (S
1 gma) にて平衡化したプロテイン A (r mp P r o t e i n A S e p h a r o s e F a s t F l ow、 GE He a l t h c a r e,アマシャム バイオサイエンス) に吸着させ、 非吸着蛋白質を PB S-にて洗浄後、 非特異的 に吸着している蛋白質を 10 X PB S_ (S i gma) にて溶出した。 その後、 プロテイン Aに結合している抗体を、 100 mM グリシン一塩酸バッファー ( H 3. 0) にて溶出した。 溶出液はその容量を測定し、 直ぐに 1/10容 量の 2 M T r i s— HC 1 (pH 8. 5) を添カ卩し、 pHを中性に戻し精製 抗体溶出液とした。 この精製抗体溶出液を、 アミコン PM10限外ろ過ディスク (M I L L I PORE) を用いた限外濾過により濃縮したのち、 生理食塩液 (大 塚生食注、 大塚製薬工場) に対して透析し、 最終的な精製抗体溶液とした。
25— 6 c F 1232— 37— 2ZCHOの抗原結合反応性
実施例 5と同様の方法にて、 C F 1 2 3 2— 3 7— 2/CHOの hGPV I一 h F cに対する解離定数を測定した。 その結果、 c F 1232— 37— 2ZCH
Oは h G P V I— h F cに対して十分な親和性を有し、 COS細胞で一過性に発現 調製した c F 1 232— 37— 2 ( c F1232 - 37-2/C0Sと略記する場合がある。 ) と同程度であることが示された。 25- 7 c F 1 232— 37— 2ZCHOの反応性確認
c F 1 232— 37— 2/CHOの反応性を確認するため、 hGPV I _h F cに対する結合能を指標に細胞による一過的遺伝子発現系で調製した c F 1 23 2— 37— 2との競合実験を行った。 測定方法は実施例 1 7の 1 7— 3記載の方 法に従った。 固相化タンパク質として hGPV I _h F cを用い、 標識した c F 1232- 37— 2 ZC OSの結合に対して、 未標識の c F 1232— 37— 2 /CHOあるいは c F 1 232 - 37— 2 /C O Sの濃度を変えて添カ卩し、 その 競合活性を確認した。 その結果を図 1 9に示す。 c F 1 232— 37— 2ZCH Oは C F 1 2 3 2— 3 7— 2./COSと同様の反応性 示すことが確認された。 実施例 26
ヒト化抗ヒト GPV Iモノクローナル抗体の作製
4種類のマウス抗 GPV I抗体の中から、 再構成ヒト抗体の設計および作製の 為の第一候補として、 F1 232— 37 _ 2を選択した。 この抗体の各可変領域 の 3つの CDRを、 ヒトミエローマ由来の既知抗体の CDRと置換することで、 ヒト化 抗体の設計を行った。 重鎖として選択したのは、 NEW (Saul, F.ら、 J. Biol. Chem. 253, 585—597) および Eu (Cunningham B. ら、 Biochemistry 9, 3161) で. 軽鎖 (κ鎖) としては REI (Epp, 0.ら、 Eur. J. Bi'ochem. 45, 513-524) および Euのフレームワーク (以下 FR) を受容体とした。 それぞれ、 NEW-HA、 Eu - HA、 REI - KAおよび Eu_KAとして、 最初の各ァミノ酸配列 (パージヨン A;図 20および 21) を設計した。 但し Eu- HAは、 その FR 3および FR4において極めて希な配列が 存在することから、 より一般的な配列に変更して、 バージョン C (Eu-HC) を再設 計した。 次に、 これらのアミノ酸配列から、 それらを発現可能な遺伝子配列を考 案し、 全長配列を数個に分割して DNA断片を合成し、 リガーゼによって各断片を つなぎあわせることで、 可変領域をコードする遺伝子断片を得た。 'これを、 適当
な制限酵素切断部位を有するプライマー (実施例 10参照) で増幅することで、 ヒ ト抗体定常領域 (重鎖は IgG4、 軽鎖は K鎖) との結合が可能となり、 ヒ ト化抗 体全長遺伝子を得た。 さらに、 この遺伝子を発現ベクター pEF2cewの EFプロモー ター下流に組み込むことで、 各ヒ ト化抗体を発現可能なプラスミ ドが構築され、 それぞれ、 ρΤΚ— 2560 (NEW- HA) pTK- 2632 (Eu-HC) 、 pTK- 256 1 (REI-KA) および pTK_2631 (Eu-KA) とした。
これら各ヒ ト化抗体発現プラスミ ドをキメラ抗体発現プラスミ ド (重鎖: pTK — 2571、 軽鎖: pTK— 2572) と組み合わせて発現させ、 産生された抗体 力 抗原に対する結合活性が保持されているかの検討を行った。 その結果、 Eu- HC、 REI - KAおよび Eu- KAにおいては、 キメラ抗体あるいはヒ ト化抗体のどの組み 合わせにおいても、 発現および結合活性が認められた。 一方、 NEW-HAは、 どの組 み合わせにおいても、 発現および結合活性が認められなかった。 そこで、 NEW - HA の各 FRのアミノ酸配列中に変異 (ヒ ト配列からマウス配列への置換) を導入して 様々な変異体を作製および抗原結合活性を比較検討した結果、 最終的に FR1に 4 箇所の変異を導入したバージョンである NEW-HANにおいて、 ヒ ト化抗体分子の発 現と、 抗原への結合活性が回復することが確認された。
さらに、 ループ置換 GPV I -Fcを用いた競合アツセィによっても、 各ヒ ト化 抗体は、 もとのキメラ抗体と同じ結合特異性を示すことが認められた (図 22) 。 実施例 27
力二クイザル ex viV0実験による抗 GPVIモノク口ーナル抗体の評価 ( 2 ) 27- 1 マウス/ヒ トキメラ抗 GPVI抗体の力二クイザル ex vivo試験 (2) (単回静脈内投与試験その 2)
力二クイザル (雄) に実施例 16で作製したキメラ抗体 c F 1 249— 24— 1又は c F 1 249"^22_ lを lrag/kgにて静脈内投与した。 実施例 20に示した 方法にて各種解析を実施した。 その結果、 両抗体とも投与後血小板 GPVI量の低下 を引き起こすとともに血小板のコラーゲンに対する応答性を低下させ、 その効果 は図 23に示すように c F l 249— 24— 1で 2日間以上、 c F 1249— 2 2— 1で 6時間持続した。 また、 両抗体ともに血小板膜蛋白質 (GPIIIa(CD61))
の発現量には大きく影響しなかった。 実施例 28
力二クイザル出血時間測定 (2)
先ず力二クイザル (雄、 2.5〜5kg) の体重を測定した後、 血液学的パラメータ 凝固系パラメータ, 血小板機能に異常がないことを確認し、 lmg/kgの c F 1 23 2-37— 2を皮下に投与した。 投与前ならびに投与 3時間および 48時間後に下 記の方法により出血時間を測定した。 また、 比較のために ept ibatideを 0. 0 3、 0.. 1、 および 0. 3mg/k gにて静脈内投与し、 投与 5分後に同様の方 法で出血時間を測定した。 なお、 出血時間測定時における血小板のコラーゲン惹 起凝集能を実施例 20に記載の方法により測定した。
力二クイザルの両側尾静脈に注射針を刺入した後、 ストップウォッチを作動し 直ちに針を抜き取った。 血管から湧出してくる血液を 5秒間隔で濾紙 (Advantec. 定性濾紙 Νο·2、 150mm) に吸い取らせ、 濾紙に血液が付着しなくなるまでこの操 作を繰り返し、 血痕のついた濾紙の数を 5倍して出血時間 (秒) とした。
その結果、 eptifibatide投与群では血小板のコラーゲン惹起凝集能が抑制され ている状況下に出血時間の有意な延長が認められたが、 C F 1 232— 3 7_ 2 lmg/kg皮下投与群では、 血小板のコラーゲン惹起凝集能が抑制されている状況下 においても投与前と比較して有意な出血時間の延長は認められなかった (図 2 4) 。 実施例 29
多価抗 GPVI抗体の調製と抗原結合活性
29- 1 IgM型抗 GPVI抗体発現ブラスミ ドの作製
1 ) ヒ ト 鎖定常領域遺伝子のクローニング
HeLaゲノム DNAを錄型とし、 プライマー対 (IgM-bおよび IgM-c) で〇μ1領域を. プライマー対 (IgM- dおよび IgM- e) で C;u2領域を、 プライマー対 (IgM- fおよび IgM-g) で ( μ3領域を、 プライマー対 (IgM- hおよび IgM-j) で ( μ4領域をそれぞ れ増幅した。 各増幅産物を混合して錶型とし、 プライマー対 (Nae - IgMおよび
(1—
IgM-j) で再度 PCRを行うことで、 各領域が連結された遺伝子断片を増幅し、 pT7- ϋ
Blue (T)ベクターへ ΤΑクローニングを行った。 配列を解析し、 ヒ ト μ鎖定常領域 をコードする遺伝子配列であることを確認し、 pT7-IgM (y\¾e I)とした。
IgM-b GGAGTGCATCCGCCCCAACCCTT (配列番号 293)
GCAGCTCGGCAATCACTGGAAGAGGCACGT (配列番号 294)
Ig -d ACGTGCCTCTTCCAGTGATTGCCGAGCTGC (配列番号 295)
TGGCTGTGTCTTGATCGGGGCCACACATGG (配列番号 296)
IgM-f CCATGTGTGGCCCCGATCAAGACACAGCCA (配列番号 297)
IgM-g TGTGCAGGGCCACCCCCTTGGGCCGGGAGA (配列番号 298)
IgM-h TCTCCCGGCCCAAGGGGGTGGCCCTGCACA (配列番号 299)
IgM-j GTTGACACGGTTAGTTTGCATGCA (配列番号 300)
Nae-Ig GCCGGCAGTGCATCCGCCCCAACC (配列番号 301) 2 ) キメラ IgM型 F1232- 37-2発現プラスミ ドの構築
先ず、 pTK_2510 (実施例 1 6に記載の CF1232-37- 2の IgG 4型重鎖発現プラスミ ド) を および 51HIで切断することで、 γ 4鎖の定常領域をコードする 遺伝子断片を除去し、 残りのベクター断片 (発現用の EF - 1ひプロモーターおよび CF1232-37- 2の可変領域を含む) を得た。 このベクター断片に、 ρΤ7 - IgM (A¾e I) Bam HIおよび Tfee Iで切断することで得られた μ鎖定常領域をコードする遺伝 子断片を挿入し、 CF1232- 37-2の定常領域を γ 4鎖から μ鎖に置換したキメラ IgM 型 F1232-37- 2発現プラスミ ド (pTK- 2820) を構築した。 また、 同様の方法にて、 C F1232- 43- 3の IgG4型重鎖発現プラスミ ド ( p TK- 2504) より、 キメラ IgM型 F1232- 4;3- 3発現プラスミ ド (pTK-2822) を構築した。
3 ) ヒ ト. Τ鎖のクローユングと発現プラスミ ドの構築
HeLaゲノム DNAを铸型とし、 プライマー対 (IgJ - aおよび IgJ-d) で第 1ェクソ ン断片を、 プライマー対 (IgJ- cおよび IgJ-f) で第 2ェクソン断片を、 プライマ 一対 (IgJ- eおよび IgJ- h) で第 3ェクソン断片を、 プライマー対 ·(IgJ- gおよび
IgJ-j) で第 4ェクソンをそれぞれ増幅した。 各遺伝子断片を混合して铸型とし、 プライマ一対 (IgJ - bおよび IgJ - i) で再度 PCRを行うことで、 各領域が連結され た遺伝子断片を得て、 pT7- Blue (T)ベクターへ TAクローニングを行った。 配列を 解析し、 ヒ ト J鎖をコードする遺伝子配列であることを確認し、 pT7 - IgJとした。 pT7-IgJを J¾s Ϊと Bam HIで切断して J鎖をコードする遺伝子断片を得た後、 発現 ベクター (pEF2cew) の EF - 1ひプロモーターの下流にある J¾s Iと ^¾ HI部位に挿 入することで、 ヒ ト J鎖発現プラスミ ド (pTK- 2393) を構築した。
IgJ -a CACTCCTTATAGATCACACACCT (配列番号 302)
IgJ-b AAGTGAAGTCAAGATGAAGAACC (配列番号 303)
IgJ-c CTGTTCATGTGAAAGCCCAAGAAGATGAAA (配列番号 304)
IgJ- d TTTCATCTTCTTGGGCTTTCACATGAACAG (配列番号 305)
IgJ- e AAACATCCGAATTATTGTTCCTCTGAACAA (配列番号 306)
IgJ- f TTGTTCAGAGGAACAATAATTCGGATGTTT (配列番号 307)
IgJ- g CCATTTGTCTGACCTCTGTAAAAAATGTGA (配列番号 308)
IgJ- h TCACATTTTTTACAGAGGTCAGACAAATGG (配列番号 309)
IgJ- i TTAGTCAGGATAGCAGGCATCTG (配列番号 310)
IgJ-j AGAGCTATGCAGTCAGC (配列番号 311)
2 9 - 2 IgM型マウス/ヒ トキメラ抗 GPVI抗体の調製
上記 2 9 _ 1で作製した発現プラスミ ドをトランスフエクシヨン試薬 (FuG ENE 6、 ロシュダイァグノスティックス) と適当量混和し、 この混合液を CO S細胞培養系に滴下し、 トランスフエクシヨンを行い、 キメラ抗体の一過性発現 を行った。 マウス/ヒ トキメラ F1232 - 37— 2の IgM型 (以下、 c F 1 2 3 2— 3 7— 2 ( I gM) と略記) 発現には重鎖発現プラスミ ド p TK— 2 8 2 0、 軽鎖発現 プラスミ ド p TK— 2 4 7 4、 および J鎖プラスミ ド p TK 2 3 9 3との c o— t r a n s f e c t i o nにより行い、 マウス/ヒ トキメラ F1232— 43— 3の IgM型 (以下、 C F 1 2 3 2— 4 3— 3 ( I gM) と略記) の発現は、 重鎖発現プラス ミ ド p TK— 2 8 2 2、 軽鎖発現プラスミ ド p TK— 2 5 1 4、 および J鎖ブラ
スミ ド PTK2393との c o— t r a n s f e e t i o nにより行った。
トランスフヱクシヨン後に 5 % C O 2 - 95 %空気下に 37 °Cで 3日間培養し その培養上清を 60%硫酸アンモニゥムで塩析 ·濃縮後、 プロテイン Lカラム ( I mm un o P u r e I mm o b i l i z e d P r o t e i nic P I E RCE) によるァフニティクロマトグラフィーにて精製した。
29-3 IgM型マウス/ヒ トキメラ抗 GPVI抗体の抗原結合活性確認
h GP V I -h F cを固相化したィムノプレート (実施例 2他に記載の方法で 調製した) に c F 1 232— 37— 2 (I gM) および c F 1 232_43— 3 (I gM) を各ゥエルに添加し、 37 °Cで 1時間反応させた。 0. 05%Twe e n 20を含む生理食塩水で洗浄後、 ペルォキシダーゼ標識抗ヒト μ鎖抗体 (D ΑΚΟ、 Ρ 0322) を 10%ゥサギ血清含有 D— PB Sで 2000倍に希釈し 各ゥエルに 50 μ L添加した。 37°Cで 1時間反応後、 TMB基質により発色反 応を行い、 プレート分光光度計 (Mo l e c u l a r De v i c e s, Wa k o) で 450 nmの吸光度を測定した。 'その結果、 c F 1 232— 37— 2 ( I gM) および c F 1 232_43— 3 ( I gM) の両抗体ともに hGPV I _h F cに結合することが確認された。
実施例 18の 18— 1に記載の方法により調製された力二クイザルぉよびヒ ト PRPを血小板の濃度が 3.75 X 1 08cells/raLとなるように FACSバッファーで希釈 した。 希釈した PRPに上記 29— 2で作製した C F 1 23 2— 3 7 ^ 2 ( I g M) もしくは c F 1 232— 43— 3 (I gM) を終濃度 3ないし 4μ g/mLとなる ように添加し 25°Cで 30分静置した後、 FACSバッファーで血小板を洗浄した。 続い て、 抗ヒ ト IgM- FITC (BD Biosciences Pharmingen) を添加して室温で 30分静置 した後、 FACSバッファーで血小板を洗浄し、 フローサイ トメーター CYT0MICS FC500 (BECKMAN COULTER) で血小板の蛍光強度を測定した。 その結果、 c F 1 2
32- 37- 2 (I gM) および c F l 232-43-3 (I gM) の両抗体と もサルならびにヒ ト血小板に結合することが確認された。 実施例 30
抗 GPVI抗体による血小板 GPVI抗原消失誘導作用の確認 (in vitro)
実施例 1 8の 18-1に準じた方法によりサル全血より多血小板血漿 (Platelet Rich Plasma; PRP ) を調製した。 調製した PRPに ACD- A ( acid-citrate- dextrose) を添加し PH6.5に調整した。 調製後、 2000rpraで遠心し血小板を沈殿さ せた後に、 血小板を HEPES Buffer (ACD- Aにより pH6.5に調整) により洗浄した。 その後、 HEPES Buffer (pH7.4)を適当量添加し血小板を懸濁した。 Sysraexにより 調製した洗浄血小板数を測定した。
洗浄血小板を 1.5 X10
7 PLT/tubeとなるようにマイクロチューブにとりわけ、 そこに lOraM CaCl
2及び lOraM MgCl
2をそれぞれ 2 μ L添加し、 PBSにより 18 にメ スアップした。 5.0 μ g/mL Convulxin, cF1232- 37-2、 cF1249- 22- 1、 cF1249-24- 1、 cF1249-18-2 (各濃度 1 mg/raL) を 2 L添加、 混合し、 室温において 1時間反応 させた。 反応後、 10mM EDTAを
し反応を停止させた後に 15000rpra、室温 で 1分間遠心し、 上清と沈殿に分離、 各画分に Sample Bufferを添加し、 99°Cにお いて 5分間熱処理を行った。 このサンプルは- 30°Cにおいて保存し、 使用直前に解 凍し使用した。
実施例 2 0の方法に準じ SDS-PAGE、 Western Blottingを行い各サンプル中の GPVIの検出を行った。 その結果、 図 25に示すように Convulxin添加では、 反応 後の上清に GPVI抗原が検出されたが、 CF1232-37- 2、 cF1249_22-l、 cF1249_24- 1, および CF1249-18- 2添加では、 上清に GPVI抗原が検出されず、 評価した抗 GPVI抗 体では GPVI抗原の Sheddingが起こらなかった。 実施例 31
PEG化抗 GPVI抗体の調製と抗原結合活性
31 - 1 F1232- 37-2抗体の PEGィ匕
F 1 232 - 37— 2の P E G化抗体を作製するために、 精製 F 1 232— 3 7— 2にスクシイミド基を持った 20KDの直鎖状の PEG (NEKTAR) を 反応させた。 すなわち、 精製 F 1 232— 37— 2を PB S (pH7. 4) のバ ッファー中へ交換し、 抗体: PEG= 1 : 1 0 (モル比) になるように添カロし、 37°C1時間反応した。
次に P E G化抗体の精製を行った。 未修飾の抗体と P E G化抗体を分離する目 的で、 PEG化処理を行った抗体を陰イオン交換カラム Q S e p h a r o s e HP (Ame r s h am) に供した。 純度をアクリルアミ ドゲル上で分析するこ とにより評価し (図 26) 、 抗体濃度は Bo v i n e I gGをスタンダードに 用いた B r a d f o r d法 (B i o— Ra d) により算出した。
31-2 F1232-37-2Fab抗体の PE&化
F 1232-37-2 F a b抗体の P E G化抗体を作製するために、 実施例 21の 21— 2で作製した F 1232-37-2 F a b抗体を上記方法と同様 に PEG化を行った。
次に PEG化された F a b抗体の精製を S u p e r d e x 75 (Ame r s h am) を用いて行った。 純度をアクリルアミ ドゲル上で分析することにより評価 し (図 26) 、 抗体濃度は B o v i n e I g Gをスタンダードに用いた B r a d f o r d法 (B i o— Ra d) により算出した。
31 -3 F1232- 37- 2抗体の抗原結合活性
抗原に対する結合活性を E L I S Aにて確認した。 hGPV I- h F cを固相 化したィムノプレート (実施例 2他に記載の方法で調製した) に F 1232— 3 7— 2と F 1232— 37— 2の P E G化抗体を同じ濃度に調整して各ゥエルに 添加し、 37 で 1時間反応させた。 0. 05%Twe e n 20を含む生理食塩 水で洗浄後、 ペルォキシダーゼ標識抗マウスィムノグロプリン抗体 (D A K O、 P 260) を 10%ゥサギ血清含有 D— PB Sで 1000倍に希釈し各ゥエルに 50 ^ L添力 Pした。 37°Cで 1時間反応後、 TMB基質により発色反応を行い、 プレート分光光度計 (Mo l e c u l a r De v i c e s, Wa k o) で 45 0 ήπιの吸光度を測定した。 その結果、 F 1232— 37— 2と F 1232— 3 7— 2の P E G化抗体はほぼ同等の結合活性を有していることが確認された (図 27) 0 実施例 32
抗 GPVI抗体のレパトァ遺伝子解析
実施例 9および実施例 1 5に記載の抗 GPVモノクローナル抗体の配列は数種類 の一定の抗体遺伝子に由来すると考えられ、 ヒ ト GPVIのループ 9を認識する抗体 のレパートァ選択に特徴のあることが認められた。 抗体遺伝子は gerra - line抗体 遺伝子セグメント (重鎖の H、 D及び J、 ならびに、 軽鎖の V及び J) の組合せによ つて構成され、 さ らに多く の場合、 体細胞変異を伴って形成される ( Immunoglobulin Genes 2ηα eds. T. Hon jo and F. W. Alt, Academic Press, 1995等参照) 。 そこで、 これらの抗体の重鎖可変領域の核酸塩基配歹' ljおよび軽鎖 可変領域の核酸塩基配列をクエリー配列として、 NCBI (National Center for Biotechnology Information; COIg germ-line V這伝ナのテ一タベースを対象と して Ig-BLASTサーチ (http:〃 . ncbi. nlra. nih. gov/igblast/) を行った。 その 結果、 表 1 6に示したように、 各抗体の可変領域核酸塩基配列は、 それぞれ特定 のマウス germ - line抗体重鎖遺伝子 Hセグメント、 Dセグメント及ぴ Jセグメント (VH、 D H及び J Hセグメント) _、 ならびに抗体軽鎖遺伝子 Vセグメントおよび J セグメント (V L及び J L) と高い一致率 (Identity%) を示した。 。 なお、 表 1 6には、 各クローンに対してスコアの高い順に各セグメントを 3つまで記載し た。 それらのレ、ずれかが各抗体遺伝子の由来する gerra- line抗体遺伝子を構成す るセグメントであると推定されるが、 これらの内、 各クローンについては最上段 に示した各セグメントの組合せで構成された遺伝子に由来している可能性が最も 高いと考えられる。
SOT
0Se8TT/900∑: OAV
実施例 3 3
ラット GPVI遺伝子のクローユング
ラット GPVI遺伝子は、 先ず、 公知であるマウス GPVI遺伝子の情報を基に、 全 ェクソンをそれぞれ増幅可能なプライマー (6対) を設計した。 これらを用いて、 ラットゲノム DNAを铸型とした PCRを行い、 特異的に増幅された遺伝子断片をシ ークエンスし、 つなぎあわせることで、 ラット GPVI遺伝子配列を推定した。 次 に、 この配列情報に基づいてラット GPVI 用プライマー (ratGPVI- # a, raGPVI- m) 'を再設計し、 ラット骨髄由来 cDNA (ラット骨髄由来 R Aを、 オリゴ dTブラ イマ一を用いて逆転写して合成) を鍀型とした PCRで、 全長遺伝子を増幅した。 増幅産物をゲルから抽出し、 pT7- Blue (T)ベクター (タカラバイオ) に TAクロー ニングした後、 塩基配列を決定した。 また、 この配列を有するプラスミ ドを pTK-2478 とした。 図 2 8にラット GPVI遺伝子の塩基配列 (配列番号 3 1 2 ) 及 びコードされるアミノ酸配列 (配列番号 3 1 3 ) を示す。 表 1 7 第 1ェクソン rat GPVI- a CCCTCAGCGCATCCTGTTCCTAT (配列番号 3 1 4 )
rat GPVI- c TTTCCCAGGTCACCTTCAGGACT (配列番号 3 1 5 ) 第 2 , 3ェクソン rat GPVI-f TTAAGGGAGTCTCTAGCCTCTG (配列番号 3 1 6 )
mGPVI-g GTTTAGCATACACACCTGTAGCAATTAGCT
(配列番号 3 1 7 )
第 4ェクソン rat GPVI-j CCTGTTTCCTGTCTTTAATAGAG (配列番号 3 1 8 )
rat GPVI - 1 CCTTGCCCACACCTCTGACTCC (配列番号 3 1 9 ) 第 5ェクソン rat GPVI-ra GTGAGAAAATCAAGTCACAGAAATG (配列番号 3 2 0 ) rat GPVI- o TTCAGACACATTTGTAGTAGAAC (配列番号 3 2 1 ) 第 6ェクソン rat GPVI-r GGAGCACTTGGGATGAACTGTCA (配列番号 3 2 2 )
rat GPVI-s GAGAAACCCATCCTCTTGCCAC (配列番号 3 2 3 ) 第 7ェクソン rat GPVI-v GCTTCACAAGCATATGAGCACGTG (配列番号 3 2 4 ) rat GPVI- ATTATAGCTCTATAGATTCCATG (配列番号 3 2 5 )
全長 rat GPVI-#a GGGAATTCCATGTCTCCAGCCTCACTC
(配列番号 3 2 6 )
mGPVI-d CCAAGTTATTTCTAGGCCAGTGG (配列番号 3 2 7 )
実施例 3 4
ラット GPVI (D1D2)マウス GPVI (D3) -マウス Fc融合蛋白質 (rGPVI— mFc) 等の作 rGPVI- hFc融合蛋白発現プラスミ ドの構築
pTK- 2478を铸型とし、 プライマー対 (rat GPVI- # aおよび rat GPVI- # t) で PCRを行うことで、 ラット GPVIの D1および D2 (GPVIの細胞外領域のドメイン 1お よびドメイン 2 ) をコードする遺伝子断片 Aを増幅した。 同様に、 pTK- 2440 ( MD0754JP Ρ05-0268 特願2005_348534に記載) を铸型とし、 プライマー対 (rat GPVI- # sおよび IgGl-i) で PCRを行うことで、 マウス GPVIの D3 (GPVIの細胞外ド メインで、 D1および D2以外の領域) をコードする遺伝子断片 Bを増幅した。 次に A および Bを混合して铸型とし、 プライマー対 (rat GPVI - # aおよび IgGl-i) で再 度 PCRを行うことで、 ラッ ト GPVI (D1および D2)とマウス GPVI (D3)が連結された遺 伝子断片 Cを得た。 この断片 Cの 5'側を Eco RI、 3'側を Bara HIで切断後、 マウス 領域 (mFc) を EFプロモーターの下流に有するプラスミ ド (pTK - 2299 : MD0754JP Ρ05-0268 特願 2005- :348534に記載) の Eco RIおよび Bara HI部位に揷入することで 、 rGPVI- mFc融合蛋白を発現可能な pTK- 2483を構築した。 表 1 8 IgGl-i CCAGGAGTTCAGGTGCTGGGCACGGTGGGC (配列番号 3 2 8 )
rat GPVI-#s GTGGTTACTGGACCCTCTGCCACTCCCAGC (配列番号 3 2 9 )
rat GPVI-#t GCTGGGAGTGGCAGAGGGTCCAGTAACCAC (配列番号 3 3 0 )
なお、 mF cを h F cに置き換えたラット GPV I—ヒ ト F c (r GPV I - F c) 、 マウス GPVI—ヒ ト F c (mGPV I -hF c) 、 ヒ ト GPV I—ヒ ト F c (hGP V I - F c) r GP V I -h L 2, 5— hF c (r GPV I -hF cのループ 2、 5を hGPV Iの対応する配列で置換した G P VI変異体蛋 白質) 、 r GPV I— hL 9, 11— hF c ( r G P V I— h F cのループ 9、 11を hGPV Iの対応する配列で置換した GPVI変異体蛋白質) 及び hGPV I— mL 9— hF c (hGP V I -h F cのループ 9をマウス G P V Iの対応す る配列に置換した GPV I変異体蛋白質) の各発現プラスミ ドを、 公知のヒ ト G P V I及びマウス G P V Iの配列、 図 1のラット GPV Iの配列ならびにヒ ト及 びラット GPV Iのアミノ酸配列のアラインメント (図 3) 又はヒ ト及びマウス GPV Iのアミノ酸配列のアラインメント (図 1) に示された各ループのァミノ 酸配列に基づいて、 公知の方法 (WO 01 Z 810、 WO 03/54020、 W O 2005 7800等参照) を参考に、 実施例 1又は実施例 33と同様の手法 で作製した。 実施例 35
r GP V I -mF c融合蛋白質の発現および精製 r G P V I - m F c融合蛋 白質発現プラスミ ド pTK - 2483を用いて実施例 1記載と同様の方法により COS— 1細胞をトランスフエクシ'ヨンした。 3日後、 培養上清を回収し、 プロテイン A カラム(Prosep - vA、 MILLIP0RE)クロマトグラフィーにより r G P V I— m F c融 合蛋白質を精製した。 得られた r GPV I— mFcを定法にて SDS-PAGEで解析した (図 29) 。
なお、 r GPV I _hF c、 mGPV I— hF c、 hGPV I— hF c、 r G PV I -h L 2, 5— hF c、 r GPV I— hL9, 11— hF c及び hGPV I一 mL 9— hF cも同様に発現及び精製した。 実施例 36
抗ラット GPVIモノクローナル抗体の作製
A 1 urn (P I ERCE) 12. 5 μ Lと C p Gアジュバント 1 m gと精製ラ
ット G PVI - mF c融合タンパク 20 gを混合し 100 μ Lとした投与抗原を d dYマウス (メス、 8週令、 SLC) の両足のフットパッド内に各 25 Lずつ 投与した。 3日後、 腸骨リンパ節よりリンパ球を分離し、 実施例 2に記載の方法 と同様の方法で細胞融合、 およびハイプリ ドーマのスクリーニングを行った。 さ らに、 精製ラット GPVI_hF cタンパクと反応した細胞を選択し、 限界希釈法 によりクローニングを行った。 11日後、 同様にスクリーニングを行い、 精製ラ ット GPV I— hF cタンパクと反応する抗体を産生するクローン 17クローン を得た (表 19) 。 .
これらハイプリ ドーマクローン産生される抗ラット GPVI抗体を実施例 2に記載 の方法と同様の方法により精製した。 表 19
実施例 37
抗ラット G P V I抗体における認識領域の解析
実施例 36で得られた抗ラット GPV Iモノクローナル抗体の認識ドメインの 解析を実施例 7に記載の方法と同様の方法により行った。 すなわち、 に実施例 3 6で精製したモノクローナル抗体と r GPV I—hF c、 hGPV I _hF c、 r GP V I -h L 2, 5 -h F c ( r G P V I— h F cのループ 2、 5を hGP V Iの配列に置換したタンパク) 、 あるいは GP V I— h L 9, 1 1 -h F c ( r GP V I -h F cのループ 9、 1 1を hGP V Iの配列に置換したタンパク) をそれぞれ混合し、 r GPV I— h F cを固相したィムノプレートに添加し、 反 応性を調べた。 その結果、 r GPV I— hL 2, 5— h F cを添加した時に吸光
度が低下しない抗体、 つまりはループ 2及び., /又はループ 5を認識している抗体 が 1種類 (F1239 - 11- 1) 、 また r G P V I— h L 9, 1 1— h F cを添加した時 に吸光度が低下しない抗体、 つまりはループ 9及び 又はループ 1 1を認識して いる抗体が 3種類 (F1239-4-2 F1239- 6 - 1、 F1239- 22- 2) 存在する事が示された (図 3 0 ) 。
なお、 上記の 3種類の抗体 (F1239-4- 2、 F1239- 6 - 1、 F1239-22-2) は同様の方 法においてマウス GPVI - Fcとは結合しなかった。 ラット GPVIとマウス GPVIのルー プ 1 1のアミノ酸配列は同一であることを併せて考察すると、 ループ 1 1が重要 な認識領域とは考えにくく、 上記の抗体は少なくともラット GPVIのループ 9の一 部を含有する構造を認識しているものと推定された。 実施例 3 8
抗ラット G P VI抗体のラット血小板に対する結合能
ラットの腹部大動脈から採血したクェン酸加血を 110 X g、 25°C、 10 分間遠心 分離することにより多血小板血漿 (Platelet Rich Plasma ! PRP) を得た。 次に 得られた PRPを 0. 5%非働化 FBS と 2. 5 raM EDTAを含む PBS (以下、 FACSバッフ ァー) で希釈し、 実施例 3 6にて作製した抗ラット G P VI モノクローナル抗体 (F1239-6-1) を添加後、 25°Cで 30分間静置した。 30分後、 FACSバッファーで 血小板を洗浄した後、 抗マウスィムノグロプリンズ抗体- FITC (DAK0) を添加し て、 25°C、 遮光下で 30分間静置した。 30分後、 FACSバッファーで血小板を洗浄 した後、 フローサイ トメーター CYTOMICS FC500 (BECKMA COULTER) で血小板の 蛍光強度を測定することにより抗ラット G P VI モノクローナル抗体の結合につ いて解析した。 その結果、 F 1239-6-1 はラット血小板に結合することが示され た (図 3 1 ) 。 実施例 3 9
抗ラット G P V I抗体の血小板に対する作用
正常 Wistarラット PRPを調製し、 抗ラット GPVI抗体 F1239- 6- 1のラット血小板活 性化作用を CD62Pの発現量を指標として終濃度 1〜100 μ g/mLの F1239-6- 1添加条件
で実施例 1 8に記載の方法と同様の方法で FACSにより評価した。 なお、 ラット CD62Pの検出には抗ラット CD62P-PE (Biocytex) を用いた。 F1239-6- 1はいずれ の濃度においてもラット血小板を活性化しなかった。 実施例 4 0
抗ラット G P VI抗体の血小板凝集抑制作用と GPVI消失誘導作用
実施例 3 6にて作製した抗ラット GPVIモノクローナル抗体を雄性 SDラットに 0. 01〜1 rag/kgの用量で皮下投与した。 投与 6日後に血液を採取し、 730 rpmで遠 心することにより血小板多血漿 (PRP) を調製した。 血小板凝集能 (コラーゲン および ADPに対する反応性) は血小板凝集測定装置 (MCM HEMA TRACER 313M、 ェ ム · シー · メディカル) を用いて測定した。 すなわち、 PRPの血小板数が 3 X 105 cells/uLとなるように同一ラットより取得した血漿を用いて希釈した後、 終濃度 lraMの CaCl2溶液を添加し、 3'7°Cで 3分間インキュベートした。 さらに終濃度 10 μ g/mlのコラーゲン溶液あるいほ終濃度で 20 μ Μの ADP溶液を添加し、 37°Cで 12 分間ィンキュベートした。 血小板凝集率は光の透過率を測定することにより求め た。 その結果、 F 1239- 6- 1 (0. 3rag/kg) を投与したラットから採血、 調製した PRPにおいてコラーゲン '惹起血小板凝集能は著明に低下したが、 ADP惹起血小板凝 集は影響を受けなかった (図 3 2 ) 。
また、 血小板 GPVIを WesternBlott法により解析した結果、 抗ラット GPVIモノク ローナル抗体投与 3、 6及び 9日後に顕著な G P VI蛋白質の発現量減少が認められ 、 当該抗体の血小板上から GPVIを消失させる作用が確認された (図 3 3 ) 。 実施例 4 1
抗ラット G P VI抗体のコラーゲン致死モデルにおける作用
実施例 3 6にて作製した抗ラット GPVIモノクローナル抗体 F1239-6-1を、 雄 性 SDラットに 0. 1, 0. 3, あるいは 1 mg/kgの用量で皮下投与した。 対照とし て同量の生理食塩水を皮下投与した。 投与 6 日後にコラーゲン溶液 (コラーゲ ンリエージェント "ホルム" (NYC0MED) ) を 0. 8 mg/kg の用量で静脈內に急速 投与し, その後最大 1 5分間観察した。 呼吸運動の停止を以つて死亡と判定し
た。 投与後死亡に至るまでの時間(分)を生存時間とし, 15 分後まで生存した例 については生存時間を 15 分とした。 投与群ごとに死亡数/例数を求め, カイ二 乗検定 (Yukum' s stat light) により生理食塩水投与群との差を検定した。 ま た, 生存時間の平均および SEM を群ごとに計算し, 生理食塩水投与群との平均 値の差を Dunnett の方法 (non-parametric, Yukura' s stat light) により検 定した。 その結果、 F1239-6- 1 はコラーゲン致死モデルにおいて 0. 3 mg/kg以 上の用量で有効であることが示された (図 3 4 ) 。 実施例 4 2
抗ラット G P VI抗体の麻酔下ラット動脈血栓モデル血小板凝集抑制作用 実施例 3 6にて作製した抗ラット GPVIモノクローナル抗体 F1239-6-1を、 雄 性 SDラットに 0. 1, あるいは 0. 3 rag/kgの用量で皮下投与した。 対照として同 量の生理食塩水を皮下投与した。 投与 6 日後にウレタン麻酔後, 体温維持装置 (BWT-100, バイオリサーチセンター) 上に仰臥位に固定した。 頸部を正中切開 し右頸動脈を約 1 cm露出し, パルスドップラー血流計 (モジュール; PD- 20, シ ステム; VF-1, CRYSTAL BI0TEC,プライムテック) のプローブ(DBF - 10S , 同上) を頸動脈に装着し, 血流速度をポリグラフ装置 (365, NEC三栄) によりチヤ一 ト上に記録した. プローブの末梢側で釣針状の双極電極を頸動脈に掛け, 電気 刺激装置 (SEN-7103, 日本光電) より 0. 3 raAの直流電流を 3分間通電した。 通 電開始から血流が停止するまでの時間をストップウォッチで計測した (最大 40 分間) 。 また, 刺激電極の下流側の頸動脈の表面温度をデジタル温度計で 5 分 おきに計測し, 記録した。 血流が停止するまでの時間の平均および SEを群ごと に計算し, 生理食塩水投与群との平均値の差を Dunnett の方法 (non - parametric, Yukum' s stat light) により検定した。 また, 頸動脈表面温度と 直腸温との差を投与群ごとに集計し, 平均および SEを算出し, 各時点での差を Dunnett の方法 (parametric, 同上) により検定した。 その結果、 抗体投与群 で用量依存的に動脈閉塞時間の延長が見られ, 0. 3 mg/kg群では対照群に比べ 有意差が認められた (図 3 5 ) 。 また, 頸動脈表面温度の計測では, 通電開始 15分後の時点において抗体投与両群で対照群と有意な差が見られ,' また, 20,
25および 35分後において 0. 3 rag/kg投与群では対照群と有意な差が見られた。 以上の結果より, 本モデルにおいて F1239- 6- 1 は 0. 3 mg/kgの用量で有効であ ることが示された。 実施例 4 3
CypHer 5 E標識抗 GPVI抗体による解析
cF1232_37 - 2/CH0およびの対照として human IgG4 (Calbiochera) を p H感受性 蛍光試薬 CypHer5E Mono NHS Ester (GEヘルスケア バイオサイエンス) を用い て、 添付書類に従って CypHer5E標識を実施した。 同様に F1239- 6-1およびその 対照として正常マウス血漿から Prosep rA (M i 1 1 i p o r e ) を用いて精製 した mouse IgGを CyPHer5E標識した。 各標識抗体濃度は吸光度測定の結果から 算出した。
4 3 - 1 CypHerSE標識 cF1232- 37- 2/CH0の抗原結合活性
実施例 31-3に記載の方法と同様に h GPVI-hFcに対する未標識および CypHer5E 標識 cF1232- 37- 2/CH0 のヒ ト GPVI に対する結合活性を評価した。 なお、 結合検 出においては 0. 1% BSA含有 D - PBSで 2000倍希釈したヒ トイムノグロブリン/ 鎖 抗体 (Dako) を使用した。 その結果、 CypHer5E標識 cF1232-37-2/CH0 は未標識 CF1232-37- 2/CH0とほぼ同等の結合活性を有していた (図 3 6 ) 。
4 3 - 2 CypHer5E標識 cF1232— 37— 2/CH0を用いた in vitro internalization 評価
実施例 18-1 に記載の方法により調製されたサル PRP を血小板の濃度が 3. 7 X
108 cells/mL となるように PPP で希釈した。 希釈した PRP に CyPHer5E 標識 CF1232-37-2/CH0 あるいは CypHerSE標識 human IgG4 を終濃度 50 ないし 70 g/mL となるように添加し、 室温、 遮光状態で 1 畤間反応させた。 反応後の試料 を、 直ちにフローサイ トメーター CYT0MICS FC500 (BECKMAN COULTER) で測定し 血小板に internalize した CypHer5E 標識抗体由来の蛍光強度を評価した。 CypHer5E標識 c'F1232- 37-2/CH0 添加血小板では添加抗体由来の明確な蛍光が観
察されたが、 CypHer5E標識 human IgG4添加血小板では bufferのみ添加した血 小板と同程度の蛍光しか観察されなかった。 この結果から、 CypHer5E 標識 CF1232-37-2/CH0は血小板に internalizeされたと考えられた (図 3 7 ) 。 4 3 - 3 CypHer5E標識 F1239-6- 1の抗原結合活性評価
実施例 3に記載の方法と同様の方法によりペルォキシダーゼ標識 F1239-6- 1を 作製し、, これらの標識抗体と固相化 rGPVI - h Fcとの結合反応系に対応するマウス 抗体を添加する競合法 (実施例 3の方法) により、 ペルォキシダーゼ標識 F1239 - 6-1と対応する未標識および CypHer5E標識 F1239 - 6-1のラット GPVIに対する結合活 性を比較した。
その結果、 CypHer5E標識 F1239-6- 1 は未標識 F1239- 6-1 とほぼ同等の結合活 性を有していた (図 3 8 ) 。
4 3 - 4 CypHerSE標識 F1239-6-1を用いた in vitro internalization評価 3. 7 X 108 cells/mLとなるように PPPで希釈調整したラット PRPに CypHer5E標 識 F1239-6- 1あるいは CypHer5E標識 mouse IgGを終濃度 65もしくは 75 μ g/raL となるように添加し、 室温、 遮光状態で 1時間反応させた。 反応後の試料を、 直 ちにフローサイトメーター CYTOMICS FC500 (BECKMAN COULTER) で測定し、 血小 板に internalize した CyPHer5E標識抗体由来の蛍光強度を評価した。 CypHer5E 標識 F1239- 6-1を添加した血小板では添加抗体由来の明確な蛍光が観察されたが、 CypHer5E標識 mouse IgGを添加した血小板では bufferのみ添加した血小板と同 程度の蛍光しか観察されなかった。 この結果から、 CypHer5E標識 F1239 - 6-1 は 血小板に internalizeされたと考えられた (図 3 9 ) 。 4 3 - 5 CypHer5E標識 F1239-6-1を用いた in vivo internalization評価
CypHerSE標識 F1239- 6-1 あるいは CypHer5E標識 mouse IgG を 0. 2mg/kgで Wistarラットに静脈内投与し、 投与前と投与 3時間後にクェン酸加血 ΙΟΟ μ ίを 実施した。 採血液は 2. 5mM EDTA/PBS で希釈してフローサイトメーター CYT0MICS FC500 (BECKMAN COULTER) で測定し、 血小板に internalize した' CypHerSE標識
抗体由来の蛍光強度を評価した。 また、 PE標識 F1239- 11-1 を 1 Lの採血液に 対して 0. 8 i g相当添加して室温、 遮光下で 30分静置した。 PE標識 F1239-11-1 のアイソタイプ対照として PE標識マウス IgG2a c抗体を同量添加した試料も併 せて調製した。 30 分後、 2. 5mM EDTA/PBS で希釈した試料をフローサイ トメータ — CYTOMICS FC500 (BECKMAN COULTER) で蛍光強度を測定することにより血小板 細胞膜表面上の GPVI 発現量について解析した。 なお、 血小板の判定は前方散乱 光/側方散乱光のプロッ ト図から判断した。 解析においては、 PE 標識マウス IgG2a /c抗体での検出結果値を非特異的結合とみなして、 PE標識 F1239-11-1 検 出結果値から PE標識マウス IgG2a fc抗体検出結果値を差し引いて、 GPVI発現量 変化を算出した。 CyPHer5E標識 F1239- 6- 1投与では internalize した抗体由来 の明確な蛍光強度増加が観察されたが、 CypHer5E標識 mouse IgG 投与では蛍光 強度増加は観察されなかった。 また、 血小板細胞膜表面上の GPVI 発現量は投与 前と比較して CypHer5E標識 F1239 - 6- 1投与では大幅に減少しており、 CypHer5E 標識 mouse IgG 投与では僅かに減少していた。 この結果から、' CypHer5E 標識 F1239-6-1 は血小板膜表面上 GPVI と共に血小板に internalize されたと考えら れた (図 4 0 ) 。 実施例 4 4
c F l 2 3 2 - 3 7— 2 S発現プラスミ ドの構築
通常の 2価抗体である C F 1 2 3 2— 3 7— 2を H鎖おょぴ L鎖が各々 1本か らなる 1価抗体 ( 「c F l 2 3 2 - 3 7 - 2 SJ のように記載することがある。 ) として発現する為に、 重鎖のヒンジ部分にある 2つのシスティン残基をグリシン 残基に置換した。 具体的には、 まず、 c F l 2 3 2 _ 3 7— 2重鎖発現プラスミ ドである p TK _ 2 5 7 1 (実施例 2 5に記載) を铸型とし、 プライマー対 (IgG4-s, IgG4-m) および (IgG4- r, pEF2ce_27) で PCR反応を行った。 各反応 産物を少量用いてァガロースゲル電気泳動を行レ、、 各増幅産物が目的とする断片 であることを確認後、 両反応産物を混合して铸型とし、 プライマー対 (IgG4 - m, pEF2ce-27) による PCR反応を再度行った。 この反応産物が目的とする断片であ ることを確認後、'ゲルろ過カラムで脱塩処理を行い、 制限酵素 Nhe' l と
による二重消化を行った。 消化された産物をァガロースゲル電気泳動に供し、 目 的とする断片をゲルから抽出後、 断片 Aとした。 同様に、 制限酵素 Λ¾? Ι と Bsm HI による二重消化処理を施した pTK_ 2 5 7 1のベクター部分を調製し断片 Β とした。 断片 Αと断片 Βを混合後、 リガーゼによる連結反応を行い、 目的とする cFl 2 3 2 - 3 7 - 2S重鎖発現プラスミ ドを構築し、 p TK— 2 8 2 8とした。 尚、 軽鎖発現プラスミドである pTK— 2 5 7 2に変更は無く、 そのまま発現実験 に用いた。
IgG4-s 5' GGTGCTGGGCCTGATGGGCCTGGGGGACCA 3 (配列番号 3 3 1 ) IgG4-m 5' AGCGCTAGCACCAAGGGCCCATCCGTCTTC 3 (配列番号 3 3 2)
IgG4-r 5' TGGTCCCCCAGGCCCATCAGGCCCAGCACC 3 (配列番号 3 3 3) pEF2ce-27 5' CATCAATGTATCTTATCATGTCT 3' (配列番号 3 3 4) 実施例 4 5
cF1 2 3 2 - 3 7 - 2 S/COSの調製
実施例 4 4にて作製した CF1232-37-2S発現プラスミド pTK- 2828 を用いて実 施例 1と同様の方法により COS細胞をトランスフエクシヨンした。 得られる遺伝 子組換え F 1 2 3 2 - 3 7— 2 S抗体を含む COS細胞培養液を、 プレフィルター として 0. 8 μ mの孔径を有するカプセルカートリッジフィルター (東洋濾紙株 式会社) 、 本フィルタ一として 0. 2 2 μ mの孔径を有するフルォロダインフィ ルター (PAL L) をそれぞれ用い、 室温にて清澄化し培養上清を得た。 この培 養上清を予め P B S— (S i g m a ) にて平衡化した r mp P r o t e i n A S e p h a r o s e F a s t F l o w (GE へノレスケアバイオサイエンス 株式会社) に吸着させ、 非吸着蛋白質を PB S—にて洗浄後、 非特異的に吸着し ている蛋白質を 1. 5 M N a C 1を含む.1 00 . Mリン酸バッ: Z.ァ一にて溶 出した。その後、 特異的に結合している抗体を、 1 0 0 mM グリシン一塩酸バ ッファー (p H 3. 7) にて溶出した。溶出液はその容量を測定し、 直ぐに 1 ノ1 0容量の 1 M T r i s— HC 1 (p H 8. 5) を添加し、 p Hを中性に 戻した。 得られた標品を 0. 9% N a C 1水溶液に対して透析し; cFl 2 3 2
- 3 7 - 2 S/COS精製標品とした。 実施例 4 6
CF1232-37-2S/C0Sの血小板への結合反応性
実施例 18-1 に記載の方法により調製された力二クイザルおよぴヒ ト PRPを血 小板の濃度が 3. 75 X 108 cells/raLとなるように FACSバッファ一で希釈した。 希 釈した PRPに実施例 4 5で作製した CF1232- 37 - 2S/C0Sを終濃度 10 μ g/mLとなる ように添加し 25°Cで 30分静置した後、 FACSバッファーで血小板を洗浄した。 続 いて、 抗ヒ ト IgG-FITC (Dako) を添加して遮光下 25°Cで 30分静置した後、 FACS バッファーで血小板を洗浄し、 フローサイ トメーター CYTOMICS FC500 (BECKMAN COULTER) で血小板の蛍光強度を測定した。 その結果、 CF1232- 37-2S/C0S がサル ならびにヒ ト血小板に結合することが確認された。 実施例 4 7
CF1232-37-2S/COSの血小板に対する作用
4 7 - 1 CF1232-37-2S./C0S のヒ ト血小板および力二クイザル血小板活性化作 a
実施例 18-1 に記載の方法により、 反応液に終濃度 ImMの CaCl が存在する条 件で CF1232-37- 2S/C0S の力二クイザルおよびヒ ト血小板活性化作用を CD62P の 発現量を指標として終濃度 1〜100 g/raLの cF1232- 37- 2S/C0S添加条件で評価し た
CF1232- 37 - 2S/C0S はいずれの濃度においてもヒ ト血小板あるいは力二クイザル 血小板を活性化しなかった (図 4 1 ) 。 4 7 - 2 c F1232-37-2Sのコラーゲン惹起血小板凝集抑制作用 (in vitro) 力二クイザル PRPを血小板の濃度が 3. 33 X 108 cells/raL となるように PPPで 希釈した後、 終濃度 1〜100 /1111 の c F1232-37- 2S を添加し, 37°Cで 5分間ィ ンキュベートした。 ここに終濃度 ImMの CaCl2溶液を添加し、 さらに 37°Cで 3分 間インキュベートした後, 終濃度 l ^u g/ml のコラーゲン溶液を添加し、 37°Cで 12分間ィことによりコラーゲン応答性の血小板凝集を求めた。
cF1232-37-2S は lOO^g/mLで濃コラーゲン惹起によるヒト血小板の凝集を阻 害した (図 42) 。
47-3 CF1232- 37-2Sの力二クイザル ex vivo試験 一コラーゲン惹起血小板 凝集能一
力二クイザル (雄、 約 4kg) に CF1232- 37-2S/C0S3mg/kgにて静脈内投与し. 投与後に血小板を採取し、 その血小板凝集能を調べた。 その結果。 CF1232- 37 - 2S 3rag/kg静脈内投与動物では投与後 6 時間以内にコラーゲンに対する応答性が低 下し、 その作用は 2日間以上持続した (図 43) 。 実施例 48
F1239-6-1の Fabおよび PEG化 F1239- 6- lFab
48-1 F 1239— 6— 1の F a b作製
F 1239— 6— 1の F a bを作製するために、 精製 F 1239— 6— 1を M e t a l l o e n d o p e p t i d a s eにて処理した。 すなわち、 精製 F 12 39— 6— 1を PBS (p H 7. 4) バッファ一中へ交換し、 Me t a l 1 o e n d o p e p t i d a s eを抗体:酵素 = 3000 : 1 (重量比) になるように 添加し、 25°C4時間反応した。 反応終了時には終濃度 3 OmMとなるように E DT Aを添加した。
次にこれを実施例 21一 2と同様な方法で F a bの精製および分析を行った。
48-2 F 1239-6-1 F a b抗体の PEG修飾
F 1239— 6— l F a b抗体の P E G化抗体を作製するために、 上記で得ら れた F 1239— 6— l F a b抗体を実施例 31— 1と同様な方法で行った。 次に PEG化抗体の精製を行った。 未修飾の抗体と PEG化抗体を分離する目 的で、 P EG化処理を行った抗体を疎水クロマト Ma c r o—P r e p Me t h y 1 H I C (B i o— R a d) に供した。 純度をアクリルアミドゲル上で 分析することにより評価し、 抗体濃度は B o v i n e I gGをスタンダードに 用いた B r'a d f o r d法 (B i o—R a d) により算出した。 '
48-3 P E G化 F1239- 6- lFabの結合活性確認
F 1239— 6— 1 F a bの PE G化抗体のラット GPVI に対する結合活性 を実施例 2に記載の方法と同様の方法により EL I SA法にて確認を行った。 そ の結果、 F 1 239— 6— l F a b抗体と F 1 239— 6— l F a bの PE G化 抗体はほぼ同等の結合活性を有していた (図 44) 。
48-4 PEG化 F1239_6-lFabのサルおよびヒ ト血小板への結合確認
2.0X108 cells/mLとなるように FACSバッファーで希釈したラット PRPに実施 例 48— 1、 48— 2で作製した PEG化 F1239 6_lFabを終濃度 38 ig/mLとなる ように添加し 25°Cで 30分静置した後、 FACSバッファ一で血小板を洗浄した。 続 いて、 抗マウス Igs- FITC (Dako) を添加して遮光下 25°Cで 30 分静置した後、
FACS バッファーで血小板を洗浄し、 フローサイ トメータ一 CYTOMICS FC500
(BECKMAN COULTER) で血小板の蛍光強度を測定した。 その結果、 PEGィヒ F1239- 6-lFabがラット血小板に結合することが確認された。 実施例 49
力二クイザル出血時間測定 (3) 高用量投与
出血時間の測定にあたっては先ず力二クイザルの体重を測定した後、 血液学的 パラメータ、 凝固系パラメータ, 血小板機能に異常がないことを確認し、 3. Orag/kg又は 10rag/kgの cF1232- 37- 2/CH0を皮下に投与してその 48時間後に実 施例 28に記載の方法と同様の方法により出血時間を測定した。
CF1232-37- 2/CH0 投与動物においては投与前と比較して 2倍以上の出血時間の 延長は認められなかった (図 45) 。 実施例 5 0
ラット出血時間測定試験
体重が均一になるように群分けをした非絶食 SDラット (雄、 Crj:CD (SD) IGS: 8w) に 0.3〜3mg/kgの F1239- 6- 1 もしくは 理食塩水を lmL/kgの容量で皮下投
与した。 投与 6 日後に切創作製の 15分前にペントバルビタールの腹腔内投与 (50mg/kg, lmL/kg)により麻酔した。 尾の先端から 5 6craの背側に動脈および静 脈を避け、 剃刀を用いて切創を作製した。 尾の先端 12cm を垂直に垂らし、 作製 した切創に 30秒間隔でろ紙 (ADVANTEC, IX 3cm) をあて、 血液が付着しなくな るまでの時間を測定し出血時間とした。
抗体投与動物についてはいずれの用量においても生理食塩水投与群と比べて出 血時間が 2倍以上に延長することはなかった (図 46) 。 陽性対象として用いた クロピドグレルでは経口投与後 2時間の時点で lOrag/kg以上を投与した動物にお いて出血時間が 5倍以上に延長していた。 なお、 クロピドグレル投与では投与 2 時間後の時点において、 10rag/kg以上を投与した動物の血小板はコラーゲンに対 する応答性が低下し、 30mg/kg を投与した動物の血小板はコラーゲンおよび ADP に対する応答性が低下しており、 上記で用いた用量は、 ほぼ通常用いられる有効 用量の範囲にあると考えられる。 実施例追 51
[125 I ] 標識 c F 1 232— 3 7— 2/CHOの調製
実施例 25において作製した c F 1 232— 37 _ 2/CHOを用いて、 ^ 25 I ] 標識 c F 1 232- 3 7 - 2/CHOを調製した。 すなわち、 c F 1 2 32— 37— 2/CHOを N— s u e c i n i m i d y 1—3— (4 - h y d r o x y— 3— [125 I ] i o d o p h e n y l p r o p i o n a t e ( [ I■] — B o l t o n— Hu n t e r Re a g e n t— mo n o i o d i n a t e d) と反応後、 ゲルろ過クロマトグラフィーにより精製し、 標識抗体を得た。 得られた標識抗体は実施例 2に記載の E I A法により濃度算出した。 実施例 52
c F 1 232— 37— 2./ CHOのヒト血小板およびサル血小板に対する解離 定数の測定
―解離 数は H omo 1 o g o u s c omp e t i t i v e b i n d i n g法 により算出した。'すなわち、 洗浄血小板を一定量の標識抗体および可変量の c F
1232-37 - 2/CHO (未標識抗体) と反応後、 血小板に結合した標識抗 体量を測定し、 添加した標識抗体量と未標識抗体量を元に C F 1 2 3 2— 37— 2 CHOの血小板に対する解離定数および血小板当たりの抗体最大結合数を算 出した。 各パラメータの算出には以下の式を適用した。
To t a l B i n d i n g
= Bma x X [Ho t] ÷ ( [Ho t] + [C o l d] +K
D) +NS
• To t a l B i n d i n g : 血小板当たりの標識抗体結合数
· Bma X : 血小板当たりの抗体最大結合数
• [Ho t] : 標識抗体濃度 (M)
• [Co l d] : 未標識抗体濃度 (M)
• KD : 解離定数 (M)
- NS : 血小板当たりの非特異結合抗体数 正常人または力二クイザルから採血したクェン酸加血より調製した P R Pに A CD— A (a c i — c i t r a t e— d e x t r o s e; を添刀口し p H 6. 5 に調整した。 この血小板を 2000 r pmで遠心して沈殿させた後に、 HEPE S Bu f f e r (ACD— Aにより pH6. 5に調整) にて洗浄した。 その後 、 HEPES Bu f f e r (p H 7. 4) を適当量添加して血小板を懸濁し、 洗浄血小板を調製した。 血小板数を S y s m e X F— 820 (シスメックス株式 会社) により測定後、 血小板数が 6 X 105c e 1 1 s/ Lとなるよう HEP ES Bu f f e r (pH7. 4) で希釈した。
希釈した洗浄血小板を、 終濃度 3 nMの標識抗体および終濃度 0〜 1250 η Μの未標識抗体と混合し、 血小板数を 3 X 105c e 1 1 s Z μ Lとした。 氷上 で 1時間インキュベート後、 反応液を 30%ショ糖 /HEPES Bu f f e r (pH7. 4) に重層し、 12000 gで 5分間遠心して血小板と未結合の抗体 とを分離した。 分離した各画分の放射活性をオートマチックガンマカウンター 1 470 WI ZARD (株式会社パーキンエルマ一ジャパン) で測定した。 デー
タは G r a p h P a d P r i smソフトウェア (G r a p h P a d S o f t w a r e, I n c.) で解析した。
解析の結果、 ヒ ト血小板に対しては、 KD= 1. 7±0. 4 X 1 0— 8 (M) 、 血小板あたりの抗体の最大結合数 =925±254 (n = 3、 値はいずれも m e a n 士 S. E.) であった。 サル血小板に対しては、 KD=2.0±0. 1 X 1 0—8 (M) 、 血小板あたりの抗体の最大結合数 = 1 007 ± 64. 4 (n = 3 、 me a n 士 S. E. でめった。 産業上の利用可能性
本発明の抗体は、 特に、 ヒ トの疾患、 例えば、 血小板の活性化もしくは凝集、 または血管内皮障害もしくは動脈硬化性の反応によって引き起こされる疾病の予 防及び/または治療に有効であり、 血栓もしくは塞栓に起因する疾患、 例えば、 血栓症、 塞栓症または動脈硬化性の疾患等の予防及び, /または治療に利用するこ とができる。 また、 本発明の抗体を用いた被験試料中の GPV Iを検出する方法 により、 疾患の診断を行うことができる。 特に、 ヒ トの疾患、 例えば、 血栓性、 塞栓性または動脈硬化性の疾患の診断に利用することができる。