明 細 書 低屈折率薄膜形成用塗布組成物 技術分野
本発明は低屈折率薄膜形成用塗布組成物に関する。 更に詳 しぐは、 本発明は、 特定のアルコキシシラ ンを酸触媒の存在 下で加水分解重縮合して得られる流動性シリカ前駆体 ( A ) 塩基性水酸基及び/又は塩基性窒素原子を有する塩基性化合 物であって、 0 . 1 規定の水溶液の形での p Hが 1 1 以上で あ り、 且つ 1 0 0 °Cにおける蒸気圧が 1 . 3 k P a以下であ る塩基性化合物 ( B ) 、 及び沸点が 1 0 0 °C以上であって該 流動性シリカ前駆体 ( A ) と相溶する有機化合物 ( C ) を包 含する塗布組成物であって、 該塩基性化合物 ( B ) の量が、 該塩基性化合物 ( B ) 中の該塩基性水酸基及び塩基性窒素原 子の合計モル量に換算して、 該流動性シリ カ前駆体 (A ) 中 の S i 原子 1 モルに対して 0 . 0 0 1 5 〜 0 . 5 モルである ことを特徴とする組成物に関する。 本発明はまた、 該塗布組 成物から得られる多孔性シリカ薄膜に関する。 本発明の多孔 性シリカ薄膜は、 低屈折率、 高光透過性、 且つ高強度である ので、 反射防止膜と して有利に用い られる。 従来技術
光学部品や眼鏡などのレンズ、 ディ スプレイ装置のスク リ —ンなどの被覆に用いる反射防止膜と しては、 単層または複 数層からなるものが知られている。 単層および 2層からなる ものは、 残存反射率が大きいため、 屈折率の異なる 3 層を重 層したものが好ましいと言われている。 しかし、 3層を積層 させるのは、 真空蒸着法、 ディ ップコーティ ング法等の公知 のどのような方法を用いても、 煩雑である とともに生産性が 低いという欠点があった。
そこで、 単層膜で反射率を低減させる試みがなされている , 一般に、 基板の屈折率が n s、 単層膜の屈折率が nである場 合の反射率 Rは、 n s > nのとき、 極小値として
( n s - n 2 ) 2 / ( n s + n 2 ) 2 をとる こ とが知られてい る。 この反射率 Rは、 n 2 = n s のとき、 すなわち
n = ( n s ) 1/2 のときに最小となる関数だから、 単層膜の 屈折率 nが ( n s ) 1/2 に近いほど反射率 Rは小さ くなる。
更に、 一般的な光透過性光学基板はガラス ( n s - 1 - 5 2程度) やポリ メチルメタク リ レー ト ( n s = 1 . 4 9程 度) 、 ポリエチレンテレフタ レー ト ( n s = l . 5 4程度) ト リ ァセチルセルロース ( n s = l . 4 9 程度) なので、 単 層膜の目標屈折率 nは 1 . 2 2 〜 : L . 2 4 となる。 従って、 単層膜で反射率を低減させる為には、 その単層膜の屈折率が 1 . 2 2 〜 1 , 2 4 に限りなく近い低屈折率のものが最も好 ましい。
シリカは広い波長範囲で光透過性に優れ、 且つ、 屈折率が 約 1 . 4 5 と比較的低屈折率の材料である。 このシリカに空 隙を導入して多孔性シリカとするこ とによ り、 さ らに低い屈 折率を示す材料を得る ことが出来る。
多孔性シリ カ微粒子を用いて低屈折率の多孔性シリカ薄膜 を製造する方法と して、 次のような方法が知られている。 ( 1 ) 予め多孔性シリ カ微粒子を調製しておいて、 それをバ イ ンダーを用いて基板上に固定化する ことによ り 、 該多孔性 シリカ微粒子がバイ ンダーを介して結合されてなる多孔構造 を有する薄膜を形成することによ り 、 屈折率を下げる方法
(日本国特開平 3 — 7 8 9 4 6 号公報、 日本国特開平 6 — 3 4 5 4 8 7 号公報、 日本国特開平 7 _ 4 8 5 2 7号公報) 、
( 2 ) シリ カ微粒子ゾル (多く のシラノ一ル基を含んでいて 縮合度が比較的低いもの) から成る薄膜を製造しておいて、 硬化する際にシリ カ微粒子ゾルが多孔性シリ 力微粒子に成長 する ことによ り 、 微粒子間に空隙を導入する方法 (日本国特 開 2 0 0 1 — 1 1 5 0 2 8号公報) 、
( 3 ) 多孔性シリ カ微粒子を含む複数の成分からなる薄膜を 調製しておいて、 硬化時における各成分の収縮率の差を利用 して空隙を導入する方法 (日本国特開昭 6 2 - 1 7 0 4 4号 公報、 日本国特開平 6 — 2 9 9 0 9 1 、 日本国特開平 8 — 3 1 9 1 0 9 号公報) 。
しかし、 上記 ( 1 ) 〜 ( 3 ) の方法では、 下記の問題があ
る。 上記 ( 1 ) の方法では、 粒子間の接着性や光学基板との 接着性を持たせて強度を出すために、 バイ ンダーを添加する ことが必要で、 そのために空隙率を上げられず、 低屈折率 (低反射率) の薄膜が得られないという 問題がある。 上記 ( 2 ) の方法では、 必要な空隙率を得るために、 高温硬化条 件にて縮合度を上げて粒子の収縮率を高めるこ とが必要であ り、 そのために熱変形温度が低い光学シー ト基板や光学フィ ルム基板には、 十分な強度 (鉛筆硬度や基板との接着強度) の膜が製造できないという問題がある。 上記 ( 3 ) の方法で は、 酸触媒によって調製した鎖状シリ カポリマーと塩基性触 媒によって調製した多孔性シリ カ微粒子を 2成分として用い ている力 S、 空隙率を高めるためには、 収縮率の差に加えて、 多孔性シリ カ粒子の含有率を増やす必要があ り 、 その結果、 それらの粒子による光の散乱が無視できなくなり、 光透明性 が損なわれる (ヘイズ値が 1 を越す) という問題がある。
このよう に、 上記 ( 1 ) ~ ( 3 ) の方法では、 光学フィ ル ム基板や光学シー ト基板上に、 低屈折率、 高光透過性、 高強 度の多孔性シリカ薄膜を製造する ことはできない。
一方、 多孔性シリカ微粒子を用いないで、 低屈折率、 且つ 高光透過性の多孔性シリカ薄膜を製造する方法として、 次の ような方法が知られている。
( 4 ) アルコキシシランまたはアルコキシシランの加水分解 重縮合物を含む複数の成分からなる薄膜を調製しておいて、
そのう ちの上記アルコキシシランまたはアルコキシシラ ンの 加水分解重縮合物以外の少なく とも 1 成分 (開孔材) を抽出 するこ とによって、 薄膜層に均質な、 光波長サイズよ り も小 さな孔径の空隙を導入する方法 (日本国特開平 1 一 3 1 2 5 0 1 号公報 (米国特許第 5 , 1 1 6 , 6 4 4号、 米国特許第 5 , 1 8 1 , 1 4 2号に対応) 、 日本国特開平 3 — 1 9 9 0 4 3号公報、 日本国特開平 7 — 1 4 0 3 0 2号公報、 日本国 特開平 1 0 — 1 5 8 0 1 2号公報等) が開示されている。
上記 ( 4 ) の方法を開示した上記特許文献のうち、 日本国 特開平 3 — 1 9 9 0 4 3号公報においては、 モノアルキル ト リ アルコキシシラン、 ポリエ一テルおよび溶媒 (水、 ェ夕ノ —ル、 1 ーブタノ一ルの混合溶媒) からなるコ一ティ ング液 を基板に塗布して薄膜を得、 薄膜を硬化させた後、 薄膜中の ポリエーテルをエタノールで溶出させ、 多孔化する方法が開 示されているが、 この場合、 硬化促進触媒と して無機酸や有 機酸を用いるために、 成膜中に十分な硬化度が得られず、 強 度が不十分で、 ポリエーテルを抽出する際に、 薄膜が膨潤し たり、 基板から剥離を起こ したりする という 問題がある。
日本国特開平 7 — 1 4 0 3 0 2号公報においては、 前段で アルコキシシランを無触媒条件下にて加水分解重縮合してお り 、 鎖状シリカポリマー成分が少なく 、 そのため、 後段で塩 基性触媒を添加して硬化を行っても強固な 3 次元のシリカネ ッ トワークを形成する ことができず、 強度が不十分で、 開孔
材を抽出して乾燥する際に、 多孔性膜が収縮して屈折率が不 十分なものになっている。
なお、 本発明者らの研究によれば、 上記の方法において前 段においても塩基性触媒を用いた場合は、 多孔性シリカ粒子 が成長するが、 鎖状シリ カポリ マーを含まないために、 開孔 材との均質なシリカ Z開孔材複合体を形成せず、 抽出処理し ても成長した多孔性シリ カ粒子のために散乱があって、 光透 過性は低い。 さ らに、 塗布する前に析出沈殿してしまう場合 もある (本願比較例 8参照) 。
日本国特開平 1 0 — 1 5 8 0 1 2号公報においては、 アル コキシシランの加水分解重縮合を酸触媒の存在下で行い、 続 いて、 塩基性硬化触媒としてアンモニア水を添加して得られ る組成物が開示されている。 しかし、 この組成物を用いて光 学シー ト基板や光学フィ ルム基板上に多孔性シリカ薄膜を形 成する場合には、 塩基性触媒の揮散のために薄膜中の塩基性 触媒濃度が低下し、 そのため、 十分な縮合度が得られず、 ポ リマ一開孔材 (アミ ド結合を有する有機ポリ マー) を抽出す る際に、 シリカの基板からの剥離が起こったり 、 乾燥後に収 縮したり して、 低屈折率の薄膜が得られないという 問題があ る。 このような薄膜は反射防止効果を有しない。
上記のよう に、 従来の方法では低屈折率、 高光透過性、 且 つ高強度の多孔性シリ カ薄膜は得られていなかった。 それで 低屈折率、 高光透過性、 且つ高強度の多孔性シリカ薄膜を開
発する ことが求められていた。 発明の概要
このよ うな状況下、 本発明者らは、 低屈折率、 高光透過性. 且つ高強度である優れた多孔性シリ カ薄膜を開発するために 鋭意検討を重ねた。 その結果、 特定のアルコキシシランを酸 触媒の存在下で加水分解重縮合して得られる流動性シリ カ前 駆体 ( A ) 、 塩基性水酸基及び Z又は塩基性窒素原子を有す る塩基性化合物であって、 0 . 1規定の水溶液の形での p H 力 1 1 以上であ り、 且つ 1 0 0 °Cにおける蒸気圧が 1 . 3 k P a以下である塩基性化合物 ( B ) 、 及び沸点が 1 0 0 °C以 上であって該流動性シリ カ前駆体 ( A ) と相溶する有機化合 物 ( C ) を包含する塗布組成物であって、 該塩基性化合物
( B ) の量が、 該塩基性化合物 ( B ) 中の該塩基性水酸基及 び塩基性窒素原子の合計モル量に換算して、 該流動性シリ 力 前駆体 (A ) 中の S i 原子 1 モルに対して 0 . 0 0 1 5 〜 0 5 モルである ことを特徴とする組成物を用いると上記の優れ た多孔性シリカ薄膜が得られることを意外にも知見した。 こ の知見に基づいて、 本発明は完成された。
したがって、 本発明の一つの目的は、 低屈折率、 高光透過 性、 且つ高強度である多孔性シリカ薄膜を製造するための塗 布組成物を提供する こ とである。
本発明の他の一つの目的は、 該塗布組成物を用いて得られ
る、 低屈折率、 高光透過性、 且つ高強度である多孔性シリ カ ' 薄膜を提供する ことである。
本発明の上記及びその他の諸目的、 諸特徵ならびに諸利益 は、 添付の図面を参照しながら行う以下の詳細な説明及び請 求の範囲の記載から明らかになる。 図面の簡単な説明 ·
添付の図面において :
図 1 は、 ポリエチレンテレフタ レ一 卜 ( P E T ) フィ ルム 及び実施例 1 で得られた多孔性シリ カ薄膜で被覆されてなる P E Tフィ ルムの反射率の測定結果を示すグラフであ り ; 図 2 は、 ポリ エチレンテレフタ レ一 卜 ( P E T ) フィルム 及び実施例 1 で得られた多孔性シリ カ薄膜で被覆されてなる P E Tフィ ルムの透過率の測定結果を示すグラフである。 発明の詳細な説明
本発明によれば、
( A ) 下記式 ( 1 ) :
R 'nS i (〇 R 2)4— n ( 1 )
(式中、 各 R 1 はそれぞれ独立に水素原子、 炭素数 1 〜 1 0 のアルキル基、 炭素数 6 〜 1 0 のァリール基、 ビニル基、 ビ 二ル基を有する炭素数 3 〜 1 0 の有機基、 (メタ) ァク リ ロ ィル基を有する炭素数 4〜 1 0 の有機基またはエポキシ基を
有する炭素数 3 ~ 1 0 の有機基を表し、 各 R 2はそれぞれ独 立に炭素数 1 〜 6 のアルキル基を表し、 n は 0 〜 2 の整数を 表す)
で表される第 1 のアルコキシシラ ン類、 及び下記式 ( 2 ) :
(R 3 0 ) 3 S i . - ( R 4 ) m - S i (O R 3 ) 3 ( 2 )
(式中、 各 R 3はそれぞれ独立に炭素数 1 〜 6 のアルキル基 を表し、 R 4は炭素数 1 〜 6 のアルキレン基または炭素数 6 〜 1 0 のァ リーレン基を表し、 mは 0 または 1 である) で表される第 2 のアルコキシシラン類か らなる群よ り 選ばれ る少なく と も 1 種のアルコキシシラ ンを酸触媒の存在下で加 水分解重縮合して得られる流動性シリ カ前駆体、
( B ) 塩基性水酸基及び塩基性窒素原子か らなる群よ り選 ばれる少な く と も 1 種を有する塩基性化合物、 ただし、 該塩 基性化合物 ( B ) の 0 . 1 規定の水溶液の p Hは 1 1 以上で あ り 、 且つ、 該塩基性化合物 ( B ) の 1 0 0 °Cにおける蒸気 圧は 1 . 3 k P a以下である、 及び
( C ) 沸点が 1 0 0 °C以上であって該流動性シリ カ前駆体
( A) と相溶する有機化合物 .
を包含する塗布組成物であって、 該塩基性化合物 ( B ) の量 が、 該塩基性化合物 ( B ) 中の該塩基性水酸基及び塩基性窒 素原子の合計モル量に換算して、 該流動性シリ カ前駆体
(A) 中の S i 原子 1 モノレに対して 0 . 0 0 1 5 〜 0 . 5 モ ルである こ とを特徴とする組成物が提供される。
本発明の理解を容易にするために、 以下、 本発明の基本的 特徴及び好ましい諸態様を列挙する
1 . ( A ) 下記式 ( 1 ) :
R '„S i (O R 2)4.n ( 1 )
(式中、 各 R 1 はそれぞれ独立に水素原子、 炭素数 1 ~ 1 0 のアルキル基、 炭素数 6 〜 1 0 のァリ ール基、 ビエル基、 ビ 二ル基を有する炭素数 3 〜 1 0 の有機基、 (メタ) ァク リ ロ ィル基を有する炭素数 4〜 1 0 の有機基またはエポキシ基を 有する炭素数 3 〜 1 0 の有機基を表し、 各 R 2はそれぞれ独 立に炭素数 1 〜 6 のアルキル基を表し、 nは 0 〜 2 の整数を 表す)
で表される第 1 のアルコキシシラン類、 及び下記式 ( 2 ) :
(R 30 ) 3 S i - (R 4)m - S i (O R 3 ) 3 ( 2 )
(式中、 各 R 3はそれぞれ独立に炭素数 1 〜 6 のアルキル基 を表し、 R 4は炭素数 1 〜 6 のアルキレン基または炭素数 6 〜 1 0 のァリーレン基を表し、 mは 0 または 1 である) で表される第 2 のアルコキシシラン類からなる群よ り選ばれ る少なく とも 1 種のアルコキシシランを酸触媒の存在下で加 水分解重縮合して得られる流動性シリ カ前駆体、
( B ) 塩基性水酸基及び塩基性窒素原子からなる群よ り選 ばれる少なく とも 1 種を有する塩基性化合物、 ただし、 該塩 基性化合物 ( B ) の 0 . 1 規定の水溶液の P Hは 1 1 以上で
あ り、 且つ、 該塩基性化合物 ( B ) の 1 0 0 °Cにおける蒸気 圧は 1 . 3 k P a以下である、 及び
( C ) '沸点が 1 0 0 °C以上であって該流動性シリカ前駆体 ( A ) と相溶する有機化合物
を包含する塗布組成物であって、 該塩基性化合物 ( B ) の量 が、 該塩基性化合物 ( B ) 中の該塩基性水酸基及び塩基性窒 素原子の合計モル量に換算して、 該流動性シリカ前駆体
( A) 中の S i 原子 1 モルに対して 0 . 0 0 1 5 〜 0 . 5 モ ルである こ とを特徴とする組成物。
2 . 該流動性シリカ前駆体 ( A ) の重量平均分子量が 1 , 5 0 0 〜 2 0 0 , 0 0 0 である こ とを特徴とする、 前項 1 に記 載の塗布組成物。
3 . 該有機化合物 ( C ) がェ一テル基、 エステル基、 カルボ ニル基、 カルボキシル基、 力一ポネー ト基、 アミ ド基及び水 酸基からなる群よ り選ばれる少なく とも 1 種の極性基を有す る こ とを特徴とする、 前項 1 または 2 に記載の塗布組成物。
4 . 該有機化合物 ( C ) が分子内に少なく とも 3個の水酸基 を有する多価アルコールまたは糖類であるか、 または該多価 アルコールまたは糖類の水酸基のうちの少なく とも 1 個をェ ステル化して得られるエステルである こ とを特徴とする、 前
項 3 に記載の塗布組成物。
5 . 多価アルコール、 糖またはエステルである該有機化合物 ( C ) において、 炭素に対する酸素の原子比が 0 . 5以上で ある こ とを特徴とする、 前項 4 に記載の塗布組成物。
6 . 該有機化合物 ( C ) がポリ エーテル、 ポリ エステル、 ポ リ カ一ボネー ト、 ポリ アミ ド、 セルロース、 ポリ ビニルアル コール、 ポリ ピニルェ一テル、 ポリ ビニルピロ リ ドン、 ポリ アク リ ルアミ ド及びポリ アク リル酸からなる群よ り選ばれる 少なく とも 1種のポリマーである ことを特徴とする、 前項 3 に記載の塗布組成物。
7 . 該酸触媒が陽イオン交換樹脂である ことを特徴とする、 前項 1 〜 6 のいずれかに記載の塗布組成物。
8 . 該塩基性化合物 ( B ) が水酸化ナ ト リ ウム、 水酸化カ リ ゥム、 テ ト ラアルキルアンモニゥムハイ ドロキサイ ド及び重 量平均分子量 1 3 0 以上のポリ アルキレンィ ミ ンからなる群 よ り選ばれる少なく とも 1種の化合物である こ とを特徴とす る、 前項 1 〜 7 のいずれかに記載の塗布組成物。
9 . 該塩基性化合物 ( B ) の量が、 該塩基性化合物 ( B ) 中
の該塩基性水酸基及び塩基性窒素原子の合計量に換算して、 該流動性シリカ前駆体 ( A ) 中の S i 原子 1 モルに対して 0 . 0 0 5 〜 0 . 0 8 モルであるこ とを特徴とする、 前項 1 〜 8 のいずれかに記載の塗布組成物。
1 0 . 該流動性シリカ前駆体 (A) 、 該塩基性化合物 ( B ) 及び該有機化合物 ( C ) の混合物のための溶媒 ( D ) をさ ら に含有する ことを特徴とする、 前項 1 〜 9 のいずれかに記載 の塗布組成物。
1 1 . 該溶媒 ( D ) が、 水酸基を有し且つ沸点が 1 0 0 °C以 上である高沸点溶媒を、 該塗布組成物の重量に対して 5 重 量%以上含むこ とを特徴と.する、 前項 · 1 0 に記載の塗布組成 物。
1 2 . さ らにテ ト ラアルキルアンモニゥム塩 ( E ) を該流動 性シリカ前駆体 ( A ) 1 0 0重量部に対して 1 〜 5 0重量部 の割合で含有する ことを特徴とする、 前項 1 〜 1 1 のいずれ かに記載の塗布組成物。
1 3 . 反射防止膜に用いる ことを特徴とする、 前項 1 〜 1 2 のいずれかに記載の塗布組成物。
1 4. 次の工程 :
( 1 ) 前項 1 〜 1 3 のいずれかに記載の塗布組成物を基板 上に塗布して該組成物の薄膜を形成する工程、 ただし、 該薄 膜は該塩基性化合物 ( B ) 及び該有機化合物 ( C ) を分散し てなる該流動性シリ カ前駆体 ( A ) を含有する、
( 2 ) 該薄膜を硬化し、 それによつて該流動性シリカ前駆 体 ( A ) がシリ カに変換された硬化薄膜を得る工程、 及び
( 3 ) 該硬化薄膜を溶媒抽出に付して該硬化薄膜から該有 機化合物 ( C ) を除去し、 それによつて多孔性シリカ薄膜を 得る工程
を包含する方法によって得られる多孔性シリカ薄膜。
1 5 . 工程 ( 3 ) における抽出に用いる溶媒が極性溶媒であ ることを特徴とする、 前項 1 4 に記載の多孔性シリカ薄膜。 以下、 本発明を詳細に説明する。
本発明の塗布組成物は、 流動性シリカ前駆体 (A) 、 塩基 性化合物 ( B ) 、 及び有機化合物 ( C ) を必須成分として含 有する。
まず、 流動性シリ カ前駆体 ( A ) について説明する。 流動 性シリ カ前駆体 ( A ) は下記式 ( 1 ) :
R l nS i (O R 2)4.n ( 1 )
(式中、 各 R 1 はそれぞれ独立に水素原子、 炭素数 1 〜 1 0
のアルキル基、 炭素数 6 〜 1 0 のァ リ ール基、 ビニル基、 ビ 二ル基を有する炭素数 3 ~ 1 0 の有機基、 (メタ) ァク リ ロ ィル基を有する炭素数 4〜 1 0 の有機基またはエポキシ基を 有する炭素数 3〜 1 0 の有機基を表し、 各 R 2はそれぞれ独 立に炭素数 1 〜 6 のアルキル基を表し、 nは 0 〜 2 の整数を 表す)
で表される第 1 のアルコキシシラ ン類、 及び下記式 ( 2 ) :
(R 3 O ) 3 S i - (R 4)m - S i (O R 3 ) a ( 2 )
(式中、 各 R 3はそれ.ぞれ独立に炭素数 1 〜 6 のアルキル基 を表し、 R 4は炭素数 1 〜 6 のアルキ レン基または炭素数 6 〜 1 0 のァ リ ーレン基を表し、 mは 0 または 1 である) で表される第 2 のアルコキシシラ ン類か らなる群よ り 選ばれ る少なく と も 1種のアルコキシシラ ンを酸触媒の存在下で加 水分解重縮合して得 られる流動性シリ カ前駆体である。
上記式 ( 1 ) で表される第 1 のアルコキシシラ ン類につい て説明する。 式 ( 1 ) において nが 0である場合、 即ち S i ( 0 R 2) 4を 4官能性アルコキシシラ ンと称す。 nが 1 である 場合、 即ち R 1 ( S i ) (〇 R 2) 3 を 3官能性アルコキシシラ ン と称す。 nが 2である場合、 即ち R (S i ) (〇 R 2)2を 2官 能性アルコキシシラ ンと称す。
式 ( 1 ) における R ' と しての炭素数 1 〜 1 0 のアルキル 基の具体例と してはメチル基、 ェチル基、 プロ ピル基、 イ ソ ブチル基、 及びシク 口へキシル基が挙げられ、 炭素数 6 〜 1
0 のァ リール基の具体例と してはフエニル基、 及び ト リ ル基 が挙げられ、 ビニル基を有する炭素数 3 ~ 1 0 の有機基の具 体例と してはァ リル基、 1 一プロぺニル基、 1 —ブテニル基. 2 —ブテニル基、 及び 3 —ブテニル基が挙げられ、 (メタ) ァク リ ロイル基を有する炭素数 4〜 1 0 の有機基の具体例と してはァク リ ロキシメチル基、 ァク リ ロキシエ トキシ基、 ァ ク リ ロキシプロ ピル基、 メ 夕ク リ ロキシメチル基、 メ タ ク リ ロキシェチル基、 及びメ夕 ク リ ロキシプロ ピル基が挙げられ エポキシ基を有する炭素数 3 〜 1 0 の有機基の具体例と して は 2 , 3 —エポキシプロ ピル基、 3 , 4 一エポキシブチル基 4 , 5 —エポキシペンチル基、 5 , 6 —エポキシへキシル基 3 , 4 —エポキシシク 口へキシル基、 及び 3 — グリ シ ドキシ プロ ピル基を挙げる こ とができる。 式 ( 1 ) における R 2 と しての炭素数 1 〜 6 のアルキル基の具体例と してはメチル基 ェチル基、 プロ ピル基、 イ ソプロ ピル基、 イ ソブチル基、 及 びシク 口へキシル基を挙げる こ とができる。
上記 4官能性アルコキシシラ ンの具体例と しては、 テ ト ラ メ トキシシラ ン、 テ 卜 ラエ トキシシラ ン、 テ ト ラ ( n - プロ ポキシ) シラン、 テ 卜 ライ ソプロボキシシラ ン、 テ 卜 ラ ( n 一ブ トキシ) シラン、 テ ト ラ ( t 一ブ トキシ) シラ ンなどが 挙げられる。 上記 3 官能性アルコキシシラ ンの具体例と して は、 ト リ メ トキシシラ ン、 ト リ エ トキシシラ ン、 メチル ト リ メ トキシシラ ン、 メチル ト リ エ トキシシラ ン、 ェチル 卜 リ メ
トキシシラ ン、 ェチル 卜 リ エ トキシシラ ン、 プロ ピル 卜 リ メ トキシシラ ン、 プロ ピル ト リ エ トキシシラ ン、 イ ソ ブチル ト リエ トキシシラ ン、 シク ロへキシル ト リ メ トキシシラン、 フ ェニル ト リ メ 卜キシシラ ン、 フエニル ト リ エ トキシシラ ン、 ピニル ト リ メ トキシシラ ン、 ビニル ト リ エ トキシシラン、 ァ リ ル ト リ メ トキシシラン、 ァ リ ノレ ト リ エ トキシシラ ン、 r - ァク リ ロキシプロ ビル ト リ メ トキシシラ ン、 ァ 一メ夕ク リ ロ キシ ト リ メ トキシシラ ン、 ァ ー グリ シ ドキシプロ ピ レ 卜 リ メ トキシシラ ンなどが挙げられる。 上記 2 官能性アルコキシシ ラ ンの具体例と しては、 ジメチルジメ トキシシラ ン、 ジメチ ルジェ トキシシラ ン、 ジフエ二ルジメ トキシシラ ン、 ジフ エ 二ルジェ トキシシラ ンなどが挙げられる。 これら のアルコキ シシランは単独で用いてもよ く 、 2 種以上を混合して用い.て もよい。 これらのアルコキシシラ ンの中で、 テ ト ラメ トキシ シラ ン、 テ ト ラエ トキシシラ ン、 卜 リ メ 卜キシシラン、 ト リ エ トキシシラン、 メチル ト リ メ トキシシラ ン、 メチル ト リ エ トキシシラ ン、 ジメチルジメ トキシシラ ン、 ジメチルジェ ト キシシラ ンが特に好ま しい。
上記式 ( 2 ) で表される第 2 のアルコキシシラ ン類につい て説明する。 第 2 のアルコキシシラ ン類は、 2 つの 3 官能ァ ルコキシシランが、 直接又はアルキレン基ゃァ リ ーレン基を 介して結合されたものである。'
式 ( 2 ) における R 3 と しての炭素数 1 〜 6 のアルキル
基の具体例と してはメチル基、 ェチル基、 プロ ピル基、 イ ソ ブチル基、 及びシク ロへキシル基があげられる。 また、 式'
( 2 ) の、 R 4と しての炭素数 1 〜 6 のアルキレン基の具体 例と してはメチレン基、 エチレン基、 プロ ピ レン基、 ブチレ ン基、 イ ソ ブチレン基、 及びシク 口へキシル基があげられ、 炭素数 6 〜 1 0 のァ リ 一 レン基の具体例と してフエ二レン-基 2 —メチル— 1 , 4 — フエ二レン基及び 2 , 5 —ジメチル— 1 , 4 — フエ二レン基があげられる。
第 2 のアルコキシシラ ン類の具体的な例と しては、 ビス
( ト リ メ 卜キシシリ ル) メ タ ン、 ビス ( 卜 リ エ 卜キシシ リ ル) メタ ン、 1 , 2 — ビス ( ト リ メ トキシシ リ ル) ェタ ン、 1 , 2 — ビス ( 卜 リ エ トキシシリル) ェタ ン、 1 , 4 一 ビス
( ト リ メ トキシシリ ル) ベンゼン、 1 , 4 — ビス ( ト リ エ ト キシシリ ル) ベンゼン、 ビス ( ト リ メ トキシ) ジシラ ン、 ビ ス ( ト リ エ トキシ) ジシラ ンなどが挙げられる。 これら のァ ルコキシシラ ンは単独で用 いてもよ く 、 2 種以上を混合して 用いてもよい。 これらのアルコキシシラ ンの中で、 ビス ( ト リ メ トキシシリ ル ) メタ ン、 ビス ( 卜 リ エ 卜キシシリ ル) メ タ ン、 1 , 2 — ビス ( 卜 リ メ トキシシ リ ル) ェタン、 1 , 2 一 ビス ( ト リ エ トキシシリ ル) ェタ ンが特に好ましい。
本発明においては、 第 1 のアルコキシシラ ン類を用いる こ とが好ま しい'。
また、 第 1 のアルコキシシラン類と第 2 のアルコキシシラ
ン類とを併用すると、 得られる薄膜と基板との接着性をさ ら に高める ことができるので、 よ り好ましい。 例えば、 3 官能 の第 1 のアルコキシシランのみを用いて得られる多孔性シリ 力薄膜に比較して、 3官能の第 1 のアルコキシシランと第 2 のアルコキシシランとを併用 して得られる多孔性シリ カ薄膜 においては、 基板との結合力が弱いアルキル基が基板との接 着界面に存在する確率を低減でき、 薄膜と基板との接着性が さ らに高まる と考えられる。
第 1 のアルコキシシラン類と第 2 のアルコキシシラン類と を併用する場合、 第 2 のアルコキシシラン類の量は、 第 1 の アルコキシシラン類の量 1 0 0重量部に対し、 好ましく は 5 〜 5 0 0重量部、 さ らに好ましく は 1 0 〜 4 0 0 重量部、 さ らに好ましく は 2 0 〜 3 0 0重量部である。 5重量部未満で は上記した接着性をさ らに高める効果が得られない。
本発明において、 例えば、 薄膜表面の滑性向上や薄膜の防 湿性向上を目的として、 得られる多孔性シリ カ薄膜を改質す るために、 第 1 のアルコキシシラン類及び Zまたは第 2 のァ ルコキシシラン類とともに、 上記式 (. 1 ) において nが 3 で ある構造を有する、 1 官能性アルコキシシランを用いる こと が好ましい。 このような 1 官能性アルコキシシランの具体例 として、 ト リ メチルメ トキシシラン、 ト リ メチルエ トキシシ ラン、 卜 リ フエニルメ トキシシラン、 卜 リ フエニルェ 卜キシ シラン、 フエ二ルジメチルメ トキシシラン、 フエニルジメチ
ルエ トキシシラ ン、 ジフエニルメチルメ トキシシラン、 ジフ ェニルメチルェ トキシシラ ンが挙げられる。
これら の 1 官能性アルコキシランの量は、 アルコキシシラ ンの合計 1 モルに対して 0 . 2 モル以下となるよう にする。
0 . 2 モルを超える と成膜した際に基板との接着性が低下し た り、 低屈折率の薄膜が得られなかっ た りする場合がある。
また、 本発明において、 例えば、 強度向上を 目的と して、 得られる多孔性シリ カ薄膜を改質するために、 低屈折率の性 能を損なわない範囲で、 S i 以外の金属アルコキシ ド (たと えばアルミニウム、 チタ ン、 ジルコニウムなどのアルコキシ ド) 等を添加する こ とは好ま しい。 上記アルコキシ ドの具体 例と して、 ト リ メ トキシアルミ ニウム、 ト リ エ トキシアルミ 二ゥム、 ト リ プロポキシアルミ ニウム、 ト リ ブ トキシアルミ 二ゥム、 テ ト ラメ トキシチタ ン、 テ ト ラエ トキシチタ ン、 テ ト ラプロポキシチタ ン、 テ ト ラブ トキシチタ ン、 テ ト ラプロ ピルジルコネ一 ト、 テ 卜 ラブチルジルコネ一 トが挙げられる これら の S i 以外の金属アルコキシ ドの添加量は、 本発明 の組成物中の S i 原子 1 モルに対して、 0 . 2 モル以下とな るよう にする。 0 . 2 モルを超える と、 成膜した際に高透過 性が得られない場合や低屈折率性が得られない場合がある。
流動性シリ カ前駆体 ( A ) は、 上記の第 1 のアルコキシシ ラ ン類及び上記の第 2 のアルコキシシラ ン類か らなる群よ り 選ばれる少なく と'も 1 種のアルコキシシラ ンを酸触媒の存在
下で加水分解重縮合して得られるものである。 流動性シリ 力 前駆体 ( A ) は、 線状シリ カポリマ一である。 こ こでいう線 状シリ カポリマーとは、 単鎖の線状シリ カポリマーだけでな く、 ラダー構造または分岐構造を有する重合体をも含む。 単 鎖の線状シリカポリ マーの例として、 作花済夫 「ゾルーゲル 法の科学」 (日本国 (株) ァグネ承風社出版、 1 9 8 8 年) の 5 8頁に記載の式 ( 5 . 3 ) または 5 9 頁に記載の式 ( 5 . 7 ) で表される構造を有する縮合体が挙げられる。 また、 ラ ダ一構造を有する重合体の例として、 C . J - B r i n k e r、 G . W. S c h e r e r 「 S o l — g e l s c i e n c e : t h e p h y s i c s a n d c h e m i s t r y o f s o l — g e l p r o c e s s i n g」 (米 国 A c a d e m i c P r e s s、 1 9 9 0 ) の 2 1 0頁に 記載の式 ( 6 1 ) で表される構造を有する縮合体が挙げられ る。
流動性シリ カ前駆体 ( A ) の重量平均分子量は, 通常 1 , 5 0 0〜 2 0 0, 0 0 0 、 好ましく は 2 , 0 0 0〜 1 0 0, 0 0 0 、 さ らに好ま しく は 2 , 5 0 0〜 5 0, 0 0 0 、 さ ら に好ま しく は 5 , 0 0 0〜 5 0, 0 0 0 である。 重量平均分 子量が 1 , 5 0 0未満である場合、 得られる多孔性シリ カ薄 膜の低屈折率性、 高光透過性、 および、 強度が不十分となる また、 2 0 0, 0 0 0 を超える場合は不溶成分 (後述するシ リカの粒子) を含有する可能性が高く な り、 多孔性シリ カ薄
膜の高光透過性が不十分となる可能性がある。 なお、 該重量 平均分子量はゲルパ一ミエ一ショ ンク ロマ 卜グラフィ 一によ る標準単分散ポリ エチレングリ コール換算の値である。
なお、 流動性シリ カ前駆体 ( A ) が硬化する こ とによ り シ リカが形成される。 本発明において、 「シリカ」 とは流動性 シリカ前駆体 ( A ) 中のシラノール基が縮合反応によってシ ロキサン結合に変換される ことによ り形成された、 3 次元に 繋がった強固なシロキサン結合のネッ ト ワーク を有し、 それ によ り流動性を有さない固体のことを意味する。 このよう な シリ力 'に関しては、 分子量の測定は不可能である。
上記のよう に、 本発明の塗布組成物は流動性シリカ前駆体
( A ) 、 塩基性化合物 ( B ) 、 及び有機化合物 ( C ) を含有 する。 有機化合物 ( C ) は流動性シリ カ前駆体 ( A ) と相溶 するので、 塗布組成物の薄膜においては、 有機化合物 ( C ) は流動性シリ カ前駆体 ( A ) 中に均一に分散している。 塩基 性化合物 ( B ) はシリカ縮合能を有するので、 塗布組成物の 薄膜を硬化させる ことによ り、 上記のシリ カからなる硬化薄 膜が得られる。 また、 有機化合物 ( C ) は開孔剤として働く
(即ち、 溶媒抽出によって硬化薄膜から有機化合物 ( C ) が 除去される) ので、 光の波長サイズに対して十分に小さ く 、 且つ、 均質な孔を、 多数導入する ことが出来、 低屈折率、 高 光透過性、 且つ、 高強度の多孔性シリカ薄膜が形成されるわ けである。 上記成分 ( B ) 及び ( C ) に関しては、 後に詳細
に説明する。
上記アルコキシシランの加水分解重縮合に用いる酸触媒は、 酸類であれば特に限定されない。 具体例と しては、 塩酸、 硝 酸、 リ ン酸、 酢酸、 シユウ酸、 フタル酸、 安息香酸、 p — ト ルエンスルホン酸、 陽イオン交換樹脂等が挙げられる。
陽イオン交換樹脂としては、 スルホン酸官能基を有する強 酸性陽イオン交換樹脂やカルボン酸官能基を有する弱酸性陽 イオン交換樹脂が好ましく 、 官能基は水素イオン型で用いる , これらの酸触媒の添加量は、 上記アルコキシシラン中に含 まれるケィ素原子 1 モルに対し、 好ましく は 0 . 0 0 0 0 0 1 〜 0 . 1 モル、 さ らに好まし く は 0 . 0 0 0 0 1 〜 0 . 0 1 モルである (なお、 酸触媒が陽イオン交換榭脂である場合 の酸触媒のモル量は、 イオン交換基のモル量で表す) 。 酸触 媒の量が 0 . 0 0 0 0 0 1 モルよ り少ない場合、 鎖状シリ カ ポリ マーの生成が十分には進まないことがある。 また、 0 . 1 モルよ り多い場合、 上記アルコキシシランに水を添加して 加水分解重縮合させて得られる、 流動性シリカ前駆体 ( A ) を含む反応液の粘度が著しく大きく なつてしまう。
アルコキシシランを酸触媒の存在下で加水分解重縮合して 流動性シリ カ前駆体 ( A ) を製造する方法について説明する アルコキシシランを加水分解重縮合させるには水が必須であ るので、 アルコキシシランに水を添加する。 アルコキシシラ ンに水を添加するとき、 水を単独で、 あるいは後で述べる溶
媒 ( D ) の少なく とも 1 種と混合した水溶液として添加する のが一般的であるが、 水蒸気の形で加えてもかまわない。 水 の添加を急激に行う と、 アルコキシシランの種類によっては 加水分解と縮合が速すぎて沈殿を生じる場合があるため、 水 の添加に充分な時間をかけるという手法、 均一化させるため にアルコールなどの溶媒を共存させる という手法、 低温で添 加するという手法などを、 単独または組み合わせて用いる こ とが好ましい。
水の添加量は、 アルコキシシランに含まれるアルコキシ基 1 モルに対して通常 1 〜 1 0 0 モル、 好ましく は 1 〜 1 0 モ ルである。 1 0 0 モルよ り多いと、 流動性シリ カ前駆体
( A ) の生成速度が遅く なつてしまう場合がある。
なお、 酸触媒として陽イオン交換樹脂を用いた場合は、 流 動性シリカ前駆体 ( A ) を調製した後に、 ろ過等の公知の方 法によって陽イオン交換樹脂を除去する。
複数のアルコキシシラ ンを用いて流動性シリ カ前駆体 ( A ) を製造する場合、 複数のアルコキシシランを混合して 同時に酸触媒にて加水分解重縮合を行ってもよいし、 それぞ れ単独のアルコキシシランを酸触媒にて加水分解重縮合を行 つた後に混合して用いてもよい。
次に、 塩基性化合物 ( B ) について説明する。
塩基性化合物 ( B ) は、 塩基性水酸基及び塩基性窒素原子 からなる群よ り選ばれる少なく とも 1種を有する。 塩基性窒
素原子とは、 塩基性を示す含窒素官能基に含有される窒素原 子を意味する。 後述の式 ( 3 ) で表される塩基性化合物中の 窒素原子は、 塩基性窒素原子ではない。 式 ( 3 ) で表される 塩基性化合物は、 塩基性水酸基を有するものである。
塩基性化合物 ( B ) の 0 . 1規定の水溶液の p Hは 1 1 以 上である。 塩基性化合物 ( B ) の 0 . 1規定の水溶液とは、 該水溶液中の塩基性水酸基及び塩基性窒素原子の合計モル数 が、 0 · 1 モル d m 3となるよう に、 塩基性化合物 ( B ) を水に溶解させて得られる水溶液である。 なお、 該水溶液の P Hは、 通常の p Hメ一ターで約 2 0 °Cの室温にて測定され る値である。 p Hが 1 1 よ り小さい場合は、 十分な縮合度が 得られず、 薄膜が基板から剥離したり、 屈折率の低い薄膜が 得られなかった りする。 また、 組成物の保管時にその粘度が 上昇して、 組成物を基板の上に塗布できなくなる恐れがある 塩基性化合物 ( B ) の 1 0 0 °Cにおける蒸気圧は、 1 . 3 k P a以下である こ とが必要であ り、 好ま しく は 0 . 8 k P a以下、 よ り好まし く は 0 . 4 k P a以下である。 1 0 0 °C での蒸気圧が 1 . 3 k P aを超える場合、 低屈折率の薄膜が 得られない。 その理由は、 1 0 0 °Cでの蒸気圧が 1 . 3 k P a を超える塩基性化合物を用いた場合、 後述の硬化工程にお いて塩基性化合物が揮散するために、 十分な硬化縮合度が得 られないためと考え られる。
なお、 下記式 ( 3 ) :
R 5 R 6 R 7 R 8 N O H ( 3 )
(式中、 R 5 、 R 6 、 R 7 、 R 8は、 独立して炭素数 1 〜 1 0 のアルキル基を表し、 これらはそれぞれ窒素原子と結合して いる) 、
または下記式 ( 4 ) :
M (〇 H ) . x ( 4 )
(式中、 Mはアルカ リ金属またはアルカ リ 土類金属を表し、 Xは 1 または 2 である)
で表される塩基性化合物の場合、 塩基性化合物は実質的に蒸 気圧が無い (溶液中でイオン性が高く 、 イオン乖離してお り 蒸気圧はほぼ 0 である) が、 このような化合物も 1 0 0 °Cに おける蒸気圧が 1 . 3 k P a以下であるものと考える。
塩基性化合物の蒸気圧は、 日本化学会編 「第 4版 実験化 学講座 4 熱 ' 圧力」 ( 1 9 9 2年、 日本国丸善株式会社発 行) の 3 8 1頁に記載の沸点法に従って測定する。 なお、 0 1 k P a、 1 0 0 °Cにて沸点を示さない塩基性化合物は 1 0 0 °Cでの蒸気圧は 0 . I k P a未満である とする。 また、 ァ ンモニァ水の場合は、 アンモニアが揮発性なので、 蒸気圧 1 3 k P a を超えるとする。
塩基性化合物 ( B ) の好ましい例と して、 無機塩基、 テ ト ラアルキルアンモニゥムハイ ドロキサイ ド、 有機塩基が挙げ られる。 無機塩基の例として、 水酸化ナ ト リ ウム、 水酸化力 リ ウム、 水酸化リチウムが挙げられる。 テ ト ラアルキルアン
モニゥム八ィ ドロキサイ ドの例として、 テ トラメチルアンモ ニゥム八ィ ドロキサイ ド、 テ ト ラェチルアンモニゥム八ィ ド ロキサイ ド、 テ トラプロ ピルアンモ二.ゥムハイ ド ロキサイ ド . テ トラプチルアンモニゥムハイ ドロキサイ ド、 2 ーヒ ドロキ シェチル ト リ メチルアンモニゥム八ィ ドロキサイ ドが挙げら れる。 有機塩基の例と して、 重量平均分子量が 1 3 0 1 0 0 , 0 0 0 、 好ましく は 1 3 0 5 0 , 0 0 0 、 さ らに好ま しく は 1 3 0 1 0 , 0 0 0 のポリ アルキレンィ ミ ンが挙げ られる。 このようなポリ アルキレンィ ミ ンの具体例としては ジプロ ピレン ト リァミ ン、 ト リ エチレンテ トラミ ン、 テ ト ラ エチレンペン夕ミ ン、 および、 エチレンイ ミ ンを重合して得 られる重量平均分子量 2 0 0 1 0 0 0 0 0 、 好ましく は 2 0 0 5 0 , 0 0 0 、 さ らに好ましく は 2 0 0 1 0 , 0 0 0 の鎖状または分岐状ポリエチレンィ ミ ンが挙げられる。 塩基性化合物 ( B ) の量は、 塩基性化合物 ( B ) 中の該塩 基性水酸基及び塩基性窒素原子の合計モル量に換算して、 流 動性シリカ前駆体 ( A ) 中の S i 原子 1 モルに対して 0 . 0 0 1 5 0 . 5 モル、 好ま しく は 0 . 0 0 2 0 . 2 モル、 さ らに好ま しく は 0 . 0 0 5 0 . 0 8 モルである。 塩基性 化合物 ( B ) の量が 0 . 0 0 1 5モルよ り少ない場合、 抽出 中にシリ カ薄膜が基板から剥離したり、 屈折率の低い薄膜が 得られなかったりする場合がある。 また、 塩基性化合物
( B ) の量が 0 . 5 モルよ り多い場合、 得られる多孔性シリ
力薄膜の光透過性が低下する こ とがある。 なお、 流動性シリ 力前駆体 ( A ) 中に残存する酸触媒の量が流動性シリ カ前駆 体 ( A ) 中の S i 原子 1 モルに対して 0 . 1 モル以上と多い 場合は、 塩基性化合物 ( B ) の量の前記の上限値の 0 . 5 モ ルに、 中和のための酸当量分を追加して塩基性化合物 ( B ) を添加しても良い。
流動性シリカ前駆体に含まれる全 S i 原子 1 モルに対する 塩基性化合物中の塩基性水酸基及び塩基性窒素原子の合計モ ル量は、 アルコキシシラン使用量と塩基性化合物添加量とか ら計算で求める。
有機化合物 ( C ) について説明する。 有機化合物 ( C ) は 沸点が 1 0 0 °C以上、 好ましく は 1 5 0 °C以上、 さ らに好ま しく は 2 0 0 °C以上、 さ らに好まし く は 2 5 0 °C以上である 沸点は常圧での値である。 実質的に沸点を示さない化合物に ついては、 沸点が 1 0 0 °C以上である と考える。 たとえば、 有機ポリマーは温度を上げてい く と熱分解するので、 実質的 に沸点を示さないが、 そのような有機ポリ マーも沸点が 1 0 0 °C以上の化合物である と考える。
沸点が 1 0 0 °C未満である場合、 有機化合物 ( C ) を多量 に添加した場合でも、 成膜中に揮散して膜の有機化合物含有 量が減少してしまい、 十分な孔を導入する こ とが出来なく な る。
有機化合物 ( C ) は流動性シリカ前駆体 ( A ) と相溶する
ものでなければならない。 有機化合物 ( C ) が流動性シリ 力 前駆体 ( A ) と相溶する とは、 両者が分子サイズのレベルで 混合していることを意味する。 相溶しないと、 得られる多孔 性シリカ薄膜の光透過性が低下してしまう。 なお、 有機化合 物 ( C ) が流動性シリカ前駆体 ( A ) と相溶し得る温度は、 室温から成膜温度までの範囲にある ことが好ましい。 流動性 シリ カ前駆体 ( A ) と相溶する化合物の例として、 シラノ一 ル基と水素結合して相溶する官能基や結合を有する化合物が 挙げられる。
有機化合物 ( C ) の例と して、 エーテル基、 エステル基、 カルボニル基、 カルボキシル基、 カーボネー ト基、 アミ ド基 及び水酸基からなる群よ り選ばれる少なく とも 1 種の極性基 を有する有機化合物を挙げる ことができる。 なお、 こ こで言 う アミ ド基は、 一 C 〇 N H 2、 — C 〇 N H —、 一 C O N で表される基の総称である。
有機化合物 ( C ) の具体例として、 ポリ エーテル、 ポ リ エ ステル、 ポリ カーボネー ト、 ポリ アミ ド、 セルロース、 ポ リ ビニルアルコール、 ポリ ビニルエーテル、 ポリ ビニルピロ リ ドン、 ポリ アク リルアミ ド及びポリ アク リル酸を挙げる こ と ができる。
上記のポリ エーテルとしては、 炭素数が 2 〜 1 2 のェ一テ ル基を繰り返し単位として有する脂肪族ポリエーテルが好ま しい。 上記のポリエステルとしては、 炭素数が 2 〜 1 2 のェ
ステル基を繰り返し単位と して有する脂肪族ポリ エステルが 好ましい。 上記ポリ力一ポネー ト と しては、 炭素数が 2 〜 1 2 のカーボネー ト基を繰り返し単位と して有する脂肪族ポリ カーボネー トが好ましい。 上記ポリ アミ ドと しては、 炭素数 が 2 ~ 1 2 のアミ ド基を繰り返し単位と して有する脂肪族ポ リ アミ ドが好ま しい。 上記のポリ マーは単独で用.いてもよい し、 混合して用いてもよい。 また、 ポリ マ一の主鎖は、 本発 明の効果を損なわない範囲で、 上記の繰り返し単位以外の任 意の単量体単位を含んでいてもよい。
脂肪族ポリ エーテルの例としては、 ポリ エチレングリ コー ル、 ポリ プロ ピレングリ コール、 ポリ ト リ メチレンダルコ一 ル、 ポリ テ ト ラメチレングリ コール、 ポリ ペンタメチレング リ コ一ル、 ポリ へキサメチレングリ コール、 ポリ ジォキソ ラ ン、 ポリ ジォキセパン等のポリ アルキレングリ コ一ルを挙げ る こ とができる。 また、 これらはコポリ マーであってもよい コポリ マ一の例と して、 ポリエチレングリ コール—ポリ プロ ピレンダリ コールブロ ックコポリマー、 ポリ エチレングリ コ 一ルーポリ テ 卜 ラメチレングリ コールブロ ックコポリ マー、 ポリエチレングリ コール一ポリ プロ ピレングリ コール一ポリ エチレングリ コールブロ ックコポリ マ一が挙げられる。
これらの中でも、 ポリエチレングリ コール、 ポリ プロ ピレ ングリ コール、 ポリエチレングリ コール一ポリ プロピレング リ コールブロ ッ クコポリマ一、 ポリエチレングリ コールーポ
リ テ ト ラメチレングリ コールブロ ッ ク コポ リ マー、 ポリ ェチ レングリ コ一ルーポ リ プロ ピレングリ コール—ポ リ エチ レン グリ コ一ルブロ ッ ク コポリ マーが好ま しい。 よ り好まし く は, 脂肪族ポ リ エーテルのすべての末端が炭素数 1 〜 1 2 のアル コキシ基を有する ものであ り 、 具体例と しては、 ポ リ エチレ ングリ コール、 ポリ プロ ピ レングリ コール、 ポ リ エチレング リ コ一ルーポリ プロ ピレングリ コールブロ ッ ク コポ リ マー、 ポリ エチレングリ コール—ポ リ テ ト ラメチレングリ コ一ルブ ロ ッ ク コポリ マ一、 ポ リ エチレングリ コ一リレーポ リ プロ ピ レ ングリ コール一ポリ エチレングリ コールブロ ッ ク コポリ マ一 の両末端がメチルエーテル、 ェチルェ一テル、 プロ ピルエー テル、 ペンチルエーテル、 へキシルエーテル、 ぺプチルエー テル、 ォクチルェ一テルである ものが挙げられる。 最も好ま しい脂肪族ポリ エーテルは、 ボリ エチレングリ コ一ルジメチ ルエーテルである。 末端にアルコキシ基を有する こ とによ り 塗布組成物の薄膜を硬化して得られる硬化薄膜から有機化合 物である脂肪族ポリ マーを除去する際の残留物が低減できる 脂肪族ポ リ エステルの例と しては、 ポ リ グリ コ リ ド等のヒ ド ロキシカルボン酸の重縮合物、 ポリ 力プロ ラク ト ン、 ポ リ ピバロ ラク ト ン等のラク ト ンの開環重合物、 ポ リ エチレンォ キサレー 卜、 ポ リ エチレンスク シネー 卜、 ポリ エチレンアジ ペー ト、 ポリ エチレンセバゲー ト、 ポ リ プロ ピ レンアジぺー ト、 ポリ オキシジエチレンアジべ一 ト等のジカルボン酸とァ
ルキレングリ コールとの重縮合物、 エポキシ ド と酸無水物と の開環共重合物等を挙げる こ とができる。 なお、 上記のアル キレングリ コールとは、 炭素数 2 以上のアルカ ンの同一炭素 原子上に結合していない 2個の水素原子を、 それぞれ水酸基 に置換して得られる 2価アルコールを意味する。 ジカルボン 酸とは、 蓚酸、 マロ ン酸、 コ 'ハク酸、 グルタル酸、 アジピン 酸、 ピメ リ ン酸、 スベリ ン酸、 ァゼライ ン酸、 セバシン酸等 の力ルポキシル基を 2個有する有機酸を意味する。
脂肪族ポリ カーボネー ト の例と しては、 ポリ エチレンカー ボネー ト、 ポリ プロ ピ レン力一ポネー ト、 ポリ ペンタメチレ ンカーボネー ト、 ポ リ へキサメチレンカーポネ一 ト等のポ リ カーボネー トを挙げる こ とができる。
脂肪族ポリ アミ ドの例と しては、 ポ リ オキサゾリ ン誘導体. ポリ イ ミ ド誘導体、 ポ リ ウ レタ ン誘導体、 ポ リ 尿素誘導体、 ナイ ロン誘導体、 および、 これらの混合物等を挙げる こ とが できる。
なお、 本発明の効果を損なわない程度の範囲で、 例えば、 粘度調整や塗布特性改善等の目的で上記以外の任意のポ リ マ 一を添加しても差 し支えない。
有機化合物 ( C ) と して用いる上記のポリ エーテル、 ポリ エステル、 ポリ カーボネー ト、 ポリ アミ ド、 セルロース、 ポ リ ビニルアルコール、 ポ リ ビニルエーテル、 ポ リ ビニルピロ リ ド ン、 ポ リ アク リ ルアミ ド及びポリ アク リ ル酸などの有機
ポリマーの重量平均分子量は、 通常 2 0 0〜 1 0 0 , 0 0 0 好ましく は 3 0 0〜 8 0 , 0 0 0 、 よ り好まし く は 4 0 0 〜 5 0 , 0 0 0である。 重量平均分子量が 2 0 0未満では塗布 工程または硬化工程においてポリマー成分が分離しやすく 、 微細孔を有する薄膜が得られないという可能性がある。 また 重量平均分子量が 1 0 0 , 0 0 0 を超える場合、 ポリ マーが 硬化薄膜中に残存し、 多孔性シリ力薄膜が得られなく なる可 能性が高くなる。 なお、 該重量平均分子量はゲルバ一ミエ一 ショ ンク ロマ トグラフィ ーによる標準単分散ポリエチレング リ コール換算の値である。
また、 有機化合物 ( C ) を溶媒抽出するという観点からは 前記ポリ マーよ り もさ らに抽出速度を高めるために、 有機化 合物 ( C ) が、 分子内に少なく とも 3個の水酸基を有する多 価アルコ一ルまたは糖類であるか、 または該多価アルコール または糖類の水酸基のうちの少なく とも 1個をエステル化し て得られるエステルである ことが好ましい。 この場合、 有機 化合物 ( C ) において炭素に対する酸素の原子比が 0 . 5 以 上である ことが好ま しい。 また、 上記多価アルコール'、 糖類 エステルの分子量は 1 , 0 0 0以下である こ とが好ま しい。 上記多価アルコール、 糖類、 エステルは混合して用いても良 い。 炭素に対する酸素の原子比は、 有機化合物の分子式よ り 計算される。 混合して用いる場合は、 含有される総炭素原子 モル数に対する総酸素原子モル数の比が原子比である。
多価アルコールの例と しては、 グリセ リ ン、 ペン夕エリ ス リ トール、 ジペン夕エリ ス リ ト一ル、 ト リ スチロールプロ ) ン、 ジ ト リ メチロールプロパン等、 および、 キシリ トール、 マンニ 卜一ル、 ソルビ トール等の糖アルコールゃィ ノ シ トー ル等の環状糖アルコールが挙げられる。 糖類と しては、 ダル コース、 フルク トース、 ガラク トース、 マンノース等の単糖 類であっ て環状構造である もの、 および、 マル ト一ス、 スク ロース、 ラク ト一ス、 セロ ビオース等の二糖類であって環状 構造がグリ コ シ ド結合で繋がつ たものが挙げられる。 また、 エステルと しては、 水酸基の水素原子がァセチル基によっ て 置換された構造を有する ものが好ま しい。
上記の多価アルコール、 糖類、 エステルの中で、 グリ セ リ ル ト リ アセテ一 トゃスク ロースォク タァセテ一 トが好ま しい 有機化合物 ( C ) の量は、 流動性シリ カ前駆体 ( A ) の製 造に用いるアルコキシシラ ンの全量が完全に加水分解重縮合 して得られる シ リカ 1 重量部に対し、 通常 0 . 1 〜 1 0 重量 部、 好ま し く は 0 . 5 〜 5 重量部、 さ ら に好ま し く は 0 . 5 〜 3 重量部である (以下、 このシリ カに対する有機化合物
( C ) の重量比を、 しばしば、 有機化合物 ( C ) の対シリ カ 重量比と称する) 。 有機化合物 ( C ) の量が 0 . 1 重量部よ り 少ない場合、 実用的な低屈折率を与える多孔性シ リ カ薄膜 が得られない こ とがある。 また、 有機化合物 ( C ) の量が 1 0 重量部よ り多い場合、 抽出時に薄膜が基板か ら剥離を起こ
す恐れがある。
上記のよう に、 本発明の塗布組成物は流動性シリ カ前駆体 ( A ) 、 塩基性化合物 ( B ) 、 有機化合物 ( C ) を必須成分 として含有する。 以下、 塗布組成物の必須成分ではないが、 含むことが好ましい成分について説明する。
本発明の塗布組成物は、 基板へ塗布しやすくする (成膜し やすくする) ための溶媒 (D ) (塗布用溶媒) 、 及び Z又は 塗布組成物の粘度変化を抑制するためのテ トラアルキルアン モニゥム塩 ( E ) を、 さ らに含有するこ とが好ましい。
溶媒 ( D ) について説明する。 溶媒 ( D ) は、 流動性シリ 力前駆体 (A ) 、 塩基性化合物 ( B ) 及び有機化合物 ( C ) の混合物のための溶媒である。 また、 塗布後には溶媒 ( D ) を蒸発させる必要があるため、 溶媒 ( D ) は揮発性の溶媒を 含むことが好ましい。 また、 溶媒 ( D ) は基板を著しく は溶 解しないものが好ましい。
溶媒 ( D ) の添加によ り、 流動性シリ カ前駆体 ( A ) の塗 布組成物全体に対する重量比を適宜調節する ことができる。 溶媒 ( D ) は、 流動性シリ カ前駆体 ( A ) の量が塗布組成物 全体の重量に対して 0 . 0 1 〜 1 0 重量%の範囲になるよう に添加することが好ましく 、 0 . 0 5 〜 5重量%の範囲にな るよう に添加するこ とがよ り好ましい。 流動性シリ カ前駆体 ( A ) の量が 0 . 0 1 重量%を下回る場合、 必要な膜厚が得 られなく なる傾向がある。 一方、 流動性シリカ前駆体 ( A )
の量が 1 0 重量%を上回る場合、 塗布組成物の粘度が高く な りすぎて成膜の作業性が低下する傾向がある。
溶媒 ( D ) の例と して、 水、 炭素数 1 〜 6 の一価アルコー ル、 炭素数 1 〜 6 の二価アルコール、 グリ セ リ ンなどのアル コール類、 ホルムアミ ド、 N—メチルホルムアミ ド、 ' N—ェ チルホルムアミ ド、 N , N—ジメチルホルムア ミ ド、 N, N ージェチルホルムアミ ド、 N—メチルァセ トアミ ド、 N—ェ チルァセ トアミ ド、 N , N—ジメチルァセ トア ミ ド、 N, N 一ジェチルァセ トアミ ド、 N—メチルピロ リ ド ンなどのアミ ド類、 テ ト ラ ヒ ド ロ フラ ン、 ジェチルエーテル、 ジ ( n —プ 口 ピル) エーテル、 ジイ ソプロ ピルエーテル、 ジグライ ム、 1 、 4一ジォキサン、 エチレングリ コ一ルモノ メチルエーテ ル、 エチ レングリ コールモノェチルエーテル、 エチレングリ コールジメチルエーテル、 エチレングリ コールジェチルエー テル、 プロ ピレンダリ コールモノ メチルエーテル、 プロ ピレ ングリ コールモノ ェチルエーテル、 プロ ピレングリ コ一ルジ メテルエ.一テルなどのエーテル類、 ギ酸ェチル、 酢酸メチル 酢酸ェチル、 乳酸ェチル、 エチレングリ コールモノ メチルェ 一テルアセテー ト、 エチレングリ コ一ルジアセテー ト、 プロ ピレンダリ コールモノ メチルエーテルァセテ一 ト、 炭酸ジェ チル、 炭酸エチレン、 炭酸プロ ピレンなどのエステル類、 ァ セ ト ン、 メチルェチルケ ト ン、 メチルプロ ピルケ ト ン、 メチ ル ( n—ブチル) ケ ト ン、 メチルイ ソプチルケ ト ン、 メチル
アミルケ ト ン、 シク ロペン夕 ノ ン、 シク ロへキサノ ンなどの ケ ト ン類、 ァセ トニ ト リ ル、 プロ ピオ二 ト リ ル、 n —プチ口 二 ト リ ル、 イ ソプチロニ ト リ ルなどの二 ト リ ル類、 ジメチル スルホキシ ド、 ジメチルスルホン、 スルホラ ンが挙げられる , これら の溶媒は単独で用 いてもよい し、 混合して用いてもよ い。 また、 他の任意の溶媒あるいは添加物を混合しても良い , 溶媒 ( D ) の好ま しい例と して、 炭素数 1 〜 6 の一価アル コ一ル類またはエチレンダリ コールモノ メチルエーテル、 ェ チレングリ コールモノェチルエーテル、 プロ ピ レングリ コー ルモノ メチルエーテル、 プロ ピレングリ コールモノェチルェ —テルなどのアル力 ノールエーテル類に、 水またはメチルェ チルケ ト ンやメチルイ ソプチルケ ト ンを混合したものが挙げ られる。
基板上の多孔性シリ カ薄膜表面の平坦性を得る という観点 か らは、 溶媒 ( D ) が、 水酸基を有し且つ沸点が 1 0 0 °C以 上であ,る高沸点溶媒を、 該塗布組成物の重量に対して 5 重 量%以上含むこ とが好ま しい。 高沸点溶媒の量は、 さ ら に好 ま し く は 5 〜 9 9 . 9 9 重量%、 さ ら に好ま し く は 5 〜 9 9 9 5重量%、 特に好まし く は 5 〜 9 9 . 7 重量%である
水酸基を有し且つ沸点が 1 0 0 °C以上である高沸点溶媒の 好ましい例と して、 水、 エチレングリ コールモノ メチルエー テル、 エチレングリ コールモノ ェチルエーテル、 プロ ピレン グリ コールモノ メチルエーテル、 プロ ピ レングリ コールモノ
ェチルエーテルが挙げられる。
以下、 テ トラアルキルアンモニゥム塩 ( E ) について、 説 明する。 本発明の塗布組成物を用いて得られる多孔性シリ 力 薄膜を反射防止膜として用いる場合、 多孔性シリ カ薄膜の膜 厚が変化すると、 それによつて反射光の色合いが変化して斑 になる可能性がある。 そのため、 本発明の塗布組成物を放置 したとき、 または攪拌したときの組成物の粘度の変化が小さ いことが好ましい。 粘度変化を抑制するために、 テ トラアル キルアンモニゥム塩 ( E ) を用いる。 テ ト ラアルキルアンモ 二ゥム塩 ( E ) を用いるときは、 テ ト ラアルキルアンモニゥ ム塩 ( E ) を溶解する ことができる溶媒 ( D ) と共に用いる ことが好ましい。
テ ト ラアルキルアンモニゥム塩 ( E ) については特に限定 はない。 テ トラアルキルアンモニゥム塩 ( E ) の好ましい例 として、 下記式 ( 5 ) :
R 9 R i o R i i R i 2 N X ( 5 )
(式中、 R 9、 R 1 Q 、 R 1 1 R 1 2はそれぞれ独立して炭素 数 1 〜 1 0 のアルキル基を表し、 それぞれ窒素原子と結合し ており、 Xはハロゲン原子を表す)
で表されるテ ト ラアルキルアンモニゥム塩が挙げられる。 具 体例として、 テ トラェチルアンモニゥムク ロライ ド、 テ ト ラ ェチルアンモニゥムブロマイ ド、 テ トラプロピルアンモニゥ ムク ロライ ド、 テ ト ラプロ ピルアンモニゥムブロマイ ド、 テ
卜 ラブチルアンモニゥムク ロ ライ ド、 テ トラプチルアンモニ ゥムブロマイ ド、 ト リ オクチルアンモニゥムク ロライ ド、 卜 リ ォクチルアンモニゥムブロマイ ド等が挙げられる。
テ トラアルキルアンモニゥム塩 ( E ) の量は、 流動性シリ 力前駆体 ( A ) 1 0 0 重量部に対して、 1 〜 5 0重量部であ る ことが好ましい。 1 重量部未満である場合、 粘度変化抑制 効果が発現されにく い。 また、 5 0重量部を超える場合、 多 孔性シリ カ薄膜中にテ トラアルキルアンモニゥム塩 ( E ) が 一部残留して、 薄膜の耐久性が低下する可能性がある。
なお、 流動性シリカ前駆体 ( A ) が (メタ) ァク リ ロイル 基を有する有機基を有する場合には、 本発明の組成物の一成 分として、 ァゾ系やパーォキサイ ド系等のラジカル重合開始 剤、 またはァセ トフエノ ン類、 ベンゾフエノ ン類、 ケタール 類、 アン ト ラキノ ン類などの光ラジカル重合開始剤を添加し ておく こ とが好ましい。
流動性シリカ前駆体 ( A ) がエポキシ基を有する有機基を 有する場合には、 塩基性化合物 ( B ) が重合開始剤として働 く 。 そのため、 この場合は、 保存安定性の面で、 塩基性化合 物 ( B ) を塗布直前に添加する ことが好ましく 、 2種以上の 溶液を混合しながら塗布できる塗布設備を用いることが望ま しい。
以下、 本発明の塗布組成物の製造方法について説明する。 流動性シリ カ前駆体 ( A ) 、 塩基性化合物 ( B ) 、 有機化
合物 ( C ) の添加順序は特に限定されないが、 最初に流動性 シリカ前駆体 ( A ) と有機化合物 ( C ) とを混合しておいて そこに塩基性化合物 ( B ) を添加する ことが好ま しい。
上記順序で添加する場合、 好ましく は、 最初に溶媒 ( D ) に流動性シリカ前駆体 ( A ) と有機化合物 ( C ) とを添加し ておいて、 そこに溶媒 ( D ) と塩基性化合物 ( B ) との混合 物を添加して溶液とする こ とがさ らに好ましい。
流動性シリカ前駆体 ( A ) としては、 酸触媒の存在下で水 を添加して加水分解重縮合反応を行って得られる反応液をそ のまま用いても良いが、 公知の方法によ り反応液を濃縮した もの、 公知の方法によ り反応液から流動性シリ カ前駆体
( A ) を単離したものを用いても良い。 濃縮する場合は、 予 め、 流動性シリカ前駆体 ( A ) を含む反応液に、 有機化合物
( C ) 及び/または溶媒 ( D ) を混合しておいてから濃縮し ても良い。
さ らに、 有機化合物 ( C ) の流動性シリカ前駆体 ( A ) へ の相溶化速度が遅い場合には、 アルコキシシランを加水分解 重縮合する前に、 またはアルコキシシランの加水分解重縮合 中に有機化合物 ( C ) を添加しておく こ とが好ましい。 とい うのは、 これによつて流動性シリカ前駆体 ( A ) と有機化合 物 ( C ) との相溶性が向上することがあるからである。
均一に混合するために、 流動性シリカ前駆体 ( A ) 、 塩基 性化合物 ( B ) 、 有機化合物 ( C ) を含む混合物を公知の撹
拌方法を用いて室温〜 5 0 の温度にて撹拌混合する こ とが 好ま しい。 撹拌時間は特に限定されないが、 好まし く は 5 分 〜 2 4時間、 さ らに好ましく は 5分〜 5時間、 さ らに好ま し く は 5 分〜 2時間である。
本発明の塗布組成物を用いて得られる多孔性シリ 力薄膜は. 光学部品及び眼鏡などのレンズ、 ディ スプレイ装置のスク リ ーンなどを被覆するための反射防止膜として有利に用いる こ とができる。
以下、 多孔性シリカ薄膜の製造方法を説明する。
本発明の多孔性シリ カ薄膜は、 次の工程 :
( 1 ) 上記の本発明の塗布組成物を基板上に塗布して該組 成物の薄膜を形成する工程、 ただし、 該薄膜は該塩基性化合 物 ( B ) 及び該有機化合物 ( C ) を分散してなる該流動性シ リカ前駆体 ( A ) を含有する、
( 2 ) 該薄膜を硬化し、 それによつて該流動性シリ カ前駆 体 ( A ) がシリカに変換された硬化薄膜を得る工程、 及び
( 3 ) 該硬化薄膜を溶媒抽出に付して該硬化薄膜から該有 機化合物 ( C ) を除去し、 それによつて多孔性シリ カ薄膜を 得る工程
を包含する方法によって製造することができる。
本発明で使用する基板は、 特に限定されず、 ガラス扳、 プラスチッ ク シー ト、 透明フィルムを用いる ことが出来るが 透明なシー トゃフィ ルムを用いることが好まし く、 例えば、
ト リ ァセチルセルロース、 セル口一スァセテ一 トプロ ビオネ ー ト等のセルロースアセテー ト系フィ ルム、 延伸したポ リ エ チレンテ レフ夕 レー ト、 ポ リ エチレンナフタ レー ト等のポ リ エステル系フィ ルムやシー ト、 ポ リ カーボネー ト系フ ィ ルム やシー ト、 アク リ ル系シー ト、 ノルボネン系フィ ルムゃシー ト、 ポ リ ア リ レー ト系フィ ルムやシー ト、 および、 ポ リ スル フォ ン系フ ィ ルムゃシー 卜が好ま しい。 特にセルロース ト リ ァセテ— ト フイ ルム、 セルロースァセテ— トプロ ピオネー 卜 フィ ルム、 ポ リ 力一ポネー トフ ィ ルム、 延伸ポ リ エチレンテ レフタ レ一 卜 フィ ルム、 アク リ ルシー ト、 ポ リ カーボネー ト シー トが好ま しい。
基板の形状については特に限定されない。 塗布をス ピンコ — ト法で行う場合は円形のものが好ま し く 、 それ以外の方法 で塗布を行う場合は平板形のものが好ま しい。 また、 連続コ — ト を行う場合はロール状に巻いたフィ ルム状の基板が好ま しい。
上記工程 ( 1 ) における組成物の塗布は、 デイ ツ ビング、 スピンコ一ター、 ナイ フコーター、 ノ 一コ一夕.一、 ブレー ド コ一ター、 スクイズコ一夕一、 リ ノ 一ス ロールコ一夕一、 グ ラ ビアロールコ一夕一、 スライ ドコ一夕一、 カーテンコ一夕 ―、 スフ。レイ コ一ター、 ダイ コー夕一、 キャ ッ プコ一夕一等 の公知の塗布機を用いて実施する こ とができる。 これらのう ち連続塗布が可能な方法が好ま し く 用い られる。 上記の方法
のう ち、 デイ ツ ビング、 ス ピンコ一ター以外は連続塗布が可 能な方法である。
塗布温度は、 好ま し く は室温〜 8 0 °C、 さ ら に好ま し く は 室温〜 6 0 ° (:、 さ ら に好ま し く は室温〜 5 0 °Cである。 なお 溶媒 ( D ) の蒸発速度を抑えるなどの 目的で、 室温よ り低い 温度で塗布してもよい。
塗布は塩基性化合物 ( B ) 添加後、 いつ実施しても良いが 好ま し く は添加後の 2 4時間以内、 よ り好ま し く は 1 0 時間 以内、 さ ら に好ま し く は 5 時間以内である。
塗布する前に公知の方法によ り 塗布組成物の濾過処理を行 い、 シリ カ不溶分、 不純物などを除去する こ と も好ま しい。
上記工程 ( 2 ) においては、 塗布組成物を、 基板の熱変形 温度よ り低い温度にて基板上に塗布し、 基板の熱変形温度よ り低い温度にて流動性シリ カ前駆体 ( A ) を硬化させる こ と によ り シリ カ Z有機化合物複合体薄膜を成膜する こ とが望ま しい。 基板の熱変形温度は、 基板の種類によっ て変わるが、 例えば、 セルロース ト リ アセテー ト フ ィ ルム、 セルロースァ セテー トプロ ピオネー ト フ ィ ルム、 ァク リ リレシー トでは、 6 0 〜 1 0 0 °C、 ポリ カーボネー ト フ ィ ルム、 延伸ポリ ェチレ ンテレフ夕 レー ト フィ ルム、 ポ リ カーボネー ト シー トでは、 1 0 0 〜 1 4 0 °Cである。
上記工程 ( 2 ) における硬化を行う温度は、 基板の耐熱性 に依存して変更する こ とができるが、 光学フィ ルムの場合、
6 0 〜 ; 1 5 0 °C、 好ましく は 7 0 〜 1 3 0 °〇、 よ り好ま し く は 8 0 〜 1 2 0 °Cである。 6 0 °C未満では多孔性、 且つ、 基 板への密着性の良い膜が得られず、 また、 1 5 0 °Cを超える と基板が変形する恐れがある。
本発明の多孔性シリ カ薄膜は、 低屈折率、 高光透過性、 且 つ高強度であるのみならず、 短い硬化時間で得られ、 生産性 が良いという利点もある。 硬化を行う時間は、 通常 1 時間以 内、 好ましく は 1 0分以内、 よ り好ましく は 2 分以内である , 1時間を超えると生産性の面で効率が低下する。
上記工程 ( 3 ) における抽出は、 基板上に形成させた硬化 薄膜を抽出用溶媒と接触させる こ とによ り行われる。 接触方 法としては、 抽出用溶媒に基板ごと浸漬する方法でも良いし 抽出用溶媒を該硬化薄膜表面に流す洗浄方法でも良い。 抽出 用溶媒と しては、 該有機化合物 ( C ) を溶解しう る溶媒であ れば特に限定されず、 前記の塗布用溶媒 ( D ) を用いる こ と が可能である。 例えば、 有機化合物 ( C ) が、 エーテル基、 エステル基、 カルボニル基、 力ルポキシル基、 カーボネー ト 基、 アミ ド基及び水酸基からなる群よ り選ばれる少なく とも 1種の極性基を有する場合、 抽出用溶媒と して、 エーテル基 エステル基、 カルボ二ル基、 カルボキシル基、 力一ポネー ト 基、 アミ ド基及び水酸基からなる群よ り選ばれる少なく とも 1種の極性基を有する極性溶媒である水や炭素数 1 〜 6 の一 価アルコール、 アセ ト ンを用いる ことが好まし く 、 水、 エタ
ノール、 プロパノール、 イ ソプロパノール、 水一エタノール 混合溶剤、 水—イ ソプロパノール混合溶剤、 水—アセ トン混 合溶剤を用いる ことがよ り好ましい。
該塩基性化合物 ( C ) の除去率を高める 目的によ り、 抽出 用溶媒に酸を少量添加してもかまわない。 酸としては特に限 定されないが、 塩酸や酢酸等の揮発性の高いものが好ましい , 工程 ( 3 ) における抽出温度は、 基板が変形しない温度で あれば、 特に限定されないが、 好ましく は 1 0 0 °C以下、 よ り好まし く は 6 0 °C以下'、 最も好ましく は 4 0 °C以下である , また、 本発明においては、 抽出時間が短く ても十分に有機化 合物 ( C ) を除去する ことができる。 抽出時間は好ましく は 3 0分以内、 よ り好ましく は 1 0分以内、 さ らに好ましく は 1 分以内、 最も好ましく は 2 0秒以内である。 抽出は速やか に完了するので、 3 0分を超えては生産性が低下する。
抽出後は得られた多孔性シリ カ薄膜の乾燥を行う。 乾燥条 件に関しては、 前記の硬化条件と同様に、 基板の耐熱性を考 慮して適宜選択すれば良いが、 乾燥温度は、 通常 6 0 〜 1 5 0 °C、 好ましく は 7 0 〜 : L 3 0 °C、 よ り好まし く は 8 0 〜 1 2 0 °Cである。 乾燥する ことにより、 抽出溶剤を除去するだ けでなく 、 得られる多孔性シリ カ薄膜の強度が向上するため 基板が変形しない範囲で、 できるだけ高温で乾燥する ことが 好ましい。 なお、 酸触媒のみで成膜する従来技術の場合、 塗 布後の硬化の際にシラノール基の縮合が十分に進行していな
いため、 抽出時に簿膜が基板から剥離しなかったとしても、 乾燥後に得られる薄膜は、 空隙率が減少したものになり 、 低 屈折率を示す薄膜が得られない。
乾燥に要する時間は乾燥温度によ り異なるが、 通常 1 時間 以内、 好ましく は 1 0分以内、 よ り好ましく は 2 分以内であ る。 1 時間を超えると生産性の面で効率が低下する。
乾燥方法は、 公知の方法であれば特に限定されないが、 常 圧での乾燥方式が、 乾燥装置が大掛かり なものにならないた めに好ましい。 好ま しい乾燥方法の例と しては、 温風循環方 式や熱ふく射方式が挙げられる。 その他、 赤外線乾燥、 誘電 加熱乾燥を用いても良い。
本発明においては、 上記のよう にして得られた多孔性シリ 力薄膜に電子線照射または紫外.線照射を行って、 薄膜の強度 向上を実施しても良い。 また、 流動性シリカ前駆体 ( A ) が (メタ) ァク リ レー ト基を有する場合には電子線照射または 紫外線照射を行う こ とが望ましい。 この場合、 例えば、 塗布 後の硬化処理の前に、 同時に、 及び Zまたは、 後に、 電子線 照射または紫外線照射を行う。 場合によっては系内の酸素を 窒素等の不活性ガスで置換して行う。
本発明の多孔性シリ カ薄膜の膜厚は、 特に制限されるもの ではないが、 例えば一層の反射防止膜用の場合、 5 0〜 1, 0 0 0 n mの範囲内の値である こ とが好ましい。 膜厚が 5 0 n m未満となると、 反射防止効果が低下する場合があ り、 一
方、 膜厚が 1 , 0 0 0 n mを超えると、 光の位相のずれが乱 雑になり干渉による反射防止効果が低下する場合がある。 反 射防止膜が一層の場合、 その膜厚を 5 0 〜 5 0 0 n mの範囲 内の値とする こ とがよ り好ましく 、 6 0 〜 2 0 O n mの範囲 内の値とすることがさ らに好ましい。
本発明の塗布組成物から得られる低屈折率多孔性シリ カ薄 膜は、 例えば、 メガネレンズ、 ゴーグル、 コ ンタク ト レンズ 等のメガネ分野 ; 車の窓、 イ ンパネメ一ター、 ナビゲ一ショ ンシステム等の自動車分野 ; 窓ガラス等の住宅 · 建築分野 ; ハウスの光透過性フィルムやシー ト等の農芸分野 ; 太陽電池 光電池、 レーザー等のエネルギー分野 ; T Vブラウン管、 ノ — トパソコ ン、 電子手帳、 夕ツチパネル、 液晶テレビ、 液晶 ディスプレイ、 車載用テレビ、 液晶ビデオ、 プロジェク ショ ンテレビ、 光フ ァイバ一、 光ディ スク等の電子情報機器分 野 ; 照明グローブ、 蛍光灯、 鏡、 時計等の家庭用品分野 ; シ ョ一ケ一ス、 額、 半導体リ ソグラフィ 一、 コ ピー機器等の業 務用分野 ; 液晶ゲーム機器、 パチンコ台ガラス、 ゲーム機等 の娯楽分野などにおいて、 映り込みの防止および または光 透過性の向上を必要としている光透過性光学基板の表面塗'装 に用いられる。
本発明を実施するための最良の形態
以下、 実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明す るが、 本発明はこれらの例によって何ら限定を受けるもので はない。
実施例及び比較例においては、 基板と して光学フィ ルムと 直径 3ィ ンチのシリ コ ンウェハとを用いた。 光学フィ ルムは 日本国東洋紡績株式会社製コスモシャイ ン A 4 3 0 0 、 1 8 8 ミ ク ロ ン膜厚、 二軸延伸ポリ エチレンテレフ夕レー トフィ ルム ( P E T.) を用いた。
実施例及び比較例における測定及び評価は次の方法で行つ た。
( 1 ) 流動性シリカ前駆体の重量平均分子量
'シリカ前駆体をテ トラヒ ドロフランに溶かして得られる溶 液をゲルパ一ミエ一シヨ ンク ロマ トグラフィ ー ( G P C ) に 付し、 標準単分散ポリ エチレングリ コールに関して得られる 検量線を作成して、 重量平均分子量を求めた。 G P Cの条件 は次のとお りである。
G P C装置 : 日本国島津製作所製ゲルパーミエーシヨ ンク 口マ トグラフィ ー 1 O Aシリーズ
カラム : S H O D E X K F — 8 0 4 L (日本国昭和電工 (株) 製) を直列につないで使用した。
カラム温度 : 4 0 °C。
移動相 : テ ト ラヒ ドロフラン (流量 : 1 . O m l m n )
検出器 : 示差屈折率計
( 2 ) 塩基性化合物の水溶液の p H
日本国堀場製作所製 p Hメータ一 D— 1 2 を用いて測定し た
( 3 ) 塩基性化合物の蒸気圧
塩基性化合物の蒸気圧は、 日本化学会編 「第 4版. 実験化 学講座 4 熱 · 圧力」 ( 1 9 9 2年、 日本国丸善株式会社発 行) の 3 8 1頁に記載の沸点法に従って測定した。 なお、 0 1 k P a、 1 0 0 °Cにて沸点を示さない塩基性化合物は 1 0 0 °Cでの蒸気圧は 0 . l k P a未満であるとした。 また、 ァ ンモニァ水の場合は、 アンモニアが揮発性なので、 蒸気圧 1 3 k P a を超える とした。
( 4 ) 塩基性化合物中の塩基性水酸基及び塩基性窒素原子の 合計モル量の流動性シリ カ前駆体中の S i 原子のモル数に対 する比 (以下しばしば 「塩基性化合物の対 S i モル比」 と称 す)
'流動性シリカ前駆体に含まれる全 S i 原子 1 モルに対する 塩基性化合物中の塩基性水酸基及び塩基性窒素原子の合計モ
ル量は、 アルコキシシラン使用量と塩基性化合物添加量とか ら計算で求めた。
( 5 ) 塗布組成物 (塗布溶液) の外観
目視によって判定した。 白濁や沈殿が無い場合は 「良」 と した。 沈殿が析出したときは、 「析出」 と した。
( 6 ) 塗布組成物 (塗布溶液) の粘度
日本国東機産業 (株) 製 R E 5 5 0 L粘度計を用いて、 2 5 °Cで測定した。
( 7 ) 透過率および入射角 1 2 ° での反射率 (絶対反射率) 透過率および入射角 1 2 ° での反射率 (絶対反射率) は日 本国 (株) 島津製作所製分光光度計 M P C — 2 2 0 0 を用い た。
( 8 ) 屈折率及び空隙率 .
屈折率 ( 1' . 9 5 e Vの光に対する値) 及び空隙率はフラ ンス国 J O B I N Y V O N社製分光エリ プソメ一夕を用い てシリ コ ンウェハ上に薄膜を形成して測定した。
( 9 ) ヘイズ
ヘイズの測定は、 日本国日本電色工業株式会社製の濁度計
N D H 2 0 0 0 を用いて行った。 '
( 1 0 ) 鉛筆硬度
鉛筆硬度の測定は、 J I S K 5 4 0 0記載の 1 k g荷重下 で P E Tフィ ルム上に塗布したサンプルを用いて行った。
( 1 1 ) 薄膜の外観
目視によって判定した。 均一に成膜されてお り、 散乱光が 観察されないとき、 「良」 とした。 一部に剥離がある ときは 一部剥離、 また、 散乱光が観察されたときは 「散乱光あ り」 とした。 なお、 実施例及び比較例におけるスピンコ一 トはすべて,、 室温で、 日本国ミカサ (株) 製. S P I N C O A T E R 1 H— D 2 を用いて、 5 0 0 r p mで 3秒、 l O O O r p mで 6 0秒行った。
また、 実施例及び比較例における乾燥はすべて、 熱風循環 乾燥機 (日本国ャマ ト科学 (株) 製 D K N— 4 0 1 ) を用 いて行った。 実施例 1
メチル ト リエ トキシシラン 1 4. 8 g ( 8 3 . 1 mm o 1 全量が完全に加水分解重縮合して得られるシリ カの量は 5 .
5 8 ) とテ ト ラエ トキシシラ ン 4. 3 g ( 2 0 . 7 mm o 1 、 全量が完全に加水分解重縮合して得られる シ リ カの量は 1 . 2 4 g ) の混合溶液に水 7 . 0 g と リ ン酸 (酸触媒) 0 0 5 9 g との混合溶液をゆつ く り添加 して 5 0 °C、 5時間、 加水分解重縮合を行.い、 流動性シ リ カ前駆体 ( A ) を含む反 応混合液を得た。 この反応混合液にポ リ エチレンダリ コール ジメチルエーテル (有機化合物 ( C ) ) (重量平均分子量 6 0 0 、 実質的に沸点無し) 6 . 8 2 g、 プロ ピ レングリ コー ルモノ メチルエーテル 5 . 0 g を添加、 攪拌後、 室温にて全 量が約 1 5 gになるまで濃縮を行い、 水、 エタ ノール、 プロ ピレンダリ コールモノ メチルエーテルを除去した。 得られた 濃縮物中の流動性シリ カ前駆体 ( A ) の重量平均分子量は 3 1 , 4 0 0 であっ た。 この濃縮物にプロ ピレングリ コールモ ノ メチルェ一テルを添加して、 流動性シ リ カ前駆体 ( A ) を 含む混合液 6 8 . 2 g を得た (この混合液中の流動性シリ 力 前駆体 ( A ) が完全に重縮合して得られる シリ カの、 この混 合液に対する重量比は、 ·0 . 1 であっ た。 以下、 この混合液 を高濃度流動性シリ カ前駆体混合液と称する) 。
水 2 . 5 g とプロ ピレングリ コールモノ メチルエーテル 2 5 g とか らなる混合溶媒 (溶媒 ( D ) ) を 2つ用意し、 一方 に上記高濃度流動性シリ カ前駆体混合液 1 . 0 g ( S i = 1 5 mm o 1 ) 、 他方に水酸化ナ ト リ ウム (塩基性化合物
( B ) ) の 1 N水溶液 0 . 1 5 g ( 0 . 1 5 mm 0 1 ) ( p
H = 1 3 . 1 、 実質的に蒸気圧無し) をそれぞれ溶解して 2 つの溶液を得た。 得られた 2つの溶液を混合し、 室温で、 マ グネチッ ク攪拌子を用いて 5 0 0 r p mで 3 0分攪拌し、 塗 布組成物を得た。
次に、 この組成物をスピンコー ト法によ り、 P E T光学フ イ ルムおよびシリ コンウェハ上に塗布を行い、 薄膜を形成し た。
得られた薄膜を、 1 0 0 :、 1 分間の乾燥を行う こ とによ つて薄膜を硬化し、 これによつて流動性シリカ前駆体 ( A ) がシリ カに変換された硬化薄膜を得た。
なお、 P E Tフィルムの場合は、 同様に裏面も塗布、 乾燥 を仃った。
その後、 硬化薄膜で被覆した P E Tフィ ルムおよびシ リ コ ンウェハを室温で 1 0秒間、 水 Zエタノール混合溶媒 (抽出 用溶媒) (水 Zエタノール重量比 = 5 0 / 5 0 ) に浸漬する こ とによ り、 硬化薄膜からポリエチレングリ コールジメチル エーテル (有機化合物 ( C ) ) を除去し、 これによつて多孔 性シリ カ薄膜を得た (光学フィルムおよびシリ コンウェハは 多孔性シリ カ薄膜で被覆された) 。
多孔性シリ カ薄膜に被覆された光学フィ ルムおよびシリ コ ンウェハを 1 0 0 °Cで 1 分間、 乾燥した。
光学フィ ルムの入射角 1 2 ° での絶対反射率測定において 波長 5 4 0 n mにおいて最小反射率を示し、 多孔性シリ カ薄
膜で被覆しない場合に 8 . 2 %であったものが、 0 . 1 %に 抑制され、 また、 最小反射率を与える波長 ( 5 4 0 n m ) に おける透過率は、 多孔性シリ力薄膜で被覆しない場合 9 1 . 5 %であったものが、 多孔性シリカ薄膜で被覆した場合は 9 9 . 0 %に向上した。 シリ コンウェハを同様に多孔性シリ カ 薄膜で被覆して屈折率を測定したと ころ、 1 . 2 1 0 (空隙 率 3 8 . 5 % ) と良好であった。 鉛筆硬度は H Bを示した。 結果を表 1 と図 1 (反射率) および図 2 (透過率) に示す。 実施例 2
1 N—水酸化ナ ト リ ウム水溶液 0 . 1 5 gに換えて、 重量 平均分子量 6 0 0 のポリエチレンィ ミ ン 0 . 0 0 6 5 g ( N 原子モル数 0 . 1 5 mm o l ) ( p H = 1 1 . 3 、 実質的に 蒸気圧無し) を用いた以外は実施例 1 と同様の操作を行った 波長 5 2 5 n mにて最小反射率 0 . 1 %を示し、 その波長 における透過率は 9 9 . 2 %であった。 屈折率は 1 . 2 3 1 空隙率は 3 2 . 7 %と良好であった。 結果を表 1 に示す。 実施例 3
I N—水酸化ナ ト リ ウム水溶液 0 . 1 5 gに換えて、 ト リ エチレンテ トラミ ン 0 . 0 0 5 5 g ( N原子モル数 0 . 1 5 mm o 1 ) ( H = 1 1 . 7 、 1 0 0 °Cでの蒸気圧は 0 . 2 7 k P aであった) を用いた以外は実施例 1 と同様の操作を
行った。
波長 5 2 0 n mにて最小反射率 0 . 2 %を示し、 その波長 における透過率は 9 9 . 0 %であった。 空隙率は 3 4. 5 % 屈折率は 1 . 2 2 7 と良好であった。 結果を表 1 に示す。 実施例 4
1 N—水酸化ナ ト リ ウム水溶液 0 . 1 5 gに換えて、 テ ト ラエチレン ン夕ミ ン 0 . 0 0 5 7 g ( N原子モル数 0 . 1 5 mm 0 1 ) ( p H = 1 1 . 6 、 1 0 0 °Cでの蒸気圧は 0 . 1 k P a未満であった) を用いた以外は実施例 1 と同様の操 作を行った。
波長 5 5 0 η ιηにて最小反射率 0 . 3 %を示し、 その波長 における透過率は 9 9 . 1 %であった。 空隙率は 3 6 . 1 % 屈折率は 1 . 2 1 8 と良好であった。 結果を表 1 に示す。 実施例 5
1 N—水酸化ナ ト リ ウム水溶液 0 . 1 5 g に換えて、 2 0 重量%テ トラ ( n —プロ ピル) アンモニゥムハイ ドロキサイ ド水溶液 0 . 1 5 g ( O H基モル数 0 . 1 5 mm o l ) ( p H = 1 3 . 0 、 実質的に蒸気圧無し) を用いた以外は実施例 1 と同様の操作を行った。
波長 5 6 0 n mにて最小反射率 0 . 3 %を示し、 その波長 における透過率は 9 9 . 0 %であった。 空隙率は 4 3 . 5 %
屈折率は 1 . 1 9 3 と良好であった。 鉛筆硬度は H B を示し た。 結果を表 2 に示す。 実施例 6
水 2 . 5 gとプロ ピレングリ コ一ルモノ メチルエーテル 2 5 gからなる溶液に換えて、 メチルェチルケ ト ン 4. 0 g と プロ ピレンダリ コールモノ メチルエーテル 1 . 0 gからなる 溶液を用いた以外は実施例 2 と同様の操作を行った。
波長 5 4 0 n mにて最小反射率 0 . 1 % ¾示し、 その波長 における透過率は 9 9 . 0 %であった。 空隙率は 3 1 . 6 % 屈折率は 1 . 2 3 5 と良好であった。 結果を表 2 に示す。 実施例 7
水 2 . 5 g とプロ ピレングリ コールモノ メチルエーテル 2 5 gからなる溶液に換えて、 メチルェチルケ トン 4. 0 g と プロ ピレングリ コールモノメチルエーテル 1 . 0 gか らなる 溶液を用いた以外は実施例.5 と同様の操作を行った。
波長 5 8 0 n mにて最小反射率 0 . 2 %を示し、 その波長 における透過率は 9 8 . 9 %であった。 空隙率は 4 0 . 8 % 屈折率は 1 . 2 0 3 と良好であった。 鉛筆硬度は Hであった 結果を表 2 に示す。 実施例 8
1 5時間室温にて保存したシリ力前駆体 Z脂肪族ポ リ エー テル組成物を用いること以外は実施例 5 と同様の操作を行つ た。
波長 5 7 5 n mにて最小反射率 0 . 3 %を示し、 その波長 における透過率は 9 9 . 1 %であった。 空隙率は 4 2 . 2 % 屈折率は 1 . 1 9 7 と良好であった。 結果を表 2 に示す。 実施例 9
2 0重量%テ トラ ( n —プロ ピル) アンモニゥムハイ ド 口 キサイ ド水溶液の量を 0 . 0 1 5 g に換えた以外は実施例 5 と同様の操作を行った。
波長 5 4 0 n mにて最小反射率 0 . 1 %を示し、 その波長 における透過率は 9 9 . 0 であった。 空隙率は 3 8 . 9 %、 屈折率は 1 . 2 0 9 と良好であった。 結果を表 3 に示す。 比較例 1
1 N—水酸化ナ ト リ ウム水溶液 0 . 1 5 g に換えて、 2 0 重量%アンモニア水溶液 0 . 0 1 3 g (〇 11基モル数 0 . 1 5 mm o 1 ) ( p H = l l . 4、 蒸気圧は 1 . 3 k P a を超 える) を用いた以外は実施例 1 と同様の操作を行った。 . 波長 5 4 0 n mにて最小反射率 3 . 1 %を示し、 抑制効果 が低かった。 屈折率は 1 . 4 0 6 と高い値であった。 また、 一部膜に剥離が観測された。 鉛筆硬度は 2 Bで傷が入った。
結果を表 3 に示す。 比較例 2
アンモニア水添加して得られた塗布組成物を 4 0 °Cにて 2 時間攪拌した後、 光学 P E Tフィルムに塗布を行う以外は比 較例 1 と同様の操作を行った。
波長 4 4 0 n mにて最低反射率 1 . 6 %を示した。 ヘイズ は 1 . 9 2 と高かった。 結果を表 3 に示す。 比較例 3
1 N—水酸化ナ ト リ ウム水溶液 0 . 1 5 g に換えて、 ジェ チレン ト リ アミ ン 0 . 0 0 5 2 g . (窒素原子モル数 0 . 1 5 mm o 1 ) ( p H = 1 1 . 5 、 1 0 0。Cでの蒸気圧 2 . 0 k P a ) を用いた以外は実施例 1 と同様の操作を行った。
波長 5 8 0 n mにて最小反射率 1 . 3 %を示し、 抑制効果 が低かった。 屈折率は 1 . 3 4 3 と高い値であった。 結果を 表 3 に示す。 比較例 4
1 N—水酸化ナ ト リ ウム水溶液 0 . 1 5 gに換えて、 ト リ スヒ ドロキシメチルァミ ノ メタン 0 . 0 1 8 g (窒素原子モ ル数 0 . 1 5 mm o l ) ( p H = 1 0 . 4、 1 0 0 °Cでの蒸 気圧は 0 . l k P a未満であった) を用いた以外は実施例 1
と同様の操作を行った。
波長 5 5 0 n mにて最小反射率 1 . 6 %を示し、 抑制効果 が低かった。 屈折率は 1 . 3 5 6 と高い値であった。 結果を 表 4 に示す。 比較例 5
1 N—水酸化ナ ト リ ウム水溶液 0 . 1 5 8 を 0 . 1 N—水 酸化ナ ト リ ウム水溶液 0 . 0 1 5 gに換えた以外は実施例 1 と同様の操作を行った。 .
波長 4 6 0 n mにて最小反射率 1 . 1 %を示し、 抑制効果 が低かった。 屈折率は 1 . 3 3 7 と高い値であった。 結果を 表 4 に示す。 比較例 6
1 N—水酸化ナト リ ウム水溶液を 1 . 5 g に換えた以外は 実施例 1 と同様の操作を行った。
波長 5 8 0 n mにて最小反射率 1 . 0 %を示した。 屈折率 は 1 . 2 7 2 であったが、 波長 5 8 0 n mにおける透過性が
9 3 . 0 %と向上効果が低くかった。 結果を表 4 に示す。 比較例 7
テ トラエ トキシシラン 8 . 3 g ( 4 0 mm o 1 、 全量が完 全に加水分解重縮合して得られるシリカの量は 2 . 4 g ) 、
ジメチルジェ トキシシラン 1 . 5 g ( 1 0 m m o 1 、 全量が 完全に加水分解重縮合して得られるシリ カの量は 0 . 7 4 g ) 、 エタノール 1 1 . 5 g、 水 6. 5 g、 0 . I N—硝酸 2 . 5 g を混合し、 一昼夜、 室温にて攪拌した。 得られた流 動性シリ カ前駆体の重量平均分子量は 1 , 2 0 0であった。 こ こにポリエチレンダリ コールジメチルエーテル (重量平均 分子量 6 0 0 ) 9 . 1 g を添加して、 流動性シリカ前駆体を 含む混合液を得た (この混合液中の流動性シリカ前駆体が完 全に重縮合して得られるシリカの、 この混合液に対する重量 比は、 0 . 0 8であった。 以下、 この混合液を高濃度流動性 シリ カ前駆体混合液と称する) 。 この高濃度流動性シリ カ前 駆体混合液を用いて、 実施例 1 と同様に、 塗布組成物を調製 し、 スピンコー トを行った。
波長 5 2 O n mにて最小反射率 2. 2 %を示し、 その波長 における透過性が 9 4. 6 % と向上効果が低く 、 薄膜に一部 剥離が観測された。 結果を表 4 に示す。 比較例 8 .
テ トラエ トキシシラン 1 . 6 g ( 7 . 7 mm o 1 ) 、 水 2 9 g、 エタノール 2 . 0 g、 I N—水酸化ナ ト リ ウム水溶液 0 . 7 7 g を室温で混合し、 攪拌したところ、 析出物を生じ 塗布できなかった。 結果を表 4 に示す。
比較例 9 ' 曰本国特開平 6 — 2 9 9 0 9 1号公報に準じて、 テ トラエ トキシシラン 5 0 g、 無水エタノール 4 1 4 g、 および、 2 5 %アンモニア水 1 4. 6 gを密閉ガラス容器に入れ、 室温 で 4 日間放置し、 エタノール分散の 3重量%コ ロイダルシリ 力分散液を得た。 これを 0 . 2 mテフロン製メンブランフ ィ ルターで濾過した。
次にテ トラエ トキシシラン 2 0 . 8 g、 無水エタノール 1 7 2 g、 および、 0 . 1 5 N -塩酸水溶液 7 . 2 4 g を密閉 ガラス容器に入れ、 室温で 4 日間放置し、 3 重量%オルガノ シロキサン溶液を得た。 これを 0 . 2 テフロン製メ ンブ ランフィ ルターで濾過した。
このよう にして得られたコロイ ド状シリカ分散液 9 0 g と オルガノ シロキサン溶液 1 0 gをガラス容器に入れ、 2 時間 攪拌して混合し、 均一にした。 室温で 1 昼夜放置して熟成さ せて塗布組成物を得た。
これを用いて P E Tフィルムにスピンコー ト を行い、 1 0 0 °C , 1 分間乾燥を行った。 得られた膜のヘイズは 2 . 1 と 高かった。 また、 波長 5 8 0 n mにて最小反射率 0 . 8 %を 示した。 比較例 1 0
日本国特開平 3 - 1 9 9 0 4 3号公報の実施例 2 に従って
メチルト リエ トキシシランを 1 7 . 8 3 g秤量し、 これにェ 夕ノールを 1 3 . 8 2 gおよび 1 ーブ夕ノールを 2 2 . 2 4 g添加混合し、 均一溶液と した。 この溶液に、 水を 1 0 . 8 g、 リ ン酸を 0 . 4 9 g加え、 さ ら に 6 0分間撹拌した。 こ の溶液に 1 3 . 8 2 gのエタノール、 2 2 . 2 4 gの 1 —ブ 夕ノールおよび 3 . 3 gのポリ エチレングリ コール (重量平 均分子量 2 , 0 0 0 ) を加え、 さ ら に 1 0分間の撹拌を行つ たものを塗布組成物とした。 続いて、 光学 P E Tフィ ルムを 塗布組成物に浸漬してゆっ く り 引き上げる こ とによ り 、 光学 P E Tフィルムに薄膜を形成した。 1 2 0 ° (:、 2 m i nでの 乾燥後、 エタノール中に浸漬して、 ポリエーテルの抽出を行 つたところ、 表面層の剥離現象が観測された。 続いて 1 2 0 °C、 2 m i nの乾燥を行った。
得られたサンプルは、 広い波長範囲にわたって反射率が 1 %以下であつたが、 表面層の部分的剥離のために表面が平 坦でなく 、 鉛筆硬度は 2 Bにおいてもパスしない脆い膜であ つ 7こ。 実施例 1 0
メチル ト リエ トキシシラン 7 . 1 ( 4 0 mm 0 1 ) とテ トラエ トキシシラン 1 2 . 5 g ( 6 0 mm 0 1 ) の混合溶液 に、 水 1 2. 9 g と リ ン酸 0 . 0 6 gの混合溶液を徐々 に滴 下しながら 5 0 °Cにて 5 時間加水分解重縮合を行い、 流動性
シリカ前駆体 ( A ) を含む反応液を得た。 得られた反応液 1 3 3 g に 1 N—水酸化ナ ト リ ウム水溶液 0 . 0 6 4 g、 水 2 8 9 g、 プロピレングリ コールモノ メチルエーテル 7 . 2 3 g、 メチルイ ソプチルケ トン 4 . 3 4 gの混合溶液を加え、 さ らにグリセリル ト リ アセテー ト ( C 9 H 4 O 6、 分子量 2 1 8. 2 、 炭素に対する酸素の原子比 = 0 . 6 7 ) 0 . 2 0 g を添加し、 1 時間室温下で攪拌して、 シリ カ前駆体/塩基 性化合物/グリセリル ト リ アセテー ト組成物 (塗布組成物) を得た。
次に、 この組成物をスピンコー ト法によ り P E Tフィ ルム 上に 1 0 0 0 r p m、 3 0秒にて塗布し、 1 2 0 °Cで 2 分間 乾燥を行った。 得られた塗膜付きフィ ルムを水 Zエタノール ( 5 0 Z 5 0重量部) 抽出用溶媒に 3 0秒間浸漬し、 グリ セ リル ト リ アセテー トを抽出した。 再度 1 2 0 ° (:、 3 0秒間乾 燥を行い、 多孔性シリカ薄膜で被覆されてなる P E Tフィ ル ムを得た。 '
得られた光学フィ ルムにおいて、 多孔性シリ カ薄膜で被覆 されていない面をサン ドペーパーにて荒ら し、 黒ィ ンク を塗 つて、 多孔性シリカ薄膜で被覆されていない面からの反射を 無くすための処理をしてから、 多孔性シリカ薄膜で被覆され た面の入射角 1 2 。 での絶対反射率を測定したところ、 6 1 0 n mにおいて最小反射率 0 . 1 5 %を示した。 ヘイズは 0 6 8であ り、 鉛筆硬度は Hであった。 結果を表 5 に示す。
実施例 1 1
グリセ リル ト リ アセテー トの代わ り にスクロースォク夕ァ セテー ト ( C 2 8 H 3 8〇 1 9、 分子量 6 7 8 . 6、 炭素に対 する酸素の原子比 = 0. 6 8 ) を用いた以外は実施例 1 0 と 同様の操作を行った。
得られた光学フィ ルムは 6 9 0 n mにおいて最小反紂率 0 1 0 %を示した。 ヘイズは 0. 7 3であ り、 鉛筆硬度は Hで あった。 結果を表 5 に示す。 実施例 1 2
ポリエチレングリ コ一ルジメチルェ一テルの代わり に日本 国東京化成工業株式会社製のポリ ビニルメチルエーテルを用 い、 抽出溶媒として水 Zアセ トン溶媒 ( 2 0 Z 8 0重量% ) を用い、 実施例 1 0記載の絶対反射率測定法を行った以外は 実施例 7 と同様の操作を行った。
得られた光学フィ ルムは 5 7 5 n mにおいて最低反射率 0 1 %を示した。 ヘイズは 0 . 9 8であ り 、 鉛筆硬度は H Bで あった。 結果を表 5 に示す。 実施例 1 3
グリセリル ト リ ァセテ一トに代えて、 ポリエチレングルコ ルジメチルエーテルを対シリカ重量比が 1 となる量用いた
以外は実施例 1 0 と同様の操作を行った。 溶媒抽出時間を 1 2 0秒にする ことで、 6 3 0 n mにおいて最小反射率 0 . 8 %を示し、 ヘイズは 0 . 9 5 であ り 、 鉛筆硬度は Hを得た 結果を表 6 に示す。 実施例 1 4
溶媒抽出時間を 6 0 0秒にする以外は実施例 1 3 と同様の 操作を行った。 6 3 0 n mにおいて最小反射率 0 . 3 %を示 し、 ヘイズは 0 . 9 4であ り、 鉛筆硬度は Hを得た。 結果を 表 6 に示す。 比較例 1 1
グリセ リルト リ アセテー トに代えて、 1 , 2 —ジメ トキシ ェ夕ン (沸点 8 5 °C ) を対シリ カ重量比が 3 となる量用いた 以外は実施例 1 0 と同様の操作を行った。
ヘイズは 0 . 6 8であ り、 鉛筆硬度は 2 Hであったが、 最 小反射率は 3. 4 %であ り (波長 5 9 0 n mにて最小反射率 を示した) 、 抑制効果が低かった。 結果を表 6 に示す。 実施例 1 5
メチル ト リエ トキシシラン 2 2 2 g ( 1 . 2 4 5 m o i 、 全量が完全に加水分解重縮合して得られるシリ カの量は 8 3 4 g ) とテ トラエ トキシシラン 7 2 g ( 0 . 3 4 6 m o l 、
全量が完全に加水分解重縮合して得られるシリ カの量は 2 0 . 8 g ) との混合溶液に、 水 9 2 g と 日本国三菱化学株式会社 製イオン交換樹脂ダイヤイオン R C P 1 6 0 ( 1 . 5 m e q / m L - R ) 1 9 . 1 m L との混合溶液をゆつ く り添加して 5 0 °C , 5時間、 加水分解重縮合を行い、 流動性シリ カ前駆 体 (A) を含む反応液を得た。 ろ過処理にてイオン交換樹脂 を除去した後、 この反応液に有機化合物 ( C ) としてポリ エ チレングリ コールジメチルェ一テル (重量平均分子量.6 0 0 . 実質的に沸点無し) 1 0 4. 2 g を添加し、 さ らにプロピレ ングリ コールモノ メチルエーテルを添加して、 流動性シリ カ 前駆体 ( A ) を含む混合液 1 0 4 2 g を得た (この混合液中 の流動性シリ カ前駆体 ( A ) が完全に重縮合して得られるシ リ カの、 この混合液に対する重量比は、 0 . 1 であった。 以 下、 この混合液を高濃度流動性シリ カ前駆体混合液と称す る) 。 この高濃度流動性シリカ前駆体混合液中の流動性シリ 力前駆体 ( A) の重量平均分子量は 7 , 6 0 0であった。
メチルイ ソプチルケ ト ン 4. 0 g とプロ ピレングリ コ一ル モノ メチルエーテル 1 . 0 gからなる混合溶媒を 2 つ用意し 一方に上記高濃度流動性シリカ前駆体混合液 1 . 0 g ( S i = 1 - 5 mm 0 1 ) 、 他方に 2 0 重量%テ トラ ( n —プロ ピ ル) アンモニゥムハイ ド ロキサイ ド水溶液 0 . 1 5 g (〇 H 基モル数 0 . 1 5 mm o l ) ( p H = 1 3 . 0 、 実質的に蒸 気圧無し) をそれぞれ溶解した後、 その 2液を混合して塗布
組成物を得た。
次に、 この組成物をスピンコー ト法によ り、 P E T光学フ イ ルムに塗布を行い、 続いて 1 2 0 °C、 2分間の乾燥を行つ た。 その後、 塗布組成物の薄膜で被覆した P E Tフィ ルムを 室温で 3 0秒間、 水/エタノール混合溶媒 (抽出用溶媒) (水 Zエタノール重量比 = 5 0 Z 5 0 ) に浸漬し、 再度 1 2 0 °C, 2分間乾燥を行って、 多孔性シリ カ薄膜で被覆されて なる光学フィ ルムを得た。
得られた光学フィルムにおいて、 多孔性シリ力薄膜で被覆 されていない面をサン ドぺ一パ一にて荒ら し、 黒ィ ンク を塗 つて、 多孔性シリカ薄膜で被覆されていない面からの反射を 無くすための処理をしてから、 多孔性シリ カ薄膜で被覆され た面の入射角 1 2 。 での絶対反射率を測定したところ、. 6 0 0 n mにおいて最小反射率 0 . 1 5 %であった。 ヘイズは 0 9 2であ り 、 鉛筆硬度は H Bであった。 結果を表 7 に示す。 実施例 1 6
2 0重量%テ トラ ( n —プロ ピル) アンモニゥムハイ ド口 キサイ ド水溶液 0 . 1 5 gの代わり に、 2 . 2 5重量%テ ト ラ ( n—プロ ピル) アンモニゥム八イ ドロキサイ ド水溶液 2 2 . 5 m g を用いた以外は実施例 1 5 と同様の操作を行った 波長 6 1 0 n mにて最小反射率 0 . 5 %を示した。 ヘイズ は 0 . 8 8であ り、 鉛筆硬度は Hであった。 結果を表 7 に示
す。 実施例 1 7
2 0 重量%テ トラ ( n —プロピル) アンモニゥムハイ ド 口 キサイ ド水溶液 0 . 1 5 gの代わ り に、 2 . 2 5重量%テ ト ラ ( n —プロ ピル) アンモニゥムハイ ドロキサイ ド水溶液 7 5 . 0 m g を用いた以外は実施例 1 5 と同様の操作を行った, また、 シリ コンウェハ上にもスピンコー トを行い、 屈折率を 測定した。 反射率に関しては、 波'長 6 1 0 n mにて最小反射 率 0 . 1 5 %を示した。 ヘイズは 0 . 8 1 %、 鉛筆硬度は H 屈折率は 1 . 2 1 であった。 結果を表 7 に示す。 実施例 1 8
2 2 . 5重量%テ トラ ( n —プロ ピル) アンモニゥムハイ ドロキサイ ド水溶液の量を 0 . 1 0 5 gに変えた以外は実施 例 1 7 と同様の操作を行った。 波長 5 9 0 n mにて最小反射 率 0 . 1 5 %を示した。 ヘイズは 0 . 9 5 %、 鉛筆硬度は H 屈折率は 1 . 2 1 であった。 結果を表 7 に示す。 実施例 1 9
2 0重量%テ 卜ラ ( n —プロ ピル) アンモニゥムハイ ド 口 キサイ ド水溶液 0 . 1 5 gの代わり に、 2 2 . 5重量%テ ト ラ ( n —プロピル) アンモニゥムハイ ドロキサイ ド水溶液 0
1 8 g を用い、 シリ コンウェハ上にスピンコー トを行い、 屈 折率を測定した以外は実施例 1 5 と同様の操作を行った。 屈 折率は 1 . 2 7 であった。 結果を表 7 に示す。 実施例 2 0
2 0重量%テ 卜ラ ( n —プロ ピル) アンモニゥム八イ ド 口 キサイ ド水溶液 0 . 1 5 gの代わり に、 2 2 . 5重量%テ ト ラ ( n —プロピル) アンモニゥムハイ ドロキサイ ド水溶液 0 , 2 7 g を用い、 シリ コンウェハ上にコー トを行い、 エリ プソ メ一夕にて屈折率を測定した以外は実施例 1 9 と同様の操作 を行った。 屈折率は 1 . 3 1 であった。 結果を表 8 に示す。 実施例 2 1
実施例 1 で得られた高濃度流動性シリ カ前駆体混合液を使 用し、 2 0重量%テ トラ ( n—プロ ピル) アンモニゥム八ィ ドロキサイ ド水溶液 0 . 1 5 gの代わり に、 2 2 . 5 重量% テ トラ ( n —プロピル) アンモニゥム'ハイ ドロキサイ ド水溶 液 4 7 m gを用いた以外は、 実施例 1 5 と同様の操作を行つ た。 また、 シリ コンウェハ上にもス'ピンコー ト を行い、 屈折 率を測定した。 反射率に関しては、 波長 6 0 0 n mにて最小 反射率 0 . 1 0 %を示した。 ヘイズは 0 . 8 3 %、 鉛筆硬度 は H、 屈折率は 1 . 2 1 であった。 結果を表 8 に示す。
実施例 2 2
実施例 1 で得られた高濃度流動性シリ カ前駆体混合液を使 用 した以外は、 実施例 1 8 と同様の操作を行った。
波長 5 9 0 n mにて最小反射率 0 . 1 5 %を示した。 ヘイ ズは 0 . 9 2 %、 鉛筆硬度は H、 屈折率は 1 . 2 1 であった < 結果を表 8 に示す。 実施例 2 3
実施例 1 で得られた高濃度流動性シリカ前駆体混合液を使 用 し、 2 0 重量%テ トラ ( n —プロ ピル) アンモニゥムハイ ドロキサイ ド水溶液 0 . 1 5 gの代わり に、 2 2 . 5重量% テ トラ ( n —プロ ピル) アンモニゥム八イ ドロキサイ ド水溶 液 0 . 2 3 g を用いた以外は実施例 1 6 と同様の操作を行つ た。 .
波長 6 1 O n mにて最小反射率 0 . 2 5 %を示した。 ヘイ ズは 0 . 9 7 %、 鉛筆硬度は118、 屈折率は 1 . 3 0であつ た。 結果を表 8 に示す。 実施例 2 4
実施例 1 で得られた高濃度流動性シリカ前駆体混合液を使 用 し、 2 0 重量%テ トラ ( n—プロ ピル) アンモニゥムハイ ドロキサイ ド水溶液 0. 1 5 gの代わり に、 2 2 . 5重量% テ ト ラ ( n —プロ ピル) アンモニゥムハイ ドロキサイ ド水溶
液 0 . 2 7 gを用いた以外は実施例 2 3 と同様の操作を行つ た。
波長 5 8 O n mにて最小反射率 0 . 3 5 %を示した。 ヘイ ズは 0 . 8 9 %、 鉛筆硬度は H B、 屈折率は 1 . 3 2 であつ た。 結果を表 8 に示す。 実施例 2 5
1 , 2 — ビス ( ト リ エ トキシシリル) ェ夕 ン 7. 4 g ( 0 0 2 1 m o 1 、 全量が完全に加水分解重縮合して得られるシ リカの量が 2 . 7 6 g ) 、 メチルト リ エ トキシシラン 7 . 4 g ( 0 . 0 4 2 m 0 1 、 全量が完全に加水分解重縮合して得 られるシリカの量が 2 . 7 9 g ) 、 テ トラエ トキシシラン 4 8 g ( 0 . 0 2 3 m o 1 、 全量が完全に加水分解重縮合して 得られるシリカの量が 1 . 3 8 g ) の混合溶液に、 水 6 . 2 g ( 0 . 3 4 m o l ) およびリ ン酸 0 . 0 6 g の混合溶液を ゆつ く り添加して 5 0 °Cで加水分解重縮合を行い、 流動性シ リカ前駆体 ( A ) を含む反応液を得た。 得られた流動性シリ 力前駆体 ( A) の重量平均分子量は 3 , 7 6 0 であ,つた。 こ の反応液にポリエチレンダリ コールジメチルェ一テル (重量 平均分子量 6 0 0 ) 6 . 8 g、 水 6 . 8 g、 プロピレンダリ コールモノ メチルエーテル 2 9 . 8 g を添加して、 流動性シ リカ前駆体'( A ) を含む混合液を得た (この混合液中の流動 性シリカ前駆体 ( A ) が完全に重縮合して得られるシリ カの
この混合液に対する重量比は、 0. 1であった。 以下、 この 混合液を高濃度流動性シリ 力前駆体混合液と称する) 。
上記の高濃度流動性シリ カ前駆体混合液 1. 0 gと 2 0重 量%テ トラ ( n—プロ ピル) アンモニゥム八ィ ドロキサイ ド 水溶液 0. 1 5 g ( p H= 1 3 . 0、 実質的に蒸気圧無し) (この塩基性化合物の対 S i モル比は 0. 1 0 ) を水 5 g と プロ ピレングリ コールモノ メチルェ一テル 5 gからなる溶液 に添加して、 塗布組成物を調製し、 P E Tフィルム上にス ピ ンコ一 トを行い、 続いて、 1 0 0 :、 1分間の乾燥を行った 裏面もス ピンコー ト、 乾燥を行った。
その後、 塗布組成物の薄膜で被覆した光学フィルムを室温 で 1 0秒間、 水 Zエタノール混合溶媒 (油出用溶媒) (水 Z エタ ノール重量比 = 5 0 Z 5 0 ) に浸漬し、 再度 1 0 0 °C、 1分間乾燥を行って、 低屈折率多孔性シリ カ薄膜で被覆され てなる P E Tフィルムを得た。
得られた P E Tフィルムは、 5 4 0 n mにおいて最小反射 率を示し、 多孔性シリカ薄膜で被覆されていない P E Tフィ ルムの反射率は 8. 2 %であったのが、 0. 1 %に抑制され 'た。
また、 短冊状にカッ ト した上記被覆フィルムを用いて、 2 c m径に巻きつける操作を 1 0 回繰り返した後に光学顕微鏡 (日本国ォリ ンパス光学工業 (株) 製 B H— 2 ) (倍率 1 0 0倍) で観測される P E T上薄膜の破壊痕数を調べる こ と
によ り、 基板との接着性を評価した。 巻きつけ操作による剥 離痕は、 実施例 1 のサンプルでは十字状の小さな痕が観測さ れたが、 本実施例のサンプルでは観測されなかった。 実施例 2 6
メチルイソプチルケ ト ン 4. 0 g とプロ ピレングリ コール モノメチルエーテル 1 . 0 gからなる混合溶媒を 2 つ用意し 一方に実施例 1 で得られた高濃度流動性シリ カ前駆体混合液 1 . 8 g ( S i 原子モル数 2 . 7 4 mm o l ) 及び水 0 . 3 3 gを、 他方に 2 2 . 5重量%テ ト ラ ( n —プロピル) アン モニゥムハイ ドロキサイ ド水溶液 5 0 m g ( O H基モル数 0 0 5 5 mm o 1 ) ( p H = 1 3 . 0 、 実質的に蒸気圧無し)
(この塩基性化合物の対 S i モル比は 0 . 0 2 ) 、 および、 テ トラ ( n —プロピル) アンモニゥムブロマイ ド 7 3 m g
( 0 . 2 7 4 mm 0 1 ) をそれぞれ溶解した後、 その 2 液を 混合して塗布組成物を得た。 塗布組成物の粘度は調製してか ら 1 時間後にて 0 . 7 9 2 m P a · s 、 2 0 時間後にて 0 . 7 9 8 m P a · s と粘度変化が極めて小さ く 、 P E Tフィ ル ム上に多孔性シリカ薄膜を形成した場合、 1 時間後で最低反 射率 0 . 1 5 % ( 6 7 0 n mにて) 、 2 0 時間後で最低反射 率 0 . 1 0 % ( 6 7 0 n mにて) と最低反射率を与える波長 の変動は観測されなかった。
比較例 1 2
テ トラ ( n —プロ ピル) アンモニゥムブロマイ ドの添加を しないこ と以外は、 実施例 2 6 と同様の操作を行った。 塗布 組成物の粘度は調製してから 1 時間後にて 0 . 8 6 m P a · s 、 2 0時間後にて 0 . 9 4 m P a · s と粘度変化が観測さ れた。 比較例 1 3
実施例 1 で得られた高濃度流動性シリ カ前駆体混合液を濃 縮し、 そこに 2 2 . 5重量%テ トラ ( n —プロ ピル) アンモ ニゥムハイ ドロキサイ ド水溶液、 および、 エタ ノールを添加 して、 水 0 . 9重量%、 テ トラ ( n —プロ ピル) アンモニゥ ム八イ ドロキサイ ド 0 . 2重量%、 プロ ピレングリ コールモ ノ メチルエーテル 2 . 3重量%のエタノール塗布液を調製し た。 このエタノール塗布液中の塩基性化合物の対 S i モル比 は 0 . 0 6 5であった。 このエタノール塗布液中の流動性シ リ カ前駆体が完全に重縮合して得られるシリ カの、 このエタ ノール塗布液に対する重量比は、 0 . 0 1 であった。 このェ 夕ノール塗布液の、 水酸基を有し且つ沸点が 1 0 0 °C以上で ある高沸点溶媒の含有量は 3 . 1 重量%であった。 この塗布 液をスピンコ一 卜法にてシリ コ ンウェハ上に塗布したと ころ 表面が荒れた膜が得られた。 '
実施例 1 実施例 2 実施例 3 実施例 4 流動性シリカ前駆体 (A)
ァノレコキシシラン(比はモ MTES/TEOS MTES/TEOS MTES/TEOS MTES/TEOS ル比を表す) = 80/20 = 80/20 = 80/20 = 80/20 酸触媒 リン酸 リン酸 リン酸 リン酸 添力!]量 '
0.006 0.006 0.006 0.006 (対 Siモル比)
重量平均分子量 31,400 31,400 31,400 31,400 塩基性化合物 (B)
.. NaOH PEI TETA TEPA pH 13.1 11.3 11.7 11.6 骞気圧(kPa) 無し 無し 0.27 <0.1 力 Π醫
0.10 0.10 0.10 0.10
(对 Siモノレ比)
有機化合物(c)
JrJi -JJlViJti.
ii/ Ji i Li 添カロ赏
1.0 1 0 1.0 1.0
(針シリカ重畺比)
占 (°Γ)
塗布溶^
溶媒 )(壁-布ώ" 媒)(比 7K/PGME N/ P MJ. 7K/ FGME け 鼍比 す) — (jリ/ tjリ =50 /50
外観 良 良 良 良 成膜法
j ii / iy— ' * PPTメ Siゥ ヽ PF ノ Siゥ ヽ 石 Ρィ 麼 100 100 100 100 石苗ィ 時間(秒) 60 60 60 60 抽出 ¾ (比は重 比を 7k /EtOH 7k/Et〇H 永ノ Et〇H 水 /Et〇H 表す) = 50/50 = 50/50 = 50/50 = 50/50 抽出時間 (秒) 10 10 10 10
' 乾燥温度 (°c) 100 100 100 100
乾燥時間 (秒) 60 60 60 60 その他の処理
薄膜物性
反射率 (%) 0.1 0.1 0.2 0.3 屈折率(1.95eV) 1.210 1.231 1.227 1.218 空隙率(%) 38.5 32.7 34.5 36.1 透過率(%) 99.0 99.2 99.0 99.1 ヘイズ (%)
鉛筆硬度 HB
外観 良 良 良 良
MTES=メチルトリエトキシシラン、 TE〇S =トリエトキシシラン、 PE I =ポリエチレン ィミン、 TETA=トリ'エチレンテ卜ラミン、 TEPA =テトラエチレンペン夕ミン、 PEGDME =ポリエチレングリコールジメチルェ一テル、 PGME =プロピレングリコ一ルモノメチルエーテル
表 2
MTES=メチルトリエトキシシラン、 TEOS=トリエトキシシラン、 TPAH =テ卜ラプロピル アンモニゥムハイドロキサイド、 PE I =ポリエチレンィミン、 PEGDME=ポリエチレン グリコールジメチルエーテル、 PGME =プロピレングリコールモノメチルエーテル、 MEK = メチルェチルケトン
表 3
註: MTES=メチルトリエトキシシラン、 TEOS =トリエトキシシラン、 ΤΡΑΗ-テトラ プロピルアンモニゥムハイドロキサイド、 0£丁八=ジエチレントリアミン、 PEGDME = ポリエチレングリコールジメチルエーテル、 P G M E =プロピレングリコールモノメチルエーテル
表 4
註: MTES =メチルトリエトキシシラン、 TEOS=トリエトキシシラン、 DMDES=ジメチル ジエトキシシラン、 THMAM==トリスヒドロキシメチルァミノメタン、 PEGDME =ポリエチレン グリコールジメチルェ—テル、 p GME=プロピレンダリコールモノメチルエーテル
表 5
註: MTES=メチルトリエトキシシラン、 丁£03=テトラエトキシシラン、 丁? 1^ =テトラ プロピルアンモニゥムハイドロキサイド、 0丁 =グリセリルトリアセテート、 SOA =スクロース ォクタアセテート、 PVME=ポリピニルメチルエーテル、 PGME=プロピレングリコールモノ メチルエーテル、 MI BK =メチルイソプチルケトン
表 6
註: MTES=メチルトリエトキシシラン、 TEOS-テトラエトキシシラン、 PEGDME = ポリエチレングリコールジメチルエーテル、 DME=1, 2—ジメ卜キシェタン、 PGME: プロピレングリコールモノメチルエーテル、 MI BK =メチルイソプチルケトン
表 7
註: MTES=メチルトリエトキシシラン、 TEOS=トリエトキシシラン、 丁? ^[=テトラ プロピルアンモニゥムハイドロキサイド、 PEGDME=ポリエチレングリコ一ルジメチル ェ一テル、 P GME =プロピレンダリコールモノメチルエーテル、 M I BK==メチルイソブチル ケ卜ン
表 8
MTES=メチルトリエトキシシラン、 TE0S=トリエトキシシラン、 丁 八11 =テトラ プロピルアンモニゥムハイドロキサイド、 PEGDME=ポリエチレングリコールジメチル エーテル、 PGME =プロピレンダリコールモノメチルエーテル、 M I BK =メチルイソブチル ケ卜ン
産業上の利用可能性
本発明の塗布組成物を用いる と、 基板上に低屈折率、 高光 透過性、 且つ高強度である多孔性シリ カ薄膜を形成する こ と ができる。 上記の多孔性シ リ カ薄膜は、 光学部品及び眼鏡な どの レンズ、 ディ スプレイ装置のスク リ ーンなどを被覆する ための反射防止膜と して有利に用いる こ とができる。