明細書
車輪支持用転がり軸受ュニッ卜の製造方法及び製造装 ί 技術分野
この発明は、 自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為の車輪支 持用転がり軸受ュニッ卜の製造方法の改良と、 この製造方法の実施に使用する製 造装置とに関する。 背景技術
自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為に、 車輪支持用転がり 軸受ユニットを使用する。 この様な車輪支持用転がり軸受ュニットとして特開 2 0 0 0— 3 4 3 9 0 5号公報には、 図 8の様な構造が記載されている。 この車輪 支持用転がり軸受ユニットは、 外径側軌道輪部材である外輪 1の内径側に、 内径 側軌道輪部材であるハブ 2を、 第一列、 第二列の両円すいころ軸受 3、 4により 回転自在に支持している。 このうちの外輪 1は、 内周面の一端 (車両への組み付 け状態で車両の幅方向外側となる端で、 図 8の左端。 ) 側部分に、 第一列の円す いころ軸受 3を構成する為の、 円すい凹面状の第一の外輪軌道 5を、 同じく他端 (車両への組み付け状態で車両の幅方向中央側となる端で、 図 8の右端。 ) 側部 分に、 第二列の円すいころ軸受 4を構成する為の、 円すい凹面状の第二の外輪軌 道 6を、 それぞれ形成すると共に、 懸架装置に支持固定する為の取付部 7を外周 面に設けている。
又、 上記ハブ 2は、 軸部材であるハブ本体 8と内輪 9とを組み合わせて成る。 このうちのハブ本体 8は、 車輪を支持する為のフランジ 1 0を外周面の一端部に、 上記第一列の円すいころ軸受 3を構成する為の円すい凸面状の第一の内輪軌道 1 1を同じく中間部に、 この第一の内輪軌道 1 1を形成した部分よりも小径の段部 1 3を同じく他端部に、 それぞれ形成している。 尚、 上記第一の内輪軌道 1 1は、
上記ハブ本体 8の中間部に外嵌した別の内輪の外周面に形成する場合もある。 又、 上記内輪 9は、 上記第二列の円すいころ軸受 4を構成する為の円すい凸面状の第 二の内輪軌道 1 2を、 外周面に有する。 この様な内輪 9は、 上記段部 1 3に圧入 外嵌すると共に、 上記ハブ本体 8の他端部に設けたかしめ部 1 4により、 上記段 部 1 3の段差面 1 5に向け抑え付けている。 この様なかしめ部 1 4は、 上記ハブ 本体 8の他端部で、 少なくとも上記段部 1 3に圧入 (締り嵌めで) 外嵌した内輪 9の他端面よりも軸方向に突出する部分に形成した円筒部 1 6を、 揺動プレス加 ェ等により直径方向外方に塑性変形させて形成する。
又、 上記第一、 第二の外輪軌道 5、 6と上記第一、 第二の内輪軌道 1 1、 1 2 との間には、 それぞれが転動体である円すいころ 1 7を複数個ずつ、 それぞれ第 一、 第二の保持器 1 8、 1 9により転動自在に保持した状態で設けている。 これ により、 上記第一列、 第二列の両円すいころ軸受 3、 4を構成している。 尚、 ト ラック等の重量の嵩む自動車用の車輪支持用転がり軸受ュニッ卜の場合には、 上 記転動体として上述の様な円すいころ 1 7を使用するが、 乗用車等の比較的重量 の軽い自動車用の車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、 上記転動体として、 玉を使用する場合が多い。 又、 図示の例では、 上記外輪 1の一端部に支持したシ —ルリング 2 0により、 上記複数個の円すいころ 1 7を設けた空間 2 1の一端開 口部を密閉している。 尚、 図示は省略するが、 この空間 2 1の他端開口部も、 別 のシールリングにより密閉するか、 或は、 上記外輪 1の他端部に装着したカバ一 により塞ぐ。 これにより、 上記空間 2 1に封入したグリース等の潤滑剤が外部に 漏洩するのを防止すると共に、 外部からこの空間 2 1内に泥水等の異物が侵入す るのを防止する。
上述の様に構成する車輪支持用転がり軸受ュニットを組み立てる際には、 先ず、 上記ノ、ブ本体 8の周囲に上記外輪 1を配置すると共に、 上記第一の内輪軌道 1 1 と上記第一の外輪軌道 5との間に上記複数個の円すいころ 1 7を、 上記第一の保 持器 1 8により保持した状態で設ける。 これと共に、 上記シールリング 2 0を、 上記円筒状の空間 2 1の一端開口部を塞ぐ状態で装着する。 尚、 ここまでの組立 作業の順序は、 車輪支持用転がり軸受ユニットの構造によって、 多少異なる。
― , ― 例えば、 図 8に示した車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、 先ず、 上記 第一の内輪軌道 1 1の周囲に上記複数個の円すいころ 1 7を、 上記第一の保持器 1 8に保持した状態で配置する。 尚、 この状態で、 上記第一の内輪軌道 1 1と上 記各円すいころ 1 7の転動面とに、 グリース等の潤滑剤を塗布しておく。 又、 上 記外輪 1の一端部に、 上記シールリング 2 0を外嵌固定しておく。 図示の例の場 合、 このシールリング 2 0は、 断面 L字形で全体を円環状に形成した芯金 2 2と、 同じく円環状に形成して、 この芯金 2 2の内径側部分に焼き付け、 接着等により 固定した弹性材 2 3とから成る。 上記外輪 1の一端部には、 このうちの芯金 2 2 を外嵌固定する。
次いで、 この様にシールリング 2 0を外嵌固定した上記外輪 1に上記ハブ本体 8を、 その他端部側から挿通し、 この外輪 1をハブ本体 8の周囲に配置する。 こ の揷通作業により、 上記第一の外輪軌道 5が上記第一の保持器 1 8により保持し た複数個の円すいころ 1 7の転動面と当接する。 尚、 この外輪 1の揷通作業を行 なうのに先立ち、 上記第一の外輪軌道 5にも、 グリース等の潤滑剤を塗布してお く。 又、 上述の様に外輪 1をハブ本体 8の周囲に配置する事に伴い、 上記シール リング 2 0を構成する弹性材 2 3に設けた複数本のシ一ルリップの先端縁が、 上 記ハブ本体 8の一端寄り部外周面及び前記フランジ 1 0の基端部側面に当接 (運 転時には摺接) し、 上記円筒状の空間 2 1の一端開口部を密閉する。
上述の様にハブ本体 8の周囲に外輪 1を配置しつつ、 上記第一の内輪軌道 1 1 と上記第一の外輪軌道 5との間に上記第一の保持器 1 8により保持した複数個の 円すいころ 1 7を設けると共に、 上記シールリング 2 0により前記空間 2 1の一 端開口部を塞いだならば、 次いで、 前記内輪 9を上記ハブ本体 8の他端部に外嵌 する。 この外嵌作業に先立って、 この内輪 9の外周面に形成した第二の内輪軌道 1 2の周囲に複数個の円すいころ 1 7を、 前記第二の保持器 1 9により保持した 状態で設置しておく。 そして、 この状態で上記内輪 9を、 上記ハブ本体 8の他端 部に形成した段部 1 3に、 締り嵌めで外嵌する。 この外嵌作業は、 図 9に示す様 に、 上記ハブ本体 8の一端面を支持台 2 4の上面に載置した状態で、 上記内輪 9 を圧入治具 2 5 'により上記段部 1 3に押し込む事により行なう。 そして、 上記外
Λ
- 4 - 嵌作業に伴って、 上記第二の保持器 1 9により保持した複数個の円すいころ 1 7 の転動面を、 上記外輪 1の他端寄り部内周面に形成した第二の外輪軌道 6に当接 させる。 この際、 上記外輪 1を上記ハブ本体 8に対し、 回転若しくは往復揺動さ せて、 上記各円すいころ 1 7の転動面と上記各軌道 5 6 1 1 1 2との当接 状態を安定させる。
次いで、 上記八ブ本体 8の他端部に形成した円筒部 1 6を直径方向外方に塑性 変形させて、 かしめ部 1 4を形成する。 このかしめ部 1 4の形成作業は、 図 1 0 に示す様に、 上記ハブ本体 8の一端面を支持台 2 4の上面に載置した状態で、 上 記円筒部 1 6を、 請求項に記載した加圧部材である押型 2 6により押圧する事に より行なう。 この押型 2 6の先端面 (図 1 0の下端面) 中央部には、 上記円筒部 1 6の内側に押し込み自在な円錐台状の凸部 2 7を形成し、 この凸部 2 7の周囲 に断面円弧状の凹部 2 8を、 この凸部 2 7の全周を囲む状態で形成している。 こ の様な形状の凸部 2 7と凹部 2 8とを有する押型 2 6を上記円筒部 1 6の先端部 に押し付ければ、 この円筒部 1 6の先端部を直径方向外方にかしめ広げて、 上記 かしめ部 1 4を形成する事ができる。
上記押型 2 6の中心軸 は、 上記ハブ本体 8の中心軸 ]3に対し、 小さな (例え ば 1 3度程度の) 角度 0だけ傾斜している。 上記かしめ部 1 4の加工時に上記 押型 2 6は、 その中心軸 αを上記ハブ本体 8の中心軸) 3の回りで (歳差運動によ る中心軸の軌跡の如く) 振れ回り運動させつつ、 上記ハブ本体 8に向け押し付け られる。 この為、 上記押型 2 6から上記円筒部 1 6へは、 軸方向に関して一端側 に、 径方向に関して外方に、 それぞれ向いた荷重が加えられ、 この様に荷重を加 えられる部分が、 上記円筒部 1 6の円周方向に関して連続的に変化 (押圧部分が 公転) する。 この結果、 上記押型 2 6に加える力を特に大きくしなくても、 上記 円筒部 1 6を塑性変形させて、 良質のかしめ部 1 4を得られる。 そして、 この様 にして得たかしめ部 1 4により上記内輪 9の他端面を軸方向に抑え付ける事で、 この内輪 9を上記ハブ本体 8に固定する。 この様に上記かしめ部 1 4を形成する 際にも、 前記外輪 1を上記ハブ本体 8に対し、 回転若しくは往復揺動させて、 上 記各円すいころ 1 7の転動面と上記各軌道 5 6 1 1 1 2との当接状態を安
定させる。
更に、 前記特開 2 0 0 0— 3 4 3 9 0 5号公報には、 上記かしめ部 1 4の形成 作業を、 上述の様な揺動鍛造に代えて、 回転鍛造により行なう場合に就いても記 載されている。 この回転鍛造を行なう場合には、 図 1 1に示す様に、 ハブ本体 8 の一端部 (反かしめ側端部で図 1 1の下端部。 ) を支持軸受 2 9により回転自在 に支持すると共に、 外輪 1を図示しない抑え治具等により固定して、 内輪 9及び 上記ハブ本体 8が、 この外輪 1の内側で回転する事を自在とする。 そして、 この ハブ本体 8の他端部 (かしめ側端部で図 1 1の上端部。 ) に設けた円筒部 1 6の 先端部の一部に、 加圧部材であるロール 3 0の先端寄り部を強く押し付ける。 こ のロール 3 0の先端寄り部外周面には、 全周に亙り凹部 3 1を形成している。 従 つて、 この状態で、 上記内輪 9及びハブ本体 8と上記ロール 3 0とを、 それぞれ の中心軸を中心として回転させれば、 上記円筒部 1 6の先端部を直径方向外方に かしめ広げて、 上記かしめ部 1 4を形成する事ができる。
ハブ本体 8の端部に形成した円筒部 1 6を塑性変形させてかしめ部 1 4とする 場合、 この塑性変形作業を、 図 1 0に示す様な揺動鍛造で行なうにしても、 図 1 1に示す様な回転鍛造により行なうにしても、 上記ハブ本体 8に押型 2 6 (図 1 0に示した揺動鍛造の場合) 或は口一ル 3 0 (図 1 1に示した回転鍛造の場合) から、 径方向及び軸方向に向いた荷重が加わる。 そして、 この荷重は、 荷重の作 用方向に存在する円すいころ 1 7を介して上記外輪 1が支承する事になる。 この 場合に荷重を支承する円すいころ 1 7は、 上記かしめ部 1 4に近い、 第二列の円 すいころ軸受 4を構成する円すいころ 1 7となる。
この様に第二列の円すいころ軸受 4を構成する円すいころ 1 7の一部が上記荷 重を支承する場合に、 複数の円すいころ 1 7が支承すれば特に問題を生じないが、 1個の円すいころだけがこの荷重の殆どを支承する場合に問題を生じる。 即ち、 上記荷重の作用線上に単一の円すいころ 1 7だけが存在していた場合には、 この 荷重の殆ど総てが、 当該円すいころ 1 7の転動面と第二の内輪軌道 6及び第二の
K
一 t)一 外輪軌道 1 2との当接部に加わる。 この結果、 これら両当接部の面圧が高くなり、 これら各軌道 6、 1 2に圧痕が形成され易くなる。 そして、 圧痕が形成された場 合には、 車輪支持用転がり軸受ュニットの使用時に発生する 動並びに騒音が大 きくなるだけでなく、 上記各軌道の転がり疲れ寿命が低下する。 特に、 車輪支持 用転がり軸受ユニットを構成する転動体として、 上述の様な円すいころ 1 7に代 えて玉を使用した場合には、 これら各玉の転動面と内輪軌道及び外輪軌道との当 接部の面圧が高くなる為、 上述の様な問題が顕著になり易い。
この様な事情に鑑みて本発明者等は先に、 かしめ部を形成すべく加圧部材が円 筒部を押圧する事に基づく荷重を、 常に複数個の転動体により支承させつつ上記 かしめ部の加工を行なう方法を発明した (特願 2 0 0 1— 2 2 0 1 6 9号) 。 こ の先発明の方法の場合には、 外径側軌道部材を回転させて各転動体を、 押型の振 れ回りの角速度 (公転角速度) と同じ角速度で公転させる。 そして、 この押型か ら内径側軌道輪部材に加わる荷重の作用方向を、 常に円周方向に隣り合う転動体 同士の中間部分に位置させる。 これにより、 1個の転動体だけが上記荷重を支承 する事で当該転動体の転動面と外輪軌道及び内輪軌道との当接部の面圧が過度に 上昇する事を防止して、 これら各軌道に圧痕が形成される事を防止する。
上述の様な先発明に係る車輪支持用転がり軸受ュニッ卜の製造方法の場合には、 各軌道に圧痕が形成される事を防止できる反面、 場合によっては外径側軌道輪部 材を回転駆動する為に要するトルクが過度に大きくなる事が、 本発明者等の研究 により分かった。 即ち、 各転動体の公転速度と押型の公転速度とを一致させた状 態でかしめ部の加工を行なった場合、 上記各転動体を公転させるベく上記外径側 軌道輪部材を回転駆動する為に要するトルクが大きくなる事が分かった。 このト ルクが大きくなると、 車輪支持用転がり軸受ュニットの製造装置に大きなモー夕 を組み込む必要がある他、 著しい場合にはこの製造装置の各部の耐久性が損なわ れたり、 更に著しい場合には上記かしめ部の加工そのものが行なえなくなる。
本発明の車輪支持用転がり軸受ュニットの製造方法及び製造装置は、 この様な 事情に鑑みて発明したものである。
発明の開示
本発明の車輪支持用転がり軸受ュニットの製造方法及び製造装置の対象となる 車輪支持用転がり軸受ユニットは、 内周面に第一、 第二の外輪軌道を有する外径 側軌道輪部材と、 外周面に第一、 第二の内輪軌道を有する内径側軌道輪部材と、 これら第一、 第二の内輪軌道と上記第一、 第二の外輪軌道との間にそれぞれ複数 個ずつ転動自在に設けられた転動体とを備える。
このうちの内径側軌道輪部材は、 その中間部外周面に直接又は別の内輪を介し て上記第一の内輪軌道を設けた軸部材と、 その外周面に上記第二の内輪軌道を設 けた内輪とから成る。 そして、 この内輪は、 上記軸部材の一端部に外嵌し、 更に この軸部材の一端部に設けた円筒部を直径方向外方に塑性変形させる事で形成し たかしめ部によりその軸方向一端面を抑え付けられる事で、 上記軸部材に対し支 持固定されている。
本発明による車輪支持用転がり軸受ュニッ卜の製造方法は、 上述した様な車輪 支持用転がり軸受ュニットを造る為、 加圧部材により上記円筒部の円周方向の一 部に、 軸方向に関して他端側に、 径方向に関して外方に、 それぞれ向いた荷重を 加えると共に、 この荷重を加える部分を上記円筒部の円周方向に関して連続的に 変化させる事によりこの円筒部を徐々に塑性変形させて上記かしめ部とする。 特に、 上記内径側軌道輪部材に対して上記外径側軌道部材を一方向に回転させ る事により、 上記各転動体を上記各外輪軌道と上記各内輪軌道との間で公転運動 させつつ、 上記加圧部材により上記円筒部を押圧して上記かしめ部の加工を行な う。 そして、 この加工作業を、 上記各転動体の公転速度 nc [min— 1 ] と上記加 圧部材の公転速度 nT [lin-1 ] とを互いに異ならせた状態で行なう。
この場合に、 '好ましくは、 上記各転動体の公転速度 nc と加圧部材の公転速度 nx との差を l Omin-1 以上確保する。 尚、 これら各公転速度 nc 、 ητ は、 例えば上記加圧部材の公転方向に一致する速度を正とし、 この公転方向と逆方向 の速度を負とする。 従って、 上記加圧部材の公転方向と上記各転動体の公転方向 とが一致する場合には、 I nc I— I ητ | >10又は | 1^ I - I nc I > 10とし、 不一致 (互いに逆方向) の場合には | nc 1 + I ητ | >10とする。
_ Q _ 又、 本発明による車輪支持用転がり軸受ユニットの製造装置は、 上記内径側軌 道部材の他端部を支える支持台と、 この内径側軌道部材の一端部に形成した円筒 部を塑性変形する為の加圧部材と、 外径側軌道部材を回転させる為の回転駆動手 段と、 この外径側軌道部材の外周面に対し進退自在に設けられ、 この外周面と係 合した状態でこの外径側軌道部材の回転を制限する回転制限部材とを備える。 そ して、 このうちの回転駆動手段は、 駆動源と、 この駆動源により上記外径側軌道 部材の中心軸をその中心として回転する回転リングと、 この回転リングにこの外 径側軌道部材と同期した回転を自在に、 且つこの外径側軌道部材の軸方向の変位 を許容する状態で設けられ、 その内周形状をこの外径側軌道部材の一部外周面に、 回転力の伝達自在に非円形嵌合する形状とした回転伝達部材と、 この回転伝達部 材を上記外径側軌道部材の一部外周面と嵌合する方向に押圧する押圧部材とを備 える。
上述の様に構成する本発明の車輪支持用転がり軸受ュニットの製造方法及び製 造装置によれば、 外径側軌道輪部材を回転させつつかしめ部の加工を行なうので、 各軌道に圧痕が形成される事を防止できる。 しかも、 加圧部材の公転速度と転動 体の公転速度との間に差を設けて (好ましくはこの差を 1 O min—1 以上確保し て) いる為、 上記外径側軌道輪部材を回転駆動する為に要するトルクの増大を抑 える事ができる。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の実施の形態の 1例を、 かしめ部を加工する作業の準備段階の 状態で示す断面図である。
図 2は、 本発明の実施の形態の 1例を、 かしめ部を加工する状態で示す断面図 である。
図 3は、 駆動治具と外輪とを取り出して図 2の下方から見た図である。
図 4は、 玉の公転速度と外輪を回転させる為に要するトルクとの関係の第 1例 を示す線図である。
図 5は、 玉の公転速度と外輪を回転させる為に要するトルクとの関係の第 2例
, を示す線図である。
図 6は、 玉の公転速度と外輪を回転させる為に要するトルクとの関係の第 3例 を示す線図である。
図 7 (A) 及び図 7 (B ) は、 外輪の回転速度と玉の公転速度との関係を説明 する為の模式図で、 図 7 (A) は図 1〜2の上方から見た図、 図 7 ( B ) は (A) の X _ X断面図である。
図 8は、 従来から知られている車輪支持用転がり軸受ュニットの 1例を示す断 面図である。
図 9は、 従来から知られている車輪支持用転がり軸受ュニッ卜の製造方法の第 1例で八ブに対して内輪を外嵌固定する状態を示す断面図である。
図 1 0は、 従来から知られている車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法の 第 1例でかしめ部を形成する状態を示す断面図である。
図 1 1は、 従来から知られている車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法の 第 2例でかしめ部を形成する状態を示す断面図である。
発明を実施するための最良の形態
図 1〜2は、 本発明の実施の形態の 1例を示している。 尚、 前述した通り、 転 動体として玉を使用した場合に、 かしめ部を加工する事に伴い軌道面に圧痕が形 成され易い。 逆に言えば、 転動体として玉を使用した車輪支持用転がり軸受ュニ ットに関して本発明を適用した場合に、 特に顕著な効果を得られる。 この為、 図 示の例は、 転動体として玉 3 2を使用している。 これに合わせて、 外輪 l aの内 周面の第一、 第二の外輪軌道 5 a、 6 a、 及び、 ハブ本体 8 aと内輪 9 aとから 成るハブ 2 aの外周面に形成した第一、 第二の内輪軌道 1 1 a、 1 2 aの断面形 状を、 それぞれ円弧形としている。 車輪支持用転がり軸受ユニットの基本構成に 関しては、 この点を除いて、 前述の図 8に示した従来構造と同様であるから、 同 等部分には同一符号を付して重複する説明は省略し、 以下、 本発明の実施の形態 部分に就いて説明する。 また、 全図を通して同様部材には同じ参照番号を付して ある。
先ず、 製造装置の構成に就いて、 図 1〜2により説明する。 本発明の製造装置
_ ( u _ は、 昇降台 3 3を有する。 この昇降台 3 3は、 油圧シリンダ等の押圧装置 (本体 部分の図示は省略) の出力ロッド 3 4の上端部に固定されており、 かしめ部 1 4 の加工時に、 この押圧装置により上方に押し上げられる。 この様な昇降台 3 3の 上面には、 図 1〜2の表裏方向に水平移動するスライドテーブル 3 5を設け、 更 にこのスライドテ一ブル 3 5の上面に、 ホルダ 3 6を介して支持ブロック 3 7を 載置している。 尚、 上記昇降台 3 3の上面で 1対のスライダ 3 8の間部分にパッ クアッププレート 3 9を固定し、 このバックアッププレート 3 9の上面を、 上記 スライドテーブル 3 5の下面に摺接若しくは近接対向させている。
上記支持プロック 3 7は、 内径側軌道輪部材である上記ハブ 2 aを構成する上 記ハブ本体 8 aの外端 (車両への組み付け状態で車両の幅方向外側となる端で、 図 1〜2の下端、 請求項 1に記載した他端) 部を支える為のもので、 上面中央部 に支持円筒部 6 5を固設している。 この支持円筒部 6 5は、 ホイールの内周縁部 を外嵌する為に上記ハブ本体 8 aの外端面に設けた位置決め筒部 6 6をほぼがた つきなく内嵌自在な内径と、 上記ハブ本体 8 aの外周面に設けたフランジ 1 0の 外側面にほぼ密接自在な上端面形状とを有する。
又、 上記支持ブロック 3 7の上方には、 上記ハブ本体 8 aの内端部に形成した 円筒部 1 6を塑性変形する為の加圧部材である、 押型 2 6を設けている。 この押 型 2 6は、 図示しない支持ヘッドの下端部に支持されている。 この押型の中心軸 ひは、 前述の図 1 0に示した従来装置の場合と同様に、 上記ハブ本体 8 aの中心 軸 )3に対し、 小さな角度 Sだけ傾斜している。 上記ハブ本体 8 aの内端部にかし め部 1 4を加工する際に上記押型 2 6は、 その中心軸 を上記ハブ本体 8の中心 軸 の回りで振れ回り運動させる。 そして、 この状態で前記昇降台 3 3を上方に 押し上げる事により、 上記円筒部 1 6の上端緣を上記押型 2 6の下面に押し付け る。 そして、 この押型 2 6から上記円筒部 1 6の円周方向の一部に、 軸方向に関 して外方(図 1の下方で、 請求項 1に記載した他端側)に、 径方向に関して外方に、 それぞれ向いた荷重を加える。 この様にして上記円筒部 1 6に荷重を加える位置 は、 上記中心軸 の振れ回り運動に伴って、 この円筒部 1 6の円周方向に関して 連続的に変化する。 尚、 上記押型 2 6は、 この円筒部 1 6を加圧するのに伴う反
力により亀裂等の損傷が発生しない様に剛性を高くすべく、 かしめ部を形成する 為の先端部から離れるに従って (上方程) 外径が大きくなる方向に傾斜したテー パ形状としている。
又、 上記押型 2 6の周囲に、 円輪状の支持枠 4 0を設けている。 この支持枠 4 0の中央部には、 上記押型 2 6の振れ回り運動を許容すべく、 上方に向かう程内 径が大きくなる方向に傾斜した内周面を有する、 摺鉢状の通孔 4 1を設けている。 そして、 上記支持枠 4 0の下面でこの通孔 4 1を囲む部分に、 略短円筒状の抑え 筒部 4 2を形成している。 この抑え筒部 4 2は、 上記押型 2 6により上記円筒部 1 6を上記かしめ部 1 4に加工する際に、 上記ハブ本体 8 aが径方向に振れ動く のを防止する役目を有する。 この為に上記抑え筒部 4 2の下端部内周面は、 上記 ハブ本体 8 aの内端部に外嵌した内輪 9 aに外嵌自在な段付形状としている。 尚、 上記支持枠 4 0は、 図示しないフレームの一部に、 若千の昇降自在に支持してい る。
又、 上記支持枠 4 0の下面外周寄り部分に、 上下 1対の連結環 4 3 a、 4 3 b を介して、 欠円筒状の保持筒 4 4を、 吊り下げ固定している。 この保持筒 4 4は、 前記昇降台 3 3が上昇し、 上記支持枠 4 0が下降した状態で、 前記ホルダ 3 6に 外嵌される。 又、 上記連結環 4 3 bの内径側に、 回転リングである駆動環 4 5を、 転がり軸受 4 6により、 回転自在に支持している。 この転がり軸受 4 6は、 旋回 輪の如く、 ラジアル荷重及びスラスト荷重を支承自在な構造を有する。 上記駆動 環 4 5は、 上記押型 2 6により上記かしめ部 1 4を加工する際に、 外径側軌道輪 部材である前記外輪 1 aを所定速度で回転させる為のもので、 この外輪 1 aの外 周面に設けた取付部 7に、 請求項 5に記載した回転伝達部材である、 円輪状の駆 動治具 4 7を外嵌した状態で、 モ一夕 4 8により回転駆動される。
このうちの駆動治具 4 7は上記駆動環 4 5にこの駆動環 4 5に対する若干の昇 降を自在に、 且つ、 この駆動環 4 5と同期した回転を自在に組み合わせている。 この為に本例の場合には、 この駆動環 4 5の円周方向複数個所 (例えば 4〜6個 所) に、 それぞれがこの駆動環 4 5の中心軸と平行な支持孔 4 9を形成している。 又、 上記駆動治具 4 7の外周面上端部に固定した取付フランジ 5 0の一部で上記
- l ~ 各支持孔 4 9に整合する部分に、 それぞれが上記駆動治具 4 7の中心軸と平行に 配置されたガイドピン 5 1の基端部を結合固定している。 そして、 これら各ガイ ドピン 5 1を上記各支持孔 4 9に揷通し、 更に、 これら各ガイドピン 5 1の下端 部に形成した鍔部の上面と上記取付フランジ 5 0の下面との間に、 押圧部材であ る圧縮ばねを設けている。
この構成により上記駆動治具 4 7は、 下方に向かう弾力を付与された状態で、 上記駆動環 4 5に対し若干の昇降自在に、 且つ この駆動環 4 5と同期した回転 自在に支持されている。 この様な駆動治具 4 7の下面内周寄り部分には、 上記取 付部 7の外周縁と非円形嵌合する凹部 5 2を形成している。 本例の場合、 この凹 部 5 2の内周面形状は、 図 3に示す様に、 円筒面の一部を径方向内方に膨らませ て膨出部 5 3とした形状を採用している。 この膨出部 5 3は、 上記凹部 5 2と上 記取付部 7との位相が合致した状態で、 この取付部 7の外周縁部に存在する凹緣 部 5 4と係合し、 上記駆動治具 4 7から上記外輪 1 aへの回転力の伝達を自在と する。 尚、 上記駆動環 4 5からこの駆動治具 4 7への回転力の伝達は、 上記各ガ イドピン 5 1により行なっても良いが、 上記駆動環 4 5の内周面と上記駆動治具 4 7の外周面との係合状態を、 スプライン係合等の非円形嵌合にすれば、 上記各 ガイドピン 5 1に大きな力が加わる事を防止して、 製造装置の耐久性向上を図れ る。
一方、 上記駆動環 4 5を回転駆動する為の前記モータ 4 8 (—般的には電動モ —夕を使用するが、 油圧モータの使用を妨げるものではない) は、 前記保持筒 4 4の一部外周面に、 連結ブラケット 5 5と保持ブラケット 5 6とにより支持固定 している。 従って上記モー夕 4 8は、 前記支持枠 4 0と共に昇降する。 この様な モータ 4 8の出力軸 5 7と上記駆動環 4 5とは、 歯車減速機構 5 &により結合し て、 この駆動環 4 5を所定方向に所定速度で回転駆動自在としている。 この様に、 上記モー夕 4 8の出力軸 5 7の回転を上記歯車減速機構 5 8等の減速装置により 減速して、 前記外輪 1 aを回転駆動する為の上記駆動環 4 5を回転駆動する事で、 上記モー夕 4 8として小型のものを使用できる。 又、 上記外輪 l aを低速で回転 させ、 製造装置の低振動化を図れる。
― ,、 - 上記歯車減速機構 5 8を構成する為に、 上記連結ブラケット 5 5に中間軸 5 9 を、 上記出力軸 5 7及び上記駆動環 4 5の中心軸と平行に配置した状態で、 回転 自在に支持している。 又、 上記駆動環 4 5の下面外周寄り部分に、 減速大歯車 6 0を固定している。 そして、 この減速大歯車 6 0と、 上記出力軸 5 7の先端部 (図示の場合上端部) に固定した減速小歯車 6 1とを、 上記中間軸 5 9の上端部 に固定した中間歯車 6 2を介して嚙合させている。 この構成により上記駆動環 4 5を、 上記出力軸 5 7と同方向に、 この出力軸 5 7よりも低速で回転駆動自在と している。
更に、 前記支持ブロック 3 7の上方には、 回転制限部材である抑えロッド 6 3 を、 前記外輪 1 aの外周面に対する進退自在に設けている。 この為に本例の場合 には、 前記ホルダ 3 6の外周面で前記保持筒 4 4の不連続部に対応する部分に、 エアシリンダ等のァクチユエ一夕 6 4を固定し、 このァクチユエ一夕 6 4により 上記抑えロッド 6 3を、 上記外輪 1 aの径方向に変位自在としている。 尚、 上記 駆動環 4 5と共に前記駆動治具 4 7を、 図示しない油圧シリンダ等のァクチユエ 一夕により下降させた場合に、 この駆動治具 4 7の凹部 5 2がそのまま前記取付 部 7に嵌った場合には、 直ちに前記モータ 4 8により上記駆動治具 4 7を所定方 向に回転させる。 この場合には、 上記抑えロッド 6 3は作動 (上記外輪 l aの外 周面に向け変位) せず、 この外輪 1 aの外周面から離れたままである。
これに対して、 上記駆動治具 4 7を下降させた場合に、 この駆動治具 4 7の下 面で上記凹部 5 2から外れた部分が上記取付部 7に載つた場合には、 上記モ一夕 4 8により上記駆動治具 4 7を、 上記所定方向とは逆方向に低速 (例えば 数 min— 1 〜数十 min- 1 ) で回転させる。 この際、 上記ァクチユエ一夕 6 4によ り上記抑えロッド 6 3を、 図 1に示す様に上記外輪 1 aの外周面に向けて前進さ せて、 この抑えロッド 6 3の先端部とこの外輪 1 aの外周面との摩擦係合に基づ いて、 この外輪 1 aを回転させる為に要するトルクが大きくする。 そして、 上記 外輪 1 aが上記駆動治具 4 7と共回りしない様にする。 これに対して、 図 2に示 す様に上記抑えロッド 6 3を上記外輪 1 aの外周面から退避させた場合には、 こ の外輪 1 aを回転させる為に要するトルクが小さくなる。 尚、 上記抑えロッド 6
-
3の先端部に、 硬質ゴム、 合成樹脂、 軟質金属等、 上記外輪 1 aを構成する金属 材料 (炭素鋼) よりも軟らかい材料を設置する事が、 この外輪 l aの外周面の損 傷防止の面から好ましい。
次に、 上述の様に構成する製造装置を使用し、 前記ハブ本体 8 aの内端部に設 けた円筒部 1 6を塑性変形させて前記かしめ部 1 4とする際の作用に就いて説明 する。
先ず、 前記昇降台 3 3を下降させ、 且つ、 図 1〜 2の表裏方向にずらせて前記 押型 2 6の下方から前記支持ブロック 3 7を抜き出した状態で、 この支持ブロッ ク 3 7の上面に上記ハブ本体 8 aを載置する。 このハブ本体 8 aの内端部には、 予め前記内輪 9 aを外嵌しておく。
次いで、 上記昇降台 3 3を上記押型 2 6の下方に、 上記ハブ本体 8 aの中心軸 と前記支持枠 4 0の中心軸とがー致する状態まで入り込ませる。 その後、 前記抑 え筒部 4 2を下降させ、 図 1に示す様に、 前記抑え筒部 4 2の下端部を上記内輪 9 aに外嵌する。 又、 上記抑え筒部 4 2と共に、 前記駆動治具 4 7が下降する。 この駆動治具 4 7の下降に伴ってこの駆動治具 4 7の凹部 5 2がそのまま前記取 付部 7に嵌った場合には、 マイクロスイッチがこれら凹部 5 2と取付部 7とが嵌 合して上記駆動治具 4 7が十分に下降した事を検知し、 直ちにそれまで停止して いた前記モータ 4 8通電し、 上記駆動治具 4 7を所定方向に回転させる。 この場 合には、 上記抑えロッド 6 3は作動 (上記外輪 1 aの外周面に向け変位) せず、 この外輪 1 aの外周面から離れたままである。
これに対して、 上記駆動治具 4 7を下降させた場合に、 この駆動治具 4 7の下 面で上記凹部 5 2から外れた部分が上記取付部 7に載つた場合には、 上記駆動治 具 4 7の下降が阻止され、 前記ガイドビン 5 1の周囲に設けた圧縮ばねが押し潰 された状態となる。 この状態では、 上記マイクロスイッチが上記駆動治具 4 7が 下降した事を検知しない。 そこで、 この場合には、 前記抑えロッド 6 3を前進さ せて、 この抑えロッド 6 3の先端部とこの外輪 1 aの外周面とを摩擦係合させる と共に、 上記モー夕 4 8により上記駆動治具 4 7を、 上記所定方向とは逆方向に 低速 (例えば数 min- 1 〜数十 mi ir 1 ) で所定角度だけ回転 (例えば半回転前後
- 以下) させる。
この結果、 上記凹部 5 2と上記取付部 7との位相が一致した状態で上記駆動治 具 4 7が下降し、 この下降を上記マイクロスイッチが検知する。 上記駆動治具 4 7の回転は低速で行なわれる為、 上記凹部 5 2と上記取付部 Ίとの位相が一致し さえすれば、 上記駆動治具 4 7を確実に下降させて、 これら凹部 5 2と取付部 7 とを嵌合させる事ができる。 即ち、 上記駆動治具 4 7の下面に形成した凹部 5 2 の内周面の膨出部 5 3と、 上記取付部 7の外周縁に存在する 1対の凹縁部 5 4の うちの何れかの凹縁部 5 4との円周方向に関する位相が合致した状態で、 上記駆 動治具 4 7が、 自重と前記各ガイドピン 5 1の周囲に配置した圧縮ばねの弾力と により下降し、 上記取付部 7が上記凹部 5 2内に嵌り込む。 この状態で、 上記駆 動治具 4 7の回転が上記外輪 1 aに伝達自在な状態となるので、 上記抑えロッド 6 3を上記外輪 1 aの外周面から退避させると共に、 上記モー夕 4 8を停止させ た後、 このモータ 4 8を再起動して、 上記駆動治具 4 8を所定方向に回転させる。 尚、 上記取付部 7と上記凹部 5 2とが嵌合した後も上記駆動治具 4 7を、 予め 設定した分 (半回転前後) だけ回転させ続ける事も考えられる。 この場合には、 上記抑えロッド 6 3の先端部と上記外輪 1 aの外周面とが滑り摩擦し合い、 上記 モ一夕 4 8の要求される駆動トルクが上昇する。 但し、 この状態での上記駆動治 具 4 7の回転速度は遅い為、 特に問題とはならない。 これに対して上述の説明の 様に構成すれば、 上記取付部 7と上記凹部 5 2とが嵌合した事をマイクロスイツ チにより検知して、 上記抑えロッド 6 3を上記外輪 1 aの外周面から直ちに退避 させると共に上記モー夕 4 8を一時停止させる為、 上記抑えロッド 6 3の先端部 と上記外輪 1 aの外周面とが滑り摩擦し合う事は殆どない。 尚、 図 1には、 上記 ハブ本体 8 aの内端部にかしめ部 1 4が形成された状態を示しているが、 本来、 図 1に示した加工作業の初期段階では、 上記ハブ本体 8 aの内端部には、 前述の 図 9に示した様に、 未だかしめ部 1 4は形成されていない。
何れにしても、 上記取付部 7と上記凹部 5 2とを嵌合させて、 上記駆動治具 4 7により上記外輪 1 aを回転駆動自在とする事により、 前記かしめ部 1 4を下降 する為の準備作業が完了する。 そこで、 上記モー夕 4 8により上記外輪 1 aを、
,„ 例えば数百 min- 1 程度で回転させると共に、 前記昇降台 3 3を上昇させつつ、 前 記押型 2 6により前記ハブ本体 8 aの内端部に形成した円筒部 1 6を塑性変形さ せる。 そして、 前記かしめ部 1 4を形成し、 このかしめ部 1 4により前記内輪 9 aの内端面を抑え付ける。 この際、 上記押型 2 6は、 その中心軸ひを上記ハブ本 体 8 aの中心軸 i3の回りで振れ回り運動させる。 上記円筒部 1 6は、 この様に振 れ回り運動する上記押型 2 6の下面に、 前記油圧シリンダ等の押圧装置の出力口 ッド 3 4の押し上げ力に基づいて、 押し付けられる。 この際、 上記円筒部 1 6を 設けた上記ハブ本体 8 aは回転しない為、 上記円筒部 1 6の円周方向の一部に、 軸方向に関して他端側に、 径方向に関して外方に、 それぞれ向いた荷重が加えら れ、 且つ、 この荷重を加えられる部分が、 上記円筒部 1 6の円周方向に関して連 続的に変化する。
この結果、 この円筒部 1 6が、 円周方向に関して連続的に、 且つ、 徐々に塑性 変形して、 上記かしめ部 1 4となる。 この様に円筒部 1 6がかしめ部 1 4となる のに伴って、 上記ハブ本体 8 a及びこのハブ本体 8 aを載置した昇降台 3 3、 並 びに前記支持枠 4 0、 モー夕 4 8、 減速歯車機構 5 8等が少しずつ上昇する。 尚、 上記かしめ部 1 4の加工に伴って前記スライドテーブル 3 5に加わるスラスト荷 重は、 前記バッグアッププレート 3 9を介して、 上記出力ロッド 3 4により支承 する。 従って、 前記スライダ 3 8に過大な力が作用する事はなく、 このスライダ 3 8の耐久性は十分に確保できる。
特に、 本例の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法の場合には、 上記円筒 部 1 6を上記かしめ部 1 4とする加工作業の間中、 上記ハブ本体 8 aを静止した 状態のまま、 上記モー夕 4 8により前記外輪 1 aを一方向に回転させる。 そして、 前記各玉 3 2を、 前記第一、 第二の各外輪軌道 5 a、 6 aと前記第一、 第二の各 内輪軌道 1 1 a、 1 2 aとの間で公転運動させつつ、 前記押型 2 6により上記円 筒部 1 6を押圧して、 上記かしめ部 1 4の加工を行なう。 この際、 上記モータ 4 8の回転方向及び回転速度と、 上記押型 2 6の振れ回り方向及び振れ回り速度と を適切に規制する事により、 上記各玉 3 2の公転速度 n c [min- 1 ] と上記押型 2 6の公転速度 (振れ回り速度) n T [min- 1 ] とを互いに異ならせる。 これら
_ , , _ 両公転速度 nc 、 ητ 同士の差は、 大きい程、 上記モータ 48の要求される駆動 トルクを確実に低く抑えられる。 従って、 この駆動トルクを低く抑える面から、 好ましくは、 上記両公転速度 nc 、 ητ 同士の差を、 l Omin- 1 以上確保する。
【0040】
尚、 図 7 (A) (B) に示す様に、 外輪 1 aの中心から外輪軌道と玉 32の転 動面との接触部の中心までの距離を r。 とし、 ハブ本体 8 aの中心から内輪軌道 と玉 32の転動面との接触部の中心までの距離を とした場合に、 上記各玉 3 2の公転速度 r と上記外輪 l aの公転速度 (回転速度) n。 との間には、 nc = { r。 Z ( r。 + r i ) } n。
なる関係がある事が、 広く知られている。 従って、 この式により求められる、 上 記各玉 32の公転速度 nc [min- 1 ] と上記押型 26の公転速度 (振れ回り速 度) nT [rain-1 ] とに差が生じる様に、 更に、 好ましくはこれら両公転速度 nc 、 ητ 同士の差 ( | nc — nT I ) が l Omin— 1 以上になる様に、 上記モ —夕 48の回転方向及び回転速度を、 上記押型 26の振れ回り方向及び振れ回り 速度との関係で適切に規制する。 尚、 この押型 26の振れ回り方向と上記各玉 3 2の公転方向とは、 同じであっても、 或は逆であっても良い。 要は、 上記両公転 速度 nc 、 ητ の差 ( I nc -nT I ) が 1 Omin-1 以上、 より好ましくは 5 Omin- 1 以上になれば良い。 この場合に、 上記押型 26の公転方向と上記各玉 3 2の公転方向とがー致する場合には、 i nc I — I ητ | >1 0又は | 1^ I - I nc i > 1 0とし、 不一致 (互いに逆方向) の場合には I I +
I ητ | >10とする。 この場合に、 上記押型 26の振れ回り方向と上記各玉 3 2の公転方向とを互いに逆にすれば、 上記両公転速度 nc 、 ητ の絶対値をそれ ぞれ大きくしなくても、 これら両公転速度 nc 、 ητ 同士の差を、 「 | nc I + I ητ I」 と、 公転方向を一致させた場合の差 「 I nc I — I ητ I」 より も遥かに大きくできるので、 前記モー夕 48の出力軸 57回転速度を抑えつつ、 前記外輪 1 aを回転させる為の駆動環 45の駆動トルクを低く抑える面から有利 である。 尚、 上記差の上限値は特に規制しない。 かしめ部 14加工の能率確保、 製造装置の耐久性確保、 製造コスト等を勘案して、 設計的に定める。
,。
— 1 8 - 何れにしても、 上記押型 2 6により前記円筒部 1 6を塑性変形させる加工作業 は、 この押型 2 6の中心軸を振れ回り運動させつつ行なう。 従って、 この押型 2 6の先端面と上記円筒部 1 6の先端面部との突き当たり部 (加工部) は、 この円 筒部 1 6の円周方向に回転しつつ移動する。 但し、 加工作業の最初で、 上記押型 2 6の先端面とこの円筒部 1 6の先端部とが突き当たる瞬間に、 これら押型 2 6 の先端面と円筒部 1 6の先端部とが相対変位すると、 突き当たり部が溶着する可 能性がある。 そこで、 上記押型 2 6の先端面とこの円筒部 1 6の先端部とが突き 当たる瞬間にこれら突き当たり部の相対変位をなくすべく、 上 ΐ己押型 2 6を停止 させた状態のまま、 前記昇降台 3 3を上昇させて、 上記押型 2 6の先端面とこの 円筒部 1 6の先端部とが突き当てる事が好ましい。 この押型 2 6の振れ回り運動 は、 上記加工部を (好ましくは軽く) 突き当てた後に開始させる。
本例の場合、 前述の様に、 前記各玉 3 2を公転運動させつつ上記押型 2 6によ り上記円筒部 1 6を塑性変形させる為、 この円筒部 1 6から遠い前記第一の外輪 軌道 5 a及び前記第一の内輪軌道 1 1 aは勿論、 この円筒部 1 6に近い、 前記第 二の外輪軌道 6 a及び前記第二の内輪軌道 1 2 aにも、 圧痕等の損傷が生じない。 即ち、 上記押型 2 6が上記円筒部 1 6を押圧する部分が円周方向に移動 (公転) する速度と、 上記各玉 3 2の公転速度とが互いに (例えば l O min- 1 以上) 異な る為、 上記押圧する部分に対してこれら各玉 3 2が円周方向に移動する状態とな る。 この場合でも、 前記外輪 1 aを回転させてこれら各玉 3 2を転動させつつ上 記円筒部 1 6をかしめ部 1 4とする加工作業を行なった場合には、 上記圧痕等の 損傷を生じない事が、 本発明者が行なった実験により分かった。 この理由は、 力、 しめ部 1 4の加工作業に伴って大きな荷重を受ける部分が連続的に変化する為と 考えられる。
又、 前記両公転速度 n c 、 η τ 同士の間に差を設ければ (特に好ましくはこれ ら両公転速度 n c 、 η τ 同士の差 ( | n c — η τ | ) を l O min- 1 以上確保す れば) 、 上記外輪 1 aを回転させる為に要するトルクが徒に大きくならない事も、 本発明者の実験により確認された。 この点に就いて、 図 4〜 6を参照しつつ説明 する。
_ , u
一 I y — これら図 4〜6は、 押型 26の振れ回り速度 (揺動回転速度 =公転速度 ητ ) を一定とした場合に於ける、 玉 32の公転速度 nc と外輪 1 aを回転させる為に 要するトルクとの関係を示している。 このうちの図 4は上記振れ回り速度が 40 Omin-1 の場合を、 図 5は同じく 80 Omiir1 の場合を、 図 6は同じく 120 Omin"1 の場合を、 それぞれ示している。
この様な図 4〜6から明らかな通り、 押型 26の公転速度 ητ と玉 32の公転 速度 nc とが一致すると、 外輪 1 aを回転させる為に要するトルクが極端に大き くなる。 そして、 上記両公転速度 nT 、 nc の間に差を設ければ、 上記トルクが 急激に小さくなり、 しかもこれら両公転速度 nT 、 nc の差が大きくなる程、 このトルクが小さくなる。 特に、 これら両公転速度 nc 、 ητ の差 ( I nc — ητ I ) が 1 Omin-1 以上あれば、 上記外輪 1 aを十分に回転させる事ができ、 更に 5 Omin—1 以上 (特に 10 Omin-1 以上) あれば、 この外輪 l aをより容 易に回転させる事ができる。 産業上の利用可能性
上述の様に本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法及び製造装置に よれば、 先発明の場合と同様に、 かしめ部の加工作業に伴って各軌道に圧痕が形 成される事'を防止できる。 この為、 運転時に発生する振動や騒音が低く、 しかも 優れた耐久性を有する車輪支持用転がり軸受ュニッ卜を得られる。
更に、 本発明の場合には、 外輪を回転駆動する為に要するトルクが過度に上昇 する事を防止できて、 特に大型の装置を使用しなくても、 上記車輪支持用転がり 軸受ュニッ卜の製造作業を安定して行なえる。