明細書 リパーゼ、 その製造方法、 その生産菌、 及びそのリパーゼの用途 技術分野
本発明は、 漂白剤入り洗剤溶液中で有効な活性を有するリパーゼ、 そ のリパ一ゼを含む洗剤組成物、 それらの製造方法及びそのリパ—ゼの生 産菌に関する。 背景技術
洗剤にリパーゼを配合して被洗浄物に付着した脂質を分解除去し洗浄 効率を向上出来ることは従来より知られている。 この用途は、 アン ドレ 一(H. Andree)らによる 「洗浄剤成分と しての リパーゼ」 (Lipase as detergent components)と題する報文 (Journal of Appl ied Biocnemist ry 2 218-229 (1980))等に記載されている。
洗剤配合用として望ましいリパーゼは、 洗濯条件下の洗剤溶液中で充 分にリパーゼ活性が機能するものである。 通常の洗濯条件では洗濯液の p Hがアル力リ側領域にあるため、 アル力リ性 p Hで機能するリパーゼ が求められる。 また、 一般に脂質汚れは高温高アルカリ条件下では比較 的除去されやすいが、 低温 (6 0 °C以下) の洗浄では充分に除去出来な いことが知られている。 従来より主として低温洗濯が行われている日本 はもとより、 欧米においても洗濯温度は低温下する傾向にあり、 従って 低温でも充分に機能するリパーゼが洗剤配合用リパーゼとして望ましい。 また、 洗剤配合用リパーゼとしては、 界面活性剤等の洗剤成分や、 多く の洗剤に含有されているプロテアーゼゃ漂白剤存在下において阻害され ることがなく、 また洗濯時に十分機能を発揮し、 1回の洗浄で十分な効
果を有するものが望ましい。 さらに、 望ましい洗剤配合用リパーゼは、 洗剤に配合した状態で保存するときに安定なものである。
以上のような望ましい特性を有する リパーゼを配合してなる、 脂質汚 れに対して高い洗浄効果を有する洗剤組成物の開発が望まれている。 微生物の生産するリパーゼはシユー ドモナス(Pseudomonas)属、 アル カリゲネス (A lcal igenes)属ヽ ァクロモノ 、クタ一 (Achromobacter)属、 ム コール(Mucor)属、 キヤンディ ダ(Candida)属、 フミコーラ(Humicola)属、 ァシネ トバクター(Acinetobacter)属等に由来することが知られている。 しかしながら、 これらの菌株から得られる大部分のリパーゼはその至適 p Hが中性から微アルカリ性にあるため、 アルカリ性の洗剤溶液中で充 分にリバ—ゼが機能せず、 また洗剤溶液中での安定性も低い。 さらには、 ァクロモノくクタ一 (Achromobacter)属、 ムコール(Mucor)属、 キャンディ ダ(Candida)属、 フ ミ コーラ(Humicola)属の各リパ一ゼは、 界面活性剤 の共存下においてその活性を強く阻害される。
国際公開 WO87/00859号公報において、 シユ ー ドモナス(Pseudomonas) 属ヽ ァシネ トノ クタ一(Acinetobacter)属のリ ノ、0—ゼの中には、 ァニォ ン系及びノニォン系洗剤による洗濯試験において効果を発揮するものが 有り、 それらのリパーゼは漂白剤入りノニオン系洗剤による洗濯試験で も効果を有することが記載されているが、 漂白剤入りァニォン系洗剤に よる洗濯試験での効果については記載されていない。
また米国特許 4, 769, 173 号において、 漂白剤入りァニオン系洗剤溶液 中で安定性が高く、 同洗剤での洗濯試験で洗濯効果を有するリバ一ゼを 含む洗剤組成物が記載されているが、 これらは 3回繰り返し洗濯して効 果が出るものであり、 その効果も小さい。
ァシネ トバクター(Acinetobacter)属に属する微生物がリパ一ゼを生 産することは知られており、 国際公開 WO87/00859号公報において、 ァシ
ネ 卜ノ クター · 力ノレコアセティ カス (Acinetobacter calcoaceticus) CB S460. 85 株の生産するリパーゼを含む洗剤組成物が記載されている。 し ;6ヽしヽ " シネ 卜ノ 夕夕一 · ノ ゥマニイ CAcinetobacter baumanni)ヽ " シ ネ 卜ノ クタ一 * へモリティ カス (Acinetobacter haemolyticus)の生産す るリパーゼを含む洗剤組成物を用いた例はない。
従って、 本発明の目的は、 漂白剤入りの洗剤溶液、 とりわけァニオン 系洗剤溶液中で十分機能するリパーゼとその製造方法を提供することに あ 。
また、 本発明の他の目的は、 前記リパーゼを含む洗剤組成物及びその 製造方法を提供することにある。
さらに、 本発明の別の目的は、 前記リパーゼを生産する新規微生物を 提供することにある。 発明の開示
本発明者らは、 漂白剤入りのァニオン系洗剤溶液中で十分機能するリ パーゼを得るべく、 多数の微生物を分離、 培養して検索した結果、 S D 7 0 6株、 S D 7 0 7株、 S D 7 0 8株、 S D 7 1 0株に代表されるァ シネ 卜 ノ、クタ一(Acinetobacter baumarmi)属ヽ 及びシュ一 ドモナス C Ps eudomonas) 属に属する菌株が、 上記条件を満たす新規な リパーゼを生 産することを見出し、 本発明を完成するに至った。
すなわち、 本発明は以下のものを提供するものである。
1 ) ト リオレインェマルジョ ンを基質とし、 洗剤無添加時の生成ォレイ ン酸量を 1 0 0 %としたとき、 ァニオン界面活性剤 2 0 0〜4 0 0 p p m、 過ホウ酸ナト リウム 1, 000 p p m及びテトラァセチルエチレンジァ ミ ン 1 0 0 p p mを含む洗剤溶液中で測定した場合の生成ォレイン酸量 が 1 0 %以上であるリパーゼ及び界面活性剤を含む洗剤組成物。
2) 漂白剤を含む前記 1) 記載の洗剤組成物。
3) リパーゼがァシネ トパクター (Acinetobacter) 属細菌またはシュ ー ドモナス (Pseudomonas) 属細菌由来のリパーゼである前記 1 ) また は前記 2) 記載の洗剤組成物。
4) —ゼ力くァシネ ト クタ一 ゥマニイ (Acinetobacter bauman ni) またはァシネ 卜 クタ一 - へモリティ カス (Acinetobacter haemol yticus) 由来のリパーゼである前記 1) または前記 2) 記載の洗剤組成 物。
5) ヽ°—ゼカ ァシネ クタ一 ヾゥマニイ (Acinetobacter bauman ni) S D 7 0 6株 (FERM P- 14881) もしく は S D 7 0 7株 (FERM P-148 82) ゝ ァシネ 、クタ一 ♦ へモ リティ カス (Acinetobacter haemolytic us) S D 7 0 8株 (FERM P-14883) 、 またはシュ一 ドモナス s p . (Ps eudomonas sp. ) S D 7 1 0株 (FERM P - 14884) から得るこ との出来る リパーゼである前記 1) または前記 2) 記載の洗剤組成物。
6) ァシネ トパクター (Acinetobacter) 属細菌またはシュ一 ドモナス (Pseudomonas) 属細菌を培養して、 その培養液からリパーゼを分離し、 そのリパーゼを配合する工程を含むことを特徴とする前記 1) 乃至 5) 記載のいずれかに記載の洗剤組成物を製造する方法。
7 ) ァシネ トパクター (Acinetobacter) 属細菌またはシュ一 ドモナス (Pseudomonas) 属細菌由来の下記性質を有するリパーゼ :
(1) 作用
ト リグリセ リ ドに作用し、 そのエステル結合を加水分解する。
(2) 作用 p H及び至適 p H
ト リオレインェマルジョ ンを基質として p H 4〜l 2の範囲で測定し た場合の作用 p Hは 4〜12であり、 至適 p Hは p H 9.5〜11.5の範囲 内にある。
(3) 作用温度及び至適温度
ト リオレインエマルジョ ンを基質として 3 0〜8 0°Cの範囲で測定し た場合の作用温度は 3 0〜8 0°Cであり、 至適温度は 5 5 - 7 0°Cの範 囲内にある。
(4) 分子量
S D S—ポリアク リルアミ ドゲル電気泳動法により測定した分子量が、 29000〜 35000の範囲内にある。
(5) ト リオレインェマルジョ ンを基質とし、 洗剤無添加時の生成ォレ ィン酸量を 1 0 0%としたとき、 ァニオン界面活性剤 2 0 0〜4 0 0 p pm、 過ホウ酸ナト リウム 1, 000 p p m及びテ トラァセチルエチレンジ ァミ ン 1 0 0 p p mを含む洗剤溶液中で測定した場合の生成ォレイン酸 量が 1 0%以上である。
8) ァシネ トパクター (Acinetobacter) 属細菌がァシネ トバクタ一 · ノ ゥマニイ (Acinetobacter baumanni) またはァシネ 卜ノ、クタ一 · へモ リティ カス (Acinetobacter haemolyticus) である刖 .gc!7リ 記載のリパ ーゼ。
9 ) " シネ 、夕夕一 · ヴマニイ (Acinetobacter baumanni) S D 7 0 6株 (FERM P - 14881) もしく は S D 7 0 7株 (FERM P - 14882) 、 ァシネ クタ一 ,へモリティカス (Acinetobacter haemolyticus) S D 7 0 8株 (FERM P-14883) 、 またはシユー ドモナス s p . (Pseudomonas sp. ) S D 7 1 0株 (FERM P- 14884) から得ることの出来る前記 7) 記載のリ ゼ。
1 0) ァシネ トパクター (Acinetobacter) 属細菌またはシユー ドモナ ス (Pseudomonas) 属細菌を培養して、 リパーゼを含む培養物を得、 リ パ一ゼを分離することを特徴とする前記 7) ないし 9) 記載のリパーゼ の製造方法。
1 1 ) : Γシネ 卜ノ"?夕夕ー · ノ ゥマニイ(Acinetobacter baumanni) S D 7 0 6株 (FERM P-14881) 。
1 2 ) " シネ トノ 夕夕一 · ノ クマニイ(Acinetobacter baumanni) S D 7 0 7株 (FERM P - 14882) 。
1 3 ) ァシネ 卜 ノ、クタ一 · へモリティ カス (Acinetobacter haemolytic us) S D 7 0 8株 (FERM P- 14883) 。
1 4 ) シユー ドモナス s p . (Pseudomonas sp. ) S D 7 1 0株 (FERM P - 14884) 。 図面の簡単な説明
図 1は S D 7 0 6株の生産する リパーゼの反応 p Hと相対活性との関 係を示すグラフである。
図 2は S D 7 0 6株の生産するリパーゼの反応温度と相対活性との関 係を示すダラフである。
図 3は S D 7 0 6株の生産するリパーゼを種々の温度にて p H 7で 1 時間保持した後の残存活性を示すグラフである。
図 4は S D 7 0 6株の生産する リパーゼを種々の p Hにて 3 7 。Cで 1 時間保持した後の残存活性を示すグラフである。
図 5は S D 7 0 7株の生産するリパーゼの反応 p Hと相対活性との関 係を示すグラフである。
図 6は S D 7 0 7株の生産するリパーゼの反応温度と相対活性との関 係を示すグラフである。
図 7は S D 7 0 7株の生産するリパーゼを種々の温度にて p H 7で 1 時間保持した後の残存活性を示すグラフである。
図 8は S D 7 0 7株の生産する リパーゼを種々の p Hにて 3 7 °Cで 1 時間保持した後の残存活性を示すグラフである。
図 9は S D 7 0 8株の生産するリパーゼの反応 p Hと相対活性との関 係を示すグラフである。
図 1 0は S D 7 0 8株の生産するリパーゼの反応温度と相対活性との 関係を示すグラフである。
図 1 1は S D 7 0 8株の生産するリパ一ゼを種々の温度にて p H 7で 1時間保持した後の残存活性を示すグラフである。
図 1 2は S D 7 0 8株の生産するリパーゼを種々の p Hにて 3 7°Cで 1時間保持した後の残存活性を示すグラフである。
図 1 3は S D 7 1 0株の生産するリパーゼの反応 p Hと相対活性との 関係を示すグラフである。
図 1 4は S D 7 1 0株の生産するリパーゼの反応温度と相対活性との 関係を示すグラフである。
図 1 5は S D 7 1 0株の生産するリパーゼを種々の温度にて p H 7で 1時間保持した後の残存活性を示すグラフである。
図 1 6は S D 7 1 0株の生産するリパーゼを種々の p Hにて 3 7°Cで 1時間保持した後の残存活性を示すグラフである。 発明の詳細な説明
以下本発明について詳細に説明する。
リパーゼ生産微生物:
本発明のリパーゼを製造するために使用する微生物は、 特に限定され ない。 この様な微生物は、 保存微生物株中から、 または自然界から新た に分類した微生物中から選択することが出来る。 また本発明のリパーゼ を生産するこれらの微生物の自然または人工変異株であっても、 後記の 性質を有するリパーゼの生産能を有する限り、 当然包含されるものであ n
本発明のリパーゼを生産するァシネ トパクター (Acinetobacter)属に 属する菌株の例として、 本発明者らが神奈川県下の土壌より分離した S D 7 06株及び S D 7 07株、 長野県下の土壌より分離した S D 7 08 株が挙げられる。 この S D 7 06株、 S D 7 0 7株、 S D 7 08株の菌 学的性質について、 文献 (① Bergey' s Manual of Systematic Bacteri ology Vol.1 (1984)、 ② Bergey' s Manual of Determinative Bacterio logy, Ninth Edition (1994)、 ③ P. J. M. Bouvet and P. A. D. Grimont :1 nt. J.Syst. Bacteriol. , 36, 228 (1986)) を参考にして、 本菌と類似の "7シネ 夕夕一 ゥマ (Acinetobacter baumanni^C^ 7シネ 、クタ— ·へモリティカス (Acinetobacter haemolyticus)と上匕較して表 1に記載した。
表 1
SD706 SD707 SD708 ァシネトパク夕- ' アジネトパク夕- .
バウマニイ へモリティカス
(1)形態 桿菌 桿菌 桿菌 桿菌 桿菌
(2)グラム染色性 陰性 陰性 陰性 陰性 陰性
(3)胞子 一
(4)運動性 一 一 ― 一 一
(5)酸素 好気 好気 好気 好気 好気
(6)ォキシダーゼ
(7)カタラーゼ + + + + +
(8) 0 F 0 一 一 0 0
(9) 4 4 °Cでの生育 一 一 ― +
(10) 4 1 °Cでの生育 + + + + 一
(11) 3 7。(:での生育 + + + + +
(12)ゼラチン液化 + + + 一 +
(13)溶血性 一 一 + ― +
(14)グルタ ミ ン トランス + + 一 + 一 フヱラ一ゼ
(15)クェン酸塩の利用 + + + + +
(シモンズの培地)
(16)グルコースからの酸生成 + + —— + ―
(17) S—キシロシダーゼ + + 一 + ―
[資化性] (18)〜(25)
(18) D L一乳酸ナ ト リウム + + 一 + 一
(19)酢酸フユニル + + + + 一
(20) L一ヒスチジン + + + + +
(21)ァゼライン酸 + + +
(22) D—リ ンゴ酸 + + + + +
(23) L _ロイシン + + + +
(24) L—チロシン + + + +
(25) L—オルニチン + +
(26)キノ ン系 Q-9 Q-9 Q-9. 8 Q-9 Q-9
(27) G C含量 (% ) 42 40 40 40-43 40-43
(8)に置ける 0は oxidationによる分解、 一は分解せず。
表 1に示した様に形態観察、 生理的性状試験、 キノ ン系及び菌体内 D N Aの G C含量から同定した結果、 S D 7 0 6株と S D 7 0 7株はァシ ネ トノく 夕夕一 · ノ ゥマニイ (Acinetobacter baumanni) ヽ S D 7 0 8 はァシネ ト ノ クタ一 · へモリティ カス(Acinetobacter haemolyticus)の 種に属すると同定された。 S D 7 0 6株、 S D 7 0 7株及び S D 7 0 8 株は工業技術院生命工学工業技術研究所に FERM P-1488U FERM P- 14882、 FERM P - 14883として各々寄託されている。
また本発明のリパーゼを生産するシユー ドモナス(Pseudomonas)属に 属する菌株の例として、 本発明者らが東京都下の土壌より分離した S D 7 1 0株が挙げられる。 この S D 7 1 0株の蘭学的性質について上記文 献①、 ②を参考にして本菌と類似のシユー ドモナス · フルオレセンス(P seudomonas f luorescens八 シュ一 卜モナス · 7チタ (Pseudomonas puti da)と比較して表 2に記載した。
表 2
SD710 株 シュ-ト'モナス' シュ-ト'モナス' フルオレセンス プチダ
(1)形態 桿菌 桿菌 桿菌
(2)グラム染色性 ― ― ―
(3)胞子 ― - 一
(4)運動性 + + +
(5)鞭毛 極多性 極多性 極多性
(6)酸素 好気 好気 好気
(7)ォキシターゼ + + +
(8)カタラーゼ + + +
(9) 0 F ― 0 0
(10)集落の色調 N P d N P
(11)蛍光色素 + + +
(12)PHBの蓄積 ― ― 一
(13) 4 °Cでの生育 + d d
(14) 4 1 °Cでの生育 +
(15) 4 2 °Cでの生育 ― ― ―
(16)シュ一クロース
からレバンの生成 ― d ―
(17)アルギニン + + + ジヒ ドロラーゼ
(18)脱窒反応 ― d ―
(19)硝酸塩の還元 ― + +
(20)ゼラチンの液化 ― + ―
(21)デンプンの分解 ― 一 ―
(22)レシチナーゼ ― d ―
(23)リパーゼ + d d
[資化性] (24)~(32)
(24)グルコース ― + +
(25) 卜 レハロース ― + 一
(26) 2 —ケ トダルコン酸 一 + +
(27)ィノ シ ト一ル ― + ―
(28)ゲラニオール +
(29) L _バリ ン + + +
(30) /3—ァラニン + + +
(31) L D _アルギニン + + +
(32)テス トステロン d
(33)キノ ン系 Q-9 Q-9 Q-9
(34) D N Aの G C含量(¾0 62 59. 4-61. 3 60. 7-62. 5
N Pは特徴的集落色素を生成せず、
dは該当する種に属する菌株の 11~89¾5が陽性、
(9)における 0は oxidationによる分解、 一は分解せず c
表 2に示したように S D 7 1 0株は極鞭毛を有する非発酵性のグラム 陰性桿菌で、 キノ ン系が Q— 9であることからシユー ドモナス(Pseudo onas)属に属する細菌と同定された。 また、 S D 7 1 0株は数本の鞭毛 を有し、 蛍光色素を生成すること、 アルギニンジヒ ドロラーゼ試験が陽 性であることなどからシユー ドモナス · フルオレセンス (Pseudomonas f luorescensリあるいはンユー 卜モナス · プナタ (Pseudomonas putidaリ の可能性が考えられた。 しかし、 グルコース、 2—ケ トグルコン酸、 ト レハロース、 イノ シトールの資化性が認められなかったこと、 ゲラニォ ールでの資化性が認められたことなどから、 S D 7 1 0株はシユー ドモ ナス · フノレオレセンス(Pseudomonas f luorescens)あるいは、 シユー ド モナス · プチダ (Pseudomonas putida)の近縁種であると決定した。 S D 7 1 0株は工業技術院生命工学工業技術研究所に FERM P- 14884として 寄託されている。
また、 上記菌株を原菌株として自然または誘発突然変異により、 上記 菌株が生産する後記の性質を有するリパーゼを生産する変異株を得るこ とが出来、 これらの変異株でも本発明による リバ一ゼ生産菌として用い ることが出来る。 これらの変異株を調製する慣用の方法としては、 例え ば原菌株を紫外線照射あるいは N —メチル— N ' —二トロ— N—二トロ ソグァ二ジン (N T G ) 等の薬剤による人工的突然変異処理を施して、 オリ一ブオイル等の油を含む寒天培地に広げ、 生育してく る菌株の中か らコロニーのまわりに形成されるク リアゾーンが、 より大きいコロニー を選抜し、 リパ一ゼ生産培地にて培養して生産性の優れた菌株を選抜す る方法が挙げられる。
リパーゼの製造方法:
本発明のリパーゼは、 細菌を培養して、 その培養液から得ることがで きる。 例えばアンネ トバクタ一(Acinetobacter) 属またはシユー ドモナ
ス (Pseudomonas) 属に属する本リパーゼ生産菌を培養して得られた培養 物中から得られる。
培地の栄養源としては、 通常培養に用いられているものが広く利用で きる。 炭素源としては同化できる炭素化合物またはこれを含有するもの であればよく、 例えば油脂、 コーンスティ ープリカ一、 Tween 系界面活 性剤などが用いられる。 窒素源としては同化可能な窒素化合物またはこ れを含有するものであればよく、 例えばアンモニゥム塩、 硝酸塩、 大豆 粉、 肉エキス、 コーンスティ ープリカ一、 ファーマメディ ァなどが用い られる。 また、 無機塩類としてはリ ン酸水素アンモニゥムゃリ ン酸水素 カ リ ウム等の リ ン酸塩、 マグネシウム塩、 カルシウム塩、 マンガン塩な どの塩類を適宜使用することが出来る。
培養条件は培地組成により多少異なるが、 目的とする本リパ一ゼの生 産が可能な条件を選択する。 通常、 培養温度は 1 0 ~ 4 0 °Cであり、
2 0〜3 7 °Cの範囲が好ま しい。 培養時間は 8時間から 1 0 0時間程度 が適当であり、 通常、 本リパーゼの生産が最高に達したときに培養を終 了する。 培地の p Hは 5〜 9の範囲内であればよく、 p H 6. 5〜 7. 5が 本リパーゼ生産に特に好適である。 この様な培養により、 目的とするリ パーゼは主として菌体外 (培養液中) に得られる。
リパーゼの分離精製方法:
この様にして得られた培養液からの本リパーゼの採取は、 リパーゼを 採取するための常法にしたがって、 分離、 精製することにより行うこと が出来る。
すなわち、 培養液からろ過法や遠心分離法などの公知の適当な方法に より菌体ゃ培地固形物を除去して得られる上澄液またはろ液を濃縮しま たは濃縮することなく、 可溶性塩類を添加して酵素を沈澱させる塩析法、 親水性有機溶剤を添加し酵素あるいは夾雑物を沈澱させる有機溶剤沈澱
3
法、 イオン交換樹脂等を用いた吸着脱離法、 ゲルろ過法、 安定化補助剤 を加えてまたは安定化補助剤なしに噴霧乾燥する方法、 凍結乾燥法など の分離もしく は精製手段を単独または複数組み合わせて用いることによ り、 本リパーゼを得ることができる。
酵素力価の測定 :
リパーゼ活性の測定は、 本発明においてはト リオレイ ン一ポリ ビニル アルコール (PVA) ェマルジヨ ンを基質とする測定法を用いて実施し た。
本法による力価測定方法は具体的には以下の方法で行った。
酵素液 0. lm 1、 2 0 0 mM T r i s /H C 1を水酸化ナ ト リウム で P H調整した緩衝液 (p H 9.0) 0.4 m 1、 及びト リオレイ ンエマル ジョ ン 0.5m 1からなる混合液を共栓付き試験管中で 3 7°Cにて 1 0分 間加熱して反応させ、 反応停止液として 1 N塩酸 0.2m 1を用いて反応 を停止させた。 ここで、 ト リオレインェマルジヨ ンとしては、 ポリ ビニ ルアルコール (P VA) 2%水溶液 (ポバール PVA117 ( (株) クラレ商 品名) : ポバール PVA205 ( (株) クラ レ商品名) = 9 : 1 ) 1 0 m 1 に 2.5gの ト リオレインを加え、 氷冷しながら 18, 000 r p m、 1 0分間ホ モジナイズしたものを用いた。 反応停止後、 n—へキサン 2m l、 イソ プロピルアルコール 2 m 1、 蒸留水 1 m 1を加え激しく撹はんし、 静置 後へキサン層をサンプリ ングし、 T L C一 F I D法 (Minagawaら、 Lipi ds, 18, 732, (1983)) にてォレイン酸を定量した。 活性の単位は 1分間に 1マイクロモルのォレイ ン酸を生成する酵素量を 1ユニッ ト (1 U) と した。
本発明の酵素の性質 :
本発明のリパーゼについて、 その性質を記載する。
(1) 作用
ト リグリセリ ドに作用し、 そのエステル結合を加水分解する。
(2) 基質特異性
各種グリセリ ド、 エステルなどを広範囲にわたり加水分解する。
グリセリ ド基質としては、 各グリセリ ド 1 0 gにアラビアゴム 1 0 g と蒸留水 1 0 0 gを加えて 18000 r p mで 1 0分間ホモジナイズしたグ リセリ ドーァラビアゴムェマルジヨ ンを用いる。
前記ェマルジヨ ン 5 m 1、 1 0 0 mM塩化ナト リゥム及び 25 mM塩 化カルシウムを含む 1 OmMト リス緩衝液 (p H10.0) 5m 1、 蒸留水 4.5m 1、 酵素液 0.5m 1の混合物を 30°C、 p H 1 0にて反応せしめ たときの脂肪酸生成速度を 0.05N水酸化ナ ト リ ゥム水溶液を用いた p H スタッ ト滴定法により求める。 この脂肪酸生成速度を各基質の分解力と する。
ト リオレイ ンの分解力を 1 0 0 とすると ト リ プチ リ ンは 1 1 5〜 12 5の範囲内、 オリーブ油は 5 0〜80の範囲内の相対活性を示す。 また、 エステルに対する分解力は、 p—二トロフヱニル脂肪酸エステ ルを基質とし、 p H 8.0、 3 0°Cでの加水分解反応により生じる p—二 トロフヱノ一ルの比色 (A 4 0 5) より求める。
p N P P (p—二トロフヱニルパルミテー ト) の分解力を 1 00とし た場合、 p N P L (p—二トロフエニルラウレー ト) は 1 1 0~ 1 4 0 の範囲内、 p N PV (p—二トロフエ二ルバレレー ト) は 25〜6 0の 範囲内の相対活性を示す。
(3) 作用 p H及び至適 p H
ト リオレインェマルジョ ンを基質として、 前記の力価測定法により測 定した。 反応時の p Hは、 4〜12の範囲で異なる p Hで測定した。 た だし、 緩衝液として 1.0 mMの C a C 12 を含む、 1 0 OmM ε—ァ ミノカプロン酸、 1 0 OmMピス トリス (Bis(2-hydroxyethyl)iminotr
is(hydroxymethyl)methanone) 、 l O OmM TA P S (N-Tris(hydro xymethyl)methyl-3-aminopropanesulfonic acid ) 混合緩衝液を塩酸ま たは水酸化ナト リゥムで p H調整した。 p H 4〜 l 2の範囲で測定した 場合の作用 P Hは 4〜 1 2であり、 至適 p Hは 9, 5〜11.5の範囲内にあ o
(4) 作用温度及び至適温度
ト リオレインェマルジョンを基質として、 3 0〜 8 0°Cの範囲の異な る反応温度にて行うこと以外は、 前記の力価測定法と同様の方法により 測定した場合、 作用温度は 3 0~8 0°C、 至適温度は 55〜 7 0°Cの範 囲内にある。
(5) 温度安定性
2 0°C〜 7 0°Cの温度範囲の、 異なる温度で p H 7にて 1時間保温処 理した後の残存活性を、 前記の力価測定法で測定した。 6 0°Cの処理で 80%以上の活性を有する。 ただし、 処理時の緩衝液は、 5 0mM ε —アミ ノカプロン酸、 50mM ピス ト リス (Bis(2- hydroxyethyl)imi notris(hydroxymethyl)methanone) ヽ 5 0 m M TA P S (, -Tris(hyd roxymethyl)methyl-3-aminopropanesulfonic acid ) カヽらなる混合緩衝 液を塩酸で p H 7に調整したものを用いる。
(6) p H安定性
p H 4〜 l 2の範囲の、 異なる p Hで 3 7 °Cにて 1時間処理した後の 残存活性を前記の力価測定法で測定した場合、 p H 4〜 1 0で 50%以 上の残存活性を有する。 ただし、 処理時の緩衝液は 0.5mMの塩化カル シゥムを含み、 5 0mM ε—アミノカプロン酸、 5 0mMピス ト リス (Bis(2-hydroxyethyl)iminotris(hydroxymethyl)methanone) 、 5 0 m M TA P S (N-Tris(nydroxymethyl)methyl-3-aminopropanesulfonic acid ) からなる混合緩衝液を塩酸または水酸化ナ ト リゥムで p H調整
したものを用いる。
(7) 分子量
S D S—ポリアク リルアミ ドゲル電気泳動法により得られる分子量は 29,000〜35,000の範囲内にある。
(8) 洗剤溶液中での活性
J I S標準洗剤 (無リ ン) ベース 1, 100 p p m、 直鎖アルキルべンゼ ンスルホン酸ナ ト リ ウム (L A S) 4 00 p pm、 過ホウ酸ナ ト リ ウム l'OOOp p mヽ テ トラァセチルエチレンジァ ミ ン (TA E D) 1 0 O p P m配合の洗剤溶液中で、 ト リオレインェマルジョ ンを基質として、 反 応 P Hを 1 0、 反応温度を 3 5°Cとする以外は、 前記の力価測定法と同 様の方法により測定した場合の活性が 1 0〜 5 0 %の範囲内にある。 な お J I S標準洗剤 (無リ ン) ベースは、 ゼォライ ト 2 0 w t %、 無水硫 酸ナ ト リ ウム 6 9 w t %、 炭酸ナ ト リ ウム 4 w t %、 ケィ酸ナ ト リ ウム 6 w t %、 カルボキシメチルセルロース 1 w t %の組成からなる。
以下、 本発明に属するリパーゼの具体例についてその性質を記載する が、 その測定方法は上記と同様である。
S D 7 0 6株酵素の性質 :
本発明のァシネ トパクター ·バウマニイ(Acinetobacter baumanni) S D 7 06株の生産するリパーゼについて、 その性質を記載する。
(1) 作用
ト リグリセリ ドに作用し、 そのエステル結合を加水分解する。
(2) 基質特異性
各種グリセリ ド、 エステルなどを広範囲にわたり加水分解する。
ト リオレインの分解力を 1 0 0とすると、 ト リプチリ ン 1 2 0、 オリ —プ油 8 0の相対活性を示した。
p N P P (P-二ト口フヱニルパルミテー ト) の分解力を 1 0 0とした
7
場合、 p N P L (p-ニトロフエニルラウレー ト) 1 30、 p N P V (p —ニ トロフヱニルバレレー ト) 5 0の相対活性を示した。
(3) 作用 p H及び至適 p H
反応 p Hと相対活性の関係は図 1に示す通りであり、 p H 4〜 1 2の 範囲で測定した場合の作用 P Hは 4〜 1 2であり、 至適 p Hは 10.5〜 11.5である。
(4) 作用温度及び至適温度
反応温度と相対活性の関係は図 2に示す通りであり、 3 0〜8 0°Cの 範囲で測定した場合の作用温度は 3 0〜8 0°C、 至適温度は 6 0〜6 5 °Cである。
(5) 温度安定性
処理温度と残存活性の関係は図 3に示す通りであり、 6 0DCの処理で 8 0 %以上の活性を有する。
(6) p H安定性
処理 p Hと残存活性の関係は図 4に示す通りであり、 p H 4〜 1 0で 50%以上の残存活性を有する。
(7) 分子量
S D S—ポリアク リルアミ ドゲル電気泳動法により得られた分子量は 31, 000士 2, 000である。
(8) 洗剤溶液中での活性
J I S標準洗剤 (無リ ン) ベース 1, lOOp pm、 LAS 400 p pm、 過ホウ酸ナト リウム l,000 p pm、 T A E D I O O P P m配合の洗剤溶 液中で、 測定した場合の活性が 5 0%である。
(9) 等電点ポリアク リルァミ ド電気泳動法により得られた等電点は、 9.5土 0.5である。
S D 70 7株酵素の性質 :
本発明のァシネ トパクター ·バウマニイ(Acinetobacter baumanni) S D 7 0 7株の生産するリパーゼについて、 その性質を記載する。
(1) 作用
ト リグリセリ ドに作用し、 そのエステル結合を加水分解する。
(2) 基質特異性
各種グリセリ ド、 エステルなどを広範囲にわたり加水分解する。
ト リオレインの分解力を 1 0 0とすると ト リプチリ ン 1 1 5、 オリ一ブ 油 7 0の相対活性を示した。
またエステルに対する分解力は、 p N P P (p—ニトロフヱニルパル ミテー ト) の分解力を 1 0 0とした場合、 p N P L (p—二トロフヱニ ルラウ レー ト) 1 1 0、 p N P V (p—ニ ト ロフヱニルバレレー ト) 40の相対活性を示した。
(3) 作用 p H及び至適 p H
反応 P Hと相対活性の関係は図 5に示す通りであり、 p H 4〜 1 2の 範囲で測定した場合の作用 p Hは 4〜 1 2であり、 至適 p Hは 10.5〜 11.5である。
(4) 作用温度及び至適温度
反応温度と相対活性の関係は図 6に示す通りであり、 3 0°C〜8 0°C の範囲で測定した場合の作用温度は 3 0 ~ 8 0°C、 至適温度は 6 0〜 65 °Cである。
(5) 温度安定性
処理温度と残存活性の関係は図 7に示す通りであり、 6 0°Cの処理で 8 0%以上の活性を有する。
(6) p H安定性
処理 p Hと残存活性の関係は図 8に示す通りであり、 p H 4〜 1 0で 5 0%以上の残存活性を有する。
(7) 分子量
S D S—ポリアク リルアミ ドゲル電気泳動法により得られた分子量は 31, 000土 2, 000である。
(8) 洗剤溶液中での活性
J I S標準洗剤 (無リ ン) ベース 1, lOOp pm、 LAS 400 p pm、 過ホウ酸ナト リウム l,000 p pm、 TA E D l O O p p m配合の洗剤溶 液中で測定した場合の活性が 1 1 %である。
(9) 等電点ポリアク リルアミ ド電気泳動法により得られた等電点は、 9.5土 0.5である。
S D 7 0 8株酵素の性質 :
本発明のァシネ トパクター ·へモリティ カス (Acinetobacter haemol yticus) S D 7 08株の生産するリパーゼについて、 その性質を記載す o
( 1 ) 作用
ト リグリセリ ドに作用し、 そのエステル結合を加水分解する。
(2) 基質特異性
各種グリセリ ド、 エステルなどを広範囲にわたり加水分解する。
ト リオレイ ンの分解力を 1 0 0とすると ト リプチリ ン 1 1 5、 オリ ー ブ油 6 5の相対活性を示した。
またエステルに対する分解力は、 p N P P (p—ニトロフヱニルパル ミ テー ト) の分解力を 1 0 0とした場合、 p N P L (p—二 トロフエ二 ノレラウ レー ト) 1 3 5、 p N P V ( p—二 ト ロフエ二ルバレレー ト) 6 0の相対活性を示した。
(3) 作用 p H及び至適 p H
反応 P Hと相対活性の関係は図 9に示す通りであり、 p H 4〜p H 1 2の範囲で測定した場合の作用 p Hは 4〜 1 2であり、 至適 p Hは
9.5〜10.5である。
(4) 作用温度及び至適温度
反応温度と相対活性の関係は図 1 0に示す通りであり、 3 0〜8 0°C の範囲で測定した場合の作用温度は 3 0〜 8 0 °C、 至適温度は 5 5〜 6 0 °Cである。
(5) 温度安定性
処理温度と残存活性の関係は図 1 1に示す通りであり、 6 0°Cの処理 で 8 0%以上の活性を有する。
(6) p H安定性
処理 p Hと残存活性の関係は図 1 2に示す通りであり、 p H 4〜1 0 で 5 0 %以上の残存活性を有する。
(7) 分子量
S D S _ポリアク リルアミ ドゲル電気泳動法により得られた分子量は 33, 000土 2, 000である。
(8) 洗剤溶液中での活性
J I S標準洗剤 (無リ ン) ベース 1, lOOp pm、 LA S 400 p pm、 過ホウ酸ナ ト リウム l,000 p p m、 TA E D l O O p p m配合の洗剤溶 液中で測定した場合の活性が 1 8%である。
(9) 等電点ポリアク リルアミ ド電気泳動法により得られた等電点は、 9.5土 0.5である。
S D 7 1 0株酵素の性質 :
本発明のシユー ドモナス sp. (Pseudomonas sp. ) S D 7 1 0株の生 産するリパーゼについて、 その性質を記載する。
(1) 作用
ト リグリセリ ドに作用し、 そのエステル結合を加水分解する。
(2) 基質特異性
各種グリセリ ド、 エステルなどを広範囲にわたり加水分解する。
ト リオレイ ンの分解力を 1 0 0とすると ト リプチリ ン 1 25、 オリ一 プ油 5 0の相対活性を示した。
またエステルに対する分解力は、 p N P P (p—二トロフヱニルパル ミテー ト) の分解力を 1 0 0とした場合、 p N P L (p—二 トロフエ二 ルラウ レー ト) 1 3 9、 p N P V (p—二ト ロフ エ二ルバレレ一 ト) 2 9の相対活性を示した。
(3) 作用 p H及び至適 p H
反応 p Hと相対活性の関係は図 1 3に示す通りであり、 p H 4〜p H 1 2の範囲で測定した場合の作用 p Hは 4〜 1 2であり、 至適 p Hは 1 0〜 1 1である。
(4) 作用温度及び至適温度
反応温度と相対活性の関係は図 1 4に示す通りであり、 3 0〜8 0°C の範囲で測定した場合の作用温度は 3 0 ~ 8 0 °C、 至適温度は 6 0〜 7 0 °Cである。
(5) 温度安定性
処理温度と残存活性の関係は図 1 5に示す通りであり、 6 0°Cの処理 で 8 0%以上の活性を有する。
(6) p H安定性
処理 p Hと残存活性の関係は図 1 6に示す通りであり、 p H 4~ 1 0 で 5 0%以上の残存活性を有する。
(7) 分子量
S D S—ポリアク リルアミ ドゲル電気泳動法により得られた分子量は 31, 500土 2, 000である。
(8) 洗剤溶液中での活性
J I S標準洗剤 (無リ ン) ベース 1, lOOp pm、 LA S 400 p pm、
過ホウ酸ナ ト リウム l,000 p pm、 TA E D l O O p p m配合の洗剤溶 液中で測定した場合の活性が 1 2%である。
(9) 等電点ポリアク リルアミ ド電気泳動法により得られた等電点は、 9.0土 0.5である。
洗剤組成物 :
本発明の洗剤組成物の必須構成成分であるリパーゼは、 洗剤溶液中で 以下に示す活性を有する。
J I S標準洗剤 (無リ ン) ベース 1, lOOp pm、 LA S 400 p pm、 過ホウ酸ナ ト リ ウム l,000 p p m、 テ トラァセチルエチレンジァ ミ ン (TA E D) 1 00 p p m配合の洗剤溶液中で、 ト リオレインェマルジ ョ ンを基質として、 反応 p Hを 1 0、 反応温度を 3 5 °Cとする以外は、 前記の力価測定法と同様の方法により測定した場合の活性が 1 0〜 5 0 %の範囲内にある。 なお J I S標準洗剤 (無リ ン) ベースは、 ゼォライ ト 2 0 w t %、 無水硫酸ナ ト リ ウム 69 w t %、 炭酸ナ ト リ ウム 4 w t %、 ケィ酸ナ ト リ ウム 6 w t %、 カルボキシメチルセルロース 1 w t % の組成からなる。
すなわち、 本発明のリパーゼは、 本発明の洗剤組成物の必須構成成分 として使用でき、 本発明により前記の性質を有するリパーゼを配合した 洗剤組成物が提供される。
本発明の洗剤組成物に配合されるリパーゼの量に特に限定はないが、 一般には洗剤組成物 1グラム当り 5 0〜20,000ュニッ ト、 好ま しく は 1 0 0〜10, 000ュニッ 卜の割合で配合する。 この配合量が少なすぎると 十分な洗浄効果の向上が得られず、 また逆に多すぎた場合には酵素配合 量に比して洗浄効果の向上が小さく、 経済性の点で好ましくない。 本 発明に従えば、 前記リパーゼは従来公知の任意の洗剤組成物にその組成 を何等変更することなく配合することができ、 本発明の洗剤組成物にお
けるリパーゼ以外の成分については特に限定はない。 従来公知の洗剤組 成物の代表例としては、 洗剤組成物重量当り 1 0〜 5 0重量%の界面活 性剤、 0〜 5 0重量%のビルダ一、 1〜 5 0重量%のアルカリ剤あるい は無機電解質、 Q. 1〜5重量%の再汚染防止剤、 酵素、 漂白剤、 蛍光染 料、 ケーキング防止剤及び酸化防止剤からなる群より選ばれる少なく と も 1種以上の配合成分からなる洗剤組成物が挙げられる。
界面活性剤としては石験、 例えば直鎖または分岐アルキルあるいはァ ルケニル硫酸塩、 アミ ド硫酸塩、 直鎖または分岐鎖のアルキル基または アルケニル基を有し、 エチレンオキサイ ド、 プロピレンオキサイ ド及び プチレンォキサイ ドのうちの単独あるいは複数成分が付加したアルキル またはアルケニルエーテル硫酸塩のような脂肪族硫酸化物、 アルキルス ルホン酸塩、 アミ ドスルホン酸塩、 ジアルキルスルホコハク酸塩、 α — ォレフィ ン、 ビニリデン型ォレフィ ン及び内部ォレフィ ンの各スルホン 酸塩のような脂肪族スルホン酸塩、 直鎖または分岐鎖のアルキルべンゼ ンスルホン酸塩のような芳香族スルホン酸塩、 直鎖または分岐鎖のアル キル基またはアルケニル基を有し、 エチレンォキサイ ド、 プロピレンォ キサイ ド及びプチレンォキサイ ドのうちの単独あるいは複数成分が付加 したアルキルまたはアルケニルェ一テルカルボン酸塩またはアミ ド、 一スルホ脂肪酸塩またはエステル、 アミ ノ酸型界面活性剤、 アルキルま たはアルケニル酸性リ ン酸エステル、 アルキルまたはアルケニルリ ン酸 塩の如きリ ン酸エステル系界面活性剤、 スルホン酸型両性界面活性剤、 ベタイン型両性界面活性剤、 直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアル ケニル基を有し、 エチレンォキサイ ド、 プロピレンォキサイ ド及びプチ レンォキサイ ドのうちの単独あるいは複数成分が付加したアルキルまた はアルケニルエーテルあるいはアルコール、 直鎖または分岐鎖のアルキ ル基またはアルケニル基を有し、 エチレンォキサイ ド、 プロピレンォキ
サイ ド及びプチレンォキサイ ドのうちの単独あるいは複数成分が付加し たポリオキシェチレンアルキルフヱニルエーテル、 高級脂肪酸アル力ノ —ルアミ ドまたはそのアルキレンォキサイ ド付加物、 ショ糖脂肪酸エス テル、 脂肪酸グリセリ ンモノエステル、 アルキルまたはアルケニルアミ ンオキサイ ド、 テトラアルキルアンモニゥム塩型カチオン界面活性剤な ど洗剤組成物として通常配合される界面活性剤であればいずれも使用可 能であり、 陰イオン性界面活性剤の場合の対イオンとしてはナト リゥム イオンまたはカリウムイオンであることが好ましい。 これらの界面活性 剤は、 単独または 2種以上の混合物として使用される。
ビルダ一及びアル力リ剤あるいは無機電解質としてはオルソリン酸塩、 ピロリ ン酸塩、 ト リポリ酸塩、 メタ リ ン酸塩、 へキサメタリ ン酸塩、 フ ィチン酸塩などのリ ン酸塩、 ェタン一 1 , 1 一ジホスホン酸及びその誘 導体、 エタンヒ ドロキシ一 1, 1, 2— ト リホスホン酸、 ェタン一 1, 2—ジカルボキシ一 1 , 2—ジホスホン酸、 メタンヒ ドロキシホスホン 酸などのホスホン酸塩、 2 _ホスホノブタン一 1 , 2—ジカルボン酸、 1—ホスホノブタン一 2 , 3, 4—ト リカルボン酸、 一メチルホスホ ノコハク酸などのホスホノカルボン酸塩、 ァスパラギン酸、 グルタ ミ ン 酸などのァミ ノ酸塩、 二ト リ 口三酢酸塩、 エチレンジアミ ン四酢酸塩、 ジェチレン ト リアミ ン五酢酸塩などのアミ ノポリ酢酸塩、 ポリアク リル 酸、 ポリイタコン酸、 ポリマレイン酸、 無水マレイ ン酸共重合体、 カル ボキシメチルセルロース塩などの高分子電解質、 ポリエチレングリコ一 ル、 ポリ ビニルアルコールなどの非解離高分子、 ジグリ コール酸、 ォキ シジコハク酸、 カルボキシメチルォキシコハク酸、 ダルコン酸、 クェン 酸、 乳酸、 酒石酸、 ショ糖、 ラク ト一スなどのカルボキシメチル化物、 ペンタエリスリ トールのカルボキシメチル化物、 ダルコン酸のカルボキ シメチル化物、 ベンゼンポリカルボン酸、 シユウ酸、 リ ンゴ酸、 ォキシ
ジコハク酸、 ダルコン酸などの有機酸塩、 ゼォライ トなどのアルミ ノケ ィ酸塩、 炭酸塩、 セスキ炭酸塩、 硫酸塩、 メタケイ酸塩などの無機塩を アルカリ金属塩として用いることができ、 またデンプン、 尿素などの有 機物質及び塩化ナト リ ウム、 ベン トナイ トなどの無機化合物を用いるこ とができ、 更には有機アル力リ剤としてト リエタノ一ルァミ ン、 ジエタ ノ ールア ミ ン、 モノエタノ ールア ミ ン、 ト リ イ ソプロパノ ールア ミ ンな どを用いることができる。
本発明の洗剤組成物は、 前述のごとく、 界面活性剤、 リパーゼ等を構 成成分として含むが、 その必要に応じて両性界面活性剤、 例えば過炭酸 ソーダ、 過ホウ酸ソ一ダなどの漂白剤、 色素、 ビルダ一、 例えばポリエ チレングリ コール、 ポリ ビニルアルコール、 ポリ ビニルピロ リ ドン、 力 ルポキシメチルセルロースなどの再汚染防止剤、 ケーキング防止剤、 酸 化防止剤、 他のリパーゼゃプロテア一ゼなどのその他の酵素を必要に応 じて含ませることができる。
本発明の洗剤組成物の調製の際にプロテアーゼあるいはセルラーゼ、 リパーゼなどの酵素を配合するには如何なる方法をもつて行ってもよい 力、 微粉末状で配合することは、 洗剤取扱い時の発塵による洗剤使用者 や洗剤工業における作業者の安全衛生上好ましいことではないので、 溶 液状態あるいはあらかじめ発塵性をおさえた形状に賦形しておく ことが 好ましい。 この賦形は通常よく用いられるマルメ造粒、 押し出し造粒、 流動造粒、 遠心流動造粒やその他の方法のいずれによるものであつても よく、 本発明の洗剤組成物に配合するプロテアーゼあるいはセルラーゼ、 リパーゼなどの酵素の形状は特にこれらの方法によって賦形されたもの に限定されるものではない。 発明を実施するための最良の形態
次に本発明を実施例を挙げて説明するが、 本発明は下記の実施例に限 定されるものではない。 なお、 下記の説明中、 特に記載がない限り%は 重量を基準とするものである。 実施例 1 : リパーゼ生産菌 (S D 7 06株) の培養
T w e e n 8 0 2%、 硫酸ァンモニゥム 0.4%、 リ ン酸一水素二力 リウム 1 %、 リ ン酸ニ水素力リウム 0.4%、 塩化カルシウム · 2水和物 0.05%、 硫酸マグネシウム · 7水和物 0.3%、 硫化第二鉄 0.03%、 硫酸 マンガン · 4〜 5水和物 0.005%、 炭酸ナト リ ウム 0.1%の濃度の液体 培地 2m 1を 1 8mm径の試験管にとり、 1 2 1 °C、 2 0分間高圧蒸気 ΐ¾®した ヽ " シネ 夕夕一 ゥマ Acinetobacter baumanni) S D 7 06株を 1白金耳接種し、 3 0°Cで 1 6時間、 1 3 0 r pmで培 養した。 培養後、 遠心分離により菌体を除去しリパーゼ液を得た。 この 液のリパーゼ活性は 1 50 U/m 1であつた。 実施例 2 : リパーゼ生産菌 (S D 7 0 6株) の培養及びリパーゼの取得 実施例 1の濃度の液体培地 2 リ ッ トルを 5 リ ッ トル培養槽にとり、 1 2 1°C、 2 0分間高圧蒸気滅菌した後、 ァシネ トパクター ·バウマ二 ィ (Acinetobacter_ baumanni) S D 7 06株を接種し、 3 0 °Cで 24時 間、 l,000 r pmで通気撹はん培養した。 培養後、 遠心分離により菌体 を除去しリパーゼ液を得た。 この液のリパーゼ活性は 6 0 0 U/m 1で あった o
このようにして得られたリパーゼ液から硫安沈澱法にて飽和硫安 2 0 〜3 0%画分の沈澱を得た。 これを脱塩後、 凍結乾燥により リパーゼ原 末を得た。
実施例 3 : リパーゼ生産菌 (S D 7 0 7株) の培養
実施例 1 と同様にァシネ トバク夕一 ·バウマニイ(Acinetob^ter bau manni) S D 7 0 7株を培養した。 培養後、 遠心分離により菌体を除去し リパ一ゼ液を得た。 この液のリパ一ゼ活性は 5 0 U / m 1であつた。 実施例 4 : リパーゼ生産菌 (S D 7 0 7株) の培養及びリパーゼの取得 実施例 2と同様にァシネ トパクター 'バウマニイ(Acinetobacter bau manni) S D 7 0 7株を培養した。 培養後、 遠心分離により菌体を除去し リパーゼ液を得た。 この液のリパーゼ活性は 5 0 0 U / m 1であつた。 このようにして得られたリパーゼ液から実施例 2 と同様にリパーゼ原 末を得た。 実施例 5 : リパーゼ生産蘭 (S D 7 0 8株) の培養
実施例 1 と同様にァシネ トパクター ·へモリティ カス ( Acinetobact er haemolyticus) S D 7 0 8株を培養した。 培養後、 遠心分離により 菌体を除去しリパーゼ液を得た。 この液のリパーゼ活性は 5 0 U / m 1 であつた。 実施例 6 : リパーゼ生産菌 (S D 7 0 8株) の培養及びリパーゼの取得 実施例 2と同様にァシネ トバクタ一 'へモリティ カス ( Acinetobact er haemolyticus) S D 7 0 8株を培養した。 培養後、 遠心分離により 菌体を除去しリパーゼ液を得た。 この液のリパーゼ活性は 2 0 0 U Z m 1であった。
このようにして得られたリパーゼ液から実施例 2と同様にリパーゼ原 末を得た。
実施例 7 : リパーゼ生産菌 (S D 7 1 0株) の培養
実施例 1 と同様にシユー ドモナス sp. (Pseudomonas sp. ) S D 7 1 0株を培養した。 培養後、 遠心分離により菌体を除去しリパーゼ液を得 た。 この液のリパーゼ活性は 5 U /m 1であった。 実施例 8 : リパーゼ生産菌 (S D 7 1 0株) の培養及びリパ―ゼの取得 実施例 2と同様にシュ一 ドモナス sp. (Pseudomonas sp. ) S D 7 1 0 株を培養した。 培養後、 遠心分離により菌体を除去しリパーゼ液を得た。 この液のリパーゼ活性は 2 0 U Zm 1 であった。
このようにして得られたリパーゼ液から実施例 2と同様にリパーゼ原 末を得た。 実施例 9 : リパーゼ精製
実施例 2、 実施例 4、 実施例 6、 実施例 8で得られたリパーゼ原末を 1 0 %飽和硫酸アンモニゥムに溶解させ、 プチル ' トヨパール (Buty卜 Toyopearl) 6 5 0 M (東ソ一 (株) 商品名) での疎水クロマ トグラフィ 一を行い活性画分を得た。 この活性画分を 0. 3m M塩化カルシウム · 2 水和物を含む 1 0 m Mト リスー塩酸緩衝液 (p H 8 ) にて透析後、 同緩 衝液で平衡化した DEAE-Cel lulofine A- 800 (生化学工業 (株) 商品名) でのイオン交換クロマト樹脂に吸着させ、 N a C 1濃度勾配にて溶出し 活性画分を得た。 これを脱塩後凍結乾燥により精製酵素を得た。
この凍結乾燥品は S D Sポリアク リルアミ ドゲル電気泳動法により単 一であることが確認された。 実施例 1 0 : 漂白剤存在下の洗剤溶液中での活性比較
実施例 2、 実施例 4、 実施例 6、 実施例 8で得られたリパーゼ原末を
用いて洗剤溶液中での活性測定を行い、 クロモパクター · ピスコサム
(Chromobacter viscosum 由来の市販リノヽ0—ゼ ムコーノレ · ミエヘイ (Mucor miehei)由来の巿販リパーゼ、 及び市販洗剤配合リパーゼ粒剤 (市販洗剤トップ (ライオン (株) , 商品名) 中より取得) と比較した。 ト リオレインェマルジョ ンを基質として、 市販の漂白剤入り洗剤タイ Κ · ウイズブリーチ (P&G商品名) 溶液中及び下記の合成洗剤①〜④ の溶液中で、 反応 Ρ Ηを 1 0、 反応温度を 3 5°Cとする以外は、 前記の 力価測定法と同様の方法により測定した。 洗剤溶液の組成と濃度を下記 に示す。 なお、 L A Sは直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナト リウム (sodium linear alkylbenzenesulf onate ) を、 P〇 E A Eはポリオキ シエチレ ンァノレキ^エーテノレ (polyoxyethylene alkyl ethe) (第一ェ 業製薬 (株) , ノィゲン E T— 1 2 7) を、 TA E Dはテ トラァセチル エチレンジァ ミ ン ( t etraacetyl ethylene diamine ) を示す 0 タイ ド · ウイズブリーチ : 1, 440 p p m、
合成洗剤① : J I S標準洗剤 (無リ ン) ベース 1, 100P pm、
L A S 4 0 0 p pm。
合成洗剤② : J I S標準洗剤 (無リ ン) ベース 1, IOOP p m、
L A S 4 0 0 p pm、
過ホウ酸ナト リ ウム Ι,ΟΟΟρ p m、
TA E D 1 0 0 p pm。
合成洗剤③ : J I S標準洗剤 (無リ ン) ベース Ι, ΙΟΟρ pm、
L A S 4 0 0 p p m、
過ホウ酸ナ ト リ ウム l,000 p p m、
TA E D 1 0 0 p pm、
アル力リプロテア—ゼ API- 21 (特公昭 60- 5518 号)
0.3 n k a t / m 10
合成洗剤④ : J I S標準洗剤 (無リ ン) ベース l,100p pm、 L A S 2 0 0 p p m
P O EA E 20 0 p pm、
過ホウ酸ナ ト リ ゥム Ι,ΟΟΟρ pm、
TA E D 1 0 0 p pm。
J I S標準洗剤 (無リ ン) ベース : ゼォライ ト 2 0w t %、
無水硫酸ナ ト リウム 69w t %、 炭酸ナ ト リ ウム 4w t %、 ゲイ酸ナ ト リ ウム 6 w t %、 カルボキシメ チルセルロース
1 w t %o 洗剤を添加しない時の活性を 1 0 0%としたときの相対活性を表 3 i 示す。
3
表 3 :洗剤溶液中の相対活性 (単位%) 添加 洗剤なし タイド'ウイズ 合 成 合 成 合 成 合 成 リパ-ゼ ブリーチ 洗剤① 洗剤② 洗剤③ 洗剤④
SD706 100 50 41 38 37 40
SD707 100 22 17 11 10 15
SD708 100 30 25 18 17 23
SD710 100 28 21 15 16 16
C. vise 100 3 20 3 2 3
M. mieh 100 4 11 2 1 3 市販洗 100 3 12 2 1 2
SD706 - SD710 は S謂 6 SD710 株から得たリパ—ゼ、
C. viseはク ロモバクタ一 · ピピススココササムム、、 M M.. mmiieehhははムムココーールル · ミェへ ィ由来のリパ—ゼ、
市販洗は市販洗剤配合のリパーゼ。 表 3から本発明の洗浄組成物に含まれるリパーゼは、 他の公知リパー ゼに比べて漂白剤存在下のァニォン系洗剤溶液中で高い活性を有するこ とが分かる。
実施例 1 1 : 洗濯評価
市販の漂白剤入り洗剤タイ ド, ウイズプリ一チ (P & G商品名) に実 施例 2、 実施例 4、 実施例 6、 実施例 8で得られたリパーゼを用いて作 製した粒剤、 クロモパクター · ピスコサム (Chromobacter vi scosum) 由来の市販リパーゼ、 ムコール ' ミエヘイ (Mucor miehei) 由来の巿 販リパ—ゼ、 巿販洗剤配合リパーゼ粒剤 (巿販洗剤トップ (ライオン (株) 、 商品名) 中より取得) を各 2, 400ュニッ ト/ gとなるように配
合した洗剤組成物を調製した。
洗濯評価は次のようにして行った。 汚垢布は、 脱脂した綿布 (1 5 c m X 1 5 c m) に、 口紅 2 5 0 m g、 ラー ド 0.5m l、 オリ 一ブ油 0.5m 1を各々塗沫し、 乾燥 (75°C · 3 0分間後、 室温で一晩) させ たものを用いた。 洗浄装置は、 Terg- 0- Tometerを用いた。 カルシウムィ オンを終濃度 40 p pm加えた蒸留水 1 リ ッ トルに前記リパーゼ配合洗 剤組成物あるいは市販の漂白剤入り洗剤タイ ド · ウイズブリーチ (P& G) をそれぞれ標準使用濃度で溶解した。 洗濯液 1 リ ッ トルあたり 3枚 の前記汚垢布を入れ、 35 °Cの洗濯温度にて、 1 2 0 r pmで 1 5分間 洗浄した。 洗浄後、 前記のカルシウム含有蒸留水 1 リ ッ トルで 3分間ず つ 2回すすぎを行った後室温で乾燥させた。 未洗浄と洗浄後の汚垢布の Z値と白布の Z値を色彩色差計を用いて測定し、 洗浄効率を以下の計算 式により求めた。
洗浄効率 (%) = { (洗浄後汚垢布の Z値一未洗浄汚垢布の Z値) ÷
(白布の Z値一未洗浄汚垢布の Z値) } X I 0 0 その結果を表 4に示す。
表 4 : 洗濯評価
口 紅 ラー ド ォリープ油 添加酵素 洗浄効果 ) 洗浄効果^) 洗浄効果(¾
S D 7 0 6株酵素 34.1 55.6 63.2 S D 7 0 7株酵素 29.0 47.3 54.5 S D 7 0 8株酵素 31.3 53.6 60.7 S D 7 1 0株酵素 30.5 49.8 55.8 クロモノヾク夕一 ·
ピスコサム酵素 24.9 43.8 48.8 ムコール ·
ミェヘイ酵素 25.2 43.5 49.3 市販洗剤酵素 24.8 42.5 48.1 リパーゼ無添加 23.3 41.0 46.8 本発明の洗剤組成物を用いた洗浄では、 漂白剤入りの洗剤溶液中での 洗浄効果がリパーゼ無添加の洗剤や従来の市販洗剤リパーゼを添加した 洗剤に比べて高いことが判った。 また実施例 1 0及び実施例 1 1の結果 より、 ト リオレイ ンエマルジョ ンを基質と し、 洗剤無添加時の活性を 1 0 0%としたとき、 ァニオン界面活性剤 2 0 0〜4 0 0 p pm、 過ホ ゥ酸ナト リウム 1, OOOp p m、 テトラァセチルェチレンジァミ ン 1 0 0 P pm配合の洗剤溶液中で測定した場合の活性が 1 0%以上のリパーゼ であれば、 漂白剤入りのァニォン系洗剤溶液中で顕著な洗浄効果のある ことが分かる。 産業上の利用可能性
本発明のリパーゼは漂白剤入りの洗剤溶液中で高い活性を有し、 洗濯
条件下で優れた油脂汚れ除去効果を与えることができるため、 本発明の 洗剤組成物により洗濯時の洗浄力増強を図ることが出来る。
またヽ ァシネ 卜 ノ クタ一 · ノ ゥマニイ (Acinetobacter baumanni) 、 ァシネ 卜ノ ク夕一 · へモリティ カス (Acinetobacter haemolyticus) の 生産するリパーゼを洗剤に配合することにより、 洗浄特性に優れた洗剤 組成物が提供される。
さ らにまた、 本発明のアンネ トバクタ一 · バウマニイ(Acinetobacter baumanni) S D 7 0 6株、 S D 7 0 7株、 ァシネ トバクタ一 . へモリテ ィ カス (Acinetobacter haemolyticus) S D 7 0 8株、 シユー ドモナス sp. (Pseudomonas sp, ) S D 7 1 0株及びこれら 4株と菌学的に同等な 菌株、 及びこれら 4株の変異株は、 本発明のリパーゼを効果的に生産す るために有用である。 寄託された微生物に関する情報
明細書及び請求の範囲に記載した微生物の寄託機関、 その宛名、 及び 寄託日等の情報は下記の通りである。
(1)アンネ 卜ノ ク夕一 · ノ ゥマニイ (Acinetobacter baumanni) S D 7 0 6株 (受託番号 FERM P- 14881) :
寄託機関:通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所、
宛名 : 日本国茨城県つくば巿東 1丁目 1番 3号、
平成 7年 (1995年) 4月 6日に P-13781 号として寄託され、 現在ブタ ぺスト条約に基づく国際寄託移管手続が取られている。
(2) " シネ 卜ノ 夕夕一 · ノ ゥマニイ (Acinetobacter baumanni) S D 7 0 7株 (受託番号 FERM P- 14882) :
寄託機関 :通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所、
宛名 : 日本国茨城県つくば巿東 1丁目 1番 3号、
平成 7年 (1995年) 4月 6日に P- 14882 号として寄託され、 現在ブタ ぺスト条約に基づく国際寄託移管手続が取られている。
(3)ァシネ 卜ノ クタ一 · へモリティカス (Acinetobacter haemolyticus) S D 7 0 8株 (受託番号 FERM P- 14883) :
寄託機関:通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所、 宛名 : 日本国茨城県つくば巿東 1丁目 1番 3号、
平成 7年 (1995年) 4月 6日に P - 14883 号として寄託され、 現在ブタ ぺスト条約に基づく国際寄託移管手続が取られている。
(4)シュ一 ドモナス s p . (Pseudomonas sp. ) S D 7 1 0株 (受託番 号 FERM P- 14884) :
寄託機関 :通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所、 宛名 : 日本国茨城県つくば巿東 1丁目 1番 3号、
平成 7年 (1995年) 4月 6日に P-14884 号として寄託され、 現在ブ夕 ぺスト条約に基づく国際寄託移管手続が取られている。