明 細 書 病害抵抗性を誘導する農薬のスクリーニング方法および
その方法に使用される植物体 技術分野 本発明は、 病害抵抗性を誘導する農薬のスクリーニング方法およびスクリー二 ングのためのシステム、 ならびにその方法に使用される植物体に関する。 背景技術 植物の病原菌に対する薬剤としては、 代表的には、 病原菌に直接の殺菌効果を 有する薬剤と、 病原菌に対して直接の殺菌効果を示さず、 植物の病害抵抗性を誘 導する薬剤とが挙げられる。 植物の病害抵抗性を誘導する薬剤は、 病原菌の耐性 菌株の出現の頻度が少ないことから有用ではあるが、 病原菌に直接の殺菌効果を 有する薬剤と比較してその開発が遅れている。 わずかに、 イネいもち病防除剤で あるオリゼメートの作用成分であるプロべナゾール、 セレブロシド B、 N—シァ ノメチルー 2—クロ口一イソニコチン酸、 2 , 6—ジクロローイソニコチン酸、 ベンゾ [ 1, 2 , 3 ] チアゾ一ルー 7—力ルポチォ酸 S—メチルエステル、 4 ーメチルー [ 1 , 2, 3 ] チアゾールー 5—カルボン酸 (3—クロロー 4ーメチ ルーフエニル) 一アミド) 、 2, 2—ジクロロー 3, 3—ジメチル―シクロプロ パンカルボン酸、 N— ( 2—クロローピリジン一 4一力ルポニル) —ベンゼンス ルホンアミドなどが植物の病害抵抗性を誘導する薬剤またはその候補として開発 されているのみである。
植物の病害抵抗性を誘導する薬剤の開発が遅れている原因の 1つには、 そのス
クリーニング方法の開発が遅れている点にある。 従って、 簡便かつ迅速な植物の 病害抵抗性を誘導する薬剤のスクリーニング方法の開発が求められている。 病害抵抗性を誘導する薬剤によって発現が誘導される遺伝子のプロモーターを 用いて、 候補薬剤をスクリーニングする場合には、 適切なプロモ一夕一を選択す ることが重要である。 例えば、 プロべナゾ一ルおよび N—シァノメチル—2—ク ロロ一イソニコチン酸の両薬剤に応答性の遺伝子プロモー夕一としては、 P B Z 1遺伝子のプロモ一夕一が公知である (特開平 9一 2 7 0 ) 。 しかし、 これら薬 剤に応答性のプロモー夕一を病害抵抗性を誘導する薬剤のスクリーニング方法に 用いた例はない。 なぜなら、 病害抵抗性を誘導する薬剤のスクリーニングにおい ては、 培養細胞レベルではなく、 植物体においてそのプロモーターの応答性を検 証する必要があるものの、 従来は、 簡便に植物体においてプロモーター活性を決 定する方法が確立されていなかつたからである。
現在まで、 植物体での薬剤のスクリーニング方法は確立されておらず、 従来公 知のプロモーターがどの程度広範な刺激に対して応答性であるかについて、 未だ 検証されておらず、 そのため、 従来公知であるプロモー夕一が、 簡便かつ迅速な 植物の病害抵抗性を誘導する薬剤のスクリーニングに適用できるか否かは、 不明 である。 従って、 病害抵抗性を誘導する薬剤によって発現が誘導される遺伝子の プロモー夕一を用いて、 種々の薬剤に対する応答性を検証することにより、 改善 された薬剤スクリ一ニング方法を確立することが必要である。 発 明 の 要 旨 植物において病害抵抗性を誘導する農薬をスクリーニングする方法およびシス テム、 ならびにその方法に使用される植物体を提供することが、 本発明の課題で ある。
本発明者らは、 a ) 植物の病害抵抗性誘導遺伝子の天然のプロモ一夕一 ;およ
び b ) 該プロモーターに作動可能に連結された蛍光タンパク質をコ一ドする遺伝 子、 を含む発現カセットを含むベクターによって形質転換された植物体を得て、 その植物体を候補薬剤によって処理し、 その蛍光タンパク質の発現量を指標にし て、 候補薬剤にスクリーニングを行なう方法を開発し、 本発明を完成した。 従って、 本発明は、 以下を提供する。
1 . 病害抵抗性を誘導する農薬をスクリーニングするために使用され得る植物 体であって、
a ) 植物の病害抵抗性誘導遺伝子のプロモーター;および
b ) 該プロモータ一に作動可能に連結された、 蛍光タンパク質をコードする遺 伝子 .
を含む、 発現カセットを含む植物体。
2 . 前記プロモ一ターが、 プロべナゾールにより発現誘導され得るプロモー夕 —である、 項目 1に記載の植物体。
3 . 前記プロモ一ターが、 配列番号 1に記載される P B Z 1遺伝子プロモ一タ 一配列を有する、 項目 2に記載の植物体。
4 - 前記プロモ一ターが、 配列番号 1に記載される P B Z 1遺伝子プロモータ —配列中の、 プロべナゾ一ルにより発現誘導され得る配列からなるフラグメント を有する、 項目 2に記載の植物体。
5 . 前記プロモーターが、 配列番号 4に記載される D 9遺伝子プロモーター配 列を有する、 項目 2に記載の植物体。
6 . 前記プロモータ一が、 配列番号 4に記載される D 9遺伝子プロモ一夕一配 列中の、 プロペナゾールにより発現誘導され得る配列からなるフラグメントを有 する、 項目 2に記載の植物体。
7 . 前記プロモーターが、 配列番号 6に記載される R a c 1遺伝子プロモータ —配列を有する、 項目 2に記載の植物体。
8 . 前記プロモーターが、 配列番号 6に記載される R a c 1遺伝子プロモ一タ
一配列中の、 プロべナゾールにより発現誘導され得る配列からなるフラグメント を有する、 項目 2に記載の植物体。
9 . 病害抵抗性を誘導する農薬をスクリーニングするために使用され得る植物 体であって、
a ) 配列番号 1に記載される P B Z 1遺伝子プロモーター配列またはそのフラ グメントを有する第 1のプロモーター、
b ) 該第 1のプロモーターに作動可能に連結された、 第 1の蛍光タンパク質を コードする遺伝子、
c ) 配列番号 4に記載される D 9遺伝子プロモータ一配列またはそのフラグメ ントを有する第 1のプロモータ一、 ならびに
d ) 該第 2のプロモーターに作動可能に連結された、 第 2の蛍光タンパク質を コードする遺伝子、
を含む、 発現カセットを含む植物体。
1 0 . 前記蛍光タンパク質をコードする遺伝子が、 緑色蛍光タンパク質、 黄色 蛍光タンパク質、 赤色蛍光タンパク質、 キンドリングレッド蛍光タンパク質、 力 ェデタンパク質からなる群から選択される蛍光タンパク質をコードする遺伝子で ある、 項目 1に記載の植物体。
1 1 . 前記蛍光タンパク質をコードする遺伝子が、 緑色蛍光タンパク質、 をコ —ドする遺伝子である、 項目 1に記載の植物体。
1 2 . 単子葉植物である、 項目 1に記載の植物体。
1 3 . イネである、 項目 1に記載の植物体。
1 4. 病害抵抗性を誘導する農薬をスクリーニングするために使用され得るシ ステムであって、
a ) 項目 3または 4に記載の植物体、 および
b ) 項目 5または 6に記載の植物体、
を含む、 システム。
15·.病害抵抗性を誘導する農薬をスクリーニングするために使用され得るシ ステムであって、
a) 項目 3または 4に記載の植物体、
b) 項目 5または 6に記載の植物体、 および
c) 発光ダイオードを光源として使用する蛍光測定法
を含む、 システム。
16. 病害抵抗性を誘導する農薬をスクリーニングするために使用され得るシ ステムであって、
a) 項目 3または 4に記載の植物体、
b) 項目 5または 6に記載の植物体、 および
c ) 項目 7または 8に記載の植物体、
を含む、 システム。
17. 病害抵抗性を誘導する農薬をスクリーニングするために使用され得るシ ステムであって、
a) 項目 3または 4に記載の植物体、
b) 項目 5または 6に記載の植物体、
c ) 項目 7または 8に記載の植物体、 および
d) 発光ダイオードを光源として使用する蛍光測定法
を含む、 システム。
18. 病害抵抗性を誘導する農薬をスクリーニングするために使用され得るシ ステムであって、
a) 項目 9に記載の植物体、
を含む、 システム。
19. 病害抵抗性を誘導する農薬をスクリーニングするために使用され得るシ ステムであって、
a) 項目 9に記載の植物体、 および
b) 発光ダイオードを光源として使用する蛍光測定法
を含む、 システム。
20. 病害抵抗性を誘導する農薬をスクリーニングするために使用され得るシ ステムであって、
a) 項目 9に記載の植物体、 および
b) 項目 7または 8に記載の植物体、
を含む、 システム。
21. 病害抵抗性を誘導する農薬をスクリーニングするために使用され得るシ ステムであって、
a) 項目 9に記載の植物体、
b) 項目 7または 8に記載の植物体、 および
c) 発光ダイオードを光源として使用する蛍光測定法
を含む、 システム。
22. 病害抵抗性を誘導する農薬をスクリーニングする方法であって、 該方法 は、 以下の工程:
( i) 配列番号 1に記載される PBZ 1遺伝子プロモータ一配列またはそのフ ラグメン卜を有する第 1のプロモーター、 および該第 1のプロモーターに作動可 能に連結された第 1の蛍光タンパク質をコードする遺伝子を含む発現カセットを 含む第 1の植物体を提供する工程;
(i i) 配列番号 4に記載される D 9遺伝子プロモ一夕一配列またはそのフラ グメントを有する第 2のプロモータ一、 および該第 2のプロモーターに作動可能 に連結された第 2の蛍光タンパク質をコードする遺伝子を含む発現カセットを含 む第 2の植物体を提供する工程;
(i i i) 該植物体と候補薬物を接触させる工程;ならびに
( i V) 該第 1および第 2の植物体において該第 1および第 2の蛍光夕ンパク 質の発現を測定する工程;
を包含し、
ここで該第 1および第 2の蛍光夕ンパク質の発現を測定する工程において第 1 および第 2の蛍光夕ンパク質の両方の発現が誘導された場合、 候補薬物は植物に おいて病害抵抗性を誘導する農薬であり得る、 方法。
2 3 . 前記第 1および第 2の蛍光タンパク質をコードする遺伝子が、 緑色蛍光 タンパク質、 黄色蛍光タンパク質、 赤色蛍光タンパク質、 キンドリングレッド蛍 光タンパク質、 カェデタンパク質からなる群から選択される蛍光タンパク質をコ 一ドする遺伝子である、 項目 2 2に記載の方法。
2 4. 前記第 1または第 2の蛍光タンパク質をコードする遺伝子が、 緑色蛍光 タンパク質をコードする遺伝子である、 項目 2 3に記載の方法。
2 5 . 前記植物細胞が単子葉植物細胞である、 項目 2 2に記載の方法。
2 6 . 前記植物細胞がイネ細胞である、 項目 2 2に記載の方法。
2 7 . 前記蛍光タンパク質の発現を測定する工程が、 発光ダイオードを光源と して使用する蛍光測定法である、 項目 2 2に記載の方法。
2 8 . 病害抵抗性を誘導する農薬をスクリーニングする方法であって、 該方法 は、 以下の工程:
( i ) 第 1および第 2の発現カセットを含む植物体を提供する工程であって、 ここで、
該第 1の発現カセットは、 配列番号 1に記載される P B Z 1遺伝子プロモータ —配列またはそのフラグメントを有する第 1のプロモーター、 および該第 1のプ 口モーターに作動可能に連結された第 1の蛍光タンパク質をコードする遺伝子を 含み、 そして、
該第 2の発現カセッ卜は、 配列番号 4に記載される D 9遺伝子プロモータ一配 列またはそのフラグメントを有する第 2のプロモーター、 および該第 2のプロモ 一夕一に作動可能に連結された第 2の蛍光夕ンパク質をコードする遺伝子を含む、 工程;
( i i ) 該植物体と候補薬物を接触させる工程;ならびに
( i i i ) 該植物体において該第 1および第 2の蛍光タンパク質の発現を測定 する工程;
を包含し、
ここで該第 1および第 2の蛍光夕ンパク質の発現を測定する工程において第 1 および第 2の蛍光タンパク質の両方の発現が誘導された場合、 候補薬物は植物に おいて病害抵抗性を誘導する農薬であり得る、 方法。
2 9 . 前記第 1および第 2の蛍光タンパク質をコードする遺伝子が、 緑色蛍光 タンパク質、 黄色蛍光タンパク質、 赤色蛍光タンパク質、 キンドリングレッド蛍 光タンパク質、 カェデタンパク質からなる群から選択される蛍光タンパク質をコ ―ドする遺伝子である、 項目 2 8に記載の方法。
3 0 . 前記第 1または第 2の蛍光タンパク質をコードする遺伝子が、 緑色蛍光 タンパク質をコードする遺伝子である、 項目 2 9に記載の方法。
3 1 . 前記植物細胞が単子葉植物細胞である、 項目 2 8に記載の方法。
3 2 . 前記植物細胞がイネ細胞である、 項目 2 8に記載の方法。
3 3 . 前記蛍光タンパク質の発現を測定する工程が、 発光ダイオードを光源と して使用する蛍光測定法である、 項目 2 8に記載の方法。
3 4. 病害抵抗性を誘導する農薬をスクリーニングする方法であって、 該方法 は、 以下の工程:
( i ) 発現カセットを含む植物体を提供する工程であって、 ここで、 該発現力 セットは、 (a ) 配列番号 1に記載される P B Z 1遺伝子プロモータ一配列また はそのフラグメントを有する第 1のプロモー夕一、 および該第 1のプロモーター に作動可能に連結された第 1の蛍光タンパク質をコードする遺伝子、 および ( b ) 配列番号 4に記載される D 9遺伝子プロモータ一配列またはそのフラグメ ントを有する第 2のプロモーター、 および該第 2のプロモーターに作動可能に連 結された第 2の蛍光タンパク質をコードする遺伝子を含む、 工程;
( i i ) 該植物体と候補薬物を接触させる工程;ならびに
( i i i ) 該植物体において該第 1および第 2の蛍光タンパク質の発現を測定 する工程;
を包含し、
ここで該第 1および第 2の蛍光夕ンパク質の発現を測定する工程において第 1 および第 2の蛍光タンパク質の両方の発現が誘導された場合、 候補薬物は植物に おいて病害抵抗性を誘導する農薬であり得る、 方法。
3 5 . 前記第 1および第 2の蛍光タンパク質をコードする遺伝子が、 緑色蛍光 タンパク質、 黄色蛍光タンパク質、 赤色蛍光タンパク質、 キンドリングレッド蛍 光タンパク質、 カェデタンパク質からなる群から選択される蛍光タンパク質をコ —ドする遺伝子である、 項目 3 4に記載の方法。
3 6 . 前記第 1または第 2の蛍光タンパク質をコードする遺伝子が、 緑色蛍光 タンパク質をコードする遺伝子である、 項目 3 5に記載の方法。
3 7 . 前記植物細胞が単子葉植物細胞である、 項目 3 4に記載の方法。
3 8 . 前記植物細胞がイネ細胞である、 項目 3 4に記載の方法。
3 9 . 前記蛍光タンパク質の発現を測定する工程が、 発光ダイオードを光源と して使用する蛍光測定法である、 項目 3 4に記載の方法。
4 0 . 病害抵抗性を誘導する農薬を分類する方法であって、 該方法は、 以下の 工程:
( i ) 配列番号 1に記載される P B Z 1遺伝子プロモーター配列またはそのフ ラグメントを有する第 1のプロモ一夕一、 および該第 1のプロモータ一に作動可 能に連結された第 1の蛍光タンパク質をコードする遺伝子を含む発現カセットを 含む第 1の植物体を提供する工程;
( i i ) 配列番号 6に記載される R a c 1遺伝子プロモーター配列またはその フラグメントを有する第 2のプロモータ一、 および該第 2のプロモーターに作動 可能に連結された第 2の蛍光夕ンパク質をコードする遺伝子を含む発現カセット
を含む第 2の植物体を提供する工程;
(i i i) 該植物体と候補薬物を接触させる工程;ならびに
( i v) 該第 1および第 2の植物体において該第 1および第 2の蛍光夕ンパク 質の発現を測定する工程;
を包含し、
ここで該第 1および第 2の蛍光タンパク質の発現の測定結果から、 候補薬物を 分類する、 方法。
図 面 の 簡 単 な 説 明 図 1は、 PBZ 1プロモーターと連結した GFP (PBZ 1 : : GFP) を用 いた、 p B Z 1プロモ一夕一のオリゼメート、 プロべナゾ一ル、 セレブロシド B による発現誘導を示す。
未処理の葉身 (A) 'ォリゼメート処理 10日目の葉身 (B) 、 未処理の葉身
(C) 、 プロべナゾ一ル処理 3日目の葉身 (D) 、 未処理の葉身 (E) 、 セレブ ロシド B処理後 6時間の葉身 (F) 、 セレブロシド B処理後 3日目の葉身 (G) 。 図 2は、 PBZ 1 : : GFPを用いた、 いもち菌レース 007菌の噴霧接種の 結果を示す。
007菌を接種した葉身を可視光 (A) (C) ·励起光 (B) (D) で観察し た。 図 3は、 PBZ 1 : : GFPを用いた、 いもち菌レース 031菌と 007菌の パンチ接種の結果を示す。
031菌を接種した葉身を可視光 (A) 、 励起光 (B) で観察した。
007菌を接種した葉身を可視光 (C) 、 励起光 (D) で観察した 図 4は、 PBZ 1プロモーターと連結した GFP (PBZ 1 : : GFP) の完 熟種子における発現を示す。
PBZ 1 : : GFP導入種子を可視光 (A) 、 励起光 (B) で観察した。 図 5は、 PBZ 1 : : GFPの発芽時の発現を示す。
PBZ 1 : : GFP、 導入種子を MS培地に播種後 2日目 (A, B) 、 3日目 (C, D) 、 4日目 (E, F) 7日目 (G, H) で可視光 (A, C, E, G) 、 励起光 (B, D, F; H) で観察した。 図 6は、 PBZ 1 : : GFPの組織 ·器官特異的発現を示す。
励起光下で非型質転換体 (A) 、 PBZ 1 : : GFP導入イネ成熟植物体 (B, C) 、 PBZ 1 : : GFP導入イネの穎果 (D) 、 登熟中の胚乳 (E) 、 胚 (F) 、 根の先端 (G) を観察した。 図 7は、 D 9プロモー夕一と連結した GFPのプロべナゾールによる発現誘導を 示す。
未処理の葉身 (A) ·プロべナゾ一ル処理 7日目の葉身 (B) 。 図 8は、 D 9プロモ一ターと連結した GFPを用いた、 いもち菌レース 007菌 の噴霧接種の結果を示す。
007菌を接種した葉身を可視光 (A) 、 および励起光 (B) で観察した。 図 9は、 特開 2001— 269171に開示される蛍光物質観察用励起光照射装 置を示す。
なお、 図面における参照番号は、 以下のとおりである:
1 蛍光物質
2 励起光
4、 6 フィルター
5 蛍光発光
10 発光ダイオードからなる光源
11 肉眼で観察できる光量
発 明 の 詳 細 な 説 明 以下、 本発明を説明する。 本明細書の全体にわたり、 単数形の冠詞 (例えば、 英語の場合は 「a」 、 「a n」 、 「t h e」 など、 独語の場合の 「e i n」 、 「d e r」 、 「d a s」 、 「d i e」 などおよびその格変化形、 仏語の場合の 「un」 、 「unej 、 「1 ej 、 「1 aj など、 スペイン語における 「un」 、 「un a」 、 「e 1」 、 「1 a」 など、 他の言語における対応する冠詞、 形容詞 など) は、 特に言及しない限り、 その複数形の概念をも含むことが理解されるべ きである。 また、 本明細書において使用される用語は、 特に言及しない限り、 当 該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。
(用語の定義)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
本明細書において使用される用語 「タンパク質」 「ポリペプチド」 、 「オリゴ ペプチド」 および 「ペプチド」 は、 本明細書において同じ意味で使用され、 任意 の長さのアミノ酸のポリマーをいう。 このポリマーは、 直鎖であっても分岐して いてもよく、 環状であってもよい。 アミノ酸は、 天然のものであっても非天然の ものであってもよく、 改変されたアミノ酸であってもよい。 この用語はまた、 複 数のポリペプチド鎖の複合体へとアセンブルされ得る。 この用語はまた、 天然ま
たは人工的に改変されたアミノ酸ポリマーも包含する。 そのような改変としては、 例えば、 ジスルフイド結合形成、 グリコシル化、 脂質化、 ァセチル化、 リン酸化 または任意の他の操作もしくは改変 (例えば、 標識成分との結合体化) 。 この定 義にはまた、 例えば、 アミノ酸の 1または 2以上のアナログを含むポリペプチド (例えば、 非天然のアミノ酸などを含む) 、 ペプチド様化合物 (例えば、 ぺプト ィド) および当該分野において公知の他の改変が包含される。
本明細書において使用する場合、 「蛍光タンパク質」 とは、 蛍光を発するタン パク質をいい、 例えば、 ォワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質 (GFP) 、 配 列番号 3のアミノ酸配列を有する変異型 GFP、 イソギンチヤク近縁種 D i s c o s on a s t r i a t a由来の蛍光タンパクである R F P (Re d F l u o r e s c en t P r o t e i n) 、 A e q u r e c o e r u l e s c en s由来の GFP (例えば、 E v r o g e n社 (ロシア) の Ac e -G r e e n ( 登録商標) ) 、 甲殻生物である C o p e p o d由来の GFP (例えば、 E v r o g e n社 (ロシア) の Cop— Gr e e n (登録商標) ) 、 黄色蛍光タンパク質 (例えば、 Ev r o g e n社 (ロシア) の Ph i— Ye 1 l ow (登録商標) ) 、
K i nd l i ng Re d F l uo r e s c en t P r o t e i n (キンド リングレッド蛍光タンパク質: KFP— Re d) (例えば、 Ev r oge r^:h ( ロシア) の K i nd 1 i ng-Re d (登録商標) ) 、 赤色蛍光タンパク質 (例 えば、 E V r o g e n社 (ロシア) の HuRED— t and em (登録商標) ) 、 Ka e d e (力ェデ) タンパク質 (And oら、 P r o c. Na t l . Ac ad. S c i. USA 2002、 Oc t 1 ; 99 (20) : 12651 - 6) 。 本明細書において使用する場合、 「植物病原体」 とは、 植物に有害な影響を与 える外来の因子をいい、 例えば、 ウィルス、 真菌、 細菌が挙げられるがこれらに 限定されない。
本明細書において使用される用語 「ポリヌクレオチド」 、 「オリゴヌクレオチ ド」 および 「核酸」 は、 本明細書において同じ意味で使用され、 任意の長さのヌ
クレオチドのポリマーをいう。 この用語はまた、 「誘導体オリゴヌクレオチド」 または 「誘導体ポリヌクレオチド」 を含む。 「誘導体オリゴヌクレオチド」 また は 「誘導体ポリヌクレオチド」 とは、 ヌクレオチドの誘導体を含むか、 またはヌ クレオチド間の結合が通常とは異なるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチ ドをいい、 互換的に使用される。 そのようなオリゴヌクレオチドとして具体的に は、 例えば、 2' — O—メチル—リポヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド中のリ ン酸ジエステル結合がホスホロチォェ一ト結合に変換された誘導体オリゴヌクレ ォチド、 オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合が N 3 ' -P 5 ' ホスホ ロアミデート結合に変換された誘導体オリゴヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド 中のリボースとリン酸ジエステル結合とがべプチド核酸結合に変換された誘導体 ォリゴヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド中のゥラシルが C一 5プロピニルゥラ シルで置換された誘導体ォリゴヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド中のゥラシル が C一 5チアゾールゥラシルで置換された誘導体オリゴヌクレオチド、 オリゴヌ クレオチド中のシトシンが C一 5プロピニルシ卜シンで置換された誘導体ォリゴ ヌクレオチド、 オリゴヌクレオチド中のシトシンがフエノキサジン修飾シ卜シン (phenox a z i ne— mo d i f i ed c y t o s i ne) で置換され た誘導体オリゴヌクレオチド、 DNA中のリポースが 2, —〇一プロピルリボー スで置換された誘導体オリゴヌクレオチドおよびオリゴヌクレオチド中のリポ一 スが 2 ' —メトキシェトキシリボースで置換された誘導体ォリゴヌクレオチドな どが例示される。 他にそうではないと示されなければ、 特定の核酸配列はまた、 明示的に示された配列と同様に、 その保存的に改変された改変体 (例えば、 縮重 コドン置換体) および相補配列を包含することが企図される。 具体的には、 縮重 コドン置換体は、 1またはそれ以上の選択された (または、 すべての) コドンの 3番目の位置が混合塩基および Zまたはデォキシィノシン残基で置換された配列 を作成することにより達成され得る (B a t z e rら、 Nu c 1 e i c Ac i d Re s. 19 : 5081 (1991) ;〇h t s uk aら、 J. B i o l .
Ch em. 260 : 2605-2608 (1985) ; Ro s s o l i n iら、 Mo 1. Ce l l. P r obe s 8 : 91 - 98 (1994) ) 。 用語 「核酸 」 はまた、 本明細書において、 遺伝子、 cDNA、 mRNA、 オリゴヌクレオチ ド、 およびポリヌクレオチドと互換可能に使用される。 特定の核酸配列はまた、 「スプライス改変体」 を包含する。 同様に、 核酸によりコードされた特定のタン パク質は、 その核酸のスプライス改変体によりコードされる任意のタンパク質を 暗黙に包含する。 その名が示唆するように 「スプライス改変体」 は、 遺伝子のォ ル夕ナティブスプライシングの産物である。 転写後、 最初の核酸転写物は、 異な る (別の) 核酸スプライス産物が異なるポリペプチドをコードするようにスプラ イスされ得る。 スプライス改変体の産生機構は変化するが、 ェキソンのオル夕ナ ティブスプライシングを含む。 読み過し転写により同じ核酸に由来する別のポリ ペプチドもまた、 この定義に包含される。 スプライシング反応の任意の産物 (組 換え形態のスプライス産物を含む) がこの定義に含まれる。
本明細書において 「ヌクレオチド」 は、 天然のものでも非天然のものでもよい。 「誘導体ヌクレオチド」 または 「ヌクレオチドアナログ」 とは、 天然に存在する ヌクレオチドとは異なるがもとのヌクレオチドと同様の機能を有するものをいう。 そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログは、 当該分野におい て周知である。 そのような誘導体ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログの例 としては、 ホスホロチォエート、 ホスホルアミデート、 メチルホスホネート、 キ ラルメチルホスホネート、 2—〇ーメチルリポヌクレオチド、 ペプチド一核酸 ( PNA) が含まれるが、 これらに限定されない。
本明細書において、 「フラグメント」 とは、 全長のポリペプチドまたはポリヌ クレオチド (長さが n) に対して、 l〜n— 1までの配列長さを有するポリぺプ チドまたはポリヌクレオチドをいう。 フラグメントの長さは、 その目的に応じて、 適宜変更することができ、 例えば、 その長さの下限としては、 ポリペプチドの場 合、 3、 4、 5、 6、 7、 8、 9、 10、 15, 20、 25、 30、 40、 50
およびそれ以上のアミノ酸が挙げられ、 ここの具体的に列挙していない整数で表 される長さ (例えば、 11など) もまた、 下限として適切であり得る。 また、 ポ リヌクレオチドの場合、 5、 6、 7、 8、 9、 10、 15, 20、 25、 30、 40、 50、 75、 100およびそれ以上のヌクレオチドが挙げられ、 ここの具 体的に列挙していない整数で表される長さ (例えば、 11など) もまた、 下限と して適切であり得る。 本明細書においてプロモーターの 「フラグメント」 とは、 好ましくは、 プロモータ一配列中の部分配列であって、 プロモー夕一配列と同様 の制御 (例えば、 薬物などの外来因子による発現誘導、 組織特異的発現、 時期特 異的発現など) を受ける配列をいう。
本明細書において、 「改変体」 とは、 もとのポリペプチドまたはポリヌクレオ チドなどの物質に対して、 一部が変更されているものをいう。 そのような改変体 としては、 置換改変体、 付加改変体、 欠失改変体、 短縮 (t r unc a t e d) 改変体、 対立遺伝子変異体などが挙げられる。 対立遺伝子 (a 1 1 e 1 e) とは、 同一遺伝子座に属し、 互いに区別される遺伝的改変体のことをいう。 従って、 「 対立遺伝子変異体」 とは、 ある遺伝子に対して、 対立遺伝子の関係にある改変体 をいう。 「種相同体またはホモログ (homo 1 og) 」 とは、 ある種の中で、 ある遺伝子とアミノ酸レベルまたはヌクレオチドレベルで、 相同性 (好ましくは、 60%以上の相同性、 より好ましくは、 80%以上、 85%以上、 90%以上、 95%以上の相同性) を有するものをいう。 そのような種相同体を取得する方法 は、 本明細書の記載から明らかである。 「オルソログ (o r t h o 1 o g) 」 と は、 オルソロガス遺伝子 (o r t ho l ogou s ge ne) ともいい、 二つ の遺伝子がある共通祖先がらの種分化に由来する遺伝子をいう。 例えば、 多重遺 伝子構造をもつヘモグロビン遺伝子フアミリーを例にとると、 ヒトとマウスのひ ヘモグロビン遺伝子はオルソログであるが, ヒ卜のひヘモグロビン遺伝子と jSへ モグロビン遺伝子はパラログ (遺伝子重複で生じた遺伝子) である。 オルソログ は、 分子系統樹の推定に有用であることから、 オルソログもまた、 本発明におい
て有用であり得る。
「保存的 (に改変された) 改変体」 は、 アミノ酸配列および核酸配列の両方に 適用される。 特定の核酸配列に関して、 保存的に改変された改変体とは、 同一の または本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいい、 核酸がアミノ酸配 列をコードしない場合には、 本質的に同一な配列をいう。 遺伝コードの縮重のた め、 多数の機能的に同一な核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。 例えば、 コドン G C A、 G C C、 G C G、 および G C Uはすべて、 アミノ酸ァラニンをコ —ドする。 したがって、 ァラニンがコドンにより特定される全ての位置で、 その コドンは、 コードされたポリペプチドを変更することなく、 記載された対応する コドンの任意のものに変更され得る。 このような核酸の変動は、 保存的に改変さ れた変異の 1つの種である 「サイレン卜改変 (変異) 」 である。 ポリペプチドを コードする本明細書中のすべての核酸配列はまた、 その核酸の可能なすべてのサ ィレント変異を記載する。 当該分野において、 核酸中の各コドン (通常メチォ二 ンのための唯一のコドンである AU G、 および通常トリプトファンのための唯一 のコドンである T G Gを除く) が、 機能的に同一な分子を産生するために改変さ れ得ることが理解される。 したがって、 ポリペプチドをコードする核酸の各サイ レント変異は、 記載された各配列において暗黙に含まれる。 好ましくは、 そのよ うな改変は、 ポリぺプチドの高次構造に多大な影響を与えるァミノ酸であるシス ティンの置換を回避するようになされ得る。
本明細書中において、 機能的に等価なポリペプチドを作製するために、 ァミノ 酸の置換のほかに、 アミノ酸の付加、 欠失、 または修飾もまた行うことができる。 アミノ酸の置換とは、 もとのペプチドを 1つ以上、 例えば、 1〜1 0個、 好まし くは 1 ~ 5個、 より好ましくは 1〜3個のアミノ酸で置換することをいう。 アミ ノ酸の付加とは、 もとのペプチド鎖に 1つ以上、 例えば、 1〜1 0個、 好ましく は 1〜5個、 より好ましくは 1〜3個のアミノ酸を付加することをいう。 ァミノ 酸の欠失とは、 もとのペプチドから 1つ以上、 例えば、 1 ~ 1 0個、 好ましくは
1〜5個、 より好ましくは 1〜3個のアミノ酸を欠失させることをいう。 ァミノ 酸修飾は、 アミド化、 力ルポキシル化、 硫酸化、 Λロゲン化、 アルキル化、 ダリ コシル化、 リン酸化、 水酸化、 ァシル化 (例えば、 ァセチル化) などを含むが、 これらに限定されない。 置換、 または付加されるアミノ酸は、 天然のアミノ酸で あってもよく、 非天然のアミノ酸、 またはアミノ酸アナログでもよい。 天然のァ ミノ酸が好ましい。
このような核酸は、 周知の P C R法により得ることができ、 化学的に合成する こともできる。 これらの方法に、 例えば、 部位特異的変位誘発法、 ハイブリダィ ゼ一ション法などを組み合わせてもよい。
本明細書において、 ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの 「置換、 付加また は欠失」 とは、 もとのポリペプチドまたはポリヌクレオチドに対して、 それぞれ アミノ酸もしくはその代替物、 またはヌクレオチドもしくはその代替物が、 置き 換わること、 付け加わることまたは取り除かれることをいう。 このような置換、 付加または欠失の技術は、 当該分野において周知であり、 そのような技術の例と しては、 部位特異的変異誘発技術などが挙げられる。 置換、 付加または欠失は、 1つ以上であれば任意の数でよく、 そのような数は、 その置換、 付加または欠失 を有する改変体において目的とする機能 (例えば、 癌マーカー、 神経疾患マ一力 —など) が保持される限り、 多くすることができる。 例えば、 そのような数は、 1または数個であり得、 そして好ましくは、 全体の長さの 2 0 %以内、 1 0 %以 内、 または 1 0 0個以下、 5 0個以下、 2 5個以下などであり得る。
本明細書において使用する場合、 「作動可能に連結された (る) 」 とは、 所望 の配列の発現 (作動) がある転写翻訳調節配列 (例えば、 プロモーター、 ェン八 ンサ一など) または翻訳調節配列の制御下に配置されることをいう。 プロモータ 一が遺伝子に作動可能に連結されるためには、 通常、 その遺伝子のすぐ上流にプ 口モータ一が配置されるが、 必ずしも隣接して配置される必要はない。
本明細書において使用する場合、 植物における 「病害抵抗性」 とは、 少なくと
も 2つ以上の植物疾患に対して植物の状態を改善する作用をいう。 例えば、 病害 抵抗性を有する植物は、 病害抵抗性を有さない植物と比較して、 少なくとも 2つ 以上の植物疾患に対して、 改善された耐性および Zまたは抵抗性を有する。
本明細書において使用する場合、 植物における 「病害抵抗性を誘導する農薬」 とは、 少なくとも 2つ以上の植物疾患に対して植物の状態を改善する農薬であり、 かつ植物病原体に対して直接作用しない農薬をいう。
本明細書において使用する塲合、 植物体と、 薬剤および Zまたは農薬を 「接触 させる」 とは、 薬剤および Zまたは農薬が植物体に対して何らかの作用をするこ とが可能な程度に物理的に接近することをいう。 この接触は、 例えば、 噴霧、 塗 布、 パンチ接種、 および注入、 によってなされ得る。
本明細書において使用する場合、 「病害抵抗性誘導遺伝子」 とは、 病害抵抗性 をもたらす何らかの刺激 (例えば、 プロべナゾ一ルのような化合物との接触) に よって誘導される、 遺伝子をいう。 この遺伝子の例としては、 PBZ 1遺伝子、 D9遺伝子、 Ra c 1遺伝子が挙げられるが、 これらに限定されない。
PBZ 1遺伝子のプロモー夕一を使用する場合、 代表的には、 イネ由来の配列 番号 1に記載の配列全長、 またはそのフラグメントを用いることができる。
D 9遺伝子のプロモーターを使用する場合、 代表的には、 イネ由来の配列番号 4に記載の配列全長、 またはそのフラグメントを用いることができる。
Ra c 1遺伝子のプロモー夕一を使用する場合、 代表的には、 イネ由来の配列 番号 6に記載の配列全長、 またはそのフラグメントを用いることができる。
本発明を植物において利用する場合、 植物細胞への植物発現ベクターの導入に は、 当業者に周知の方法、 例えば、 ァグロパクテリゥムを介する方法および直接 細胞に導入する方法、 が用いられ得る。 ァグロパクテリゥムを介する方法として は、 例えば、 N a g e 1らの方法 (Nage l ら (1990) 、 Mi c ro b i o 1. Le t t. , 67, 325) が用いられ得る。 この方法は、 まず、 例えば植物発現べクタ一でエレクトロボレ一シヨンによってァグロパクテリゥム
を形質転換し、 次いで、 形質転換されたァグロパクテリゥムを Ge 1 V i nら ( Ge l v i nら編 (1994 P l an t Mo l e c u l a r B i o l o g y Manu a l (K 1 u w e r Ac ademi c P r e s s P u b 1 i s he r s) に記載の方法で植物細胞に導入する方法である。 植物発現 ベクターを直接細胞に導入する方法としては、 エレクト口ポレーシヨン法 (Sh im o t oら (1989) 、 Na t u r e、 338 : 274-276 ;およ び R hod e sら (1989 S c i e nc e, 240 : 204-207を参 照のこと) 、 パーティクルガン法 (Ch r i s t ouら (1991 B i o /Te c hno l ogy 9 : 957— 962を参照のこと) ならびにポリェチ レングリコ一ル (PEG) 法 (D a t t aら (1990) 、 B i o/Te c h no l ogy 8 : 736— 740を参照のこと) が挙げられる。 これらの方法 は、 当該分野において周知であり、 形質転換する植物に適した方法が、 当業者に より適宜選択され得る。
植物発現べクタ一を導入された細胞は、 まずカナマイシン耐性などの薬剤耐性 で選択される。 次いで、 当該分野で周知の方法により、 植物組織、 植物器官およ び Zまたは植物体に再分化され得る。 さらに、 植物体から種子が取得され得る。 導入した遺伝子の発現は、 ノーザンプロット法または PCR法により、 検出し得 る。 必要に応じて、 遺伝子産物たるタンパク質の発現を、 例えば、 ウエスタンブ ロット法により確認し得る。 好ましい実施形態の説明
(スクリーニングに用いる植物体の作製)
本発明に従って、 病害抵抗性を誘導する農薬をスクリーニングするために使用 され得る植物体は、 (a) 植物の病害抵抗性誘導遺伝子のプロモーター;および (b) 該プロモーターに作動可能に連結された、 蛍光タンパク質をコードする遺
伝子を含む、 発現カセットを作製し、 その発現カセットを植物に導入することに よって作製される。
この発現カセッ卜において使用されるプロモータ一としては、 種々の病害抵抗 性誘導遺伝子、 例えば、 PBZ 1遺伝子のプロモーター (配列番号 1) 、 D9遺 伝子のプロモータ一 (配列番号 4) 、 および R a c 1遺伝子のプロモータ一 (配 列番号 6) が挙げられる。 また、 本発明の発現カセットにおいて使用する場合、 必ずしもこれらのプロモ一ターの全長を用いる必要はなく、 これらプロモ一夕一 のフラグメントであって、 プロべナゾ一ルおよび Zまたはセレプロシド Bのよう な病害抵抗性を誘導する農薬に応答するフラグメントであってもよい。 例えば、 配列番号 4に示される D 9遺伝子プロモーター領域 1020 bpの場合、 その全 長のみならず、 配列番号 4の 815 bpフラグメント (配列番号 5) を用いるこ ともできる。 実際に、 この配列番号 4の 815 b pを蛍光タンパク質をコードす る遺伝子に作動可能に連結した場合、 いもち病によって発現が誘導された。 その 815 bpフラグメントによる誘導の強度は、 配列番号 4の全長 1020 b pを 用いた場合と同様であった。
また、 これらプロモータ一を蛍光タンパク質をコードする遺伝子に連結する場 合は、 プロモータ一が作動可能な条件であればよい。
この蛍光タンパク質としては、 ォワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質 (GF P) 、 配列番号 3のアミノ酸配列を有する変異型 GFP、 イソギンチヤク近縁種 D i s c o s on a s t r i a t a由来の蛍光タンパクである R F P (Re d
F l uo r e s c e n t P r o t e i n; , Ae qu r e c o e r u 1 e s c e n s由来の GFP (例えば、 E v r o g e n社 (ロシア) の Ac e— G r e e n (登録商標) ) 、 甲殻生物である C o p e p o d由来の GF P (例えば、 E v r o g e n社 (ロシア) の Cop— Gr e en (登録商標) ) 、 黄色蛍光夕 ンパク質 (例えば、 Ev r 0 g e n社 (ロシア) の Ph i— Ye 1 1 ow (登録 商標) ) 、 K i nd l i ng Re d F l uo r e s c en t P r o t e i
n (キンドリングレッド蛍光タンパク質: KFP— Re d) (例えば、 Ev r o g e n社 (ロシア) の Ki nd l i n g-Re d (登録商標) ) 、 赤色蛍光タン パク質 (例えば、 Ev r o g e n社 (ロシア) の HuRED— t and em (登 録商標) ) 、 および Kae de (力ェデ) タンパク質 (Andoら、 P r o c. N t l . Ac ad. Sc i. USA 2002、 Oc t 1 ; 99 (20) :
12651 - 6) が挙げられるが、 これらに限定されない。
この発現カセットを導入した植物体の作製は、 例えば、 植物細胞 (例えば、 力 ルス細胞、 胚細胞、 種子) に発現カセットを含むベクタ一を導入し、 その後、 遺 伝子導入された植物細胞を植物体に再生することによって行われ得る。 植物細胞 へのべクタ一の導入方法としては、 植物細胞に D N Aを導入する方法であればい ずれも用いることができ、 例えば、 卜ランスフエクシヨン、 形質導入、 以下を用 いた形質転換などが挙げられる:ァグロパクテリゥム (Ag r o b a c t e r i urn) (特開昭 59— 140885、 特開昭 60— 70080、 WO 94/ 00 977、 特開 2001— 29075 (特許 3141084号) 、 特開 2000—
245485) 、 エレクトロポレーション法 (特開昭 60-251887) 、 パ 一ティクルガン (遺伝子銃) を用いる方法 (特許第 2606856、 特許第 25
17813) 等が例示される。 本発明においては、 形質転換後に再生した植物体 の後代を用いることも可能である。
また、 本発明の植物体を作製する場合は、 プロモータ一:蛍光タンパク質コー ド遺伝子の融合物を 2つ以上、 植物に導入する発現カセッ卜に含ませてもよい。 また、 本発明の植物体を作製する場合は、 プロモーター:蛍光タンパク質コー ド遺伝子の融合物を有する発現カセットを 2種類以上、 植物に導入してもよい。
(複数のプロモ一ターを用いる薬剤のスクリーニング)
上記の本発明の実施例の結果、 PBZ 1遺伝子は、 プロべナゾールおよびセレ プロシド Bの両薬剤に対して応答性であり、 しかも、 他の 2つのプロモーター、
D 9プロモーターおよび R a c 1プロモ一夕一と比較して、 蛍光タンパク質によ るシグナルが強かった。 従って、 PBZ 1プロモ一夕一は、 そのシグナルの強さ から、 発光ダイオードを光源として使用する蛍光測定法と組み合わせた場合、 候 補薬剤が病害抵抗性を誘導する農薬であるか否かを簡便に決定することができる。 しかし、 その一方で、 PBZ 1プロモータ一は、 他の多くのストレスに対しても 応答性であるという特徴を有する。 例えば、 気温、 水温、 水分、 光量等がイネの 生育に不適切である塲合、 いわゆる生理障害が起こり、 PBZ 1の発現誘導が観 察された。 また、 温室内で、 葉が白く抜けるなどの生理障害が生じた場合にも、 PBZ 1遺伝子が誘導される。 PBZ 1プロモ一夕一は、 多くの無関係なストレ スに対しても応答性であることから、 病害抵抗性を誘導する農薬のスクリーニン グにおいて擬陽性を生じやすいことも判明した。
その一方で、 D 9プロモー夕一は、 PB Z 1プロモ一夕一と同様に、 プロべナ ゾ一ルに対して応答性であつたが、 そのシグナルは、 PBZ 1と比較して弱かつ た。 従って、 D 9プロモ一夕一は、 そのシグナルが PBZ 1と比較して弱いため、 PBZ 1と比較して、 候補薬剤が病害抵抗性を誘導する農薬であるか否かの判定 を迅速に行うことはできない。 その一方で、 D9プロモ一タ一は、 PBZ 1プロ モ一夕一と異なり多くの無関係なストレスに対して応答性ではなかった。 そのた め、 PBZ 1プロモ一夕一によって問題となる擬陽性は、 ほとんど問題とならな い。
そこで、 PBZ 1プロモータ一によるスクリーニングと、 D 9プロモ一夕一に よるスクリーニングを組み合わせることによって、 迅速かつ擬陽性の少ないスク リーニングを行うことが可能である。
上記組み合わせスクリーニングにおいては、 1つの植物体中に、 (a) 配列番 号 1に記載される PBZ 1遺伝子プロモー夕一配列またはそのフラグメントを有 する第 1のプロモータ一、 およびその第 1のプロモーターに作動可能に連結され
た第 1の蛍光タンパク質をコードする遺伝子、 ならびに (b ) 配列番号 4に記載 される D 9遺伝子プロモータ一配列またはそのフラグメントを有する第 2のプロ モータ一、 およびその第 2のプロモーターに作動可能に連結された第 2の蛍光夕 ンパク質をコードする遺伝子、 を含む 1つの発現カセットを導入し、 その植物体 を用いることができる。 あるいは、 1つの植物体中に、 (a ) 配列番号 1に記載 される P B Z 1遺伝子プロモ一夕一配列またはそのフラグメントを有する第 1の プロモータ—、 およびその第 1のプロモータ一に作動可能に連結された第 1の蛍 光タンパク質をコードする遺伝子を含む第 1の発現カセット、 ならびに (b ) 配 列番号 4に記載される D 9遺伝子プロモーター配列またはそのフラグメントを有 する第 2のプロモーター、 およびその第 2のプロモーターに作動可能に連結され た第 2の蛍光タンパク質をコードする遺伝子を含む第 2の発現カセットを導入し、 その植物体を用いることができる。 あるいは、 (a ) 配列番号 1に記載される P B Z 1遺伝子プロモータ一配列またはそのフラグメントを有する第 1のプロモー 夕一、 およびその第 1のプロモーターに作動可能に連結された第 1の蛍光夕ンパ ク質をコードする遺伝子を含む第 1の発現カセットを導入した第 1の植物体、 な らびに (b ) 配列番号 4に記載される D 9遺伝子プロモ一ター配列またはそのフ ラグメントを有する第 2のプロモータ一、 およびその第 2のプロモ一夕一に作動 可能に連結された第 2の蛍光夕ンパク質をコードする遺伝子を含む第 2の発現力 セットを導入した第 2の植物体を用いることができる。
上記の植物体 (単数または複数) を用いて、 複数のプロモーターの応答を蛍光 タンパク質の発現によって検出することによって、 病害抵抗性を誘導する農薬の スクリーニングを行うことができる。
例えば、 1次スクリーニングにおいては、 P B Z 1プロモー夕一と作動可能に 連結した第 1の蛍光タンパク質をコードする遺伝子の発現を測定することによつ て、 薬剤および Zまたは農薬の作用を評価する。 P B Z 1プロモ一ターを誘導す
る薬剤 ·農薬は、 病害抵抗性を誘導する農薬の候補であり、 2次スクリ一二ング に供される。 第 1の蛍光タンパク質の発現量の測定は、 第 1の蛍光タンパク質に 適したフィルターを備えた蛍光測定装置を用いて行うことができる。
1次スクリーニングにおいて、 陽性を示した薬剤および または農薬について、 次に、 D 9プロモーターと作動可能に連結した第 2の蛍光タンパク質をコードす る遺伝子の発現を測定することによって、 薬剤および Zまたは農薬の作用を評価 する。 D 9プロモーターを誘導する薬剤 ·農薬を、 病害抵抗性を誘導する農薬の 候補として単離する。
上記複数のプロモーターの組み合わせスクリーニングによって、 病害抵抗性を 誘導する農薬を効率的にスクリーニングすることが可能である。 上記のスクリーニング法はさらに、 R a c 1プロモ一夕一を用いるスクリ一二 ングと組み合わせられ得る。 以下の実施例において示されるように、 R a c lプ ロモ—夕一は、 セレブロシド Bで誘導されたが、 プロべナゾールでの誘導は確認 されなかった。 薬剤に対するプロモーターの応答性の差異は、 薬剤によって異な る経路で細胞に作用することに起因すると考えられる。 従って、 複数種類のプロ モータ一の応答性を比較することによって、 作用機構に基づいて候補薬剤を分類 することが可能になる。
例えば、 P B Z 1プロモーターからの発現を誘導し、 かつ R a c lプロモータ 一からの発現を誘導する薬剤は、 プロべナゾールと類似する作用機構を有する薬 剤であると推定される。 これに対して、 P B Z 1プロモー夕一からの発現を誘導 するが、 R a c 1プロモーターからの発現を誘導しない薬剤は、 セレブロシド B と類似する作用機構を有する薬剤であると推定される。
この知見に基づいて、 例えば、 P B Z 1プロモーターと作動可能に連結した第 1の蛍光タンパク質をコードする遺伝子の発現を測定し、 そして R a c 1プロモ 一夕一と作動可能に連結した第 2の蛍光タンパク質をコ一ドする遺伝子の発現を
測定することによって、 薬剤をその作用機構によって分類することが可能である。 病害抵抗性を誘導する薬剤を分類することによって、 その薬剤の施用する量、 濃度、 時期などの手がかりとすることができる。 そのような施用の手がかりがあ る場合、 最適な施用方法の決定に必要な試行錯誤を減らし、 その結果、 任意の薬 剤の施用条件をより容易に決定することが可能である。
(発光ダイオードによる蛍光タンパク質の検出)
本発明において、 植物体において発現された蛍光タンパク質を検出するために は、 例えば、 特開 2001— 269171に開示される蛍光物質観察用励起光照 射装置を用いることができる。 その蛍光物質観察用励起光照射装置は、 発光ダイ オードを光源とし、 図 9に示すように、 観察に使用する蛍光物質 1の励起光 2の 波長に近い波長を発光特性のピークとする発光ダイオード素子を光源 10として 備える。 例えば、 (1) ォワンクラゲより単離された蛍光タンパク GFPに由来 する改変型 GFPを用いる場合、 その励起波長である 488 nmに近い発光特性 を有する発光ダイオードを使用し、 GFPを発現する形質転換植物細胞を 5 1 1 nmの蛍光発光によって肉眼で識別できる光量 1 1とする; (2) イソギンチヤ ク近縁種 Discosona striataより単離された蛍光タンパク (RFP:Red
Fluorescent Protein) の改変型 D s Re dを用いる場合は、 その励起波長であ る 558 nmに近い発光特性を有する発光ダイオードを使用し、 RFPを発現す る形質転換細胞を D s Re dの 583 nmの蛍光発光によって識別する。
また、 導入遺伝子の発現を起こさせるための装置であるプロモ一夕一の発現特 性を、 適当な、 再分化された個体を対象として、 組織毎、 あるいは生育ステージ 毎に、 GFPにあっては 511 nm、 R F Pにあっては 583 nmの蛍光発光を 各々検出することにより明らかにすることも可能である。 あるいは、 複数のプロ モーターを各々異なる蛍光タンパク質をコードする遺伝子に連結し、 各々のプロ モーターの応答性を同時に、 測定することも可能である。
必要に応じて、 この発光ダイォードを 2偭またはそれ以上束ねることにより光 量を確保する。 更に所要により発光帯域を狭める必要がある場合には所要の励起 光 2の波長のみを透過させるフィルター 4を装備する。 発光ダイォ一ド素子から の放射光の帯域は狭いため、 励起光 2.の波長のみを透過するフィル夕一 4で波長 帯域を制限した場合でも強い励起光 2が得られる。
発光ダイォードは電気から光への変換効率が高く、 乾電池程度の電源でも十分 な光量が得られ、 また、 発光ダイオード素子の寿命は長く、 素子は熱を持ちにく いことか 小型化することができる。 従って、 乾電池または A Cアダプターを電 源として使用することができる。 また、 この装置は破損しやすい管球ゃフィラメ ント類を使っていないため、 可搬性に優れ、 暗室や温室、 人工気象室内など場所 を選ばず容易に移動して、 照射、 観察が可能となる。 以上、 好ましい実施形態を例示して本発明を説明してきた。 以下に、 図面を参 照しながら、 実施例に基づいて本発明を説明するが、 以下の実施例は、 例示の目 的のみに提供されることに留意されるべきである。 従って、 本発明の範囲は、 説 明に用いた特定の実施形態にも下記実施例にも限定されるものではなく、 特許請 求の範囲によってのみ限定される。 実施例
以下に実施例等により本発明を詳しく説明するが、 本発明はこれらに限定され るものではない。
(実施例 1 )
0 1法にょり単離した?8 2 1プロモーター領域を変異型 G F P (配列番号 2 ) に融合し, バイナリベクターを用いて、 特許 3 1 4 1 0 8 4号のァグロパク テリゥム法により、 イネ品種 「日本晴」 に導入した。 遺伝子導入を行ったカルス
から植物体を再分化させ、 再生個体を得た。 この植物を温室で生育させ、 後代の 種子を採取した。 PBZ 1プロモーターを領域を変異型 GFPに融合したキメラ DNA導入イネ植物体を胚での GFP発現により選抜し、 キメラ DNAの導入が 確認された植物体を得た。 この植物を生育させ、 既存の農薬であるオリゼメート を施用し (方法は、 明治製菓研究年報 N036、 42— 54、 1997を参考に した) 、 7〜10日目に葉身における GFPの発現を観察した。 その結果、 葉身 における変異型 GFP発現の誘導が確認された (図 1Aおよび B) 。
(実施例 2)
実施例 1と同様にキメラ DNA導入形質転換イネに、 既存の農薬であるオリゼ メートの主成分プロべナゾールを 20 OmgZlの濃度で施用し、 3日目に葉身 における変異型 GFPの発現を観察した。 その結果、 葉身における変異型 GFP 発現の誘導が確認された (図 1Cおよび D) 。 (実施例 3)
実施例 1と同様にキメラ DNA導入形質転換イネに、 いもち菌由来のエリシ夕 一分子であるセレブ口シド Bを 2 g ZmLの濃度で施用し、 6時間後に葉身に おける GFPの発現を観察した。 その結果、 葉身における変異型 GFP発現の誘 導が確認された (図 1E〜G) 。
(実施例 4)
実施例 1と同様にキメラ DNA導入形質転換イネに、 いもち菌 (007菌) を 接種し、 7日目に変異型 GFPの発現を観察した. その結果、 葉身のいもち感染 部位における変異型 GFP発現の誘導が確認された (図 2および 3) 。
(実施例 5)
実施例 1と同様にキメラ DN A導入形質転換ィネにおける非誘導性の変異型 G FPの発現を観察した。 その結果、 茎、 外穎、 内穎、 根、 登熟中の胚、 発芽中の 胚乳及び、 胚で変異型 GFP発現が観察されたが、 完熟種子における GFP発現 は検出されなかった (図 4〜6) 。
(実施例 6)
PBZ 1以外の病害抵抗性誘導遺伝子である D 9遺伝子のプロモーターについ て、 実施例 1、 2および 4と同様に実験を行った。
実施例 1と同様の方法で D 9プロモーター (配列番号 4) と連結した GFP ( 配列番号 2) キメラ DNAを導入した形質転換イネに、 既存の農薬であるオリゼ メートの主成分プロべナゾールを 20 OmgZlの濃度で施用し、 7日目に葉身 における変異型 GFPの発現を観察した。 その結果、 葉身における変異型 GFP 発現の誘導が確認された (図 7) 。 次に、 実施例 1と同様の方法で D 9プロモー夕一 (配列番号 4) と連結した G
FP (配列番号 2) キメラ DNAを導入した形質転換イネに、 いもち菌 (007 菌) を接種し、 7日目に変異型 GFPの発現を観察した。 その結果、 葉身のいも ち感染部位における変異型 GFP発現の誘導が確認された (図 8B) 。 (実施例 7)
PBZ 1以外の病害抵抗性誘導遺伝子である R a c 1遺伝子のプロモーター ( 配列番号 6) について、 実施例 1〜 5と同様に実験を行った。
その結果、 Rac lプロモーターは、 セレブロシド Bで誘導されたが、 プロべ ナゾールでの誘導は確認できなかった (データ示さず) 。 また、 いもち菌接種時 に R a c 1遺伝子から転写される RNAの発現上昇は見られなかった。 しかし、 Ra c l p : : GFPを導入したイネでは, いもち菌接種による GF Pの発現誘
導が確認できた。
以上の結果から、 病害抵抗性誘導遺伝子の中で、 PBZ 1遺伝子のプロモータ —を用いた場合は、 プロべナゾールとセレブロシド Bの双方において、 蛍光タン パク質による検出が可能であつたが。 Ra c lプロモ一夕一は、 プロべナゾール に対する応答を確認することができず、 セレブロシド Bに対して応答性であった。 このことは、 プロべナゾ一ルとセレブロシド Bの作用機構が異なること、 および PBZ 1遺伝子と Rac 1遺伝子は、 異なる経路で発現誘導される遺伝子である ことを示す。 (実施例 8)
上記の本発明の実施例の結果、 PBZ 1遺伝子は、 プロべナゾールおよびセレ プロシド Bの両薬剤に対して応答性であり、 しかも、 他の 2つのプロモ一夕一、 D 9プロモーターおよび R a c 1プロモーターと比較して、 蛍光タンパク質によ るシグナルが強かった。 従って、 PBZ 1プロモー夕一は、 そのシグナルの強さ から、 発光ダイオードを光源として使用する蛍光測定法と組み合わせた場合、 候 補薬剤が病害抵抗性を誘導する農薬であるか否かを簡便に決定することができる。 しかし、 その一方で、 PBZ 1プロモー夕一は、 他の多くのストレスに対しても 応答性であるという特徴を有する。 例えば、 気温、 水温、 水分、 光量等がイネの 生育に不適切である場合、 いわゆる生理障害が起こり、 PBZ 1の発現誘導が観 察された。 また、 温室内で、 葉が白く抜けるなどの生理障害が生じた塲合にも、 PBZ 1遺伝子が誘導される。 PBZ 1プロモータ一は、 多くの無関係なストレ スに対しても応答性であることカ ら、 病害抵抗性を誘導する農薬のスクリ一ニン グにおいて擬陽性を生じやすいことも判明した。
D 9プロモー夕一は、 PBZ 1プロモーターと同様に、 プロべナゾールに対し て応答性であつたが、 そのシグナルは、 PBZ 1と比較して弱かった。 従って、 D 9プロモーターは、 そのシグナルが PBZ 1よりも弱いため、 PBZ 1と比較
して、 候補薬剤が病害抵抗性を誘導する農薬であるか否かの判定を簡便に行うこ とができない。 その一方で、 D 9プロモ一夕一は、 P B Z 1プロモーターと異な り多くの無関係なストレスに対して応答性ではなかった。 従って、 P B Z 1プロ モータ一によって問題となる擬陽性は、 D 9プロモーターの場合、 ほとんど問題 とならない。
そこで、 P B Z 1プロモータ一によるスクリーニングと、 D 9プロモ一夕一に よるスクリーニングを組み合わせたスクリーニング方法を以下のように行う。 組み合わせスクリーニングにおいて、 (a ) 配列番号 1に記載される P B Z 1 遺伝子プロモータ一配列またはそのフラグメントを有する第 1のプロモー夕一、 およびその第 1のプロモーターに作動可能に連結された第 1の蛍光夕ンパク質を コードする遺伝子を含む第 1の発現カセットを導入した第 1の植物体、 ならびに ( b ) 配列番号 4に記載される D 9遺伝子プロモー夕一配列またはそのフラグメ ン卜を有する第 2のプロモータ一、 およびその第 2のプロモーターに作動可能に 連結された第 2の蛍光タンパク質をコードする遺伝子を含む第 2の発現カセッ卜 を導入した第 2の植物体を用いる。
第 1の植物体に多数の候補薬剤を接触させ、 第 1の蛍光夕ンパク質を指標とし て、 1次スクリーニングを行う。 多数の候補薬剤の中から、 第 1の蛍光タンパク 質の発現を誘導する薬剤、 すなわち、 P B Z 1誘導性の薬剤を選択する。 次に、 その選択された薬剤を、 第 2の植物体に接触させ、 第 2の蛍光タンパク質を指標 として、 2次スクリーニングを行う。 候補薬剤の中から、 第 2の蛍光タンパク質 の発現を誘導する薬剤、 すなわち、 D 9誘導性の薬剤を選択する。 以上のように、 本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、 本発明は、 この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。 本発明は、 特 許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。
当業者は、 本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、 本発明の記載および 技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。 本明 細書において引用した特許、 特許出願および文献は、 その内容自体が具体的に本 明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用 されるべきであることが理解される。 産業上の利用可能性 本発明によって、 a ) 植物の病害抵抗性誘導遺伝子の天然のプロモーター;お よび b ) 該プロモーターに作動可能に連結された蛍光タンパク質をコードする遺 伝子、 を含む発現カセットを含むベクターによって形質転換された植物体を得て、 その植物体を候補薬剤によって処理し、 その蛍光タンパク質の発現量を指標にし て、 候補薬剤にスクリーニングを行なう方法およびその方法のためのシステムが 提供される。 また、 そのスクリーニング方法によって使用される植物体もまた、 提供される