明 細 書
骨疾患又は関節疾患に関与するポリペプチド及びその DNA
技術分野
[0001] 本発明は、骨疾患又は関節疾患の診断、治療、予防等のための手段に関する。よ り詳しくは、本発明は、骨疾患若しくは関節疾患に罹患している疑いがある個体由来 の試料の検出又は選別方法、又は診断薬、骨疾患若しくは関節疾患の治療剤又は 予防剤のスクリーニング方法、該スクリーニング方法に用いるキット、医薬組成物、骨 疾患又は関節疾患の診断方法に関する。
背景技術
[0002] 関節とは、骨相互間の可動結合部であり、この部分の骨は動きをスムーズにするた めに関節軟骨で覆われている。また、関節の中では滑膜から関節液が分泌されてお り、関節の運動を滑らかにしている。
[0003] 変形性関節症 (OA)は、慢性の関節炎及び滑膜性関節の関節軟骨の退行変性を 伴う消耗性疾患である。 OAは、加齢と共にその発症率が増加することが知られてお り、高齢者にとって最も頻度の高い疾患の一つである。高齢ィ匕社会に直面している 現代において、大きな課題の一つとなっているが、その原因は明らかでなぐ有効な 治療法がない。長い間、 OAは不可避な加齢に起因するものとして考えられてきたが 、遺伝学的研究により OAの発症には遺伝的要因が大きく関わることが明らかになつ てきた (非特許文献 1参照)。 OAは多因子遺伝病であり、複数の遺伝的要因がその 発症、伸展に関与しており、これらの遺伝子と、運動、栄養等の環境因子の相互作 用により病気が成り立っていると考えられる。現在までの研究により、 OAに関連する 遺伝子として、多数の候補遺伝子 (特許文献 1及び 2参照)や SNPs (—塩基多型)が 挙げられている (非特許文献 2参照)。しかし、 OAの発症機構は完全には解明されて おらず、未知の遺伝子の関与しうる可能性が考えられている。
[0004] 慢性関節リウマチ (RA)は、中小関節を対称性におかす多発性関節炎を主症状と する原因不明の慢性炎症性疾患である。炎症性サイト力インとリウマトイド因子の局所 的産生、関節液中での IgGとリウマトイド因子よりなる免疫複合体の形成、好中球遊
走、免疫複合体貪食、リソソーム酵素放出、関節軟骨破壊、滑膜増殖、破骨細胞活 性化など一連の反応により炎症の慢性化と関節破壊が進行する。現在までの研究に より、 RAに関連する遺伝子として、多数の候補遺伝子 (特許文献 3及び 4参照)や SN Psが挙げられている (非特許文献 3参照)。しかし、 RAの発症機構は完全には解明さ れておらず、未知の遺伝子の関与しうる可能性が考えられて 、る。
[0005] また、多関節炎 (症)を呈する原因疾患は多数あり、その中では関節リウマチ (RA) と OAの頻度が高い。 OAと RAは共に関節が痛くなるという点で共通しており、識別 の必要がある。現在、 OA又は RAの診断の際には、炎症の程度を知るための検査や X線検査等が行われる。ただし、早期では診断困難な場合があり、臨床検査と経過観 察が必要となる(非特許文献 4参照)。そのため、 OAと RAを容易に区別が出来る診 断方法、かつ、より早期に疾患が発見できるよう簡便な診断法の開発が求められてい る。
[0006] 上記の様な状況の下、 OA又は RAの発症に関わる遺伝子の同定及び同遺伝子を 用いた疾患の診断方法が待望されて!ヽた。
[0007] N1032 (配列番号: 1)は、ヒトの乳癌の癌抑制遺伝子候補 1 (bcsc— 1) (配列番号
: 18)である。しかしながら、 N1032と OAとの関連についての報告はない。
[0008] N1108 (配列番号: 2)は、タンパク質フォスファターゼ 2A B' a 1調節サブユニット( 配列番号: 19)をコードするヒト遺伝子である(非特許文献 5参照)。しかしながら、 N1
108と OAとの関連につ!、ての報告はな!/、。
[0009] N1112 (配列番号: 3)は、げっ歯動物の遺伝子 Kidlと相同性を持ち、主として腎 臓で発現する、新規ヒト亜鉛フィンガー型の転写因子 (配列番号: 20)をコードするヒ ト遺伝子である(非特許文献 6参照)。し力しながら、 N1112と OAとの関連について の報告はない。
[0010] N1123 (配列番号: 4)は、 X染色体にコードされたホスホダリセリン酸キナーゼ (配 列番号: 21)をコードするヒト遺伝子である(非特許文献 7参照)。しかしながら、 Ni l 23と OAとの関連につ!、ての報告はな!/、。
[0011] N0154 (配列番号: 5)は、 L-イジトール- 2デヒドロゲナーゼ(配列番号: 22)をコー ドするヒト遺伝子である(非特許文献 8参照)。し力しながら、 N0154と OAとの関連に
ついての報告はない。
[0012] N0281 (配列番号: 6)は、ヒトの遺伝性多発性外骨症の原因遺伝子 EXT1 (配列番 号: 23)である(非特許文献 9参照)。し力しながら、 N0281と OAとの関連について の報告はない。
[0013] N0439 (配列番号: 7)は、へパラン-サルフェート- 6-スルホトランスフェラーゼ(配 列番号: 24)をコードするヒト遺伝子である(非特許文献 10参照)。しかしながら、 NO
439と OAとの関連につ!、ての報告はな!/、。
[0014] N0446 (配列番号: 8)は、ヒスチジル -tRNA合成酵素(配列番号: 25)と相同性の あるヒト遺伝子である(非特許文献 11参照)。し力しながら、 N0446と OAとの関連に ついての報告はない。
[0015] N0513 (配列番号: 9)は、チューブリン-フォールディング コファクター C (配列番 号: 26)をコードするヒト遺伝子である(非特許文献 12参照)。しかしながら、 N0513と
OAとの関連につ 、ての報告はな 、。
[0016] N0553 (配列番号: 10)は、 N,端に 2つの LIMモチーフを持つセリン Zスレオニン キナーゼ (配列番号 : 27)をコードするヒト遺伝子である(非特許文献 13参照)。し力 ながら、 N0553と OAとの関連につ!、ての報告はな!/、。
[0017] N0065 (配列番号: 11)は、膜タンパク質である LAK- 4 (配列番号: 28)をコードす るヒト遺伝子である。しかしながら、 N0065と OAとの関連についての報告はない。
[0018] NO 160 (配列番号: 12)は、血管作用性小腸ペプチドレセプター(配列番号: 29) をコードするヒト遺伝子である(非特許文献 14参照)。し力しながら、 N0160と OAと の関連につ!、ての報告はな 、。
[0019] E0215 (配列番号: 13)は、 EGF含有フイブリン様細胞外マトリックスタンパク質 1 (
EFEMP1、 Fibulin— 3) (配列番号: 30)をコードするヒト遺伝子である(非特許文献
15参照)。しかしながら、 E0215と OAとの関連についての報告はない。
[0020] E0739 (配列番号: 14)は、 3つの K-相同ドメインを持つ細胞の poly(rC)_結合タン ノ ク質 (配列番号 : 31)をコードするヒト遺伝子である (非特許文献 16参照)。しかしな がら、 E0739と OAとの関連につ!、ての報告はな!/、。
[0021] C0052 (配列番号: 15)は、 AP-エンドヌクレアーゼ(配列番号: 32)をコードするヒト
遺伝子である(非特許文献 17参照)。しかしながら、 C0052と OAとの関連について の報告はない。
[0022] D0032 (配列番号: 16)は、マクロファージ炎症性タンパク質 - 2 α (配列番号: 33) をコードするヒト遺伝子である(非特許文献 18参照)。し力しながら、 D0032と OAと の関連につ!、ての報告はな 、。
[0023] E0083 (配列番号: 17)は、グルタチオン S-トランスフェラーゼ(配列番号: 34)をコ ードするヒト遺伝子である(非特許文献 19参照)。しカゝしながら、 E0083と OAとの関 連についての報告はない。
特許文献 1 :特開 2003— 183177号公報
特許文献 2:特開 2004 - 75675号公報
特許文献 3:特開 2002— 51782号公報
特許文献 4:特開 2003 - 204790号公報
非特許文献 1 :スベクター(Spector, T. D.)ら、ブリティッシュ メディカル ジャーナル (BMJ)、 312卷、 940— 943頁(1996)
非特許文献 2 :池川(Ikegawa, S.)ら、ジャーナル ォブ ボーン アンド ミネラル リ サーチ(扉 R)、 17卷、 1290— 1296頁(2002)
非特許文献 3:山本(Yamamoto, K.)ら、ネイチヤー ジェネティックス (Nat. Genet.)、 35卷、 341— 348頁(2003)
非特許文献 4:吉田 浩著「RA又は他の炎症性多発性関節症 (DRG/PPS対応臨床 検査のガイドライン)」日本臨床検査医学会、平成 14年 9月、 P.85— 88
非特許文献 5 :カミバヤシ(Kam¾ayashi, C.)ら、ザ ジャーナル ォブ バイオロジカ ル ケミストリー(J. Biol. Chem.)、 271卷、 5164— 5170頁(1996)
非特許文献 6 :ナカムラ(Nakamura, Y.)ら、サイトジェネティックス アンド セル ジェ ネテイツタス(Cytogenet. Cell Genet)、 78卷、 285— 288頁(1997)
非特許文献 7 :ォーキン(Orkin, S.H.)ら、プロシーディングス ォブ ザ ナショナル アカデミー ォブ サイエンス(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)、 80卷、 472— 476頁(
1983)
非特許文献 8 :カーパー(Carper, D.)ら、ゲノミックス(Genomics)、 26卷、 55— 62頁(
非特許文献 9:ウエノレズ (Wells, D.E.)ら、ネイチヤー ジェネティックス(Nat. Genet.)、 11卷、 137— 143頁(1995)
非特許文献 10 :キマタ(Kimata, K.)ら、ザ ジャーナル ォブ バイオロジカル ケミス 卜リー(J. Biol. Chem.)、 273卷、 9208— 9213頁(1998)
非特許文献 11 :ミラー(Miller, F.W.)ら、バイオケミカル アンド バイオフィジカル リ サーチ コミュニケーションズ(Biochem. Biophys. Res. Commun.)、 210卷、 556— 5 66頁(1995)
非特許文献 12 :コーワン(Cowan, N.J.)ら、セル(Cell)、 86卷、 287— 296頁(1996) 非特許文献 13 :ミズノ(Mizuno, K.)ら、ザ ジャーナル ォブ バイオロジカル ケミス 卜リー(J. Biol. Chem.)、 270卷、 31321— 31330頁(1995)
非特許文献 14 :ゴッツェル(Goetzl, E.J.)ら、バイオケミカル アンド バイオフィジカル リサーチ コミュニケーションズ(Biochem. Biophys. Res. Commun.)、 193卷、 546 — 553頁(1993)
非特許文献 15 :ゴールドスティン(Goldstein, S.)ら、モレキュラー アンド セルラー ノィォロジー(Mol. Cell. Biol.) , 15卷、 120— 128頁(1995)
非特許文献 16 :セリス(Celis, J.E.)ら、ョ一口ビアン ジャーナル ォブ バイオケミスト リー(Eur. J. Biochem.)、 230卷、 447— 453頁(1995)
非特許文献 17 :ヒクソン(Hickson, I.D.)ら、ヌクレイック ァシッズ リサーチ(Nucleic A cids Res.) , 19卷、 5519— 5523頁(1991)
非特許文献 18 :セラミ(Cerami, Α.)ら、ザ ジャーナル ォブ ェクスペリメンタル メ ディスン (J. Exp. Med.) , 172卷、 911— 919頁(1990)
非特許文献 19:ティラー(Taylor, J.B.)ら、バイオケミカル ジャーナル (Biochem. J.) 、 300卷、 271— 276頁(1994)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
本発明は、配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパ ク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加
されたアミノ酸配列を有するタンパク質の遺伝子の発現レベルを測定することによる、 骨疾患若しくは関節疾患に罹患している疑いがある個体由来の試料の簡便かつ迅 速な検出又は選別方法、骨疾患又は関節疾患の簡便かつ迅速な診断方法、該方 法を効率的に行ないうる診断薬を提供することを目的とする。また、代表的な関節疾 患であり、似た症状を示す RAと OAの識別が可能な診断薬を提供することを目的と する。
[0025] また、本発明は、配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタ ンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは 付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質の遺伝子の動態を検出又は測定すること による、骨疾患若しくは関節疾患の治療剤又は予防剤の効率的なスクリーニング方 法、前記スクリーニング方法を簡便かつ迅速に行ないうるスクリーニング用キットを提 供することを目的とする。
[0026] さらに、本発明は、前記スクリーニング方法により得られる、骨疾患若しくは関節疾 患の治療剤又は予防剤として好適に使用される化合物又はその塩、骨疾患若しくは 関節疾患の治療又は予防に好適な前記化合物又はその塩を有効成分とする医薬組 成物を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0027] 本発明者らは、 OA患者又は RA患者の同意の下に、手術時に摘出された滑膜を 採取し、解析を行った。鋭意研究の結果、非 OA患者と比較し OA患者の滑膜組織 において発現に変化が見られる遺伝子を見出した。また、非 RA患者と比較し RA患 者の滑膜組織において発現に変化が見られる遺伝子を見出した。 OA膝組織におい てはメカ-カル 'ストレスによって破壊された軟骨組織のデブリスによる刺激を受けた 増生滑膜から様々な炎症性物質が分泌されると考えられている。従って、そのような 刺激を受けた滑膜においては、炎症性物質や関節組織破壊のマーカーとなりうる物 質をコードする遺伝子の発現が増強されると考えられた。また、滑膜組織には、脂肪 細胞様細胞、骨芽細胞、軟骨細胞等の間葉系細胞へ分化する能力を有する未分ィ匕 な線維芽滑膜細胞が存在する。そこで、更に研究を進めた結果、該遺伝子が、滑膜 組織の異常が一因となる骨疾患又は関節疾患の新規な診断薬として使用可能であ
ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)被検対象の個体由来の被検試料における配列番号: 18〜34からなる群より選 ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個の アミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードす る少なくとも 1つの遺伝子の発現レベルを測定するステップを含み、ここで、被検試料 における発現レベルが、正常個体由来の対照試料における発現レベルと異なる場合 、該被検試料が、骨疾患又は関節疾患に罹患している疑いがある個体由来の試料 であることの指標となる、骨疾患若しくは関節疾患に罹患している疑いがある個体由 来の試料の検出又は選別方法、
(2)骨疾患又は関節疾患が、軟骨形成異常、骨形成異常、骨粗鬆症、変形性関節 症、慢性関節リウマチ、関節炎、滑膜炎、代謝性関節症又はスポーツによる関節障 害である(1)記載の方法、
(3)被検対象の個体由来の被検試料における配列番号: 18、 21〜23、 25、 29から なる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又は該アミノ酸配列において 1若 しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク 質をコードする少なくとも 1つの遺伝子の発現レベルを測定するステップを含み、ここ で、被検試料における発現レベル力 正常個体由来の対照試料における発現レべ ルよりも高くなり、かつ、慢性関節リウマチ患者由来の対照試料における発現レベル よりも低くなる場合、該被検試料が、変形性関節症に罹患している疑いがある個体由 来の試料であることの指標となる、変形性関節症に罹患して 、る疑 、がある個体由 来の試料の検出又は選別方法、
(4)被検対象の個体由来の被検試料における配列番号: 19、 20、 24、 26〜28、 30 〜33からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又は該アミノ酸配列に おいて 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有す るタンパク質をコードする少なくとも 1つの遺伝子の発現レベルを測定するステップを 含み、ここで、被検試料における発現レベル力 正常個体由来の対照試料における 発現レベルよりも高くなり、かつ、慢性関節リウマチ患者個体由来の対照試料におけ
る発現レベルよりも高くなる場合、該被検試料が、変形性関節症に罹患している疑い がある個体由来の試料であることの指標となる、変形性関節症に罹患している疑いが ある個体由来の試料の検出又は選別方法、
(5)被検対象の個体由来の被検試料における配列番号: 34のアミノ酸配列を有する タンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しく は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子の発現レベルを測 定するステップを含み、ここで、被検試料における発現レベル力 正常個体由来の対 照試料における発現レベルよりも低くなり、かつ、慢性関節リウマチ患者個体由来の 対照試料における発現レベルよりも高くなる場合、該被検試料が、変形性関節症に 罹患している疑いがある個体由来の試料であることの指標となる、変形性関節症に 罹患して!/、る疑 、がある個体由来の試料の検出又は選別方法、
(6)被検対象の個体由来の被検試料における配列番号: 18、 21〜23、 25、 29から なる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又は該アミノ酸配列において 1若 しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク 質をコードする少なくとも 1つの遺伝子の発現レベルを測定するステップを含み、ここ で、被検試料における発現レベル力 正常個体由来の対照試料における発現レべ ルよりも高くなり、かつ、変形性関節症患者由来の対照試料における発現レベルより も高くなる場合、該被検試料が、慢性関節リウマチに罹患している疑いがある個体由 来の試料であることの指標となる、慢性関節リウマチに罹患している疑いがある個体 由来の試料の検出又は選別方法、
(7)被検対象の個体由来の被検試料における配列番号: 34のアミノ酸配列を有する タンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しく は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子の発現レベルを測 定するステップを含み、ここで、被検試料における発現レベル力 正常個体由来の対 照試料における発現レベルよりも低くなり、かつ、変形性関節症患者個体由来の対 照試料における発現レベルよりも低くなる場合、該被検試料が、慢性関節リウマチに 罹患している疑いがある個体由来の試料であることの指標となる、慢性関節リウマチ に罹患している疑いがある個体由来の試料の検出又は選別方法、
(8)発現レベル力 配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有する タンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しく は付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする少なくとも 1つの遺伝子の mRNA量を指標として測定される、 (1)〜(7) Vヽずれかに記載の方法、
(9)発現レベル力 配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有する タンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しく は付加されたアミノ酸配列を有する少なくとも 1つのタンパク質又はその部分ペプチド 又はその塩を指標として測定される、 (1)〜(7) V、ずれかに記載の方法、
(10)配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又 は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された アミノ酸配列を有するタンパク質をコードする少なくとも 1つの遺伝子を検出しうる核 酸を用いる(8)記載の方法、
(11)該遺伝子が、配列番号: 1〜17からなる群より選ばれる塩基配列からなる核酸 である(10)記載の方法、
( 12)該遺伝子が、配列番号: 6及び Z又は 13の塩基配列からなる核酸である( 10) 記載の方法、
(13)配列番号: 35及び Z又は 36の塩基配列力もなる核酸を用 、るものである( 12) 記載の方法、
(14)配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又 は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された アミノ酸配列を有する少なくとも 1つのタンパク質又はその部分ペプチド又はその塩 に対する抗体又はその断片を用いる(9)記載の方法、
(15)配列番号: 23及び Z又は 30のアミノ酸配列を有するタンパク質又は該アミノ酸 配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列 を有する少なくとも 1つのタンパク質又はその部分ペプチド又はその塩に対する抗体 又はその断片を用いる(9)記載の方法、
(16)配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又 は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された
アミノ酸配列を有するタンパク質をコードする少なくとも 1つの遺伝子を検出しうる核 酸を含有してなる、( 10)〜( 15) 、ずれかに記載の方法に使用するための診断薬、
(17)該遺伝子が、配列番号: 1〜17からなる群より選ばれる塩基配列からなる核酸 である(16)記載の診断薬、
(18)該遺伝子が、配列番号: 6及び Z又は 13の塩基配列からなる核酸である( 16) 記載の診断薬、
(19)配列番号: 35及び Z又は 36の塩基配列からなる核酸を含有してなる、( 18)記 載の診断薬、
(20)配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又 は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された アミノ酸配列を有する少なくとも 1つのタンパク質又はその部分ペプチド又はその塩 に対する抗体又はその断片を含有してなる、(14)又は(15)記載の方法に使用する ための診断薬、
(21)配列番号: 23及び Z又は 30のアミノ酸配列を有するタンパク質又は該アミノ酸 配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列 を有する少なくとも 1つのタンパク質又はその部分ペプチド又はその塩に対する抗体 又はその断片を含有してなる、(14)又は(15)記載の方法に使用するための診断薬
(22)配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又 は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された アミノ酸配列を有するタンパク質をコードする少なくとも 1つの遺伝子を用いることを特 徴とする骨疾患又は関節疾患の予防剤及び Z又は治療剤のスクリーニング方法、
(23)配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又 は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された アミノ酸配列を有する少なくとも 1つのタンパク質若しくはその部分ペプチド又はその 塩を用いることを特徴とする骨疾患又は関節疾患の予防剤及び Z又は治療剤のスク リーニング方法、に関する。
また、本発明は、
(24)被検物質の存在下、配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を 有するタンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換 若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする少なくとも 1つの遺伝 子の動態を検出又は測定することを特徴とする、骨疾患又は関節疾患治療剤の予防 剤及び Z又は治療剤のスクリーニング方法、
(25) (I)被検物質の存在下、配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配 列を有するタンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、 置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質又はその部分ペプチド又は その塩と、被検物質とを接触させるステップ、並びに
(II)前記ステップ (I)の後、該タンパク質又はその部分ペプチドと被検物質との結合 を検出し、それにより、該タンパク質又はその部分ペプチドと結合する被検物質を、 骨疾患又は関節疾患の予防剤及び Z又は治療剤の候補化合物として選択するステ ップ
を含む、(24)記載の方法、
(26) (A)被検物質の存在下、配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配 列を有するタンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、 置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸を細胞に 導入するステップ、
(B)被検物質の存在下、前記ステップ (A)で得られた細胞にぉ ヽて前記核酸を発現 させるステップ、並びに
(C)被検物質の非存在下の場合と比較して、前記核酸の発現の有無を検出し、又は 前記核酸の発現の変動を測定し、それにより、該核酸の発現の変化をもたらす被検 物質を骨疾患又は関節疾患の予防剤及び Z又は治療剤の候補化合物として選択 するステップ
を含む、(24)記載の方法、
(27) (A)被検物質の存在下、配列番号: 18〜33からなる群より選ばれるアミノ酸配 列を有するタンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、 置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸を細胞に
導入するステップ、
(B)被検物質の存在下、前記ステップ (A)で得られた細胞にぉ ヽて前記核酸を発現 させるステップ、並びに
(C)被検物質の非存在下の場合と比較して、前記核酸の発現の上昇を測定し、それ により、該核酸の発現の変化をもたらす被検物質を骨疾患又は関節疾患の予防剤 及び Z又は治療剤の候補化合物として選択するステップ
を含む、(24)記載の方法、
(28) (A)被検物質の存在下、配列番号: 34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を 有するタンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換 若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸を細胞に導入 するステップ、
(B)被検物質の存在下、前記ステップ (A)で得られた細胞にぉ ヽて前記核酸を発現 させるステップ、並びに
(C)被検物質の非存在下の場合と比較して、前記核酸の発現の減少を測定し、それ により、該核酸の発現の変化をもたらす被検物質を骨疾患又は関節疾患の予防剤 及び Z又は治療剤の候補化合物として選択するステップ
を含む、(24)記載の方法、
(29)骨疾患又は関節疾患が軟骨形成異常、骨形成異常、骨粗鬆症、変形性関節 症、慢性関節リウマチ、関節炎、滑膜炎、代謝性関節症又はスポーツによる関節障 害である(24)〜(28) V、ずれかに記載の方法、
(30)配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又 は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された アミノ酸配列を有するタンパク質又はその部分ペプチド又はその塩を含有してなる(2 4)、 (25)及び(29) V、ずれかに記載の方法に使用するためのキット、
(31)被検物質の存在下、配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を 有するタンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換 若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸を含む核酸構 築物を含有してなる(24)、 (26)〜(29) V、ずれかに記載の方法に使用するためのキ
ッ卜、
(32)配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又 は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された アミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸が導入された細胞を含有してなる( 24)、 (26)〜(29) V、ずれかに記載の方法に使用するためのキット、
(33)配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又 は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された アミノ酸配列を有するタンパク質又は部分ペプチド又はその塩に対する抗体を含有 してなる(24)〜(29) V、ずれかに記載の方法に使用するためのキット、
(34) (24)〜(29) V、ずれかに記載の方法により得られる化合物又はその塩、
(35) (34)に記載の化合物又はその塩を有効成分として含有してなる医薬組成物、
(36)骨疾患若しくは関節疾患の治療又は予防に用いる、(35)記載の医薬組成物、
(37)被検対象の個体由来の被検試料における配列番号: 18〜34からなる群より選 ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個の アミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードす る少なくとも 1つの遺伝子の発現レベルを測定するステップを含み、ここで、被検試料 における発現レベル力 正常個体由来又は RA患者由来の対照試料における発現 レベルと異なる場合、該被検試料が、骨疾患又は関節疾患に罹患している疑いがあ る個体由来の試料であることの指標となる、骨疾患又は関節疾患の診断方法、
(38)発現レベル力 配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有す るタンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若し くは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする少なくとも 1つの遺伝子 の mRNA量を指標として測定される、 (37)記載の方法、
(39)発現レベル力 配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有す るタンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若し くは付加されたアミノ酸配列を有する少なくとも 1つのタンパク質又はその部分べプチ ド又はその塩を指標として測定される、 (37)記載の方法、
(40)骨疾患又は関節疾患が、軟骨形成異常、骨形成異常、骨粗鬆症、変形性関節
症、慢性関節リウマチ、関節炎、滑膜炎、代謝性関節症又はスポーツによる関節障 害である(37)〜(39) V、ずれか記載の方法、に関する。
発明の効果
[0030] 本発明で用いられるタンパク質は OA滑膜又は RA滑膜で発現が変化するため、例 えば、滑膜組織の異常が一因となる骨疾患又は関節疾患の診断指標として有用で ある。また、本発明で用いられるタンパク質は、関節痛を症状の一つとし、判別しにく い OAと RAを区別する、 OA又は RAの診断指標として有用である。また、該タンパク 質の活性を調節する化合物又はその塩、該タンパク質遺伝子の発現を調節する化 合物又はその塩、該タンパク質に対する中和抗体、該タンパク質をコードする遺伝子 のアンチセンスヌクレオチドは、該骨疾患若しくは関節疾患の予防剤又は治療剤とし て安全に使用することができる。
図面の簡単な説明
[0031] [図 l]Fibulin— 3遺伝子の発現
発明を実施するための最良の形態
[0032] 本発明は、骨疾患若しくは関節疾患に罹患している疑いがある個体由来の試料の 検出又は選別方法、骨疾患又は関節疾患の診断方法、該検出 ·選別 ·診断方法に 用いる診断薬、骨疾患若しくは関節疾患の治療剤又は予防剤のスクリーニング方法 、該スクリーニング方法に用いるキット、医薬組成物に関するものである。
[0033] 「骨疾患又は関節疾患」とは、例えば、軟骨形成異常、骨形成異常、骨粗鬆症、変 形性関節症、慢性関節リウマチ、関節炎、滑膜炎、代謝性関節症又はスポーツによ る関節障害が挙げられる。本発明は、特に、変形性関節症又は慢性関節リウマチに 対して好適に使用され得る。
[0034] 以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、特に指示のない限り、 遺伝子組換え技術、細胞での組換えタンパク質の生産技術、発現タンパク質の分離 精製法、分析法、分子生物学手法及び免疫学的手法等は、公知の方法が採用され る。
[0035] 本発明の「骨疾患若しくは関節疾患に罹患して 、る疑いがある個体由来の試料の 検出又は選別方法」は、被検対象の個体由来の被検試料におけるタンパク質又は
部分ペプチドをコードする遺伝子の発現レベルを測定することを 1つの特徴とする。 したがって、本発明の検出又は選別方法によれば、被検対象の個体が骨疾患又は 関節疾患に罹患している疑いがある力否かを簡便かつ迅速に検出又は選別すること ができるという優れた効果が発揮される。また、代表的な関節疾患であり、似た症状 を示す OAと RAを区別し、 OA患者又は RA患者由来の試料の検出又は選別するこ とがでさる。
[0036] 前記「個体」としては、特に限定されるものではないが、哺乳動物、特にヒト、マウス 、マウス、サル等が挙げられる。
[0037] 「被検試料」は、例えば、骨疾患又は関節疾患に罹患して 、る疑 、のある個体由来 の組織 (例えば、骨膜、軟骨等)、細胞、関節液、血液、尿等力 慣用の手法により調 製されうる。特に簡便に検査可能な関節液、血液及び尿から調製するのが好ましい。 関節液、血液及び尿は、通常の関節液検査、血液検査及び尿検査と同様の方法で 採取する。対照試料は、正常個体、 RA患者又は OA患者力 被検試料と同様の部 位カゝら調製されたものであればよぐ例えば、被検試料と同様にして同部位より調製 することができる。また、骨疾患又は関節疾患に罹患している疑いのある個体から、 手術時に摘出された組織 (例えば、骨膜、軟骨等)が存在する場合、該組織を慣用 の手法により調整し、使用することもできる。
[0038] 本発明の「検出又は選別方法」は、被検対象の個体由来の被検試料における配列 番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又は該ァミノ 酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配 列を有するタンパク質をコードする少なくとも 1つの遺伝子の発現レベルを測定する ステップを含み、ここで、被検試料における発現レベル力 対照試料における発現レ ベルと異なる場合、該被検試料が、骨疾患又は関節疾患に罹患している疑いがある 個体由来の試料であることの指標となる。配列番号: 1〜17からなる群より選ばれる 塩基配列からなる 17個の遺伝子は、 1個の遺伝子の発現のみにより骨疾患又は関 節疾患の指標となる。特に、正常個体と比べ、 2倍以上の発現の上昇を表す遺伝子 が指標として好ましい。
[0039] 配列番号: 2、 3、 7、 9〜11、 13〜16からなる群より選ばれる塩基配列からなる 10
個の遺伝子は、被検試料における発現レベル力 正常個体及び RA患者における発 現レベルより高くなる場合、 OA患者であると判断可能である。配列番号: 1、 4〜6、 8 、 12からなる群より選ばれる塩基配列力もなる 6個の遺伝子は、被検試料における発 現レベルが、正常個体における発現レベルより高くなり、かつ、 RA患者における発 現レベルより低くなる場合、 OA患者であると判断可能である。配列番号: 17の塩基 配列からなる遺伝子は、被検試料における発現レベル力 正常個体における発現レ ベルより低くなり、かつ、 RA患者における発現レベルより高くなる場合、 OA患者であ ると判断可能である。特に、配列番号: 6又は 13の塩基配列力もなる遺伝子が指標と して好ましい。
[0040] また、配列番号: 1、 4〜6、 8、 12からなる群より選ばれる塩基配列力もなる 6個の遺 伝子は、被検試料における発現レベル力 正常個体及び OA患者における発現レべ ルより高くなる場合、 RA患者であると判断可能である。配列番号: 17の塩基配列力 なる遺伝子は、被検試料における発現レベル力 正常個体及び OA患者における発 現レベルより低くなる場合、 RA患者であると判断可能である。
[0041] 本発明の「検出又は選別方法」において発現レベルを測定する遺伝子にコードさ れている「配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質 」(以下、「本発明のタンパク質」と称することもある)は、ヒトゃ温血動物(例えば、モル モット、ラット、マウス、 -ヮトリ、ゥサギ、ブタ、ヒッジ、ゥシ、サル等)の細胞(例えば、 肝細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、脾臓 j8細胞、骨髄細胞、メサンギゥム細胞 、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、杯細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、繊維 芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞 (例、マクロファージ、 T細胞、 B細 胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、 滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞若しくは間 質細胞、又はこれら細胞の前駆細胞、幹細胞若しくはガン細胞等)若しくはそれらの 細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位 (例、嗅球、扁桃核、大脳基 底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、脾臓、腎 臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管 (例、大腸 、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子
宫、骨、関節、骨格筋等に由来するタンパク質であってもよい。
[0042] 「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列」とは、例え ば、(A)配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列中の 1又は 2個以上( 好ましくは、 1〜30個程度、好ましくは 1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個) のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、(B)配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるァ ミノ酸配列に 1又は 2個以上 (好ましくは、 1〜30個程度、好ましくは 1〜10個程度、さ らに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、(C)配列番号: 18〜 34からなる群より選ばれるアミノ酸配列に 1又は 2個以上 (好ましくは、 1〜30個程度 、好ましくは 1〜: LO個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が挿入されたァ ミノ酸配列、(D)配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列中の 1又は 2 個以上 (好ましくは、 1〜30個程度、好ましくは 1〜10個程度、さらに好ましくは数(1 〜5)個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、又は(E)それらを組み 合わせたアミノ酸配列を含有するタンパク質が挙げられる。アミノ酸配列が挿入、欠 失又は置換されている場合、その挿入、欠失又は置換の位置としては、特に限定さ れない。
[0043] 「遺伝子の発現レベル」は、該遺伝子の mRNA量又はタンパク質の量を指標として 測定するのが好適である。 mRNAの検出を行う分子生物学的測定方法又はタンパ ク質の検出を行う免疫学的測定方法であればいかなる方法でもよい。例えば、分子 生物学的測定方法としてポリメラーゼ連鎖反応法 (PCR)、ノーザンプロット法、ドット プロット法、マイクロアレイ又はマクロアレイを用いた解析方法等が例示され、免疫学 的測定方法としては、マイクロタイタープレートを用いる ELISA法、 RIA法、蛍光抗 体法、ウエスタンプロット法、免疫組織染色法等が例示される。
[0044] 本発明には、発現レベル力 配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配 列を有するタンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、 置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする少なくとも 1つ の遺伝子の mRNA量を指標として測定される方法も包含される。これは、上記の分 子生物学的測定方法にあたる。
[0045] 例えば、配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク
質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加さ れたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする少なくとも 1つの遺伝子を検出しうる 核酸を用いる方法、さらには、該遺伝子が、配列番号: 1〜17からなる群より選ばれる 塩基配列からなる核酸である方法、該遺伝子が、配列番号: 6及び Z又は 13の塩基 配列からなる核酸である方法、配列番号: 35及び Z又は 36の塩基配列力 なる核 酸を用いる方法も包含される。以下に、具体的に記載する。
[0046] 分子生物学的測定方法
PCRの場合、被検対象の個体由来の被検試料を、例えば、前記配列番号: 18〜3 4からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又は該アミノ酸配列におい て 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタ ンパク質をコードする核酸若しくは該核酸に特徴的な部分配列からなる核酸をそれ ぞれ特異的に増幅しうるプライマー対を用いた PCR等に供し、ハイブリッドの形成若 しくはその量又は増幅産物の出現若しくはその量を測定し、対照試料における結果 と比較することにより、本発明のタンパク質の遺伝子の発現レベルを評価することが できる。
[0047] PCRに用いられる「プライマー対」としては、本発明のタンパク質をコードする核酸 若しくは該核酸に特徴的な配列部分からなる核酸の 5 '末端のアンチセンス配列に対 応するプライマーと 3'末端のアンチセンス配列に対応するプライマーとからなるブラ イマ一対等が挙げられる。かかるプライマー対は、使用時における操作性を考慮し、 適切な Tm値、二次構造等に基づき、適宜選択されうる。具体的には、配列番号: 1 〜 17に記載の塩基配列の全部又はその特徴的な部分配列を増幅可能なものである のが好適である。より具体的には、例えば、配列番号: 1〜 17に記載の塩基配列を有 する核酸力 なる群より選ばれたプライマー対等が挙げられる。プライマー対の具体 例としては、特に限定はないが、配列番号: 35と 36とのプライマー対等が挙げられる 。かかるプライマーは、慣用の蛍光色素、放射性物質等で標識されたプライマーであ つてもよい。増幅産物の検出は、慣用のァガロースゲル電気泳動等において、臭化 ェチジゥムゃ蛍光物質による可視化、標識プライマーに基づく検出等を行なうこと等 により行なわれうる。
[0048] 本明細書にぉ 、て、「 (核酸に)特徴的な部分配列」とは、例えば、データベースに 登録された配列のうち、前記本発明のタンパク質をコードする遺伝子以外の遺伝子 の塩基配列には実質的に見出されない部分配列をいい、例えば、データベースに登 録された配列との配列同一性力 通常、 20%以下、好ましくは 10%以下、より好まし くは 5%以下、特に好ましくは 0%である配列を 、う。
[0049] ノーザンプロット法の場合、被検対象の個体由来の被検試料を、例えば、前記配列 番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又は該ァミノ 酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配 列を有するタンパク質をコードする核酸を検出するプローブを用い、ハイブリッドの形 成若しくはその量又は増幅産物の出現若しくはその量を測定し、対照試料における 結果と比較することにより、本発明のタンパク質の遺伝子の発現レベルを評価するこ とがでさる。
[0050] マイクロアレイ又はマクロアレイを用いた解析方法の場合、被検対象の個体由来の 被検試料を、例えば、前記配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を 有するタンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換 若しくは付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする核酸を検出するプロ ーブを少なくとも 1つ以上含んだマイクロアレイ又はマクロアレイを用い、ハイブリッド の形成若しくはその量又は増幅産物の出現若しくはその量を測定し、対照試料にお ける結果と比較することにより、本発明のタンパク質の遺伝子の発現レベルを評価す ることがでさる。
[0051] ノーザンブロット法やマイクロアレイ又はマクロアレイを用いた解析方法に用いられ る「プローブ」としては、配列番号: 1〜17からなる群より選ばれる塩基配列からなる核 酸を検出するために使用される核酸が挙げられる。プローブとして用いられる核酸は 、使用時における操作性を考慮し、適切な Tm値、二次構造等に基づき、適宜選択さ れうる。かかる核酸は、慣用の蛍光色素、放射性物質等で標識されていてもよい。
[0052] 本発明には、発現レベル力 配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配 列を有するタンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、 置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有する少なくとも 1つのタンパク質又はその部
分ペプチド又はその塩を指標として測定される方法も包含される。これは、上記の免 疫学的測定方法にあたる。
[0053] 「タンパク質の部分ペプチド」としては、前記本発明のタンパク質の部分ペプチドで あって、好ましくは、前記本発明のタンパク質と同様の性質を有するものであればい ずれのものでもよい。例えば、本発明のタンパク質の構成アミノ酸配列のうち少なくと も 20個以上、好ましくは 50個以上、さらに好ましくは 70個以上、より好ましくは 100個 以上、最も好ましくは 200個以上のアミノ酸配列を有するペプチド等が用いられる。
[0054] また、「部分ペプチド」は、そのアミノ酸配列中の 1又は 2個以上 (好ましくは、 1〜: LO 個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が欠失し、又は、そのアミノ酸配列 に 1又は 2個以上 (好ましくは、 1〜20個程度、より好ましくは 1〜10個程度、さらに好 ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が付加し、又は、そのアミノ酸配列に 1又は 2個以上( 好ましくは、 1〜20個程度、より好ましくは 1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5) 個)のアミノ酸が挿入され、又は、そのアミノ酸配列中の 1又は 2個以上 (好ましくは、 1 〜: LO個程度、より好ましくは数個、さらに好ましくは 1〜5個程度)のアミノ酸が他のァ ミノ酸で置換されて 、てもよ 、。
[0055] 「タンパク質又は部分ペプチドの塩」としては、生理学的に許容される酸 (例、無機 酸、有機酸)や塩基 (例、アルカリ金属塩)等との塩が用いられ、とりわけ生理学的に 許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸 (例えば、塩酸 、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸 (例えば、酢酸、ギ酸、プロピオ ン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クェン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸 、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩等が用いられる。
[0056] 例えば、配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク 質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加さ れたアミノ酸配列を有する少なくとも 1つのタンパク質又はその部分ペプチド又はそ の塩に対する抗体又はその断片を用いる方法、配列番号: 23及び Z又は 30のァミノ 酸配列を有するタンパク質又は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が 欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を有する少なくとも 1つのタンパク質又は その部分ペプチド又はその塩に対する抗体又はその断片を用いる方法が挙げられ
る。以下に、具体的に記載する。
[0057] 免疫学的測定方法
タンパク質の量を指標とする場合、被検対象の個体由来の被検試料及び対照試料 のそれぞれを、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、本発明のタンパク質に対する抗体又 はその断片を用いたウェスタンプロット解析、前記抗体又はその断片を用いたィムノ アツセィ等に供し、タンパク質の量を測定し、比較することにより、遺伝子の発現レべ ルを評価することができる。
[0058] 「抗体」とは、本発明のタンパク質に対する抗体、その断片等が挙げられる。すなわ ち、前記抗体は、前記本発明のタンパク質に特異的に結合する能力を有するもので あれば、ポリクローナル抗体であってもよぐモノクローナル抗体であってもよい。前記 抗体は、例えば、前記本発明のタンパク質中における特定の部分断片に特異的に 結合しうる抗体であってもよい。前記抗体の作製方法は、下記に具体的に記載する。 また、得られた抗体を精製後、ぺプチダーゼ等により処理することにより、抗体の断片 が得られる。さらに、前記抗体の誘導体、例えば、キメラ抗体、ヒト化抗体、 Fabフラグ メント、単鎖抗体等や公知技術により修飾された抗体等を使用することもできる。かか る抗体又はその断片は、慣用の酵素(例えば、ペルォキシダーゼ等)、蛍光色素、放 射性物質、アビジン若しくはピオチン等で標識されて 、てもよ 、。
[0059] (i)ポリクローナル抗体の作製
本発明のタンパク質の一部のアミノ酸配列を有するペプチドを抗原として用い、動 物に投与することによりポリクローナル抗体を作製することができる。
投与する動物として、ゥサギ、ャギ、ラット、マウス、ハムスター等を用いることができ る。該抗原の投与量は動物 1匹当たり 50〜: LOO /z gが好ましい。ペプチドを用いる場 合は、ペプチドをスカシガイへモシァ-ン(keyhole limpet haemocyanin)ゃ牛チログ口 ブリン等のキャリアタンパク質に共有結合させたものを抗原とするのが望まし 、。抗原 とするペプチドは、ペプチド合成機で合成することができる。該抗原の投与は、 1回目 の投与の後 1〜2週間おきに 3〜10回行う。各投与後、 3〜7日目に眼底静脈叢より 採血し、該血清が免疫に用いた抗原と反応することを酵素免疫測定法〔酵素免疫測 定法(ELISA法):医学書院刊 1976年、 Antibodies- A Laboratory Manual, Cold Sp
ring Harbor Lavoratory (1988)〕等で確認する。
免疫に用いた抗原に対し、その血清が充分な抗体価を示した非ヒトほ乳動物より血 清を取得し、該血清より、下記方法によりポリクローナル抗体を分離、精製することが できる。抗体を分離、精製する方法としては、遠心分離、 40〜50%飽和硫酸アンモ -ゥムによる塩析、力プリル酸沈殿 [Antibodies, A Laboratory manual.Cold Spring Ha rbor Laboratory, (1988)〕、又は DEAE—セファロースカラム、陰イオン交換カラム、 プロテイン A又は G—力ラムあるいはゲル濾過カラム等を用いるクロマトグラフィー等 を、単独又は組み合わせて処理する方法があげられる。
(ii)モノクローナル抗体の作製
(a)抗体産生細胞の調製
免疫に用いた本発明のタンパク質の部分断片ポリペプチドに対し、その血清が十 分な抗体価を示したラットを抗体産生細胞の供給源として供する。
該抗体価を示したラットに抗原物質を最終投与した後 3〜7日目に、脾臓を摘出す る。 該脾臓を MEM培地(日水製薬社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、 1, 200rp mで 5分間遠心分離した後、上清を捨てる。得られた沈殿画分の脾細胞をトリス一塩 化アンモ-ゥム緩衝液 (pH7. 65)で 1〜2分間処理し赤血球を除去した後、 MEM 培地で 3回洗浄し、得られた脾細胞を抗体産生細胞として用いる。
(b)骨髄腫細胞の調製
骨髄腫細胞としては、マウス又はラットから取得した株化細胞を使用する。例えば、 8—ァザグァニン耐性マウス(BALB/c由来)骨髄腫細胞株 P3- X63Ag8- U1 (以下、 P3 — U1と略す)〔Curr. Topics. Microbiol. Immunol, 81, 1 (1978)、 Europ. J. Immunol, 6, 511 (1976)] , SP2/0-Agl4(SP-2) [Nature, 276,269 (1978)〕、 P3— X63— Ag8653(653) [J. Immunol, 123, 1548 (1979)]、 P3-X63-Ag8(X63丌 Nature, 256, 495 (1975)〕等を 用いることができる。これらの細胞株は、 8—ァザグァニン培地〔RPMI-1640培地にグ ルタミン(1. 5mM)、 2—メルカプトエタノール(5 X 10- 5M)、ジェンタマイシン(10 gZml)及び牛胎児血清 (FCS) (CSL社製、 10%)を加えた培地 (以下、正常培地と いう)に、さらに 8—ァザグァニン(15 gZml)をカ卩えた培地〕で継代する力 細胞融 合の 3〜4日前に正常培地で培養し、融合には該細胞を 2 X 107個以上用いる。
(c)ハイプリドーマの作製
(a)で取得した抗体産生細胞と (b)で取得した骨髄腫細胞を MEM培地又は PBS ( リン酸ニナトリウム 1. 83g、リン酸一カリウム 0. 21g、食塩 7. 65g、蒸留水 1リットル 、 pH7. 2)でよく洗浄し、細胞数が、抗体産生細胞:骨髄腫細胞 = 5〜: LO : lになるよ う混合し、 1, 200rpmで 5分間遠心分離した後、上清を捨てる。
得られた沈澱画分の細胞群をよくほぐし、該細胞群に、攪拌しながら、 37°Cで、 108 抗体産生細胞あたり、ポリエチレングライコ一ルー 1000 (PEG— 1000) 2g、 MEM 2ml及びジメチルスルホキシド(DMSO) O. 7mlを混合した溶液を 0. 2〜: Lml添カロし 、更に 1〜2分間毎に MEM培地 l〜2mlを数回添加する。添加後、 MEM培地をカロ えて全量が 50mlになるように調製する。該調製液を 900rpmで 5分間遠心分離後、 上清を捨てる。得られた沈殿画分の細胞を、ゆるやかにほぐした後、メスピペットによ る吸込み、吹出しでゆるやかに HAT培地〔正常培地にヒポキサンチン(10— 4M)、チミ ジン(1. 5 X 10— 5M)及びアミノプテリン (4 X 10— 7M)をカ卩えた培地〕 100ml中に懸濁 する。
該懸濁液を 96穴培養用プレートに 100 1Z穴ずつ分注し、 5% COインキュベー
2
ター中、 37°Cで 7〜14日間培養する。培養後、培養上清の一部をとりアンチボディィ ズ L Antibodies, A Laboratorymanuai,し old Spring Harbor Laboratory, chapter 1 (l 988)〕等に述べられている酵素免疫測定法により、本発明のタンパク質の部分断片 ポリペプチドに特異的に反応するハイブリドーマを選択する。
[0061] 抗体は、例えば、 OA又は RA患者由来の試料を検出するための方法において使用 され得る。このような方法は、抗体を使用して、適切な生物学的サンプルにおける本 明細書に記載の本発明のタンパク質の存在又は非存在を検出することを包含する。 本明細書中に使用される適切な生物学的サンプルは、患者から取得した滑膜液又 は正常糸且織生検、これらのホモジェネート又は抽出物を含む。
[0062] サンプル中のタンパク質を検出するための抗体の使用について、当業者に公知の 種々のアツセィ开式が存在する。例えば、 Harlow及び Lane, Anti bodies: A Laborator y Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988を参照のこと。免疫学的検出法とし ては、 ELISA法'蛍光抗体法、ウェスタンプロット法、免疫組織染色法等をあげること
ができる。ウェスタンブロット形式において行う場合には、生物学的サンプル由来の ポリペプチド調製物は、ゲル電気泳動に供され、適切なメンブレンに移され、そして 抗体と反応させられる。次いで、メンブレン上の抗体の存在は、下記のように、適切な 検出試薬を用いて検出され得る。
[0063] 別の実施態様にお!、て、検出方法は、タンパク質と結合し、そしてこれをサンプル の残りから取り出すための固相支持体に固定された抗体の使用を包含する。次いで 、結合タンパク質は、レポーター基を有する二次抗体又は試薬を用いて検出され得 る。あるいは、タンパク質がレポーター基で標識され、そして抗体とサンプルとのイン キュベーシヨン後、固定抗体と結合させられる、競合アツセィが使用され得る。サンプ ルの成分が標識タンパク質と抗体との結合を阻害する程度が、サンプルの固定抗体 との反応性を示し、そして結果として、サンプル中のタンパク質の濃度を示す。
[0064] 固相支持体は、抗体が付着し得る、当業者に公知の、任意の物質であり得る。固相 支持体は、例えば、マイクロタイタープレートの試験ゥエル、若しくは-トロセルロース フィルター、若しくは他の適切なメンブレンであり得る。あるいは、支持体は、ビーズ又 はディスク(例えば、ガラス、ガラス繊維、ラテックス又は可塑性物質 (例えば、ポリスチ レン又はポリ塩ィ匕ビ二ル))であり得る。支持体はまた、磁性粒子又は繊維光学センサ 一(例えば、米国特許第 5,359,681号に開示される)であり得る。
[0065] 抗体は、特許文献及び科学文献に詳細に記載されている、当業者に公知の種々 の技術を用いて、固相支持体に固定され得る。本発明の文脈において、用語「固定」 は、非共有的会合 (例えば、吸着)及び共有的付着 (抗原と支持体上の官能基との 間の直接的連結であり得る力、又は架橋剤による連結であり得る)の両方をいう。マイ クロタイタープレートのゥエル又はメンブレンへの吸着による固定が好ましい。このよう な場合において、吸着は、適切な緩衝液中の抗体を支持体と適切な時間の間接触 させることにより達成され得る。接触時間は、温度により変化するが、代表的には、約 1時間と 1日の間である。一般的に、ブラスティックマイクロタイタープレート(例えば、 ポリスチレン又はポリ塩化ビュル)のゥヱルと、約 10ngから約 1 μ g、及び好ましくは約 1 00〜200ngの範囲の量の抗体との接触力 適切な量のタンパク質を固定するに十分 である。
[0066] 抗体の固相支持体への共有的付着はまた、一般的に、支持体と抗体上の官能基( 例えば、水酸基又はアミノ基)の両方に反応する二官能性薬剤と支持体をまず反応 させることにより達成され得る。例えば、抗体は、適切なポリマーコートを有する支持 体に、ベンゾキノンを用いるか又は支持体上のアルデヒド基と結合パートナー上のァ ミン及び活性水素との縮合により、共有的に付着され得る(例えば、 Pierce Immunote chnology Catalog and Handbook (199 1) A12〜A13を参照のこと)。
[0067] 特定の実施態様において、サンプル中のタンパク質の検出のためのアツセィは、二 抗体サンドイッチアツセィである。このアツセィは、まず、固相支持体 (通常、マイクロタ イタ一プレートのゥエル)に固定されている抗体と、生物学的サンプルとを、サンプル 中のポリペプチドが固定された抗体に結合するように接触させることにより行われ得る 。次いで、非結合サンプルは、固定されたポリペプチド 抗体複合体力 除去され、 そしてポリペプチド上の異なる部位に結合し得る二次抗体 (レポーター基を含む)が 添加される。次いで、固相支持体に結合したままの二次抗体の量は、特定のレポ一 ター基に適切な方法を用いて決定される。
[0068] より詳細には、ー且抗体が支持体上に上記のように固定されると、支持体上の残り のポリペプチド結合部位は代表的にはブロックされる。任意の適切なブロッキング剤 ( 例えば、ゥシ血清アルブミン又は Tween 20TM(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)) は、当業者に公知である。次いで、固定抗体はサンプルと共にインキュベートされ、 そしてポリペプチドは抗体に結合させられる。サンプルは、インキュベーションの前に 適切な希釈剤 (例えば、リン酸緩衝化生理食塩水 (PBS))で希釈され得る。一般的に 、適切な接触時間(すなわち、インキュベーション時間)は、乳癌を有する個体から得 られたサンプル中のポリペプチドの存在を検出するに十分な時間である。好ましくは 、接触時間は、結合ポリペプチド及び非結合ポリペプチドとの間の平衡で達成される 結合レベルの少なくとも 95%の結合のレベルを達成するに十分な時間である。当業 者は、平衡を達成するに必要な時間は、一定時間にわたって生じる結合のレベルを アツセィすることにより容易に決定されることを理解する。室温にて、約 30分間のイン キュベーシヨン時間が一般的に十分である。
[0069] 次 、で、結合して!/、な 、サンプルは、固相支持体を適切な緩衝液 (例えば、 0.1 %T
ween 20TMを含む PBS)で洗浄することにより除去され得る。次いで、レポーター基を 有する二次抗体が、固相支持体に添加され得る。好ましいレポーター基は、酵素(例 えば、西洋ヮサビペルォキシダーゼ)、基質、補因子、インヒビター、色素、放射性核 種、発色基、蛍光基、及びピオチンを含む。抗体とのレポーター基との結合は、当業 者に公知の標準的方法を用いて達成され得る。
[0070] 次いで、二次抗体は、固定抗体-ポリペプチド複合体と共に、結合したポリペプチド を検出するに十分な時間インキュベートされる。適切な時間は、一般的に、所定の時 間にわたって生じる結合のレベルをアツセィすることにより決定され得る。次いで、結 合して!/、な!/、二次抗体が除去され、そして結合した二次抗体はレポーター基を用い て検出される。レポーター基を検出するために用いられる方法は、レポーター基の性 質に依存する。放射活性基については、シンチレーシヨン計数法又はオートラジオグ ラフィ一法が一般的に適切である。分光法は、色素、発色基及び蛍光基を検出する ために使用され得る。ピオチンは、異なるレポーター基 (通常は、放射活性基若しく は蛍光基又は酵素)に結合されたアビジンを用いて検出され得る。酵素レポーター 基は、一般的に、基質の添加 (一般的に特定の時間の間)、続く反応産物の分光分 析又は他の分析により検出され得る。
[0071] 疾患の存在又は非存在を決定するために、固相支持体に結合したままのレポータ 一基力 検出されるシグナルは、一般的に、正常組織力も確立された事前に決定さ れたカットオフ値に対応するシグナルと比較される。 1つの好ま 、実施態様にお!ヽ て、カットオフ値は、固定抗体が骨疾患又は関節疾患を有さない患者由来のサンプ ルとインキュベートされる場合に得られる平均シグナルである。一般的に、事前に決 定されるカットオフ値を 3標準偏差越えるシグナルを生じるサンプルは、骨疾患又は 関節疾患について陽性と考えられ得る。別の好ましい実施態様において、カットオフ 値は、 Sackettら、し linical Epidemiology: A Basic science forし linical Medicene 10り- 7 頁、(Little Brown and Co, 1985)の方法に従う Receiver Oparator Curveを用いて決 定される。簡潔に述べると、この実施態様においては、カットオフ値は、診断試験結 果についてそれぞれの可能なカットオフ値に対応する真の陽性率 (すなわち、感度) と偽陽性率(100%特異性)との対をプロットすることにより決定され得る。プロット上の
左上角に最も近いカットオフ値 (すなわち、最も大きな面積を囲む値)力 最も正確な カットオフ値であり、この方法により決定されるカットオフ値よりも高いシグナルを生じ るサンプルは、陽性であると考えられ得る。あるいは、カットオフ値は、偽陽性率を最 少にするためにプロットに沿って左に、又は偽陰性率を最少にするために右にシフト され得る。
[0072] 関連する実施態様にお!、て、フロースルー試験又はストリップ試験形式にぉ 、て本 発明のタンパク質の検出が行われる。ここで、抗体はメンブレン (例えば、ニトロセル口 ース)に固定されている。フロースルー試験において、サンプル中のポリペプチドは、 サンプルカ^ンプレンを通り抜けると、固定抗体に結合する。次いで、標識した二次 抗体が、二次抗体を含む溶液カ^ンプレンを通って流れると抗体 ポリペプチド複合 体に結合する。次いで、結合した二次抗体の検出は、上記のように行われ得る。ストリ ップ試験形式においては、抗体が結合しているメンブレンの一方の端力 サンプルを 含む溶液に浸される。サンプルは、二次抗体を含む領域を通り、そして固定抗体の 範囲へメンブレンに沿って移動する。固定抗体の範囲での二次抗体の濃度力 骨疾 患又は関節疾患の存在を示す。代表的には、この部位での二次抗体の濃度は、視 覚的に読み取り得るパターン (例えば、線)を生じる。このようなパターンが存在しなけ れば、結果が陰性であることが示される。一般的に、メンブレン上に固定される抗体 の量は、生物学的サンプル力 上で議論した形式の二抗体サンドイッチアツセィにお いて陽性のシグナルを生じるに十分なレベルのポリペプチドを含む場合に、視覚的 に判別し得るパターンを生じるように選択される。好ましくは、メンブレン上に固定され る抗体の量は、約 25ng〜約 1 μ gの範囲であり、そしてより好ましくは約 50ng〜約 1 μ gの範囲である。このような試験は、代表的には、非常に少量の生物学的サンプルを 用いて行われ得る。
[0073] さらに、本発明の骨疾患若しくは関節疾患に罹患している疑いがある個体由来の 試料の検出又は選別方法は、骨疾患若しくは関節疾患の診断方法にも使用すること ができる。このような診断方法も、本発明に包含される。本発明の診断方法を、簡便、 迅速に、高処理量で、高い信頼性で行ないうる、前記プローブ及び Z又はプライマ 一対を含有した診断薬、又は前記タンパク質に対する抗体若しくはその断片を含有
した診断薬が提供される。
[0074] 例えば、以下の診断薬も本発明の範囲内である。
配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又 は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された アミノ酸配列を有するタンパク質をコードする少なくとも 1つの遺伝子を検出しうる核 酸を含有してなる骨疾患若しくは関節疾患の診断薬、
該遺伝子が、配列番号: 1〜17からなる群より選ばれる塩基配列からなる核酸 である骨疾患若しくは関節疾患の診断薬、
該遺伝子が、配列番号: 6及び Z又は 13の塩基配列からなる核酸である骨疾 患若しくは関節疾患の診断薬の診断薬、
配列番号: 35及び Z又は 36の塩基配列力もなる核酸を含有してなる、骨疾患 若しくは関節疾患の診断薬、
配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又 は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された アミノ酸配列を有する少なくとも 1つのタンパク質又はその部分ペプチド又はその塩 に対する抗体又はその断片を含有してなる、骨疾患若しくは関節疾患の診断薬、
- 配列番号: 23及び Z又は 30のアミノ酸配列を有するタンパク質又は該アミノ酸 配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列 を有する少なくとも 1つのタンパク質又はその部分ペプチド又はその塩に対する抗体 又はその断片を含有してなる、骨疾患若しくは関節疾患の診断薬。
[0075] 本発明の診断薬には、検出用試薬、緩衝液、対照試料、本発明の診断方法の説 明書等をさらに含有させてもよい。
[0076] また、本発明は、以下のスクリーニング方法も包含する。
配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又 は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された アミノ酸配列を有するタンパク質をコードする少なくとも 1つの遺伝子を用いることを特 徴とする骨疾患又は関節疾患の予防剤及び Z又は治療剤のスクリーニング方法、 配列番号: 18〜34からなる群より選ばれるアミノ酸配列を有するタンパク質又
は該アミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された アミノ酸配列を有する少なくとも 1つのタンパク質若しくはその部分ペプチド又はその 塩を用いることを特徴とする骨疾患又は関節疾患の予防剤及び Z又は治療剤のスク リーニング方法。
[0077] スクリーニング方法に使用するタンパク質は、ヒトゃ温血動物の細胞若しくはそれら の細胞が存在するあらゆる組織等に由来するタンパク質であってもよぐ合成タンパ ク質であってもよい。「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミ ノ酸配列」を有するタンパク質は、前記の「検出又は選別方法」において発現を測定 されるタンパク質と同意義である。
[0078] 本発明のタンパク質の製造方法
本発明のタンパク質は、モレキュラ^ ~ ·クロー-ング第 2版、カレント 'プロトコールズ' イン'モレキュラー 'バイオロジーサプルメント 1〜38等に記載された方法等を用い、 例えば以下の方法により、タンパク質をコードしている遺伝子を宿主細胞中で発現さ せ、製造することができる。
[0079] タンパク質をコードする全長 DNAを基にして、必要に応じて、該タンパク質をコード する部分を含む適当な長さの DNA断片を調製する。また、該タンパク質をコードする 部分の塩基配列を、宿主の発現に最適なコドンとなるように、塩基を置換した DNAを 調製する。該 DNAは該タンパク質の生産率を向上させる上で有用である。該 DNA 断片、又は全長 DNAを適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することに より、組換え体 DNA (組換えベクター)を作製する。該組換えベクターを、該発現べク ターに適合した宿主細胞に導入することにより、タンパク質を生産する形質転換体を 得ることができる。
[0080] 宿主細胞としては、原核細胞、酵母、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞等、 目的とす る遺伝子を発現できるものであればいずれも用いることができる。発現ベクターとして は、上記宿主細胞において自立複製が可能、又は染色体中への組込みが可能で、 本発明のタンパク質の遺伝子の転写に適した位置にプロモーターを含有しているも のが用いられる。
[0081] (i)細菌等の原核生物を宿主細胞として用いる場合
本発明のタンパク質の発現ベクターは、原核生物中で自立複製可能であると同時 に、プロモーター、リボソーム結合配列、本発明のタンパク質、転写終結配列、より構 成されて!/ヽることが好まし ヽ。プロモーターを制御する遺伝子が含まれて!/ヽてもよ!/、。 発現ベクターとしては、例えば、 pBTrp2、 pBTacl、 pBTac2 (いずれもベーリンガー マンハイム社より巿販)、 PKK233- 2 (フアルマシア社)、 pSE280 (インビトロジェン社)、 pGEMEX-Ι〔プロメガ (Promega)社製〕、 pQE- 8 (キアゲン (QIAGEN)社製)、 pKYPIO ( 特開昭 58- 110600)、 pKYP200〔Agric. Biol. Chem., 48, 669(1984)〕、 pLSAl [Agric. B iol. Chem., 53, 277 (1989)〕、 pGELl〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 4306 (1985)〕、 pBluescript II SK+ (ストラタジーン社製)、 pBluescript II SK (-) (ストラタジーン社製)、 p Trs30 (FERM BP- 5407)、 pTrs32(FERM BP- 5408)、 pGHA2(FERM BP- 400)、 pGKA2 (FERM B- 6798)、 pTerm2 (特開平 3- 22979、 US4686191、 US4939094, US5160735) , pEG400 [J. BacterioL, 172, 2392 (1990)〕、 pGEX (フアルマシア社製)、 pETシステム( ノバジェン社製)、 pSupex、 pUB110、 pTP5、 pC194、 pTrxFus (Invitrogen社製)、 pMA L-c2 (New England Biolabs社製)、 pUC19〔Gene, 33, 103 (1985)〕、 pSTV28 (宝酒造 社製)、 pUC118 (宝酒造社製)、 pPAl (特開昭 63-233798)等を例示することができる プロモーターとしては、大腸菌等の宿主細胞中で発現できるものであればいかなる ものでもよい。例えば、 trpプロモーター(Ptrp)、 lacプロモーター(Plac)、 PLプロモー ター、 PRプロモーター、 PSEプロモーター等の、大腸菌やファージ等に由来するプロ モーター、 S P01プロモーター、 SP02プロモーター、 penPプロモーター等をあげるこ とができる。また Ptrpを 2つ直列させたプロモーター(Ptrp x2)、 tacプロモーター、 lacT 7プロモーター、 let Iプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーター等も 用!/、ることができる。
リボソーム結合配列であるシャイン一ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列と開始コドンと の間を適当な距離 (例えば 6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ま Uヽ 。本発明のタンパク質の遺伝子の発現には転写終結配列は必ずしも必要ではな ヽ が、構造遺伝子直下に転写終結配列を配置することが好ま Uヽ。
宿主細胞としては、ェシエリヒア属、セラチア属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、
コリネバクテリウム属、ミクロバクテリウム属、シユードモナス属等に属する微生物、例 は、 Escherichia coli XLl— Blue、 Escherichia coli XL2— Blue、 Escherichia coli DH1、 Escherichia coli MC1000、 Escherichia coli KY3276、 Eschericnia coli W1485、 Escher icnia coli JM109、 Escherichia coli HB101、 Escherichia coli No.49、 Escherichia coli W3110、 Escherichia coli NY49、 Escherichia coli BL21(DE3)、 Escherichia coli BL21( DE3)pLysS、 Escherichia coli HMS174(DE3)、 Escherichia coli HMS174(DE3)pLysS、 S erratia ficaria、 Serratia fonticola、 Serratia liquefaciens、 Serratia marcescens、 Bacillus subtilis、 Bacillus amyloliquefaciens、 Brevibacterium ammmoniagenes、 Brevibacteriu m immariophilum ATCC 14068、 Brevibacterium saccharolyticumATCC 1406b、 Coryn ebacterium glutamicum ATCC13032、 Corynebacterium glutamicum ATCC14067、 C orynebacterium glutamicum ATCC13869、 Corynebacterium acetoacidophilum ATCC 13870、 Microbacterium ammoniaphilum ATCC15354、 Pseudomonas sp. D- 0110等を あげることができる。
組換えベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へ DNAを導入する方法であれ ばいずれも用いることができ、例えば、エレクト口ポレーシヨン法 [Nucleic Acids Res., 16, 6127 (1988)〕、カルシウムイオンを用いる方法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69, 2 110 (1972)〕、プロトプラスト法(特開昭 63- 2483942)、 Gene, 17, 107 (1982)や Molecul ar & General Genetics, 168, 111 (1979)に記載の方法等をあげることができる。
(ii)酵母を宿主細胞として用いる場合
酵母菌株を宿主細胞として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、 YEpl3 ( ATCC37115)、 YEp24 (ATCC37051)、 YCp50 (ATCC37419)、 pHS19、 pHS15等を例 示することができる。プロモーターとしては、酵母菌株中で発現できるものであればい かなるものでもよぐ例えば、 PH05プロモーター、 PGKプロモーター、 GAPプロモータ 一、 ADHプロモーター、 gal 1プロモーター、 gal 10プロモーター、ヒートショックタンパ ク質プロモーター、 MF a 1プロモーター、 CUP 1プロモーター等をあげることができる 宿主細胞としては、サッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、クルイべ口ミセス 属、トリコスポロン属、シヮ-ォミセス属、ピチア属等に属する酵母菌株をあげることが
でき、具体的には、 Saccharomyces cerevisiae、 schizosaccharomyces pombe、 Kluyver omyces lactis、 richosporon pullulans、 Schwanniomyces alluvius、 Pichia pastoris等を あげることができる。組換えベクターの導入方法としては、酵母に DNAを導入する方 法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクト口ポレーシヨン法 [Methods. E nzymol, 194, 182 (1990)〕、スフエロプラスト法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA.84, 1929 (1978)〕、酢酸リチウム法〔J. BacterioL, 153, 163(1983)〕、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA , 75, 1929 (1978)記載の方法等をあげることができる。
(iii)動物細胞を宿主細胞として用いる場合
動物細胞を宿主細胞として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、 pcDN Al/Amp, pcDNAI、 pCDM8 (いずれもフナコシ社より市販)、 pAGE107〔特開 平 3— 22979、 Cytotechnology, 3, 133 (1990)〕、 pCR— Bluntll— TOPO、 pR ΕΡ4 (インビトロジェン社製)、 pAGE103〔J. Biochem., 101, 1307 (1987)〕、 pAMo、 pAMoA [J. Biol. Chem., 268, 22782-22787 (1993)、別名 pAMoPRSA (特開平 05- 336963)〕、 pAS3— 3 (特開平 2- 227075)、 pHM6、 pHB6 (ロシュダイァグノスティッ タス社製)、 PKK223— 3、 pGEX (アマシャムバイオテク社製)、 pET— 3、 pET— 11 、 pBluescriptll (登録商標) SK ( + )ゝ pBluescriptll (登録商標) SK (—)(ストラ タジーン社製)、 pUC19、 pTrxFus (インビトロジェン社製)、 pUC118、 pSTV28 (タ カラバイオ社製)、 pMAL— c2X (ニューイングランドバイオラボ社製)等を例示するこ とができる。使用されるベクターとしては、前記遺伝子を組み込んで動物細胞で発現 できるベクターであれば 、ずれでもよ 、。
プロモーターとしては、動物細胞中で発現できるものであればいずれも用いることが でき、例えば、サイトメガロウィルス(ヒト CMV)の IE (immediateearly)遺伝子のプロモ 一ター、 SV40の初期プロモーター、モロ-^ ~ ·ミュリン'ロイケミア'ウィルス(Moloney Murine Leukemia Virus)のロング'ターミナノレ'リピート 'プロモーター (Long Terminal Repeat Promoter) ,レトロウイノレスのプロモーター、ヒートショックプロモーター、 SR a プロモーター、あるいはメタ口チォネインのプロモーター等をあげることができる。また 、ヒト CMVの IE遺伝子のェンハンサーをプロモーターと共に用いてもよ!、。
宿主細胞としては、マウス'ミエローマ細胞、ラット 'ミエローマ細胞、マウス'ハイブリ
ドーマ細胞、チャイニーズ'ノ、ムスターの細胞である CHO細胞、 BHK細胞、アフリカミ ドリザル腎臓細胞、ヒトの細胞である Namalwa細胞又は Namalwa KJM-1細胞、ヒト胎児 腎臓細胞、ヒト白血病細胞、 HBT5637 (特開昭 63— 299)、ヒト大腸癌細胞株等をあげ ることができる。マウス'ミエローマ細胞としては、 SP2/0、 NSO等、ラット 'ミエローマ細 胞としては YB2/0等、ヒト胎児腎臓細胞としては HEK293(ATCC: CRL-1573)等、ヒト 白血病細胞としては BALL-1等、アフリカミドリザル腎臓細胞としては COS-l、 COS-7 、ヒト大腸癌細胞株としては HCT-15等をあげることができる。
組換えベクターの導入方法としては、動物細胞に DNAを導入する方法であれば ヽ ずれも用いることができ、例えば、エレクト口ポレーシヨン法〔Cytotechnology, 3, 133 ( 1990)〕、リン酸カルシウム法(特開平 2- 227075)、リボフヱクシヨン法〔Proc. Natl. Acad . Sci. USA, 84, 7413 (1987)〕、 virology, 52, 456 (1973)に記載の方法等をあげること ができる。
(iv)植物細胞を宿主細胞として用いる場合
植物細胞又は植物個体を宿主として用いる場合には、公知の方法〔組織培養, 20 ( 1994)、組織培養, 21 (1995)、 Trends in Biotechnology, 15, 45 (1997)]に準じてタン ノ ク質を生産することができる。発現ベクターとして、例えば、 Tiプラスミド、タバコモ ザイクウィルスベクター等をあげることができる。
遺伝子発現に用いるプロモーターとしては、植物細胞中で発現できるものであれば いずれも用いることができ、例えば、カリフラワーモザイクウィルス(CaMV)の 35Sプロ モーター、ィネアクチン 1プロモーター等をあげることができる。また、プロモーターと 発現させる遺伝子の間に、トウモロコシのアルコール脱水素酵素遺伝子のイントロン 1 などを挿入することにより、遺伝子の発現効率をあげることもできる。
宿主細胞としては、ポテト、タバコ、トウモロコシ、イネ、アブラナ、大豆、トマト、ニン ジン、小麦、大麦、ライ麦、アルファルファ、亜麻等の植物細胞等をあげることができ る。
組換えベクターの導入方法としては、植物細胞に DNAを導入する方法であれば ヽ ずれも用いることができ、例えば、ァグロバタテリゥム (Agrobacterium) (特開昭 59- 140 885、特開昭 60-70080、 WO94/00977)、エレクト口ポレーシヨン法(特開昭 60-251887
)、パーティクルガン (遺伝子銃)を用いる方法 (特許第 2606856、特許第 2517813)等 をあげることができる。
(V)昆虫細胞を宿主細胞として用いる場合
昆虫細胞を宿主として用いる場合には、例えば、バキュロウィルス'イクスプレツショ ン'へグタ ~~ス /' ·フホフトリ ~~ 'マ二ユ ノレ LBaculovirus Expression Vectors, A Labor atory Manual, W. H. Freeman and Company, NewYork (1992)]、モレキュフ ~~ ·ノ ィ ォロジ一ァ'ラボラトリー 'マ-ユアノレ (Molecular Biology, A Laboratory Manual)、力 レント.プロトコ一ルズ.イン.モレキュラ^ ~ ·バイオロジーサプルメント 1〜38 (Current Protocols in Molecular Biology)、 Bio/Technology, 6, 47 (1988)等に記載された方法 によって、タンパク質を発現することができる。
即ち、組換え遺伝子導入ベクター及びバキュロウィルスを昆虫細胞に共導入して昆 虫細胞培養上清中に組換えウィルスを得た後、さらに組換えウィルスを昆虫細胞に 感染させ、タンパク質を発現させることができる。該方法において用いられる遺伝子 導入ベクターとしては、例えば、 pVL1392、 pVL1393、 pBlueBacIII (すべてインビトロジ ェン社製)等をあげることができる。
バキュロウィルスとしては、例えば、夜盗蛾科昆虫に感染するウィルスであるアウトグ ラファ 'カリフオル-力'ヌクレア一'ポリへドロシス'ウィルス (Autographa californica nu clear polyhedrosis virus;等を用 ヽること »でさ 。
昆虫細胞としては、 Spodoptera frugiperdaの卵巣細胞、 Trichoplusia niの卵巣細胞 、カイコ卵巣由来の培養細胞等を用いることができる。 Spodoptera frugiperdaの卵巣 細胞としては S19、 S1 1 (バキュロウィルス'イクスプレツシヨン'ベクターズァ 'ラボラトリ ~ ·マニュアル)等、 Trichoplusia niの卵巣細胞としては High 5、 BTI-TN-5Bl-4 (イン ビトロジェン社製)等、カイコ卵巣由来の培養細胞としては Bombyx mori N4等をあげ ることがでさる。
組換えウィルスを調製するための、昆虫細胞への上記組換え遺伝子導入ベクター と上記バキュロウィルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法 (特開平 2 -227075)、リポフエクシヨン法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84,7413 (1987)〕等をあげ ることがでさる。
また、動物細胞に DNAを導入する方法と同様の方法を用いて、昆虫細胞に DNA を導入することもでき、例えば、エレクト口ポレーシヨン法〔Cytotechnology, 3, 133 (19 90)〕、リン酸カルシウム法(特開平 2- 227075)、リボフヱクシヨン法〔Proc. Natl. Acad. S ci. USA, 84, 7413 (1987)〕等をあげることができる。
[0086] (vi)培養方法
本発明のタンパク質をコードする DNAを組み込んだ組換え体ベクターを保有する 形質転換体が、大腸菌、酵母、動物細胞あるいは植物細胞等の細胞の場合、各種 宿主に適した通常の培養方法に従って培養し、該タンパク質を産生 '蓄積させ、形質 転換体又は培養液より該タンパク質を回収することにより、該タンパク質を製造するこ とができる。形質転換体が、動物個体又は植物個体の場合、各種宿主に適した通常 の生育方法に従って飼育又は栽培し、該タンパク質を産生 ·蓄積させ、該動物個体 又は植物個体より該タンパク質を回収することにより、該タンパク質を製造することが できる。
宿主が動物個体の場合、例えば、本発明のポリヌクレオチドを保有する非ヒトトラン スジエニック動物を飼育し、該組換え体 DNAのコードする本発明のタンパク質のタン パク質を該動物中に産生 ·蓄積させ、該動物個体中から該タンパク質を回収すること により、本発明のタンパク質のタンパク質を製造することができる。動物個体中の産生 •蓄積場所としては、例えば、該動物のミルク、唾液、卵等を挙げることができる。 宿主が植物個体の場合、例えば、本発明のタンパク質のポリヌクレオチドを保有す るトランスジエニック植物を栽培し、該組換え体 DNAのコードする本発明のタンパク 質のタンパク質を該植物個体中に産生 ·蓄積させ、植物個体中から該タンパク質を 回収することにより、本発明のタンパク質のタンパク質を製造することができる。
宿主が大腸菌等の原核生物又は酵母等の真核生物である場合、例えば、本発明 のポリヌクレオチドを保有する形質転換体を培地中で培養し、該組換え体 DNAのコ ードする本発明のタンパク質を培養液に産生 ·蓄積させ、該培養液力 該タンパク質 を回収することにより、本発明のタンパク質を製造することができる。
[0087] 本発明の本発明のタンパク質の形質転換体を培地で培養する方法は、宿主の培 養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。
大腸菌等の原核生物あるいは酵母等の真核生物を宿主として得られた形質転換 体を培養する培地としては、該生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含 有し、形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のい ずれを用いてもよい。
形質転換体が大腸菌等の原核生物あるいは酵母等の真核生物である場合、得ら れた形質転換体を培養する培地としては、宿主が資化し得る炭素源、窒素源、無機 塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合 成培地の 、ずれを用いてもょ 、。宿主が大腸菌である形質転換体を培養する際の培 地としては、例えば、バタトトリプトン、イーストエタストラクト及び塩ィ匕ナトリウムを含む YT培地が好ましい。
炭素源としては、それぞれの微生物が資化し得るものであればよぐグルコース、フ ラタトース、スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解 物等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のァ ルコール類を用いることができる。
窒素源としては、アンモニア、塩化アンモ-ゥム、硫酸アンモ-ゥム、酢酸アンモ- ゥム、リン酸アンモ-ゥム等の各種無機酸や有機酸のアンモ-ゥム塩、その他含窒素 物質、並びに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼインカロ 水分解物、大豆粕及び大豆粕加水分解物、各種発酵菌体及びその消化物等を用 いることがでさる。
無機塩としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸 マグネシウム、塩ィ匕ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム 等を用いることができる。培養は、振盪培養又は深部通気攪拌培養等の好気的条件 下で行う。
培養温度は 15〜40°Cがよぐ培養時間は、通常 5時間〜 7日間である。培養中 pH は、 3. 0〜9. 0に保持する。 pHの調整は、無機あるいは有機の酸、アルカリ溶液、 尿素、炭酸カルシウム、アンモニア等を用いて行う。また培養中必要に応じて、アンピ シリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微
生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例 えば、 lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するとき にはイソプロピル一 β—D—チォガラタトピラノシド等を、 trpプロモーターを用いた発 現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地 に添加してもよい。遺伝子を導入した植物の細胞や器官は、ジャーフアーメンターを 用いて大量培養することができる。培養する培地としては、一般に使用されているム ラシゲ.アンド'スターグ (MS)培地、ホワイト (White)培地、又はこれら培地にオーキシン 、サイトカイニン等、植物ホルモンを添カ卩した培地等を用いることができる。
本発明のタンパク質製造用形質転換体が動物細胞である場合、該細胞を培養する 培地は、一般に使用されている RPMI1640培地〔T he Journal of the American Medica 1 Association, 199, 519 (1967)〕、 Eagleの MEM培地 [Science, 122,501 (1952)〕、 DME M培地 [Virology, 8, 396 (1959)〕、 199培地 [Proceeding of the Society for the Biologi cal Medicine, 73, 1 (1950)〕又はこれら培地に牛胎児血清等を添加した培地等が用 いられる。
培養は、通常 pH6〜8、 25〜40°C、 5%CO存在下等の条件下で 1〜7日間行う。
2
また培養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン、ストレプトマイシン等の抗生物 質を培地に添加してもよい。
本発明のタンパク質製造用形質転換体が昆虫細胞である場合、該細胞を培養する 培地としては、一般に使用されている TNM— FH培地(ファーミンジェン社製)、 Sf-9 00 II SFM培地(ギブコ BRL社製)、 ExCell400、 ExCell405〔いずれも JRHバイオ サイエンシーズ社製〕、 Grace's InsectMedium [Nature, 195, 788 (1962)〕等を用いる ことができる。
(vii)タンパク質の製造方法
本発明のタンパク質製造用形質転換体の培養物から、本発明のタンパク質を単離' 精製するには、通常の酵素の単離 ·精製法を用いることができる。例えば、本発明の タンパク質が本発明のタンパク質製造用形質転換体の細胞外に該タンパク質が分泌 される場合には、該培養物を遠心分離等の手法により処理し、可溶性画分を取得す る。該可溶性画分から、溶媒抽出法、硫安等による塩析法脱塩法、有機溶媒による
沈殿法、ジェチルアミノエチル(DEAE)—セファロース、 DIAION HPA- 75 (三菱化 成社製)等レジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、 S- Sepharose FF (ファ ルマシア社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、プチルセファ ロース、フエ-ルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子 篩を用いたゲルろ過法、ァフィユティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング 法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を用い、精製標品を得ることができる 本発明のタンパク質が本発明のタンパク質製造用形質転換体の細胞内に溶解状態 で蓄積する場合には、培養物を遠心分離することにより、培養物中の細胞を集め、該 細胞を洗浄した後に、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザ 一、ダイノミル等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心 分離することにより得られた上清から、溶媒抽出法、硫安等による塩析法脱塩法、有 機溶媒による沈殿法、ジェチルアミノエチル(DEAE)—セファロース、 DIAION HPA -75 (三菱ィ匕成社製)等レジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、 S-S印 haro se FF (フアルマシア社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブ チルセファロース、フエ-ルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー 法、分子篩を用いたゲルろ過法、ァフィユティークロマトグラフィー法、クロマトフォー カシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を用い、精製標品を得ること ができる。
また、該タンパク質が細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、同様に細胞を回 収後破砕し、遠心分離を行うことにより得られた沈殿画分より、通常の方法により該タ ンパク質を回収後、該タンパク質の不溶体をタンパク質変性剤で可溶化する。該可 溶化液を、タンパク質変性剤を含まなヽある!、はタンパク質変性剤の濃度がタンパク 質が変性しない程度に希薄な溶液に希釈、あるいは透析し、該タンパク質を正常な 立体構造に構成させた後、上記と同様の単離精製法により精製標品を得ることがで きる。
また、通常のタンパク質の精製方法〔J. Evan. Sadlerら:メソッド'イン'ェンザィモロ ジー(Methods in Enzymology), 83,458〕に準じて精製できる。また、本発明のタンパ
ク質を他のタンパク質との融合タンパク質として生産し、融合したタンパク質に親和性 を持つ物質を用いたァフィユティークロマトグラフィーを利用して精製することもできる
〔山川彰夫,実験医学, 13, 469-474(1995)] o例えば、ロウらの方法〔Pro Natl.Acad. Sci.'USA, 86, 8227 (1989)、 GenesDevelop., 4, 1288 (1990)〕に記載の方法に準じて 、本発明のタンパク質をプロテイン Aとの融合タンパク質として生産し、ィムノグロプリ ン Gを用いるァフィユティークロマトグラフィーにより精製することができる。
[0091] また、本発明のタンパク質を FLAGペプチドとの融合タンパク質として生産し、抗 F LAG抗体を用いるァフィユティークロマトグラフィーにより精製することができる〔Pro Natl. Acad. Sci" USA, 86, 8227 (1989)、 Genes Develop., 4, 1288 (1990)〕。
更に、該タンパク質自身に対する抗体を用いたァフィユティークロマトグラフィーで 精製することもできる。本発明のタンパク質は、公知の方法〔J. Biomolecular NMR, 6, 129-134、 Science, 242, 1162-1164、 J.Biochem., 110, 166-168 (1991)〕に準じて、 in vitro転写 ·翻訳系を用いてを生産することができる。
上記で取得されたタンパク質のアミノ酸情報を基に、 Fmoc法 (フルォレニルメチル ォキシカルボ-ル法)、 tBoc法(t ブチルォキシカルボ-ル法)等の化学合成法に よっても本発明のタンパク質を製造することができる。また、アドバンスト'ケムテック (A dvanced ChemTech )社、パーキン 'エルマ一社、フアルマシアバイオテク社、プロテ イン'テクノロジー 'インストウノレメント(Protein Technology Instrument)社、シンセセノレ •ベガ(Synthecell— Vega)社、パーセプティブ(PerSeptive)社、島津製作所等のぺプ チド合成機を利用しィ匕学合成することもできる。
精製した本発明のタンパク質の構造解析は、タンパク質ィ匕学で通常用いられる方 法、例えば遺伝子クローユングのためのタンパク質構造解析 (平野久著、東京化学 同人発行、 1993年)に記載の方法により実施可能である。
[0092] 「部分ペプチド又はその塩」は、上記タンパク質の合成法に従って、あるいは本発 明のタンパク質を適当なぺプチダーゼで切断することによって製造することができる。 上記方法で得られる部分ペプチドが遊離体である場合は、公知の方法ある 、はそれ に準じる方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は
、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって遊離体又は他の塩に変換すること
ができる。
[0093] スクリーニング方法に使用する「タンパク質をコードする遺伝子」は、前述した本発 明で用いられるタンパク質をコードする塩基配列を含有する核酸であれば!/ヽかなるも のであってもよい。好ましくは DNAである。 DNAとしては、ゲノム DNA、ゲノム DNA ライブラリー、前記した細胞'組織由来の cDNA、前記した細胞'組織由来の cDNA ライブラリー、合成 DNAのいずれでもよい。
[0094] 本発明のタンパク質をコードする遺伝子の取得方法
「タンパク質をコードする遺伝子」は、以下のように取得することができる。 ヒト脳、心臓、骨格筋、ひ臓、腎臓、肝臓、小腸、胎盤、これら組織由来のヒト正常細 胞、ヒト臍帯静脈内皮細胞又はヒト卵巣癌あるいはヒト大腸癌より、常法により cDNA ライブラリーを作製する。
[0095] cDNAライブラリ一作製法としては、モレキュラー ·クローユング第 2版やカレント ·プ ロトコールズ.イン.モレキュラ^ ~ ·バイオロジーサプノレメント 1〜38、 A Laboratory Ma nual, 2nd Ed.(1989 DNAし lonmg 1: Core Techniques, A Practical Approach, bee ond Edition, Oxford University Press (1995)等に記載された方法、あるいは市販のキ ット、例えばスーパースクリプト ·プラスミド ·システム ·フォ^ ~ · cDNA'シンセシス ·アン ド'プラスミド 'クローニング [Superscript Plasmid System for cDNA Synthesis and Plas mid Cloning;ギブコ BRL (Gibco BRL)社製〕やザップ— cDNA 'シンセシス'キット〔Z AP-cDNA Synthesis Kit,ストラタジーン社製〕を用いる方法等があげられる。
[0096] 該方法により取得される DNAとして、具体的には、配列番号: 1〜17で表される塩 基配列を有する DNA等をあげることができる。配列番号: 1〜17の DNAを含むプラ スミドとしては、例えば、後述の実施例に記載したプラスミドをあげることができる。
[0097] 該発現べクタ一としては、該 cDNAを組み込んで動物細胞で発現できるベクターで あればいかなるものでも用いることができ、例えば、 pcDNAI/Amp、 pcDNAI、 pCDM8 ( いずれもフナコシ社より市販)、 PAGE107〔特開平 3- 22979、 Cytotechnology, 3, 133 ( 1990)〕、 pREP4 (インビトロジヱン社製)、 pAGE103〔J. Biochem., 101, 1307 (1987)〕、 p AMo、 pAMoA[J. Biol. Chem., 268, 22782-22787 (1993)〕、 pAS3- 3 (特開平 2- 22707 5)等を用いることができる。
[0098] cDNAを^ aみ込んだ発現ベクターは、 目的とする cDNAを選択可能な動物細胞に 導入し、形質転換細胞を取得する。該発現べクタ一の導入方法としては、動物細胞 に DNAを導入する方法であればいずれの方法も用いることができ、例えば、エレクト 口ポレーシヨン法〔Cytotechnology, 3, 133 (1990)〕、リン酸カルシウム法(特開平 2- 22 7075)、リポフエクシヨン法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 7413 (1987)〕、 Virology, 52, 456 (1973)に記載の方法等の方法をあげることができる。
[0099] 動物細胞としては、ヒトの細胞である Namalwa細胞、 Namalwa細胞のサブラインであ る Namalwa KJM-1細胞、サルの細胞である COS細胞、チャイニーズ 'ハムスターの細 胞である CHO細胞、 HBT5637 (特開昭 63— 299)、大腸癌細胞株である HCT-15等を あげることができ、好ましくは、 Namalwa細胞、 Namalwa KJM-1細胞又は HCT- 15を用 いうる。
[0100] 得られた形質転換細胞を常法により培養する。具体的には、以下の形質転換体の 培養方法により培養することができる。形質転換体が動物細胞である場合、該細胞を 培養する培地は、一般に使用されている RPMI1640培地〔The Journal of the America n Medical Association, 199, 519 (1967)〕、 Eagleの MEM培地 [Science, 122,501 (1952 )]、 DMEM培地 [Virology, 8, 396 (1959)〕、 199培地 [Proceeding of the Society for th e Biological Medicine, 73, 1 (1950)〕又はこれら培地に牛胎児血清等を添カ卩した培地 等が用いられる
[0101] 培養は、通常 pH6〜8、 25〜40°C、 5%CO存在下等の条件下で 1〜7日間行う。
2
また培養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン、ストレプトマイシン等の抗生物 質を培地に添加してもよい。
[0102] 以上のようにして、本発明のタンパク質をコードする DNAを取得することができる。
また、アミノ酸配列に基づいて、本発明のタンパク質をコードする DNAをィ匕学合成 することによつても DNAを調製することができる。 DNAの化学合成は、チォホスファ イト法を利用した島津製作所社製の DNA合成機、フォスフォアミダイト法を利用した パーキン.エルマ一社製の DNA合成機 model392等を用いて行うことができる。
[0103] さらに、後述のオリゴヌクレオチドをセンスプライマー(配列番号: 35)及びアンチセ ンスプライマー(配列番号: 36)として用い、これら DNAに相補的な mRNAを発現し
て 、る細胞の mRNAから調製した cDNAを铸型として、 PCRを行うことによつても、 目的とする DNAを調製することができる。
[0104] 「部分ペプチドをコードする遺伝子」は、前述した本発明で用いられる部分ペプチド をコードする塩基配列を含有するポリヌクレオチドであればいかなるものであってもよ く、 DNAが好ましい。 DNAとしては、ゲノム DNA、ゲノム DNAライブラリー、前記し た細胞'組織由来の cDNA、前記した細胞'組織由来の cDNAライブラリー、合成 D NAのいずれでもよい。上記、「タンパク質をコードする遺伝子」の取得方法に従って 、取得することがでさる。
[0105] 本発明の骨疾患若しくは関節疾患の治療剤又は予防剤のスクリーニング方法は、 被検物質の存在下、本発明のタンパク質若しくは該タンパク質をコードする遺伝子の 動態を検出又は測定することを 1つの特徴とする。
[0106] すなわち、骨疾患又は関節疾患の発症との関連が認められる本発明のタンパク質 の動態に対する被検物質による影響を調べることにより、骨疾患若しくは関節疾患に 対する治療剤又は予防剤として有効な物質のスクリーニングを効率的に行なうもので ある。本発明のタンパク質の動態に対する被検物質による影響は、被検物質の非存 在下における該動態を対照として調べるのが好適である。
[0107] また、本発明のスクリーニング方法は、骨疾患又は関節疾患に対する予防剤及び
Z又は治療剤の候補化合物の薬理評価に用いることができる。
[0108] 前記被検物質としては、化合物又はその塩が挙げられる。なお、本明細書にぉ 、 ては、前記化合物又はその塩は、低分子化合物、高分子化合物、ポリペプチド又は その誘導体、核酸又はその誘導体等を含む。力かる被検物質は、天然物質であって もよぐ非天然物質であってもよい。ポリペプチドの誘導体としては、修飾基を付加し て得られた修飾ポリペプチド、アミノ酸残基を改変することにより得られたノリアントポ リペプチド等が挙げられる。また、核酸の誘導体としては、修飾基を付加して得られた 修飾核酸、塩基を改変することにより得られたバリアント核酸、ペプチド核酸等が挙げ られる。
[0109] 本発明のスクリーニング方法における測定又は検出対象の「本発明のタンパク質の 動態」としては、例えば、該タンパク質とそのリガンドとの結合の有無;該タンパク質の
発現、具体的には、該発現の有無ゃ該発現の変動等が挙げられる。
[0110] 本発明のスクリーニング方法としては、測定又は検出対象の「本発明のタンパク質 の動態」に応じて、大きく 2つの実施態様がある。
[0111] 本発明のスクリーニング方法の第 1の実施態様としては、
(I)本発明のタンパク質と、被検物質とを接触させるステップ、並びに
(II)前記ステップ (I)の後、該タンパク質と被検物質との結合を検出し、それにより、 該タンパク質と結合する被検物質を、骨疾患又は関節疾患の予防剤及び Z又は治 療剤の候補化合物として選択するステップ
を含む方法が挙げられる。力かる方法によれば、前記タンパク質への結合を介して当 該タンパク質の機能に作用する物質を選択することができるため、選択された候補ィ匕 合物は、直接的かつ特異的に前記タンパク質に結合してその機能を調節するという 特徴的な性質を有する。
[0112] 前記ステップ (I)において、前記タンパク質と被検物質との接触は、例えば、該タン パク質の本来の機能を妨げな 、溶液中にお!、て、前記タンパク質と被検物質とを混 合し、適切な反応条件 (例えば、反応温度、反応時間等)の下、維持する (すなわち、 両者を反応させる)ことにより行なわれうる。
[0113] 前記「タンパク質の本来の機能を妨げない溶液」としては、例えば、リン酸緩衝化生 理的食塩水(PBS)、 HEPESバッファー、 Trisバッファ一等の溶液が挙げられる。
[0114] ステップ (I)における反応条件としては、特に限定されないが、例えば、前記溶液中 、通常、 pH6. 0〜: LO. 0、好ましくは pH7. 0〜9. 0、より好ましくは pH7. 5〜8. 5、 さらに好ましくは pH8. 0で、通常、 10°Cから 50°C、好ましくは 20°C〜40°C、より好ま しくは 25°C〜37°C、さらに好ましくは 25°C、通常、 1分間〜 1時間、好ましくは 3〜30 分間、より好ましくは 5〜20分間、さらに好ましくは 10分間維持すること等が挙げられ る。より具体的には、 10mM Hepes、 80mM KC1、 5% グリセロール、 10mM D TT、 0. lmgZ ml polydIdC、 50ng, ml herring sperm DNA、 lmg/ ml B SA、 10% reticulocyte lysate中、前記条件下に維持することが挙げられる。
[0115] ついで、ステップ (Π)において、前記タンパク質と被検物質との結合を検出し、該結 合の有無を調べる。
[0116] 結合は、例えば、前記のようにしてステップ (I)で前記タンパク質と、例えば、放射性 物質により標識した被検物質とを反応させた後の溶液に含まれる該タンパク質の放 射活性を、大過剰の非放射性被検物質との競合下において解析することにより検出 することができる。結合が検出された場合、使用された被検物質を骨疾患又は関節 疾患の予防剤及び Z又は治療剤の候補化合物として選択する。
[0117] また、ステップ (I)とステップ (Π)を連続した工程により実施してもよい。かかる態様 は、例えば、被検物質を保持した担体へのノインデイングアツセィ等を利用すること により実施することができる。
[0118] 本発明のスクリーニング方法の第 2の実施態様としては、
(A)本発明のタンパク質をコードする遺伝子を細胞に導入するステップ、
(B)被検物質の存在下、前記ステップ (A)で得られた細胞にぉ ヽて前記遺伝子を発 現させるステップ、並びに
(C)被検物質の非存在下の場合と比較して、前記遺伝子の発現の有無を検出し、又 は前記遺伝子の発現の変動を測定し、それにより、該遺伝子の発現の変化をもたら す被検物質を骨疾患又は関節疾患の予防剤及び Z又は治療剤の候補化合物とし て選択するステップ
を含む方法が挙げられる。
[0119] 前記ステップ (A)において、本発明のタンパク質をコードする遺伝子を細胞に導入 するには、例えば、該タンパク質の発現調節領域として知られる発現調節性エレ メントの下流かつその支配下に、前記タンパク質をコードする遺伝子が動作可能に連 結されてなる核酸構築物を用いて行なうのが好適である。前記発現調節性エレメント としては、例えば、 Niimi T et al., Molecular Endocrinology, 2001, Vol.15, 2021—2136 に記載されている。
[0120] 前記「核酸構築物」は、前記発現調節性エレメント及び本発明のタンパク質をコード する遺伝子を慣用の発現ベクターのクローユング部位に挿入することにより簡便に構 築されうる。当該ベクターとしては、例えば、ウィルスベクター、プラスミドベクター等が 挙げられる。
[0121] なお、本発明のタンパク質をコードする遺伝子には、当該遺伝子そのもの;前記遺
伝子のアンチセンス鎖にストリンジェントな条件下にハイブリダィズし、かつ前記タン パク質と同等の作用を有するタンパク質をコードする遺伝子;前記遺伝子の塩基配 列において、少なくとも 1塩基の変異を有し、かつ前記タンパク質と同等の作用を有 するタンパク質をコードする遺伝子;前記遺伝子の塩基配列と少なくとも 60%、好ま しくは 80%以上、より好ましくは 90%以上の配列同一性を有し、かつ前記タンパク質 と同等の作用を有するタンパク質をコードする遺伝子等も含まれる。
[0122] 前記「ストリンジェントな条件」とは、高ストリンジエンシーな条件、例えば、 1 X SSC /0. 2%SDSの条件等をいう。ここで、ストリンジエンシーを向上させるため、より低ィ 才ン強度、 f列えば、 0. 5 X SSC、好ましくは 0. 2 X SSC、より好ましくは 0. 1 X SSC 等の条件及び Z又はより高温、例えば、用いられる核酸の Tm値により異なる力 50 °C以上、好ましくは 60°C以上、より好ましくは 65°C以上等の条件下で洗浄等を行な つてもよい。
[0123] 前記「変異」とは、塩基の置換、欠失、付加及び挿入を 、う。かかる変異は、天然に 存在するバリエーションであってもよぐ慣用の部位特異的変異方法等により人為的 に導入された変異であってもよ ヽ。
[0124] 前記「配列同一性」とは、比較対象の少なくとも 2つの配列について、適切に整列化 させ、それぞれの配列に存在する同一の残基を決定して、適合部位の数を決定し、 ついで、比較対象の配列領域内の残基の総数で、前記適合部位の数を割、得られ た数値に 100をかけることにより算出されうる値をいう。かかる配列同一性は、具体的 には、例えば、ホームページアドレス http:ZZwww. ncbi. nlm. nih. gov/BLA STZにおいて、一般に利用可能である BLASTアルゴリズム等により算出されうる。
[0125] なお、本発明の種々の態様において、その構成上、本発明のタンパク質をコードす る遺伝子の発現を必須とする場合、当該遺伝子の発現において用いられるベクター 、核酸構築物を導入する宿主細胞等は、それらの任意の組み合わせにより、前記遺 伝子の発現が達成されうるのであれば、それらはどのような生物種由来のものであつ てもよい。具体例及び細胞への前記核酸構築物の導入方法、前記核酸構築物が導 入された形質転換体の培養方法等は、上記タンパク質の製造方法の形質転換体に 関する記載と同様である。本発明のタンパク質をコードする遺伝子が真核生物に由
来するものである点、及び本発明にお ヽて提供される治療剤又は予防剤等が真核 生物、中でも哺乳動物、特にヒトにおいて好適に使用されうる点を考慮すれば、前記 遺伝子の発現に使用される宿主細胞としては動物細胞であるのが好適である。
[0126] また、本実施態様においては、前記核酸構築物が導入された安定な細胞系を用い る場合、ステップ (A)は、省略してもよい。
[0127] っ 、で、ステップ (B)にお 、て、被検物質の存在下、前記ステップ (A)で得られた 細胞において本発明のタンパク質をコードする遺伝子を発現させる。
[0128] 当該工程は、例えば、被検物質を含有した培地を用いて、前記ステップ (A)で得ら れた細胞を培養することにより行なわれうる。培養条件は上記タンパク質の製造方法 の形質転換体培養条件と同様である。
[0129] 続、て、ステップ (C)にお 、て、被検物質の非存在下の場合と比較して、前記遺伝 子の発現の有無を検出し、又は前記遺伝子の発現の変動を測定し、それにより、該 遺伝子の発現の変化をもたらす被検物質を骨疾患又は関節疾患の予防剤及び Z又 は治療剤の候補化合物として選択する。
[0130] なお、「被検物質の非存在下の場合」とは、ステップ (B)にお 、て、被検物質の非 存在下にステップ (A)で得られた細胞にぉ ヽて前記遺伝子を発現させた場合を ヽ 、被検物質の存在下における前記遺伝子の発現の変化を把握するための基準とな る。具体的には、力かる場合の細胞、又は該細胞の抽出液等を対照として用いる。
[0131] 前記遺伝子の発現の有無を検出し、又はその発現の変動を測定した結果、対照と 比較して該遺伝子の発現の変化が認められた時、例えば、対照において前記遺伝 子の発現が見られた場合に、被検物質と接触させた細胞において前記遺伝子の発 現が検出されないか、又は対象に比べて発現レベルが低下した時、すなわち、対照 と比較して前記遺伝子の発現が減少した時、該被検物質が骨疾患若しくは関節疾 患の予防剤及び Z又は治療剤の候補化合物であると判定され、該被検物質を候補 化合物として選択する。
[0132] 選択された候補ィ匕合物は、細胞レベルにおいて前記遺伝子の発現を転写レベル で抑制すると!ヽぅ特徴的な性質を有するものと考えられ、前記遺伝子の発現を特異 的に抑制することができるという優れた効果を発揮する。
[0133] 遺伝子の発現の有無の検出、又はその発現の変動の測定は、上記分子生物学的 測定方法又は免疫学的測定方法に従って行うことができる。
[0134] 本発明のスクリーニング方法により得られる化合物又はその塩としては、例えば、前 記本発明のタンパク質等に結合することにより、該タンパク質の機能を阻害する化合 物、例えば、低分子化合物、高分子化合物、該本発明のタンパク質に対する抗体、 該本発明のタンパク質をコードする遺伝子力 なる核酸のアンチセンス鎖等の核酸、 ペプチド等が挙げられる。
[0135] また、本発明のスクリーニング方法に用いられる前記本発明のタンパク質、該本発 明のタンパク質をコードする遺伝子を保持してなる核酸構築物、該遺伝子が導入さ れた細胞、本発明のタンパク質の抗体等を含む、本発明のスクリーニング方法を行な うためのキットが提供される。力かるスクリーニング用キットも本発明に含まれる。
[0136] 本発明のスクリーニング用キットとしては、具体的には、
本発明のタンパク質を含有してなるキット、
本発明のタンパク質をコードする遺伝子を含む核酸構築物を含有してなるキット 本発明のタンパク質をコードする遺伝子が導入された細胞を含有してなるキット、 本発明のタンパク質に対する抗体又はその断片を含有してなるキット、 等が挙げられる。
[0137] また、各キットには、所望により、本発明のスクリーニング方法に好適に使用されうる 前記プローブ及び Z又はプライマー対を含有させてもよい。さらには、
所望により検出用試薬、緩衝液、標準物質、本発明のスクリーニング方法を実施する ための説明書等を含有させてもよい。
[0138] 本発明のスクリーニング用キットによれば、前記スクリーニング方法を簡便かつ迅速 に、高処理量で行なうことができるという優れた効果が発揮される。
[0139] 本発明のスクリーニング方法により得られたィ匕合物又はその塩は、その発症に本発 明のタンパク質の発現が関与する骨疾患又は関節疾患に対して治療又は予防作用 を発揮しうる。したがって、前記スクリーニング方法により得られた化合物又はその塩 により、骨疾患又は関節疾患、例えば、 0 A又は RAの治療又は予防に用いるための
医薬組成物が提供される。
[0140] 本発明の医薬組成物は、本発明のスクリーニング方法により得られたィ匕合物又はそ の塩を有効成分として含有することに 1つの特徴がある。したがって、本発明の医薬 組成物は、骨疾患又は関節疾患に対し、本発明のタンパク質の発現に対する作用( 例えば、該発現に対して抑制的に働く)を介して治療又は予防効果を発揮する。
[0141] 本発明の医薬組成物中における前記化合物又はその塩の含有量は、治療目的の 疾患、患者の年齢、体重等により適宜調節することができ、治療上有効量であればよ ぐ低分子化合物又は高分子化合物の場合、例えば、 0. 0001〜: LOOOmg、好まし くは 0. 001〜100mg、ポジペプチド又はその誘導体の場合、例えば、 0. 0001〜10 OOmg、好まし <は 0. 001〜100mg、核酸又はその誘導体の場合、例えば、 0. 000 01〜: L00mg、好ましくは 0. 0001〜10mgであること力望まし!/、。
[0142] 本発明の医薬組成物は、前記化合物又はその塩を安定に保持しうる種々の助剤を さらに含有してもよい。具体的には、有効成分の送達対象となる部位に到達するまで の間に、有効成分が分解することを抑制する性質を呈する薬学的に許容されうる助 剤、賦形剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、溶解補助剤、等張剤等が挙げられる。
[0143] 本発明の医薬組成物の投与形態は、有効成分の種類;投与対象となる個体、器官 、局所部位、組織;投与対象となる個体の年齢、体重等に応じて、適宜選択される。 前記投与形態としては、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射、局所投与等が挙げら れる。
[0144] また、本発明の医薬組成物の投与量も、有効成分の種類;投与対象となる個体、器 官、局所部位、組織;投与対象となる個体の年齢、体重等に応じて、適宜選択される 。投与方法としては、特に限定されないが、有効成分が、低分子化合物又は高分子 化合物である場合、前記有効成分の量として、例えば、 0. 0001〜: LOOOmgZkg体 重、好ましくは 0. 001〜100mgZkg体重、ポリペプチド又はその誘導体の場合、例 えば、 0. 0001〜1000mgZkg体重、好まし <は 0. 001〜100mgZkg体重、核酸 又はその誘導体の場合、例えば、 0. 00001〜100mgZkg体重、好ましくは 0. 000 1〜: LOmgZkg体重の 1回投与量となるように、 1日につき、 1回若しくは複数回投与 すること等が挙げられる。投与期間も特に限定されるものではない。
[0145] 本発明の医薬組成物の薬理評価は、例えば、骨疾患又は関節疾患モデルマウス に、本発明の医薬組成物を投与し、非投与動物に比べ、投与動物において、骨疾患 又は関節疾患の改善が見られた場合を指標として評価する方法により行なうことがで きる。
[0146] また、本発明により、骨疾患又は関節疾患の診断方法が提供される。本発明の診 断方法は、被検対象の個体由来の被検試料及び対照試料それぞれにおける本発 明のタンパク質の遺伝子の発現レベルを測定することを 1つの特徴とする。したがつ て、本発明の診断方法によれば、被検対象の個体が骨疾患又は関節疾患に罹患し て!、る疑 、がある力否かを簡便かつ迅速に診断することができると!/、う優れた効果が 発揮される。
[0147] 本発明の診断方法においては、被検試料における発現レベル力 対照試料にお ける発現レベルと異なる場合 (例えば、高くなる場合、低くなる場合)、該被検対象の 個体が、骨疾患又は関節疾患に罹患している疑いがあることの指標となる。
[0148] 以下実施例は、例示のために提供され、そして限定するためではな!/ヽ。遺伝子操 作的手法として、特に断らな 、限りモレキュラー ·クローユング第 2版に記載された方 法を用いた。
実施例 1
[0149] DNAチップの作成
ヒト間葉系幹細胞(BIO WHITTAKER社)より、 QuickPrep Micro mRNA Purification Kit (アマシャムバイオサイエンス社)を用い、添付のマニュアルに従 つて mRNAを調製した。得られた mRNAを Superscript Choice System for cDNA Synthesis (インビトロジェン社)にて添付マニュアルに従って cDNA化して 、 cDNAクローンを得た。その後、 cDNAクローンから PCR法によりヒト cDNA断片 3 265個を調製し、マイクロアレイ用コントロール DNAである Lucidea Universal Sc oreCard (アマシャムバイオサイエンス社)と共に、 DNAチップ作製システム Microa rray System Generation III Spotter (モレキュラー ダイナミクス社)を用いて 、 Type7starスライドグラス (モレキュラー ダイナミクス社)に 1スライドあたり、左右対 称になる形で(以下、左側を SET1、右側を SET2とする) 2セットをスポットして DNA
チップを作製した。
実施例 2
[0150] ヒト膝関節滑膜からの RNA調製
三重大学医学部整形外科において症状、理学所見、画像所見より変形性膝関節症 (膝 OA)と診断され、手術治療を行った患者 44例を対象とした。またコントロール群と して慢性関節リウマチ (RA) 10例、及び非 OA非 RA8例(骨肉腫、ユーイング肉腫等 大腿骨遠位部における悪性骨腫瘍で治療のために関節の合併切除を必要とする患 者及び外傷により関節手術を受ける患者)も対象とした。これら対象者に対して事前 に十分な説明を行った上で、同意を得られた対象者カゝら手術時に膝関節の滑膜組 織 (約 0. 5g)を摘出し、マイクロチューブに入れ、ただちに液体窒素を用いて凍結し た。凍結した滑膜組織は、液体窒素にて冷却した試料粉砕機クライオプレス CP—1 00W (マイクロテック' -チオン社)を用いて粉砕し、直ちに TRIzol試薬 (インビトロジ ェン社)中でホモゲナイザ一 ·ポリトロン 2100 (Kinematica社)を用いて懸濁し、 TRI zol試薬の処方に従って全 RN Aを抽出した。
実施例 3
[0151] 変形性関節症滑膜検体において発現が変動する遺伝子の検索
実施例 1で述べた DNAチップを用いて、ヒト変形性膝関節症滑膜臨床検体での遺 伝子発現変動解析を実施した。実施例 2で述べた RNAを RNeasy mini kit (キア ゲン社)にて添付マニュアルに従い、 DNase I処理した後、回収した。
これで得た全 RNA2.5 μ gを用い、 MessageAmp aRNA Kit (Ambion社)のマ- ュアルに従い、増幅 RNA(aRNA)を合成した。合成した aRNAをプローブの铸型と し、 Atlas Glass Fluorescent Labelling Kit (CLONTECH社現 BD BIOSCIE NCE社)若しくは Atlas PowerScript Fluorescent Labeling Kit (現 BD BIOSC IENCE)を用いて、マ-ユアルに従い Random 18merプライマーにより Cy— 3 d CTP又は Cy— 5 dCTP (アマシャムバイオサイエンス社)を取り込ませて cDNAを蛍 光標識した。これをプローブとし、 Automated Slide Processor (アマシャムバイ ォサイエンス社)を用いて DNAチップとのハイブリダィゼーシヨンを実施した。ハイブ リダィゼーシヨンは、 Type 7starスライド(アマシャムノィォサイエンス社)のプロトコ
ールに従い、前処理の後にプローブと 48°Cで 12時間行った。バッファーには Hybri dizaton Buffer Ver. 2 (アマシャムバイオサインス社)を用いた。洗浄後、 Microa rray System Generation III Scanner (モレキュラー ダイナミクス社)により読み 取りを行なった。この方法に従い、膝 OA、 RA、非 OA非 RAからなる 62症例を用い て、重複して行なった実験も含め、 78スライドの実験を行なった。
実施例 4
[0152] 統計解析による変形性関節症関連遺伝子の探索
実施例 3で述べた DNAチップ実験より得られた遺伝子発現量データを用いて、変 形性関節症に関与する遺伝子を、正常者あるいは慢性関節リウマチと比較して探索 した。
[0153] 1. 解析用正規化データ
遺伝子発現量を
[数 1]
VOL k ( = 1,· · · , 3265 ) とし、 3DR遺伝子の発現量がスライド内及びスライド間で同一になるように、(1)式の 正規化を実施した。
[数 2]
¾ = = 1,'··,3265 ( 1)
なお、 3DRとは実施例 1で述べた Lucidea Universal ScoreCard (商品名、アマ シャムバイオサイエンス社)に含まれるチェック用遺伝子のひとつである。また、症例 によっては複数枚のスライドで測定がなされていた力 とくに断らない限り、複数のス ライドがあった症例では、スライド番号の最も小さいスライドを解析に用いた。また、実 施例 1で述べたように、 1スライドには、 SET1と SET2のデータが存在する。
正規化には統計解析パッケージソフトウェア SAS (SAS Institute Japan社)を
利用した。データ解析には、単変量解析の Cluster+Logisticsでは SASを利用し た。
2. 遺伝子単位としての単変量解析
i ( = l, · ··, 61)番目のスライドの k( = l, · ··, 3265)番目の遺伝子における正規ィ匕 後の発現量を単に
[数 3]
で表示する。また、スライドが正常、 OA、 RAのいずれから得られたかを識別する場 合は、それぞれ
画 normal /M
Xik 、 ik Xik で表示する。
全 3265個の遺伝子の中力も正常、 OA、 RAの 3群を識別するにあたって、とくに重 要な遺伝子を選ぶことを目的として、 1遺伝子ごとの解析 (単変量解析)を行った。 2.1 1症例 1スライド解析
SET1と SET2を対象とした解析をそれぞれ実施し、次の条件を満たした遺伝子を 求めた。
条件 A: SET1と SET2のどちらかで、平均値の比較と平均絶対差の比較のどちらか で、 OAと正常の間、 OAと RAの間で共に有意差が認められること。
条件 B : SET1と SET2で共に、平均値の比較で、 OAと正常の間、 OAと RAの間の どちらかで有意差が認められること。
ここに、平均絶対差の比較はデータ
[数 5] normal
m k
[数 6] normal
は正常群での中央値を表す。平均値の比較はデータ
[数 7] ik を用いた比較を指す。
OAと正常、 OAと RAの 2通りのペア間比較には、全体有意水準を 0. 05として、 D unnettの多重比較法を用いた。
[0156] 2.2 1症例複数スライド解析
スライド間変動と SET間変動を含む線形混合効果モデルに基づく解析で、次の条 件を満たした遺伝子を求めた。
条件 C :平均値の比較と平均絶対差の比較とで、 OAと正常の間、 OAと RAの間で共 に有意差が認められること。
ここでの有意差は、 OAと正常、 OAと RAの 2通りのペア間比較に対応する回帰係 数の検定での有意性を指す。
[0157] 2.3 単変量解析の結果の集約
以下の 2つの基準で遺伝子を選択した。
第 1次選択基準:条件 Aを満たす。
第 2次選択基準:第 1次選択基準を満たさず、条件 Bかつ条件 Cを満たす。
その結果、第 1次選択基準で 23個、第 2次選択基準で 3個の遺伝子を選択し、合 計 26個の遺伝子を OAに関与する遺伝子とした (表 1)。これらの遺伝子について、 O A患者における発現量を RA患者と正常個体それぞれにおける発現量と比べた (表 2 ) oある遺伝子において、 OA患者における発現量が RA患者及び正常個体における 発現量を基準としてともに +である場合、該遺伝子の発現レベルは、 OA患者 >RA
患者、かつ、 OA患者 >正常個体であることを示唆している。ある遺伝子において、 O Aにおける発現量が RA患者における発現量を基準として +であり、正常個体におけ る発現量を基準として一である場合、該遺伝子の発現レベルは、正常個体 > OA患 者 >RA患者であることを示唆している。また、ある遺伝子において、 OA患者におけ る発現量が RA患者における発現量を基準として一であり、正常個体における発現量 を基準として +である場合、該遺伝子の発現レベルは、 RA患者 >OA患者 >正常 個体であることを示唆して 、る。
[0158] [表 1] 単変量解析で選出した 26個の遺伝子
第 1次選択基準 C0052 G0953 N1108
C0772 N0065 N1112
D0032 NO 154 N1123
E0083 N0281
E0215* N0439
E0447 N0446
E0721* N0458
E0739 N0513
E0905* N0553
E1019 N1032
第 2次選択基準 C0988
E0639
NO 160
[0159] [表 2]
OA患者における 26個の遺伝子の発現量
OA患者における発現量
RAを基準 正常を基準
C0052 + +
C0772 + +
C0988 + +
D0032 + +
E0083 + 一
E0215* + +
E0447 + +
E0639 一 +
E0721* + +
E0739 + +
E0905* + +
E1019 + +
G0953 + +
画 65 + +
NO 154 一 +
NO 160 一 +
N0281 ― +
N0439 + +
N0446 一 +
N0458 + +
N0513 + +
N0553 + +
画 32 一 +
N1108 + +
N1112 + +
N1123 ― +
+:発現量が卨ぃ
-:発現量が低い 実施例 5
OAに関与する遺伝子の塩基配列解析
実施例 4で述べた 26個の OAに関連する遺伝子について、それぞれ実施例 1で述 ベた PCR断片の塩基配列を DNAシークェンシング装置 MegaBACElOOO (アマシ
ャムバイオサイェンシズ社)を用いて解析した。 PCR断片が得られなカゝつた 2個の遺 伝子を除き、残り 24個の遺伝子について得られた塩基配列はそれぞれ遺伝子情報 解析ソフトウェア bioSCOUT(LION社)を用いて相同性検索を行った。その結果、 2 4個すベての遺伝子にっ 、て遺伝子名が判明し、 3個は Fibulin— 3が重複して 、た 。重複を除く 22個の遺伝子について、 PubMED (米国立医学図書館生物工学情報 センター)及び PATENTWeb (MicroPatent社)を検索し、それぞれの遺伝子と O Aとの関連性が公知である力否かを検討し、その関連性が既に示されている遺伝子 5個を除き、残り 17個の遺伝子が OAに関与していることが新たに明ら力となった。表 3にその 17個の遺伝子を示す。
[表 3] 新たに O Aとの関連性が明らかとなった 1 7個の遺伝子
実施例 6
リアルタイム定量 PCR法による Fibulin— 3mRNAの発現解析
統計解析の結果、最終的に選出した 17個の遺伝子において、 4個の遺伝子が Fib ulin— 3 (配列番号: 13)であったことから、 RT— PCR法により、ヒト変形性膝関節症 滑膜組織における Fibulin— 3遺伝子の発現プロファイルを調べ、 DNAチップの結 果と比較した。サンプルはすべて DNAチップ解析に用いた RNAを用いた。サンプ ル番号 1は正常、 2— 12は OA患者の滑膜 RNAである。
なお、 RT—PCRには、配列番号: 35及び 36のプライマー対を用いた。実施例 2で 述べたヒト変形性膝関節症滑膜臨床検体より調製した RNAを RNeasy mini kit ( キアゲン社)にて添付マニュアルに従い、 DNase I処理した後、回収した。
得られた全 RNA 2.5 ;z gより RT—PCR用 Superscript First -strand Synth esis System (インビトロジェン社)を用いて添付マニュアルに従!ヽ、 cDNAを合成し た。次に、ヒト Fibulin— 3 (配列番号: 13)の配列をもとにプローブ検索ソフト Primer
Express (アプライドバイオシステムズ社)によりリアルタイム定量 PCR用プライマー( 配列番号: 35及び 36)を選択した。プライマーは、キアゲン社に合成を依頼した。こ のプライマーを用いて、合成した cDNAを铸型として SYBR Green Iによるリアルタ ィム定量 PCRを行ない、 mRNA量を定量した。
反応試薬としては、 SYBR Green PCR Master Mix (アプライドバイオシステムズ 社)を使用し、 95°Cで 10分間反応した後、 95°Cで 10秒、 60°Cで 60秒 40サイクル行 なって蛍光強度を定量した。 PCR、及び蛍光測定は、 ABI PRISM 5700 Sequ ence Detection System (アプライドバイオシステムズ社)を用いて行なった。その 結果、 DNAチップ実験同様、リアルタイム定量 PCR実験によっても、 OA臨床検体 では Fibulin— 3遺伝子の発現が増強することが確認された(図 1)。図 1のリアルタイ ム定量 PCRデータのグラフは、正常滑膜臨床検体 (サンプル番号 1)における発現量 を 1とした相対量で示している。なお、 DNAチップ法とリアルタイム定量 PCR法とによ る遺伝子発現量は正の相関(Pearsonの相関係数:約 0. 69)を示すことが確認され た。従って、残りの遺伝子についても同様の結果であることが予想され、表 3に示した 17個の遺伝子の mRNA発現を指標として、変形性関節症が診断できることが示唆さ れた。また、実施例 4において、発現レベルが正常個体 > OA患者 >RA患者、又は
RA患者 > OA患者 >正常個体と 、う関係を示した 7個の遺伝子につ 、ては、 mRN A発現を指標として、慢性関節リウマチが診断できることが示唆された。
産業上の利用可能性
本発明の検出又は選別方法により、骨疾患又は関節疾患、特に変形性関節症、慢 性関節リウマチに罹患している疑いがある個体由来の試料を簡便かつ迅速に検出又 は選別をすることができる。また、検出又は選別に必要な診断薬を提供する。