明 細 書
[S, S]-ェチ レンジア ミ ン - N, N' -ジコハク酸の製造法 発明の背景
発明の技術分野
本発明は、 [S, S]-エチレ ンジァ ミ ン- N, N' -ジコハク酸 〔以 下、 [S, S]- E D D S と略記する〕 の製法に関する。 具体的に は、 本発明は、 マ レイ ン酸、 無水マ レイ ン酸も し く はマ レイ ン酸塩とエチレ ンジァミ ンから微生物または酵素の作用によ つて [S, S]- E D D S を製造する方法に関する。
関連技術の開示
[S, S]- E D D S は重金属捕捉能が高く 、 且つ自然界に放出さ れる と容易に生分解される性質があるため、 写真用漂白剤、 無電解メ ツ キ薬、 洗剤用ビルダ—な どの用途が期待されてい る。
本発明者らは、 先に、 微生物によ る [S, S]-E D D Sの製造 法と して、 (1)フマル酸とエチ レンジァミ ンから製造する方 法 (日本国特許出願公開第 9- 140390号、 米国特許第 5707836 号、 欧州特許出願公開第 0731171 号) および (2)マ レイ ン酸 とエチレンジァミ ンから製造する方法 (日本国特許出願公開 第 9-289895号) 、 さ らに上記(1) を金属イオンの存在下に行 う 方法 (欧州特許出願公開第 0805211 号、 日本国特許出願公 開第 10— 52292号) を提案している。
フマル酸はマ レイ ン酸から化学的方法 (米国特許第 2816923 号、 同 2955136 号、 同 2332992 号) による異性化工程を経て 工業的に生産されているため、 上記(2) の方法は、 よ り 安価 な [S, S]- E D D Sの製造法と して原料面で有利である。
なお、 上記日本国特許出願公開第 9- 289895号の方法は、 基 質 と してマ レイ ン酸とエチ レ ンジァ ミ ンを用いる方法である が、 収率が低く 満足し得る ものではない。
したがって、 本発明は、 マ レイ ン酸を原料と して高収率で [S, S]- E D D S を得る こ と を 目的とする。
本発明者らは生化学的知見 〔W. Scher ら J. Biol. Chem. , 244, 1878-1882 (1969), Υ. Takamura ら Agr. Biol. Chem.,
33, 718-728 (1969), T. Kimura ら Agr. Biol. Chem. , 50, 89-94 ( 1986), T. Nakaj ima-Kambe ら J. Ferment. Bio eng. , 84, 165- 168 ( 1997)] が多 く 、 またァスパラ ギン酸製 造への応用も提案されているマ レイ ン酸ィ ソ メ ラーゼ (日本 国特許第 2664648号、 日本国特許出願公開第 8-51989号、 欧 州特許出願公開第 693557号)を [S,S]-E D D Sの生産にも応 用すべ く鋭意検討を行った。
その結果、 単にマ レイ ン酸とエチ レンジア ミ ン溶液にマ レ ィ ン酸ィ ソ メ ラーゼ活性を有する微生物とエチレンジア ミ ン- N, N' -ジコハク酸エチレ ンジァ ミ ン リ ア一ゼ 〔以下、 E D D S ァ一ゼと略記する〕 活性を有する微生物と を添加 しただけで は、 [S, S]- E D D S への変換率が低いこ と、 しかし、 これに アルカ リ 土類金属等の金属イオンを存在させる こ と によ リ初 めて、 マ レイ ン酸の [S, S]- E D D S への変換率が大幅に上昇 する こ とな どを見出 し本発明に到達した。 発明の概要
すなわち、 本発明は、 アルカ リ 土類金属、 鉄、 亜鉛、 銅、 ニッケル、 アルミ ニウム、 チタニウムおよびマ ンガンからな る群から選ばれる少な く と も一種の金属イ オンの存在下、 マ レイ ン酸、 無水マ レイ ン酸またはマ レイ ン酸塩とエチ レ ンジ
ァ ミ ン と を含有する基質溶液に、 マ レイ ン酸イ ソ メ ラーゼ活 性を有する微生物またはその処理物 とエチレ ンジァ ミ ン- N, N' -ジコハク酸エチ レ ンジア ミ ン リ ァ一ゼ活性を有する微生物ま たはその処理物と を作用せしめ、 [S, S]-ェチ レンジァ ミ ン - N, N' -ジコハク酸を得る こ と を特徴とする [S, S]-エチレ ンジア ミ ン- N, N' -ジコハク酸の製造法を提供する。
本発明においては、 マ レイ ン酸を フマル酸に変換する酵素 およびフマル酸を [S, S]- E D D S に変換する酵素の両方が、 各々の酵素の由来には関係な く 、 可逆的な平衡反応を触媒す るので、 単に両酵素を存在させるだけでは高収率で [S, S] - E D D S を得る こ と は不可能である と こ ろ、 アルカ リ 土類金属 等のイオンを存在させて生成する [S, S]-E D D S を金属錯体 と成し両酵素の反応系外にも ってい く こ とで反応平衡を生成 側へ移動させ、 これによ り 高収率、 且つ高濃度で [S, S]- E D D S を反応系内に蓄積させる こ とが可能になる もの と推察さ れる。
さ らに、 マ レイ ン酸から フマル酸、 およびフマル酸から [S, S]-E D D Sへの変換反応は弱い発熱反応であ り 、 熱力学的に は反応温度が低いほど生成物側 ( フ マル酸生成側) に平衡が 傾く ので、 上記金属イオン非存在下の反応では、 収率向上を 目的と して反応後期に反応温度を下げるな どの操作を行う必 要があった。 しかし、 該金属イオン存在下では温度を下げる な どの操作を行わな く ても高い変換収率が得られる。
なお、 本明細書は本願の優先権の基礎である 日本国特許出願 第 9— 364798号 ( 1997年 12月 22 日 出願) の明細書に記載さ れる内容の全部または一部を包含する。 発明の詳細な説明
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明における金属のイ オンは、 アルカ リ 土類金属、 鉄、 亜鉛、 銅、 ニッ ケル、 アルミ ニウム、 チタニウムおよびマ ン ガンのイ オンであ り 、 例えば、 M g ( 11 )、 C a ( I I )、 S r ( I 1)、 B a ( I I ) , F e ( 11)、 F e ( I I I ) 、 Z n ( I I)、 C u ( I I)、 N i ( 11)、 A 1 ( I I I ) 、 T i ( IV)および M n ( I I )イ オンな ら びにこれらの各種錯イオンを挙げる こ とができる。
これら金属のイ オン源と しては、 これら金属の水酸化物、 酸化物な らびに硫酸、 塩酸、 硝酸、 リ ン酸、 炭酸および酢酸 等の無機または有機酸塩、 さ ら にこれら金属化合物を含む鉱 物や本発明の基質であるマ レイ ン酸やエチレ ンジァ ミ ンとの 化合物等を挙げる こ とができる。 これらの化合物は 2種以上 混合して用いる こ と も可能である。
また、 これらの金属化合物中には、 水に対し溶解度の低い ものあるいは難溶性のものも あるが、 これら を飽和濃度以上 に、 例えば、 懸濁状態と して存在させた場合でも、 [S, S]- E D D S の配位能によ リ相当量が可溶化されるため使用可能で ある。 すなわち、 本発明の 「金属のイ オン」 源と しての化合 物は、 金属のイオンが [S, S]- E D D S と配位し、 本発明の効 果が得られるものである限 り使用できる。
本発明に使用されるマ レイ ン酸ィ ソメ ラ一ゼ活性を有する 微生物と しては、 マ レイ ン酸を異性化してフマル酸に変換す る微生物であれば特に制限はな く 、 例えば、 アルカ リ ゲネス ( A 1 cal i genes) j¾ , シユー ドモナス ( Pseudomonas) , キサ ン 卜モナス ( Xant omonas) M > ノ チノレス ( 5ac/ゾゾ us) 属に属 する微生物を挙げる こ とができる。 さ らに、 これらの微生物 に由来するマ レイ ン酸ィ ソ メ ラーゼ遺伝子を組換えた遺伝子 操作微生物も用いる こ とができる。
具体的な菌株と しては、 アルカ リ ゲネス フ エカ リ ス ( A!c al genes faecal is) IFO 12669 、 同 1F0 13111、 同 IAM 14 73 、 アルカ リ ゲネス ュ 一 ト ロ フ ァス Alcal igenes eut rop hus) IAM 12305、 シュ一 ドモナス フルォレ ツセ ンス seud omonas fluol escens) ATCC 23728 、 キサン 卜 モナス マノレ 卜 フ ィ リ ア ( Xantho onas mal tophi 1 ia、 ATCC 13270、 ノ チソレス sp. MI 105 (FERM BP- 5164)、 バチルス ステアロザ一モフ イ ラ ス (Baci l lus s t ear o the rmoph i rus ) MI 101 (FERM BP - 5160) 、 同 MI 102 (FERM BP- 5161)、 バチルス ブレ ビス (Baci l lus brevis) MI 103 (FERM BP - 5162)、 同 MI 104 (FERM BP - 5163)、 等を例示する こ とができる力 、 これら に限定されない。
これらの微生物は、 財団法人発酵研究所 ( I F O ) (日 本) 、 東京大学分子細胞生物学研究所細胞 , 機能高分子総合 セ ンタ一 I A Mカルチャーコ レクシ ョ ン (日本) 、 およびァ メ リ カン ' タイ プカルチヤ一 ' コ レクシ ョ ン ( A T C C )
(米国) よ り 容易に入手可能である。
また、 本発明に用いられる E D D S ァ一ゼ活性を有する微 生物と しては、 フマル酸とエチレ ンジア ミ ンから [S, S]- E D D S を生成せしめる微生物であれば特に制限は無く 、 例えば、 ブレブンディ モナス ( Brevundimonas 属、 ノ ラ コ ッ カス ( Par acoccus) 、 スフ イ ン ゴモナス ( Sph i ngomonas) 属、 アン ド ホラ ッ クス Ac i dovorax)^、 シユー ドモナス (^Pseudomonas 属、 バークホルデリ ァ (Burkho!deria)属に属する微生物を挙 げる こ とができる。 また、 これらの微生物に由来する E D D S ァーゼ遺伝子を組換えた遺伝子操作微生物も用いる こ とが できる。
これらの具体的な菌株と してはプレブンディ モナス s p . TN -3 (FERM BP- 5886)、 同 TN- 30 (FERM BP - 5417) 、 ノ ラ コ ッ
カ ス sp. KK-6 (FERM BP - 5415)、 ス フ イ ン ゴモナス sp. TN- 28 (FERM BP-5419) 、 ァシ ドボラ ッ クス sp. TN-51 (FERM B P - 5416) 、 シュ一 ドモ ナス sp. TN-131 (FERM BP- 5418) 、 ノ —クノナヽノレデリ ア sp. KK-5 (FERM BP— 5412)、 同 KK-9 (FERM BP- 5413)等を、 また、 遺伝子操作微生物と して、 上記プレブ ンディ モナス sp. TN-3 由来の E D D S ァーゼを コー ドする 遺伝子 D N Aを大腸菌 JM109(Esherichia col i ATCC 53323)、 Rhodococcus rhodochrous ATCC 17895等に導入した形質転換 体、 E. col i JM109/pEDS020(FERM BP - 6161) 、 Rhodococcus r hodochrous ATCC 17895/pSEOOl (FERM BP - 6548) 等を例示す る こ とができる力 これら に限定されない。
上記の E D D S ァーゼ活性を有する微生物は上記受託番号 にて通産省工業技術院生命工学工業技術研究所 (日本国茨城 県つ く ば市東 1 丁目 1 番 3号) に寄託されている。 その菌学 的性質は日本国特許出願公開第 9- 140390号、 欧州特許出願公 開第 0805211 号等に記載されている し、 また形質転換体の製 法は日本国特許出願公開第 10— 210984号および日本国特許出 願第 9-3U046号明細書に記載されてお り 、 こ れ ら の文献に開 示の方法によ って目的の形質転換体を得る こ とができる。
本発明に使用される微生物の培養は、 資化し得る炭素源 (グリ セ ロール、 グルコース、 サッ カロース等) 、 窒素源
(無機のアンモニゥム塩ゃ硝酸塩、 カザミ ノ 酸、 肉エキス、 酵母エキス、 コーンスティ ープリ カ一等) 、 各微生物の生育 に必須の無機塩 (塩化マグネシウム、 塩化カルシウム、 硫酸 マ ンガン、 塩化鉄、 硫酸亜鉛等) 、 ビタ ミ ン、 核酸な どを含 有 した通常の培地を用いて行う こ と ができる。 また、 培地中 にマ レイ ン酸および [S, S]- E D D S を添加する こ と は、 それ ぞれ、 よ り 高いマ レイ ン酸イ ソ メ ラ一ゼ活性および E D D S
ァーゼ活性が得られる こ と があ り 好ま しい。
培養は、 培養液の p H 4〜 1 0、 好ま し く は 6 〜 9、 培養温 度 2 0 〜 9 0 °C、 好ま し く は 2 5 〜 8 0 °Cの範囲で、 1 〜 1 4 日間好気的に行う こ とができる。
[S, S]- E D D S生産反応は、 マ レイ ン酸、 無水マ レイ ン酸ま たはマ レイ ン酸塩を 0 . 0 1 Mから飽和濃度、 好ま し く は 0 . 0 2 〜 1 . 2 M、 およびエチレ ンジァ ミ ンを 0 . 0 1 〜 2 M、 好ま し く は 0. 0 1 5〜 l Mを含有する p H 4〜 l 1 、 好ま し く は p H 6 〜 l 0 の水性媒体に対し、 フマ ラ一ゼ等の副反 応に関与する酵素活性を除去 したマ レイ ン酸ィ ソ メ ラ一ゼ活 性を有する微生物 (菌体) またはその処理物 (すなわち、 菌 体破砕物、 粗酵素液、 精製酵素液、 固定化菌体、 固定化酵素、 等) 、 および E D D Sァーゼ活性を有する微生物 (菌体) ま たはその処理物 (すなわち、 菌体破砕物、 粗酵素液、 精製酵 素液、 固定化菌体、 固定化酵素、 等) を各々 0 . 0 1 〜 5重 量%、 好ま し く は 0 . 1 〜 2重量%添加し、 さ らに前記の金 属化合物を、 生成する [S, S]-E D D Sの理論量に対して、 通 常、 金属と して 0 . 0 1 〜 2倍モルを添加して、 反応温度 5 〜 6 0 °C、 好ま し く は 1 0 〜 5 5 °Cで 0 . 5 〜 4 8 時間反応 させる こ とができる。
反応終了液から [S, S]-E D D Sの金属錯体を回収する場合 には、 所定の金属のイオンの存在下で反応を行った後、 p H 調整、 濃縮、 その他の操作によ り 目的化合物を直接得る こ と ができる。
一方、 反応終了液から [S, S]- E D D S を採取する には、 通 常、 鉱酸による酸祈が行われる。 しかしながら、 鉄等の重金 属のイオンの存在下に反応を行った場合のよ う に、 酸析の p Hで安定な錯体を形成している系においては、 酸析以前に該
金属のイ オンを除去する操作が必要である。 したがって、 [S, S] - E D D S を必要とする場合には、 酸祈に際し上記のよ う な 除去操作を省略でき るマグネシウム、 カルシウム等のアル力 リ 土類金属のイ オンの存在下に反応を行う こ とが効率的であ る。
次に、 本発明を以下の実施例によ り 具体的に説明するが、 本発明はこれらの実施例に限定される ものではない。 実施例
実施例 1
( 1) マ レイ ン酸イ ソ メ ラ一ゼ活性を有する微生物菌体の調製 アルカ リ ゲネス フエカ リ ス IF0 12669、 同 IF0 13111、 同 IAM 1473 、 アルカ リ ゲネス ュ一 ト ロフ ァス IAM 12305 およびシュ一 ドモナス フルォレツセンス ATCC 23728 株を マ レイ ン酸を含む培地 ( 1 L当た り ; マ レイ ン酸ナ ト リ ウム 5 g、 肉エキス 1 0 g、 酵母エキス 5 g、 金属塩混合物溶液 5 m l 、 5 0 mM燐酸緩衝液、 p H 7 . 0 ) 1 L を用い 3 0 °C、 2 〜 3 日間振と う培養した。 菌体を遠心分離 (10, 000 rpm、 20分) し、 1 Lの 5 0 mM燐酸緩衝液 ( p H 8 . 5 ) で 洗浄した後、 同緩衝液で 1 0 0 m 1 の菌体懸濁液を調製した。 金属塩混合物溶液は以下の組成を有する。
金属塩混合物溶液 ( 1 0 0 m 1 当た り ) :
塩化マグネシウム · 6 H 2 0 8 g
塩化カルシウム 0 . 8 g
硫酸マンガン · 6 H 2 0 0 . 6 g
塩化第二鉄 ' 6 H 2 0 0 . 1 2 g
硫酸亜鉛 0 . 0 6 g
(2) E D D S ァーゼ活性を有する微生物菌体の調製 ブレブンディ モナス sp. TN-3 を [S, S]- E D D S を含む培 地 ( 1 L当た り ; [S, S]- E D D S 2 g、 グルコース 2 g、 酵 母エキス 1 g、 ポ リ ペプ ト ン 0 . 5 g、 硫酸マグネシウム -
7 H 2 0 l g、 硫酸ナ ト リ ウム 0 . 2 8 g、 金属塩混合物 溶液 0 . 5 m 1 、 燐酸緩衝液 2 5 m M、 p H 7 . 5 ) 2 L を 用いて 3 0 °C、 3 日間振と う培養した。 菌体を遠心分離 ( 10, 000 rpm、 20分) し、 5 0 0 m l の l O O mMほう 酸緩衝液 ( P H 9 . 2 ) に懸濁した後、 4 5 °Cの水浴中に 4時間放置 して熱処理を行った。 遠心分離 ( 10, 000 rpm、 20分) によ り 集菌し、 5 0 0 m l の 5 0 mM燐酸緩衝液 ( p H 8 . 5 ) で
1 回洗浄した後、 同緩衝液で 1 0 0 m 1 の菌体懸濁液を調製 した。
(3) [S,S]-E D P S生産反応
3 0 0 mMマ レイ ン酸、 l O O m Mエチレ ンジァ ミ ン、 1 5 0 m M水酸化マグネシウムを含む 1 0 0 m 1 の基質溶液 ( P H 8. 5 ) に対し、 マ レイ ン酸イ ソ メ ラ一ゼ活性を有す る微生物の菌体懸濁液 5 m 1 、 および E D D S リ ア一ゼ活性 を有する微生物の菌体懸濁液 5 m l を添加し、 3 5 °C、 1 4 〜 2 0 日間、 [S, S]- E D D Sの生成が停止する まで反応を継 続した。 比較と して、 水酸化マグネシウムを含まない基質溶 液によ る同様の実験も行った。
なお、 水酸化マグネシウム存在下での [S, S]- E D D S生産 反応は反応液の P H低下を伴う ので、 水酸化ナ ト リ ウムを使 用 し p Hコ ン ト ローラ一に よ り p H 8 . 3 〜 8 . 8 に調節し た。
( 4) rS, S]-E D D Sの定量および光学純度の分析 反応終了液中の不溶物を 15, 000 rpm、 5 °C、 5 分間の遠心 分離で除去 した後、 液体ク ロマ ト グラ フィ ー 〔カラム ; WAK0S IL 5C8 (和光純薬) 、 溶出液 ; 10 mM 水酸化テ ト ラ — n — ブ チルア ンモニゥ ム、 0.4 mM CuSO 4 、 50 mM 燐酸、 pH 2) で 定量し、 光学純度の分析も液体ク ロマ ト グラ フィ ー 〔カラ ム ; MCI GEL CRS 10W (三菱化学) 、 溶出液 ; 10 mM 硫酸 銅〕 によ り 行った。 また、 金属錯塩の定量は不溶物を除去し た反応終了液に、 終濃度 1 . 5 %の水酸化ナ ト リ ウムを添加 し室温に 3 0 分放置後、 遠心分離で不溶性水酸化物を除去 し、 燐酸で p H 7 . 5 と してから定量、 および光学純度の分析を 行った。
( 5) 結果
表 1
† A : マ レイ ン酸イ ソ メ ラ一ゼ活性を有する微生物
I B : E D D S ァーゼ活性を有する微生物
11 [S, S]- E D D S 生成量はアルカ リ 添加および燐酸 添加に よ る反応液希釈分の補正値を示 した。 実施例 2
( 1) 微生物菌体の調製
実施例 1 と同様にマ レイ ン酸イ ソ メ ラ一ゼ含有微生物であ る Alcal igenes faecal i s IFO 12669 および E D D S ァーゼ活 性を有する微生物であるバークホルデリ ア sp. KK-5 、 パラ コ ッ カス sp. KK-6 、 ブレブンディ モナス sp. TN-3 、 スフ イ ンゴモナス sp. TN-28、 ァシ ドボラ ッ クス sp. TN-51 お よびシュ一 ドモナス sp. TN-131 株を各々培養し菌体懸濁液 を調製した。
( 2) [S, S]-E D D S生産反応
実施例 1 と同様の基質溶液 ( 3 0 O m Mマ レイ ン酸、 1 0 0 m Mエチ レンジァ ミ ン、 1 5 0 m M水酸化マグネシウム、 p H 8 . 5 ) 1 0 0 m l に対し 5 m l のマ レイ ン酸イ ソメ ラ ーゼ活性を有する微生物 (IF0 12669)および 5 m 1 の E D D S ァ一ゼ含有微生物 (KK - 5、 KK - 6、 TN - 3、 TN-28 、 TN-51 ま たは TN- 131 ) の懸濁液を添加し、 3 5 °C、 1 4 〜 2 0 曰間、 [S, S]- E D D S の生成が停止する まで反応を継続した。 比較 と して、 水酸化マグネシウムを含まない基質溶液に よる同様 の実験も行った。
( 3) [S, S1-E D D Sの定量およ び光学純度の分析
反応終了液中の不溶物を 15, 000 rpm、 5 °C、 5 分間の遠心 分離で除去 した後、 液体ク ロマ ト グラ フ ィ ー 〔カ ラム ; WAK0S IL 5C8 (和光純薬) 、 溶出液 ; 10 mM 水酸化テ ト ラ — n — ブ
チルア ンモニゥム、 0.4 mM CuSO 4 、 50 mM 燐酸、 pH 2) で 定量し、 光学純度の分析も液体ク ロマ ト グラ フ ィ ー 〔カラ ム ; MCI GEL CRS 10W (三菱化学) 、 溶出液 ; 10 mM 硫酸 銅〕 によ り 行った。 また、 金属錯塩の定量は不溶物を除去し た反応終了液に、 終濃度 1 . 5 %の水酸化ナ ト リ ウムを添加 し室温に 3 0 分放置後、 遠心分離で不溶性水酸化物を除去し、 燐酸で P H 7 . 5 と してから定量、 および光学純度の分析を 行った。
( 4) 結果
表 2
† A : マ レ イ ン酸イ ソ メ ラ ーゼ活性を有する微生物
X B : E D D S ァーゼ活性を有する微生物
H [S, S]-E D D S 生成量はアル力 リ 添加および燐酸 添加に よ る反応液希釈分の補正値を示 した。 実施例 3
( 1) 微生物菌体の調製
実施例 1 と同様にマ レイ ン酸イ ソ メ ラーゼ含有微生物であ る Alcal igenes faecal is IFO 12669 および E D D S ァ一ゼ含 有微生物である プレブンディ モナス sp. TN-3 株を各々培養 し菌体懸濁液を調製した。
( 2) [S, S]- E D D S生産反応
3 0 O m Mマ レイ ン酸、 1 0 O m Mエチレ ンジァ ミ ンおよ び 1 5 0 m M水酸化物 (水酸化マグネシウム、 水酸化カルシ ゥム、 水酸化チタニウム、 水酸化マ ンガン、 水酸化亜鉛、 水 酸化アルミ ニウムまたは水酸化第二鉄) を含む 1 0 O m l の 基質溶液 ( P H 8 . 5、 本 p Hでは水酸化マグネシウム、 水 酸化カルシウムは可溶性、 他の水酸化物は不溶性である) に 対し、 IF0 12669 の菌体懸濁液 5 m 1 および TN- 3 の菌体懸濁 液 5 m l を各々添加 し、 3 5 °C、 1 4〜 2 0 曰間、 [S, S]-E D D Sの生成が停止する まで反応を継続した。 比較と して、 水酸化物を含まない基質.溶液による同様の実験も行った。
(3) [S, S]-E D D Sの定量および光学純度の分析
反応終了液中の不溶物を 15, 000 rpm、 5 °C、 5 分間の遠心 分離で除去した後、 液体ク ロマ ト グラ フィ ー 〔カラム ; WAK0S IL 5C8 (和光純薬) 、 溶出液 ; 10 mM 水酸化テ ト ラ ー n — ブ チルアンモニゥム、 0.4 mM CuSO 4 、 50 mM 燐酸、 pH 2 で 定量し、 光学純度の分析も液体ク ロマ ト グラ フ ィ ー 〔カラ
ム ; MCI GEL CRS 10W (三菱化学) 、 溶出液 ; 10 mM 硫酸 銅〕 によ り 行った。 また、 金属錯塩の定量は不溶物を除去し た反応終了液に、 終濃度 1 . 5 %の水酸化ナ ト リ ウムを添加 し室温に 3 0 分放置後、 遠心分離で不溶性水酸化物を除去し 燐酸で p H 7 . 5 と してから定量、 および光学純度の分析を ί了っ た。
( 4) 么士
表 3
H CS, S]-E D D S生成量はアルカ リ 添加
および燐酸添加によ る反応液希釈分の
補正値を示 した。 本明細書で引用 した全ての刊行物、 特許および特許出願を そ の全体を参考と して本明細書に と リ 入れるものとする。 また、 本発明の思想および範囲を逸脱する こ とな く 本発明は種々 の
変更および変形を含み得る こ とが当業者には理解されるべき である。