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JPWO2000031132A1 - 新規ポリペプチド - Google Patents

新規ポリペプチド

Info

Publication number
JPWO2000031132A1
JPWO2000031132A1 JP2000-583958A JP2000583958A JPWO2000031132A1 JP WO2000031132 A1 JPWO2000031132 A1 JP WO2000031132A1 JP 2000583958 A JP2000583958 A JP 2000583958A JP WO2000031132 A1 JPWO2000031132 A1 JP WO2000031132A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polypeptide
amino acid
jnk3
oligonucleotide
dna
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000-583958A
Other languages
English (en)
Inventor
通朗 市村
了 廣瀬
克次 善岡
Original Assignee
協和醗酵工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 協和醗酵工業株式会社 filed Critical 協和醗酵工業株式会社
Publication of JPWO2000031132A1 publication Critical patent/JPWO2000031132A1/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】JNK3カスケードと関連した疾患の診断薬、予防薬、治療薬を提供する。 【解決手段】 本発明によれば、JNK3に結合する新規ポリペプチドJSAP、該ポリペプチドの製造法、該ポリペプチドをコードするDNA、該DNAを組み込んで得られる組換え体ベクター、該組換え体ベクターを保有する形質転換体、該ポリペプチドを認識する抗体、該抗体を用いる本発明のポリペプチドの定量法および免疫染色法、該ポリペプチドを用いたスクリーニング法、および該ポリペプチド、該DNAまたは該抗体を用いたJNK3カスケードと関連した疾患の診断薬、予防薬、治療薬を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】技術分野 本発明は、c−Jun N−terminal kinase(JNK)のア
イソザイムの一つであるJNK3に結合する新規ポリペプチド、該ポリペプチド
をコードするDNA、該DNAを含むベクター、該ベクターで形質転換された形
質転換体および該ポリペプチドの製造方法に関する。 また、該ポリペプチドを認識する抗体、該抗体を産生する微生物、動物細胞又
は動物、該ポリペプチドもしくはその一部又はそれらを発現した微生物もしくは
動物細胞等を利用したJNK3シグナル伝達の阻害活性を有する化合物を探索す
る方法および細胞を利用した該ポリペプチドの遺伝子発現を調節する化合物を探
索する方法に関する。背景技術 細胞内情報伝達分子として重要な役割を果たしているmitogen−act
ivated protein kinase(MAPK)によるカスケードは
酵母からヒトに至るまで、真核生物に普遍的に存在する細胞内シグナル伝達経路
である。 脊椎動物では、extracellular signal−regulat
ed kinase(ERK)、p38、JNK/SAPK(c−Jun am
ino−terminal kinase/stress−activated
protein kinase)の3種類のMAPK、およびそれらの活性化
因子が多数同定され、機能的に異なるさまざまなMAPK経路の存在が明らかに
なってきた。 Tumor necrosis factor−α(TNF−α)、inte
rleukin−1(IL−1)、epidermal growth fac
tor(EGF)、endotoxic lipopolysaccharid
e(LPS)、heat shock、ultraviolet light(
UV),X−ray等の細胞外の種々のストレス要因により、MAPKのうちJ
NKが活性化され、該活性化によりアポトーシス(細胞死)が誘発されると考え
られている〔Science,270,1326(1995)〕。 即ち、ストレスにさらされた細胞において、該ストレスシグナルがsmall
G−protein(Rho、Ras等)に伝わることにより、MAPK k
inase kinase(MAPKKK)の一つであるMEKK1(MAPK
kinase kinase 1)が活性化され、MAPK kinase(
MAPKK)の一つであるSEK1(もしくはMKK4とも呼ばれる。)をリン
酸化し、SEK1を活性化する。該活性化されたSEK1がJNK(MAPK)
をリン酸化し、JNKが活性化される。活性化されたJNKが細胞の核内の転写
因子の一つであるc−Junをリン酸化し、AP−1、activating
transcription factor 2(ATF2)等の関与の元に、
リン酸化されたc−Junの転写活性が亢進され、アポトーシスが誘発されると
推定されている。しかしながら、この核内のアポトーシスへの過程に関しては、
ほとんど不明である。 神経細胞であるPC12細胞を、神経細胞のタンパク性栄養因子であるner
ve growth factor(NGF)含有培地で培養し、NGFを除い
てさらに培養を続けるとアポトーシスが誘発される。該アポトーシスの誘発にお
いてJNK活性の上昇が認められることが報告されている〔Science,
70,1326(1995)〕。 3種類のJNK(JNK1、JNK2、JNK3)のうち、JNK3は脳で特
に高い発現を示すことが知られている〔EMBO J.,15,2760(19
96)〕。 JNK3分子のノックアウトマウスは、興奮性アミノ酸レセプターアゴニスト
であるカイニン酸による発作に対する耐性が確認され、野生型のマウスで見られ
たカイニン酸による海馬CA3領域でのアポトーシスが見られなかった〔Nat
ure,389,865(1997)〕。このことより、JNK3分子のノック
アウトによる神経保護作用は、JNK3経路の消失によるものと考えられている
。 神経変性疾患において、アポトーシスによる神経細胞死が報告されている。即
ち、アルツハイマー病患者の脳の海馬において、アポトーシスを起こして死滅し
た神経細胞が多く見られる〔Experimental Neurology,
133,225(1995)〕、アルツハイマー病患者の脳において、DNAの
断片化や、アポトーシス特有の核の変化が観察されている〔Neurorepo
rt,,2529(1994)、Neuroreport,,1053(1
995)〕、パーキンソン病において、黒質神経細胞のアポトーシスが観察され
ている〔J.Neurol.Sci.,137,120(1996)〕等の報告
がある。 JNK3が脳において高い発現を示すのに対し、JNK1およびJNK2に関
しては、ほとんどの組織で発現している。JNK1およびJNK2のリン酸化基
質としては、c−Junタンパク質、ATF2、Elk−1(遺伝子発現を制御
する転写因子の一つ)が考えられている〔Nature,389,865(19
97)〕。 JNK3は上記リン酸化基質に結合はするが、JNK1、JNK2に比較する
と、結合は弱い〔EMBO J.,15,2760(1996)〕ため、これら
が真の哺乳動物におけるリン酸化基質であるかどうかについては不明である。 JNK3のリン酸化酵素活性は基質としてc−Junタンパク質を用いて見る
ことしかできず、JNK3と相互作用すると考えられる、哺乳動物における結合
タンパク質についてもほとんど報告がなかったため、JNK3と相互作用し、J
NK3の機能を調節しているタンパク質を用いた生化学反応はほとんど調べられ
ていない。 上記リン酸化基質以外にJNK3と結合するとされるポリペプチドとして、最
NK/APK−ssociated rotein(JSAP1a)
が報告された〔1997年日本分子生物学会(12月)〕。 JSAP1aは、後述するようにJNK3経路のスキャフォルド(scaff
old)タンパク質として機能していることが推定されている。スキャフォルド
タンパク質としては、JNK1およびJNK2を結合する、JIP−1(NK
nteracting rotein−)が知られている〔Scien
ce,281,1671(1998)〕。また、JIP−1の557番目のアミ
ノ酸残基の後に47アミノ酸が挿入された配列を有するバリアントJIP−1b
も知られている。JIP−1およびJIP−1bをコードするcDNA配列はG
enBank data baseに登録されている(accession n
umberはそれぞれAF003115、AF054611)。 更に、酵母Saccharomyces cerevisiaeの接合フェロ
モンのシグナル伝達経路において、STE5タンパク質がスキャフォルドタンパ
ク質として機能していることが知られている。 即ち、STE5タンパク質は、フェロモンがそのレセプターに結合したシグナ
ルを伝達する一連のMAP−kinase経路にある、STE11(MAPKK
K)、STE7(MAPKK)およびFUS/KSS1(MAPK)のすべての
kinaseと結合し、そのシグナルを効率よく伝達する機能を有するスキャフ
ォルドタンパク質である〔Genes Dev,,313(1994)、Ce
ll,78,499(1994)、Proc.Natl.Acad.Sci.U
.S.A.,91,7762(1994)〕。発明の開示 本発明は、ストレスやアポトーシスを誘導するシグナルに応答して活性化され
るJNK3カスケード上のJNK3に結合する新規ポリペプチド、該新規ポリペ
プチドをコードするDNA、該ポリペプチドを認識する抗体などを利用し、アル
ツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症等の神経変性疾
患、筋萎縮性側索硬化症等の筋萎縮性疾患、虚血性疾患、脳卒中時の脳障害、精
神分裂病、うつ病、てんかん、各種免疫、炎症性疾患の予防薬、治療薬を提供す
ることを目的とする。 細胞のアポトーシスを起こすメカニズムの一つとしては、JNKカスケードの
活性化が考えられる。一方、アルツハイマー病、あるいはパーキンソン病などの
神経変性疾患においては、その細胞死のメカニズムとしてアポトーシスがあげら
れる。 したがって、脳で特に高い発現をしているJNK3経路を阻害、遮断すること
ができれば、これら神経変性疾患の治療薬となり得、JNK3経路を選択的に阻
害、遮断できる薬剤は副作用の少ない治療薬としての可能性を有しているとの考
えの基に鋭意検討を行い、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は以下の(1)〜(39)の発明に関する。 (1) 配列番号10〜16のいずれか1つに記載のアミノ酸配列から選ばれる
アミノ酸配列からなるポリペプチド。 (2) 配列番号14〜16のいずれか1つに記載のアミノ酸配列から選ばれる
アミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ
酸配列からなり、かつJNK3と結合することのできるポリペプチド。 上記において、欠失、置換もしくは付加されるアミノ酸の数は特に限定されな
いが、1個から数十個、特に1個から数個のアミノ酸であることが好ましい。ま
た、欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドがもとの
ポリペプチドと同様にJNK3と結合することができるためには、もとのポリペ
プチドのアミノ酸配列と少なくとも60%以上、通常は80%以上、特に95%
以上の相同性を有していることが好ましい。以下、本明細書において記載された
、欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドは同様の定
義に基づくポリペプチドを意味する。 アミノ酸の欠失、置換若しくは付加は、出願前周知技術である部位特異的変異
誘発法により実施することができ、具体的には、Molecular Clon
ing,A Laboratory Manual,Second Editi
on,Cold Spring Harbor Laboratory Pre
ss(1989)(以下、モレキュラー クローニング 第2版と略す)、Cu
rrent Protocols in Molecular Biology
,Supplement 1〜38,John Wiley & Sons(1
987−1997)(以下、カレント プロトコル イン モレキュラ バイオ
ロジーと略す)、Nucleic Acids Research,10,64
87(1982)、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79,6
409(1982)、Gene,34,315(1985)、Nucleic
Acids Research,13,4431(1985)、Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA,82,488(1985)、Proc.Na
tl.Acad.Sci.USA,81,5662(1984)、Scienc
e,224,1431(1984)、PCT WO85/00817(1985
)、Nature,316,601(1985)等に記載の方法に準じて行うこ
とができる。 (3) 上記(1)または(2)記載のポリペプチドをコードするDNA。 (4) 配列番号2〜8のいずれか1つに記載の塩基配列から選ばれる塩基配列
からなるDNA。 (5) 配列番号6〜8のいずれか1つに記載の塩基配列からなるDNAとスト
リンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつJNK3と結合することのでき
るポリペプチドをコードするDNA。 上記の「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつJNK3と結合
することのできるポリペプチドをコードするDNA」とは、上記(3)または(
4)記載のDNAをプローブとして、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プ
ラーク・ハイブリダイゼーション法あるいはサザン・ブロット・ハイブリダイゼ
ーション法等を用いることにより得られるDNAを意味し、具体的には、コロニ
ーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1
.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1
〜2倍濃度のSSC(saline−sodium citrate)溶液(1
倍濃度のSSC溶液の組成は、150mM 塩化ナトリウム、15mM クエン
酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することによ
り同定できるDNAをあげることができる。 ハイブリダイゼーションは、モレキュラー クローニング 第2版、カレント
プロトコル イン モレキュラ バイオロジー、DNA Cloning 1
:Core Techniques,A Practical Approac
h,Second Edition,Oxford University P
ress(1995)等の実験書に記載されている方法に準じて行うことができ
る。 ハイブリダイズ可能なDNAとして具体的には、BLAST〔J.Mol.B
iol.,215,403(1990)〕やFAST〔Methods in
Enzymology,183,63−69〕等を用いて計算したときに、配列
番号1〜8で表される塩基配列と少なくとも80%以上の相同性を有するDNA
、好ましくは95%以上の相同性を有するDNAをあげることができる。 (6) 上記(3)〜(5)のいずれか1つに記載のDNAをベクターに組み込
んで得られる組換え体DNA。 (7) 組換え体DNAが、プラスミドpcDNA3−S−JSAP1b、pc
DNA3−S−JSAP1c、pcDNA3−S−JSAP4、pGAD10−
JSAP5およびpcDNA3−His−S−JSAP5から選ばれる組換え体
DNAである、上記(6)の組換え体DNA。 (8) 上記(6)または(7)の組換え体DNAを保有する形質転換体。 (9) 形質転換体が、微生物、動物細胞、植物細胞および昆虫細胞から選ばれ
る形質転換体である、上記(8)の形質転換体。 (10) 微生物が、Escherichia属に属する微生物である、上記(
9)の形質転換体。 (11) Escherichia属に属する微生物が、Escherichi
coli JSAP1b/pcDNA3(FERM BP−6567)、
scherichia coli JSAP1c/pcDNA3(FERM B
P−6568)、Escherichia coli JSAP4/pcDNA
3(FERM BP−6569)、Escherichia coli JSA
P5/pGAD10(FERM BP−6570)およびEscherichi
coli JSAP5/pcDNA3(FERM BP−6928)から選
ばれる微生物である、上記(10)の形質転換体。 (12) 上記(8)〜(11)のいずれかに記載の形質転換体を培地に培養し
、培養物中に上記(1)または(2)記載のポリペプチドを生成蓄積させ、該培
養物から該ポリペプチドを採取することを特徴とする、上記(1)または(2)
のポリペプチドの製造方法。 (13) 上記(3)〜(5)および配列番号5記載の塩基配列からなるDNA
のいずれか1つに記載のDNAの有する塩基配列中の連続した5〜60塩基と同
じ配列を有するオリゴヌクレオチド、該オリゴヌクレオチドと相補的な配列を有
するオリゴヌクレオチド、およびこれらオリゴヌクレオチドの誘導体オリゴヌク
レオチドから選ばれるオリゴヌクレオチド。 (14) 誘導体オリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエス
テル結合がホスフォロチオエート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、
オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスフォアミデ
ート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリボ
ースとリン酸ジエステル結合がペプチド核酸結合に変換された誘導体オリゴヌク
レオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換
された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チ
アゾールウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド
中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換された誘導体オリゴヌクレオチ
ド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phen
oxazine−modified cytosine)で置換された誘導体オ
リゴヌクレオチド、DNA中のリボースが2’−O−プロピルリボースで置換さ
れた誘導体オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド中のリボースが2’−
メトキシエトキシリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドから選ばれる
誘導体オリゴヌクレオチドである、上記(13)のオリゴヌクレオチド。 (15) 上記(13)または(14)のオリゴヌクレオチドを用い、上記(1
)または(2)のポリペプチドをコードするmRNAを検出する方法。 (16) 上記(13)または(14)のオリゴヌクレオチドを用い、上記(1
)または(2)のポリペプチドの発現を抑制する方法。 (17) 上記(1)または(2)のポリペプチドを認識する抗体。 (18) 上記(17)の抗体を用いることを特徴とする、上記(1)または(
2)のポリペプチドの免疫学的検出法。 (19) 上記(17)の抗体を用いることを特徴とする、上記(1)または(
2)のポリペプチドの免疫組織染色法。 (20) 上記(17)の抗体を含有する、免疫組織染色剤。 (21) 配列番号9〜16のいずれか1つに記載のアミノ酸配列から選ばれる
アミノ酸配列からなるポリペプチドまたは配列番号9〜16のいずれか1つに記
載のアミノ酸配列から選ばれるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、
置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつJNK3と結合することの
できるポリペプチド、JNK3および被験試料とを接触させることを特徴とする
、該ポリペプチドとJNK3との結合を阻害する活性を有する化合物のスクリー
ニング方法。 (22) 配列番号9〜16のいずれか1つに記載のアミノ酸配列から選ばれる
アミノ酸配列からなるポリペプチドまたは配列番号9〜16のいずれか1つに記
載のアミノ酸配列から選ばれるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、
置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつJNK3と結合することの
できるポリペプチド、活性化されたJNK3および被験試料とを接触させること
を特徴とする、活性化されたJNK3による、該ポリペプチドのリン酸化を阻害
する活性を有する化合物のスクリーニング方法。 (23) 上記(21)または(22)の方法により得られる化合物またはその
薬理学的に許容される塩。 本明細書において、化合物の薬理学的に許容される塩は、薬理学的に許容され
る酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩など
を包含する。 (24) 配列番号9〜16のいずれか1つに記載のアミノ酸配列から選ばれる
アミノ酸配列からなるポリペプチドまたは配列番号9〜16のいずれか1つに記
載のアミノ酸配列から選ばれるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、
置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつJNK3と結合することの
できるポリペプチドを発現する細胞と被験試料とを接触させることを特徴とする
、該ポリペプチドをコードする遺伝子の発現を変動させる化合物のスクリーニン
グ方法。 (25) 遺伝子の発現を変動を上記(15)の方法を用い検出することを特徴
とする、上記(24)のスクリーニング方法。 (26) ポリペプチドを上記(18)の方法を用い、検出することを特徴とす
る、上記(24)のスクリーニング方法。 (27) 上記(24)〜(26)のいずれか1つに記載の方法により得られる
化合物またはその薬理学的に許容される塩。 (28) 配列番号9〜16のいずれか1つに記載のアミノ酸配列から選ばれる
アミノ酸配列からなるポリペプチドまたは配列番号9〜16のいずれか1つに記
載のアミノ酸配列から選ばれるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、
置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつJNK3と結合することの
できるポリペプチドとJNK3との結合阻害剤。 (29) 活性化されたJNK3による、配列番号9〜16のいずれか1つに記
載のアミノ酸配列から選ばれるアミノ酸配列からなるポリペプチドまたは配列番
号9〜16のいずれか1つに記載のアミノ酸配列から選ばれるアミノ酸配列にお
いて1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、
かつJNK3と結合することのできるポリペプチドのリン酸化阻害剤。 (30) 上記(1)または(2)のポリペプチドを含有する、アルツハイマー
病、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症等の神経変性疾患、筋萎縮
性側索硬化症等の筋萎縮性疾患、虚血性疾患、脳卒中時の脳障害、精神分裂病、
うつ病、てんかん、各種免疫、炎症性疾患の予防薬。 (31) 上記(1)または(2)のポリペプチドを含有する、アルツハイマー
病、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症等の神経変性疾患、筋萎縮
性側索硬化症等の筋萎縮性疾患、虚血性疾患、脳卒中時の脳障害、精神分裂病、
うつ病、てんかん、各種免疫、炎症性疾患の治療薬。 (32) 上記(13)または(14)のオリゴヌクレオチドを含有する、アル
ツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症等の神経変性疾
患、筋萎縮性側索硬化症等の筋萎縮性疾患、虚血性疾患、脳卒中時の脳障害、精
神分裂病、うつ病、てんかん、各種免疫、炎症性疾患の予防薬。 (33) 上記(13)または(14)のオリゴヌクレオチドを含有する、アル
ツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症等の神経変性疾
患、筋萎縮性側索硬化症等の筋萎縮性疾患、虚血性疾患、脳卒中時の脳障害、精
神分裂病、うつ病、てんかん、各種免疫、炎症性疾患の治療薬。 (34) 上記(17)の抗体を含有する、アルツハイマー病、パーキンソン病
、ハンチントン病、多発性硬化症等の神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症等の筋
萎縮性疾患、虚血性疾患、脳卒中時の脳障害、精神分裂病、うつ病、てんかん、
各種免疫、炎症性疾患の予防薬。 (35) 上記(17)の抗体を含有する、アルツハイマー病、パーキンソン病
、ハンチントン病、多発性硬化症等の神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症等の筋
萎縮性疾患、虚血性疾患、脳卒中時の脳障害、精神分裂病、うつ病、てんかん、
各種免疫、炎症性疾患の治療薬。 (36) 上記(1)または(2)のポリペプチドをコードする遺伝子の転写を
司るプロモーターDNA。 (37) 上記(36)のプロモーターDNAおよび該プロモーターDNAの下
流に連結させたレポーター遺伝子を含有するプラスミドを保有する形質転換体と
被験試料とを接触させ、該レポーター遺伝子の翻訳産物含量を測定することを特
徴とする、該プロモーターによる転写の効率を変動させる化合物のスクリーニン
グ法。 (38) レポーター遺伝子が、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェ
ラーゼ遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子およびグリ
ーン・フルオレッセント・プロテイン遺伝子から選ばれる遺伝子である、上記(
37)のスクリーニング方法。 (39) 上記(37)または(38)の方法により得られる化合物またはその
薬理学的に許容される塩。 以下、本発明を詳細に説明する。 [1]本発明のDNAの取得およびオリゴヌクレオチドの調製 (1)cDNAライブラリーの作製 cDNAライブラリーを作製するために、適切な細胞または組織より全RNA
あるいはmRNAを調製する。 全RNAを調製する方法として、チオシアン酸グアニジン−トリフルオロ酢酸
セシウム法〔Methods in Enzymology,154,3(19
87)〕、酸性グアニジンチオシアネート・フェノール・クロロホルム(AGP
C)法〔Analytical Biochemistry,162,156(
1987)、実験医学,,1937(1991)〕等を用いることができる。 全RNAからポリ(A)RNAとしてmRNAを調製する方法として、オリ
ゴ(dT)固定化セルロースカラム法(モレキュラー クローニング 第2版)
やオリゴdTラテックスを用いる方法等を用いることができる。 ファースト・トラック・mRNA単離キット〔Fast Track mRN
A Isolation Kit;インビトロジェン(Invitrogen)
社製〕、クイック・プレップ・mRNA精製キット〔Quick Prep m
RNA Purification Kit;ファルマシア(Pharmaci
a)社製〕等のキットを用いて組織や細胞から直接mRNAを調製することもで
きる。 適切な細胞または組織として、動物の脳細胞または脳組織をあげることができ
る。 得られた全RNAあるいはmRNAを用い、常法によりcDNAライブラリー
を作製する。 cDNAライブラリー作製法として、モレキュラークローニング 第2版やカ
レント プロトコールズ イン モレキュラー バイオロジー、DNA Clo
ning 1:Core Techniques,A Practical A
pproach,Second Edition,Oxford Univer
sity Press(1995)等に記載された方法、あるいは市販のキット
、例えばスーパースクリプト・プラスミド・システム・フォー・cDNA・シン
セシス・アンド・プラスミド・クローニング〔Super Script Pl
asmid System for cDNA Synthesis and
Plasmid Cloning;ギブコBRL(Gibco BRL)社製〕
やザップ−cDNA ・シンセシス・キット〔ZAP−cDNA Synthe
sis Kit、ストラタジーン社製〕を用いる方法等をあげることができる。 cDNAライブラリーを作成するためのクローニングベクターとしては、大腸
菌K12株中で自立複製できるものであれば、ファージベクター、プラスミドベ
クター等いずれも使用できる。 具体的には、ZAP Express〔ストラタジーン社製、Strateg
ies,,58(1992)〕、pBluescript II SK(+)
〔Nucleic Acids Research,17,9494(1989
)〕、Lambda ZAP II(ストラタジーン社製)、λgt10、λg
t11〔DNA Cloning,A Practical Approach
,49(1985)〕、λTriplEx(クローンテック社製)、λEx
Cell(ファルマシア社製)、pT7T318U(ファルマシア社製)、pc
D2〔MOl.Cell.Biol.,,280(1983)〕、pUC18
〔Gene,33,103(1985)〕、pAMo 〔J.Biol.Che
m.,268,22782−22787(1993)、別名pAMoPRC3S
c(特開平05−336963)〕、pGAD10(クローンテック社製)等を
あげることができる。 宿主微生物としては、大腸菌Escherichia coliに属する微生
物であればいずれも用いることができる。具体的には、Escherichia coli XL1−Blue MRF’〔ストラタジーン社製、Strate
gies,,81(1992)〕、Escherichia coli C6
00〔Genetics,39,440(1954)〕、Escherichi
coli Y1088〔Science,222,778(1983)〕、
Escherichia coli Y1090〔Science,222,7
78(1983)〕、Escherichia coli NM522〔J.M
ol.Biol.,166,1(1983)〕、Escherichia co
li K802〔J.Mol.Biol.,16,118(1966)〕、Es
cherichia coli JM105〔Gene,38,275(198
5)〕、Escherichia coli SOLRTM Strain(ス
トラタジーン社製)、Escherichia coli LE392(モレキ
ュラー クローニング 第2版)等を用いることができる。 上記方法により作製したcDNAライブラリーに加え、市販のcDNAライブ
ラリーも利用することができる。 市販のcDNAライブラリーとして、クローンテック社、ライフテックオリエ
ンタル社、ヘルス サイエンス リサーチ リソース バンク(Health
Science Research Resources Bank,Japa
n)等のヒト、ウシ、マウス、ラット、ウサギ等由来の各臓器cDNAライブラ
リーをあげることができる。 (2)本発明のDNAの取得 上記(1)で作製したcDNAライブラリーより、本発明のDNAを有するc
DNAクローンを、以下の酵母を用いたツー ハイブリッド システム(two
−hybrid system)により取得することができる。 JNK3をコードする全長cDNA、例えば、マウスJNK3〔Nature
Medicine,,89(1997)〕を、GAL4 DNA結合ドメイ
ンをコードする配列を含むクローニングベクター、例えば、pAS2−1(クロ
ーンテック社製)の該配列下に組み込み、酵母CG−1945株(クローンテッ
ク社製)に導入する。 上記(1)の方法で、GAL4転写活性化ドメインをコードする配列を含むク
ローニングベクター、例えば、pGAD10(クローンテック社製)の該配列下
に、脳由来のcDNAを挿入し、cDNAライブラリーを作製する。 該cDNAライブラリーを、上記JNK3を含有するCG−1945株に導入
し、形質転換株を取得する。 CG−1945株は、GAL4応答配列の制御下にあるHIS3およびlac Z遺伝子を持つレポーター酵母株であり、JNK3および脳cDNAのハイブリ
ッドコンストラクトから発現される2つのタンパク質が結合する時にのみHIS 3およびlacZ遺伝子が発現する。従って、得られた形質転換株より、ヒスチ
ジン要求性が解除され(ヒスチジンを含有しない培地で生育してくる)かつβ−
ガラクトシダーゼ活性を有する株を選択することにより、JNK3と結合するこ
とのできるポリペプチド(JSAP:c−Jun N−terminal ki
nase/stress−activated protein kinase
−associated protein)をコードする本発明のDNAを有す
るcDNAクローンを選択することができる。 ヒスチジン要求性が解除されかつβ−ガラクトシダーゼ活性を有する形質転換
株を一度の行程で取得してもよいが、ヒスチジン要求性が解除された形質転換株
あるいは形質転換株β−ガラクトシダーゼ活性を有する形質転換株(一次ポジテ
ィブクローン)をまず選択し、次にヒスチジン要求性が解除されかつβ−ガラク
トシダーゼ活性を有する形質転換株(二次ポジティブクローン)を選択し、目的
とする形質転換株を取得してもよい。 上記のようにして取得された目的とする形質転換株より、常法に準じてpGA
D由来のプラスミドを回収し、目的とする脳由来のcDNAフラグメントを取得
する。 得られたcDNAフラグメントをプローブとして用い、該プローブをアイソト
ープあるいは蛍光標識し、コロニー・ハイブリダイゼーション法あるいはプラー
ク・ハイブリダイゼーション法〔モレキュラークローニング 第2版〕等により
、目的とする全長cDNAを取得することができる。 上記の方法により取得されたDNAの塩基配列は、該DNA断片をそのままあ
るいは適当な制限酵素等で切断後常法によりベクターに組み込み、通常用いられ
る塩基配列解析方法、例えばサンガー(Sanger)らのジデオキシ法〔Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA,74,5463(1977)〕あ
るいはパーキン・エルマー社(Perkin Elmer:373A・DNAシ
ークエンサー)、ファルマシア社、ライコア(LI−COR)社等の塩基配列分
析装置を用いて分析することにより決定することができる。 上記方法により取得されるDNAとして、例えば、配列番号1〜8いずれかに
記載の塩基配列からなるDNAをあげることができる。 配列番号2に記載の塩基配列からなるDNAを含有するプラスミドpcDNA
3−S−JSAP1bを保有する大腸菌Escherichia coli
SAP1b/pcDNA3、配列番号3に記載の塩基配列からなるDNAを含有
するプラスミドpcDNA3−S−JSAP1cを保有する大腸菌Escher
ichia coli JSAP1c/pcDNA3、配列番号6に記載の塩基
配列からなるDNAを含有するプラスミドpcDNA3−S−JSAP4を保有
する大腸菌Escherichia coli JSAP4/pcDNA3およ
び配列番号7に記載の塩基配列からなるDNAを含有するプラスミドpGAD1
0−JSAP5を保有する大腸菌Escherichia coli JSAP
5/pGAD10は平成10年11月6日付けで、配列番号8に記載の塩基配列
からなるDNAを含有するプラスミドpcDNA3−His−S−JSAP5を
保有する大腸菌Escherichia coli JSAP5/pcDNA3
は平成11年11月2日付けで、それぞれFERM BP−6567、FERM
BP−6568、FERM BP−6569、FERM BP−6570、F
ERM BP−6928として、工業技術院生命工学工業技術研究所、日本国茨
城県つくば市東1丁目1番3号(郵便番号305−8566)に寄託されている
。 また、上記方法で取得したDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイ
ズするDNAを選択することにより、他の組織あるいは、他の動物由来、例えば
ヒト由来の目的とするDNAを取得することができる。 上記方法により得られた塩基配列情報に基づき、DNA合成機で化学合成する
ことにより目的とするDNAを調製することもできる。DNA合成機としては、
チオホスファイト法を利用した島津製作所社製のDNA合成機、フォスフォアミ
ダイト法を利用したパーキン・エルマー社製のDNA合成機mode1392等
をあげることができる。 得られた塩基配列の新規性に関しては、BLAST等の相同性検索プログラム
を用いて、GenBank、EMBLおよびDDBJ等の塩基配列データベース
を検索することにより確認することができる。 新規な塩基配列については、アミノ酸配列に変換したのもFASTA、フレー
ムサーチ(FrameSearch)等の相同性検索プログラムを用いて、Ge
nPept、PIR、Swiss−Prot等のアミノ酸配列データベースを検
索することにより、相同性をもつ既存の遺伝子を検索することができる。 (3)本発明のオリゴヌクレオチドの調製 上述の方法で取得した本発明のDNAおよびDNA断片を用いて、常法あるい
は上記のDNA合成機により、本発明のDNAの一部の配列を有するアンチセン
ス・オリゴヌクレオチド、センス・オリゴヌクレオチド等のオリゴヌクレオチド
を調製することができる。 該オリゴヌクレオチドとしては、上記DNAの有する塩基配列中の連続した5
〜60塩基と同じ配列を有するDNAまたは該DNAと相補的な配列を有するD
NAをあげることができ、具体的には、配列番号1〜8で表される塩基配列中の
連続した5〜60塩基と同じ配列を有するDNAまたは該DNAと相補的な配列
を有するDNAをあげることができる。 該オリゴヌクレオチドをセンスプライマーおよびアンチセンスプライマーとし
て用いる場合には、両者の融解温度(Tm)および塩基数が極端に変わることの
ない上記のオリゴヌクレオチドが好ましい。 更に、これらオリゴヌクレオチドの誘導体も本発明のオリゴヌクレオチドとし
て利用することができる。 該誘導体オリゴヌクレオチドとしては、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエス
テル結合がホスフォロチオエート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、
オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスフォアミデ
ート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリボ
ースとリン酸ジエステル結合がペプチド核酸結合に変換された誘導体オリゴヌク
レオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシルで置換
された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5チ
アゾールウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド
中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換された誘導体オリゴヌクレオチ
ド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(phen
oxazine−modified cytosine)で置換された誘導体オ
リゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のリボースが2’−O−プロピルリボ
ースで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、あるいはオリゴヌクレオチド中の
リボースが2’−メトキシエトキシリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオ
チド等をあげることができる〔細胞工学,16,1463(1997)〕。 [2]本発明のポリペプチドの調製 (1)形質転換体の作製 上記[1]に記載の方法により取得したJSAPをコードする本発明のDNA
を宿主細胞中で発現させ、本発明のポリペプチドを製造するために、モレキュラ
ー クローニング 第2版、カレント プロトコル イン モレキュラ バイオ
ロジー等に記載された方法を用いることができる。 即ち、本発明のDNAを適当な発現ベクターのプロモーター下流に挿入した組
換えベクターを造成し、該ベクターを宿主細胞に導入することにより、本発明の
ポリペプチドを発現する形質転換体を取得し、該形質転換体を培養することによ
り、本発明のポリペプチドを製造することができる。 宿主細胞としては、細菌、酵母、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞等、目的とす
る遺伝子を発現できるものであればいずれも用いることができる。 発現ベクターとしては、上記宿主細胞において自立複製可能ないしは染色体中
への組込が可能で、本発明のDNAを転写できる位置にプロモーターを含有して
いるものが用いられる。 細菌等の原核生物を宿主細胞として用いる場合、本発明のポリペプチド遺伝子
発現ベクターは原核生物中で自立複製可能であると同時に、プロモーター、リボ
ソーム結合配列、本発明のDNA、転写終結配列、より構成された組換えベクタ
ーであることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい
。 発現ベクターとしては、例えば、pBTrp2、pBTac1、pBTac2
(いずれもベーリンガーマンハイム社より市販)、pKK233−2(ファルマ
シア社製)、pSE280(インビトロジェン社製)、pGEMEX−1〔プロ
メガ(Promega)社〕、pQE−8(キアゲン(QIAGEN)社製)、
pKYP10(特開昭58−110600)、pKYP200〔Agric.B
iol.Chem.,48,669(1984)〕、pLSA1〔Agric.
Biol.Chem.,53,277(1989)〕、pGEL1〔Proc.
Natl.Acad.Sci.USA,82,4306(1985)〕、pBl
uescript II SK(−)(ストラタジーン社製)、pTrs32(
FERM BP−5408)、pGHA2(FERM BP−400)、pGK
A2(FERM B−6798)、pTerm2(特開平3−22979、US
4686191、US4939094、US5160735)、pGEX(ファ
ルマシア社製)、PET−3(ノバジェン社製)、pSupex、pUB110
、pTP5、pC194、pTrxFus(Invitrogen社製)、pM
AL−c2(New England Biolabs社製)等をあげることが
できる。 プロモーターとしては、大腸菌や枯草菌等の宿主細胞中で発現できるものであ
ればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lac プロモーター(Plac)、Pプロモーター、Pプロモーター、T7プロモ
ーター等の、大腸菌やファージ等に由来するプロモーター、SPO1プロモータ
ー、SPO2プロモーター、penPプロモーター等をあげることができる。ま
たPtrpを2つ直列させたプロモーター(Ptrp x2)、tacプロモー
ター、lacT7プロモーター、let Iプロモーターのように人為的に設計
改変されたプロモーター等も用いることができる。 リボソーム結合配列としては、シャイン−ダルガノ(Shine−Dalga
rno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節し
たプラスミドを用いることが好ましい。 本発明のDNAの発現には転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝
子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。 宿主細胞としては、エシェリヒア属、セラチア属、バチルス属、ブレビバクテ
リウム属、コリネバクテリウム属、ミクロバクテリウム属、シュードモナス属等
に属する微生物、例えば、Escherichia coli XL1−Blu
e、Escherichia coli XL2−Blue、Escheric
hia coli DH1、Escherichia coli MC1000
Escherichia coli KY3276、Escherichia coli W1485、Escherichia coli JM109、
scherichia coli HB101、Escherichia co
li No.49、Escherichia coli W3110、Esch
erichia coli NY49、Serratia ficaria
erratia fonticolaSerratia liquefaci
ensSerratia marcescensBacillus sub
tilisBacillus amyloliquefaciensBre
vibacterium ammoniagenesBrevibacter ium immariophilum ATCC14068、Brevibac
terium saccharolyticum ATCC14066、Cor
ynebacterium glutamicum ATCC13032、Co
rynebacterium glutamicum ATCC14067、
orynebacterium glutamicum ATCC13869、
Corynebacterium acetoacidophilum ATC
C13870、Microbacterium ammoniaphilum
ATCC15354、Pseudomonas sp.D−0110等をあげる
ことができる。 組換えベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法で
あればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法〔P
roc.Natl.Acad.Sci.USA,69,2110(1972)〕
、プロトプラスト法(特開昭63−248394)、エレクトロポレーション法
〔Gene,17,107(1982)、Molecular & Gener
al Genetics,168,111(1979)〕等をあげることができ
る。 酵母菌株を宿主細胞として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、Y
Ep13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)、YCp
50(ATCC37419)、pHS19、pHS15等を用いることができる
。 プロモーターとしては、酵母菌株中で発現できるものであればいずれのものを
用いてもよく、例えば、PH05プロモーター、PGKプロモーター、GAPプ
ロモーター、ADHプロモーター、gal 1プロモーター、gal 10プロ
モーター、ヒートショックポリペプチドプロモーター、MFα1プロモーター、
CUP1プロモーター等のプロモーターをあげることができる。 宿主細胞としては、サッカロマイセス属、シゾサッカロマイセス属、クルイベ
ロミセス属、トリコスポロン属、シワニオミセス属等に属する酵母菌株をあげる
ことができ、具体的には、Saccharomyces cerevisiaeSchizosaccharomyces pombeKluyverom yces lactisTrichosporon pullulans
chwanniomyces alluviusPichia pastor
is等をあげることができる。 組換えベクターの導入方法としては、酵母にDNAを導入する方法であればいず
れも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法〔Methods
in Enzymology,194,182(1990)〕、スフェロプラス
ト法〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81,4889(19
84)〕、酢酸リチウム法〔Journal of Bacteriology
153,163(1983)〕等をあげることができる。 動物細胞を宿主として用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、pcD
NAI/Amp(インビトロジェン社製)、pcDNAI、pCDM8〔Nat
ure,329,840(1987)〕、pAGE107〔特開平3−2297
9、Cytotechnology,,133(1990)〕、pREP4(
インビトロジェン社製)、pAGE103〔Journal of Bioch
emistry,101,1307(1987)〕、pAMo、pAMoA、p
AS3−3(特開平2−227075)等が用いられる。 プロモーターとしては、動物細胞中で発現できるものであればいずれも用いる
ことができ、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)のIE(immedia
te early)遺伝子のプロモーター、SV40の初期プロモーターあるい
はメタロチオネインのプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、ヒートシ
ョックプロモーター、SRαプロモーター等をあげることができる。また、ヒト
CMVのIE遺伝子のエンハンサーをプロモーターと共に用いてもよい。 動物細胞としては、マウス・ミエローマ細胞、ラット・ミエローマ細胞、マウ
ス・ハイブリドーマ細胞、ヒトの細胞であるナマルバ(Namalwa)細胞ま
たはNamalwaKJM−1細胞、ヒト胎児腎臓細胞、ヒト白血病細胞、アフ
リカミドリザル腎臓細胞、チャイニーズ・ハムスターの細胞であるCHO細胞、
HBT5637(特開昭63−299)等をあげることができる。 マウス・ミエローマ細胞としては、SP2/0、NSO等、ラット・ミエロー
マ細胞としてはYB2/0等、ヒト胎児腎臓細胞としてはHEK293(ATC
C:CRL−1573)、293等、ヒト白血病細胞としては、BALL−1等
、アフリカミドリザル腎臓細胞としてはCOS−1、COS−7等をあげること
ができる。 組換えベクターの導入方法としては、動物細胞にDNAを導入する方法であれ
ばいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法〔Cytot
echnology,,133(1990)〕、リン酸カルシウム法(特開平
2−227075)、リポフェクション法〔Proc.Natl.Acad.S
ci.USA,84,7413(1987)〕、Virology,52,45
6(1973)に記載の方法等をあげることができる。 昆虫細胞を宿主として用いる場合には、例えばバキュロウイルス・イクスプレ
ッション・ベクターズ ア・ラボラトリー・マニュアル〔Baculoviru
s Expression Vectors,A Laboratory Ma
nual,W.H.Freeman and Company,New Yor
k(1992)〕、モレキュラー バイオロジー ア ラボラトリー マニュア
ル(Molecular Biology,A Laboratory Man
ual)、カレント プロトコールズ イン モレキュラー バイオロジー、B
io/Technology,,47(1988)等に記載された方法によっ
て、ポリペプチドを発現することができる。 即ち、組換え遺伝子導入ベクターおよびバキュロウイルスを昆虫細胞に共導入
して昆虫細胞培養上清中に組換えウイルスを得た後、さらに組換えウイルスを昆
虫細胞に感染させ、ポリペプチドを発現させることができる。 該方法において用いられる遺伝子導入ベクターとしては、例えば、pVL13
92、pVL1393、pBlue BacIII(ともにインビトロジェン社
製)等をあげることができる。 バキュロウイルスとしては、例えば、夜盗蛾科昆虫に感染するウイルスである
アウトグラファ・カリフォルニカ・ヌクレアー・ポリヘドロシス・ウイルス(A
utographa californica nuclear polyhe
drosis virus)等を用いることができる。 昆虫細胞としては、Spodoptera frugiperdaの卵巣細胞
Trichoplusia niの卵巣細胞、カイコ卵巣由来の培養細胞等を
用いることができる。 Spodoptera frugiperdaの卵巣細胞としてはSf9、S
f21(バキュロウイルス・イクスプレッション・ベクターズ ア・ラボラトリ
ー・マニュアル)等、Trichoplusia niの卵巣細胞としてはHi
gh 5、BTI−TN−5B1−4(インビトロジェン社製)等、カイコ卵巣
由来の培養細胞としてはBombyx mori N4等をあげることができる
。 組換えウイルスを調製するための、昆虫細胞への上記組換え遺伝子導入ベクタ
ーと上記バキュロウイルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法
(特開平2−227075)、リポフェクション法〔Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA,84,7413(1987)〕等をあげることができる
。 遺伝子の発現方法としては、直接発現以外に、モレキュラー クローニング
第2版に記載されている方法等に準じて、分泌生産、融合タンパク質発現等を行
うことができる。 酵母、動物細胞または昆虫細胞により発現させた場合には、糖あるいは糖鎖が
付加されたポリペプチドを得ることができる。 以上のようにして得られる形質転換体を培地に培養し、培養物中に本発明のポ
リペプチドを生成蓄積させ、該培養物から採取することにより、本発明のポリペ
プチドを製造することができる。 また、患者の生体内から採取した細胞に、適切な本発明のポリペプチドを発現
させるための発現ベクターを導入した後、細胞を生体内に戻すことにより、本発
明のポリペプチドを患者の生体内で発現させることもできる。 (2)形質転換体の培養 本発明の形質転換体を培地に培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の
方法に従って行うことができる。 大腸菌等の原核生物あるいは酵母等の真核生物を宿主として得られた形質転換
体を培養する培地としては、該生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を
含有し、形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地の
いずれを用いてもよい。 炭素源としては、該生物が資化し得るものであればよく、グルコース、フラク
トース、スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分
解物等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール
等のアルコール類等を用いることができる。 窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸ア
ンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩、
その他の含窒素化合物、並びに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチ
ープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌
体、およびその消化物等を用いることができる。 無機塩としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシ
ウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅
、炭酸カルシウム等を用いることができる。 培養は、通常振盪培養または深部通気攪拌培養等の好気的条件下で行う。培養
温度は15〜40℃がよく、培養時間は、通常16〜96時間である。培養中p
Hは3.0〜9.0に保持する。pHの調整は、無機または有機の酸、アルカリ
溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニア等を用いて行う。 また、培養中必要に応じて、アンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を
培地に添加してもよい。 プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換し
た微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加しても
よい。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物
を培養するときにはイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド等を、tr
プロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときには
インドールアクリル酸等を培地に添加してもよい。 動物細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、一般に使
用されているRPMI1640培地〔The Journal of the
American Medical Association,199,519
(1967)〕、EagleのMEM培地〔Science,122,501(
1952)〕、DMEM培地〔Virology,,396(1959)〕、
199培地〔Proceeding of the Society for
the Biological Medicine,73,1(1950)〕ま
たはこれら培地に牛胎児血清等を添加した培地等を用いることができる。 培養は、通常pH6〜8、30〜40℃、5%CO存在下等の条件下で1〜
7日間行う。 また、培養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン、ストレプトマイシン
等の抗生物質を培地に添加してもよい。 昆虫細胞を宿主として得られた形質転換体を培養する培地としては、一般に使
用されているTNM−FH培地〔ファーミンジェン(Pharmingen)社
製〕、Sf−900 II SFM培地(ライフ・テクノロジーズ社製)、Ex
Cell400、ExCell405〔いずれもJRHバイオサイエンシーズ(
JRH Biosciences)社製〕、Grace’s Insect M
edium〔Nature 195,788(1962)〕等を用いることがで
きる。 培養は、通常pH6〜7、25〜30℃等の条件下で1〜5日間行う。 また、培養中必要に応じて、ゲンタマイシン等の抗生物質を培地に添加しても
よい。 (3)発現させたポリペプチドの単離精製 上記形質転換体の培養液から、上記方法により発現させたポリペプチドを単離
精製するためには、通常の酵素の単離、精製法を用いればよい。 例えば、本発明のポリペプチドが、細胞内に溶解状態で発現した場合には、培
養終了後、細胞を遠心分離により回収し水系緩衝液にけん濁後、超音波破砕機、
フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー、ダイノミル等により細胞を
破砕し、無細胞抽出液を得る。 該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られた上清から、通常の酵素の単
離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈
殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セファロース、DIAION HP
A−75(三菱化学社製)等レジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法
、S−Sepharose FF(ファルマシア社製)等のレジンを用いた陽イ
オン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等
のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、ア
フィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳
動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用い、精製標品を得るこ
とができる。 また、該ポリペプチドが細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、同様に細
胞を回収後破砕し、遠心分離を行うことにより得られた沈殿画分より、通常の方
法により該ポリペプチドを回収後、該ポリペプチドの不溶体をタンパク質変性剤
で可溶化する。 該可溶化液を、タンパク質変性剤を含まないあるいはタンパク質変性剤の濃度
がタンパク質が変性しない程度に希薄な溶液に希釈、あるいは透析し、該ポリペ
プチドを正常な立体構造に構成させた後、上記と同様の単離精製法により精製標
品を得ることができる。 本発明のポリペプチドあるいはその糖修飾体等の誘導体が細胞外に分泌された
場合には、培養上清に該ポリペプチドあるいはその糖鎖付加体等の誘導体を回収
することができる。 即ち、該培養物を上記と同様の遠心分離等の手法により処理することにより可
溶性画分を取得し、該可溶性画分から、上記と同様の単離精製法を用いることに
より、精製標品を得ることができる。 また、本発明のポリペプチドを他のタンパク質との融合タンパク質として生産
し、融合したタンパク質に親和性をもつ物質を用いたアフィニティークロマトグ
ラフィーを利用して精製することもできる。例えば、ロウらの方法〔Proc,
Natl.Acad.Sci.USA,86,8227(1989)、Gene
s Develop.,,1288(1990)〕、特開平05−33696
3、特開平06−823021に記載の方法に準じて、本発明のポリペプチドを
プロテインAとの融合タンパク質として生産し、イムノグロブリンGを用いるア
フィニティークロマトグラフィーにより精製することができる。 また、本発明のポリペプチドをFlagペプチドとの融合タンパク質として生産
し、抗Flag抗体を用いるアフィニティークロマトグラフィーにより精製する
ことができる〔Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86,822
7(1989)、Genes Develop.,,1288(1990)〕
。更に、該ポリペプチド自身に対する抗体を用いたアフィニティークロマトグラ
フィーで精製することもできる。 更に、本発明のポリペプチドは、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカル
ボニル法)、tBoc法(t−ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法によ
っても製造することができる。 また、アドバンスト・ケムテック(Advanced ChemTech)社
、パーキン・エルマー社、ファルマシア社、プロテイン・テクノロジー・インス
トゥルメント(Protein Techology Instrument)
社、シンセセル・ベガ(Synthecell−Vega)社、パーセプティブ
(PerSeptive)社、島津製作所等のペプチド合成機を利用し化学合成
することもできる。 精製した本発明のポリペプチドの構造解析は、タンパク質化学で通常用いられ
る方法、例えば遺伝子クローニングのためのタンパク質構造解析(平野久著、東
京化学同人発行、1993年)に記載の方法により実施可能である。 [3]本発明のポリペプチドを認識する抗体の調製 (1)ポリクローナル抗体の調製 上記[2]に記載の方法により取得した本発明のポリペプチドの全長または部
分断片精製標品を抗原として用い、動物に投与することによりポリクローナル抗
体を作製することができる。 抗原とするペプチドは、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列に基づいてペプ
チド合成機で合成することもできる。 また、上記[2]に記載の方法により取得した本発明のポリペプチドを、後述
の活性化JNK3を用いてリン酸化したポリペプチドの全長またはリン酸化部分
を含む部分ポリペプチド断片の精製標品を抗原として用い、動物に投与すること
により、リン酸化された本発明のポリペプチドを特異的に認識するポリクローナ
ル抗体を作製することができる。 リン酸化された本発明のポリペプチドとしては、例えば、配列番号9記載のア
ミノ酸配列の234、244および255番目のアミノ酸のいずれか1つ以上を
リン酸化されたもの、配列番号10記載のアミノ酸配列の243、253および
264番目のアミノ酸のいずれか1つ以上をリン酸化されたもの、配列番号11
記載のアミノ酸配列の266、276および287番目のアミノ酸のいずれか1
つ以上をリン酸化されたもの、配列番号12記載のアミノ酸配列の265、27
5および286番目のアミノ酸のいずれか1つ以上をリン酸化されたものをあげ
ることができる。 投与する動物として、ウサギ、ヤギ、3〜20週令のラット、マウス、ハムス
ター等を用いることができる。 該抗原の投与量は動物1匹当たり50〜100μgが好ましい。 ペプチドを用いる場合は、ペプチドをスカシガイヘモシアニン(keyhol
e limpet haemocyanin)や牛チログロブリン等のキャリア
蛋白に共有結合させたものを抗原とするのが望ましい。 該抗原の投与は、1回目の投与の後1〜2週間おきに3〜10回行う。各投与
後、3〜7日目に眼底静脈叢より採血し、該血清が免疫に用いた抗原と反応する
ことを酵素免疫測常法〔酵素免疫測常法(ELISA法):医学書院刊 197
6年、Antibodies−A Laboratory Manual,Co
ld Spring Harbor Laboratory Press(19
88)〕等で確認する。 免疫に用いた抗原に対し、該血清が充分な抗体価を示した非ヒトほ乳動物より
血清を取得し、該血清を分離、精製することによりポリクローナル抗体を取得す
ることができる。 分離、精製する方法としては、遠心分離、40〜50%飽和硫酸アンモニウム
による塩析、カプリル酸沈殿〔Antibodies,A Laborator
y Manual,Cold Spring Harbor Laborato
ry,(1988)〕、またはDEAE−セファロースカラム、陰イオン交換カ
ラム、プロテインAまたはG−カラムあるいはゲル濾過カラム等を用いるクロマ
トグラフィー等を、単独または組み合わせて処理する方法があげられる。 (2)モノクローナル抗体の調製 (2−1)抗体産生細胞の調製 上記(1)において、免疫に用いた抗原に対し、その血清が十分な抗体価を示
したラットを抗体産生細胞の供給源として供する。 該抗体価を示したラットに抗原物質を最終投与した後3〜7日目に、脾臓を摘
出する。 該脾臓をMEM培地(日水製薬社製)中で細断し、ピンセットでほぐし、1,
200rpmで5分間遠心分離した後、上清を捨てる。 得られた沈殿画分の脾細胞をトリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.65
)で1〜2分間処理し赤血球を除去した後、MEM培地で3回洗浄し、得られた
脾細胞を抗体産生細胞として用いる。 (2−2)骨髄腫細胞の調製 骨髄腫細胞としては、マウスまたはラットから取得した株化細胞を使用する。
例えば、8−アザグアニン耐性マウス(BALB/c由来)骨髄腫細胞株P3−
X63Ag8−U1(P3−U1)〔Curr.Topics Microbi
ol.Immunol.,81,1(1978)、Eur.J.Immunol
.,,511(1976)〕、SP2/0−Ag14(SP−2)〔Natu
re,276,269(1978)〕、P3−X63−Ag8653(653)
〔J.Immunol.,123,1548(1979)〕、P3−X63−A
g8(X63)〔Nature,256,495(1975)〕等を用いること
ができる。これらの細胞株は、8−アザグアニン培地〔RPMI−1640培地
にグルタミン(1.5mM)、2−メルカプトエタノール(5×10−5M)、
ジェンタマイシン(10μg/ml)および牛胎児血清(FCS)(CSL社製
、10%)を加えた培地(以下、正常培地という)に、さらに8−アザグアニン
(15μg/ml)を加えた培地〕で継代するが、細胞融合の3〜4日前に正常
培地で培養し、融合には該細胞を2×10個以上用いる。 (2−3)ハイブリドーマの作製 (2−1)で取得した抗体産生細胞と(2−2)で取得した骨髄腫細胞をME
M培地またはPBS(リン酸二ナトリウム 1.83g、リン酸一カリウム 0
.21g、食塩 7.65g、蒸留水 1リットル、pH7.2)でよく洗浄し
、細胞数が、抗体産生細胞:骨髄腫細胞=5〜10:1になるよう混合し、1,
200rpmで5分間遠心分離した後、上清を捨てる。 得られた沈澱画分の細胞群をよくほぐし、該細胞群に、攪拌しながら、37℃
で、10抗体産生細胞あたり、ポリエチレングライコール−1000(PEG
−1000)2g、MEM 2mlおよびジメチルスルホキシド(DMSO)0
.7mlを混合した溶液を0.2〜1ml添加し、更に1〜2分間毎にMEM培
地1〜2mlを数回添加する。 添加後、MEM培地を加えて全量が50mlになるように調製する。 該調製液を900rpmで5分間遠心分離後、上清を捨てる。 得られた沈殿画分の細胞を、ゆるやかにほぐした後、メスピペットによる吸込
み、吹出しでゆるやかにHAT培地〔正常培地にヒポキサンチン(10−4M)
、チミジン(1.5×10−5M)およびアミノプテリン(4×10−7M)を
加えた培地〕100ml中に懸濁する。 該懸濁液を96穴培養用プレートに100μl/穴ずつ分注し、5%CO
ンキュベーター中、37℃で7〜14日間培養する。 培養後、培養上清の一部をとりアンチボディイズ〔Antibodies−A
Laboratory Manual,Cold Spring Harbo
r Laboratory Press,Chapter14(1988)〕等
に述べられている酵素免疫測常法により、上記抗体産生細胞を取得するために、
免疫に用いた抗原に特異的に反応するハイブリドーマを選択する。 酵素免疫測常法の具体的例として、以下の方法をあげることができる。 免疫の際、抗原に用いた本発明のポリペプチドの全長または部分断片精製標品
を適当なプレートにコートし、ハイブリドーマ培養上清もしくは後述の(2−4
)で得られる精製抗体を第一抗体として反応させ、さらに第二抗体としてビオチ
ン、酵素、化学発光物質あるいは放射線化合物等で標識した抗ラットイムノグロ
ブリン抗体を反応させた後に標識物質に応じた反応を行ない、本発明のポリペプ
チドに特異的に反応するものを本発明のポリペプチドに対するモノクローナル抗
体を生産するハイブリドーマとして選択する。 該ハイブリドーマを用いて、限界希釈法によりクローニングを2回繰り返し〔
1回目はHT培地(HAT培地からアミノプテリンを除いた培地)、2回目は正
常培地を使用する〕、安定して強い抗体価の認められたものを本発明のポリペプ
チドに対するモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ株として選択する。 (2−4)モノクローナル抗体の調製 プリスタン処理〔2,6,10,14−テトラメチルペンタデカン(Pris
tane)0.5mlを腹腔内投与し、2週間飼育する〕した8〜10週令のマ
ウスまたはヌードマウスに、(2−3)で取得した本発明のポリペプチドに対す
るモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞5〜20×10細胞/匹
を腹腔内に注射する。10〜21日間でハイブリドーマは腹水癌化する。 該腹水癌化したマウスから腹水を採取し、3,000rpmで5分間遠心分離
して固形分を除去する。 得られた上清より、ポリクローナルで用いた方法と同様の方法でモノクローナ
ル抗体を精製、取得することができる。 抗体のサブクラスの決定は、マウスモノクローナル抗体タイピングキットまた
はラットモノクローナル抗体タイピングキットを用いて行う。タンパク質量は、
ローリー法あるいは280nmでの吸光度より算出する。 [4]JNK3と結合することのできる新規ポリペプチドを用いた、有用医薬品
のスクリーニング法 (1)スクリーニング法に用いるタグポリペプチドと本発明のポリペプチドとの
融合ポリペプチドの調製 1)チオレドキシンSタグ(thioredoxin・S−tag、以下、Tr
x・Sと略す)ペプチドとの融合ポリペプチドの調製 上記[1]で取得されるJNK3と結合することのできるポリペプチド(JS
AP)をコードするcDNAの全長あるいは部分長DNAを、Trx・S配列を
含む発現ベクター、例えば、pET32(Novagen社製)のTrx・S配
列の下流に挿入することにより、Trx・S−JSAP融合ポリペプチドを発現
するベクターを作製することができる。同様に、Trx・S−ATF2配列を含
む発現ベクター、例えば、pET32a(Novagen社製)のTrx・S−
ATF2配列の下流に挿入することにより、Trx・S−ATF2−JSAP融
合ポリペプチドを発現するベクターを作製することができる。 得られた発現ベクターを用い、上記[2]に記載の方法に準じて融合ポリペプ
チドを取得することができる。 2)Sタグ(S−tag)ペプチドとの融合ポリペプチドの調製 JSAPをコードするcDNAの全長あるいは部分長DNAを、Sタグ配列を
含む発現ベクター、例えば、pcDNA3(Invitrogen社製)にSタ
グ配列を挿入したs−modified pcDNA3のSタグ配列の下流に挿
入することにより、S−JSAP融合ポリペプチドを発現するベクターを作製す
ることができる。 得られた発現ベクターを用い、上記[2]に記載の方法に準じて融合ポリペプ
チドを取得することができる。 3)GAL4ADペプチドとの融合ポリペプチドの調製 JSAPをコードするcDNAの全長あるいは部分長DNAを、GAL4AD
配列を含む発現ベクター、例えば、pGAD10(Clontech社製)のG
AL4AD配列の下流に挿入することにより、GAL4AD−JSAP融合ポリ
ペプチドを発現するベクターを作製することができる。 得られた発現ベクターを用い、上記[2]に記載の方法に準じて融合ポリペプ
チドを取得することができる。 4)Flagペプチドとの融合ポリペプチドの調製 JSAPをコードするcDNAの全長あるいは部分長DNAを、Flag配列
を含む発現ベクター、例えば、pFlag−CMV−2(Kodak社製)、p
cDNA3にFlagタグ配列を挿入したFlag−modified pcD
NA3 vector(Invitrogen社製)のFlag配列の下流に挿
入することにより、Flag−JSAP融合ポリペプチドを発現するベクターを
作製することができる。 得られた発現ベクターを用い、上記[2]に記載の方法に準じて融合ポリペプ
チドを取得することができる。 5)グルタチオン S−トランスフェラーゼ(Glutathione S−t
ransferase、以下、GSTと略す)との融合ポリペプチドの調製 JSAPをコードするcDNAの全長あるいは部分長DNAを、GST配列を
含む発現ベクター、例えば、pGEX(Pharmacia社製)あるいはpG
EX−3X(Pharmacia社製)のGST配列の下流に挿入することによ
り、GST−JSAP融合ポリペプチドを発現するベクターを作製することがで
きる。 得られた発現ベクターを用い、上記[2]に記載の方法に準じて融合ポリペプ
チドを取得することができる。該融合ポリペプチドはGlutathione
Sepharose6B(Pharmacia社製)カラム(Pharmaci
a社製)を用いて精製することができる。 6)Mycタグペプチドとの融合ポリペプチドの調製 JSAPをコードするcDNAの全長あるいは部分長cDNAを、Mycタグ
配列を含む発現ベクター、例えば、Myc−modified pcDNA3〔
Mycタグコード配列を該遺伝子の上流につなぎ、タグを付加した該タンパク質
を発現させるように改変したpcDNA3(Invitrogen社製)〕のM
ycタグ配列の下流に挿入することにより、Myc−JSAP融合ポリペプチド
を発現するベクターを作製することができる。 得られた発現ベクターを用い、上記[2]に記載の方法に準じて融合ポリペプ
チドを取得することができる。 7)His−Sタグペプチドとの融合ポリペプチドの調製 JSAPをコードするcDNAの全長あるいは部分長cDNAを、His−S
タグ配列を含む発現ベクター、例えば、His−S−modified pcD
NA3〔His−Sタグコード配列を該遺伝子の上流につなぎ、タグを付加した
該タンパク質を発現させるように改変したpcDNA3(Invitrogen
社製)〕のHis−Sタグ配列の下流に挿入することにより、His−S−JS
AP融合ポリペプチドを発現するベクターを作製することができる。 得られた発現ベクターを用い、上記[2]に記載の方法に準じて融合ポリペプ
チドを取得することができる。 上記1)〜7)の方法に準じ、MARキナーゼカスケードに関わるポリペプチ
ドとの融合ポリペプチドを同様に調製することができる。 (2)活性化JNK3の調製 上記[4](1)の方法に準じ調製したFlag−JNK3全長あるいは部分
長をコードするDNAをpFlag−CMV−2に組み込んだベクターを作製す
る。 またΔMEKK1(MEKK1の1169−1488アミノ酸残基を含むペプ
チドであり恒常的に活性化されているMEKK1)をコードするDNAを発現ベ
クターpEF−BOSに組み込む。 得られた両発現ベクターをCOS−7細胞にTransIT−LT1(Mir
us社製)を用いてトランスフェクションし、常法に準じて、COS−7細胞を
培養し、Flag−JNK3融合ポリペプチドおよびΔMEKK1を、一過性に
発現させる。 培養24−48時間後、細胞を緩衝液B〔50mM HEPES(pH7.5
)、150mM NaCl、1% NP−40、10% glycerol、2
mM MgCl、1mM EGTA、20mM β−glycerophos
phate、2mM NaVO、1mM PMSF、0.2mM DTT〕
に溶解し、抗Flag抗体カラム(Kodak社製)で活性化Flag−JNK
3精製する。 該活性化Flag−JNK3は、20〜50%グリセリンを含有した緩衝液あ
るいはグリセリンを含まない緩衝液中、−20℃〜−80℃で保存することが可
能で、使用時に解凍して用いることができる。 (3)JNK3結合活性を指標としたスクリーニング系 JNK3と、上記[2]で取得した各JSAPとの結合を阻害する活性を有す
る化合物を見出すことにより、JNK3経路を阻害することができるためアポト
ーシス等のJNK3経路に起因する疾患の予防、治療に有用である。 以下、各JSAPとJNK3との結合を阻害する活性を有する化合物をスクリ
ーニングする方法について詳述する。 1)スクリーニング系1(培養細胞を用いる方法) 上記[4](1)の方法に準じ調製したS−JSAP発現ベクターと、Fla
g−JNK3発現ベクターをCOS−7細胞にTransIT−LT1(Mir
us社製)を用いてトランスフェクションし、常法に準じて、被検化合物添加ま
たは無添加の条件下で、COS−7細胞を培養し、S−JSAPおよびFlag
−JNK3融合ポリペプチドを、一過性に発現させる。 培養24〜48時間後、該培養細胞を緩衝液Bに溶解し、Sプロテインアガロ
ース(S−protein agarose)を添加し、S−JSAPおよびS
−JSAPと結合するポリペプチドを沈降させ回収する。 該回収ポリペプチド画分をSDS−PAGEで展開し、メンブレンImmob
ilon−P(Millipore社製)にトランスファーする。 該メンブレンおよびプローブとしてanti−Flag M5 monocl
onal抗体(Kodak社製)を用いウエスタンブロティングを行い、該抗体
と結合するポリペプチド(Flag−JNK3)をECL検出システム(Ame
rsham社製)で可視化し、JSAPと結合しているJNK3量を定量化する
。 該方法により、被検化合物を入れていない場合の値をコントロールとして、J
NK3との結合を阻害する化合物を検出することができる。 被験試料としては、合成化合物、天然に存在するタンパク質、人工的に合成さ
れたタンパク質、ペプチド、糖質、脂質、これらの修飾体、誘導体を、また哺乳
動物(例えばマウス、ラット、モルモット、ハムスター、ブタ、ヒツジ、ウシ、
ウマ、イヌ、ネコ、サル、ヒト等)の尿、体液、組織抽出物、細胞培養上清、細
胞抽出物を、更に、非ペプチド性化合物、発酵生産物、植物その他の生物の抽出
物等をあげることができる。後述のスクリーニング法においても、被験試料とし
て同様のものを用いることができる。 2)スクリーニング系2(ELISA法) 上記[4](1)の方法に準じ調製したGST−JSAP融合ポリペプチドを
そのまま、あるいはプロテアーゼfactor Xa(Sigma社製)で切断
したJSAPポリペプチド断片を結合反応に使用する。以下、これらポリペプチ
ドをJSAP関連ポリペプチドと呼ぶ。 該ポリペプチドは使用時まで、−80〜−20℃でグリセリンを20〜50%
含有した緩衝液あるいはグリセリンを含まない緩衝液で保存することができ、使
用時に解凍して用いる。 上記JSAP関連ポリペプチドを96穴プレートに添加する。 [4](2)で調製した活性化JNK3、または活性化JNK3および被検化
合物を、緩衝液、例えば、結合用緩衝液〔binding buffer:50
mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM NaCl、0.5% N
P−40〕に添加し、攪拌する。 得られた攪拌液を上記プレートに添加する。 添加後、4℃で1〜2時間放置する。 放置後、プレートを同緩衝液で3回洗浄し、残存する活性化JNK3を、EL
ISA法で定量する。 即ち、1次抗体として、例えば、活性化JNK3を認識することのできるPh
osho−SAPK/JNK(Thr183/Tyr185)抗体(New E
ngland Biolabs社製)を使用し、2次抗体として上記抗体を認識
することのできる抗体を用い、ELTSA法で残存活性化JNKS量を定量する
ことができる。 該方法により、被検化合物を入れていない場合の値をコントロールとして、J
NK3との結合を阻害する化合物を検出することができる。 (4)JNK3によるJSAP1のリン酸化を指標としたスクリーニング系 後述の実施例より得られた、a)〜c)の知見より、JSAP1のリン酸化を
阻害する活性を有する化合物をスクリーニングする方法を確立することは、JN
K3経路に起因する疾患の予防、治療に有用な化合物を検出する上で重要である
。 a)活性化されていないJNK3は、脳に選択的に発現しているスキャフォル
ド ポリペプチドJSAP1a、b、c、dに結合している。 b)TNF−α、IL−1、EGF、LPS等の細胞外の種々のストレスによ
り、JNK3経路が活性化(MAPKKK→MAPKK→JNK3)されると、
JNK3そのものが活性化(リン酸化)され、活性化されたJNK3はJSAP
1a、b、c、dをリン酸化する。 c)JNK3はJSAP1をリン酸化後、JSAp1から解離し、核内へ移行
する。 核内へ移行したJNK3は種々の転写因子を活性化して、その細胞をアポトー
シスなどへ導くと考えられる。従って、このJNK3によるJSAP1のリン酸
化を阻害する活性を有する化合物を見出せば、JNK3経路を阻害することがで
き、アポトーシス等のJNK3経路に起因する疾患の予防、治療に有用である。 以下、JNK3によるJSAP1のリン酸化を阻害する活性を有する化合物を
スクリーニングする方法について詳述する。 1)スクリーニング系(cell−free系) 1)−1 スクリーニング系1(ラジオアイソトープを使用する方法) [4](1)に記載の方法に準じて調製したGST−JSAP1あるいはJ SAP1、および[4](2)に記載の方法に準じて調製した活性化JNK3 、または活性化JNK3および被検化合物を、緩衝液、例えば、緩衝液A〔20
mM HEPES、10mM MgCl、5mM β−mercaptoet
hanol、0.1mg/ml BSA(pH7.4)〕に添加、混合し、スク
リーニング試験液を調製する。該スクリーニング試験液を96穴プレートに添加
する。 添加後、該プレートに[γ−32P]ATPあるいは[γ−33P]ATPを
添加する。5〜30分間反応後、50mM EDTAを添加して反応を停止する
。 反応停止後、反応液中のポリペプチドを、96ウエルニトロセルロースメンブ
レンプレート、96ウェルホスホセルロースメンブレンプレート、あるいは96
ウェルPVDFメンブレンプレートの各ウェルのメンブレンに、吸引ろ過により
トラップし、該メンブレンを同緩衝液で吸引洗浄する。 該メンブレンを液体シンチレーターMicroscint−20(Packa
rd社製)に入れ、メンブレン上の32Pあるいは33P放射活性をTop c
ount(Packard社製)でカウントする。 該方法により、被検化合物を入れていない場合のカウントをコントロールとし
て、JNK3によるJSAP1のリン酸化を阻害する活性を有する化合物を検出
することができる。 1)−2 スクリーニング系2(ELISA法) [3]に記載した方法に準じて取得したJSAP1を認識する抗体(1次抗体
)を、96穴プレートにコートする。 上記1)−1に記載した方法に準じて調製したスクリーニング試験液に、AT
Pを50μM添加する。 添加後、室温で5〜60分間反応を行い、0.25N HClで反応を停止す
る。 停止後、0.25N NaOHおよび0.1M Tris−HClを含む溶液
(pH8.0)で中和する。 該中和液の一部一定量を、上記1次抗体でコートしたプレートに添加し、放置
する。 放置後、プレートを同緩衝液で洗浄し、[3]に記載した方法に準じて取得し
たリン酸化されたJSAP1を認識する抗体(2次抗体)を添加する。 常法により2次抗体の量をELISAで定量することにより、リン酸化された
JSAP1の量を定量する。 該方法により、被検化合物を入れていない場合のリン酸化されたJSAP1の
量をコントロールとして、JNK3によるJSAP1のリン酸化を阻害する活性
を有する化合物を検出することができる。 上記1)−1および1)−2の方法により取得される、本発明のポリペプチド
とJNK3との結合を阻害する化合物またはJSAP1のリン酸化を阻害する活
性を有する化合物は、治療薬として単独で用いることが可能ではあるが、通常は
薬理学的に許容される一つあるいはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学の技
術分野においてよく知られる任意の方法により製造した医薬製剤として用いるこ
とが望ましい。 該治療薬の投与方法としては、治療に際し最も効果的な方法を使用することが
望ましく、経口投与または、口腔内、気道内、直腸内、皮下、筋肉内および静脈
内等の非経口投与による方法を用いることができる。 該治療薬の剤形としては、軟膏剤、噴霧剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロ
ップ剤、乳剤、座剤、注射剤、テープ剤等をあげることができる。 経口投与に適当な製剤としては、乳剤、シロップ剤、カプセル剤、錠剤、散剤
、顆粒剤等をあげることができる。 乳剤およびシロップ剤のような液体調製物は、水、ショ糖、ソルビトール、果
糖等の糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類
、ごま油、オリーブ油、大豆油等の油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等
の防腐剤、ストロベリーフレーバー、ペパーミント等のフレーバー類等を添加剤
として用いて製造することができる。 カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤等は、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトー
ル等の賦形剤、デンプン、アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、ステアリン酸マグ
ネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセル
ロース、ゼラチン等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン等の
可塑剤等を添加剤として用い製造することができる。 非経口投与に適当な製剤としては、注射剤、座剤、噴霧剤等があげられる。 注射剤は、例えば、塩溶液、ブドウ糖溶液、あるいは両者の混合物からなる担
体等を用いて調製することができる。 座剤は、例えば、カカオ脂、水素化脂肪またはカルボン酸等の担体を用いて調
製することができる。 噴霧剤は、上記で取得されたリン酸化阻害剤または結合阻害剤をそのまま噴霧
剤として用いることが可能であるが、受容者の口腔および気道粘膜を刺激せず、
かつ該化合物を微細な粒子として分散させ吸収を容易にさせる担体等を用いて調
製した噴霧剤が好ましい。 担体として、具体的には乳糖、グリセリン等を例示することができる。 上記で取得されたアゴニストまたはアンタゴニスト、および担体の性質により
、エアロゾル、ドライパウダー等の製剤を調製することが可能である。 これらの非経口剤においても、経口剤で添加剤として例示した成分を添加する
ことができる。 投与量または投与回数は、目的とする治療効果、投与方法、治療期間、年齢、
体重等により異なるが、通常成人1日当たり10μg/kg〜8mg/kgであ
る。 [5]本発明のポリペプチドの発現を調節する化合物(以下、発現調節化合物と
略す)の探索および同定 (1)本発明の抗体を用いた発現調節化合物の探索および同定 本発明のポリペプチドを発現する細胞を被験試料と接触させた後、本発明の抗
体を用いることにより、その細胞中、細胞培養上清中に存在する発現調節化合物
を探索、同定することができる。 細胞としては、本発明のポリペプチドを発現している細胞、細胞株、組織なら
ばいかなるものでも用いることができる。 また、[3]に記載した抗体により免疫学的に検出する方法を用い、該ポリペ
プチドの発現が認められた細胞、細胞株あるいは組織を用いることができる。 好適な細胞株として、例えば、レチノイン酸で神経細胞様に分化させたマウス
由来P19細胞(ATCC:CRL−1825)をあげることができる。 被験試料としては、上記[4]の被験試料であげたものを用いることができる
。 本発明のポリペプチドを発現する細胞を、該細胞の増殖することのできる培地
に懸濁し、被験試料を該培地に添加し、該細胞と接触させた後、本発明の抗体を
用い、該細胞の発現したポリペプチド含量を定量する。抗体を用いて定量する方
法としては、例えば下記の免疫細胞染色を利用した方法をあげることができる。 培養付着細胞をPBS緩衝液で洗浄し、0.05% トリプシン、0.02%
EDTA(エチレンジアミン4酢酸)を含むPBS緩衝液3mlを加え、余分
な溶液を除いた後、37℃、5分間インキュベートすることによりフラスコより
細胞を剥がす。 浮遊細胞については培養細胞をそのまま用いることができる。 免疫細胞染色を行う細胞を免疫細胞染色用緩衝液(1% BSA、0.02%
EDTA、0.05% アジ化ナトリウムを含むPBS)等に懸濁し、1〜2
0×10個ずつ丸底96穴プレートに分注する。 該プレートに、本発明のモノクローナル抗体を分注する。 モノクローナル抗体としては、[3](2−3)で取得した本発明のモノクロ
ーナル抗体を産生するハイブリドーマの培養上清、[3](2−4)で取得した
精製モノクローナル抗体をあげることができる。更に、該モノクローナル抗体を
標識した抗体も用いることができる。 モノクローナル抗体を標識した抗体としては、例えばビオチン標識した抗体を
あげることができる。 ビオチン標識した抗体は公知の方法(酵素抗体法:学際企画刊1985年)で
調製することができる。 上記抗体を、免疫細胞染色用緩衝液あるいは10%動物血清を含む免疫細胞染
色用緩衝液を用いて0.1〜50μg/mlの濃度になるように希釈する。 該希釈抗体を20〜500μl/穴となるように分注し、氷冷下で30分間放
置する。 標識されていない抗体を用いた場合には、上記プレートに免疫細胞染色用緩衝
液を添加し、細胞を洗浄後、FITC(fluorescein isothi
ocyanate)あるいはフィコエリスリン等の蛍光色素で標識した抗マウス
イムノグロブリン抗体あるいは抗ラットイムノグロブリン抗体を0.1〜50μ
g/ml程度の濃度で含む免疫細胞染色用緩衝液を50〜500μl/穴ほど分
注し、氷冷下で30分間遮光して放置する。 ビオチン標識した該モノクローナル抗体を用いた場合には、上記プレートにF
ITCあるいはフィコエリスリン等の蛍光色素で標識したストレプトアビジンを
50〜500μl/穴ほど分注し、氷冷下で30分間遮光して放置する。 両ケースとも、放置後、プレートに免疫細胞染色用緩衝液を添加し、細胞を良
く洗浄し、蛍光顕微鏡、セルソーター等により解析する。 上記において被験試料を添加せず、同様の操作を行い、得られた解析結果と、
被験試料を添加して得られた解析結果とを比較し、本発明のポリペプチド含量を
増加あるいは減少させることのできた被験試料を探索することにより、発現調節
化合物を同定することができる。 (2)本発明のポリペプチド遺伝子の転写産物定量系を用いた探索および同定 本発明のポリペプチドあるいは該ポリペプチドをコードするmRNAを発現す
る細胞を被験試料と接触させた後、該mRNA含量を定量することにより発現調
節化合物を探索、同定することができる。 本発明のポリペプチドあるいは該ポリペプチドをコードするmRNAを発現す
る細胞を、該細胞の増殖することのできる培地に懸濁し、被験試料を該培地に添
加し、該細胞を接触させた後、該細胞の発現した該mRNAの含量を、通常のノ
ーザンハイブリダイゼーション法、RNAのドットブロットハイブリダイゼーシ
ョン法、RT−PCR法等を用い定量する。 ハイブリダイゼーション法等に用いることのできるプローブおよびRT−PC
R法等に用いることのできるプライマーとして、本発明のポリペプチドをコード
する遺伝子断片をあげることができる。 具体的には、配列番号1〜8記載の塩基配列中の連続した5〜60塩基と同じ
配列を有するオリゴヌクレオチド、該オリゴヌクレオチドと相補的な配列を有す
るオリゴヌクレオチドを好適に用いることができる。 上記において被験試料を添加せず、同様の操作を行い、得られた定量結果と、
被験試料を添加して得られた定量結果とを比較し、本発明のポリペプチドをコー
ドするmRNA含量を増加あるいは減少させることのできた被験試料を探索する
ことにより、発現調節化合物を同定することができる。 (3)レポーター遺伝子を用いた探索および同定 本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の転写を制御する領域(以下、転写
制御領域と略す)の下流にレポーター遺伝子の連結されたDNAを含むプラスミ
ドで形質転換された形質転換体と被験試料とを接触させた後、レポーター遺伝子
によりコードされたポリペプチドの発現量を定量することにより発現調節化合物
を探索、同定することができる。 転写制御領域は、通常、遺伝子の5’上流に含まれることが多い。本発明のポ
リペプチドをコードする遺伝子の5’上流領域は、例えばGenome Wal
ker kits(Clontech社製)等を用いて調製することができる。
また、該領域を適当な制限酵素を用い、適切な長さに切断した断片を転写制御領
域として用いることができる。 レポーター遺伝子としては、該遺伝子の翻訳産物が細胞内で安定であり、該翻
訳産物の存在量が容易に定量できるものであればいかなるものでも用いることが
でき、例えば、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、
β−ガラクトシダーゼ(β−gal)、ルシフェラーゼ(luc)、グリーンフ
ルオレッセントプロテイン(GFP)等をあげることができる。 該転写制御領域を含むレポータープラスミドを導入する宿主細胞としては、い
かなる細胞も用いることができるが、好適には、[5](1)記載の本発明のポ
リペプチドあるいは該ポリペプチドmRNAの発現が認められている細胞株を用
いることができる。 被験試料として、上記[4]のものを用いることができる。 転写制御領域の下流に常法によりレポーター遺伝子を連結し、作製したプラス
ミドを用い、常法により宿主細胞を形質転換する。 また、ポジティブセレクション用マーカー(G418耐性遺伝子等)およびネ
ガティブセレクション用マーカー(単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼや
ジフテリア毒素Aフラグメント遺伝子等)をつないだジーンターゲティングベク
ターを作成し、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の一部をレポーター遺
伝子で置換した細胞株を作成することもできる〔Nature,336,348
(1988)、Analytical Biochemistry,214,7
7(1993)、Gene Targeting,The Practical
Approach Series,IRL Press(1993)〕。 該形質転換体を、例えば該細胞の増殖することのできる培地に懸濁し、被験試
料を該培地に添加し、該細胞を接触させた後、該細胞の発現したレポーター遺伝
子にコードされたポリペプチドの量を、該ポリペプチドに適した方法で検出、定
量する。 検出、定量法として、CATの場合には、例えば、モレキュラー クローニン
グ 第2版,16章,60頁に記載の方法を、β−galの場合には、例えば、
モレキュラー クローニング 第2版,16章,66頁に記載の方法を、luc
の場合には、例えば、実験医学別冊バイオマニュアルシリーズ4遺伝子導入と発
現・解析法,81(1994)に記載の方法を、GFPの場合には、例えば、P
roc.Natl.Acad.Sci.USA,94,4653(1997)記
載の方法等をあげることができる。 上記において被験試料を添加せず、同様の操作を行い、得られた定量結果と、
被験試料を添加して得られた定量結果とを比較し、レポーター遺伝子にコードさ
れたポリペプチド含量を増加あるいは減少させることのできた被験試料を探索す
ることにより、発現調節化合物を同定することができる。 [6]本発明のDNA、ポリペプチド、抗体、結合阻害剤、リン酸化阻害剤およ
び発現調節化合物の利用 (1)本発明のDNAは、該DNAをプローブとして用いて、ヒトの組織やヒト
由来の細胞から[1](1)と同様にして抽出したRNAについてノーザンハイ
ブリダイゼーションを行うことにより、その組織や細胞における本発明のポリペ
プチド遺伝子のmRNAを検出あるいは定量することができる。各種の組織でそ
のmRNAの発現量を比較することにより本発明のポリペプチドの組織発現分布
を知ることができる。 (2)本発明のオリゴヌクレオチドは、本発明のDNAの特異的プライマーとし
て用いて、ヒトの組織やヒト由来の細胞から[1](1)と同様にして抽出した
RNAについてRT−PCR〔reverse transcription
PCR;PCR Protocols(1990)]を行うことにより、本発明
のポリペプチドをコードするmRNAの検出や定量を行うことができる。 該mRNAを定量する方法は、本遺伝子が関与する病態の診断に用いることが
できる。 各種病態モデル動物において、該mRNAを定量することにより、病態におけ
る該遺伝子産物の重要性を明らかにすることができる。また、薬剤の有無による
該mRNAの発現量を比較することにより薬剤を評価することができる。 (3)本発明のオリゴヌクレオチドは、これをプローブとして用いて、ヒトの組
織切片に対してin situハイブリダイゼーション〔Methods in
Enzymology,254,419(1995)〕を行うことにより、組
織内での本発明のポリペプチドの発現細胞の特定等、より細かい発現分布を知る
ことができる。 これらの方法によって得られる、本発明のポリペプチドがどのような組織や細
胞で発現しているかに関する情報および細胞がどのような刺激を受けたときに発
現量が変化するかに関する情報は、本発明のポリペプチドの生理機能や病態への
関与を解析するために有用である。 (4)本発明のDNAをプローブとして用い、ゲノムDNAに対してサザンハイ
ブリダイゼーション(モレキュラー クローニング 第2版)を行うことにより
、本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の変異を検出することができる。 変異の検出を行うことにより、該遺伝子の変異が原因となっている可能性のあ
る、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症等の神
経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症等の筋萎縮性疾患、虚血性疾患、脳卒中時の脳
障害、精神分裂病、うつ病、てんかん、各種免疫、炎症性疾患の診断を行うこと
ができる。 (5)本発明のアンチセンス・オリゴヌクレオチド(RNA/DNA)を用い、
本発明のポリペプチドをコードする遺伝子の転写もしくはmRNAの翻訳を抑制
することにより〔化学,46,681(1991)、Bio/Technolo
gy,,358(1992)〕、該遺伝子が発症に関与している可能性のある
、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症等
の神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症等の筋萎縮性疾患、虚血性疾患、脳卒中時
の脳障害、精神分裂病、うつ病、てんかん、各種免疫、炎症性疾患の疾患の予防
や治療に用いることができる。 上述のアンチセンス・オリゴヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコード
するDNAの配列番号1〜8の塩基配列中の連続した5〜60塩基と相補的な配
列を有するオリゴヌクレオチド、好ましくは本発明のポリペプチドをコードする
DNAの翻訳開始領域にある5〜60塩基と相補的な塩基配列を基にして設計・
調製し、生体内に投与する。 本発明のDNAを含有する医薬は、上記[4]の本発明のポリペプチドのリン
酸化阻害剤または結合阻害剤の医薬製剤の調製法と同様な方法を用いて調製する
ことができ、調製された該医薬製剤を上記[4]の場合と同様の方法で投与する
ことができる。 (6)本発明のDNAを用い、[2]記載の方法により本発明のポリペプチドを
取得することができる。 本発明のポリペプチドの用途としては、アルツハイマー病、パーキンソン病、
ハンチントン病、多発性硬化症等の神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症等の筋萎
縮性疾患、虚血性疾患、脳卒中時の脳障害、精神分裂病、うつ病、てんかん、各
種免疫、炎症性疾患の治療薬または予防薬が考えられる。 本発明のポリペプチドを含有する医薬は、上記[4]の本発明のポリペプチド
のリン酸化阻害剤または結合阻害剤の医薬製剤の調製法と同様な方法を用いて調
製することができ、調製された該医薬製剤を上記[4]の場合と同様の方法で投
与することができる。 (7)本発明のオリゴヌクレオチドは一本鎖または二本鎖としてレトロウィルス
、アデノウィルス、アデノ随伴ウィルス等のウイルスベクター、その他のベクタ
ーに組み込んで遺伝子治療用ベクターとして、遺伝子治療に用いることができる
。 (8)本発明のポリペプチドを抗原として用い、[3]記載の方法により本発明
のポリペプチドに対する抗体を製造することができる。 本発明のポリペプチドに対する抗体を用いて、本発明のポリペプチドを免疫学
的に検出または定量することができる。 具体的にはマイクロタイタープレートを用いるELISA法、酵素標識抗体法
や蛍光抗体法による免疫組織染色、ウェスタンブロット法等を用いた検出法をあ
げることができる。 具体的には、液相中で本発明のポリペプチドと反応する抗体のうちエピトープ
が異なる2種類のモノクローナル抗体を用いたサンドイッチELISA法、12
I等の放射性同位体で標識した本発明のポリペプチドと本発明のポリペプチド
を認識する抗体を用いるラジオイムノアッセイ法等をあげることができる。 また、本発明の抗体は病理組織切片を用いた免疫組織染色にも利用できる。 本発明の抗体を用い、健常者および被験者の細胞または組織に存在する本発明
のポリペプチドを免疫学的に検出または定量し、その量を健常者と被験者とで比
較し、発現量が変化しているかどうかを調べることにより、被験者の神経変性疾
患(アルツハイマー病、パーキンソン病など)、虚血性疾患、脳卒中時の脳障害
、てんかん、各種の免疫、炎症性疾患の診断に用いることができる。 (9)本発明のポリペプチドの機能(JNK3 スキャフォルド ポリペプチド
あるいはJNK3によるリン酸化の基質、あるいはJNK3との結合)を阻害す
る抗体を投与することにより、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチント
ン病、多発性硬化症等の神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症等の筋萎縮性疾患、
虚血性疾患、脳卒中時の脳障害、精神分裂病、うつ病、てんかん、各種免疫、炎
症性疾患の予防、治療が可能となる。 本発明の抗体を含有する医薬は、上記[4]の本発明のポリペプチドのリン酸
化阻害剤または結合阻害剤の医薬製剤の調製法と同様な方法を用いて調製するこ
とができ、調製された該医薬製剤を上記[4]の場合と同様の方法で投与するこ
とができる。 (10)本発明のリン酸化阻害剤、結合阻害剤および本発明のポリペプチド遺伝
子の発現を調節する化合物は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチント
ン病、多発性硬化症等の神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症等の筋萎縮性疾患、
虚血性疾患、脳卒中時の脳障害、精神分裂病、うつ病、てんかん、各種免疫、炎
症性疾患の予防、治療として用いることができる。発明を実施するための最良の形態 以下により具体的な実施例をあげて説明するが、これにより本発明の範囲が限
定されるものではない。 下記実施例における遺伝子操作的手法は、特に断らない限りモレキュラー ク
ローニング 第2版に記載されている常法に準じて行った。 実施例1 JNK3と結合する活性を有するポリペプチドをコードするcDNA
のクローン化 (1)マウス脳由来cDNAライブラリーからのクローン化 マウスJNK3〔Nature Medicine,,89(1997)〕
をコードする全長cDNAを、GAL4 DNA結合ドメインをコードする配列
を含むクローニングベクターpAS2−1(Clontech社製)のNco
BamHIサイトに組み込み(pAS2−1−JNK3)、酵母CG−194
5(Clontech社製)に導入した。 GAL4転写活性化ドメインをコードする配列を含むクローニングベクターp
GAD10マウス脳cDNA ライブラリー(Clontech社製)を、上記
pAS2−1−JNK3を導入した酵母に導入し、形質転換酵母を取得した。 該形質転換酵母より、ヒスチジン要求性がなくなった株(ヒスチジンを含有し
ない培地で生育してくる)、またはβ−ガラクトシダーゼ活性を有する株を選択
した(一次ポジテイブクローン)。 得られた一次ポジテイブクローンより、ヒスチジン要求性がなく、かつβ−ガ
ラクトシダーゼ活性を有するクローンを選択した(二次ポジテイブクローン)。 得られたクローンからpGAD10由来のプラスミドを回収した。 その結果、上記酵母によるtwo−hybrid systemにより、マウ
ス脳cDNAライブラリーより、配列の異なる4種類の部分長cDNAフラグメ
ントを取得した。 これら得られたフラグメントをプローブとして利用し、常法によりλZAPI
Iマウス脳cDNAライブラリー(Clontech社製)をスクリーニングす
ることにより、JNK3と結合することのできるポリペプチド(JSAP)であ
る、JSAP1a、JSAP1b、JSAP1c、JSAP1d、JSAP3、
JSAP4およびJSAP5をコードする7種類のcDNAクローンを取得した
。 JSAP1a、JSAP1b、JSAP1c、JSAP1d、JSAP3およ
びJSAP4をコードするcDNAは全長cDNAとして取得されたが、JSA
P5をコードするcDNAは部分長のcDNAとして取得された。 JSAP1a、JSAP1b、JSAP1c、JSAP1d、JSAP3また
はJSAP4をコードするcDNAにはそれぞれ、3,918bp、3,945
bp、4,014bp、4,011bp、1,293bp、4,527bpのオ
ープンリーディングフレーム(以下、ORFと略す)が存在し、それぞれ、13
05残基、1314残基、1337残基、1336残基、1508残基のアミノ
酸残基をコードしていることが分かった(配列番号1〜6)。 またJSAP1a、JSAP1b、JSAP1c、JSAP1dは同一の遺伝
子由来のスプライスバリアントでった。即ち、JSAP1aにおいて、27bp
の塩基配列が挿入されたものがJSAP1b、3bpおよび93bpの塩基配列
が挿入されたものがJSAP1c、93bpの塩基配列が挿入されたものがJS
AP1dであった。 具体的には、JSAP1bの挿入箇所は、配列番号100201番目のセリン
残基から209番目のセリン残基の9残基のアミノ酸をコードする27bpのD
NA配列部、JSAP1cの挿入箇所は、配列番号11の201番目のセリン残
基をコードする3bpのDNA配列部および219番目のバリン残基から249
番目のグルタミン残基をコードする31残基のアミノ酸をコードする93bpの
DNA配列部、JSAP1dの挿入箇所は、配列番号120218番目のバリン
残基から248番目のグルタミン残基の31残基のアミノ酸をコードする93b
pのDNA配列部である。 JSAP1aは既に公知の配列〔配列番号9:1997年日本分子生物学会(
12月)〕と一致していた。 JSAP3は、human C−terminal−binding pro
tein 1(CtBP)〔EMBO J.,17,5129(1998)〕の
マウスホモログであると推定された(配列番号13)。 配列番号14で示されるアミノ酸配列を有するJSAP4中には、該アミノ酸
配列87〜121番目、341〜373番目、658〜690番目、700〜7
32番目に、WD40−repeatと呼ばれる配列が見られた。 該配列は、他のタンパク質との相互作用(結合)に関与し得ることが予想され
、またG−プロテイン(G−protein)といった、細胞内情報伝達を担う
分子中にもみられる〔FEBS Lett.,307,131(1994)〕。
該配列は、後述の実施例よりJNK3経路において、情報伝達に重要な機能を有
していることが明らかとなった。 JSAP5をコードするcDNAは配列番号7に示した、734bpよりなる
DNAであった。このcDNAには開始、および終止コドンがなく、部分長であ
ることがわかった。該cDNAは244アミノ酸残基をコードしていた(配列番
号15)。 JSAP5の全長cDNA(配列番号8)を、JSAP5のcDNA塩基配列
情報を基に作製したプローブを用い、λZAPIIマウス脳cDNAライブラリ
ー(Clontech社製)より、常法により、取得した。該cDNAには1,
455bpのORFが存在し、484残基のアミノ酸残基をコードしていること
が分かった(配列番号16:以下、JSAP5Fと略す)。以下の実験には、J
SAP5Fの部分長であるJSAP5のcDNAを用いた。 (2)JSAPの性質の解析に用いる種々のポリペプチドおよび該ポリペプチド
を発現するベクターの調製 JNK3に結合することのできる上記で取得されたポリペプチドJSAPの機
能を解析するために、下記のポリペプチドおよび該ポリペプチドを発現するベク
ターを調製した。 1)チオレドキシンSタグ(thioredoxin・S−tag、以下、Tr
x・Sと略す)ペプチドとの融合ポリペプチドを発現するベクターの調製 JNK1、JNK2、JNK3およびSEK1のcDNAはλZAPIIマウ
ス脳cDNAライブラリー(Clontech社製)より、MEKK1 cDN
AはλZAPIIマウス脾臓cDNAライブラリー(Clontech社製)か
ら常法により取得した。 c−Raf1 cDNAはHealth Science Research
Resources Bank,Japan提供のcDNAライブラリーから
取得した。 ヒトリンパ球由来のMKK6、p38、ERK2、c−Jun(1−79)お
よびATF2、マウス胸腺由来のMEK1、MKK7およびCdc42のcDN
AをPCR法を用いることにより取得した。 得られた各々のcDNAをpET32a(Novagen社製)のTrx・S
配列の下流に挿入し、Trx・S−JNK1、Trx・S−JNK2、Trx・
S−JNK3、Trx・S−SEK1、Trx・S−MEKK1、Trx・S−
c−Raf1、Trx・S−MKK6、Trx・S−p38、Trx・S−ER
K2、Trx・S−c−Jun、Trx・S−ATF2、Trx・S−MEK1
、Trx・S−MKK7またはTrx・S−Cdc42を発現するベクターを各
々作製した。 上記(1)で取得したJSAPをコードするDNAまたは該DNAの断片を、
発現ベクターpET32a(Novagen社製)のTrx・S配列の下流に存
在する下記制限酵素サイトに挿入し、Trx・S−JSAP1a、Trx・S−
JSAP1b、Trx・S−JSAP1c、Trx・S−JSAP1d、Trx
・S−JSAP3、Trx・S−JSAP4、Trx・S−JSAP5を発現す
るベクターを各々作製した。 挿入した各DNAのコードするポリペプチドおよび各挿入制限酵素サイトは以
下の通りである。 JSAP1a(115〜274アミノ酸残基):NcoI−BamHIサイト JSAP1a(115〜504アミノ酸残基):EcoRIサイト JSAP1a(268〜486アミノ酸残基):NcoIサイト JSAP1a(486〜744アミノ酸残基):NcoI−BamHI JSAP1a(744〜1194アミノ酸残基):BamHIサイト JSAP1b(115〜283アミノ酸残基):NcoI−BamHIサイト JSAP1c(115〜306アミノ酸残基):NcoI−BamHIサイト JSAP1d(115〜305アミノ酸残基):NcoI−BamHIサイト JSAP3(全長):EcoRI−SalIサイト JSAP4(1042〜1331アミノ酸残基):EcoRI−HindII
Iサイト JSAP5(部分長):EcoRIサイト また、ATF2の1〜107アミノ酸残基をコードするDNAおよびATF2
の1〜116アミノ酸残基をコードするDNAを、発現ベクターpET32a(
Novagen社製)のTrx・S配列の下流にあるBamHI−XhoI、
amHI−XhoIサイトにそれぞれ挿入し、Trx・S−ATF2(1−10
7アミノ酸残基)、Trx・S−ATF2(1−116アミノ酸残基)を調製し
た。 2)Flagペプチドとの融合ポリペプチドを発現するベクターの調製 JNK1、JNK2、JNK3、ERK2またはp38をコードする全長のc
DNAを哺乳動物発現ベクターpFlag−CMV−2(Kodak社製)のF
lag配列の下流に存在するNotI−BamHIサイトにそれぞれ挿入し、F
lag−JNK1、Flag−JNK2、Flag−JNK3、Flag−ER
K2またはFlag−p38を発現するベクターを各々作製した。 また、下記ポリペプチドをコードするDNAを、Flag−modified
pcDNA3 vectorのFlag配列の下流に存在する下記制限酵素サ
イトに挿入し、Flag−SEK1、Flag−MKK6、Flag−MKK7
、Flag−MEK1、Flag−MEKK1、Flag−c−Raf1、Fl
ag−Raf−C、Flag−MEKK−N、Flag−TAK1を発現するベ
クターを各々作製した。 挿入した各DNAのコードするポリペプチドおよび各挿入制限酵素サイトは以
下の通りである。 SEK1(全長):HindIII−XbaIサイト MKK6(全長):HindIII−XbaIサイト MKK7(全長):HindIII−XbaIサイト MEK1(全長):HindIII−XbaIサイト MEKK1(全長):BamHI−EcoRVサイト c−Raf1(全長):EcoRI−XhoIサイト Raf−N(1−327アミノ酸残基):EcoRI−EcoRVサイト Raf−C(316−648アミノ酸残基):EcoRV−XhoIサイト MEKK−N(1−640アミノ酸残基):BamHI−EcoRIサイト TAK1(全長):EcoRI−XhoIサイト TAK1(TGF−β−activated kinase 1)〔Scie
nce,270,2008(1995)〕をコードするDNAは、マウス細胞株
BAF−B03cDNAライブラリーより常法により取得した。 3)GSTとの融合ポリペプチドを発現するベクターの調製 c−Junの1〜79アミノ酸残基をコードするDNAをGST融合タンパク
質発現ベクターpGEX−3X(Pharmacia社製)のBamHI−Ec
RIサイトに挿入し、GST−c−Jun(1−79)発現ベクターを作製し
た。 該発現ベクターを用い、常法によりcoliを形質転換し、GST−c−
Jun(1−79)を発現させた。 発現されたGST−c−Jun(1−79)をGlutathione se
pharose 4B(Pharmacia社製)を用いて精製した。 JNK3(全長)をコードするNcoI(平滑化)−BamH1(平滑化)D
NA断片を、GST融合タンパク質発現ベクターpGEX−2T(Pharma
cia社製)のBamHI(平滑化)サイトに挿入し、GST−JNK3発現ベ
クターを作製した。 該発現ベクターを用い、常法によりcoliを形質転換し、GST−JN
K3を発現させた。発現させたGST−JNK3をGlutathione s
epharose 4B(Pharmacia社製)を用いて精製した。 4)Sタグペプチドとの融合ポリペプチドを発現するベクターの調製 下記ポリペプチドをコードするDNAまたは該DNAの断片を、発現ベクター
S−modified pcDNA3のSタグ配列の下流に存在する下記制限酵
素サイトに挿入し、S−JSAP1a、S−JSAP1aΔ1、S−JSAP1
aΔ2、S−JSAP1aΔ3、S−JSAP1aΔ4、S−JSAP1aΔ5
、S−JSAP1b、S−JSAP1c、S−JSAP1d、S−JSAP3、
S−JSAP4、S−JSAP4(1−754)、S−JSAP4(755−1
508)、S−JSAP4(755−1062)、S−JSAP4(1063−
1331)、S−JSAP4(1332−1508)を発現するベクターを各々
作製した。 挿入した各DNAのコードするポリペプチドおよび各挿入制限酵素サイトは以
下の通りである。 JSAP1a(全長):NotIサイト JSAP1aΔ1(1−1053アミノ酸残基):NotI−XhoI JSAP1aΔ2(744−1305アミノ酸残基):NotIサイト JSAP1aΔ3(1054−1305アミノ酸残基):BamHIサイト JSAP1aΔ4(343−1053アミノ酸残基):HindIII−Xh
I JSAP1aΔ5(1−343アミノ酸残基):HindIIIサイト JSAP1b(全長):NotIサイト JSAP1c(全長):NotIサイト JSAP1d(全長):NotIサイト JSAP3(全長):EcoRI−XhoI/SalI JSAP4(全長):EcoRI−HindIII JSAP4(1−754アミノ酸残基):EcoRI−HindIII JSAP4(755−1508アミノ酸残基):EcoRI−HindIII JSAP4(755−1062アミノ酸残基):EcoRI−HindIII JSAP4(1063−1331アミノ酸残基):EcoRI−HindII
I JSAP4(1332−1508アミノ酸残基):EcoRI−HindII
I。 またJSAP5のcDNA(部分長)を発現ベクターpGAD10(Clon
tech社製)のGAL4AD配列の下流に存在するEcoRIサイトに、JS
AP5FのcDNA(全長)を発現ベクターHis−S−modified p
cDNA3のHis−Sタグ配列の下流に存在するEcoRV(平滑化)−Hi
dIIIサイトに組み込んだ(第1〜10図)。 5)JNK3を発現するベクターの調製 pGEM−37f(+)(Promega社製)をEcoRIで切断後、GC
CATGCの塩基配列を有するオリゴヌクレオチドリンカーを添加してself
−ligationを行い、pGEM−37f(+)にNcoIサイトを付加し
たプラスミドpGEM−NGOを作製した。 該pGEM−NCOのNcoI−BamHIサイトにJNK3(全長)を挿入
し、発現ベクター(pGEM−JNK3)を調製した。 6)恒常的に活性化されたCdc42を発現するベクターの調製 恒常的に活性化されているCdc42を、点変異導入によりCdc42の12
番目のグリシンをバリンに変換することにより作製した〔Cdc42(G12V
)〕。該Cdc42(G12V)(全長)をコードするDNA断片(BamHI
−平滑末端)を発現ベクター s−modified pcDNA3のsタグ配
列の下流に存在するBamHI−EcoRVサイトに組み込んだ。 7)恒常的に活性化されたMEKK1を発現するベクターの調製 ΔMEKK1(1169−1488アミノ酸残基;MEKK1のtrunca
ted formで恒常的に活性化されている)をコードするcDNAをpEF
−BOS vector〔Nucleic Acids Res.,18,53
22(1990)〕のXbaIサイトへ組み込んだ。 8)5XGAL4−LUCレポーター、GAL4−c−Jun、GAL4−El
k1発現ベクター 5XGAL4−LUCレポーター、GAL4−c−JunおよびGAL4−E
lk1発現ベクターはいずれもStratagene社から購入し、用いた。 9)RL(Renilla luciferase)コントロールベクター RLコントロールベクターはPromega社から購入し、用いた。 10)Mycタグペプチドとの融合ポリペプチドを発現するベクターの調製 JSAP4(全長)およびJSAP4(1063−1331アミノ酸残基)を
コードするcDNAをそれぞれ、発現ベクターMyc−modified pc
DNA3のMycタグ配列の下流に存在するEcoRI−NotIに組み込み、
Myc−JSAP4(全長)およびMyc−JSAP4(1063−1331)
を発現するベクターを各々作製した。 11)His−Sタグペプチドとの融合ポリペプチドを発現するベクターの調製
下記ポリペプチドをコードするDNAを、His−Sタグをコードする発現ベク
ターHis−S−modified pcDNA3のHis−Sタグ配列の下流
に存在する下記制限酵素サイトに挿入し、MAPK−His−S、MAPKKK
−His−S、JNK1−His−S、JNK2−His−S、JNK3−Hi
s−S、ERK2−His−S、MEKK1−His−Sを発現するベクターを
各々作製した。 全長ポリペプチドをコードする各DNAの挿入制限酵素サイトは以下の通りで
ある。 JNK1〔NotI(平滑化)−BamHI DNA断片〕:EcoRV− am HI JNK2〔NotI(平滑化)−BamHI DNA断片〕:EcoRV−
amHI JNK3〔NotI(平滑化)―BamHI(平滑化)DNA断片〕:Eco RV ERK2〔BamHI DNA断片〕:BamHI MEKK1〔HindIII DNA断片〕:HindIII 実施例2 JSAP1a、JSAP1b、JSAP1c、JSAP1d 以下に記載の解析結果は、JSAP1a、JSAP1b、JSAP1c、JS
AP1dいずれも同一であったため、図には代表してJSAP1aの結果を示し
た。以下、JSAP1a、JSAP1b、JSAP1cおよびJSAP1dを総
称してJSAP1と記載した。 1)ノーザンハイブリダイゼーションによるJNK3、JSAP1 mRNAの
発現解析 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92,4972(1995
)に記載されている方法に準じてノーザンハイブリダイゼーションを実施した。 即ち、32Pで放射ラベルしたJNK3、JSAP1、β−actin cD
NAプローブを用いてマウスの肝臓、脾臓、腎臓、脳、心臓、肺、精巣の各組織
について解析した。 結果を第11図に示す。 JNK3は脳特異的に発現が見られた。JSAP1aについては、約6−kb
の大きさのJSAP1a mRNAが脳特異的に見られた。 2)種々のMAPKに対するJSAP1の結合特異性と結合領域の解析 実施例1(2)で調製した、S−JSAP1a、S−JSAP1b、S−JS
AP1cまたはS−JSAP1d(全長)発現ベクター、およびFlag−JN
K1、Flag−JNK2、Flag−JNK3、Flag−ERK2またはF
lag−p38発現ベクターをCOS−7細胞にTransIT−LT1(Mi
rus社製)を用いてトランスフェクションした後、該COS−7細胞を培養し
、導入した各ベクター由来のポリペプチドを一過性に発現させた。 培養34時間後、該細胞を緩衝液B中で溶解し、Sプロテインアガロース(N
ovagen社製)を添加し、S−JSAP1およびS−JSAP1と結合する
ポリペプチドを沈降させ回収した。 得られた回収画分をSDS−PAGEで展開し、メンブレンImmobilo
n−P(Millipore社製)にトランスファーした。 該メンブレンおよびプローブとしてanti−Flag M5 monocl
onal抗体(Kodak社製)を用いウエスタンブロティングを行い、該抗体
と結合するポリペプチド(Flag−JNK3)をECU検出システム(Ame
rsham社製)で可視化し、JSAP1と結合可能なMAPKを調べた。 結果を第12図に示す。JSAP1はJNK3とのみ結合し、他のMAPKと
は結合しないことがわかった。 JNK3とのJSAP1結合領域を以下の方法で解析した。 実施例1(2)で調製した発現ベクターを用い、Trx・SとJSAP1の部
分断片との融合ポリペプチドTrx・S−JSAP1(断片)を常法に従って、
coliで発現させ、Sプロテインアガロースに結合させ取得した。 実施例1(2)で調製した発現ベクターpGEM−JNK3を用い、全長JN
K3の35S放射能ラベル体を、TNT T7 Quick Coupled
Transcription/Translation System(Pro
mega社製)によりin vitro翻訳により調製した。 得られたJNK3の35S放射能ラベル体と、Trx・S−JSAP1(断片
)を緩衝液A〔50mM Tris−HCl(pH7.5)、150mM Na
Cl、0.5% NP−40〕中で混合し、4℃で2時間、チューブを回転させ
ながら反応液を攪拌し反応させた。 反応後、緩衝液Aで3回洗浄し、得られた沈降物をSDS−PAGEで展開し
、オートラジオグラフィー(autoradiography)により解析した
。 その結果、JNK3とのJSAP1の結合領域は、115〜274(JSAP
1a)、115〜283(JSAP1b)、115〜306(JSAP1c)、
115〜305(JSAP1d)番目のアミノ酸残基領域に存在することがわか
った。 JSAP1aでの結果を第13図に示した。JSAP1aでは結合領域は11
5〜274番目のアミノ酸残基であった。 3)JNK3によるJSAP1のリン酸化と、該リン酸化よるJNK3の結合能
の欠失 JNK3とのJSAP1の結合領域には、下記のようにproline−di
rected serine/threonine kinaseによるリン酸
化を受ける可能性のあるスレオニン残基が存在する。 JSAP1a:234、244、255番目のアミノ酸残基 JSAP1b:243、253、264番目のアミノ酸残基 JSAP1c:266、276、287番目のアミノ酸残基 JSAP1d:265、275、286番目のアミノ酸残基 上記リン酸化を受けると推定される箇所を含むJSAP断片とTrx・Sとの
融合ポリペプチド、Trx・S−JSAP1a(115−274アミノ酸残基)
、Trx・S−JSAP1b(115−283アミノ酸残基)、Trx・S−J
SAP1c(115−306アミノ酸残基)、Trx・S−JSAP1d(11
5−305アミノ酸残基)を実施例1(2)に従って調製した。 実施例1(2)で取得したFlag−JNK3発現ベクターおよびΔMEKK
1発現ベクターを、あるいはFlag−JNK3発現ベクターのみをCOS−7
細胞にTransIT−LT1(Mirus社製)を用いてトランスフェクショ
ンした後、該COS−7細胞を培養し、導入した各ベクター由来のポリペプチド
を一過性に発現させた。 34時間培養後、該細胞を緩衝液B中で溶解し、プロテインGアガロース(p
rotein−G−agarose)に固定化したanti−Flag M5モ
ノクローナル抗体(Kodak社製)を用いてFlag−JNK3を免疫沈降さ
せた。 得られたJNK3あるいは活性化されたJNK3と、Sプロテインアガロース
に結合させた、上記で調製したTrx・S−JSAP1a(115−274アミ
ノ酸残基)、Trx・S−JSAP1b(115−283アミノ酸残基)、Tr
x・S−JSAP1c(115−306アミノ酸残基)またはTrx・S−JS
AP1d(115−305アミノ酸残基)を用い、Cell,76,1025(
1994)に記載されている方法に準じて、32Pで放射ラベルされたATP(
[γ−32P]ATP)を加えリン酸化反応を行った。リン酸化のポジティブコ
ントロールとして、GST−c−Jun(1−79アミノ酸残基)を基質として
用いた〔EMBO.J.,15,2760(1996)〕。 該反応液をSDS−PAGEで展開後、オートラジオグラフィーにより解析し
た。 結果を第14図に示す。JSAP1は効率的にリン酸化された(第14図のレ
ーン4)。ポジティブコントロールであるc−Junのリン酸化も確認された(
第14図のレーン2)。 JSAP1においてリン酸化を受けている可能性のある上記に示したスレオニ
ン残基を、それぞれアラニン残基へ、オーバーラッピングPCR法〔overl
apping PCR;Current Protocols in Mole
cular Biology(John Wiley & Sons,Inc.
,New York,1989)〕による部位特異的変異により変換し、変換さ
せた該ポリペプチドを実施例1(2)の方法に準じて発現させ、取得した。 取得したポリペプチドWT〜T−3は以下の通りである。 (i)Trx・S−JSAP1a(115−274アミノ酸残基領域) WT :アラニン残基への置換なし T−0:234、244、255番目をアラニン残基に置換 T−1:244、255番目をアラニン残基に置換 T−2:234、255番目をアラニン残基に置換 T−3:234,244番目をアラニン残基に置換 (ii)Trx・S−JSAP1b(115−283アミノ酸残基領域) WT :アラニン残基への置換なし T−0:243、253、264番目をアラニン残基に置換 T−1:253、264番目をアラニン残基に置換 T−2:243、264番目をアラニン残基に置換 T−3:243,253番目をアラニン残基に置換 (iii)Trx・S−JSAP1c(115−306アミノ酸残基領域) WT :アラニン残基への置換なし T−0:266、276、287番目をアラニン残基に置換 T−1:276、287番目をアラニン残基に置換 T−2:266、287番目をアラニン残基に置換 T−3:266,276番目をアラニン残基に置換 (iv)Trx・S−JSAP1d(115−305アミノ酸残基領域) WT :アラニン残基への置換なし T−0:265、275、286番目をアラニン残基に置換 T−1:275、286番目をアラニン残基に置換 T−2:265、286番目をアラニン残基に置換 T−3:265,275番目をアラニン残基に置換 上記取得したポリペプチドを用いてリン酸化を行った。 Trx・S−JSAP1aにおける結果を第14図に示す。 Trx・S−JSAP1a〜dいずれも、リン酸化の予想されるスレオニンを
全てアラニンに置換したT−0のみリン酸化が認められず(第14図のレーン5
)、WTおよび他のアラニン置換体(T−1〜3)は全てリン酸化された(第1
4図のレーン6〜8)。 上記でリン酸化を受けなかった上記T−0、Flag−JNK3、ΔMEKK
1を、実施例2(1)の方法に準じて、同時にレチノイン酸によって分化させた
P19細胞で発現させ、anti−Flag M5 monoclonal抗体
(Kodak社製)で細胞を染色した。 同様の実験を、上記でリン酸化を受けることの示されたWT、Flag−JN
K3、ΔMEKK1を用いて行い、細胞を染色した。 JSAP1aでの結果を第15図に示す。 JSAP1いずれにおいても、T−0を用いた場合には、JNK3は細胞質に
のみ存在し、核内に移行できなかったが、WTを用いた場合にはJNK3は核内
に移行していた。 上記結果は、JNK3によりJSAP1がリン酸化されることにより、それま
でJSAP1に結合していたJNK3がJSAP1より解離し、核内へと移行す
ることを示している。 4)種々のMAPKK、MAPKKKとJSAP1との結合 実施例1(2)で取得したS−JSAp1(全長)発現ベクター、MAPKK
であるSEK1(MKK4)のFlag融合ポリペプチドFlag−SEK1の
発現ベクターおよびΔMEKK1発現ベクターの3種類のベクター、あるいはS
−JSAP1(全長)発現ベクターおよびFlag−SEK1発現ベクターの2
種類のベクターをCOS−7細胞にTransIT−LT1(Mirus社製)
を用いてトランスフェクションした後、該COS−7細胞を培養し、導入した各
ベクター由来のポリペプチドを一過性に発現させた。 34時間培養後、細胞を緩衝液B中で溶解させ、S−protein aga
rose(Novagen社製)を用い、S−JSAP1およびS−JSAP1
と結合するポリペプチドを免疫沈降させた。 得られた回収画分をSDS−PAGEで展開し、メンブレンImmobilo
n−P(Millipore社製)にトランスファーし、anti−Flag
M5 monoclonal抗体(Kodak社製)をプローブとして、Fla
g−SEK1をECL検出システム(Amersham社製)で可視化した。 結果を第16図に示す。ΔMEKK1によってSEK1が活性化された場合に
、JSAP1との結合が見られた(第16図のレーン2および3)。ΔMEKK
1によるSEK1の活性化は、リン酸化され活性化されたSEK1を認識するモ
ノクローナル抗体(NEB社製)を用いたウエスタンブロッティングにより確認
した。 上記で得られた結果を基に、JSAP1中の、SEK1結合領域について、上
記と同様の方法で解析した。即ち、S−JSAP1の種々の欠失変異体を作製し
、それぞれとFlag−SEK1との結合を調べた。 JSAP1a由来の欠失変異体を用いて得られた結果を第16図のレーン4〜
8に示す。JSAP1aの全長FL(1−1305残基)、欠失変異体Δ2(7
44−1305残基を有する)および欠失変異体Δ3(1054−1305残基
を有する)にSEK1は結合することができたが(第16図のレーン5、7、8
)、欠失変異体Δ1(1−1053残基を有する)には結合することができなか
った(第16図レーン6)。 以上のことから、JSAP1aのC末端側の1054〜1305アミノ酸残基
にSEK1が結合することがわかった。 他のMAPKKのJSAP1aへの結合についても同様の方法で解析した。 結果を第17図および第18図に示す。 MKK7(JNK経路の他のMAPKK)もSEK1と同様にJSAP1aの
C末端の1054−1305残基に結合した(第17図)。ERKまたはp38
経路のMAPKKであるMEK1、MKK6もJSAP1aに結合した(第18
図)。 実施例1(2)で取得したS−JSAP1a(全長)FL、欠失変異体Δ1(
1−1053アミノ酸残基を有する)、またはΔ4(343−1053アミノ酸
残基を有する)の発現ベクター、およびMAPKKKであるMEKK1のN末端
部分配列ポリペプチド(MEKK1−N;1−640アミノ酸残基)とFlag
タグとの融合ポリペプチドFlag−MEKK−Nの発現ベクターをCOS−7
細胞にTransIT−LT1(Mirus社製)を用いてトランスフェクショ
ンした後、該COS−7細胞を培養し、導入した各ベクター由来のポリペプチド
を一過性に発現させた。 上記において、全長のMEKK1のCOS−7細胞での発現は非常に低かった
ため、本実験においてはMEKK1の部分配列であるMEKK1−Nを用いた。 結果を第19図に示す。MEKK−NはJSAP1aのFL、Δ1、Δ4いず
れとも結合した。Δ4に結合したことより、MEKK−NはJSAP1aの34
3−1053アミノ酸残基部に結合すると考えられた。 同様の実験を、MEKK1のN末端部以外の部分を有するポリペプチドを用い
て行い、該ポリペプチドが上記N末端部以外の領域でJSAP1aと結合しない
ことを確認した。 MEKK1は、全長JSAP1aよりもJSAP1aΔ1(1−1053アミ
ノ酸残基)に、より高親和性で結合している(第19図のレーン3)ことより、
上記でSEK1の結合部位と考えられたJSAP1aのC末端の1054−13
05残基は、MEKK1の結合を阻害する作用のある可能性がある。 さらに、MAPK経路のうち、ERK経路に関与しているMAPKKKである
、c−Raf1とJSAP1との結合について調べた。 実施例1(2)で取得したc−Raf1のN末端側領域(1−327アミノ酸
残基)またはC末端側領域(316−648アミノ酸残基)をFlagペプチド
と融合させたFlag−Raf−NまたはFlag−Raf−Cを発現するベク
ターおよび実施例1(2)で取得したS−JSAP1各々の発現ベクターをCO
S−7細胞にTransIT−LT1(Mirus社製)を用いてトランスフェ
クションした後、該COS−7細胞を培養し、導入した各ベクター由来のポリペ
プチドを一過性に発現させた。 上記において、全長のc−Raf1のCOS−7細胞での発現は非常に低かっ
たため、本実験においてはc−Raf1の部分配列であるRaf−NおよびRa
f−Cを用いた。 結果を第20図に示す。Raf−CはJSAP1(第20図のレーン4)と結
合したが、Raf−Nは結合しなかった(第20図のレーン2)。また、Raf
−Cの結合親和性はMEKK1の親和性より低かった(第20図のレーン4、6
)。 以上からJNK3経路に関与する、MAPKKK(MEKK1)、MAPK(
SEK1、MKK7)、MAPK(JNK3)のJSAP1の結合領域は互いに
異なることがわかった。 JSAP1aにおいて、MEKK1に対する結合領域は343−1053アミ
ノ酸残基領域、SEK1、MKK7に対する結合領域は1054−1305残基
領域、JNK3に対する結合領域は115−274残基領域であった。 JSAP1はロイシンジッパー構造を有していると考えられた。ロイシンジッ
パー構造を形成しているロイシン残基の各JSAP1中のアミノ酸配列番号を以
下に示す。 JSAP1a:392、399、406、413、420、427 JSAP1b:401、408、415、422、429、436 JSAP1c:424、431、438、445、452、459 JSAP1d:423、4301437、444、451、458 以上のことから、JSAP1はホモ、あるいはヘテロダイマーとして存在し、
機能していると考えられた。 5)レポーター系を用いたJSAP1のJNK3経路におけるスキャフォルドタ
ンパク質としての機能解析 全長JSAP1の過剰発現によるJNK3経路の活性化に関して解析した。 JSAP1aおよびJNK3をもともと発現している、レチノイン酸によって
分化させたP19細胞に、5XGAL4−LUCレポーター発現ベクター(St
ratagene社製)、GAL4−c−Jun発現ベクター(c−Jun活性
化ドメインを含む1−223残基、Stratagene社製)およびRLコン
トロールベクター(Promega社製)を導入した。 該P19細胞に、全長S−JSAP1a−FL発現ベクター、S−JSAP1
a−Δ5(1−343残基)発現ベクターおよび/または恒常的に活性化されて
いるS−Cdc42(G12V)発現ベクターを導入した。 該P19細胞を培養し、導入した各ベクター由来のポリペプチドを一過性に発
現させた。 培養24時間後にルシフェラーゼ活性を測定し、GAL4−c−Jun転写活
性、即ち、JNK3活性を求めた。ルシフェラーゼ活性の相対値は、RLルシフ
ェラーゼの活性値で補正して求めた。 結果を第21図に示す。 Cdc42(G12V)はJNK3活性を上昇させ、またJSAP1aの過剰
発現はCdc42(G12V)と同程度にJNK3活性を上昇させた。 Cdc42(G12V)と全長JSAP1aを同時に発現させた細胞では、そ
れぞれ単独の場合と相加的にJNK3活性を上昇させた。 これに対し、JNK3結合領域を含むJSAP1a−Δ5(1−343アミノ
酸残基)とCdc42(G12V)を同時に発現させた場合は、JNK3活性は
阻害された。 上記と同様の方法で、全長JSAP1の過剰発現によるERK経路への影響を
調べた。 レチノイン酸によって分化させたP19細胞に、5XGAL4−LUCレポー
ター発現ベクター、GAL4−Elk1(Elk1活性化ドメインを含む307
−427残基)発現ベクターおよびRLコントロールベクターを導入した。 該P19細胞に、S−JSAP1a−FL(全長JSAP1a)発現ベクター
および/または恒常的に活性化されているΔRaf1〔Mol,Cell.Bi
ol.,,639(1989)〕のFlagポリペプチド(Flag−ΔRa
f1)発現ベクターを導入した。 該P19細胞を培養し、導入した各ベクター由来のポリペプチドを一過性に発
現させた。 培養24時間後にルシフェラーゼ活性を測定し、GAL4−Elk1転写活性
、即ち、ERK活性を求めた。ルシフェラーゼ活性の相対値は、RLルシフェラ
ーゼの活性値で補正して求めた。 結果を第22図に示す。 JSAP1aの過剰発現は、ERK活性を阻害することが明らかとなった。 JSAP1はJNK3経路に存在するMAKPKKK、MAPKKおよびJN
K3のすべてと結合し、また上記結果より、JNK3経路の効果的、かつ特異的
な活性化を担う重要なスキャフォルドポリペプチドとして機能していると結論さ
れた。 6)JNK3によるJSAP1のリン酸化を阻害する阻害剤をスクリーニングす
る系の構築 JNK3のリン酸化基質として用いる、JSAP1aのアミノ酸配列114−
274に相当する部分タンパク質(JNK3結合部位,および3つのリン酸化さ
れるThr残基を含む)とGSTとの融合タンパク質を以下のように調製した。 JSAP1a特異的なPCRプライマーとして、配列番号17で示される塩基
配列を有するフォーワードプライマーおよび配列番号18で示される塩基配列を
有するリバースプライマーを合成した。 フォーワードプライマーは、配列番号1で示される塩基配列を有するJSAP
1aをコードするcDNAの塩基配列446〜464の領域に相当する塩基配列
の直前にEcoRV認識配列を導入した塩基配列を有する。 リバースプライマーは、配列番号1で示される塩基配列を有するJSAP1a
をコードするcDNAの塩基配列909〜928の領域の相補配列に相当する塩
基配列の直後にストップコドンを導入し、更にその直後にEcoRI認識配列を
導入した塩基配列を有する。 これら2種類のブライマーを用い、実施例1の(2)で調製した全長JSAP
1aを含む発現プラスミドpET32aをテンプレートとしてKOD DNA
polymerase(Toyobo社製)によりPCR反応をThermal
cycler 450(宝社製)により行なった。 増幅したJSAP1a cDNA断片をアガロースゲル電気泳動により分離し
、該断片をQiaex II DNA Extraction Kit(Qia
gen社製)により抽出した。 同様に、制限酵素EcoRIとEcoRVで切断したpBluescript
II KSのDNA断片を抽出した。 得られた直鎖状のpBluescript II KSのDNA断片とJS
AP1a DNA断片を、DNA ligation Kit(宝社製)を用い
、16℃でligation反応を行なうことにより、連結し、pBluesc
ript II KSにJSAP1a DNA断片を挿入したプラスミドpR
H1001を取得した。 該pRH1001でE. coliのコンピテント細胞をトランスホーム後、
E. coliをアンピシリンを添加したLB培地プレート(トリプトン 1
%、酵母エキス 0.5%、NaCl 1%)で一晩培養した。 現れたコロニーより得られたE. coliを2mlのアンピシリンを添加し
たTB培地〔トリプトン 12g、酵母エキス 24g、グリセロール 4ml
に900mlの水を加え、オートクレープ滅菌し、60℃に冷却後、滅菌した1
00mlリン酸カリウム溶液(0.17M KHPO、0.72M K
PO)を添加した培地〕中で培養し、該E. coliよりpRH1001を
抽出した。 該pRH1001をEcoRIとEcoRVで切断し、得られたDNA断片の
塩基配列を決定することにより、JSAP1aをコードする塩基配列と一致する
ことを確認した。 EcoRIとEcoRVで切断したpRH1001のDNA断片をアガロース
ゲル電気泳動により分離し、該断片をQiaex II DNA Extrac
tion Kit(Qiagen社製)により抽出した。 同様に、制限酵素EcoRIとSmaIで切断したpGEX−3X(Phar
macia社製)のDNA断片を抽出した。 得られた直鎖状のpGEX−3XのDNA断片とpRH1001のDNA断片
を、DNA ligation Kit(宝社製)を用い、16℃でligat
ion反応を行なうことにより、連結し、pBluescript II KS
にJSAP1a DNA断片を挿入したプラスミドpRH1003を取得した
。 該pRH1003でE. coliのコンピテント細胞をトランスホーム後、
E. coliをアンピシリンを添加したLB培地プレート上で一晩培養した
。 現れたコロニーより得られたE. coliを2mlのアンピシリンを添加し
たTB培地中で培養し、該E. coliよりpRH1003を抽出した。 pRH1003はGST−JSAP1融合タンパク質をコードするDNA断片
を持つE. coli発現ベクターである。 上記pRH1003を有するE. coliを20mlのアンピシリンを添加
したTB培地中、37℃で一晩前培養した。 得られた培養液を、440mlのアンピシリンを添加したTB培地に添加し、
25℃で5時間培養後、該培養液にisopropyl−b−D−thioga
lactopyranoside(IPTG)を添加し、25℃で15時間培養
した。 得られた培養液より、遠心分離により菌体を回収した。該菌体に、0.1mg
/ml リゾチームを添加したPBSを20ml添加し、4℃で1時間放置した
。 放置後、200μlの10% N−lauroylsarcosineを加え
、超音波破砕機を用いて菌体を破壊した。 得られた菌体破壊液を100,000×g、4℃の条件で1時間遠心分離し、
細胞質画分を取得した。 該細胞質画分より、以下の方法でGlutathione sepharos
e 4B(Pharmacia社製)を用いて、GST−JSAP1融合タンパ
ク質精製した。 即ち、Glutathione sepharose 4B担体のゲル5ml
をカラム詰め、0.1% N−lauroylsarcosineを添加したP
BSで平衡化した。該平衡化したGlutathione sepharose
4B担体にGST−JSAP1融合タンパク質を吸着し、30mlのN−la
uroylsarcosineを添加したPBSで洗浄後、20mlの溶出緩衝
液(5mM還元型glutathioneおよび0.1% N−lauroyl
sarcosineを添加したPBS)でGST−JSAP1融合タンパク質を
溶出した。該溶出液をPBSに対して透析し、精製されたGST−JSAP1融
合タンパク質溶液を取得した。 該精製GST−JSAP1融合タンパク質溶液は−80℃で保存することが可
能で、使用時に解凍して用いた。 ΔMEKK1、JNK3および活性化JNK3を以下のように調製、取得した
。 COS−7細胞を60mmプレートに2〜5×10cells/ml DM
EM培地となるようにまき、37℃で一晩培養した。 9μlのFuGene 6 transfection reagent(F
.Hoffmann−La Roche社製)を300μlのOPTI−MEM
(Gibco BRL,Life Technologies社製)に加え、得
られた溶液に、実施例1の(2)で調製したΔMEKK1をコードするcDNA
を導入した発現ベクター0.1〜0.5μgおよび/またはJNK3をコードす
るcDNAを導入した発現ベクター4.5〜4.9μgを添加し、15分間室温
で放置した。 得られた混合液を、上記培養COS−7細胞に3滴ずつ加えゆっくりと混ぜた
後、該細胞を37℃で30〜40時間培養した。 該細胞をスクレイパーで回収し、10mlのPBSで洗浄した。 得られたCOS−7細胞に1mlの細胞溶解緩衝液〔50mM HEPES/
NaOH(pH7.6)、150mM NaCl、0.3%(V/V)Noni
det P−40、20mM MgCl、1mM ethyleneglyc
ol bis(β−aminoether)−N,N,N’,N’−tetra
acetic acid(EGTA)、20mM β−glycerophop
hate、10mM NaVO、10mM NaF、40μg/ml ph
enylmethylsulfonyl fluoride(PMSF)、1μ
g/ml pepstatin A、1μg/ml leupeptin、1μ
g/ml chymostatin、2mM dithiothreitol(
DTT)〕を加え、細胞を破壊した。 得られた細胞破壊液を、20,000×g、4℃の条件で遠心分離し、上清を
取得した。ΔMEKK1をコードするcDNAを導入した発現ベクター導入由来
の細胞破壊液の上清をΔMEKK1酵素溶液として、JNK3をコードするcD
NAを導入した発現ベクター導入由来の細胞破壊液の上清をJNK3酵素溶液と
して、ΔMEKK1、JNK3をコードするcDNAを導入した2種類の発現ベ
クター導入由来の細胞破壊液の上清を活性化JNK3酵素溶液として用いた。 以下に、活性化JNK3によるJSAP1のリン酸化を阻害する阻害剤のスク
リーニングする系について記述する。 活性化JNK3によるJSAP1のリン酸化は、活性化JNK3、[γ−33
P]−ATP(74TBq/mmol,New England Nuclea
r社製)、およびGST−JSAP1を用いた均質な液相系で反応後、GST−
JSAP1への33Pの取り込み放射活性を指標にして測定した。 96ウェルプレート(Corning社製)の各ウェルに、スクリーニング用
反応液〔3μM[γ−33P]−ATP(28kBq/ml)、2.3μM G
ST−JSAP1、20mM MgCl、20mM β−glyceroph
osphate、20mM p−nitrophenylphophate、1
mM NaVO、1mM NaF、2mM DTT、1%DMSOまたは1
%DMSOを含む被検化合物、2%(V/V)上記で調製した3種類の酵素溶液
のいずれか(実際のスクリーニング時には活性化JNK3酵素溶液を用いる)、
50mM HEPES/NaOH(pH7.6)〕を100μlずつ加え、30
℃で10〜30分間放置した。 放置後、100μlのエタノールを該反応液に添加して反応を停止し、GST
−JSAP1を沈殿させた。 該沈殿をフィルターメイトハーベスター(Packard社製)で、ユニフィ
ルタープレートGF/B(Packard社製)上でろ過し、吸着させた。 該プレートをPBSで3回以上洗浄し、乾燥後、シンチレーターであるMic
roscint−20(Packard社製)40μlを添加し、検出器Top
Count−HTS(Packard社製)により放射活性を測定した。 結果を第1表に示した。 GST−JSAP1は、上記系において、スクリーニング用反応液に活性化J
NK3酵素溶液を用いた時のみ特異的にリン酸化された。 従って、スクリーニング用反応液に活性化JNK3酵素溶液を用いた上記系は
、JNK3によるJSAP1のリン酸化を阻害する阻害剤を効率的にスクリーニ
ングすることのできる系として利用可能である。真のリン酸化活性は活性化JN
K3酵素溶液を用いない系におけるリン酸化活性を差し引くことにより求めるこ
とができる。 上記活性化JNK3酵素溶液が活性化JNK3を含有する溶液であることを以
下の実験で確認した。 上記で調製したΔMEKK1酵素溶液、JNK3酵素溶液および活性化JNK
3酵素溶液それぞれ各10μg(酵素量として)を用いてSDS−PAGEを行
い、泳動された各タンパク質をメンブレンHybond−ECL(Amersh
am−Pharmacia Biotech社製)にトランスファーした。 該メンブレン、およびプローブとしてanti−active JNK po
lyclonal抗体(Promega社製)およびanti−Flag M2
monoclonal抗体(Sigma社製)を用い、ウエスタンブロティン
グを行なった。発色は検出緩衝液〔100mM Tris/HCl(pH9.5
)、100mM NaCl、5mM MgCl、0.33mg/ml nit
ro blue tetrazolium(NBT)、0.17mg/ml 5
−bromo−4−chloro−3−indoylphosphate(BC
IP)、p−toluidine salt〕を用いて行なった。結果を第23
図に示した。 活性化JNK3酵素溶液のみにリン酸化された活性化JNK3のバンドが観測
された(第23図−Aのレーン2)。JNK3酵素溶液にはJNK3タンパク質
のバンドが観測され(第23図−Bのレーン3)、JNK3のリン酸化によるバ
ンドシフト(第23図−Bのレーン2および3)が観測された。 上記で構築されたスクリーニング系における、リン酸化反応の基質ATPおよ
びGST−JSAP1のKm値を、酵素反応速度論入門生物化学実験法21 大
西正健著 学会出版センター 1987記載の方法に準じて算出した。 ATP、GST−JSAP1ともにMichaelis−Menten型の基
質−反応初速度曲線を示し、Lineweaver−Burk plotより、
ATP、GST−JSAP1のKm値はそれぞれ、6.3μM、0.48μMで
あることがわかった。 実施例3 JSAP3のJNK3への結合 実施例1(2)で取得したS−JSAP3(全長)発現ベクターおよびFla
g−JNK3発現ベクターをCOS−7細胞にTransIT−LT1(Mir
us社製)を用いてトランスフェクションした後、該COS−7細胞を培養し、
導入した各ベクター由来のポリペプチドを一過性に発現させた。 培養34時間後、該細胞を緩衝液B中で溶解し、Sプロテインアガロースを添
加し、S−JSAP3およびS−JSAP3と結合するポリペプチドを沈降させ
た。 得られた回収画分をSDS−PAGEで展開し、メンブレンImmobilo
n−P(Millipore社製)にトランスファーした。 該メンブレンおよびプローブとしてanti−Flag M5 monocl
onal抗体(Kodak社製)を用いウエスタンブロティングを行い、該抗体
と結合するポリペプチド(Flag−JNK3)をECL検出システム(Ame
rsham社製)で可視化した。 結果を第24図に示す。 JSAP3はJNK3結合することが確認された(第24図のレーン2)。 以下の方法で、JSAP3の転写因子ATF2との結合およびATF2結合領
域の解析を行った。 実施例1(2)に記載の方法に準じて、JSAP3(全長ポリペプチド)、T
rx・S、Trx・S−ATF2(アミノ酸残基1−107)およびTrx・S
−ATF2(アミノ酸残基1−116)融合ポリペプチドをE. coliで発
現させ、Sプロテインアガロースに結合させることによりそれぞれ取得した。 実施例1(2)で取得したS−JSAP3(全長)発現ベクターを使用して、
S−JSAP3の35S放射能ラベル体を、TNT T7 Quick Cou
pled Transcription/Translation Syste
m(Promega社製)によりin vitro翻訳により調製した。 得られたJSAP3の35S放射能ラベル体と、Trx・S、Trx・S−A
TF2(アミノ酸残基1−107)、Trx・S−ATF2(アミノ酸残基1−
116)それぞれを緩衝液A中で混合し、4℃で2時間、チューブを回転させな
がら反応液を攪拌し、反応させた。 反応後、緩衝液Aで3回洗浄し、得られた沈降物をSDS−PAGEで展開し
、オートラジオグラフィー(autoradiography)により解析した
。 結果を第25図に示した。 JSAP3はATF2の108−116アミノ酸残基の領域に結合することが
わかった。 JSAP3のATF2結合領域108−116残基のうち、108−112の
配列は、すでに報告されているCtBP結合配列motifPLDLSと完全に
一致した〔J.Biol.Chem.,273,8549(1998)〕。 実施例4 JSAP4 1)JSAP4のJNK3への結合 実施例1(2)で取得したS−JSAP4(全長)発現ベクターおよびFla
g−JNK3発現ベクターをCOS−7細胞にTransIT−LT1(Mir
us社製)を用いてトランスフェクションした後、該COS−7細胞を培養し、
導入した各ベクター由来のポリペプチドを一過性に発現させた。 培養34時間後、該細胞を緩衝液B中で溶解し、Sプロテインアガロースを添
加し、S−JSAP4およびS−JSAP4と結合するポリペプチドを沈降させ
た。 得られた回収画分をSDS−PAGEで展開し、メンブレンImmobilo
n−P(Millipore社製)にトランスファーした。 該メンブレンおよびプローブとしてanti−Flag M5 monocl
onal抗体(Kodak社製)を用いウエスタンブロティングを行い、該抗体
と結合するポリペプチド(Flag−JNK3)をECL検出システム(Ame
rsham社製)で可視化した。 結果を第24図に示す。 JSAP4はJNK3結合することが確認された(第24図のレーン4)。J
SAP4のJNK3結合領域を以下の方法で解析した。 実施例1(2)で取得したGSTあるいはGST−JNK3融合タンパク質発
現ベクターをE. coli中で発現させ、該タンパク質をGlutathio
ne−agarose(Sigma社製)に吸着させた。 実施例1(2)で取得した全長、あるいは部分長のJSAP4のS−JSAP
4発現ベクターを使用して、種々のS−JSAP4の35S放射能ラベル体を、
TNT T7 Quick Coupled Transcription/T
ranslation System(Promega社製)によりin vi
tro翻訳により調製し、SDS−PAGEで展開し、オートラジオグラフィー
(autoradiography)により解析した。 結果を第26図に示した。 緩衝液Aを含むチューブに、得られた種々のJSAP4の35S放射能ラベル
体、およびGlutathione−agaroseに吸着させたGSTあるい
はGST−JNK3融合タンパク質添加し、チューブを回転させながら混合し、
4℃で2時間放置した。 放置後、緩衝液Aで3回洗浄し、Glutathione−agaroseに
吸着しているタンパク質をSDS−PAGEで展開し、オートラジオグラフィー
により解析した。 結果を第27図に示した。 JSAP4の1063−1331アミノ酸残基領域にJNK3が結合すること
が判明した。 2)JSAP4のJNK1、JNK2への結合 実施例1(2)で取得したMycタグを付加したMyc−JSAP4(106
3−1331アミノ酸残基領域;JNK3と結合する領域)発現ベクターおよび
、His−Sタグを付加したHis−S−JNK1、His−S−JNK2、H
is−S−JNK3またはHis−S−ERK2発現ベクターを、COS−7細
胞にFuGene 6 transfection reagent(F.Ho
ffmann−La Roche社製)を用いてコトランスフェクションした。 該COS−7細胞を培養し、導入した各ベクター由来のポリペプチドを一過性
に発現させた。 培養34時間後、該細胞を緩衝液B中で溶解し、S−protein aga
rose(Novagen社製)を用い、免疫沈降させた。 得られた沈降画分をSDS−PAGEで展開し、メンブレンImmobilo
n−P(Millipore社製)にトランスファーした。 該メンブレンおよびプローブとしてanti−Myc monoclonal
抗体 9E10(Boehringer Mannheim社製)を用いウエス
タンブロティングを行い、該抗体と結合するMyc−JSAP4をECL検出シ
ステム(Amersham社製)で可視化した。またそれぞれのコトランスフェ
クションされた細胞中のMyc−JSAP4の発現は、細胞溶解後、anti−
Myc monoclonal抗体 9E10(Boehringer Man
nheim社製)によるウエスタンブロティングにより、またHis−S−JN
K1、His−S−JNK2、His−S−JNK3およびHis−S−ERK
2の発現はanti−His polyclonal抗体(Santa Cru
z社製)によるウエスタンブロティングにより確認した。 その結果を第28図に示した。 JSAP4はJNK1、JNK2、JNK3と結合するが、ERK2とは結合
しないことが判明した。 3)ノーザンハイブリダイゼーションによるJSAP4 mRNAの発現解析 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92,4972(1995
)に記載されている方法に準じてノーザンハイブリダイゼーションを実施した。 即ち、32Pで放射ラベルした、JSAP4、β−actin cDNAプロ
ーブを用いてマウスの精巣、大腸、心臓、肺、腎臓、脳、脾臓、肝臓の各組織に
ついて解析した。 結果を第29図に示す。 JSAP4は精巣、心臓、腎臓でわずかな発現が認められたが、特に脳に最も
多い発現が見られた。 JSAP4にはWD40−repeatと呼ばれる配列が見られるため、他の
タンパク質との相互作用(結合)に関与し得ることが予想され、JNK3経路に
おいて、その情報伝達で重要な機能を有していることが予想された〔FEBS
Lett.,307,131(1994)〕。 4)レポーター系を用いたJSAP4のJNK経路における機能解析 全長JSAP4を過剰発現させJNK経路への影響を以下の方法で解析した。 COS−7細胞に、5XGAL4−LUCレポーター発現ベクター(Stra
tagene社製)、GAL4−c−Jun発現ベクター(c−Jun活性化ド
メインを含む1−223残基、Stratagene社製)およびRLコントロ
ールベクター(Promega社製)をFuGENE6 transfecti
on reagent(F.Hoffmann−La Roche社製)を用い
て導入した。 該COS−7細胞に、実施例1の(2)で作製したMyc−JSAP4−FL
発現ベクター、His−S−MEKK1発現ベクターおよびFlag−TAK1
発現ベクターのいずれか一つ以上をFuGENE6 transfection
reagentを用いて導入した。 該COS−7細胞を培養し、導入した各ベクター由来のポリペプチドを一過性
に発現させた。 培養34時間後にルシフェラーゼ活性を測定し、GAL4−c−Jun転写活
性、即ち、JNK活性を求めた。ルシフェラーゼ活性の相対値は、RLルシフェ
ラーゼの活性値で補正して求めた。 結果を第30図に示す。 JSAP4そのものだけでは、JNK活性の上昇はわずかであったが、MAP
KKKであるMEKK1、TAK1はJNK活性をそれぞれ3倍、3.2倍に上
昇させた。しかし、MEKK1およびTAK1によるJNK活性化は、JSAP
4の過剰発現によってそれぞれさらに2.7倍、3倍に増強された。 上記と同様の方法で、全長JSAP4の過剰発現によるERK経路への影響を
調べた。 COS−7細胞に、5XGAL4−LUCレポーター発現ベクター、GAL4
−Elk1(Elk1活性化ドメインを含む307−427残基)発現ベクター
およびRLコントロールベクターをFuGENE6 transfection
reagentを用いて導入した。 該COS−7細胞に、実施例1の(2)で作製したMyc−JSAP4−FL
発現ベクター、および/または恒常的に活性化されているΔRaf1〔Mol.
Cell.Biol.,,639(1989)〕のFlagポリペプチド(F
lag−ΔRaf1)発現ベクターをFuGENE6 transfectio
n reagentを用いて導入した。 該COS−7細胞を培養し、導入した各ベクター由来のポリペプチドを一過性
に発現させた。 培養34時間後にルシフェラーゼ活性を測定し、GAL4−Elk1転写活性
、即ち、ERK活性を求めた。ルシフェラーゼ活性の相対値は、RLルシフェラ
ーゼの活性値で補正して求めた。 結果を第31図に示す。 JSAP4の過剰発現は、ERK経路の活性に対して影響しなかった。また活
性型ΔRaf−1によるERK活性化に対しても影響しなかった。 実施例4の1)、2)の結果より、JSAP4はJNK1、JNK2、JNK
3に結合し、かつそれらJNK経路の活性化の効率を特異的により増強するとい
う機能を有していると結論された。 実施例5 JSAP5のJNK3への結合 実施例1(2)で取得したS−JSAP5(部分長)発現ベクターおよびFl
ag−JNK3発現ベクターをCOS−7細胞にTransIT−LT1(Mi
rus社製)を用いてトランスフェクションした後、該COS−7細胞を培養し
、導入した各ベクター由来のポリペプチドを一過性に発現させた。 培養34時間後、該細胞を緩衝液B中で溶解し、Sプロテインアガロースを添
加し、S−JSAP5およびS−JSAP5と結合するポリペプチドを沈降させ
た。 得られた回収画分をSDS−PAGEで展開し、メンブレンImmobilo
n−P(Millipore社製)にトランスファーした。 該メンブレンおよびプローブとしてanti−Flag M5 monocl
onal抗体(Kodak社製)を用いウエスタンブロティングを行い、該抗体
と結合するポリペプチド(Flag−JNK3)をECL検出システム(Ame
rsham社製)で可視化した。 結果を第24図に示す。 JSAP5はJNK3結合することが確認された(第24図のレーン6)。産業上の利用可能性 本発明により得られるJNK3結合活性を有する新規ポリペプチドのDNAを
用いることにより、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、多発
性硬化症等の神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化症等の筋萎縮性疾患、虚血性疾患
、脳卒中時の脳障害、精神分裂病、うつ病、てんかん、各種免疫、炎症性疾患の
予防、治療が可能となる。
【配列表フリーテキスト】
配列番号17−人工配列の説明:合成DNA 配列番号18−人工配列の説明:合成DNA
【配列表】
【図面の簡単な説明】
第1図 pcDNA3−S−JSAP1a−Δ1の制限酵素地図を示した図であ
る。 第2図 pcDNA3−S−JSAP1a−Δ2の制限酵素地図を示した図であ
る。 第3図 pcDNA3−S−JSAP1a−Δ3の制限酵素地図を示した図であ
る。 第4図 pcDNA3−S−JSAP1a−Δ4の制限酵素地図を示した図であ
る。 第5図 pcDNA3−S−JSAP1a−Δ5の制限酵素地図を示した図であ
る。 第6図 pcDNA3−S−JSAP1a〜pcDNA3−S−JSAP1dの
制限酵素地図を示した図である。 第7図 pcDNA3−S−JSAP3の制限酵素地図を示した図である。 第8図 pcDNA3−S−JSAP4の制限酵素地図を示した図である。 第9図 pGAD10−JSAP5の制限酵素地図を示した図である。 第10図 pcDNA3−His−S−JSAP5の制限酵素地図を示した図で
ある。 第11図 マウスJNK3、マウスJSAP1aの各cDNAの一部の配列をプ
ローブとしてマウス肝臓、脾臓、腎臓、脳、心臓、肺、精巣のmRNAに対して
ノーザンハイブリダイゼーションを行った結果を示した電気泳動の図である。発
現コントロールとしてβ−actinの結果も合わせて示した。 第12図 JNK1、JNK2、JNK3、ERK2、p38に対するJSAP
1aの結合性をウエスタンブロティングにより解析した結果を示した電気泳動の
図である。下段はCOS−7細胞における各Flag−JNK1、2、3、ER
K2、p38の発現量を確認するため、細胞抽出液を用いたウエスタンブロティ
ングの結果を示している。 第13図 JSAP1aにおけるJNK3結合領域の解析結果を示した電気泳動
の図である。図である。 第14図 JNK3によるJSAP1aのリン酸化を解析結果を示した電気泳動
の図である。 第15図 JSAP1aのリン酸化と、JNK3の細胞内局在性を解析した結果
を示した図である。JNK3は抗体染色により検出した。細胞の核はHoech
st染色により検出した。 第16図 SEK1に対するJSAP1aの結合性をウエスタンブロティングに
より解析した結果を示した電気泳動の図である。下の2段はCOS−7細胞にお
ける各Flag−SEK1、および活性化SEK1の発現量を確認するため、細
胞抽出液を用いたウエスタンブロティングの結果を示している。FLは全長ポリ
ペプチドを意味する。 第17図 MKK7に対するJSAP1aの結合性をウエスタンブロティングに
より解析した結果を示した電気泳動の図である。下段はCOS−7細胞における
各Flag−MKK7の発現量を確認するため、細胞抽出液を用いたウエスタン
ブロティングの結果を示している。FLは全長ポリペプチドを意味する。 第18図 MEK1、MKK6およびMKK7に対するJSAP1aの結合性を
ウエスタンブロティングにより解析した結果を示した電気泳動の図である。下段
はCOS−7細胞における各Flag−MEK1、MKK6およびMKK7の発
現量を確認するため、細胞抽出液を用いたウエスタンブロティングの結果を示し
ている。FLは全長ポリペプチドを意味する。 第19図 MEKK1のN末端部分(1−640アミノ酸残基)に対するJSA
P1aの結合性をウエスタンブロティングにより解析した結果を示した電気泳動
の図である。下段はCOS−7細胞における各Flag−MEKK1のN末端部
分の発現量を確認するため、細胞抽出液を用いたウエスタンブロティングの結果
を示している。FLは全長ポリペプチドを意味する。 第20図 Flag−c−Raf1のN末端部分(1−327アミノ酸残基)あ
るいはC末端部分(316−648アミノ酸残基)に対するJSAP1aの結合
性をウエスタンブロティングにより解析した結果を示した電気泳動の図である。
下段はCOS−7細胞における各Flag−Raf−N、Raf−Cの発現量を
確認するため、細胞抽出液を用いたウエスタンブロティングの結果を示している
。FLは全長ポリペプチドを意味する。 第21図 P19細胞におけるJNK3活性をGAL4−c−Jun転写活性と
して測定するLUCレポーター系で、JNK3活性に対するCdc42およびJ
SAP1aの効果を調べた結果を示す図である。縦軸はJNK3活性に対応する
、相対的なルシフェラーゼ活性を示した。 第22図 P19細胞におけるERK活性をGAL4−Elk1転写活性として
測定するLUCレポーター系で、ERK活性に対するΔRaf1およびJSAP
1aの効果を調べた結果を示す図である。縦軸はERK活性に対応する、相対的
なルシフェラーゼ活性を示した。 第23図 COS−7細胞にΔMEKK1、JNK3遺伝子を単独あるいは両方
をいっしょに導入し、得られたΔMEKK1酵素液、JNK3酵素液、活性化J
NK3酵素液を用い、ウエスタンブロティングにより解析した結果を示した電気
泳動の図である。Aは活性化JNK3の発現をリン酸化型JNK3を認識する抗
体で染色した結果を、Bは抗Flag抗体でJNK3を染色した結果を示す。レ
ーン1にはΔMEKK1酵素液、レーン2には活性化JNK3酵素液、レーン3
にはJNK3酵素液、レーン4には遺伝子を導入しないCOS−7細胞破砕液を
泳動した。 第24図 JNK3に対するJSAP3、4、5の結合性をウエスタンブロティ
ングにより解析した結果を示した電気泳動の図である。下段はCOS−7細胞に
おける各Flag−JNK3の発現量を確認するため、細胞抽出液を用いたウエ
スタンブロティングの結果を示している。 第25図 ATF2に対するJSAP3の結合性をオートラジオグラフィーによ
り解析した結果を示した電気泳動の図である。 第26図 35Sでラベルされた種々の長さを有するJSAP4分子の発現をオ
ートラジオグラフィーにより解析した結果を示した電気泳動の図である。 第27図 JSAP4のJNK3結合領域をオートラジオグラフィーにより解析
により解析した結果を示した電気泳動の図である。得られた35Sでラベルされ
た種々の長さを有するJSAP4分子と、GSTあるいはGST−JNK3との
結合を解析した結果であり、結合した場合にそれがバンドとして観測される。 第28図 JSAP4のJNK1、JNK2、ERK2への結合性をウエスタン
ブロティングにより解析した結果を示した電気泳動の図である。3段のブロティ
ングのうち、第2段および第3段はそれぞれCOS−7細胞におけるJSAP4
および各MAPK(JNK1、JNK2、JNK3、ERK2)の発現量を確認
するため、細胞抽出液を用いたウエスタンブロティングの結果を示している。 第29図 JSAP4のcDNAの一部の配列をプローブとしてマウス精巣、大
腸、心臓、肺、腎臓、脳、脾臓、肝臓のmRNAに対してノーザンハイブリダイ
ゼーションを行った結果を示す。発現コントロールとしてβ−actinの結果
も合わせて示した。 第30図 COS−7細胞におけるJNK活性をGAL4−c−Jun転写活性
として測定するLUCレポーター系で、JNK活性に対するMEKK1、TAK
1およびJSAP4の効果を調べた結果を示す図である。縦軸はJNK活性に対
応する、相対的なルシフェラーゼ活性を示した。 第31図 COS−7細胞におけるERK活性をGAL4−Elk1転写活性と
して測定するLUCレポーター系で、ERK活性に対するΔRaf1およびJS
AP4の効果を調べた結果を示す図である。縦軸はERK活性に対応する、相対
的なルシフェラーゼ活性を示した。 [符号の説明] kb:キロ塩基対(kilobase pairs) Ap:アンピシリン耐性遺伝子 knt:キロヌクレオチド(kilonucleotides)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61K 48/00 A61P 25/08 A61P 25/08 25/18 25/18 25/28 25/28 37/00 37/00 C07K 16/18 C07K 16/18 C12N 1/21 C12N 1/21 C12P 21/02 C 5/10 21/08 15/09 ZNA C12Q 1/02 C12P 21/02 1/68 A 21/08 G01N 33/15 Z C12Q 1/02 33/50 Z 1/68 33/53 D G01N 33/15 33/566 33/50 A61K 45/00 33/53 37/64 33/566 C12N 5/00 B // A61K 45/00 C (C12N 1/21 15/00 ZNAA C12R 1:19) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:19) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),UA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AU ,BG,BR,CA,CN,CZ,HU,ID,IL, IN,JP,KR,MX,NO,NZ,PL,RO,S G,SI,SK,UA,US,VN,ZA (注)この公表は、国際事務局(WIPO)により国際公開された公報を基に作 成したものである。 なおこの公表に係る日本語特許出願(日本語実用新案登録出願)の国際公開の 効果は、特許法第184条の10第1項(実用新案法第48条の13第2項)に より生ずるものであり、本掲載とは関係ありません。

Claims (39)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号10〜16のいずれか1つに記載のアミノ酸配列から選
    ばれるアミノ酸配列からなるポリペプチド。
  2. 【請求項2】 配列番号14〜16のいずれか1つに記載のアミノ酸配列から選
    ばれるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加された
    アミノ酸配列からなり、かつc−Jun N−terminal kinase
    3(JNK3)と結合することのできるポリペプチド。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のポリペプチドをコードするDNA。
  4. 【請求項4】 配列番号2〜8のいずれか1つに記載の塩基配列から選ばれる塩
    基配列からなるDNA。
  5. 【請求項5】 配列番号6〜8のいずれか1つに記載の塩基配列からなるDNA
    とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつc−Jun N−ter
    minal kinase 3(JNK3)と結合することのできるポリペプチ
    ドをコードするDNA。
  6. 【請求項6】 請求項3〜5のいずれか1項に記載のDNAをベクターに組み込
    んで得られる組換え体DNA。
  7. 【請求項7】 組換え体DNAが、プラスミドpcDNA3−S−JSAP1b
    、pcDNA3−S−JSAP1c、pcDNA3−S−JSAP4、pGAD
    10−JSAP5およびpcDNA3−His−S−JSAP5から選ばれる組
    換え体DNAである、請求項6記載の組換え体DNA。
  8. 【請求項8】 請求項6または7記載の組換え体DNAを保有する形質転換体。
  9. 【請求項9】 形質転換体が、微生物、動物細胞、植物細胞および昆虫細胞から
    選ばれる形質転換体である、請求項8記載の形質転換体。
  10. 【請求項10】 微生物が、Escherichia属に属する微生物である、
    請求項9記載の形質転換体。
  11. 【請求項11】 Escherichia属に属する微生物が、Escheri
    chia coli JSAP1b/pcDNA3(FERM BP−6567
    )、Escherichia coli JSAP1c/pcDNA3(FER
    M BP−6568)、Escherichia coli JSAP4/pc
    DNA3(FERM BP−6569)、Escherichia coli
    JSAP5/pGAD10(FERM BP−6570)およびEscheri
    chia coli JSAP5/pcDNA3(FERM BP−6928)
    から選ばれる微生物である、請求項10記載の形質転換体。
  12. 【請求項12】 請求項8〜11のいずれか1項に記載の形質転換体を培地に培
    養し、培養物中に請求項1または2記載のポリペプチドを生成蓄積させ、該培養
    物から該ポリペプチドを採取することを特徴とする、請求項1または2記載のポ
    リペプチドの製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項3〜5および配列番号5記載の塩基配列からなるDNA
    のいずれか1項に記載のDNAの有する塩基配列中の連続した5〜60塩基と同
    じ配列を有するオリゴヌクレオチド、該オリゴヌクレオチドと相補的な配列を有
    するオリゴヌクレオチド、およびこれらオリゴヌクレオチドの誘導体オリゴヌク
    レオチドから選ばれるオリゴヌクレオチド。
  14. 【請求項14】 誘導体オリゴヌクレオチドが、オリゴヌクレオチド中のリン酸
    ジエステル結合がホスフォロチオエート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオ
    チド、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3’−P5’ホスフォ
    アミデート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中
    のリボースとリン酸ジエステル結合がペプチド核酸結合に変換された誘導体オリ
    ゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC−5プロピニルウラシル
    で置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC
    −5チアゾールウラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレ
    オチド中のシトシンがC−5プロピニルシトシンで置換された誘導体オリゴヌク
    レオチド、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシン(p
    henoxazine−modified cytosine)で置換された誘
    導体オリゴヌクレオチド、DNA中のリボースが2’−O−プロピルリボースで
    置換された誘導体オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド中のリボースが
    2’−メトキシエトキシリボースで置換された誘導体オリゴヌクレオチドから選
    ばれる誘導体オリゴヌクレオチドである、請求項13記載のオリゴヌクレオチド
  15. 【請求項15】 請求項13または14記載のオリゴヌクレオチドを用い、請求
    項1または2記載のポリペプチドをコードするmRNAを検出する方法。
  16. 【請求項16】 請求項13または14記載のオリゴヌクレオチドを用い、請求
    項1または2記載のポリペプチドの発現を抑制する方法。
  17. 【請求項17】 請求項1または2記載のポリペプチドを認識する抗体。
  18. 【請求項18】 請求項17記載の抗体を用いることを特徴とする、請求項1ま
    たは2記載のポリペプチドの免疫学的検出法。
  19. 【請求項19】 請求項17記載の抗体を用いることを特徴とする、請求項1ま
    たは2記載のポリペプチドの免疫組織染色法。
  20. 【請求項20】 請求項17記載の抗体を含有する、免疫組織染色剤。
  21. 【請求項21】 配列番号9〜16のいずれか1つに記載のアミノ酸配列から選
    ばれるアミノ酸配列からなるポリペプチドまたは配列番号9〜16のいずれか1
    つに記載のアミノ酸配列から選ばれるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が
    欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつc−Jun N−t
    erminal kinase 3(JNK3)と結合することのできるポリペ
    プチド、JNK3および被験試料とを接触させることを特徴とする、該ポリペプ
    チドとJNK3との結合を阻害する活性を有する化合物のスクリーニング方法。
  22. 【請求項22】 配列番号9〜16のいずれか1つに記載のアミノ酸配列から選
    ばれるアミノ酸配列からなるポリペプチドまたは配列番号9〜16のいずれか1
    つに記載のアミノ酸配列から選ばれるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が
    欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつc−Jun N−t
    erminal kinase 3(JNK3)と結合することのできるポリペ
    プチド、活性化されたJNK3および被験試料とを接触させることを特徴とする
    、活性化されたJNK3による、該ポリペプチドのリン酸化を阻害する活性を有
    する化合物のスクリーニング方法。
  23. 【請求項23】 請求項21または22に記載の方法により得られる化合物また
    はその薬理学的に許容される塩。
  24. 【請求項24】 配列番号9〜16のいずれか1つに記載のアミノ酸配列から選
    ばれるアミノ酸配列からなるポリペプチドまたは配列番号9〜16のいずれか1
    つに記載のアミノ酸配列から選ばれるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が
    欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつc−Jun N−t
    erminal kinase 3(JNK3)と結合することのできるポリペ
    プチドを発現する細胞と被験試料とを接触させることを特徴とする、該ポリペプ
    チドをコードする遺伝子の発現を変動させる化合物のスクリーニング方法。
  25. 【請求項25】 遺伝子の発現を変動を請求項15記載の方法を用い検出するこ
    とを特徴とする、請求項24記載のスクリーニング方法。
  26. 【請求項26】 ポリペプチドを請求項18記載の方法を用い検出することを特
    徴とする、請求項24記載のスクリーニング方法。
  27. 【請求項27】 請求項24〜26のいずれか1項に記載の方法により得られる
    化合物またはその薬理学的に許容される塩。
  28. 【請求項28】 配列番号9〜16のいずれか1つに記載のアミノ酸配列から選
    ばれるアミノ酸配列からなるポリペプチドまたは配列番号9〜16のいずれか1
    つに記載のアミノ酸配列から選ばれるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が
    欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつc−Jun N−t
    erminal kinase 3(JNK3)と結合することのできるポリペ
    プチドとJNK3との結合阻害剤。
  29. 【請求項29】 活性化されたJNK3による、配列番号9〜16のいずれか1
    つに記載のアミノ酸配列から選ばれるアミノ酸配列からなるポリペプチドまたは
    配列番号9〜16のいずれか1つに記載のアミノ酸配列から選ばれるアミノ酸配
    列において1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列から
    なり、かつc−Jun N−terminal kinase 3(JNK3)
    と結合することのできるポリペプチドのリン酸化阻害剤。
  30. 【請求項30】 請求項1または2記載のポリペプチドを含有する、アルツハイ
    マー病、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症等の神経変性疾患、筋
    萎縮性側索硬化症等の筋萎縮性疾患、虚血性疾患、脳卒中時の脳障害、精神分裂
    病、うつ病、てんかん、各種免疫、炎症性疾患の予防薬。
  31. 【請求項31】 請求項1または2記載のポリペプチドを含有する、アルツハイ
    マー病、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症等の神経変性疾患、筋
    萎縮性側索硬化症等の筋萎縮性疾患、虚血性疾患、脳卒中時の脳障害、精神分裂
    病、うつ病、てんかん、各種免疫、炎症性疾患の治療薬。
  32. 【請求項32】 請求項13または14記載のオリゴヌクレオチドを含有する、
    アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症等の神経変
    性疾患、筋萎縮性側索硬化症等の筋萎縮性疾患、虚血性疾患、脳卒中時の脳障害
    、精神分裂病、うつ病、てんかん、各種免疫、炎症性疾患の予防薬。
  33. 【請求項33】 請求項13または14記載のオリゴヌクレオチドを含有する、
    アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症等の神経変
    性疾患、筋萎縮性側索硬化症等の筋萎縮性疾患、虚血性疾患、脳卒中時の脳障害
    、精神分裂病、うつ病、てんかん、各種免疫、炎症性疾患の治療薬。
  34. 【請求項34】 請求項17記載の抗体を含有する、アルツハイマー病、パーキ
    ンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症等の神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化
    症等の筋萎縮性疾患、虚血性疾患、脳卒中時の脳障害、精神分裂病、うつ病、て
    んん、各種免疫、炎症性疾患の予防薬。
  35. 【請求項35】 請求項17記載の抗体を含有する、アルツハイマー病、パーキ
    ンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症等の神経変性疾患、筋萎縮性側索硬化
    症等の筋萎縮性疾患、虚血性疾患、脳卒中時の脳障害、精神分裂病、うつ病、て
    んかん、各種免疫、炎症性疾患の治療薬。
  36. 【請求項36】 請求項1または2記載のポリペプチドをコードする遺伝子の転
    写を司るプロモーターDNA。
  37. 【請求項37】 請求項36記載のプロモーターDNAおよび該プロモーターD
    NAの下流に連結させたレポーター遺伝子を含有するプラスミドを保有する形質
    転換体と被験試料とを接触させ、該レポーター遺伝子の翻訳産物含量を測定する
    ことを特徴とする、該プロモーターによる転写の効率を変動させる化合物のスク
    リーニング法。
  38. 【請求項38】 レポーター遺伝子が、クロラムフェニコール・アセチルトラン
    スフェラーゼ遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子およ
    びグリーン・フルオレッセント・プロテイン遺伝子から選ばれる遺伝子である、
    請求項37記載のスクリーニング方法。
  39. 【請求項39】 請求項37または38記載の方法により得られる化合物または
    その薬理学的に許容される塩。
JP2000-583958A 1998-11-24 1999-11-19 新規ポリペプチド Pending JPWO2000031132A1 (ja)

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