明 細 書 テトラヒドロイソキノリン誘導体
技術分野
本発明は、 ジぺプチジルぺプチダーゼ I V阻害作用を有し、 かつテトラヒドロイ ソキノリン骨格を有する化合物を有効成分としてなる医薬組成物並びに新規テトラ ヒ ドロイソキノリン誘導体及びその製法に関する。
背景技術
ジぺプチジルぺプチダーゼ I Vは、 ポリぺプチド鎖の遊離 N末端から X— P r 0 (Xはいかなるアミノ酸であってもよレ のジぺプチドを特異的に加水分解するセリ ンプロテアーゼの 1種である。 免疫系細胞においては T細胞の活性化にともなって 発現が誘導され、 T細胞の活性化と増殖に重要な役割をはたしている(ョ一口ピア ン ' シヤーナル ' ォブ · ィミュノロシー、 Eu r o p e a n J o u r n a 1 o f I mmu n o l o g y)、 17巻、 1 82 1— 1826頁、 1 987年;ノ ィォロジカル ' ケミス トリー ' ホッペ一セイラー(B i 0 1 0 g i c a 1
Ch emem i s t r y Ho p p e— S e y l e r)、 37 1 ¾、 699— 70 5頁、 1 990年)。 すなわち、 ジぺプチジルぺプチダーゼ I Vを抗体や阻害物質 によってブロックすると T細胞の活性化が抑制される。 また、 コラーゲン代謝異常 や免疫異常疾患において本酵素と病態との関連性に興味がもたれている。 たとえ ば、 リゥマチ患者においては末梢血 T細胞のジぺプチジルぺプチダーゼ I V陽性率 が上昇しており、 腎炎患者尿中には高いジぺプチジルぺプチダーゼ I V活性が検出 される。
公知のジぺプチジルぺプチダーゼ I V阻害化合物の例としては、 トリぺプチドで
あるジプロチン A ( L—イソロイシル一 L—プロリル一 L—イソロイシン)、 ジプロ チン B ( L—バリルー L—プロリル一 L—口イシン)並びにジプロチン C ( Lーバリ ル一 L一プロリル一: L—イソロイシン)(特開昭 59— 25366号)、 A 1 a— P r o—二トロべンゾィルヒドロキシルァミン(ジャーナル ·ォブ 'ェンザィム · インヒヒシヨン、 j o u n a l 0 t En z yme I n h i b i t i o n)、 2 巻、 1 29— 142頁、 1988年)、 A 1 a— b o r o P r o並びに P r o— b o r o P r o (但し、 b o r o P r oはプロリンのカルボキシル基が B (OH) 2 基と置換された化合物を示す)(プロシーディングズ ·ォブ ·ザ · ナショナル · ァカ デミ一 ·ォブ ·サイエンシーズ ·ォブ ·ザ ·ュナイテツド ·ステイツ ·ォブ · ァメ リカ (P r o c e e d i n g s o I t h e Na t i o n a l
Ac a d emy o f S c i e n c e s o f h e Un i t e d
S t t e s o f Ame r i c a)、 88巻、 1 556— 1 559頁、 199 1年)及び L y s—(Z (NO 2))—チアゾリジン(但し、 Z (N〇 2)は 4—二トロべ ンジルォキシカルボ二ル基を示す)(バイオロジカル 'ケミストリー ' ホッペ一セィ フー (B i o l o g i c a l し h emem i s t r y H o p p e—
S e y 1 e r)、 372巻、 305— 3 1 1頁、 1 99 1年)が知られている。 しか しながら、 テトラヒドロイソキノリン骨格を有するジぺプチジルぺプチダーゼ I V 阻害化合物は知られていない。
発明の開示
本発明は、 優れたジぺプチジルぺプチダーゼ I V阻害作用活性を有する化合物及 びそれら化合物を有効成分としてなる医薬組成物を提供するものである。
本発明者らは、 主に土壌から分離した微生物の培養物を検討していたところ、 ァ スペルギルス属のカビの培養液中にジぺプチジルぺプチダーゼ I V阻害活性を示す
化合物が生産されることを見出した。 これらの化合物を当該培養液から単離 ·精製 し、 その物理化学的性質を検討して化学構造を決定したところ、 これらが新規化合 物であることが判明した。
また一方、 本発明者らは、 ジぺプチジルぺプチダ一ゼ I Vを阻害すれば T細胞の 活性化を特異的に抑制でき、 慢性関節リウマチゃァレルギ一など T細胞の活性化が 関与する免疫異常症や免疫不全症を予防 ·治療できるのではないかと考え、 鋭意研 究を重ねた結果、 前述の微生物由来の化合物を含めテトラヒドロイソキノリン骨格 を有する一連の化合物がジぺプチジルぺプチダーゼ I V阻害作用を有しており、 自 己免疫疾患(関節炎、 慢性関節リゥマチ等)の予防 ·治療に有効であるとの新たな知 見を得、 該知見に基づき本発明を完成するに至った。
すなわち、 本発明は、 ジぺプチジルぺプチダーゼ I V阻害作用を有し、 かつテト ラヒドロイソキノリン骨格を有する化合物又はその薬理的に許容しうる塩を有効成 分としてなる医薬組成物を提供するものである。
また、 本発明は一般式 [ I ] : .
(式中、 R 1は( 1 )ァミノ原子団が保護されていてもよいアミノ酸から力ルポキシ 原子団のヒドロキシ原子団を取り去った構造を有する基又は( 2 )ァミノ基の保護 基、 R 2は(1 )保護されていてもよい水酸基、 (2 )カルボキシ原子団が保護されて いてもよいアミノ酸からァミノ原子団の水素原子を 1つ取り去った構造を有する基 又は(3 ) 1級もしくは 2級アミン又はアンモニアから窒素原子上の水素原子を 1つ
取り去った構造を有する基、 R 3、 R4、 R 5及び R 6は同一又は異なって水素原 子、 水酸基又は低級アルコキシ基を表す)
で示される新規テトラヒドロイソキノリン誘導体又はその薬理的に許容しうる塩、 さらには、 これら化合物の製法を提供するものである。
さらに、 本発明は、 下記の一般式 [I I]:
(式中、 R 7及び R 8は一方が水酸基、 他方が水素原子又は水酸基を表す) で示されるテトラヒドロイソキノリン誘導体又はその薬理的に許容しうる塩を提供 するものである。 上記一般式 [I I]において R 7及び R 8が水酸基である化合物を 以下、 丁1^(:ー2八とレ ぃ、 R 7が水酸基、 R 8が水素原子である化合物を以下、 TMC— 2 Bとレ い、 R 7力?水素原子、 R 8が水酸基である化合物を以下、 TMC — 2 Cという。
本発明はまた、 これ TMC— 2A、 TMC— 2 B及び TMC— 2 Cの微生物に よる製造法を提供するものである。
図面の簡単な説明
図 1は TMC— 2Aの UVスぺク トルである。
図 2は TMC— 2Bの UVスぺク トルである。
図 3は TMC— 2 Cの UVスぺク トルである。
図 4は TMC— 2Aの I Rスぺク トルである。
図 5は TMC— 2 Bの I Rスペクトルである。
図 6は TMC— 2 Cの I Rスぺクトルである。
図 7は TMC— 2 Aの 1 H— NMRスぺクトルである。
図 8は TMC— 2 Bの 1 H— NMRスぺクトルである。
図 9は TMC— 2 Cの1 H— NMRスぺクトルである。
図 10は TMC— 2 Aの13 C— NMRスぺク トルである。
図 1 1は TMC— 2Bの 13 C— NMRスぺク トルである。
図 12は TMC— 2 Cの 13 C— NMRスぺク トルである。
図 13は丁1^(:ー2八のラッ トアルキルジァミン誘発関節炎に対する抑制効果を 示す線図である。
C 0 n t (-) : アルキルジアミンを投与しなかった対照群
C 0 n t ( + ) : アルキルジァミンを投与した対照群
図 14は TMC— 2 A及び実施例 13の化合物のラッ トアジュバンド誘発関節炎 に対する抑制効果を示す線図である。
C 0 n t (-) :結核菌加熱死菌を投与しなかった対照群
C 0 n t ( + ) :結核菌加熱死菌を投与した対照群
発明を荬旆するための最良の形熊
本発明の医薬組成物.としては、 ジぺプチジルぺプチダーゼ I V阻害作用を有し、 かつテトラヒドロイソキノリン骨格を有する化合物又はその薬理的に許容しうる塩 を有効成分としてなる医薬組成物があげられる。 具体的には、 ジぺプチジルぺプチ ダ一ゼ I V阻害活性を有し、 かつ式:
で示される部分構造を含む化合物又はその薬理的に許容しうる塩を有効成分として なる医薬組成物があげられる。 また、 さらには、 一般式 [ I ]で示されるテトラヒド 口イソキノリン誘導体又はその薬理的に許容しうる塩を有効成分としてなる医薬組 成物があげられる。
本発明の医薬組成物は、 ジぺプチジルぺプチダーゼ I V阻害剤、 さらには自己免 疫疾患の予防 ·治療剤、 とりわけ関節炎の予防 ·治療剤、 慢性関節リゥマチの予 防 ·治療剤として有用である。
本発明のテトラヒドロイソキノリン誘導体としては、 一般式 [ I ]で示される化合 物があげられる。
また、 本発明のテトラヒドロイソキノリン誘導体 [ I ]又はその薬理的に許容しう る塩は、 優れたジぺプチジルぺプチダーゼ I V阻害作用するので、 ジぺプチジルぺ プチダーゼ I V阻害剤として有用である。 さらに、 テトラヒドロイソキノリン誘導 体 [ I ]又はその薬理的に許容しうる塩は、 優れた自己免疫疾患の予防 ·治療作用を 有し、 自己免疫疾患の予防,治療剤、 とりわけ、 関節炎の予防 ·治療剤、 慢性関節 リゥマチの予防 ·治療剤として有用である。
一般式 [ I ]で示される化合物において、 好ましい化合物としては、 R 1が(1 )ァ リールォキシカルボニル基、 ァリール基置換低級アルコキシカルボニル基もしくは 低級アルコキシカルボニル基でアミノ原子団力?保護されていてもよいアミノ酸から カルボキシ原子団のヒドロキシ原子団を取り去った構造を有する基又は(2 )ァリー ルォキシカルボニル基、 ァリール基置換低級アルコキシカルボ二ル基もしくは低級 アルコキシカルボニル基、 R 2が( 1 )ァリール基置換低級アルキル基で置換されて いてもよい水酸基、 (2 )低級アルキルもしくはァリール基置換低級アルキルでカル ボキシ原子団が保護されていてもよいアミノ酸からァミノ原子団の水素原子を 1つ 取り去った構造を有する基又は(3 )低級アルキル又はァリール置換低級アルキルか
ら選ばれる基 1つもしくは 2つで置換されていてもよいアミノ基、 R 3、 R 4、 R
5及び R 6が同一又は異なつて水素原子、 水酸基又は低級アルコキシ基があげられ
Ό o
このうち、 より好ましい化合物としては、 R 1が( 1 )ベンジルォキシカルボニル 基もしくは t e r t—ブトキシカルボニル基でアミノ原子団が保護されていてもよ レ トリプトフィル基、 リジル基もしくはフエ二ルァラニル基又は(2 )ベンジルォキ シカルボニル基もしくは t e r t一ブトキシカルボニル基、 1^ 2カ^ 1 )べンジル基 で保護されていてもよい水酸基、 (2 )メチル基もしくはべンジル基でカルボキシ原 子団が保護されていてもよい、 ァラニン、 バリン、 ロイシン、 イソロイシン、 プロ リン、 フエ二ルァラニン、 トリプトファン、 メチォニン、 グリシン、 セリン、 0— ベンジルーセリン、 トレオニン、 システィン、 グルタミン、 ァスパラギン、 チロシ ン、 リジン、 アルギニン、 ヒスチジン、 ァスパラギン酸、 グルタミン酸及び式:
(式中、 R 7及び R 8は上記と同一意味を有する)
から選ばれる α—アミノ酸の ff —アミノ原子団の水素原子を一つ取り去った構造を 有する基又は(3 ) t e r t—プチル基又はべンジル基から選ばれる基 1つもしくは 2つで置換されてもよいアミノ基、 R 3力?水素原子又は低級アルコキシ基、 R 4が 水素原子又は水酸基、 R 5カ?水素原子又は低級アルコキシ基、 R 6が水素原子、 水 酸基又は低級アルコキシ基である化合物があげられる。
さらに、 .薬効上好ましい化合物としては、 R 1がトリブトフィル基、 R 2が(1 ) 水酸基、 (2 )ァラニン、 ノ リン、 ロイシン、 イソロイシン、 プロリン、 フエニルァ
ラニン、 トリブトファン、 メチォニン、 グリシン、 セリン、 トレオニン、 システィ ン、 グルタミン、 ァスパラギン、 チロシン、 リジン、 アルギニン、 ヒスチジン、 ァ スパラギン酸及びグルタミン酸から選ばれる《—アミノ酸から《—アミノ原子団の 水素原子を 1つ取り去った構造を有する基又は(3)アミノ基、 R3、 R4、 R 5及 び R 6が水素原子である化合物があげられる。
また、 これらのうち、 薬効上、 より好ましい化合物としては、 R 1がトリブト フィル基、 1^ 2が(1)水酸基、 (2)グルタミン、 セリン、 ァスパラギン酸、 グルタ ミン酸、 ァラニン、 システィン、 アルギニン、 メチォニン及びァスパラギンから選 ばれる α—アミノ酸から《—アミノ原子団の水素原子を 1つ取り去った構造を有す る基又は(3)アミノ基、 R 3、 R 4、 R 5及び R 6力 S水素原子である化合物があげら れる。
さらに、 とりわけ薬効上好ましい化合物としては、 2— L—トリブトフィルー 1 , 2, 3, 4—テトラヒドロイソキノリル一 3—力ルボン酸があげられる。
また、 薬効上好ましい別の化合物としては、 TMC— 2A、 TMC— 2Bもしく は TMC— 2 C、 即ち、 一般式 [I I] :
(式中、 R 7及び R 8は上記と同一意味を有する)
で示される化合物があげられる。
本明細書中、 アミノ酸としては、 L体、 D体及びそれらの混合物のいずれも含 み、 例えば、 ァラニン、 ノ リン、 ロイシン、 イソロイシン、 プロリン、 フエニルァ
ラニン、 トリプトファン、 メチォニン、 グリシン、 セリン、 トレオニン、 システィ ン、 グルタミン、 ァスパラギン、 チロシン、 リジン、 アルギニン、 ヒスチジン、 ァ スパラギン酸及びグルタミン酸等のタンパク質構成 α—アミノ酸、 ノルロイシン、 α—アミノ酪酸、 y—ァミノ酪酸、 一ァミノイソ酪酸、 β—了ラニン、 ホモセリ ン、 ひーメチルーセリン、 〇一ベンジルーセリン、 0—力ルバミル一セリン及び ーヒ ドロキシ一ァ一ォキソ一ノルバリン等の脂肪族モノアミノカルボン酸、 "ーァ ミノアジピン酸、 テアニン、 ァ一メチレングルタミン酸及び y—メチルグルタミン 酸等のモノアミノジカルボン酸、 オル二チン、 ーリジン、 α, —ジァミノプロ ピオン酸及び α, y—ジアミノ酪酸等のジアミノモノカルボン酸、 ジアミノピメリ ン酸等のジアミノジカルボン酸、 システィン酸等の含スルホン酸アミノ酸、 チロニ ン、 キヌレニン及び 3 , 4—ジォキシフヱニル一ァラニン等の芳香族アミノ酸、 ァ ジリジン一 2, 3—ジカルボン酸、 2—ァミノ _ 3— (ィソォキサゾリン一 5—オン — 4—ィル)プロピオン酸及びァンチカプシン等の複素環ァミノ酸、 4—ォキサリ ジン、 4一ォキソリジン及び 3 , 6—ジァミノ一 5—ヒドロキシへキサン酸等の塩 基性アミノ酸、 シスタチオン、 ランチォニン及び S—メチル一システィン等の含硫 アミノ酸、 ピペコリン酸、 ァゼチジン一 2—力ルボン酸及び 2—アミノシクロペン タン一 1—カルボン酸等の環状アミノ酸、 及びシトルリン、 ァラノシン及びァザセ リン等の特殊官能基置換ァミノ酸等、 さらには、 式:
(式中、 R 7及び R 8は上記と同一意味を有する)
で示されるものがあげられる。
このうち好ましいものとしては、 例えば、 ァラニン、 ノ リン、 ロイシン、 イソ口 イシン、 プロリン、 フエ二ルァラニン、 トリプトファン、 メチォニン、 グリシン、 セリン、 0—ベンジル一セリン、 トレオニン、 システィン、 グルタミン、 ァスパラ ギン、 チロシン、 リジン、 アルギニン、 ヒスチジン、 ァスパラギン酸及びグルタミ ン酸等の《—アミノ酸及び式:
(式中、 R 7及び R 8は上記と同一意味を有する)
で示されるものがあげられる。
本明細書中、 R 1における 「アミノ酸からカルボキシ原子団のヒドロキシ原子団 を取り去った構造を有する基」 としては、 例えば、 ァラニン、 ノ リン、 ロイシン、 イソロイシン、 プロリン、 フエ二ルァラニン、 トリプトファン、 メチォニン、 グリ シン、 セリン、 トレオニン、 システィン、 グルタミン、 ァスパラギン、 チロシン、 リジン、 アルギニン、 ヒスチジン、 ァスパラギン酸、 グルタミン酸等のな 一アミノ 酸から α —カルボキシ 子団のヒドロキシ原子団を取り去った構造を有する基、 即 ち、 ァラニル基、 ノ s-リフレ基、 ロイシル基、 イソロイシル基、 プロリル基、 フエニル ァラニル基、 トリブトフィル基、 メチォニル基、 グリシル基、 セリル基、 トレオニ ル基、 システィニル基、 グルタミル基、 ァスパラギニル基、 チロシル基、 リジル 基、 アルギニル基、 ヒスチジル基、 ァスパルチル基及びグルタミニル基があげられ る。 このうち、 好ましい例としてはトリブトフィル基、 リジル基及びフエ二ルァラ ニル基があげられ、 特に好ましい例としてはトリブトフィル基があげられる。 また、 R 2における 「カルボキシ原子団が保護されていてもよいアミノ酸からァ
ミノ原子団の水素原子を 1つ取り去った構造を有する基」 としては、 例えば、 、 ァ ラニン、 ノ リン、 ロイシン、 イソロイシン、 プロリン、 フエ二ルァラニン、 トリプ トフアン、 メチォニン、 グリシン、 セリン、 トレオニン、 システィン、 グルタミ ン、 ァスパラギン、 チロシン、 リジン、 アルギニン、 ヒスチジン、 ァスパラギン 酸、 グルタミン酸、 イソロイシンメチルエステル、 〇一べンジルーセリンべンジル エステル、 さらには、 式:
(式中、 R 7及び R 8は上記と同一意味を有する)
で示されるアミノ酸の如き《—アミノ酸から α —アミノ原子団の水素原子を 1つ取 り去った構造を有する基があげられる。 このうち、 好ましい例としてはグルタミ ン、 セリン、 ァスパラギン酸、 グルタミン酸、 ァラニン、 システィン、 アルギニ ン、 メチォニン及びァスパラギンの α—アミノ原子団の水素原子を 1つ取り去った 構造を有する基、 より好ましい例としては、 グルタミン及びセリンのひ 一アミノ原 子団の水素原子を 1つ取り去った構造を有する基があげられる。 また、 別の好まし い例としては、 式:
ヽ
(式中、 R 7及び R 8は上記と同一意味を有する)
で示される基があげられる。
R 2における 「1級もしくは 2級アミン又はアンモニアから窒素原子上の水素原 子を 1つ取り去った構造を有する基」 としては、 例えば、 低級アルキル又はァリー ル置換低級アルキルから選ばれる基 1つもしくは 2つで置換されていてもよいアミ ノ基があげられ、 このうち好ましくは、 t e r t —ブチル基又はべンジル基から選 ばれる基 1つもしくは 2つで置換されてもよいアミノ基があげられる。 これらのよ り具体的な例としては、 t e r t —プチルァミノ基、 ベンジルァミノ基、 アミノ基 等が上げられ、 より好ましい例としては、 ァミノ基があげられる。
本発明の目的化合物 [ I ]は、 テトラヒドロイソキノリン骨格部分の 3位の立体配 置が R配置のもの、 S配置のもの及びそれらの混合物のいずれも含み、 これらのう ち、 Sの立体配置を持った化合物が好ましい。 また、 化合物 [ I ]がさらに不斉炭素 原子を持つ場合においては、 それら不斉炭素原子に基づくいずれの立体異性体、 ま た、 それらの混合物も本発明に含まれる。
本発明の有効成分である化合物 [ I ]は、 ペプチド合成の常法、 例えば、 「ぺプチ ド合成」 (合成化学シリーズ、 丸善株式会社発行、 1 9 7 5年)及び 「ペプチド合成 の基礎と実験」 (丸善株式会社発行、 1 9 8 5年)に記載の方法又はこれらに準じる 方法により、 液相法でも固相法でも製することができる。
化合物 [ I ]のうち、 一般式 [ I 一 a ] :
(式中、 R 2 2は(1 )カルボキシ原子団が保護されていてもよいアミノ酸からァミノ 原子団の水素原子を 1つ取り去った構造を有する基又は(2 ) 1級もしくは 2級アミ ン又はアンモニアから窒素原子上の水素原子を 1つ取り去つた構造を有する基、 R
R 3、 R 4、 R 5及び R 6は上記と同一意味を有する)
で示される化合物は、 一般式 [I I I] :
(式中、 R i 1は(1)少なくともアミノ原子団カ s '保護されているアミノ酸からカルボ キシ原子団のヒドロキシ原子団を取りまつた構造を有する基又は( 2 )ァミノ基の保 護基、 R3、 R4、 R 5及び R 6は上記と同一意味を有する)
で示される化合物又はそのカルボキシ基における反応性誘導体と一般式 [I V]:
H-R 21 [I V]
(式中、 R 21は(1)少なくともカルボキシ原子団が保護されているアミノ酸からァ ミノ原子団の水素原子を 1つ取り去った構造を有する基又は(2) 1級もしくは 2級 ァミン又はアンモニアから窒素原子上の水素原子を 1つ取り去つた構造を有する基 を表す)
で示される化合物とを縮合させることにより一般式 [V]:
(式中、 R H、 R21、 R 3、 R4、 R 5及び R 6は上記と同一意味を有する) で示される化合物を製し、 所望により保護基を除去することにより製することがで きる。
また、 化合物 [I]のうち、 一般式 [I— b]
(式中、 R 13はァミノ原子団が置換されていてもよいアミノ酸からカルボキシ原子 団のヒドロキシ原子団を取り去った構造を有する基、 R2、 R3、 R4、 R 5及ぴ R 6は上記と同一意味を有する)
で示される化合物は、 一般式 [VI] :
(式中、 R 23は(1)保護されている水酸基、 (2)少なくともカルボキシ原子団が保 護されているアミノ酸からァミノ原子団の水素原子を 1つ取り去った構造を有する 基又は(3) 1級もしくは 2級ァミン又はアンモニアから窒素原子上の水素原子を 1 つ取り去った構造を有する基、 R3、 R4、 R 5及び R 6は上記と同一意味を有する )
で示される化合物と一般式 [VI I]:
R 12-OH [VI I]
(式中、 R 1 2は少なくともァミノ原子団が保護されているアミノ酸からカルボキシ 原子団のヒドロキシ原子団を取り去った構造を有する基を表す)
で示されるアミノ酸又はそのカルボキシ基における反応性誘導体とを縮合させるこ
とにより一般式 [V I I I] :
(式中、 R 1 2、 R 23、 R 3、 R 4、 R 5及び R 6は上記と同一意味を有する) で示される化合物を製し、 所望により保護基を除去することにより製することがで さる。
より具体的な製法の例を次の(A)〜(C)に示す。
(A)—般式 [I X] :
(式中、 R 1 4はアミノ棊の保護基、 R 3 1、 R 4 1、 R 5 1及び R 6 1は同一又は異 なって水素原子、 水酸基又は低級アルコキシ基を表す)
で示される化合物又はそのカルボキシ基における反応性誘導体と一般式 [ X ] :
H-R 2 [X]
(式中、 R 24は( 1 )少なくともカルボキシ原子団が保護されているアミノ酸からァ ミノ原子団の水素原子を 1つ取り去った構造を有する基又は(2) 1級もしくは 2級 ァミン又はアンモニアから窒素原子上の水素原子を 1つ取り去った構造を有する基 を表す)
で示される化合物を適当な縮合剤を用い、 適当な溶媒中、 一 30°C〜室温で縮合さ せることにより一般式 [X I]:
(式中、 R 1 4、 R 24、 R 3 1、 R 41、 R 51及び R 61は上記と同一意味を有する) で示される化合物を製し、 所望により保護基を常法に従って除去することにより対 応する目的化合物 [ I ]を製することができる。
また、 所望により、 該化合物 [X I]の N末端の保護基 R 14を除去した一般式 [
X I I] :
(式中、 R 24、 R 31、 R 4 1、 R 51及び R 61は上記と同一意味を有する) で示される化合物と一般式 [X I 1 1]:
R 1 5-OH [X I I I]
(式中、 R 1 5は少なくともアミノ原子団が保護されているアミノ酸からカルボキシ 原子団のヒドロキシ原子団を取り去った構造を有する基を表す)
で示されるアミノ酸とを適当な縮合剤を用い、 適当な溶媒中、 氷冷下〜室温で縮合 させることにより一般式 [X I V]:
(式中、 R 1 5、 R 24、 R 3 1、 R 4 1、 R 51及ぴ R 61は上記と同一意味を有する) で示される化合物を製し、 さらに所望により、 保護基を常法に従って除去すること により対応する目的化合物 [ I ]を製することができる。
上記化合物 [I X]、 [X]、 [X I]、 [X I I], [X I I I]及び [X I V]におい て、 R i 4の好ましい例としては、 ァリール基置換低級アルコキシカルボニル基が あげられ、 R 15の好ましい例としては、 低級アルコキシカルボニル基でアミノ原 子団が保護されている α—アミノ酸から α—カルボキシ原子団のヒドロキシ原子団 を取り去った構造を有する基があげられ、 R 24の好ましい例としては、 低級アル キルでカルボキシ原子団が保護されている α—アミノ酸から a—アミノ原子団の水 素原子を 1つ取り去つた構造を有する基又は低級アルキル又はァリール置換低級ァ ルキルから選ばれる基 1つもしくは 2つで置換されていてもよいアミノ基があげら れ、 R 3 i、 R4 i、 R 51及び R 6 iの例としては、 同一又は異なって水素原子又は 低級アルコキシ基があげられる。
(B)—般式 [XV]:
(式中、 R 2 5は保護基を有している水酸基を表し、 ; R 3 2、 R 4 2、 R 52及び R 6 2 は同一又は異なって水素原子、 水酸基又は低級アルコキシ基を表す)
で示される化合物と一般式 [XV I]:
R 1 6— OH [XV I]
(式中、 R 1 6は少なくともアミノ原子団が保護されているアミノ酸からカルボキシ 原子団のヒドロキシ原子団を取り去った構造を有する基を表す)
で示されるアミノ酸又はそのカルボキシ基における反応性誘導体とを適当な縮合剤 を用い、 適当な溶媒中、 水冷下〜室温で縮合させることにより一般式 [XV I I]:
(式中、 R 1 6、 R 2 5、 R 3 2、 R 4 2、 R 5 2及び R 6 2は上記と同一意味を有する) で示される化合物を製し、 所望により、 保護基を常法に従って除去することにより 対応する目的化合物 [I]を製することができる。
上記化合物 [XV]、 [XV I]及び [XV I I]において、 R 16の好ましい例とし ては、 低級アルコキシカルボニル基でアミノ原子団が置換されている α—アミノ酸 から α—カルボキシ原子団のヒドロキシ原子団を取り去った構造を有する基があげ られ、 R 25の好ましい例としては、 ァリール基置換低級アルコキシ基があげら れ、 R32、 R42、 R52及び R62の好ましい例としては、 水素原子があげられ る。
(C)上記(B)で得られた化合物のうち、 一般式「XV I I I] :
(式中、 R 1 6、 R 32、 R 42、 R 52及び R 62は上記と同一意味を有する) で示される化合物又はそのカルボキシ基における反応性誘導体と一般式 [X I X]:
H-R 26 [X I X]
(式中、 R 26は(1)少なくともカルボキシ原子団が保護されているアミノ酸からァ ミノ原子団の水素原子を 1つ取り去った構造を有する基又は(2) 1級もしくは 2級 ァミン又はアンモニアから窒素原子上の水素原子を 1つ取り去つた構造を有する基 を表す)
で示される化合物とを適当な縮合剤を用い、 適当な溶媒中、 — 30°C〜室温で縮合 させることにより一般式 [XX]:
(式中、 R 2 6、 R 1 6、 R 3 2、 R 4 2、 R 5 2及び R 62は上記と同一意味を有する) で示される化合物を製し、 所望により、 保護基を常法に従って除去することにより 対応する目的化合物を製することができる。
上記化合物 [XV I I I]、 [X I X]及び [XX]において、 R 1 6の好ましい例と しては、 低級アルコキシカルボニル基でアミノ原子団カ保護されている《—ァミノ
酸から。一カルボキシ原子団のヒドロキシ原子団を取り去った構造を有する基があ げられ、 R 2 6の好ましい例としては、 ァリール基置換低級アルキル基でカルボキ シ原子団が保護されている "一アミノ酸から α—アミノ原子団の水素原子を 1つ取 り去った構造を有する基又はアミノ基があげられ、 R 3 2、 R 4 2、 R 5 2及び R 6 2 の例としては、 水素原子があげられる。
カルボキシ原子団(カルボキシル基)及びアミノ原子団(アミノ基)の保護基として は縮合反応に関与せず、 常法により容易に除去できるものであればよく、 ペプチド 合成におけるアミノ酸の保護基として通常用いられるものを用いることができる。 カルボキシ原子団の保護基としては、 例えば、 低級アルキル基及びァリール基置換 低級アルキル基等があげられ、 具体的にはメチル基、 ェチル基及びベンジル基等が あげられる。 このうち好ましものとしては、 ァリール基置換低級アルキル基があげ られ、 例えば、 ベンジル基等があげられる。 ァミノ原子団の保護基としては、 例え ば、 置換及び非置換低級アルコキシカルボニル基等があげられ、 具体的にはべンジ ルォキシカルボニル基、 4—メ トキシベンジルォキシカルボニル基、 9—フルォレ ニルメチルォキシカルボニル基、 t e r t—ブトキシカルボニル基及び 2 , 2 , 2 - トリクロ口ェチルォキシカルボニル基等があげられる。 このうち好ましものとして は、 ァリール基置換低轵アルコキシカルボ二ル基及び非置換低級アルコキシ力ルポ ニル基があげられ、 例えば、 ベンジルォキシカルボニル基及び t e r t—ブトキシ 力ルボニル基があげられる。 また、 これらカルボキシ原子団及びァミノ原子団の保護基は、 容易に公知の方 法、 例えばぺプチド化学の常法により除去することができる。
アミノ酸のカルボキシル基における反応性誘導体としては、 その活性エステルが あげられ、 例えば、 スクシンイミ ドエステル、 ベンゾトリアゾールエステル等があ げられる。
適当な縮合剤としては、 1 , 3—ジシクロへキシルカルボジイミ ドなどが用いら れる。 また、 エステル活性化剤と縮合剤の組み合わせでも縮合反応を行うことがで き、 例えば、 1ーヒドロキシベンゾトリアゾール(一水和物)と 1ーェチルー 3—( 3—ジメチルァミノプロピル)カルボキシジイミ ド塩酸塩、 N—ヒ ドロキシスクシ ニイミ ドと 1 , 3—ジシクロへキシルカルポジィミ ドを用いることができる。 この うち好ましいものとしては、 1—ヒドロキシベンゾトリァゾール(一水和物)と 1 一 ェチル一 3—(3—ジメチルアミノプロピル)カルボキシジィミ ド塩酸塩の組合わせ があげられる。
適当な溶媒としては、 縮合反応に関与しない不活性溶媒であればよく、 例えば、 ジメチルホルムアミ ド、 ジメチルスルフォキシド、 ジクロロメタン、 ジクロロエタ ン、 クロ口ホルム、 テトラヒドロフラン、 酢酸ェチル及び N—メチルピロリ ドン等 があげられ、 好ましいものとしては、 ジメチルホルムアミ ドがあげられる。
なお、 縮合反応に付す化合物がカルボキシ原子団及びアミノ原子団以外の反応性 の官能基を有する場合は、 常法に従い、 当該官能基をあらかじめ保護してから縮合 反応に付し、 その後、 適宜、 脱保護するのが好ましい。
本発明の目的化合物 [ I ]は、 市販の自動合成装置を用いることにより、 樹脂に所 望の原料アミノ酸を結合させた担体と、 対応する原料アミノ酸誘導体を縮合、 脱保 護を行い、 更に該樹脂を除去した後、 ペプチドの分離手段、 例えば、 抽出、 分配、 再沈殿、 結晶化、 再結晶、 各種クロマトグラフィー、 高速クロマトグラフィー等に よって精製して得ることもできる。
樹脂としては、 最終的に目的物がアミ ドの形で切り出せるものであれば、 いずれ のものでも用いることができ、 たとえば、 Ν— — 9—フルォレニルメ トキシカル ボニルースーパーアシッ ドラビル ポリエチレングリコール ハンドル ポリスチ レン(商品名: F m o c— Ν Η— S A L— P E G R e s i n ;渡辺化学製)、 (4
一 2 ', 4 '—ジメ トキシフエ二ル一 Ν—ひ一 9—フルォレニルメ トキシカルボニル 一アミノメチル)一フエノキシ レジン(商品名: Fmo c— ΝΗ— SAL
R e s i n ;渡辺化学製)及び( 4— 2 ' , 4'—ジメ トキシフエニル— Ν— "一 9— フルォレニルメ トキシカルボ二ルーアミノメチル)一フエノキシァセトアミ ド一ノ ルロイシン一 ρ—メチルーベンズヒ ドロキシァミ ン レジン(商品名: Fmo c— NH-S AL-MBHA R e s i n ;渡辺化学製)などがあげられる。
さらに、 本発明の有効成分である化合物のうち、 一般式 [I I] :
(式中、 R 7及び R 8は上記と同一意味を有する)
で示されるテトラヒドロイソキノリ ン誘導体、 即ち、 TMC— 2A、 TMC- 2 B もしくは TMC— 2 Cはァスペルギルス属に属するカビを培養し、 その培養物から 単離することにより得ることもできる。
以下に、 ァスペルギルス属に属するカビによる TMC— 2 A、 TMC— 2 Bおよ ぴ TMC— 2 Cの製造法についてさらに詳細に説明する。
TMC— 2A、 TMC— 2 Bおよび TMC— 2 Cの生産菌の一例として、 高知県 高知市の土壌から分離した A 374株が挙げられる。 本菌株の菌学的性質は下記の とおりである。
A 374株の各種培地における 25 °C、 7日間培養後の生育状態を第 1表に示 す。 なお、 色調については J I Sの標準色表(Z 872 1)に従って判定した。
第 1表 TMC— 2A、 2 B及び 2 Cの理化学的性状 性質 TMC - 2 A TMC— 2 B TMC- 2 C 形状 白色粉末 白色粉末 白色粉末 融点 (°c) 166 168 166 168 175 181 溶解性 水、 メタノールに可 水、 メタノールに可 メタノールに可溶、
:浴、 ク ηロ πロ +;^ノιΐレ A 、 グ U U ノレム U U <g ノ 1 ム V /|N 0- 不溶 不溶
比旋光度1) +2.39° (C 0.2, +11.42° (C 0.1, -17.5° (C 0.1,
¾0) ¾0) MeOH)
FAB-MS 571 (M+H)+ 555 (Μ+Η)十 555 (M+H)+
HR FAB- S 571.2331 (M+H)+ ― ―
分子式 C28¾4N4°9 C28¾4N4°8 C28H34N408
U V 212 272 (sh) 212 272 (sh) 212 272 (sh) MAX(MeOH)nm 280, 288 280, 288 280' 288
I R y max (KBr) cm-1 3380, 1650 3380, 1650 3300, 1650 呈色反応 ニンヒ ドリン ニンヒ ドリン ニンヒ ドリン シリ力ゲル (1) 0.45 (1) 0.51 (1) 0.49
TLC Rf 2) (2) 0.30 (2) 0.58 (2) 0.52
HPLC (1) 3.27 (1) 3.82 (1) 3.83
Rt (分) 3) (2) 12.17 (2) 12.83 (2) 12.90
1) TMC— 2 Aと TMC— 2 Bは水溶液として、 TMC— 2 Cはメタノール溶液とし てそれぞれ 20°Cにて測定した。
2) 展開溶媒:(1) CH2C l2 : Me OH : E t OH : H20 (1 0 : 4 : 4 : 2)
(2) E t OA c : Me OH: H20(1 0 : 1 0 : 2)
3)溶出溶媒: ( 1 ) 2 0 % C H3C N— 80 %H20 (1.2 m l 分)
( 2 ) 直線的グラジェント : 1 0 % C H3C N— 90 % H20 ( 0分)— 3 5%CH3CN-6 5%H20 (2 5分)(1.2 m 1 分)
A 374株の生育温度範囲は 1 5〜 45 °Cであり、 至適温度範囲は 20〜 40 °C である。 また、 生育 pH範囲は pH2〜l 3であり、 至適 p Hの範囲は p H 3〜 1 1である。
菌糸は、 その表面は平滑であり、 隔壁を有する。 菌糸の一部から足細胞( f o o t C e l l ; 6.7〜8.7 ^mX 37〜57 m)を持った分生子柄( 6. 7〜8.0 zmX 23〜1 100 m)が形成され、 その先端に亜球形、 一部棍棒状 の頂嚢(17〜24 1« 19〜27 m)が認められる。 頂嚢の上部の半円部分から ピンの形をした一段梗子(p r i ma r y s t e r i gma t a ; 2.3〜3.3 mX 1 3 m)があり、 そこから球形の分生子( 4.0〜6.7 m)力連鎖状ない し連鎖状で束状に形成される。 分生子頭は、 主に円柱状(50〜 1 00 mX 1 6 0〜 200 m)であるが、 グロ一ブ状ゃ球状( 33〜60 111 20〜47 111) の形状を示す分生子頭も認められる。
以上の特徴から、 A 374株はァスペルギルス(A s p e r g i 1 1 u s)属に属 することが判明した。 この As p e r g i l l u s s p. A 374株は、 平成 7 年 5月 1 8日に通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(日本国茨城県つく ば市東 1丁目 1番 3号)へ受託番号 FERM P— 14934として寄託され、 そ の後、 平成 9年 9月 1.9日に同研究所へ受託番号 FERM BP— 6 1 13として 移管寄託された。
本発明の方法によって TMC— 2 A、 TMC- 2 Bおよび TMC— 2 Cを製造す るには、 ァスペルギルス属に属する TMC— 2 A、 TMC— 2 Bおよび TMC— 2 C生産菌を栄養源含有培地に接種して好気的に生育させる。 これによつて、 TMC 一 2 A、 TMC— 2 Bおよび TMC— 2 Cを含む培養物が得られる。
栄養源としては、 微生物の栄養源として使用しうる炭素源および窒素源を使用す ることができる。 たとえば、 ぺプトン、 肉エキス、 コーン 'スティープ ' リカ一、
綿実粉、 落花生粉、 大豆粉、 酵母エキス、 NZ—ァミン、 カゼイン水解物、 硝酸ァ ンモニゥム、 硫酸アンモニゥムなどの窒素源、 および澱粉、 グリセリ ン、 シユーク ロース、 グルコース、 ガラク トース、 マンノース、 糖ミツなどの炭水化物あるいは 脂肪などの炭素源が使用できる。 また、 食塩、 炭酸カルシウム、 リン酸塩、 硫酸マ グネシゥムなどの無機塩を添加できる。 これらのものは、 生産菌が利用し、 TMC — 2 A、 TMC— 2 Bおよび TMC— 2 Cの生産に役立つものであればよい。 上記 TMC— 2 A、 TMC— 2 Bおよび TMC— 2 Cの生産菌の培養には液体培 養が好ましい。 培養温度は、 生産菌が生育し所望の物質が生産される範囲が使用で き、 通常 20〜35°Cである。 培養は、 使用する生産菌の性質に応じて前記条件か ら適宜選択して行うことができる。 所望の TMC— 2A、 TMC— 2 Bおよび TMC— 2 Cは、 培養液中に生産される。 それら生産物の単離 .精製は、 それ自体 公知の方法、 たとえばイオン交換クロマトグラフィー、 分配クロマトグラフィー、 逆相クロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて行うことができる。
本発明のジぺプチジルぺプチダーゼ I V阻害物質 TMC— 2 A、 TMC- 2 Bお よび TM C— 2 Cの理化学的性状を下記の第 2表に示す。
第 2表 A 3 7 4株の各種培地における生育状態 コロニー 表面 裏面 培地 の直径
(平均) 辺縁部を除いた全面 31象部
全面はビロード状で二重に彩られ外側は
麦芽ェキ 平坦で薄く不規
しわの無いご
7ト 76 薄い黄色 (5Y6.3/8. 5)の粉状、 中央部は濃 則で明るい灰色
ス寒天培 くうすい黄色
(74) い緑みの黄色 (6. 3Y/6/8)で粉状、 中心部 (Ν8.5)
地 (2.5Y8/4) には明るい灰色 (N8.0)の綿毛状
ポテトデ 6り〜/ ()■ Ϊ LM5ΐJ t 牛 ¾、入 ^·^ζ_ ジめ 1レ スマ \ 十坦 専ヽ个; しわの無いく キスト (68) らい黄緑色(10Y5/6)の粉状、 中心部には 則で明るい灰色 すんだ黄色 ロース寒 明るい灰色 (Ν8.0)で綿毛状と松葉色 (N8.5) (5Y8/3) 天培地 (10Y5/4)の粉状のものが点在
ッァぺッ 52 odmm ~Γ¾Η ι ·ヽ ヽ; ¾a しわの無いく 全面はレース状で白い、 その上に黄色
ク寒天培 (53) 則で明るい灰色 すんだ黄色 地 (2. 5Υ7. 5/12)で粉状のものが多数存在
(N8.5) (2.5Y8/6)
68 全面はレース状でごくうすい黄色 (5Υ9/2) 平坦で薄く不規 しわの無いご
^ n f- V 苗^巴 & I、^ ΟVϊ¾δ//I丄 (リ1、ノ 刀 ^J x>の v · /Αj?左什 くうすい黄色 サブロー 70腿 (69)
在、 その中に長い菌糸体が点在し、 その (N8.5)に縁取ら (7. 5YR9/3) 寒天培地 上にごくうすい黄色(2Y9/2)で粉状のもの れている
が?在
o 68誦 3 n2^i十 ヽ φ;¾Ξ¾則Β|! 放射状にしわ オート 全面は放射状にしわがあり、 粉状でくす
正しく白色 (N9) のある灰黄色 ミール寒 (68) んだ黄緑(10Υ6/6)、 中央部には明るい灰
に縁取られてい (7. 5YR6/4) 天培地 色 (Ν8.0)綿毛状のものが点在
る
0 / 60蘭 平坦で規則正し 放射状にしわ 全面はビロード状で二重に彩られ外側は
Yp S s寒 (58) く白色 (N9)に縁 のあるごくう 白色 (Ν9)で中央部は明るい灰黄色
大培地 取られている い
(7. 5Υ8/2)綿毛状のものが存在
(10駕.5/3)
76 78腿 白色 (N9)でやや 放射状にしわ
MY 2 0寒 (77) 全面はビロード状であざやかな黄色 不規則に緣取ら のあるレグ 天培地 (2. 5Y7/10)で粉状のものが多数存在 れている ホーン色
(2.5Y8/4)
74 77蘭 白色 (N9)でやや 放射状にしわ 4 0 Y寒 (76) 全面はビロード状でくすんだ黄緑 (5Υ6/8) 不規則に縁取ら のあるレグ 天培地 で粉状のものが多数存在 れている ホーン色
(2.5Y8/4)
また TMC— 2A、 TMC— 2Bおよび TMC— 2 Cの UVおよび I Rスぺクト ルをそれぞれ添付の図 1〜図 3および図 4〜 6に示す。 UVスペクトルは、 各試料 50 gZm 1のメタノール溶液について分析した。 I Rスペクトルは、 各試料を 1 %(w/w)含む臭化力リウム錠剤について分析した。
さらに、 TMC— 2A、 TMC— 2 Bおよび TMC— 2 Cの 400MHzプロト ン核磁気共鳴スペクトルをそれぞれ添付の図 7〜 9に示す。 なお、 TMC— 2Aと TMC— 2 Bは、 重水中にて T S P (トリメチルシリルプロピルスルホン酸ナトリ ゥム)を内部基準として測定した。 また、 TMC— 2 Cは、 重メタノール中にて TMS (テトラメチルシラン)を内部基準として測定した。 また、 それらの化学シフ ト (p pm)を以下に記載する。
TMC- 2 A: 7.55 ( 1 H, d), 7.46 (1 H, d), 7.34 ( 1 H, s), 7. 1 3 ( 1 H, t ), 7.07 ( 1 H, t ), 6.02 ( 1 H, s), 4.82 ( 1 H, d), 4.50 (1 H, d d), 4. 1 1 ( 1 H, d d), 3.77 ( 1 H, d), 3.73 (4 H, m), 3.49〜3.28 (5H, m), 3. 19 ( 1 H, d d), 2.35 (1 H, d d), 1.68 ( 1 H, d d d), 1.44 ( 1 H, d d d), 1.14 ( 1 H, d d), 0.7 1 ( 1 H, m)
TMC- 2 B : 7.58.( 1 H, d d), 7.52 ( 1 H, d), 7.38 (1 H, s), 7.22 (1 H, d d), 7. 1 6 (1 H, d d), 6.09 ( 1 H, s), 4.80 (1 H, d), 4.50 ( 1 H, d d), 4.04 (1 H, d d), 3.83 ( 1 H, d), 3. 77 (1 H, m), 3.73 (3 H, s), 3.50 (1 H, d d), 3.43 (1 H, d d ), 3.08 (2 H, d), 2.39 (1 H, d d), 1.64 (1 H, d d d), 1.20 ( 2 H, m), 0.63 (4 H, m)
TMC- 2.C : 7.53 ( 1 H, d), 7.40 (1 H, d), 7.24 (1 H, s), 7. 12 (1 H, d d), 7.07 ( 1 H, d d), 6.09 ( 1 H, s), 5.06 ( 1 H, d
), 4.23 ( 1 H, d d), 4.2 2 ( 1 H, d d), 3.73 (3 H, s), 3.70 (1 H, d), 3.60 ( 1 H, d d), 3.3 6 (2 H, d), 3. 1 2 (2 H, d), 2.3 7 (1 H, d d), 1.45 (2 H, d d), 1.29 ( 1 H, m), 0.58 ( 1 H, m) , 0. 50 (3 H, d)
TMC— 2A、 TMC- 2 Bおよび TMC— 2 Cの 1 0 OMH zカーボン核磁気 共鳴スペクトルをそれぞれ添付の図 1 0〜図 1 2に示す。 なお、 TMC—2Aと TMC— 2 Bは重水中にてジォキサンを内部標準として測定した。 また、 TMC— 2 Cは重メ タノール中にて TMSを内部標準として測定した。 また、 それらの化学 シフト (p pm)を以下に記載する。
TMC- 2 A : 1 8 1.4, 1 74. 1, 1 73.7, 1 5 1. 1 , 1 48.6, 1 3 9.6, 1 3 7. 1 , 1 3 2.0, 1 29.2, 1 28.0, 1 2 5.2, 1 22.6, 1 20.7, 1 1 4.9, 1 1 3.6, 1 09.9, 1 09. 1, 6 5.6, 63.5, 62.7, 59.3, 5 5.5, 54.8, 4 1.6, 4 1.4, 33. 1 , 3 2.2, 3 0.5
TMC - 2 B : 1 82.0, 1 74.4, 1 74.2, 1 5 1.5, 1 4 9. 1 , 1 3 9. 5, 1 37.7, 1 3 2.4, 1 29.6, 1 28.5, 1 2 5.7, 1 23. 1, 1 2 1.2, 1 1 5.4, 1 1 4.0, 1 1 0.4, 1 09. 1 , 67.6, 64.0, 59.7, 56.3, 5 5.2, 42. 1, 3 7.7, 34.4, 33.4, 3 0.9, 2 0. 1
TMC- 2 C : 1 79.6, 1 7 1.9, 1 7 1.4, 1 50.8, 1 48.0, 1 3 8. 1 , 1 3 5.8, 1 30.0, 1 28. 1, 1 2 5.6, 1 23.2, 1 20.6, 1 1 9.3, 1 1 2.7, 1 1 1.4, 1 08.2, 1 07.7, 68.6, 60.9, 58.2, 53.6, 53.5, 3 9.9, 36.9, 33. 1, 3 1.7, 2 9.5, 1 5.5
なお、 窒素原子および酸素原子に結合しているプロトンは、 丁^ ( ー2八のァセ チル化体を調製し、 その重クロ口ホルム中におけるプロトンおよびカーボン核磁気 共鳴スペクトルを測定することによつて確認した。
以上の結果をもとにして、 TMC— 2A、 TMC— 2 Bおよび TMC— 2 Cは前 記の一般式 [I I]の構造を有することが決定された。 この化学構造の化合物はこれ までに報告されておらず、 TMC_2A、 TMC— 2 Bおよび TMC— 2 Cは新規 物質である。
なお、 ある化合物がジぺプチジルぺプチダーゼ I V阻害作用を有するかどうか は、 例えば、 当該化合物が、 ジぺプチジルぺプチダーゼ I Vにより、 L— G l y- L— P r o— p—二トロアニリ ドが L— G l y— L— P r oと p—二トロア二リン に加水分解される反応を阻害するかどうかで判断することができる。
本発明の化合物は、 遊離の形でも、 また薬理的に許容される塩の形でも医薬用途 に使用することができる。 かかる薬理的に許容される塩としては、 慣用の無毒性塩 であればいずれものでもよく、 例えば、 塩酸塩、 臭化水素酸塩、 硫酸塩又はリン酸 塩等の如き無機酸塩、 ギ酸塩、 酢酸塩、 トリフルォロ酢酸塩、 シユウ酸塩、 マレイ ン酸塩、 フマル酸塩、 酒石酸塩、 メタスルホン酸塩、 ベンゼンスルホン酸塩又はト ルエンスルホン酸塩等 如き有機酸塩、 ナトリウム塩、 カリウム塩等の如きアル力 リ金属塩、 カルシウム塩等の如きアルカリ土類金属塩、 及びアルギニン塩、 ァスパ ラギン酸塩、 グルタミン酸塩等の如きァミノ酸との塩等があげられる。
また、 本発明の目的化合物及びその薬理的に許容しうる塩には、 その分子内塩、 付加物やそれらの溶媒和物或いは水和物等をいずれも含むものと解釈されるべきで あ o
本発明の化合物及びその薬理的に許容しうる塩を有効成分としてなる医薬組成物 を薬剤として用いる場合は、 エアゾール剤、 錠剤、 丸剤、 散剤、 顆粒剤、 トローチ
剤、 液剤、 懸濁剤、 乳剤、 カプセル剤、 マイクロカプセル剤、 座剤、 注射剤、 硬膏 剤、 軟膏剤、 シロップ剤、 パップ剤、 リニメント剤、 ローション剤等の慣用の医薬 製剤の形で、 経口または非経口(静脈内、 筋肉内、 皮内、 皮下、 腹腔内又は直腸内 等)投与することができる。
また、 これら薬剤の添加剤としては、 それぞれの薬剤の治療効果を障害せず、 そ の薬剤の投与量において無害のものであればよく、 慣用のものであればいずれも用 いることができ、 例えば、 安定剤、 緩衝剤、 矯味剤、 懸濁化剤、 乳化剤、 芳香剤、 保存剤、 溶解補助剤、 賦形剤、 着色剤、 結合剤、 崩壊剤、 甘味剤、 粘稠剤、 湿潤 剤、 溶剤等を用いることができる。
医薬製剤中の有効成分の量は、 所望の治療効果を生じるに足りる量であればよ く、 例えば経口又は非経口投与で 0 . 0 l m g Z k g〜: L O O m g Z k gであり、 好ましくは、 1 m g Z k g〜3 O m g Z k gである。
本明細書中、 「ァミノ原子団が保護されていてもよいアミノ酸」 におけるァミノ 原子団の保護基(ァミノ基の保護基)としては、 例えば、 ァシル基、 ァカノィル基、 ァロイル基、 ァラルキルカルボニル基、 ァリールォキシカルボニル基、 ァリール基 置換低級アルコキシカルボニル基又は低級アルコキシカルボニル基等があげられ、 とりわけァリールォキシカルボニル基、 ァリール基置換低級アルコキシカルボニル 基又は低級アルコキシカルボニル基があげられる。 「カルボキシ原子団が保護され ていてもよいアミノ酸」 におけるカルボキシ原子団が保護されているアミノ酸と は、 ァミノ酸のカルボキシ原子団がエステル化された化合物(ァミノ酸エステル)ま たはアミノ酸のカルボキシ原子団がアミ ド化された化合物(アミノ酸アミ ド)があげ られ、 例えば、 低級アルキルでカルボキシ原子団が保護されたアミノ酸、 ァリール 基置換低級アルキルでカルボキシ原子団が保護されたアミノ酸及びジ低級アルキル ァミンでカルボキシ原子団が保護されたアミノ酸等があげられる。
また、 「アミノ酸」 がァミノ原子団及びカルボキシ原子団以外にも反応性残基を 有するものである場合 (例えば、 セリンにおける水酸基等)は該反応性残基の種類に 応じ、 ペプチド合成の分野で通常使用される保護基 (例えば、 水酸基であればベン ジル基等)で保護されていてもよい。
「ァリールォキシカルボニル基」 としては、 フエノキシカルボニル基、 ナフチル ォキシカルボニル基があげられ、 「ァリール基置換低級アルコキシカルボ二ル基」 としては、 ベンジルォキシカルボニル基、 フエネチルォキシカルボニル基及びナフ チルメチルォキシ基があげられ、 好ましくは、 ベンジルォキシカルボニル基があげ られる。 また、 「低級アルコキシカルボニル基」 としては、 メ トキシカルボニル 基、 エトキシカルボニル基、 n—プロポキシカルボニル基、 イソプロポキシカルボ ニル基、 n—ブトキシカルボニル基、 イソブトキシカルボニル基、 t e r t—ブト キシカルボニル基、 s e c —ブトキシカルポニル基、 n—ペンチルカルボニル基、 イソペンチルカルボニル基、 s e c —ペンチルカルボニル基、 t e r t —ペンチル カルボニル基、 n—へキシルカルボニル基、 イソへキシルカルボニル基、 s e c— へキシルカルボニル基及び t e r t 一へキシルカルボニル基などがあげられ、 好ま しくは t e r t —ブトキシカルボニル基があげられる。 「ァリール置換低級アルキ ル」 としては、 ベンジ 基、 フエネチル基、 ナフチルメチル基があげられ、 好まし くは、 ベンジル基があげられる。
本明細書中、 ァリールとは、 フヱニル、 ナフチル等を表す。 また、 低級アルキル 及び低級アルコキシとは、 分岐鎖又は直鎖状の炭素数 1 〜 6のものを表し、 好まし くは分岐鎖又は直鎖状の炭素数 1 〜 4のものを表す。
本発明を以下の実験例及び実施例によってさらに具体的に説明するが、 本発明は これらに限定されるものではない。
実験例 1
反応は、 ナガッら(アナリティカル ' イオケミストリー(An a 1 y t i c 1 B i o c h em i s t r y), 74卷、 466— 476頁、 1 976年)の方法に 準じて、 96穴平底プレートを用い 37 °Cで行った。 シ一ドルら(プレパラティ ブ - ィオケミストリー (P r e p a r a t i v e B i o c h em i s t r y) 2 1 (2— 3)卷、 141— 1 50頁、 199 1年)の方法により調製した L ew i sラット腎臓由来のジぺプチジルぺプチダーゼ I V酵素(25 mU/m 1 ) 溶液 5 1、 水 30 し 2 mM 検体化合物のジメチルスルフォキシド溶液 5 μ 1を混合し、 10分間プレインキュベーションを行い、 次いで、 7 1 OmM G 1 y-N aOH(pH8.7 )緩衝溶液 10 し 3mM L— G l y— L— P r 0— p トロアニリ ド(G 1 y— P r 0— p NA; シグマ社製)水溶液 50 μ 1を加え、 生成してくる ρ—ニトロァニリン量をプレートリーダー( THERMOm a x ; モレキュラーデバイス製)を用いて波長 405 nmで吸光度 の増加(Δ〇 D)を測定することにより、 ジぺプチジルぺプチダーゼ I V酵素活性の 阻害率(%)を下式 1により求める。 但し、 ジぺプチジルぺプチダーゼ I V酵素活性 1 Uは、 1分間あたり、 1 mo 1の p トロア二リンを生成する酵素量とす る。 結果は第 3表に示す通りである。 l - (AOD -AODblank)
阻害率 (%) = X 100
△0E tr0l -
△ODblar,, =ジぺプチジルぺプチダーゼ無添加における AOD AODcontrol =検体の代わりに、 DMSOを添加したときの AOD
第 3表
* )後記実施例で得た生成物を検体化合物として実施例に供した。
実験例 2
実験例 1 と同様に、 3mM G 1 y— P r 0— p NA 50 1 と検体 1 0 1を
添加して 3 7°Cに 1 5分間保温した後、 7 1 OmMグリシン緩衝液(p H 8. 7) 1 0 し 蒸留水 2 5 μ 1および L e w i sラット腎臓由来のジぺプチジルぺプチ ダーゼ I V酵素(5 OmU/m 1 )溶液 5 μ 1 を添加 ·混合して 3 7 °Cで反応させ、 ジぺプチジルぺプチダーゼ I V酵素活性の阻害率(%)を上式 1より求めた。 この結 果、 4. 6 g/m 1の TMC— 2 A、 9. 5 g /m 1の TMC— 2 Bまたは 1 1 μ g/ 1の TMC— 2 Cは、 ジぺプチジルぺプチダーゼ I V活性を 5 0%阻害し た。
TMC— 2 A、 TMC— 2 Bおよび TMC— 2 Cは、 ラッ ト腎臓から精製したジ ぺプチジルぺプチダーゼ I Vの他に、 ラッ ト脾臓、 ヒト末梢血単核球およびヒト結 腸ガン細胞株 C a c 0 2から調製したジぺプチジルぺプチダーゼ I Vも阻害するこ と力 s確認された。
さらに、 TMC— 2 A、 TMC— 2 Bおよび TMC— 2 Cの他のぺプチダーゼに 対する作用を検討した。 すなわち、 1 00 g/ 1の濃度において TMC— 2 A、 TMC— 2 Bおよび TMC— 2 Cのプロリルエンドべプチダーゼ、 ズプチリシ ン、 トリプシン、 カテブシン C、 ロイシンアミノぺプチダーゼおよびプロリンアミ ノぺプチダーゼに対する作用を検討した。 その結果、 TMC— 2 Aと TMC— 2 B は試,験したすべてのぺプチダーゼに作用を示さなかった。 一方、 TMC— 2 Cはプ 口リルェンドぺプチダーゼとプロリンアミノぺプチダーゼに対して弱い阻害を示し たが、 ほかのぺプチダーゼは阻害しなかった。 したがって、 TMC— 2 A、 TMC 一 2 Bおよび TMC— 2 Cは、 ジぺプチジルぺプチダーゼ I Vに特異性の高い阻害 化合物であることが判明した。
実験例 3
F 3 4 4/ J c 1ラット(5週令、 雌)の尾根部にアルキルジァミン 3 5mg/ k gを投与することによって、 関節炎を惹起した。 丁1^〇ー 2八は、 生理食塩水に
溶解し、 アルキルジァミン投与日から試験終了まで 3週間、 毎日 1回背部皮下に投 与した。 投与量は、 30、 1 0、 3および 1 mgZk gであった。
各試験群において試験終了時に足躕、がどの程度腫脹したか (各個体におけるァル キルジアミン投与前の足踱の体積を基準としてその何パーセント体積が腫脹したか )を図 1 3に示す。 なお、 足踱の体積は、 足容積測定装置
P l e t h y smome t e r (ュニコム社製)を用いて測定した。 この図 13から 明らかなように、 丁^^。ー2八は、 アルキルジァミン誘発関節炎の発症 ·進展を投 与量依存的に抑制した。 特に、 3 Omg/k gと 1 OmgZk gの投与群において は、 対照群 (生理食塩水投与群)と比較して、 有意に抑制した。
実験例 4
L ew i s系ラット( 6週令、 雌)の尾根部に流動パラフィンに懸濁した結核菌加 熱死菌(M. t u b e r c u l o s i s H37R a株(D i f c o製) 0.6mgZ k gを投与することによって、 関節炎を惹起した。 検体化合物は、 生理食塩水に溶 解し、 結核菌加熱死菌投与日から試験終了まで 1 8日間、 毎日 1回、 背部皮下に投 与した。 投与量は、 TMC— 2 Aにおいては 1 OmgZk g、 実施例 1 7の化合物 においては 30及び 1 Omg/k gであった。
各試験群において試験終了時に足摭がどの程度腫脹したか (各個体における結核 菌加熱死菌投与前の足躕、の体積を基準としてその何パーセント体積が腫脹したか) を図 14に示す。 なお、 足摭の体積は、 足容積測定装置
P l e t h y smome t e r (ュニコム社製)を用いて測定した。 この図 14から 明らかなように、 TMC— 2 Aおよび実施例 13の化合物は、 アジュバンド誘発関 節炎の発症 ·進展を投与量依存的に抑制した。 特に、 TMC— 2Aの 1 Omg/ k g、 実施例 13の化合物の 3 Omg/k gの投与群においては、 対照群(生理食 塩水投与群)と比較して、 有意に抑制した。
実施例 1
(3 S)— 1 , 2, 3, 4ーテトラヒ ドロイソキノリン一 3 _カルボン酸 ' ベンジル エステル 7.3 g、 N- t e r t—ブチルォキシカルボニル一 L _トリプトファン 4.56 g、 1—ヒドロキシベンゾトリァゾール(一水和物) 2.76 g及び 1—ェチ ルー 3— ( 3—ジメチルァミノプロピル)力ルボジィミ ド塩酸塩 3.45 gを、 氷冷 下ジメチルホルムアミ ド 50 m 1に溶解し、 水冷下 2時間、 さらに室温で 1 6時間 撹拌した後、 反応溶液を減圧濃縮した。 残さを酢酸ェチルで抽出、 洗浄、 乾燥、 濃 縮した。 残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸ェチル : n—へキサン = 1 : 2)にて精製し、 アモルファス状の(3 S)— 2— (N_ t e r t一プチルォキ シカルボニル一 Lートリプトフィル)一 1, 2, 3, 4—テトラヒドロイソキノリンー 3—カルボン酸 'ベンジルエステル 8.07 gを得た。
I R(KB r , cm-1) : 3320, 2975, 1730, 1 700, 1 645,
1450, 1430, 1 1 70, 745
MS (S I MS): 554 (M+ 1 )
実施例 2〜 6
1, 2, 3, 4ーテトラヒ ドロイソキノリン一 3—カルボン酸 · ベンジルエステル と N— t e r t—ブトキシカルボニル一 "一アミノ酸誘導体とを実施例 1と同様に 処理して下記第 4表記載の化合物を得た。
第 4表
但し、 表中 Bn- は ベンジル基、 Boc- は tert-ブトキシカルボニル基、 Z- は ベンジ ルォキシカルボ二ル基を表す。
実施例 7
実施例 1で得られた化合物 7. O gをメタノール 50m lに溶解し、 触媒量のパ ラジウム—炭素を加えた後、 溶液を風船圧力のもと室温で 3時間水素添加した。 触 媒をろ別し、 ろ液を濃縮した。 残さを酢酸ェチル一n—へキサン系の溶媒から結晶 化して、 無色結晶の(3 S)— 2—(N— t e r t—ブチルォキシカルボニル一 L— トリプトフィル)一 1, 2, 3, 4—テトラヒドロイソキノリン一 3—力ルボン酸 5.
25 gを得た。
m. p. : 143。。(分解)
I R (KB r , cm -" : 3340, 2980, 1 720, 1 700, 1630,
1440, 1 1 70, 740
MS (S I MS) : 464 (M+ 1 )
実施例 8〜: I 1
実施例 2〜 5で得た化合物を実施例 7と同様に処理して下記第 5表記載の化合物 を得た。
第 5表
但し、 表中 Boc- は tert-ブトキシカルボ二ル基を表す。
実施例 1 2
実施例 6で得られた化合物 2 . 9 7 gをメタノール 2 0 m 1 に溶解し、 1 M水酸 化ナトリウム水溶液 5 m l を加えた後、 室温で 3時間撹拌した。 反応液を減圧濃縮 し残留物をエーテル洗诤した後、 硫酸水素カリウム水溶液を加えて酸性とし、 酢酸
ェチルで抽出した。 抽出液を洗诤、 乾燥、 濃縮し、 アモルファス状の(3 S)_2— |Ν(α)- t e r t—プチルォキシカルボニル一 Ν(ω)—べンジルォキシカルボ二 ルー L—リジル 1 一 1, 2, 3, 4—テトラヒドロイソキノリン一 3—力ルボン酸 2. 62 gを得た。
I R(KB r, cm -": 3340, 2975, 1 705, 1 625, 1 520, 1440, 1240, 1 165
MS (S I MS) : 540 (M+ 1 )
実施例 1 3
実施例 7で得られた化合物 4.0 gを 4 M塩酸一ジォキサン溶液 50m lに溶解 し、 窒素雰囲気下、 室温で 30分間撹拌した。 反応溶液を減圧濃縮し、 残さを水に 溶解した後、 凍結乾燥して淡赤色粉末状の( 3 S )— 2— ( L—トリブトフィル)— 1 , 2, 3, 4—テトラヒドロイソキノリン _ 3—カルボン酸 '塩酸塩 3.3 gを得た。 m. p. : 1 58°C (分解)
I R (KB r , cm -" : 3400, 29 10, 1 720, 1 645, 1490,
1460, 1205, 1 120, 745
MS (S IMS) : 364 (M+ 1 )
実施例 14〜: I 8 .
実施例 8〜 12で得た化合物を実施例 13と同様に処理して下記第 6表記載の化 合物を得た。
第 6表(その 1)
COOH
実施例 物理恒数等
\IL L· I
No.
* アェ Ϊし マ
早乙 ノ ^ Γノレ ノ ,マ 'J-lr^
IR (KBr, cm-り: 3400, 2920, 1720,1650, 1490, 1460,1360, 1110, 870, 740
IH -匿 (DMS0-d6, d): 11.0 (d-
14 D-Trp S
like, J=33 Hz, 1H), 8.5-8.2 (br, 2H), 7.6-6.9 (m, 9H), 5.1-4.0 (m, 4H), 3.5-2.3 (m, 4H)
MS (SIMS): 364 (M+1)
凍乾アモルファス状物
IR (KBr, cm-り: 3400, 2920,
15 L-Trp R 1740, 1645, 1480, 1460, 1120,
870, 745
MS (SIMS): 364 (M+1)
アモルファス状物
IR (KBr, cm-i): 3410, 1650, 1460,1330, 740
1H-NMR(DMS0-d6, d): 11.0
16 S
(br, 1H), 7.5—6.9 (ra, 9H),
H 5.5-5.3 (dd - like, 2H), 4.5- 4.1 (m, 4H), 3.3-2.8 (m, 5H) MS (SIMS): 374 (M - 1)
第 6表(その 2)
但し、 表中 z- はべンジルォキシカルボ二ル基を表す。
実施例 1 9
実施例 7で得られた化合物 463 mg、 0—ベンジル— L—セリン · ベンジルェ ステル 4 1 0mg、 1ーヒドロキシベンゾトリアゾール(一水和物) 1 84mg、 1 —ェチルー 3—(3—ジメチルァミノプロピル)カルポジイミ ド塩酸塩 23 Omgを 水冷下ジメチルホルムアミ ド 20 m 1に溶解し、 氷冷下 2時間さらに室温で 1 6時 間撹拌した後、 反応溶液を減圧濃縮した。 残さを酢酸ェチルで抽出、 洗浄、 乾燥、 濃縮した。 残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸ェチル : n—へキサ ン= 1 : 1 )にて精製し、 アモルファス状の N— |(3 S)— 2—(N— t e r t—ブ チルォキシカルボニル一 L—トリプトフィル)一 1, 2, 3, 4ーテトラヒ ドロイソキ ノリン一 3—カルボニル 1 一 0—ベンジル一 L—セリン · ベンジルエステル 670
mgを得た。
I R(KB r, c m-i) : 3305, 2975, 1735, 1 660, 1640, 1480, 1450, 1 170, 745
MS (S IMS) : 73 1 (M+ 1 )
実施例 20
実施例 7で得られた化合物と L一口イシン 'ベンジルエステルとを実施例 1 9と 同様に処理して N— |(3 S)— 2—(N— t e r t—プチルォキシカルボニル一 L —トリプトフィル)一 1, 2 , 3 , 4—テトラヒ ドロイソキノリン一 3—カルボニル ί 一 L一口イシン ·ベンジルエステルを得た。
m. p. : 99— 100 °C (分解)
MS (S I MS) : 667 (M+ 1 )
実施例 2 1
実施例 1 9で得られた化合物を実施例 7と同様に処理し、 生成物をシリカゲルク 口マトグラフィー(クロ口ホルム : メタノール =20 : 1 )にて分離して(1)ァモル ファス状の N— K3 S)— 2— (N— t e r t—ブチルォキシカルボ二ルー L—ト リプトフィル)一 1, 2, 3 , 4—テトラヒドロイソキノリン一 3—カルボニル 1 — L ーセリン及び(2)アモ^ファス状の N— 1(3 S)— 2— (N— t e r t—プチルォ キシカルボ二ルー L一トリプトフィル)一 1, 2 , 3, 4ーテトラヒ ドロイソキノリン - 3一カルボニル卜一 0—べンジルー Lーセリンを得た。
(1)
I R(KB r , cm -" : 33 1 5, 2960, 1 680, 1640, 1 500, 1450, 1 1 65, 745
MS (S IMS) : 64 1 (M+ 1)
(2)
I R(KB r , cm -" : 3335, 2960, 1680, 1 63 5, 1 51 0, 1 450, 1430, 1 165, 745
MS (S I MS) : 551 (M+ 1 )
実施例 22
実施例 20で得られた化合物 1. 16 gを 4 M塩酸—ジォキサン溶液 20 m 1に 溶解し、 窒素雰囲気下、 室温で 30分間撹拌した。 反応溶液を減圧濃縮し、 残さを エタノールから結晶化して無色粉末状の N— K3 S)— 2— L一トリブトフィル一 1, 2, 3, 4—テトラヒドロイソキノリン一 3—力ルボニル 1 一 L一口イシン ' ベ ンジルエステル 990 m gを得た。
m. p. : 132 - 134 °C
MS(S IMS) : 567 (M+ 1 )
実施例 23
N- 1(3 S)- 2 -(N- t e r t一ブチルォキシカルボ二ルー L—トリブト フィル)ー 1, 2, 3, 4—テトラヒドロイソキノリン一 3—カルボ二ル} 一 L—セリ ンを実施例 1 3と同様に処理してアモルファス状の N— 1(3 S)— 2— L—トリブ トフィル一 1, 2, 3, 4ーテトラヒドロイソキノリンー 3—カルボニル 1 — L—セ リン ·塩酸塩を得た。 .
I R(KB r , cm- " : 3400, 2940, 1 725, 1 650, 1450, 745
MS (S IMS) : 45 1 (M+ 1)
実施例 24
実施例 22で得られた化合物 750 m gをメタノール 50 m 1に溶解し、 触媒量 のパラジゥム—炭素を加えた後、 溶液を風船圧力のもと室温で 3時間水素添加し た。 触媒をろ別してろ液を減圧濃縮し残留物を得た。 残留物をエタノールから結晶
化して無色結晶の N— |(3 S)— 2— L—トリブトフィル一 1, 2, 3, 4ーテトラ ヒドロイソキノリン— 3—カルボニル 1 —L—ロイシン塩酸塩 6 5 Omgを得た。 m. p. : 1 55。C (分解)
MS (S IMS): 477 (M+ 1)
実施例 25
(3 S)— 2—ベンジルォキシカルポニル一 5, 8—ジメ トキシー 1 , 2, 3, 4—テ トラヒドロイソキノリン一 3—カルボン酸 4.5 g、 L—ロイシン ' メチルエステ ル塩酸塩 1.82 g、 1—ヒ ドロキシベンゾトリアゾール(一水和物) 1 · 95 g、 1 —ェチルー 3—(3—ジメチルアミノプロピル)カルボジィミ ド塩酸塩 2.44 g、 トリェチルアミン 1.7 m 1を氷冷下ジメチルホルムアミ ド 35 m 1に溶解し、 氷 冷下 2時間さらに室温で 16時間撹拌した後、 反応溶液を減圧濃縮した。 残さを酢 酸ェチルで抽出、 洗浄、 乾燥、 濃縮した。 残さをシリカゲルカラムクロマトグラ フィ一(クロ口ホルム :酢酸ェチル = 9 : 1 )にて精製し、 無色油状の N— 1(3 S) 一 2一べンジルォキシカルボ二ルー 5, 8—ジメ トキシ一 1, 2 , 3, 4ーテトラヒド 口イソキノリン一 3 _カルボニル 1 — L—ロイシン · メチルエステル 5.0 gを得 た。
I R(KB r, cm- : 3400, 2955, 1740, 1 670, 1485, 1260, 1 1 20, 1085
MS(S IMS) : 499 (M+ 1)
実施例 26
実施例 25で得られた化合物 700mgをメタノール 10m lに溶解し、 1 M水 酸化ナトリウム水溶液 2.8m lを加えた後、 室温で 3時間撹拌した。 反応液を減 圧濃縮し残留物をエーテル洗浄した後、 硫酸水素力リウム水溶液を加えて酸性と し、 酢酸ェチルで抽出した。 抽出液を洗浄、 乾燥、 濃縮し、 アモルファス状の N—
1(3 S)— 2—ベンジルォキシカルボ二ルー 5, 8—ジメ トキシー 1, 2, 3, 4—テ トラヒドロイソキノリン一 3—力ルポニル 1 —L一口イシン 470mgを得た。 I R(KB r, cm -リ : 3400, 2960, 1685, 1485, 1260, 1 085
MS (S IMS) : 485 (M+ 1 )
実施例 27
実施例 25で得られた化合物 4.0 gをメタノール 40 m 1に溶解し、 触媒量の パラジウム一炭素を加えた後、 溶液を風船圧力のもと室温で 3時間水素添加した。 触媒をろ別し、 ろ液を減圧濃縮して残留物を得た。 残さをシリカゲルカラムクロマ トグラフィー(クロ口ホルム :酢酸ェチル =2 : 1)にて精製し、 得られた無色油状 をイソプロピルエーテルから結晶化して無色結晶の N—(( 3 S)— 5, 8—ジメ トキ シ一 1, 2, 3, 4—テトラヒ ドロイソキノリン一 3—力ルボニル)一 L—ロイシン ' メチルエステル 2.02 gを得た。
融点: 1 0 1— 1 15 °C
I R(KB r , cm- " : 3360, 2955, 1735, 166 5, 1480, 1255, 1075
MS(S I S) : 36.5 (M+ 1 )
実施例 28
実施例 27で得られた化合物 1.5 g、 N—ベンジルォキシカルボニル一 Lート リブトフアン 1.39 g、 1—ヒドロキシベンゾトリァゾール(一水和物) 662 mg、 1—ェチル一 3— (3—ジメチルアミノプロピル)カルボジィミ ド塩酸塩 82 8mgを水冷下ジメチルホルムアミ ド 1 5 m 1に溶解し、 水冷下 2時間さらに室温 下で 16時間撹拌した後、 反応溶液を減圧濃縮した。 残さを酢酸ェチルで抽出、 洗 浄、 乾燥、 濃縮した。 結晶性残さを酢酸ェチルから結晶化して無色結晶の N— |(
3 S)— 2—(N—べンジルォキシカルボ二ルー L一トリプトフィル)一 5, 8—ジメ トキシー 1, 2, 3, 4ーテトラヒ ドロイソキノリン一 3—カルボニル } — L一ロイ シン · メチルエステル 2.20 gを得た。
m. p. : 1 30 - 149 °C
I R(KB r, cm- " : 33 1 5, 2955, 1 740, 1 660, 1 530, 1485, 1260, 1085, 745
MS (S I MS) : 685 (M+ 1 )
実施例 29
実施例 28で得られた化合物 350 m gをメタノール 1 5 m 1に溶解し、 触媒量 のパラジウム一炭素を加えた後、 溶液を風船圧力のもと室温で 3時間水素添加し た。 触媒をろ別し、 ろ液を減圧濃縮して結晶性残さを得た。 結晶性残さをイソプロ ピルエーテルにて洗浄し、 アモルファス状の N— 1(3 S)— 2— L—トリプトフィ ルー 5, 8—ジメ トキシー 1, 2, 3, 4ーテトラヒ ドロイソキノリン一 3—カルボ二 ル } 一 L—ロイシン ' メチルエステル 1 7 Omgを得た。
I R(KB r , cm -": 3295, 2955, 1 740, 1 645, 1485, 1260, 1090, 745
MS (S IMS): 551 (M+ 1)
実施例 30
実施例 28で得られた化合物 1.3 gをメタノール 30m lに溶解し、 1 M水酸 化ナトリウム水溶液 3.8 m 1を加えた後、 室温で 6時間撹拌した。 反応液を減圧 濃縮し残留物をェ―テル洗浄した後、 硫酸水素カリウム水溶液を加えて中性とし、 酢酸ェチルで抽出した。 抽出液を洗浄、 乾燥、 濃縮し、 結晶性残さを得た。 結晶性 残さをイソプロピルエーテルにて洗浄し、 無色粉末状の N— 1(33)—2(^1—べ ンジルォキシカルボニル一 L—トリプトフィル } 一 5, 8—ジメ トキシ一 1, 2, 3,
4ーテトラヒ ドロイソキノリン一 3—力ルボニル)一 L—ロイシン 1.1 1 gを得 た。
m. p . : 1 52 - 166 °C
I R (KB r , cm -" : 33 10, 2960, 1700, 1 675, 1 520, 1485, 1260, 1085, 745
MS (S IMS): 67 1 (M+ 1 )
実施例 3 1
実施例 30で得られた化合物 600 m gをメタノール 1 5 m 1に溶解し、 触媒量 のパラジウム一炭素を加えた後、 溶液を風船圧力のもと室温で 3時間水素添加し た。 触媒をろ別し、 ろ液を減圧濃縮して結晶性残さを得た。 結晶性残さをイソプロ ピルエーテルにて洗浄し、 アモルファス状の N— j(3 S)— 2— L一トリブトフィ ル一 5, 8—ジメ トキシ一 1, 2, 3, 4—テトラヒ ドロイソキノリンー 3—カルボ二 ル } —L—ロイシン 345 mgを得た。
I R(KB r, cm-1) : 3400, 2955, 1655, 1480, 1260,
1 085, 745
MS (S IMS) : 537 (M+ 1)
実施例 32〜 5 1
多種品目同時固相法自動べプチド合成装置 P S SM— 8 (島津製作所製)を使用 し、 以下の手順に従ってペプチド合成を行った。 ベンゾキシベンジルアルコールタ イブの樹脂に対応原料アミノ酸を結合させた担体(F mo c -Am i n o
Ac i d— R e s i n) 1 00mgを用い、 縮合系としてベンゾトリアゾールー 1 ーィルーォキシートリス(ピロリジノ)ホスホニユウムへキサフルォロホスフェイ ト、 1—ヒ ドロキシベンゾトリァゾール、 N.—メチルモルホリンの系を、 脱保護系 として 20 %ピペリジン/ N, N—ジメチルホルムアミ ドを、 縮合アミノ酸として
N- α - 9—フルオレンニルカルボ二ルー 1, 2, 3 , 4—テトラヒ ドロイソキノリ ン一 3—カルボン酸と N— t e r t—プチルォキシカルボ二ルー L一トリプトファ ンを使用して、 合成機に装備された標準プロトコ一ルを用いて合成を行った。 合成 後、 1 m 1のトリフルォロ酢酸:水:チオア二ソール: エタンジチオール(75 : 1 0 : 1 0 : 5)で 3時間処理し、 脱保護およびレジンからクリーべイジを行つ た。 反応液をろ過してレジンを除き、 ろ液に無水ジェチルエーテルを加えて沈澱さ せるカヽ 或いは濃縮して目的粗ペプチドを得た。 得られた粗ペプチドを、 水に溶解 し、 短い逆相カラムを通して精製した後、 凍結乾燥して無色粉末状の第 7表記載の N— 1(3 S)— 2— L—トリブトフィル一 1, 2, 3 , 4—テトラヒ ドロイソキノリ ンー 3—カルボ二ル)一 L一アミノ酸を得た。
第 7表
実施例 No. R2 物理恒数等
32 L-Ala MS (SIMS): 435 (M+1)
33 L-Arg MS (SIMS): 520 (M+1)
34 L-Asn MS (SIMS): 478 (M+1)
35 L-Asp MS (SIMS) : 479 (M+1)
36 L-Glu MS (SIMS) : 493 (M+1)
37 レ Gin MS (SIMS): 492 (M+1)
38 L-Gly MS (SIMS): 421 (M+1)
39 L- His MS (SIMS): 501 (M+1)
40 L - lie MS (SIMS): 477 (M+1)
41 L-Leu MS (SIMS) : 477 (M+1)
42 L-Lys MS (SIMS): 492 (M+1)
43 L-Met MS (SIMS) : 495 (M+1)
44 L-Phe MS (SIMS) : 511 (M+1)
45 L - Pro MS (SIMS): 461 (M+1)
46 L-Ser MS (SIMS): 451 (M+1)
47 L-Thr MS (SIMS): 465 (M+1)
48 L-Trp MS (SIMS) : 550 (M+1)
49 L-Tyr MS (SIMS) : 527 (M+1)
50 L-Val MS (SIMS) : 463 (M+1)
51 L-Cys MS (SIMS): 467 (M+1)
実施例 52
実施例 1で得た化合物を塩酸—ジォキサン溶液のかわりにトリフルォロ酢酸を用 いて実施例 13と同様に処理して、 アモルファス状の(3 S)- 2 -L-トリブト フィルー 1, 2, 3, 4—テトラヒドロイソキノリンー 3—カルボン酸 ·ベンジルェ ステル ' トリフルォロ酢酸塩を得た。
I R (KB r , cm- " : 3420, 3035, 1730, 1 675, 1460,
1 205, 745
MS (S I MS) : 454 (M+ 1 )
実施例 53
実施例 7で得られた化合物 2 · 3 g、 N—メチルモルホリン 607 mgをテトラ ヒ ドロフラン 20m 1に溶解し、 ― 1 5 °Cでイソブトキシカルボニルクロライ ド 8 1 9 mgを滴下した後、 同温で 10分間攪拌した。 飽和アンモニア 'テトラヒドロ フラン溶液 2 Om lを滴下して、 一 1 5 °Cで 1時間攪拌した後、 反応液を減圧濃縮 した。 残さをクロ口ホルムで抽出し、 抽出液を洗浄、 乾燥、 濃縮し、 残さをシリカ ゲルクロマトグラフィ一(クロ口ホルム : メタノ一ル =20 : 1)にて精製し、 ァモ ルファス状の(3 S)— 2— (N— t e r t—ブチルォキシカルボ二ルー L—トリプト ファイル)一 1, 2, 3, ,4—テトラヒドロイソキノリン一 3—カルボキサミ ド 1.6
2 gを得た。
I R (KB r , cm-i): 3340, 2980, 1700, 1 675, 1 630,
1440, 1 1 70, 740
MS (S IMS) : 463 (M+ 1)
実施例 54
実施例 5.3で得られた化合物 1.6 gを実施例 13と同様に処理して、 淡赤色粉 状の(3 S)— 2—(L—トリプトファイル)一 1, 2, 3, 4—テトラヒ ドロイソキノリ
ン一 3—力ルポキサミ ド .塩酸塩 1.3 gを得た。
I R(KB r , cm"1): 3425, 2900, 1675, 1630, 1480, 1460, 1360, 1 120, 745
MS (S IMS) : 363 (M+ 1 )
実施例 55
実施例 53で得られた化合物を塩酸—ジォキサン溶液のかわりにトリフルォロ酢 酸を用いて実施例 13と同様に処理して、 淡赤色粉状の(3 S)— 2—(L—トリブト ファイル)一 1, 2, 3, 4—テトラヒ ドロイソキノリン一 3—カルボキサミ ド ' トリ フルォロ酢酸塩を得た。
MS(S IMS) : 363 (M+ 1 )
実施例 56
(1) 0.5%グルコース(ナカライ株式会社製)、 2%ソーャフラワー A (日清製油株 式会社製)、 296グリセロール(ナカライ株式会社製)、 0.2%酵母エキス(アサヒ ビール株式会社製)、 0.25%塩ィヒナトリウム(ナカライ株式会社製)、 0.4%炭 酸カルシウム(日東粉化株式会社製)からなる液体培地(pH 7.0) 1 00m lに、 寒天斜面に培養した A s p e r g i 1 1 u s s p . A 374株(F E RM BP— 6 1 13)を一白金耳接種し、 27 °Cで 3日間振盪培養した。
得られた培養液を種培養液として使用した。 上述の組成の液体培地 1 00m 1を 含む三角フラスコ 100本に種培養液 1 m 1ずつ接種し、 27 °Cで 5日間振盪培養 した。
( 2 )上記( 1 )の方法によって得られた培養液 85 Lからろ過によつて菌体を除去 し、 培養液を 3 Lのダイヤイオン H P— 20 (三菱化学株式会社製)カラムを通過さ せ、 TMC— 2A、 TMC— 2 Bおよび TMC— 2 Cをカラムに吸着させた。 上記 カラムに蒸留水、 20%、 5096および 1 00%メタノールそれぞれ 5 L、 30
L、 75 L、 30 Lを流下させた。 ジぺプチジルぺプチダ一ゼ I V阻害活性を示す 50 %メタノール画分を減圧濃縮して粗物質を得た。 この粗物質をシリカゲル(ヮ コーゲル C— 300、 和光純薬株式会社製、 60 X 900 mm)を用いてクロマト グラフィーを行った。 溶出は、 まずジクロロメタン:メタノール:エタノール(1 0 : 4 : 4 )混液 5 L、 ついでジクロロメタン : メタノール: エタノール:水混液 を以下のように順^ 7jの比率をあげて行った。 すなわち、 ジクロロメタン:メタ ノール:エタノール:水の混液をそれぞれ 10 : 4 : 4 : 0. 1溶液 5 L、 10 : 4 : 4 : 0.2溶液 5 L, 1 0 : 4 : 4 : 0.5溶液 10し 1 0 : 4 : 4 : 1溶液 10 L、 最後に 1 0 : 4 : 4 : 2溶液 10 Lによって溶出した。 ジぺプチジルぺプ チダーゼ I V阻害活性を示す画分を集め、 減圧濃縮して粗物質を得た。
この粗物質を逆相シリカゲルカラム(ODS A 60、 ヮイエムシ一株式会社 製、 60 X 900 mm)を用いて、 クロマトグラフィーを行った。 溶出は、 20% ァセトニトリル一 80%水を用いて行った。 各溶出画分を高速液体クロマトグラ フィ一で分析し、 TMC— 2 Aのみを含む画分を集め、 減圧濃縮後凍結乾燥した。 分析用高速液体クロマトグラフィは、 YMC_P a c k AM_301—3 (ヮィ ェムシ一株式会社製) 4.6 X 1 00 mmカラムを用い、 ァセトニトリル 1096から 35 %まで 1 5分間のリ二ァーグラジェント(流量 1.2m 1 Zm i n)によって 行った。 なお、 検出は 2 10 nmおよび 254 nmの吸光度によった。 以上の操作 によって、 純粋な TMC— 2 A約 1.6 gを得ることができた。
TMC— 2 Bと TMC— 2 Cの精製は、 以下のように行った。 上記の逆相クロマ トグラフィにおいて TMC— 2 Bと TMC— 2 Cを含む画分を集め、 減圧濃縮し た。 濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィ(ヮコ一ゲル C— 300、 和光純薬株式 会社、 22 X 500 mm)を用いて TMC— 2 Bと TMC— 2 Cを分画した。 溶出 は、 ジクロロメタン : メタノール: エタノール( 10 : 4 : 4)混液 500 m lを流
下させた後、 ジクロロメタン:メタノール:エタノール:水の混液をそれぞれ 1 0 : 4 : 4 : 0.1溶液 200m l、 1 0 : 4 : 4 : 0.2溶液 200 mし 10 : 4 : 4 : 0.5溶液 200m l、 10 : 4 : 4 : 1溶液 500 m 1および 10 : 4 : 4 : 2溶液 500 m 1を順次流下させた。 各溶出画分をシリカゲル T L C (シ リカゲル;メルク社 N 0.571 5、 展開溶媒;ジクロロメタン:メタノール: エタノール:水 = 10 : 4 : 4 : 2)によって分析した。 TMC— 2 Bまたは TMC— 2 Cのみを含む画分をそれぞれ濃縮乾固した。 以上の操作によって、 純粋 な TMC— 2 Bおよび TMC— 2 Cをそれぞれ 5.4mgおよび 2 lmg得ること ができた。
業上の利用可能
本発明のテトラヒドロイソキノリン誘導体は、 低濃度において選択的にジぺプチ ジルぺプチダ―ゼ I Vを阻害し、 関節炎、 慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患( 免疫異常症や免疫不全症)の予防 ·治療剤として有用である。