明 細 書 液晶配向膜とその製造方法およびそれを用いた液晶表示装置とその製造 方法 技術分野
本発明は、 液晶を用いた画像表示装置およびその製造方法に関するも のである。 さらに詳しくは、 テレビジョン (T V ) 画像やコンピュータ 画像等を表示する液晶を用いた平面表示パネルに用いる液晶配向膜およ びその製造方法およびそれを用いた液晶表示装置とその製造方法に関す るものである。 背景技術
従来、 カラー液晶表示パネルは、 マトリ ックス状に配置された対向電 極を形成した 2つの基板の間に、 ポリビニルアルコールやポリイミ ド溶 液を、 スピナ一等で回転塗布して形成した液晶配向膜を介して、 液晶を 封入した装置が一般的であつた。
例えば、 予め第 1のガラス基板上に画素電極を持つた薄膜トランジス 夕 (T F T ) アレイを形成したものと、 第 2のガラス基板上に複数個の 赤青緑のカラ一フィルターが形成され、 さらにその上に共通透明電極が 形されたもの、 それぞれの電極面にポリビニルアルコールやポリイミ ド 溶液をスピナ一を用いて塗布して被膜形成した後、 ラビングを行って液 晶配向膜を形成し、 スぺーサーを介して任意のギヤップで対向するよう に接着組み立てた後、 液晶 (ツイストネマチック (T N ) 等) を注入し パネル構造を形成した後、 パネルの裏表に偏光板を設置し、 裏面よりバ ックライ トを照射しながら、 T F Tを動作させカラー画像を表示するデ
バイスが提案されている。
しかしながら、 従来の配向膜の作成は、 ポリビニルアルコールやポリ ィミ ドを有機溶媒に溶解させ、 回転塗布法などを用いて塗布形成した後 、 フヱルト布等を用いてラビングを行なう方法が用いられていたため、 表面段差部ゃ大面積パネル (例えば 1 4インチディスプレイ) では配向 膜の均一性が悪いという大きな問題があった。 また、 ラビングを行うた め、 T F Tに欠陥を生じたり、 ラビングすることにより発生するゴミが 表示欠陥を生じる原因にもなつていた。 発明の開示
本発明は、 前記従来の問題を解決するため、 従来のようなラビング処 理を必要とせず、 液晶表示パネルにおいて使用される配向膜を高能率で 均一且つ薄く作成する方法およびそれを用いた表示パネルを製造する方 法を提供することを目的とする。
前記目的を達成する、 本発明の第 1番目の液晶配向膜は、 直鎖状の炭 素鎖および S iを持つシラン系界面活性剤が、 所定の基板表面に形成さ れたエネルギービーム照射によって活性水素を含む官能基を生成するェ ネルギービーム感応性の樹脂膜を介して化学吸着され、 かつ前記直鎖状 の炭素鎖が特定の方向に配向している被膜であることを特徵とする。 前記液晶配向膜においては、 界面活性剤よりなる被膜が、 筋状のバタ —ンで前記基板表面に共役結合を介してエネルギービーム感応性の樹脂 膜に固定されていることが好ましい。 これにより、 一軸配向性に優れた 液晶配向膜を得ることができる。
また前記液晶配向膜においては、 前記固定された界面活性剤よりなる 被膜が、 シロキサン結合を有する被膜を介してエネルギービーム感応性 の樹脂膜に固定されていることが好ましい。 これにより、 耐剥離性、 す
なわち密着性が向上して好都合である。
また前記液晶配向膜においては、 シラン系界面活性剤が、 直鎖状炭化 水素基とクロロシリル基を含むクロロシラン系の界面活性剤であること が好ましい。 シラン系界面活性剤としては、 分子末端にクロロシリル基 ( S i C 1 ) やアルコキシシリル基 (S i 0 A、 Aはアルキル基) ゃィ ソシァネ一トシリル基 (S i N C O ) を含む物質を用いることができる 力 中でもクロロシラン系の界面活性剤を用いると、 基材にシロキサン 結合を介して共有結合した配向膜を効率良く、 容易に作製できる。
また前記液晶配向膜においては、 クロ口シラン系の界面活性剤の直鎖 状炭化水素基の一部が、 少なくともフッ素原子で置換されていることが 好ましい。 これにより、 配向膜としての臨界表面エネルギーを小さくで き、 従って液晶の応答性能を向上できて好都合である。
また前記液晶配向膜においては、 直鎖状炭化水素基とクロロシリル基 を含むクロロシラン系の界面活性剤として分子長の異なる複数種のクロ ロシラン系界面活性剤を混合して用いることが好ましい。 これにより、 分子レベルで表面が凸凹な被膜を形成することができ、 分子レベルで液 晶の配向角 (プレチルト角) を制御できる液晶配向膜となる。
本発明の第 2番目の液晶配向膜は、 所望の電極を形成した基板表面に 形成された単分子膜状の被膜であって、 前記被膜を構成する分子が所望 の傾きを有し且つ特定の方向に向きを揃えて前記基板表面に一端で結合 固定されていることを特徴とする。
前記液晶配向膜においては、 分子の所望の傾きが、 基板に被膜を構成 する分子を共有結合により固定した後、 前記分子を有機溶剤で洗浄後さ らに所望の方向に基板を立てて液切りにより形成したものであることが 好ましい。
また前記液晶配向膜においては、 被膜を構成する分子が炭素鎖または
シロキサン結合鎖を含んでいることが好ましい。 これにより、 被膜の配 向性を向上できて都合がよい。
また前記液晶配向膜においては、 炭素鎖の一部の炭素が光学活性を有 することが好ましい。 これにより、 光照射にて被膜の配向性を向上する 上でさらに都合がよい。
また前記液晶配向膜においては、 被膜を構成する分子の両端に S iを 含んでいることが好ましい。 これにより、 被膜を基板に強固に結合でき て好都合である。
また前記液晶配向膜においては、 被膜を構成する分子が、 分子長の異 なる複数種の化学吸着分子が混合されて形成され、 かつ固定された被膜 が分子長さレベルで凸凹であることが好ましい。 これにより、 液晶のチ ルト角を制御する上で都合がよい。
本発明の第 3番目の液晶配向膜は、 所望の電極を形成した基板表面に 形成された単分子膜状の被膜であり、 前記被膜を構成する分子が炭素鎖 またはシロキサン結合趙を含み、 前記炭素鎖またはシロキサン結合鎖の 少なく とも一部に被膜の表面エネルギーを制御する官能基を少なく とも 一つ含んでいることを特徴とする。 このような液晶配向膜を作製するこ とにより、 従来のようなラビングを用いなく とも、 配向膜の臨界表面ェ ネルギーを制御して、 注入される液晶のプレチルト角度を制御でき且つ 液晶を任意の方向に配向させ得る機能を有する配向膜を提供できる。 前記液晶配向膜においては、 被膜を構成する分子として臨界表面エネ ルギ一の異なる複数種のシリ コン系界面活性剤を混合して用い、 固定さ れた被膜が所望の臨界表面エネルギー値になるよう制御されていること が好ましい。 これにより、 液晶のプレチルト角を制御する上で都合がよ い。
また前記液晶配向膜においては、 表面エネルギーを制御する官能基と
して、 3フッ化炭素基 (—CF3) 、 メチル基 (一 CH3) 、 ビニル基 ( 一 CH=CH2) 、 ァリル基 (一 CH-CH—) 、 アセチレン基 (炭素 —炭素の 3重結合) 、 フヱニル基 (- C„H,) 、 ァリール基 (一 C„H4 一) 、 ハロゲン原子、 アルコキシ基 (—OR; Rはアルキル基を表す、 とくに炭素数 1〜3の範囲のアルキル基が好ましい。 ) 、 シァノ基 (― CN) 、 アミノ基 (一 NH。) 、 水酸基 (― OH) 、 カルボニル基 (= CO) 、 エステル基 (― C00—) 及びカルボキシル基 (― C00H) から選ばれる少なくとも一つの有機基を用いることが好ましい。 これに より、 臨界表面エネルギーの制御を容易に行える。
また前記液晶配向膜においては、 被膜を構成する分子の末端に s iを 含ませておく ことが好ましい。 これにより、 基板表面への分子の固定が きわめて容易になる。
また前記液晶配向膜においては、 被膜の臨界表面エネルギーを 15m NZm〜 56 mNZmの間で所望の値に制御しておく ことが好ましい。 これにより、 注入する液晶のプレチルト角を 0〜90度の範囲で任意に 制御できる。
本発明の第 4番目の液晶配向膜は、 エネルギービーム感応性基及び熱 反応性基を有し可視光域で透明な樹脂膜が電極上に直接または任意の薄 膜を介して間接的に形成され、 少なく ともエネルギービーム感応性基が 反応架橋されていることを特徴とする。
前記液晶配向膜においては、 樹脂膜において、 エネルギービーム感応 性基及び熱反応性基が側鎖基として導入されていることが好ましい。 また前記液晶配向膜においては、 樹脂膜において、 エネルギービーム 感応性基、 熱反応性基及び炭化水素基が側鎖基として導入されているこ とが好ましい。
また前記液晶配向膜においては、 樹脂膜の表面が筋状の凸凹に形成さ
れていることが好ましい。
また前記液晶配向膜においては、 熱反応性基が反応架橋されているこ とが好ましい。
また前記液晶配向膜においては、 樹脂膜として下記式 (化 1 ) で表さ れる物質を用いることが好ましい。
(化 1 )
[ 4 ' M C ]
4 次に本発明の第 1番目の液晶配向膜の製造方法は、 電極の形成された 所定の基板表面に、 直接または任意の薄膜を介して間接的に、 エネルギ —ビームによって活性水素を含む官能基を生成するエネルギービーム感 応性の樹脂膜を塗布形成する工程と、 前記樹脂膜の表面を任意のパター ンでエネルギービームを照射する工程と、 前記照射された樹脂膜を直鎖 状の炭素鎖および S i基を持つシラン系界面活性剤を含む化学吸着液に 接触させた後、 前記樹脂膜を溶かさない溶剤で洗浄することにより、 前 記照射された部分に選択的に前記界面活性剤よりなる単分子膜を 1層形 成し、 且つ前記界面活性剤分子中の直鎖状の炭素鎖を配向固定する工程
を含むものである。
前記方法においては、 エネルギービームが電子線、 X線、 または波長 100 ηπ!〜 1 mの光から選ばれる少なく とも一つであることが好ま しい。 とくに紫外線を使用することが好ましい。
また前記方法においては、 化学吸着液が、 少なくとも直鎖状炭素鎖と クロロシリル基を含むクロロシラン系の界面活性剤とエネルギービーム
N..
感応性樹脂膜を損なわ 2ない溶剤を含んでいることが好ましい。 これによ り、 下地の感光性薄膜を損 o..なうことがないので好都合である。
また前記方法においては、 エネルギービームが紫外線、 可視光線及び 赤外線から選ばれる少なく とも一つの光であり、 エネルギービーム感応 性の樹脂膜が感光性樹脂膜であることが好ましい。 これにより、 液晶配 向膜の製造が極めて容易になる。
前記方法においては、 感光性の樹脂膜が、 下記式 (化 2) 基、 (化 3 ) 基及び (化 4) 基から選ばれる少なくとも一つの有機基を含むポリマ 一膜又はモノマー膜であることが好ましい。 これらのポリマーを用いる と、 エネルギ一ビームとして紫外線が利用可能なので好都合である。
(化 2)
-C-C-
(化 3)
0
II I
C-0-N=C
(化 4 )
H 0
S O O - C - C - C H,
2
C H.
また、 吸着形成される界面活性剤に、 特定の液晶例えばネマティ ック 液晶や強誘電性液晶を結合して組み込んでおく と、 極めて配向制御性が よい配向膜が得られる。
前記方法においては、 非水系溶媒としてふつ化炭素基を含む溶媒を用 いることが好ましい。 これにより、 感光性の下地基材を損なうことがな いので好都合である。
本発明の第 2番目の液晶配向膜の製造方法は、 電極を形成した基板を 化学吸着液に接触させ、 前記吸着液中の界面活性剤分子と基板表面とを 化学反応させ前記界面活性剤分子を基板表面に一端で結合固定する工程 と、 有機溶剤で洗浄後さらに所望の方向に基板を立てて液切りを行い液 切り方向に前記固定された分子を配向させる工程を含む単分子膜状の液 晶配向膜の製造方法である。
前記方法においては、 固定分子を配向させた後、 さらに偏光板を介し て所望の方向に偏光した光で露光して前記界面活性剤分子の向きを所望 の傾きを有した状態で特定の方向に揃える工程を含むことが好ましい。 また前記方法においては、 界面活性剤として、 直鎖状炭化水素基また はシロキサン結合鎖とクロロシリル基、 又はアルコキシシリル基または ィソシァネートシリル基を含むシラン系の界面活性剤を用いることが好 ましい。 これにより、 効率よく単分子膜状の液晶配向膜を製造できる。
また前記方法においては、 直鎖状炭化水素基またはシロキサン結合鎖 とクロロシリル基、 またはアルコキシシリル基またはイソシァネ一トシ リル基を含むシラン系の界面活性剤として分子長の異なる複数種のシラ ン系界面活性剤を混合して用いることが好ましい。 これにより、 吸着固 定された分子の配向角すなわち、 注入した液晶のプレチル卜角を制御す る上で都合がよい。
また前記方法においては、 炭化水素基の一部の炭素が光学活性を有す ることが好ましい。 これにより、 光照射による再配向の際効率よく配向 制御できて都合がよい。
また前記方法においては、 炭化水素基またはシロキサン結合鎖の末端 にハロゲン原子またはメチル基 (― CHJ 、 フヱニル基 (一 C H5) 、 シァノ基 (― CN) 、 水酸基 (― OH) 、 カルボキシル基 (― COO H) 、 ァミノ基 (一 NH2) 、 またはトリふつ化炭素基 (一 CF3) を含 んでいることが好ましい。 これにより、 被膜の表面エネルギーを制御で きる。
また前記方法においては、 露光に用いる光が、 436n m、 405 η m、 365 nm、 254 n m及び 248 n mから選ばれる少なく とも一 つの波長光であることが好ましい。 露光に用いる光としては被膜に吸収 される波長の光であれば何でも良いが、 前記波長光を用いると、 大部分 の被膜に吸収されるので都合がよい。
また前記方法においては、 界面活性剤として、 直鎖状炭化水素基また はシロキサン結合鎖とクロロシリル基またはィソシァネートシリル基を 含むシラン系の界面活性剤を用い、 洗浄有機溶媒として水を含まない非 水系の有機溶媒を用いることが好ましい。 これらを用いると、 未反応物 の界面活性剤を完全に除去する上で都合がよい。 なおこのとき、 直鎖状 炭化水素基またはシロキサン結合鎖にそれぞれビニル基 (〉 C = Cく)
やアセチレン結合基 (炭素一炭素の三重結合基) 等の感光性反応基を組 み込み、 光配向時に前記感光性基を光反応させ架橋または重合させると 、 得られる単分子膜の耐熱性を向上できる。
また前記方法においては、 非水系の有機溶媒として、 アルキル基、 ふ つ化炭素基または塩化炭素基またはシロキサン基を含む溶媒を用いるこ とが好ましい。 これを用いると、 脱水が極めて容易であるので効率がよ い。
また前記方法においては、 界面活性剤分子を一端で固定する工程の前 に、 多数の S i 0基を含む被膜を形成し、 この膜を介して単分子膜状の 被膜を形成することが好ましい。 これにより、 品質の安定した被膜が得 られる。
本発明の第 3番目の液晶配向膜の製造方法は、 電極を形成した基板を 、 炭素鎖またはシロキサン結合鎖を含み且つ前記炭素鎖またはシロキサ ン結合鎖の少なくとも一部に被膜の表面エネルギーを制御する官能基を 少なくとも一つ含んでいるシラン系界面活性剤を用いて作製した化学吸 着液に接触させ前記吸着液中の界面活性剤分子と基板表面とを化学反応 させ前記界面活性剤分子を基板表面に一端で結合固定する工程を含むも のである。
前記方法においては、 界面活性剤として直鎖状炭素鎖またはシロキサ ン結合鎖とクロロシリル基、 又はアルコキシシリルン基またはイソシァ ネートシリル基を含むシラン系の界面活性剤を用いることが好ましい。 また前記方法においては、 界面活性剤として臨界表面エネルギーの異 なる複数種のシリコン系界面活性剤を混合して用いることが好ましい。 これにより、 被膜の臨界表面エネルギーをより細かく制御できる。
また前記方法においては、 炭素鎖またはシロキサン結合鎖の末端また は主鎖内、 あるいは側鎖に 3フッ化炭素基 (― C F 3) 、 メチル基 (一
0
CH3) 、 ビニル基 (一 CH = CH2) 、 ァリル基 (一 CH-CH—) 、 アセチレン基 (炭素一炭素の 3重結合) 、 フヱニル基 (一 CPHr) 、 ァ リール基 (一 C6H4―) 、 ハロゲン原子、 アルコキシ基 (—OR ; Rは アルキル基を表す、 とくに炭素数 1〜 3の範囲のアルキル基が好ましい 。 ) 、 シァノ基 (一CN) 、 アミノ基 (一 NH2) 、 水酸基 (― OH) 、 カルボニル基 (=CO) 、 エステル基 (― COO— ) 及びカルボキシ ル基 (一 COOH) から選ばれる少なく とも一つの有機基を組み込むこ とが好ましい。 これによつても、 被膜の臨界表面エネルギーをより細か く制御できる。
また前記方法においては、 界面活性剤分子を基板表面に一端で結合固 定する工程の後に、 有機溶剤で洗浄して、 さらに所望の方向に基板を立 てて液切りを行い、 液切り方向に前記固定された分子を配向させる工程 を行うことが好ましい。 これにより、 注入した液晶のチルト方向をも制 御できる。
また前記方法においては、 分子を配向させる工程を行った後、 さらに 偏光膜を介して露光して前記配向された分子を所望の方向に再配向させ ることが好ましい。 これにより、 より配向性能を向上できる。
また前記方法においては、 界面活性剤として直鎖状炭素鎖またはシロ キサン結合鎖とクロロシリル基またはイソシァネートシリル基を含むシ ラン系の界面活性剤を用い、 洗浄有機溶媒として水を含まない非水系の 有機溶媒を用いることが好ましい。 これにより、 より欠陥の少ない単分 子膜状の液晶配向膜を提供できる。
このとき、 非水系の有機溶媒として、 アルキル基、 フッ化炭素基また は塩化炭素基またはシロキサン基を含む溶媒を用いると液切りに都合が よい。
また前記方法においては、 界面活性剤分子を一端で固定する工程の前
に、 多数の S i 0基を含む被膜を形成する工程を行い、 この膜を介して 単分子膜状の被膜を形成することが好ましい。 これにより、 より密度の 高い単分子膜状の液晶配向膜を提供できる。
本発明の第 4番目の液晶配向膜の製造方法は、 電極の形成された所定 の基板表面に直接または任意の薄膜を介して間接的に、 エネルギービー ム感応性基及び熱反応性基を有する可視光域で透明な樹脂膜を塗布形成 する工程と、 少なくとも任意のマスクを介してエネルギービームを樹脂 膜に照射してエネルギービーム感応性基を反応架橋する工程とを有する ものである。
前記方法においては、 電極の形成された所定の基板表面に直接又は任 意の薄膜を介して間接的に、 エネルギービーム感応性基及び熱反応性基 を有する可視光域で透明な樹脂膜を塗布形成する工程と、 少なく とも任 意のマスクを介してエネルギービームを前記樹脂膜に照射して前記エネ ルギービーム感応性基を反応架橋する工程とを有することが好ましい。 また前記方法においては、 エネルギービーム感応性基を反応架橋する 工程の前あるいは後に加熱により熱反応性基を反応架橋させる工程を付 加することが好ましい。
また前記方法においては、 エネルギービーム感応性基が感光性基であ り、 マスクを介して紫外線を照射して樹脂膜内の感光性基を反応させ、 主鎖間を架橋するとともに側鎖基を配向固定することが好ましい。
また前記方法においては、 マスクとして偏光膜または回折格子を用い て露光することが好ましい。
また前記方法においては、 露光の際に、 樹脂膜の表面が凸凹になるま で露光を行うことが好ましい。
次に本発明の第 1番目の液晶表示装置は、 一対の基板と、 その表面の 電極と、 その表面の配向膜がこの順序に形成され、 液晶が前記 2つの対
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向する電極に前記配向膜を介して挟まれている液晶表示装置であって、 前記少なくとも一方の配向膜は、 直鎖状の炭素鎖を持つシラン系界面活 性剤が、 エネルギービーム照射によって活性水素を含む官能基を生成す るエネルギービーム感応性の被膜を介して化学吸着され、 かつ前記直鎖 状の炭素鎖が特定の方向に配向している被膜であることを特徴とする。 本発明の第 2番目の液晶表示装置は、 直鎖状の炭素鎖またはシロキサ ン結合鎖を持つシラン系界面活性剤よりなる単分子膜状の被膜で、 且つ 前記被膜を構成する分子が所望の傾きを有し且つ特定の方向に向きを揃 えて基板表面に一端で結合固定されている被膜が液晶用の配向膜として 2つの対向させる電極の形成された基板表面の少なく とも一方の基板の 電極側表面に直接または他の被膜を介して間接に形成されており、 液晶 が前記 2つの対向する電極に前記配向膜を介して挟まれているという構 成を備えたものである。
前記液晶表示装置においては、 対向させる 2つの電極の形成された基 板表面にそれぞれ前記被膜が配向膜として形成されていることが好まし い。 これにより、 注入する液晶に対する配向規制力を向上する上で都合 が良い。
また前記液晶表示装置においては、 基板表面の被膜がパターン状の配 向方向の異なる部分を複数箇所含んでいることが好ましい。 これにより 、 マルチドメイン配向の液晶表示装置を容易に提供できる。
また前記液晶表示装置においては、 対抗する電極が片方の基板表面に 形成されている I P S方式 (面内スィツチ方式あるいは横方向駆動方式 ) に用いることが好ましい。 これにより、 視野角を大幅に改善できて好 都合である。
本発明の第 3番目の液晶表示装置は、 炭素鎖またはシロキサン結合鎖 を含み、 前記炭素鎖またはシロキサン結合鎖の少なくとも一部に被膜の
表面エネルギーを制御する官能基を少なくとも一つ含んでいる分子で構 成された被膜が、 液晶用の配向膜として 2つの対向させる電極の形成さ れた基板表面の少なく とも一方の基板の電極側表面に直接または他の被 膜を介して間接に形成されており、 液晶が前記 2つの対向する電極に前 記配向膜を介して挟まれているという構成を備えたものである。 このよ うな液晶表示装置を作製することにより、 従来のようなラビングを用い なくとも、 配向膜の臨界表面エネルギーを制御して、 注入された液晶の プレチルト角度が制御され且つ液晶が任意の方向に配向された液晶表示 装置を提供できる。
前記液晶表示装置においては、 対向させる 2つの電極の形成された基 板表面にそれぞれ前記被膜を配向膜として形成しておく とよりコン トラ ス 卜の高い液晶表示装置を提供できる。
また前記液晶表示装置においては、 基板表面の被膜にパターン状の配 向方向の異なる部分を複数箇所作り込んでおく と表示視野角を大幅に改 良できて好都合である。
また前記液晶表示装置においては、 対向する電極が片方の基板表面に それぞれ形成されている面内スィッチ ( I P S ) タイプの表示素子にも 有効に利用可能である。
本発明の第 4番目の液晶表示装置は、 エネルギービーム感応性基及び 熱反応性基を有し可視光域で透明な樹脂膜が電極上に直接または任意の 薄膜を介して間接的に形成され、 少なくとも前記エネルギービーム感応 性基を反応架橋している液晶配向膜が 2つの対向する電極の少なく とも 一方の電極上に形成されており、 液晶が 2つの対向する電極に樹脂膜を 介して挟まれている構成となっている。
次に本発明の第 1番目の液晶表示装置の製造方法は、 あらかじめマト リックス状に載置された第 1の電極群を有する第 1の基板上に、 直接ま
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たは任意の薄膜を介して間接的に、 エネルギービームによって活性水素 を含む官能基を生成するエネルギービーム感応性の樹脂膜を塗布形成す る工程と、 前記樹脂膜の表面を任意のパターンでエネルギービーム照射 する工程と、 前記照射された樹脂膜付き基板を直鎖状の炭素鎖および s iを持つシラン系界面活性剤を含む化学吸着液に接触させた後、 前記樹 脂膜を溶かさない溶剤で洗浄することにより、 前記照射された部分に選 択的に前記界面活性剤よりなる単分子膜を 1層形成し、 且つ前記直鎖状 の炭素鎖を配向固定する工程と、 前記第 1の電極群を有する第 1の基板 と第 2の電極または電極群を有する第 2の基板を、 それぞれの電極が対 向するように所定の間隙を保ちつつ位置合わせして接着固定する工程と 、 前記第 1と第 2の基板の間に所定の液晶を注入する工程を含むことを 特徴とする。
本発明の第 2番目の液晶表示装置の製造方法は、 あらかじめマトリッ クス状に載置された第 1の電極群を有する第 1の基板を直接または任意 の薄膜を形成した後化学吸着液に接触させ前記吸着液中の界面活性剤分 子と基板表面とを化学反応させ前記界面活性剤分子を基板表面に一端で 結合固定する工程と、 有機溶剤で洗浄後さらに所望の方向に基板を立て て液切りを行い液切り方向に前記固定された分子を配向させる工程と、 さらに偏光板を介して所望の方向に偏光した光で露光して前記界面活性 剤分子の向きを所望の傾きを有した状態で特定の方向に揃える工程と、 前記第 1の電極群を有する第 1の基板と第 2の基板、 または第 2の電極 又は電極群を有する第 2の基板を、 電極面を内側にして所定の間隙を保 ちつつ位置合わせして接着固定する工程と、 前記第 1と第 2の基板の間 に所定の液晶を注入する工程を含むという構成を備えたものである。 前記方法においては、 偏光板を介して所望の方向に偏光した光で露光 して前記結合された界面活性剤分子の向きを所望の傾きを有した状態で
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特定の方向に揃える工程において、 前記偏光板にパタ一ン状のマスクを 重ねて露光する工程を複数回行うと、 同一面内の配向膜内でパ夕一ン状 の配向方向の異なる部分を複数箇所設けた、 いわゆるマルチドメィン配 向の液晶表示装置を提供する上で都合がよい。
本発明の第 3番目の液晶表示装置の製造方法は、 あらかじめマトリツ クス状に載置された第 1の電極群を有する第 1の基板を直接または任意 の薄膜を形成した後、 炭素鎖またはシロキサン結合鎖を含み、 前記炭素 鎖またはシロキサン結合鎖の少なくとも一部に被膜の表面エネルギーを 制御する官能基を少なく とも一つ含んでいるシラン系界面活性剤を用い て作製した化学吸着液に接触させ前記吸着液中の界面活性剤分子と基板 表面とを化学反応させ前記界面活性剤分子を基板表面に一端で結合固定 する工程と、 有機溶剤で洗浄後さらに所望の方向に基板を立てて液切り を行い液切り方向に前記固定された分子を配向させる工程と、 前記第 1 の電極群を有する第 1の基板と第 2の基板、 または第 2の電極又は電極 群を有する第 2の基板を、 電極面を内側にして所定の間隙を保ちつつ位 置合わせして接着固定する工程と、 前記第 1と第 2の基板の間に所定の 液晶を注入する工程を含むという構成を備えたものである。 この方法に より、 効率よく液晶表示装置を製造できる。
前記方法においては、 固定された分子を配向させる工程の後、 さらに 偏光板を介して所望の方向に偏光した光で露光して前記界面活性剤分子 の向きを所望の傾きを有した状態で特定の方向に揃える工程を行うこと が好ましい。 これより配向特性の優れた液晶表示装置を実現できる。 また前記方法においては、 偏光板を介して所望の方向に偏光した光で 露光して前記結合された界面活性剤分子の向きを所望の傾きを有した状 態で特定の方向に揃える工程において、 前記偏光板にパターン状のマス クを重ねて露光する工程を複数回行い、 同一面内の配向膜内でパターン
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状の配向方向の異なる部分を複数箇所設けると、 マルチドメイン配向し た液晶表示装置を提供できる。
本発明の第 4番目の液晶表示装置の製造方法は、 マトリックス状に載 置された第 1の電極群を有する第 1の基板上に直接または任意の薄膜を 介して間接的にエネルギービーム感応性基及び熱反応性基を有し可視光 域で透明な樹脂膜を塗布形成する工程と、 少なくとも任意のマスクを介 してエネルギービームを照射してエネルギービーム感応性基を反応架橋 させる工程と、 第 1の電極群と対向するように載置した第 2の電極叉は 電極群を有する第 2の基板をそれぞれの電極側が対向するように位置合 わせして接着固定する工程と、 第 1と第 2の基板に所定の液晶を注入す る工程とを有する構成となっている。 図面の簡単な説明
図 1は、 本発明の実施例 1における液晶配向膜作製の露光工程を説明 するための断面概念図。
図 2は、 図 1の Aの部分を分子レベルまで拡大した概念図であり、 露 光によつて基板表面に形成された— C 0 0 H基部分を示す。
図 3は、 図 1の Aの部分を分子レベルまで拡大した概念図であり、 ィ匕 学吸着膜が形成された親油性の表面部分を示す。
図 4は、 本発明の実施例 1で作製した液晶配向膜を用いて作製した液 晶セル内の液晶の配向状態を表す断面概念図。
図 5は、 本発明の実施例 2における液晶配向膜作製の露光工程を説明 するための断面概念図。
図 6は、 図 5の Bの部分を分子レベルまで拡大した概念図であり、 露 光によつて基板表面に形成された—C O 0 H基部分を示す。
図 7は、 同図 5の Bの部分を分子レベルまで拡大した概念図であり、
化学吸着膜が形成された親油性の表面部分を示す。
図 8は、 本発明の実施例 3における第 2回目の露光により新たにカル ボキシル基を生成する工程を説明するための図。
図 9は、 実施例 3における配向の異なる化学吸着膜が 2種形成された 状態を説明するために用いた液晶配向膜の断面概念図。
図 1 0は、 本発明の実施例 4におけるシロキサン単分子膜の形成され た状態を説明するために分子レベルまで拡大した断面概念図。
図 1 1は、 本発明の実施例 4において液晶表示装置製造を説明するた めの断面概念図。
図 1 2は、 本発明の実施例 5における単分子膜状の液晶配向膜作製に 用いる化学吸着工程を説明するための断面概念図。
図 1 3は、 同、 単分子膜状の液晶配向膜作製の洗浄工程を説明するた めの断面概念図。
図 1 4は、 同、 溶媒洗浄後の単分子膜状の液晶配向膜内の分子配向状 態を説明するために断面を分子レベルまで拡大した概念図。
図 1 5は、 本発明の実施例 6における光露光により吸着された分子を 再配向させるために用いた露光工程の概念図。
図 1 6は、 同、 光配向後の単分子膜状の液晶配向膜内の分子配向状態 を説明するための概念図。
図 1 7は、 同、 光配向後の化学吸着単分子膜の分子配向状態を説明す るために断面を分子レベルまで拡大した概念図。
図 1 8は、 本発明の実施例 8におけるクロロシラン単分子膜の形成さ れた状態 (空気中の水分との反応前) を説明するために分子レベルまで 拡大した断面概念図。
図 1 9は、 本発明の実施例 8におけるシロキサン単分子膜の形成され た状態を説明するために分子レベルまで拡大した断面概念図。
8
図 2 0は、 本発明の実施例 9において液晶表示装置製造を説明するた めの断面概念図。
図 2 1は、 本発明の実施例 1 1において引き上げ方向に対して垂直方 向に測定した F T I Rの吸収スぺク トルを示す。
図 2 2は、 本発明の実施例 1 1において引き上げ方向に対して平行方 向に測定した F T I Rの吸収スぺク トルを示す。
図 2 3は、 本発明の実施例 1 2における単分子膜状の液晶配向膜作製 に用いる化学吸着工程を説明するための断面概念図。
図 2 4は、 単分子膜状の液晶配向膜作製の洗浄工程を説明するための 断面概念図。
図 2 5は、 溶媒洗浄後の単分子膜状の液晶配向膜内の分子配向状態を 説明するために断面を分子レベルまで拡大した概念図。
図 2 6は、 光露光により吸着された分子を再配向させるために用いた 露光工程の概念図。
図 2 7は、 光配向後の単分子膜状の液晶配向膜内の分子配向状態を説 明するための概念図。
図 2 8は、 光配向後の化学吸着単分子膜の分子配向状態を説明するた めに断面を分子レベルまで拡大した概念図。
図 2 9は、 本発明の実施例 1 3におけるクロロシラン単分子膜の形成 された状態 (空気中の水分との反応前) を説明するために分子レベルま で拡大した断面概念図。
図 3 0は、 本発明の実施例 1 3におけるシロキサン単分子膜の形成さ れた状態を説明するために分子レベルまで拡大した断面概念図。
図 3 1は、 本発明の実施例 1 4において液晶表示装置製造を説明する ための断面概念図。
図 3 2は、 本発明の実施例 1 8における液晶配向膜の製造工程断面図
図 3 3は、 本発明の実施例 1 8における液晶配向膜中の感光性且つ熱 硬化性樹脂の分光感度特性を示す図
図 3 4は、 本発明の実施例 1 9における液晶表示デバイスの断面図 発明を実施するための最良の形態
本発明の一実施の形態の第 1番目の液晶配向膜は、 電極の形成された 所定の基板表面に、 直接または任意の薄膜を介して間接的に、 エネルギ 一ビームによって活性水素を含む官能基を生成するエネルギービーム感 応性の樹脂膜を塗布形成する工程と、 前記樹脂膜の表面を任意のパタ一 ンでエネルギービームを照射する工程と、 前記照射された樹脂膜を直鎖 状の炭素鎖および S i基を持つシラン系界面活性剤を含む化学吸着液に 接触させた後、 前記樹脂膜を溶かさない溶剤で洗浄することにより、 前 記照射された部分に選択的に前記界面活性剤よりなる単分子膜を 1層形 成し、 且つ前記界面活性剤分子中の直鎖状の炭素鎖を配向固定する工程 を用いて製造する。
また、 本発明の一実施の形態の第 1番目の液晶表示装置は、 あらかじ めマトリ ックス状に載置された第 1の電極群を有する第 1の基板上に、 直接または任意の薄膜を介して間接的に、 エネルギービームによって活 性水素を含む官能基を生成するエネルギ一ビーム感応性の樹脂膜を塗布 形成する工程と、 前記樹脂膜の表面を任意のパターンでエネルギービー ム照射する工程と、 前記照射された樹脂膜付き基板を直鎖状の炭素鎖お よび S iを持つシラン系界面活性剤を含む化学吸着液に接触させた後、 前記樹脂膜を溶かさない溶剤で洗浄することにより、 前記照射された部 分に選択的に前記界面活性剤よりなる単分子膜を 1層形成し、 且つ前記 直鎖状の炭素鎖を配向固定する工程と、 前記第 1の電極群を有する第 1 の基板と第 2の電極または電極群を有する第 2の基板を、 それぞれの電
極が対向するように所定の間隙を保ちつつ位置合わせして接着固定する 工程と、 前記第 1と第 2の基板の間に所定の液晶を注入する工程を用い て製造する。
本発明の一実施の形態の第 2番目の液晶配向膜は、 少なくとも、 電極 を形成した基板を化学吸着液に接触させ前記吸着液中の界面活性剤分子 と基板表面とを化学反応させ前記界面活性剤分子を基板表面に一端で結 合固定する工程と、 有機溶剤で洗浄後さらに所望の方向に基板を立てて 液切りを行い液切り方向に前記固定された分子を一次配向させる工程と 、 さらに偏光板を介して所望の方向に偏光した光で露光して前記界面活 性剤分子の向きを所望の傾きを有した状態で特定の方向に揃える工程と で作製する。
また、 本発明の一実施の形態の第 2番目の液晶表示装置は、 少なくと も、 あらかじめマ卜リックス状に載置された第 1の電極群を有する第 1 の基板を直接または任意の薄膜を形成した後化学吸着液に接触させ前記 吸着液中の界面活性剤分子と基板表面とを化学反応させ前記界面活性剤 分子を基板表面に一端で結合固定する工程と、 有機溶剤で洗浄後さらに 所望の方向に基板を立てて液切りを行い、 液切り方向に前記固定された 分子を配向させる工程と、 さらに偏光板を介して所望の方向に偏光した 光で露光して前記界面活性剤分子の向きを所望の傾きを有した状態で特 定の方向に揃える工程と、 前記第 1の電極群を有する第 1の基板と第 2 の電極叉は電極群を有する第 2の基板を、 電極面を内側にして所定の間 隙を保ちつつ位置合わせして接着固定する工程と、 前記第 1と第 2の基 板の間に所定の液晶を注入する工程とで製造する。
本発明の一実施の形態の第 3番目の液晶配向膜は、 少なくとも、 電極 を形成した基板を、 炭素鎖またはシロキサン結合鎖を含み、 前記炭素鎖 またはシロキサン結合鎖の少なく とも一部に被膜の表面エネルギーを制
御する官能基を少なく とも一つ含んでいるシラン系界面活性剤を用いて 作製した化学吸着液に接触させ前記吸着液中の界面活性剤分子と基板表 面とを化学反応させ前記界面活性剤分子を基板表面に一端で結合固定す る工程を用いて製造する。
また、 本発明の一実施の形態の第 3番目の液晶表示装置は、 あらかじ めマトリ ッ クス状に載置された第 1の電極群を有する第 1の基板を直接 または任意の薄膜を形成した後、 炭素鎖またはシロキサン結合鎖を含み 、 前記炭素鎖またはシロキサン結合鎖の少なく とも一部に被膜の表面ェ ネルギ一を制御する官能基を少なくとも一つ含んでいるシラン系界面活 性剤を用いて作製した化学吸着液に接触させ前記吸着液中の界面活性剤 分子と基板表面とを化学反応させ前記界面活性剤分子を基板表面に一端 で結合固定する工程と、 有機溶剤で洗浄後さらに所望の方向に基板を立 てて液切りを行い液切り方向に前記固定された分子を配向させる工程と 、 前記第 1の電極群を有する第 1の基板と第 2の基板、 または第 2の電 極叉は電極群を有する第 2の基板を、 電極面を内側にして所定の間隙を 保ちつつ位置合わせして接着固定する工程と、 前記第 1と第 2の基板の 間に所定の液晶を注入する工程とを用いて製造する。
本発明の一実施の形態の第 4番目の液晶配向膜の概要について説明す
Ό o
まずあらかじめ、 電極の形成された所定の基板表面に直接または任意 の薄膜を介して間接的にエネルギービーム感応性基と熱反応性基を持つ 可視光域で透明な樹脂膜を塗布形成する。 次に、 任意のマスクを介して エネルギービームを照射して前記エネルギービーム感応性基を反応架橋 させる。
このとき、 エネルギービーム感応性基が感光性基であり、 マスクを介 して光を照射して前記被膜内の感光性基を反応させ、 主鎖間を架橋する
とともに側鎖基を配向固定する工程を用いれば、 従来のようなラビング を必要とせず通常の露光機が使用可能となり液晶配向膜の製造工程を簡 略化できる。
また、 マスクとして偏光膜または回折格子を介して露光すると、 表面 に筋状の凸凹を有する液晶配向膜を高能率に製造できた。
このとき、 偏光膜および回折格子を介して斜めより露光するか、 ある いは偏光膜を介して露光した後回折格子を介して斜め露光するか、 回折 格子を介して露光した後を偏光膜介して斜め露光することで挟み込んだ 液晶のプレチルト角まで制御できる液晶配向膜を製造できた。 なお、 回 折格子を介して露光する工程においては、 感光性の被膜の表面が凸凹に なるまで露光することが配向性を安定化する上で重要であつた。
また、 エネルギービームを照射して前記エネルギービーム感応性基を 反応架橋する工程の前あるいは後に加熱して熱反応性基を反応させてお く と、 液晶の配向耐熱性が向上した。 エネルギービームとして電子線、 X線、 または紫外線が利用可能であるが、 紫外線の方が実用性が高かつ た。
エネルギービーム感応性基と熱反応性基を持つ可視光域で透明な樹脂 として、 前記式 (化 1 ) で表される物質を用いれば、 紫外線感光性が高 く熱架橋反応も利用できるので液晶配向膜の製造には極めて好都合であ つた。
なお、 式 (化 1 ) では、 エネルギービーム感応性のベンザルァセ トフ エノン基と熱反応性のダリシジル基が側鎖基として導入されており、 さ らに炭化水素基 (一 C H 3) が側鎖基として導入されているので、 側鎖 基として炭化水素基を含んでいないものに比べさらに配向安定性が向上 した。 また、 この場合、 透明な樹脂膜の表面が筋状の 1〜1 0 0 n mの 凸凹にななるまで露光することが液晶の配向安定性を向上する上で重要
であった。
以上のような方法で、 エネルギービーム感応性基と熱反応性基を持つ 可視光域で透明な樹脂膜が電極上に直接または任意の薄膜を介して間接 的に形成され、 少なくとも前記エネルギービーム感応性基を反応させた 被膜よりなるラビンダフリ一の液晶配向膜を極めて簡便な方法で製造で きた。
本発明の一実施の形態の第 4番目の液晶表示装置の製造では、 あらか じめマトリックス状に載置された第 1の電極群を有する第 1の基板上に 直接または任意の薄膜を介して間接的にエネルギービーム感応性基と熱 反応性基を持つ可視光域で透明な樹脂膜を塗布形成する工程と、 および 少なくとも任意のマスクを介してエネルギービームを照射して前記エネ ルギービーム感応性基を反応架橋する工程と、 前記第 1の電極群と対向 するように載匱した第 2の電極叉は電極群を有する第 2の基板を、 それ ぞれの電極側が対向するように位置合わせして接着固定する工程と、 前 記第 1と第 2の基板に所定の液晶を注入する工程を用いて、 エネルギー ビーム感応性基と熱反応性基を持つ可視光域で透明な樹脂膜が塗布形成 され、 少なく とも任意のマスクを介してエネルギービームを照射して前 記エネルギービーム感応性基を反応架橋させた被膜が、 液晶用の配向膜 として 2つの対向する電極の少なくとも一方の電極上に形成されており 、 液晶が前記 2つの対向する電極に前記被膜を介して挟まれている構造 の液晶表示装置を極めて高効率で製造できた。
以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例 1 )
まず、 図 1に示すように、 透明電極を形成したガラス基板 1の表面に 、 エネルギービーム感応性の樹脂 (この場合は感光性の樹脂) として、 ノボラック樹脂を主成分とし前記式 (化 2 ) 基を含むナフトキノンジァ
ジド系の感光剤が配合されたポジレジスト、 (例えば、 東京応化製 OF PR800や OFPR5000、 あるいはシプレ一社製 A Z 1400や A Z 5200、 またはナフトキノンジアジド基を含むモノマーよりなる 単分子膜でも良い) を 0. 1〜0. 2 mの厚みで塗布乾燥し、 感光性 膜 2を形成した。 次に、 所望のパターンのマスク 3を用いて紫外線 (3 65 nm) で l O OmJZcn^ 程度の露光をした。 そうすると、 露光
2
部 2 'では、 空気中の 〇水:分とレジストが反応して、 下記式 (化 5) で表 わされる反応が進行した。
(化 5)
COOH
-C-C- + (-CH-) +
H2° N2† ここで、 露光で生じた一 COOH基は活性水素を含むので一 S i C 1 基と縮合 (脱塩化水素反応) する。
そこで、 直鎖状炭化水素基及び S iを含むシラン系界面活性剤 (以下 、 化学吸着化合物という) として、 CH (CH2) lgS i C 13 を用い 、 1重量%程度の濃度で非水系の溶媒に溶かして化学吸着液を調整した 。 非水系溶媒としては、 アフルード (旭ガラス製、 フッ素系溶媒) 溶液 を用いた。 この溶媒は、 ポジレジストに対して不活性であるため、 接触 しても前記レジスト被膜を損なうことがない。 このようにして調製され た溶液を吸着溶液とし、 この吸着溶液の中に、 乾燥雰囲気中 (相対湿度 30%以下) で、 前記露光された基板 4を 5分間程度浸潰した。 その後 、 液から引き上げて、 フッ素系の非水系溶媒 (例えばフロリナ一卜 PF 5080 (スリーェム商品名) で洗浄した (この溶媒も、 ポジレジスト に対して不活性であるため、 接触しても前記レジスト被膜を損なうこと
がない。 ) と、 基板表面の露光された部分は一 COOH (カルボキシル 基) 5が多数含まれているので (図 2、 なお図 2は図 1の A部の拡大図 ) 、 炭化水素基及びクロロシリル基を含む物質の S i C 1基と前記カル ボキシル基とで脱塩酸反応が生じ、 露光部に選択的に、 下記式 (化 6) の結合が生成された。 尚、 線幅とピッチは 0. 3 jt mであった。
(化 6)
0—
CH3 (CH2) S i 0—
18
〇一
以上の処理により、 炭化水素を含む化学吸着単分子膜 6が露光された 部分に選択的にシロキサンの共有結合を介して化学結合した状態で約 2 5オングス トローム (2. 5 nm) の膜厚で形成され、 処理部は親油性 となった。 なお、 このとき化学吸着膜中の直鎖状炭素鎖は基板に対して ほぼ垂直に配向していた (図 3、 なお図 3は図 1の A部の拡大図) 。 さ らに、 このときの化学吸着膜の臨界表面エネルギーは 2 OmNZmであ つた。
そこでこの状態の基板 2枚を用い、 化学吸着膜が向かい合うように組 み合わせて、 20ミクロンギャップの液晶セルを組み立て、 ネマチック 液晶 (Z L I 4792 ; メルク社製) を注入して配向状態を確認した。 すると、 注入した液晶分子が化学吸着された分子に沿つて基板に対して ほぼ垂直に配向することが確認できた。 すなわち、 この単分子膜は、 液 晶に対して垂直配向作用を示した。 なお、 このとき露光されていない部 分は単分子膜が形成されてないため液晶は配向せずにランダムになった
。 すなわち、 この様な配向膜の形成された基板に液晶が接すると、 図 4 に示すように液晶の分子 7は単分子吸着膜の長い炭素鎖 8の間隙に一部 入り込み、 全体として液晶の配向が制御された。 一方、 単分子膜の無い 部分、 すなわち、 露光されなかった部分では、 この様な配向規制力がな いため、 液晶分子 7 'はバラバラであり配向しなかった。
なおここで、 化学吸着化合物である前記界面活性剤の代わりに、 所定 の比率で混合された複数種のシラン系界面活性剤 (例えば、 直鎖状の炭 素鎖長の異なるもの 2つ) を混合して同時に化学吸着させた場合、 単分 子膜内に分子レベルの空隙が生成されて、 それに沿って液晶分子が配向 するため組成を変えることで液晶の配向角を制御できることが確かめら れた。 すなわち、 直鎖状の長い炭素鎖の一部が任意の置換基で他の一端 がトリクロ口シリル基のシラン系界面活性剤と短い炭素鎖の一部が任意 の置換基で他の一端がトリクロロシリル基のシラン系界面活性剤を所定 の比率で混合し、 吸着形成を行えば配向特性を変化させることも可能で あった。
また、 置換基の一部に封入する液晶と類似の液晶分子 (例えば、 ネマ ティ ック液晶部) を結合した重合性基を含むシラン系界面活性剤および 短い炭素鎖と重合性基を持つシラン系界面活性剤を所定の比率で混合し 、 前記方法と同様に吸着形成し重合を行えば、 封入する特定の液晶に対 して特に配向特性の優れた配向膜が得られた。 特に、 封入する液晶類似 分子が強誘電液晶である場合は、 強誘電液晶部を持ったシラン系界面活 性剤と短い炭素鎖を持つシラン系界面活性剤を所定の比率で吸着形成す れば、 応答速度の優れた単分子吸着膜状配向膜を作成できた。 強誘電液 晶としては、 ァゾメチン系またはァゾキシ系またはエステル系を用いる ことが出来た。
化学吸着用の材料としては、 一 O H基に対して結合性を有する基 (例
えば、 クロロシリル基、 イソシァネートシリル基、 アルコキシシリル基 等) を含んでいれば、 実施例 1で示したシラン系界面活性剤に限定され るものではない。
例えば、 直鎖状のハイ ドロカーボン鎖の一部に F (フッ素) を含むシ ラン界面活性剤 C F3- (CH2)— -C = C- (CH2) -S i C 1。 (m:整数で
0〜8。 n:整数で 10〜25程度が最も扱いやすい) 、 または C F3-(
C FJ -(CH9)_-C = C-(CHJ -S i C 1 n (p:整数で 0〜7。 m :
L p L ID n 6
整数で 0〜4。 11 :整数で1〜8) 等を用いても、 配向作用のある単分 子吸着膜を製造できた。 を
用いた場合の化学吸着膜の臨界表面エネルギーは 15mNZm、 CFn-
(C F9)_-(CH9) -C = C-(CH9)n-S i C 1 n を用い場合の化学吸着 L p ID L n 6
膜の臨界表面エネルギーは 8 mNZmであり、 特に、 F原子を導入すれ ば、 配向膜の表面エネルギーを小さくでき液晶の応答特性を改善できた 。 尚、 化学吸着膜 (単分子膜) のない部分 (樹脂表面) の臨界表面エネ ルギ一は 2 SmNZmであった。
なお、 ナフ トキノンジアジドを含むノボラックレジスト以外にも、 各 種エネルギービーム照射により活性水素を生じる官能基を有するレジス ト (ポリマー膜) や界面活性剤 (モノマー膜) ならどのようなものでも 使用可能である。
例えば、 前記式 (化 3) 基を含む下記式 (化 7) のポリマーやモノマ ―、 前記式 (化 4) 基を含む下記式 (化 8) のポリマーやモノマ一など が使用可能である。
(化 7)
0— N = C
CH, (但し、 m, nは整数。 )
C = O
CH, (但し、 m, nは整数。 )
なお、 ここで、 前記式 (化 3) 基は、 紫外線で脱炭酸反応が進行しさ らに空気中の水分と反応して、 次のような活性水素を含むァミノ基を生
成する下記反応式 (化 9) が進行する。
(化 9) o =
光
(一 C一 C一 0— N = C) (一 C ·) + co2t + (· N = C)
一方、 前記式 (化 4) 基は、 紫外線で分解して、 次のような活性水素 を含むスルホン酸基を生成する下記反応式 (化 10) が進行する。
(化 10 )
H 0 0
I II II
-S02-0-C-C-CH3 → -S03H + H2C = C-C-CH0 CH3
さらにまた、 上記実施例では、 炭化水素系界面活性剤として CH3 ( CH9) lgS i C 1。を用いたが、 上記のもの以外にも下記式の化合物等 が利用できた。
CH。 (CH2) — S i C l3 (ηは整数で 7 ~ 24が好ましい。 )
CH3 (CH2) pS i (CH3) 2 (CH2) qS i C 1 g (p, qは整数で 0〜10が好ましい。 )
CH„COO (CHJ S i C 1„ (mは整数で 7〜24が好ましい。 )
さらに、 炭化水素系界面活性剤の代わりに、 フッ化炭素系界面活性剤 、 例えば、 C Fq (C F2) 7 (CH0) 。S i C l 3、 C (CH
2) 15S i C 1。、 C F3 (CHJ 2S i (CH3) 2 (CH9) 15S i C 1 3、 F (C F2) 4 (CH2) 2S i (CH3) 2 (CH2) 9S i C 、 F ( C F9) 8 (CH2) 2S i (CH0) 2 (CH9) 。S i C 13、 C F3C OO (CH 15S i C 13、 C F3 (C FJ 5 (CH2) 2S i C 13 等が利 用できた。
(実施例 1一 2 )
実施例 1において、 全面露光後に、 シラン系界面活性剤として、 末端 に被膜の表面エネルギーを制御する官能基を一つ組み込んだ直鎖状炭化 水素基及び S iを含む CH3 (CHJ HS i C 3と N C (CH2) 14S i C 13 (モル比で 1 : 1に混合して用いた) を用いた他は同様の実験 ¾ fXつた o
その結果、 前記クロ口シラン系界面活性剤が反応してなる化学吸着単 分子膜が、 露光により基板表面に生成された水酸基の部分に選択的にシ ロキサンの共有結合を介して化学結合した状態で約 1. 5 nmの膜厚で 単分子膜状に形成された。 なお、 このとき化学吸着膜の臨界表面エネル ギ一は約 27mNZmであった。
さらに、 この状態の基板 2枚を用い、 化学吸着膜が向かい合うように 組み合わせて、 ァンチパラレル配向するように 20ミクロンギヤップの 液晶セルを組み立て、 ネマチック液晶 (Z L I 4792 ; メルク社製) を注入して単分子膜を形成した部分の配向状態を確認すると、 注入した
3
液晶分子が化学吸着された分子に沿って基板に対しておよそプレチルト 角 65° で洗浄液から引き上げた方向と反対方向にほぼ配向していた。
このとき、 CH3 (CH2) 14S i C I と NC (C Hn) i C 1 g の組成を 1 : 0〜 0 : 1 (好ましくは 10 : 1〜1 : 50) で変えると 、 臨界表面エネルギーは 2 OmNZmから 29 mN/mに変化し、 それ ぞれプレチルト角は 90° から 40° の範囲で任意に制御できた。 さら に、 化学吸着化合物としてフッ素を含む界面活性剤、 例えば、 C F3 ( C F2) 5 (CH。) nS i C 13を添加して行く と臨界表面エネルギーは 15 mN mまで小さくできた。
(実施例 2)
まず、 表面に画素電極を持つた T F Tアレイを形成したガラス基板 2 1表面にノボラック樹脂を主成分とし、 前記式 (化 2) 基を含むナフ ト キノンジアジド系の感光剤が配合されたポジレジスト 22、 (例えばシ プレー社製、 A Z 1400) を 0. 1〜0. 2 //mの厚みで塗布乾燥し て成膜した。 尚、 このときの被膜の臨界表面エネルギーは 28mNZm であった。 次に、 画素を個々に 2分割するようなホトマスク 23 (この とき、 画素分割用のマスクに、 吸着膜分子の配向性向上のため偏光板や 回折格子を重ねて用いても良い) を用いて 435 nmの光を 100 m J /cm2 で露光した (図 5) 。 そうすると、 露光部 22' では、 空気中 の水分とレジストが反応して、 前記式 (化 5) で表わされる反応が進行 した。 このとき、 露光で生じた一 COOH基 25は活性水素を含むので (図 6、 なお図 6は図 5の B部の部分拡大図) 、 S i C 1基と脱塩化水 素反応した。
そこで、 炭化水素基及びクロロシリル基を含む物質を混ぜた非水系の 溶媒、 例えば、 CH3 (CH2) ltlS i C 13 を、 1重量%程度の濃度で アフルード (旭ガラス製、 フッ素系溶媒) に溶かして吸着液を調製し、
乾燥雰囲気中 (相対湿度 30%以下) で前記露光された基板 2 4を 5分 間程度浸漬した。
その後、 液から引き上げて、 フッ素系の溶媒 (例えばフロリナート P F 50 8 0 (スリーェム商品名) で洗浄すると、 基板表面の露光された 部分は一 COOH (カルボキシル基) が多数含まれているので、 炭化水 素基及びクロロシリル基を含む物質の S i C 1基と前記カルボキシル基 が脱塩酸反応して露光部に選択的に、 下記式 (化 1 1) で示される結合 が生成され、 炭化水素基を含む化学吸着膜 2 6が露光された部分に選択 的に化学結合した状態で約 1 5オングストローム (1. 5 nm) の膜厚 で形成され (図 7、 なお図 7は図 5の B部の部分拡大図) 、 処理部は撥 水撥油性となった。
(化 1 1 )
0—
さらに、 未露光部を全面露光 (マスクを用いて露光してもよい) した (図 8) 後、 第 2の吸着試薬、 例えば、 CH3 (CH2) 9S i C 13と C HnS i C 1 nとをモル比で 1 : 5で溶かして前記と同澳度に調製した吸 着液に 5分程度浸漬した。 その後液から引き上げて、 フッ素系の溶媒 ( 例えばフロリナ一 卜 P F 5 08 0 (スリーェム商品名) ) で洗浄すると 、 基板表面の 2回目に露光された部分は一 C OOH (カルボキシル基) が多数含まれているので、 CH3 (CH2) gS i C 1。と CH3S i C 13 の S i C 1基と前記カルボキシル基が脱塩酸反応して露光部に選択的に
、 炭化水素基を含む化学吸着膜 2 7が露光された部分に選択的に化学結 合した状態で約 1 0オングストロ一ム (1 . 0 n m) 程度の膜厚で形成 された (図 9 ) 。 このとき、 第 1回目に化学吸着された部分はもはや活 性基がなく単分子膜が形成されているので、 2回目の吸着は全く生じな い。 したがって、 1画素内で第 1回目に露光され化学吸着された部分 2 6と配向が異なる部分 2 7が形成された。 なお、 露光時、 マスクに偏光 板や回折格子を重ねて露光するとそれぞれ吸着分子が筋状に配向した単 分子膜を選択的に形成できた。 さらに、 このときの単分子膜の臨界表面 エネルギーは 2 O m N Zmであった。
そこで次に、 基板 2 8を 2枚を用い、 化学吸着膜が向かい合うように 組み合わせて、 2 0 ミ クロンギャップの液晶セルを組み立て、 ネマチッ ク液晶 (Z L I 4 7 9 2 ; メルク社製) を注入して配向状態を確認する と、 1画素内で注入した液晶分子が化学吸着された分子に沿って基板に 対してほぼ垂直に配向した部分と斜めに配向した部分を有するマルチド メインになることが確認できた。 すなわち、 この場合は、 画素部が 2分 割されているめで液晶の配向ドメィンが 2分割された配向膜が作製でき なお、 分割数を増やしたい場合には、 マスクを用いた露光吸着工程を 所望の回数だけ繰り返して行えばよい。
(実施例 3 )
実施例 1に於て、 露光後で直鎖状炭化水素基を含む分子の化学吸着を 行う工程の前に、 クロロシリル基を複数個含む化合物を溶かして作製し た吸着溶液に、 ドライ雰囲気中で浸漬した。 すると、 レジスト表面に生 成されたカルボキシル基に含まれた水酸基とクロロシリル基を複数個含 む化合物のクロロシリル基が脱塩酸反応した。 その後、 さらに水と反応 させると残ったクロロシリル基が水酸基に変化して、 表面に水酸基を多
数含む化学吸着膜が形成された。
たとえば、 クロル基を複数個含むシリル化合物として S i C 14 を用 いフロリナート F C40 (スリーェム商品名) に溶かして吸着液を作製 し、 露光された基板を浸漬すれば、 露光されているレジスト 32 '部分 は、 一 COOH基が形成されているので、 表面で脱塩酸反応が生じ下記 式 (化 12) 及び/または (化 13) が形成され、 クロロシラン分子が 一 S i 0—結合を介して基板表面にパターン状に固定された。
(化 12 )
C 1
C 1一 S i 0
C 1
(化 13 )
C 1
I
C 1 -S i 0 0—
その後、 非水系の溶媒例えばフロリナ一卜 F X 3252 (スリ一ェム 商品名) で洗浄すると、 レジストと反応していない S 1 C 14 分子は除 去され、 さらに水と反応させると、 表面に下記式 (化 14) 及び (化 1 5) で示されるシロキサン単分子吸着膜 33が得られた (図 10) 。
(化 14)
OH
i
HO-S i 0 -
I
OH
(化 15 )
OH HO-S i 0- 0-
なお、 このとき非水系の溶媒例えばフロ リナート F X 3252 (スリ ーェム商品名) で洗浄する工程を省けば、 ポリシロキサン化学吸着膜が 形成された。
また、 このときできたシロキサン単分子膜 33はレジス トとは一 S i 0—の化学結合を介して完全に結合されているので剥がれることが全く 無かった。 さらにまた、 得られた単分子膜は表面に S i OH結合を数多 く持つ。 当初の— COOH基の約 2〜3倍程度の数が生成された。 この 状態での処理部は、 極めて親水性が高かった。 そこで、 この状態で、 実 施例 1と同様の炭化水素基を含む物質の化学吸着工程を行うと、 図 1と 同様の炭化水素を含む化学吸着単分子膜が露光された部分に選択的に前 記シロキサン単分子膜を介してシロキサンの共有結合で化学結合した状 態で約 25オングストローム (2. 5 nm) の膜厚で形成された。 この
とき、 基材表面の吸着サイ ト (この場合は O H基) は、 実施例 1に比べ て約 2 〜 3倍程度と多いため、 実施例 1の場合に比べより吸着分子密度 を大きくできた。 また、 処理部は親油性となった。 なお、 このときの化 学吸着膜中の分子は密度は異なるが図 3と同様に基板に対してほぼ垂直 に配向していた。
そこでこの状態の基板 2枚を用い、 化学吸着膜が向かい合うように組 み合わせて、 2 0 ミクロンギャップの液晶セルを組み立て、 ネマチック 液晶 (Z L I 4 7 9 2 ; メルク社製) を注入して配向状態を確認すると 、 注入した液晶分子が化学吸着された分子に沿つて基板に対してほぼ垂 直に配向することが確認できた。 すなわち、 この単分子膜も、 液晶に対 して垂直配向作用を示した。 なお、 このとき露光されていない部分では 、 液晶は配向しなかった。
なお、 クロル基を複数個含むシリル化合物として、 前記 S i C 以 外に、 例えば、 C 1 - ( S i C 1 20 ) 2- S i C 1 または S i H C 1 3 、 S i H 2 C 1 2、 さらに、 C 1— ( S i C 1 20 ) — - S i C 1 。 (nは整 数) が利用できた。
(実施例 4 )
次に、 上記液晶配向膜を用いて実際に液晶表示デバイスを製造しょう とする場合の製造プロセスについて図 1 1を用いて説明する。
まず、 あらかじめ前記式 (化 2 ) で示されるエネルギービーム感応性 基を含む樹脂をェチルセ口ソルプアセテー卜に 5重量%に希釈して調製 した感光液 (例えば A Z 1 4 0 0等のノボラック系ポジレジストでも良 い) を作製し、 図 1 1に示すように、 マトリツクス状に載置された第 1 の電極群 4 1とこの電極を駆動する トランジスタ一群 4 2を有する第 1 の基板 4 3上、 および第 1の電極群と対向するように載置したカラーフ ィルター群 4 4と第 2の電極 4 5を有する第 2の基板 4 6上の両方の電
極上に、 それぞれ回転塗布法を用いて塗布し、 実施例 1と同様に感光性 樹脂被膜 (ノボラック系ポジレジスト膜) を形成した。 その後、 100 °Cで 10分間加熱してある程度溶媒を除去した後、 1000本 Zmmの 回折格子 (偏光板を用いても良い) をマスクとして用い、 電極パターン と格子が平行になるようセッ 卜して、 垂直方向より 500Wの超高圧水 銀灯を用いて 435 nm (g線) の波長の光 (マスク通過後 28m JZ cm2) を 5秒照射して前記感光性のノボラック系ポジレジスト中のナ フ トキノンジアジドを反応させると、 露光量に比例して露光部に— C 0 OH基が生成された。 そこで、 実施例 1と同様に化学吸着プロセスを行 うと、 電極パターンに沿って直鎖状の炭化水素基が配向した液晶配向膜
47が作製できた。 次に、 前記第 1と第 2の基板 43、 46を対向する ように位置合わせしてスぺーサー 48と接着剤 49でおよそ 5ミクロン のギャップで固定した。 その後、 前記第 1と第 2の基板に前記 TN液晶
50を注入した後、 偏光板 51、 52を組み合わせて表示素子を完成し た。
この様なデバイスは、 バックライ 卜 53を全面に照射しながら、 ビデ ォ信号を用いて各々のトランジス夕を駆動することで矢印 Aの方向に映 像を表示できた。
(実施例 5 )
表面に透明電極の形成されたガラス基板 61 (表面に水酸基を多数含 む) を準備し、 あらかじめよく洗浄脱脂する。 次に、 炭素鎖として直鎖 状炭化水素基及び S iを含むシラン系界面活性剤 (以下、 化学吸着化合 物という) 、 CN(CH2)14S i C l0と CH3S i C l3 (モル比で 1 : 10に混合して用いた) を用い、 1重量%の港度で非水系の溶媒に溶か して化学吸着溶液を調整した。 非水系溶媒としては、 良く脱水したへキ サデカンを用いた。 このようにして調製された溶液を吸着溶液 62とし
、 この吸着溶液 62の中に、 乾燥雰囲気中 (相対湿度 30%以下) で前 記基板 61を 50分間程度浸漬 (塗布しても良い) した (図 12) 。 そ の後、 液から引き上げて、 良く脱水した非水系の溶媒である n—へキサ ン 63で洗浄した後、 基板を所望の方向に立てた状態で洗浄液より引き 上げて液切りし水分を含む空気中に暴露した (図 13.) 。 矢印 65は引 き上げ方向である。 前記の一連の工程で、 前記クロロシラン系界面活性 剤の S i C 1基と前記基板表面の水酸基とで脱塩酸反応が生じ、 下記式
(化 16および 17) の結合が生成された。 さらに、 空気中の水分と反 応して式 (化 18及び 19) の結合が生成された。
(化 16 )
C 1
N=C- (CH0 ) r-S i— 0 -基板
C 1
(化 17 )
C 1
CH。― S i一 0 -基板
C
(化 18 )
0
N≡C- (CH2 ) U-S i -0 -基板
0
(化 19 )
0
CH3-S i一 0—基板
0
以上の処理により、 前記クロ口シラン系界面活性剤が反応してなる化 学吸着単分子膜 64が基板表面の水酸基が含まれていた部分にシロキサ ンの共有結合を介して化学結合した状態で約 1 n mの膜厚で単分子膜状 に形成された。 なお、 このとき化学吸着膜中の CN (CH2) HS i 一 の直鎖状炭素鎖はチルト角約 20° で洗浄液から引き上げた方向 65と 反対方向にほぼ配向していた (図 14) 。 すなわち吸着固定された分子 の向きが概ね一次配向していた。 ここで、 チルト角の制御は、 CN (C Hn) 14S i C 1つと CH3S i C 1。の組成を 1 : 0〜0 : 1 (好ましく
【ま 10 : 1〜 1 : 50) で変えることにより 0° から 90° の範囲で任 意に制御できた。 このとき、 膜を選択的に形成したい場合には、 印刷機 を用いて所望のパターンで基板表面 61に吸着液 62を印刷しても良い 。 また、 あらかじめ基板表面をレジス トで選択的に覆って置いた後、 化 学吸着工程を行ってからレジストを除いてもよい。 なお、 この場合化学 吸着された膜は、 有機溶媒では剥がれることがないので、 有機溶媒で溶 解除去できるレジストを使用する。
(実施例 6 )
前記実施例 5で得られた基板を用い、 引き上げ方向とほぼ直交する方 向に偏光方向が向くように偏光板 (HN P ' B) 66 (ボラロイ ド社製 ) を基板に重ねてセッ トし、 超高圧水銀灯の 365 nm ( i線) の光 6 7を l O OmJZcm2 照射した。 なお、 このとき、 吸着分子の配向方 向を一方向に揃えるためには、 完全に 90° で交差するのではなく、 多 少、 好ましくは数度以上ずらす必要がある (最大、 液切り方向と平行に なるように偏光方向を合わせても良い) 。 もし完全に 90° に交差させ れば、 個々の分子が 2方向に向いてしまう場合がある (図 15) 。 図 1
5において矢印 73は偏光方向である。
その後、 前記化学吸着単分子膜 64 '中の直鎖状炭素鎖の配向方向を 調べるとチルト角は変わらなかったが配向方向 68は引き上げ方向とほ ぼ直行する方向に変化し、 しかも配向ばらつきも一次配向時より改善さ れていた (図 16、 17) 。 図中、 69は透明電極を表す。
ここで、 選択的に配向方向を変えたい場合には、 所望のマスクを偏光 板に重ねて露光する工程を複数回行うことできわめて容易にパターン状 に配向方向の異なる単分子膜状の液晶配向膜を作製できた。
本実施例では、 洗浄用の水を含まない溶媒として、 アルキル基を含む 炭化水素系の n—へキサンを用いたが、 これ以外にも、 水を含まず界面
活性剤を溶かす溶媒なら何でも使用可能である。 たとえばこれ以外にも 、 フッ化炭素基、 塩化炭素基またはシロキサン基を含む溶媒、 例えば、 フレオン 113やクロ口ホルムやへキサメチルジシロキサン等をそれぞ れ用いることができた。
(実施例 7 )
実施例 5において、 シラン系界面活性剤として、 末端に被膜の表面ェ ネルギーを制御する官能基を一つ組み込んだ直鎖状炭化水素基及び S i を含む CH3 (CH2) i C 1。と NC ( C H2) 14 S i C 13 (モル 比で 1 : 1に混合して用いた) を用いた他は同様の実験を行った。
その結果、 前記クロロシラン系界面活性剤が反応してなる化学吸着単 分子膜が基板表面の水酸基が生成された部分に選択的にシロキサンの共 有結合を介して化学結合した状態で約 1.5 nmの膜厚で単分子膜状に 形成された。 なお、 このとき化学吸着膜の臨界表面エネルギーは約 27 m N/mであつた。
さらに、 この状態の基板 2枚を用い、 化学吸着膜が向かい合うように 組み合わせて、 アンチパラレル配向するように 20ミ クロンギャップの 液晶セルを組み立て、 ネマチック液晶 (Z L I 4792 ; メルク社製) を注入して単分子膜を形成した部分の配向状態を確認すると、 注入した 液晶分子が化学吸着された分子に沿って基板に対しておよそプレチルト 角 65° で洗浄液から引き上げた方向と反対方向にほぼ配向していた。
このとき、 CH3 (CH2) 14S i C l3と NC (C Hg) 14 S i C 1 g の組成を 1 : 0〜0 : 1 (好ましくは 10 : 1〜 1 : 50) で変えると 、 臨界表面エネルギーは 2 OmNZmから 29mNZmに変化し、 それ ぞれプレチルト角は 90。 から 40° の範囲で任意に制御できた。 さら に、 化学吸着化合物としてフッ素を含む界面活性剤、 例えば、 C F3 ( C F2) 5 (CH ) S i C 13を添加して行くと臨界表面エネルギーは
1 5 m N /mまで小さくできた。
(実施例 8 )
実施例 5に於て、 炭素鎖やシロキサン結合鎖を含む界面活性剤分子の 化学吸着を行う工程の前に、 クロロシリル基を複数個含む化合物を溶か して作製した吸着溶液を作り、 ドライ雰囲気中で浸漬した。 すると、 基 板表面に含まれた水酸基とクロロシリル基を複数個含む化合物のクロ口 シリル基が脱塩酸反応した。 その後、 さらに水と反応させると残ったク ロロシリル基が水酸基に変化して、 表面に水酸基を多数含む化学吸着膜 が形成された。
たとえば、 クロル基を複数個含むシリル化合物として S i C 1 を用 い η—才クタンに溶かして吸着液を作製し、 乾燥雰囲気中で基板を浸漬 すれば、 表面には一 Ο Η基が含まれているので、 界面で脱塩酸反応が生 じ下記式 (化 2 0 ) 及び/または (化 2 1 ) が形成され、 クロロシラン 分子 7 1が- S i 0—結合を介して基板表面に固定された。
(化 2 0 )
C 1
C 1 - S i—0—基板
C 1
(化 2 1 )
C 1
C 1— S i— 0—基板
0—基板
その後、 非水系の溶媒例えばクロ口ホルムで洗浄すると、 基板と反応 していない余分の S i C 14 分子は除去される (図 18) 。 さらに空気 中に取りだし水と反応させると、 表面に下記式 (化 22) 及び Zまたは
(化 23) で示される多数の S i 0結合を含むシロキサン単分子吸着膜 72が得られた (図 19) 。
(化 22)
OH
HO-S i一 0—基板
I
OH
(化 23 )
OH
HO-S i— 0—基板
0 -基板
なお、 このとき非水系の溶媒例えばクロ口ホルムで洗浄する工程を省 けば、 ポリシロキサン化学吸着膜が形成された。
なお、 このときできたシロキサン単分子膜 72は基板とは一 S i 0— の化学結合を介して完全に結合されているので剥がれることが全く無い 。 また、 得られた単分子膜は表面に S i OH結合を数多く持つ。 当初の - 0 H基の約 2〜 3倍程度の数が生成された。 この状態での処理部は、 極めて親水性が高かった。 そこで、 この状態で、 実施例 5と同様の界面
活性剤を用い化学吸着工程を行うと、 図 12と同様の界面活性剤が反応 してなる炭素鎖を含む化学吸着単分子膜が前記シロキサン単分子膜を介 してシロキサンの共有結合で化学結合した状態で約 1 n mの膜厚で形成 された。 このとき、 界面活性剤の吸着前の基材表面の吸着サイ ト (この 場合は OH基) は、 実施例 5に比べて約 2~3倍程度と多いため、 実施 例 5の場合に比べより吸着分子密度を大きくできた。 また、 処理部は親 油性となった。 なお、 このときの化学吸着膜中の分子密度は異なるが引 き上げ方向と反対方向、 すなわち液切り方向に配向していた。
次に、 この状態の基板を用い、 引き上げ方向とほぼ直交する方向に偏 光方向が向くように偏光板を基板に重ねて、 K r Fエキシマーレ一ザ一 の 248 nmの光を 80m J/cm2 照射した。 その後、 前記化学吸着 単分子膜中の直鎖状炭素鎖の配向方向を調べるとチルト角は 25° と多 少大きくなっていたが配向方向は引き上げ方向とほぼ直行する方向に変 化し、 しかも配向ばらつきも改善されていた。
そこでこの状態の基板 2枚を用い、 化学吸着膜が向かい合うように組 み合わせて、 アンチパラレル配向するように 20ミクロンギャップの液 晶セルを組み立て、 ネマチック液晶 (Z L I 4792 ; メルク社製) を 注入して配向状態を確認すると、 注入した液晶分子が化学吸着された分 子に沿って基板に対して約 25° で配向することが確認できた。
なお、 クロル基を複数個含むシリル化合物として、 前記 S i C I 以 外に、 例えば、 C 1一 (S i C 120) 2— S i C 13、 または S i H C 13、 S i H2C l。、 さらに、 C 1一 (S i C l 20) n— S i C lつ (n は整数) が利用できた。
(実施例 9)
次に、 上記液晶配向膜を用いて実際に液晶表示デバイスを製造しょう とする場合の製造プロセスについて図 20を用いて説明する。
まず、 図 20に示すように、 マトリックス状に載置された第 1の電極 群 81とこの電極を駆動するトランジスタ一群 82を有する第 1の基板 83上、 および第 1の電極群と対向するように載置したカラーフィル夕 一群 84と第 2の電極 85を有する第 2の基板 86上に、 それぞれ回転 塗布法を用いて化学吸着液を塗布し、 実施例 5と同様に化学吸着膜を形 成した。 その後、 偏光板 HNP ' B (ボラロイ ド社製) を用い、 電極パ ターンと偏光方向が平行になるようセッ トして、 垂直方向より 500W の超高圧水銀灯を用いて 365 nm ( i線) の波長の光 (偏光板通過後 3. 6mJZcm" * s ) を 20秒照射した。 すると、 実施例 5と同様 に電極パターンに沿って直鎖状の炭化水素基が再配向した液晶配向膜 8 7が作製できた。 次に、 前記第 1と第 2の基板 83、 86を電極が対向 するように位置合わせしてスぺーサ一 88と接着剤 89でおよそ 5ミク ロンのギヤップで固定した。 その後、 前記第 1と第 2の基板に前記 TN 液晶 90を注入した後、 偏光板 91、 92を組み合わせて表示素子を完 成した。
この様なデバイスは、 バックライ ト 93を全面に照射しながら、 ビデ ォ信号を用いて各々のトランジスタを駆動することで矢印 Aの方向に映 像を表示できた。
(実施例 10 )
実施例 9における、 光再配向工程において、 前記偏光板に各々の画素 を市松状に 4分割するパターン状のマスクを重ねて露光する工程を 2回 行うと、 同一画素内でパターン状に配向方向の異なる部分を 4箇所設け ることができた。 そして、 この配向膜を形成した基板を用いると液晶表 示装置の視野角を大幅に改善できた。
(実施例 11)
化学吸着化合物として、 CHq (CH2) 18S i C l 3と CHn (CH2
) 3s i C 13 (モル比で 1 : 1に混合して用いた) を用い、 それぞれ 1 重量%程度の澳度で非水系の溶媒に溶かして化学吸着溶液を調整した。 このとき非水系溶媒としては、 良く脱水したへキサデカンを用いた。 こ のようにして調製された溶液を吸着溶液とし、 実施例 5と同様に、 乾燥 雰囲気中 (相対湿度 30%以下) で電極の形成された基板を 1時間程度 浸漬した。 その後、 液から引き上げて、 良く脱水した水を含まない非水 系の溶媒である n—へキサンで洗浄した後、 基板を所望の方向に立てた 状態で図 13と同様に洗浄液より引き上げて液切りし水分を含む空気中 に暴露した。
その後、 一次配向の状況を調べるために F T I Rを用いて分析した。 結果を図 21及び 22に示す。 図 21及び 22より明らかなように、 引 き上げ方向に対して垂直方向に測定した吸収スペク トル (図 21) と引 き上げ方向に対して平行方向に測定した吸収スペク トル (図 22) とで 吸収パターンが異なっている。 図 21では、 C H2 の非対称伸縮振動に 起因した 2930 cm— 1の吸収強度が CH2 の対称伸縮振動に起因した 2857 c π 1の吸収強度の 2倍になっているが、 図 22では、 C Η2 の非対称伸縮振動に起因した 2 9 2 9 cm 1の吸収強度が CH2 の対称 伸縮振動に起因した 2 8 5 9 cm— 1の吸収強度のおよそ 1. 7倍になつ ている。 また、 2930 cm— 1の吸収ピークがレツ ドシフ トし、 285 7 cm— 1の吸収ピークがブルーシフ トしている。 このことは、 吸着固定 された分子の炭化水素鎖が引き上げ方向に平行、 すなわち液切り方向に 配向していることを示している。
さらに、 この状態の基板 2枚を用い、 化学吸着膜が向かい合うように 組み合わせて、 アンチパラレル配向するように 20ミクロンギヤップの 液晶セルを組み立て、 ネマチック液晶 (Z L I 4792 ; メルク社製) を注入し偏光板を用いて配向状態を確認すると、 注入した液晶分子は液
切り方向、 すなわち洗浄液から引き上げた方向と反対方向に配向してい た。 さらに、 クロスニコルに組み合わせた 2枚の偏光板に前記セルを挟 み、 電極に 20ボルト印加した場合と印加しない場合、 すなわちオンォ フでの光透過率を測定すると 358のコントラス卜が得られた。 このこ とは、 引き上げ配向工程だけでも実用レベルの配向性能が得られること を示している。
なお、 上記の実施例 6、 8、 9、 1 0では、 露光に用いる光として超 高圧水銀灯の i線である 36511111の光ゃ1 r Fエキシマレーザーで得 られる 248 nmの光を用いたが、 膜物質の光の吸収度合いに応じて 4 36 nm. 405 nm、 254 n mの光を用いることも可能である。 特 に、 248 nmや 254 n mの光は大部分の物質に吸収され易いため配 向効率が高い。
また、 直鎖状炭化水素基またはシロキサン結合鎖とクロロシリル基、 またはアルコキシシリル基またはィソシァネ一トシリル基を含むシラン 系の界面活性剤として、 分子端にシァノ基と他の一端にクロロシリル基 を含んだクロロシラン系界面活性剤とメチル基とクロロシリル基を含ん だクロロシラン系界面活性剤を混合して用いた、 すなわち分子長の異な る 2種のクロロシラン系界面活性剤を混合して用いた例を示したが、 本 発明ではこれらに限定されるものではなく、 以下に示したような炭化水 素基の末端にハロゲン原子またはメチル基 (一 C H3) 、 フヱニル基 ( - C,Hr) 、 シァノ基 (一 CN) 、 またはトリふつ化炭素基 (一 C F3 ) を含んでいるクロロシラン系界面活性剤や、 分子内の炭化水素基の一 部の炭素が光学活性を有するクロロシラン系界面活性剤 (特にこの場合 には効率よく配向できた) が使用できた。
なお、 H a (CH2) S i C 13 (H aは塩素、 臭素、 ヨウ素、 ふつ 素等のハロゲン原子を表し、 nは整数で 1〜24が好ましい。 ) で示さ
れるクロ口シラン系界面活性剤も使用できる。 さらに下記の化合物も使 用できる。
(1) CHQ (CH ) S i C 10 (nは整数で 0〜24が好ましい。 )
ό Ζ η ό
(2) CH3 (CH2) pS i (CH3) 2 (CH0) qS i C 13 (p, qは 整数で 0〜 10が好ましい。 )
(3) CH COO (CH0) S i C 10 (mは整数で 7〜 24が好まし い。 )
(4) CCHC (CH ) S i C 1 (nは整数で 0〜24が好ましい。 )
(5) CN (CH。) S i C 13 (nは整数で 0〜24が好ましい。 )
(6) C 13S i (CH2) S i C 1 (nは整数で 3〜24が好ましい。 )
(7) C 13S i (CH2) o (CF2) n (CH0) 2S i C 13 (nは整数 で 1〜10が好ましい。 )
(8) B r (CHJ 8S i C 13
(9) CH3 (CH2) 17S i C 1り
(10) CH3 (CH2) rS i (CH3) 2 (CH2) gS i C 13
(11) CH3COO (CH9) 14S i C 13
(12) C,Hr (CH2) gS i C 1
(15) C 13S i (CH ) 2 (C F2) 4 (CH2) 2S i C 13
(16) C 1 S i (CH2) 2 (C F2) 6 (CH2) 2S i C 13
(17) CF3CF3 (CF2) 7 (CH2) 2S i C l3
(18) C F3C F3CH20 (CH2) S i (CH3) 2C 1
(19) CF3CF3 (CH2) 2S i (CH3) 0 (CH2) 15S i C 13
(20) F (CCF3 (C F2) 4 (CH2) 2S i (CH3) (CH2) gS i C 13
(21) F (C F2) 8 (CH2) 2S i (CH3) 2 (CH2) 9S i C 13
(22) CF3COO (CHり) 5S i CH3C l2
(23) C F3 (C F2) 5 (CH2) 2S i C 13
(24) CH3CH2CHC*H„CH2OCO ( C H2) 1Q S i C 1。
(25) Cfl3CH2CHC*H3CH20C0C6H40C0C6H40(CHo)5SiClo
前記化学式において、 C*は光学活性の炭素を示す。
また、 シロキサン結合鎖とクロロシリル基、 またはアルコキシシリル 基またはィソシァネートシリル基を含む以下のものが使用できた。 (こ の場合も、 高度に配向した膜が得られた。 )
(26) ClSi(CH3)2OSi(CH。)2OSi(CH3)2OSi(CH3)nCl
(27) Cl3SiOSi(CH3)2OSi(CH3)„OSi(CH3)0OSi(CH3)2OSiCl3
さらにクロロシラン系界面活性剤以外に、 以下に示したようなアルコ キシシリル基またはィソシァネー トシリル基を含むシラン系の界面活性 剤が使用できた。
(28) H a (CH2) nS i (OCHg) 3 (H aは塩素、 臭素、 要素、 ふ つ素等のハロゲン原子を表し、 nは整数で 1〜24が好ましい。 )
( :2299)) CH (CH2) nS i (NCO) 3 (nは整数で 0〜24が好まし い。 )
((3300)) CH (CH2) S (CH3) (CH2) S i (0 C H3)
P Q
P , Qは整数で 0〜1 0が好ましい。 )
((3311)) HOOCCCHり) mS i (OCHQ)„ (mは整数で 7〜24が好まし
L m 6 ό
い。 )
((3322)) H2N (CH2) fflS i (OCHつ) , (mは整数で 7〜24が好ま しい。 )
((3333)) C CgH5 (CH9) nS i (NCO) 3 (nは整数で 0〜24が好ま しい。 )
(34) CN (CH2) nS i (OC2H5) g (nは整数で 0〜24が好ま しい。 )
(実施例 12)
表面に透明電極の形成されたガラス基板 101 (表面に水酸基を多数 含む) を準備し、 あらかじめよく洗浄脱脂する。 次に、 末端に被膜の表 面エネルギーを制御する官能基を一つ組み込んだ直鎖状炭化水素基及び
S iを含むシラン系界面活性剤 (以下、 化学吸着化合物ともいう) 、 C
H, (CH2) S C と NC (CH2) S C 13 (モル比で
14 14
1に混合して用いた) を用い、 1重量%程度の濃度で非水系の溶媒に溶 かして化学吸着溶液を調整した。 非水系溶媒としては、 良く脱水したへ キサデカンを用いた。 このようにして調製された溶液を吸着溶液 102 とし、 この吸着溶液 102の中に、 乾燥雰囲気中 (相対湿度 30 %以下 ) で前記基板 101を 1時間程度浸漬 (塗布しても良い) した (図 23 ) 。 その後、 液から引き上げて、 良く脱水した水を含まない非水系の溶 媒である n—へキサン 103で洗浄した後、 基板を所望の方向に立てた 状態で洗浄液より引き上げて液切りし水分を含む空気中に暴露した (図 24) 。 前記の一連の工程で、 前記クロロシラン系界面活性剤の S i C 1基と前記基板表面の水酸基とで脱塩酸反応が生じ、 下記式 (化 24お よび 25) の結合が生成された。 さらに、 空気中の水分と反応して式 ( 化 26及び 27) の結合が生成された。
(化 24)
C 1
H3C- (CH2 ) 14— S i— 0—基板
C 1
(化 25)
C 1
NEC - (CH2) 14— S i一 0—基板
C 1
(化 26)
0
S i — 0 -基板
H3し — (CH2 ) 1
0
(化 27)
0
N≡C- (CH2) 14 S i一 0—基板
0
以上の処理により、 前記クロ口シラン系界面活性剤が反応してなる化 学吸着単分子膜 104が基板表面の水酸基が含まれていた部分にシロキ サンの共有結合を介して化学結合した状態で約 1.5 nmの膜厚で単分 子膜状に形成された。 なお、 このとき化学吸着膜の臨界表面エネルギー は約 27mNZmであった。
さらに、 この状態の基板 2枚を用い、 化学吸着膜が向かい合うように 組み合わせて、 アンチパラレル配向するように 20ミ クロンギヤップの 液晶セルを組み立て、 ネマチック液晶 (Z L I 4792 ; メルク社製) を注入して配向状態を確認すると、 注入した液晶分子が化学吸着された 分子に沿って基板に対しておよそプレチルト角 65° で洗浄液から引き 上げた方向 105と反対方向にほぼ配向していた (図 25) 。
このとき、 CH3 (CH2) 14S i C 1。と N C (C H2) HS i C 13 の組成を 1 : 0〜 0 : 1 (好ましくは 10 : 1〜 1 : 50) で変えると 、 臨界表面エネルギーは 2 OmNZmから 29mNZmに変化し、 それ ぞれプレチルト角は 90° から 40° の範囲で任意に制御できた。 さら に、 化学吸着化合物としてフッ素を含む界面活性剤、 例えば、 C F3 ( C F2) r (CH2) 2S i C 13を添加して行く と臨界表面エネルギーは 15mNZmまで小さくできた。
なお、 膜を選択的に形成したい場合には、 印刷機を用いて所望のパタ ーンで基板表面 101に吸着液 102を印刷する方法が利用できた。 ま た、 あらかじめ基板表面をレジス卜で選択的に覆って置いた後、 化学吸 着工程を行ってからレジストを除く方法も利用できる。 ただし、 この場 合、 化学吸着された膜は、 有機溶媒では決して剥がれることがないので 、 有機溶媒で溶解除去出きるレジストを使用する。
以上のように、 この実施例では、 得られる膜の臨界表面エネルギーが 異なり、 且つ炭素鎖長が— (CH2) 14—と同じ長さのシラン系界面活
性剤を用いたが、 炭素鎖長の長さが異なる (例えば、 ― (CH2) n—; n は 1から 30の範囲の整数) 界面活性剤を混合して用いれば、 さらに 配向規制力を高められた。
次に、 この状態の基板を 2種類用い、 引き上げ方向 105とほぼ直交 する方向に偏光方向 1 13が向くように偏光板 (ΗΝΡ' Β) 106 ( ポラロイ ド社製) を基板に重ねてセッ トし、 500Wの超高圧水銀灯の 365 nm (i線) の光 107 (偏光膜透過後 3. 6 mW/ c m") を 用いて 5 Om J照射した。
なおこのとき、 吸着分子の配向方向を一方向に揃えるためには、 完全 に 90° で交差するのではなく、 多少、 好ましくは数度以上ずらす必要 がある。 この場合、 最大、 液切り方向と平行になるように偏光方向 11 3を合わせても良い。 もし万一完全に 90° に交差させれば、 個々の分 子が 2方向に向いてしまう場合がある (図 26) 。 その後、 前記化学吸 着単分子膜 104' 中の直鎖状炭素鎖の配向方向を調べると臨界表面ェ ネルギ一とチルト角は変わらなかったが配向方向 108は偏光方向 11 3とほぼ平行方向に変化し、 しかも配向ばらつきも一次配向時より改善 されていた (図 27〜28) 。 図中、 109は透明電極を表わす。
ここで、 選択的に配向方向を変えたい場合には、 所望のマスクを偏光 板に重ねて露光する工程を複数回行うことできわめて容易にパターン状 に配向方向の異なる単分子膜状の液晶配向膜を作製できた。
本実施例では、 洗浄用の水を含まない溶媒として、 アルキル基を含む 炭化水素系の n—へキサンを用いたが、 これ以外にも、 水を含まず界面 活性剤を溶かす溶媒ならどのような溶媒でも使用可能である。 たとえば これ以外にも、 フッ化炭素基、 塩化炭素基またはシロキサン基を含む溶 媒、 例えば、 フレオン 113ゃクロロホルムやへキサメチルジンロキサ ン等をそれぞれ用いることができた。
(実施例 1 3 )
実施例 1 2に於て、 炭素鎖やシロキサン結合鎖を含む界面活性剤分子 の化学吸着を行う工程の前に、 クロロシリル基を複数個含む化合物を溶 かして作製した吸着溶液を作り、 ドライ雰囲気中で浸漬した。 すると、 基板表面に含まれた水酸基とクロロシリル基を複数個含む化合物のク口 ロシリル基が脱塩酸反応した。 その後、 さらに水と反応させると残った クロロシリル基が水酸基に変化して、 表面に水酸基を多数含む化学吸着 膜が形成された。
たとえば、 クロル基を複数個含むシリル化合物として S i C 1 4 を用 い n—才クタンに溶かして吸着液を作製し、 乾燥雰囲気中で基板を浸漬 すれば、 表面には一 O H基が含まれているので、 界面で脱塩酸反応が生 じ下記式 (化 2 8 ) 及び Zまたは (化 2 9 ) が形成され、 クロロシラン 分子 1 1 1がー S i 0—結合を介して基板表面に固定される。
(化 2 8 )
C 1
C 1 - S i 一 0—基板
C 1
(化 2 9 )
C 1
C 1 - S i—0—基板
0—基板
その後、 非水系の溶媒例えばクロ口ホルムで洗浄すると、 基板と反応 していない余分の S i C 14分子は除去される (図 29) 。 さらに空気 中に取りだし水と反応させると、 表面に下記式 (化 30) 及び Zまたは (化 31) で示される多数の S i 0結合を含むシロキサン単分子吸着膜 1 12が得られた (図 30) 。
(化 30 )
OH
I
HO-S i一 0—基板
I
OH
(化 31)
OH
HO-S i一 0 -基板
I
◦一基板
なお、 このとき非水系の溶媒例えばクロ口ホルムで洗浄する工程を省 けば、 ポリシロキサン化学吸着膜が形成された。
なお、 このときできたシロキサン単分子膜 1 12は基板とは一 S i 0 —の化学結合を介して完全に結合されているので剥がれることが無い。 また、 得られた単分子膜は表面に S i OH結合を数多く持つ。 当初の一 OH基の約 2〜 3倍程度の数が生成された。 この状態での処理部は、 極 めて親水性が高かった。 そこで、 この状態で、 実施例 12と同様の界面
活性剤を用い化学吸着工程を行うと、 図 2 3と同様の界面活性剤が反応 してなる炭素鎖を含む化学吸着単分子膜が前記シロキサン単分子膜 1 1 2を介してシロキサンの共有結合で化学結合した状態で約 1 . 5 n mの 膜厚で形成された。 このとき、 界面活性剤の吸着前の基材表面の吸着サ イ ト (この場合は O H基) は、 実施例 1 2に比べて約 2〜 3倍程度と多 いため、 実施例 1 2の場合に比べより吸着分子密度を大きくできた。 ま た、 処理部は親油性となった。 なお、 このときの化学吸着膜中の分子密 度は異なるが引き上げ方向と反対方向、 すなわち液切り方向に配向して いた。
次に、 この状態の基板を用い、 引き上げ方向とほぼ直交する方向に偏 光方向が向くように偏光板を基板に重ねて、 K r Fエキシマーレーザー の 2 4 8 n mの光を 8 0 m J照射した。 その後、 前記化学吸着単分子膜 中の直鎖状炭素鎖の配向方向を調べるとチルト角は 8 7 ° と多少大きく なっていたが配向方向は引き上げ方向とほぼ直行する方向に変化し、 し かも配向ばらつきも改善されていた。 なお、 このときの臨界表面エネル ギーは 2 8 m N Zmであった。
そこでこの状態の基板 2枚を用い、 化学吸着膜が向かい合うように組 み合わせて、 アンチパラレル配向するように 2 0 ミ クロンギヤップの液 晶セルを組み立て、 ネマチック液晶 (Z L I 4 7 9 2 ; メルク社製) を 注入して配向状態を確認すると、 注入した液晶分子が化学吸着された分 子に沿って基板に対してプレチルト角約 4 6 ° で配向することが確認で きた。
なお、 クロル基を複数個含むシリル化合物として、 前記 S i C I 4以 外に、 例えば、 C 1— ( S i C 1 20 ) 2— S i C 1 3、 または S i H C 1 3、 S i H 2 C 1 π、 さらに、 C I— ( S i C 1 90 ) R- S i C 1 n ( n は整数) が利用できた。
(実施例 14 )
実施例 12に於て、 化学吸着物質として CH3 (C H2) US i C 1 π と NC (CH3) 2 (CH2) 1/(S i C 1 ηの代わりに、 C 1 S i (C ) o0 S i (CHg) 20 S i (CH3) 2OS i ( C H3) 2 C 1と C H3 ( CH9) 14S i C 13を 1 : 0〜0 : 1の間で混合して用いた場合、 臨界 表面エネルギーは混合比に応じて 35mNZmから 2 lmNZmの範囲 で制御できた。 さらに、 セルを組立同様の液晶を注入するとプレチルト 角は 5度から 90度の範囲で制御できた。
なお、 直鎖状のシロキサン結合鎖を含んだ C 1 S i (CH3) 2〇 S i (CH3) 90 S i (CHn) 2OS i (CH3) 2C 1と直鎖状の炭化水素 鎖を含んだ CH3 (CH2) US i C 13を所望の比率で混合して用いて 被膜を作製すると、 表面に下記式 (化 32) および (化 33) で示され る分子を混合比率に応じて含む化学吸着単分子膜が得られた。
(化 32)
HO-S i -O-S i -O-S i -O-S i—基板 し tig C Ηπ C H レ 1^ 3
(化 33 )
0
HgC- (CH2)14— S i— 0—基板
0
(実施例 15)
実施例 12に於て、 化学吸着物質として CH3 (C H2) S i C 13 と 1じ (じ1^) 。 (じ112) 1/13 1 〇 13の代わりに、 H 00 C (C H2 ) 16S i (0 CH3) と B r (CH2) gS i ( O C H J 。を 1 : 0〜 0 : 1の間で混合して用い、 化学吸着時に 100 で 2時間還流した。 こ の場合には、 臨界表面エネルギーは混合比に応じて 56mNZmから 3 1 mNZmの範囲で制御できた。 さらに、 セルを組立後同様の液晶を注 入するとプレチルト角は 0度から 28度の範囲で制御できた。
(実施例 16)
実施例 12に於て、 化学吸着物質として CH。 (C H2) US i C 13 と NC (CH3) 2 (CH2) ly|S i C 13の代わりに、 CHnCH2C*H CH3CH2OCO (CH2) 1QS i C 13 (ただし、 C*は不整炭素) と CH3S i C l3とを 1 : 0〜1 : 20の間で混合して用い同様の配向膜 を作製した。 この場合には、 臨界表面エネルギーは混合比に応じて 36 mNZmから 41 mNZmの範囲で制御できた。 さらに、 セルを組立後 同様の液晶を注入するとプレチルト角は 3度から 0. 1度の範囲で制御 できた。
(実施例 1 7 )
次に、 上記液晶配向膜を用いて実際に液晶表示デバィスを製造しょう とする場合の製造プロセスについて図 3 1を用いて説明する。
まず、 図 3 1に示すように、 マトリックス状に載置された第 1の電極 群 1 2 1 とこの電極を駆動する トランジスタ一群 1 2 2を有する第 1の 基板 1 2 3上、 および第 1の電極群と対向するように載置したカラーフ ィルター群 1 2 4と第 2の電極 1 2 5を有する第 2の基板 1 2 6上に、 実施例 1 6と同様の手順にしたがって、 調製した化学吸着液を塗布し、 臨界表面エネルギーが 3 6 m N Zmの化学吸着単分子膜を作製した。 その後、 偏光板 H N P ' B (ボラロイ ド社製) を用い、 電極パターン と偏光方向が平行になるようセッ トして、 垂直方向より 5 0 0 Wの超高 圧水銀灯を用いて 3 6 5 n m ( i線) の波長の光 (偏光板通過後 3 . 6 m J / c m ") を 2 0秒照射した。 その結果、 実施例 1 6と同様に電極 パターンに沿って直鎖状の炭化水素基が再配向した臨界表面エネルギー が 3 7 m N Zmの液晶配向膜 1 2 7が作製できた。 次に、 前記第 1と第 2の基板 1 2 3、 1 2 6を電極が対向するように位置合わせしてスぺ一 サー 1 2 8と接着剤 1 2 9でおよそ 5 ミク口ンのギヤップで固定した。 その後、 前記第 1と第 2の基板に前記 T N液晶 1 3 0を注入した後、 偏 光板 1 3 1、 1 3 2を組み合わせて表示素子を完成した。 このとき注入 された液晶のプレチルト角は 3度であった。
この様なデバイスは、 バックライ ト 1 3 3を全面に照射しながら、 ビ デォ信号を用いて各々のトランジスタを駆動することで矢印 Aの方向に 映像を表示できた。
(実施例 1 8 )
実施例 1 7における、 光再配向工程において、 前記偏光板に各々の画 素を市松状に 4分割するパターン状のマスクを重ねて露光する工程を 2
回行うと、 同一画素内でパターン状に配向方向の異なる部分を 4箇所設 けることができた。 そして、 この配向膜を形成した基板を用いると液晶 表示装置の視野角を大幅に改善できた。
なお、 上記の実施例 12〜18では、 露光に用いる光として超高圧水 銀灯の i線である 365 nmの光や K r Fエキシマレーザ一で得られる 248 nmの光を用いたが、 膜物質の光の吸収度合いに応じて 436 η m、 405 nm、 254 n mの光を用いることも可能である。 特に、 2 48 nmや 254 n mの光は大部分の物質に吸収され易いため配向効率 が高い。
また、 直鎖状炭化水素基またはシロキサン結合鎖とクロロシリル基、 またはアルコキシシリル基またはィソシァネートシリル基を含むシラン 系の界面活性剤として、 分子端にシァノ基と他の一端にクロロシリル基 を含んだク口口シラン系界面活性剤とメチル基とクロロシリル基を含ん だクロ口シラン系界面活性剤を混合して用いた、 すなわち表面エネルギ 一の異なる膜となる 2種のクロロシラン系界面活性剤を混合して用いた 例を示したが、 本願発明ではこれらに限定されるものではなく、 表面ェ ネルギ一の異なる各種界面活性剤を組み合わせて、 各種表面エネルギー の異なる配向膜を作製できた。 例えば、 以下に示したような炭化水素基 の末端に 3フッ化炭素基 (― CF3) 、 メチル基 (—CH3) 、 ビニル基 ( - CH = CH2) 、 ァリル基 (― CH = CH—) 、 アセチレン基 (炭 素—炭素の 3重結合) 、 フヱニル基 (一 C^Hc) 、 ァリール基 (一 C6 H4—) 、 ハロゲン原子、 アルコキシ基 (—OR; Rはアルキル基を表 す、 とくに炭素数 1〜3の範囲のアルキル基が好ましい。 ) 、 シァノ基 (- CN) 、 ァミノ基 (― NHJ 、 水酸基 (― OH) 、 カルボニル基 (= CO) 、 エステル基 (― COO— ) 及びカルボキシル基 (― COO H) から選ばれる少なくとも一つの有機基、 あるいは光学活性を有する
6
炭化水素基で置換されたクロロシラン系界面活性剤が使用できた。 なお、 Ha (CH0) S i C lQ ( H aは塩素、 臭素、 ヨウ素、 ふつ L n 6
素等のハロゲン原子を表し、 nは整数で 1〜24が好ましい。 ) で示さ れるクロ口シラン系界面活性剤も使用できる。 さらに下記の一般式で示 される化合物も使用できる。
(1) CH3(CH ).SiCl3 (nは整数で 0〜24が好ましい。 )
(2) CH3(CH2)_Si(CHg) (CH2)qSiCl3 (p, qは整数で 0〜10が好まし い。 )
(3) CH3COO(CH2)fflSiCl3 (mは整数で?〜 24が好ましい。 )
(4) C6H (CH2)nSiCl3 (nは整数で 0〜24が好ましい。 )
(5) CN(CH2)nSiCl3 (nは整数で 0〜24が好ましい。 )
(6) Cl3Si(CH2)nSiCl (nは整数で 3〜24が好ましい。 )
(7) Cl3Si(CH0)0(CF2)n(CH2)2SiCl3 ( nは整数で 1〜10が好ましい。 ) さらにクロロシラン系界面活性剤以外に、 以下に示したようなアルコ キシシリル基またはィソシァネートシリル基を含むシラン系の界面活性 剤が使用できた。
(8) Ha(CH2)nSi(OCH3)3 (H aは塩素、 臭素、 ヨウ素、 ふつ素等のハロ ゲン原子を表し、 nは整数で 1~24が好ましい。 )
(9) CH3(CH0)nSi(NCO)3 (nは整数で 0〜24が好ましい。 )
(10) CH3 (CH )pSi (CH ) 0 (CHg) qSi (OCH (p, qは整数で 0〜1 0が 好ましい。 )
(11) H00C(CH2)mS i (0 CH3)3 (mは整数で 7〜24が好ましい。 )
(12) H2N(CH2)mSi(0CHo)。 (mは整数で 7〜 24が好ましい。 )
(13) C6H5(CH0)nSi(NCO)3 ( nは整数で 0〜 24が好ましい。 )
(14) CN(CH9)nSi(0C2H5)3 (nは整数で 0〜24が好ましい。 )
より具体的には下記の化合物も使用できる。
(1) Br(CH2)8SiCl3
(2) CH2=CH(CH2)1?SiCl3
(3) CH3(CH2)g-CO-(CH2)10SiCl3
(4) CH3(CH2)5-COO-(CH2)1()SiCl3
(5) CH3(CH2)8- Si(CH3)2_(CH2)10SiCl3
(6) CH3(CH2)1?SiCl3
(7) CH3 (CH2) 5Si (CH3) 2 (CH2) gSiCl3
(8) CH3COO(CH2)14SiCl3
(9) C6H5(CH2)8SiCl3
(10) C (CH2)14SiCl3
(11) Cl3Si(CH2)8SiCl3
(12) Cl3Si(CH2)2(CF2)4(CH2)2SiCl3
(13) Cl3Si(CH2)2(CF2)6(CH2)2SiCl3
(14) CF3CF2(CF2)7(CH2)2SiCl3
(15) (CF3)2CHO(CH2)15Si(CH3)2Cl
(16) CF3CF2(CH2)2Si(CH3)2(CH2)15SiCl3
(17) CF3(CF2)4(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9SiCl3
(18) CF3(CF2)?(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9SiCl3
(19) CF3COO(CH2)15SiCH3Cl2
(20) CF3(CF2)5(CH2)2SiCl3
(21) CH3CH2CHC*H3CH2OCO(CH2)10SiCl3 ( C *は光学活性の不整炭素を示 す。 )
(22) CH3CH2CHC*H3CH2OCOC„H4OCOC,H ,0(CH2)「SiCl3
(23) 下記式 (化 34) で示される化合物
(化 34)
CH3 (CH2)。- C≡C- (CH2) 1QS i C 13
(24) 下記式 (化 35) で示される化合物
(化 35)
CH3 (CH2) 。一 CEC— C三 C— (CH2) 1QS i C また、 シロキサン結合鎖とクロロシリル基、 またはアルコキシシラン 基またはイソシァネートシラン基を含む以下のものが使用できた。 この 場合も、 高度に配向した膜が得られた。
(25) ClSi (CH3)o0Si (CH3) o0Si (CE^)。0Si (CH3)。C 1
(26) Cl3Si0Si(CH3)90Si(CH3)20Si(CH )o0Si(CHo)20SiCl3
(実施例 19)
次に以下では、 本発明の第 4番目の液晶配向膜について図面を参照し ながら詳細に説明する。
図 32は、 本発明の第 4番目の液晶配向膜の製造工程断面図を示した ものであり、 以下では図 32 (a) 〜 (d) に沿って本実施例を説明す ることとする。
まず、 あらかじめ、 4' メタク リロイロキシカルコン (4' M C) と グリ シジルメタァクリ レー 卜 ( G M A ) を 1 : 4のモル比で共重合して
、 前記式 (化 1) で示されるような感光性のベンザルァセ トフ Xノ ン基 と熱架橋性のグリ シジル基およびメチル基が側鎖基として導入された可 視光域で透明な樹脂 (すなわち、 エネルギービーム感応性基と熱反応性 基を持つ樹脂) を作製し、 シクロへキサノ ンで 0. 5%に希釈して感光 液を調製した。
次に、 図 32 (a) に示すような、 あらかじめ、 I TOよりなる透明 電極 141の形成された所定のガラス基板 142の表面に、 直接 (また は S i 02等の絶縁性の薄膜を介して間接的にでもよい) ディ ッ ビング 法 (またはロールコ一ター、 フレキソ印刷法が使用でも可) を用いて上
記の感光液を塗布し図 32 (b) に示すように感光性でかつ熱硬化性の 被膜 143を形成した。
その後、 1 00°Cで 1 0分間加熱して大部分の溶媒を蒸発除去した ( このときの膜厚はおよそ 300 nmであった) 。 次に、 図 32 ( c) に 示すように、 1000本 Zmmの回折格子 144 (偏光板を用いても良 いが、 その場合には光透過率が悪いので露光時間を長くする必要がある ) をマスクとして用い、 電極パターンと格子が平行になるようセッ 卜し て、 垂直方向よりエネルギービームとして 500Wの超高圧水銀灯の 3 65 nm ( i線) の波長の紫外線 145 (マスク通過後 28 m J Z c m 2) を 5秒間照射して、 前記感光性のベンザルァセトフヱノ ン基を反応 架橋させると、 回折格子パターン沿って被膜表面にピッチ 1 000本 Z mmでおよそ 30〜40 nmの凸凹が形成された。
なお、 この時の感光膜の分光感度特性を図 33に示す。
この状態で、 液晶表示セルを 20ミクロンギャップで組み立て、 ネマ チック液晶 (Z L I 4792 ; メルク社製) を注入して配向状態を確認 すると、 回折格子パターンと交差する方向に液晶が配向していることが 確認できた。 また、 露光量に応じて注入した液晶のプレチルト角を制御 できることが確認できた。
一方、 前述の露光工程において、 回折格子を用いて 3秒間露光した後 、 さらに、 市販の U V用偏光板 1 46 (ΗΝ Ρ' Β ; ボラロイ ド社製) をマスクとして用い、 回折格子パターンと偏光方向が垂直且つ基板に対 して入射角度が 45度の方向になるようセッ 卜して、 エネルギービーム として 500Wの超高圧水銀灯を用いて 365 nm ( i線) の波長の紫 外線 (マスク通過後 3 m J /cm2) を 40秒間照射し (図 3 2 ( d ) ) 、 前記エネルギービーム感応性基の未反応の残りをさらに反応架橋さ せた。
この状態で、 液晶表示セルを組み立て、 ネマチック液晶を注入して配 向状態を確認すると、 格子パターンの方向に液晶が配向して、 プレチル ト角はおよそ 2 0度になっていることが確認できた。 また、 この 2回目 の照射において照射角度を変えることで注入した液晶のプレチルト角を 制御できることも確認できた。 なお、 上記 2つのプロセスで作製された 配向膜はそのままでもそれぞれ配向膜として利用可能であつたが、 1 5
0 °C程度で熱処理すると配向膜の配向性が劣化した。
そこで、 さらに配向膜の熱安定製を向上させるため 1 8 0 °Cで 1 0分 加熱して熱反応性のグリシジル基 (すなわち熱硬化性基) を開環架橋さ せた。 この状態で、 液晶表示セルを組み立て、 ネマチック液晶を注入し て配向状態を確認すると、 格子パターンと垂直の方向に液晶が配向して 、 プレチルト角はおよそ 7度になっていた。 また、 配向膜の熱安定性も
1 7 0でまで向上してた。
なお、 このときの感光性で且つ熱硬化性の被膜の露光による反応およ び加熱による反応は、 下記の反応式 (化 3 6 ) に示したように、 いずれ も架橋反応である。
さらに炭化水素基 (一 C H 3) を含まないものも合成して同様の実験 を試みた が、 液晶の配向制御性特にプレチルト角制御安定性は一 C H 3 を含むものに比べて悪かった。
以上のように、 本実施の形態の被膜では、 エネルギービーム感応性基 が感光性基であり、 マスクを介して光を照射して前記被膜内の感光性基 を反応させ、 主鎖間を架橋するとともに側鎖基を配向固定できた。 また 、 i線に感度があるため (図 3 3参照) 通常の露光機が使用可能となり 液晶配向膜の製造工程が簡略化できた。
また、 マスクとして偏光膜または回折格子を介して露光することで被 膜表面に筋状の凸凹を有する液晶配向膜を容易に製造できた。
さらに、 このとき露光量、 あるいは偏光膜および回折格子を介して斜 めより露光するか、 あるいは偏光膜を介して斜めに露光した後回折格子 を介して露光するか、 回折格子を介して露光した後を偏光膜介して斜め 露光することで挟み込んだ液晶のプレチル卜角まで制御でき、 また、 そ のようにして配向性の安定した液晶配向膜を製造できた。 なお、 1回露 光でプレチルト角を安定に制御するためには、 感光性の被膜の表面が所 定の凸凹になるまで露光することが重要であつた。
また、 エネルギービームを照射して前記エネルギービーム感応性基を 反応架橋する工程の前あるいは後に加熱して熱反応性基を反応させてお く と、 配向膜の配向耐熱性が向上した。 また、 エネルギービームとして 電子線、 X線、 または紫外線が利用可能であるが、 実際の製造工程では 紫外線の方が実用性が高かった。
以上のように、 エネルギービ一ム感応性基と熱反応性基を持つ可視光 域で透明な樹脂膜が電極上に直接または任意の薄膜を介して間接的に形 成され、 少なくとも前記エネルギービーム感応性基を反応させた被膜よ りなるラビンダフリ一の液晶配向膜を極めて簡便な方法で製造できた。
(実施例 2 0 )
次に、 以下では上記した液晶配向膜を用いた液晶表示デバイス及びそ の製造方法について図 3 4を参照しながら詳細に説明する。
まず、 あらかじめ前記式 (化 1 ) で示されるエネルギービーム感応性 基と熱反応性基を持つ可視光域で透明な樹脂をシクロへキサノンで 0 . 5 %に希釈して調製した感光液を作製し、 図 3 4に示すように、 マトリ ックス状に載置された第 1の電極群 1 5 1とこの電極を駆動する トラン ジスター群 1 5 2を有する第 1の基板 1 5 3上、 および第 1の電極群と 対向するように載置したカラーフィルタ一群 1 5 4と第 2の電極 1 5 5 を有する第 2の基板 1 5 6上の両方の電極上に、 それぞれデイ ツビング 法を用いて塗布し感光性で且つ熱硬化性の樹脂被膜を形成した。
その後、 1 0 0 °Cで 1 0分間加熱してある程度溶媒を除去し後、 1 0 0 0本/ m mの回折格子をマスクとして用い、 電極パターンと格子が平 行になるようセッ 卜して、 垂直方向よりエネルギービームとして 5 0 0 Wの超高圧水銀灯を用いて 3 6 5 n m ( i線) の波長の紫外線 (マスク 通過後 2 8 m J / c m 2) を 5秒照射して前記エネルギービーム感応性 のベンザルァセトフヱノン基を反応架橋すると、 電極パターンに沿って およそ 3 0〜 4 0 n mの凸凹が形成された液晶配向膜 1 5 7が作製でき た。
次に、 前記第 1と第 2の基板 1 5 3、 1 5 6を対抗するように位置合 わせしてスぺーサー 1 5 8と接着剤 1 5 9でおよそ 5 ミクロンのギヤッ プで固定した。 その後、 前記第 1と第 2の基板に前記液晶 1 6 0を注入 した後、 偏光板 1 6 1、 1 6 2を組み合わせて表示素子を完成した。 この様なデバイスは、 バックライ ト 1 6 3を全面に照射しながら、 ビ デォ信号を用いて各々のトランジスタを駆動することで矢印 Aの方向に 映像を表示できた。
産業上の利用可能性
以上説明したとおり、 本発明の第 1番目の液晶配向膜は、 ラビングを 必要とせず、 高能率で均一且つ薄い配向膜を所望のパターンで作製でき る効果がある。
また、 液晶配向膜の製造に、 電極表面にシラン界面活性剤を露光パ夕 —ンに沿つて単分子膜状に 1層化学吸着させる方法を用いた前記工程を 複数回用いることにより、 従来のようなラビングでは難しかった、 個々 の画素の配向が複数種に分割されたマルチドメインの液晶配向膜を極め て容易に作製できる効果がある。
さらにまた、 このような液晶配向膜を用いることで、 従来のようなラ ビング工程で発生していた欠陥の生じる機会がなくなり、 歩留まりが高 く極めて低コスト高信頼で且つ広視野角表示が可能な液晶表示装置を提 供できる効果がある。
なお、 吸着形成された配向膜は、 特定の液晶例えばネマティ ック液晶 や強誘電液晶を結合を組み込むことも可能なため、 極めて配向制御性が よい。
以上説明した通り、 本発明の第 2番目の液晶配向膜は、 従来のような ラビングを用いなく とも、 液晶のプレチルト角度を制御でき且つ任意の 方向に配向され得る機能を有する配向膜を高能率で均一且つ薄く提供で きる効果がある。
また本発明の液晶配向膜の製造方法は、 被膜を構成する分子が特定の 方向に向きを揃えて基板表面に一端で結合固定されている密着強度が格 段に優れた配向膜をきわめて効率よく提供できる効果を有する。
また、 液晶配向膜の製造時に、 偏光板にパターン状のマスクを重ねて 露光する工程を複数回行うと、 同一面内の配向膜内でパターン状の配向 方向の異なる部分を複数箇所設けることができ、 従来のようなラビング
では難しかった、 個々の画素の配向が複数種に分割されたマルチドメイ ンの液晶表示装置を極めて容易に作製できる効果がある。
さらにまた、 このような液晶配向膜を用いることで、 従来のようなラ ビング工程で発生していた欠陥の生じる機会がなくなり、 歩留まりが高 く極めて低コスト高信頼で且つ広視野角表示が可能な液晶表示装置を提 供できる効果がある。
なお、 吸着形成された配向膜は、 特定の液晶例えばネマティ ック液晶 や強誘電液晶を結合を組み込むことも可能なため、 極めて配向制御性を 良くできる。
以上説明した通り、 本発明の第 3番目の液晶配向膜は、 従来のような ラビングを用いなくとも、 配向膜の臨界表面エネルギーを制御して、 注 入される液晶のプレチルト角度を制御でき且つ液晶を任意の方向に配向 させ得る機能を有する配向膜を効率よく合理的に提供できる効果がある また、 液晶配向膜の製造時に、 偏光板にパターン状のマスクを重ねて 露光する工程を複数回行うと、 同一面内の配向膜内でパターン状の配向 方向のみ異なる部分を複数箇所設けることができ、 従来のようなラビン グでは難しかった個々の画素の配向が複数種に分割されたマルチドメイ ンの液晶表示装置を効率良く合理的に作製できる。
さらにまた、 このような液晶配向膜を用いることで、 従来のようなラ ビング工程で発生していた欠陥の生じる機会がなくなり所望のチルト角 が得られ、 歩留まりが高く極めて低コスト高信頼で且つ広視野角表示が 可能な液晶表示装置を提供できる。
なお、 吸着形成された配向膜は、 特定の表面エネルギーを有する液晶 例えばネマティ ック液晶や強誘電液晶を結合を組み込むことも可能なた め、 配向方向およびチルト角の制御のみならず配向規制力の大きな配向
膜を効率良く合理的に作製できる。
以上説明した通り、 本発明の第 4番目の液晶配向膜は、 従来のような ラビングを必要とせず、 短時間高能率で均一且つ極めて薄い高信頼性の 配向膜を作製できる効果がある。
また、 このような液晶配向膜を用いることで、 従来のようなラビング 工程を必要とせず、 歩留まりが高く極めて低コスト高信頼性の液晶表示 装置を提供できる。