明細書 固体電解コンデンサ及びその製造方法 本出願は米国特許仮出願第 60/1 23, 985号 (出願日: 1 999年 3月 1 1日) 及び米国仮出願第 60/1 23, 986号 (出願日 : 1 999年 3月 1 1日) の出願の利 益を主張する。 技術分野
本発明は、 固体電解コンデンサ及びその製造方法に関する。 さらに詳しく は、 その固体電解質中に(1 ) アルコキシ置換ナフ夕レンモノスルホン酸ァニ オン、 (2) 複素環式化合物のスルホン酸ァニオン、 (3) 脂肪族多環状化合物 のァニオンから選択される少なくとも一種類の有機ァニオンをドーパントと して含む 7T電子共役構造を有する導電性高分子を具備した固体電解コンデン サ、 及び該コンデンサの製造方法に関する。 さらに、 望ましくは前記固体電 解質中に前記有機ァニオンのドーパント以外に他のドーパント能を有するァ 二オンをドーパントとして含む導電性高分子を具備した固体電解コンデンサ、 及び該コンデンザの製造方法に関する。 背景技術
固体電解コンデンサは、 エッチング処理された金属箔の陽極基体に誘電体 の酸化皮膜層が形成され、 この外側に対向する電極として固体の半導電体層 (以下、 固体電解質と略する) が形成され、 そして望ましくはさらに導電べ 一ストなどの導電体層が形成された素子である。 実際の素子は、 素子全体が
エポキシ樹脂等で完全に封止されて使用されている。
前記固体電解質には、 従来から例えば、 二酸化マンガンや二酸化鉛等の無 機半導体材料、 テトラシァノキノジメタン (T C N Q) 錯塩、 または電導度 が 1 0一3〜 5 X 1 0 3 S Z c mの範囲である真性導電性高分子 (特開平 1-16 9914号公報 (米国特許第 4803596号) や π共役系のポリア二リン (特開昭 6 1 - 239617号公報) 、 ポリピロール (特開昭 6卜 240625号公報) 、 ポリチオフ ェン誘導体 (特開平 2-15611号公報 (米国特許第 4910645号) ) 、 ポリイソ チアナフテン (特開昭 62-118511号公報) 等が知られている。 これらの導電 性高分子の多くは、 ポリマ一主鎖が π共役系構造の繰り返し構造単位からな る高分子鎖にドーパントを含んだ導電性高分子層 (又は高分子系電荷移動錯 体) として使用される。 さらに昨今では、 ドーパントだけの添加だけでなく、 例えば二酸化マンガン (特公平 6-101418 号公報 (米国特許第 4959753 号) ) ゃフイラ一 (特開平 9- 320901号公報) の併用も行われている。
固体電解質の形成方法については、 従来から微細な空隙構造を有する弁作 用金属表面の誘電体層上に、 前記のような固体電解質を融解して形成する方 法や誘電体層上で前記の導電性高分子を産生する方法等が知られている。 具 体的には、 例えばピロールゃチォフェン等の複素五員環式化合物の重合体を 使用する場合、 陽極箔を複素五員環式化合物の低級アルコール 水系溶液に 浸潰した後、 酸化剤と電解質を溶かした水溶液に浸潰して化学重合させ、 導 電性高分子を形成する方法 (特開平 5-175082 号公報) 、 3 , 4—ジォキシ エチレン—チォフェンモノマー及び酸化剤を好ましくは溶液の形態において、 前後して別々にまたは一緒に金属箔の酸化被覆層に塗被して形成する方法 (特開平 2-15611 号公報 (米国特許第 4910645号) ゃ特開平 10-32145号公 報 (欧州特許公開第 820076 (Α2)号) 等が知られている。
この内、 特開平 10-32145 号公報においては、 分子構造中にスルホン酸基 を複数有する芳香族ポリスルホン酸 (例えば、 ナフタレンジスルホン酸) 力 ド一プされたピロ一ル、 チォフェン、 フラン、 ァニリン及びそれらの誘導体 から選ばれた重合体が開示され、 その製造方法として前記重合性モノマーと 酸化剤との混合溶液の塗布及び乾燥または酸化剤を導入した後で重合性モノ マ一を導入する重合方法が開示されている。
また、 特開平 10-32145 号公報では前記芳香族ポリスルホン酸のドーパン トを酸化剤 (第 2鉄塩) の構成成分として利用する製造方法を開示、 その結 果これを具備した固体電解コンデンサの特徴は耐高温性や静電容量の悪化防 止に優れたコンデンサであるとの記載がある。
さらには、 特公平 6-82590号公報 (米国特許第 4959753号) においては、 アルキル基が 1つ以上置換したアルキルナフ夕レンスルホン酸ァニオンをド ーパントをして含む固体電解コンデンザが開示され、 初期特性や漏れ電流特 性に優れていることが記載されている。
次に、 重合における酸化剤としては、 従来から例えばチォフェン等の複素 五員環式化合物の化学重合においては、 塩化鉄 (1 11)、 F e ( C 1 04) 3 や有機酸鉄 (111)、 無機酸鉄 (111)、 アルキル過硫酸塩、 過硫酸アンモニゥ ム (以下、 A P Sと略す) 、 過酸化水素、 K2 C r 2〇7 等 (特開平 2-15611 号公報 (米国特許第 4910645号) ) や、 第二銅化合物、 銀化合物等 (特開平 10- 32145号公報 (欧州特許公開第 820076 (A2) 号) ) が知られている。 しかしながら、 前記二酸化マンガンを用いた固体電解質のコンデンサは、 硝酸マンガンの熱分解時に酸化皮膜層が破壊されてしまう欠点があり、 また インピーダンス特性も不十分である。 二酸化鉛を用いる場合は、 環境上への 配慮も必要である。 T C N Q錯塩を使用する固体電解質のコンデンサは、 熱
溶融加工性や導電性に優れているが、 T C N Q錯塩自体の耐熱性に問題があ り、 ハンダ耐熱性の信頼性が悪いと言われている。 これらの欠点を改善する ために、 前記ポリピロール等の導電性高分子が電解重合法または化学的重合 法によって誘電体表面の固体電解質に適用されるが、 皮膜の均一性やハング 耐熱性、 インピーダンス特性等は充分とは言えない。
このように、 近年高い性能が要求されているコンデンサ素子の製造にあた り、 固体電解質の材料やその製造方法、 熱的安定性、 皮膜の均一性等に対し てさらなる改善が要求されている。 発明の開示
このような背景を鑑み、 本発明の課題は、 軽量最小、 高容量、 高周波特性、 t a n <5、 漏洩電流、 耐熱性 (リフロー性) や耐久性等に優れた固体電解コ ンデンサを提供することにある。 特に、 本発明の課題は低インピーダンス特 性に優れ、 火花電圧試験に耐久のある耐熱性固体電解コンデンサを提供する ことにある。
本発明者らは、 前記課題解決のために固体電解質の導電性高分子中のド一 パントァニオンの種類、 組み合わせ及び含量等について鋭意検討を重ねた。 その結果、 対向する電極と一方の電極として弁作用金属箔表面の金属酸化物 からなる微細構造の誘電体層、 及びその誘電体層上に形成された導電性高分 子からなる固体電解質を具備した固体電解コンデンサにおいて、 該固体電解 質中に特定の有機ァニオンをドーパントとして含ませることにより前記の課 題を解決した。
すなわち、 本発明は有機ァニオンとして、 (1)炭素数 1乃至 1 2の直鎖状 または分岐状の飽和もしくは不飽和アルコキシ基が少なくとも 1つ以上置換
したアルコキシ置換ナフ夕レンモノスルホン酸ァニオン、 (2) 5員または 6 員の複素環を有する複素環式化合物のスルホン酸ァニオン (以下、 複素環式 スルホン酸ァニオンという。 ) 、 (3)脂肪族多環状化合物のァニオンから選 択される少なくとも一種類を固体電解質中に含有させてなる、 小型で低イン ピーダンスかつ火花電圧試験に耐久性のある高性能な以下の固体電解コンデ ンサ及びその製造方法を提供するものである。
[ 1 ] 誘電体酸化皮膜上に π電子共役構造を含む導電性高分子組成物層を設 けた固体電解コンデンサにおいて、 該高分子組成物層に、 (1)炭素数 1乃至 1 2の直鎖状または分岐状の飽和もしくは不飽和アルコキシ基が少なくとも 1つ以上置換したアルコキシ置換ナフタレンモノスルホン酸ァニオン、 (2) 5員または 6員の複素環を有する複素環式化合物のスルホン酸ァニオン (複 素環式スルホン酸ァニオンという。 ) 、 (3)脂肪族多環状化合物のァニオン から選択される少なくとも一種類の有機ァニオンをド一パントとして含むこ とを特徴とする固体電解コンデンサ。
[ 2 ] ド一パントとしての有機ァニオンが、 炭素数 1乃至 1 2の直鎖状また は分岐状の飽和もしくは不飽和アルコキシ基が少なくとも 1つ以上置換した アルコキシ置換ナフ夕レンモノスルホン酸ァニオンである前項 1に記載の固 体電解コンデンサ。
[ 3 ] アルコキシ置換ナフタレンモノスルホン酸の芳香族環水素がハロゲン 原子、 ニトロ基、 シァノ基、 トリフロロメチル基から選ばれる少なくとも 1 種の置換基で置換されたアルコキシ置換ナフタレンスルホン酸である前項 2 に記載の固体電解コンデンサ。
[ 4 ] ドーパントとしての有機ァニオンが、 複素環式スルホン酸ァニオンで ある前項 1に記載の固体電解コンデンサ。
[5] 複素環式スルホン酸ァニオンの複素環骨格が、 モルホリン、 ピベリジ ン、 ピぺラジン、 イミダゾ一ル、 フラン、 1, 4—ジォキサン、 ベンズイミ ダゾール、 ベンゾチアゾリルチオ、 ベンズイソォキサゾール、 ベンゾトリア ゾール、 ベンゾフランの化学構造を含む化合物からなる群より選ばれる前項 4に記載の固体電解コンデンサ。
[6] 複素環式スルホン酸ァニオンが、 その化学構造内に一つ以上のアルキ ルスルホン酸置換基を含む前項 4に記載の固体電解コンデンサ。
[7] ドーパントとしての有機ァニオンが、 脂肪族多環状化合物のァニオン である前項 1に記載の固体電解コンデンサ。
[8] 有機ァニオンが、 導電性高分子の全繰り返し構造単位に対して 0.1〜 50モル%の範囲で含まれることを特徴とする前項 1乃至 7に記載の固体電 解コンデンサ。
[9] 前記有機ァニオン以外に、 ドーパント能を有する酸化剤の還元体ァニ オンを 0.1〜10モル%の範囲で含む前項 1乃至 8に記載の固体電解コンデ ンサ。
[10] 酸化剤の還元体ァニオンが、 硫酸イオンである前項 9に記載の固体 電解コンデンサ。
[1 1] 誘電体酸化皮膜上に導電性高分子組成物層を設けた固体電解コンデ ンサにおいて、 該組成物の導電性高分子として、 下記一般式 (I)
(式中、 置換基 R1 及び R2 は、 各々独立に水素または炭素数 1〜6の直 鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、 もしくは炭素数 1
〜 6の直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基、 水酸基、 ハロゲン原子、 ニトロ基、 シァノ基、 トリハロメチル基、 フエニル基及び置 換フエニル基から選ばれるいずれかの一価基を表わす。 また、 前記置換基 R 1 及び R 2 が互いに任意の位置で結合して、 少なくとも 1つ以上の 5〜 7 員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する二価鎖を少なくとも 1っ以 上形成してもよい。 Xはへテロ原子を表し S、 0、 S e、 T eまたは N R 3 である。 R 3 は H、 炭素数 1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不 飽和の炭化水素基、 フエニル基、 もしくは炭素数 1〜6の直鎖状もしくは分 岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基を表す。 上記の R 1 、 R 2 および R 3 のアルキル基、 アルコキシ基の鎖中には、 カルボニル結合、 エーテル結 合、 エステル結合、 アミド結合、 ィミノ結合を任意に含有してもよい。 <5は 0〜1の範囲である。 ) で示される構造単位を含む前項 1乃至 1 0のいずれ かに記載の固体電解コンデンサ。
[ 1 2 ] —般式 (I ) の繰り返し構造単位が、 下記一般式 (I I)
(式中、 置換基 R 4 及び R 5 は、 各々独立に水素または炭素数 1〜6の直 鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化水素基、 もしくは炭素数 1 〜 6の炭化水素基が互いに任意の位置で結合して、 式中記載の 2つの酸素元 素を含む少なくとも 1つ以上の 5乃至 7員環の複素環状構造を形成する置換 基を表わす。 また、 前記環状構造を形成する範囲には、 置換ビニレン基また は置換 o —フエ二レン基等の化学構造が含まれる。 δは 0〜 1の範囲であ る。 ) で示される化学構造である前項 1 1に記載の固体電解コンデンサ。
[13] 誘電体酸化皮膜上に導電性高分子組成物層を設けた固体電解コンデ ンサの製造方法において、 誘電体酸化皮膜上で重合性モノマー化合物を酸化 剤により重合させる製造方法であつて、 重合性モノマー化合物が下記一般式 (III)
(式中、 置換基 R1 、 R2 及び Xの範囲は、 前記一般式 (I) と同じであ る)
で示される化合物であり、 該重合反応が(1) 炭素数 1乃至 12の直鎖状また は分岐状の飽和もしくは不飽和アルコキシ基が少なくとも 1つ以上置換した アルコキシ置換ナフ夕レンモノスルホン酸ァニオン、 (2) 5員または 6員の 複素環を有する複素環式化合物のスルホン酸ァニオン (複素環式スルホン酸 ァニオンという。 ) 、 (3)脂肪族多環状化合物のァニオンから選択される少 なくとも一種類の有機ァニオンを供出できる化合物の存在下で行なわれるこ とを特徴とする前項 1記載の固体電解コンデンザの製造方法。
[14] 一般式 (III)の重合性モノマー化合物が、 下記一般式 (IV)
(式中、 置換基 R4 及び R5 の範囲は、 前記一般式 (II) と同じである) で示される化合物である前項 13に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
[15] 誘電体酸化皮膜層を形成した弁作用金属陽極箔を、 重合性モノマー 化合物を含む溶液に浸漬する工程と酸化剤及び前記有機ァニオンを含む溶液
に浸漬する工程を有することを特徴とする前項 13または 14記載の固体電 解コンデンサの製造方法。
[16] 誘電体酸化皮膜層を形成した弁作用金属陽極箔を、 酸化剤を含む溶 液に浸漬する工程と重合性モノマー化合物及び前記有機ァニオンを含む溶液 に浸漬する工程を有する前項 13または 14記載の固体電解コンデンサの製 造方法。
[17] 誘電体酸化皮膜層を形成した弁作用金属陽極箔を、 酸化剤を含む溶 液に浸漬した後、 重合性モノマー化合物及び前記有機ァニオンを含む溶液に 浸漬する工程を含む前項 13または 14記載の固体電解コンデンサの製造方 法。
[18] 誘電体酸化皮膜層を形成した弁作用金属陽極箔を、 重合性モノマー 化合物を含む溶液に浸漬した後、 酸化剤及び前記有機ァニオンを含む溶液に 浸漬する工程を含む前項 13または 14記載の固体電解コンデンサの製造方 法。
[19] 誘電体酸化皮膜層を形成した弁作用金属陽極箔を、 酸化剤及び前記 有機ァニオンを含む溶液に浸漬した後、 重合性モノマー化合物を含む溶液に 浸漬する工程を含む前項 13または 14記載の固体電解コンデンサの製造方 法。
[20] 誘電体酸化皮膜層を形成した弁作用金属陽極箔を、 重合性モノマー 化合物及び前記有機ァニオンを含む溶液に浸漬した後、 酸化剤を含む溶液に 浸漬する工程を含む前項 13または 14記載の固体電解コンデンサの製造方 法。
[21] 誘電体酸化皮膜層を形成した弁作用金属陽極箔を酸化剤及び前記有 機ァニオンを含む溶液に浸漬した後、 重合性モノマー化合物を含む溶液に浸
漬する工程を複数回繰り返す工程を含む前項 1 3または 1 4記載の固体電解 コンデンサの製造方法。
[ 2 2 ] 誘電体酸化皮膜層を形成した弁作用金属陽極箔を、 重合性モノマー 化合物及び前記有機ァニオンを含む溶液に浸漬した後、 酸化剤を含む溶液に 浸漬する工程を複数回繰り返す工程を含む前項 1 3または 1 4記載の固体電 解コンデンサの製造方法。
[ 2 3 ] 誘電体酸化皮膜層を形成した弁作用金属陽極箔を酸化剤を含む溶液 に浸漬した後、 重合性モノマー化合物及び前記有機ァニオンを含む溶液に浸 漬する工程を複数回繰り返す工程を含む前項 1 3または 1 4記載の固体電解 コンデンサの製造方法。
[ 2 4 ] 誘電体酸化皮膜層を形成した弁作用金属陽極箔を重合性モノマー化 合物を含む溶液に浸漬した後、 酸化剤及び前記有機ァニオンを含む溶液に浸 漬する工程を複数回繰り返す工程を含む前項 1 3または 1 4記載の固体電解 コンデンサの製造方法。
[ 2 5 ] 誘電体酸化皮膜層を形成した弁作用金属陽極箔を酸化剤及び前記有 機ァニオンを含む溶液に浸漬した後、 重合性モノマー化合物を含む溶液に浸 漬する工程を複数回繰り返した後、 洗浄及び乾燥を行なう前項 1 3または 1 4記載の固体電解コンデンサの製造方法。
[ 2 6 ] 誘電体酸化皮膜層を形成した弁作用金属陽極箔を、 重合性モノマー 化合物及び前記有機ァニオンを含む溶液に浸潰した後、 酸化剤を含む溶液に 浸漬する工程を複数回繰り返した後、 洗浄及び乾燥を行なう前項 1 3または 1 4記載の固体電解コンデンサの製造方法。
[ 2 7 ] 誘電体酸化皮膜層を形成した弁作用金属陽極箔を酸化剤を含む溶液 に浸漬した後、 重合性モノマー化合物及び前記有機ァニォンを含む溶液に浸
漬する工程を複数回繰り返した後、 洗浄及び乾燥を行なう前項 1 3または 1 4記載の固体電解コンデンサの製造方法。
[ 2 8 ] 誘電体酸化皮膜層を形成した弁作用金属陽極箔を、 重合性モノマー 化合物を含む溶液に浸漬した後、 酸化剤及び前記有機ァニオンを含む溶液に 浸漬する工程を複数回繰り返した後、 洗浄及び乾燥を行なう前項 1 3または 1 4記載の固体電解コンデンサの製造方法。
[ 2 9 ] 前記有機ァニオンが、 炭素数 1乃至 1 2の直鎖状または分岐状の飽 和もしくは不飽和アルコキシ基が少なくとも 1つ以上置換したアルコキシ置 換ナフタレンモノスルホン酸ァニオンである前項 1 3乃至 2 8のいずれかに 記載の固体電解コンデンザの製造方法。
[ 3 0 ] アルコキシ置換ナフ夕レンモノスルホン酸の芳香族環水素がハロゲ ン原子、 ニトロ基、 シァノ基、 トリハロメチル基から選ばれる少なくとも 1 種の置換基で置換されたアルコキシ置換ナフタレンスルホン酸である前項 2 9記載の固体電解コンデンザの製造方法。
[ 3 1 ] 前記有機ァニオンが、 複素環式スルホン酸ァニオンである前項 1 3 乃至 2 8記載の固体電解コンデンサの製造方法。
[ 3 2 ] 複素環式スルホン酸ァニオンの複素環骨格が、 モルホリン、 ピペリ ジン、 ピぺラジン、 イミダゾ一ル、 フラン、 1 , 4—ジォキサン、 ベンズィ ミダゾール、 ベンゾチアゾリルチオ、 ベンズイソォキサゾール、 ベンゾトリ ァゾール、 ベンゾフランの化学構造を含む化合物からなる群より選ばれる前 項 3 1記載の固体電解コンデンサの製造方法。
[ 3 3 ] 複素環式スルホン酸ァニオンが、 その化学構造内に一つ以上のアル キルスルホン酸置換基を含む請求項の範囲 3 1に記載の固体電解コンデンサ の製造方法。
[34] 前記有機ァニオンが、 脂肪族多環状化合物のァニオンである前項 1 3乃至 28記載の固体電解コンデンサの製造方法。
[35] 酸化剤が、 過硫酸塩である前項 1 3乃至 34記載の固体電解コンデ ンサの製造方法。
[36] 固体電解質層の少なくとも一部が層状構造をなしている前項 1に記 載の固体電解コンデンサ。
[37] 少なくとも一部が層状構造の前記固体電解質層が、 誘電体被膜上の 外部表面または外部表面と微細孔部分内に形成されている前項 36に記載の 固体電解コンデンサ。
[38] 前記層状構造の層間の少なくとも一部に空間部を有する前項 36ま たは 37に記載の固体電解コンデンサ。
[39] 前記層状構造をなす固体電解質の各層の厚さが 0.01〜 5 /zmの範囲 であり、 固体電解質層の全体の厚さが 1〜 200 / mの範囲である前項 36 または 37に記載の固体電解コンデンサ。 図面の簡単な説明
図 1は、 弁作用金属箔を用いた本発明に係る代表的なコンデンサの縦断面 図である。
図 2は、 実施例 32における導電性高分子層を形成した微細構造を有する アルミニウム箔断面の走査電子顕微鏡写真 (5, 000倍) である。 発明の詳細な説明
以下、 本発明を詳細に説明する。
本発明によれば、 導電性高分子層中に(1)炭素数 1乃至 1 2の直鎖状また
は分岐状の飽和もしくは不飽和アルコキシ基が少なくとも 1つ以上置換した アルコキシ置換ナフタレンモノスルホン酸ァニオン、 (2) 5員または 6員の 複素環を有する複素環式化合物のスルホン酸ァニオン (複素環式スルホン酸 ァニオンという。 ) 、 (3)脂肪族多環状化合物のァニオンから選択される少 なくとも一種類の有機ァニオンをドーパント能を有する主要なァニオンとし て含ませることにより、 耐熱性のある好ましい導電性高分子層 (電荷移動錯 体) を形成することができ、 この結果低インピーダンス特性や火花電圧試験 等で耐久性に優れた高性能な固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供す ることができる。
さらに本発明では、 前記有機ァニオンのドーパント以外に他のァニオンを ド一パントとして併含することで、 前記性能において高性能化を図ることが できる。
本発明のコンデンサに適する導電性高分子層中の T電子共役高分子は、 ポ リマー主鎖構造に π電子共役系構造を有する高分子であり、 具体例としては ポリア二リン、 ポリパラフエ二レン、 ポリパラフエ二レンビニレン、 ポリチ ェニレンビニレン、 ポリヘテロ環式高分子及びその置換誘導体が挙げられる。 好ましく用いられるポリヘテロ環式高分子の具体例としては、 前記一般式 ( I ) で表される構造単位を含む π電子共役高分子であり、 さらに好ましく は前記一般式 (I I) で示される構造単位を含む π電子共役高分子である。 前記、 一般式 (I ) 及び一般式 (I I I)に関し、 置換基 R 1 、 R 2 、 R 3 が表わす炭素数 1〜 6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の炭化 水素基の有用な例としては、 メチル、 ェチル、 ビニル、 プロピル、 ァリル、 イソプロピル、 プチル、 1ーブテニルが挙げられる。 また、 炭素数 1〜6の 直鎖状もしくは分岐状の飽和または不飽和のアルコキシ基の有用な例として
は、 メトキシ、 エトキシ、 プロポキシ、 イソプロポキシ、 ブトキシが挙げら れる。 さらに、 前記炭化水素基やアルコキシ基以外の有用な置換基としては、 ニトロ基、 シァノ基、 フエニル及び置換フエニル (Cし B r、 F等のハロ ゲン基置換フエニル) が挙げられる。 前記の R1 、 R のアルキル基、 ァ ルコキシ基の鎖中には、 カルボニル結合、 エーテル結合、 エステル結合、 ァ ミド結合、 ィミノ結合を任意に含有してもよい。 これらの結合を鎖中に含む 置換基の中でも特に有用な例としてはメトキシエトキシ、 メトキシェトキシ ェトキシが挙げられる。
また、 前記置換基 R1 及び R2 は互いに任意の位置で結合して、 少なく とも 1つ以上の 5〜 7員環の飽和もしくは不飽和の環状構造を形成する二価 鎖を少なくとも 1つ以上形成してもよい。 例えば、 一般式 (I) または一般 式 (III)で示される構造の具体例としては、 3, 4一プロピレン置換構造 (V) 、 3, 4—プチレン置換構造 (V I) 、 3, 4—ブテニレン置換構造 (VII) 、 3, 4ーブ夕ジェニレン置換構造 (VIII) 、 ナフト [2, 3— c] 縮合構造 (I X) が挙げられる。
上記式中、 Xはへテロ原子を表わし、 その例としては、 S、 0、 S e、 T eまたは NR3 が挙げられる。 Xが Sである前記 3, 4—ブ夕ジェニレン置 換構造は、 一般式 (I) の繰り返し構造単位構造では別名イソチアナフテニ レン構造と呼ばれ、 また一般式 (III)の重合性モノマー化合物構造ではイソ チアナフテンと呼ばれる。 さらに、 ナフト [2, 3— c] 縮合置換構造は、 一般式 ( I) の場合はナフト [2, 3— c] チェ二レン構造単位であり、 一 般式(ΠΙ)の重合性モノマ一化合物構造ではナフト [2, 3— c] チォフエ ンと呼ばれる。 式中、 <5は繰り返し構造単位当りの荷電数を表わし、 0〜1 の範囲の値である。
一般式 (II) または一般式 (IV) 中の R4 及び R5 の有用な置換基の例と しては、 メチル、 ェチル、 プロピル、 イソプロピル、 ビニル、 ァリルが挙げ られる。 さらに、 R4 及び R5 の炭素数 1〜6の炭化水素基が互いに任意の 位置で結合して、 前記一般式 (II) または一般式 (IV) 中記載の 2つの酸素 元素を含む、 少なくとも 1つ以上の 5乃至 7員環の複素環状構造を形成する 置換基が挙げられ、 例えば、 1, 2—エチレン、 1, 2—プロピレン、 1, 2 _ジメチルーエチレンが好ましい。 また、 R4 及び R5 は、 前記炭素数 1 〜 6の炭化水素基が互いに任意の位置で結合して、 置換ビニレン基または置 換 o—フエ二レン基等の不飽和炭化水素の環状構造を形成してもよく、 例え ば、 1, 2—ビニレン (X) 、 1, 2—プロぺニレン (XI) 、 2, 3—ブチ レン一 2—ェン (XII)、 1, 2—シクロへキシレン(XIII)、 メチル _o—フ ェニレン (XIV)、 1, 2—ジメチルー o—フエ二レン (XV) 、 ェチル— o— フエ二レン (XVI)が挙げられる。
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本発明の固体電解コンデンサ及びその製造方法において、 使用される前記 一般式 (I I I)で示される重合性モノマ一化合物のうち、 例えばチォフェン ( R 1 = R 2 = H、 X = S ) やピロ一ル (R 1 = R 2 = H、 X = N H) 、 または前記一般式 (IV) で示されるチォフェン類のうち 3, 4ージォキシェ チレンーチォフエンの重合性モノマ一化合物は公知であり、 これらの重合性 モノマー化合物を重合し得る酸化剤の多くも公知である。 しかしながら、 導 電性組成物中にドーパントとして前記( 1 )〜(3)の有機ァニオンまたは助ドー パントとして他のァニオンを併含した固体電解質を具備したコンデンサは、 これまで知られていなかった。
すなわち、 前記特開平 10-32145 号公報において開示されているコンデン ザの導電性高分子は、 ドーパントとして分子構造中にスルホン酸基を複数有 する芳香族ポリスルホン酸化合物 (例えば、 ナフ夕レンジスルホン酸ァニォ ン) がドープされたピロ一ル、 チォフェン、 フラン、 ァニリン及びそれらの 誘導体から選ばれた重合体が開示されているのみであり、 本願のコンデンサ で用いられる前記(1)〜(3)の有機ァニオンは開示されていない。 また、 前記 (1)〜(3)の有機ァニオン以外のド一パントの併含による優れた効果も知られ ていなかった。
さらに、 本発明の固体電解コンデンサの固体電解質を構成しているドーパ
ントは、 好ましい形態として前記 π共役系高分子の全繰り返し単位に対して、 前記(1 )〜(3)の有機ァニオンが 0. 1〜 5 0モル%の範囲で含み、 さらに好ま しくは前記有機ァニオン以外のドーパントを 0. 1〜 1 0モル%の範囲で併含 する固体電解質を具備したコンデンサであって、 前記課題の他特に低インピ —ダンス特性や火花電圧試験等による耐熱性、 耐久性の優れた高性能な固体 電解コンデンサはこれまで知られていなかった。
本発明のコンデンサにおいては、 特に低インピーダンス特性、 耐火花電圧 特性に優れたコンデンサを提供できる固体電解質を具備したものとして、 前 記有機ァニオンの含量の好ましい範囲が 7Τ共役系高分子の全繰り返し単位に 対して 1〜3 0モル%の範囲である。
一方、 前記有機ァニオン以外の他のド一パント含量は、 好ましくは前記 π 共役系高分子の全繰り返し単位に対して 0. 1〜5モル%の範囲で併含される とよい。 前記他のドーパントは、 本発明の製造方法において重合性モノマー 化合物の重合時に酸化剤を使用するために酸化剤の還元体ァニオンとして含 有されるが、 別途他の方法により添加されてもよく、 併含方法には制限を受 けない。
通常、 コンデンサの製造方法において、 高容量の高周波特性並びに t a η δ、 漏洩電流、 耐熱性 (リフ口一性) 、 インピーダンス、 耐久性等を改善す るためには、 前記固体電解質の製造 (形成) 方法が重要である。 そのために は、 固体電解質を構成する π電子共役構造とドーパントとの組み合わせ、 及 び導電性高分子層を微細な誘電体層上に密に充填形成して導電パスの均一性 を向上、 または改善することは重要であり、 特に導電性高分子の構成が非常 にコンデンサ特性に影響を与える。
本発明の固体電解コンデンザの一つは、 熱応力緩和特性等を具備させるた
めに固体電解質層の少なくとも一部を層状構造としたものである。
固体電解質層は弁作用金属表面の誘電体層上の微細孔部分内及びその外部 表面に形成される。 この外部表面層の厚さは 1〜2 0 0 の範囲、 好まし くは 1〜 1 0 0 z mの範囲である。 本発明において上記の層状構造はこの外 部表面に多く形成されるが微細孔部分内にも形成されていることが望ましい。 層の配列方向は多くは弁作用金属表面にほぼ平行に形成されている。 そして 隣接する層間の少なくとも一部には空間部が形成されている。 層状構造をな す各層の一層当りの厚さは 0. 01〜 5 // mの範囲であり、 好ましくは 0. 01〜 1 mの範囲、 さらに好ましくは 0. l〜0. 3 // mの範囲である。
本発明の固体電解質の製造方法においては、 前記重合性モノマー化合物の 重合体のド一パントとして前記有機ァニオンまたは他のァニオンを併含させ る製造方法に特徴があり、 具体的には前記一般式 (I I I)または (IV) で示さ れる重合性モノマ一化合物を微細孔の誘電体皮膜上で酸化剤の作用によって 前記有機ァニオンを供与できる化合物の存在下、 酸化的重合を起こさせて生 じた重合物を該固体電解質として誘電体表面上に製造する工程に関する。 そ して、 前記製造工程を 1つの陽極基板に対して 1回以上、 好ましくは 3〜 3 0回繰り返すことによつて緻密な固体電解質層を容易に形成することができ る。
例えば、 好ましい製造工程の 1つとして、 前記重合反応にあっては誘電体 酸化皮膜層を形成した弁作用金属陽極箔を、 酸化剤を含む溶液 (溶液 1 ) に 浸漬する工程と重合性モノマー化合物及び前記有機ァニオンを含む溶液 (溶 液 2 ) に浸漬する工程を含んでもよく、 あるいは該陽極箔を前記溶液 2に浸 漬した後で前記溶液 1に浸漬する工程もしくは前記溶液 1に浸漬した後で前 記溶液 2に浸漬する工程を含んでもよい。
あるいは、 別の実施形態として該陽極箔を、 酸化剤と前記有機ァニオンを 含む溶液 (溶液 3 ) に浸漬する工程と重合性モノマー化合物を含む溶液 (溶 液 4 ) に浸漬する工程を含んでもよく、 あるいは該陽極箔を前記溶液 4に浸 漬した後で前記溶液 3に浸漬する工程、 もしくは前記溶液 3に浸漬した後で 前記溶液 4に浸漬する工程を含んだ製造方法を採用してもよい。 前記溶液 1 乃至溶液 4はそれぞれ懸濁状態で用いてもよい。
さらには、 前記浸漬工程を塗布作業に変えることも容易である。 溶液 1乃 至 4の溶媒は必要に応じて同じでもよく、 あるいは異なった溶媒系でもよく、 溶媒の種類に応じて溶液 1と溶液 2の間、 あるいは溶液 3と溶液 4の間のェ 程に別途乾燥工程を入れてもよい。 前記固体電解質形成後には素子を有機溶 媒洗浄または水洗にて洗净する工程を加えてもよい。 洗浄用有機溶媒には、 好ましくは溶液 1乃至 4で使用した溶媒で行うのが簡便で好ましいが、 単に 重合性モノマー化合物や前記有機ァニオンや他のドーパント能を有するァニ オンを保持する化合物を溶解する溶媒であれば何でもよい。 前記溶媒による 洗浄工程により、 前記有機ァニオン以外の他のドーパントの重合体中におけ る含量は低減することができるが、 本発明の固体電解コンデンサの特性にお いては少なくとも前記有機ァニオンの含有が特性に寄与する場合もある。 さらに前記酸化的重合操作の繰り返し処理は、 ハンダ耐熱性 (熱安定性) の優れた固体電解質の生成を容易にする。 従来既知のポリピロール等からな る固体電解質を用いたコンデンサでは、 高温高湿度でのコンデンサ特性の変 動が大きく、 信頼性を悪くしていたが、 本発明による導電性組成物の固体電 解質を具備したコンデンサは熱安定性に優れ、 かつドープ状態の安定性がよ レ これは、 ドーパンとしての前記有機ァニオンまたは酸化剤由来のドーパ ン卜を併含する重合物は誘電体表面および細孔内部まで充填よく段階的に析
出させることができるからであり、 これにより該重合体が誘電体皮膜に対す るダメージを生じない熱安定性に優れたコンデンサを提供することができる。 また、 本発明で使用する前記有機ァニオンは、 従来既知のドーパント (例 えば、 C 1 04—、 B F 4—、 C I—、 S〇4 2—、 ベンゼンスルホン酸ァニオン、 アルキル置換ナフ夕レンスルホン酸ァニオン等) に比べ、 π共役系高分子と の電荷移動錯体の形成において素晴らしい熱的安定性、 導電状態の安定性を 示すドーパント化合物であり、 この結果低ィンピーダンス特性や火花電圧試 験等による耐熱性、 耐久性の優れた高性能のコンデンサ特性が得られるもの と理解される。 すなわち、 例えば前記有機ァニオンのうち、 (1 ) アルコキ シ置換ナフ夕レンモノスルホン酸ァニオンを用いた場合では、 ナフ夕レン骨 格の持つ高い芳香族性と芳香族環置換のスルホン酸基の持つ電子吸引性及び 水溶性の寄与、 さらにはナフタレン環に対するアルコキシ基の電子供与性か ら前記の性能を有するコンデンサ特性を与える。
次に本発明において使用される有機ァニオンについて説明する。
(1) アルコキシ置換ナフタレンモノスルホン酸ァニオン
本発明において使用されるアルコキシ置換ナフタレンモノスルホン酸は、 一つのスルホン酸基がナフ夕レン骨格に置換したアルコキシ置換のナフタレ ンモノスルホン酸化合物及び他の置換ナフタレンモノスルホン酸化合物の総 称である。
好ましい化合物としては、 ナフ夕レンモノスルホン酸のナフ夕レン環の水 素が炭素数 1乃至 1 2、 好ましくは 1乃至 6の直鎖状または分岐状の飽和も しくは不飽和のアルコキシ基で少なくとも一つ以上置換された化合物である。 前記アルコキシ置換ナフタレンモノスルホン酸ァニオンを供出する化合物 の具体例には、 ナフ夕レン一 1—スルホン酸、 ナフタレン一 2—スルホン酸
及びそのアルカリ金属塩、 アンモニゥム塩、 有機第 4級アンモニゥム塩等の 化合物骨格を有し、 これにナフ夕レン環の水素がアルコキシ基で 1つ以上置 換された化学構造を有する。 すなわち、 炭素数 1〜 1 2の直鎖状または分岐 状の飽和もしくは不飽和のアルコキシ基の置換化合物であって、 有用な置換 基の例としてはメトキシ、 エトキシ、 ビエルォキシ、 プロピルォキシ、 ァリ ルォキシ、 イソプロピルォキシ、 ブチルォキシ、 1ーブテニルォキシ、 ペン チルォキシ、 へキシルォキシ、 ォクチルォキシ、 ノニルォキシ、 デシルォキ シなどが挙げられ、 シクロへキシルォキシやフエノキシ等の環状炭化水素基 の置換したアルコキシ基も含んでもよい。
さらにアルコキシ置換のナフタレンモノスルホン酸化合物としては、 例え ば 1 一アルコキシナフタレン環の 2位乃至 8位置換のモノスルホン酸化合物 や 2—アルコキシナフ夕レン環の 1位及び 3位乃至 8位置換のモノスルホン 酸化合物ァニオンが有効に用いられる。 また、 アルコキシナフ夕レン環には これ以外に、 水素原子が F、 C l、 B r、 I等のハロゲン原子や C F 3、 二 トロ基、 シァノ基などが置換されてもよい。
(2) 複素環式化合物のスルホン酸ァニオン (複素環式スルホン酸ァニオン) 本発明において使用できる複素環式スルホン酸ァニオンとしては、 一つ 以上のスルホン酸基が複素環に直接またはアルキレン基を介して間接的に置 換した化学構造を有する複素環式スルホン酸化合物のァニオンの総称であり、 好ましい複素環化合物の骨格としては、 モルホリン、 ピぺリジン、 ピペラジ ン、 イミダゾ一ル、 フラン、 1 , 4 _ジォキサン、 ベンズイミダゾール、 ベ ンゾチアゾリルチオ、 ベンズイソォキサゾ一ル、 ベンゾトリアゾ一ル、 ベン ゾフラン置換骨格が挙げられる。
前記スルホン酸ァニオンが間接的に置換した複素環式化合物ァニオンを供
出できる好ましい例としては、 モルホリン骨格系化合物では、 1 _モルホリ ノメタンスルホン酸、 2 —モルホリノエ夕ンスルホン酸、 3—モルホリノプ 口パンスルホン酸、 2 —メチルー 2 —モルホリノプロパンスルホン酸、 4— モルホリノブタンスルホン酸、 5—モルホリノペン夕ンスルホン酸、 6—モ ルホリノへキサンスルホン酸、 7—モルホリノヘプタンスルホン酸、 8—モ ルホリノオクタンスルホン酸、 9 —モルホリノノナンスルホン酸、 1 0—モ ルホリノデカンスルホン酸、 1 2—モルホリノドデカンスルホン酸等である。 ピぺリジン系骨格系化合物では、 1ーピペリジノメタンスルホン酸、 2— ピベリジノエ夕ンスルホン酸、 3 —ピペリジノプロパンスルホン酸、 2—メ チル— 2—ピペリジノプロパンスルホン酸、 4—ピベリジノブ夕ンスルホン 酸、 5—ピペリジノペン夕ンスルホン酸、 6—ピベリジノへキサンスルホン 酸、 7—ピペリジノヘプ夕ンスルホン酸、 8—ピペリジノオクタンスルホン 酸、 9 —ピペリジノノナンスルホン酸、 1 0—ピペリジノデカンスルホン酸、 1 2—ピペリジノドデカンスルホン酸等である。
また、 ピぺラジン系骨格系化合物では、 ピぺラジン一 1, 4 —ビス (1— スルホメチル) 、 ピぺラジン一 1 , 4—ビス (2—スルホェチル) 、 ピペラ ジン— 1 , 4 —ビス (3—スルホプロピル) 、 ピぺラジン一 1 , 4 一ビス ( 4—スルホブチル) 、 ピぺラジン— 1, 4—ビス (5 —スルホペンチル) 、 ピぺラジン一 1, 4—ビス (6—スルホへキシル) 、 ピぺラジン一 1 , 4一 ビス (7—スルホヘプチル) 、 ピぺラジン— 1, 4一ビス (8—スルホォク チル) 、 ピぺラジン一 1, 4—ビス (9—スルホノニル) 、 ピぺラジン一 1 , 4—ビス (1 0—スルホデシル) 、 ピぺラジン— 1, 4 _ビス (1 2—スル ホドデシル) 酸等である。
イミダゾール系骨格系化合物では、 1— ( 2—イミダゾリル) メタンスル
ホン酸、 2— (2—イミダゾリル) エタンスルホン酸、 3— (2—イミダゾ リル) プロパンスルホン酸、 2 _メチル— 2— (2—イミダゾリル) プロパ ンスルホン酸、 4一 (2—イミダゾリル) ブタンスルホン酸、 5— (2—ィ ミダゾリル) ペンタンスルホン酸、 6— ( 2 _イミダゾリル) へキサンスル ホン酸、 7— (2—イミダゾリル) ヘプタンスルホン酸、 8— (2—イミダ ゾリル) オクタンスルホン酸、 9— (2—イミダゾリル) ノナンスルホン酸、 1 0— (2—イミダゾリル) デカンスルホン酸、 1 2— (2—イミダゾリ ル) ドデカンスルホン酸等である。
フラン系骨格系化合物では、 1— (2—フラニレン) メタンスルホン酸、 2 - (2—フラニレン) エタンスルホン酸、 3— (2—フラニル) プロパン スルホン酸、 2—メチル— 2— (2—フラニル) プロパンスルホン酸、 4一 (2—フラニル) ブタンスルホン酸、 5— (2—フラニル) ペンタンスルホ ン酸、 6 _ (2—フラニル) へキサンスルホン酸、 7 _ (2—フラニル) へ ブタンスルホン酸、 8— (2—フラニル) オクタンスルホン酸、 9— (2— フラニル) ノナンスルホン酸、 1 0— (2—フラニル) デカンスルホン酸、 12— (2—フラニル) ドデカンスルホン酸等である。
1, 4—ジォキサン系骨格系化合物では、 1一 (1, 4—ジォキサン— 2 —ィル) メタンスルホン酸、 2— (1, 4—ジォキサン— 2—ィル) ェ夕ン スルホン酸、 3— (1, 4—ジォキサン— 2—^ Γル) プロパンスルホン酸、 2—メチル— 2— (1, 4—ジォキサン— 2—ィル) プロパンスルホン酸、 4— (1, 4一ジォキサン— 2—ィル) ブタンスルホン酸、 5— (1, 4— ジォキサン— 2—ィル) ペン夕ンスルホン酸、 6— (1, 4—ジォキサン— 2—ィル) へキサンスルホン酸、 7— (1, 4一ジォキサン— 2—ィル) へ プ夕ンスルホン酸、 8— (1, 4—ジォキサン— 2—ィル) オクタンスルホ
ン酸、 9 _ ( 1 , 4一ジォキサン— 2—ィル) ノナンスルホン酸、 1 0— (1, 4一ジォキサン一 2 _ィル) デカンスルホン酸、 1 2— (1, 4—ジ ォキサン一 2—ィル) ドデカンスルホン酸等である。
ベンズイミダゾ一ル系骨格系化合物では、 1一 (1一べンズイミダゾリ ル) メタンスルホン酸、 2— ( 1—ベンズイミダゾリル) エタンスルホン酸、
3 - ( 1—ベンズイミダゾリル) プロパンスルホン酸、 2—メチル— 2— ( 1—ベンズイミダゾリル) プロパンスルホン酸、 4一 (1—ベンズイミダ ゾリル) ブタンスルホン酸、 5 _ ( 1—べンズイミダゾリル) ペン夕ンスル ホン酸、 6— ( 1—ベンズイミダゾリル) へキサンスルホン酸、 7— (1一 ベンズイミダゾリル) ヘプ夕ンスルホン酸、 8— (1—ベンズイミダゾリ ル) オクタンスルホン酸、 9_ ( 1 _ベンズイミダゾリル) ノナンスルホン 酸、 1 0— ( 1 _ベンズイミダゾリル) デカンスルホン酸、 1 2— (1一べ ンズイミダゾリル) ドデカンスルホン酸等である。
ベンゾチアゾリルチオ系骨格系化合物では、 1一 (2—ベンゾチアゾリル チオイル) メタンスルホン酸、 2— (2—べンゾチアゾリルチオィル) エタ ンスルホン酸、 3— (2—ベンゾチアゾリルチオィル) プロパンスルホン酸、 2—メチル— 2— (2 _ベンゾチアゾリルチオィル) プロパンスルホン酸、
4 - (2—べンゾチアゾリルチオィル) ブタンスルホン酸、 5— (2—ベン ゾチアゾリルチオィル) ペン夕ンスルホン酸、 6— (2—べンゾチアゾリル チオイル) へキサンスルホン酸、 7— (2—べンゾチアゾリルチオィル) へ プ夕ンスルホン酸、 8 _ (2—べンゾチアゾリルチオィル) オクタンスルホ ン酸、 9一 ( 2—ベンゾチアゾリルチオィル) ノナンスルホン酸、 1 0— (2—べンゾチアゾリルチオィル) デカンスルホン酸、 12— (2—ベンゾ チアゾリルチオィル) ドデカンスルホン酸等である。 ベンズイソォキサゾ
ール系骨格系化合物では、 1一 ( 1一べンゾイソォキサゾリル) メタンスル ホン酸、 2— ( 1一べンゾイソォキサゾリル) エタンスルホン酸、 3— (1 一べンゾイソォキサゾリル) プロパンスルホン酸、 2—メチルー 2— (1— ベンゾイソォキサゾリル) プロパンスルホン酸、 4— (1一べンゾイソォキ サゾリル) ブタンスルホン酸、 5— (1一べンゾイソォキサゾリル) ペン夕 ンスルホン酸、 6— (1—べンゾイソォキサゾリル) へキサンスルホン酸、 7— ( 1一べンゾイソォキサゾリル) ヘプ夕ンスルホン酸、 8— (1—ベン ゾイソォキサゾリル) オクタンスルホン酸、 9— (1一べンゾイソォキサゾ リル) ノナンスルホン酸、 1 0— ( 1 _ベンゾイソォキサゾリル) デカンス ルホン酸、 12— ( 1—ベンゾイソォキサゾリル) ドデカンスルホン酸等で ある。
ベンゾトリアゾール系骨格系化合物では、 1— (2—べンゾトリアゾリ ル) メタンスルホン酸、 2— (2—ベンゾトリアゾリル) エタンスルホン酸、 3— (2—べンゾトリァゾリル) プロパンスルホン酸、 2—メチル— 2— (2—ベンゾトリアゾリル) プロパンスルホン酸、 4一 (2 _ベンゾトリア ゾリル) ブタンスルホン酸、 5— (2—ベンゾトリアゾリル) ペン夕ンスル ホン酸、 6— (2—べンゾトリァゾリル) へキサンスルホン酸、 7— (2— ベンゾトリアゾリル) ヘプタンスルホン酸、 8— (2—ベンゾトリアゾリ ル) オクタンスルホン酸、 9_ (2 _ベンゾトリアゾリル) ノナンスルホン 酸、 1 0— (2—ベンゾトリアゾリル) デカンスルホン酸、 1 2— (2—ベ ンゾトリァゾリル) ドデカンスルホン酸等である。
ベンゾフラン系骨格系化合物では、 1一 (3—ベンゾフラニル) メタンス ルホン酸、 2— (3—ベンゾフラニル) エタンスルホン酸、 3— (3—ベン ゾフラニル) プロパンスルホン酸、 2—メチルー 2— (3—ベンゾフラ二
ル) プロパンスルホン酸、 4— ( 3—ベンゾフラニル) ブタンスルホン酸、 5 - ( 3—ベンゾフラニル) ペンタンスルホン酸、 6— (3—ベンゾフラ二 ル) へキサンスルホン酸、 7— ( 3—ベンゾフラニル) ヘプ夕ンスルホン酸、 8 - ( 3—ベンゾフラニル) オクタンスルホン酸、 9一 (3—ベンゾフラ二 ル) ノナンスルホン酸、 1 0— ( 3—ベンゾフラニル) デカンスルホン酸、 1 2— (3—ベンゾフラニル) ドデカンスルホン酸等である。
また、 前記ァニオンを供出する化合物としては、 これらスルホン酸化合物 のナトリゥム塩または力リゥム塩等のアル力リ金属塩ゃァンモニゥム塩等の 第 4級窒素系化合物塩も好ましく使用できる。
また、 前記スルホン酸基が直接的に複素環骨格に置換した複素環式化合物 の好ましい具体例としては、 2 _イミダゾ一ルスルホン酸、 フラン— 2—ス ルホン酸、 フラン— 3—スルホン酸、 2 _ベンズイミダゾ一ルスルホン酸、 ベンゾフラン— 3—スルホン酸、 及びそれら化合物のナトリウム塩等のアル 力リ金属塩、 アンモニゥム塩又は第 4級アンモニゥム塩が挙げられる。
また、 前記複素環式スルホン酸ァニオンは、 複素環骨格の水素が炭素数 1 〜1 2、 好ましくは 1〜6の直鎖状もしくは分岐状の飽和もしくは不飽和の 炭化水素基またはアルコキシ基で一つ以上置換された誘導体も好ましい。 その置換基の具体例としては、 メチル基、 ェチル基、 プロピル基、 イソプ 口ピル基、 ブチル基、 イソブチル基、 t一ブチル基、 ペンチル基、 へキシル 基、 ォクチル基、 デシル基、 ドデシル基等のアルキル基やビニル基、 ァリル 基、 3—ブテニル基、 5—へキセニル基等の不飽和基、 及びメトキシ基、 ェ トキシ基、 プロピルォキシ基、 ブトキシ基、 ペントキシ基、 へキシルォキシ 基、 ォクチルォキシ基、 デシルォキシ基、 ドデシルォキシ基等が挙げられる。 (3) 脂肪族多環状化合物のァニオン
本発明で使用する脂肪族多環状化合物のァニオンとは、 スルホン酸やカル ボン酸、 リン酸、 硼酸等のブレンステッド酸基を有する二環状以上の多環状 脂肪族ァニオンを有する化合物であり、 好ましくはスルホン酸やカルボン酸 置換化合物であり、 さらに望ましくはスルホン酸置換化合物である。 有用な 具体例としては、 d—カンファースルホン酸(XVI I) (別名、 1 0—力ンファ ースルホン酸) 、 2 —カンファースルホン酸(XVI I I) 、 3 —カンファースル ホン酸、 8—カンファースルホン酸、 d—カンファーカルボン酸及びそれら の誘導体であり、 その使用においてはアンモニゥム塩ゃアルカリ金属塩の形 態で行なわれる。
本発明で使用される酸化剤とは、 ピロールゃチォフェン類の酸化重合に対 して適する酸化剤であればよく、 例えば特開平 2- 15611 号公報記載の塩化鉄 (111)、 F e ( C 1 0
4) 3 や有機酸鉄 (111)、 無機酸鉄 (Ι Π) 、 アルキル 過硫酸塩、 過硫酸アンモニゥム、 過酸化水素、 K
2 C r
20
7 等が広範に使用 できる。 前記有機酸鉄 (I I I)の有機酸の例としては、 メタンスルホン酸ゃド デシルベンゼンスルホン酸のような炭素数 1〜 2 0のアルキルスルホン酸や 同じく脂肪族カルボン酸が挙げられる。 しかしながら、 前記酸化剤の使用範
囲は、 詳細には前記一般式(I 11)で示される重合性モノマー化合物の化学構 造と酸化剤および反応条件等の制限を受けることがある。 例えば、 チォフエ ン類の酸化 (重合) は、 Handbook of Conducting Polymers 誌 (Marcel Dek ker, Inc. 社発行、 1987年、 99頁、 図 5参照) の説明によると、 置換基の 種類により酸化電位 (重合の起こり易さを示す 1つの尺度) が大きくかわり、 重合反応を左右する (酸化電位は約 1.8〜約 2.7Vの範囲に広範に広がって いる) 。 従って、 具体的には使用する重合性モノマー化合物と酸化剤、 反応 条件の組合せが重要である。
前記有機ァニオン類以外のド一パントとしては、 上記酸化剤の反応後の還 元体ァニオン、 具体的には塩素イオン、 C 104一、 炭素数 1〜12の脂肪族 有機カルボン酸ァニオン、 硫酸イオン、 リン酸ァニオン、 炭素数 1〜12の 脂肪族有機リン酸ァニオン、 ほう酸ァニオンが挙げられる。 また、 N〇 +、 N02塩 (例えば、 N〇BF4、 NOPF6、 NOSbF6、 NOAs F6、 N OCH3S〇3、 N02BF4、 N〇2PF6、 N〇2CF3S〇3) の電子受容体 ドーパントを使用してもよい。
本発明の固体電解コンデンサの製造方法においては、 前記一般式 (IV) で 示されるチォフェン類の化学重合は、 過硫酸塩の使用が特に好適であり、 鉄
(III)塩系酸化剤の使用は鉄元素の残存が問題となり、 コンデンサ特性に対 して好ましくない。 さらに、 前記一般式 (IV) の重合性モノマー化合物に対 して好適な過硫酸塩は、 前記一般式 (III)のチォフェン (I^ RZ H X =S) には好適ではなく、 詳細には酸化剤の使用制限が存在する。 前記一般 式 (IV) で示されるチォフェン類の化学重合に特に好適に使用できる過硫酸 塩としては、 過硫酸アンモニゥム、 過硫酸カリウムが挙げられる。
次に形成 (重合) 反応の好ましい条件について説明する。
本発明のコンデンサの製造方法において用いられる一般式 (I I I)または一 般式 (IV) の重合性モノマー化合物濃度、 酸化剤、 及び前記(1)〜(3)の有機 ァニオンドーパントの各使用濃度は、 化合物及びその置換基の種類や溶媒等 との組合せによって異なるが、 一般には 1 X 1 0— 4〜1 0モル Zリツトルの 範囲であり、 1 X 1 0—3〜5モル/リットルの範囲がさらに好ましい。 また、 反応温度は、 それぞれ反応方法によって定められるもので特に限定できるも のでないが、 一般的には— 7 0で〜 2 5 0 °Cの温度範囲であり、 望ましくは 0 °C〜 1 5 0 °Cであり、 さらに 1 5〜 1 0 0 °Cの温度範囲で行なわれること が好ましい。
前記本発明の製造方法において用いられる溶液または重合後の水洗用溶媒 は、 例えばテトラヒドロフラン (T H F ) やジォキサン、 ジェチルエーテル 等のエーテル類、 あるいはアセトン、 メチルェチルケトン等のケトン類、 ジ メチルホルムアミドゃァセトニトリル、 ベンゾニトリル、 N—メチルピロリ ドン (N M P ) 、 ジメチルスルホキシド (D M S O) 等の非プロトン性極性 溶媒、 酢酸ェチルや酢酸ブチル等のエステル類、 クロ口ホルムや塩化メチレ ン等の非芳香族性の塩素系溶媒、 ニトロメタンやニトロェタン、 ニトロベン ゼン等のニトロ化合物、 あるいはメタノールやエタノール、 プロパノール等 のアルコール類、 または蟻酸や酢酸、 プロピオン酸等の有機酸または該有機 酸の酸無水物 (例、 無水酢酸等) 、 水、 あるいはこれらの混合溶媒を用いる ことができる。 好ましくは、 水、 アルコール類、 ケトン類およびノまたはそ の混合系が望ましい。
図 1を参照して本発明の固体電解コンデンサの構成の概要を示す。
接続端子 7に結合した細孔 2が全面に設けられた一方の電極 (陽極) 1に は、 アルミニウム、 チタン、 タンタル、 ニオブあるいはこれらを基質とする
合金系等の弁作用を有する金属箔、 棒あるいはこれらを主成分とする焼結体 等の公知な材料が使用される。 これらの金属電極表面は、 誘電体層の形成と 比表面積を大きくする目的で公知の方法によつてェツチング処理や化成処理 され、 金属箔上に該金属系酸化皮膜層 3を形成したものが用いられる。
固体電解質 (導電性高分子組成物) 4の形成は、 誘電体層上でモノマー化 合物を重合する方法によることが好ましく、 とりわけ本発明の耐熱性の優れ た導電性高分子組成物を細孔あるいは空隙構造を有する誘電体層上に化学的 に析出する方法が好ましい。
このように形成した導電性高分子組成物層上にさらに電気的接触をよくす るために他の導電体層を設けることが好ましく、 例えば導電ペースト層また はメツキ、 金属蒸着、 導電樹脂フィルム等により導電体層 5を形成する。 このように、 本発明の製造方法により製造される固体電解コンデンサは、 更に上記導電体層の上を樹脂モールドするとか、 樹脂ケース、 金属製の外装 ケース、 樹脂ディッビング等による外装 6を設け、 これに接続端子 7を設け ることにより各種の用途に適した固体電解コンデンサ製品とすることができ る。 発明を実施するための最良の形態
以下、 実施例、 比較例及び参考例を挙げて本発明を説明するが、 これらは 本発明の範囲を制限するものではない。 実施例 1
規定の面積に加工したアルミニウム化成箔を 1 0重量%のアジピン酸アン モニゥム水溶液で 1 3 V化成して、 誘電体を準備した。 この誘電体表面に、
過硫酸アンモニゥム (以下、 APSと略する。 ) が 20重量%、 2—プロピ ルォキシナフ夕レン— 6—スルホン酸ナトリウムが 0.3重量%になるように 調製した水溶液 (溶液 3) を含浸させ、 次いで 3, 4—ジォキシエチレン— チォフェンを 5 g溶解した 1.2mo 1 / 1のイソプロパノ一ル (以下 I PA と略する。 ) 溶液 (溶液 4) に浸漬した。 この基板を取り出して 60°Cの環 境下で 10分放置することで酸化的重合を完成させ、 水で洗浄した。 この重 合反応処理及び洗浄工程をそれぞれ 10回繰り返した。 重合物中の硫酸ィォ ン及び 2—プロピルォキシナフタレン一 6—スルホン酸イオンの含量は、 先 ず前記重合物を水 Z I P A溶媒中でヒドラジン還元して注意深く抽出し、 ィ オンクロマトグラフィー法で求めたところ、 硫酸イオン含量は重合体の全繰 り返し構造単位当り 1.6モル%、 2 _プロピルォキシナフタレン一 6—スル ホン酸イオン含量は、 13.6モル%であった。 固体電解質層の電導度は、 75 S / c mでめった。
次に、 前記ポリチォフェン重合物を蓄積させたアルミニウム箔を、 10重 量%アジピン酸アンモニゥム水溶液中で処理して、 火花電圧について調べた。 試験は素子特性を顕著に比較する上で素子数を増やして行なった (以下の実 施例も同じ) 。 すなわち、 50 :環境下、 電流密度 10mA/ cm2 の条件 で素子数 n= 5回行ない、 表 1の結果を得た。 次いで、 陽極からの集電はァ ルミ芯部をプラス側リード端子に溶接することによって行ない、 また陰極か らの集電は、 カーボンペーストと銀ペーストを介してマイナス側リード端子 に接続し、 最後にエポキシ樹脂で封止してコンデンサ素子を作製した。 コン デンサ素子を 125 :で 2時間エージングした後に初期特性を測定した。 こ れらの結果を表 2にまとめた。 ここで、 表中、 初期特性の Cは容量を表わし、 DFは損失角の正接 ( t a n <5) を意味する。 いずれも 120 H zで測定し
たものである。 インピーダンスは、 共振周波数での値を示した。 L C (漏れ 電流) は、 定格電圧を印加して 1分後に測定した。 各測定値は、 試料数が 3 0個の平均値であり、 L Cについては 1 A以上を不良品に、 また I O A 以上をショート品として表示し、 これを除いて LC値の平均を算出した。 実施例 2
実施例 1記載の方法で準備した誘電体表面に、 APSを 20重量%に調製 した水溶液 (溶液 1) を含浸させ、 次いで 3, 4—ジォキシエチレン—チォ フェンを 5 g溶解した 1.2mo 1 Z 1の I P A溶液に 2—プロピルォキシナ フタレン一 6—スルホン酸テトラプチルアンモニゥム塩を加えて、 該濃度が 0.1 重量%になるよう調製した I PAZ水混合溶液 (溶液 2) に浸漬した。 この時、 前記 2—プロピルォキシナフ夕レン一 6—スルホン酸テ卜ラブチル アンモニゥム塩は、 2—プロピルォキシナフ夕レン— 6—スルホン酸ナトリ ゥムからテトラプチルアンモニゥムブロマイドと混合反応させて再結晶した ものを使用した。 次に、 基板を取り出して 60での環境下で 10分放置する ことで酸化的重合を完成させ、 水で洗浄した。 この重合反応処理及び洗浄ェ 程をそれぞれ 10回繰り返して、 該コンデンサ素子を評価した。 結果を表 1 及び表 2に示した。 但し、 重合物中の硫酸イオン及び 2—プロピルォキシナ フタレン— 6—スルホン酸ィォンの含量は、 実施例 1記載の方法で求めたと ころ、 硫酸イオン含量は 2.2モル%、 2—プロピルォキシナフ夕レン _ 6— スルホン酸イオン含量は、 7.5 モル%であった。 固体電解質層の電導度は、 58 S/ cmであった。 実施例 3
実施例 1記載の方法で準備した誘電体を、 3, 4—ジォキシエチレンーチ ォフェンを 5 g溶解した 1.2mo 1 Z 1の I P A溶液 (溶液 4) に浸漬した 後、 AP S濃度が 20重量%であり、 2—メトキシナフタレン一 6—スルホ ン酸ナトリウム濃度が 0.1重量%になるように調製した水溶液 (溶液 3) を 含浸させ、 次いで取り出してこの基板を 60°Cの環境下で 10分放置するこ とで酸化的重合を完成させ、 水で洗浄した。 この重合反応処理及び洗浄工程 をそれぞれ 10回繰り返して、 該コンデンサ素子を評価した。 結果を表 1、 表 2に示した。 但し、 重合物中の硫酸イオン及び 2—メトキシナフ夕レン一 6—スルホン酸イオンの含量は、 実施例 1記載の方法で求めたところ、 硫酸 イオン含量は 1.8モル%、 2—メトキシナフタレン— 6—スルホン酸イオン 含量は、 0.8 モル%であった。 固体電解質層の電導度は、 60 SZcmであ つた。 実施例 4
実施例 1記載の方法で準備した誘電体を準備した。 この誘電体表面に、 過 硫酸カリウムが 10重量%、 2—メトキシナフタレン— 6—スルホン酸ナト リウムが 1重量%になるように調製した水溶液 (溶液 3) を含浸させ、 次 いで 3, 4ージォキシエチレン一チォフェンを 5 g溶解した 1.2mol/lの I PA溶液 (溶液 4) に浸漬した。 この基板を取り出して 6 O :の環境下で 1 0分放置することで酸化的重合を完成させた。 この浸漬工程をそれぞれ 10 回繰り返した後で水洗して乾燥した。 そして該コンデンサ素子を評価したと ころ、 表 1及び表 2記載の結果を得た。 但し、 重合物中の硫酸イオン及び 2 —メトキシナフタレン— 1—スルホン酸イオンの含量は、 実施例 1記載の方 法で求めたところ、 硫酸イオン含量は 5.9モル%、 2—メトキシナフタレン
一 6—スルホン酸イオン含量は、 15. 5モル%であった。 固体電解質層の電導 度は、 7 3 S / c mであった。 実施例 5
実施例 1記載の方法で準備した誘電体を準備した。 この誘電体表面に、 A P S濃度が 3 5重量%に調製した水溶液 (溶液 1 ) を含浸させ、 次いで 3 , 4—ジォキシエチレン—チォフェンを 5 g溶解した 1. 2m o 1 Z 1の I P A 溶液に 2, 3—ジメトキシナフタレン— 6—スルホン酸テトラブチルアンモ 二ゥム塩を加えて該濃度が 0. 04 重量%になるよう調製した I P Aノ水混合 溶液 (溶液 2 ) に浸漬した。 この時、 2 , 3—ジメトキシナフ夕レン— 6— スルホン酸テトラプチルアンモニゥム塩は、 2, 3—ジメトキシナフタレン - 6—スルホン酸ナトリウムとテトラプチルアンモニゥムブロマイドと混合 反応から再結晶したものを使用した。
次に、 この基板を取り出して 6 0 °Cの環境下で 1 0分放置することで酸化 的重合を完成させた。 この浸漬工程をそれぞれ 1 0回繰り返した後で水洗し て乾燥した。 そして該コンデンサ素子を評価したところ、 表 1及び表 2記載 の結果を得た。 但し、 重合物中の硫酸イオン及び 2 , 3—ジメトキシナフタ レン一 6—スルホン酸イオンの含量は、 実施例 1記載の方法で求めたところ、 硫酸イオン含量は 5. 2モル%、 2 , 3—ジメトキシナフタレン— 6—スルホ ン酸イオン含量は、 7. 8 モル%であった。 固体電解質層の電導度は、 4 O S / c mであった。 実施例 6
実施例 1記載の方法で準備した誘電体を準備した。 この誘電体を、 特開平
2-242816号公報記載の方法を採用して合成及び昇華生成した 5, 6—ジメト キシ—イソチアナフテンの 1.2mo 1 / 1濃度、 脱気 I PA溶液 (溶液 4) に浸漬した後、 20重量%濃度の A P S水溶液に 2—プロピルォキシナフ夕 レン— 6—スルホン酸ナトリウムの 0.1 重量%になるように調製した水溶液 (溶液 3) を含浸させた。 次いでこの基板を取り出して 60°Cの環境下で 1 0分放置することで酸化的重合を完成させた。 この浸漬工程をそれぞれ 1 0 回繰り返した後で水洗して乾燥した。 そして該コンデンサ素子を評価したと ころ、 表 1及び表 2記載の結果を得た。 但し、 重合物中の硫酸イオン及び 2 一プロピルォキシナフ夕レン— 6—スルホン酸イオンの含量は、 実施例 1記 載の方法で求めたところ、 硫酸イオン含量は 0.7モル%、 2—プロピルォキ シナフ夕レン— 6—スルホン酸イオン含量は、 6.0 モル%であった。 固体電 解質層の電導度は、 33 SZcmであった。 実施例 7
実施例 1で使用した 3, 4—ジォキシエチレンーチォフェンの替わりにピ 口一ルー N—メチルの同濃度溶液を用いた以外は、 実施例 1の記載と同様で あり、 該コンデンサ素子を評価した。 結果を表 1及び表 2に示した。 但し、 重合物中の硫酸イオン及び 2—メトキシナフタレン一 6—スルホン酸イオン の含量は、 実施例 1記載の方法で求めたところ、 硫酸イオン含量は 7.8 モ ル%、 2—メトキシナフ夕レン _ 6—スルホン酸イオン含量は、 12.3モル% であった。 固体電解質層の電導度は、 7 S/cmであった。 実施例 8
規定の面積に加工したアルミニウム化成箔を 10重量%のアジピン酸アン
モニゥム水溶液で 13 V化成して、 誘電体を準備した。 この誘電体を、 2— メトキシナフ夕レン— 6—スルホン酸ナトリウム濃度が 0.1 重量%及び 3, 4—ジォキシエチレンーチォフェンが 1.2mo 1 Z 1濃度になるように準備 した 30 %の DMF— I PA溶液 (溶液 2) に浸漬し、 次いで 20重量%の APS水溶液 (溶液 1) に浸漬した。 この基板を取り出して 6 Ot:の環境下 で 10分放置することで酸化的重合を完成させた。 この浸漬工程をそれぞれ 10回繰り返した後で水洗して乾燥した。 そして該コンデンサ素子を評価し たところ、 表 1及び表 2記載の結果を得た。 但し、 硫酸イオン含量は重合体 の全繰り返し構造単位当り 1.5モル%、 2—メトキシナフタレン— 6—スル ホン酸イオン含量は、 3.2 モル%であった。 固体電解質層の電導度は、 7 1 S/ cmであった。 実施例 9
実施例 1で使用した 20重量%の APSを 12重量%に替えた以外は実施 例 1の記載と同様であり、 該コンデンサ素子を評価した。 結果を表 1、 表 2 に示した。 但し、 重合物中の硫酸イオン及び 2—メトキシナフ夕レン— 6— スルホン酸イオンの含量は、 実施例 1記載の方法で求めたところ、 硫酸ィォ ン含量は 0.2モル%、 2—メトキシナフタレン— 6—スルホン酸イオン含量 は、 20モル%であった。 固体電解質層の電導度は、 28 SZcmであった。 実施例 10
実施例 1と同じく化成した誘電体を準備し、 これを 2—メトキシナフタレ ン— 6—スルホン酸鉄 (III)の 12 % I P A溶液に浸潰し、 次いで 3, 4— ジォキシエチレン—チォフェンを 5 g溶解した 1.2mo 1 Z 1の I PA溶液
に浸漬した。 この基板を 6 0 °Cの環境下で 1 0分放置することで酸化的重合 を完成させ、 水で洗浄した。 この重合反応処理及び洗浄工程をそれぞれ 1 0 回繰り返した。 重合物中の 2 —メトキシナフタレン— 6 —スルホン酸イオン の含量は、 前記重合物を水ノ 1 P A溶媒中でヒドラジン還元して注意深く抽 出し、 イオンクロマトグラフィー法で求めたところ、 2—メトキシナフタレ ン _ 6 —スルホン酸イオン含量は、 重合体の全繰り返し構造単位当り 1 7モ ル%であった。 固体電解質層の電導度は、 3 0 S Z c mであった。 次いで、 コンデンサ素子を作製して、 火花電圧及び他のコンデンサ特性を実施例 1と 同じく調べたところ、 表 1及び表 2に記載の結果が得られた。 実施例 1 1
実施例 1で使用した A P Sの替わりに硫酸鉄を 1 0重量%とし、 2—メト キシナフタレン— 6—スルホン酸ナトリウム 0. 1 重量%に調製された溶液に 変更した以外は、 実施例 1の記載と同様であり、 該コンデンサ素子を評価し た。 結果を表 1、 表 2に示した。 但し、 重合物中の硫酸イオン及び 2—メト キシナフ夕レン一 6—スルホン酸イオンの含量は、 実施例 1記載の方法で求 めたところ、 硫酸イオン含量は 24. 5 モル%、 2—メトキシナフ夕レン— 6 ースルホン酸イオン含量は、 33. 8モル%であった。 しかしながら、 鉄イオン が 8モル%存在すること、 および硫酸イオン含量が 1 0モル%以上よりも高 いために、 コンデンサ特性は悪かった。 実施例 1 2
実施例 1で使用した 3, 4ージォキシエチレンーチォフェンをチォフェン に、 そして A P Sの替わりに 1 0重量%の塩化鉄にし、 2—メトキシナフタ
レン一 6—スルホン酸ナトリウム 0. 1 重量%に調製された溶液に変更した以 外は、 実施例 1の記載と同様であり、 該コンデンサ素子を評価した。 結果を 表 1、 表 2に示した。 但し、 重合物中の 2—メトキシナフ夕レン— 6—スル ホン酸イオンの含量は、 実施例 1記載の方法で求めたところ、 3. 1 モル%で あった。 硫酸イオンが併用して含有されていないためにコンデンサ特性は悪 力、つた。 参考例 1
実施例 1記載の 3 , 4—ジォキシエチレン—チォフェンをチォフェンに替 えた以外は実施例 1記載の条件と同じにして、 コンデンサ素子を作製する処 理を行なった。 しかし、 黒青色のポリチォフェン重合体は全く生成せず、 チ ォフェンの重合が A P Sの作用では起こらなかった。 すなわち、 A P Sによ るチォフェン類の酸化重合は、 3, 4ージォキシ基置換のチォフェン類に対 して特異的に起こった。 参考例 2
実施例 1で使用した 2 —プロピルォキシナフ夕レン— 6—スルホン酸ナト リウムを 2 —ヒドロキシナフ夕レン _ 6 —スルホン酸ナトリウムに替えた以 外は実施例 1の記載と同様であり、 該コンデンサ素子を評価した。 結果を表 1及び表 2に示した。 但し、 重合物中の硫酸イオン及び 2—ヒドロキシナフ タレン— 6—スルホン酸イオンの含量は、 実施例 1記載の方法で求めたとこ ろ、 硫酸イオン含量は 4. 3モル%、 2 —ヒドロキシナフ夕レン一 6 —スルホ ン酸イオン含量は、 12. 1モル%であった。 固体電解質層の電導度は、 1 0 S / c mであった。
実施例 1〜 9での火花電圧試験では、 電圧低下はほとんど無く、 いずれも 誘電体皮膜における損傷が起こっていないことがわかる。 しかし、 実施例 1 0〜 1 2での火花電圧試験では、 実施例 1 0の有機系鉄塩使用のコンデンサ では電圧低下は起こっていないが、 無機系の鉄塩ではいずれも電圧の低下が 大きく、 規定回数終了以前にいずれも電圧を保持することが出来ず、 特に実 施例 1 1の硫酸鉄を用いた場合は、 鉄イオンが 8モル%も残存するために火 花電圧の低下が大きく、 数回の浸潰で火花電圧が低下し、 その結果、 誘電体 層の損傷が起こり、 好ましくなかった。
火花電圧(単位; V,素子数 n=5)
重合操作回数
1 2 3 4 5 6 8 10
実施例 1 19 19 19 19 19 19 19 19
実施例 2 19 19 19 19 19 19 19 19
実施例 3 19 19 19 19 19 19 19 19
実施例 4 19 19 19 18 17 16 15 11
実施例 5 19 19 19 19 19 19 19 19
実施例 6 19 19 19 19 19 19 19 19
実施例 7 19 19 19 19 19 19 19 19
実施例 8 19 19 19 19 19 19 19 19
実施例 9 19 19 19 19 19 19 19 19
実施例 10 19 19 19 19 19 19 19 19
実施例 11 19 16 14 7 3
実施例 12 18 16 10 3
参考例 1 19 18 15 11 9 3
¾_2
規定の面積に加工したアルミニウム化成箔を 1 0重量%のアジピン酸アン モニゥム水溶液で 1 3 V化成を行ない、 箔表面に誘電体層を形成させた。 こ のアルミニウム化成箔 (基板) を、 AP S 2 0重量%、 4—モルホリンブ 口パンスルホン酸ナトリウム (東京化成社製) 0.125 重量%に調製した水溶 液 (溶液 3) に浸漬し、 次いで 3, 4—ジォキシエチレン—チォフェンを 5 g溶解した 1.2molZ 1の I PA溶液 (溶液 4) に浸漬した。
この基板を取り出して 6 0°Cの環境下で 1 0分放置することで酸化的重合 を完成させ、 該基板を水で洗浄した。 この重合反応処理及び洗诤工程をそれ ぞれ 1 0回繰り返した。
導電性高分子組成物中の硫酸イオン及び 4一モルホリンプロパンスルホン 酸イオンの含量は、 先ず該重合処理した基板を水 / I P A溶媒中でヒドラジ ン還元して注意深く抽出し、 イオンクロマトグラフィー法で求めたところ、
硫酸イオン含量は導電性高分子組成物中の高分子の全繰り返し構造単位当り
1.5モル%、 4—モルホリンプロパンスルホン酸イオン含量は、 14.0モル% であった。 固体電解質層の電導度は 73 SZ cmであった。
次に、 ポリ一 3, 4ージォキシエチレンーチォフェン重合体組成物を蓄積 させたアルミニウム箔基板を、 10重量%アジピン酸アンモニゥム水溶液中 で処理して、 火花電圧について調べた。 試験は、 素子特性を比較する上で、 素子数を増やして行なった (以下の実施例も同じ) 。 すなわち、 50°C環境 下、 電流密度 1 OmAZcm2の条件で n = 5回行ない表 3の結果を得た。 次いで、 固体電解コンデンサは陽極からの集電は基板のアルミニウム芯部 をプラス側リード端子に溶接することによって行ない、 また陰極からの集電 は、 力一ボンべ一ストと銀ペーストを介してマイナス側リード端子に接続し、 最後にエポキシ樹脂で封止してコンデンサ素子を作製した。 このようにして 得たコンデンサ素子を 125 で 2時間エージングした後に初期特性を測定 した。 これらの結果を表 4にまとめた。
ここで、 表中初期特性の Cは容量を表わし、 DFは損失角の正接 (t an δ) を意味する。 いずれも 12 ΟΗζで測定したものである。 インピーダン スは、 共振周波数での値を示した。 LC (漏れ電流) は、 定格電圧を印加し て 1分後に測定した。 各測定値は、 試料数が 30個の平均値であり、 LCに ついては 1 Α以上を不良品に、 また 10 A以上をショート品として表示 し、 これを除いて LC値の平均を算出した。 実施例 14
実施例 13記載の方法で準備した誘電体表面に、 八?3を20重量%に調 製した水溶液 (溶液 1) を含浸させ、 次いで 3, 4—ジォキシエチレン—チ
ォフェンを 5 g溶解した 1.2モル リットルの I P A溶液に 4—モルホリン プロパンスルホン酸テトラブチルアンモニゥム塩 (以下、 MOPSTBと略 する) を加えて、 該濃度が 0.1重量%になるよう調製した I PAZ水混合溶 液 (溶液 2) に浸漬した。 この時、 前記 MOPSTB塩は、 4一モルホリン プロパンスルホン酸ナトリウム (東京化成社製) からテトラプチルアンモニ ゥムブロマイドと混合反応して再結晶したものを使用した。 次に、 基板を取 り出して 60°Cの環境下で 10分放置することで酸化的重合を完成させ、 水 で洗浄した。 この重合反応処理及び洗浄工程をそれぞれ 10回繰り返して、 該コンデンサ素子を評価した。 実施例 13と同様に測定を行ない、 結果を表 3及び表 4に示した。
なお重合体組成物中の硫酸ィオン及び 4一モルホリンプロパンスルホン酸 イオンの含量は、 実施例 13記載と同様な方法で求めたところ、 硫酸イオン 含量は 1.6 モル%、 4—モルホリンプロパンスルホン酸イオン含量は、 8.1 モル%であり、 固体電解質層の電導度は、 56 SZcmであった。 実施例 15
実施例 13に記載したと同様な方法で準備した誘電体を形成したアルミ二 ゥム化成箔を、 3, 4—ジォキシエチレンーチォフェンを 5 g溶解した 1.2 モル/リットルの I P A溶液 (溶液 4) に浸漬した後、 A PS濃度が 20重 量%であり 4 _モルホリンプロパンスルホン酸ナトリウム濃度が 0.1重量% になるように調製した水溶液 (溶液 3) を含浸させ、 次いで取り出してこの 基板を 60°Cの環境下で 10分放置することで酸化的重合を完成させ、 その 後水で洗浄した。
この重合反応処理及び洗浄工程をそれぞれ 10回繰り返して得たコンデン
サ素子を実施例 13と同様に評価した。 結果を表 3及び表 4に示す。
なお重合体組成物中の硫酸イオン及び 4一モルホリンプロパンスルホン酸 イオンの含量は、 実施例 13記載の方法で求めたところ、 硫酸イオン含量は 2.0 モル%、 4—モルホリンプロパンスルホン酸イオン含量は、 0.6 モル% であり、 固体電解質層の電導度は、 60 SZcmであった。 実施例 16
実施例 13に記載したと同様な方法で準備した誘電体を形成したアルミ二 ゥム化成箔を、 3, 4—ジォキシエチレンーチォフェンを 5 g溶解した 1.2 モルノリットルの I P A溶液 (溶液 4) に浸漬した後、 APS濃度が 20重 量%であり 4—モルホリンェ夕ンスルホン酸ナトリゥム濃度が 0.3重量%に なるように調製した水溶液 (溶液 3) を含浸させ、 次いで取り出してこの基 板を 60°Cの環境下で 10分放置することで酸化的重合を完成させ、 水で洗 浄した。
この重合反応処理及び洗浄工程をそれぞれ 10回繰り返して得たコンデン サ素子を実施例 13と同様に評価した。 結果を表 3及び表 4に示す。
なお重合体組成物中の硫酸イオン及び 4一モルホリンェ夕ンスルホン酸ィ オンの含量は、 実施例 13記載の方法で求めたところ、 硫酸イオン含量は 2. 1 モル%、 4 _モルホリンエタンスルホン酸イオン含量は、 0.8 モル%であ つた。 固体電解質層の電導度は、 68 SZcmであった。 実施例 17
実施例 1 3に記載したと同様な方法で誘電体を形成したアルミニウム化成 箔を準備した。 この誘電体表面に、 過硫酸カリウムが 10重量%、 4—モル
ホリンプロパンスルホン酸ナトリウム (東京化成社製) が 0. 1 重量%になる ように調製した水溶液 (溶液 3 ) を含浸させ、 次いで 3, 4 一ジォキシェチ レンーチォフェンを 5 g溶解した 1. 2 モル リットルの I P A溶液 (溶液 4 ) に浸潰した。 この基板を取り出して 6 0 °Cの環境下で 1 0分放置するこ とで酸化的重合を完成させた。 この浸漬工程をそれぞれ 1 0回繰り返した後 で水洗し、 乾燥して得た該コンデンサ素子を実施例 1 3と同様に評価した。 結果を表 3及び表 4に示す。
なお重合体組成物中の硫酸イオン及び 4一モルホリンプロパンスルホン酸 イオンの含量を実施例 1 3記載の方法で求めたところ、 硫酸イオン含量は 6. 2 モル%、 4—モルホリンプロパンスルホン酸イオン含量は、 1 5モル%で あり、 固体電解質層の電導度は、 7 4 S Z c mであった。 実施例 1 8
実施例 1 3に記載したと同様な方法で誘電体を形成したアルミニウム化成 箔を準備した。 アルミニウム化成箔を、 特開平 2-242816 号公報記載の方法 を採用して合成及び昇華生成した 5, 6ージメトキシ—イソチアナフテンの 1. モル Zリットル濃度の脱気 I P A溶液 (溶液 4 ) に浸漬した後、 2 0重 量%濃度の A P S水溶液に 4 _モルホリンプロパンスルホン酸ナトリゥムの 0. 1 重量%になるように調製した水溶液 (溶液 3 ) を含浸させた。 次いでこ の基板を取り出して 6 0 の環境下で 1 0分放置することで酸化的重合を完 成させた。 この浸漬工程をそれぞれ 1 0回繰り返した後で水洗して乾燥して 得たコンデンサ素子を実施例 1 3と同様に評価したところ、 表 3及び表 4記 載の結果を得た。
なお重合組成物中の硫酸イオン及び 4—モルホリンプロパンスルホン酸ィ
オンの含量は、 実施例 13記載の方法で求めたところ、 硫酸イオン含量は 0. 8 モル%、 4—モルホリンプロパンスルホン酸イオン含量は、 5.7 モル%で あった。 固体電解質層の電導度は、 31 SZcmであった。 実施例 19
実施例 13で使用した 3, 4_ジォキシエチレン—チォフェンの替わりに ピロ一ルー N—メチルの同濃度溶液を用いた以外は、 実施例 13の記載と同 様に処理して得たコンデンサ素子を実施例 13と同様に評価した。 結果を表 3、 表 4に示す。
なお重合組成物中の硫酸イオン及び 4一モルホリンプロパンスルホン酸ィ オンの含量は、 実施例 13記載の方法で求めたところ、 硫酸イオン含量は 6. 8モル%、 4一モルホリンプロパンスルホン酸イオン含量は、 16.8モル%で あった。 固体電解質層の電導度は、 7 S/cmであった。 実施例 20
規定の面積に加工したアルミニウム化成箔を 10重量%のアジピン酸アン モニゥム水溶液で 13 V化成して、 誘電体を準備した。 この誘電体を、 4一 モルホリンプロパンスルホン酸ナトリウム濃度が 0.1 重量%及び 3, 4—ジ ォキシエチレン—チォフェンが 1.2モル リットル濃度になるように準備し た 30 %の DMF— I P A溶液 (溶液 2) に浸漬し、 次いで 20重量%の八 PS水溶液 (溶液 1) に浸漬した。 この基板を取り出して 60 の環境下で 10分放置することで酸化的重合を完成させた。 この浸漬工程をそれぞれ 1 0回繰り返した後で水洗して乾燥して得た該コンデンサ素子を実施例 13と 同様に評価した。 結果を表 3及び表 4に示す。
なお硫酸イオン含量は重合体の全繰り返し構造単位当り 1.7モル%、 4一 モルホリンプロパンスルホン酸イオン含量は、 32モル%であった。 固体電 解質層の電導度は、 75 SZcmであった。 実施例 2 1
実施例 1 3で使用した 20重量%の AP Sを 1 2重量%に替えた以外は実 施例 1 3の記載と同様であり、 該コンデンサ素子を評価した。 結果を表 3及 び表 4に示した。 なお重合体組成物中の硫酸イオン及び 4—モルホリンプロ パンスルホン酸イオンの含量は、 実施例 1 3記載の方法で求めたところ、 硫 酸イオン含量は 0.16 モル%、 4一モルホリンプロパンスルホン酸イオン含 量は、 25モル%であった。 固体電解質層の電導度は、 34 S/cmであつ た。 実施例 22
実施例 1 3で使用した 4 _モルホリンプロパンスルホン酸ナトリウムの代 わりに 2—ベンズイミダゾ一ルプロパンスルホン酸ナトリゥムの同濃度溶液 を用いた以外は、 実施例 1 3の記載と同様に行ない、 得られたコンデンサ素 子を評価し、 結果を表 3及び表 4に示した。 ただし、 重合組成物中の硫酸ィ オン及び 2—ベンズイミダゾールプロパンスルホン酸イオンの含量は実施例 1 3の方法で求めたところ、 硫酸イオン含量は 1.8モル%、 2_ベンズイミ ダゾールスルホン酸イオン含量は、 14.5モル%であり、 固体電解質層の電導 度は 70 SZ cmであった。 実施例 23
実施例 1 3で使用した 4一モルホリンプロパンスルホン酸ナトリゥムの代 わりに 4ーメチル— 1ーピペラジンメタンスルホン酸ナトリウムの同濃度溶 液を用いた以外は実施例 1 3の記載と同様に行ない、 得られたコンデンサ素 子を評価し、 結果を表 3及び表 4に示した。 ただし、 重合組成物中の硫酸ィ オン及び 4—メチルー 1ーピペラジンメタンスルホン酸イオンの含量は実施 例 1 3の方法で求めたところ、 硫酸イオン含量は 2. 0モル%、 4—メチル— 1—ピぺラジンメタンスルホン酸イオン含量は、 16. 5モル%であり、 固体電 解質層の電導度は 6 5 S Z c mであった。 実施例 2 4
実施例 1 3で使用した 4 _モルホリンプロパンスルホン酸ナトリゥムの代 わりに 2, 3—ベンゾフラン一 3—スルホン酸ナトリウムの同濃度溶液を用 いた以外は実施例 1 3の記載と同様に行ない、 得られたコンデンサ素子を評 価し、 結果を表 3及び表 4に示した。 ただし、 重合組成物中の硫酸イオン及 び 2, 3 _ベンゾフラン— 3—スルホン酸イオンの含量は実施例 1 3の方法 で求めたところ、 硫酸イオン含量は 1. 9モル%、 2 , 3—ベンゾフラン— 3 ースルホン酸イオン含量は、 15. 8モル%であり、 固体電解質層の電導度は 6 1 S Z c mであった。 比較例 1
実施例 1 3で使用したモノマー化合物の 3, 4ージォキシエチレンーチォ フェンの代わりにチォフェンを、 そして A P Sの代わりに 1 0重量%の塩化 鉄とし、 4 _モルホリンプロパンスルホン酸ナトリウム 0. 1 重量%に調製さ れた溶液に変更した以外は実施例 1 3に記載と同様に固体電解コンデンサを
製造し、 該コンデンサ素子を実施例 1 3と同様に評価した。 結果を表 3及び 表 4に示す。
なお重合組成物中の 4 _モルホリンプロパンスルホン酸イオンの含量は、 実施例 1 3記載の方法で求めたところ、 2. 5 モル%であった。 硫酸イオンを 併用して含有されていないためにコンデンサの不良率が高かった。 比較例 2
実施例 1 3と同じく化成した誘電体を準備し、 これを 4—モルホリンプロ パンスルホン酸鉄 (I I I)の 1 2 % I P A溶液に浸漬し、 次いで 3 , 4—ジォ キシエチレンーチォフェンを 5 g溶解した 1. 2モルダリットルの I P A溶液 に浸潰した。 この基板を 6 0 の環境下で 1 0分放置することで酸化的重合 を完成させ、 水で洗浄した。 この重合反応処理及び洗浄工程をそれぞれ 1 0 回繰り返した。 重合組成物中の 4 _モルホリンプロパンスルホン酸イオンの 含量は、 前記重合組成物を水ノ 1 P A溶媒中でヒドラジン還元して注意深く 抽出し、 イオンクロマトグラフィー法で求めたところ、 4一モルホリンプロ パンスルホン酸イオン含量は、 重合体の全繰り返し構造単位当り 1 5モル% であった。 固体電解質層の電導度は、 3 5 S / c mであった。
ここで得られた導電性高分子組成物を被覆したアルミニウム化成箔からコ ンデンサ素子を作製して、 火花電圧及び他のコンデンサ特性を実施例 1 3と 同じく調べたところ、 表 3及び表 4に記載の結果が得られた。 比較例 3
実施例 1 3で使用した A P Sの替わりに硫酸鉄を 1 0重量%とし、 4—モ ルホリンプロパンスルホン酸ナトリゥム 0. 1 重量%に調製された溶液に変更
した以外は、 実施例 1 3の記載と同様に固体電解コンデンサの製造を行ない、 該コンデンサ素子を評価した。 結果を表 3及び表 4に示す。
なお重合組成物中の硫酸イオン及び 4一モルホリンプロパンスルホン酸ィ オンの含量は、 実施例 1 3記載の方法で求めたところ、 硫酸イオン含量は 19. 6モル%、 4 _モルホリンプロパンスルホン酸イオン含量は、 31 . 8モル%で あった。 しかしながら、 鉄イオンが 8モル%存在すること、 および硫酸ィォ ン含量が 1 0モル%以上よりも高いために、 コンデンサの不良率が高かった。 実施例 1 3〜2 4での火花電圧試験では、 電圧低下はほとんど無く反応終 了時の火花電圧はいずれも 1 9 V以下であった。 しかし、 比較例 3の硫酸鉄 を用いた場合は、 鉄イオンが 8モル%も残存するために火花電圧の低下が大 きく、 規定の反応終了前に火花電圧が低下し、 固体電解質の充填が不十分な ままで終了し、 好ましくなかった。 参考例 3
実施例 1 3記載の 3, 4ージォキシエチレンーチォフェンをチォフェンに 代えた以外は実施例 1 3記載の条件と同じにして、 コンデンサ素子を作製す る処理を行なった。 しかし、 黒青色のポリチォフェン重合体は全く生成せず、 チォフェンの重合が A P Sの作用では起こらなかった。 すなわち、 A P Sに よるチォフェン類の酸化重合は、 3, 4ージォキシ基置換のチォフェン類に 対して特異的に起こった。
^ 3 火花電圧(単位 iV,素子数 n: : 5)
反応回数
1 2 3 4 5 6 8 10 実施例 13 19 19 19 19 19 19 19 19 実施例 14 19 19 19 19 19 19 19 19 実施例 15 19 19 19 19 19 19 19 19 実施例 16 19 19 19 18 17 14 12 10 実施例 17 19 19 19 19 19 19 19 19 実施例 18 19 19 19 19 19 19 19 19 実施例 19 19 19 19 19 19 19 19 19 実施例 20 19 19 19 19 19 19 19 19 実施例 21 19 19 19 19 19 19 19 19 実施例 22 19 19 19 19 19 19 19 19 実施例 23 19 19 19 19 19 19 19 19 実施例 24 19 19 19 19 19 19 19 19 比較例 1 18 14 10 3
比較例 2 19 16 12 5 2
比較例 3 19 16 12 3
初期特性
C DF Ζ しじ 不 数 試料数 シ 3—卜
% m Q μ, Α 個 Ζ個
実施例 13 8.0 0.6 60 0.02 0/30 0 実施例 14 8.2 0.7 60 0.02 0/30 0 実施例 15 7.9 0.8 60 0.03 0/30 0 実施例 16 7.2 0.8 60 0.03 0/30 0 実施例 17 7.0 0.9 60 0.05 1/30 0 実施例 18 7.0 0.9 60 0.05 1/30 0 実施例 19 4.0 1.3 60 0.09 1/30 0 実施例 20 7.9 0.8 60 0.03 1/30 0 実施例 21 7.0 0.7 60 0.08 1/30 0 実施例 22 7.9 0.6 60 0.03 0/30 0 実施例 23 7.9 0.7 60 0.03 0/30 0 実施例 24 7.8 0.8 60 0.02 0/30 0 比較例 1 5.8 3.2 90 0.44 27/30 19 比較例 2 7.1 1.2 60 0.16 11/30 9 比較例 3 6.0 3.2 83 0.40 14/30 10
実施例 25
規定の面積に加工したアルミニウム化成箔を 10重量%のアジピン酸アン モニゥム水溶液で 13 V化成して、 誘電体を準備した。 この誘電体表面に、 AP S 20重量%と —カンファースルホン酸アンモニゥム 0.2 重量%に なるように調製した水溶液 (溶液 1) を含浸させ、 次いで 3, 4ージォキシ エチレンーチォフェンを 5 g溶解した I P A溶液 (溶液 2) に浸漬した。 こ の基板を 60°Cの環境下で 10分放置することで酸化重合を完成させ、 水で 洗浄した。 この重合反応処理及び洗浄工程をそれぞれ 10回繰り返した。 重 合組成物中の硫酸イオン及び d—カンファースルホン酸イオンの含量は、 先 ず前記重合組成物を水 ZI P A溶媒中でヒドラジン還元して注意深く抽出し、 イオンクロマトグラフィー法で求めたところ、 硫酸イオン含量は導電性高分 子の全繰り返し構造単位に対して 1.5モル%、 d_カンファースルホン酸ィ オン含量は、 1 7モル%であった。 固体電解質層の電導度は、 70 S/cm であった。
次に、 アルミ芯部をプラス側リード端子に溶接することによって陽極端子 とし、 高分子層にカーボンペーストと銀べ一ストを付けてマイナス側リ一ド 端子に接続し陰極とした後、 最後にエポキシ樹脂で封止してコンデンサ素子 を作製した。 コンデンサ素子を 125°Cで 2時間エージングした後に初期特 性を測定した。 これらの結果を表 5にまとめた。 ここで、 表 5中の Cは容量 を表し、 DFは損失角の正接値 (t an 6) を意味する。 いずれも 120H zで測定したものである。 インピーダンスは、 共振周波数での値を示した。 LC (漏れ電流) は、 定格電圧を印加して 1分後に測定した。 各測定値は、 試料数が 30個の平均値であり、 LCについては 1 以上をショート (不 良) 品として表示し、 これを除いて LC値の平均を算出した。 耐湿性能試験
での結果を表 6に示した。 ここで LC値は、 1 0 zA以上をショート (不 良) 品として表示した以外は初期値と同様である。 耐湿性能試験は、 85t:、 85 RH%の高温高湿下で 500時間放置して行なった。 実施例 26
実施例 25で使用した d—カンファースルホン酸アンモニゥムを 2—カン ファースルホン酸アンモニゥムに替えた以外は、 実施例 25の記載と同様で あり、 該コンデンサ素子を同じく評価した。 結果を表 5及び表 6に示した。 但し、 重合組成物中の硫酸イオン及び 2—カンファースルホン酸イオンの含 量は、 実施例 25記載の方法で求め、 硫酸イオン含量は 1.9モル%、 2—力 ンファースルホン酸イオン含量は、 14モル%であった。 固体電解質層の電 導度は、 45 SZcmであった。 実施例 2 7
実施例 25で使用した d—カンファースルホン酸アンモニゥムを d—カン ファーカルボン酸ナトリウムに替えた以外は、 実施例 25の記載と同様であ り、 該コンデンサ素子を同じく評価した。 結果を表 5、 表 6に示した。 伹し、 重合組成物中の硫酸イオン及び d—カンファーカルボン酸イオンの含量は、 実施例 1記載の方法で求め、 硫酸イオン含量は 4.7モル%、 d—カンファー カルボン酸イオン含量は、 4.3 モル%であった。 固体電解質層の電導度は、 1 0 S/cmであった。 実施例 28
実施例 25で使用した A P Sを過硫酸カリウムに、 3, 4—ジォキシェチ
レン—チォフェンを N—メチルビロールに替えた以外は、 実施例 2 5の記載 と同じであり該コンデンサ素子を評価した。 結果を表 5及び表 6に示した。 但し、 重合組成物中の硫酸イオン及び d—カンファースルホン酸イオンの含 量は、 実施例 1記載の方法で求め、 硫酸イオン含量は 6. 8モル%、 d—カン ファースルホン酸イオン含量は、 1 1モル%であった。 固体電解質層の電導 度は、 2 0 S / c mであった。 実施例 2 9
実施例 2 5で使用した導電性高分子組成物の製造方法を以下の方法に替え た以外は、 実施例 2 5の記載と同じであり該コンデンサ素子を評価した。 結 果を表 5及び表 6に示した。 実施例 2 5記載と同じ方法と準備した誘電体表 面に、 2 , 3—ジクロロー 5, 6—ジシァノベンゾキノン (以下、 D D Qと 略する) 1 0重量%と<1—カンファースルホン酸アンモニゥム 0. 1 重量%に なるように調製したジォキサン溶液 (溶液 1 ) を含浸させ、 次いでイソチア ナフテンを 5 g溶解した I P A溶液 (溶液 2 ) に浸漬した。 この基板を 8 0 °Cの環境下で 3 0分放置することで酸化重合を完成させ、 ジォキサン及び 水で各々洗浄した。 この重合反応処理及び洗浄工程をそれぞれ 1 0回繰り返 した。 重合組成物中の d—カンファースルホン酸イオンの含量は、 前記重合 組成物を水 Z I P A溶媒中でヒドラジン還元して注意深く抽出し、 イオンク 口マトグラフィ一法で求めたところ、 d—カンファースルホン酸イオン含量 は導電性高分子の全繰り返し構造単位に対して 1 1. 5 モル%であった。 固体 電解質層の電導度は、 1 8 S Z c mであった。 実施例 3 0
実施例 2 5で使用した A P Sの替わりに硫酸鉄を 1 0重量%に調製した溶 液に変更した以外は、 実施例 2 5の記載と同様であり、 該コンデンサ素子を 評価した。 結果を表 5及び表 6に示した。 但し、 重合体組成物中の硫酸ィォ ン及び d—カンファースルホン酸イオンの含量は、 実施例 2 5記載の方法で 求めたところ、 硫酸イオン含量は 2 3モル%、 d—カンファースルホン酸ィ オン含量は、 1 4モル%であった。 しかしながら、 鉄元素が 1 1重量%存在 するために、 コンデンサ特性は好ましくなかった。
実施例 3 1 実施例 2 5で使用した A P Sの替わりに塩化鉄を 1 0重量%とし、 d—力 ンファースルホン酸ナトリウム 0. 1 重量%に調製された溶液に変更した以外 は、 実施例 2 5の記載と同様であり、 該コンデンサ素子を評価した。 結果を 表 5及び表 6に示した。 但し、 重合体組成物中の d—カンファースルホン酸 イオンの含量は、 実施例 2 5記載の方法で求めたところ、 2. 3 モル%であつ た。 硫酸イオンが併用して含有されていないためにコンデンサ特性はあまり 好ましくなかった。
表 5
初期特性
C DF Ζ LC 不良数 Ζ試料数 ショート
% πι Ω μ Α 個 個
実施例 25 5.2 0.8 26 0.04 0/30 0
実施例 26 5.3 0.9 24 0.04 0/30 0
実施例 27 5.0 1.0 32 0.05 1/30 0
実施例 28 4.8 1.1 40 0.06 2/30 0
実施例 29 4.7 1.2 50 0.08 2/30 0
実施例 30 5.4 0.6 25 0.08 1/30 0
実施例 31 4.5 1.4 52 0.05 2/30 0
表 6
リフロー試験 而ォ湿試験 不良数 Z試料数 ショート τ■し c_ . っヽ电本 、 z、ノコ ~ k
個 Z個 不良個 Z試料個 実施例 25 0/30 0 0.14 0/30 0
実施例 26 0/30 0 0.16 0/30 0
実施例 27 0/29 0 0.20 0/29 0
実施例 28 2/28 0 0.25 1/26 0
実施例 29 1/28 0 0.30 1/27 1
実施例 30 2/29 0 0.35 0/27 0
実施例 31 2/28 0 0.84 2/26 2
実施例 3 2
実施例 1乃至 1 0、 実施例 1 3乃至 2 4及び実施例 2 5乃至 3 1に記載の 方法で形成した導電性高分子層の固体電解質を具備したアルミニウム化成に 関して、 それぞれ箔の断面の走査電子顕微鏡写真 (5, 000 倍) を調べたとこ ろ、 殆どすベて箔において該誘電体の微細孔内の表面は、 導電性高分子層の 層状構造で覆い尽され、 また層状導電性高分子層間に空間部が存在すること が確認された。 例えば、 実施例 1において観測された断面写真を図 2に示し た。 ここで、 微細孔構造の外部表面に形成された導電性高分子層の厚さは約 5 j mであり、 層状構造を形成する 1層当りの厚さは約 0. l〜0. 5 mの範囲 であった。 また、 上記アルミニウム箔の微細孔部分の拡大写真から、 導電性 高分子が微細孔内の表面を覆い尽くしているが、 この部分においても空間部 が存在することがわかった。
産業上の利用可能性
以上説明したように、 本発明の固体電解コンデンサ及び製造方法では、 π 電子共役構造を有する導電性高分子を含む固体電解質中に、 (1)アルコキシ 置換ナフタレンモノスルホン酸ァニオン、 (2)複素環式スルホン酸ァニオン、
(3)脂肪族多環状化合物のァニオンから選択される少なくとも一種類の有機 ァニオンをドーパントとして含み、 また他のドーパント能を有するァニオン を併含することを特徴として、 小型で低インピーダンス及び Zまたは耐火花 電圧特性の優れた高性能固体電解コンデンサを提供することができる。 また、 本発明の固体電解コンデンサでは、 固体電解質に特定のボリへテロ 環式化合物、 特にジォキシメチレン基が置換した導電性ポリチォフェン類を 使用することによって、 耐電圧特性 (火花電圧試験) 、 高周波特性、 t a n δ、 インピーダンス特性、 漏洩電流、 耐熱性 (リフロー性) 等が大幅に向上 する効果を見い出した。 特に、 前記導電性高分子中に前記有機ァニオンの含 量が 0. 1〜 5 0モル%の範囲であり、 かつ硫酸イオン含量が 0. 1〜 1 0モ ル%の範囲で含まれていることによって高性能なコンデンサ特性を有する固 体電解コンデンサを提供することができる。