明細書 積層体 ぐ技術分野 >
本発明は、 特定の合成樹脂よりなる樹脂基材の表面に、 コーティング組成物の 硬化物層が形成された積層体であって、 該硬化物層が密着性、 耐擦傷性、 及び、 耐薬品性、 耐温水性、 耐熱性、 耐候性等の耐久性に優れ、 樹脂基材と硬化物層と の間で干渉縞が生じにくい積層体に関するものである。
<背景技術 >
合成樹脂レンズは、 軽さ、 安全性、 易加工性、 ファッション性などガラスレン ズにない特徴を有し、 近年急速に普及してきた。 このような合成樹脂レンズとし ては、 一般に、 ジエチレングリコールビスァリルカーボネート樹脂製のものが広 く使用されていたが、 屈折率が 1 . 5 0以上とガラスより低く、 レンズの外周が 厚くなるという欠点がある。 このため、 最近では、 合成樹脂レンズの高屈折率化 により、 レンズの薄型化が図られている。
—方、 合成樹脂レンズは、 傷が付き易いという欠点があるため、 一般に、 合成 樹脂レンズ表面には、 シリコーン系コート膜が施されている。 このシリコーン系 コート膜は、 例えば、 シリカ微粒子、 重合性を有する有機シラン化合物、 重合触 媒、 酸水溶液、 及び溶媒を主成分とするコーティング組成物を合成樹脂レンズ表 面に塗布し、 加熱することにより、 該組成物を硬化させ且つ溶媒を揮発させるこ とにより形成されている (特公昭 5 7— 2 7 3 5号公報参照) 。
しかしながら、 屈折率が 1 . 5 4以上の高屈折率合成樹脂レンズを用いた場合、 上記のようなコーティング組成物を用いてコート膜を形成したときには、 合成樹 脂レンズとコー卜膜との屈折率の差によリ干渉縞が発生し、 外観不良を生じさせ るという問題があリ、 その改善が求められている。
この問題を解決するために、 高屈折率のハードコ一ト層を形成するコーティン グ組成物が種々提案されており、 例えば、 上記のコーティング組成物中に配合さ れているシリカ微粒子を、 屈折率の高い各種の複合金属酸化物に置き換えたコー
ティング組成物、 具体的には、 以下のようなコーティング組成物が提案されてい る。
(1 ) A l、 S n、 S b、 T aまたは C eから選択された少なくとも 1種の金 属を含む金属酸化物もしくは複合酸化物の微粒子を、 シリ力微粒子の代わりに用 いたコーティング組成物 (特開平 8— 31 1 408号公報)
(2) S b、 S iまたは A Iを含む複合酸化物の微粒子を、 シリカ微粒子の代 わりに用いたコーティング組成物 (特公平 8— 22997号公報)
(3) T i 、 S b、 C e、 S n、 Wまたは F eから選択された少なくとも 1種 の金属を含む金属酸化物もしくは複合金属酸化物の微粒子を、 シリカ微粒子の代 わりに用いたコ一ティング組成物 (特許第 28821 8 1号明細書)
(4) T i と S bとを含む複合金属酸化物の微粒子を、 シリカ微粒子の代わり に用いたにコーティング組成物 (特開平 2002— 363442号公報) しかしながら、 (1 ) の酸化物微粒子を用いたコーティング組成物は、 ェポキ シ化合物を併用することが必須であり、 このため、 水分に対する感度が低いもの の、 膜 (該コーティング組成物の硬化物) の擦傷性の低下 (特に、 経時とともに 擦傷性が低下する) という問題がある。 また、 (2) 〜 (4) のコーティング組 成物では、 擦傷性は高いものの、 膜が硬く、 膜の耐熱ショック性が低いという問 題がある。 さらに、 (1 ) 、 (2) 及び (4) のコーティング組成物では、 S b 酸化物や T i酸化物を含有している場合において、 水分に対する感度が高いため に膜が白化 (白濁) するという現象や、 耐候性が低く、 光照射下に長時間保持さ れたときに、 膜と合成樹脂レンズとの密着性が低下するといつた問題が生じる。 なお、 以下、 シリカ微粒子単体よりも屈折率の高い金属酸化物を用いたコーテ ィング組成物を高屈折率コーティング組成物という。
<発明の開示 >
そこで、 本発明は、 合成樹脂レンズなどの樹脂基材の表面に、 コーティング組 成物の硬化物層が形成された積層体であって、 水分の影響による硬化物層 (コー ト膜) の白化が有効に抑制され、 また熱ショックを加えても硬化物層にクラック が入ることがなく、 更には、 耐候性に優れ、 光照射下に長時間保持された場合に おいても、 硬化物層と樹脂基材との密着性が初期と同様に高いレベルに保持され
ている積層体を提供することを目的とする。 本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。 その結果、 五酸化アン チモンゾル、 特定の構造を有するゲイ素化合物またはその加水分解物、 エポキシ 基含有ゲイ素化合物またはその加水分解物、 有機溶媒及びァセチルァセトナート 錯体を含むコーティング組成物を使用し、 特定の合成樹脂よリなる基材の表面に 該コーティング組成物の硬化物層を形成させるときには、 水分の影響による硬化 物層の白化が有効に抑制され (水分に対する感度が低い) 、 透明性、 密着性、 擦 傷性、 耐候性、 耐熱ショック性に優れた積層体が得られること (特に、 水分に対 する感度や耐熱ショック性に関しては、 従来技術と比較して大幅に改良されるこ と) を見出し、 本発明を完成させるに至った。
本発明によれば、 樹脂基材の表面にコーティング組成物の硬化物層が形成され た積層体において、
前記コーティング組成物が、 下記 (A) 〜 (E) 成分を含有し、
(A) 五酸化アンチモンゾル;
(B) 下記一般式 (1 ) または下記一般式 (2) :
R1 R2 a S i (OR3) 3-a … ( 1 )
式中、 R1は、 炭素数 6~30のアルキル基または炭素数 6〜30の アルケニル基、
R2は、 炭素数 5以下のアルキル基、 炭素数 5以下のシクロア ルキル基、 炭素数 5以下のアルケニル基、 又はァリール基、 R3は、 水素原子又は炭素数 1〜 4のアルキル基であり、 aは、 0〜 2の整数である、
X [S i R5 b (OR6) 3— b] 2 … (2)
式中、 R5は、 炭素数 5以下のアルキル基、 炭素数 5以下のシクロア ルキル基、 炭素数 5以下のアルケニル基、 又はァリール基、 R6は、 水素原子又は炭素数 1〜 4のアルキル基、
Xは、 2価の有機残基又は酸素原子であり、
bは、 0~ 2の整数である、
で示される化合物及びこれらの加水分解物からなる群から選ばれる少なくとも
1種のゲイ素化合物;
( C ) エポキシ基含有ゲイ素化合物または加水分解物;
( D ) 有機溶剤;及び
( E ) ァセチルァセトナート錯体;
前記樹脂基材が、 (メタ) アクリル樹脂、 ァリル樹脂又はエポキシ樹脂からな ることを特徴とする積層体が提供される。
本発明の積層体は、 上記の (A ) 〜 (E ) 成分を含むコーティング組成物の硬 化物層が、 特定の樹脂 (即ち、 (メタ) アクリル樹脂、 ァリル樹脂又はエポキシ 樹脂) からなる基材表面に形成されているため、 水分に対する感度が低く、 しか も耐候性に優れているという特性を有している。 例えば、 高湿度下でコーティン グ組成物を塗布し或いは吸水した状態でコーティング組成物を樹脂基材の表面に 塗布する場合にも、 白濁のない透明な硬化物層が得られる。 また、 後述する実施 例にも示されているように、 長時間(2 0 0時間)の劣化促進試験後においても、 硬化物層と樹脂基材との間の密着性低下を生ぜず、 高い密着性が保持される。 こ のように、 水分に対する感度と耐候性の両方に関して、 本発明の積層体は極めて 優れている。
例えば、 上記のような特定の樹脂基材を用いたとしても、 他の組成のコーティ ング組成物を用いて硬化物層を形成した場合には、 水分に対する感度は低く、 水 分の影響による硬化物層の自濁等は生じないが、 耐候性が悪く、 劣化促進試験後 では、 硬化物層と樹脂基材との密着性が大きく低下してしまう。 また、 (A ) 〜 ( E ) 成分を含むコーティング組成物を用いたとしても、 上記の特定の樹脂以外 からなる樹脂基材、 例えばポリカーボネート樹脂基材を用いた場合には、 樹脂基 材自体に白濁を生じてしまう。 (おそらく、 (C ) 成分であるエポキシ基含有ケ ィ素化合物またはその加水分解物とポリカーボネート樹脂基材との接触によって、 ポリカーボネート樹脂基材の表面が溶解してしまうためであると思われる。 ) ま た、 耐溶剤性、 耐擦傷性、 密着性も不十分となり、 プラスチックレンズとして使 用するには不適当である。
尚、 本発明において、 積層体の白濁(或いは白化)の有無は、 硬化物層の層方向 に沿って積層体に光を照射することにより目視で観察される。 硬化物層の層方向 に対して垂直方向に光を照射したのでは、 白濁層が非常に薄いものであるため、
白濁層を透過する光の光路が極端に短く、 日視では白濁はほとんど観察すること ができないからである。
このように、 本発明の積層体は、 水分に対する感度特性と耐候性との両方に優 れており、 透明性、 密着性、 擦傷性などの優れた特性が長期間にわたって保持さ れ、 特にプラスチックレンズとして、 その工業的価値は高い。
<発明を実施するための最良の形態 >
[コーティング組成物]
本発明の積層体を製造するために使用されるコーティング組成物は、 以下の ( A ) 〜 (E ) 成分を含有する。
( A ) 成分
本発明で用いるコーティング組成物における (A ) 成分は、 五酸化アンチモン ゾルである。 この成分は、 通常、 水、 アルコール系もしくは他の有機溶剤を分散 媒としてコロイド状に分散させて使用される。
五酸化アンチモンゾルの分散媒としては、 メタノール、 エタノール、 n—プロ パノール、 イソプロパノール、 t一ブチルアルコール、 n—ブチルアルコールな どのアルコール系有機溶媒が好ましく、 特にメタノール、 2—プロパノールが好 ましい。
また、 この時の分散媒中に占める五酸化アンチモンゾルの比率は、 コーティン グ組成物の硬化物層 (コート膜) の屈折率を高くするため、 及び分散媒中におい て五酸化アンチモンゾルが不安定になることを防止するために、 1 0〜5 0質 量%が好ましい。
さらに、 五酸化アンチモンゾルの分散媒中、 更にはコーティング組成物中での 五酸化アンチモンゾルの分散安定性を高めるために、 五酸化アンチモンゾルの表 面をァミン系化合物及ぴノ又はカルボン酸で処理したものを使用することも可能 である。 このようなアミン系化合物としては、 ェチルァミン、 卜リエチルァミン、 イソプロピルァミン、 n—プロピルァミン、 ジメチルァミン、 ジェチルァミン、 ジィソプロピルァミン、 ジプロピルァミン等のアルキルァミンもしくはアルキル アンモニゥム;ベンジルァミン等のァラルキルァミン; モルホリン、 ピぺリジン 等の脂環式ァミン; モノエタノールァミン、 ジエタノールァミン、 トリエタノー
ルァミン、 イソプロパノールァミン等のアルカノールァミン; を挙げることがで きる。 またカルボン酸としては、 酢酸、 シユウ酸、 乳酸、 リンゴ酸、 クェン酸、 酒石酸、 サリチル酸、 グリコール酸、 安息香酸、 フタル酸、 マロン酸、 マンデル 酸などを挙げることができる。 これらアミン系化合物とカルボン酸の添加量は、 五酸化アンチモンゾルに対して 0 . 0 1〜 5質量%程度の範囲内で添加すること ができる。
用いる五酸化アンチモンゾルの粒子径は特に限定されないが、 得られる硬化物 層の透明性を損なわないためには、 その平均粒子径は 1〜 3 0 0 n mであるのが 好適である。
また、 五酸化アンチモンゾルを分散媒に分散させて用いるときには、 五酸化ァ ンチモンゾルの分散性の低下による分散液の透過率減少を防ぎ、 五酸化アンチモ ンゾルの分散安定性の低下によるコーティング組成物の保存安定性の低下を防止 するために、 分散液の p Hは 4 . 0〜9 . 5であることが好ましい。
本発明で用いるコーティング組成物における五酸化アンチモンゾルの配合量は、 最終的に得られる硬化物層 (コート膜) の目的に応じ所望の物性等により適宜決 定すればよく、 後述する (B ) 成分と (C ) 成分の合計量 1 0 0質量部に対し 2 5〜2 5 0質量部、 さらに 4 0〜 2 0 0質量部であることが好ましい。 五酸化ァ ンチモンゾルの上記基準での配合量が 2 5質量部未満では、 硬化物層の耐擦傷性、 或いは硬化物層上に必要によリ形成される無機蒸着膜との密着性、 及び硬化物層 の屈折率等が不十分となリ、 2 5 0質量部を超えると硬化物層にクラックが生じ る傾向がある。
( B ) 成分
コーティング組成物における (B ) 成分としては、 下記一般式 (1 ) :
R 1 R 2 a S i ( O R 3 ) 。― a … (1 )
式中、 R 1は、 炭素数 6 ~ 3 0のアルキル基または炭素数 6〜 3 0の アルケニル基、
R 2は、 炭素数 5以下のアルキル基、 炭素数 5以下のシクロア ルキル基、 炭素数 5以下のアルケニル基、 又はァリール基、
R 3は、 水素原子又は炭素数 1〜 4のアルキル基であり、
aは、 0〜 2の整数である、
で表されるゲイ素化合物、 下記一般式 (2 ) :
X [ S i R 5 b ( O R 6 ) 3一 b ] 2 … ( 2 )
式中、 R 5は、 炭素数 1〜5のアルキル基、 炭素数 1〜5のシクロア ルキル基、 炭素数 1 ~ 5のアルケニル基、 又はァリール基、
R 6は、 水素原子又は炭素数 1 ~ 4のアルキル基、
Xは、 2価の有機残基又は酸素原子であり、
bは、 0〜 2の整数である、
で示されるゲイ素化合物、 及びこれらの加水分解物からなる群から選ばれる少な くとも 1種のゲイ素化合物が使用される。
前記一般式 (' 1 ) 中の基 R 1は、 炭素数 6〜 3 0のアルキル基又は炭素数 6〜 3 0のアルケニル基であり、 具体的にはアルキル基として、 へキシル基、 へプチ ル基、 ォクチル基、 デシル基、 ドデシル基、 ォクタデシル基を挙げることができ、 アルケニル基として、 ォクテニル基、 ドコセ二ル基等を挙げることができる。 こ れらのアルキル基及びアルケニル基は、 置換基を有していてもよく、 このような 置換基としては、 塩素、 臭素、 フッ素等のハロゲン原子; ァクリロイルォキシ基、 メタクリロイルォキシ基、 ァリル基、 ァリロキシ基、 アルデヒド基、 アミノ基等 を挙げることができる。 尚、 これらのアルケニル基及びアルケニル基が置換基を 有している場合、 その炭素数は、 置換基を含めて上述した範囲 (6 ~ 3 0 ) にあ ることが必要である (以下で例示する基についても同様) 。
また、 一般式 (1 ) 中の基 R 2は、 炭素数 5以下のアルキル基、 炭素数 5以下 のシクロアルキル基、 炭素数 5以下のアルケニル基、 又はァリール基である。 具 体的には、 メチル基、 ェチル基、 プロピル基、 イソプロピル基、 ブチル基、 ヘプ チル基等のアルキル基; シクロプロピル基、 シクロブチル基、 シクロペンチル基 等のシクロアルキル基; プロぺニル基、 1ーブテニル基等のアルケニル基; ベン ジル基、 ナフチル基等のァリール基; を例示することができる。 また、 これらの 基は置換基を有していてもよく、 例えば、 クロロメチル基、 ブロモェチル基、 ジ クロ口プロピル基等のハロゲン化アルキル基を例示することができる。
一般式 (1 ) 中の基 R 3は、 水素原子又は炭素数 1〜 4のアルキル基であり、 該アルキル基を具体的に例示すれば、 メチル基、 ェチル基、 プロピル基、 イソプ
口ピル基、 ブチル基等を挙げることができ、 これらのアルキル基も前述した置換 基を有していてもよい。
さらに、 一般式 (1 ) 中の aは、 0〜 2の整数であるが、 高硬度の膜 (硬化物 層) を得るという観点から 0もしくは 1であることが好ましい。
上述した一般式 (1 ) で示されるゲイ素化合物の具体例としては、 n—へキシ ルトリメ トキシシラン、 n —へキシルトリエトキシシラン、 n—へキシルメチル ジメ トキシシラン、 n—ォクチルトリメ トキシシラン、 n—ォクチルトリエトキ シシラン、 n—ォクチルメチルジメ トキシシラン、 n—ォクチルジメチルメ トキ シシラン、 n—ォクチルメチルジェトキシシラン、 n—デシルトリメ トキシシラ ン、 n—デシルトリエトキシシラン、 n—ドデシル卜リメ トキシシラン、 n —ド デシルトリエトキシシラン、 n—へキサデシルトリメ トキシシラン、 n—へキサ デシルトリエトキシシラン、 n—才クタデシルトリメ トキシシラン、 n—ォクタ デシルトリエトキシシラン、 n—ォクタデシルメチルジメ トキシシラン、 n—才 クタデシルメチルジェ卜キシシラン、 n—才クタデシルジメチルメ トキシシラン、 イソォクチルトリメ トキシシラン、 7 —ォクテニルトリメ トキシシラン、 1 0— ゥンデセニルトリメ トキシシラン、 ァリルォキシゥンデシルトリメ 卜キシシラン、 ドコセニル卜リエトキシシラン、 トリエトキシシリルゥンデカナル等を挙げるこ とができる。 また、 前記一般式 (2 ) 中の bは 0 ~ 2の整数であるが、 高硬度の膜 (硬化物 層) を得るという観点から 0もしくは 1であることが好ましい。
一般式 (2 ) 中の基 R 5は、 アルキル基、 シクロアルキル基、 アルケニル基 (何れも炭素数 5以下である) 、 又はァリール基であり、 前記一般式 (1 ) 中の 基 R 2と同義である。
一般式 (2 ) 中の基 R 6は、 水素原子又は炭素数 1〜 4のアルキル基であり、 前記一般式 (1 ) 中の基 R 3と同義である。
一般式 (2 ) 中の Xは、 2価の有機残基又は酸素原子である。 当該有機残基の 構造は特に限定されるものではなく、 1つ以上のアルコキシ基を有するゲイ素原 子が 2個結合可能な基であればよく、 例えば、 その構造中に、 エーテル結合、 ェ ステル結合、 アミド結合、 ァミノ結合、 ウレタン結合、 チォエーテル結合、 スル
ホニル結合等の炭素一炭素結合以外の結合を有していてもよく、 さらにはォキサ 基 (ケトン炭素) が含まれていてもよい。 このような 2価の有機残基 Xの具体例 としては、 メチレン基、 エチレン基、 プロピレン基、 トリメチレン基、 ブチレン 基等の炭素数 1 〜 1 5のアルキレン基; あるいは下記式で表される基、 並びにこ れらの基に、 フッ素原子、 塩素原子、 臭素原子等のハロゲン原子; メチル基、 ェ チル基等のアルキル基; メ 卜キシ基、 エトキシ基、 プロポキシ基等のアルコキシ 基; ヒドロキシル基、 アミノ基、 メルカプト基等が置換基として結合している基 を挙げることができる。 (尚、 下記式中の m、 nおよび Iは、 それぞれ 0〜 1 0 の整数である。 )
2
2 NHC?HC
前記一般式 (2 ) で示されるケィ素化合物の具体例としては、 以下の式で表さ れるものを挙げることができる。
(H3CH2CC))3Si CH2CHゥ CH2OCH2
、 'し Hg
、.c
fH
3CH
2CO)
3Si CH
2CH
2CH
2OCH
2 'CH
2OH
(H3CH2CO)3Si— ~ CH2CH2CH2— S S CH2CH2CH2— Si(OCH2CH3)3
(H3CO)3Si CH2CH2CH2NHCH2t:H2N CH2CH2NHCH2CH2CH2— Si(OCH3)3
本発明において、 上述した一般式 (1 ) 或いは (2 ) で表される化合物は、 そ れぞれ単独若しくは 2種以上を組み合わせ、 或いは加水分解物の形で (B ) 成分 として使用されるが、 特に耐熱ショック性及び耐擦傷性の観点から、 上記で例示 した化合物の中でも、 n—へキシルトリメトキシシラン、 n—ォクチルトリメト キシシラン、 n—才クチルメチルジメトキシシラン、 n—デシルトリメ トキシシ ラン、 n—ォクタデシルトリメ トキシシラン、 n—ォクタデシルトリエ卜キシシ ラン、 1 0—ゥンデセニルトリメトキシシラン、 ァリルォキシゥンデシルトリメ トキシシラン、 トリエトキシシリルゥンデカナル、 下記式で表される化合物及び これらの加水分解物が好適である。
(n
3CH
2CO)
3Si~ ~C~ ~Si(OCH
2CH
(H
3CH
2CO)
3Si CH
2CH
2CH
2— S S CH
2CH
2CH
2— Si(OCH
2CH
3)
3
(H3CO)3Si CH2CH2CH2
NH
(H3CO)3Si H2CH2CH2
(H3CO)3S; CH2CH2CH2NHCH2CH2NHCH2CH2NHCH2CH2CH2— Si(OCH3)3 尚、 加水分解物は、 一部が加水分解し、 或いは全部が加水分解したものであつ てもよいし、 或いは加水分解から部分的に縮合まで進行したものであってもよい。
本発明で用いるコーティング組成物中における (B ) 成分の配合量は、 最終的 に得られる硬化物層 (コート膜) の目的に応じて望まれる物性等により適宜決定 すればよく、 最終的に形成される硬化物層 (コート膜) 1 0 0質量部に対し 1〜 3 0質量部、 さらに 5〜2 0質量部であることが好ましい。 (B ) 成分の配合量 が 1質量部未満では、 熱ショック試験を実施した際にコー卜膜にクラックが生じ る傾向があり、 3 0質量部を超えると耐擦傷性が不十分になる傾向がある。 なお、 最終的に形成される硬化物層 (コート膜) の質量は、 (A ) 成分、 ( B ) 成分及び後述する (C ) 成分、 さらに必要に応じて配合される (A ) 、
( B ) 及び (C ) 以外の固形物成分 (例えば、 (B ) 及び (C ) 以外の有機ゲイ 素化合物やエポキシ化合物の重合体及び縮合体) の質量の合計からなるものであ リ、 コーティング組成物に添加しているメタノールなどの有機溶媒 (後述する
( D ) 成分) は、 硬化物層形成中に揮発し、 最終的に得られる硬化物層には、 残 存していないので、 硬化物層 (コート膜) の質量には含まれない。
( C ) 成分
コーティング組成物中の本発明における (C ) 成分は、 エポキシ基含有ゲイ素 化合物であり、 エポキシ基を含有している限り、 公知のゲイ素化合物、 或いはそ の加水分解物を何ら制限なく使用することができる。 その具体例としては、 r— グリシドキシプロビルトリメ トキシシラン、 r—グリシドキシプロピルメチルジ メ トキシシラン、 rーグリシドキシプロピルメチルジェトキシシラン、 r—グリ シドキシプロビルトリエ卜キシシラン、 ー (3 , 4—エポキシシクロへキシ ル) ェチルトリメ トキシシラン及びこれらの加水分解物を挙げることができる。 尚、 加水分解物は、 一部が加水分解し或いは全部が加水分解したものであっても よいし、 或いは加水分解から部分的に縮合まで進行したものであってもよい。 本発明においては、 架橋性、 樹脂基材との密着性の観点から、 rーグリシドキ シプロビルトリメ 卜キシシラン、 : —グリシドキシプロピルメチルジメ トキシシ ラン及びこれらの加水分解物が好適である。 なお、 エポキシ基含有ゲイ素化合物 は 1種のみを使用しても 2種類以上のものを併用してもよい。
本発明においては、 コ一ティング組成物中の (C ) 成分の配合量は、 最終的に 得られる硬化物層 (コート膜) の目的に応じて望まれる物性等により適宜決定す
れぱよく、 例えば、 (B ) 成分と同様、 最終的に形成される硬化物層 1 0 0質量 部に対し 2 9〜7 9質量部、 さらに 3 0〜 6 5質量部であることが好ましい。
( C ) 成分の配合量が 2 9質量部未満では、 熱ショック試験を実施した際に硬化 物層 (コート膜) にクラックが生じる傾向があり、 7 9質量部を超えると耐擦傷 性、 硬化物層と必要により硬化物層上に形成される無機蒸着膜との密着性、 及び 硬化物層の屈折率等が不十分になる傾向がある。
また、 本発明においては、 水分に対する感度を低減させ、 透明性、 耐候性、 密 着性等の各種特性に優れた積層体を形成させるために、 前述した (B ) 成分と
( C ) 成分とを、 質量比 (B Z C ) が 0 . 0 1 ~ 1、 特に 0 . 0 2〜0 . 5の範 囲となるような量で使用することが最も好適である。
( D ) 成分
本発明で用いるコーティング組成物において、 (D ) 成分は、 有機溶媒であり、 前記の (B ) 成分及び (C ) 成分、 必要に応じ配合される (B ) 成分及び (C ) 成分以外の有機ケィ素合物及びエポキシ化合物を溶解し、 前記五酸化アンチモン ゾル ( (A ) 成分) を良好に分散させ得る溶媒であって、 揮発性を有するもので あれば公知の有機溶媒を何ら制限なく使用することができる。
このような有機溶媒を例示すれば、 メタノール、 エタノール、 n—プロパノー ル、 イソプロパノール、 n—ブタノール、 tーブタノール、 n—ペンタノ一ルな どのアルコール類;酢酸メチル、 酢酸ェチル、 酢酸プロピル、 プロピオン酸ェチ ル、 ァセト酢酸メチル、 ァセト酢酸ェチル、 乳酸ェチルなどのエステル類; ェチ レングリコールモノイソプロピルエーテル、 エチレングリコールモノェチルエー テル、 エチレングリコールモノー n—プロピルエーテル、 エチレングリコ一ルモ ノー n—ブチルエーテル、 エチレングリコールモノ一 t—ブチルエーテル、 プロ ピレングリコールモノメチルエーテル、 プロピレングリコールモノェチルェ一テ ル、 プロピレングリコールモノー n—プロピルエーテル、 プロピレングリコール モノ一 n—ブチルエーテル、 プロピレングリコールモノメチルエーテルァセテ一 ト、 プロピレングリコールモノェチルエーテルアセテート、 ジォキサンなどのェ 一テル類; アセトン、 ァセチルアセトン、 ジアセトンアルコールなどのケトン 類; メチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素; へキサン、 ヘプタン、 シク
口へキサン、 ベンゼン、 トルエン、 キシレンなどの炭化水素類等が挙げられる。 これら有機溶媒は、 単独で使用してもかまわないが、 コーティング組成物の物性 を制御する目的のために 2種以上を混合して用いるのが好ましい。
本発明においては、 上述した有機溶媒の中でも、 (B) 成分、 (C) 成分、 並 びに、 (B) 成分及び (C) 成分以外の有機ゲイ素化合物を加水分解する目的で 使用される酸水溶液に対する溶解性、 硬化物層 (コート膜) 形成時の容易な揮発 性、 更には硬化物層形成時の平滑性という観点から、 メタノール、 イソプロパノ ール、 t—ブタノール、 ァセチルアセトン、 ジアセトンアルコール、 エチレング リコールモノィソプロピルエーテルなどを使用するのが好適である。
このような有機溶媒の使用量は特に限定されないが、 通常、 前記 (B) 成分と (C) 成分の合計量 1 00質量部に対し、 1 00〜2500質量部、 特に 1 40 〜 1 500質量部の範囲が好適に使用される。 尚、 前述した (A) 成分の五酸化 アンチモンゾルの分散媒としてアルコール等が使用されていた場合には、 このよ うな分散媒の量も、 上記の有機溶媒の量に含まれる。
(E) 成分
コーティング組成物中の (E) 成分はァセチルァセトナート錯体であり、 コー ティング組成物の硬化触媒として使用される。 このようなァセチルァセトナー卜 錯体は、 他の成分に対する溶解性、 コーティング組成物の保存安定性、 得られる 硬化物層 (コート膜) の硬度などの物性を考慮して適宜選択すれば公知の化合物 が何ら制限なく使用することが出来る。 その具体例を示せば、 L i ( I ) 、 Cu (II) 、 Z n (II) 、 Co (II) 、 N i (II) 、 Be (II) 、 Ce (III) 、 T a (III) 、 T i (III) 、 Mr. (Ill) 、 L a (III) 、 C r (III) 、
V (III) 、 Co (III) 、 F e (III) 、 A I (III) 、 Ce (IV) 、 Z r (IV) 、
V (IV) 等を中心金属原子とするァセチルァセトナート錯体を挙げることができ る。 特に好ましくは、 A I (III) 、 F e (III) 、 L i ( I ) を中心金属とする ァセチルァセトナート錯体などを挙げることができる。 またこれらァセチルァセ トナート錯体は、 単独で使用しても 2種以上を混合して使用しても何ら問題はな い。
上記のァセチルァセトナート錯体の添加量は特に制限されないが、 前記 (B)
成分と (C ) 成分の合計量 1 0 0質量部に対して、 0 . 1 ~ 1 5質量部、 特に 0 . 2〜 1 0質量部の範囲であることが好適である。
他の成分
本発明で用いるコーティング組成物においては、 上述した (A ) 〜 (E ) 成分 以外の他の成分が、 必要に応じて配合されていてよい。
例えば、 硬化物層 (コート膜) の耐擦傷性などの特性を向上させるために、 ( B ) 成分及び (C ) 成分の何れにも相当しない有機ゲイ素化合物を添加するこ とができる。 このような他の有機ゲイ素化合物としては、 テ卜ラエトキシシラン、 ビニルトリメ トキシシシラン、 ビニルトリエトキシシラン、 ビニルトリァセトキ シシラン、 メチルトリメ トキシシラン、 メチルトリエトキシシラン、 メチルトリ フエノキシシラン、 ジメチルジメ トキシシラン、 トリメチルメ トキシシラン、 フ ェニルトリメ トキシシラン、 ジフエ二ルジメ トキシシラン、 シクロへキシルメチ ルジメ 卜キシシラン、 n—プロビルトリメ トキシシラン、 n—プチルトリメ トキ シシラン、 イソプチルトリメ トキシシラン、 イソプチルトリエ卜キシシラン、
1, 6—ビストリメ トキシシラン、 3—ウレイドプロピルトリエトキシシラン、 トリフルォロプロビルトリメ トキシシラン、 パーフルォロォクチルェチルトリエ トキシシラン、 T-クロ口プロビルトリメ トキシシラン、 ビニルトリ ( ーメ ト キシーエトキシ) シラン、 ァリルトリメ トキシシラン、 ーァクリロキシプロピ ルトリメ トキシシラン、 T—ァクリロキシプロピルトリエトキシシラン、 —メ タクリロキシプロピルトリメ トキシシラン、 r—メタクリロキシプロピルトリェ トキシシラン、 "τーメタクリロキシプロピルジメ トキシメチルシラン、 r一メル カプトプロピルトリアルコキシシラン、 ·τーァミノプロピル卜リメ トキシシラン、 r—ァミノプロピル卜リエトキシシラン、 N—フエニル一 rーァミノプロビルト リメ トキシシラン、 3—トリエトキシシリル一 N— ( 1 , 3—ジメチル-プチリ デン) プロピルァミン、 N— 2 (アミノエチル) 3—ァミノプロピルトリエトキ シシラン、 N— 2 (アミノエチル) 3—ァミノプロビルトリメ トキシシラン、 N 一 2 (アミノエチル) 3—ァミノプロピルメチルジメ 卜キシシラン、 p—スチリ ルトリメ トキシシラン、 3—イソシァネー卜プロピルトリエトキシシラン等を挙 げることができ、 これらは、 単独で添加することもできるし、 2種以上を添加す ることもできる。 また、 これらの他の有機ゲイ素化合物は、 一般に、 加水分解を
行なってからコーティング組成物中に添加することがより有効である。
本発明において、 このような他の有機ゲイ素化合物中でより好ましいものは、 得られる硬化物層の耐擦傷性を向上させる観点から、 テトラエトキシシラン、 メ チルトリメ トキシシラン、 メチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。 このような他の有機ゲイ素化合物の配合量は、 前記 (B ) 成分と (C ) 成分の 合計量 1 0 0質量部に対し 1 0 0質量部以下であることが好ましい。
また、 本発明で用いるコーティング組成物には、 上記 (B ) 成分及び (C ) 成 分として用いるゲイ素化合物や、 上記の他の有機ゲイ素化合物を加水分解する目 的で、 酸水溶液が配合される。 このような酸水溶液としては、 上記化合物中のァ ルコキシシリル基を加水分解 '縮合させる機能を有する酸の水溶液であれば、 公 知の酸の水溶液が何ら制限無く使用 きる。 この様な酸を例示すれば、 塩酸、 硫 酸、 硝酸、 燐酸等の無機酸、 酢酸、 プロピオン酸等の有機酸が挙げられる。 これ らの中でも、 加水分解性やコーティング組成物の保存安定性の観点から、 塩酸が 好適に使用される。 酸水溶液の濃度は、 0 . 0 1 N ~ 5 Nが好適である。
このような酸水溶液は、 水量が、 重合可能なゲイ素化合物中に含まれる加水分 解されるアルコキシ基に相当する総モル数の 0 . 1倍〜 3倍モルとなるようにコ 一ティング組成物中に配合するのが好適である。
さら 、 コーティング組成物の硬化物層の物性調整等のために、 前述した ( C ) 成分には該当しないエポキシ化合物が、 コーティング組成物中に添加され ていてもよい。 このようなエポキシ化合物 (以下、 他のエポキシ化合物と呼ぶ) は、 エポキシ基を有しているが、 (C ) 成分とは異なり、 シリル基を有していな いものであり、 その具体例としては、 1, 6—へキサンジオールジグリシジルェ 一テル、 エチレングリコールジグリシジルエーテル、 ジエチレングリコールジグ リシジルエーテル、 トリエチレングリコ一ルジグリシジルエーテル、 テトラェチ レングリコールジグリシジルエーテル、 ノナエチレングリコールジグリシジルェ 一テル、 プロピレングリコールジグリシジルエーテル、 ジプロピレングリコール ジグリシジルエーテル、 トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、 テト ラプロピレングリコールジグリシジルエーテル、 ノナプロピレングリコールジグ リシジルエーテル、 ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、 ネオペンチ ルグリコールヒドロキシヒバリン酸エステルのジグリシジルエーテル、 トリメチ
ロールプロパンジグリシジルエーテル、 トリメチロールプロパントリグリシジル エーテル、 グリセロールジグリシジルエーテル、 グリセロールトリグリシジルェ 一テル、 ジグリセロールジグリシジルエーテル、 ジグリセロールトリグリシジル エーテル、 ジグリセロールテトラグリシジルエーテル、 ペンタエリスリ ! -ールジ グリシジルエーテル、 ペンタエリスリ ( ^一ルトリグリシジルエーテル、 ペンタエ リスリ I ^一ルテトラグリシジルェ一テル、 ジペンタエリスリ I ^一ルテトラグリシ ジルエーテル、 ソルビ! ^一ルテトラグリシジルエーテル、 トリス (2—ヒドロキ シェチル) イソシァヌレートのジグリシジルエーテル、 トリス (2—ヒドロキシ ェチル) ィソシァヌレー卜のトリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合 物;イソホロンジオールジグリシジルェ一テル、 ビス一 2, 2—ヒドロキシシク 口へキシルプロパンジグリシジルエーテル等の脂環族エポキシ化合物; レゾルシ ンジグリシジルエーテル、 ビスフエノール Aジグリシジルエーテル、 ビスフエノ —ル Fジグリシジルエーテル、 ビスフエノール Sジグリシジルエーテル、 オルト フタル酸ジグリシジルエステル、 フエノールノボラックポリグリシジルエーテル、 クレゾールノポラックポリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物;等が 挙げられる。
このような他のエポキシ化合物としては、 上記した中でも、 1, 6—へキサン ジオールジグリシジルエーテル、 ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、 トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、 トリメチロールプロパントリグ リシジルェ一テル、 グリセロールジグリシジルェ一テル、 グリセロールトリグリ シジルエーテルが特に好ましい。 これら他のエポキシ化合物は 2種以上混合して 用いてもかまわない。
本発明で用いるコーティング組成物における他のエポキシ化合物の配合量は、 前記 (B ) 成分と (C ) 成分の合計量 (B ) 成分 1 0 0質量部に対し 1 0 0質量 部以下であることが好ましい。
さらに、 前述したァセチルァセトナート錯体以外の硬化触媒 (以下、 他の硬化 触媒と呼ぶ) を併用することもできる。 このような他の硬化触媒としては、 過塩 素酸、 過塩素酸マグネシウム、 過塩素酸アルミニウム、 過塩素酸亜鉛、 過塩素酸 アンモニゥム等の過塩素酸類:酢酸ナトリウム、 ナフテン酸亜鉛、 ナフテン酸コ バルト、 ォクチル酸亜鉛等の有機金属塩;塩化第二錫、 塩化アルミニウム、 塩化
第二鉄、 塩化チタン、 塩化亜鉛、 塩化アンチモン等のルイス酸;等が挙げられる。 これらの他の硬化触媒は、 一般に、 前記ァセチルァセ卜ナ一ト錯体 ( (E ) 成 分) 1 0 0質量部当り、 1 0 0質量部以下の量で使用することができる。
さらには、 コーティング組成物の塗布性及び硬化後の被膜性能を改良するため に、 種々の添加剤を必要により配合することもできる。 このような添加剤として は、 界面活性剤、 帯電防止剤、 紫外線吸収剤、 酸化防止剤、 分散染料、 油溶染料、 蛍光染料、 顏料、 フォトクロミック化合物、 ヒンダードァミン、 ヒンダードフエ ノール等を挙げることができる。 これらの添加剤は、 単独で使用しても 2種以上 を混合して用いることもできる。
[樹脂基材]
本発明においては、 樹脂基材として、 (メタ) アクリル樹脂、 ァリル樹脂又 はエポキシ樹脂からなるものを選択して用いることが極めて重要である。 即ち、 これらの樹脂からなる樹脂基材を選択的に使用し、 かかる樹脂基材の表面に、 前 述した (A ) 〜 (E ) 成分を含むコーティング組成物を用いて硬化物層を形成す ることにより、 後述する実施例に示されているように、 水分に対する感度が低く、 水分の影響による白濁を有効に抑制し、 透明性に優れた積層体を得ることができ、 しかも該積層体は、 耐溶剤性、 耐擦傷性、 耐熱ショック性、 樹脂基材と硬化物層 との密着性に優れ、 さらに、 光照射による劣化促進試験 (耐候性試験) に付した 場合にも優れた密着性を保持しているのである。 ポリカーボネー卜樹脂基材など の他の樹脂基材を用いた場合には、 前述したコーティング組成物を用いたとして も、 得られる積層体は、 水分の影響により白濁して透明度が低いものとなり、 ま た耐溶剤性も悪く、 さらには樹脂基材と硬化物層の密着性も著しく低く、 硬化物 層の耐擦傷性も不十分となる (後述する比較例 3参照) 。
本発明において、 前述した特定の樹脂基材を選択することにより、 上記のよう な優れた特性を有する積層体が得られる理由は、 明確に解明されたわけではない が、 おそらく、 前述したコーティング組成物が、 (メタ) アクリル樹脂基材、 ァ リル樹脂基材或いはエポキシ樹脂基材の表面と化学的もしくは物理的な架橋結合 を形成し、 このため硬化物層と樹脂基材表面との間の密着性が著しく高められ、 しかもこのような架橋結合や、 コーティング組成物中の複合金属酸化物が光や水
分等に対して極めて安定であり、 劣悪な環境下に長時間保持された場合にも架橋 結合が安定に形成されているためではないかと思われる。
また、 本発明において用いるこれらの樹脂基材は、 屈折率が 1 . 5 5以上であ ることが、 コーティング組成物との屈折率の差による干渉縞の発生を防止できる ために好適である。
本発明において、 樹脂基材として用いる (メタ) アクリル樹脂は、 (メタ) ァ クリル酸、 (メタ) アクリル酸エステルなどの (メタ) アクリル基を有するモノ マーの重合により得られる重合体であり、 ァリル樹脂は、 ァリルジグリコール力 ーポネート、 ジァリルイソフタレート及びそのオリゴマー、 ジァリルテレフタレ 一ト及びそのオリゴマ一等のァリル基を含有するモノマーの重合によリ得られる 重合体であり、 エポキシ樹脂は、 1, 6—へキサンジオールジグリシジルエーテ ル、 エチレングリコールジグリシジルエーテル、 ビスフエノール Aジグリシジル エーテルなどのエポキシ基を含有するモノマーの重合により得られる重合体であ る。 また、 上記の樹脂基材は、 前述したコーティング組成物の硬化物層形成によ る優れた特性が損なわれない限り、 上述した各種樹脂と他の樹脂 (例えばビニル 樹脂) とのブレンド物もしくは共重合体からなっていてもよく、 例えば 3 0質 量%以下の範囲で、 他の樹脂成分もしくは他の樹脂成分となる重合単位を含有せ しめることができる。
[積層体の製造]
本発明の積層体は、 上述した樹脂基材の表面に前記コーティング組成物を塗布 し、 該組成物を硬化させて硬化物層を形成することにより製造される。
コーティング組成物の塗布に際しては、 基材と硬化物層の密着性を向上させる 目的で、 あらかじめ基材表面をアルカリ処理、 酸処理、 界面活性剤処理、 U Vォ ゾン処理、 無機あるいは有機物の微粒子による研磨処理、 又はプラズマもしくは コロナ放電処理を行うことが効果的である。 コーティング組成物の塗布は、 ディ ッビング法、 スピンコート法、 スプレー法あるいはフロー法等により行うことが できる。 特にメガネレンズ用途としては、 数多くの基材の両面を効率よく塗膜す るため、 デイツビング法が好適に使用される。
塗布後の硬化は、 乾燥空気あるいは空気中で風乾した後に、 通常、 加熱処理す
ることによって行われる。 加熱温度は、 一般に、 80°C以上、 特に 1 00°C以上 であって樹脂基材が変形しない温度、 一般には 1 50°C以下の範囲が好適である。 硬化時間は、 1 30 °Cで約 2時間、 1 00〜 1 20 °Cで約 2〜 5時間が一応の目 安となる。 硬化して形成される硬化物層は、 0. 1〜50/ m程度の厚みとする ことが可能であるが、 この積層体をメガネレンズ用に用いる場合には、 硬化物層 の厚みは 1〜 1 0 mの範囲が特に好適である。
このようにして得られた積層体においては、 必要により、 硬化物層の表面上に、 無機物からなる反射防止膜を形成することもでき、 このような膜形成手段として は、 真空蒸着法、 イオンプレーティング法、 スパッタリング法等が挙げられる。 真空蒸着法においては、 蒸着中にイオンビームを同時に照射するイオンビームァ シスト法を用いてもよい。 また、 このような反射防止膜は、 単層或いは多層構造 のどちらであってもかまわない。 反射防止膜を形成する無機物の例としては、 S i O , S i O, Z r 02, T i 02, T i O, T i 。0。, T i 。05,
A I 2 ° 3· T a。05, C e 02, MgO, Y 2 O 3, S n O 2, M g F 2,
W03などの酸化物が挙げられる。 これらの無機酸化物は単独でも 2種以上の組 み合わせであってもよい。
<実施例 >
以下、 実施例および比較例を掲げて本発明を説明するが、 本発明はこれらの実 施例に限定されるものではない。
以下に本実施例及び比較例で使用した化合物の略号と名称を示す。
[コーティング組成物形成のための各成分]
(A) 成分
S bゾル:
メタノール分散五酸化アンチモンゾル
日産化学工業 (株) 製 AMT— 330S
固形分濃度 3 1. 0質量%
p H = 6. 0
T i — Z r— S i ゾル (比較例) :
メタノール分散酸化チタン一酸化ジルコニウム一酸化ゲイ素複合金属酸 化物ゾル
触媒化成工業 (株) 製
固形分濃度 30. 0質量%
p H = 4. 8
(B) 成分
前記一般式 (1 ) で示されるゲイ素化合物
HTS : n—へキシルトリメ トキシシラン
OTS : n—ォクチルトリメ トキシシラン
ODS : n—才クチルメチルジメ トキシシラン
DTS : n—デシルトリメ トキシシラン
ODTS : n—ォクタデシルトリメ トキシシラン
ODT ES : n—才クタデシルトリエトキシシラン
UDTS : 1 0—ゥンデセニルトリメ トキシシラン
AUDTS :ァリルォキシゥンデシルトリメ トキシシラン
TESU : トリエトキシシリルゥンデカナル
前記一般式 (2) で示されるゲイ素化合物
ゲイ素化合物 (B 1 ) :
(H3CH2CO)3Si—— CH2CH2CH2OCH2 〜〜
—し H2し
、c
(H3CH2CO)3Si—— CH2CH2CH2OCH2 / CH2.OH ゲイ素化合物 (B4) :
(H3CH2C0) 3S i一 (CH2) 8— S i (0CH2CH3) 3 ゲイ素化合物 (B5) :
(H3G0)3Si—(GH2) 6— Si (0CH3)3 ケィ素化合物 (B6) :
(H3GH2G0)3Si— CH2CH2GH2— S— S— CH2GH2CH2— Si (0CH2CH3) 3 ゲイ素化合物 (B7) :
ゲイ素化合物 (B 9) :
(H3G0)3Si— GHり GH2GH2NHCHゥ GH2NHCH2CH2NHGH2CH2GH2— Si (0CH3)3
(C) 成分
GTS : T—グリシドキシプロビルトリメ トキシシラン
GDS : rーグリシドキシプロピルメチルジメ トキシシラン
E T S :
β— (3, 4一エポキシシクロへキシル) ェチルトリメ トキシシラン
(D) 成分
Me ΟΗ : メタノール
E t O H :ェタノール
I P A :ィソプロパノール
N P A : n—プロパノール
NBA : n—ブタノール
T B A : t—ブタノ一ル
A c P r :酢酸プロピル
EG P E : エチレングリコールモノイソプロピルエーテル
EGEE : エチレングリコールモノェチルエーテル
EGBE : エチレングリコールモノ― t一ブチルエーテル
P G P E : プロピレングリコールモノ一 n—プロピルエーテル
M I B K : メチルイソブチルケトン
A c A c :ァセチルァセトン
DAA : ジァセトンアルコール
(E) 成分
E 1 : 卜リス (2, 4一ペンタンジォナ卜) アルミニウム (m)
E2 : 卜リス (2, 4一ペンタンジォナト) 鉄 (ΙΠ)
E3 : 2, 4一ペンタンジォナ卜リチウム その他の成分
(1 ) (B) 及び (C) 成分以外のゲイ素化合物
T ES :テトラエトキシシラン
M T E S : メチルトリェ卜キシシラン
MTMS : メチルトリメトキシシラン
BTMS : n—プチルトリメ トキシシラン
AP TES : : Tーァクリロキシプロビルトリエトキシシラン
(2) エポキシ化合物
P ETGE :ペンタエリスリ I ^一ルトリグリシジルェ一テル
[プラスチックレンズ基材 (樹脂製基材) ]
TKA :ァリル樹脂プラスチックレンズ (屈折率 = 1. 60)
TKB :ァリル樹脂プラスチックレンズ (屈折率 = 1. 55)
S E : メタクリル樹脂 +ビニル樹脂プラスチックレンズ (屈折率 = 1. 60) K R :エポキシ樹脂 (屈折率 = 1. 59)
P C :ポリカーポネート (屈折率 1. 59) また、 各実施例及び比較例で得られたレンズ (積層体) の特性は、 以下の方法 で評価した。
(1 ) 外観
目視検査でコート膜 (硬化物層) の透明性を観察した。 即ち、 光源(キャビン 工業(株)製 colorCABIN 111)からの光束の方向に対して試料レンズの光軸が垂直 となるように、 試料レンズを光束中に配置し、 レンズの光軸方向から目視で観察 することにより、 白濁の程度で硬化物層の透明性を評価した。 評価基準は、 以下 の通りである。
©: コート膜を有するレンズがほぼ透明なもの
O:若干白濁しているもの
△:〇よりも白濁がひどいもの
X :完全に白濁しているもの
(2) 耐溶剤性
メタノール、 イソプロピルアルコール、 トルエン、 アセトン或いは 0. 4質 量%N a OH水溶液のそれぞれに、 試料レンズ (積層体) を 24時間含浸し、 表 面状態変化を調べた。 評価基準は以下の通りである。
〇:含浸前と変化がない。
X :含浸前に比して変化が認められる。
(3) 耐擦傷性
スチールウール (日本スチールウール (株) 製ボンスター # 0 0 0 0番) を用 い、 1 k gの^重で 1 0往復、 試料レンズ表面を擦り、 傷ついた程度を目視で 3 段階評価した。 評価基準は次の通りである。
A :ほとんど傷がつかない。
B :少し傷がつく。
C : コート膜 (硬化物層) が剥離している。
( 4 ) 密着性
コート膜とレンズの密着性を J I S D— 0 2 0 2に準じてクロスカツ卜テープ 試験によって行った。
すなわち、 カッターナイフを使いレンズ表面に約 1 mm間隔に切れ目を入れ、 マス目を 1 0 0個形成させる。 その上にセロファン粘着テープ (ニチバン (株) 製) を強く貼り付けた後、 表面から 9 0 ° 方向へ一気に引っ張り剥離した後コー 卜膜の残っているマス目を測定した。
評価結果は、 (残っているマス目数) Z 1 0 0で表した。
( 5 ) 耐候性
光照射によるコート膜の耐久性を評価するために次の劣化促進試験を行った。 すなわち、 得られたコート膜を.有するレンズをスガ試験器 (株) 製キセノンゥェ ザ一メーター X 2 5により 2 0 0時間促進劣化させた。 その後、 前記 (4 ) と同 様の方法で密着性を評価した。
( 6 ) 耐熱ショック性
試料レンズ (積層体) を沸騰水に 1時間浸潰した後、 5 °C以下に調整した冷水 に 1分間浸潰し、 コート膜への亀裂 (クラック) の発生程度を目視により 3段階 評価した。 評価基準は以下の通りである。
A :全くクラックが生じない。
B :わずかにクラックが生じている。
C :無数にクラックが生じている。
( 7 ) 保存安定性
コーティング組成物調製後、 2 0 °Cで 3週間、 および 5週間保存した後に、 各 コーティング組成物を用いて、 各実施例及び比較例に示した方法でプラスチック レンズ基材表面にコート膜を形成し、 得られたコート膜の外観、 耐溶剤性、 耐擦
傷性、 密着性、 耐候性及び耐熱ショック性を、 前述した方法で評価した。 一実施例 1一
(1 ) コーティング組成物の調製
rーグリシドキシプロビルトリメ トキシシラン (GTS) 31 7 g、 ゲイ素化 合物 (B 1 ) 1 77 g、 テトラエトキシシラン (TES) 1 30 gを混合した。 この混合液を十分に撹拌しながら、 0. 05 Nの塩酸水溶液 1 50 gを添加し、 添加終了後から 5時間撹拌を継続した。 次いで、 この混合液に、
シリコン系界面活性剤 (日本ュニカー (株) 製、 商品名 「し一 7001」 )
2. 0 g
A I (III) ァセチルァセトナート 7. 3 g
t一ブチルアルコール 280 g
メタノール 700 g
S bゾル 1 250 g
を混合し、 5時間撹拌後一昼夜熟成させてコーティング組成物 (a) を得た。 また、 コーティング組成物 (a) の一部を小分けし、 これに含量が 1 0質量% となるように蒸留水を添加し、 約 1時間撹拌した。 この水を加えたコーティング 組成物をコーティング組成物 (a' ) とした。
(2) コート膜 (硬化物層) の形成
前記で得られたコーティング組成物 (a) 及び (a' ) に、 40°Cの 1 0% N a OH水溶液に 5分間の浸漬処理を施したプラスチックレンズ基材 (T KA) をディッビングし、 引上げ速度 30 cmZ分の速度で引き上げて該レンズ基材 (TKA) の表面にコーティング組成物を塗布した。 デイツビングは、 相対湿度 30%RH、 50%RH、 70%RH (いずれも温度 23 °C程度) の 3条件で実 施した。 塗布後 70°Cで 20分乾燥した後、 1 20°Cで 4時間保持して硬化を行 い、 コート膜を形成して積層体 (試料レンズ) を得た。
得られた積層体のコート膜は、 厚みは約 2ミクロン、 屈折率 1. 58の無色透 明な膜であった。
かかるコート膜の形成に用いたコーティング組成物の組成及びプラスチックレ ンズ基材 (樹脂製基材) の種類を表 1に示した。
また、 得られたコート膜について、 コーティング組成物 (a) 及び (a' ) を 3 Oo/oRH条件下でディッビングしたものについては、 前述した (1 ) 外観、 (2) 耐溶剤性、 (3) 耐擦傷性、 (4) 密着性、 (5) 耐候性及び (6) 耐熱 ショック性について評価し、 他の条件下でディッビングしたものについては、 ( 1 ) 外観についてのみ評価し、 これらの結果を表 2に示した。
さらに、 上記で調製されたコーティング組成物 (a) 及び (a' ) について、 3週間及び 5週間保存した後に、 上記と同様にコート膜を形成し、 (7) 保存安 定性の評価を行った。 その評価結果を表 3 (3週間保存) 及び表 4 (5週間保 存) に示した。 一実施例 2〜 1 5一
表 1に示す成分を用いた以外は、 実施例 1と同様にしてコーティング組成物 (b) 〜 (o) を得た。 また、 各コーティング組成物の一部を小分けし、 これに 含量が 1 0質量%となるように蒸留水を添加し、 約 1時間撹拌した。 この水を加 えたコーティング組成物をコーティング組成物 (b' ;) 〜 (ο' ) とした。 上記のコーティング組成物を使用し、 表 1に示すプラスチックレンズ基材 (樹 脂製基材) の表面に、 実施例 1と同様にしてコート膜を形成し、 積層体 (試料レ ンズ) を得た。
得られた積層体について、 実施例 1と同様に各種特性評価を行い、 その結果を 表 2〜表 4に示した。 一比較例 1及び 2—
表 1に示す成分を用いた以外は、 実施例 1〜 1 5と同様にしてコーティング組 成物 (Ρ) 、 (Ρ' ) 、 (q) 及び (q' ) を得た。
上記のコーティング組成物を使用し、 表 1に示すプラスチックレンズ基材 (樹 脂製基材) の表面に、 実施例 1と同様にしてコート膜を形成し、 積層体 (試料レ ンズ) を得た。
得られた積層体について、 実施例 1と同様に各種特性評価を行い、 その結果を 表 2〜表 4に示した。
—比較例 3—
実施例 1で用いた屈折率 1. 60の TKA (ァリル樹脂プラスチックレンズ) を屈折率 1. 59の PC (ポリカーボネート樹脂レンズ) に置き換えた以外は、 実施例 1と同様にして積層体 (試料レンズ) を作製し、 各物性の評価を行った。 これら結果を表 2、 表 3及び表 4に示した。
O/iAVio9: /.!£ί ι.
初期
No. コーティング組成物プラスチックレンズ基材 外観
耐溶剤性耐擦傷性 密着性 耐候性 耐熱ショック性
30訓 50%RH 70龍
a TKA
実施例 1 © ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A a TKA ◎ ◎ © o A 100/100 100/100 A 実施例 a SE
2 ◎ ◎ © o A 100/100 100/100 A
,
a SE © ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A 実施例 a
3 KR ◎ ◎ © 〇 A 100/100 100/100 A a KR ◎ © ◎ 〇 A 100/100 100/100 A 実施例 b A 100/100 100/100 A 4 TKA ◎ © ◎ o
b, TKA ® ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A 実施例 c TKB ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A 5 ◎
G TKB ◎ ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A 実施例 d TKA A 100/100 100/100 A 6 ◎ ◎ ◎ o
d, TKA ◎ ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A 実施例 e
7 TKA © © ◎ 〇 A 100/100 100/100 A e TKA ◎ ◎ © o A 100/100 100/100 A 実施例 f TKA 00 A 8 ◎ ◎ ◎ 〇 A 100/100 100/1
f, TKA ◎ ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A 実施例 TKB
9 ◎ ◎ ◎ 〇 A 100/100 100/100 A g TKB ◎ ◎ ◎ 〇 A 100/100 100/100 A 実施例 h SE 0/100 A 1 0 ◎ ◎ © o A 100/100 10
h, SE ◎ ◎ o o A 100/100 100/100 A i SE
実施例 1 1 ◎ ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A
1 SE ◎ ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A 実施例 1 2 i TKA ◎ ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A
J TKA ◎ ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A 実施例 k TKA
1 3 ◎ ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A k' TKA ◎ © ◎ o A 100/100 100/100 A 実施例 1 TKA
14 ◎ ◎ ◎ 〇 A 100/100 100/100 A
1' TKA ◎ ◎ ◎ 〇 A 100/100 100/100 A 莠施例 m TKA
1 5 ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A m' TKA ◎ ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A 実施例 n TKA
1 6 ◎ ◎ ◎ - 〇 A 100/100 100/100 A n TKA ◎ ® ◎ o A 100/100 100/100 A
0 KR
実施例 1 7 ◎ ◎ © 〇 A 100/100 100/100 A
0 KR ◎ ◎ 〇 o A 100/100 100/100 A 比較例 1 P TKA ◎ © ◎ o A 100/100 100/100 c
P TKA ◎ ◎ ◎ o A 100/100 100/100 c 比較例 2 q TKA o o o o A 100/100 0/100 A q TKA o o 〇 o B 100/100 0/100 A 比較例 a
3 PC △ Δ 厶 X C 0/100 一 一
a PC 厶 Δ Δ X C 0/100 ― ―
保存 55M|#j後
No. コーティング組成物プラスチックレンズ基材 外観 耐溶剤性耐擦傷性 密着性 耐候性 耐熱ショック性
30%RH 50%RH 70%RH
a TKA
実施例 1 ◎ ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A a , TKA ◎ ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A 実施例 2 a SE ◎ ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A a , SE ◎ ◎ O o A 100/100 100/100 A 実施例 a KR
3 ◎ © © o A 100/100 100/100 A a KR ◎ o o o A 100/100 100/100 A 実施例 4 b TKA ◎ ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A b, TKA ◎ ◎ o o A 100/100 100/100 A 実施例 c TKB
5 ◎ ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A c TKB ◎ ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A 実施例 d TKA
6 ◎ ◎ ◎ 〇 A 100/100 100/100 A
TKA ◎ ◎ o o A 100/100 100/100 A 実施例 e TKA
7 ◎ ® ◎ o B 100/100 100/100 A e TKA ◎ ◎ o o B 100/100 100/100 A 実施例 f TKA 100/100 100/100 A 8 ◎ ◎ ◎ o A
f TKA ◎ o o o A 100/100 100/100 A 実施例 9 g TKB ◎ ◎ ◎ 〇 A 100/100 100/100 A
TKB ◎ ◎ o o A 100/100 100/100 A 実施例 h SE 00/100 A 1 0 ◎ ◎ ◎ o A 100/100 1
h' SE ◎ 〇 o o A 100/100 100/100 A i SE ® ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A 実施例 1 1
SE ◎ ◎ o o A 100/100 100/100 A 実施例 1 2 j TKA ® ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A
■,
J TKA ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A 実施例 k TKA
1 3 ◎ ◎ ◎ o A 100/100 100/100 A k' TKA © ◎ ® o A 100/100 100/100 A 実施例 1 TKA
1 4 © ◎ ◎ o B 100/100 100/100 A
1' TKA © ◎ ◎ o B 100/100 100/100 A 実施例 m TKA /100 100/100 A 1 5 ◎ ◎ ◎ o A 100
m' TKA ® © o o A 100/100 100/100 A 実施例 n TKA A 100/100 100/100 A 1 6 ◎ ◎ © 〇
n TKA ◎ © o o A 100/100 100/100 A
0 KR
実施例 1 7 ◎ ◎ ◎ 〇 A 100/100 100/100 A
0 KR © o 〇 o A 100/100 100/100 A 比較例 1 P TKA ◎ © ◎ o A 100/100 100/100 c
P TKA ® ◎ ◎ o A 100/100 100/100 c 比較例 2 q TKA o o o o B 100/100 0/100 A q TKA Δ X X o B 100/100 0/100 A 比較例 a Δ
3 PC △ Δ X C 0/100 ― 一
PC △ Δ △ X C 0/100 ― ―
表 2〜表 4から明らかなように、 実施例 1 ~ 1 5における本発明のコーティン グ組成物を用いて合成樹脂レンズ基材の表面にコート膜を積層させた場合、 初期 の外観 (白濁の程度) 、 耐溶剤性、 耐擦傷性、 密着性、 耐候性、 耐熱ショック性 ともに良好であった。 また、 保存安定性に関しても良好であり、 保存 3週間後及 ぴ 5週間後においても外観、 耐溶剤性、 耐擦傷性、 密着性、 耐候性、 耐熱ショッ ク性などの物性はコーティング組成物を調製した初期と同じであった。 更には、 コーティング組成物に水 1 0質量%を添加したコーティング組成物を用いた場合 においても、 その積層体の外観は非常に良好であり、 本発明のコーティング組成 物が水分の影響を受けにくいことがわかる。
一方、 比較例 1においては、 表 2〜表 4に示されているように、 初期の外観、 耐溶剤性、 耐擦傷性、 密着性、 耐候性などは良好であるものの、 耐熱ショック性 が不十分であることが分かる。 また、 保存安定性に関しては、 保存 3週間後及び 5週間後においてもコーティング組成物を調製した初期と同様であり、 外観、 耐 溶剤性、 耐擦傷性、 密着性、 耐候性などの物性は良好であるものの、 耐熱ショッ ク性に関しては不十分であった。 更には、 コーティング組成物に水 1 0質量%を 添加したコーティング組成物を用いた場合も耐熱ショック性が不十分であった。 また、 比較例 2においては、 初期の外観、 耐溶剤性、 耐擦傷性、 密着性、 耐熱 ショック性などは良好であつたが、 耐候性が不十分であった。 この耐候性が劣る 点は、 保存安定性試験を行った場合も同様に見られた。 また、 コーティング組成 物に水 1 0質量%を添加したコーティング組成物を用いた場合においては、 その 外観の不良が著しく、 水分に対してこれらのコーティング組成物が敏感であり、 限られた条件でしか使用できないことが理解できる。
比較例 3においては、 初期及び保存安定性試験を行った場合も、 基材にポリ力 ーポネートを使用しているために、 耐溶剤性、 耐擦傷性、 密着性といった物性が 不十分であった。 比較例 3においては、 初期から前記物性が不十分であったため、 耐候性及び耐熱ショック性は評価しなかった。 更に、 外観については、 ポリカー ボネート樹脂レンズ表面がエポキシ基含有ゲイ素化合物との接触によって白濁が 生じた。 '